ページの先頭へ

最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

胸腺腫および胸腺がんの治療(成人)(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2019-10-11
    翻訳更新日 : 2019-12-25


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、成人胸腺腫および胸腺がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

胸腺腫および胸腺がんの治療に関する一般情報

胸腺腫および胸腺がん(合わせて胸腺上皮性腫瘍[TET]と呼ばれる)は、胸腺に生じる比較的まれな腫瘍である。低頻度ではあるが、TETは成人において最も一般的な前縦隔の腫瘍である。TET、特に胸腺腫は、特有な生物学的特徴を有しており、自己免疫性腫瘍随伴症と関係している。成人におけるすべての固形腫瘍のうち、TETは腫瘍変異量が最も少ない。すべてのTETは悪性の可能性があり、転移の能力を有する。TETの臨床的挙動は、比較的緩慢なものから侵攻的なものまでさまざまであり、幅広い臨床転帰をもたらす。

手術が主な治療法であり、特に早期の疾患に使用される。局所進行性疾患の治療には化学療法および放射線療法を含む集学的治療が使用され、転移性TETには全身療法のみが適応となる。 [1]

発生率および死亡率

TETは比較的まれな腫瘍であり、すべての悪性腫瘍の約0.2~1.5%を占める。 [2] 胸腺腫の全発生率は、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)のSEER(Surveillance, Epidemiology and End Results)プログラムのデータによると、100,000人年当たり0.13例である。 [3] 胸腺がんは全TETの約20%を占める。 [4] 手術不能で局所進行性がんの5年生存率は36%である;転移性胸腺腫および胸腺がんの5年生存率は24%である。 [5]

胸腺腫および胸腺がんに伴う自己免疫性腫瘍随伴症

自己免疫性腫瘍随伴症は胸腺腫に合併してみられ、胸腺がんに合併することはまれである。 [6] [7] [8] [9]

胸腺腫患者における自己免疫性腫瘍随伴症の発生は、自己反応性T細胞の不完全なネガティブ選択に関係している。このプロセスには、自己免疫調節遺伝子であるAIREの発現量減少が関与している。 [10] 胸腺腫に伴う自己免疫性腫瘍随伴症は、循環T細胞サブセットにおける変化と関係している。 [11] [12] 主なT細胞の異常は、腫瘍内胸腺リンパ球形成末期のナイーブCD4+T細胞でのCD45RA+表現型の獲得と、それに続くこれらの活性化CD4+T細胞の体循環内への流出と関連しているとみられる。 [13]

胸腺腫に伴う自己免疫性腫瘍随伴症では、T細胞の欠陥に加えて、B細胞リンパ球減少および抗サイトカイン抗体の存在が観察されており、日和見感染の発症リスク増加を来す。 [6] [14] [15]

胸腺腫に伴う自己免疫性腫瘍随伴症で最も一般的なものは、重症筋無力症、低ガンマグロブリン血症、および自己免疫性赤芽球癆である。


  • 胸腺腫に伴う自己免疫性腫瘍随伴症では重症筋無力症が最も多くみられる。報告によると、胸腺腫の患者の約30~65%は、重症筋無力症と診断されている。 [7] [16] [17] 胸腺腫に伴う重症筋無力症の患者は、さまざまな神経筋抗原、特にアセチルコリン受容体および横紋筋抗原であるタイチンに対する自己抗体を産生しうる。 [18] [19]

  • 胸腺腫に伴う低ガンマグロブリン血症(Good症候群)は5~20%の頻度であり、胸腺腫に伴う自己免疫性赤芽球癆は約4%の頻度である。 [7] [14]

他にもさまざまな自己免疫性腫瘍随伴症がTETに合併することがあり、実質的にあらゆる臓器系が含まれる。 [7] [9]

重症筋無力症または他の自己免疫性腫瘍随伴症を有する胸腺腫患者は、典型的に早期疾患と診断され、重症筋無力症または他の自己免疫性腫瘍随伴症を有しない患者よりも外科的完全切除を受ける可能性が高い。 [9] [20] 胸腺摘出術によっても、すべての症例で胸腺腫に伴う自己免疫性腫瘍随伴症の経過が著しく改善するわけではない。 [21] [22] 自己免疫性腫瘍随伴症が存在してもTET患者における独立した予後因子ではないとみられる。 [9]

臨床所見

診断時に、胸腺腫または胸腺がんの患者の大多数は無症候性である。 [23] 約3分の1の患者には、基礎にある腫瘍または胸腺腫に伴う自己免疫性腫瘍随伴症の存在のいずれかにより発生する症状がみられる。典型的な臨床的徴候および症状には、咳嗽、呼吸困難、胸痛、嗄声、横隔神経麻痺、または上大静脈症候群を示す徴候がある。 [24]

診断的評価および病期評価

TETは、縦隔腫瘤を来すことがある以下のような多くの非胸腺新生物と鑑別される: [25] [26]


  • 胚細胞腫瘍。

  • リンパ腫。

  • 間質性腫瘍。

  • 転移性腫瘍。

  • 肺がん。

縦隔腫瘤を来すことがある非腫瘍性の胸腺疾患には、胸腺過形成および胸腺嚢胞がある。

胸腺腫および胸腺がんの診断および病期判定には、以下の検査および処置が使用されることがある:


  • 身体診察および既往歴。


  • 胸部X線。

    胸腺腫の約50%は、胸腺被膜内に限局し、周辺組織に浸潤していない状況で診断される。 [23]

  • コンピュータ断層撮影(CT)スキャン。

    胸腺腫の診断および病期判定では、経静脈的造影によるCTが有用である。CTでは通常、腫瘍径、病変部位のほか、血管、心膜、および肺への浸潤が正確に予測される。 [27] [28]

    腫瘍のCT画像から、組織学的腫瘍型が示されることがある。 [25] TETに対する胸腺摘出術を受けた患者53人を含むレトロスペクティブ研究において、CTにより丸い形で平滑な輪郭である場合にA型胸腺腫が最もよく示唆され、不規則な輪郭である場合に胸腺がんが最もよく示唆されることが示された。石灰化により、B型胸腺腫が示唆された。しかしながら、この研究で、CTはAB、B1、B2、およびB3型胸腺腫を鑑別する価値に限界があることが明らかになった。 [29]


  • ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャン。

    小規模シリーズで胸腺がんの診断および治療転帰の評価に対するフッ素 18-フルデオキシグルコース(18F-FDG)PETおよびタリウム単一光子放射型CTが報告されている。 [30] [31] [32] [33] 2件の小規模シリーズにおいて、18F-FDGの取り込みは胸腺がんの浸潤性と関連していることが報告された。 [32] [33] これから、18F-FDG PETを診断、治療計画、および再発モニタリングに使用する可能性が提起される。臨床的治療決定に対する感度および特異度の影響はまだ確定していない。

  • 磁気共鳴画像法(MRI)。

    MRIは、他の悪性腫瘍および良性の縦隔病変とTETを鑑別する際に使用可能である。ケミカルシフトMRIは、胸腺過形成および正常胸腺とTETを鑑別する際に役立つ可能性がある。心臓MRIは、心筋浸潤の存在を評価するのに望ましい検査法である。MRIは、横隔神経浸潤の同定に役立つ可能性があり、胸壁浸潤の評価ではCTより優れていると考えられる。 [34]

胸腺がんは、所属リンパ節、骨、肝臓、または肺に転移することがある。転移部位の評価が妥当である。

予後因子および予後

胸腺腫瘍に関する世界保健機関(WHO)の病理学的分類と病期は予後と相関する。 [25] 浸潤の程度または腫瘍の病期は、全生存(OS)のより重要な指標であると一般的に考えられる。 [27] [35] [36]

胸腺腫

胸腺腫の組織型分類は、緩慢性の胸腺腫を侵攻的な臨床的挙動を示す胸腺腫と生物学的に鑑別するのに不十分である。一部の胸腺腫の組織型は臨床的に侵攻性である可能性が高いが、治療転帰および再発の可能性は、腫瘍細胞の浸潤性/転移性の特性とより密接に相関しているようである。 [25] [35] そのため、組織学的基準では比較的良性に思われる一部の胸腺腫が非常に侵攻性のふるまいを見せることがある。胸腺腫の臨床的挙動を予測するために、腫瘍浸潤性(病期分類基準を使用)および腫瘍の組織学的所見の独立した評価を両方組み合わせてもよい。

胸腺腫の組織学的分類および病期のいずれも、独立した予後的意義を有する。 [35] [36] 2、3のシリーズがWHO分類の予後的意味を報告している。2件の大規模なレトロスペクティブ解析で、1件は胸腺腫100症例およびもう1件は胸腺腫178症例において、10年無病生存率が異なることが示された(表1参照)。 [37] [38] これらのシリーズで、病期および完全切除が重要な独立予後因子であった。他の解析で、44年間にわたり治療を受けた胸腺腫患者273人に関する報告がなされた。20年生存率については、表1を参照。 [35]

表1.胸腺腫患者の組織学的サブタイプ別の無病生存(DFS)率

研究
A AB B1 B2 B3 C
a 10年DFS率。
b 20年DFS率。
[37] (N = 100)a 100% 100% 83% 83% 36% 28%
[38] (N = 178)a 95% 90% 85% 71% 40%  
[35] (N = 273)b 100% 87% 91% 59% 36%  


胸腺がん

胸腺がんは、診断時点で通常進行している。 [39] [40] 胸腺がんは、胸腺腫よりも被膜浸潤、転移、および再発を起こしやすい。胸腺がん患者では、胸腺腫と比較して生存率が悪い(5年生存率、30~50%)。 [41] 胸腺がん患者40人を扱ったレトロスペクティブ研究において、OS率は5年で38%、10年で28%であった。 [39] 別のレトロスペクティブ研究では、胸腺がん症例43人を評価し、予後が腕頭動脈への腫瘍浸潤のみに依存することを明らかにした。 [40]

胸腺腫治療後のフォローアップ

胸腺腫は二次悪性腫瘍リスクの増大と関連している。このリスクのため、および胸腺腫は長期間経過後に再発する可能性があるため、生涯にわたるサーベイランスを考慮すべきである。 [22] 胸腺腫が再発した患者の同定には、インターフェロンアルファおよびインターロイキン-2抗体の測定が有用である。 [42]

1973年~1998年にわたる849症例の研究において、胸腺腫後の二次性非ホジキンリンパ腫および軟部肉腫の過剰リスクが認められた。 [43] 二次性悪性腫瘍のリスクは、胸腺摘出術、放射線療法、または重症筋無力症の臨床歴と無関係のようである。 [22] [43] [44]

関連する要約

胸腺腫に関するその他の情報については、以下のPDQ要約を参照:



参考文献
  1. Kelly RJ, Petrini I, Rajan A, et al.: Thymic malignancies: from clinical management to targeted therapies. J Clin Oncol 29 (36): 4820-7, 2011.[PUBMED Abstract]

  2. Fornasiero A, Daniele O, Ghiotto C, et al.: Chemotherapy of invasive thymoma. J Clin Oncol 8 (8): 1419-23, 1990.[PUBMED Abstract]

  3. Engels EA: Epidemiology of thymoma and associated malignancies. J Thorac Oncol 5 (10 Suppl 4): S260-5, 2010.[PUBMED Abstract]

  4. Carter BW, Benveniste MF, Madan R, et al.: IASLC/ITMIG Staging System and Lymph Node Map for Thymic Epithelial Neoplasms. Radiographics 37 (3): 758-776, 2017 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  5. Kondo K, Monden Y: Therapy for thymic epithelial tumors: a clinical study of 1,320 patients from Japan. Ann Thorac Surg 76 (3): 878-84; discussion 884-5, 2003.[PUBMED Abstract]

  6. Levy Y, Afek A, Sherer Y, et al.: Malignant thymoma associated with autoimmune diseases: a retrospective study and review of the literature. Semin Arthritis Rheum 28 (2): 73-9, 1998.[PUBMED Abstract]

  7. Marx A, Willcox N, Leite MI, et al.: Thymoma and paraneoplastic myasthenia gravis. Autoimmunity 43 (5-6): 413-27, 2010.[PUBMED Abstract]

  8. Bernard C, Frih H, Pasquet F, et al.: Thymoma associated with autoimmune diseases: 85 cases and literature review. Autoimmun Rev 15 (1): 82-92, 2016.[PUBMED Abstract]

  9. Padda SK, Yao X, Antonicelli A, et al.: Paraneoplastic Syndromes and Thymic Malignancies: An Examination of the International Thymic Malignancy Interest Group Retrospective Database. J Thorac Oncol 13 (3): 436-446, 2018.[PUBMED Abstract]

  10. Kisand K, Lilic D, Casanova JL, et al.: Mucocutaneous candidiasis and autoimmunity against cytokines in APECED and thymoma patients: clinical and pathogenetic implications. Eur J Immunol 41 (6): 1517-27, 2011.[PUBMED Abstract]

  11. Hoffacker V, Schultz A, Tiesinga JJ, et al.: Thymomas alter the T-cell subset composition in the blood: a potential mechanism for thymoma-associated autoimmune disease. Blood 96 (12): 3872-9, 2000.[PUBMED Abstract]

  12. Buckley C, Douek D, Newsom-Davis J, et al.: Mature, long-lived CD4+ and CD8+ T cells are generated by the thymoma in myasthenia gravis. Ann Neurol 50 (1): 64-72, 2001.[PUBMED Abstract]

  13. Ströbel P, Helmreich M, Menioudakis G, et al.: Paraneoplastic myasthenia gravis correlates with generation of mature naive CD4(+) T cells in thymomas. Blood 100 (1): 159-66, 2002.[PUBMED Abstract]

  14. Martinez B, Browne SK: Good syndrome, bad problem. Front Oncol 4: 307, 2014.[PUBMED Abstract]

  15. Burbelo PD, Browne SK, Sampaio EP, et al.: Anti-cytokine autoantibodies are associated with opportunistic infection in patients with thymic neoplasia. Blood 116 (23): 4848-58, 2010.[PUBMED Abstract]

  16. Morgenthaler TI, Brown LR, Colby TV, et al.: Thymoma. Mayo Clin Proc 68 (11): 1110-23, 1993.[PUBMED Abstract]

  17. Souadjian JV, Enriquez P, Silverstein MN, et al.: The spectrum of diseases associated with thymoma. Coincidence or syndrome? Arch Intern Med 134 (2): 374-9, 1974.[PUBMED Abstract]

  18. Voltz RD, Albrich WC, Nägele A, et al.: Paraneoplastic myasthenia gravis: detection of anti-MGT30 (titin) antibodies predicts thymic epithelial tumor. Neurology 49 (5): 1454-7, 1997.[PUBMED Abstract]

  19. Gautel M, Lakey A, Barlow DP, et al.: Titin antibodies in myasthenia gravis: identification of a major immunogenic region of titin. Neurology 43 (8): 1581-5, 1993.[PUBMED Abstract]

  20. Kondo K, Monden Y: Thymoma and myasthenia gravis: a clinical study of 1,089 patients from Japan. Ann Thorac Surg 79 (1): 219-24, 2005.[PUBMED Abstract]

  21. Budde JM, Morris CD, Gal AA, et al.: Predictors of outcome in thymectomy for myasthenia gravis. Ann Thorac Surg 72 (1): 197-202, 2001.[PUBMED Abstract]

  22. Evoli A, Minisci C, Di Schino C, et al.: Thymoma in patients with MG: characteristics and long-term outcome. Neurology 59 (12): 1844-50, 2002.[PUBMED Abstract]

  23. Schmidt-Wolf IG, Rockstroh JK, Schüller H, et al.: Malignant thymoma: current status of classification and multimodality treatment. Ann Hematol 82 (2): 69-76, 2003.[PUBMED Abstract]

  24. Rajan A, Giaccone G: Treatment of advanced thymoma and thymic carcinoma. Curr Treat Options Oncol 9 (4-6): 277-87, 2008.[PUBMED Abstract]

  25. Rosai J: Histological Typing of Tumours of the Thymus. New York, NY: Springer-Verlag, 2nd ed., 1999.[PUBMED Abstract]

  26. Strollo DC, Rosado-de-Christenson ML: Tumors of the thymus. J Thorac Imaging 14 (3): 152-71, 1999.[PUBMED Abstract]

  27. Sperling B, Marschall J, Kennedy R, et al.: Thymoma: a review of the clinical and pathological findings in 65 cases. Can J Surg 46 (1): 37-42, 2003.[PUBMED Abstract]

  28. Rendina EA, Venuta F, Ceroni L, et al.: Computed tomographic staging of anterior mediastinal neoplasms. Thorax 43 (6): 441-5, 1988.[PUBMED Abstract]

  29. Tomiyama N, Johkoh T, Mihara N, et al.: Using the World Health Organization Classification of thymic epithelial neoplasms to describe CT findings. AJR Am J Roentgenol 179 (4): 881-6, 2002.[PUBMED Abstract]

  30. Sasaki M, Kuwabara Y, Ichiya Y, et al.: Differential diagnosis of thymic tumors using a combination of 11C-methionine PET and FDG PET. J Nucl Med 40 (10): 1595-601, 1999.[PUBMED Abstract]

  31. Kageyama M, Seto H, Shimizu M, et al.: Thallium-201 single photon emission computed tomography in the evaluation of thymic carcinoma. Radiat Med 12 (5): 237-9, 1994 Sep-Oct.[PUBMED Abstract]

  32. Adams S, Baum RP, Hertel A, et al.: Metabolic (PET) and receptor (SPET) imaging of well- and less well-differentiated tumours: comparison with the expression of the Ki-67 antigen. Nucl Med Commun 19 (7): 641-7, 1998.[PUBMED Abstract]

  33. Kubota K, Yamada S, Kondo T, et al.: PET imaging of primary mediastinal tumours. Br J Cancer 73 (7): 882-6, 1996.[PUBMED Abstract]

  34. Carter BW, Lichtenberger JP, Benveniste MF: MR Imaging of Thymic Epithelial Neoplasms. Top Magn Reson Imaging 27 (2): 65-71, 2018.[PUBMED Abstract]

  35. Okumura M, Ohta M, Tateyama H, et al.: The World Health Organization histologic classification system reflects the oncologic behavior of thymoma: a clinical study of 273 patients. Cancer 94 (3): 624-32, 2002.[PUBMED Abstract]

  36. Chen G, Marx A, Wen-Hu C, et al.: New WHO histologic classification predicts prognosis of thymic epithelial tumors: a clinicopathologic study of 200 thymoma cases from China. Cancer 95 (2): 420-9, 2002.[PUBMED Abstract]

  37. Kondo K, Yoshizawa K, Tsuyuguchi M, et al.: WHO histologic classification is a prognostic indicator in thymoma. Ann Thorac Surg 77 (4): 1183-8, 2004.[PUBMED Abstract]

  38. Rena O, Papalia E, Maggi G, et al.: World Health Organization histologic classification: an independent prognostic factor in resected thymomas. Lung Cancer 50 (1): 59-66, 2005.[PUBMED Abstract]

  39. Ogawa K, Toita T, Uno T, et al.: Treatment and prognosis of thymic carcinoma: a retrospective analysis of 40 cases. Cancer 94 (12): 3115-9, 2002.[PUBMED Abstract]

  40. Blumberg D, Burt ME, Bains MS, et al.: Thymic carcinoma: current staging does not predict prognosis. J Thorac Cardiovasc Surg 115 (2): 303-8; discussion 308-9, 1998.[PUBMED Abstract]

  41. Eng TY, Fuller CD, Jagirdar J, et al.: Thymic carcinoma: state of the art review. Int J Radiat Oncol Biol Phys 59 (3): 654-64, 2004.[PUBMED Abstract]

  42. Buckley C, Newsom-Davis J, Willcox N, et al.: Do titin and cytokine antibodies in MG patients predict thymoma or thymoma recurrence? Neurology 57 (9): 1579-82, 2001.[PUBMED Abstract]

  43. Engels EA, Pfeiffer RM: Malignant thymoma in the United States: demographic patterns in incidence and associations with subsequent malignancies. Int J Cancer 105 (4): 546-51, 2003.[PUBMED Abstract]

  44. Pan CC, Chen PC, Wang LS, et al.: Thymoma is associated with an increased risk of second malignancy. Cancer 92 (9): 2406-11, 2001.[PUBMED Abstract]

 | 

胸腺腫および胸腺がんの細胞分類および分子的特徴

胸腺上皮性腫瘍(TET)の組織学的分類は進展しており、主に2004年に公表された肺、胸膜、胸腺、および心臓の腫瘍に関する世界保健機関(WHO)分類の第三版に基づいている。このWHO分類の第四版は2015年に公開されたもので、洗練された組織学的および免疫組織化学的診断基準が含まれており、TETの細胞分類として最も広く受け入れられる。 [1] [2] 胸腺腫は胸腺の上皮から発生し、上皮細胞からなるが、未熟なT細胞がさまざまな割合で混在している。胸腺がんは上皮性腫瘍で、顕性の細胞学的異型を伴うが、器官型(すなわち、胸腺様)の特徴はみられない。

胸腺腫

胸腺腫を構成する上皮部分は、顕性の異型を示さないか、示すとしても軽微であり、正常胸腺に特異的な組織学的特徴を保持している。 [1] 未熟な非腫瘍性のリンパ球が、胸腺腫の組織型に応じてさまざまな数で存在する。

表2表3表4表5、および表6では、胸腺腫のさまざまなサブタイプにおける形態学的、分子的、および臨床的特徴を記載している。

表2.A型胸腺腫の特徴

OS = 全生存。
引用した研究におけるすべての胸腺腫のうち組織学的サブタイプの割合。 [3] [4] 約4~7%。
重症筋無力症関連。 [3] 約17%。
形態学的特徴。 [2] 穏やかな紡錘型上皮細胞(少なくとも局所的に)からなり、腫瘍全体を通して未熟な(TdT+)T細胞が少ないか、認められない。
分子的特徴。 [5] [6] 染色体異常は、存在する場合、侵攻性の臨床経過と関連する可能性があり、以下の異常がみられることがある:染色体6q25欠失、染色体6p23欠失(FOXC1)、C19MC過剰発現、GTF2I変異、HRAS(G13V)変異、およびmiR-515アップレギュレーション。
予後および生存率。 [3] [4] 優れており、15年以上のOS率が100%。


表3.AB型胸腺腫の特徴

OS = 全生存。
引用した研究におけるすべての胸腺腫のうち組織学的サブタイプの割合。 [3] [4] 約28~34%。
重症筋無力症関連。 [3] 約16%。
形態学的特徴。 [2] 穏やかな紡錘型上皮細胞(少なくとも局所的に)からなり、局所的または腫瘍全体を通して未熟な(TdT+)T細胞が豊富である。
分子的特徴。 [5] [6] 染色体6q25欠失、染色体6p23欠失(FOXC1)、染色体7p15欠失、C19MC過剰発現、およびGTF2I変異を含む。
予後および生存率。 [3] [4] 良好であり、15年以上のOS率が約90%。


表4.B1型胸腺腫の特徴

OS = 全生存。
引用した研究におけるすべての胸腺腫のうち組織学的サブタイプの割合。 [3] [4] 約9~20%。
重症筋無力症関連。 [3] 約57%。
形態学的特徴。 [2] 腫瘍は胸腺様構造を示し、豊富な未熟T細胞や髄質分化領域(髄質島)がみられ、多角形または樹状の上皮細胞が少なくクラスターを形成していない(すなわち、隣接上皮細胞が3未満)などの細胞学的所見を示す。
分子的特徴。 [5] 染色体1p、2q、3q、6q欠失を含む。
予後および生存率。 [3] [4] 良好であり、20年以上のOS率が約90%。


表5.B2型胸腺腫の特徴

OS = 全生存。
引用した研究におけるすべての胸腺腫のうち組織学的サブタイプの割合。 [3] [4] 約20~36%。
重症筋無力症関連。 [3] 約71%。
形態学的特徴。 [2] 腫瘍は、単独またはクラスターを形成した多角形または樹状の大量の上皮細胞からなり、豊富な未熟T細胞が混在する。
分子的特徴。 [5] 染色体6q25欠失、染色体6p23欠失(FOXC1)、染色体1q増幅、およびKRAS(G12A)変異を含む。
予後および生存率。 [3] A型、AB型、およびB1型胸腺腫より不良で、20年OS率(腫瘍死からの解放によって定義される)は約60%。


表6.B3型胸腺腫の特徴

OS = 全生存。
引用した研究におけるすべての胸腺腫のうち組織学的サブタイプの割合。 [3] [4] 約10~14%。
重症筋無力症関連。 [3] 約46%。
形態学的特徴。 [2] 主に、多角形のシート状で、わずかないし中程度の異型を示す上皮細胞からなり、細胞間橋はみられないか、まれで、TdT+ T細胞の混在は少ないか、まったくみられない。
分子的特徴。 [5] 染色体6q25欠失、染色体6p23欠失(FOXC1)、染色体11q4欠失、染色体1q増幅、染色体転座t(11;X)、BCL2コピー数増幅(18q21.33)、MCL1コピー数増幅、CDKN2A/Bコピー数欠失(9p21.3)、ならびにBCORおよびPHF15変異を含む。
予後および生存率。 [3] 20年OS率(腫瘍死からの解放によって定義される)は約40%。


胸腺がん

胸腺がんは、明確な細胞学的異型性を示し、もはや胸腺に特異的ではなく、むしろ他の臓器のがんで観察される組織学的特徴に類似した一連の組織学的特徴を呈するTETである。AおよびB型胸腺腫とは異なり、胸腺がんには未熟リンパ球が欠如している。存在するリンパ球はすべて成熟しており、通常は形質細胞と混在している。 [1]

胸腺がんの各サブタイプの特徴を表7に記載している。

表7.胸腺がんの各サブタイプの特徴a

サブタイプ 特徴
CEA = がん胎児性抗原;CK = サイトケラチン;EMA = 上皮膜抗原;PAS = 過ヨウ素酸シッフ;PLAP = 胎盤性アルカリフォスファターゼ。
a出典: [7] [8] 。
扁平上皮がん(SCC) 最も一般的な胸腺がんのサブタイプであるSCCは、明確な細胞学的異型性を示し、他の臓器に発生するSCCに似ている。すべての症例で角質化の明確な証拠が得られるわけではない。SCCでは未熟Tリンパ球がみられない。ほとんどの胸腺SCCで、CD5、CD70、CD117、FoxN1、およびCD205が発現している。
類基底細胞がん 周辺柵状化を示し、高い核-細胞質比により全体的に好塩基性染色パターンを呈する腫瘍細胞の密集した小葉で構成されている。類基底細胞がんは、多房性胸腺嚢胞から発生する傾向があり、ケラチンおよびEMAを発現し、CD5を発現することがあるが、S-100および神経内分泌マーカーは発現しない。
リンパ上皮腫様がん リンパ形質細胞浸潤を伴う未分化がん細胞の合胞体増殖は、気道の未分化がんに似ている。リンパ上皮腫様がんでは、エプスタイン-バーウイルス陽性の場合も陰性の場合もある。腫瘍細胞は、AE1で規定される酸性CKが強陽性で、AE3で規定される塩基性CKが陰性であり、CK7およびCK20も陰性である。BCL-2発現が一般的である。CD5は局所的に発現しているか、欠失している。リンパ系細胞は、CD3+、CD5+、CD1a-、CD99-、およびTdT-成熟T細胞である。間質にCD20+ B細胞が少量存在する。
肉腫様胸腺がん 本腫瘍の一部または全部は、軟部肉腫の1つの型に類似している。肉腫様がんには、紡錘細胞がん(すなわち、A型胸腺腫の悪性転換)、既存の胸腺がんの肉腫様転換、および異所性成分を伴う真のがん肉腫がある。
淡明細胞胸腺がん 光学的に明るい細胞質を有する細胞から優勢的または排他的に構成される。腫瘍細胞は通常、細胞質内ジアスターゼ不安定性PAS陽性を強く示す。淡明細胞がんは、ケラチン陽性である。EMAは、症例の20%に発現している。CD5発現は、一部症例にみられる。PLAP、ビメンチン、CEA、およびS-100は、陰性である。
粘液性類表皮胸腺がん 扁平上皮細胞、粘液産生細胞、および中間型の細胞からなり、他の臓器の粘表皮がんに似ている。MAML2遺伝子の転座が存在し、この腫瘍を腺扁平上皮がんおよび腺がんと鑑別するのに有用なことがある。
胸腺乳頭状腺がん 乳頭状に増殖する。組織学的には、粒小体形成を伴うことがあり、甲状腺の乳頭がんと酷似する場合がある。Leu M1およびBerEP4の不定発現が観察される。CEAおよびCD5も陽性となる場合がある。CD20、サイログロブリン、肺サーファクタント・アポ蛋白、およびカルレチニンは認められない。
未分化胸腺がん 充実性で未分化に増殖するが、肉腫様(紡錘細胞または多形細胞性)の特徴を示さないまれな型の胸腺がんである。
t(15;19)の転座を有するがん(NUTがん) 組織発生が不明なまれで侵攻性のがん。未分化で中間サイズの活発に有糸分裂している細胞の存在が特徴的である。汎サイトケラチンマーカーが発現している。ビメンチン、EMA、およびCEAの局所的陽性が観察される。CD30、CD45、PLAP、HMB45、S100、および神経内分泌マーカーは陰性である。t(15;19)の転座が観察され、BRD4–NUT融合がん遺伝子の産生を伴っている。NUTの免疫組織化学検査は感度が高く、あらゆる未分化がん、特に局所的な扁平上皮への分化がみられる場合に考慮すべきである。


胸腺腫および胸腺がんの分子的特徴

TETは、すべての成人がんのうち変異量が最も少ない。マルチプラットフォーム解析で、生存およびWHO組織学的サブタイプと関連する4つの分子的サブタイプが明らかになっている。HRASNRASTP53、およびGTF2Iの変異が観察されている。標的可能な変異はまれである。腫瘍における筋肉自己抗原の過剰発現および異数性の増加も同定されており、胸腺腫と重症筋無力症間の分子的関連が得られる。 [6]


参考文献
  1. Travis WD, Brambilla E, Burke E, et al.: WHO Classification of Tumours of the Lung, Pleura, Thymus and Heart. 4th ed., Lyon, France: International Agency for Research on Cancer, 2015.[PUBMED Abstract]

  2. Marx A, Chan JK, Coindre JM, et al.: The 2015 World Health Organization Classification of Tumors of the Thymus: Continuity and Changes. J Thorac Oncol 10 (10): 1383-95, 2015.[PUBMED Abstract]

  3. Hirabayashi H, Fujii Y, Sakaguchi M, et al.: p16INK4, pRB, p53 and cyclin D1 expression and hypermethylation of CDKN2 gene in thymoma and thymic carcinoma. Int J Cancer 73 (5): 639-44, 1997.[PUBMED Abstract]

  4. Sasaki H, Kobayashi Y, Tanahashi M, et al.: Ets-1 gene expression in patients with thymoma. Jpn J Thorac Cardiovasc Surg 50 (12): 503-7, 2002.[PUBMED Abstract]

  5. Rajan A, Girard N, Marx A: State of the art of genetic alterations in thymic epithelial tumors. J Thorac Oncol 9 (9 Suppl 2): S131-6, 2014.[PUBMED Abstract]

  6. Radovich M, Pickering CR, Felau I, et al.: The Integrated Genomic Landscape of Thymic Epithelial Tumors. Cancer Cell 33 (2): 244-258.e10, 2018.[PUBMED Abstract]

  7. Travis W, Brambilla E, Müller-Hermelink H, et al., eds.: Pathology and Genetics of Tumours of the Lung, Pleura, and Thymus. Lyon, France: IARC Press, 2004. World Health Organization Classification of Tumours.[PUBMED Abstract]

  8. Marx A, Chan J, Coindre J-M, et al.: The 2015 WHO classification of tumors of the thymus: continuity and changes. J Thorac Oncol 10 (10): 1383–95, 2015.[PUBMED Abstract]

 | 

胸腺腫および胸腺がんの病期情報

胸腺腫の浸潤性評価には、組織型と別に隣接への浸潤の存在および程度、腫瘍播種の存在、ならびにリンパ節または遠隔転移を示す病期分類基準の使用が含まれる。1981年に正岡によって提案され、1994年に古賀によって修正された病期分類システムは、最も一般的に使用され、International Thymic Malignancies Interest Group(ITMIG)によると、使用する際には修正されたシステムが推奨されている(表8を参照)。 [1] [2] 胸腺上皮性腫瘍(TET)の病期分類における一貫性を確立するため、米国がん合同委員会(AJCC)およびUnion for International Cancer Control(UICC)は、International Association for the Study of Lung Cancer(IASLC)およびITMIGにより開発された新たなTNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類を採用している。 [3] [4] [5]

表8.胸腺腫に対する正岡-古賀病期分類システム(1994年)a

病期 記述
a [2]
I 肉眼的には、完全に被包性;顕微鏡的には、被膜への浸潤を認めない。
II 周囲の脂肪組織または縦隔胸膜への肉眼的浸潤;被膜への顕微鏡的浸潤。
III 隣接臓器への肉眼的浸潤(心膜、肺、および大血管)。
IVa 胸膜播種または心膜播種。
IVb リンパ行性または血行性転移。


AJCC病期分類とTNMの定義

表9.TNM分類におけるI期の定義a

病期 T 記述
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
a出典:AJCC: Thymus.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.423–9.
上付き文字bおよびcの説明は表12の下部に示している。
I T1a,b、N0、M0 T1 = 被包性または縦隔脂肪への進展を示す腫瘍;縦隔胸膜に浸潤していてもよい。
–T1a = 縦隔胸膜への浸潤を伴わない腫瘍。
–T1b = 縦隔胸膜への直接浸潤を伴う腫瘍。
N0 = 所属リンパ節転移を認めない。
M0 = 胸膜、心膜、または遠隔への転移を認めない。


表10.TNM分類におけるII期の定義a

病期 T 記述
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
a出典:AJCC: Thymus.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.423–9.
上付き文字bおよびcの説明は表12の下部に示している。
II T2、N0、M0 T2 = 心膜への直接浸潤(内層または全層)を伴う腫瘍。
N0 = 所属リンパ節転移を認めない。
M0 = 胸膜、心膜、または遠隔への転移を認めない。


表11.TNM分類におけるIIIA期およびIIIB期の定義a

病期 T 記述
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
a出典:AJCC: Thymus.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.423–9.
上付き文字bおよびcの説明は表12の下部に示している。
IIIA T3、N0、M0 T3 = 以下のいずれかへの直接浸潤を伴う腫瘍:肺、腕頭静脈、上大静脈、横隔神経、胸壁、または心膜外肺動脈もしくは静脈。
N0 = 所属リンパ節転移を認めない。
M0 = 胸膜、心膜、または遠隔への転移を認めない。
IIIB T4、N0、M0 T4 = 以下のいずれかへの浸潤を伴う腫瘍:大動脈(上行大動脈、大動脈弓、または下行大動脈)、弓部血管、心膜内肺動脈、心筋、気管、食道。
N0 = 所属リンパ節転移を認めない。
M0 = 胸膜、心膜、または遠隔への転移を認めない。


表12.TNM分類におけるIVA期およびIVB期の定義a

病期 T 記述
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移。
a出典:AJCC: Thymus.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.423–9.
b病理学的病期分類において、可能であれば病変を顕微鏡的に確認しなければならない。
cT分類は、浸潤のレベルにより定義される;これは他の(低レベルの)構造に浸潤している数にかかわらず、最も高い浸潤度を反映している。T1、レベル1の構造:胸腺、前縦隔脂肪、縦隔胸膜;T2、レベル2の構造:心膜;T3、レベル3の構造:肺、腕頭静脈、上大静脈、横隔神経、胸壁、肺門血管;T4、レベル4の構造:大動脈(上行大動脈、大動脈弓、下行大動脈)、弓部血管、心膜内肺動脈、心筋、気管、食道。
IVA すべてのT、N1、M0 TX = 原発腫瘍が評価不能。
T0 = 原発腫瘍の所見が認められない。
T1 = 被包性または縦隔脂肪への進展を示す腫瘍;縦隔胸膜に浸潤していてもよい。
–T1a = 縦隔胸膜への浸潤を伴わない腫瘍。
–T1b = 縦隔胸膜への直接浸潤を伴う腫瘍。
T2 = 心膜への直接浸潤(内層または全層)を伴う腫瘍。
T3 = 以下のいずれかへの直接浸潤を伴う腫瘍:肺、腕頭静脈、上大静脈、横隔神経、胸壁、または心膜外肺動脈もしくは静脈。
T4 = 以下のいずれかへの浸潤を伴う腫瘍:大動脈(上行大動脈、大動脈弓、または下行大動脈)、弓部血管、心膜内肺動脈、心筋、気管、食道。
N1 = 前方(胸腺周囲)リンパ節への転移。
M0 = 胸膜、心膜、または遠隔への転移を認めない。
すべてのT、N0,1、M1a すべてのT = 本表の説明(IVA期)を参照。
N0 = 所属リンパ節転移を認めない。
N1 = 前方(胸腺周囲)リンパ節への転移。
M1a = 胸膜結節または心膜結節が不連続に存在。
IVB すべてのT、N2、M0, M1a すべてのT = 本表の説明(IVA期)を参照。
N2 = 胸腔内深部または頸部リンパ節への転移。
M0 = 胸膜、心膜、または遠隔への転移を認めない。
M1a = 胸膜結節または心膜結節が不連続に存在。
すべてのT、すべてのN、M1b すべてのT = 本表の説明(IVA期)を参照。
NX = 所属リンパ節が評価不能。
N0 = 所属リンパ節転移を認めない。
N1 = 前方(胸腺周囲)リンパ節への転移。
N2 = 胸腔内深部または頸部リンパ節への転移。
M1b = 肺実質内リンパ節または遠隔臓器への転移。


外科治療を受けた胸腺腫患者85人のシリーズに対して正岡の病期分類システムを適用したところ、予後の決定に有用なことが確認され、5年生存率はI期で96%、II期で86%、III期で69%、およびIV期で50%であった。 [1] 胸腺腫患者273人を含むある大規模レトロスペクティブ研究において、正岡の病期分類システムに従った20年生存率(腫瘍死が認められないことと定義される)は、I期の胸腺腫では89%、II期の胸腺腫では91%、III期の胸腺腫では49%、およびIV期の胸腺腫では0%と報告されている。 [6]

TNM病期分類システムは、胸腺腫および胸腺がんに適用可能で、10,000人を超える被験者の大規模でグローバルなデータベースに基づいており、古い病期分類システムの開発に用いられた患者100人より少ない小規模シリーズとは対照的である。TNMシステムも大規模なプールデータの厳格な統計解析から恩恵を受けており、集学的専門家パネルから情報を得ている。疾患再発率は、I期の患者が5%、II期の患者が18%、III期の患者が32%、IVA期の患者が59%、およびIVB期の患者が49%であった。死亡率は、I期の患者が7%、II期の患者が16%、III期の患者が18%、IVA期の患者が30%、およびIVB期の患者が33%であった。 [5]


参考文献
  1. Masaoka A, Monden Y, Nakahara K, et al.: Follow-up study of thymomas with special reference to their clinical stages. Cancer 48 (11): 2485-92, 1981.[PUBMED Abstract]

  2. Koga K, Matsuno Y, Noguchi M, et al.: A review of 79 thymomas: modification of staging system and reappraisal of conventional division into invasive and non-invasive thymoma. Pathol Int 44 (5): 359-67, 1994.[PUBMED Abstract]

  3. Thymus. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 423–9.[PUBMED Abstract]

  4. Carter BW, Benveniste MF, Madan R, et al.: IASLC/ITMIG Staging System and Lymph Node Map for Thymic Epithelial Neoplasms. Radiographics 37 (3): 758-776, 2017 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  5. Detterbeck FC, Stratton K, Giroux D, et al.: The IASLC/ITMIG Thymic Epithelial Tumors Staging Project: proposal for an evidence-based stage classification system for the forthcoming (8th) edition of the TNM classification of malignant tumors. J Thorac Oncol 9 (9 Suppl 2): S65-72, 2014.[PUBMED Abstract]

  6. Okumura M, Ohta M, Tateyama H, et al.: The World Health Organization histologic classification system reflects the oncologic behavior of thymoma: a clinical study of 273 patients. Cancer 94 (3): 624-32, 2002.[PUBMED Abstract]

 | 

胸腺腫および胸腺がんに対する治療法選択肢の概要

胸腺腫および胸腺がんの患者に対する標準的な一次治療は外科的切除で、可能であれば浸潤性腫瘍に対して一塊切除を行う。 [1] [2] [3] 腫瘍の病期に応じて集学的治療法選択肢が使用されることがあり、これには手術を併用するか否かにかかわらず、放射線療法および化学療法の使用が含まれる。 [4] [5] 手術による合併症および死亡を最小限にし、切除可能率および最終的には生存率を最適化するような寛解導入療法への最適戦略は、今のところ不明である。胸腺上皮性腫瘍の管理に関するレビューが公表されている。 [1]

表13.胸腺腫および胸腺がんに対する標準治療法の選択肢

標準治療法の選択肢
I期およびII期の胸腺腫 手術
手術単独または放射線療法との併用(PORT)
III期およびIV期の胸腺腫(手術可能) 手術とその後の放射線療法
導入化学療法とその後の手術および放射線療法
III期およびIV期の胸腺腫(手術不能) 化学療法
化学療法とその後の放射線療法
化学療法とその後の手術(可能な場合)および放射線療法
胸腺がん(手術可能) 手術(一塊切除)とその後の術後放射線療法単独または術後化学療法との併用
胸腺がん(手術不能) 化学療法
化学放射線療法
化学療法とその後の手術(可能な場合)および放射線療法
再発胸腺腫および胸腺がん 化学療法
生物学的療法
厳選した症例で、手術または放射線療法



参考文献
  1. Girard N, Ruffini E, Marx A, et al.: Thymic epithelial tumours: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol 26 (Suppl 5): v40-55, 2015.[PUBMED Abstract]

  2. Ruffini E, Filosso PL, Guerrera F, et al.: Optimal surgical approach to thymic malignancies: New trends challenging old dogmas. Lung Cancer 118: 161-170, 2018.[PUBMED Abstract]

  3. Cameron RB, Loehrer Sr, Marx A: Neoplasms of the mediastinum. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA, et al., eds.: DeVita, Hellman, and Rosenberg's Cancer : Principles & Practice of Oncology. 11th ed. Philadelphia, Pa: Wolters Kluwer, 2019, pp 700-12.[PUBMED Abstract]

  4. Rimner A, Yao X, Huang J, et al.: Postoperative Radiation Therapy Is Associated with Longer Overall Survival in Completely Resected Stage II and III Thymoma-An Analysis of the International Thymic Malignancies Interest Group Retrospective Database. J Thorac Oncol 11 (10): 1785-92, 2016.[PUBMED Abstract]

  5. Rajan A, Giaccone G: Chemotherapy for thymic tumors: induction, consolidation, palliation. Thorac Surg Clin 21 (1): 107-14, viii, 2011.[PUBMED Abstract]

 | 

胸腺腫の治療

縦隔腫瘤がみられ、早期の胸腺上皮性腫瘍(TET)の疑いが強く、完全切除の可能性がある患者に対しては、外科的切除が初期治療として望ましい。 [1] このような状況下で、外科的切除は診断的かつ治療的手技となる。I期およびII期のほぼすべてのTET患者で、腫瘍の完全切除が達成可能である。

術後放射線療法(PORT)は生存利益を伴っており、一般にII期またはIII期の患者に推奨される。 [2] IVA期の患者には通常、集学的治療が提供され、集学的治療は導入化学療法とその後の手術(腫瘍が切除可能とみなされる場合)およびPORTから構成される。 [3] [4] [5] [6] IVB期の患者は、最終的な化学療法により治療される。 [7] [8] [9] [9] [10] 進行例に対する一次治療法として、手術および放射線療法は通常役に立たない。

I期およびII期の胸腺腫

I期およびII期の胸腺腫に対する標準治療法の選択肢

I期およびII期の胸腺腫(手術可能病変)に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術(I期)。
  2. 手術単独または放射線療法との併用(PORT)(II期)。

手術(I期)

病理病期がI期の胸腺腫には完全な外科的切除により良好な長期生存率が得られる。被包性である非浸潤性腫瘍を完全に切除した後は補助放射線療法の有益性はないようである。 [1] [11]

手術単独または放射線療法との併用(PORT)(II期)

病理学的に被膜浸潤を示すII期の胸腺腫の患者に対しては、プロスペクティブな臨床試験が不足しているにもかかわらず、完全な外科的切除後に補助放射線療法を行うことが標準治療法と考えられている。 [12] [13] ほとんどの研究で、標準分割法(1回当たり1.8~2.0Gy)で40~70Gyを使用している。

II期の胸腺腫を完全切除した患者に対する補助放射線療法の役割とリスクについてはさらに研究が必要である。胸部照射に伴う合併症の可能性および費用を避けるために、病理所見および術中所見の両方により判定して、隣接臓器が数mm以内にあるか、外科的切除断端を含んでいる(外科的切除断端が近いまたは陽性の)場合、PORTはII期の患者にのみ用いられることがある。

証拠(手術とその後のPORT):

  1. 日本人患者1,320人の臨床研究からデータが得られた。 [14] I期の胸腺腫の患者の治療は手術のみを行い、II期の胸腺腫の患者は手術と追加的放射線療法を併用した。
    • 予防的縦隔部放射線療法は、II期の胸腺腫を完全切除した患者の局所再発を効果的に予防しないようであった。

  2. すべてではないが一部のレトロスペクティブな臨床研究で、PORTの追加により局所制御率および生存率が改善することを示している。 [2] [14] [15] [16] [17] [証拠レベル:3iiiDiv]
  3. 別のレトロスペクティブな研究によると、胸腺腫瘍の完全切除後にPORTを受けた患者と受けていない患者で転帰に差はみられなかった。 [18] [19] [20] [21]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。

III期およびIV期の胸腺腫

手術可能または手術できる可能性のあるIII期およびIV期の胸腺腫に対する治療法選択肢

画像技術の進展により、TETのより正確な病期分類が可能となった。しかしながら、ときにIII期の胸腺腫は手術前に同定することが困難な場合があり、隣接の縦隔構造への浸潤は手術時にしか確認できないことがある。

最初の精密検査後に切除可能なIII期の胸腺腫と考えられるすべての患者に対して、治癒を目的とした外科的切除を考慮すべきである。PORTは、長い全生存(OS)と関連しているため、外科的切除断端の状態にかかわらず、すべての患者に提供される。 [2]

切除不能なIII期のすべての胸腺腫患者に対して、導入化学療法とその後の手術および放射線療法からなる集学的治療を考慮すべきである。切除可能率および最終的には生存率を最適化するような寛解導入療法への最適戦略は確定していない。しかしながら、一般に使用されている導入化学療法レジメンには、シスプラチンドキソルビシン、およびシクロホスファミド、またはシスプラチンおよびエトポシドの併用が含まれる。導入化学療法に対する奏効率は79~100%であり、その後の切除可能率は36~69%である。 [3] [4] [5] [6] [7] [22] [23] [24] [25]

手術可能または手術できる可能性のあるIII期およびIV期の胸腺腫に対する治療選択肢には以下のものがある:

  1. 手術とその後の放射線療法(PORT)。
  2. 導入化学療法とその後の手術および放射線療法。

証拠(手術可能または手術できる可能性のあるIII期およびIV期の胸腺腫に対する治療):

  1. 日本人患者1,320人の大規模な臨床研究からデータが得られた。 [14] III期およびIV期の胸腺腫患者が手術と集学的治療を受け、外科的切除後に放射線療法および/または化学療法からなる補助療法を受けた。
    • 正岡の臨床病期は胸腺腫および胸腺がんの予後と良く相関することが認められている。

    • III期またはIV期の胸腺腫の患者について、5年生存率は全切除した患者は93%、亜全切除した患者は64%、手術不能であった患者は36%であった。これらのデータは、腫瘍の外科的完全切除を達成する予後的重要性を浮き彫りにしている。

    • 予防的な縦隔部の放射線療法は、III期の胸腺腫を全切除した患者の局所再発を効果的に予防しなかったようである。

    • III期またはIV期の胸腺腫を全切除した患者では、放射線療法および/または化学療法を含む術後補助療法によっても予後は改善されなかったようである。

  2. 大規模なレトロスペクティブ研究により、Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)データベースで1973年から2005年にかけて悪性胸腺腫と診断され、治療を受けた患者1,334人が特定された。 [25]
    • 比較的短期の追跡期間中央値65ヵ月の時点で、放射線療法は心疾患による死亡または二次悪性腫瘍のリスクを増加させないようであった。

    • III期およびIV期の患者(手術死亡率を考慮するため、生存期間が4ヵ月未満の患者を除外した後)において、PORTをルーチンで使用しても長期生存は改善しないとみられた。

  3. 1件のレトロスペクティブ研究において、SEERデータベースを利用して外科的切除を受けたIII期の胸腺腫患者476人が特定された。322人(67.6%)の患者にPORTが施行された。 [26]
    • PORTを受けた患者でのOS期間中央値は127ヵ月(95%信頼区間[CI]、100.9–153.1)であったのに対して、手術単独を受けた患者では105ヵ月(95%CI、76.9–133.1)であった(P = 0.038)。

    • PORTを受けた患者では、手術単独を受けた患者と比較して疾患特異的生存率が有意に改善した(P = 0.049)。

  4. 発表されている異なるシリーズで、導入化学療法および手術とその後の放射線療法および地固め化学療法を併用するまたは併用しない場合の長期生存率は、4年で50%から7年で77%、10年でIII期の患者が86%およびIV期の患者が76%までの範囲となっている。 [5] [22] [23] [27]
  5. 化学療法を併用しないで術前放射線療法を併用した場合、特に大血管に病変があれば、同様の生存率が報告されている;その結果では、5年OS率が77%および10年OS率が59%であることが示された。 [28] [29]

手術不能なIII期およびIV期の胸腺腫に対する治療法選択肢

手術不能なIII期およびIV期の胸腺腫患者に対する治療選択肢には以下のものがある:

  1. 化学療法。
  2. 化学療法とその後の放射線療法。
  3. 化学療法とその後の手術(可能な場合)および放射線療法。

III期またはIVA期のいずれかの胸腺腫の患者に対する減量手術の役割については意見が一致していない。第II相試験データにより、局所進行胸腺腫または転移を来した場合でも、多くの患者で化学療法および放射線療法のみで長期生存が達成できることが示唆される。 [24] 完全な切除、たとえ完全ではないとしてもほぼ完全な切除が達成できないとすれば、手術をする価値に疑問が残る可能性がある。

証拠(手術不能なIII期およびIV期の胸腺腫に対する治療):

  1. 米国で実施されたグループ間共同研究試験において、手術を行わずにPAC化学療法レジメン(シスプラチンドキソルビシンシクロホスファミド)とその後の放射線療法を受けた患者26人の5年OS率が52%と推定されることが報告された。 [24]
  2. IV期または放射線治療後の局所進行性再発の患者30人を対象としたシリーズにおいて、PACレジメンが施行された。 [7] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 50%の奏効率が達成され、それには3例の完全奏効が含まれていた。

    • 奏効期間中央値は12ヵ月であった。

    • 5年生存率は32%であった。

  3. ADOCレジメン(ドキソルビシンシスプラチンビンクリスチンシクロホスファミド)が37人の患者に施行された。 [8] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 92%(患者37人中34人)の奏効率が達成され、それには患者の43%における完全奏効が含まれていた。

  4. シスプラチンエトポシドによる併用化学療法の研究では、以下が報告された: [30] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 56%(患者16人中9人)の奏効率が達成された。

    • 奏効期間中央値は3.4年、生存期間中央値は4.3年であった。

  5. 浸潤性胸腺腫または胸腺がんの患者に対して、エトポシドイホスファミド、およびシスプラチン(VIP)を3週間おきに4サイクル投与する治療が実施された。 [9] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 評価可能な患者28人中9人が部分奏効を示した(32%;95%CI、16%-52%)。

    • 追跡期間中央値は43ヵ月(範囲、12.8–52.3)であった。

    • 奏効期間中央値は11.9ヵ月(範囲、<1–26)であった。

    • OS期間中央値は31.6ヵ月であった。

    • Kaplan-Meier推定値に基づくと、1年生存率が89%、2年生存率が70%であった。

    • これらの結果はその他の組み合わせよりも劣っているようである。

  6. 切除不能な胸腺腫患者21人を含む切除不能なTET患者46人を対象に、第II相研究でカルボプラチンパクリタキセルを併用する効果が評価された。 [10] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 胸腺腫患者21人中9人が客観的奏効を示した(42.9%;95%CI、24.5%–62.8%)。

    • 胸腺腫患者の奏効期間中央値は16.9ヵ月(95%CI、3.1–22.0)であった。

    • 胸腺腫コホートの無増悪生存期間中央値は16.7ヵ月(95%CI、7.2–19.8)であった;追跡期間中央値59.4ヵ月で、OS期間中央値は未到達であった。


参考文献
  1. Maggi G, Casadio C, Cavallo A, et al.: Thymoma: results of 241 operated cases. Ann Thorac Surg 51 (1): 152-6, 1991.[PUBMED Abstract]

  2. Rimner A, Yao X, Huang J, et al.: Postoperative Radiation Therapy Is Associated with Longer Overall Survival in Completely Resected Stage II and III Thymoma-An Analysis of the International Thymic Malignancies Interest Group Retrospective Database. J Thorac Oncol 11 (10): 1785-92, 2016.[PUBMED Abstract]

  3. Macchiarini P, Chella A, Ducci F, et al.: Neoadjuvant chemotherapy, surgery, and postoperative radiation therapy for invasive thymoma. Cancer 68 (4): 706-13, 1991.[PUBMED Abstract]

  4. Rea F, Sartori F, Loy M, et al.: Chemotherapy and operation for invasive thymoma. J Thorac Cardiovasc Surg 106 (3): 543-9, 1993.[PUBMED Abstract]

  5. Kim ES, Putnam JB, Komaki R, et al.: Phase II study of a multidisciplinary approach with induction chemotherapy, followed by surgical resection, radiation therapy, and consolidation chemotherapy for unresectable malignant thymomas: final report. Lung Cancer 44 (3): 369-79, 2004.[PUBMED Abstract]

  6. Yokoi K, Matsuguma H, Nakahara R, et al.: Multidisciplinary treatment for advanced invasive thymoma with cisplatin, doxorubicin, and methylprednisolone. J Thorac Oncol 2 (1): 73-8, 2007.[PUBMED Abstract]

  7. Loehrer PJ, Kim K, Aisner SC, et al.: Cisplatin plus doxorubicin plus cyclophosphamide in metastatic or recurrent thymoma: final results of an intergroup trial. The Eastern Cooperative Oncology Group, Southwest Oncology Group, and Southeastern Cancer Study Group. J Clin Oncol 12 (6): 1164-8, 1994.[PUBMED Abstract]

  8. Fornasiero A, Daniele O, Ghiotto C, et al.: Chemotherapy for invasive thymoma. A 13-year experience. Cancer 68 (1): 30-3, 1991.[PUBMED Abstract]

  9. Loehrer PJ, Jiroutek M, Aisner S, et al.: Combined etoposide, ifosfamide, and cisplatin in the treatment of patients with advanced thymoma and thymic carcinoma: an intergroup trial. Cancer 91 (11): 2010-5, 2001.[PUBMED Abstract]

  10. Lemma GL, Lee JW, Aisner SC, et al.: Phase II study of carboplatin and paclitaxel in advanced thymoma and thymic carcinoma. J Clin Oncol 29 (15): 2060-5, 2011.[PUBMED Abstract]

  11. Masaoka A, Monden Y, Nakahara K, et al.: Follow-up study of thymomas with special reference to their clinical stages. Cancer 48 (11): 2485-92, 1981.[PUBMED Abstract]

  12. Pollack A, Komaki R, Cox JD, et al.: Thymoma: treatment and prognosis. Int J Radiat Oncol Biol Phys 23 (5): 1037-43, 1992.[PUBMED Abstract]

  13. Ogawa K, Uno T, Toita T, et al.: Postoperative radiotherapy for patients with completely resected thymoma: a multi-institutional, retrospective review of 103 patients. Cancer 94 (5): 1405-13, 2002.[PUBMED Abstract]

  14. Kondo K, Monden Y: Therapy for thymic epithelial tumors: a clinical study of 1,320 patients from Japan. Ann Thorac Surg 76 (3): 878-84; discussion 884-5, 2003.[PUBMED Abstract]

  15. Ariaratnam LS, Kalnicki S, Mincer F, et al.: The management of malignant thymoma with radiation therapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys 5 (1): 77-80, 1979.[PUBMED Abstract]

  16. Penn CR, Hope-Stone HF: The role of radiotherapy in the management of malignant thymoma. Br J Surg 59 (7): 533-9, 1972.[PUBMED Abstract]

  17. Curran WJ, Kornstein MJ, Brooks JJ, et al.: Invasive thymoma: the role of mediastinal irradiation following complete or incomplete surgical resection. J Clin Oncol 6 (11): 1722-7, 1988.[PUBMED Abstract]

  18. Mangi AA, Wright CD, Allan JS, et al.: Adjuvant radiation therapy for stage II thymoma. Ann Thorac Surg 74 (4): 1033-7, 2002.[PUBMED Abstract]

  19. Singhal S, Shrager JB, Rosenthal DI, et al.: Comparison of stages I-II thymoma treated by complete resection with or without adjuvant radiation. Ann Thorac Surg 76 (5): 1635-41; discussion 1641-2, 2003.[PUBMED Abstract]

  20. Thomas CR, Wright CD, Loehrer PJ: Thymoma: state of the art. J Clin Oncol 17 (7): 2280-9, 1999.[PUBMED Abstract]

  21. Berman AT, Litzky L, Livolsi V, et al.: Adjuvant radiotherapy for completely resected stage 2 thymoma. Cancer 117 (15): 3502-8, 2011.[PUBMED Abstract]

  22. Berruti A, Borasio P, Gerbino A, et al.: Primary chemotherapy with adriamycin, cisplatin, vincristine and cyclophosphamide in locally advanced thymomas: a single institution experience. Br J Cancer 81 (5): 841-5, 1999.[PUBMED Abstract]

  23. Shin DM, Walsh GL, Komaki R, et al.: A multidisciplinary approach to therapy for unresectable malignant thymoma. Ann Intern Med 129 (2): 100-4, 1998.[PUBMED Abstract]

  24. Loehrer PJ, Chen M, Kim K, et al.: Cisplatin, doxorubicin, and cyclophosphamide plus thoracic radiation therapy for limited-stage unresectable thymoma: an intergroup trial. J Clin Oncol 15 (9): 3093-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  25. Fernandes AT, Shinohara ET, Guo M, et al.: The role of radiation therapy in malignant thymoma: a Surveillance, Epidemiology, and End Results database analysis. J Thorac Oncol 5 (9): 1454-60, 2010.[PUBMED Abstract]

  26. Weksler B, Shende M, Nason KS, et al.: The role of adjuvant radiation therapy for resected stage III thymoma: a population-based study. Ann Thorac Surg 93 (6): 1822-8; discussion 1828-9, 2012.[PUBMED Abstract]

  27. Lucchi M, Melfi F, Dini P, et al.: Neoadjuvant chemotherapy for stage III and IVA thymomas: a single-institution experience with a long follow-up. J Thorac Oncol 1 (4): 308-13, 2006.[PUBMED Abstract]

  28. Yagi K, Hirata T, Fukuse T, et al.: Surgical treatment for invasive thymoma, especially when the superior vena cava is invaded. Ann Thorac Surg 61 (2): 521-4, 1996.[PUBMED Abstract]

  29. Akaogi E, Ohara K, Mitsui K, et al.: Preoperative radiotherapy and surgery for advanced thymoma with invasion to the great vessels. J Surg Oncol 63 (1): 17-22, 1996.[PUBMED Abstract]

  30. Giaccone G, Ardizzoni A, Kirkpatrick A, et al.: Cisplatin and etoposide combination chemotherapy for locally advanced or metastatic thymoma. A phase II study of the European Organization for Research and Treatment of Cancer Lung Cancer Cooperative Group. J Clin Oncol 14 (3): 814-20, 1996.[PUBMED Abstract]

 | 

胸腺がんの治療

胸腺がんはまれであるためにその至適治療法は未だ確定されていない。臨床的に切除可能で病変が明確に定義された患者に対しては、外科的切除がしばしば最初の治療的介入である。臨床的に切除可能性が境界にあるか、明らかに切除不能な病変の患者に対しては、術前(手術前の)化学療法もしくは胸部放射線療法、またはその両方が施行されている。 [1] 局所進行病変を示す患者については、慎重に評価して集学的な治療を行う。パフォーマンスステータスが不良で、関連する手術のリスクの高い患者には一般的にこれらの種類の積極的な治療は考えられない。転移病変のある患者は多剤併用化学療法.に反応することがある。

胸腺がんに対する標準治療法の選択肢

手術可能な胸腺がんの患者に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある: [2]

  1. 手術(一塊切除)とその後の術後放射線療法(PORT)単独または術後化学療法との併用。

手術不能な胸腺がん(大静脈閉塞、胸膜浸潤、心膜播種などを伴うIII期およびIV期)の患者に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 化学療法。
  2. 化学放射線療法。
  3. 化学療法とその後の手術(可能な場合)および放射線療法。

公表されたほとんどのシリーズで、手術後に補助放射線療法が施行されている。 [3] [4] 規定線量範囲はまだ確定していない。ほとんどの研究で、標準分割法(1回当たり1.8~2.0Gy)で40~70Gyを使用している。

証拠(手術とその後のPORT単独または術後化学療法との併用):

  1. これまでに報告された最大規模のシリーズでは、日本人患者1,320人の臨床研究からデータが得られている。 [5] 胸腺がんの患者がPORTまたは化学療法による治療を受けた。
    • 5年生存率は、全切除を受けた患者が67%、亜全切除を受けた患者が30%、手術不能な患者が24%であった。

    • 放射線療法または化学療法を含む補助療法では胸腺がん患者の予後が改善しないとみられた。

  2. 多施設の胸腺がん患者186人の治療成績に関するレトロスペクティブな分析が報告されている。 [5]
    • 胸腺がんを全切除した患者の5年生存率は、化学療法を受けた患者が81.5%、放射線療法と化学療法を受けた患者が46.6%、放射線療法のみを受けた患者が73.6%、補助療法を受けなかった患者が72.2%であった。

    • この研究は、亜全切除した患者の長期延命効果も、外科的切除に補助放射線療法を追加することによる生存率の統計的に有意な増大も検出できなかった。

    • この研究の著者らは、サンプルサイズに限界があったことから、胸腺がんにおける補助放射線療法の役割に関して、確定的な結論を出せなかったと明記している。

これらの研究の結果は、減量手術、放射線療法、およびシスプラチンを基本とした化学療法を含めた積極的な集学的治療アプローチの有効性に関する従来の考え方に疑問を投げかけている。 [6] [7] [8] その他の研究では補助放射線療法および補助化学療法が支持されているが、最適な治療レジメンは確定していない。

手術不能な胸腺がんの患者に対しては、化学療法が一次治療法である。使用されるほとんどのレジメンは、胸腺腫の治療に使用されるものと同様であり、白金化合物単独またはアントラサイクリン系との併用(PAC[シスプラチンドキソルビシンシクロホスファミド]、VIP[エトポシドイホスファミドシスプラチン]、ADOC[ドキソルビシンシスプラチンビンクリスチンシクロホスファミド]、シスプラチン/エトポシドカルボプラチン/パクリタキセル)が含まれる。 [1] [9] [10] [11] [12] [13] [14]

証拠(化学療法):

  1. 切除不能な胸腺がん患者23人を含む切除不能な胸腺上皮性腫瘍患者46人を対象に、カルボプラチンパクリタキセルの併用による効果が第II相研究で評価された。 [14] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 胸腺がん患者23人中5人が客観的奏効を示した(21.7%;90%信頼区間[CI]、9.0%–40.4%)。

    • 胸腺がん患者における奏効期間中央値は4.5ヵ月(95%CI、3.4–9.9)であった。

    • 追跡期間中央値59.4ヵ月で、胸腺がんコホートにおける無増悪生存期間中央値は5ヵ月(95%CI、3.0–8.3)、全生存期間中央値は20ヵ月(95%CI、5.0–43.6)であった。

  2. プロスペクティブNorth American Intergroup試験ではVIPが使用された。 [11]
    • 胸腺がん患者8人中2人(25%)が部分奏効であった。

    • 胸腺がん患者における1年生存率は75%、2年生存率は50%であった。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Koizumi T, Takabayashi Y, Yamagishi S, et al.: Chemotherapy for advanced thymic carcinoma: clinical response to cisplatin, doxorubicin, vincristine, and cyclophosphamide (ADOC chemotherapy). Am J Clin Oncol 25 (3): 266-8, 2002.[PUBMED Abstract]

  2. Hsu HC, Huang EY, Wang CJ, et al.: Postoperative radiotherapy in thymic carcinoma: treatment results and prognostic factors. Int J Radiat Oncol Biol Phys 52 (3): 801-5, 2002.[PUBMED Abstract]

  3. Omasa M, Date H, Sozu T, et al.: Postoperative radiotherapy is effective for thymic carcinoma but not for thymoma in stage II and III thymic epithelial tumors: the Japanese Association for Research on the Thymus Database Study. Cancer 121 (7): 1008-16, 2015.[PUBMED Abstract]

  4. Ahmad U, Yao X, Detterbeck F, et al.: Thymic carcinoma outcomes and prognosis: results of an international analysis. J Thorac Cardiovasc Surg 149 (1): 95-100, 101.e1-2, 2015.[PUBMED Abstract]

  5. Kondo K, Monden Y: Therapy for thymic epithelial tumors: a clinical study of 1,320 patients from Japan. Ann Thorac Surg 76 (3): 878-84; discussion 884-5, 2003.[PUBMED Abstract]

  6. Ogawa K, Toita T, Uno T, et al.: Treatment and prognosis of thymic carcinoma: a retrospective analysis of 40 cases. Cancer 94 (12): 3115-9, 2002.[PUBMED Abstract]

  7. Greene MA, Malias MA: Aggressive multimodality treatment of invasive thymic carcinoma. J Thorac Cardiovasc Surg 125 (2): 434-6, 2003.[PUBMED Abstract]

  8. Lucchi M, Mussi A, Ambrogi M, et al.: Thymic carcinoma: a report of 13 cases. Eur J Surg Oncol 27 (7): 636-40, 2001.[PUBMED Abstract]

  9. Weide LG, Ulbright TM, Loehrer PJ, et al.: Thymic carcinoma. A distinct clinical entity responsive to chemotherapy. Cancer 71 (4): 1219-23, 1993.[PUBMED Abstract]

  10. Loehrer PJ, Kim K, Aisner SC, et al.: Cisplatin plus doxorubicin plus cyclophosphamide in metastatic or recurrent thymoma: final results of an intergroup trial. The Eastern Cooperative Oncology Group, Southwest Oncology Group, and Southeastern Cancer Study Group. J Clin Oncol 12 (6): 1164-8, 1994.[PUBMED Abstract]

  11. Loehrer PJ, Jiroutek M, Aisner S, et al.: Combined etoposide, ifosfamide, and cisplatin in the treatment of patients with advanced thymoma and thymic carcinoma: an intergroup trial. Cancer 91 (11): 2010-5, 2001.[PUBMED Abstract]

  12. Fornasiero A, Daniele O, Ghiotto C, et al.: Chemotherapy for invasive thymoma. A 13-year experience. Cancer 68 (1): 30-3, 1991.[PUBMED Abstract]

  13. Giaccone G, Ardizzoni A, Kirkpatrick A, et al.: Cisplatin and etoposide combination chemotherapy for locally advanced or metastatic thymoma. A phase II study of the European Organization for Research and Treatment of Cancer Lung Cancer Cooperative Group. J Clin Oncol 14 (3): 814-20, 1996.[PUBMED Abstract]

  14. Lemma GL, Lee JW, Aisner SC, et al.: Phase II study of carboplatin and paclitaxel in advanced thymoma and thymic carcinoma. J Clin Oncol 29 (15): 2060-5, 2011.[PUBMED Abstract]

 | 

再発胸腺腫および胸腺がん

再発胸腺腫および胸腺がんに対する標準治療法の選択肢

再発胸腺腫および胸腺がんに対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:


化学療法

いくつかの化学療法薬では、単独使用または併用した場合に腫瘍反応を誘導できることが多くの研究で実証されている。これらの薬には、ペメトレキセドゲムシタビン、タキサン系、カペシタビン、または5-フルオロウラシルエトポシドがある。一般的に、併用により奏効率が高まることが報告されているが、ランダム化試験は行われていない。手術不能な疾患再発のほとんどの症例で、単剤による全身療法が望ましい。過去に奏効が良好であったことが実証された患者、無再発期間が長くパフォーマンスステータスが良好であった患者、およびアントラサイクリン系を含むレジメンの場合、特に心毒性に関して安全性を危険にさらす可能性があるため、以前に投与された累積用量が高くない患者のような選択された症例では、併用化学療法が考慮できる。 [1]

証拠(単剤による化学療法):

  1. 再発胸腺上皮性腫瘍(TET)(16人)および再発胸腺がん(11人)の患者27人を対象に、ペメトレキセド(500mg/m2)の第II相試験が実施された。 [2]
    • 客観的奏効率は19.2%(95%信頼区間[CI]、6.3%–38.1%)であった(胸腺腫患者で26.7%[95%CI、7.8%–55.1%]、胸腺がん患者で9.1%[95%CI、0.2%–41.3%])。

    • 無増悪生存(PFS)期間中央値は10.6ヵ月であった(胸腺腫患者で12.1ヵ月 vs 胸腺がん患者で2.9ヵ月)。

    • 全生存(OS)期間中央値は28.7ヵ月であった(胸腺腫患者で46.4ヵ月 vs 胸腺がん患者で9.8ヵ月)。

    • 奏効期間中央値は、胸腺腫患者が4ヵ月(範囲、3.26~6.28ヵ月)、部分奏効を示した胸腺がん患者1人が3.8ヵ月であった。

  2. 患者16人のうち6人がプレドニゾン(0.6mg/kg/日を3ヵ月間経口投与、追跡期間中は0.2mg/kg/日を経口投与)と併用したオクトレオチド(1.5mg/日を皮下投与)により客観的奏効を得ている。 [3]

証拠(併用化学療法):

  1. 30人の患者(22人が再発胸腺腫、8人が胸腺がん)が第II相試験に参加し、カペシタビン(650mg/m2を1~14日目に1日2回投与)およびゲムシタビン(1,000mg/m2を3週間ごとに1日目と8日目に投与)による治療を受けた。 [4]
    • 客観的奏効は、胸腺腫患者22人中9人(41%)および胸腺がん患者8人中3人(38%)に観察された。

    • 追跡期間中央値18ヵ月(範囲、15–22)後、PFS期間中央値は11ヵ月(範囲、6.5–16.5)であった。PFS期間中央値は、胸腺腫患者が11ヵ月、胸腺がん患者が6ヵ月であった。全体でのPFS期間中央値も11ヵ月であった。

    • 研究集団での1年および2年生存率は、それぞれ90%および66%であった。

生物学的療法

オクトレオチドスキャン陽性の胸腺腫患者では、オクトレオチド単独またはプレドニゾンとの併用により、奏効が誘導できる。再発TET患者では、スニチニブおよびエベロリムスによっても客観的奏効が観察されている。

オクトレオチド単独またはプレドニゾンとの併用

証拠(オクトレオチド単独またはプレドニゾンとの併用):

  1. 1件の研究で、プレドニゾン(0.6mg/kgを3ヵ月間にわたり1日1回経口投与、追跡期間中は0.2mg/kgを1日1回経口投与)を併用したオクトレオチド(1.5mgを1日1回皮下投与)に対して、患者16人中6人が客観的奏効に達した。 [3]
  2. オクトレオチド単独またはプレドニゾンとの併用の研究で、患者42人中2人(5.3%)に完全奏効および10人(25%)に部分奏効が観察された。 [5]

スニチニブ

証拠(スニチニブ):

  1. 再発TET患者41人(胸腺がん25人、胸腺腫16人)が第II相試験に参加し、6週間サイクル(4週間投与後、2週間休薬)でスニチニブを1日50mgで投与する治療を受けた。 [6] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 追跡期間中央値17ヵ月後、評価可能な胸腺がん患者23人中6人(26%;90%CI、12.1%–45.3%;95%CI、10.2%–48.4%)が客観的奏効を示し、15人(65%;95%CI、42.7%–83.6%)が疾患安定に達した。胸腺腫患者16人のうち、1人の患者(6%;95%CI、0.2%–30.2%)が部分奏効に達し、12人の患者(75%;47.6%–92.7%)が安定に達した。

    • 胸腺がんコホートにおける奏効までの期間中央値は5.6ヵ月(範囲、2.7–13.8)で、奏効期間中央値は16.4ヵ月(範囲、1.4–16.4)であった。

    • PFS期間中央値は、胸腺がん患者が7.2ヵ月(95%CI、3.4–15.2)、胸腺腫患者が8.5ヵ月(2.8–11.3)であった。

    • OS期間中央値は、胸腺がん患者で未到達であり、胸腺腫患者が15.5ヵ月(95%CI、12.6–未確定)であった。

    • 1年推定OS率は、胸腺がん患者が78%(95%CI、58.0%–90.4%)、胸腺腫患者が86%(60.9%–96.1%)であった。

エベロリムス

証拠(エベロリムス):

  1. 再発TET患者51人(胸腺腫が32人、胸腺がんが19人)が第II相試験に参加し、経口エベロリムスを1日10mg投与する治療を受けた。 [7] [証拠レベル:3iiiDiv]
    • 客観的奏効は、胸腺腫患者32人中3人(9.4%)および胸腺がん患者19人中3人(15.8%)に観察された。

    • 疾患制御率は88%(胸腺腫:93.8%;胸腺がん:77.8%)であった。

    • 追跡期間中央値25.7ヵ月後、PFS期間中央値は10.1ヵ月(胸腺腫:16.6ヵ月;胸腺がん:5.6ヵ月)であった。

    • OS期間中央値は25.7ヵ月(胸腺腫:未到達;胸腺がん:14.7ヵ月)であった。

手術

特に局所再発に加え、一部症例では胸膜および心膜播種に対して、外科的切除を繰り返す場合がある。再発病変の再切除を受ける再発胸腺腫患者では、完全切除が達成された場合に生存期間が延長する可能性がある。 [8] しかし、切除の候補となりうる患者は少数に過ぎない。

証拠(手術):

  1. TET切除を受けた患者395人のレビューにおいて、67人に腫瘍再発がみられ、22人が再切除術を受けた。 [9]
    • 10年生存率は70%であった。

  2. 別のシリーズにおいて、最初に腫瘍の全切除による治療を受けた患者266人中30人が再発した;全患者30人で外科的切除が試みられた。 [10] 10例で再発性腫瘍の完全切除が達成された。
    • 5年生存率は48%であった。

    • 10年生存率は24%であった。

注目すべきは、これらのシリーズの患者は手術に加えて化学療法および/または放射線療法を受けている可能性があることである。

放射線療法

切除が不完全な患者に対して術後放射線療法が使用されており、再発胸腺腫の完全切除後では選択された患者に採用されている。 [8] 胸壁浸潤による疼痛および上大静脈症候群などの症状緩和に対しても放射線療法が適応される。

再発胸腺腫および胸腺がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

再発TET患者を対象にペムブロリズマブ(抗プログラム細胞死リガンド1抗体)が評価されている。

  1. ペムブロリズマブの第II相試験に難治性または再発TET患者33人(胸腺がんが26人、胸腺腫が7人)が登録された。 [11]
    • 客観的奏効は、胸腺腫患者7人中2人(28.6%;95%CI、8.2%–64.1%)、胸腺がん患者26人中5人(19.2%;95%CI、8.5%–37.9%)に観察された。

    • PFS期間中央値は両群とも6.1ヵ月であった。

    • グレード3以上の免疫関連有害事象は、胸腺腫患者7人中5人(71.4%)、胸腺がん患者26人中4人(15.4%)に観察され、肝炎(12.1%)、心筋炎(9.1%)、および重症筋無力症(6.1%)が含まれていた。

  2. ペムブロリズマブ単群の第II相研究に再発胸腺がん患者41人が登録された。 [12]
    • 追跡期間中央値20ヵ月後、客観的奏効率は22.5%(95%CI、10.8%–38.5%)であった。

    • 奏効期間中央値は22.4ヵ月(95%CI、12.3–34.7)であった。

    • PFS期間中央値は4.2ヵ月(95%CI、2.9–10.3)、OS期間中央値は24.9ヵ月(15.5–未到達)であった。

    • 重度の免疫関連有害事象は患者6人(15%)に観察され、心筋炎の患者2人(5%)が含まれていた。

免疫チェックポイント阻害薬による治療は臨床評価段階であり、臨床試験の枠内で使用すべきである。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Girard N, Ruffini E, Marx A, et al.: Thymic epithelial tumours: ESMO Clinical Practice Guidelines for diagnosis, treatment and follow-up. Ann Oncol 26 (Suppl 5): v40-55, 2015.[PUBMED Abstract]

  2. Gbolahan OB, Porter RF, Salter JT, et al.: A Phase II Study of Pemetrexed in Patients with Recurrent Thymoma and Thymic Carcinoma. J Thorac Oncol 13 (12): 1940-1948, 2018.[PUBMED Abstract]

  3. Palmieri G, Montella L, Martignetti A, et al.: Somatostatin analogs and prednisone in advanced refractory thymic tumors. Cancer 94 (5): 1414-20, 2002.[PUBMED Abstract]

  4. Palmieri G, Buonerba C, Ottaviano M, et al.: Capecitabine plus gemcitabine in thymic epithelial tumors: final analysis of a Phase II trial. Future Oncol 10 (14): 2141-7, 2014.[PUBMED Abstract]

  5. Loehrer PJ, Wang W, Johnson DH, et al.: Octreotide alone or with prednisone in patients with advanced thymoma and thymic carcinoma: an Eastern Cooperative Oncology Group phase II trial. J Clin Oncol 22 (2): 293-9, 2004.[PUBMED Abstract]

  6. Thomas A, Rajan A, Berman A, et al.: Sunitinib in patients with chemotherapy-refractory thymoma and thymic carcinoma: an open-label phase 2 trial. Lancet Oncol 16 (2): 177-86, 2015.[PUBMED Abstract]

  7. Zucali PA, De Pas T, Palmieri G, et al.: Phase II Study of Everolimus in Patients With Thymoma and Thymic Carcinoma Previously Treated With Cisplatin-Based Chemotherapy. J Clin Oncol 36 (4): 342-349, 2018.[PUBMED Abstract]

  8. Urgesi A, Monetti U, Rossi G, et al.: Aggressive treatment of intrathoracic recurrences of thymoma. Radiother Oncol 24 (4): 221-5, 1992.[PUBMED Abstract]

  9. Okumura M, Shiono H, Inoue M, et al.: Outcome of surgical treatment for recurrent thymic epithelial tumors with reference to world health organization histologic classification system. J Surg Oncol 95 (1): 40-4, 2007.[PUBMED Abstract]

  10. Ruffini E, Mancuso M, Oliaro A, et al.: Recurrence of thymoma: analysis of clinicopathologic features, treatment, and outcome. J Thorac Cardiovasc Surg 113 (1): 55-63, 1997.[PUBMED Abstract]

  11. Cho J, Kim HS, Ku BM, et al.: Pembrolizumab for Patients With Refractory or Relapsed Thymic Epithelial Tumor: An Open-Label Phase II Trial. J Clin Oncol 37 (24): 2162-2170, 2019.[PUBMED Abstract]

  12. Giaccone G, Kim C, Thompson J, et al.: Pembrolizumab in patients with thymic carcinoma: a single-arm, single-centre, phase 2 study. Lancet Oncol 19 (3): 347-355, 2018.[PUBMED Abstract]

 | 

本要約の変更点(10/11/2019)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約は包括的に見直され、広範囲にわたって改訂され、再編集された。

さらに、本要約は「胸腺腫および胸腺がんの治療」から改名された。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

 | 

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、成人胸腺腫および胸腺がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

胸腺腫および胸腺がんの治療(成人)に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Thymoma and Thymic Carcinoma Treatment (Adult).Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/thymoma/hp/adult/thymoma-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389476]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

     |