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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小児にまれながんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-08-07
    翻訳更新日 : 2017-10-24


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児にまれながんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

小児にまれながんに関する一般情報

小児および青年におけるがんはまれであるが、小児がんの全発生率は1975年以降徐々に増加している。 [1] 小児および青年のがん患者については、小児期および青年期に発生するがんの治療経験を有するがん専門家から構成される集学的チームのある医療機関への紹介を検討すべきである。この集学的チームのアプローチとは、至適生存期間および至適QOLを得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするために、プライマリケア医、小児外科医、放射線腫瘍医、小児内科腫瘍医/血液専門医、リハビリテーション専門家、小児専門看護師、社会福祉士などの技術を集結したものである。(小児および青年のがんの支持療法に関する具体的な情報については、PDQの支持療法および緩和ケアの要約を参照のこと。)

米国小児科学会によって、小児がん施設とそれらが小児がん患者の治療において担う役割に関するガイドラインが概説されている。 [2] このような小児がん施設では、小児および青年に発症するほとんどの種類のがんに関する臨床試験が行われており、大半の患者/家族に参加する機会が与えられている。小児および青年のがんに関する臨床試験は一般に、現在標準とされている治療法と、それより効果的であると思われる治療法とを比較するようデザインされる。小児がんの治癒を目指した治療法の進歩の大部分は、このような臨床試験によって達成されたものである。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

小児および青年のがん患者の生存において、劇的な改善が達成されている。1975年から2010年の間に、小児がんの死亡率は50%以上低下した。 [3] 小児および青年のがん生存者では、治療から数ヵ月または数年経過後もがん療法の副作用が持続または発現することがあるため、綿密なモニタリングが必要である。(小児および青年のがん生存者における晩期障害の発生率、種類、およびモニタリングに関する具体的な情報については、小児がん治療の晩期障害に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児がんはまれな疾患であり、米国において20歳未満で診断される症例は年間約15,000例である。 [4] 米国の2002年希少疾患対策法(Rare Diseases Act of 2002)では、希少疾患を罹患者が20万人未満の疾患と定めているため、定義上、小児がんはすべて希少疾患とみなされる。小児にまれな腫瘍の定義は国際的グループ間で統一されていない:


  • イタリアの小児にまれな腫瘍に関する共同プロジェクト(Tumori Rari in Eta Pediatrica [TREP])では、小児にまれな腫瘍を年間発生率が100万人当たり2例未満で、他の臨床試験の対象とならない腫瘍と定義している。 [5]

  • 小児腫瘍学グループ(COG)はまれな小児がんについて、International Classification of Childhood CancerのサブグループXIにリスト化されているものと定義することを選択しており、その中には、甲状腺がん、黒色腫および非黒色腫皮膚がん、および多種類のがん腫(例、副腎皮質がん、上咽頭がん、乳がんおよび大腸がんなどのほとんどの成人型のがん腫)がある。 [6] これらの診断は、0~14歳の小児に診断されるがんの約4%を占めるのに対し、15~19歳の青年に診断されるがんでは約20%を占める(図1および図2を参照のこと)。 [7] サブグループXI内のがんのほとんどは黒色腫または甲状腺がんのいずれかであり、サブグループXIの残りのがんの種類は、0~14歳の小児がんの1.3%および15~19歳の青年のがんの5.3%を占めるに過ぎない。

このようなまれながんは、個々の診断を受ける患者の発生率が低いこと、青年集団にまれながんが多いこと、および黒色腫などのまれながんの青年についての臨床試験が行われていないことから、研究がきわめて困難である。

図1.2009年から2012年の、全人種、男性および女性についての、骨髄異形成症候群およびグループIII良性脳/中枢神経系腫瘍を含む、International Classification of Childhood Cancerのグループおよびサブグループならびに診断時年齢別の、年齢調整および年齢別(0~14歳)のSurveillance, Epidemiology, and End Resultsがん発生率。 図2.2009年から2012年の、全人種、男性および女性についての、骨髄異形成症候群およびグループIII良性脳/中枢神経系腫瘍を含む、International Classification of Childhood Cancerのグループおよびサブグループならびに診断時年齢別の、年齢調整および年齢別(15~19歳)のSurveillance, Epidemiology, and End Resultsがん発生率。

COGおよびInternational Society of Paediatric Oncology(Société Internationale D'Oncologie Pédiatrique [SIOP])などの他の複数の国際的なグループにより、小児にまれながんを研究するための新提案がいくつか行われている。Gesellschaft für Pädiatrische Onkologie und Hämatologie(GPOH)のまれな腫瘍プロジェクトは、2006年にドイツで創設された。 [8] イタリアの小児にまれな腫瘍に関する共同プロジェクト(TREP)は2000年に開始され [5] 、Polish Pediatric Rare Tumor Study Groupは2002年に開始された。 [9] 欧州では、フランス、ドイツ、イタリア、ポーランド、および英国のまれな腫瘍研究グループがEuropean Cooperative study Group on Pediatric Rare Tumors (EXPeRT)に参加し、特定のまれな腫瘍についての国際共同研究および分析に主眼を置いている。 [10] COGでは、COGレジストリー(現在ではChildhood Cancer Research Network/Project Every Childとして知られる)およびまれな腫瘍バンクへの登録の増進、単一治療群の臨床試験の開発、および成人の共同研究グループ試験との協力を増やすことに労力が注がれている。 [11] この構想の成果と課題が詳細に報告されている。 [6] [12]

本要約で考察する腫瘍は多岐にわたる;これらの腫瘍を解剖学的に上部から下部へと列挙し、頻度の低い頭頸部腫瘍からほとんど発生をみない尿路性器路腫瘍や皮膚がんについて考察した。こうしたがんはすべて発生がまれであり、ほとんどの小児病院の経験でも一部の組織型は数年間で5例に満たない。記述されている組織型の大多数は、成人では比較的頻繁に発生している。これらの腫瘍に関する情報は、成人のがんに関連する情報源でも記載されている場合がある。


参考文献
  1. Smith MA, Seibel NL, Altekruse SF, et al.: Outcomes for children and adolescents with cancer: challenges for the twenty-first century. J Clin Oncol 28 (15): 2625-34, 2010.[PUBMED Abstract]

  2. Corrigan JJ, Feig SA; American Academy of Pediatrics: Guidelines for pediatric cancer centers. Pediatrics 113 (6): 1833-5, 2004.[PUBMED Abstract]

  3. Smith MA, Altekruse SF, Adamson PC, et al.: Declining childhood and adolescent cancer mortality. Cancer 120 (16): 2497-506, 2014.[PUBMED Abstract]

  4. Ward E, DeSantis C, Robbins A, et al.: Childhood and adolescent cancer statistics, 2014. CA Cancer J Clin 64 (2): 83-103, 2014 Mar-Apr.[PUBMED Abstract]

  5. Ferrari A, Bisogno G, De Salvo GL, et al.: The challenge of very rare tumours in childhood: the Italian TREP project. Eur J Cancer 43 (4): 654-9, 2007.[PUBMED Abstract]

  6. Pappo AS, Krailo M, Chen Z, et al.: Infrequent tumor initiative of the Children's Oncology Group: initial lessons learned and their impact on future plans. J Clin Oncol 28 (33): 5011-6, 2010.[PUBMED Abstract]

  7. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2012. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2015. Also available online. Last accessed July 27, 2017.[PUBMED Abstract]

  8. Brecht IB, Graf N, Schweinitz D, et al.: Networking for children and adolescents with very rare tumors: foundation of the GPOH Pediatric Rare Tumor Group. Klin Padiatr 221 (3): 181-5, 2009 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  9. Balcerska A, Godziński J, Bień E, et al.: [Rare tumours--are they really rare in the Polish children population?]. Przegl Lek 61 (Suppl 2): 57-61, 2004.[PUBMED Abstract]

  10. Bisogno G, Ferrari A, Bien E, et al.: Rare cancers in children - The EXPeRT Initiative: a report from the European Cooperative Study Group on Pediatric Rare Tumors. Klin Padiatr 224 (6): 416-20, 2012.[PUBMED Abstract]

  11. Musselman JR, Spector LG, Krailo MD, et al.: The Children's Oncology Group Childhood Cancer Research Network (CCRN): case catchment in the United States. Cancer 120 (19): 3007-15, 2014.[PUBMED Abstract]

  12. Pappo AS, Furman WL, Schultz KA, et al.: Rare Tumors in Children: Progress Through Collaboration. J Clin Oncol 33 (27): 3047-54, 2015.[PUBMED Abstract]

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頭頸部がん

小児肉腫はしばしば頭頸部領域に発生するが、これらは他のセクションで記述する。まれな小児頭頸部がんには以下のものがある:


以下に、このような頭頸部がんの予後、診断、分類、および治療を考察する。15歳未満の患者ではこれらのがんは非常にまれにしかみられず、証拠のほとんどは小規模なケースシリーズまたは小児および成人の患者を合わせたコホートから得られている点を強調する必要がある。

上咽頭がん

発生率

上咽頭がんは鼻腔および咽頭の粘膜壁に発生し、小児の上気道にみられるがんすべての約3分の1を占める。 [1] [2] 上咽頭がんは10歳未満の小児では非常にまれであるが、10~14歳の小児では年間発生率が100万人当たり0.8人および15~19歳の小児では1.3人へ上昇する。 [3] [4] [5]

上咽頭がんの発生率は人種および地理的な違いを特徴とし、北アフリカおよび地中海沿岸地方、ならびに特に東南アジアの一部の地域の住人など、明確に定義された民族集団に特有な分布がみられる。米国では、上咽頭がんの発生率は黒人の小児および20歳未満の青年では比較的高い。 [4]

危険因子

上咽頭がんは、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染に強く関連している。98%を超える患者における感染の血清学的証拠に加えて、上咽頭がん細胞中にはEBVのDNAがモノクローナルエピソームとして存在し、腫瘍細胞表面にEBV抗原が認められることがある。 [6] EBVのDNAの循環血中レベルおよびEBV感染の血清学的証拠が診断に役立つことがある。 [7] HLA A2Bsin2ハプロタイプなどの特定のHLAサブタイプが上咽頭がんの高リスクと関連している。 [1]

組織学

世界保健機関(WHO)によって上咽頭がんの組織学的亜型が3つ認定されている:


  • I型は角化型扁平上皮がんである。

  • II型は非角化型扁平上皮がんである。II型はリンパ球浸潤の有無に応じてIIa型およびIIb型に区別される。

  • III型は未分化がんである。III型はリンパ球浸潤の有無に応じてIIIa型およびIIIb型に区別される。

上咽頭がんの患児は、WHO分類のII型またはIII型のがんである可能性が比較的高い。 [4]

臨床像

上咽頭がんの徴候および症状は以下の通りである: [2] [8]


  • 頸部リンパ節腫脹。

  • 鼻血。

  • 鼻づまりおよび鼻閉塞。

  • 頭痛。

  • 耳痛。

  • 中耳炎。

上咽頭はリンパ流が豊富なため、両側の頸部リンパ節腫脹がしばしば疾患の最初の徴候である。腫瘍は中咽頭の隣接部位に限局して拡がり、頭蓋底にまで至ると、脳神経麻痺を来すか、顎運動に困難を来す(牙関緊急)。

遠隔転移部位としては、骨、肺、および肝が挙げられる。

診断的評価および病期評価

診断検査では原発腫瘍の範囲および転移の有無を評価する。原発腫瘍の範囲の測定には、鼻内視鏡検査を用いた耳鼻咽喉科専門医による上咽頭の視診および頭頸部の磁気共鳴画像法が用いられる。

原発腫瘍または頸部リンパ節の腫脹部位の生検を行った上で、診断が確定される。上咽頭がんは、リンパ節腫脹を伴う他のタイプのがんおよび頭頸部に発生する他のタイプのがんとは、鑑別しなければならない。このため、甲状腺がん、横紋筋肉腫、非ホジキンリンパ腫、ホジキンリンパ腫、およびバーキットリンパ腫などの可能性、ならびに鼻部の血管線維腫(通常は青年期男性において鼻出血を呈する)、感染性リンパ節炎、およびRosai-Dorfman病など良性疾患の可能性も考える必要がある。

転移性腫瘍の有無を確認するには、胸腹部のコンピュータ断層撮影法(CT)および骨スキャンによる評価を実施する。潜在的転移病変の評価には、フッ素 F 18-フルデオキシグルコースポジトロン放射断層撮影(PET)-CTが有用な場合もある。 [9]

病期分類

腫瘍の病期分類は、米国がん合同委員会の腫瘍-リンパ節転移-遠隔転移(TNM)分類システム(AJCC、第7版)を利用して実施される。 [10]

90%を超える上咽頭がんの小児および青年が進行病変(III期/IV期またはT3/T4)を呈する。 [11] [12] [13] 診断時に転移病変がある(IVC期)ことはまれである。Surveillance Epidemiology and End Results(SEER)プログラムによるデータのレトロスペクティブ解析から、20歳未満の患者は20歳以上の患者と比較して進行病期の疾患発生率が高いことが報告されている。 [4]

予後

上咽頭がんの小児および青年の全生存率(OS)は、ここ40年間で改善してきている;最新の集学的治療による5年生存率は80%を超えている。 [4] [5] [8] [12] [13] [14] [15] 病期についての調整後、上咽頭がんの患児の転帰は成人患者より有意に良好である。 [4] [5] しかしながら、化学療法と放射線療法を集中的に用いると、その後の新生物発生を含む、重大な急性および長期的合併症を来す。 [4] [12] [13] [15]

治療

上咽頭がんの治療は集学的であり、以下のものを含む:

  1. 化学療法および放射線療法を用いる集学的治療:

    高線量放射線療法単独は上咽頭がんの管理において一定の役割を持つが、小児と成人の両方の研究で、化学療法および放射線療法を用いる集学的治療が上咽頭がんを治療するための最も有効な方法であることが示されている。 [12] [13] [14] [16] [17] [18] [19] [証拠レベル:2A]
    1. ランダム化研究で、成人の上咽頭がん治療における化学療法の役割が検討されている。同時化学放射線療法を実施すると、疾患の局所領域制御率の改善や遠隔転移の減少など、有意な生存の有益性がもたらされた。 [18] [20] 術前補助化学療法の実施によっても局所および遠隔制御率が改善するのに対し、放射線療法後の化学療法はいかなる有益性ももたらさないようである。 [20]
    2. 小児を対象とした4件の研究で、遺伝子組換え型インターフェロンベータを併用する、または併用しないメトトレキサートシスプラチン、5-フルオロウラシル(5-FU)、およびロイコボリンのさまざまな組み合わせによる放射線療法前の化学療法が用いられた。 [13] [14] [21] [22] [証拠レベル:2A]
      • これらの4件の研究では、90%を超える奏効率および優れた転帰が報告されている。

      • シスプラチンと5-FU(およびロイコボリンを併用する、または併用しない)を用いる術前補助化学療法とその後の単剤のシスプラチンを用いる化学放射線療法により、一貫して80%を超える5年OS率が得られている。

      • NPC-2003-GPOH研究(この研究には、インターフェロンベータによる6ヵ月の維持療法期間が含められた)の予備解析で、30ヵ月OS率の推定値は97.1%と報告された。

    3. 上咽頭がんは化学療法感受性が非常に高い新生物であるが、最適な局所領域制御には上咽頭および頸部への高線量の放射線照射(約60Gy)が必要である。 [12] [13] [14] [15] シスプラチンベースの化学療法と上咽頭および頸部への高線量の放射線療法とを併用すると、聴力障害、甲状腺機能低下や汎下垂体機能低下症、牙関緊急、口腔乾燥、歯科的問題、および慢性の副鼻腔炎または耳炎の可能性が高くなる。 [12] [13] [15] ; [8] [証拠レベル:3iiiA]
    4. 小児および青年における上咽頭がんの治療について、1件のプロスペクティブ・ランダム化試験でシスプラチンフルオロウラシルの併用がシスプラチンフルオロウラシル、およびドセタキセルの併用と比較された。 [23] [証拠レベル:1iiA]ドセタキセルの追加は治療成績の改善と関連しなかった。
    5. 上咽頭がんの小児に使用されている他の薬物の組み合わせには、エピルビシンおよびシスプラチンと併用するブレオマイシン、およびメトトレキサートおよびブレオマイシンと併用するシスプラチンがある。 [1]
    6. この他にも小児の上咽頭がんを管理するアプローチが評価されており、以下のものがある:
      • 高線量率密封小線源治療の化学放射線療法アプローチへの組み込み。

      • 成人における研究およびデータを受けて、小児の上咽頭がんの治療にタキサン系薬物が組み込まれている;ドセタキセルシスプラチンと併用することで、良好な客観的奏効率および良好な転帰が得られることが諸研究により示されている。[証拠レベル:3iiiDiv]

  2. 手術:

    上咽頭がんは局所的進展が広範囲に及ぶため、通常は切除不能とみなされることから、上咽頭がんの管理における手術の役割は限られている。

EBV特異的細胞障害性Tリンパ球の使用は、再燃または抵抗性の上咽頭がん患者において最小限の毒性と有意な抗腫瘍活性の証拠を示す非常に有望なアプローチであることが明らかにされた。 [27]

(詳しい情報については、上咽頭がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • H-25145(NCT00953420)

    (難治性または再燃性EBV陽性上咽頭がん患者の治療におけるカルボプラチンドセタキセル、およびLaboratory-Treated T Cell)

    この試験の目的は、再燃性/難治性、進行期、EBV陽性上咽頭がん患者における、ドセタキセルおよびカルボプラチンによる治療に続くEBV特異的細胞傷害性T細胞による免疫療法後の全奏効率を検討することにある。この試験では10歳以上の患者が適格となる。

  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


感覚神経芽腫

発生率

感覚神経芽腫(嗅神経原発神経芽腫)は、原始神経外胚葉性腫瘍とは別の嗅神経上皮に発現する小さな円形細胞腫瘍である。 [28] [29] [30] [31] 小児における感覚神経芽腫は非常にまれな悪性疾患であり、15歳未満の小児における発生率は10万人当たり0.1人と推定される。 [32]

感覚神経芽腫はまれではあるが、小児患者の鼻腔のがんとしては最も多いものであり、SEER研究の症例の28%を占める。 [33] SEERデータベースの患者511人のシリーズによると、男性がわずかに優勢であり、発症時の平均年齢は53歳で、25歳未満の症例はわずか8%であった。 [34] 患者のほとんどが白人であり(81%)、最も一般的な腫瘍部位は鼻腔(72%)および篩骨洞(13%)であった。 [34]

臨床像

ほとんどの小児は10代で以下のものを含む症状を呈する:


  • 鼻閉塞。

  • 鼻血。

  • 嗅覚減退。

  • 眼球突出。

  • 眼窩、副鼻腔、または前頭葉に局所的に伸展しうる上咽頭の腫瘤。

予後因子

主に成人患者を対象とする複数のケースシリーズのレビューから、以下の点が予後不良と相関する可能性があることが示唆されている: [35] [36] [37]


  • 病理組織学的悪性度の高さ。

  • 外科的切除断端陽性。

  • 頸部リンパ節への転移。

病期分類

腫瘍の病期分類はKadish分類システムに従って行われる(表1を参照のこと)。Kadish病期に相関して、予後の範囲は90%(A期)から40%未満(D期)にわたる。患者のほとんどが局所進行期疾患(Kadish分類B期およびC期)で受診し、患者の約3分の1が遠隔部位の腫瘍を示す(Kadish分類D期)。 [32] [33] 最近の報告から、PET-CTが本疾患の病期分類に役立つ可能性のあることが示唆されている。 [38]

表1.Kadish病期分類システム

病期 説明
A期 腫瘍が鼻腔に限局している。
B期 腫瘍が副鼻腔に進展している。
C期 腫瘍が副鼻腔を超えて進展している。
D期 腫瘍の転移が認められる。


治療および転帰

集学的治療法を用いると、生存の可能性が最大限に高められ、70%を超える小児が初回診断後5年以上生存すると期待される。 [32] [39] [40] 診断時に21歳未満の患者24人の多施設レビューにより、5年無病生存率およびOSは73~74%であることが明らかにされた。 [41] [証拠レベル:3iiiA]

Kadish病期に応じた治療選択肢には以下のものがある: [42]

  1. Kadish分類A期:

    断端陰性となる手術単独。不十分な切除断端、陽性の切除断端、または残存腫瘍のある患者では補助放射線療法が適応となる。
  2. Kadish分類B期:

    手術およびその後の補助放射線療法。補助化学療法の役割については賛否が分かれている。
  3. Kadish分類C期:

    化学療法、放射線療法、または同時化学放射線療法による術前アプローチ後の手術。
  4. Kadish分類D期:

    全身化学療法ならびに局所および転移部位に対する症状緩和目的の放射線療法。緩和ケアは生活の質を改善するための治療計画に組み込まれる。

手術および放射線療法が治療の中心である。 [43] 内視鏡下副鼻腔手術などの新たな手技で、開放頭蓋顔面切除術と同等の短期治療成績が得られうる。 [34] ; [44] [証拠レベル:3iiiDii]定位放射線手術や陽子線治療(荷電粒子放射線療法)などの他の手技もまた、この腫瘍の管理に一役担う。 [40] [45]

リンパ節転移は患者の約5%にみられる。ルーチンの頸部郭清術およびリンパ節検索は、臨床的にも放射線学的にも疾患の証拠がない場合は適応とされない。 [46] レビュー文献で頸部リンパ節転移の管理が扱われている。 [46]

報告では、進行期疾患の患者における切除と術前または術後補助化学療法の利用が増加しており、有望な結果が示されている。 [28] [39] [41] [47] [48] ; [49] [証拠レベル:3iii]化学療法レジメンで使用され有効性を示しているものには、イホスファミドを併用するまたは併用しないシスプラチンエトポシド [42] [50] ;ドキソルビシンを併用するまたは併用しないビンクリスチンアクチノマイシンD、およびシクロホスファミドイホスファミド/エトポシドシスプラチン + エトポシドまたはドキソルビシン [39] ;ビンクリスチンドキソルビシン、およびシクロホスファミド [51] ;およびイリノテカン + ドセタキセルがある。 [52] [証拠レベル:3iiA]

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


甲状腺腫瘍

発生率

15歳未満の小児における甲状腺がんの年間発生率は100万人当たり2.0人であり、この年齢群に発生するすべてのがんの約1.5%を占めている。 [3] 15~19歳の小児における甲状腺がん発生率はやや高くなり(100万人当たり17.6人)、この年齢群において発生するがんの約8%を占めている。 [3] [53] 甲状腺がんは男児よりも女児に多い。 [54]

1973年から2011年までのSEERデータベースのレトロスペクティブ・レビューで、20歳以下の患者2,504例の甲状腺乳頭がんが同定された。 [53] 甲状腺乳頭がんの発生率はこの期間に毎年およそ2%ずつ増加した。比較的大きな腫瘍の傾向があることから、診断的精密検査だけでは観察された結果の説明とならないことが示唆されている。 [55]

危険因子

頸部への放射線照射歴のある患者では、甲状腺腫および甲状腺がんの発生頻度がきわめて高くなる。 [56] [57] チェルノブイリ原子力発電所事故の発生後10年間では、甲状腺がんの発生率はそれ以前およびその後の10年間と比較して10倍高かった。 [58] 低線量の放射線に曝露したこの患者集団では、腫瘍は一般的に7q11の増加を示す。 [59]

甲状腺がんは、多発性内分泌腫瘍症候群患者に起こる場合、別の悪性腫瘍の発生に関連することがある。(詳しい情報については、本要約の多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群およびカーニー複合のセクションを参照のこと。)

組織学

甲状腺の腫瘍は、腺腫またはがん腫のいずれかに分類される。 [60] [61] [62] 腺腫とは、腺のすべてまたは一部に腫脹をもたらすことのある良性の境界明瞭かつ被包性の小結節であり、頸部両側面に拡がり、相当大きくなる場合がある;なかにはホルモン分泌能を有する腫瘍もある。一部の細胞で悪性腫瘍への形質転換が起こることもあり、その場合は増殖を続け、頸部リンパ節や肺へと拡大していく。小児における甲状腺結節の約20%が悪性である。 [60] [63]

甲状腺がんの一般的な診断カテゴリーはさまざまな組織像によって説明される;乳頭がんおよび濾胞がんはしばしば分化型甲状腺がんと呼ばれる: [57]


  • 乳頭がん

    (60~75%):乳頭がんでは原発病変がしばしば多中心性であり、リンパ節転移を来す割合が非常に高い(70~90%)。 [64] 肺への転移が約25%の症例で生じる。乳頭がんは一般に良性の経過を辿り、10年生存率は95%を超える。 [65] [66] 全体として、甲状腺乳頭がんの小児および青年に対する長期の治療成績はきわめて優れており、40歳での原因特異的死亡率は2%である。 [66]

  • 濾胞がん

    (10~20%):濾胞がんは通常被包性であり、骨転移および肺転移率がより高い。 [64] 濾胞がんは散発性の場合も家族性の場合もある。 [67] 濾胞がんも一般に良性の経過を辿り、10年生存率は95%を超える。 [65]

  • 髄様がん

    (5~10%):髄様がんはカルシトニン分泌傍濾胞C細胞に起始する甲状腺がんの一形態である。髄様がんは通常家族性である。 [67]

  • 未分化がん

    (1%未満)。

分子的特徴および腫瘍の特徴

諸研究から、小児の分化型甲状腺がんの遺伝的プロファイルと成人の腫瘍の遺伝的プロファイル間でわずかな差がみられることが示されている(表2を参照のこと)。1件の研究で、小児の乳頭がんではRET/PTC再構成の保有率が比較的高いことが報告された(小児では45~65% vs 成人では3~34%)。 [68] 甲状腺乳頭がんの成人では50%超にBRAF V600E突然変異が認められる [69] ;小児患者でも同様の頻度で発生する可能性が高いが、諸研究からこの突然変異の頻度には大きな差があることが明らかにされている。 [68] [69] [70] [71] 小児では、ゲノム変化と病期または予後との相関は十分に定義されていない。2件の研究で相関が示されなかった一方 [70] [71] 、小児甲状腺がん症例55例を対象にした1件の研究では、BRAF V600E変異の存在と再発リスク増加との有意な相関が実証された。 [72] 分化型甲状腺がんはDICER1の生殖細胞変異と関連付けられており、DICER1症候群の一部と考えられている。 [73]

表2.小児および青年ならびに成人における甲状腺がんの特徴の比較a

特徴 小児および青年(%) 成人(%)
a出典:Yamashita et al., Nikita et al., and Alzahrani et al.

遺伝子再構成:

   
RET/PTC 21–87 0–35
NTRK 1 5–11 5–13
AKAP9-BRAF 11 1
PAX8-PPARG 不明 0–50
 

点変異:

   
BRAF 0–63 0–43
RASファミリー 0–16 25–69
GNAS 0 11
TP53 0–23 0–20
TERT 0 16
 

その他:

   
多中心性 30–50 40–56
リンパ節転移 30–90 5–55
甲状腺外浸潤 24–51 16–46
脈管浸潤 <31 14–37
遠隔転移 10–20 5–10


臨床像および転帰

甲状腺がん患者は、通常、無痛の頸部リンパ節腫脹を伴うまたは伴わない甲状腺の腫瘤を呈する。 [75] [76] [77] 病歴と家族歴および一連の臨床症状に基づくと、甲状腺がんはMENまたはDICER-1症候群などの腫瘍素因症候群の一部である可能性がある。 [78]

分化型甲状腺がんでは、年齢が低い方が臨床像は侵攻性となる。成人と比べて、小児ではリンパ節転移(小児では40~90% vs 成人では20~50%)および肺転移(小児では20~30% vs 成人では2%)の割合が高い。 [69] 比較的大きな腫瘍サイズ(1cm超)、甲状腺外への進展、および多発性病変がリンパ節転移リスクの増加に関連している。 [79] 同様に、思春期の青年と比べて、思春期前の小児の方が、より広い甲状腺外への進展、リンパ節転移、および肺転移を伴う侵攻性の症状がみられる。しかしながら、治療成績は思春期前のグループと青年のグループでほぼ同じである。 [80]

高分化甲状腺がんでは、男性、腫瘍サイズ大、および遠隔転移に早期死亡の予後的意義があることが明らかになっている;しかしながら、遠隔転移を有する最高リスク群の患者でも生存率が90%と優れていた。 [81] 1件のフランスの登録に対する解析では、以前に放射線療法を受けた後に甲状腺乳頭がんを発症した小児および若年成人と、自然に甲状腺乳頭がんが発生した小児および若年成人との比較で、同様の転帰がみられた;しかしながら、良性病変に対して甲状腺照射歴のある患者は、より多くの浸潤性腫瘍およびリンパ節転移を呈した。 [82]

診断的評価

甲状腺結節を有する小児または青年の初期評価には、以下を含める:


  • 甲状腺の超音波検査。

  • 血清甲状腺刺激ホルモン(TSH)値。

  • 血清サイログロブリン値。

甲状腺の機能検査は通常は正常であるが、サイログロブリンが高値を示す場合がある。

最初の診断法としての穿刺吸引法は感度が高く有用である。しかしながら、疑わしい症例では切開生検または切除を検討すべきである。 [83] [84] [85] [86] 開放生検または切除は幼児に対しても望ましい場合がある(表3を参照のこと)。

表3.小児における甲状腺がん

組織学 関連する染色体異常 所見 診断 治療
EGF = 上皮成長因子;131I = ヨウ素 I 131;MEN2 = 多発性内分泌腫瘍2型;TSH = 甲状腺刺激ホルモン。
分化型甲状腺がん 小児ではRET/PTCが多い。BRAF V600E突然変異の小児および成人における発生頻度はほぼ同じである。まれな遺伝性腫瘍症候群との関連:APC関連ポリポーシス、DICER1症候群、カーニー複合、PTEN過誤腫腫瘍症候群、ウェルナー症候群。 甲状腺の腫瘤。思春期前の小児ではリンパ節転移および肺転移の頻度が高い。 超音波検査、TSH、サイログロブリン。穿刺生検または切開生検。 甲状腺全摘または亜全摘術;131I;甲状腺ホルモン。転移疾患または再発疾患では、チロシンキナーゼまたはEGF受容体阻害薬が有益となる可能性がある。
甲状腺髄様がん MEN2 侵攻性。50%の所見で転移を認める。 家族性MEN2では、RET検査。 積極的な外科的介入。家族性の症例では予防的甲状腺摘除術が適応となる。


甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん(分化型甲状腺がん)の治療

甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん(分化型甲状腺がん)に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術。
  2. 放射性ヨード療法。

小児分化型甲状腺がんの管理は、詳細にレビューされている。 [63] [87] 2015年に、American Thyroid Association (ATA) Task Force on Pediatric Thyroid Cancerは、小児および青年における甲状腺結節および分化型甲状腺がんを管理するためのガイドラインを発表した。これらのガイドライン(以下に要約する)は、証拠レベルの注意深い評価とともに科学的証拠および専門家パネルの意見に基づいている。 [63]

  1. 術前評価。 [63]
    1. 高解像度プローブおよびドプラ法を用いて頸部全域の包括的超音波検査を経験豊富な超音波検査士が実施すべきである。手術前に完全な超音波検査を行うべきである。
    2. 気道消化管への浸潤の懸念がある場合は、横断的画像検査(造影CTまたは磁気共鳴画像法)の追加を検討すべきである。重要なことに、ヨード造影剤を用いる場合、全身のヨード負荷が低下するまで放射性ヨードによる追加の評価および治療は2~3ヵ月間延期する必要がある。
    3. 胸部画像検査(x線またはCT)は、実質的に頸部リンパ節病変を有する患者に検討される場合がある。
    4. 甲状腺核シンチグラフィは、患者のTSHが抑制されている場合にのみ実施すべきである。
    5. 骨スキャンまたはフッ素 F 18-フルデオキシグルコース(18F-FDG)PETのルーチンの使用は推奨されない。
  2. 手術。 [63]

    小児の甲状腺手術は、理想ではあらゆる範囲の小児専門治療に対応できる病院で頸部内分泌手技を少なくとも年間30例以上行う外科医により実施されるべきである。

    1. 甲状腺摘除術:

      乳頭がんまたは濾胞がん患者に対しては、甲状腺全摘術が推奨される選択すべき治療法である。ATA専門家パネルの推奨は、両側(30%)および多発性(65%)病変の発生率が高いことを示すデータに基づいている。甲状腺に限局する片側の小さい腫瘍を有する患者では、これらの臓器の永続的損傷を軽減するため甲状腺亜全摘術-これにより反回神経の起始部または上副甲状腺において少量の甲状腺組織(1~2%未満)が残される-が検討される場合がある。甲状腺全摘術でも、画像検査および治療のために放射性ヨードが最大限に利用される。

    2. central neck dissection:
      • 治療目的のcentral neck dissectionは、頸部中央区域または頸部側方に転移の臨床的証拠が認められる場合に実施すべきである。比較的大きな腫瘍サイズ(1cm超)、甲状腺外への進展、および多発性病変がリンパ節転移リスクの増加に関連している。

      • 甲状腺外への肉眼的浸潤または局所領域転移の臨床的証拠が認められない患者には、腫瘍の限局性および原発腫瘍径に基づいて予防的central neck dissectionを検討すべきである。病変が単発性の患者には、同側central neck dissection(術中所見に基づいて対側のcentral neck dissectionを行う)も検討される場合がある。

    3. 頸部側方のリンパ節郭清:
      • 手術前に頸部側方のリンパ節への転移病変の細胞学的確認が推奨される。

      • 頸部側方のリンパ節をルーチンに予防的に郭清することは推奨されない。

  3. 分類およびリスク割り付け。 [63]

    小児におけるデータは限られているが、ATA Task Forceは、3つのリスクグループの1つに患者を分類するためTNM分類を用いるように推奨している。(TNM分類に関する詳しい情報については、甲状腺がんの治療に関するPDQ要約の甲状腺がんの病期情報のセクションを参照のこと。)この分類戦略は、持続性の頸部病変のリスクを定義し、遠隔転移の存在に対して術後の病期分類を受けるべき患者を明らかにする一助とするように意図されている。

    1. ATA小児低リスク:腫瘍が甲状腺に限局しており、N0またはNX病変を伴うか、偶発的なN1a(少数の頸部中央区域リンパ節への顕微鏡的転移)を有する患者。これらの患者は遠隔転移のリスクが最も低いが、特に初回手術でcentral neck dissectionが含められない場合に、頸部に病変が残存するリスクが依然としてある。
    2. ATA小児中リスク:広範なN1aまたは微小なN1b病変。これらの患者は遠隔転移のリスクは低いものの、リンパ節郭清が不完全で頸部に病変が持続するリスクが高い。
    3. ATA小児高リスク:広範な所属リンパ節転移(N1b)または局所浸潤性腫瘍(T4)で、遠隔転移を伴うものまたは伴わないもの。このグループの患者は不完全な切除、持続性の病変、および遠隔転移のリスクが最も高い。
  4. 術後の病期分類および長期間のサーベイランス。 [63]

    初回病期分類は術後12週間以内に実施すべきである;目的は持続性の局所領域病変の証拠がないか評価し、ヨウ素 I 131(131I)による追加治療から利益が得られる可能性の高い患者を特定することである。ATAの小児リスクレベル(上で定義)は術後の検査範囲を決定するのに役立つ。

    1. ATA小児低リスク:
      • 術後の初回病期分類にはTSH抑制サイログロブリンが含まれる。診断的ヨウ素I 123(123I)スキャンは必要ない。

      • TSH抑制は、0.5~1.0mIU/Lの血清値を目標にすべきである。

      • 疾患の証拠が認められない患者におけるサーベイランスには、術後6ヵ月時とその後の5年間は年1回の超音波検査;および2年間は3~6ヵ月ごととその後は年1回サイログロブリン値の検査(ホルモン補充療法中)を含めるべきである。

    2. ATA小児中リスク:
      • 術後の初回病期分類には、TSH刺激サイログロブリン値の検査と診断的ヨウ素123I全身スキャンが含まれ、追加の層別化および測定にはヨウ素131Iが用いられる。

      • TSH抑制は、0.1~0.5mIU/Lの血清値を目標にすべきである。

      • 疾患の証拠が認められない患者におけるサーベイランスには、術後6ヵ月時とその後の5年間は6~12ヵ月ごとの超音波検査(さらにその後はより頻度を下げる);および3年間は3~6ヵ月ごととその後は年1回サイログロブリン値の検査(ホルモン補充療法中)を含めるべきである。

      • ヨウ素131Iによる治療を受けた患者には、1~2年後のTSH刺激サイログロブリン値の検査および診断的ヨウ素123Iスキャンを検討すべきである。

    3. ATA小児高リスク:
      • 術後の初回病期分類には、TSH刺激サイログロブリン値の検査と診断的ヨウ素123I全身スキャンが含まれ、追加の層別化および測定にはヨウ素131Iが用いられる。

      • TSH抑制は、0.1mIU/L未満の血清値を目標にすべきである。

      • 疾患の証拠が認められない患者におけるサーベイランスには、術後6ヵ月時とその後の5年間は6~12ヵ月ごとの超音波検査(さらにその後はより頻度を下げる);および3年間は3~6ヵ月ごととその後は年1回サイログロブリン値の検査(ホルモン補充療法中)を含めるべきである。

      • ヨウ素131Iによる治療を受けた患者では、1~2年後のTSH刺激サイログロブリン値の検査および場合により、診断的ヨウ素123Iスキャン。


    抗サイログロブリン抗体が認められる患者に対しては、T4またはM1疾患の患者を除き、抗体クリアランスの時間を見越して術後の病期分類を延期するように検討してもよい。

  5. 放射性ヨード療法。 [63]

    ヨウ素131I療法の目標は、ヨウ素集積病変を除去することで再発リスクおよび死亡率を低下させることである。

    1. ATA Task Forceでは、切除不能な持続性のヨウ素集積局所領域病変またはリンパ節病変および既知のまたは推定のヨウ素集積遠隔転移を治療するため、ヨウ素131Iの使用を推奨している。ヨウ素131I投与後に病変が持続している患者について、追加のヨウ素131I療法を実施する決定は、臨床データと以前の反応に基づいて個別に対応すべきである。
    2. 残存するヨウ素集積病変によるヨウ素131Iの取り込みを促進するため、TSH値は30mIU/Lを超えるようにすべきである。この値はレボチロキシンを14日間以上中止することで達成できる。十分なTSH反応が得られないか、重度の甲状腺機能低下に耐えられない患者では、組換えヒト型TSHを使用できる。
    3. 治療目的のヨウ素131I投与は一般的に経験的投薬または全身の線量測定に基づく。経験的治療と線量測定で得た情報に基づく治療とを比較したデータは不足しており、ATA Task Forceでは単一の特異的アプローチを推奨できなかった。しかしながら、成人と比較して小児では身体の大きさとヨウ素クリアランスに差があるため、小児に投与する際には経験を積んだ専門医がヨウ素131Iのすべての使用について計算すべきであると推奨されている。
    4. ヨウ素131I療法から4~7日後にすべての小児に対して治療後の全身スキャンが推奨される。単一光子放射CTの従来の集積されたCTへの追加(SPECT/CT)は、病変による取り込みの解剖学的部位の識別に有用な場合がある。

      ヨウ素131I療法の晩期障害はまれではあるが、唾液腺機能不全、骨髄抑制、肺線維症、および二次悪性腫瘍が挙げられる。 [88]

再発甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん(分化型甲状腺がん)の治療

分化型甲状腺がん患者は一般に、予後はきわめて良好であり、副作用も比較的少ない。 [89] [90] [91] しかしながら、再発頻度が高く(35~45%)、10歳未満の患児および診断時に触知可能な頸部リンパ節を有する患児の場合は再発頻度がさらに高くなる。 [92] [93] 腫瘍が肺にまで拡がっている患者でも、適切な治療を実施すれば寿命の短縮はないであろう。 [94] 重要なことだが、ヨウ化物の取り込みおよび甲状腺ホルモン合成に必須である、ヨウ化ナトリウム共輸送体(膜結合糖蛋白共輸送体)が、小児および青年における甲状腺がんの35~45%において発現している。ヨウ化ナトリウム共輸送体が発現している患者では再発リスクが低い。 [95]

再発甲状腺乳頭がんは、放射性ヨード療法による治療に通常反応する。 [96]

ソラフェニブのようなTKIの投与により、転移病変を認める成人患者の最大15%が反応を示すことが明らかにされている。 [97] 小児症例でも、ソラフェニブに対する反応が報告されている。 [98]

成人の治療について承認されているTKIには以下のものがある:


  • ソラフェニブ。

    ソラフェニブは血管内皮増殖因子受容体(VEGFR)、血小板由来増殖因子受容体(PDGFR)、およびRASキナーゼの阻害薬である。1件の第III相ランダム化試験において、ソラフェニブは、放射性ヨウ素抵抗性局所進行甲状腺がんまたは転移分化型甲状腺がんの成人患者において、プラセボとの比較で無増悪生存(PFS)を改善した。 [99] ある症例報告で、ソラフェニブは、転移甲状腺乳頭がんを来した8歳の患児において放射線学的奏効をもたらした。 [100] ソラフェニブは2013年11月に、進行期転移分化型甲状腺がんの成人の治療について米国食品医薬品局(FDA)に承認された。

  • レンバチニブ。

    レンバチニブはVEGFR、線維芽細胞増殖因子受容体、PDGFR、RET、およびKITの経口阻害薬である。ヨウ素131I抵抗性分化型甲状腺がんの成人を対象とした1件の第III相ランダム化研究において、レンバチニブは、プラセボとの比較で、PFSおよび奏効率の有意な改善と関連していた。 [101] レンバチニブは2015年2月に、放射性ヨード抵抗性進行分化型甲状腺がんの成人の治療についてFDAにより承認された。

甲状腺乳頭がん患者におけるBRAF突然変異の発生率の高さを考慮して、選択的RAF/MEK阻害薬の使用が研究されている。 [97] [102] [103]

(詳しい情報については、成人の甲状腺がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。ここの試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


甲状腺髄様がんの治療

甲状腺髄様がんは一般的に、MEN2症候群に関連する(詳しい情報については、本要約の多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群およびカーニー複合のセクションを参照のこと)。甲状腺髄様がんは比較的侵攻性の臨床経過を辿る;症例の50%では診断時に血行性転移がみられる。 [104] 甲状腺髄様がん患者は、予後が良好であるきわめて微小な腫瘍(直径1.0cm未満と定義される微小がん)でなければ、予後には慎重な監視を要する。 [105] 甲状腺髄様がんの小児および若年成人におけるその自然史の研究が米国国立がん研究所により実施されている(NCT01660984)。RETのde novo変異があり、家族歴のない患者では、腸管神経節神経腫症もしくは骨格または眼の徴候などの非内分泌症状により早期の診断が促進され、より良好な転帰が得られる場合がある。 [106]

甲状腺髄様がんに対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術:

    甲状腺髄様がんの小児に対する主な治療法は手術である。0~21歳の甲状腺髄様がん患者430人を対象にしたレビューでは、診断時に比較的年長であること(16~21歳)、2cm超の腫瘍径、甲状腺全摘術後の切除断端陽性、およびリンパ節転移は予後不良と関連することが報告された。 [107] このことは、中心頸部リンパ節郭清および隣接する陽性リンパ節の郭清により、これらの患者の10年生存率が改善することを示唆するものである。

    甲状腺髄様がん症例のほとんどは、MEN 2AおよびMEN 2B症候群と関連して起こる。こうした家族性症例では、早期の遺伝子検査およびカウンセリングが適応となり、RET遺伝子に生殖細胞変異がみられる小児では予防的手術が推奨される。遺伝子型-表現型の強い相関によって、スクリーニングおよび予防的甲状腺摘出術を実施すべき年齢など、介入のためのガイドラインの策定が推進されている。 [104]

  2. TKI療法:

    多くのTKIが進行甲状腺がん患者について評価され、承認されている。
    • バンデタニブ。

      バンデタニブ(RETキナーゼ、VEGFR、および上皮成長因子受容体の信号伝達を阻害する薬)は、切除不能な局所進行性または転移性病変を有する成人患者における症候性または進行性甲状腺髄様がんの治療に対して米国FDAにより承認されている。承認はランダム化プラセボ対照第III相試験に基づいたもので、この試験では、バンデタニブ投与にランダムに割り付けられた患者にPFSの顕著な改善が示された(ハザード比、0.35);またこの試験では、バンデタニブが投与された患者における客観的奏効率の優位性も示された(44% vs プラセボ群で1%)。 [108] [109]

      第I/II相試験において、局所進行または転移性甲状腺髄様がんを有する小児がバンデタニブを用いて治療された。16人の患者のうち、奏効が得られなかったのは1人だけで、7人に部分奏効が得られ、客観的奏効率は44%であった。これらの患者の3人ではその後に疾患が再発したが、バンデタニブで治療された患者16人中11人が報告時に治療中であった。コホート全体での療法の期間中央値は27ヵ月で、範囲は2~52ヵ月であった。 [110]


    • カボザンチニブ。

      カボザンチニブ(RETおよびMETキナーゼおよびVEGFRの阻害薬)も、切除不能な甲状腺髄様がんに対する有効性が示されている(成人患者35人中10人[29%]が部分奏効を得た)。 [111] カボザンチニブは2012年11月に、転移性甲状腺髄様がんの成人の治療についてFDAに承認された。

(詳しい情報については、本要約の多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群およびカーニー複合のセクションおよび内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約のMTCの患者の治療のセクションを参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


口腔がん

発生率

口腔内の腫瘍および腫瘍様病変の90%超は良性である。 [112] [113] [114] [115] 小児および青年の口腔がんは、きわめてまれである。 [116] [117] SEER Stat Fact Sheetsによれば、口腔がんの全症例のうち20歳未満の患者で診断されるのはわずか0.6%であり、2008年におけるこの集団の年齢調整発生率は、10万人当たり0.24人であった。

青年および若年成人女性において、口腔がんと咽頭がんの発生率が増加しており、この傾向は米国内の比較的若年の女性において口と生殖器による性交およびヒトパピローマウイルス(HPV)感染が増加していることと一致している。 [118] 現在のところ、米国内における口腔HPV感染の有病率は14~69歳の集団で6.9%であり、HPVによって約30,000例の中咽頭がんを引き起こしていると推定される。さらに、HPV関連中咽頭がんの発生率は1999年から2008年の間に、白人男性では年間4.4%、白人女性では年間1.9%増加している。 [119] [120] [121] 男児および女児におけるHPV予防接種率を高めるための現在の実践により、HPVに関連したがんの負担を軽減できるであろう。 [122]

組織学

口腔の良性歯原性新生物には歯牙腫およびエナメル上皮腫がある。口腔の最も一般的な非歯原性新生物には線維腫、血管腫、および乳頭腫がある。口腔の腫瘍様病変には、リンパ管腫、肉芽腫、およびランゲルハンス細胞組織球症がある。 [112] [113] [114] [115] (口腔のランゲルハンス細胞組織球症に関する詳しい情報については、ランゲルハンス細胞組織球症の治療に関するPDQ要約の口腔のサブセクションを参照のこと。)

口腔の悪性病変は、小児に実施される一連の口腔生検の0.1~2% [112] [113] 、口腔腫瘍生検の3~13% [114] [115] に認められる。悪性腫瘍の種類としては、リンパ腫(特にバーキットリンパ腫)および肉腫(横紋筋肉腫および線維肉腫を含む)がある。口腔の粘表皮がんは小児および青年期の年齢群においてまれに報告されている。ほとんどが低悪性度であり、手術単独での治癒率が高い。 [123] ; [124] [証拠レベル:3iiiA]

成人において最も一般的な種類の原発口腔がんである、扁平上皮がん(SCC)は小児ではきわめてまれである。SEERデータベースのレビューにより、1973年から2006年に20歳未満の口腔SCC患者54人が確認された。口腔SCCの小児患者は女児が多く、成人患者より生存率が良好であった。患者、腫瘍、および治療関連特性における違いを調整した後では、2群とも生存率は同程度であった。 [123] [証拠レベル:3iA]

口腔および/または頭頸部SCCの発生と関連している可能性のある疾患としては、ファンコニー貧血、先天性角化異常症、コネキシン変異、慢性移植片対宿主病、表皮水疱症、色素性乾皮症、HPV感染などが挙げられる。 [125] [126] [127] [128] [129] [130] [131] [132]

治療

良性口腔腫瘍の治療は手術である。

口腔の悪性腫瘍の管理は組織像に依存し、手術、化学療法、および放射線療法が含まれる。 [133] 報告されているほとんどの口腔のSCC症例は手術単独で管理され、再発もなく経過は良好である。 [123] [134] (詳しい情報については、成人の口唇がんおよび口腔がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

口腔のランゲルハンス細胞組織球症は、手術に加えて、治療を要する。(詳しい情報については、ランゲルハンス細胞組織球症の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


唾液腺腫瘍

発生率および転帰

唾液腺腫瘍はまれであり、小児および青年における全悪性腫瘍の0.5%を占めるに過ぎない。横紋筋肉腫に次いで、これらは頭頸部で最も一般的な腫瘍である。 [135] [136] 唾液腺腫瘍は、原発性白血病または固形腫瘍を治療するための放射線療法および化学療法の実施後に発生することがある。 [137] [138] [139]

小児年齢群における5年全生存率は約95%である。 [140] SEERデータベースのレビューにより、耳下腺の腫瘍を生じた20歳未満の患者284人が同定された。 [141] [証拠レベル:3iA]OS率は5年で96%、10年で95%、20年で83%であった。青年の方が死亡率が高かった(7.1% vs 15歳未満の小児では1.6%、P = 0.23)。

臨床像

ほとんどの唾液腺新生物は耳下腺に発生する。 [142] [143] [144] [145] [146] [147] [148] こうした腫瘍の約15%が、顎下腺または舌下および顎骨下の小唾液腺に発生する。 [146] これらの腫瘍はほとんどが良性であるが、特に幼児では悪性の場合もある。 [149]

組織学

小児に最もよくみられる悪性唾液腺腫瘍は粘表皮がんであり、次いで腺房細胞がん、および腺様嚢胞がんである;より発生頻度の低い悪性腫瘍には、横紋筋肉腫、腺がん、未分化がんなどがある。 [135] [146] [148] [150] [151] [152] 粘表皮がんは通常低または中悪性度であるが、高悪性度の腫瘍も生じる。1件の研究で、12件の腫瘍中12件でMECT1/MAML2融合転写産物陽性であった。これは唾液腺腫瘍の成人患者で認められる一般的な染色体転座t(11;19)(q21;p13)を反映している。 [153] 粘表皮がんは最も一般的な型の治療関連唾液腺腫瘍であり、標準療法による5年生存率は約95%である。 [148] [152] [154] [155]

治療

唾液腺腫瘍に対する治療には、可能であれば必ず、根治的切除術を選択し、高悪性度の腫瘍もしくはリンパ節転移、リンパ血管性浸潤、または神経周囲への進展などの浸潤性の特徴を有する腫瘍には、放射線療法を追加する。 [140] [151] [156] ; [147] [証拠レベル:3iiiA]1件のレトロスペクティブ研究で、陽子線治療と従来の放射線療法が比較され、陽子線治療では良好な急性毒性および線量測定プロファイルが得られることが認められた。 [157]

小児における補助化学療法の有効性についてのデータは不十分である。

(詳しい情報については、成人の唾液腺がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


唾液腺芽腫

唾液腺芽腫は通常、新生児期に発現する良性腫瘍で、転移することはまれである。 [158] カルボプラチンエピルビシンビンクリスチンエトポシドダクチノマイシンドキソルビシン、およびイホスファミドによる化学療法レジメンにより、唾液腺芽腫の小児2人で反応が得られている。 [159] ; [160] [証拠レベル:3iiiDiv]

喉頭がんおよび乳頭腫症

喉頭がん

組織学

喉頭部の腫瘍はまれである。良性腫瘍で最もよく認められるのは、声門下血管腫である。 [161] 特にまれな悪性腫瘍は、ポリープおよび乳頭腫などの良性腫瘍に関連する。 [162] [163]

臨床像

こうした腫瘍は、嗄声、嚥下困難、および頸部リンパ節の腫脹を来す。

治療

小児年齢群における喉頭部の悪性腫瘍で最も頻度の高いものが横紋筋肉腫であり、化学療法および放射線療法により治療される。 [164] (詳しい情報については、小児横紋筋肉腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)喉頭部のSCCは、手術および放射線療法を用いて、成人の喉頭部がんの場合と同じ方法で管理する。 [165] このような病変に対する初期治療としてレーザー手術が使用される場合がある。(成人における喉頭がんの治療に関する詳しい情報については、喉頭がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


乳頭腫症

一般情報

再発性呼吸器乳頭腫症は、小児において最も多い良性の喉頭腫瘍であり、HPV感染症、最も一般的にはHPV-6およびHPV-11と関連している。 [166] HPV-11の存在は、HPV-6より侵攻性の臨床経過と相関するようである。 [167] これらの腫瘍は、声帯に疣贅様の結節が生じて嗄声を来し、まれに肺にまで拡がることがあり、かなりの病的状態をもたらす。 [168] 悪性変性を来し、喉頭部にがんおよび肺扁平上皮がんが発現する。

治療

乳頭腫症はがん性ではなく、一次治療はレーザー蒸散を用いた外科的切除である。 [169] 頻繁な再発が一般的である。肺転移はまれではあるが、発生する可能性がある。 [168] 患者に年4回を超える外科的処置が必要な場合は、以下に挙げる他の介入が必要な可能性がある:


  • インターフェロン。 [170]

  • 他のHPV関連疾患において活性を示しているHspE7という組換え型融合蛋白を用いた免疫療法。1件のパイロット研究により、手術と手術の間隔の著しい増加が示唆された。 [171]

  • ベバシズマブ病変内投与と併用するレーザー療法。 [172]

シドフォビルの病変内投与の有効性は決定的には実証されていない。 [173]

NUT遺伝子が関与する正中線上のがん(NUT正中線がん)

分子的特徴

NUT正中線がんは非常にまれな侵攻性の悪性疾患であり、遺伝的にはNUT遺伝子の再構成により定義される。大多数(75%)の症例では、染色体15q14上のNUT遺伝子が、染色体19p13上のBRD4と融合して、BRD-NUT融合蛋白をコードするキメラ遺伝子が発生している。残りの症例では、NUT遺伝子が、染色体9q34上のBRD3または染色体8p11上のNSD3遺伝子と融合している [174] ;これらの腫瘍はNUT変異体と呼ばれる。 [175]

臨床像および転帰

腫瘍は、典型的には縦隔および上部気道消化管などの正中線上の上皮組織に発生し、侵攻性が非常に高い未分化がんとして現れ、扁平上皮への分化を伴うものもあれば、伴わないものもある。 [176] この腫瘍は小児および若年成人で最初に報告されたが、あらゆる年齢で生じうる。 [175] 臨床病理学的相関に関する1件のレトロスペクティブ・シリーズで、患者54人の診断時年齢中央値は16歳(範囲、0.1~78歳)であったことが明らかにされた。 [177]

転帰は非常に不良で、平均生存期間は1年未満である。予備的データからは、NUT変異体腫瘍の方が臨床経過が長いことが示されているようである。 [175] [176]

治療

治療法としては、全身化学療法、手術および放射線療法による集学的アプローチがある。シスプラチン、タキサン系薬物、およびアルキル化剤の使用により一定の奏効が得られている;しかしながら、早期の反応が一般に認められるものの、腫瘍は疾患経過の早期に増悪する。 [177] [証拠レベル:3iiiB]

前臨床研究により、NUT-BRD4はヒストンアセチル化および転写抑制の全体的な減少と関連している;諸研究ではまた、このアセチル化がヒストン脱アセチル化酵素阻害剤で回復可能であり、in vitroでの扁平上皮への分化が起こり、増殖の停止および異種移植片モデルにおける増殖阻害がもたらされることが示されている。ボリノスタットへの反応が難治性疾患の小児の別個の2症例で報告されているため、この悪性疾患の治療におけるこのクラスの薬物の潜在的な役割が示唆される。 [178] [179] BETブロモドメイン阻害薬は、この悪性腫瘍の成人について研究が行われている有望なクラスの薬物である。 [174]

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • APEC1621(NCT03155620)

    (小児MATCH試験:再発または難治性進行固形腫瘍、非ホジキンリンパ腫、または組織球性疾患を有する小児患者の治療において遺伝子検査の結果に基づいて行う分子標的療法)

    NCI-COG Pediatric Molecular Analysis for Therapeutic Choice(MATCH、Pediatric MATCH試験と呼ばれる)では、難治性および再発固形腫瘍における160以上の遺伝子の3,000以上の変異を標的として次世代シークエンシングで同定された特異的な分子遺伝学的変化と標的薬物が照合される。1~21歳の小児および青年が試験に適格である。

    分子生物学的な検討のために、進行したまたは再発した腫瘍の組織を得る必要がある。この試験で治療の対象とされている分子遺伝学的なvariant(多様体ないしバリアント)が認められる腫瘍を有する患者には、Pediatric MATCHでの治療が提案される。APEC1621(NCT03155620)については、ClinicalTrials.govウェブサイトで追加の情報が入手できる。


  • NCT01587703

    NUT正中線がんおよびその他のがんの被験者におけるGSK525762の安全性、薬物動態、薬力学、および臨床活性を検討する研究)

    この研究は、NUT正中線がんおよびその他のがんの患者における、BETブロモドメイン阻害薬であるGSK525762の経口投与後に認められる安全性、薬物動態、および薬力学プロファイルならびに忍容性および臨床活性を評価している。この研究では16歳以上の患者が適格となる。

  • NCT01987362

    (皮下投与したTEN-010についての2部からなる、多施設、オープンラベル研究)

    これは、治療を必要とする増悪を来した組織学的に確認された進行固形腫瘍またはNUT正中線がんの18歳以上の患者を対象とする第I相、非ランダム化、用量漸増、オープンラベル、多施設研究である。この研究は、低分子ブロモドメイン阻害薬であるTEN-010の安全性、忍容性、および薬物動態を評価している。


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胸部のがん

胸部のがんには以下のものがある:


以下に、こうした胸部のがんの予後、診断、分類、および治療を考察する。15歳未満の患者でこれらのがんがみられることは非常にまれであり、証拠のほとんどはケースシリーズから得られていることを強調する必要がある。 [1]

乳がん

線維腺腫

小児において最も頻繁にみられる乳房腫瘍は線維腺腫である。 [2] [3] これらの腫瘍は観察可能であり、多くは外科的切除を行わないでも退縮する。しかしながら、まれに葉状腫瘍に至る悪性転換が報告されている。 [4] 線維腺腫が疑われる突然の急速な腫大は針生検または切除の適応である。

線維腺腫の治療

葉状腫瘍は乳房切除術を伴わない広範囲局所切除により管理可能である。 [4]

乳がん

発生率および転帰

乳がんは21歳未満の男性と女性のいずれにおいても報告されている。 [5] [6] [7] [8] [9] [10] 米国国立がん研究所のSurveillance, Epidemiology, and End Results(SEER)のデータベースのレビューにより、1973年から2004年にかけて19歳以下の女性において75例の悪性乳房腫瘍が同定されたことが示されている。 [11] これらの症例の15%は非浸潤性(in situ)腫瘍、85%が浸潤性腫瘍で、腫瘍の55%ががん腫で、45%が肉腫であった - そのほとんどが葉状腫瘍であった。がん発生群のうち転移性病変のあった患者は3人のみであった一方、11人の患者(27%)が局所進行がんであった。肉腫のあった患者は、全員が限局期にあった。がん腫患者のうち、85%が外科的切除を受け、10%が補助放射線療法を受けた。肉腫患者のうち、97%が外科的切除を受け、9%が放射線療法を受けた。肉腫患者に対する5年および10年生存率はどちらも90%であった;がん腫患者に対する5年生存率は63%、10年生存率は54%であった。

乳房腫瘍は、白血病、横紋筋肉腫、他の肉腫、またはリンパ腫(特にヒト免疫不全症ウイルスに感染している患者において)からの転移により生じることもある。

危険因子

青年および若年成人の乳がんの危険因子には以下のものがある:

  1. 以前の悪性腫瘍。

    1998年から2010年のAmerican College of Surgeons National Cancer Databaseのレトロスペクティブ・レビューで、15歳~39歳の乳がん患者106,771人が同定された。 [12] これらの患者のうち、6,241人(5.8%)は以前に組織学的に別の悪性腫瘍を経験していた。二次悪性腫瘍としての乳がんの患者は3年全生存率(OS)が有意に低く(79% vs 88.5%、P < 0.001)、二次悪性腫瘍状態は死亡率増加の独立危険因子として同定された(ハザード比、1.58;95%信頼区間、1.41-1.77)。
  2. 胸部放射線照射。

    胸部に放射線照射歴があるホジキンリンパ腫の生存例の女性に、乳がん発生の生涯リスクが高いとの報告がある;しかしながら、乳がんはまた胸部放射線照射を受けたあらゆるがんの治療歴のある患者においてもみられる。 [9] [13] [14] [15] [16] [証拠レベル:1A]肉腫よりもがん腫の方が、発生頻度が高い。

    乳房の磁気共鳴画像法(MRI)を補助的に併用するマンモグラムによる検査を25歳から、または放射線療法曝露後10年経過後(遅い方)に開始する。(二次性乳がんに関する詳しい情報については、小児がん治療の晩期障害に関するPDQ要約を参照のこと。)

青年および若年成人(AYA)における乳がんの治療

乳がんは、15~39歳のAYA女性に診断されるがんで最も頻度が高く、AYA女性のすべてのがん診断の約14%を占める。 [17] この年齢群の乳がんは、これより年齢の高い女性よりも侵攻性の経過を辿り、治療成績が不良である。AYA集団の乳がんにエストロゲン、プロゲステロン、ヒト上皮成長因子2(HER2)に対するホルモン受容体が発現していることも、より年齢が高い女性とは異なっており、予後不良と相関する。 [12] [18]

AYA集団の治療は、より年齢が高い女性における治療とほぼ同じである。ただし、管理上の独特な側面として、遺伝的意味合い(すなわち、家族性乳がん症候群)および妊孕性に留意する必要がある。 [19] [20]

(詳しい情報については、成人の乳がんの治療に関するPDQ要約または乳がんおよび婦人科がんの遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)

肺がん

原発肺腫瘍は小児ではまれで、組織学的にきわめて多様である。 [1] 肺上皮がんが発生した場合、進行した病期で発見される傾向がみられ、予後は組織型および病期の両方に左右される。 [21] ほとんどの原発肺腫瘍は悪性である。小児における原発肺新生物383例を対象としたレビューによると、76%が悪性で、24%が良性であった。 [22] National Cancer Data Baseを用いた原発悪性上皮性肺腫瘍のレビューから、最も一般的な小児原発悪性肺腫瘍はカルチノイド腫瘍(63%)であり、次が肺の粘表皮がん(18%)であることが判明した。 [23]

小児における肺の悪性新生物の大半は、転移病変によるもので、原発性悪性腫瘍と転移腫瘍の比率は約1:5である。 [24]

肺の悪性原発腫瘍で最も多くみられるのは気管支腫瘍胸膜肺芽腫である。

気管支腫瘍

組織学

気管支腫瘍は原発性気管支内病変の異種起源のグループであり、腺腫は良性の経過を暗に示唆するが、気管支腫瘍のいずれの変種も悪性の挙動を示すことがある。以下の3つの組織型が同定されている: [25] [26] [27] [28] [29] [30]


  • カルチノイド腫瘍(気管支の神経内分泌腫瘍)。カルチノイド腫瘍は小児におけるすべての気管支腫瘍の80~85%を占める。 [25] [26] [27] [28] [29] これは最も多い気管支腫瘍である。

  • 粘表皮がん。

  • 腺様嚢胞がん。これは気管支腫瘍として最も少ない。

予後

小児における気管支腫瘍のすべての組織型は、局所浸潤が認められる場合であっても、外科的切除後の優れた予後と関連している。 [31] [32] ; [33] [証拠レベル:2A]

臨床像と診断的評価

気管支腫瘍の主症状は通常、気管支の不完全な閉塞を原因とし、以下のものがある:


  • 咳嗽。

  • 再発性肺炎。

  • 喀血。

診断が困難であることから、しばしば症状が数ヵ月間にわたってみられ、ときには喘鳴を認める小児に対して喘息の治療が行われて、診断の遅れが4~5年にも及ぶことがある。 [34]

カルチノイド腫瘍の約6%に転移病変がみられ、症例の2%は再発することが報告されている。異型カルチノイド腫瘍はまれであるが侵攻性が高く、50%の患者が診断時に転移性疾患を呈する。 [21] [35] カルチノイド腫瘍および転移性疾患を伴い、古典的カルチノイド症候群を発症した小児についての1件の報告がある。 [36] オクトレオチドを用いる核スキャンによって、腫瘍またはリンパ節の放射能取り込み率が得られ、転移性の拡がりが示唆される。

気管支腫瘍の管理は、気管支腫瘍が通常内視鏡的に目で確認できるため、多少の見解の相違がある。これらの病変の生検は、出血のために危険な状態となることがある。新しい内視鏡下の手技により生検の安全な施行が可能となっている [30] [37] ;しかしながら、ごく限られた症例を除いては、内視鏡的切除術は推奨されない。 [37] [38] 気管支造影またはコンピュータ断層撮影スキャンは、肺の破壊の程度が外科的療法に影響するので、閉塞部より遠位の気管支拡張の程度を決定するのに有用であろう。 [39]

治療

浸潤したリンパ管の切除とともに、可能であれば管状気管支区域切除を含めた保存的肺切除が選択すべき治療法である。 [40] [41] ; [33] [証拠レベル:2A]腺様嚢胞がん(円柱腫)は粘膜下に拡がる傾向があり、晩期局所再発または播種が報告されている。この病変を有する小児においては、肺門リンパ節切除を含めた一塊の切除に加えて、気管支切除断端の凍結切片検査を実施する。

転移の証拠を得た場合を除いて、気管支腫瘍には、化学療法も放射線療法も適応とされない。

(神経内分泌カルチノイド腫瘍に関する情報については、本要約の神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍)のセクションを参照のこと。)

胸膜肺芽腫

胸膜肺芽腫の種類

胸膜肺芽腫はまれで非常に侵攻性の強い肺悪性腫瘍であり、肺または胸膜の腫瘤として現れることがある。International Pleuropulmonary Blastoma Registryはこのまれな悪性腫瘍に関する価値ある情報源である。 [42]

胸膜肺芽腫については以下の3つの亜型が同定されている:


  • I型:

    わずかに悪性の変化を伴う純粋な肺嚢胞性新生物で、典型的には2歳までに発症し予後良好である。I型からIII型への移行が生じる [43] [44] ;しかし、かなりの割合のI型腫瘍はII型およびIII型には進行しない。 [44]

    組織学的に、これらの腫瘍は良性上皮表面下にさまざまな数の原始的間葉細胞を伴う多房性嚢胞として現れ、半数の症例で骨分化を伴う。 [44] この病型は一部の発育性肺嚢胞と似ているために臨床的、病理学的にまぎらわしい場合がある。


  • Ir型:

    原始的細胞要素を欠く純粋な嚢胞性腫瘍。rの指定は退縮または非増悪を意味する。Ir型は当初は胸膜肺芽腫患児の年長の同胞で認められたが、非常に幼い小児でもみられることがある。DICER1突然変異を有する比較的年長の個人または胸膜肺芽腫患者の近親者の肺嚢胞は、Ir型である可能性が最も高い。 [45]

  • II型:

    II型は嚢胞性および固形性の両要素を示す。固形領域には芽体性および肉腫性の特徴が混在している;症例のほとんどは横紋筋芽細胞を示し、軟骨分化を伴う結節がよくみられる。 [46] 患者の11%に脳転移が発生する可能性がある。 [47]

  • III型:

    純粋な固形新生物であり、前述の芽体性および肉腫性の要素を有する。 [48] [49] 脳転移は、腫瘍がIII型の患者の最大50%に発生する。 [47]

Pleuropulmonary Blastoma Registryにより、50年間にわたり中央診断で確定された350例の胸膜肺芽腫症例について報告された(表4を参照のこと)。 [45]

表4.胸膜肺芽腫の相対的割合および特徴a

I型 Ir型 II型 II/III型またはIII型
a出典:Messinger et al.
胸膜肺芽腫症例の相対的割合 33% 35% 32%
診断時年齢中央値(月齢) 8 47 35 41
5年全生存率 89% 100% 71% 53%


予後因子

胸膜肺芽腫の予後因子には以下のものがある: [45]


  • 胸膜肺芽腫の種類。胸膜肺芽腫の組織型は、最も強力な転帰の予測因子であった。(表4を参照のこと。)

  • 転移性病変の有無。診断時の転移性病変の存在も、独立した予後不良因子であった。脳転移発生のリスクの増加が認められ、5年累積確率はII型病変では11%、III型病変では54%である。 [47]

  • 外科的完全切除。 [50]

検査された97人の患児の66%に、DICER1のヘテロ接合型生殖細胞変異が認められており、これが家族性がん症候群であることが確認された。 [45] このサブセットでは、DICER1突然変異状態は転帰と関係していなかった。

危険因子

胸膜肺芽腫に罹患した患児の家系の約3分の1に多数の異形成および/または腫瘍性疾患がみられ、これらが胸膜肺芽腫家族性腫瘍および異形成症候群を構成している。DICER1遺伝子における生殖細胞変異が、この疾患複合体の主要な遺伝的決定基であると考えられる。 [51] [52] [53] 重要な点として、DICER1突然変異により広範な表現型がもたらされるが、DICER1突然変異を保有する家族すべてに胸膜肺芽腫が発生するわけではない;したがって、このような家系に対しては、一般にDICER1症候群という用語が用いられている。また、突然変異キャリアでもほとんどが罹患せず、腫瘍リスクが軽度なことを示している。 [52] 逆に、胸膜肺芽腫の患児の約40%ではDICER1の生殖細胞変異が認められない。 [45]

最も関連性が高いのは嚢胞性腎腫である;胸膜肺芽腫症例の最大10%が、嚢胞性腎腫またはウィルムス腫瘍を発症することが報告されており、これらは家系員でも比較的多い悪性腫瘍である。 [54] DICER1の生殖細胞変異は、卵巣の性索間質性腫瘍(特にセルトリ-ライディッヒ細胞腫)、多発結節性甲状腺腫、子宮頸部の胎児型横紋筋肉腫、子宮頸部の原始神経外胚葉性腫瘍、ウィルムス腫瘍、肺分画症、若年性腸管ポリープ、毛様体髄上皮腫、髄芽腫、およびセミノーマとも関連付けられている。 [46] [53] [54] [55] [56] [57] [58] [59]

DICER1突然変異は浸透度が低いとみられ、胸膜肺芽腫、嚢胞性腎腫、および多発結節性甲状腺腫が最も報告の多い症状である;すべての家系に胸膜肺芽腫が認められるわけではなく、突然変異キャリアのほとんどは腫瘍を生じない。ほとんどの関連疾患は10歳未満の小児に生じるが、卵巣腫瘍および多発結節性甲状腺腫は小児および30歳までの成人で報告されている。 [53]

臨床像

主症状は特異的ではなく、一般的に以下のものを含む:


  • 呼吸窮迫。

  • 発熱。

  • 胸痛。

I型腫瘍患者の最大50%が複数の病変を有し、その症例の33%では病変は両側性である。 [44]

腫瘍は、一般に末梢肺に局在しているが、心臓/大血管、縦隔、横隔膜、および/または胸膜への転移により肺外に現れることもある。 [50] [60] International Pleuropulmonary Blastoma Registryでは、胸部大血管または心臓への腫瘍進展を伴ったII型およびIII型の胸膜肺芽腫が11例確認された。胸膜肺芽腫が疑われるか、診断された小児では、命に関わることがある塞栓合併症を特定するために、中心循環のX線評価を実施する。 [61]

治療

標準治療法の選択肢は存在しない。これらのまれな腫瘍に対する現在の治療レジメンの情報はコンセンサスを得た見解からもたらされている。

外科的完全切除が最も重要な予後因子である [50] ;しかしながら、手術単独の場合の再発率は高い。 [44] [49]

International Pleuropulmonary Blastoma RegistryおよびEuropean Cooperative Study Group in Pediatric Rare Tumors(EXPeRT)のデータによれば、補助化学療法により再発リスクが低下しうることが示唆される。 [48] ; [60] [証拠レベル:3iiiA]化学療法については、横紋筋肉腫の治療に用いる薬剤とほぼ同じものの奏効例が報告されている。 [45] [48] [62] [63]

幹細胞救助を伴う大量化学療法が行われているが奏効していない。 [64]

Pleuropulmonary Blastoma Registryから一般的な治療上の考慮事項がいくつか得られ、以下のものがある: [42]

  1. I型およびIr型:

    選択された症例、特にIr型に対しては手術単独。しかしながら、補助化学療法により再発リスクが低下することがあるが、生存には影響しない。 [42] [45] [48] 4型嚢胞性腺腫様奇形とI型胸膜肺芽腫の間には組織学的に密接な関連性があることを示唆する証拠がある。 [65] [66] これらの患者に対する外科的な肺葉全切除術は適切な治療であるが、注意深い観察が推奨される。
  2. II型およびIII型:

    手術および、術前または術後補助の設定のいずれかの化学療法。 [45] [62] 外科的完全切除およびアントラサイクリン系を含むレジメンによる化学療法を用いる横紋筋肉腫用のレジメンが、良好な転帰と関連している。 [60]

III型胸膜肺芽腫患者には放射線療法を使用してもよいが、生存に影響を及ぼすことはない。 [45]

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • ADVL1522(NCT02452554)

    (再燃したまたは難治性ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、胸膜肺芽腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、または滑膜肉腫の若年患者の治療におけるlorvotuzumab mertansine)

    これは、再燃したまたは難治性ウィルムス腫瘍、横紋筋肉腫、神経芽腫、胸膜肺芽腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、および滑膜肉腫の小児を対象にしたIMGN901(lorvotuzumab mertansine)に関する第II相研究である。この試験では、強力な有糸分裂阻害剤とCD56を標的とする抗体とを結びつけるIMGN901抗体-薬物複合体の効果が研究されている。

食道腫瘍

発生率と組織学

小児の食道がんはまれであるが、高齢者になれば頻度は相対的に高くなる。 [67] [68] そのほとんどが扁平上皮がんであるが、食道には肉腫も発生する。良性腫瘍で最もよく認められるのは、平滑筋腫である。

臨床像と診断的評価

症状は、嚥下困難に関わるものであり、体重低下も随伴する。診断は、生検組織の組織学的検査によって確定される。

治療

食道がんに対する治療法の選択肢には以下のものがある:


  • 腔内への外照射療法。

  • 化学療法(プラチナ誘導体、パクリタキセルエトポシドなどのがん腫の治療によく用いられる薬剤)。

  • 手術。

食道がんの完全切除はほぼ不可能であるため、予後は一般に不良である。

(詳しい情報については、成人の食道がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

胸腺腫および胸腺がん

胸腺のがんであっても、その器官を覆う上皮細胞に腫瘍化を認めなければ、胸腺腫または胸腺がんとはみなされない。 [69] [70] [71] 胸腺腫という用語は、上皮構成部分に明らかな異型を示さない新生物を記述するために慣習的に使用されている。胸腺がんは、被膜浸潤および転移の発生率が高い。明確な細胞学的異型性の特徴およびもはや胸腺に特異的ではない組織学的特徴を呈する胸腺の上皮性腫瘍は、胸腺がん(またはC型胸腺腫)として知られる。胸腺に発現する腫瘍にはこのほか、リンパ腫、胚細胞腫瘍、がん腫、カルチノイド腫瘍、および胸腺腫がある。ホジキンリンパ腫および非ホジキンリンパ腫も胸腺に発生することがあり、本来の胸腺腫および胸腺がんとは鑑別しなければならない。

胸腺腫

発生率および転帰

胸腺腫は小児では非常にまれである。 [72] [73] [74] Tumori Rari in Età Pediatrica登録において、9年間で確認された症例はわずか8例であった。 [72]

数件の研究で、胸腺腫に関連する転帰について以下のように報告されている:


  • 1973年から2008年までのSEER登録データのレビューでは、20歳未満の患者73例の前縦隔腫瘍が同定された。 [73] このうち32%が胸腺腫であり、29%が非ホジキンリンパ腫であり、22%がホジキンリンパ腫であった。胸腺腫患者は、リンパ腫患者よりも10年後の生存率が不良であった。1973年から1989年の初期に治療された胸腺腫患者は、10年生存率が18%であった。1991年から2008年の間に治療を受けた患者の生存率は75%であった。転移性病変の有無と手術を併用しない治療は、はるかに不良な転帰と関連していた。

  • 18歳未満の患者について発表された胸腺がんを除く胸腺腫48例のレビューで、病期と生存の関連が示された;加えて、治療のガイドラインも示唆された。このシリーズの2年全生存率は71%であった。 [74]

  • European Cooperative Study Group for Pediatric Rare Tumorsにより、2000年から2012年の間に胸腺腫の小児16人が確認された。 [75] 胸腺腫の患者16人中11人で完全切除が達成された。胸腺腫の患者16人中14人が診断から中央値で5年経過時に良好に生存していた。

危険因子

胸腺腫に関連する疾患および症候群には、以下のものを含め、さまざまなものがある: [76] [77] [78]


  • 重症筋無力症。

  • 多発性筋炎。

  • 全身性エリテマトーデス。

  • 関節リウマチ。

  • 甲状腺炎。

  • Isaac症候群。

  • 神経性筋硬直症(電位依存性カリウムチャネル抗体の結果として持続性の筋活動から生じる連続的な筋硬直)。

  • 純赤血球無形成症。

  • 甲状腺機能亢進症、アジソン病、および汎下垂体機能低下症などの内分泌(ホルモン)異常。

臨床像

このような新生物は、一般に縦隔前部に位置し、ルーチンの胸部X線検査で発見される。以下の症状が見られる場合がある: [74]


  • 咳嗽。

  • 嚥下困難。

  • 胸部絞扼感。

  • 胸痛。

  • 息切れ。

非特異的症状も認められることがある。

この腫瘍は一般に増殖が緩徐であるが、浸潤性となり、他の器官またはリンパ節への遠隔転移を生じる可能性がある。浸潤性の程度によって病期が分類されている。ほとんどの小児は低病期であった。 [74]

治療

胸腺腫に対する治療法の選択肢には以下のものがある:


  • 手術。

    手術は完全切除を目的に実施され、治療の中心である。 [79]

  • 放射線療法。

    浸潤性胸腺腫の患者には、放射線療法を使用する。 [78]

  • 化学療法。

    通常、化学療法は放射線療法またはコルチコステロイド治療が奏効しなかった進行期の患者にのみ実施される。有効性が示されている薬物として、ドキソルビシンシクロホスファミドエトポシドシスプラチンイホスファミド、およびビンクリスチンが挙げられる。 [72] [78] [80] [81] これらの薬物のいくつかの併用を含むレジメンに対する反応は、26~100%の幅があり、生存率は50%と高かった。 [81] [82]

胸腺がん

European Cooperative Study Group for Pediatric Rare Tumorsにより、2000年から2012年の間に胸腺がんの患者20人が確認された。 [75] 胸腺がんの患者20人中1人で完全切除が達成された。胸腺がんの患者に対しては、さまざまな化学療法レジメンおよび放射線療法が用いられた。胸腺がんの患者に対する5年OS率は21.0% ± 10.0%であった。

治療

胸腺がんに対する治療法の選択肢には以下のものがある:


  • 手術。

    胸腺がんの完全切除はほとんど不可能である。 [75]

  • 放射線療法。

    胸腺がんの患者には、放射線療法を使用する。 [78]

  • 化学療法(胸腺腫に対して記述されたものと同じ)。

    奏効率は胸腺がん患者では低いが、2年生存率は50%と高いことが報告されている。 [71] [83] [84]

  • スニチニブ。

    胸腺がんの成人患者4人において、スニチニブで臨床反応が得られている。 [85]

(胸腺腫および胸腺がんの治療に関する詳しい情報については、成人の胸腺腫および胸腺がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

心臓腫瘍

組織学

心臓腫瘍はまれで、剖検でみられる頻度は0.001~0.30%である [86] ;ある報告では、心臓腫瘍が原因で実施された心臓手術の割合は0.093%であった。 [87] 最も一般的な心臓の原発腫瘍は良性であり、以下のものがある: [88] [89] [90]


  • 横紋筋腫。

  • 粘液腫。

  • 奇形腫。

  • 線維腫。

この他の良性腫瘍としては、類組織球性心筋症を伴う腫瘍、血管腫、および神経線維腫(すなわち、筋を支配する神経の腫瘍)がある。 [88] [91] [92] [93] [94]

粘液種はカーニー複合(黒子、心臓粘液腫やその他の類粘液性線維腫、および内分泌障害を特徴するまれな症候群)において最もよくみられる非皮膚所見である。 [95] [96] [97] PRKAR1A遺伝子のある突然変異がカーニー複合症例の90%以上に認められる。 [95] [98]

原発性の小児悪性心臓腫瘍はまれではあるが、以下のものが生じることがある: [88] [99] [100]


  • 悪性奇形腫。

  • リンパ腫。

  • 横紋筋肉腫、血管肉腫、軟骨肉腫、乳児型線維肉腫などのさまざまな肉腫。まれに、滑膜肉腫が心臓または心膜に発生することがある。

心臓の二次腫瘍には、横紋筋肉腫、他の肉腫、黒色腫、白血病、胸腺腫、およびさまざまな部位のがん腫からの転移がある。 [86] [88]

危険因子

胎児期および新生児期における心臓腫瘍の分布は、年長の患児とは異なっており、奇形腫の3分の2がこの時期に発生する。 [91] 胎児期または新生児期に認められる多発性の心腫瘍は、結節性硬化症の診断との関連性が高い。 [91] [101] 胎児期または新生児期の心エコー検査によって心臓腫瘍が発見された94人の患者を対象としたレトロスペクティブ・レビューにより、患者の68%に結節性硬化症の特徴がみられたことが明らかとなった。 [102] 別の研究では、胎児期に発見された横紋筋腫の患児の79%(19人中15人)が結節性硬化症であったのに対し、生後に診断された患児では96%が結節性硬化症であった。診断が出生前、出生後にかかわらず、ほとんどの横紋筋腫は自然に退縮する。 [103]

臨床像と診断的評価

患者が無症状で、突然死を起こす場合もある [104] [証拠レベル:3iiiA]が、患者の約3分の2には症状があり、以下のものがみられることがある:


  • 心律動異常。

  • 心肥大。

  • 心嚢液貯留。

  • うっ血性心不全。

  • 失神。

  • 脳卒中。

  • 呼吸窮迫。 [90]

新しい心臓MRI検査法の利用により、ほとんどの小児において可能性の高い腫瘍タイプを特定することができる。 [105] しかしながら、組織学的診断が依然として心臓腫瘍の標準的診断法である。

治療

治療を成功させるには、手術、進行性症状に対する減量手術、心移植のほか、そのがんの種類に適した化学療法が必要なことがある: [106] [107] [108] ; [109] [証拠レベル:3iiA]

  1. 横紋筋腫のような一部の病変は自然に退縮することがあるが、腫瘤関連合併症を防ぐために、予防的切除を推奨する医師もいる。 [87] [90] [101] ; [110] [証拠レベル:3iiDiii]結節性硬化症患者では、哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害薬のエベロリムスを用いた治療により横紋筋腫のサイズが縮小することが報告されている。 [101] [111]
  2. 心臓肉腫は転帰不良であるが、集学的治療法で治療可能である;術前化学療法の使用は、手術に先立って腫瘍量を減少させる点で価値がある場合がある。
  3. その他の病変では、外科的完全切除により治癒の最良の機会が得られ、術後の合併症が約3分の1の患者にみられるものの、術後の死亡率は患者の10%未満である。 [87] [90]

あるシリーズでは、10年で患者の95%に心臓腫瘍の再発がみられなかった。 [90]

中皮腫

発生率、危険因子、および臨床像

中皮腫は小児期ではきわめてまれであり、20歳までに症状を呈する患者は2~5%のみである。 [112] 小児での報告は300例に満たない。 [113]

中皮腫は、早期がん治療の成功後、特に放射線療法後に発現することがある。 [114] [115] 成人では、建築用断熱材として用いられていたアスベスト曝露との関連が確認されている。 [116] がんの発現を来す曝露量は未だ不明であり、アスベストに曝露した小児のリスクに関しては、何ら情報は得られていない。

この腫瘍は、肺、心臓、または腹部臓器の表面被膜に発生する。 [117] [118] [119] 器官表面上に拡がり、内部組織に深く侵入することはなく、所属リンパ節ないし遠隔リンパ節に拡がる。

予後

中皮腫を組織学的基準に基づいて良性と悪性に分類鑑別することはできない。びまん性かつ浸潤性の病変および再発病変は、予後不良に関連する。一般に、がんの進行過程は緩徐で、長期生存例が多い。

診断的評価

疑わしい症例では診断を確定するために、診断的胸腔鏡検査を検討すべきである。 [112]

治療

根治的な外科的切除術が試みられているが、結果はさまざまである。 [120] 成人では、ペメトレキセド-シスプラチンによる多剤併用化学療法後の胸膜外肺全摘術および放射線療法などの集学的治療法により、持続性反応が得られることがある。 [121] [証拠レベル:2A]しかしながら、このアプローチはなおも大きく賛否が分かれている。 [122] 小児では、がん腫または肉腫に用いられる種々の化学療法薬による治療が部分奏効を示すことがある。 [119] [123] [124] [125]

疼痛がみられることはあまりないが、疼痛が生じる場合は、緩和のために放射線療法が用いられることがある。

腹膜漿液性乳頭状がん(Papillary serous carcinoma of the peritoneum)は、中皮腫と誤られることがある。 [126] この腫瘍は一般に、卵巣を含むあらゆる腹部臓器の表面被膜に発生する。治療法としては、可能であれば切除術を施行し、シスプラチンカルボプラチンパクリタキセルなどの化学療法を用いる。

(詳しい情報については、成人の悪性中皮腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)


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腹部のがん

腹部のがんには以下のものがある:


以下に、腹部のがんに関する予後、診断、分類、および治療を考察する。15歳未満の患者でこれらのがんがみられることは非常にまれであり、証拠のほとんどがケースシリーズから得られていることを強調する必要がある。(腎腫瘍に関する情報については、小児ウィルムス腫瘍およびその他の腎腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

副腎皮質がん

副腎皮質腫瘍は、良性(腺腫)から悪性(がん腫)の挙動まで継ぎ目なく移行することが多い多種多様な疾患を包含している。

発生率

小児における副腎皮質腫瘍の発生率はきわめて低い(小児がんのわずか0.2%)。 [1] 副腎皮質腫瘍は二峰性分布に従うと考えられており、10歳までと30歳代に発生のピークがある。 [2] [3] 小児副腎皮質腫瘍が典型的にみられるのは、5歳まで(年齢中央値、3~4歳)であるが、青年期にも2番目の小さな発生のピークがみられる。 [4] [5] [6] [7] [8] [9]

米国では、毎年新たに25例の小児の症例が発生すると予想され、年間発生率は100万人当たり0.2~0.3例と推定される。 [10] しかしながら、国際的にみれば副腎皮質腫瘍の発生率にはかなりの変動があるとみられる。発生率はブラジル南部で特に高く、米国で認められる発生率の約10~15倍に上る。 [11] [12] [13] [14]

ほとんどの研究では一貫して女性が優勢であり、男女比は1.0:1.6である。 [8] [9] [15]

危険因子

TP53の生殖細胞変異がほとんど常に素因となっている。TP53生殖細胞変異の可能性は、生後1年目が最も高く、年齢を重ねるごとに低下していく。北米および欧州における症例の50%超、およびブラジルの症例の95%では素因となる遺伝因子が関係している。 [16]


  • ブラジル以外の症例で、副腎皮質腫瘍の小児の近親者では、全例ではないが多くの例で、他の非副腎がん(リー-フラウメニ症候群)の発生率が高い;通常はTP53のDNA結合ドメインをコードする領域内に(エクソン5~8の主に高度に保存されたアミノ酸残基において)生殖細胞変異が認められる。 [13] [16]

  • ブラジルの症例では患者の家系はがんの高い発生を示さず、TP53遺伝子のエクソン10のコドン337において単一の固有の突然変異が一貫して認められている。 [14] [17] ブラジルの研究では、この地域で広くみられるTP53 R337H突然変異の新生児スクリーニングにより、スクリーニングを受けた新生児171,649人のうち、キャリアが461人(0.27%)いたことが確認された。 [18] キャリアおよび15歳未満の血縁者には、臨床スクリーニングが行われた。スクリーニング参加者で特定された副腎皮質腫瘍は、スクリーニングに参加しなかったキャリアで発見された腫瘍よりも小さく、治癒率が高かった。

ベックウィズ-ヴィーデマン症候群および片側肥大症候群の患者は、がんの素因を有しており、その新生物のうち実に16%が副腎皮質腫瘍である。 [19] ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の表現型の特徴がみられない患者では、KCNQ1OT1遺伝子の低メチル化が副腎皮質腫瘍の発生と関連することが指摘されている。 [20] しかしながら、これらの症候群がみられる副腎皮質腫瘍の小児は1%未満である。 [21]

小児副腎皮質がんに特有の遺伝的特徴がレビューされている。 [22]

組織学

成人の副腎皮質腫瘍とは異なり、小児の腺腫とがん腫の組織学的鑑別は困難である。しかしながら、小児の症例の約10~20%は腺腫である。 [2] [5] 良性腫瘍(腺腫)と悪性腫瘍(がん腫)との区別は、難しいことがある。実際、腺腫とがん腫は複数の遺伝子異常を共有しているとみられ、連続的な細胞形質転換の異なる点に位置している可能性がある。 [23]

肉眼的には、腺腫は十分に定義され、球状の傾向があり、周辺組織には決して浸潤しない。腺腫は典型的な場合、小さく(通常、200cm3未満)、腺腫の基準の1つに大きさを含めている研究もある。これに対して、がん腫は悪性を示唆する肉眼的特徴を有する;がん腫の方が大きく、出血および壊死している範囲が広く、顕著な分葉を示す。顕微鏡的に、がん腫は好酸性細胞質を含む比較的大きな細胞で構成されており、胞巣状のクラスターを形成している。数人の著者により、これら2つの型の新生物を区別するのに役立つ組織学的基準が提唱されている。 [24] [25]

形態学的基準による副腎皮質腫瘍の良性と悪性の区別の信頼性は低い場合がある。細胞分裂の割合は一貫して、侵攻的な振る舞いを示す最も重要な決定因子として報告されている。 [26] 成人では、IGF2発現もまたがん腫と腺腫とを識別するが、小児においては識別しないようである。 [27] [28] このほか、病理組織学的変数も重要であり、腫瘍壊死、細胞分裂の割合、異型細胞分裂の存在、および血管浸潤、被膜浸潤、または隣接臓器への浸潤といった腫瘍の特徴から導いたスコアに基づいて、リスク群を同定できる場合がある。 [14] [26]

生物学的特徴

71例の小児副腎皮質腫瘍(発見コホートにおける37例および独立コホートにおける34例)に対して実施された研究で、小児副腎皮質がんに関するゲノムの全体像が記述された。 [29]


  • 症例の約90%に認められた最も一般的なゲノム変化は、11p15におけるコピー数変化によるヘテロ接合性の消失で父方アレルは維持され、IGF2の過剰発現を引き起こしていた。

  • TP53突然変異が一般的に観察された。71例中12例はブラジル人の創始者R337H TP53生殖細胞変異を有した。ブラジル人の創始者突然変異症例を除くと、TP53生殖細胞変異は症例の約3分の1に観察され、残りの症例の約10%でTP53体細胞変異が観察されたため、ブラジル人以外の症例の約40%がTP53突然変異を有していた。TP53突然変異を有する症例では、野生型TP53は選択されず17番染色体のヘテロ接合性の消失がほぼすべての症例で認められた。

  • ATRXのゲノム変化(主に構造変異)が症例の約20%に認められた。ATRXの変化はすべてTP53の変化が認められる状況で発生していた。TP53ATRX突然変異の共起は、進行期、大きな腫瘍径、テロメア長の増加、および予後不良に相関した。

  • CTNNB1の活性化突然変異は約20%の症例に認められ、TP53生殖細胞変異とは相互排他的であった。

臨床像

小児副腎皮質腫瘍は、ほぼ例外なく機能性であるため、内分泌障害が生じ、通常は最初の徴候および症状が出現してから5~8ヵ月後に診断が下される。 [3] [5]


  • 80%を超える患者でアンドロゲンの過剰分泌による男性化(陰毛、成長加速、陰茎拡大、陰核肥大、多毛、およびざ瘡)が、単独または高コルチゾール症を伴ってみられる。 [14] [30]

  • エストロゲン症が認められることもある。 [31]

  • 孤立性のクッシング症候群は非常にまれであるが(患者の5%)、年齢の高い小児では比較的頻繁に起こるようである。 [3] [5] [8] [14] [32]

ホルモン過剰分泌によって、特定の各腫瘍に対する内分泌プロファイルの確立が可能であり、これにより治療への反応の評価が容易になり、腫瘍再発を監視できる。 [14]

非機能性腫瘍はまれであり(10%未満)、比較的年齢の高い小児に起こる傾向がある。 [3]

予後因子

限局性疾患の患者でより高い生存率と関連しているのは、比較的低い年齢(4歳未満)、男性化しかみられないこと、血圧正常、I期疾患、手術中の腫瘍漏出が認められなかったこと、および200g以下の腫瘍重量である。 [9] [33] Cox回帰モデル解析では、I期疾患、男性化しかみられないこと、および0~3歳の年齢のみが独立して、良好な治療成績と関連した。 [3] 利用可能なデータにより、小児では腫瘍径が特に重要であると示唆されている;腫瘍が小さい患者は、組織学的特徴に関係なく、手術単独で優れた治療成績が得られている。 [9] [34] 82人の患者(62人が限局性疾患を有し、20人が転移を有した)を対象にしたヨーロッパのレビューで、200cm3超の腫瘍量、不完全切除、5歳を超える年齢、および2つ以上の危険因子の存在が予後不良因子であることが明らかにされた。3年全生存(OS)率は集団全体で55%で、限局性疾患を有する患者で73%であった;転移を有した患者はすべて診断から15ヵ月以内に死亡した。限局性疾患を有した62人の患者を個別に分析したところ、200cm3超の腫瘍量は無増悪生存(PFS)(ハザード比[HR]、4.38)およびOS(HR、3.68)の有意な予後因子であった。 [35]

HLA Class II抗原、HLA-DRA、HLA-DPA1、およびHLA-DPB1の低い発現は、比較的高い年齢、大きな腫瘍サイズ、転移性病変の存在、および転帰不良に関連している。 [36]

副腎皮質腫瘍の小児の5年全生存率は、54~74%と報告されている。 [3] [5] [6] [8] [32] [33] [34] [35]

治療

診断時に、3分の2の小児患者は病変が限局しており(腫瘍の完全切除が可能である)、残りの患者は病変が切除不能または転移性である。 [3]

小児副腎皮質腫瘍の治療法は成人の研究で得られたデータから導き出されており、同じガイドラインが用いられる。手術は最も重要な治療法であり、病勢が進行した患者に対しては、ミトタンシスプラチンをベースにしたレジメンに、通常はドキソルビシンエトポシドを組み込んだ治療法が推奨される。 [13] [14] [37] [38] ; [8] [証拠レベル:3iiiA]

小児副腎皮質腫瘍に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術:

    実施可能であれば、原発腫瘍とすべての転移部位に対する積極的な外科的アプローチが推奨される。 [39] [40] 腫瘍の破砕性のために、被膜の破裂とその結果として起こる腫瘍漏出が頻繁にみられる(初回切除の約20%および再発後の切除の43%)。 [3] [6] 副腎皮質腫瘍の診断が疑われる場合は、腫瘍破裂のリスクを避けるために、穿刺吸引法よりも、むしろ開腹術および治癒的処置が推奨される。 [40] [41] 腹腔鏡下切除は腫瘍破裂およびがん性腹膜炎のリスクが高い;したがって、開腹副腎摘出術が依然として標準治療となっている。 [42]
  2. ミトタンとシスプラチンをベースにしたレジメン:

    小児におけるミトタンの使用について利用可能な情報がほとんどないものの、奏効率は成人で観察されるものとほぼ同じであると考えられる。 [1] [37] 成人ではミトタンは一般的に完全切除後の補助療法の条件で単剤として使用される。 [37]
    • イタリアとドイツでの1件のレトロスペクティブ解析により、完全切除が行われた副腎皮質がんの成人患者177人が同定された。ミトタンの補助的な使用により、無再発生存期間が有意に延長した。有益性はミトタン1~3g/日で認められ、3~5g/日の用量よりも毒性副作用が少なかった。 [43] (詳しい情報については、成人の副腎皮質がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

    • ミトタンシスプラチンをベースとした化学療法レジメンによる治療を受けた進行副腎皮質腫瘍の小児11人を対象としたレビューによると、7人の患者に測定可能な反応がみられた。治療レベルに必要なミトタンの一日量は約4g/m2であり、治療開始から4~6ヵ月後に治療レベルが達成された。 [37]

    • GPOH-MET 97試験において、14mg/Lを超える用量のミトタンはより良好な生存と相関した。 [8] [14]

副腎皮質腫瘍の小児患者に対する放射線療法の使用に関しては、一貫した研究が行われていない。一般に、副腎皮質腫瘍は放射線抵抗性であると考えられている。さらに、副腎皮質腫瘍の小児では、がんの素因となる生殖細胞系TP53突然変異を保有していることが多いため、放射線照射により二次性腫瘍の発生率が上昇する可能性がある。小児副腎皮質腫瘍の長期生存者5人中3人が、放射線照射野内に発生した二次性肉腫により死亡したことを報告した研究が1件ある。 [14] [44]

(詳しい情報については、成人の副腎皮質がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

胃がん

発生率

小児では原発性の胃腫瘍はまれであり、胃がんはさらにまれである。 [45] 1件のシリーズにおいて、18歳未満の小児における胃がんは、18年にわたって観察された全胃がん症例の0.11%を占めていた。 [46] 胃がんの発生頻度および死亡率は、冷蔵庫など食品保存機器の導入に伴って、この50年間にわたり世界的に低下してきている。 [47]

臨床像と診断的評価

この腫瘍は、非ホジキンリンパ腫、悪性カルチノイド腫瘍、平滑筋肉腫、および胃の種々の良性病変または腫瘍とは鑑別しなければならない。 [45] 胃がんの症状には以下のものがある:


  • 食欲不振および体重減少をもたらすことのあるわずかな上腹部痛。

  • 吐き気と嘔吐。

  • 排便習慣の変化。

  • 食欲不振。

  • 脱力。

  • ヘリコバクターピロリ菌(Helicobacter pylori)感染症。 [46] [48]

  • 貧血。患者の多くに貧血を認めるが、そうでない場合転移を来すまでは症状に乏しい。

腫瘍を目視により確認するほか、診断を確定するのに生検標本を得るため、消化管ファイバースコープ法が用いられる。また、上部消化管のX線検査による確認も行う。

治療および転帰

治療として、広範囲切除術を施行する。完全切除不能の患者には、フルオロウラシル(5-FU)およびイリノテカンなどの化学療法薬投与とともに、放射線療法を実施する。 [49] このほか、有効とされる薬物は、シスプラチンエトポシドドキソルビシン、またはマイトマイシンCを併用するまたは併用しないニトロソウレア類である。

予後は、診断時の病変範囲のほか、臨床症状から適切であるとされる治療の成功率によって決まる。 [46] 小児は胃がん発生の頻度が低いため、小児の治療成績に関する情報はほとんど存在しない。

(詳しい情報については、成人の胃がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

膵がん

小児および青年における悪性膵腫瘍はまれであり、発生率は30歳未満では100万人当たり0.46例である。 [50] [51] [52] [53]

小児の原発膵腫瘍は以下の4つのカテゴリーに分類できる:


膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍

フランツ腫瘍とも呼ばれる膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍は小児膵腫瘍として最も多く、ほとんどの施設のシリーズで症例の最大70%を占める。 [52] [54] この腫瘍は悪性度が低く、妊娠可能な年齢層の女性(年齢中央値、21歳)に最も好発し、黒人および東アジア人に多い。 [50] [52] [55] 女性に非常に多い理由を説明する遺伝因子またはホルモン因子は知られていないが、すべての腫瘍でプロゲステロン受容体が発現することが報告されている。 [56]

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍は非常にもろい腫瘍であり、腫瘍の破裂および腹腔内出血の報告がある。 [50] [52] [55] 腫瘍は膵臓のどの部分にも生じることがあり、しばしば外方増殖性である。画像検査では、腫瘤は典型的な嚢胞性および充実性の要素を示し、腫瘍内出血および線維性被膜を伴う。 [50] 組織学的には、腫瘍は充実性、偽乳頭状、および嚢胞性の変化の組み合わせを特徴とする。血管供給の脆弱性のため、出血および壊死による続発性の変性変化および嚢胞性領域を生じる。ヒアリン化した線維血管茎の周囲の細胞が偽乳頭を形成する。 [50] 高度に特異的なCD99の傍核ドット様免疫活性パターンが報告されている。 [57]

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍の転帰はきわめて良好であり、10年生存率は95%を超える。 [56]

膵臓の充実性偽乳頭状腫瘍の治療は外科的に行う;しかしながら、術前および術中の漏出が珍しくない。手術は一般的に根治的であるが、局所再発が症例の5~15%に起こる。 [55]

転移性病変が症例の最大15%に起こり、一般に肝臓に生じる。 [50] [52] [55] [56] [57] 切除不能または転移性病変の症例においてゲムシタビン単剤が有効であることが報告されている。 [58]

膵芽腫

膵芽腫は小児におけるすべての膵腫瘍の10~20%を占める。これは幼児の膵腫瘍として最も多く、一般的に10歳までに生じ、診断時の年齢中央値は5歳である。 [50] [59]

ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の患児は膵芽腫の発症リスクが高い;この症候群は早期乳児期に生じた膵芽腫症例の最大60%およびそれより後の時期に膵芽腫を生じた患児の5%に認められる。 [60] 膵芽腫は家族性大腸腺腫症症候群とも関連付けられている。 [61]

この腫瘍は膵腺房細胞の胎生期細胞の遺残から起始すると考えられている。病理学的には、緻密な間質層に区切られた腺房性、索状、または充実性構造の配列を有する上皮性新生物を示す。 [50] CTNNB1遺伝子の突然変異が一部の症例で報告されており、膵芽腫が正常な膵臓の分化における変異により生じる可能性が示唆されている。 [62]

症例の約半数は膵頭部に起始するが、黄疸はまれである。腫瘍の約80%がα-フェトプロテインを分泌することから、これを治療に対する反応の測定および再発のモニタリングに使用することができる。 [59] 一部の症例では、腫瘍が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)または抗利尿ホルモンを分泌することがあり、患者がクッシング症候群および不適切な高抗利尿ホルモン分泌による症候群を呈する場合がある。 [60] 患児の30~40%で転移がみられ、一般的に肝臓、肺、リンパ節に生じる。 [59]

集学的アプローチにより、患児の約80%で治癒が得られる。 [59]

膵芽腫では手術が治療の中心であり、治癒を得るためには外科的完全切除が必要である。膵頭部が一般的な起始部位であることから、通常はWhipple法が必要となる。

大きい、切除不能、または転移を来した腫瘍については術前化学療法が適応となる;膵芽腫は化学療法に反応することが多く、通常はシスプラチンをベースとするレジメンが推奨される。シスプラチンドキソルビシンを含むPLADOレジメンが最もよく用いられるレジメンであり、治療は肝芽腫の管理に倣い、2~3サイクルの術前療法とその後の切除および術後補助化学療法を行う。 [52] [59] [61] [63]

切除不能または再燃症例では放射線療法が用いられているが、術後の顕微鏡的病変の治療におけるその役割は明らかにされていない。 [61]

1件のケースでゲムシタビン [64] および2件のケースでビノレルビンと経口シクロホスファミド [65] で治療された再燃または持続性膵芽腫患者について反応が示されている。

自家造血幹細胞救助を併用する大量化学療法が選択された症例で有効であることが報告されている。 [52] [66]

膵島細胞腫瘍

膵島細胞腫瘍はほとんどのシリーズで小児膵腫瘍の約15%を占める。 [52] [54] [67] このような腫瘍は通常は中年期にみられ、多発性内分泌腫瘍1型(MEN1)症候群と関連している可能性がある;小児に生じる膵島細胞腫瘍は5%未満である。 [50]

機能性膵島細胞腫瘍として最も多い種類はインスリノーマであり、ガストリノーマが続く。インスリノーマ患者は空腹時高インスリン性低血糖症を呈する;幼児では、症状として行動面の問題、痙攣発作、または昏睡などがみられることがある。ガストリノーマはゾリンジャー・エリソン症候群を呈し、まれな部位の再発性消化性潰瘍、および胃液分泌過多による下痢を伴う。インスリノーマはほとんどが良性であるのに対し、ガストリノーマはかなりの割合が悪性である。 [67] 小児でまれにみられる他のあまり多くない腫瘍に、クッシング症候群として生じるACTH産生腫瘍、およびベルナー・モリソン症候群として生じるVIP産生腫瘍がある。非機能性腫瘍は、MEN1に関連する場合を除き、小児ではきわめてまれである。膵島細胞腫瘍は典型的には孤立性である;複数の腫瘍が認められる場合は、MEN1症候群の診断を検討すべきである。

画像検査では、これらの腫瘍は通常は小さく境界明瞭である。ソマトスタチン受容体シンチグラフィは膵島細胞腫瘍の部位を探るのに有用である;しかしながら、ソマトスタチン受容体を発現するのは60~70%のみである。 [50]

膵島細胞腫瘍の治療には、症候群の制御のための内科的療法および外科的完全切除がある。悪性腫瘍および切除不能または転移性病変の患者については、化学療法および哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害薬が推奨される。小児におけるこれらの腫瘍の管理は、成人患者について策定されたコンセンサスガイドラインに従う。 [67] [68]

(詳しい情報については、成人の膵神経内分泌腫瘍(膵島細胞腫瘍)の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

膵がん

小児の膵がん(膵腺房細胞がんおよび膵管腺がん)はきわめてまれである。このような悪性腫瘍は小児の膵腫瘍の5%未満であり、以下のものを含む: [52] [54]


  • 膵腺房細胞がん。

    小児ではまれであるが、膵腺房細胞がんは、成人で最も多い膵がんである膵管腺がんより多い。膵腺房細胞がんは膵芽腫の成人型と考えられており、両疾患の組織学的鑑別は困難な場合がある。 [50]

  • 膵管腺がん。

    膵管腺がんは40歳以下ではきわめてまれである。しかしながら、膵管腺がんは、遺伝性膵炎(PRSS1突然変異)、家族性異型母斑および多発性黒色腫(CDKN2突然変異)、ポイツ・ジェガース症候群などの遺伝性非ポリポーシス大腸がん(STK11および生殖細胞ミスマッチ修復遺伝子)、およびDNA修復遺伝子突然変異(BRCA2およびATMなど)と関連する症候群などのいくつかのがん素因症候群と関連している。 [69] このような患者では発症時年齢が比較的若年であることがあるが、小児期および青年期の発症はきわめてまれである。 [70]

主症状は非特異的であり、局所的腫瘍増殖と関連している。しかしながら、膵腺房細胞がんの成人患者の4~15%はリパーゼ分泌過多症候群を呈することがあり、末梢性多発性関節障害および疼痛を伴う皮下小結節として現れる。

(膵がんの治療に関する情報については、成人の膵がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

大腸がん

発生率

小児年齢群での大腸がんはまれである。 [71] 米国における20歳未満の個人では、年間100万人当たり1人に大腸がんが認められている;米国の小児で診断されるのは毎年100例未満である。 [72] 1973年から2006年までに、Surveillance, Epidemiology, and End Resultsデータベースでは19歳未満の患者174人に大腸がんが記録された。 [73]

臨床像

大腸腫瘍は大腸のいずれの部位にも起こりうる。大規模なシリーズおよびレビューで、上行結腸および下行結腸はそれぞれ症例の約30%でみられ、直腸腫瘍は症例の約25%で発生していることが示唆されている。 [74] [75] [76]

下行結腸腫瘍の患児でみられる徴候および症状には以下のものがある:


  • 腹痛(最も多い)。

  • 直腸出血。

  • 排便習慣の変化。

  • 体重減少。

  • 吐き気と嘔吐。

診断までの症状の持続期間中央値は、あるシリーズでは約3ヵ月であった。 [72] [77]

排便習慣の変化は、直腸または下部結腸の腫瘍に関連している可能性がある。

右側結腸の腫瘍が引き起こす症状は比較的軽度な場合があるが、しばしば以下を伴う:


  • 腹部腫瘤。

  • 体重減少。

  • 食欲不振。

  • 血便。

  • 鉄欠乏性貧血。

大腸の完全閉塞をもたらす腫瘍はいずれも、腸に穿孔が生じ、腹腔内に腫瘍細胞が拡がる原因となる。

診断的評価

診断検査には以下のものがある: [78] [79]


  • 便潜血検査。

  • 肝機能および腎機能検査。

  • がん胎児性抗原の測定。

  • 大腸ポリープを発見するための大腸内視鏡検査による直接的検査を含む種々の医療用画像検査。他の従来型放射線学的検査としては、バリウム注腸またはビデオカプセル内視鏡検査後に胸部コンピュータ断層撮影および骨スキャンを実施する方法がある。 [80]

組織学

小児および青年期の年齢群では粘液性腺がんの発生率が高く(40~50%)、病変の多くが印環細胞型であるが [71] [72] [77] [81] 、成人の病変でこの組織像を呈するのは約15%に過ぎない。こうした組織型を呈する若年者の腫瘍では、化学療法に対する反応性が比較的低いことがある。粘液性の組織像を有する青年および若年成人の集団では、印環細胞、マイクロサテライト不安定性、およびミスマッチ修復遺伝子の突然変異の発生率が高い。 [82] 粘液性の組織像を有する腫瘍は腸の表面から発生し、腺腫性ポリープがあれば、通常その部位に認められる。この腫瘍は、腸を取り巻く筋層内に拡がるか、腸を貫通して腸の外側、内臓脂肪、リンパ節、肝、卵巣、および他の腸のループ部分などに播種する。骨盤および/または卵巣への高い転移率が女児にみられる。 [79]

非遺伝性の散発性腫瘍を有する若年の患者における大腸がんでは、高齢の患者にみられるKRAS突然変異やその他の細胞遺伝学的異常がしばしばみられない。 [83]

病期分類

また、ほとんどの報告で小児に発症する大腸がんは成人よりも進行しており、80~90%の患児がDukes分類C/DまたはTNM病期III期/IV期疾患を呈することが示唆されている(病期分類に関する詳しい情報については、成人の結腸がんの治療に関するPDQ要約の結腸がんの病期情報のセクションを参照のこと)。 [72] [74] [75] [76] [77] [78] [81] [84] [85] [86] [87] [88] [89] [90]

治療および転帰

大半の患者には転移の証拠として [77] 、大きな腫瘍や鏡検下で確認される大きさのリンパ節病変が腸表面または腹腔内臓器に認められる。 [81] [84]

小児大腸がんに対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術:

    外科的完全切除の成否が最も重要な予後因子であり、執刀医はこれを第一目標とすべきであるが、ほとんどの場合これは不可能である。腫瘍の大部分を切除することができても、広範な転移性病変のある患者にとってはその有益性はほとんどない。 [72] 一般に、鏡検下で確認される転移がんのある患者のほとんどに、大きな転移がんが発生しており、診断時に転移がんのある患者には、長期生存はまず期待できない。
  2. 放射線療法および化学療法:

    現在の治療法として、直腸および下部結腸の腫瘍への放射線照射と、5-FUおよびロイコボリンによる化学療法との併用がある。 [91] 価値があるとされるその他の薬物には、イリノテカンがある。 [77] [証拠レベル:3iiiA]5-FU/ロイコボリンと併用投与する場合、インターフェロンアルファの有意な有益性は明らかにされていない。 [92]

    40歳未満の患者138人を含む9件の臨床試験を対象とした最近のレビューにより、併用化学療法を用いることで、これらの患者におけるPFSおよびOSが改善されたことが実証された。さらに、化学療法によるOSおよび奏効率は、より年齢の高い患者で認められたものとほぼ同じであった。 [93] [証拠レベル:2A]


    成人において使用される他の活性のある薬物にはオキサリプラチンベバシズマブパニツムマブセツキシマブ、アフリベルセプト、およびレゴラフェニブがある。 [94] [95] [96] [97]

大腸がんのほとんどの小児で観察される進行期疾患に対する生存率は一致しており、全死亡率は約70%である。外科的完全切除を達成できた患者や早期/限局性疾患の患者の生存期間は有意に長く、治癒も期待できる。 [74]

大腸がんと関連する遺伝的症候群

大腸がんの成人患者の約20~30%は家族性がんの有意な病歴を有する;それらのうち、約5%は十分に定義された遺伝的症候群である。 [98] 小児におけるこれらの遺伝的症候群の発生率は、以下のように、十分に定義されていない:


  • 1件のレビューでは、40歳未満の患者の16%が、大腸がん発生の素因を有した。 [99]

  • 後の研究で、30歳以下の患者における大腸がん標本の31%にミスマッチ修復遺伝子異常の免疫組織化学的証拠が実証された。 [100]

  • ドイツの18歳未満の患者を対象にした1件のレトロスペクティブ・レビューにより、大腸がん患者31人が同定された。 [101] 遺伝的素因症候群について検査を受けた患者26人中11人が検査で陽性となった(患者8人がリンチ症候群、1人が家族性大腸腺腫症、2人がミスマッチ修復遺伝子の構成的異常であった)。遺伝的素因症候群が認められない患者と比較して、遺伝的素因症候群を有する11人の患者では限局性疾患が多く、外科的完全切除が可能で、治療成績が良好であった(生存率100%)。

大腸がんの発生と関連する最も一般的な遺伝的症候群を表5および表6に示す。

表5.腺腫性ポリポーシスと関連する一般的な遺伝的症候群

症候群 遺伝子 遺伝子機能 遺伝パターン
弱化家族性大腸腺腫症 APC(5'突然変異)、AXIN2 腫瘍抑制 優性
家族性大腸腺腫症(ガードナー症候群) APC 腫瘍抑制 優性
リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん) MSH2、MLH1、MSH6、PMS2、EPCAM 修復/安定性 優性
リー-フラウメニ症候群 TP53(p53) 腫瘍抑制 優性
MYH関連ポリポーシス MYHMUTYH 修復/安定性 劣性
ターコット症候群 APC 腫瘍抑制 優性
MLH1 修復/安定性 優性


表6.過誤腫性ポリープと関連する一般的な遺伝的症候群

症候群 遺伝子 遺伝子機能 遺伝パターン
コーデン症候群 PTEN 腫瘍抑制 優性
若年性ポリポーシス症候群 BMPR1A、SMAD4、ENG 腫瘍抑制 優性
ポイツ・ジェガース症候群 STK11 腫瘍抑制 優性


家族性ポリポーシスは優性形質として遺伝し、リスクはきわめて高い。早期に診断し結腸を切除することができれば、大腸がんの発症リスクはなくなる。 [102] ただし、若年者における大腸がんは、大腸腺腫性ポリポーシスAPC)遺伝子の突然変異と関係している可能性があり、その場合は脳腫瘍および肝芽腫のリスク増加と関係している場合もある。 [103] 家族性大腸腺腫症(FAP)症候群とは、正常であれば腸の内膜細胞の増殖および後のポリープ発生を抑制する染色体5q上の遺伝子に突然変異を来すことにより発症するものである。 [104] 10~14歳のFAPの患児を対象とした二重盲検プラセボ対照ランダム化第I相試験の報告では、セレコキシブの16mg/kg/日の用量は、3ヵ月までの投与では安全であった。この用量で、大腸内視鏡検査で検出されたポリープの数に有意な減少が認められた。 [105] [証拠レベル:1iiDiv]小児のFAPの管理におけるセレコキシブの役割は不明である。

別の18番染色体上の腫瘍抑制遺伝子が、ポリープの悪性化に関与する。多くの結腸がんが、神経線維腫症I型をはじめいくつかのまれな症候群と関連している。 [106]

リンチ症候群の家系では複数の悪性腫瘍のリスクが高いにもかかわらず、これらの家系における小児期の悪性新生物のリスクは、リンチ症候群以外の大腸がん家系の小児におけるリスクと比較すると高くないようである。 [107]

(小児大腸がんに関連する遺伝的症候群に関する詳しい情報については、大腸がんの遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)

神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍)

気管支腺腫と同じく、カルチノイド腫瘍は良性の場合も悪性の場合もあり、肺内膜または大腸ないし小腸の内膜、または肝に発生する。 [108] [109] [110] [111] [112] [113] 肺病変のほとんどが良性であるが、転移を来すものもある。 [114] 単一施設のレトロスペクティブ・レビューにより、2003年から2016年までの小児および青年におけるカルチノイド腫瘍症例45例が同定された。 [115] [証拠レベル:3iiDii]最も一般的な原発部位は虫垂であった(45例中36例)。虫垂原発腫瘍患者は虫垂切除術単独で治療され、再発が観察されなかったことから、選択すべき手技として半結腸切除術を併用しない虫垂切除が支持されている。虫垂以外の原発腫瘍では転移および再発リスクが高かった。

ソマトスタチンの過剰排泄を認めるカルチノイド症候群の場合、紅潮および不安定な血圧を呈し、肝転移を来す。 [114] ソマトスタチンアナログは短時間作用性のものも長時間作用性のものもあり、これを投与すれば症状は軽減する。 [116] ときに、カルチノイド腫瘍は異所性ACTHを産生し、クッシング病を引き起こす。 [117]

虫垂の神経内分泌腫瘍

虫垂にみられるカルチノイド腫瘍のほとんどは虫垂切除術時に偶然見つかり、小さな低悪性度の限局性腫瘍である;選択される治療法は単純な虫垂切除術である。 [118] [119] [120]

大きな腫瘍(> 2cm)または腫瘍が局所リンパ節に拡がっている場合には、盲腸切除、まれに右半結腸切除が通常の治療となる。虫垂に大きなカルチノイド腫瘍(直径 > 2cm)がある場合または腫瘍がリンパ節に拡がっている患者には、右半結腸全体を切除するという方法がとられてきた;しかしながら、その実施については未だ見解の一致をみていない。 [121]


  • German Society of Pediatric Oncology and Hematologyでは、1997年以降、虫垂神経内分泌腫瘍の登録を継続している。このグループにより、237人の小児および青年について報告された。 [122] [証拠レベル:3iiDii]60人の患者において、2度目の手術またはリンパ節サンプリングが実施された;リンパ節浸潤は、これら60人の患者のうち9人で発見された。このグループにより、15mm超の腫瘍に対してのみ完全切除された虫垂神経内分泌腫瘍における補助的な右半結腸切除、および15mm未満の切除不完全な腫瘍に対してはリンパ節サンプリングを伴う局所のフォローアップ切除が推奨された。これらの推奨については見解が一致していない。

  • イタリアの小児にまれな腫瘍に関するプロジェクト(TREP)により、プロスペクティブ登録研究が実施され、虫垂神経内分泌腫瘍の患者113人が評価された。 [123] [証拠レベル:3iiiA]2cm未満の腫瘍が完全切除された場合は一次再切除は推奨されなかったが、虫垂の切除断端の顕微鏡的/肉眼的残存腫瘍は例外であり、この場合は盲腸切除と盲腸周囲のリンパ節生検が推奨された。2cmを超える腫瘍に関する決定は、主治医の裁量で下された。しかしながら、医師は切除断端が陽性でなければ、右半結腸切除の実施に消極的であった。41ヵ月の追跡時に、113人の患者全員が生存していた。患者113人中、108人は腫瘍径が2cm未満であった。35人の患者では虫垂壁を越えて腫瘍が進展していた。5例の腫瘍が漿膜に浸潤し、28例の腫瘍が虫垂周囲の脂肪組織に浸潤していた。切除断端は患者113人中111人で陰性であった。腫瘍径2cm超の5人の患者で経過が良好であった。1人の患者が盲腸を切除されたが、残存腫瘍は認められなかった。1人の患者のみ右半結腸切除を受けた(腫瘍径2cm未満で切除断端陰性であったが、オクトレオチドスキャンでは陽性の可能性があった;腫瘍は発見されなかった)。この研究により、ほとんどの虫垂神経内分泌腫瘍の症例に対して虫垂切除術単独で治癒が得られると考えられると結論付けられた。選択すべき手技は虫垂切除であり、半結腸切除は不要である。

虫垂以外の神経内分泌腫瘍

腹部における虫垂以外の神経内分泌腫瘍は、膵臓、胃、および肝臓に発生しうる。最も一般的な臨床像は原発部位不明である。虫垂以外の神経内分泌腫瘍は比較的大きく、高い悪性度で、転移を来す可能性が高い。 [124] 腫瘍サイズが大きくなるほど、再発リスクが高くなっている。 [115]

1件のレトロスペクティブ単一施設研究において、虫垂以外の神経内分泌腫瘍の5年無再燃生存率は41%で、全生存率は66%であった。これらの腫瘍に対する化学療法は一般に効果がなかった。 [124]

(気管支カルチノイド腫瘍に関する情報については、本要約の気管支腫瘍のセクションを参照のこと。)

転移性神経内分泌腫瘍

大腸、膵臓、または胃に転移を来したカルチノイド腫瘍の治療はより複雑であり、成人の高悪性度神経内分泌腫瘍の治療に近い方法が必要とされる。(悪性カルチノイド腫瘍患者における治療選択肢については、成人の消化管カルチノイド腫瘍に関するPDQ要約を参照のこと。)

消化管間質腫瘍(GIST)

発生率

消化管間質腫瘍(GIST)とは、成人において最も一般的な腸管の間葉性新生物である。 [125] これらの腫瘍が小児でみられることはまれである。 [126] すべてのGISTの約2%が小児および若年成人に生じる。 [127] [128] [129] 1件のシリーズでは、小児に生じるGISTはすべての小児非横紋筋肉腫性軟部肉腫の2.5%を占めていた。 [130] 以前、これらの腫瘍は平滑筋腫、平滑筋肉腫、および平滑筋芽細胞腫と診断されていた。

小児患者におけるGISTは、胃にみられることが最も多く、ほぼ全例が青年女性に発生する。 [129] [131] [132]

組織学と分子的特徴

組織学的に、小児に起こるGISTでは類上皮細胞または類上皮細胞/紡錘細胞形態学が優勢で、成人のGISTとは異なり、細胞分裂の割合は臨床像を正確に予測しないようである。 [131] [133] 小児期のGISTの大部分はコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)複合体の欠乏を示し、その結果、免疫組織化学検査によるSDHB発現を欠く。 [134] [135] さらに、このような腫瘍では大規模な染色体変化がごくわずかであり、インスリン様成長因子1受容体が過剰発現している。 [136] [137]

成人のGISTの90%でみられるKITおよびPDGFAの活性化突然変異は、小児のGISTではごく一部でしか認められない。 [131] [136] [138] ほとんどの小児GISTでSDHB発現が認められないことは、この疾患の発生機序における細胞呼吸の欠陥を示唆するものであり、この疾患をSDH欠損GISTと分類する方が適切であるという考え方を裏付けている。さらに、SDH欠損GIST患者の約50%はSDH複合体、最も一般的にはSDHAの生殖細胞変異を有しており [134] 、SDH欠損GISTががん素因症候群であり、SDH複合体に対する構成的変異について患者の検査を検討すべきであるという考え方を裏付けている。 [139] SDH欠損GISTのごく一部はSDH複合体の体細胞または生殖細胞変異を欠いており、SDHCプロモーターの高メチル化および遺伝子サイレンシングを特徴とし、SDHエピ変異体腫瘍として分類される。 [140]

臨床的特徴

GISTを有する小児患者のほとんどは10代で診断され、消化管出血に関連する貧血を呈する。さらに、小児GISTは多病巣性(23%)およびリンパ節転移に対する強い傾向を示す。 [129] [131] [138] これらの特徴から、この患者集団でみられる高い局所再発率が説明されるであろう。このような特徴にも関わらず、患者は複数回の再発および長期生存を特徴とする緩徐な経過を辿る。 [138]

SDH欠損GISTは以下の2つの症候群と関連して発生することがある: [131] [141]


  • カーニーの三徴。カーニーの三徴は、GIST、肺軟骨腫、および傍神経節腫の発生を特徴とする症候群である。さらに、患者の約20%は副腎腺腫を有し、10%は食道平滑筋腫を有する。これらの患者では、GISTが最も多くみられる初発病変である(75%)。これまでのところ、これらの患者にKITPDGFR、またはコハク酸デヒドロゲナーゼ(SDH)遺伝子のコード配列の突然変異は発見されていない。 [129] [141] [142]

  • カーニー-ストラタキス症候群。カーニー-ストラタキス症候群の特徴は、SDH遺伝子BC、およびDの生殖細胞変異により引き起こされる傍神経節腫およびGISTである。 [135] [143]

治療

小児GISTの診断が確定すれば、GISTの治療における専門知識を有する医療施設への紹介を考慮し、すべての標本をKIT(エクソン9、11、13、17)、PDGFR(エクソン12、14、18)、およびBRAF(V600E)遺伝子の突然変異の有無について評価すべきである。 [144] [145]

GISTの治療法は、突然変異が検出されるかどうかによって、以下のように異なる:


  • KITまたはPDGFR突然変異を伴うGIST:

    KITまたはPDGFRの突然変異を有する小児患者は、成人のガイドラインに従って管理する。

  • SDH欠損GIST:

    SDH欠損GISTを有する小児患者では、限局性病変の外科的完全切除(すなわち、胃切除術)が、重大な合併症を伴うことなく遂行可能であれば、ほとんどの患者に対して推奨される。実施可能であれば、楔状切除が受け入れられる手術選択肢である。より若年の患者ではリンパ節転移が比較的よくみられるため、顕性または潜在性のリンパ節転移の検索が推奨される。小児患者の疾患が緩徐な経過を辿る場合、広範で不具にする手術を保留し、局所再発したまたは切除不能な症状のない病変を有する患者を注意深く観察することが合理的である。 [126] [131]

    SDH欠損GISTの小児患者では、イマチニブおよびスニチニブへの反応はあまりみられず、主に病態の安定化がみられる。 [131] [146] [147] メシル酸イマチニブによる治療を受けた患者10人のレビューでは、1人の患者が部分奏効を経験し、3人の患者に病態の安定化がみられた。 [131] 別の研究では、スニチニブがより高い活性を示したようであり、イマチニブ抵抗性GISTを有する6人の小児において1人で部分奏効が、5人で病態の安定化が得られた。 [148] 成人での推奨とは異なり、SDH欠損GISTの小児ではイマチニブによる補助療法の使用を推奨することはできない。 [149]



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生殖器/泌尿器の腫瘍

生殖器/泌尿器の腫瘍には以下のものがある:


以下に、生殖器/泌尿器の腫瘍の予後、診断、分類、および治療を考察する。15歳未満の患者でこれらの腫瘍がみられることは非常にまれであり、証拠のほとんどがケースシリーズから得られていることを強調する必要がある。

膀胱がん

尿路上皮膀胱腫瘍は小児ではきわめてまれである。

このような腫瘍の組織学的分類には、尿路上皮乳頭腫、低悪性度乳頭腫瘍、低悪性度尿路上皮がん、高悪性度尿路上皮がんがある。別の名称に膀胱の移行上皮がんがある。最も多い組織型は低悪性度乳頭尿路上皮腫瘍であるのに対し、若年患者における高悪性度浸潤性尿路上皮がんは、きわめてまれである。 [1] [2] [3] [4] [5]

青年期の膀胱がんは、小児腫瘍または白血病に対してアルキル化剤を用いる化学療法によって治療した結果として発生することがある。 [4] [6] [7] シクロホスファミドと膀胱がんとの関係は、特定の抗がん剤と充実性腫瘍との関係を示すものとして、唯一明らかにされている。 [6]

治療および転帰

成人とは対照的に、ほとんどの小児膀胱がんは低悪性度で表在性であり、経尿道的切除後の予後はきわめて良好である。 [2] [3] [5] [8] しかしながら、扁平上皮がんおよびより侵攻性のがんが報告されており、より積極的な外科的アプローチが必要となる可能性がある。 [3] [9] [10] [11]

(詳しい情報については、成人の膀胱がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

精巣腫瘍(非胚細胞)

精巣腫瘍は若年男児では非常にまれで、すべての小児腫瘍の1~2%の発生率を占めている。 [12] [13] 最も一般的な精巣腫瘍は良性奇形腫であり、悪性非セミノーマ性胚細胞腫瘍がこれに続く。(詳しい情報については、小児頭蓋外胚細胞腫瘍に関するPDQ要約を参照のこと。)

性索間質性腫瘍などの非胚細胞腫瘍は、思春期前の男児ではきわめてまれである。ある小規模のシリーズでは、小児精巣腫瘍のうち性腺間質腫瘍の占める割合は8~13%であった。 [14] [15] 新生児および乳児において、若年性顆粒膜細胞腫およびセルトリ細胞腫は最も一般的な間質細胞腫瘍である。 [16] 若年性顆粒膜細胞腫は通常、乳児期に発生し(年齢中央値、生後6日)、セルトリ細胞腫はそれより遅い乳児期に発生する(年齢中央値、生後7ヵ月)。より年齢の高い男児では、ライディッヒ細胞腫がより一般的である。

性索間質性腫瘍の予後は、精巣摘除術後は通常きわめて良好である。 [17] [18] [19] ; [20] [証拠レベル:3iiiA]1件の文献のレビューでは、12歳未満の79人の患者が確認された。精巣摘除術後に高リスクの病理所見を示す患者はおらず、潜在転移病変の証拠が認められる患者もいなかったため、サーベイランス戦略の役割は限定的であることが示唆される。 [21] [証拠レベル:3iiiA]

治療

より年齢の高い男児における悪性度に関するデータは矛盾している。ほとんどの症例報告により、小児患者では、これらの腫瘍が手術単独で治療できることが示唆されている。 [17] [証拠レベル:3iii]; [22] [証拠レベル:3iiiA]; [19] [証拠レベル:3iiiDii]手術前にα-フェトプロテイン(AFP)値を確認しておくことが賢明である。AFP値の上昇は通常、悪性胚細胞腫瘍を示す。ただし、1歳未満の乳児ではAFP値と値の減衰の解釈がしばしば難解である。 [23]


  • 1件のレトロスペクティブ研究において、性索間質性腫瘍の患者42人が確認された。すべての腫瘍が精巣に限局していた。腫瘍は、胚細胞腫瘍に特異的なガイドラインに従って手術単独で治療された。再発はみられなかった。 [20] [証拠レベル:3iiiA]

  • 1件のフランスのレジストリーで限局性性索間質性精巣腫瘍の男児11人が確認された。 [24] [証拠レベル:3iA]11人の男児全員が手術単独による治療を受けた:再発を来した患児はいなかった。小児の非胚細胞精巣腫瘍の挙動が良性であることから、精巣温存術の報告がもたらされている。 [25] [26]

しかしながら、この腫瘍はまれであるため、小児科における外科的アプローチは十分に定義されていない。

卵巣がん(非胚細胞)

小児における卵巣腫瘤の大半は悪性ではない。

最もよくみられる新生物は胚細胞腫瘍であり、次に上皮性腫瘍、間質腫瘍、そしてバーキットリンパ腫などのその他の腫瘍が続く。 [27] [28] [29] [30] 悪性卵巣腫瘍の大多数は15~19歳の女児に発生する。 [31]

上皮性卵巣新形成

悪性の上皮成分に由来する卵巣腫瘍には、腺がん、嚢胞腺がん、(粘液性)境界型腫瘍、類内膜腫瘍、明細胞腫瘍、および未分化がんがある。 [32] 上皮性卵巣新生物を有する21歳未満の患者19人の1件のシリーズにおいて、診断時の平均年齢は19.7歳であった。月経困難症および腹痛が最も一般的な主症状であった;患者の79%は生存率100%のI期疾患であり、未分化小細胞がんを認めた患者のみ死亡した。 [33]

卵巣がん(上皮性卵巣新形成)の女児は組織型が類似している成人よりも予後良好であるが、これはおそらく通常女児は早期のがんを呈するためであろう。 [33]

治療は病期によって異なり、手術、放射線療法、およびシスプラチンカルボプラチンエトポシドトポテカンパクリタキセルをはじめとする種々の薬物による化学療法がある。(詳しい情報については、成人の上皮性卵巣がん、卵管がん、原発性腹膜がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

卵巣表面の上皮性新生物は、上皮性卵巣新生物の小規模なサブセットを構成する;小児では、症例のほとんどが漿液性または粘液性の組織型を示し、悪性度は低い。卵巣表面上皮性新生物の治療には、手術および化学療法が用いられている。 [34]

性索間質性腫瘍

卵巣の性索間質性腫瘍は、性腺非胚細胞成分に由来するまれな異種性腫瘍群を1つにまとめたものである。 [35] 組織学的サブタイプは、いくつかの性腺分化領域を表すもので、若年性顆粒膜細胞腫、セルトリ-ライディッヒ細胞腫、および硬化性間質性腫瘍が含まれる。小児および青年における卵巣のセルトリ-ライディッヒ細胞腫は、一般的にDICER1の生殖細胞変異の存在と関連しており、家族性胸膜肺芽腫症候群の一症状の可能性がある。 [36]

性索間質性腫瘍の臨床像および予後は組織型により異なる。すべての疾患で、転移が生じることはまれであり、転移がみられる場合は通常腹腔に限局する。 [35] 遠隔転移が生じることはまれであり、ほとんどが再燃の状況で生じる。 [37]

米国では、これらの腫瘍がTesticular and Ovarian Stromal Tumorレジストリーに登録される場合がある。 [38] 欧州では、患者は全国希少腫瘍グループ(national rare tumor groups)にプロスペクティブに登録される。 [38] [39] 診断的精密検査、病期分類、治療戦略に関する推奨はこれらのレジストリー間で調整されている。 [38]

フランスのレジストリーで18歳未満の卵巣性索腫瘍の女児38人が同定された。 [24] 38人中23人で外科的完全切除が得られ、補助治療を受けなかった。2人が再発を来し、1人の腫瘍は化学療法に反応し、もう1人は死亡した。15人の女児が腫瘍の破裂および/または腹水を生じた。この15人の患児中11人が化学療法を受け、再発を来さなかった;化学療法を受けなかった4人では、全員が再発し、2人が死亡した。

若年性顆粒膜細胞腫

18歳未満の女児において最も多くみられる組織学的サブタイプは、若年性顆粒膜細胞腫である(年齢中央値、7.6歳;範囲、0歳~17.5歳)。 [40] [41] 小児および青年における卵巣腫瘍では、若年性顆粒膜細胞腫が約5%を占め、成人にみられる顆粒膜細胞腫とは区別される。 [35] [42] [43] [44]

若年性顆粒膜細胞腫の患児は以下の症状を呈する: [45] [46]


  • 思春期早発症(最も多い)。

  • 腹痛。

  • 腹部腫瘤。

  • 腹水。

オリエ病およびMaffucci症候群の患児において、若年性顆粒膜細胞腫が報告されている。

若年性顆粒膜細胞腫患児の90%までもがInternational Federation of Gynecology and Obstetrics(FIGO)基準で早期の卵巣がん(I期)と分類され、通常は片側の卵管卵巣摘出術のみで根治可能である。

自然腫瘍破裂または悪性腹水(FIGO分類のIc期)、進行がん(FIGO分類のII~IV期)および分裂活性の高い腫瘍の患児では、予後はより不良であり、化学療法が必要となる。 [24] [39] 補助化学療法として実施した場合および再発疾患に対して実施した場合のいずれでも、シスプラチンベースの化学療法レジメンが奏効したとの報告がある。 [39] [40] [44] [47] [48]

セルトリ-ライディッヒ細胞腫

セルトリ-ライディッヒ細胞腫は若年女児ではまれであり、青年期により頻繁に認められる。患児は男性化 [49] または思春期早発症 [50] を呈することがある。これらの腫瘍はポイツ・ジェガース症候群と関連することもあるが、DICER-1の腫瘍範囲の一部であることの方が多い。 [36] [51] [52]

European Cooperative Study Group on Pediatric Rare Tumorsからの44人の患者を対象にした研究では、セルトリ-ライディッヒ細胞腫の予後が病期と病理組織学的分化度によって決定されることが示された。 [53]

セルトリ-ライディッヒ細胞腫に対しては手術が一次治療であり、低病期(FIGO分類のIa期)については唯一の治療法であり、基本的に100%のイベントフリー生存率が得られる。 [24]

手術中の腹部漏出、自然腫瘍破裂、または転移性病変を伴うセルトリ-ライディッヒ細胞腫患者(FIGO病期Ic期、II期、III期、IV期)はシスプラチンベースの多剤併用化学療法により治療するが、化学療法の影響について臨床試験での研究は行われていない。 [24] [53] 別の1件の研究が、FIGO病期I期またはIc期の卵巣のセルトリ-ライディッヒ細胞腫の女性40人(平均年齢、28歳)について報告している。 [54] [証拠レベル:3iiA]中分化または低分化の患者34人中、23人が術後化学療法(ほとんどのレジメンにシスプラチンが含まれた)を受けた;再発した患者はなかった。術後化学療法を受けなかった11人の患者のうち、2人が再発した;2人とも腫瘍は化学療法により救助された。

卵巣小細胞がん

卵巣小細胞がんはきわめてまれな侵攻性の強い腫瘍であり、高カルシウム血症と関連することがある。 [55] 2~3例の症例において、積極的な療法を用いる治療での成功が報告されている。 [55] [56] [証拠レベル:3iiB]; [57] [58] [証拠レベル:3iiiA]

子宮頸がんおよび膣がん

発生率、危険因子、および臨床像

子宮頸部腺がんおよび膣腺がんは、小児期および思春期においてはまれで、報告例は50例に満たない。 [30] [59] 症例の3分の2は、ジエチルスチルベストロールの子宮内曝露に関係している。

診察時の年齢中央値は15歳で、その範囲は生後7ヵ月~18歳であり、ほとんどの患者が膣出血を呈する。子宮頸部腺がんまたは膣腺がんの成人患者は、90%がI期またはII期の時点で発症する。小児および青年では、III期およびIV期の発生率が高い(24%)。この差は、成人に対してはルーチンの内診を実施するが小児への内診の実施は躊躇される、ということから説明がつく。

治療および転帰

選択すべき治療法は、外科的切除 [60] および切除後の顕微鏡的残存腫瘍またはリンパ行性転移に対する放射線療法である。婦人科悪性腫瘍の治療によく用いられる薬物のカルボプラチンおよびパクリタキセルが使用されているものの、管理としての化学療法の役割は不明である。

3年イベントフリー生存率(EFS)は、全病期については71%±11%;I期およびII期のEFSは82%±11%、III期およびIV期のEFSは57%±22%である。 [59]


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その他の小児にまれながん

その他の小児にまれながんには以下のものがある:


以下に、その他の小児にまれながんの予後、診断、分類、および治療を考察する。15歳未満の患者でこれらのがんがみられることは非常にまれであり、証拠のほとんどがケースシリーズから得られていることを強調する必要がある。

多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群およびカーニー複合

MEN症候群は、複数の内分泌器官に影響する腫瘍化病変を特徴とする家族性疾患である。 [1] これには、過形成、良性腺腫、およびがん腫がある。

MEN症候群には2つの主要な型がある:


  • 1型。

  • 2型。
      2A型。
      2B型。
      家族性甲状腺髄様がん。

(MEN症候群に関する詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床像と診断的評価

多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群の最も顕著な臨床的および遺伝子の変化を表7に示す。

表7.多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群および関連する臨床的および遺伝子の変化

症候群 臨床的特徴/腫瘍 遺伝子の変化

MEN1型:ウェルナー症候群

副甲状腺

11q13(MEN1遺伝子)

膵島:

ガストリノーマ 11q13(MEN1遺伝子)
インスリノーマ
グルカゴノーマ
VIP産生腫瘍

下垂体:

プロラクチノーマ 11q13(MEN1遺伝子)
ソマトトロピノーマ(somatotrophinoma)
コルチコトロピノーマ(corticotropinoma)

この他の関連する腫瘍(あまり多くない):

カルチノイド:気管支および胸腺 11q13(MEN1遺伝子)
副腎皮質性
脂肪腫
血管線維腫
コラゲノーマ(collagenoma)

MEN2A型:シップル症候群

甲状腺髄様がん

10q11.2(RET遺伝子)

褐色細胞腫

副甲状腺

MEN2B型

甲状腺髄様がん

10q11.2(RET遺伝子)

褐色細胞腫

粘膜神経腫

腸管神経節神経腫症

マルファン症候群




  • 多発性内分泌腫瘍1型(MEN1)症候群(ウェルナー症候群):

    MEN1症候群は、副甲状腺、膵島細胞、および下垂体前葉における腫瘍の存在を特徴とする常染色体優性疾患である。表7に挙げられた内分泌腫瘍の2つが認められる場合に、この症候群の診断を検討すべきである。

    1件の研究により、160人の患者において21歳前に発症したMEN1症候群の初期症状の記録が報告された。 [3] 注目すべきこととして、ほとんどの患者が家族性MEN1症候群を有し、国際的なスクリーニングプロトコルを用いて追跡された。

    1. 原発性副甲状腺機能亢進症。

      最も一般的な症状の原発性副甲状腺機能亢進症は、75%の患者、通常は生物学的異常を有する患者においてのみ認められた。スクリーニングプログラム以外で診断された原発性副甲状腺機能亢進症はきわめてまれであり、最も頻繁に腎結石を発症し、臨床医にMEN1を疑わせるはずである。 [3] [4]
    2. 下垂体腺腫。

      下垂体腺腫は患者の34%に発見され、主として10歳以上の女性に発生し、しばしば症状が認められた。 [3]
    3. 膵神経内分泌腫瘍。

      膵神経内分泌腫瘍は患者の23%に発見された。特異的診断には、インスリノーマ、非分泌性膵腫瘍、およびゾリンジャー・エリソン症候群があった。インスリノーマの最初の症例は5歳前に発症した。 [3]
    4. 悪性腫瘍。

      4人の患者で悪性腫瘍(2人が副腎がん、1人がガストリノーマ、および1人が胸腺がん)が認められた。胸腺がんの患者は、急速に進行する疾患により21歳前に死亡した。

    染色体11q13に位置するMEN1遺伝子の生殖細胞変異が患者の70~90%で発見される;しかしながら、この遺伝子はまた、散発性腫瘍において頻繁に不活性化されていることが示されている。 [5] 変異原性試験は、ハイリスクが証明されているMEN1症候群患者や家系員への臨床スクリーニングと併用すべきである。 [6]


    MEN1症候群患者に対するスクリーニングは5歳までに開始し、生涯にわたり継続することが推奨されている。検査または生化学的スクリーニングの数は年齢特異的であり、年1回の血清カルシウム、副甲状腺ホルモン、ガストリン、グルカゴン、セクレチン、プロインスリン、クロモグラニンA、プロラクチン、IGF-1などがある。放射線学的スクリーニングには、1~3年ごとの脳の磁気共鳴画像法および腹部コンピュータ断層撮影を含めるべきである。 [7]


  • 多発性内分泌腫瘍2A型(MEN2A)および多発性内分泌腫瘍2B型(MEN2B)症候群:


    染色体10q11.2のRETがん遺伝子(チロシンキナーゼ受容体)における生殖細胞系の活性化突然変異は、MEN2AおよびMEN2B症候群と関連する甲状腺髄様がんにおける制御不能な細胞増殖の原因となっている。 [8] [9] [10] 表8では、MEN2AおよびMEN2B症候群の臨床的特徴について記述する。


      MEN2A:

      MEN2Aは、個人または近親者における2つ以上の内分泌腫瘍(表7を参照のこと)の存在を特徴とする。 [11] これらの患者におけるRET突然変異は通常、エクソン10および11に限局している。

      MEN2B:

      MEN2Bは、甲状腺髄様がん、副甲状腺の過形成、腺腫、褐色細胞腫、粘膜神経腫、および神経節神経腫を特徴とする。 [11] [12] [13] これらの患者に発生する甲状腺髄様がんはきわめて侵攻性が高い。これらの患者における突然変異の95%以上がエクソン16のコドン918に限局しており、これにより受容体の自己リン酸化および活性化が引き起こされる。 [14] 患者にはまた、有髄角膜神経線維、口唇肥大を伴う独特の顔貌、マルファン症候群様の細長い体型が認められる。

      このような患者では、主にRET突然変異に関する遺伝子解析の結果によって患者の管理が進められるが、甲状腺髄様がんの存在を検出するためにペンタガストリン刺激試験が使用できる。



    MEN2症候群が疑われる患者に対する遺伝子検査のガイドライン、および突然変異のタイプと甲状腺髄様がんの侵攻性リスクレベルとの相関が発表されている。 [15] [16]


  • 家族性甲状腺髄様がん:

    家族性甲状腺髄様がんは、褐色細胞腫または副甲状腺腺腫/過形成が認められない甲状腺髄様がんの家系で診断される。エクソン10、11、13、および14におけるRET突然変異が症例のほとんどを占める。

    最近の文献から、この疾患実体はMEN2AおよびMEN2Bと異なる遺伝性甲状腺髄様がんの一形態として同定すべきではないことが示唆されている。家族性甲状腺髄様がんはMEN2Aの変異型として認識し、甲状腺髄様がんのみが認められ、家族性疾患の最初の基準を満たす家族を含めるべきである。最初の基準には、2世代以上にわたり、2人以上(ただし10人未満)のRET生殖細胞変異を有する患者がいる家族;RET生殖細胞変異を有する家系員が1世代に2人以下である小規模家族;RET生殖細胞変異を有する1個人が含まれる。 [15] [17]


表8.多発性内分泌腫瘍2型(MEN2)症候群の臨床的特徴

MEN2サブタイプ 甲状腺髄様がん 褐色細胞腫 副甲状腺疾患
MEN2A 95% 50% 20~30%
MEN2B 100% 50% まれ


治療


  • MEN1症候群:

    MEN1症候群患者の治療は腫瘍型に基づいて行う。副甲状腺、膵、および下垂体の腫瘍の治療が適切であれば、MEN1症候群患者の転帰は一般に良好である。

    副甲状腺機能亢進症およびMEN1症候群を呈する患者に対する標準アプローチは、遺伝子検査ならびに少なくとも3つの副甲状腺の頸部切除および頸部切開だけで行う胸腺摘出術による治療である。 [4]


  • MEN2症候群:

    MEN2症候群の家系出身の小児における甲状腺髄様がんの管理は、この疾患の原因となるRETがん原遺伝子の突然変異を症候発現前に検出することに依存している。

      MEN2A症候群:

      MEN2Aの小児に対する甲状腺摘出術は一般に約5歳までに実施されるか、突然変異が同定されれば5歳以上で実施される。 [10] [18] [19] [20] [21] [22] MEN2A症候群患者の転帰も一般に良好であるが、甲状腺髄様がんおよび褐色細胞腫の再発の可能性はある。 [23] [24] [25]

      MEN2Aの患者の血縁者は、5歳になる前の幼児期に遺伝子検査を受ける。キャリアは、上述のようにある年齢になるまでに1つの副甲状腺の自家移植を伴う甲状腺全摘術を受ける。 [22] [26] [27] [28]


      MEN2B症候群:

      MEN2Bの小児およびコドン883、918、および922に突然変異を有する小児では甲状腺髄様がんの悪性度が高いため、これらの小児は乳児期に予防的甲状腺摘出術を受けることが推奨される。 [14] [19] [29] ; [30] [証拠レベル:3iiiDii]MEN2B型症候群患者はより転帰不良であるが、それは主に甲状腺髄様がんがより侵攻性であるためである。予防的甲状腺摘出術はMEN2Bにおける転帰を改善する可能性がある。 [31]

    甲状腺髄様がんの小児では、両側性での発生が多いことから、外科的管理として推奨される手技は甲状腺の完全切除である。


    ヒルシュスプルング病では、少数の症例において甲状腺髄様がんなどの神経内分泌腫瘍の合併がみられる。家族性のヒルシュスプルング病患者では、症例の最大50%においてRET遺伝子の不活化型の生殖細胞変異が検出されており、一方、散発型における検出頻度はより低い。 [32] [33] [34] ヒルシュスプルング病と甲状腺髄様がんの共分離がまれに報告されるが、これらの個人では通常、RETのエクソン10に突然変異が認められる。そこでヒルシュスプルング病の患者には、RETのエクソン10に突然変異がないかスクリーニングを実施し、こうした突然変異が発見された場合には予防的甲状腺摘出術の実施を検討することが推奨されている。 [34] [35] [36]


    (MEN2AおよびMEN2Bに関する詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)


切除不能な局所進行または転移性の遺伝性または散発性甲状腺髄様がんを、バンデタニブ(RET、血管内皮増殖因子受容体、および上皮成長因子受容体の選択的阻害薬)またはプラセボのいずれかにより治療された成人患者を対象にした1件の第III相ランダム化試験では、バンデタニブの投与により、無増悪生存期間、奏効率、疾患制御率、および生化学的反応が有意に改善した。 [37] 第I/II相試験において、局所進行または転移性甲状腺髄様がんを有する小児がバンデタニブを用いて治療された。16人の患者のうち、反応が得られなかったのは1人だけで、7人で部分奏効が得られた。これらの患者の3人ではその後に疾患が再発したが、バンデタニブで治療された患者16人中11人が報告時に治療中であった。 [38]

カーニー複合

カーニー複合は、染色体17に位置するPPKAR1A遺伝子における突然変異により引き起こされる常染色体優性症候群である。 [39] この症候群は、心臓および皮膚粘液腫、淡褐色~褐色の黒子、青色母斑、クッシング症候群を引き起こす原発性色素性かつ結節性の副腎皮質疾患、および下垂体腺腫、甲状腺腫瘍、精巣の大細胞石灰化セルトリ細胞腫などのさまざまな内分泌腫瘍および非内分泌腫瘍により特徴付けられる。 [39] [40] [41] カーニー複合患者については、心臓、精巣、および甲状腺の超音波検査を含むサーベイランスガイドラインが公表されている。

カーニー複合患者の予後は、心粘液腫および皮膚粘液腫をはじめとする腫瘍の再発頻度によって左右される。

褐色細胞腫と傍神経節腫

褐色細胞腫および傍神経節腫は、まれなカテコールアミン産生腫瘍で、年間発生率は両方合わせて100万人当たり3例である。小児および青年の集団では、傍神経節腫および褐色細胞腫はきわめてまれで、全症例に占める割合は約20%である。 [42] [43]

副腎内に発生する腫瘍は、褐色細胞腫として知られているが、それ以外の部位に発生する形態学的に同じ腫瘍は、傍神経節腫と呼ばれている。傍神経節腫はさらに以下の亜型に細分される: [44] [45]


  • 主に腹腔内交感神経幹に発生し、通常はカテコールアミンを産生する交感神経傍神経節腫。

  • 頭部、頸部、および縦隔の副交感神経に沿って分布し、まれに機能性となる副交感神経傍神経節腫。

危険因子

現在、褐色細胞腫および傍神経節腫の全体で、最大30%が家族性であると推定されている;感受性遺伝子がいくつか報告されている(表9を参照のこと)。家族性症候群のほとんどで、発症年齢の中央値は30歳~35歳で、患者の最大50%が26歳までに罹患する。 [46] [47] [48] [49]

表9.感受性遺伝子と関連した傍神経節腫(PGL)と褐色細胞腫(PCC)の特徴a

生殖細胞変異 症候群 PGL/PCC全体の割合(%) 発症年齢中央値(歳) PGL/PCCの浸透度(%)
MEN1 = 多発性内分泌腫瘍1型;MEN2 = 多発性内分泌腫瘍2型;NF1 = 神経線維腫症1型;VHL = フォン・ヒッペル-リンダウ病。
a出典:Welander et al. [46]
RET MEN2 5.3 35.6 50
VHL VHL 9.0 28.6 10–26
NF1 NF1 2.9 41.6 0.1–5.7
SDHD PGL1 7.1 35.0 86
SDHFA2 PGL2 <1 32.2 100
SDHC PGL3 <1 42.7 不明
SDHB PGL4 5.5 32.7 77
SDHA - <3 40.0 不明
KIF1B-β - <1 46.0 不明
EGLN1 - <1 43.0 不明
TMEM127 - <2 42.8 不明
MAX [49] - <2 34 不明
不明 カーニーの三徴 <1 27.5 -
SDHB, C, D カーニー-ストラタキス <1 33 不明
MEN1 MEN1 <1 30.5 不明
変異なし 散発性病変 70 48.3 -


褐色細胞腫および傍神経節腫のリスク増加と関連する遺伝因子および症候群には以下のものがある:

  1. フォン・ヒッペル-リンダウ病(VHL)症候群:VHL患者の10~20%に褐色細胞腫および傍神経節腫が発生する。
  2. 多発性内分泌腫瘍(MEN)症候群2型:MEN2AおよびMEN2Bでは、RET遺伝子のコドン特異的変異に伴って、褐色細胞腫の発症リスクが50%となる。褐色細胞腫および傍神経節腫の散発例では、RETの体細胞変異も確認されている。
  3. 神経線維腫症1型(NF1):NF1の患者では褐色細胞腫および傍神経節腫がまれに発生し、一般的な特徴は、散発性腫瘍と類似しており、発症時の平均年齢は比較的遅く、小児ではまれである。
  4. 家族性褐色細胞腫/傍神経節腫症候群は、ミトコンドリアコハク酸デヒドロゲナーゼSDH)複合遺伝子の生殖細胞変異に関連している(表9を参照のこと)。これらは、すべて常染色体優性の形で遺伝するが、浸透度はさまざまである。
    • PGL1:SDHD突然変異に関連し、頭頸部の傍神経節腫を伴って現れることが多いのに加え、浸透度が非常に高く、80%を超えるキャリアが50歳までに罹患する。

    • PGL2:SDHAF2突然変異に関連し、非常にまれであるとともに、一般に副交感神経傍神経節腫として現れる。

    • PGL3:SDHC突然変異に関連し、非常にまれであるとともに、通常は副交感神経傍神経節腫を呈し、しばしば単発性および良性で、頭頸部でみられることが多い。

    • PGL4:SDHB突然変異に関連し、通常は腹腔内の交感神経傍神経節腫として現れる。この突然変異に関連する新生物は、悪性の挙動を示すリスクがはるかに高く、50%を超える患者に転移病変が発現する。また、腎細胞がんおよび消化管間質腫瘍(GIST)のリスクも増加する。


    (詳しい情報については、内分泌および神経内分泌腫瘍の遺伝学に関するPDQ要約の家族性傍神経節腫症候群のセクションを参照のこと。)

  5. その他の症候群:
    • カーニーの三徴症候群は、傍神経節腫、GIST、および肺軟骨腫の3つの腫瘍を含む疾患である。褐色細胞腫に加え、食道平滑筋腫および副腎皮質腺腫のような他の病変も報告されている。この症候群は主に女性が罹患し、発症時の平均年齢は21歳である。約半数の患者が傍神経節腫または褐色細胞腫を呈するが、複数の病変が認められるのは、その症例の約20%のみである。その患者の約20%は3つのタイプの腫瘍をすべて有する;残りの患者は、3つのうち2つのタイプの腫瘍を有し、その中で最も多いのはGISTと肺軟骨腫である。この三徴は家系内に伝わらないようである;しかしながら、患者の約10%がSDHASDHB、またはSDHC遺伝子の生殖細胞変異を保有している。 [50] [51]

    • カーニー-ストラタキス症候群(カーニー二徴症候群)は、傍神経節腫およびGISTを含むが、肺軟骨腫は含まない疾患である。この症候群は、常染色体優性の形で遺伝し、浸透度は不完全である。また、男性と女性の発生率は同程度で、発症時の平均年齢は23歳である。この症候群の患者のほとんどが、SDHBSDHC、またはSDHD遺伝子の生殖細胞変異を保有していることが明らかになっている。 [51]

  6. 他にも感受性遺伝子が最近発見されており、その中にはKIF1B-βEGLN1/PHD2TMEM127SDHA、およびMAXがある。 [49]

SDHBの免疫組織化学的染色は、遺伝子検査のトリアージに有用な場合がある;SDHBSDHC、およびSDHDの突然変異を有する患者の腫瘍では、染色が陰性またはきわめて弱い陽性となり、散発性腫瘍および他の全身性症候群に伴う腫瘍では、染色が陽性となる。 [52] [53] したがって、SDHBの免疫組織化学的染色は、SDH突然変異の潜在的キャリアを早期に特定するのに有用な可能性があるため、他の遺伝子を広範囲に検査する高価な方法が不要になる。

若い患者ほど両側副腎の褐色細胞腫および副腎外傍神経節腫の発生率が高く、生殖細胞変異が60%近くの患者に特定されることがある。 [43] したがって、若い患者では遺伝カウンセリングと遺伝子検査が常に推奨される。

臨床像

褐色細胞腫および交感神経副腎外傍神経節腫の患者は、一般にカテコールアミン過剰産生による以下の症状を呈する:


  • 高血圧。

  • 頭痛。

  • 発汗。

  • 動悸。

  • 振戦。

  • 顔面蒼白。

これらの症状は発作性であることが多いが、発作性エピソード間に、半数を超える患者に持続性高血圧が認められる。また、運動、外傷、麻酔導入、腫瘍の切除、チラミンを多く含む食品(例、赤ワイン、チョコレート、チーズ)の摂取、または排尿(原発腫瘍が膀胱の場合)によっても、これらの症状が生じることがある。 [44]

副交感神経副腎外傍神経節腫はカテコールアミンを分泌せず、通常は頸部腫瘤として現れ、その圧迫に関連した症状を伴うが、無症候性で偶然診断されることもある。 [44]

小児および青年の患者は、成人患者と同様な症状を呈すると考えられているが、持続性高血圧の発生頻度が高い。 [54] 小児および青年における傍神経節腫および褐色細胞腫の臨床的挙動は、より侵攻的であると考えられており、転移率は最大50%と報告されている。 [43] [45] [54]

遺伝学的情報

褐色細胞腫または傍神経節腫の若年患者における生殖細胞変異についての諸研究から、この腫瘍グループが以下のようにさらに特徴付けられている:

  1. 20歳未満の傍神経節腫または褐色細胞腫の患者49人を対象とした研究では、39人(79%)に基礎となる生殖細胞変異として、SDHB(n = 27;55%)、SDHD(n = 4;8%)、VHL(n = 6;12%)、またはNF1(n = 2;4%)の遺伝子が関与した変異が認められた。 [43] 突然変異の発生率および種類は病変の部位および範囲と相関していた。
    • 腫瘍が非転移性の患者における生殖細胞変異の割合は、転移の証拠がある患者で観察される割合より低かった(64% vs 87.5%)。

    • 腫瘍が転移した患者では、SDHB突然変異の発生率が非常に高く(72%)、ほとんどの患者で後腹膜に腫瘍が認められた;この腫瘍によって5人が死亡した。

    • SDHD突然変異を有する患者は、すべて原発腫瘍が頭頸部であった。

  2. 別の研究によると、非症候性の傍神経節腫患者におけるRETVHLSDHD、およびSDHBが関与した生殖細胞変異の発生率は、10歳未満で70%、10歳~20歳で51%であった。 [55] これとは対照的に、20歳を過ぎた患者で突然変異が特定されたのはわずか16%であった。 [55]

    これらの2件の研究では、傍神経節腫および褐色細胞腫の症候群で最近報告されている他の遺伝子である、KIF1B-βEGLN1/PHD2TMEM127SDHA、およびMAXについて、系統的スクリーニングを行っていないことに留意することが重要である(表9を参照のこと)。

  3. European-American-Pheochromocytoma-Paraganglioma-Registryに基づく1件のレトロスペクティブ解析では、18歳未満で診断された傍神経節腫患者177人を同定した。 [56] [証拠レベル:3iiA]
    • 登録者の80%に生殖細胞変異を認めた(49%はVHL、15%はSDHB、10%はSDHD、4%はNF1、および1人の患者はRETSDHASDHCのそれぞれ)。

    • 二次原発傍神経節腫は患者の38%に発生し、時間とともに発生頻度が増加して、初発後30年の時点では50%に達していた。

    • 二次がんの有病率は、遺伝性疾患を有する患者でより高かった。遺伝性疾患のある16人の患者(9%)に悪性腫瘍を認め、うち10人は初発時、6人は追跡中に確認された。悪性腫瘍はSDHB突然変異と関連していた。8人の患者(5%)が死亡し、その全員に生殖細胞変異がみられた。遺伝性疾患を有する患者の平均余命は62歳であった。

これらの知見から、非症候性の副腎外褐色細胞腫および傍神経節腫の若年患者は、SDHB突然変異を保有するリスクが高いこと、またこの表現型が早期の発症年齢および腫瘍の高い転移率に関係していることが示唆される。X線像、血清および免疫組織化学マーカーを用いて、SDHB突然変異を有する若年患者を早期に特定することで、死亡率を低減できるとともに、生殖細胞系SDHB突然変異を保有する他の家族員を特定できる可能性がある。

診断的評価

傍神経節腫および褐色細胞腫の診断は、腫瘍の部位特定と病期分類用に実施する画像検査と合わせて、カテコールアミン過剰分泌の生化学検査によって行われる:


  • 生化学検査:

    血漿遊離型メタネフリン分画(メタネフリンとノルメタネフリン)の測定が、分泌性の傍神経節腫または褐色細胞腫の診断が疑わしい場合に通常選択される診断ツールである。確認のために、カテコールアミン(エピネフリン、ノルエピネフリン、およびドパミン)およびメタネフリン分画について、24時間採尿を実施することもある。 [57] [58]

    カテコールアミンの代謝および分泌プロファイルは遺伝的背景によって影響を受ける;遺伝性および散発性の両方の傍神経節腫および褐色細胞腫には、カテコールアミンの腫瘍含有量ならびにそれに相当する血漿および尿中ホルモンのプロファイルに著しい違いがある。分泌性腫瘍の約50%がノルエピネフリンとエピネフリンの混合物を産生・含有しているが、それ以外のほとんどの腫瘍は、ほぼ例外なくノルエピネフリンを産生し、ときにまれな腫瘍が主にドパミンを産生する。腫瘍がエピネフリンを産生する患者の診断時年齢(中央値、50歳)は、腫瘍のエピネフリン産生が検出できない患者(中央値、40歳)より高い。MEN2およびNF1症候群は、すべてエピネフリン産生腫瘍で、この患者の診断時年齢(中央値、40歳)は、一般にVHLおよびSDHの突然変異により発生する、エピネフリン産生が検出できない腫瘍の患者(中央値、30歳)より高い。このような腫瘍のカテコールアミンの表現型および発生部位の違いに関連した診断時年齢の違いから、傍神経節腫および褐色細胞腫の起源には前駆細胞の違いがあり、それぞれ病因性の突然変異に対する感受性が異なることが示唆される。 [59] [60]


  • 画像検査:

    傍神経節腫および褐色細胞腫の部位特定に利用可能な画像検査法には以下のものがある:
      コンピュータ断層撮影(CT)。
      磁気共鳴画像法。
      ヨウ素 I 123またはヨウ素 I 131標識メタヨードベンジルグアニジン(123/131I-MIBG)シンチグラフィ。
      フッ素 F 18-6-フルオロドパミン(18F-6F-FDA)ポジトロン放射断層撮影(PET)。

    腫瘍の部位特定に関して、非転移性の傍神経節腫および褐色細胞腫の患者では、18F-6F-FDA PETおよび123/131I-MIBGシンチグラフィの性能は同等で良好であるが、転移性の場合は、18F-6F-FDA PETの方が123/131I-MIBGより検出能力が高い。 [61] 他の機能的な代替画像検査法には、インジウム In 111オクトレオチドシンチグラフィおよびフッ素 F 18-フルデオキシグルコースPETがあり、いずれもCT画像検査法と組み合わせて解剖学的詳細を改善することができる。


治療

傍神経節腫および褐色細胞腫の治療法は外科手術である。分泌性腫瘍では、手術前にα-およびβ-アドレナリン遮断薬を最大限に利用しなければならない。

転移性病変を有する患者では、ゲムシタビンドセタキセル、またはビンクリスチンシクロホスファミドドキソルビシン、およびダカルバジンのさまざまな組み合わせといった一部の化学療法レジメンに対して反応を示すことが報告されている。 [62] [63] [64] 化学療法は、症状の緩和および手術の容易化に役立つ可能性があるが、全生存(OS)における効果については、あまり明らかになっていない。

高用量の131I-MIBGおよびスニチニブに対する反応も得られている。 [65] [66]

皮膚がん(黒色腫、基底細胞がん[BCC]、および扁平上皮がん[SCC])

(特定の遺伝子変異および関連するがん症候群に関する詳しい情報については、皮膚がんの遺伝学に関するPDQ要約を、小児におけるブドウ膜黒色腫に関する情報については、本要約の眼内(ブドウ膜)黒色腫のセクションを参照のこと。)

黒色腫

発生率

黒色腫はまれではあるが、小児において最も一般的な皮膚がんであり、BCCおよびSCCがこれに次ぐ。 [67] [68] [69] [70] [71] [72] [73] [74] 20歳未満の患者における22,524例の皮膚病理学の報告に関するレトロスペクティブ研究では、研究者によって38例の黒色腫が同定されたが、このうち33例は15~19歳の患者に発生した。研究者の報告によると、1例の黒色腫を同定するために切除が必要となる病変の数は479.8で、これは成人の集団よりも20倍多かった。 [75]

米国で20歳未満の患者で毎年診断される黒色腫の症例は約400例と推定されており、黒色腫のすべての新規症例に占める割合は約1%未満である。 [76] 米国における黒色腫の年間発生率(2002~2006年)は、以下のように加齢とともに増加する: [77] [78]


  • 10歳未満の小児:100万人当たり1~2例。

  • 10~14歳の小児:100万人当たり4.1例。

  • 15~19歳の小児:100万人当たり16.9例。

15~19歳の小児では、すべてのがんの約6%を黒色腫が占めている。 [79]

小児黒色腫の発生率は、1973年から2009年まで平均で年間2%の増加をみせた。 [78] 発生率の増加は、特に15~19歳の女性で顕著であった。環境紫外線(UV)への曝露増加が本疾患のリスクを高めている。しかしながら、米国Surveillance, Epidemiology, and End Resultsの2000年から2010年のデータのレビューから、小児および青年における黒色腫の発生率がこの期間で低下したことが示唆されている。 [80]

危険因子

小児および青年における黒色腫の発症リスク増加と関連する病態には以下のものがある:


  • 巨大な色素細胞性母斑。 [70]

  • 色素性乾皮症(日光過敏症、角化症、および種々の神経系症状を特徴とするまれな劣性遺伝疾患)。 [70]

  • 免疫不全または免疫抑制。 [72]

  • 遺伝性網膜芽細胞腫。 [81]

  • ウェルナー症候群。 [82] [83]

  • 神経皮膚黒色症。神経皮膚黒色症は、髄膜のメラニン沈着(meningeal melanosis)または黒色腫と関連して先天性巨大または多発性母斑を伴うきわめてまれな疾患である;先天性巨大母斑を有する患者の約2.5%がこの疾患を発症し、衛星母斑(satellite nevi)数の多い患者は最もリスクが高い。 [84] [85]

成人における黒色腫のリスク増加と関連する表現型形質が黒色腫の小児および青年において報告されており、以下のものがある: [86] [87] [88] [89] [90] [91] [92]


  • 紫外線・日光への曝露。

  • 赤毛。

  • 青い眼。

  • 紫外線防御能(tanning ability)の低さ。

  • 色素斑。

  • 異形成母斑。

  • 色素細胞性母斑数の増加。

  • 黒色腫の家族歴。

予後

小児の黒色腫は成人の黒色腫と多くの類似点を共有しており、予後は病期に依存する。 [93] 成人と同様に、ほとんどの小児症例(約75%)が限局性で、転帰はきわめて良好である。 [78] [89] [94] 黒色腫の小児および青年では、最初に診断されてから5年間生存すると予想される患者は90%を超える。 [89] [93] [95] [96]

リンパ節病変を有する患者の治療成績は中間的であり、約60%が長期間生存すると予想される。 [89] [94] [95] 1件の研究において、転移性疾患を有する患者の治療成績が良好であったが [89] 、この結果はNational Cancer Databaseの別の研究では再現されなかった。 [95]

黒色腫を来した10歳未満の小児ではしばしば予後不良の特徴が認められ、非白人である頻度がより高く、頭頸部に原発腫瘍を有し、原発病変がより厚く、スピッツ母斑様形態、脈管浸潤、およびリンパ節転移の発生率がより高く、黒色腫を発症しやすい症候群を認める頻度がより高い。 [89] [93] [95] [97]

小児黒色腫の病期分類を目的としたセンチネルリンパ節生検が広く使用されるようになってきており、潰瘍形成と同様に原発腫瘍の厚さがリンパ節転移の高い発生率と相関していることが示されている。 [98] 若い患者ほどリンパ節転移の発生率が高いと考えられる;この知見がこの集団における臨床転帰に重大な影響を及ぼすとは考えられない。 [97] [99] 小児黒色腫の他のシリーズでは、リンパ節転移の発生率が高くても生存に大きな影響はみられないと考えられた。 [100] [101] [102] National Cancer Data Baseからのレトロスペクティブ・コホート研究において、1998年から2011年までの黒色腫の指標診断について患者のすべての記録が見直された。データは医療記録、手術報告、および病理報告から抽出されており、中央診断は実施されなかった。計350,928人の患者の十分な情報が確認された;306人の患者が1~10歳(小児)で、3,659人の患者が11~20歳(青年)であった。 [103] 小児患者の方が青年患者(ハザード比[HR]、0.50;95%信頼区間[CI]、0.25-0.98)および20歳を超える患者(HR、0.11;95%CI、0.06-0.21)よりもOSが長かった。青年は成人よりもOSが長かった。リンパ節転移陽性の小児患者とリンパ節転移陰性の患者ではOSに差が認められなかった。小児患者では、センチネルリンパ節生検とリンパ節郭清の完了は、OSの増加に関連しなかった。青年におけるリンパ節転移陽性は、有意に不良な予後指標であった(HR、4.82;95%CI、3.38-6.87)。 [103]

小児黒色腫では、病変の厚さと臨床転帰の関連性について論争がある。 [89] [94] [95] [104] [105] [106] [107] [108] さらに、成人で生存と相関を示すいくつかの変数が小児では再現されない理由は明らかではない。この違いに対して考えられる1つの説明は、真の黒色腫および悪性度の不明なメラニン細胞性病変(MELTUMP)との組織学的鑑別に関わる問題を考慮すれば、成人のシリーズでは真の黒色腫とは認められない病変を有する患者が含まれていることである;このような患者は小児試験では対象となっていない。 [109] [110]

診断的評価

黒色腫の診断的評価には以下のものがある:


  • 生検または切除術。

    いずれの皮膚がんでも、診断を確定するには生検または切除術が必要である。追加治療に関する意思決定を行うためには、診断を下す必要がある。BCCおよびSCCは一般に、手術のみで根治可能であるが、黒色腫は転移を来す可能性があるため、その治療を十分検討する必要がある。黒色腫における切除縁の幅は病変の部位、大きさ、および厚さで決定され、上皮内(in situ)病変に対する0.5cmからより厚い病変に対する2cm以上にまで及ぶ。 [70] 小児において切除断端陰性を達成するには、皮膚移植を併用する広範囲切除が、選択された症例で必要になる場合がある。

  • リンパ節評価。

    多くの施設でセンチネルリンパ節生検を用いる所属リンパ節の検査はルーチンに行われており [111] [112] 、厚さ1mmを超える病変を有する患者または厚さ1mm以下の病変で潰瘍形成、クラークの浸潤のレベルがIVまたはV、あるいは細胞分裂の割合が1/mm2以上などの予後不良な特徴を有する患者に推奨される。 [111] [113] [114] しかしながら、スピッツ母斑様黒色腫患者におけるこの手技の適応については明確に定義されていない。非定型スピッツ腫瘍患者541人を対象とした系統的レビューでは、303人(56%)がセンチネルリンパ節生検を受け、119人(39%)がセンチネルリンパ節陽性であった;これらの患者のうちの97人で追加のリンパ節郭清を行ったところ、18人(19%)でさらなる陽性リンパ節が明らかとなった。 [115] リンパ節転移の発生率が高いにも関わらず、播種性病変を来したのは6人のみであり、この病変を有する小児におけるこの手技の予後的、治療的有益性に疑問が投げかけられている。将来的には、分子マーカーがこの手技が有益となりうる患者の同定に有用となる可能性がある。

    センチネルリンパ節に腫瘍が転移している場合はリンパ節郭清が推奨され、これらの患者には高用量インターフェロンアルファ-2bによる1年間の補助療法を検討すべきである。 [70] [111] [116] [117] [118] 臨床的に良性のメラニン細胞性病変は、特に所属リンパ節に転移している場合は診断が非常に困難なことがある。 [119] [120] [121]


小児の黒色腫の診断は困難な場合があり、これらの病変の多くが、いわゆるMELTUMPと混同されることがある。 [122] これらの病変は黒色腫および良性の母斑とは生物学的に異なる。 [122] [123] スピッツ母斑およびスピッツ母斑様黒色腫という用語も一般的に用いられており、さらなる混乱を生み出している。1件のレトロスペクティブ研究により、10歳以上の小児はメラニン欠乏性病変、出血、均一な色合い、さまざまな直径、および腫れ(de novoの隆起など)がみられる可能性が高いことが明らかにされた。 [124] [証拠レベル:3iiA]

分子的特徴

小児集団に発生する悪性の可能性を有する黒色腫関連疾患は、以下の3つの一般的なグループに分類可能である: [125]


  • 大きな/巨大な先天性色素細胞性母斑。

  • 異型スピッツ腫瘍からスピッツ母斑様黒色腫に及ぶスピッツ母斑様メラニン細胞性腫瘍。

  • 成人の黒色腫(すなわち、通常型の黒色腫)と特徴を共有する、比較的年齢の高い青年に発生する黒色腫。

各腫瘍のゲノムの特徴が表10に要約されている。

小児における通常型の黒色腫のゲノムの全体像は、黒色腫の成人でみられる多くのゲノムの変化により表される。 [125] Pediatric Cancer Genome Projectからの報告により、通常型の黒色腫15例では、体細胞一塩基変化の高い負担、TERTプロモーター突然変異(13例中12例)、およびBRAF V600活性化突然変異(15例中13例)、ならびに紫外線光損傷と一致する突然変異領域の署名を有していたことが観察された。また、3分の2の症例が黒色腫への感受性増加と関連するMC1R変異型を有していた。

スピッツ母斑様黒色腫のゲノムの全体像は、RETROS1NTRK1ALKMETBRAFといったさまざまな遺伝子が関与するキナーゼ遺伝子融合を特徴としている。 [126] [127] [128] これらの融合遺伝子は症例の約50%において報告され、相互排他的に起こる。 [125] [127] TERTプロモーター変異はスピッツ母斑様メラニン細胞性病変ではまれであり、1件のシリーズで評価された患者56人中4人でしか観察されなかった。しかしながら、TERTプロモーター変異を有していた4人の患者はいずれも、血行性転移を経験し、がんにより死亡した。この所見から、スピッツ母斑様メラニン細胞性新生物を有する小児における侵攻性の臨床的挙動の予測についてTERTプロモーター変異の可能性が支持されているが、原発部位スピッツ母斑様腫瘍を有する患者における臨床的挙動の予測についてTERTプロモーター状態が野生型である場合の役割を明らかにするには、さらなる研究が必要である。

大きな先天性色素細胞性母斑はNRAS Q61の活性化突然変異を有し、他の再発性の突然変異は認められないことが報告されている。 [129] NRAS Q61突然変異に対する体細胞モザイク現象もまた、多発性の先天性色素細胞性母斑および皮膚神経黒色症(neuromelanosis)の患者において報告されている。 [130]

表10.メラニン細胞性病変の特徴

腫瘍 異常遺伝子
黒色腫 BRAFNRASKIT、NF1
スピッツ母斑様黒色腫 キナーゼ融合(RETROSMETALKBRAFNTRK1
スピッツ母斑 HRASBRAFおよびNRAS(まれ)
後天性母斑 BRAF
異形成母斑 BRAFNRAS
青色母斑 GNAQ
眼内黒色腫 GNAQ
先天性母斑 NRAS


治療

限局性黒色腫の患者には、手術が選択すべき治療法である。現在のガイドラインでは、切除のマージンを以下のように推奨している:


  • 上皮内(in situ)黒色腫に対する0.5cm。

  • 厚さ1mm未満の黒色腫に対する1.0cm。

  • 厚さ1.01mm~2mmの黒色腫に対する1cm~2cm。

  • 厚さ2mmを超える腫瘍に対する2cm。

病変は薄いものの(1mm以下)、潰瘍を有する、細胞分裂の割合が1/mm2を超える、若年、および予後不良の特徴の有無にかかわらず病変の厚さが1mmを超える患者にはセンチネルリンパ節生検を検討すべきである。若年患者はセンチネルリンパ節が陽性となる頻度が高く、この特徴は臨床転帰に有害な影響を与える。 [98] [102] センチネルリンパ節が陽性の場合、完全なリンパ節郭清を行う選択肢を検討すべきである。所属リンパ節転移を有する患者など、高リスクの原発性皮膚黒色腫患者には、小児における忍容性が高い治療法である、インターフェロンアルファ-2bによる補助療法の選択肢を提案してもよい。 [116] [117] [131] BRAFおよびMEK阻害薬ならびにチェックポイント阻害薬などの他の補助療法の試験は現在小児患者については利用できない。

転移性疾患、再発性疾患、または進行性疾患を有する患者では、予後は不良である。インターフェロンダカルバジンテモゾロミド、ソラフェニブ、またはインターロイキン-2などのさまざまな薬物および生化学療法が用いられる。 [132] [133] [134] ベムラフェニブならびにイピリムマブなどのチェックポイント阻害薬およびPD-1阻害薬などの新たな治療法を組み込んだ小児試験の結果はまだ利用できない。 [135] [136]

(詳しい情報については、成人の黒色腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

臨床評価段階にある治療法の選択肢

以下は、現在実施されている全米および/または施設の臨床試験の例である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。


  • NCT02332668

    (進行黒色腫もしくは進行、再燃、または難治性PD-L1陽性固形腫瘍またはリンパ腫の小児参加者におけるペムブロリズマブ[MK-3475]の研究[MK-3475-051/KEYNOTE-051])

    これは、進行黒色腫もしくはプログラム細胞死リガンド1(PDL1)陽性進行、再燃、または難治性固形腫瘍またはリンパ腫のいずれかに罹患している小児参加者を対象とした、2部からなるペムブロリズマブ研究である。1部では、ペムブロリズマブ療法の最大耐容量/最大投与量を見出し、その用量を確認し、第II相試験の推奨用量を見出す。2部では、小児に対する第II相試験の推奨用量での安全性および有効性をさらに評価する。

  • NCT02304458

    (再発性または難治性固形腫瘍または肉腫の比較的若年の患者の治療におけるイピリムマブを併用する、または併用しないニボルマブ)

    この試験は、固形腫瘍の比較的若年の患者の治療における有効性を検討するためにイピリムマブと併用する、または併用しないニボルマブの副作用および至適用量を評価している。

  • NCT01677741

    (小児および青年の被験者における経口ダブラフェニブの安全性、忍容性、および薬物動態を検討するための研究)

    これは、BRAF V600突然変異陽性の進行固形腫瘍の小児および青年患者における経口ダブラフェニブの安全性、忍容性、および薬物動態を検討するための2部からなる研究である。1部では用量漸増手順を用いて推奨用量およびレジメンを明らかにする。2部では、1部で決定された用量およびレジメンを用いて、BRAF V600の活性化を有することが知られている腫瘍患者の4つの疾患特異的コホート(小児低悪性度グリオーマ、小児高悪性度グリオーマ、ランゲルハンス細胞組織球症、ならびに黒色腫および甲状腺乳頭がんなどの他の腫瘍)の治療を行う。

BCCおよびSCC

臨床像

小児および青年では、非黒色腫皮膚がんは非常にまれである。28人の患者を対象にした1件のシリーズにおいて、約半数の患者がゴーリン症候群のような素因となる疾患を有し、半数の患者が長期の免疫抑制または放射線といった医原性条件に曝露していた。 [137] BCCは一般に、隆起するしこりまたは潰瘍化病変を呈し、通常は日光紫外線に曝露したことがある部位に発生する。 [138] こうした腫瘍は多岐にわたり、放射線療法によって増悪することがある。 [139] 母斑BCC症候群(ゴーリン症候群)は、早発型の新生物発生の素因を伴うまれな疾患で、BCC、卵巣線維腫、および線維形成性髄芽腫を含む。 [140] [141] [142] [143] SCCの病変は通常赤褐色であり、鱗屑にも痂皮形成の程度にも差が認められ、湿疹、感染症、外傷、または乾癬の症状に類似している。

診断的評価

いずれの皮膚がんでも、診断の確定には生検または切除術が必要である。追加治療に関する意思決定を行うためには、診断を下す必要がある。BCCおよびSCCは一般に手術のみで根治可能で、追加の診断的精密検査は適応とされない。

治療

非黒色腫皮膚がんの治療はほとんどが手術であり、外科的切除またはモース顕微鏡手術のいずれかが行われる。 [137]

BCCのほとんどでヘッジホッグ経路が活性化しているが、これは一般的にPTCH1における突然変異の結果である。 [144] ヘッジホッグ経路阻害薬であるビスモデギブ(GDC-0449)がBCC成人患者の治療に対して承認されている。 [145] [146] ビスモデギブは転移性BCCの成人、手術後に再発した局所進行BCCの成人、または手術の候補とならない成人、および放射線療法の候補とならない成人の治療用に、米国食品医薬品局により承認された。この薬物はまた、基底細胞母斑症候群の患者における腫瘍負荷も低下させる。 [147]

(詳しい情報については、成人の皮膚がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

眼内(ブドウ膜)黒色腫

発生率と危険因子

ブドウ膜黒色腫(虹彩、毛様体、脈絡膜)は最も一般的な眼内の原発悪性腫瘍であり(米国では毎年約2,000例が診断される)、黒色腫の全症例の5%を占める。 [148] この腫瘍は最も一般的には高齢の患者に診断され、発生率のピークは70歳である。 [149]

小児ブドウ膜黒色腫はきわめてまれで、ブドウ膜黒色腫の全症例の0.8~1.1%を占める。 [150] 1968年から2014年にEuropean Ophthalmic Oncology Groupにより実施された1件のレトロスペクティブ多施設観察研究では、24施設で眼内黒色腫の小児114人(年齢1~17歳)および若年成人185人(年齢18~25歳)が確認された。 [150] 小児に対する診断時年齢中央値は15.1歳であった。疾患の発生率は5~10歳の間は年間0.8%ずつ増加し、17~24歳の間は年間8.8%ずつ増加した。他のシリーズでも、青年においてより高い疾患発生率が実証されている。 [151] [152]

危険因子には以下のものがある: [153] [154] [155]


  • 眼の色が薄い。

  • 色白の皮膚。

  • 日焼けして肌色が褐色になれない。

  • 眼皮膚黒血球症。

  • 皮膚母斑の存在。

European Oncology Groupの研究では、小児の57%が女児で、4人が眼皮膚黒血球症(n = 2)および神経線維腫症(n = 2)といった既存の疾患を有した。 [150] 生後2年以内のブドウ膜黒色腫症例13例のレビューでは、4人の患者が家族性非定型黒色腫母斑症候群を有し、1人の患者が異形成母斑症候群を、1人の患者がカフェオレ斑を有した。 [156]

分子的特徴

ブドウ膜黒色腫は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路の活性化につながるGNAQおよびGNA11の活性化変異を特徴とする。さらに、BAP1における変異が転移性腫瘍の84%にみられる一方、SF3B1およびEIF1AXにおける変異は良好な予後に関連する。 [157] [158] [159] [160] [161] [162]

治療および転帰

小児に対する治療には成人に対する治療と似ており、手術、放射線療法、およびレーザー手術が含まれる。(成人におけるブドウ膜黒色腫の治療に関する情報については、眼内(ブドウ膜)黒色腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児の生存率は若年成人および成人の生存率よりも良好なようであり、眼内黒色腫の生物学が小児では異なっている可能性が示唆されている。 [150] [151]

脊索腫

発生率

脊索腫は斜台、脊椎、または仙骨内の脊索の残遺物から発生する非常にまれな骨腫瘍である。米国における発生率は年間100万人当たり約1例であり、すべての脊索腫のうち、20歳未満の患者に起こるのはわずか5%である。 [163] ほとんどの小児患者は古典的または軟骨様脊索腫であるのに対し、脱分化型は小児ではまれである。 [163] [164]

予後

若年患者は年齢の高い患者よりも予後が悪いと考えられる。 [163] [165] [166] [167] [168] [169] 小児および青年における生存率は、約50~80%である。 [163] [166] [168]

臨床像

患者は通常、脳神経やその他の神経障害といった神経学的欠損を伴うまたは伴わない疼痛を呈する。典型的な担空胞(石けんの泡状の)細胞が認められる場合には、診断が容易である。鑑別診断はときに困難であり、脱分化した脊索腫および軟骨肉腫が含まれる。小児の脊索腫は、結節性硬化症と関連している。 [170]

治療

標準治療法としては、手術および外照射療法があり、しばしば陽子線治療が行われる。 [168] [171] 小児および青年における脊索腫は断端陰性を得ることが困難で、仙骨内よりむしろ頭蓋底に発生する可能性が高く、完全な外科的切除が相当困難であるため、手術で治癒が得られることはまれである。これらの腫瘍は放射線に対して比較的抵抗性を示し、陽子を用いると放射線量のコンフォーマリティ(conformality)により腫瘍への線量が高められる一方、隣接する重要な正常組織への照射が抑えられるため、最良の結果は陽子線治療(荷電粒子放射線療法)を使用して得られている。 [172] [173] ; [168] [174] [証拠レベル:3iiA]; [175] [証拠レベル:3iiiDiii]

手術単独または手術と放射線療法の併用後の細胞毒性化学療法の使用についてはごく少数の逸話的報告しかない。イホスファミド/エトポシドおよびビンクリスチン/ドキソルビシン/シクロホスファミドによる治療によりある程度の奏効が得られたことが報告されている。 [176] [177] この疾患の治療における化学療法の役割は不明である。

脊索腫におけるPDGFR-α、-β、およびKITの過剰発現に基づいて、この疾患の成人患者に対してメシル酸イマチニブが研究されている。 [178] [179] イマチニブで治療され、Response Evaluation Criteria In Solid Tumors(RECIST)ガイドラインによる評価が可能な脊索腫の成人患者50人において、1人の患者で部分奏効が得られ、他の28人の患者では6ヵ月経過時に病勢の安定が得られた。 [179] RECIST奏効率の低さおよびこの疾患の潜在的に緩徐な自然経過は、脊索腫に対するイマチニブの効力の評価を複雑にしている。 [179] 他のチロシンキナーゼ阻害薬およびキナーゼ阻害薬を含む併用が研究されている。 [180] [181] [182]

再発は通常限局性であるが、肺または骨への遠隔転移を来していることがある。

原発部位不明のがん

発生率および臨床像

原発部位不明の固形がんの患者全体で、小児が占める割合は1%未満であり、腫瘍タイプによる年齢別発生率から、この年齢層の組織型は胎児型が多くなっている。 [183]

原発部位不明のがんは転移がんとして現れるため、正確な原発腫瘍の部位は判定できない。 [184] 例えば、顔面または頭皮に腫瘍があれば、頭蓋底のリンパ節が腫脹するが、身体診察ないしX線検査では証拠は得られない。したがって、現在の画像技術では病変の範囲を把握することはできても、原発部位を確認することはできないといえる。腺がん、黒色腫などの腫瘍、ならびに横紋筋肉腫および神経芽腫などの胎児性腫瘍はこのように現れることがある。

診断的評価

原発部位が不明な腫瘍を呈する患者はすべて、治療は、その腫瘍の特異的な組織像に向け、病変の部位に関係なく、初発がんの一般組織型に対して年齢に応じたものとする。 [184]

成人を対象とした研究から、PET画像検査法は、特に腫瘍が頭頸部領域に発生した患者において、原発部位不明のがんの同定に有用な可能性があることが示唆される。 [185] 成人を対象にフッ素 F 18-フルデオキシグルコース(18F-FDG)PET-CTを用いた報告によると、一群の原発部位不明のがんで原発腫瘍の42.5%が同定された。 [186]

遺伝子発現プロファイリングおよび次世代の塩基配列決定法を用いることで、原発部位と推定される組織を同定し、特異的突然変異に対する標的薬物選択を導く能力が高まる可能性がある。 [187] [188] [189] [190] [191] 現在まで小児を対象とした研究は行われていない。

治療

(組織学的所見、症状、および腫瘍の拡がりに応じて)一般分類に含まれるがん腫または肉腫に対して適切かつ重要であるとされる化学療法、標的療法、および放射線療法を、可及的速やかに開始する。 [192]

(詳しい情報については、成人の原発不明がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)


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本要約の変更点(08/07/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

頭頸部がん

本文に、上咽頭がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢としてAPEC1621(NCT03155620)試験に関する記述が追加された。

感覚神経芽腫に対する新規のサブセクションとして臨床評価段階にある治療法の選択肢が追加された。

本文に以下の記述が追加された;比較的大きな腫瘍サイズ、甲状腺外への進展、および多発性病変がリンパ節転移リスクの増加に関連している(引用、参考文献79としてKim et al.)。

本文に以下の記述が追加された;比較的大きな腫瘍サイズ、甲状腺外への進展、および多発性病変がリンパ節転移リスクの増加に関連している。

本文で、小児および青年における甲状腺結節および分化型甲状腺がんに対する術後の病期分類および長期間のサーベイランスに関する記述が改訂された。

本文に以下の記述が追加された;ヨウ素131I療法の晩期障害はまれではあるが、唾液腺機能不全、骨髄抑制、肺線維症、および二次悪性腫瘍が挙げられる(引用、参考文献88としてAlbano et al.)。

再発甲状腺乳頭がんおよび濾胞がん(分化型甲状腺がん)に対する新規のサブセクションとして臨床評価段階にある治療法の選択肢が追加された。

甲状腺髄様がんに対する新規のサブセクションとして臨床評価段階にある治療法の選択肢が追加された。

口腔がんに対する新規のサブセクションとして臨床評価段階にある治療法の選択肢が追加された。

唾液腺腫瘍に対する新規のサブセクションとして臨床評価段階にある治療法の選択肢が追加された。

喉頭がんに対する新規のサブセクションとして臨床評価段階にある治療法の選択肢が追加された。

本文に、NUT遺伝子が関与する正中線上のがんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢としてAPEC1621(NCT03155620)試験に関する記述が追加された。

本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児にまれながんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

小児にまれながんの治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Unusual Cancers of Childhood Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/childhood-cancers/hp/unusual-cancers-childhood-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389315]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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