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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

疲労(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-06-30
    翻訳更新日 : 2018-03-27

 このPDQがん情報要約では、疲労の原因と治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

疲労に関する一般的な情報

疲労は最も一般的ながん治療の副作用です。

化学療法放射線療法生物学的療法などのがん治療は、がん患者さんの疲労を引き起こすことがあります。また、疲労は、一部の種類のがんによくみられる症状です。患者さんは、疲れた、力が出ない、体が重い、だるい、元気が出ない、やる気が起きないなどの表現で疲労の感覚を表します。がんの患者さんの疲労は、「がん疲労」、「がん関連疲労」、「がん治療関連疲労」などと呼ばれることがあります。

がんに関連する疲労は健康な人が感じる疲労と同じではありません。

健康な人は日常活動で疲れても、睡眠と休息をとれば疲労は回復します。しかし、がん関連疲労の場合は事情が異なります。がん患者さんは、がんを患っていない人より少ない活動量で疲れてしまいます。また、がん関連疲労は睡眠や休息をとっても完全には回復せず、長期間続くこともあります。通常、がんの治療が終了すれば患者さんの疲労は軽くなりますが、その後、数ヵ月から数年にわたって疲労が残る場合もあります。

疲労は患者さんの生活の質を低下させることがあります。

疲労は日常活動や人間関係、社交行事、地域活動などに関与できなくなるくらい患者さんを疲れさせ、生活のあらゆる領域に影響を及ぼす可能性があります。患者さんによっては職や学業をあきらめたり、友人や家族と過ごす時間が少なくなったり、睡眠時間が長くなったりするかもしれません。身体的な疲労は、ときに精神的な疲労につながり、気分の変化を引き起こします。それに伴い、患者さんが何かに注意を向けたり、物事を記憶したり、明確に思考したりすることが難しくなる場合もあります。また、患者さんが休職する必要のあるときや、完全に仕事を辞めなければならない状況では、経済的な困難が生じることもあるでしょう。失業によって、健康保険を喪失するケースもあります。これらの全てが、患者さんの生活の質自己評価を低下させる要因になります。

疲労に対する支援は、こうした問題の一部を予防し、生活の質を向上させることができます。

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がん患者さんに起こる疲労の原因

がん患者さんの疲労には、いくつかの原因が考えられます。

医師は、がん患者さんが疲労を感じることになる理由を全て把握しているわけではありません。同時にいくつもの状態が疲労の原因になっていることもあります。

がん患者さんの疲労は、次のような要因によって引き起こされます:


  • 化学療法放射線療法、一部の生物学的療法によるがん治療。

  • 貧血赤血球の数が正常値を下回った状態)。

  • ホルモン濃度が低すぎるまたは高すぎる状態。

  • 呼吸障害または十分な酸素を取り入れることができない状態。

  • 心臓障害。

  • 感染症

  • 痛み。

  • ストレス

  • 食欲減退、または十分なカロリー栄養が摂取できない状態。

  • 脱水下痢嘔吐などで、体内から大量の水分が失われた状態)。

  • 体内で食物からエネルギーを得る方法の変化。

  • 体重減少や筋肉の喪失、または筋力低下。

  • 眠気を引き起こす薬剤

  • 十分な睡眠がとれなくなる各種の問題。

  • 活動性の低下。

  • 別の病態。

疲労は、がん治療を受けていない進行がんの患者さんにも一般的に起こります。

がん治療が疲労を引き起こすメカニズムはわかっていません。

手術や化学療法、放射線療法などのがん治療が疲労を引き起こすメカニズムは、医師によって詳しい解明が進められています。いくつかの研究により、次の項目が疲労の原因になることが明らかになりました:


  • 治療によって損傷を受けた体組織を修復および治癒するために、通常より多くのエネルギーが必要とされる状態。

  • がん治療によって細胞が殺傷された後、体内に蓄積した毒性物質。

  • 生物学的療法が免疫系に及ぼす影響。

  • 体の睡眠と覚醒のサイクルの変化。

がん治療が開始された時点で、多くの患者さんはそれまでに実施された医学的検査や手術、もしくはがんの診断に適応する過程で生じた感情面のストレスによって疲労しています。 治療が開始されると、疲労がより強くなる場合もあります。高齢の患者さん、進行がんの患者さん、複数の種類の治療(化学療法と放射線療法など)を受ける患者さんでは、長期の疲労が発生しやすくなります。

がん治療が患者さんの活動水準に与える影響は、治療の種類により異なります。治療のタイプと治療計画が、がん治療で生じる疲労の程度に影響する場合があります。

化学療法により起こる疲労

化学療法を受けた患者さんは、一般的に各治療後の数日間に最も強い疲労を感じます。それから次の治療までの間に疲労は小さくなっていきます。通常、疲労は治療サイクルごとに増大します。患者さんが感じる疲労は化学療法の全サイクルを通して中ごろが最も大きいということが、いくつかの研究で報告されています。化学療法が終われば疲労は和らぎますが、最後の治療が終わってから1ヵ月以上経過しても正常に戻らないと感じられる場合もあります。患者さんの多くは、治療終了後の数ヵ月または数年にわたって疲労を感じます。

化学療法中の疲労を大きくする要因には次のものがあります:


  • 痛み。

  • うつ病

  • 不安

  • 貧血。化学療法の種類によっては、骨髄で新しい赤血球が十分に作れなくなり、貧血(体に十分な酸素が届けられないほど赤血球が少なくなる状態)が起こります。

  • ある種の抗がんによって引き起こされた睡眠不足。

放射線療法により起こる疲労

放射線療法を受けた患者さんの多くは、思うように行動できなくなるくらいの疲労を感じます。疲労は放射線療法の開始から治療コースの中盤にかけて増大し、そこから治療が終わるまでほとんど変わらないのが普通です。放射線療法が終了すると、多くの場合、患者さんの疲労は軽減されます。しかし、患者さんによっては治療終了後の数ヵ月~数年にわたって疲労が残ることがあります。治療前の水準まで体力が戻らない患者さんもおられます。

乳がん前立腺がんの患者さんを対象として、がん関連疲労の研究が行われています。患者さんが感じる疲労の量と疲労が最も強くなる時間帯は、個人によって異なっていました。

前立腺がんの男性では、放射線療法開始前に次のような症状がある場合に疲労が増加しました:


  • 睡眠不足。

  • うつ病。

乳がんの女性では、次の項目に該当する場合に疲労が増加しました:


  • 放射線療法を受けている間も働いている。

  • 自宅に子どもがいる。

  • うつ病。

  • 不安。

  • 睡眠障害。

  • 年齢が若い。

  • 体重が軽すぎる。

  • 進行がんまたはその他の病状がある。

生物学的療法により起こる疲労

生物学的療法はしばしばインフルエンザ様の症状を引き起こします。こうした症状には、身体的または精神的な疲労感、発熱、寒気、筋肉の痛み、頭痛、全般的な不快感などがあります。はっきりした思考ができなくなる患者さんもいます。疲労の症状は、生物学的療法の種類によって異なります。

手術により起こる疲労

疲労は手術の副作用としてよく起こりますが、通常は時間とともに改善されます。しかし、手術と他のがん治療を併用すると、手術による疲労が悪化する場合もあります。

貧血は疲労の一般的な原因です。

貧血は患者さんの活動水準と生活の質に影響を及ぼします。貧血は、次の要因によって引き起こされる場合があります:


  • がんそれ自体。

  • がん治療。

  • がんに関係しない病態。

貧血が患者さんに及ぼす影響は、以下の要因に左右されます:


  • 貧血が起こる頻度。

  • 患者さんの年齢。

  • 患者さんの血液中に含まれる血漿の量(血液の液体部分)。

  • 患者さんが抱えている別の病態。

栄養関連の副作用が疲労を引き起こす、または増加させることがあります。

体が利用するエネルギーは食物から摂取します。食事が不足して、体が必要とするエネルギーを十分に補給できない場合、疲労が生じることがあります。多くの患者さんは、がんやがん治療の影響を受けて十分には食事をとれなくなります。がんの患者さんでは、主に次の3つの要因が栄養に影響を及ぼしていると考えられます:


  • 体内で食物を利用する方法の変化。がんになる前と同じ量の食事をしても、患者さんの体内で吸収されず、食物に含まれる栄養素を一部しか利用できない場合があります。がんやその治療によって、こうした状態になります。

  • 食欲減退、吐き気、嘔吐、下痢、閉塞などによる、食事の摂取量の低下。

  • 腫瘍の増大、感染、発熱、息切れが原因で起こる、体に必要なエネルギー量の増加。

不安とうつ病は、がん患者さんの疲労を引き起こす非常に一般的な心理的要因です。

がんの情緒的ストレスは、疲労などの身体的な問題を引き起こすことがあります。がん患者さんの場合は、往々にして気分や心境に変化が現れます。がんの診断が下される前後に、患者さんは不安や恐怖を感じるでしょう。こうした感情は疲労の原因になります。身体的、精神的、社会的、経済的な幸福が損なわれると、患者さんの情緒的な苦悩は増大します。

がん患者さんの約15~25%はうつ病になりますが、この病態は身体的要因による疲労を増大させることがあります。うつ病の徴候には、以下のようなものがあります:


  • 精神的および肉体的な疲労感。

  • 人生に対する関心の喪失。

  • 思考の問題。

  • 睡眠不足。

  • 希望が見いだせないという感覚。

がんの治療後に他の人より疲労を強く感じる患者さんもいます。

患者さんの学習や記憶に支障が出ると、疲労が増大することがあります。

がんの治療中と終了後に、患者さんが長く注意を持続できないことを自覚し、一定期間、思考や記憶、理解に支障が出る場合があります。これは注意疲労と呼ばれる状態です。睡眠は注意疲労の緩和に有効ですが、疲労ががんに関連していると十分な睡眠がとれないこともあります。安らぎが得られる活動に参加し、戸外で過ごすようにすると、注意疲労を軽減できるかもしれません。

不十分な睡眠は疲労の原因になります。

がん患者さんは、ときに十分な睡眠をとることができなくなります。以下の睡眠に関する問題は疲労の原因になります:


  • 夜間に目が覚める。

  • 毎晩、同時刻に眠りについていない。

  • 日中に睡眠をとり、夜間にはあまり眠っていない。

  • 日中、活動していない。

睡眠不足はいろいろな形で患者さんに影響を及ぼします。例えば、疲労が悪化する時間帯は人によって様々です。患者さんによっては、睡眠に問題があり、朝により強い疲労を感じることがあります。その一方で、朝にも夜にも重度の疲労を訴える方もおられます。

睡眠不足の患者さんでも、睡眠の問題を解消すれば必ず疲労が改善されるわけではありません。疲労の原因が睡眠不足ではない場合もあります。詳しい情報については、PDQ睡眠障害に関する要約をご覧ください。

化学療法の薬物以外の薬が疲労を強めることもあります。

患者さんは、痛みなどのがんの症状や、がん以外の症状に対する薬剤を使用します。これらの薬剤の中には眠気を催すものがあります。オピオイド抗うつ薬抗ヒスタミン薬には副作用が認められます。これらの薬をいくつも同時に使用すると、疲労が悪化することがあります。

長期にわたってオピオイドを投与すると、精巣卵巣で生成される性ホルモンの量が減少する場合があります。これにより、疲労に加え、性的な問題やうつ病が生じる可能性もあります。

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疲労の評価

疲労の程度と患者さんの日常生活に与える影響を調べるために、評価が実施されます。

疲労診断する検査は存在しないので、疲労が問題になっている場合は、患者さんが家族や医療チームにその旨を告げることが重要です。疲労の評価では、患者さんに対して、疲労がどのくらい強いか、日常活動にどのような影響が出ているか、どのようなときに疲労が軽減または悪化するかの質問が行われます。医師は疲労の原因で治療できるものを調べます。

疲労の評価には身体診察と血液検査が含まれます。

以下の評価プロセスがあります:


  • 身体診察

     通常みられない疾患の徴候に注意し、総体的に身体を調べます。医師は呼吸障害や筋力の衰えなどの問題を確認します。また、患者さんの歩行や姿勢、関節の動きが調べられます。


  • 疲労レベルの評定:

     患者さんに質問を行い、疲労の程度(疲労がどのくらい強いか)を評定します。疲労の評定に関する標準的な方法はありません。医師は質問を通じて、疲労を0~10の尺度で評定します。また、別の方法で、疲労が患者さんの生活の質に及ぼす影響の程度を調べます。


  • 次の項目に関する一連の質問:
    • 疲労を感じ始めた時期、継続している期間、疲労が軽減または悪化する状況。

    • 患者さんががんやその治療から受けている痛みなどの症状副作用

    • 使用している薬剤

    • 睡眠と休息の習慣。

    • 食習慣と食欲または体重の変化。

    • 日常活動と生活様式に対する疲労の影響。

    • 仕事の遂行に対する疲労の影響。

    • 患者さんが抑うつ不安、痛みを感じているかどうか。

    • 健康習慣や過去の病歴、治療歴。


  • 貧血について調べる血液検査

     最も一般的な血液検査は赤血球の数が正常かどうかを調べる検査です:



  • 治療可能な他の疲労原因に対する調査。がん患者さんに起こる疲労の原因のセクションを参照してください。

疲労のパターンが存在するかどうかを確認するため、疲労の評価は何度か繰り返し行われます。

疲労の評価は繰り返し実施して、疲労がいつ始まり悪化するか、そのパターンを確認します。例えば、疲労は化学療法の直後に悪化することがあります。各回の評価で、同じ方法によって疲労が測定されます。これにより、時間の経過に伴う疲労の変化を明らかにすることができます。

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疲労の治療

がん患者さんの疲労は、多くの場合、貧血やうつ病などの関連する症状を緩和する方法で治療します。

疲労の治療法は、症状のほか、疲労の原因が明らかになっているかどうかにより異なります。疲労の原因が明らかでない場合、通常は患者さんに症状を軽減する治療が施され、疲労に対処する方法が指導されます。

貧血の治療

貧血を治療すると、疲労が軽減されることがあります。貧血の原因がわかっている場合は、その原因に対する治療が行われます。原因がわかっていない場合、貧血は以下のような支持療法で治療されます:


痛みの治療

痛みのせいで疲労が悪化している場合は、患者さんの鎮痛を変更する、もしくは用量を増量するなどの対応がとられます。鎮痛薬の量が多すぎるために疲労が悪化している場合は、鎮痛薬の変更や用量の減量などの方法で対処されます。

うつ病の治療

うつ病の症状がみられる患者さんの疲労を治療するために、抗うつ薬が用いられることがあります。精神刺激薬は一部の患者さんの活力を高め、気分を改善し、思考や集中を補助する働きがあります。精神刺激薬を用いた疲労の治療は、現在研究中です。FDAは疲労の治療に精神刺激薬を使用することを承認していません。

精神刺激薬には副作用があり、特に長期間使用した場合によくみられます。副作用の種類は精神刺激薬によって異なります。心臓に問題がある患者さんや心臓に影響を及ぼす抗がん剤の投与を受けている患者さんは、精神刺激薬を使用すると重篤な副作用が生じる場合があります。これらの薬物はラベルに危険性についての警告を記載しています。これらの薬の作用について医師と相談し、必ず医師の指示の下で使用するようにします。以下の副作用などが起こる場合があります:


  • 睡眠障害。

  • 多幸感(極端に大きな幸福を感じる)。

  • 頭痛。

  • 吐き気

  • 不安

  • 気分の変化。

  • 食欲減退。

  • 悪夢。

  • 妄想症(恐怖感や他人への不信感を抱く)。

  • 重篤な心臓障害。

医師は重度の疲労がみられる進行がんの患者さんに、短期間の用途で低用量の精神刺激薬を処方することがあります。これらの薬の危険性と有益性について、主治医と話し合うようにします。

がんに関連する疲労について、いくつかの薬剤が研究されています。

がんに関連する疲労に関して研究されている薬剤には、以下のものがあります:


  • ブプロピオンは、うつ病の患者さんとそうでない患者さんの疲労に対する治療薬として研究されています。

  • デキサメタゾンは進行がんの患者さんに対する抗炎症薬として研究されています。1件の臨床試験では、デキサメタゾンの投与を受けた患者さんは、プラセボを投与された患者さんの群よりも疲労が軽かったことが報告されました。炎症と疲労の関連については、さらなる試験による研究が必要です。

がんに関連する疲労について、特定の栄養補助食品が研究されています。

がんに関連する疲労に関して研究されている栄養補助食品には、以下のものがあります:


  • L-カルニチンは、体がエネルギーを作る働きを助け、疲労に関連すると考えられる炎症を軽減する栄養補助食品です。

  • ニンジンは、疲労の治療に用いられるハーブサプリメントで、ニンジンの根を含むカプセル剤として服用されることがあります。1件の臨床試験で、治療中または治療が終了したがん患者さんに、ニンジンまたはプラセボのいずれかが投与されました。ニンジンの投与を受けた群の疲労は、プラセボ群より軽くなりました。

活力を高め、日常生活のなかで疲労に対処する方法について患者さんが指導を受けることも、疲労の治療に含まれます。
運動

運動(歩行など)は、多くのがん患者さんの快適さと活力を高めるために有用です。がん患者さんの疲労に対する運動の効果は、現在研究中です。1件の研究によると、楽しめる運動を実施した乳がん生存者は、そうでない人に比べて疲労が軽くなり、日常活動に関与する能力が向上しました。 臨床試験では、一部の患者さんが次のような運動の有益性を報告しています。


  • 体力の向上。

  • 食欲増進。

  • 日常生活活動を行う能力の向上。

  • 生活の質の改善。

  • 人生に対する充足感の増大。

  • 幸福感の増大。

  • がんやがん治療により生じる必要性に対処する能力の向上。

1週間あたり3~5時間の適度な運動は、がん関連疲労に有効な場合があります。楽しめる種類の運動を選ぶと、計画どおりに運動を実施しやすくなるでしょう。医療チームは、最適な運動時間や場所のほか、運動の頻度などを計画するお手伝いができます。患者さんによっては、短時間の軽い運動から始めて、徐々に運動の幅を広げていくべきです。がん治療中や治療後でも安全に運動できることが研究により示されています。

気功太極拳ヨガなどの精神と身体の運動も、疲労軽減に役立つ場合があります。これらの運動は、体を動かす、伸ばす、バランスをとる、息を整えるなどの運動を、瞑想などの精神的な活動と組み合わせて行います。

活動と休息の計画

日常習慣に変化が生じると、エネルギーの消費量の増大につながります。規則正しい日常生活は睡眠を改善し、日中の活動性を高める一助になります。患者さんの体力を最大限に活用するために、定期的な活動と休息の計画を立てておくとよいでしょう。患者さんが運動プログラムを計画し、自身にとって重要な活動を見極める際、医療専門家の支援を受けることができます。

以下の睡眠習慣により、疲労が軽減されることがあります:


  • 就寝時以外はベッドで横にならない。

  • 昼寝は1時間以内とする。

  • 睡眠中に音(テレビやラジオなど)を鳴らさないようにする。

がんの患者さんは、あまり多くのことをしないようにします。医療専門家は、日常活動や責務の遂行を助けてくれる支援サービスについての情報を有しています。

トークセラピー

療法士はトークセラピーカウンセリング)を実施して、感情面や行動面に起こる特定の障害を治療します。この種の療法は、患者さんが特定の物事に対する考え方や感じ方を変容させる手助けをします。トークセラピーは、がんに関連し、疲労を悪化させる次のような問題に働きかけて、がん患者さんが感じている疲労の軽減を支援します:


  • がんへの対処から生じるストレス

  • がんが再発するかもしれないという恐れ。

  • 疲労について希望が持てないという心境。

  • 社会的支援の不足。

  • 日によって変化する睡眠と活動のパターン。

疲労の自己管理

がん関連疲労のリスクと疲労を軽減させる方法について学ぶことで、疲労にうまく対処できるようになり、生活の質が向上する場合があります。例えば、治療中の患者さんの中には、疲労は治療が効いていない証拠ではないかと心配する方もおられます。こうした不安は、疲労をさらに悪化させかねません。患者さんによっては、疲労を訴えることは不平不満の類だと考えている場合があります。しかし、疲労はもれなく報告して治療しなければならない通常の副作用だと理解することで、管理がより容易になる可能性があります。

医療チームと協力して以下の内容を学ぶことは、患者さんが疲労に対処するために有用です。


  • 治療によって生じる通常の副作用として疲労に対処する方法。

  • 水分の不足、電解質のバランスの乱れ、呼吸困難、貧血など、疲労の医学的原因として考えられる要因。

  • 疲労に影響する活動と休息のパターン。

  • 重要な日常活動を疲労の少ない時間に予定し、重要でない活動を取りやめるよう調整する方法。

  • 患者さんが眠らず起きていられるのを助ける活動(ウォーキング、ガーデニング、バードウォッチング)。

  • 疲労とうつ病との違い。

  • ストレスを引き起こす状況を回避または変更する方法。

  • 疲労を引き起こす活動を回避または変更する方法。

  • 疲労の減少に寄与するよう環境を変更する方法。

  • 患者さんに適した、疲労を軽減するための運動プログラム。

  • 十分な食事と水分摂取の重要性。

  • 神経障害または筋力低下がみられる患者さんに有用な理学療法

  • 呼吸障害がみられる患者さんに有用な呼吸療法

  • 疲労の治療が効果を上げているかどうかを報告する方法。

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がん治療が終了した後の疲労

多くのがん 生存者にとって、疲労は治療が終了し、がんが消失した後も長く継続する問題です。研究によると、複数の患者さんが治療後に何年も中等度から重度の疲労を感じ続けました。タモキシフェンなどによる長期間の治療も疲労の原因になることがあります。脳腫瘍の治療を受けて治癒に至った小児では、治療後も疲労が続く場合があります。

治療後の疲労の原因と、治療中の疲労の原因は異なります。また、治療終了後の疲労に対する治療と、治療中の疲労に対する治療も異なります。

疲労はがん生存者の生活の質に大きく影響を及ぼすため、長期のフォローアップケアが重要になります。

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現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんを受け入れている米国内の疲労貧血についての支持療法と緩和ケアの試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、疲労の原因と治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Fatigue.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/fatigue/fatigue-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389259]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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