患者さん向け 成人中枢神経系腫瘍の治療(PDQ®)

ご利用について

このPDQがん情報要約では、成人中枢神経系腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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成人中枢神経系腫瘍についての一般的な情報

成人中枢神経系腫瘍とは、異常な細胞が脳や脊髄の組織内で発生する病気です。

および脊髄腫瘍には多くの種類があります。これらの腫瘍は細胞異常な増殖により形成され、脳または脊髄の様々な部分から発生することがあります。脳と脊髄は共に中枢神経系(CNS)を形成します。

腫瘍は、良性の(がんではない)場合もあれば悪性(がん)の場合もあります:

腫瘍が脳内で増殖したり、脳の一部を圧迫したりすると、脳のその部分は本来のようには機能しなくなる可能性があります。脳腫瘍では、良性か悪性かにかかわらず徴候症状が生じ、治療が必要になります。

脳腫瘍と脊髄腫瘍は成人と小児の両方に発生する可能性があります。しかし、小児の治療は成人の治療とは異なる場合があります。(詳しい情報については、PDQ小児脳腫瘍および脊髄腫瘍の治療の概要に関する要約をご覧ください。)

脳で最初に発生するリンパ腫に関する詳しい情報については、PDQの中枢神経系原発リンパ腫の治療に関する要約をご覧ください。

体内の別の部分から発生して脳に転移した腫瘍は転移性脳腫瘍と呼ばれます。

最初に脳内で発生した腫瘍は原発性脳腫瘍と呼ばれます。原発性脳腫瘍は脳や脊髄の他の部分に拡がっていく可能性があります。体の他の部位に転移することはほとんどありません。

脳で発見される腫瘍には、体内の別の部分から発生した腫瘍が脳の1つ以上の部分に転移したものが数多く含まれています。これらは転移性脳腫瘍(または脳転移)と呼ばれます。転移性脳腫瘍は原発性脳腫瘍よりも多くみられます。

転移性脳腫瘍のうち、多くて半数が肺がんからの転移です。 以下の種類のがんも、脳に転移することがよくあります:

がんは軟髄膜(脳と脊髄を覆っている最も内側の2つの)に転移する場合があります。この病態は軟膜がん腫症と呼ばれます。軟髄膜に転移するがんで多くみられるものは、次の通りです:

脳および脊髄に転移しやすいがんに関する詳しい情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:

脳は多くの重要な身体機能を制御しています。

脳には次のような3つの主要部分があります:

脳の解剖図:2枚の図は、大脳、脳室(液体で満たされた空間)、小脳、脳幹(脳橋と髄質)、脊髄を示す。さらに、髄膜と頭蓋(左図)、脈絡叢、視床下部、松果体、下垂体、視神経(右図)を示す。

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大脳、脳室(水色は脳脊髄液)、小脳、脳幹(脳橋と髄質)などの脳の各部を示す脳の解剖図。

脊髄は脳と体のほとんどの部分の神経を接続します。

脊髄は脳幹から背中の中心部まで通っている柱状の神経組織です。脊髄は3層の「膜」と呼ばれる薄い組織で覆われています。これらの膜は脊柱(背骨)に包まれています。脊髄の神経は、筋肉を動作させる脳からのメッセージや皮膚からの触覚を脳に伝えるメッセージなど、脳と体の他の部位との間でメッセージを伝達します。

脳腫瘍と脊髄腫瘍には様々な種類があります。

脳腫瘍と脊髄腫瘍は、それらが発生した細胞の種類と最初にCNS内で発生した場所に基づいて命名されます。腫瘍の悪性度は、増殖の遅いタイプの腫瘍と速いタイプの腫瘍との違いを示すために用いられます。世界保健機関(WHO)の腫瘍悪性度は、がん細胞を顕微鏡で観察したときの異常の度合いと腫瘍の増殖や拡がりの速さに基づいています。

以下の原発腫瘍は、脳または脊髄で発生することがあります:

星細胞腫

星細胞腫は、神経細胞を健全に保つ働きをしている星細胞と呼ばれる星型の脳細胞から発生します。星細胞はグリア細胞の一種です。グリア細胞は、グリオーマと呼ばれる腫瘍を形成することがあります。星細胞腫には以下のものがあります:

小児星細胞腫に関する詳しい情報については、PDQの小児星細胞腫の治療に関する要約をご覧ください。

乏突起膠腫

乏突起膠腫は、神経細胞を健全に保つ働きを持つ乏突起膠細胞という脳細胞から発生します。乏突起膠細胞はグリア細胞の一種です。乏突起膠細胞は、乏突起膠腫と呼ばれる腫瘍を形成することがあります。乏突起膠腫には以下のような悪性度のものがあります:

小児乏突起膠腫に関する詳しい情報については、PDQの小児星細胞腫の治療に関する要約をご覧ください。

混合グリオーマ

混合グリオーマは、乏突起膠細胞と星細胞という2種類の腫瘍細胞が混在する脳腫瘍です。この種の混合腫瘍は乏突起星細胞腫と呼ばれます。

小児混合グリオーマに関する詳しい情報については、PDQの小児星細胞腫の治療に関する要約をご覧ください。

上衣腫瘍

上衣腫瘍は通常、脳内と脊髄の周囲にある液体で満たされた空間の表面を覆う細胞から発生します。上衣腫瘍は上衣腫とも呼ばれます。上衣腫には以下のような悪性度のものがあります:

小児星細胞腫に関する詳しい情報については、PDQの小児上衣腫の治療に関する要約をご覧ください。

髄芽腫

髄芽腫胎児性腫瘍の一種です。髄芽腫は多くの場合、小児または若年成人に発生します。

小児の髄芽腫に関する詳しい情報については、PDQの小児髄芽腫およびその他の小児中枢神経系胚芽腫の治療に関する要約をご覧ください。

松果体実質腫瘍

松果体実質腫瘍とは、実質細胞または松果体細胞(松果体の大部分を占める細胞)から発生する腫瘍です。これらの腫瘍は松果体星細胞腫とは異なります。松果体実質腫瘍には以下のような悪性度のものがあります:

小児の松果体実質腫瘍に関する詳しい情報については、PDQの小児髄芽腫およびその他の小児中枢神経系胚芽腫の治療に関する要約をご覧ください。

髄膜腫瘍

髄膜腫瘍は、髄膜腫とも呼ばれ、髄膜(脳と脊髄を覆っている薄い組織の層)で発生します。様々な種類の脳細胞または脊髄細胞から発生する可能性があります。髄膜腫の大半は成人に発生します。髄膜腫瘍には以下のような種類があります:

血管外皮細胞腫は髄膜腫瘍ではありませんが、悪性度IIまたはIIIの髄膜腫として扱われます。血管外皮細胞腫は通常、硬膜で発生します。通常は手術で腫瘍を完全に切除することができないため、予後は悪性度Iの髄膜腫よりも不良です。

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍は、男性の精子または女性の卵子(卵)へと成熟する細胞である胚細胞から発生します。胚細胞腫瘍にはいくつかの種類があります。これらには、ジャーミノーマ奇形腫、胎児性卵黄嚢腫瘍絨毛がんなどがあります。胚細胞腫瘍は良性または悪性のいずれの場合もあります。

脳内での小児胚細胞腫瘍に関する詳しい情報については、PDQの小児中枢神経系胚細胞腫瘍の治療に関する要約をご覧ください。

頭蓋咽頭腫(悪性度I)

頭蓋咽頭腫は通常、脳の中心部で下垂体(脳の底部にあり、他のを制御するエンドウ豆大の器官)の真上に発生するまれな腫瘍です。頭蓋咽頭腫は様々な種類の脳細胞または脊髄細胞から発生する可能性があります。

小児頭蓋咽頭腫に関する詳しい情報については、PDQの小児頭蓋咽頭腫の治療に関する要約をご覧ください。

特定の遺伝性症候群をもつ場合、中枢神経系腫瘍のリスクが高まることがあります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。脳腫瘍のリスク因子はあまり判明していません。以下の状態は、特定の種類の脳腫瘍のリスクを高める可能性があります:

ほとんどの成人脳腫瘍と脊髄腫瘍の原因は不明です。

成人の脳腫瘍と脊髄腫瘍の徴候や症状は、全ての患者さんで同じとは限りません。

徴候や症状は、以下の因子に左右されます:

徴候や症状はCNS腫瘍により引き起こされることもあれば、脳に転移したがんなど、他の病態によって引き起こされることもあります。以下の問題がみられる場合は担当の医師にご相談ください:

成人脳腫瘍および脊髄腫瘍の診断には、脳と脊髄を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:

脳腫瘍の診断には生検も使用されます。

画像検査で脳腫瘍の存在が示されると、通常は生検が実施されます。以下のうち、いずれかの種類の生検が行われます:

病理医は生検サンプルを調べて脳腫瘍の種類と悪性度を判別します。腫瘍の悪性度は、腫瘍細胞を顕微鏡で観察したときの外観と、腫瘍の増殖や拡がりの速さに基づきます。

摘出した腫瘍組織に関して、以下の検査が行われます:

生検や手術が実施できない場合もあります。

腫瘍によっては、脳内または脊髄内での発生位置の関係で、生検や手術が安全に実施できない場合があります。こうした腫瘍の診断と治療は、画像検査やその他の方法の結果に基づいて行われます。

画像検査や他の方法により、高い確率で腫瘍が良性であることが明らかになれば、生検が行われないこともあります。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

原発性の脳腫瘍や脊髄腫瘍が存在する場合の予後と治療法は以下の要因によって異なります:

転移性の脳腫瘍や脊髄腫瘍が存在する場合の予後と治療法は以下の要因によって異なります:

成人中枢神経系腫瘍の病期

成人脳腫瘍および脊髄腫瘍には、標準的な病期分類システムはありません。

がん内の他の領域や脳以外の部位に拡がっているかどうかを調べるプロセスは、病期分類と呼ばれます。最初に脳内で発生した脳腫瘍が脳以外の部位に転移することはまれです。脳腫瘍脊髄腫瘍には、標準的な病期分類システムがありません。

原発性の脳腫瘍と脊髄腫瘍の治療法は、以下の点に基づいて決定されます:

体内の他の部位から脳へ転移してきた腫瘍に対する治療法は、脳内の腫瘍の数に応じて判断されます。

さらなる治療法の計画の参考とするために、手術後に画像検査が繰り返し実施されることがあります。

治療後に残存している腫瘍の量を判定する目的で、脳腫瘍または脊髄腫瘍の診断に用いられる検査や手技が再び実施されることがあります。

CNS腫瘍は再発することが多く、ときには治療後何年も経ってから再発する場合もあります。

再発中枢神経系(CNS)腫瘍とは、治療後に再発した(再び現れた)腫瘍のことです。腫瘍は最初の腫瘍と同じ位置で再発することもあれば、中枢神経系の他の部位で再発することもあります。

治療選択肢の概要

成人脳腫瘍および脊髄腫瘍の患者さんに対する治療には様々な種類があります。

成人脳腫瘍および脊髄腫瘍の患者さんは種々の治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験は、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の5種類が用いられています:

積極的サーベイランス

積極的サーベイランスでは、検査結果が変化して病態の悪化が明らかになるまで、治療を差し控えて患者さんの状態を綿密に監視します。積極的サーベイランスを行うことで、副作用や問題を引き起こしかねない放射線療法手術を回避または延期できる場合があります。積極的サーベイランスの実施中は、特定の試験や検査が定期的に行われます。積極的サーベイランスは、非常に進行が遅く症状を引き起こさない腫瘍に対して行われることがあります。

手術

手術は、成人の脳腫瘍と脊髄腫瘍を診断し治療するために用いられることがあります。腫瘍を切除することで、脳の周辺部位に対する腫瘍の圧迫を軽減することができます。本要約の一般的な情報のセクションをご覧ください。

手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。

脳の体外照射療法:図は、高エネルギー放射線照射装置の下に置かれた台に患者が横たわっているところを示している。拡大図は、施術中に患者の頭部が動かないように固定するメッシュマスクを示している。マスクには小さい印が記された複数の白いテープが付いている。この印は、毎回の施術前に放射線装置を同じ位置に合わせるためのものです。

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脳の体外照射療法。高エネルギー放射線を照射する装置を使用します。この装置は患者の周囲を回転し、様々な角度から放射線を照射することができます。メッシュマスクを使用して、施術中に患者の頭部が動かないように固定します。マスク上に小さい印が付けられています。この印は、毎回の施術前に放射線装置を同じ位置に合わせるためのものです。

特定の方法で体外照射療法を実施すると、周辺の健康な組織の損傷を防ぐことができます。こうした放射線療法には以下の種類があります:

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬物は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。例外的にいくつかの化学療法薬は、血液脳関門を越えて脳内の腫瘍細胞に到達することができます。脳脊髄液内に薬物を直接注入する化学療法は、髄腔内化学療法と呼ばれます。脳などの臓器内や体内に化学療法薬が注入されると、その領域に存在するがん細胞に薬物が集中的に作用します(局所化学療法)。

手術で脳腫瘍を切除した後に、溶解性のウェファ(オブラート)を用いて、脳腫瘍が存在していた部分に化学療法薬を直接送り込むという方法もあります。化学療法の実施方法は、腫瘍の種類と悪性度、および脳内での位置に応じて異なります。

詳しい情報については、脳腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。標的療法は、化学療法や放射線療法より、正常な細胞に及ぼす有害性を低く抑えられる可能性があります。

成人の脳腫瘍に対しては、チロシンキナーゼ阻害薬と新しいVEGF阻害薬を含む他の種類の標的療法が研究されています。

詳しい情報については、脳腫瘍に対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

支持療法とは、疾患や治療が原因で生じた問題を軽減するために行われる治療です。

この療法は、疾患や治療による問題または副作用をコントロールし、生活の質を改善する治療法のことです。脳腫瘍に対して実施される支持療法には、発作、脳内での体液の貯留、脳の腫れを管理する薬剤の使用があります。

新しい治療法が臨床試験で研究されています。

本要約では、臨床試験で研究中の新しい治療法について言及していますが、研究中の新しい治療法を全て紹介しているわけではありません。臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

陽子線治療

陽子線治療は、高エネルギー外照射療法の一種で、陽子(正の電荷を帯びた小さな粒子)の流れを利用して放射線照射を行う療法です。この放射線療法では、付近の正常組織への損傷を少量に抑えつつ、腫瘍細胞を殺傷することができます。頭部や頸部、脊椎のがん、および脳、眼、前立腺などの器官のがんを治療するために用いられます。陽子線照射はX線照射とは異なります。

免疫療法

免疫療法は、患者さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながん治療法は生物療法や生物学的療法とも呼ばれます。

免疫療法は、いくつかの種類の脳腫瘍に対する治療法として研究されています。治療法には以下のようなものがあります:

成人中枢神経系腫瘍の治療は副作用を引き起こすことがあります。

がんの治療によって引き起こされる副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

次の検査と手法を使用して、治療後に脳腫瘍が再発するかどうかを調べることができます:

成人原発性脳腫瘍の治療(腫瘍の種類別)

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

星細胞腫

脳幹グリオーマ

脳幹グリオーマの治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

松果体星細胞腫

松果体星細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

毛様細胞性星細胞腫

毛様細胞性星細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

びまん性星細胞腫

びまん性星細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

退形成性星細胞腫

退形成性星細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

膠芽腫

膠芽腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

乏突起膠腫

乏突起膠腫の治療法には以下のようなものがあります:

退形成性乏突起膠腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

混合グリオーマ

混合グリオーマの治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

上衣腫瘍

悪性度IとIIの上衣腫の治療法には以下のようなものがあります:

悪性度IIIの退形成性上衣腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

髄芽腫

髄芽腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

松果体実質腫瘍

松果体実質腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

髄膜腫瘍

悪性度Iの髄膜腫の治療法には以下のようなものがあります:

悪性度IIおよびIIIの髄膜腫と血管外皮細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

胚細胞腫瘍

胚細胞腫瘍(ジャーミノーマ、胎児性がん絨毛がん奇形腫)に対する標準治療はありません。治療法は、顕微鏡で観察したときの腫瘍細胞の外観や腫瘍マーカー、脳内の腫瘍の位置および手術による摘出が可能かどうかに基づいて決定されます。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

頭蓋咽頭腫

頭蓋咽頭腫の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

成人原発性脊髄腫瘍の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

脊髄腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:

再発成人中枢神経系腫瘍の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

再発中枢神経系(CNS)腫瘍に対する標準治療はありません。治療法は、患者さんの状態、治療により生じると予測される副作用、CNS内の腫瘍の位置、手術による腫瘍摘出が可能かどうかに基づいて決定されます。治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

成人転移性脳腫瘍の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

体の他の部位からに転移した1~4個の腫瘍が存在する場合は、以下のような治療が行われます:

軟膜に拡がった腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

成人中枢神経系腫瘍についてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している成人中枢神経系腫瘍に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:

米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、成人中枢神経系腫瘍の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Adult Central Nervous System Tumors Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/brain/patient/adult-brain-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389458]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。