ご利用について
このPDQがん情報要約では、便秘、宿便、腸閉塞、下痢、放射線腸炎などの消化管の合併症に関する原因と治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 一般的な情報
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消化管は、摂取した食物中の栄養素の消化吸収と、老廃物の体外への排出という役割を担う消化器系の一部を成しています。消化管には胃と腸が含まれます。
食道と胃は上部消化管の一部です。 下部消化管の解剖図:この図は結腸、直腸、肛門を示しています。消化器系を構成する他の臓器も示されています。 消化管の合併症とは、消化器系に影響を及ぼす可能性がある様々な問題のことを指します。消化管の合併症はがんの患者さんでよくみられ、がん自体が原因である場合もあれば、がん治療または症状の管理に使用された薬剤の影響である場合もあります。
小児と成人で、がんの患者さんが経験する消化管の合併症は似ている場合もありますが、その原因や治療アプローチは年齢やその他の要因によって異なります。このページでは、以下にあげる成人の消化管の合併症と、その原因および治療法について説明しています:
- 便秘
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便秘とは、排便が困難であるか排便時に痛みを伴い、排便があまり頻繁に起こらなくなった状態のことです。
便秘は、大腸を通る便の動きが鈍くなることで起こります。便がゆっくりと大腸を通過するにつれて、水分が失われ、便が硬くなります。
便秘がある人では、排便できなくなったり、強くきばらなければ便が排出されなくなったり、排便の回数が減ったりすることがあります。
がんの患者さんの排便に「正常」な回数というものはありません。個人差があります。しかし、排便回数が少ないと、便秘になることがあります。
便秘はがんの患者さんによくみられる問題の1つです。
便秘の一般的な原因としては、加齢、食事の変化、水分摂取、運動不足などがあります。これらの一般的な原因に加えて、がんの患者さんの便秘には次のような原因もあります:
便秘の評価には、病歴聴取、身体診察、その他の検査が含まれます。
便秘の診断には、以下のような検査法と手技が用いられます:
病歴聴取と身体診察で便秘の原因が明らかにならない場合は、別の問題が便秘を引き起こしているかどうかを明らかにするために、医師はさらなる検査を指示することがあります:
- 宿便
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宿便は、便秘が重症化した病態で、便が乾燥して硬くなり、結腸や直腸から出てこなくなります。
宿便は体外に排出できない乾燥した便です。治療されていない便秘は宿便につながる可能性があります。このため、宿便の原因は便秘の原因と同じです。詳細については、便秘の原因のセクションをご覧ください。
宿便と便秘には同じような症状がみられますが、宿便は呼吸障害、めまい、低血圧など他の重い症状を引き起こすことがあります。
宿便の症状としては次のようなものがあります:
これらの症状がみられる場合は、担当の医療従事者に相談することが重要です。
便秘の評価には、病歴聴取、身体診察、その他の検査が含まれます。
宿便の診断には以下のような検査法や手技が用いられます:
- 腸閉塞
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腸閉塞とは、宿便以外の原因によって小腸または大腸が塞がることです。
腸閉塞は、腸のねじれ、ヘルニア、炎症、手術による瘢痕組織、またはがんによって引き起こされることがあります。腸閉塞が起こると、便は小腸または大腸を通過できなくなります。腸が部分的または完全に閉塞することがあり、ときに2カ所で閉塞することもあります。
腸閉塞では、腸の一部への血流が減少することがあります。血流を正常に戻さなければ、対象範囲の組織が壊死することもあります。
胃、結腸、および卵巣のがんは、腹部に転移して閉塞を引き起こす可能性があります。これらのがんの患者さんや腹部の手術または放射線療法を受けた患者さんは、腸閉塞のリスクが高くなります。腸閉塞は、進行期のがんで最もよくみられます。
腸閉塞は痛みを引き起こす可能性があります。
腸閉塞によって起こりうる症状を以下に示します:
これらの症状がみられる場合は、担当の医療従事者に相談することが重要です。
腸閉塞の評価では、身体診察と画像検査が行われます。
腸閉塞を診断するために、以下の検査と手技が行われることがあります:
急性腸閉塞の治療として手術が行われることがあります。
急性腸閉塞は突然発生する病態で、治療が可能です。以下のような治療法があります:
- 補液療法:体内の水分量を正常な水準に回復させる治療です。静脈内への水分補給が行われたり(輸液)、薬剤が処方されることもあります。
- 電解質補正:血液中に含まれるナトリウム、カリウム、クロールなどの化学物質の量を適正な水準に回復させる治療です。電解質を含んだ補液を点滴で投与するなどの方法が用いられます。
- 輸血:全血(血液そのもの)または血液の一部の成分を投与する治療です。
- 腸管の安静:食物やときに水分の摂取を控えて、腸が治癒する時間を確保する処置です。
- 経鼻胃管または経肛門的イレウス管:経鼻胃管は、鼻から挿入して食道を通して胃まで到達させます。経肛門的イレウス管は、直腸から結腸内に挿入します。これは腫れ、溜まっている水分やガス、圧力を軽減する目的で行われます。
- ステント:閉塞による症状を軽減するために、腸に挿入して閉塞した領域を開通させる金属製の管です。
- 手術:重度の症状が生じ、他の治療で軽減されない場合は、閉塞を解消するための手術が行われます。
症状が悪化し続けている患者さんには、ショックの徴候や症状がないか、また閉塞が悪化していないかを確認するためにフォローアップ検査が行われます。
慢性の悪性腸閉塞の治療では、生活の質を改善するために手術が行われることがあります。
慢性の悪性腸閉塞は時間とともに悪化することがあります。進行がんの患者さんには、ときに手術で解消することができない慢性腸閉塞が起こります。この場合には、腸の複数箇所で閉塞または狭窄が生じていたり、完全には除去できないほど大きな腫瘍が存在していたりすることがあります。以下のような治療法があります:
- 手術:閉塞を解除して痛みを軽減し、患者さんの生活の質を向上させます。
- ステント:症状を軽減させて患者さんの生活の質を向上させるために、腸に挿入し、閉塞している領域を開通させる金属製の管。
- 胃瘻管:腹壁から直接胃に挿入される管。胃瘻管はバルブ付きの排液袋に取り付けることができます。バルブが開いていると、貯留している液体と空気が胃から排出され、閉塞による症状が軽減されます。食物は直接この袋に排出されるので、患者さんは食物を飲食できるようにもなります。これにより、患者さんは食事を味わい、口の中を潤すことができます。固形食は、管と排液袋を詰まらせてしまうことがあるので避けた方がよいでしょう。閉塞があるものの、腸を完全に閉塞していない場合は、胃瘻管を用いて薬剤を胃に直接注入することもあります。
- 薬剤:痛みや吐き気、嘔吐に対処するために、もしくは腸を空にする目的で行われる、薬剤の注射や点滴。薬剤は、手術を受けられない人またはステントや胃瘻管では対処できない人に処方されることがあります。
- 下痢
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下痢とは、水様の緩い便が頻繁に排泄されることです。
急性下痢とは、1日に3回以上の緩いまたは水様の排便がみられる状態のことです。急性下痢は、継続期間が4日間を超え、2週間未満の場合があります。2カ月以上続く頻繁な水様便は慢性下痢と呼ばれます。下痢は、がん治療のどの段階でも起こりえます。がんの患者さんには、身体的にも精神的にも大きなストレスとなるでしょう。
がんの患者さんにおける下痢の最も一般的な原因はがん治療です。
がんの患者さんにおける下痢の原因には、以下のものがあります:
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化学療法、分子標的療法、免疫療法、放射線療法、骨髄移植、手術などのがん治療。
- 一部の化学療法や分子標的療法薬は、小腸における栄養素の分解や吸収の過程を変化させ、下痢を引き起こします。
- 免疫療法は、体の免疫系ががんに抵抗するのを助ける、がん治療の一種です。がん細胞に対する攻撃は、正常な細胞や組織にも影響を及ぼします。そのために下痢が起こることがあります。
- 腹部や骨盤に対する放射線療法は、腸の炎症を引き起こすことがあります。下痢は、長いと治療後8~12週間にわたり持続する場合もあれば、治療後数カ月から数年間にわたって起こらない場合もあります。放射線療法と化学療法を受けている人は、激しい下痢を経験することがよくあります。
- ドナーから提供された骨髄の移植を受けた人には、移植片対宿主病(GVHD)が発生する可能性があります。胃と腸に現れるGVHDの症状には、吐き気と嘔吐、重度の腹痛と痙攣、水っぽい緑色の下痢便があります。これらの症状は、多くが移植後1週間から3カ月の間に起こります。
- 胃または腸に対する手術。
- がんそのもの。
- がんと診断され、治療を受けていることによるストレスと不安。
- がん以外の病態や疾患。
- 感染。
- 特定の感染症に対する抗菌薬療法。抗菌薬療法は腸の内壁を刺激し、治療により改善しない下痢を引き起こす場合があります。
- 経管栄養。
- 宿便とそれによる閉塞の周囲から便が流れ出ている状態。
- 乳製品、果物、野菜、繊維または脂肪を多く含む食物などの特定の食物。
下痢の評価には、病歴聴取、身体診察、および臨床検査が含まれます。
がんの患者さんでは、下痢が生命を脅かす合併症を引き起こす可能性があります。早急に原因を突き止め、治療を開始することが大切です。
下痢を診断して治療計画を立てるために、以下のような検査や手技が行われることがあります:
- 病歴聴取:頻度と便の硬さを含めた排尿および排便習慣や、めまい、眠気、痛み、吐き気、嘔吐、発熱などの症状の有無について医師から尋ねられます。医師はまた、最近の食事と水分摂取、最近の旅行、使用中の薬剤とその頻度についても尋ねます。
- 身体診察:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、体を総体的に調べます。医師は腹部に痛みのある部分がないか調べ、聴診で腸雑音がないか調べます。
- 直腸指診:直腸の診察です。医師が手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸内に挿入し、しこりなどの異常がないかを調べます。宿便の徴候がないか調べます。臨床検査用に便を採取することもあります。
- 便潜血検査:顕微鏡でしか見ることのできない微量の血液が便の中に混入していないかを調べる検査法です。患者さんに少量の便を専用のカードの上に採取してもらい、それを検査室に送って検査を行います。
- 便検査:便に含まれている水分とナトリウムの量を調べて、下痢を引き起こすことがある物質を検出する臨床検査です。さらに細菌や真菌、ウイルスの感染についても便を調べます。
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血算(全血球算定):血液を採取して以下の項目について調べる検査法です:
- 電解質検査:ナトリウム、カリウム、クロールなどの電解質の濃度を測定する血液検査です。
- 尿検査:尿の色とその成分(糖分、蛋白、赤血球、白血球など)を調べる検査法です。
- 腹部X線検査:腹部の臓器を撮影するX線検査です。X線は高エネルギー放射線の一種で、これを人の体を通してフィルムに照射すると、フィルム上に体内領域の画像が映し出されます。腹部X線検査は、腸閉塞やその他の問題がないか確認する目的で行われることもあります。
下痢の治療法は原因によって異なります。
治療法は下痢の原因によって異なります。医師が薬剤、食事、飲み物について調整を行うことがあります。下痢の治療法には以下のようなものがあります:
- 必要な場合には、緩下薬の使用法が変更されます。
- 下痢を治療するために、腸の動きを抑制し、腸による液体の分泌量を減らし、栄養素の吸収を促進する薬剤が処方されることがあります。
- がん治療により生じる下痢は、食事に関する変更によって治療されることがあります。食事は少量ずつとり、以下の食物は避けるようにします:
- 透明な飲料を多く摂取して、水分補給を続けます。こうした飲料には水、スポーツドリンク、薄い澄んだスープ、薄いカフェイン抜きのお茶、カフェインを含まないソフトドリンク、澄んだ果汁、ゼラチンなどがあります。重度の下痢の患者さんには、静脈内への輸液を行うか、他の栄養を静脈内投与する必要があるでしょう。
- 移植片対宿主病(GVHD)による下痢では、多くの場合に特別な食事による療法が実施されます。長期治療と食事管理が必要になる場合もあります。
- プロバイオティクスが勧められることがあります。プロバイオティクスは生きた微生物であり、消化と正常な腸機能を助ける栄養補助食品として使用されます。ラクトバチルス(Lactobacillus acidophilus)およびビフィドバクテリウム(Bifidobacterium)の利用に関する研究では、下痢の治療に有益であることが報告されています。
- 下痢と他の症状がみられる人には、水分と薬剤の静脈内投与が必要となる場合があります。
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化学療法、分子標的療法、免疫療法、放射線療法、骨髄移植、手術などのがん治療。
- 放射線腸炎
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放射線腸炎は、放射線療法により引き起こされる腸の炎症です。
小腸と大腸は放射線に対して高い感受性を示します。腹部と骨盤のがん細胞を殺傷するために行われる放射線療法は、腸の内壁に存在する正常細胞にも影響を及ぼします。放射線療法は、がん細胞や他の急速に増殖する細胞の成長を停止させます。腸の内壁に存在している正常な細胞も増殖が速いので、この領域に対する放射線療法により、これらの細胞の増殖が妨げられる場合があります。その結果、組織の自己修復が遅れることになります。細胞が死んで新しい細胞と入れ替わらないと、その後、数日~数週間にわたって消化管の問題が発生します。
放射線腸炎は、腹部、骨盤、直腸への放射線療法を受けている期間中やその後に、腸の内壁が腫大し炎症を起こす病態です。放射線の線量が高いほど、正常な組織が受ける損傷が大きくなります。
放射線腸炎には急性のものと慢性のものがあります:
- 急性放射線腸炎は、放射線療法の実施中または放射線療法終了後3カ月以内に発生します。
- 慢性放射線腸炎は放射線療法終了後数カ月で発生することがあります。
照射される放射線の総量とその他の要因が、放射線腸炎のリスクに影響を及ぼします。
腸炎の持続期間と症状の程度は以下の要因に左右されます:
腹部への放射線治療を受ける人のうち、慢性的な問題が起こるのは約10%~20%です。
急性および慢性の放射線腸炎には同じような症状がみられます。
急性放射線腸炎の人には、以下の症状がみられることがあります:
急性腸炎の症状は通常、治療終了後2~3週間で消失します。
慢性放射線腸炎の症状は通常、放射線療法の終了後6~18カ月の間に現れます。その診断は困難な場合があります。医師は最初に、症状の原因が腸に生じた再発腫瘍かどうかを確認します。また、その人が受けた放射線療法の治療歴を把握しようとします。
慢性放射線腸炎の人には、以下の徴候や症状がみられることがあります:
- 腹痛
- 血性下痢
- ベトベトした脂肪分の多い便
- 体重減少
- 吐き気
- 嘔吐
これらの症状がみられる場合は、担当の医療従事者に相談することが重要です。
急性放射線腸炎の治療では、症状の治療が行われます。
通常は治療によって放射線腸炎の症状は改善しますが、症状が悪化する場合は、がんの治療が一時的に中止されることもあります。
急性放射線腸炎またはその症状に対する治療法には以下のようなものがあります:
- 体内の血流を改善する抗炎症薬
- 抗菌薬
- ステロイド
- 下痢を止めて血液中のコレステロールを低下させる薬剤
- ビタミンE
- プロバイオティクス
- 食生活の変更
- 放射線療法によって損傷を受けた腸は消化に必要な酵素、特にラクターゼを十分に産生できなくなることがあります。ラクターゼは牛乳や乳製品に含まれる乳糖の消化に必要な酵素です。急性腸炎の症状の管理には、乳糖が含まれない、低脂肪、低繊維の食事が有用です。避けるべき食品:
- 摂取すべき食品:
- 加熱調理した魚、鶏肉、牛肉
- バナナ
- リンゴソースと皮をむいたリンゴ
- リンゴジュースとグレープジュース
- 精白パンとトースト
- パスタ
- 加熱調理したジャガイモ
- アスパラガスのチップ、緑豆、にんじん、ほうれん草、カボチャなど、柔らかい加熱調理した野菜
- マイルドなプロセスチーズ(製造時に乳糖が除去されるため、問題は起こりません)
- バターミルク、ヨーグルト、乳糖を含まないミルクセーキタイプの補助栄養製品(Ensureなど)
- 卵
- 滑らかなピーナッツバター
- 参考になるヒント:
- 放射線療法によって損傷を受けた腸は消化に必要な酵素、特にラクターゼを十分に産生できなくなることがあります。ラクターゼは牛乳や乳製品に含まれる乳糖の消化に必要な酵素です。急性腸炎の症状の管理には、乳糖が含まれない、低脂肪、低繊維の食事が有用です。避けるべき食品:
慢性放射線腸炎の治療では、急性放射線腸炎に対するものと同じ治療が行われることがあります。
慢性放射線腸炎の治療法には以下のようなものがあります:
- 急性放射線腸炎の症状に対するものと同じ治療
- 一部の患者さんでは、症状を管理するために手術が必要になることがあります。以下の2種類の手術法が用いられます:
医師は患者さんの健康状態と損傷を受けた組織の量を考慮して、手術が必要かどうかを判断します。手術後の治癒には時間がかかることが多く、長期間の経管栄養が必要になる場合もあります。手術後も多くの人に依然として症状がみられます。
- 現在実施中の臨床試験
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施されている場所に基づいて、臨床試験を検索することができます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 消化管の合併症についてさらに学ぶために
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米国国立がん研究所が提供している便秘または下痢に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、便秘、宿便、腸閉塞、下痢、放射線腸炎などの消化管の合併症に関する原因と治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。
本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Gastrointestinal Complications.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/constipation/GI-complications-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389438]
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免責事項
PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。
お問い合わせ
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