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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

直腸がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-06-30
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、直腸がんの治療法に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

直腸がん

直腸がんについての一般的な情報

直腸がんは、直腸の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

直腸消化器系の一部を構成する臓器です。消化器系は、食物中の栄養素ビタミンミネラル炭水化物、脂質、蛋白質、水分)の取り込みと、老廃物の体外への排出という役割を担っています。消化器系は、食道小腸および大腸から構成されます。結腸(太い)は大腸の最初の部分で、長さは約5フィート(およそ152cm)です。加えて、大腸の終端部に直腸と肛門管があり、これらの長さは6~8インチ(15~20cm)です。肛門管は肛門(大腸から体外への開口部)で終わります。

消化器系の解剖図;食道、肝臓、胃、結腸、小腸、直腸、および肛門を示す。



下部消化器系の解剖図:結腸と他の臓器を示しています。



直腸がんに関する詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:


直腸がんのリスクに影響を及ぼす要因に年齢と家族歴があります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。直腸がんのリスク因子として考えられるものには以下の因子があります:


直腸がんの徴候には、排便習慣の変化や血便などがあります。

これらに加え、別の徴候症状が直腸がんにより引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:


  • 便への血液(鮮血色または暗赤色)の混入。

  • 排便習慣の変化。
    • 下痢

    • 便秘

    • 腸内に便が残っているような感覚。

    • 便が通常より細い、または普通とは異なった形状をしている。


  • 一般的な腹部の不快感(頻繁なガスによる痛み、腹部鼓張、膨満感、痙攣など)。

  • 食欲の変化。

  • 原因不明の体重減少。

  • ひどい疲労感。

直腸がんの発見と診断には、直腸と結腸を調べる検査法が用いられます。

直腸がんの診断に用いられる検査法には以下のものがあります:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 直腸指診(DRE):直腸を調べる診察法。医師または看護師が、手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内に挿入し、しこりなどの異常がないかを調べます。女性の場合、の検査も行われる場合があります。

  • 結腸鏡検査 :直腸および結腸内部に、ポリープ(膨らんだ組織の小片)や異常な領域、がんなどがないか調べる検査法。結腸鏡とは、観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具のことです。ポリープや組織のサンプルを採取するための器具が付いているものもあり、それで採取された組織は、顕微鏡での観察によってがんの徴候がないか調べられます。

    結腸鏡検査:結腸鏡が肛門と直腸から結腸に挿入される様子を示す。右上の図には、台の上の患者さんが結腸鏡検査を受けている様子が示されている。
    
    


    結腸鏡検査。ライトの付いた細い管を肛門と直腸から結腸の内部まで挿入して、異常な部分がないかを調べます。




  • 生検 細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルは顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。生検時に採取された腫瘍組織は、患者さんの遺伝子がHNPCCの原因となる突然変異を起こしている可能性を調べるために用いられる場合があります。この検査結果は治療計画を立てる際の参考になります。以下のような検査法が用いられます:
    • 逆転写 ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査:特殊な化学物質を用いて、組織サンプル中の細胞の遺伝子についてその構造や機能に特定の変化がないかを調べる臨床検査

    • 免疫組織化学検査 抗体を利用して、組織のサンプルに含まれる特定の抗原を調べる臨床検査。この抗体には通常、放射性物質または色素が結合されており、その作用によって顕微鏡で観察したときに組織が明るく見えます。この種の検査法は、様々な種類のがんを判別するのに用いられることがあります。


  • がん胎児性抗原(CEA)測定 :CEAの血中濃度を測定する検査法。CEAはがん細胞と正常な細胞のどちらからも血液中に放出されます。この物質の値が通常量よりも高い場合は、直腸がんやその他の病態の徴候である可能性があります。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの病期(がんが直腸の粘膜にとどまっているか、直腸全体に及んでいるか、リンパ節や周辺の臓器、または体内の他の部位に転移しているかどうか)。

  • 腫瘍が腸壁内または腸壁を越えて拡がっているかどうか。

  • 直腸でがんが認められる位置。

  • 腸が閉塞している、または腸に穴が開いているかどうか。

  • 手術によって腫瘍を完全に摘出できるかどうか。

  • 患者さんの健康状態。

  • 新たに診断されたがんか、再発した(再び現れた)がんか。

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直腸がんの病期

直腸がんの診断がついた後には、直腸内でのがん細胞の拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん直腸内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 胸部X線 検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • 結腸鏡検査 :直腸および結腸内部に、ポリープ(膨らんだ組織の小片)や異常な領域、がんなどがないか調べる検査法。結腸鏡とは、観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具のことです。ポリープや組織のサンプルを採取するための器具が付いているものもあり、それで採取された組織は、顕微鏡での観察によってがんの徴候がないか調べられます。

    結腸鏡検査:結腸鏡が肛門と直腸から結腸に挿入される様子を示す。右上の図には、台の上の患者さんが結腸鏡検査を受けている様子が示されている。
    
    


    結腸鏡検査。ライトの付いた細い管を肛門と直腸から結腸の内部まで挿入して、異常な部分がないかを調べます。




  • CTスキャン(CATスキャン)腹部骨盤、胸部などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性 腫瘍 細胞を検出するための検査法。まず放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。

  • 直腸内超音波検査 :直腸と周辺の臓器の検査に用いられる検査法。まず、超音波振動子(プローブ)を直腸内に挿入し、高エネルギーの音波(超音波)を発生させ内部の組織や臓器に反射させることにより、エコーを生じさせます。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。医師はこのソノグラムを見ることによって腫瘍を発見することができます。この検査法は経直腸的超音波検査とも呼ばれます。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、直腸がんがに転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は直腸がんの細胞です。この疾患は転移性直腸がんであり、肺がんではありません。

直腸がんでは以下のような病期が用いられます:
0期(上皮内がん)


0期の結腸/直腸上皮内がん;結腸/直腸の断面図を示している。拡大図は、結腸/直腸壁の各層を示し、粘膜層に異常な細胞がある様子を表している。他に、粘膜下層、筋層、漿膜、血管、リンパ節も示している。



0期(直腸上皮内がん)。直腸壁の粘膜層に異常な細胞が認められます。



0期では、直腸壁の粘膜(最も内側の層)に異常な 細胞が認められます。これらの異常な細胞は、がん化して、拡がっていく可能性があります。0期は上皮内がんとも呼ばれます。

I期


I期の大腸がん;結腸/直腸の断面図を示している。小さな図は、がんが発生している結腸/直腸壁の粘膜、粘膜下層、筋層を示している。さらに、漿膜、血管、リンパ節も示している。



I期の直腸がん。直腸壁の粘膜から筋層にがんが拡がっています。



I期では、直腸壁の粘膜(最も内側の層)にすでにがんが形成されており、粘膜下層(粘膜の下にある組織の層)にも拡がっています。さらに、直腸壁の筋層までがんが拡がっている場合もあります。

II期


II期の大腸がん;結腸/直腸の断面図とともに3つの拡大図を示している。それぞれの図は、結腸/直腸壁の各層:粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜を示している。他に、血管およびリンパ節も示している。左側の拡大図は、IIA期を示し、粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜にがんがある様子を表している。中央の拡大図は、IIB期を示し、全ての層にがんがあり、漿膜を越えてがんが拡がっている様子を表している。右側の拡大図は、IIC期を示し、隣接する臓器にがんが拡がっている様子を表している。



II期の直腸がん。IIA期では、直腸壁の筋層を越えて漿膜にがんが拡がっています。IIB期では、がんが漿膜を越えて拡がっているものの、隣接する臓器には転移していません。IIC期では、がんが漿膜を越えて隣接する臓器に転移しています。



II期の直腸がんは、IIA期、IIB期、IIC期に分けられます。


  • IIA期:がん直腸壁の筋層を越えて、漿膜(直腸壁の最も外側の層)に拡がっている。

  • IIB期:がんが直腸壁の漿膜(最も外側の層)を越えて拡がっているが、隣接する臓器には転移していない。

  • IIC期:がんが直腸壁の漿膜(最も外側の層)を越えて、隣接する臓器に転移している。

III期

III期の直腸がんは、IIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。



IIIA期の大腸がん;結腸/直腸の断面図とともに2つの拡大図を示している。それぞれの図は、結腸/直腸壁の各層:粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜を示している。他に、血管およびリンパ節も示している。左側の拡大図は、粘膜、粘膜下層、筋層にがんがあり、2つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。右側の拡大図は、粘膜、粘膜下層にがんがあり、5つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。



IIIA期の直腸がん。がんが直腸壁の粘膜を越えて粘膜下層に拡がっており、さらに筋層にも達している場合があり、隣接する1~3ヵ所のリンパ節またはリンパ節近くの組織に転移しています。または、がんが粘膜を越えて粘膜下層に拡がっており、さらに隣接する4~6ヵ所のリンパ節に転移しています。



IIIA期では、以下の条件が満たされます:


  • がん直腸壁の粘膜(最も内側の層)を越えて、粘膜下層(粘膜の下にある組織の層)に拡がっており、直腸壁の筋層に拡がっている場合がある。さらに、隣接する1~3ヵ所のリンパ節に転移しているか、またはリンパ節近くの組織にがん細胞が認められる;または、

  • がんが直腸壁の粘膜(最も内側の層)を越えて、粘膜下層(粘膜の下にある組織の層)に拡がっている。さらに、隣接する4~6ヵ所のリンパ節に転移している。



IIIB期の大腸がん;結腸/直腸の断面図とともに3つの拡大図を示している。それぞれの図は、結腸/直腸壁の各層:粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜を示している。他に、血管およびリンパ節も示している。左側の拡大図は、全ての層にがんがあり、漿膜を越えて3つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。中央の拡大図は、全ての層にがんがあり、5つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。右側の拡大図は、粘膜、粘膜下層、筋層にがんがあり、7つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。



IIIB期の直腸がん。がんが直腸壁の筋層を越えて漿膜に拡がっているか、または漿膜を越えて拡がっているものの隣接する臓器には転移しておらず;さらに、隣接する1~3ヵ所のリンパ節またはリンパ節近くの組織に転移しています。または、がんが筋層または漿膜に拡がっており、さらに隣接する4~6ヵ所のリンパ節に転移しています。または、がんが粘膜を越えて粘膜下層に拡がっており、筋層に拡がっている場合もあり;さらに、隣接する7ヵ所以上のリンパ節に転移しています。



IIIB期では、以下の条件が満たされます:


  • がんが直腸壁の筋層を越えて漿膜(最も外側の層)に拡がっているか、または漿膜を越えて拡がっているものの隣接する臓器には転移していない。さらに、隣接する1~3ヵ所のリンパ節に転移しているか、またはリンパ節近くの組織にがん細胞が認められる;または、

  • がんが直腸壁の筋層または漿膜(直腸壁の最も外側の層)に拡がっている。さらに、隣接する4~6ヵ所のリンパ節に転移している;または、

  • がんが直腸壁の粘膜(最も内側の層)を越えて粘膜下層(粘膜の下にある組織の層)に拡がっており、直腸壁の筋層に拡がっている場合もある。さらに、隣接する7ヵ所以上のリンパ節に転移している。



IIIC期の大腸がん;結腸/直腸の断面図とともに3つの拡大図を示している。それぞれの図は、結腸/直腸壁の各層:粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜を示している。他に、血管およびリンパ節も示している。左側の拡大図は、全ての層にがんがあり、漿膜を越えて4つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。中央の拡大図は、全ての層にがんがあり、7つのリンパ節にがんが転移した様子を表している。右側の拡大図は、全ての層にがんがあり、漿膜を越えて2つのリンパ節にがんが転移し、隣接する臓器にも拡がっている様子を表している。



IIIC期の直腸がん。がんが直腸壁の漿膜を越えて拡がっているものの隣接する臓器には転移しておらず;さらに、隣接する4~6ヵ所のリンパ節に転移しています。または、筋層を越えて漿膜にがんが拡がっているか、または漿膜を越えて拡がっているものの隣接する臓器には転移しておらず;さらに、隣接する7ヵ所以上のリンパ節に転移しています。または、漿膜を越えて隣接する臓器に転移しており、さらに、隣接する1ヵ所以上のリンパ節またはリンパ節近くの組織に転移しています。



IIIC期では、以下の条件が満たされます:


  • がんが直腸壁の漿膜(最も外側の層)を越えて拡がっているが、隣接する臓器には転移していない。さらに、隣接する4~6ヵ所のリンパ節に転移している;または、

  • がんが直腸壁の筋層を越えて漿膜(最も外側の層)に拡がっているか、または漿膜を越えて拡がっているものの隣接する臓器には転移していない。さらに、隣接する7ヵ所以上のリンパ節に転移している;または、

  • がんが直腸壁の漿膜(最も外側の層)を越えて拡がっており、隣接する臓器にも転移している。さらに、隣接する1ヵ所以上のリンパ節に転移しているか、リンパ節近くの組織にがん細胞が認められる。

IV期

IV期の直腸がんは、IVA期とIVB期に分けられます。



IV期の直腸がん;リンパ節、肺、肝臓、腹壁、卵巣など、直腸がんが転移する可能性がある他の体の部位を示している。拡大図は、がん細胞が直腸から血液やリンパ系を介して体の別の部位に移動し、転移がんを形成する様子を示している。



IV期の直腸がん。がんが血管およびリンパ節を経由して、肺、肝臓、腹壁、卵巣など、体の他の部位に転移しています。




  • IVA期:がん直腸壁を越えて拡がっている場合があり、隣接する臓器またはリンパ節に転移している場合もある。さらに、肝臓卵巣など、直腸から離れた臓器の1つに転移しているか、または遠くのリンパ節に転移している。

  • IVB期:がんが直腸壁を越えて拡がっている場合があり、隣接する臓器またはリンパ節に転移している場合もある。さらに、直腸から離れた臓器の2つ以上に転移しているか、または壁内面に拡がっている。

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再発直腸がん

再発 直腸がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。再発は直腸に生じることもあれば、結腸骨盤肝臓などの直腸以外の場所に発生することもあります。

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治療選択肢の概要

直腸がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

直腸がんの患者さんは、様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の4種類が用いられています:
手術

手術は、全ての病期の直腸がんで最もよく用いられている治療法です。がんの摘出には以下の手術法のいずれかが用いられます:


  • ポリープ切除術:がんがポリープ(隆起した組織の小片)内に見つかったときは、多くの場合、結腸鏡検査の際にそのポリープを切除します。

  • 局所 切除術:がんが直腸内部の表面に認められ、直腸壁の中には拡がっていない場合は、がんとその周囲の少量の健常組織を切除します。

  • 切除:がんが直腸壁の中に拡がっている場合は、直腸のがんが存在する部分と周囲の健常な組織を切除します。場合によって、直腸と壁の間の組織も除去することがあります。直腸に近いリンパ節を切除して、顕微鏡で観察することにより、がんの徴候がないかを調べます。

  • ラジオ波焼灼術:小さな電極の付いた特殊なプローブを用いてがん細胞を死滅させる治療法。プローブを皮膚から直接刺し込む方法もあり、その場合は局所麻酔のみでの実施が可能です。その他の場合には、腹部切開した上でそこからプローブを挿入していきます。この方法の場合は、大きな病院で全身麻酔で実施されます。

  • 凍結手術:専用の装置を用いて異常組織を凍結させ破壊する治療法。この種の治療は凍結療法とも呼ばれます。

  • 骨盤内臓器摘出術:がんが他の臓器に転移している場合は、結腸下部、直腸、膀胱を切除します。女性の場合、子宮頸部卵巣、および周辺のリンパ節も摘出される場合があります。男性の場合、前立腺が摘出される場合があります。これと同時に、尿便を体外に取り付けたバッグまで送り出すための開口部(ストーマ)が人工的に造られます。

がんの摘出後、外科医は次のいずれかの処置を行います:


  • 吻合術(直腸の健常部同士を縫い合わせたり、残った直腸と結腸を縫い合わせたり、あるいは結腸と肛門を縫い合わせたりする処置)。

    吻合術を伴う直腸がん手術を示した3つの図:左の図には、直腸のがんのある領域が、中央の図には、がんと周辺組織が切除された様子が、そして右の図には、結腸と肛門が縫い合わされた様子が示されている。
    
    


    直腸の切除と吻合術。直腸と結腸の一部を切除してから、結腸と肛門をつなぎ合わせます。



    または

  • 直腸から体外に排泄物を送り出すためのストーマ(開口部)の形成。この処置はがんの位置が肛門に非常に近い場合に行われ、人工肛門形成術と呼ばれます。このストーマには、排泄物を捕集するためのバッグが取り付けられます。直腸の状態が回復することで人工肛門が不要になる場合もあり、その場合は元の状態に戻すことも可能です。しかし、直腸全体を切除する場合は、生涯にわたって人工肛門を使用することになります。

放射線療法化学療法は、腫瘍を小さくしてがんを摘出しやすくし、手術後の排便のコントロールに伴う問題を軽減するために、手術前に実施されることがあります。このように手術前に行われる治療は術前補助療法と呼ばれます。たとえ手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に放射線療法や化学療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります:


放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。直腸がんの治療には外照射療法が用いられます。

一部の種類の直腸がんには、短期コースの術前放射線療法が実施されます。この治療では、標準治療よりも低線量の放射線を照射し回数も少なく、最終照射の数日後に手術を行います。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。

肝動脈化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、肝臓に転移したがんの治療に用いられます。この治療法では、肝動脈(肝臓に血液を供給する主要な動脈)を遮断して、遮断部と肝臓の間の領域に抗がん剤を注入します。すると、この肝臓の動脈を介して肝臓に薬剤が運ばれます。肝臓以外の部分に達する薬の量はごくわずかです。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。肝臓への血液供給は、から血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。

化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、直腸がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。モノクローナル抗体 療法とは、直腸がん治療に使用されている標的療法の一種です。

モノクローナル抗体療法では、製造ラボにおいて単一の免疫系細胞から作り出した抗体を使用します。これらの抗体は、がん細胞の表面上に存在する物質や、がん細胞の増殖を促進する物質を特定することができます。こうした抗体がそれぞれの標的物質に結合することにより、がん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などといった効果が得られます。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独で使用されることもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。

ベバシズマブは、血管内皮成長因子(VEGF)という蛋白に結合するモノクローナル抗体です。腫瘍の増殖に必要な新しい血管の成長を阻害できる可能性があります。セツキシマブパニツムマブは、一部のがん細胞の表面に存在する上皮成長因子受容体(EGFR)と呼ばれる蛋白に結合するモノクローナル抗体の一種です。がん細胞の増殖と分裂を抑止できる可能性があります。

詳しい情報については、直腸がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

その他にも、いくつかの治療法が臨床試験で試されています。

臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報NCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

直腸がんの治療の終了後には、がんの再発の有無を調べるためにがん胎児性抗原(CEA:がんが存在すると血液中の濃度が上昇することのある物質)の量を測定する血液検査が実施されることがあります。

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病期ごとの治療選択肢

0期(上皮内がん)

0期の直腸上皮内がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、0期直腸がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

I期の直腸がん

I期の直腸がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、I期直腸がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

II期およびIII期直腸がん

II期およびIII期直腸がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、II期直腸がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

IV期および再発直腸がん

IV期の直腸がんと再発 直腸がんの治療法には、以下のようなものがあります:


他の臓器に転移している直腸がんの治療法は、がんが転移した部位によって異なります。


  • 肝臓に転移したがんの領域の治療法には以下のようなものがあります:
    • 腫瘍を切除する手術。手術前に化学療法を実施して、腫瘍を縮小する場合もあります。

    • 凍結手術またはラジオ波焼灼術

    • 化学塞栓療法または全身化学療法、もしくはその併用。

    • 化学塞栓療法と肝臓内の腫瘍に対する放射線療法の併用を行う臨床試験への参加。


NCI支援のがん臨床試験リストから、IV期直腸がんおよび再発直腸がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、直腸がんの治療法に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Rectal Cancer Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/colorectal/patient/rectal-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389378]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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