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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

支持療法と緩和ケア研究に関する証拠レベル(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-06-17
    翻訳更新日 : 2015-08-24

PDQ支持療法および緩和ケア情報要約は、疼痛、不安、うつ病、疲労、および吐き気と嘔吐など、がんおよびその治療による一般的な身体的および心理社会的合併症の病態生理学および治療に関する記述を提供する。医療専門家向けの各PDQ要約には一般に、概要;病因、評価、および管理についての情報;および発表された文献に対する引用が含まれる。

がん患者とその家族および介護者への支持療法と緩和ケアには、生理学的、心理学的、および霊的要求の確認と緩和が含まれる。

  1. PDQ支持療法と緩和ケア要約で現在扱われている生理学的合併症は以下の通りである:
    • 心肺症候群。

    • 体温の変動。

    • 消化管の合併症。

    • 代謝障害。

    • リンパ浮腫。

    • 吐き気と嘔吐。

    • 口腔合併症。

    • 疼痛。

    • 皮膚科の問題。

    • 性機能障害。

    • 睡眠異常。

    • 栄養失調。

    • 脱水。

    • 疲労。

    • 悪液質。

    • 体重減少/体重増加。

  2. PDQ支持療法と緩和ケア要約で現在扱われている心理学的または行動的な合併症は以下の通りである:
    • 不安。

    • 認知障害。

    • うつ病。

    • 悲嘆の問題。

    • 適応障害。

    • 心的外傷後ストレス障害。

    • タバコ依存/禁煙。

    • 栄養/体重管理。

    • 物質乱用。

  3. PDQ支持療法と緩和ケア要約で現在扱われている霊的および宗教的関心事は以下の通りである:
    • 霊的経験。

    • 宗教的信念。

    • こうした問題を扱うためのアプローチ。

「PDQ支持療法と緩和ケア」要約で引用される参考文献は主にピア・レビューを受けた生物医学文献である。これらの既報文献の品質と信頼性には大きな差がある。臨床調査研究からの知見の強さを読者が査定する際の助けとなるように、証拠レベルの順位分類がしばしば利用される。これらの順位分類では一般に、研究デザインの強さと測定された臨床転帰の強さが考慮される。支持療法および緩和ケアにおける臨床研究は、一部の設定では実施可能であるが、終末期研究などのように、臨床状況により実施が困難な場合もある。さらに、医学の他の諸分野でもそうであるように、支持療法と緩和ケアの意思決定は、理想的とは言い難い既存の証拠に照らして下さなければならない。

一般に、証拠の質は以下に基づく:


  • 問題に対する研究の妥当性。

  • 研究のデザイン、運営、解析、解釈がどの程度うまく行われたか。

医学的介入と心理社会的介入の両方の結果を評価するための最も強い証拠は、デザインと運営が優れたランダム化臨床試験から得られる。その他の問題、特に症状の管理に関する問題を評価するための実用的で最も強い証拠は、デザインの優れた記述研究から得られる。対象となる母集団の性質や観察期間など、研究デザインの特定の要素が研究の質を評価する際の決定的要素となることがある。複数の研究をレビューすることで、証拠レベルや交絡を内包するデザインの問題が示されることがある。

新しい分野の初期の研究においては、患者および臨床医の要求についての情報が得られる報告およびデータの数は限られているが、それらの強さは様々である。この情報には以下の研究からの証拠が含まれる:


  • デザインの優れたプロスペクティブ研究(例、ランダム化試験、非ランダム化試験、コホート研究、およびケースシリーズ)。

  • 横断研究(例、様々なレベルの洗練された解析手法を用いた相関デザイン)。

  • レトロスペクティブ研究(例、ケースコントロール研究、ケースシリーズ、および症例報告)。

研究には介入研究や観察研究もあれば、医療提供者または患者の自己報告あるいは記録のレビューが含まれることもある。

場合によっては、利用可能な最良の証拠は、臨床経験/専門家の経験または専門家の統一見解ということもある。考えられる最良の証拠が利用可能となる前に、管理に関する意思決定を下す必要がある患者および臨床医にとっては、全ての情報源が患者と臨床家に意味をもつ可能性がある。

この複雑な状況を考慮して、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、この委員会で利用する証拠レベルを定義するための実践的アプローチを採った。委員会が使用するレベル/カテゴリーでは主に、調査されている問題に適切かどうかについて研究デザインの強さに焦点を当てている。これらのレベルは医療専門家には理解しやすく、試験結果の強さを考察するための出発点となるはずである。

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研究デザインのカテゴリー、定義、および証拠レベル

  1. プロスペクティブ・ランダム化比較試験およびプロスペクティブ・ランダム化比較試験のメタアナリシス。


    ランダム化二重盲検比較試験は研究デザインのゴールドスタンダードである。この格付けを得るためには、ランダム化および治療割り付けが行われる前と後の両方で、研究割り付けが研究者にマスクされていることが必要である。このデザインは、研究者による割り付けバイアス、および研究者と患者の両者による転帰の評価におけるバイアスを防ぐ。


    残念ながら、介入割り付けで二重盲検が不可能となる場合があるが、それは手技または副作用が研究の介入割り付け間でしばしば研究者および患者の両方に明らかなほど異なるためである。但し、場合によっては、たとえ介入時の盲検は不可能でも、ランダム化されるまで研究者と患者に対して盲検化することは可能であるはずである。加えて、ランダム化試験は関心のある問題に対して標本サイズが不十分な場合はやはり不均衡を生じやすく、標本の選択や測定方法、比較条件の適切性、追跡不能などデザインの他の要素のために最適とは言えないことがある。


    ランダム化研究のメタアナリシスは以前に実施された研究の量的統合を提供する。メタアナリシスからの証拠の強さは、含まれる個別の研究の質に基づく。さらに、メタアナリシスは個別の研究における小さな系統的誤差を拡大しうる。


    メタアナリシスの結果とそれらが基づいているランダム化試験は必ずしも一致せず、同じ問題に取り組む場合でも異なる研究者によって実施されるメタアナリシスは相反する結論に達することがあるため、ランダム化研究のメタアナリシスは、より高いレベルではなくランダム化研究と同じ証拠の強さのカテゴリーに配置される。

  2. プロスペクティブ非ランダム化比較試験;プロスペクティブコホート研究;プロスペクティブケースシリーズ;および横断研究。


    非ランダム化比較試験では、介入群への割り付けは以下に基づいて行われる:


    • 生年月日。

    • カルテ番号。

    • ベッドの利用可能性。

    • 受診予約の日付。

    • 患者からインフォームドコンセントを得る前に研究者に明らかとなる他の全ての戦略。


    そうした状況では介入割り付けにおいて不均衡が生じうるが、これは統計学的に配慮することもできる。


    プロスペクティブコホート研究は、特定の条件を共有するおよび/または特定の介入に曝露する、ある定義付けられたグループが経時的に追跡され、研究中の介入に曝露されない他の別のグループと比較される縦断研究である。コホートまたは別のコホートが由来する一般集団は比較群として用いることができる。代わりに、コホート内のサブグループを互いに比較することもできる。


    プロスペクティブケースシリーズは、連続したケースまたは非連続のケースを用いる対照をおかない研究である。このタイプの研究の証拠は対照をおいた研究よりも弱いが、このデザインは特定の設定では唯一の実際的な研究となることがある。連続したケースシリーズからの証拠は非連続のケースシリーズからの証拠よりも強いと考えられ、しっかりと定義された集団から引き出された集団ベースのシリーズは非集団ベースのシリーズよりも強い証拠となる。


    横断研究/相関研究は、1つかそれ以上の別のグループにおける変数間での関係を調査するために広く用いられている。研究課題によっては、これらが考えられる最も高いレベルのデザインとなる可能性があり、複数の変数間での関係を検討するのに最も適した研究となることすらありうる。多変量アプローチなどの解析戦略は、論議されている問題に合わせる必要がある。非常に洗練されたパス解析アプローチを用いて、因果関係を仮定し、横断的データと経時的データ収集の組み合わせを探索的に調べることができる。しかしながら質は以下によって著しく変わる:


    • 測定方法の選択。

    • 標本サイズの妥当性。

    • 標本の代表性。

    • 統計学的分析の質。

  3. レトロスペクティブ研究。


    レトロスペクティブ研究には以下がある:


    • ケースコントロール研究。

    • レトロスペクティブ症例研究。

    • 個別の症例報告。


    ケースコントロール研究では、別の2つのグループ-疾患または条件を有するグループ(症例)と疾患または条件を有さない類似したグループ(対照)-が比較される。症例は母集団内の全ての症例を代表しているべきであるが、母集団内の全ての症例を含む必要はない。対照は症例と同じ集団から抽出すべきである。


    レトロスペクティブ研究は、選択バイアスや、医療記録または研究参加者の記憶(想起バイアス)からの交絡変数に関する情報の不足など、多くのバイアスの影響を受けやすい。発生症例はバイアス減少に役立たせる上で有病症例よりも望ましい。


    レトロスペクティブ研究、特に症例報告から得られた証拠は、証拠の形態としては最も弱い。しかしながら、系統的定性研究は、本質的にしばしばレトロスペクティブでありながら、逸話的な症例報告により実質的に進歩する。

  4. 臨床経験、専門委員会の統一見解、または権威のレビューに基づく権威の意見。


    諸意見、統一見解、または権威のレビューによる結論または推奨事項を支持する証拠には大きな開きがあり、重大なバイアスに対して影響を受けやすい。このカテゴリーの証拠は通常、多くの証拠レベルの順位分類の中で最も低いと考えられる。

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本要約の変更点(06/17/2015)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本章では、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約には編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本要約についての質問とコメント

本要約に関する質問またはコメントは、ウェブサイトのE-mail UsからCancer.gov まで送信のこと。英語で書かれたe-メールにのみ返答する。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、PDQ編集委員会が特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠を査定するために用いる公式順位分類について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、ウェブサイトのContact FormからCancer.gov まで送信のこと。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial は、証拠レベルの指定を展開する際に証拠の公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: [本要約からの抜粋を含める].”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

National Cancer Institute: PDQ® Levels of Evidence for Supportive and Palliative Care Studies.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Date last modified <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/publications/pdq/levels-evidence/supportive-care.Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのCoping with Cancer: Financial, Insurance, and Legal Informationページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのContact FormからもCancer.govに送信可能である。

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