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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

そう痒症(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-06-15
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、そう痒症の原因と治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

そう痒症

そう痒症についての一般的な情報

そう痒とは、皮膚をかきたいと思わせるかゆみの感覚です。発疹や皮膚の病変がなくても起こることがあります。かゆみと痛みの信号は同じ神経経路に沿って伝達されるので、ときにそう痒が痛みのように感じられることがあります。皮膚をかくと、皮膚が傷ついて出血や感染を招く場合があります。皮膚にかゆみを感じる場合は、治療や緩和を受けられるよう担当の医師に連絡してください。

そう痒の感じ方と持続する時間は人それぞれです。

皮膚は体中で最大の器官です。皮膚の最も重要な役割は、熱、日光、損傷、感染から体を保護することです。また、皮膚は自己イメージや、触れたり触れられたりする機能の面でも重要です。

特定の病態やがん、血液疾患は、そう痒を引き起こすことがあります。

そう痒は特定の病態血液 疾患、または何らかの病気の症状です。以下のような疾患や病態で発生することがあります:


そう痒の原因は不明な場合もあります。

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がん患者さんにおけるそう痒の原因

特定のがん治療はそう痒を引き起こす可能性があります。

そう痒の原因になるがん治療法には、化学療法放射線療法免疫療法(生物学的療法)などがあります。


  • 化学療法によるそう痒は、患者さんが投与されている薬物に敏感であることを示す徴候の可能性があります。

  • 放射線療法は皮膚の細胞を殺傷することがあり、それによって皮膚がむけて、乾燥や熱感、かゆみが生じることがあります。

  • 免疫療法に用いられる薬物も、乾燥とかゆみを引き起こすことがあります。

これらの多くの療法により、新しい細胞を作り治癒する皮膚の能力が弱められたために、皮膚が薄くなり乾燥することがあります。がん治療の直後で、皮脂と汗腺の機能が正常に戻っていないときに、長期にわたる皮膚の乾燥が生じることがあります。

支持療法に薬物が用いられることがあります。

以下の薬物は、がんの症状の予防または治療に用いられますが、そう痒を引き起こすことがあります:


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そう痒症の評価

かゆみの原因を明らかにすることが、そう痒を軽減するための第一歩です。

そう痒は疾患または病態の一症状であるため、軽減するには、まず原因を特定し治療することから始めます。

そう痒の評価には、身体診察、血液検査、胸部X線が行われます。

かゆみを引き起こしている問題を明らかにするために、以下のような検査と手技が実施されます:


  • 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。医師は患者さんの皮膚に以下の徴候がみられないか確認します:

     患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。患者さんは以下のような質問を受けます:


    • そう痒が始まった時期、持続する時間、そう痒の強さ、かゆくなる部位。

    • 日常活動と睡眠にどのような影響があるか。

    • かゆみが軽減または悪化するきっかけは何か。

    • 他の家族やペットにもかゆみが生じているか。

    • 以前にそう痒症を経験したことがあるかどうか。

    • 現在受けているがん治療やがんの病歴。

    • 現在患っている疾患または過去の病歴とその治療。

    • 違法薬物も含め、使用している鎮痛抗生物質などの薬物。

    • きちんとした食事をとっているか、水分摂取は十分か。

    • 社会歴(趣味、仕事、性生活、旅行)。

    • どのように皮膚を手入れしているか。

    • 感情面での健康状態。


  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。以下のような血液検査が該当します:

  • 全血球算定(CBC)と白血球分画 :血液を採取して以下の項目について調べる検査法:

  • 血沈 :血液を採取して、赤血球が試験管の底に沈んでいく速さを計測する検査法。血沈は、体内でどの程度の炎症が起きているかを測定します。血沈が正常よりも高い場合は、リンパ腫などの病態の徴候かもしれません。この検査法は、赤血球沈降速度、赤沈、ESRとも呼ばれます。

  • 胸部X線検査 :胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

この結果に応じて、皮膚生検などのさらなる検査を行い、問題について診断し治療上の決定を下します。

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そう痒症の治療

がん患者さんのそう痒症に対する治療は、誘因を把握し、それを避ける対策を講じることに関係します。

患者さんと介護者には、皮膚の乾燥や熱い湯での入浴など、かゆみの誘因となるものを把握し、それを避ける対策を講じることが重要です。そう痒を軽減または予防し、皮膚を保護して快適さを保つために、複数の治療法が必要になることもあります。

栄養状態を良好にすることは、皮膚の健康に重要です。蛋白炭水化物、脂肪、ビタミンミネラル水分をバランスよく含んだ食事が望まれます。皮膚の健康を保つには、バランスのよい食事と十分な水分が有効です。毎日3リットル(約100オンス)以上の水分をとることができれば理想的ですが、達成が難しい場合もあります。

皮膚を毎日か1日おきに洗うことは、汚れを落とし皮膚を健康に保つために重要です。

そう痒症の治療に有効な治療には、様々なものがあります。
セルフケア

セルフケアでは、そう痒の誘因を避けたり、適切な皮膚のケアを行ったりします。

そう痒の誘因には次のようなものがあります:


  • 発熱下痢吐き気嘔吐、水分の摂取不足による脱水

  • 熱いお湯での入浴、1日に複数回の入浴、または30分を超える入浴。

  • 泡風呂や洗浄剤を含む石けん。

  • 再使用できる洗顔用のスクラブスポンジ、または体洗い用のヘチマたわし。

  • 芳香剤、香水などの香料。

  • 浴槽に入れて入浴するオイル。

  • 室内の乾燥。

  • 香料や染料、または防腐剤を含む洗濯用洗剤。

  • 柔軟剤シート。

  • ピッタリした衣服、またはウールや合成繊維など、粗い素材やちくちくする繊維の衣服。

  • わきの下の消臭剤や制汗剤。

  • 香料、染料、防腐剤を含むスキンケア用品や化粧品。

  • 感情的なストレス

かゆみを抑える方法には、次のようなものがあります:


  • 香料の入っていない、鎮静クリームや軟膏を使用する。

  • 毎日または1日おきに、1回30分以内でぬる目の湯に入浴する。

  • 肌にやさしいボディウォッシュ(石けん不使用)や敏感肌用の石けんを使用する(Cetaphilクレンザー、敏感肌用Dove、Oilatum、Basisなど)。

  • オイルと石けんを追加する場合は入浴の最後に行う、または入浴の始めにコロイド状オートミールを湯に加える。

  • 体の汚れている部分にのみ石けんを使用し、それ以外の部分はお湯ですませる。

  • 必要に応じて、清潔で新しい柔軟な綿素材のタオルでやさしく洗う。

  • ぬる目のきれいなお湯で、入浴中に体についた石けんなどを洗い流す。

  • 皮膚をこすらず、押さえるようにして水気を拭き取る。

  • 自宅を涼しく湿潤な環境に保つ(加湿器を使用するなど)。

  • シーツ、衣服、下着は、香料や染料、防腐剤の入っていない低刺激の石けんや乳児用石けんで洗う(Dreft、All Free Clear、Tide Free and Gentle)。微量の洗剤を除去するには、すすぎの水に酢を加える(約1リットル[1クオート]の水に小さじ1杯)。

  • 水ですすぐことができる液体の柔軟剤(All Free Clear Fabric Softenerなど)を使用するか、柔軟剤を入れないようにする。

  • コットンフランネルのような柔らかい毛布を使用する。

  • ゆったりとした衣服や綿などの柔らかい繊維製の衣服を着る。

  • 気晴らし音楽療法、リラクゼーション、ポジティブなイメージに集中するイメージ法を行う。

市販薬による治療

一部の市販薬処方箋なしで購入できる医薬品)による治療は、そう痒の予防や緩和に役立ちます。ただし、アルコール外用 抗生物質、外用局所麻酔薬など、皮膚の反応を誘発しうる成分が含まれていないかどうか、ラベルの記載を注意深く読んでください。

コーンスターチとタルク

コーンスターチは放射線療法が原因で生じた皮膚の乾燥によるかゆみを予防するのに役立ちますが、湿性の皮膚には使用しないようにします。湿気を帯びたコーンスターチは、真菌の増殖を促す可能性があります。直腸などの粘膜、皮膚と皮膚とが重なる部分、皮脂腺や汗の付近には使用しないでください。

タルクアルミニウムを含有するものなど、パウダー類や制汗剤のなかには、放射線療法中の皮膚を刺激するものがあるため、放射線治療を受けている間は使用を避けるべきです。

放射線療法に関係のないかゆみ、特に2ヵ所の皮膚表面が接触しこすれ合う部位(わきの下、手足の指の間など)のかゆみには、コーンスターチよりもタルクをベースとした治療がよいでしょう。

クリームとローション

皮膚の乾燥に関係のあるそう痒には、エモリエントクリームまたはローションを使用することができます。エモリエントクリームは患部を鎮めて皮膚を柔らかくし、肌の保湿性を高めます。こうしたクリームやローションは皮膚の反応を引き起こす場合があるので、成分を確認することが重要です。皮膚の反応を引き起こす成分には、次のようなものがあります:


  • ワセリン:放射線療法を受けた皮膚では十分に吸収されず、過剰に蓄積する場合や取り除きにくくなる場合があります。

  • ラノリン:人によってはアレルギー反応が起きることがあります。

  • 鉱物油:ワセリンやラノリンとともにクリームやローションに含まれ、入浴用オイルに添加されていることもあります。

エモリエントに添加されている増粘剤、防腐剤、香料、着色料などの成分も、皮膚のアレルギー反応を引き起こすことがあります。

エモリエントクリームまたはローションは、少なくとも1日2~3回は塗布し、入浴後にも塗るようにします。アルコール成分の影響を受けやすい患者さん以外は、数箇所の狭い範囲に局所麻酔薬(0.5~5%リドカイン)を含むジェルを2時間ごとに使用できます。

重度のそう痒を起こしている部位を鎮める、または冷却するには、メントール樟脳、プラモキシン、カプサイシンを含む市販薬を使用できます。こうした医薬品は、患部を鎮めて冷やし、かきむしりたい感覚を抑えます。カプサイシンベースの療法は、神経信号に関係するそう痒によく効く場合があります。

皮膚に使用する処方薬

かゆみを和らげるために、医師が外用ステロイド(皮膚に使用するステロイド薬)を処方する場合がありますが、この薬剤により皮膚が薄くなり、より敏感になる可能性もあります。炎症に関係するそう痒にのみ使用してください。外用ステロイドは放射線療法を受けている皮膚に使用すべきではありませんが、放射線療法が終了した後の皮膚の炎症を和らげるために用いられることがあります。

乾燥症(異常な乾燥肌)や角皮症(角状の皮膚病態)には、皮膚の湿気を逃さず保ち、薄片化した皮膚の層をはがすために保湿クリームを使用します。サリチル酸、乳酸アンモニウム、尿素を含む湿潤剤は皮膚を滑らかにしますが、傷のある部分に塗ると刺すように痛むことがあります。

全身療法

全身療法では、薬物を血流に入れて全身の細胞に届け、作用させます。そう痒を引き起こしている病態を治療したり、症状を管理するために施行したりする療法です。

患者さんのそう痒が感染により引き起こされている場合、担当医が抗生物質を処方することがあります。また、経口抗ヒスタミン薬を使用して、かゆみの軽減を図る場合もあります。場合によっては、よく眠れるよう、就寝時に多めの用量を服用します。

その他の薬物療法

他の薬物療法でそう痒を管理できないときは、鎮静薬抗うつ薬が用いられる場合があります。

アスピリン真性赤血球増加症の患者さんのそう痒を緩和する場合がありますが、他の疾患ではそう痒を悪化させることがあります。ホジキンリンパ腫や真性赤血球増加症の患者さんのそう痒を管理するために、シメチジンを単独またはアスピリン(薬剤詳細へ)との併用で投与することがあります。

緩和的処置

患者さんが患部をかかないように予防し、「かゆいからかく、かくからかゆい」のサイクルを止めるために、他の方法がとられることもあります。具体的には以下のものが挙げられます:


  • 皮膚の損傷を防ぐために、エモリエントを塗る。

  • かゆみのある部分に冷たいタオルや氷をあてる。

  • かゆみのある部分、体の反対側の同じ部分、指圧のツボを強く圧迫する。

  • かゆみのある部分をこすったり、振動を加えたりする。

  • 経皮的電気神経刺激(TENS)または鍼療法を行う。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、そう痒症の原因と治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board. PDQ Pruritus. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/skin-nail-changes/pruritus-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389398]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

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