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消化管カルチノイドの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-07-08
    翻訳更新日 : 2015-09-25

消化管カルチノイドに関する一般情報

疫学

世界的には、カルチノイドの年齢調整発生率は10万人当たり約2人である。 [1] [2] 診断時の平均年齢は61.4歳である。 [3] カルチノイドは新たに診断される全悪性腫瘍の約0.5%を占める。 [2] [3]

解剖学

カルチノイドはまれな、緩徐に増殖する腫瘍で、びまん性神経内分泌系の細胞に発生する。カルチノイドは、胚性腸に由来する組織に最も頻繁に起こる。症例の最大25%を占める前腸カルチノイドは、肺、胸腺、胃、または近位十二指腸に生じる。症例の最大50%を占める中腸カルチノイドは、小腸、虫垂、または近位結腸に生じる。症例の約15%を占める後腸カルチノイドは、遠位結腸または直腸に生じる。 [4] この他の原発部位としては、胆嚢、腎臓、肝臓、膵臓、卵巣、および精巣が挙げられる。 [3] [4] [5]

消化管カルチノイド(特に、小腸カルチノイド)は、しばしば他のがんと関連している。同時または異時性がんが、小腸カルチノイド患者の約29%に起こる。 [3] しかしながら、この関連は一部には、他の腫瘍の病期分類中、または他の腫瘍による症状の調査中に、緩徐に増殖するカルチノイドが偶然発見されたためである可能性がある。

組織学

カルチノイドという用語は高分化型神経内分泌腫瘍(NET)または消化管のがんにのみ使用すべきである;この用語は膵NETまたは膵島細胞腫瘍の記述に用いるべきではない。 [6] (詳しい情報については、膵神経内分泌腫瘍[膵島細胞がん]に関するPDQ要約を参照のこと。)一部の疫学研究および臨床研究では、カルチノイドと低分化神経内分泌がんなど、他のNETに関するデータが集約されているため、別個に検討することが困難になっている。14を超える細胞型が消化管の至るところに非ランダムに発生し、それらが異なるホルモンを産生する。 [7] (詳しい情報については、本要約の消化管カルチノイドの細胞分類および病理学的分類のセクションを参照のこと。)消化管NETの細胞起源は不明であるが、NETではサイトケラチンが一貫して発現していること、および小腸内分泌腫瘍の腸転写因子の1つである尾鰭型ホメオボックス蛋白2(CdX2蛋白)が発現していることにより、上皮前駆細胞由来であると示唆されている。 [8]

小腸および大腸NETのほとんどが散発性に発生するが、多発性内分泌腫瘍1型(MEN1)または神経線維腫症1型(NF1)など、遺伝性腫瘍症候群の背景で発生する場合もある(例えば、それぞれガストリン産生G細胞腫瘍および十二指腸のソマトスタチン産生D細胞腫瘍)。 [9] 神経内分泌細胞過形成の背景では、腫瘍は通常、多病巣性であるが、多病巣性は増殖性因子または遺伝因子が認められなくても、小さな腸クロム親和細胞腫瘍を有する患者の約1/3にみられる;クローン性の研究により、これらの新生物のほとんどが独立した原発巣であると示唆されている。 [10] [11] 胃カルチノイドは、慢性萎縮性胃炎と関連することがある。 [7]

組織病理学

各カルチノイドには、解剖学的位置および内分泌細胞のタイプに基づく特異的な組織学的および免疫組織化学的特徴がある。しかしながら、すべてのカルチノイドは、それらを高分化型NETに分類させている病理学的特徴を共有している。 [5] カルチノイドは、胃または腸壁の白色、黄色、または灰色の堅い小結節として発生し、壁内腫瘤の場合もあれば、ポリープ状の小結節として管腔内に突出する場合もある;上を覆う胃または腸の粘膜は無傷の場合もあれば、限局性潰瘍が形成されている場合もある。

神経内分泌細胞は均一な核と顆粒に富んだまたはかすかに染色する(透明な)細胞質を有し、固形性のまたは小さな索状型のクラスターとしてみられるか、あるいは他の細胞の間に分散しており、このためヘマトキシリンおよびエオシンで染色した切片での認識が困難な場合がある;免疫染色により、これらを正確に同定できる。 [12] 超微細構造レベルでは、神経内分泌細胞は細胞膜結合高密度コア分泌顆粒(直径 > 80nm)を含み、さらにニューロンのシナプス小胞に相当する小型透明小胞(small clear vesicle、直径:40~80nm)がみられることもある。

分子遺伝学

ときに消化管カルチノイドは、MEN1やNF1などの遺伝的症候群に関連して起こる。 [13] [14] [15]

MEN1は染色体領域11q13に位置するMEN1遺伝子の変化が原因である。(詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)MEN1に関連するカルチノイドのほとんどは、前腸から発生するようである。 [13] NF1は染色体17q11にあるNF1遺伝子の変化を原因とする常染色体優性遺伝疾患である。 [16] NF1患者におけるカルチノイドは、主として膨大部周囲領域に生じるようである。 [5] [17] [18]

散発性消化管カルチノイドでは、比較ゲノムハイブリダイゼーション解析によって多数の染色体不均衡が発見されている。5番、14番、17番(特に17q)、および19番染色体が関与する増加および11番(特に11q)と18番染色体が関与する欠失が最も一般的であると考えられる。 [19] [20]

消化管カルチノイドで最も頻繁に報告される突然変異遺伝子はβ-カテニン(CTNNB1)である。1件の研究において、β-カテニンのエクソン3の突然変異が72症例中27例(37.5%)で発見された。 [21]

しかしながら、消化管カルチノイドの予後に関する一貫した遺伝子マーカーは未だ同定されていない。 [9] (詳しい情報については、本要約の消化管カルチノイドの細胞分類および病理学的分類のセクションを参照のこと。)

カルチノイド症候群

カルチノイド患者の20%未満に起こるカルチノイド症候群は、代謝によって劣化した血管活性アミンが体循環に放出されることに起因する。この症候群は、紅潮、腹痛と下痢、気管支収縮、およびカルチノイド心疾患と関連している。 [22] [23] 血管活性アミンは肝臓で効率的に代謝されるため、肝転移がなければカルチノイド症候群はめったに発生しない。例外となるのは、腫瘍から排出される静脈血が体循環に直接流入する状況である(例えば、肺原発および卵巣原発カルチノイド、転移性または局所浸潤性小腸カルチノイドによる骨盤または後腹膜浸潤、または広範囲にわたる骨転移)。

カルチノイド心疾患は、カルチノイド症候群患者の1/3以上に起こる。病理学的には、心臓弁が線維化のために肥厚し、三尖弁および肺動脈弁は僧帽弁および大動脈弁よりも重度に影響を受ける。症状には以下のものがある: [22]


  • 三尖弁および肺動脈弁閉鎖不全。

  • 肺動脈狭窄。

  • 僧帽弁および大動脈弁不全。

  • 不整脈。

重度のカルチノイド心疾患では生存率が低下する。(詳しい情報については、本要約の予後因子のセクションを参照のこと。)

部位特異的な臨床的特徴

消化管カルチノイドの臨床的特徴は、解剖学的な位置および細胞型によって異なる。 [5] [12] [24] 消化管カルチノイドのほとんどは回盲弁から3フィート(~90cm)以内に位置し、50%が虫垂に見つかる。 [25] これらはしばしば、別の消化管障害に対する手術中や虫垂炎、消化管出血、または穿孔に対する緊急手術中に偶然発見される。 [26]

胃カルチノイド

ほとんどの胃カルチノイドは腸クロム親和性様(ECL)細胞カルチノイドである;まれに、他のタイプのカルチノイドが胃に起こることもある。(詳しい情報については、本要約の消化管カルチノイドの細胞分類および病理学的分類セクションの表1を参照のこと。)

最も一般的なタイプであるI型ECL細胞胃カルチノイドでは、典型的に臨床症状が認められない。I型ECL細胞胃カルチノイドは胃逆流、貧血、または他の理由による内視鏡検査中にしばしば発見され、典型的に多発性である。最も一般的には平均年齢63歳で女性に発生し(男女比、1:2.5)、胃酸欠乏症がみられることもあり、通常は高ガストリン血症または胃前庭部のG細胞過形成の証拠が見つかる。 [5] [24] [27] これらの腫瘍はガストリン分泌に起因し、通常は自己免疫性悪性貧血が原因であるが、ときにヘリコバクターピロリ菌(Helicobacter pylori)感染が原因で起こる胃体部の慢性萎縮性胃炎の背景で生じる。 [9]

最も頻度の低いタイプの胃カルチノイドであるII型ECL細胞カルチノイドは、平均年齢50歳で起こり、性別による偏向は認められない。MEN1-ゾリンジャー・エリソン症候群(ZES)に関連する高ガストリン血症は、II型腫瘍に至るECL細胞過形成を促進すると考えられる。 [27] [28]

I型およびII型ECL細胞胃カルチノイドで転移するのは、症例の10%未満であると報告されている。 [27] [29] 2番目に一般的なタイプの胃カルチノイドであるIII型ECL細胞胃カルチノイドは、主として男性に起こり(男女比、2.8:1)、平均年齢は55歳である。 [27] 神経内分泌症状は認められず、患者は典型的に侵攻性腫瘍に関係した徴候および症状を呈する。 [5] [30]

十二指腸カルチノイド

消化管NETの2%~3%を占めるのみで、偶然またはホルモンやペプチドの産生による症状のために発見される十二指腸カルチノイドは、膨大部周囲領域に生じ、ファーター膨大部を閉塞させ、黄疸を引き起こすこともある。 [3] [5] [31] 発症時年齢は大きくばらついている(範囲、19~90歳;平均年齢、53歳)。 [15] [32]

最も一般的な十二指腸カルチノイドはガストリン産生G細胞腫瘍(~2/3)であり、続いて、まれにソマトスタチン過剰による全身症状を引き起こすソマトスタチン産生D細胞腫瘍(~1/5)がある。 [5] [31] [33]

G細胞カルチノイドによるガストリン産生(血清ガストリン値が高い場合は、ガストリノーマとも呼ばれる)は、十二指腸G細胞腫瘍症例の約1/3にZESを引き起こす。 [24] 十二指腸G細胞カルチノイドは散発性に起こることもあるが、MEN1患者の90%が十二指腸G細胞カルチノイドを発症する。 [5] 血清ガストリン値が高い場合の臨床症状には以下がある:


  • 吐き気。

  • 嘔吐。

  • 腹痛。

  • 多発性かつ再発性の消化性潰瘍による出血。

  • 胃酸の産生過剰を原因とする胃食道逆流症。

  • 高ガストリン血症による下痢。

最も一般的な症状は腹痛である;腹痛と下痢の合併は約50%の患者にみられる。通常は病変が孤立性の散発性ガストリノーマとは対照的に、MEN1-ZES患者におけるガストリノーマは通常は多発性で5mm未満である。 [5]

ソマトスタチン産生D細胞腫瘍はファーター膨大部内および周辺領域にのみ発生し、D細胞カルチノイド患者の実に50%がNF1である。 [34] NF1患者のほとんどが黒人女性であり、腫瘍は膨大部周囲領域にのみ位置する。 [15] [32] こうした腫瘍の位置の結果として、これらの腫瘍は黄疸や膵炎、出血など、局所閉塞による症状および徴候を引き起こす。D細胞カルチノイドはソマトスタチンを産生するが、脂肪便症、下痢、糖尿病、低酸症および胃酸欠乏症、貧血、および胆石症といった過剰なソマトスタチンによる全身症状がみられることはまれである。 [31]

空腸および回腸カルチノイド

ほとんどの空腸および回腸カルチノイドは銀親和性で、サブスタンスPを含み、セロトニン産生EC細胞腫瘍であり、肝転移または後腹膜リンパ節転移が存在する場合には、カルチノイド症候群を生じる。L細胞、グルカゴン様ポリペプチド産生、膵ポリペプチドおよびポリペプチドYY産生腫瘍はあまりみられない。 [24] 回腸カルチノイドは回腸末端に優先的に発生する。 [12] 空腸および回腸カルチノイドは男性および女性に同等に起こり、平均年齢は65.4歳である。 [3] 他のカルチノイドと同様に、空腸および回腸カルチノイドの生物学的行動および転移能はさまざまである。典型的に、小腸のEC細胞カルチノイドはリンパ節および肝臓に転移する。 [5] これらの病変を有する患者では症状がみられないことがある。原発腫瘍により小腸閉塞、虚血、または出血が引き起こされる場合があり、一部の患者は長期に及ぶ間欠性の痙攣性腹痛、体重減少、疲労、腹部膨満、下痢、または吐き気と嘔吐を訴える。 [5] [23] [35]

診断時、回腸NET(すなわち、カルチノイド + 低分化型神経内分泌がん)は一般に2cmを超え、所属リンパ節に転移している;40%もの症例で腫瘍は多発性である。 [12] 免疫細胞化学的に、細胞にはセロトニン、サブスタンスP、カリクレイン、およびカテコールアミンが認められる。回腸NET患者の約20%が所属リンパ節および肝臓に転移を来している。消化管カルチノイドのほとんどは門脈循環へ生理活性ペプチドおよびアミンを分泌し、こうした生化学的メディエータの効果は肝臓の解毒作用によって、減弱または無効にされる;したがって、カルチノイド症候群(例、紅潮、下痢、および心内膜線維症)は、肝転移を来し、肝臓のセロトニン解毒がバイパスされている患者にのみ起こる。

虫垂カルチノイド

虫垂カルチノイドのほとんどがセロトニン産生EC細胞腫瘍で、空腸および回腸に発生するカルチノイドに類似している;これより頻度が低い虫垂カルチノイドとしては、結腸カルチノイドに類似したL細胞腫瘍が挙げられる。 [16] 虫垂での両細胞型腫瘍の生物学的行動は、回腸および虫垂以外の結腸の腫瘍のそれと比べて著しく異なっている。ほとんどの虫垂カルチノイドは良性の臨床経過をたどり、転移しないが、これはおそらく虫垂での増殖は閉塞、虫垂炎を起こして、その後に外科切除されるためであろう。 [5] [36] 虫垂カルチノイドはすべての年齢層の患者に発生するが、この腫瘍の患者は、虫垂に発生する他の種類の新生物または他の部位のカルチノイドと診断された患者よりもはるかに若い傾向がある。虫垂カルチノイドは女性患者に比較的多くみられると報告されている。 [3] [5] しかしながら、年齢と性別のパターンは、炎症性虫垂炎に対して典型的に虫垂切除を受ける患者が比較的若年であること、および骨盤手術中の女性に付随して実施される虫垂切除数が多いことを反映した、見かけ上の傾向である可能性がある。

大腸カルチノイド

ほとんどの大腸カルチノイドは直腸に発生する;盲腸に生じるのは少数である。 [5] 盲腸では、銀親和性EC細胞カルチノイドが最も一般的であり、これより遠位の結腸では次第に頻度が減り、直腸ではまれである。 [31] 直腸カルチノイドは消化管カルチノイドの約1/4を占め、全直腸がんの1%未満を占める。 [3] [31] ほとんどの直腸カルチノイドはL細胞分化を示す。結腸カルチノイド患者の診断時平均年齢は66歳で、直腸カルチノイドでは56.2歳である。大腸カルチノイドについて性別による特異的な偏向は認められないが、直腸カルチノイドは黒人集団で比較的一般的である。 [3] [37] 腹痛と体重減少が結腸カルチノイドの典型的症状であるが、直腸カルチノイド患者の50%以上が無症状であり、そうした腫瘍はルーチンの直腸検査またはスクリーニング内視鏡検査で発見される。 [24] 直腸カルチノイドの症状としては、出血、疼痛、および便秘が挙げられる。結腸カルチノイドを原発とする転移性疾患がカルチノイド症候群を引き起こすことがある一方で、直腸カルチノイドを原発とする転移性疾患はカルチノイド症候群に関連していない。 [5] [38]

診断方法:生化学マーカー、画像検査、およびアプローチ

生化学マーカー

消化管カルチノイドの診断における生化学的検査には、24時間尿中5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)の収集(特異度は約88%)が挙げられるが、5-HIAAの感度は35%と低いことが報告されている。 [39] [40] [41] 時間を要する検査である5-HIAAでは、バナナやトマト、ナスなどのセロトニンを多く含む食べ物を摂取しないようにする必要がある。 [42] クロム親和性顆粒の可溶性蛋白分画(CgBおよびCgCも含む)の1つとして、1967年の副腎分泌物の研究で最初に記述された血漿クロモグラニンA(CgA)の測定も有用である。 [43] CgAの血漿濃度はカルチノイドに対して非常に感度の高いマーカーであるが、膵がんや小細胞肺がんなど、他のタイプのNETにおいても高くなるため特異度は低い。 [44] [45] [46] 血漿CgAは、尿中5-HIAAよりも優れたカルチノイドに対する生化学マーカーのようである。 [47] 多数の研究により、血漿CgAと疾患の重症度との関連が明らかにされている。 [26] しかしながら、プロトンポンプ阻害薬の投与を受けている患者では、血漿CgA値が偽陽性となる場合があり、それは短期間の低用量の治療でも起こることが報告されている。 [48] [49] 他にも多くの生化学マーカー-サブスタンスP、ニューロテンシン、ブラジキニン、ヒト絨毛性ゴナドトロピン、神経ペプチドL、膵ポリペプチドなど-がNETと関連しているが、いずれも5-HIAAまたはCgAの特異度あるいは予測値よりも劣っている。 [44]

画像検査

消化管カルチノイドに対する画像検査法には、111インジウム-オクトレオチドによるソマトスタチンシンチグラフィ;99mTcメチレンジホスホン酸(99mTcMDP)による骨シンチグラフィ;123I-メタヨードベンジルグアニジン(MIBG)シンチグラフィ;コンピュータ断層撮影(CT);カプセル内視鏡検査(CE);小腸鏡検査;および血管造影法が挙げられる。 [26]

ソマトスタチン受容体シンチグラフィ

ソマトスタチン受容体(SSTR)には5つの異なるサブタイプがある;消化管および膵臓の両方のNETの70%以上が複数の受容体サブタイプを発現し、受容体サブタイプ2[sst(2)]および受容体サブタイプ5[sst(5)]が優勢である。 [50] [51] 合成放射標識SSTRアナログ、111In-DTP-d-Phe10-{octreotide}によって、カルチノイド、特にsst(2)陽性およびsst(5)陽性腫瘍の位置を特定するための重要な手法である、ソマトスタチン受容体シンチグラフィ(SRS)が可能になっている;ソマトスタチン受容体シンチグラフィは単回で実施され、複数回の実施が必要な従来の画像検査または画像検査技術を用いる場合よりも容易に小さな原発腫瘍や転移巣を診断できる。 [26] [52] [53] オクトレオチドスキャンの全体的な感度は90%にも及ぶことが報告されている;しかしながら、さまざまな技術的問題、小さな腫瘍径、またはSSTRの発現が不十分であることなどによって、検出できないことがある。 [26] [54]

骨シンチグラフィ

99mTcMDP骨シンチグラフィはNETにおける骨転移を同定するための主要な画像検査法であり、検出率は90%以上であると報告されている。 [26] 123I-MIBGは70%もの症例でノルエピネフリンと同じ機序を通じてカルチノイドによって濃縮され、カルチノイドを可視化するために使用され、成功を収めている;ただし、123I-MIBGが腫瘍を検出する感度は111In-オクトレオチドシンチグラフィの半分程度のようである。 [26] [55]

CT/MRI

CTおよび磁気共鳴画像法(MRI)はカルチノイド原発巣および/または転移巣の最初の位置確認に用いられる重要な検査法である。CTおよび/またはMRIの検出率および感度の中央値は80%と推定されている;CT単独による検出率は76%~100%であるのに対し、MRIの検出率は67%~100%である。 [26] CTおよびMRIは、これら両画像検査技術で病変が見逃される場合がある(111In-オクトレオチドシンチグラフィでは検出される)ため、腫瘍の最初の位置確認にのみ用いられる;1件の研究では、特にリンパ節および肝外部位では患者の50%で病変が見逃されたことが示されている。 [26] [56]

PET

消化管カルチノイドを可視化する画像検査法として有望なポジトロン放射断層撮影(PET)のアプローチは、放射性物質標識セロトニン前駆体の11C-5-ヒドロキシトリプトファン(11C-5-HTP)を用いるアプローチであろう。11C-5-HTPを用いた場合の腫瘍の検出率は100%にもなると報告されており、一部の研究者は、NETを検出するための普遍的な検出法として11C-5-HTP PETを用いるべきであると結論づけた。 [57] [58] [59] 消化管カルチノイド患者18人を含むNETの1件の研究では、11C-5-HTP PETによって95%の患者で腫瘍病変が発見された。58%の症例では、11C-5-HTP PETによって、SRSおよびCTよりも多くの病変が検出されたのに対し、11C-5-HTP PETで検出された病変の方が少なかったのは7%であった。 [59] このほか、テクネチウム標識同位元素の使用、CT/MRIと18F-DOPA PETの併用、131 MIBGと111In-オクトレオチドの併用、68Gaと64Cuの同位元素とオクトレオチドのカップリングなどの画像検査アプローチが研究されている。 [26]

EUS

超音波内視鏡検査(EUS)は胃および十二指腸カルチノイドの検出に感度の高い方法であり、特に腸管内腔に存在する小さな腫瘍(2mm~3mm)の検出には、従来の超音波検査よりも優れていると考えられる。 [60] [61] 1件の研究において、EUSは大腸カルチノイドの位置確認および病期分類について正確度が90%であると報告された。 [62]

CE

消化管カルチノイドの診断におけるCEの開発は初期段階にあるが、この技術は小腸カルチノイドの検出に有用であると証明される可能性がある。 [63]

小腸鏡検査

ダブルバルーン小腸鏡検査はカルチノイドを含む小腸腫瘍の診断において研究されている時間を要する手技である。 [64] [65] ダブルバルーン小腸鏡検査は、通常は全身麻酔下で実施されるが、意識下鎮静法を用いて実施することも可能である。

血管造影法

MRI血管造影法は、かなりの程度まで血管造影法に取って代わりつつある。それでも、選択的および超選択的血管造影法は、以下の場合に有用であろう:


  • 腫瘍の血管分布の程度を示す。

  • 血管供給の源を特定する。

  • 腫瘍と隣接する大血管との関係を描写する。

  • 血管浸潤に関する情報を提供する。

血管造影法は、特に門脈および上腸間膜動脈に近接した大きな浸潤性病変の症例において手術の補助として有用であろう。全体的に、この画像技術は腫瘍または腫瘍関連血管のかなり正確な組織分布的描写を提供し、切除を容易にする。 [26]

一般的な診断方法

当然ではあるが、消化管カルチノイドの診断方法は解剖学的な位置によって異なる。2004年には、消化管カルチノイドの部位特異的な診断方法について詳述しているEuropean Neuroendocrine Tumor Society [66] に代わって、消化管NETの診断と治療に関する統一見解が発表された。

予後因子

消化管カルチノイド患者の臨床経過および治療成績を決定する因子は複雑かつ多面的であり、以下のものが挙げられる: [67]


  • 原発部位。

  • 原発腫瘍径。

  • 腫瘍の解剖学的進展度。

増殖抗原Ki-67およびがん抑制蛋白p53の発現増加は不良な予後と関連している;しかしながら、一部の研究者は、Ki-67指数は胃病変の予後の判断においてのみ有用であると提唱しており、予後に関する一貫した遺伝子マーカーは未だ発見されていないと主張している。 [9] 不良な臨床的予後指標には以下がある:


  • カルチノイド症候群。

  • カルチノイド心疾患。

  • 腫瘍マーカー、尿中5-HIAAおよび血漿クロモグラニンAの濃度が高値。

フォローアップと生存率

一般に、虫垂および直腸カルチノイド患者では、胃、小腸、結腸に腫瘍が発生する患者よりも生存期間が長い。小腸に発生するカルチノイドは小さいものでも、虫垂、結腸、および直腸カルチノイドよりも転移する傾向が強い。 [67] 虫垂および直腸カルチノイドは通常、最初の発見時に小さく、転移を来していることはまれである。数件のケースシリーズおよびレビューでは、転移が認められた場合、5年生存率は39%~60%低下していた。 [3] [68] [69] [70] [71] しかしながら、一部の転移性カルチノイド患者では生存期間が数年継続し、臨床経過が緩慢である一方で、他の患者は侵攻性で悪性の経過をたどり、生存期間が短期である。多数の患者サンプルにおいて転移が認められると生存期間が短くなるが、個々の患者の臨床経過を予測するには転移の存在単独では不十分である。

小腸カルチノイドの約35%はカルチノイド症候群を伴う。比較的一般的な虫垂および直腸カルチノイドでこの症候群が起こることはまれであり、他の部位のカルチノイドにおけるこの症候群のリスクは中等度である。 [71] [72] カルチノイド心疾患について心エコー基準を用いた調査により、カルチノイド症候群患者における有病率は35%~77%であることが明らかにされた。 [73] [74] [75] [76] [77] 三尖弁は肺動脈弁よりも頻繁かつ重度に影響を受け、カルチノイド心疾患(特に三尖弁機能異常)が認められ、重症である場合には、生存期間が短くなる。 [74] [76] [77] [78] 中腸カルチノイド症候群の患者64人を対象にした1件の研究では、重度のカルチノイド心疾患患者に対する5年生存率が30%であったのに対し、カルチノイド心疾患を有さない患者では75%であった。 [76]

別の研究において、尿中5-HIAA濃度が300μmol/24時間を超えていた中腸カルチノイド患者では、尿中5-HIAA濃度が低かった患者と比較して生存率は統計的に有意に低かった。 [79] 同様に、中腸カルチノイド症候群患者を対象にした研究では、尿中5-HIAA濃度が500μmol/24時間を超えると生存期間が短くなることが示された。 [76] 尿中5-HIAA濃度の上昇の程度はまた、カルチノイド症状の重症度とも関連しており、カルチノイド心不全の患者では最も高い濃度が観察されている。 [76] [80] 1件の研究において、低悪性度腫瘍および周囲の間質細胞による血管内皮増殖因子(VEGF)の発現は無増悪生存期間(PFS)と関連していた;VEGFを強く発現している患者と弱く発現している患者のPFS期間中央値はそれぞれ、29ヵ月および81ヵ月であった。 [81]

関連する要約

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参考文献
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消化管カルチノイドの細胞分類および病理学的分類

正常では、さまざまな神経内分泌細胞が消化管粘膜および粘膜下層に存在する。消化管神経内分泌細胞のタイプ、位置、および分泌産物は十分に定義されており、以下の表1に要約されている。上述のように、各カルチノイドには、解剖学的位置および神経内分泌細胞のタイプに基づく特異的な組織学的および免疫組織化学的特徴がある。しかしながら、いずれのカルチノイドもそれらを高分化型神経内分泌腫瘍(NET)に分類させている病理学的特徴を共有している。 [1]

表1.消化管神経内分泌細胞a

CCK = コレシストキニン;D = ソマトスタチン産生;EC = 腸クロム親和性;ECL = 腸クロム親和性様;G = ガストリン細胞;GIP = 胃抑制ポリペプチド;L = 腸内分泌;M = モチリン;N = ニューロテンシン;PP = 膵ポリペプチド;S = セクレチン。
a 出典: [1] [2] [3]

細胞型

位置

分泌産物

G細胞 幽門洞および十二指腸 ガストリン
ECL細胞 胃底部および胃体部 ヒスタミン
D細胞 胃、十二指腸、空腸、結腸、および直腸 ソマトスタチン
EC細胞 胃、十二指腸、空腸、回腸、結腸、および直腸 セロトニン、モチリン、およびサブスタンスP
CCK細胞 十二指腸および空腸 コレシストキニン
GIP細胞 十二指腸および空腸 胃抑制ポリペプチド
M細胞 十二指腸および空腸 モチリン
S細胞 十二指腸および空腸 セクレチン
PP細胞 十二指腸 膵ポリペプチド
L細胞 空腸、回腸、結腸、および直腸 ポリペプチドYY
N細胞 空腸および回腸 ニューロテンシン


2000年に更新された世界保健機構(WHO)の消化管NETの分類は、腫瘍の位置および分化に応じた特異的な生物学的行動を説明しているため、新たに診断された消化管NET患者の臨床と予後に関して有用である。 [4] [5]

この分類では以下について区別されている:


  • 予後がきわめて優れた高分化型で、ほとんどが良性の腫瘍。

  • 低悪性度で予後良好な高分化型がん。

  • 高悪性度で予後不良な低分化型がん(小細胞および少数の大細胞)。

この分類において、カルチノイド(すなわち定型的カルチノイド)という用語は、膵臓を除いた消化管の高分化型NETにのみ用いられる;悪性カルチノイド(すなわち非定型的カルチノイドという用語は、同じ消化管部位の対応する高分化型NETに対して用いられる。 [6] [7] NETの予後における細胞増殖指標の役割に関しては、多少の不確実性が認められるものの、低分化型がんが非常に侵攻的であり、特異的な治療アプローチを要することは明らかである。 [7] [8] [9] 第二段階として、WHO分類では腫瘍の予後に関連した分類を行うために、消化管NETを腫瘍の位置および生物学に基づいて下位分類している。 [5] [6] [7] [9] この下位分類における消化管の解剖学的位置は、以下の通りである:


  • 胃(4つの異なるタイプ)。

  • 十二指腸(および近位空腸)(5つの異なるタイプ)。

  • 回腸(遠位空腸を含む)。

  • 虫垂。

  • 大腸。

(細胞型および解剖学的部位の臨床病理学的相関に関する詳しい情報については、本要約の消化管カルチノイドに関する一般情報のセクションの部位特異的な臨床的特徴のサブセクションを参照のこと。)

またWHOの分類スキームでは、消化管NETが膵NET(膵島細胞腫瘍)とともにまとめられ、胃腸膵NET(GEP-NET)として分類されている。しかしながら、消化管NETと膵NETとでは染色体変化のパターンと分子遺伝学的特徴が異なるため、一部の研究者らは、このGEP-NETの分類を再評価する必要があると提唱している。 [7] [9] [10]

臨床および予後との関連が証明された分子的変化および遺伝子変化が認められなかったため、分類には従来の形態学的および組織病理学的基準のみが用いられた。これらの基準には、分化の程度のほか、以下のものが含まれた:


  • 腫瘍径。

  • 血管浸潤の有無。

  • 増殖活性(Ki-67指数により測定)。 [5] [6]

高分化型NETの増殖パターンおよび細胞の特徴に関する従来の細胞学的および組織病理学的評価は、腫瘍の機能的行動および悪性度の予測において、ほとんど有用ではないことが多い。一般的に、胃、虫垂、または直腸に発生する定型的カルチノイドの予後はきわめて優れている。 [6] これとは対照的に、重度の核異型、高い分裂指数、少数の分泌顆粒を示す細胞で構成される低分化型NETは、常に高悪性度悪性腫瘍である。 [7]

消化管NETの同定に有用な診断マーカーとしては以下のものがある:


  • ニューロン特異的エノラーゼ、protein gene product 9.5、ヒスチジンカルボキシラーゼ、小胞モノアミントランスポーター2(VMAT2)、神経細胞接着因子CD56などの細胞質ゾルおよび細胞膜マーカー(高い感度および低い特異度)。

  • シナプトフィジンおよびシナプス小胞蛋白2などの小胞関連マーカー(高い感度および高い特異度)。

  • クロモグラニンA、B、CおよびCD57など、大きな分泌顆粒関連マーカー(低い感度および高い特異度)。

  • ソマトスタチン受容体。

  • セロトニン、ソマトスタチン、ガストリンなどの特異的ペプチドホルモンマーカー。 [7] [8]

特定の消化管NETに非常に特異的なホルモンとしては、回腸および虫垂NETに対するセロトニンおよびサブスタンスP、およびECLomasに対するVMAT2が挙げられる。 [7]


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  7. Klöppel G: Tumour biology and histopathology of neuroendocrine tumours. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 15-31, 2007.[PUBMED Abstract]

  8. Williams GT: Endocrine tumours of the gastrointestinal tract-selected topics. Histopathology 50 (1): 30-41, 2007.[PUBMED Abstract]

  9. Klöppel G, Perren A, Heitz PU: The gastroenteropancreatic neuroendocrine cell system and its tumors: the WHO classification. Ann N Y Acad Sci 1014: 13-27, 2004.[PUBMED Abstract]

  10. Zikusoka MN, Kidd M, Eick G, et al.: The molecular genetics of gastroenteropancreatic neuroendocrine tumors. Cancer 104 (11): 2292-309, 2005.[PUBMED Abstract]

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消化管カルチノイドの病期情報

TNMの定義

米国がん合同委員会(AJCC)は、神経内分泌腫瘍を定義するためTNM分類による病期分類を指定している。 [1]

本病期分類システムは、AJCC Cancer Staging Manual第7版向けに新たに定義された。 [1]

神経内分泌腫瘍:胃

表2.原発腫瘍(T)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
Tis 粘膜に限局する上皮内がん/異形成(腫瘍径 < 0.5mm)。
T1 腫瘍が粘膜固有層または粘膜下層に浸潤し、腫瘍径は1cm以下である。
T2 腫瘍が固有筋層に浸潤しているか、腫瘍径が1cmを超える。
T3 腫瘍が漿膜下層を貫通している。
T4 腫瘍が臓側腹膜(漿膜層)や他の臓器、または隣接組織に浸潤している。
いずれのTについても、多発性腫瘍には(m)を追加する。


表3.所属リンパ節(N)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 所属リンパ節に転移を認める。


表4.遠隔転移(M)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


神経内分泌腫瘍:十二指腸/膨大部/空腸/回腸

表5.原発腫瘍(T)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
b膨大部神経節細胞傍神経節腫については、ファーター膨大部に限局する腫瘍。
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
T1 腫瘍が粘膜固有層または粘膜下層に浸潤し、腫瘍径は1cm以下であるb(小腸腫瘍);腫瘍径は1cm以下である(膨大部腫瘍)。
T2 腫瘍が固有筋層に浸潤しており、腫瘍径が1cmを超える(小腸腫瘍);腫瘍径が1cmを超える(膨大部腫瘍)。
T3 腫瘍が固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤するが、上に重なる漿膜の貫通は認められない(空腸または回腸腫瘍)か、膵臓または後腹膜(膨大部または十二指腸腫瘍)あるいは腹膜非被覆組織に浸潤している。
T4 腫瘍が臓側腹膜(漿膜層)、または他の臓器に浸潤している。
いずれのTについても、多発性腫瘍には(m)を追加する。


表6.所属リンパ節(N)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 所属リンパ節に転移を認める。


表7.遠隔転移(M)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


神経内分泌腫瘍:結腸または直腸

表8.原発腫瘍(T)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
T1 腫瘍が粘膜固有層または粘膜下層に浸潤し、腫瘍径は2cm以下である。
T1a 腫瘍の最大径が1cm未満である。
T1b 腫瘍の最大径は1~2cmである。
T2 腫瘍が固有筋層に浸潤し、腫瘍径は粘膜固有層または粘膜下層への浸潤を伴って2cmを超える。
T3 腫瘍が固有筋層を越えて漿膜下層に浸潤するか、結腸周囲または直腸周囲の腹膜非被覆組織に浸潤している。
T4 腫瘍が腹膜または他の臓器に浸潤している。
いずれのTについても、多発性腫瘍には(m)を追加する。


表9.所属リンパ節(N)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 所属リンパ節に転移を認める。


表10.遠隔転移(M)a

aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


表11.胃、十二指腸/膨大部/空腸/回腸、および結腸または直腸の解剖学的病期/予後グループa

病期 T N M
aAJCCから許諾を得て転載:Neuroendocrine tumors.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.
0 Tis N0 M0
I T1 N0 M0
IIA T2 N0 M0
IIB T3 N0 M0
IIIA T4 N0 M0
IIIB すべてのT N1 M0
IV すべてのT すべてのN M1


虫垂カルチノイド

以前にTNMで分類されていないカルチノイドに対して、新たな分類が追加されている。これは新規の分類である。虫垂がんと虫垂カルチノイドの分類スキーム間および虫垂カルチノイドと他の高分化型消化管神経内分泌腫瘍(カルチノイド)間にはかなりの違いがある。 [2]

血清クロモグラニンAは重要な予後因子として確認されている。 [2]

表12.原発腫瘍(T)a、b

aAJCCから許諾を得て転載:Appendix.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 133-41.
b肉眼的に他の臓器または組織に癒着する腫瘍は、cT4と分類される。しかしながら、癒着部に顕微鏡的に腫瘍が認められない場合は、分類は壁浸潤の解剖学的深度に応じてpT1-3とすべきである。
c虫垂間膜の貫通は原発腫瘍径ほど重要な予後因子とは考えられず、単独で分類されることはない。
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
T1 腫瘍の最大径が2cm以下である。
T1a 腫瘍の最大径が1cm以下である。
T1b 腫瘍径が1cmを超えるが2cm以下である。
T2 腫瘍径が2cmを超えるが4cm以下であるか、盲腸への進展を伴う。
T3 腫瘍径が4cmを超えるか、回腸への進展を伴う。
T4 腫瘍が直接他の隣接する臓器または組織、例えば、腹壁および骨格筋に浸潤している。c


表13.所属リンパ節(N)a

aAJCCから許諾を得て転載:Appendix.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 133-41.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 所属リンパ節に転移を認める。


表14.遠隔転移(M)a

aAJCCから許諾を得て転載:Appendix.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 133-41.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


pTNM病理学的分類。

pT、pN、pM分類は、pM0が分類として存在しない以外はT、N、M分類と一致する。 [2]

pN0。

所属リンパ節郭清で採取された標本の組織学的検査では通常、12個以上のリンパ節が含まれる。通例検査される数が満たされていなくてもリンパ節転移陰性であれば、pN0と分類する。 [2]

表15.解剖学的病期/予後グループa

カルチノイド
aAJCCから許諾を得て転載:Appendix.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 133-41.

病期

T

N

M

I T1 N0 M0
II T2、T3 N0 M0
III T4 N0 M0
すべてのT N1 M0
IV すべてのT すべてのN M1


カルチノイド。

カルチノイドには組織学的悪性度分類は行われないが、10 hpf当たり2~10個の細胞分裂数および/または病巣壊死は、虫垂よりも肺にはるかに一般的にみられるタイプの非定型的カルチノイド(高分化型神経内分泌がん)の特徴である。 [2]

杯細胞カルチノイドは、がん分類スキームに従って分類される。 [2]

この病期分類は、虫垂に発生するカルチノイドに適用される。杯細胞カルチノイドの組織型には以下がある: [2]


  • カルチノイド。

  • 高分化型神経内分泌腫瘍。

  • 管状カルチノイド。

  • 杯細胞カルチノイド。

  • アデノカルチノイド。

  • 非定型的カルチノイド。

切除後の高分化型神経内分泌がん(腫瘍による肉眼的浸潤が認められる切除断端に関連している)。 [2]

表16.残存腫瘍(R)a

がんおよびカルチノイド
aAJCCから許諾を得て転載:Appendix.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 133-41.
R0 組織学的に切除断端が陰性である完全切除;切除後に残存腫瘍が残っていない。
R1 組織学的に切除断端に浸潤が認められる不完全切除;肉眼的病変の切除後に顕微鏡的腫瘍が残存する(腫瘍による顕微鏡浸潤が認められる切除断端に関連している)。
R2 切除断端に浸潤が認められるか、肉眼的病変が残存する不完全切除。



参考文献
  1. Neuroendocrine tumors. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 181-9.[PUBMED Abstract]

  2. Appendix. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 133-41.[PUBMED Abstract]

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消化管カルチノイドに対する治療法選択肢の概要

消化管カルチノイド患者に対する標準治療には、以下のものがある:


  • 手術。

  • ソマトスタチンアナログ。

  • インターフェロン

  • 肝転移の治療。

  • 放射性核種。

  • カルチノイド関連線維症の管理。

  • 対症療法。

臨床試験で検証中の治療には、以下のものがある:


  • 分子標的治療。

  • 症状緩和のための治療。

  • 抗線維化療法。 [1]

手術

消化管カルチノイドに対して治癒の可能性がある唯一の治療(20%もの患者で治癒が得られうる)は、原発腫瘍および局所リンパ節の切除である。 [2] [3] [4] 内視鏡手術は、腫瘍の位置、数、大きさ、および悪性度のよっては一部の腫瘍に適切であろう。 [4] 肝臓以外の原発巣の切除により、生存期間中央値は69~139ヵ月に延長している。 [5] [6] ただし、切除の範囲は、腫瘍の原発部位、周辺組織への拡がり、および転移の範囲によって異なる。 [1]

ソマトスタチンアナログ

ソマトスタチンアナログの長時間作用性のデポ製剤の開発は、カルチノイド症候群による症状の改善に重要となっている。その結果、比較的軽度の有害作用でQOLがかなり改善している。 [1] [7] ソマトスタチンが神経伝達、運動および認知機能、平滑筋収縮性、外分泌腺機能、腸運動、栄養素およびイオンの吸収を抑制する効果は、サイクリックアデノシン1リン酸の抑制を介して発揮される。 [8] [9] 実験上、ソマトスタチンは腫瘍細胞に対して細胞増殖抑制効果を有することが示されている。この効果には、ソマトスタチン受容体(SSTR)サブタイプ3[sst(3)]を介した(およびより低い程度ではあるが、SSTRサブタイプ2[sst(2)]を介した)アポトーシスに加えて、網膜芽細胞腫遺伝子産物の過剰リン酸化およびG1細胞周期停止が関係している。 [10] [11] [12] ソマトスタチンはまた、血管新生抑制作用を有するようである。 [1] しかしながら、ソマトスタチンアナログ療法で治療された患者のうち、部分的な腫瘍の退縮を経験するのはごく少数である。 [1] [4]

現在利用可能なソマトスタチンアナログは、sst(2)およびSSTRサブタイプ5に対して高い親和性を、SSTRサブタイプ1およびSSTRサブタイプ4に対して低い親和性を、そしてsst(3)に対して中程度の親和性を示す。(詳しい情報については、本要約の消化管カルチノイドに関する一般情報のセクションのソマトスタチン受容体シンチグラフィのサブセクションを参照のこと。)短時間作用性のソマトスタチンアナログで、カルチノイドの管理に用いられた最初の生物学的治療薬であるオクトレオチドは症状緩和にのみ有益な効果を示し、患者の約70%で下痢または紅潮が回復する。 [1] [4]

カルチノイドの治療においては、10~14日ごとに投与する長時間作用性のソマトスタチンアナログのlanreotideでオクトレオチドと同等の効力が得られ、患者の使用にも好ましい製剤である。 [13] lanreotideの症状緩和効果はオクトレオチドのそれと同等であり、75%~80%の患者が下痢および紅潮の緩和を報告している;しかしながら、腫瘍の反応については、短時間作用性のオクトレオチドを上回る改善はほとんど得られていないようである。 [1] デポ製剤には、長時間作用性で反復投与可能な(LAR)オクトレオチドおよび徐放性デポ製剤のlanreotideがある。短時間作用性オクトレオチド皮下注と月1回のLARオクトレオチドを比較した1件の研究では、転移性疾患の診断時からの生存期間中央値の延長が報告され(143ヵ月 vs 229ヵ月でLAR製剤が支持された)、LAR製剤で治療された患者の死亡リスクは66%低かった。 [14] 転移性中腸神経内分泌腫瘍に関するランダム化比較研究では、月1回のLARオクトレオチドがプラセボと比較して腫瘍増悪までの期間の改善を示した。(本要約の治療法選択肢の概要のセクションの空腸および回腸カルチノイドのサブセクションを参照のこと。)

ソマトスタチンアナログの典型的な治療期間は、タキフィラキシーの発生(長時間作用性製剤ではそれほど頻繁ではないことが報告されている)および/または疾患進行のため、約12ヵ月である。 [15] [16] [17] カルチノイドクリーゼの管理では、ソマトスタチンアナログの静注が有効である;クリーゼは通常、麻酔、外科的介入、または放射線学的介入によって誘発される。 [18] ソマトスタチンアナログ投与に伴う有害作用には以下がある: [19] [20]


  • 吐き気。

  • 痙攣。

  • 軟便。

  • 脂肪便。

  • 心伝導異常および不整脈。

  • 内分泌障害(例、甲状腺機能低下症、低血糖、またはより一般的に、高血糖)。

  • 胃アトニー(まれ)。

胆泥および胆石症は50%もの患者で発生するが、胆嚢切除が必要な急性症状を発症する患者はほとんどいない(1%~3%)。 [21]

インターフェロン

カルチノイドの治療において最も研究されたインターフェロンインターフェロンアルファ(IFN-α)である;ソマトスタチンアナログに匹敵するIFN-αの最も顕著な効果は疾患進行の抑制および症状緩和であり、患者の約75%が下痢または紅潮の緩和を報告する。 [1] IFN-αでは、カルチノイドの治療について研究されている他のインターフェロン(例、IFN-γおよびヒト白血球インターフェロン)と同様に、脱毛、食欲不振、疲労、体重減少、発熱、インフルエンザ様症候群、骨髄抑制など、かなりの有害作用が生じる;しかしながら、IFN-αはソマトスタチンアナログよりも高い抗腫瘍活性を示すことがある。 [13] 化学療法薬は単剤でも多剤併用でも、これらの本質的に化学療法抵抗性の腫瘍の管理においては、ほとんど役割を果たさないようである;いずれのプロトコルでも15%を超える客観的腫瘍奏効率は示されていない。 [1]

肝転移の治療

肝転移の管理には、外科的切除;肝動脈塞栓;冷凍アブレーションおよびラジオ波焼灼術(RFA);および同所性肝移植が挙げられる。 [1] カルチノイド患者120人を対象にした1件の大規模なレビューにおいて、肝転移を外科的に切除された患者では96%の生化学的奏効率および61%の5年生存率が報告された。 [22] 外科的治療なしの5年生存率は約30%である。 [4] 肝動脈塞栓で最も頻繁に用いられる単一の薬剤はゼラチンパウダーである;60人以上のカルチノイド患者にゼラチンパウダーを使用した結果、生化学的反応および腫瘍縮小反応を達成した患者の割合は、それぞれ34%および42%であった。 [23] [24] [25] 化学塞栓とともに経カテーテル動脈塞栓を用いる試験も実施されており、最も徹底的に研究された併用では、ゼラチンフォームとドキソルビシンの投与とともに肝動脈結紮術を実施した(4試験および66人の患者)結果、71%の患者で生化学的反応が、約50%の患者で腫瘍退縮が得られた。 [1] しかしながら、塞栓術後の奏効期間は短期間の場合があり、塞栓術に関連する有害作用は、30%~70%の患者に起こる一過性の症状(例、疼痛、吐き気、発熱、および疲労)から、100%もの患者に起こる肝酵素の異常(すなわち、高トランスアミナーゼ血症および塞栓後症候群)や、血管作用性物質の大量放出を伴って病勢盛んで致死的となりうるカルチノイドクリーゼにまで及ぶ。 [4]

1件のプロスペクティブ試験では、神経内分泌肝転移の患者63人(カルチノイドの36人を含む)を対象に80回のRFAセッションが実施され、92%の患者が少なくとも部分的な症状緩和を報告した。同じ63人の患者において、70%に手術から1週間経過時に有意なまたは完全な緩和が得られ、周術期の罹病率は5%であった;症状コントロールの期間は11 ± 2.3ヵ月で、生存期間中央値は最初のRFA後3.9年であった。 [26] 肝転移の冷凍アブレーションに関する試験はほとんど実施されておらず、転移性疾患に対する肝移植の結果は失望させるものであるが、それは移植レシピエントの病的状態が通常は進行していることを反映している。 [1]

現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

放射性核種

カルチノイドの治療で最も一般的に使用される4つの放射性核種抱合体は、131I-MIBG(ヨウ素-131-メタヨードベンジルグアニジン)、インジウム111、イットリウム90、ルテチウム177であり、後者3つはさまざまなソマトスタチンアナログに結合する。131I-MIBGで治療された患者の腫瘍奏効率中央値は5%未満であるが、この治療様式は生化学的安定性(~50%)または腫瘍の安定性(~70%)の達成についてはいくぶん効果が高いようである。 [1] 111In標識ソマトスタチンアナログは、主としてその利用可能性を反映して現在までに最も一般的に研究されている放射性ペプチドであり、131I-MIBGと同等の治療の有益性を示すが、放射性ペプチドによる治療法における最も有望な進歩は、β線とγ線の両方を放射する177Lu-オクトレオチド酸の開発であった。 [1] ルテチウム標識ソマトスタチンアナログで現在までに治療された最大規模の患者シリーズ(n = 131;消化管カルチノイド患者65人)において、寛解率は治療前の高いオクトレオチドシンチグラフィの取り込みおよび限定的な肝腫瘍量との正の相関が示された。 [27] 肝転移が広範に及ぶ患者では、増悪までの期間中央値は、疾患が安定しているか、腫瘍が退縮した患者(> 36ヵ月)と比較して短かった(26ヵ月)。

カルチノイド関連線維症の管理

腹膜線維症に続発する腸閉塞は小腸カルチノイドの最も一般的な主症状である。右心系弁の線維化に続発する心不全は、カルチノイド線維症の重大な腸外症状であり、転移性疾患を有する患者の20%~70%に起こる;この心不全はカルチノイドによる死亡の50%もの割合を占める。 [28] [29] 現在のところ、これらの臨床問題に対する有効な薬理学的療法はない。腸閉塞を来した場合、腫瘍由来のさまざまな増殖因子に刺激されて広範な線維症が繭状の形態をとるため、しばしば癒着部の外科的剥離の技術的な要求水準が高くなる。 [30] カルチノイド心疾患を管理するには、通常、弁の置換が必要である。 [1]

対症療法

患者の非特異的支持療法には、カルチノイド症候群を改善するための主要な薬物としてソマトスタチンアナログの長時間作用性デポ製剤の使用のほかに以下のものがある:


  • 紅潮や気管支痙攣を誘発する以下のような因子を避けるように患者に助言する:
      アルコール、特定のチーズ、カプサイシンを含む食品、ナッツ類の摂取。
      ストレスの多い状況。
      ある種の身体活動。

  • 下痢はロペラミドやジフェノキシレートといった従来の止瀉薬で治療できる;これより著しい下痢は5-HT受容体サブタイプ2拮抗薬のシプロヘプタジンで治療でき、この薬物は50%もの患者で有効であり、悪性カルチノイド症候群患者における食欲不振および悪液質の緩和にも有用であろう。 [1]

  • フェキソフェナジン、ロラタジン、またはテルフェナジンによるヒスタミン1受容体遮断は、特にヒスタミン分泌胃カルチノイドにおける発疹を治療するのに有益であろう。

  • 気管支痙攣はテオフィリンまたはβ-2アドレナリン受容体作動薬(アルブテロールなど)で管理できる。 [1]

カルチノイドクリーゼは重度の紅潮、極度な血圧変動、気管支収縮、リズム障害、および数時間~数日間持続する錯乱または昏迷によって現われ、麻酔導入または侵襲的放射線手技によって引き起こされることがある。 [18] [31] この潜在的に致死性の病態は、腫瘍塊への処置(ベッドサイドでの触診を含む)、化学療法の実施、または肝動脈塞栓後に起こる場合がある。 [32] 他の原因による急性低血圧の治療とは対照的に、カルチノイドクリーゼではカルシウムおよびカテコールアミンの使用は避けるべきであるが、それはこれらの薬物が状況を永続化または悪化させうる腫瘍の生理活性メディエータを放出させるためである。血行力学的補助には、血漿注入およびオクトレオチドが用いられる。通例、カルチノイドクリーゼの治療においてはソマトスタチンアナログの使用が他の薬理学的治療法に取って代わりつつあり、その使用によって生存率が増加している。カルチノイドクリーゼの発生を避けるには、何らかの手技を行う前の適切な時期に予防的オクトレオチド皮下注またはソマトスタチンアナログデポ製剤投与を実施しておく必要がある。 [1]

分子標的治療

血管内皮増殖因子(VEGF)、血小板由来増殖因子受容体、およびmammalian target of rapamycin(mTOR)を標的としたさまざまな治療法が開発中である。 [1] [33] 研究中の治療薬としては、VEGFモノクローナル抗体のベバシズマブ;VEGFチロシンキナーゼ阻害薬のスニチニブ、vatalanib、およびソラフェニブ;mTOR阻害薬のエベロリムス(RAD001)が挙げられる。

一般的な治療法

当然のことだが、消化管カルチノイドの治療法は解剖学的な位置によって異なる。2004年には、消化管カルチノイドの部位特異的な治療法について詳述しているEuropean Neuroendocrine Tumor Society [4] に代わって、消化管神経内分泌腫瘍の診断と治療に関する統一見解が発表された。


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  33. Yao JC: Neuroendocrine tumors. Molecular targeted therapy for carcinoid and islet-cell carcinoma. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 163-72, 2007.[PUBMED Abstract]

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胃カルチノイド

1cm未満のI型胃カルチノイドは低悪性度で浸潤リスクがきわめて低く、内視鏡的粘膜切除術で切除可能である。 [1] [2] [3] 比較的大きいまたは浸潤性のまれな腫瘍には局所外科切除が実施されるが、胃切除が必要となるような大きな多発性病変を有する症例は例外的である。年1回の内視鏡サーベイランスおよび複数の胃生検を伴う頻回の胃鏡検査による経過観察が必要であり、ソマトスタチンアナログによる治療で再発が予防される。 [4]

II型胃カルチノイドについて、手術では高ガストリン血症の発生源の切除に焦点が当てられており、典型的には、多発性内分泌腫瘍1型患者においてリンパ節転移の切除を伴う十二指腸切開術を介して十二指腸ガストリノーマが切除される。 [5] [6] [7] II型胃カルチノイドは、I型胃カルチノイドに類似して一般的に経過が良性であるため、通常は(特に1cm未満の腫瘍に対して)内視鏡的切除術とその後の厳重な内視鏡サーベイランスで管理できる。 [1] [3] 比較的大きく多発性の腫瘍または胃壁深部への浸潤あるいは血管浸潤を来した患者に対しては、所属リンパ節郭清を伴う十分な外科的切除または胃切除が実施される。 [3] 多発性腫瘍を有する患者では、特に手術を行っても高ガストリン血症が解消しない場合、腫瘍の増殖を低下させるためにソマトスタチンアナログによる治療が行われる。 [4]

散発性III型胃カルチノイドはI型およびII型胃カルチノイドよりも経過が侵攻性で、胃切除および所属リンパ節郭清で治療される。 [3] 2cmを超える腫瘍または組織像が非定型的であるか、胃壁浸潤を来した腫瘍には、胃切除術または根治的胃切除術による対処が最適である。 [1] [8] [9] これらの腫瘍のほとんどは診察時に転移を来している。 [8] 5年生存率は50%近いが、遠隔転移を来した患者では、わずか10%である。 [10] [11]

胃カルチノイドの下位分類は、悪性度および長期生存率の予測に有用であり、管理の指針となる。 [12] スウェーデンの24施設の病院からの併合集団に基づいて、胃カルチノイド患者65人(51人がI型、1人がII型、4人がIII型、9人が低分化型[この研究ではIV型と指定された]であった)を対象にした1件の研究では、管理は腫瘍の型によって変更された。すべての患者のうち、3人は特異的治療を受けず、40人が内視鏡的切除または外科的切除を受け(10例では幽門洞切除術を併用された)、7人が胃全摘術を受け、1人が噴門部の胃切除を受けた;III型胃カルチノイド患者4人中の2人および低分化型腫瘍患者9人中7人では根治的腫瘍切除術を実施できなかった。(詳しい情報については、本要約の消化管カルチノイドの細胞分類および病理学的分類のセクションを参照のこと。)I型胃カルチノイドに対する5年および10年粗生存率はそれぞれ、96.1%および73.9%であった(一般集団と変わらなかった)が、低分化型胃神経内分泌腫瘍ではわずか33.3%および22.2%であった。 [12] [証拠レベル:3iiD]

最新の臨床試験

限局性消化管カルチノイドおよび局所性消化管カルチノイド患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Kulke MH: Neuroendocrine tumours: clinical presentation and management of localized disease. Cancer Treat Rev 29 (5): 363-70, 2003.[PUBMED Abstract]

  2. Ichikawa J, Tanabe S, Koizumi W, et al.: Endoscopic mucosal resection in the management of gastric carcinoid tumors. Endoscopy 35 (3): 203-6, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Akerström G, Hellman P: Surgery on neuroendocrine tumours. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 87-109, 2007.[PUBMED Abstract]

  4. Delle Fave G, Capurso G, Milione M, et al.: Endocrine tumours of the stomach. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (5): 659-73, 2005.[PUBMED Abstract]

  5. Bordi C, Falchetti A, Azzoni C, et al.: Aggressive forms of gastric neuroendocrine tumors in multiple endocrine neoplasia type I. Am J Surg Pathol 21 (9): 1075-82, 1997.[PUBMED Abstract]

  6. Richards ML, Gauger P, Thompson NW, et al.: Regression of type II gastric carcinoids in multiple endocrine neoplasia type 1 patients with Zollinger-Ellison syndrome after surgical excision of all gastrinomas. World J Surg 28 (7): 652-8, 2004.[PUBMED Abstract]

  7. Norton JA, Melcher ML, Gibril F, et al.: Gastric carcinoid tumors in multiple endocrine neoplasia-1 patients with Zollinger-Ellison syndrome can be symptomatic, demonstrate aggressive growth, and require surgical treatment. Surgery 136 (6): 1267-74, 2004.[PUBMED Abstract]

  8. Rindi G, Bordi C, Rappel S, et al.: Gastric carcinoids and neuroendocrine carcinomas: pathogenesis, pathology, and behavior. World J Surg 20 (2): 168-72, 1996.[PUBMED Abstract]

  9. Rindi G, Azzoni C, La Rosa S, et al.: ECL cell tumor and poorly differentiated endocrine carcinoma of the stomach: prognostic evaluation by pathological analysis. Gastroenterology 116 (3): 532-42, 1999.[PUBMED Abstract]

  10. Modlin IM, Kidd M, Latich I, et al.: Current status of gastrointestinal carcinoids. Gastroenterology 128 (6): 1717-51, 2005.[PUBMED Abstract]

  11. Akerström G, Hellman P, Hessman O: Gastrointestinal carcinoids. In: Lennard TWJ, ed.: Endocrine Surgery. 4th ed. Philadelphia, Pa: WB Saunders Ltd, 2009, pp 147-76.[PUBMED Abstract]

  12. Borch K, Ahrén B, Ahlman H, et al.: Gastric carcinoids: biologic behavior and prognosis after differentiated treatment in relation to type. Ann Surg 242 (1): 64-73, 2005.[PUBMED Abstract]

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十二指腸カルチノイド

十二指腸カルチノイドはまれであり、外科的治療の至適切除範囲に関するコンセンサスは得られていない。 [1] 十二指腸カルチノイドを病理学的に診断された患者24人のレトロスペクティブレビューでは、大部分の腫瘍(89%)が直径2cm未満で、ほとんど(85%)が粘膜または粘膜下層にとどまっていた。リンパ節転移はリンパ節を検査された13人の患者のうち7人(54%)の手術標本で同定されたが、この中には腫瘍が粘膜下層にとどまり、腫瘍径が1cm未満であった2人の患者が含まれていた。平均追跡期間46ヵ月経過時の疾患特異的生存率は100%であり、所属リンパ節に再発が認められた患者は2人だけであった。遠隔転移を来した患者やカルチノイド症候群を発症した患者は報告されなかった。 [1] [証拠レベル:3iiB]この研究の著者らは、十二指腸カルチノイドは低悪性度であるが、腫瘍径または浸潤の深さに基づいて所属リンパ節転移の存在を確実に予測することは不可能であり、所属リンパ節転移が生存に及ぼす影響は不明であると結論づけた。

一般的に、原発性十二指腸カルチノイドの内視鏡的切除は腫瘍が1cm未満の場合に最も適切なようである。 [1] 2cm未満の十二指腸カルチノイドは局所切除が可能である;1cm~2cmの腫瘍に完全切除を実施するには、手術による全層切除が確実である。 [1] [2] 追跡内視鏡検査が適応とされる。1cmを超える腫瘍を内視鏡で完全に切除するのは困難な場合があり、粘膜下層を越えて浸潤している可能性があるため、内視鏡的切除術を試みる前に超音波内視鏡検査により評価すべきである。 [3]

2cmを超える腫瘍では適切に管理しても問題が生じうる。 [2] しかしながら、一般的にこれらの腫瘍は、手術による全層切除および所属リンパ節郭清で治療できる。これらの腫瘍ではリンパ節転移の発生率が高いため、術前画像検査が陰性であってもリンパ節郭清術が実施される。 [1]

また、一部の著者は、2cmを超える腫瘍に対する所属リンパ節郭清には以下の部位のリンパ節を含めるように推奨している:


  • 十二指腸および膵頭の後部および下大静脈の前部。

  • 胆管および門脈の後外側。

  • 総肝動脈前部。 [1] [4]

治療前の画像検査または手術時に発見された異常なリンパ節は、原発腫瘍径に関係なく切除すべきである。未切除の肉眼的に明らかなリンパ節転移の自然史についてはほとんど知られていないため、切除を行わない場合は手術以外の管理が支持される。リンパ節転移陽性患者は、原発腫瘍径に関係なくX線撮影による継続的なサーベイランスを受けるべきである。 [1]

膨大部および膨大部周囲領域十二指腸カルチノイドは、十二指腸の他の部位に発生するカルチノイドとは臨床的、組織学的、および免疫組織化学的に異なるため、特別な検討に値する。 [5] 膨大部および膨大部周囲領域十二指腸カルチノイドはまれであるため最終的な自然史の確立は進んでいないが、これらの腫瘍の行動は予測不可能に思われ、治療選択肢を検討する場合には異なるカテゴリーのカルチノイドとしてみなされる場合がある。 [2] 十二指腸の他の部位の腫瘍と比較して、膨大部および膨大部周囲領域十二指腸カルチノイドは小さくても(1cm未満)、全く異なった侵攻性の行動を示し、早期に転移しうる。 [5] [6]

最新の臨床試験

限局性消化管カルチノイドおよび局所性消化管カルチノイド患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

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参考文献
  1. Mullen JT, Wang H, Yao JC, et al.: Carcinoid tumors of the duodenum. Surgery 138 (6): 971-7; discussion 977-8, 2005.[PUBMED Abstract]

  2. Zyromski NJ, Kendrick ML, Nagorney DM, et al.: Duodenal carcinoid tumors: how aggressive should we be? J Gastrointest Surg 5 (6): 588-93, 2001 Nov-Dec.[PUBMED Abstract]

  3. Yoshikane H, Tsukamoto Y, Niwa Y, et al.: Carcinoid tumors of the gastrointestinal tract: evaluation with endoscopic ultrasonography. Gastrointest Endosc 39 (3): 375-83, 1993 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  4. Modlin IM, Latich I, Kidd M, et al.: Therapeutic options for gastrointestinal carcinoids. Clin Gastroenterol Hepatol 4 (5): 526-47, 2006.[PUBMED Abstract]

  5. Makhlouf HR, Burke AP, Sobin LH: Carcinoid tumors of the ampulla of Vater: a comparison with duodenal carcinoid tumors. Cancer 85 (6): 1241-9, 1999.[PUBMED Abstract]

  6. Hatzitheoklitos E, Büchler MW, Friess H, et al.: Carcinoid of the ampulla of Vater. Clinical characteristics and morphologic features. Cancer 73 (6): 1580-8, 1994.[PUBMED Abstract]

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空腸および回腸カルチノイド

小腸カルチノイド患者の58%~64%は、診断時に所属リンパ節または肝臓に転移性病変を有する。 [1] 早期の外科的治療には、腸管への血管供給を維持し、腸管切除術を限定するために楔状切除による腸間膜の切除と腸間膜動脈および静脈周囲のリンパ節転移の切除を含めるべきである。 [2] 肉眼的腫瘍の根治的切除では、患者は長期間無症状を維持しうる;しかしながら、カルチノイドは頑強であるため、患者は生涯にわたってサーベイランスを受けるべきである。

進行性カルチノイドの外科的治療では、後になると手術での管理が不可能になる場合があるため、早い段階で腸間膜転移の予防的切除を実施する。 [3] 腸間膜転移が初回手術中に残存しているか、初回手術後に進行した場合は、手術を繰り返す必要がある。 [2] 小腸の領域間の線維化のため、こうした手術は困難であり、手術は瘻孔形成、腸の脈管遮断、または短腸の発生を招く場合がある。 [3] 手術不能な転移巣を有する患者の5年生存率は、手術不能な肝転移を有する患者で約50%、手術不能な肝転移と腸間膜転移を有する患者で約40%である。 [4] [5]

転移性中腸神経内分泌腫瘍患者において、オクトレオチド(長時間作用性で反復投与可能な薬剤を28日ごとに30mg筋注)が腫瘍増悪までの期間に与える効果が、1件のランダム化プラセボ対照臨床試験において検証されている。 [6] 計画された研究登録者数は患者162人であったが、登録者数が伸びず、評価可能な85人の患者が登録された後に試験は中止された。中間解析時の腫瘍増悪までの期間中央値は、オクトレオチド投与群で14.3ヵ月であったのに対し、プラセボ群では6ヵ月であった(ハザード比 = 0.34;95%信頼区間、0.20-0.59;P < 0.0001)。QOLは両治療群でほぼ同じであった。全生存率における差は認められなかったが、対照群の約3/4は腫瘍進行時にオクトレオチドの投与を受けた。 [6] [証拠レベル:1iDiii]

最新の臨床試験

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臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Modlin IM, Lye KD, Kidd M: A 5-decade analysis of 13,715 carcinoid tumors. Cancer 97 (4): 934-59, 2003.[PUBMED Abstract]

  2. Akerström G, Hellman P: Surgery on neuroendocrine tumours. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 87-109, 2007.[PUBMED Abstract]

  3. Makridis C, Rastad J, Oberg K, et al.: Progression of metastases and symptom improvement from laparotomy in midgut carcinoid tumors. World J Surg 20 (7): 900-6; discussion 907, 1996.[PUBMED Abstract]

  4. Makridis C, Ekbom A, Bring J, et al.: Survival and daily physical activity in patients treated for advanced midgut carcinoid tumors. Surgery 122 (6): 1075-82, 1997.[PUBMED Abstract]

  5. Hellman P, Lundström T, Ohrvall U, et al.: Effect of surgery on the outcome of midgut carcinoid disease with lymph node and liver metastases. World J Surg 26 (8): 991-7, 2002.[PUBMED Abstract]

  6. Rinke A, Müller HH, Schade-Brittinger C, et al.: Placebo-controlled, double-blind, prospective, randomized study on the effect of octreotide LAR in the control of tumor growth in patients with metastatic neuroendocrine midgut tumors: a report from the PROMID Study Group. J Clin Oncol 27 (28): 4656-63, 2009.[PUBMED Abstract]

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虫垂カルチノイド

虫垂カルチノイドの約90%は1cm未満であり、虫垂根部にはみられない;こうした腫瘍は、虫垂切除術により一貫して治癒が得られる。 [1]

2cmを超える虫垂カルチノイドは転移のリスクがかなり高いため、右半結腸切除術および回盲部リンパ節郭清が必要である。 [1] 1~2cmの虫垂カルチノイドに対する治療は議論の余地があるが、虫垂間膜への浸潤がある場合、切除断端に残存腫瘍がある場合、またはリンパ節転移が存在する場合は、半結腸切除術が適切であろう。虫垂壁に限局した同じ大きさの病変に対しては、虫垂切除術単独でも転移のリスクは低いと考えられる。半結腸切除術に対して受け入られる適応は、高い増殖活性(高いKi-67指数)、高い分裂指数、または血管浸潤の徴候を示す手術標本が挙げられるが、証拠は少なく、1~2cmの虫垂カルチノイドにおけるリスク評価のための組織学的パラメータを定義する必要がある。 [1] [2] [3] 拡大手術が必要であることを示す血清クロモグラニンA値が高い患者では、追跡を検討すべきである。局所領域腫瘍での生存率はきわめて優れているが、遠隔転移がある場合の10年生存率は約30%である。 [1]

杯細胞カルチノイドまたはアデノカルチノイドは、内分泌と外分泌の特徴を併せもつ虫垂カルチノイドのまれな変異体である。 [1] しばしばびまん性に炎症した虫垂を呈し、比較的高い年齢(~50歳)の患者に発生するこれらの腫瘍は侵攻性で、しばしば腹膜および卵巣転移を来しており、ときに粘液性腺がんとして現れる。 [2] [3] [4] これらの腫瘍はソマトスタチン受容体を発現せず、111インジウム-オクトレオチドシンチグラフィでは可視化できない。杯細胞カルチノイドは、化学療法と併用する右半結腸切除術およびリンパ節郭清により治療される。播種性腫瘍に対しては、腹膜切除および卵巣摘除術を含む積極的な外科的縮小が必要な場合がある。 [1] 杯細胞カルチノイドの10年生存率は約60%である。 [2]

最新の臨床試験

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参考文献
  1. Akerström G, Hellman P: Surgery on neuroendocrine tumours. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 87-109, 2007.[PUBMED Abstract]

  2. Goede AC, Caplin ME, Winslet MC: Carcinoid tumour of the appendix. Br J Surg 90 (11): 1317-22, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Stinner B, Rothmund M: Neuroendocrine tumours (carcinoids) of the appendix. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (5): 729-38, 2005.[PUBMED Abstract]

  4. Akerström G, Hellman P, Hessman O: Gastrointestinal carcinoids. In: Lennard TWJ, ed.: Endocrine Surgery. 4th ed. Philadelphia, Pa: WB Saunders Ltd, 2009, pp 147-76.[PUBMED Abstract]

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結腸カルチノイド

結腸カルチノイドはしばしば外方増殖性で大きい(>5cm)が、出血することはまれである。111インジウム-オクトレオチドシンチグラフィで、ごくまれに右側病変が陽性となる。これらの腫瘍の多くは侵攻性で増殖速度が速く、しばしば所属リンパ節転移よりも肝転移を多く呈する。 [1] 結腸カルチノイドは、結腸腺がんと同様に治療される。 [2] リンパ節郭清を併用する半結腸切除術または結腸亜全摘術による根治的切除の達成を試みるべきであるが、減量術しかできない場合が多い。5年全生存率は約40%で、結腸腺がんの生存率よりもわずかに不良である。 [1]

最新の臨床試験

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参考文献
  1. Akerström G, Hellman P: Surgery on neuroendocrine tumours. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 87-109, 2007.[PUBMED Abstract]

  2. Plöckinger U, Rindi G, Arnold R, et al.: Guidelines for the diagnosis and treatment of neuroendocrine gastrointestinal tumours. A consensus statement on behalf of the European Neuroendocrine Tumour Society (ENETS). Neuroendocrinology 80 (6): 394-424, 2004.[PUBMED Abstract]

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直腸カルチノイド

一般的に、直腸カルチノイドはしばしば非常に小さい孤立性病変として発生する。 [1] 直腸カルチノイドにはTNM分類システムが用いられるが、再発の推定には腫瘍サイズが最も適した指標の1つであると考えられる。直腸カルチノイドは超音波内視鏡検査(EUS)または直腸の磁気共鳴画像法(MRI)で評価すべきである。1cm未満の腫瘍は内視鏡切除術で安全に切除できる。 [2] [3] [4] [5] 切除標本は、筋層浸潤を除外するため組織学的に検査すべきである。 [2] [6] [7] [8] Surveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)のデータベースにおける直腸カルチノイド患者に関する報告で、I期直腸カルチノイド患者の5年生存率は97%であったことが示された。 [9]

EUSまたはMRIにより腫瘍が2cm超であるか、筋層浸潤を来していることが示された患者では、リンパ節転移率が高く、遠隔転移のリスクがあるため、腹会陰式直腸切断術(APR)または低位前方切除術(LAR)による外科的切除が推奨される。SEERデータベースからの報告では、II期またはIII期直腸カルチノイド患者の5年生存率はそれぞれ、84%および20%であった。 [9] National Cancer Databaseからの報告では、直腸カルチノイド患者3,287人においてII期またはIII期直腸カルチノイド患者の5年生存率はそれぞれ、87.3%および35.5%であった。 [10]

1cm~2cmの腫瘍に対して局所切除術または直腸切除術(すなわち、APRまたはLAR)が必要かどうかについては、かなりの議論が重ねられている。根治的手術に着手する前に特定の異型および高い分裂指数を示す腫瘍を認識することは可能であるが、筋層浸潤または所属リンパ節転移が認められれば、一般的に直腸切除術が支持される。直腸カルチノイドに対して前方切除術を受けた患者100人の多施設シリーズにおいて、腫瘍サイズが1cm~2cmの患者に対するリンパ節転移率は31%であった。 [11] このシリーズにおいて、1cm超の腫瘍サイズおよびリンパ血管性浸潤は、リンパ節転移の最も強力な2つの予測因子であった。遠隔転移を来した患者の予後は一般的に不良であり、5年全生存率は約30%である。 [12]

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参考文献
  1. Soga J: Carcinoids of the rectum: an evaluation of 1271 reported cases. Surg Today 27 (2): 112-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  2. Koura AN, Giacco GG, Curley SA, et al.: Carcinoid tumors of the rectum: effect of size, histopathology, and surgical treatment on metastasis free survival. Cancer 79 (7): 1294-8, 1997.[PUBMED Abstract]

  3. Kwaan MR, Goldberg JE, Bleday R: Rectal carcinoid tumors: review of results after endoscopic and surgical therapy. Arch Surg 143 (5): 471-5, 2008.[PUBMED Abstract]

  4. Mani S, Modlin IM, Ballantyne G, et al.: Carcinoids of the rectum. J Am Coll Surg 179 (2): 231-48, 1994.[PUBMED Abstract]

  5. Caplin M, Sundin A, Nillson O, et al.: ENETS Consensus Guidelines for the management of patients with digestive neuroendocrine neoplasms: colorectal neuroendocrine neoplasms. Neuroendocrinology 95 (2): 88-97, 2012.[PUBMED Abstract]

  6. Suzuki H, Ikeda K: Endoscopic mucosal resection and full thickness resection with complete defect closure for early gastrointestinal malignancies. Endoscopy 33 (5): 437-9, 2001.[PUBMED Abstract]

  7. Vogelsang H, Siewert JR: Endocrine tumours of the hindgut. Best Pract Res Clin Gastroenterol 19 (5): 739-51, 2005.[PUBMED Abstract]

  8. Akerström G, Hellman P, Hessman O: Gastrointestinal carcinoids. In: Lennard TWJ, ed.: Endocrine Surgery. 4th ed. Philadelphia, Pa: WB Saunders Ltd, 2009, pp 147-76.[PUBMED Abstract]

  9. Landry CS, Brock G, Scoggins CR, et al.: A proposed staging system for rectal carcinoid tumors based on an analysis of 4701 patients. Surgery 144 (3): 460-6, 2008.[PUBMED Abstract]

  10. Chagpar R, Chiang YJ, Xing Y, et al.: Neuroendocrine tumors of the colon and rectum: prognostic relevance and comparative performance of current staging systems. Ann Surg Oncol 20 (4): 1170-8, 2013.[PUBMED Abstract]

  11. Shields CJ, Tiret E, Winter DC, et al.: Carcinoid tumors of the rectum: a multi-institutional international collaboration. Ann Surg 252 (5): 750-5, 2010.[PUBMED Abstract]

  12. Akerström G, Hellman P: Surgery on neuroendocrine tumours. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 21 (1): 87-109, 2007.[PUBMED Abstract]

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転移性消化管カルチノイド

転移性カルチノイドにおける手術の明確な役割は確立されていないが、腸と腸間膜腫瘍、および線維化した領域の保存的切除により、肝臓、腸間膜、および腹膜に転移したカルチノイド患者の症状とQOLはかなり改善しうる。疾患のリスクより手術のリスクの方が低い程度に患者の状態が良好であれば、閉塞、穿孔、または出血などの緊急症状の発生を防ぐために原発腫瘍を切除すべきである。 [1] 緩和を得るには腫瘍負荷の少なくとも90%を切除する必要があると一般的に認められているが、手術単独では約60%の患者で症状が再発する;5年生存率は手術を実施する施設の経験によって異なり、35%~80%である。 [2] [3] ソマトスタチンアナログを用いた治療でも同じ程度の割合で症状緩和を達成でき、有害作用が手術より少ないため、各患者で消化管カルチノイドに対する外科的治療の有益性と開腹検査の潜在的リスクとを慎重に比較検討すべきである。しかしながら、腫瘍減量術は生物活性物質の分泌を低下させることで、薬物療法の効果を高める可能性がある。 [4]

肝転移の管理としては、外科的切除;肝動脈塞栓;冷凍アブレーションとラジオ波焼灼術;および同所性肝移植が挙げられる。(詳しい情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションの肝転移の治療のサブセクションを参照のこと。)消化管カルチノイドの肝転移に対する腫瘍減量手術は、ほとんどの患者で罹病および死亡を最小限に抑えて安全に実施でき、症状の軽減および生存期間の延長が得られる。 [5] カルチノイド患者120人を対象にした1件の大規模なレビューにおいて、肝転移が外科的に切除された患者に対する生化学的奏効率は96%、5年生存率は61%であったことが報告された。 [6] [証拠レベル:3iiDii]

肝転移が認められる場合、原発腫瘍の症状が認められない患者においても、原発腫瘍の位置確認および切除が検討される。84人の患者(このうち60人は原発腫瘍を切除された)を対象にした1件のレトロスペクティブ研究において、切除群の無増悪生存(PFS)期間中央値が56ヵ月であったのに対し、原発腫瘍を切除されなかった群のPFSは25ヵ月であった(P < 0.001)。切除群の生存期間中央値は、非切除群の47ヵ月と比較して159ヵ月と長かった(P < 0.001)。 [7] [証拠レベル:3iiDii]

外照射療法に対するカルチノイドの反応は非常に限定的であるが、骨および脳転移のほか、脊髄転移の管理において症状緩和目的の放射線療法はある程度の効力を有する。 [4]

単剤または多剤化学療法による治療は、いずれのレジメンも15%以上の客観的腫瘍奏効率を示していないため、消化管カルチノイドの管理における有益性はほとんどないと思われる。 [4]

131I-MIBGや177Lu-オクトレオチド酸などの放射性核種を用いた治療は生存利益があると考えられる。(詳しい情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションの放射性核種のサブセクションを参照のこと。)

ソマトスタチンアナログおよびインターフェロンアルファはカルチノイド症候群の治療に用いられる主要な薬物である。(詳しい情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションのソマトスタチンアナログおよびインターフェロンのサブセクションを参照のこと。)カルチノイド症候群の症状管理には、食事内容の変更と各種止瀉薬の使用、発疹については抗ヒスタミン薬、および気管支痙攣についてはテオフィリンまたはβ-2アドレナリン受容体作動薬も含まれる。(詳しい情報については、本要約の治療法選択肢の概要のセクションの対症療法のサブセクションを参照のこと。)

現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

最新の臨床試験

転移性消化管カルチノイド患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Läuffer JM, Zhang T, Modlin IM: Review article: current status of gastrointestinal carcinoids. Aliment Pharmacol Ther 13 (3): 271-87, 1999.[PUBMED Abstract]

  2. McEntee GP, Nagorney DM, Kvols LK, et al.: Cytoreductive hepatic surgery for neuroendocrine tumors. Surgery 108 (6): 1091-6, 1990.[PUBMED Abstract]

  3. Plöckinger U, Rindi G, Arnold R, et al.: Guidelines for the diagnosis and treatment of neuroendocrine gastrointestinal tumours. A consensus statement on behalf of the European Neuroendocrine Tumour Society (ENETS). Neuroendocrinology 80 (6): 394-424, 2004.[PUBMED Abstract]

  4. Modlin IM, Latich I, Kidd M, et al.: Therapeutic options for gastrointestinal carcinoids. Clin Gastroenterol Hepatol 4 (5): 526-47, 2006.[PUBMED Abstract]

  5. Hodul P, Malafa M, Choi J, et al.: The role of cytoreductive hepatic surgery as an adjunct to the management of metastatic neuroendocrine carcinomas. Cancer Control 13 (1): 61-71, 2006.[PUBMED Abstract]

  6. Sarmiento JM, Heywood G, Rubin J, et al.: Surgical treatment of neuroendocrine metastases to the liver: a plea for resection to increase survival. J Am Coll Surg 197 (1): 29-37, 2003.[PUBMED Abstract]

  7. Givi B, Pommier SJ, Thompson AK, et al.: Operative resection of primary carcinoid neoplasms in patients with liver metastases yields significantly better survival. Surgery 140 (6): 891-7; discussion 897-8, 2006.[PUBMED Abstract]

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再発消化管カルチノイド

何らかの治療歴があるカルチノイド患者に疾患の進行、再発が認められる場合、予後は不良である。さらなる治療の決断は、先行治療、再発部位のほか、各患者の考慮事項をはじめとする多くの因子に依存する。腫瘍量を減少させることができれば長期緩和が得られることから、十分に評価した後、緩徐な増殖を示す腫瘍の再切除の試み(例えば、繰り返しまたは複数回の肝切除)は、検討に値する。いかなる部位でも単発の再発はやはり切除できる可能性がある。再発消化管カルチノイドは臨床試験に組み入れるのが適切であり、可能であれば登録を検討すべきである。

現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

最新の臨床試験

再発消化管カルチノイド患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。

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本要約の変更点(07/08/2015)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約には編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、消化管カルチノイドの治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

消化管カルチノイドの治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、ウェブサイトのContact FormからCancer.gov まで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    National Cancer Institute: PDQ® Gastrointestinal Carcinoid Tumors Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Date last modified <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/types/gi-carcinoid-tumors/hp/gi-carcinoid-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのCoping with Cancer: Financial, Insurance, and Legal Informationページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのContact FormからもCancer.govに送信可能である。

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