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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

化学療法と頭頸部放射線療法の口腔合併症(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-12-16
    翻訳更新日 : 2017-02-22

化学療法と頭頸部放射線療法の口腔合併症(PDQ®) PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Board

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、化学療法および頭頸部放射線療法の口腔合併症の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

放射線療法による口腔合併症 口腔乾燥 骨壊死

概要

悪性疾患に対する積極的な治療により、正常細胞にやむを得ない毒性が生じることがある。口腔粘膜などの消化管の粘膜内層は、細胞回転速度が早いという特徴から、治療関連毒性の第一の標的となる。口腔は、がん化学療法と電離放射線の直接的および間接的な毒性作用に対して、非常に感受性が高い。 [1] このリスクは多数の因子に起因しており、その因子には粘膜内膜における高い細胞回転速度、多様で複雑な細菌叢、および口腔機能が正常な中での口腔組織に対する外傷が含まれる。 [2] 口腔内の軟部組織構造における変化は、消化管全体で生じる変化を反映していると推定されるが、本要約では、抗腫瘍薬および放射線療法による口腔合併症を中心に取り扱う。

がん治療の前・中・後では、がん患者の口腔管理に集学的アプローチを採用することがきわめて重要である。これらの患者の医療の複雑さは、歯科治療計画、優先順位決定および歯科治療の時期に影響するため、集学的アプローチが必要となる。さらに、一部のがん患者(例えば、高線量の頭頸部への放射線による治療後の状況)では、下顎の放射線骨壊死などの重篤な合併症の生涯的なリスクがあることが多い。そのため、腫瘍学医、腫瘍学看護師、歯科の一般医および専門医に、歯科衛生士、ソーシャルワーカー、栄養士、関連医療専門家を加えた集学的腫瘍学チームにより、これらの患者における口腔合併症に関連して、予防的および治療的な結果をきわめて効果的に達成できることが多い。

口腔合併症は一部の全身症状に似ている場合があるが、特有な口腔解剖学的構造およびその機能の面で独特な口腔毒性が出現する。

口腔合併症の発生頻度は、がん治療によって異なる;表1表1に推定値を含めている。

表1.がん治療による口腔合併症の有病率:Oral Care Study Group Systematic Reviews、MASCC/ISOO

合併症 引用文献 加重有病率
CT = 化学療法;EORTC QLQ-C30 = European Organisation for Research and Treatment of Cancer Quality of Life Questionnaire C30;HNC = 頭頸部がん;IMRT = 強度変調放射線療法;MASCC/ISOO = Multinational Association of Supportive Care in Cancer/International Society of Oral Oncology;RT = 放射線療法;VAS = 視覚的アナログ尺度。
a疼痛は、HNC患者によくみられ、がん治療前で患者の約半数、治療中で81%、治療終了時で70%、治療後6ヵ月で36%と報告されている。
ビスホスホネートによる骨壊死 [3] 研究全体で6.1%(平均値)
追跡調査が報告されている研究で = 13.3%
追跡調査が報告されていない研究で = 0.7%
疫学研究で = 1.2%
味覚異常 [4] CT単独で = 56.3%(平均値)
RT単独で = 66.5%(平均値)
CTとRTの併用で = 76%(平均値)
口腔真菌感染 [5] 臨床症状を伴う口腔真菌感染(すべての口腔カンジダ症)のうち:
治療前で = 7.5%
治療中で = 39.1%
治療後で = 32.6%
がん治療による口腔カンジダ症の臨床症状を伴う感染のうち:
HNCに対するRT中で = 37.4%
CT中で = 38%
口腔ウイルス感染 [6] 血液悪性腫瘍に対してCTによる治療を行った患者で:
口腔潰瘍患者/口腔潰瘍検体採取患者 = 49.8%
口腔潰瘍検体採取患者 = 33.8%
口腔潰瘍の有無とは無関係に検体を採取した患者 = 0%
RTにより治療を行った患者で:
RT単独治療患者/口腔潰瘍検体採取患者 = 0%
RTと補助CTによる治療患者/口腔潰瘍検体採取患者 = 43.2%
歯科疾患 [7] がん治療を行った患者における齲蝕では:
研究全体で = 28.1%
CT単独で = 37.3%
RT後で = 24%
CT後およびRT後で = 21.4%
CTを受けた患者における重度の歯肉炎のうち = 20.3%
CTを受けた患者における歯科感染/膿瘍のうち = 5.8%
放射線骨壊死 [8] 従来型RTで = 7.4%
IMRTで = 5.2%
RTとCTで = 6.8%
小線源治療で = 5.3%
開口障害 [9] 従来型RTで = 25.4%
IMRTで = 5%
従来型RTとCTで = 30.7%
口腔痛a [10] HNC患者におけるVASによる疼痛レベル(0~100):
治療前で = 12/100
治療直後で = 33/100
治療から1ヵ月後で = 20/100
HNC患者におけるEORTCのQLQ-C30による疼痛レベル(0~100):
治療前で = 27/100
治療から3ヵ月後で = 30/100
治療から6ヵ月後で = 23/100
治療から12ヵ月後で = 24/100
唾液腺機能低下および口腔乾燥 [11] HNC患者におけるRTの種類別の口腔乾燥のうち:
研究全体
RT前で = 6%
RT中で = 93%
RTから1~3ヵ月後で = 74%
RTから3~6ヵ月後で = 79%
RTから6~12ヵ月後で = 83%
RTから1~2年後で = 78%
RTから2年を過ぎてから = 85%
従来型RT
RT前で = 10%
RT中で = 81%
RTから1~3ヵ月後で = 71%
RTから3~6ヵ月後で = 83%
RTから6~12ヵ月後で = 72%
RTから1~2年後で = 84%
RTから2年を過ぎてから = 91%
IMRT
RT前で =12%
RT中で = 100%
RTから1~3ヵ月後で = 89%
RTから3~6ヵ月後で = 73%
RTから6~12ヵ月後で = 90%
RTから1~2年後で = 66%
RTから2年を過ぎてから = 68%


がん治療に関係して最もよくみられる口腔合併症は、粘膜炎、感染症、唾液腺機能不全、味覚障害および疼痛である。このような合併症によって、脱水、味覚異常および栄養失調のような二次合併症が生じる。骨髄抑制を認めるがん患者では、口腔が全身感染症の感染源になることもある。頭頸部放射線療法によって、口腔粘膜、血管系、筋肉および骨に不可逆的な損傷が生じ、口腔乾燥、重症齲蝕、開口障害、軟部組織壊死および骨壊死が引き起こされる。

重度の口腔毒性のために、十分ながん治療のプロトコルを十分に実施できないことがある。例えば、口腔病変を解消できるように、薬物の減量または治療スケジュールの修正が必要となる。重度の口腔疾患がある場合には、がん治療をそれ以上継続できないことがある;そうなると、通常は治療が中止される。口腔合併症によりもたらされるこのような薬剤投与の中断は、患者の生存に直接影響を及ぼす。

がん治療による口腔合併症の管理には、高リスク集団の識別、患者教育、治療前の介入開始、および時宜を得た病変の管理を含む。がん治療前の口腔状態の評価および口腔疾患の安定化は、全体的な患者ケアにきわめて重要である。口腔合併症およびこれに伴う全身合併症のリスクを最低限に抑えるために、予防的かつ治療的なケアとすべきある。

以下を目的として、技術開発を目指した研究がさらに必要である:


  • 口腔粘膜炎の発生率および重症度を低減する。

  • 感染管理を改善する。

  • 唾液腺機能を保護する。

  • 慢性的な続発症のリスクを最低限に抑える。

がん治療による合併症、特に口腔粘膜炎を予防する新技術の開発により、口腔痛、口腔感染症および全身感染症のリスク、ならびに入院日数を大幅に低減できると考えられる;また、QOLが改善し、医療費も削減できると考えられる。新たな技術によって、化学療法薬の新規クラスが高い用量で使用され、がんの治癒率および寛解の持続性の向上につながるような状況がもたらされる可能性もある。

前述前述したように、がん治療の前・中・後にがん患者の口腔管理には、集学的アプローチを採用することが不可欠である。この連携は、現在および新興のがん治療の口腔合併症に関連する基礎研究、臨床研究、および トランスレーショナルリサーチの進展にきわめて重要である。口腔合併症の病理学的複雑性および拡大を続ける臨床管理の科学的基礎により、この包括的な学際的アプローチが必要となる。

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。


参考文献
  1. Lalla RV, Brennan MT, Schubert MM: Oral complications of cancer therapy. In: Yagiela JA, Dowd FJ, Johnson BS, et al., eds.: Pharmacology and Therapeutics for Dentistry. 6th ed. St. Louis, Mo: Mosby Elsevier, 2011, pp 782-98.[PUBMED Abstract]

  2. Keefe DM, Schubert MM, Elting LS, et al.: Updated clinical practice guidelines for the prevention and treatment of mucositis. Cancer 109 (5): 820-31, 2007.[PUBMED Abstract]

  3. Migliorati CA, Woo SB, Hewson I, et al.: A systematic review of bisphosphonate osteonecrosis (BON) in cancer. Support Care Cancer 18 (8): 1099-106, 2010.[PUBMED Abstract]

  4. Hovan AJ, Williams PM, Stevenson-Moore P, et al.: A systematic review of dysgeusia induced by cancer therapies. Support Care Cancer 18 (8): 1081-7, 2010.[PUBMED Abstract]

  5. Lalla RV, Latortue MC, Hong CH, et al.: A systematic review of oral fungal infections in patients receiving cancer therapy. Support Care Cancer 18 (8): 985-92, 2010.[PUBMED Abstract]

  6. Elad S, Zadik Y, Hewson I, et al.: A systematic review of viral infections associated with oral involvement in cancer patients: a spotlight on Herpesviridea. Support Care Cancer 18 (8): 993-1006, 2010.[PUBMED Abstract]

  7. Hong CH, Napeñas JJ, Hodgson BD, et al.: A systematic review of dental disease in patients undergoing cancer therapy. Support Care Cancer 18 (8): 1007-21, 2010.[PUBMED Abstract]

  8. Peterson DE, Doerr W, Hovan A, et al.: Osteoradionecrosis in cancer patients: the evidence base for treatment-dependent frequency, current management strategies, and future studies. Support Care Cancer 18 (8): 1089-98, 2010.[PUBMED Abstract]

  9. Bensadoun RJ, Riesenbeck D, Lockhart PB, et al.: A systematic review of trismus induced by cancer therapies in head and neck cancer patients. Support Care Cancer 18 (8): 1033-8, 2010.[PUBMED Abstract]

  10. Epstein JB, Hong C, Logan RM, et al.: A systematic review of orofacial pain in patients receiving cancer therapy. Support Care Cancer 18 (8): 1023-31, 2010.[PUBMED Abstract]

  11. Jensen SB, Pedersen AM, Vissink A, et al.: A systematic review of salivary gland hypofunction and xerostomia induced by cancer therapies: prevalence, severity and impact on quality of life. Support Care Cancer 18 (8): 1039-60, 2010.[PUBMED Abstract]

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病因発生機序

がん化学療法および放射線療法に関連する口腔合併症は、多数の因子間の複雑な相互作用に起因している。この中でも最も顕著な因子が、口腔組織への直接の致死的および亜致死的障害、免疫をはじめとする防御系の減衰および正常治癒への干渉である。主原因には、直接口腔毒性および間接口腔毒性の両者が考えられる。直接毒性は、口腔組織への一次損傷により起こる。間接的な毒性は、口腔に二次的に影響を及ぼす非口腔毒性により引き起こされ、それには次のものが含まれる:


  • 骨髄抑制。

  • 組織中の免疫細胞の喪失。

  • 保護機能を有する唾液成分の喪失。

口腔合併症関連の機序に対する理解が高まりつつある。残念ながら、毒性を防ぐために普遍的に効果のある薬剤またはプロトコルはない。既往の歯牙/歯根尖周囲、歯周、および粘膜の感染の除去;治療段階での包括的な口腔衛生プロトコルの開始;および口腔粘膜の保全を損なう可能性がある他の因子(例、口腔組織への物理的外傷)の減少は、がん患者に生じる口腔合併症の頻度および重症度を低下させることができる(詳しい情報については、本要約のがん治療に先立つ口腔および歯科の管理がん治療に先立つ口腔および歯科の管理およびがん治療後の口腔および歯科の管理がん治療後の口腔および歯科の管理のセクションを参照のこと)。 [1]

合併症には、急性のもの(治療途中に生じる合併症)もあれば慢性のもの(治療後数ヵ月から数年を経て生じる合併症)もある。一般に、がん化学療法により急性毒性が引き起こされるが、治療の中止と損傷した組織の回復に続いて消散する。一方、放射線療法のプロトコルは、典型的に、急性口腔毒性の原因となるだけでなく、患者にとって生涯にわたるリスクとなる組織損傷を誘発する。

化学療法による合併症

口腔合併症の危険因子(表2表2参照)は、化学療法に伴う口腔組織の直接障害および局所毒性または全身毒性による間接障害に由来する。例えば、局所および全身の免疫能が同時に低下した場合、口腔内に細菌叢が定着することにより口腔粘膜への治療関連毒性が増強される。口腔合併症の頻度および重症度は、全身障害の程度および種類に直接関わっている。

表2.がん化学療法による口腔合併症

合併症 直接危険因子 間接危険因子
DIC = 播種性血管内凝固症候群(disseminated intravascular coagulation);HSV = 単純ヘルペスウイルス(herpes simplex virus)
口腔粘膜炎 粘膜細胞毒性 局所/全身免疫低下:局所感染症、HSV再活性化
物理的/化学的外傷
口腔感染症:    
ウイルス感染症   全身免疫低下
真菌感染症   口腔粘膜および/または全身免疫の低下
唾液腺機能不全
口腔細菌叢の変化(細菌叢減少)
細菌感染症 不十分な口腔衛生 口腔粘膜および/または全身免疫の低下
粘膜崩壊 唾液腺機能不全
後天性病原菌
味覚障害 味覚受容体毒性  
口腔乾燥 唾液腺毒性 抗コリン薬
神経障害 ビンカアルカロイド、サリドマイド、ボルテゾミブなどの薬剤使用;特定の薬物毒性のリスクの差 貧血、口腔過敏症、顎関節症/筋筋膜疼痛
歯牙および骨格の成長および発育(小児患者) 特異的な薬物毒性 口腔および骨格の成熟段階
味覚、衛生、食事による摂取など口腔状態における二次的変化の原因となる消化管粘膜炎 粘膜細胞毒性:放射線、化学療法 吐き気と嘔吐
出血 口腔粘膜炎 血小板減少
物理的外傷 凝固因子減少(例えば、DIC)
感染症(例えば、HSV)


潰瘍性口腔粘膜炎は、化学療法を受けた患者の約40%に発生する。このうち約50%は症状が重度であり、細胞毒性を有する治療法を修正するなどの内科的介入が求められる。正常な口腔粘膜上皮は、9~16日ごとに完全に置換すると考えられている。集中化学療法は潰瘍性粘膜炎の原因となり、大量化学療法の開始後約2週間で、最初の炎症が起こる。 [2] [3] [4]

がん化学療法により、基底上皮細胞の複製が直接損なわれる;炎症性サイトカインおよび細菌の代謝物を含む他の因子が役割を果たしている可能性もある。口唇粘膜、頬粘膜、舌、口底および軟口蓋が化学療法により冒される度合いは、硬口蓋および歯肉のような付着性高度角化組織よりも重度である;これは、高リスク対低リスクの口腔粘膜組織における上皮細胞の相対的な代謝回転率によって引き起こされる可能性がある。局所凍結療法によって、口腔上皮の複製を損なうような毒性を有する薬物の血管送達を減少させることにより、5-フルオロウラシル(5-FU)のような薬物による粘膜炎を改善できるであろう。 [5]

投与された薬物のクラスが厳密な原因となって、患者が粘膜炎を発症するのかどうかを予測するのは困難である。次のいくつかの薬剤は口腔粘膜に傷害を与える傾向が高い:


  • メトトレキサート。

  • ドキソルビシン。

  • 5-FU。

  • ブスルファン。

  • ブレオマイシン。

  • シスプラチンやカルボプラチンを含む白金配位化合物。

  • mTOR(mammalian target of rapamycin;哺乳類ラパマイシン標的蛋白)阻害剤(新しいクラスのがん標的治療薬)。 [6] [7]

逸話的証拠として、特定の化学療法レジメンを用いた初回サイクルで粘膜炎を来す患者は、次回以降のコースでも同じく粘膜炎を来すことが示唆されている。

他の口腔合併症は通常、粘膜、歯列/歯根尖周囲および歯周組織の感染症である。これらの感染症の有病率が、多数の研究によって明らかにされている。 [8] [9] [10] [11] 骨髄抑制中にみられる感染拡大のリスクを明らかにする特異的基準は開発されていない。評価ガイドラインは主に、慢性病変の重症度および急性症状が最近(例えば、90日未満)発生したかどうかの両者を取り扱っている。しかしながら、慢性無症候性歯周炎は、細菌、細菌細胞壁物質、および炎症性サイトカインが潰瘍性盲嚢上皮を介して血流に入るため、全身感染合併症の病巣を表すこともある。 [10] さらに、口腔衛生不良および歯周炎は、高リスク患者で肺感染の有病率を高めるようにみえる。 [12]

粘膜炎および感染症のような口腔毒性の消散は、一般に顆粒球の回復と時を同じくする。この関係は一時的なものにすぎず、因果関係を示すものではない。例えば、造血幹細胞移植患者での口腔粘膜治癒は、移植、特に好中球の割合に部分的に依存するのみである。

頭頸部放射線療法による合併症

頭頸部への放射線照射は、広範囲にわたる口腔合併症を引き起こす可能性がある(放射線療法による口腔合併症の一覧一覧を参照のこと)。潰瘍性口腔粘膜炎はこの治療の結果生じる実質的に普遍的な毒性であり、化学療法による口腔粘膜炎と比較した場合に臨床的に有意な類似性のほか、差異も存在する。 [2] さらに、頭頸部への放射線照射を化学療法と併用することで、口腔粘膜毒性が強くなる可能性がある。

頭頸部への放射線もまた、血管系、結合組織、唾液腺、筋肉および骨に生じる永続的機能不全に至る損傷を誘発する。骨の生命力の喪失は次のように発生する:


  • 骨細胞、骨芽細胞および破骨細胞への損傷に続いて発生。

  • 血管供給の減少による相対的な低酸素症により発生。

これらの変化により、軟部組織壊死および骨壊死が生じ、骨露出、二次感染症および重度の疼痛に至る。 [11]

放射線療法による口腔合併症
  • 急性合併症:
      口腔粘膜炎。
      感染症:
      • 真菌感染症。

      • 細菌感染症。


      唾液腺機能不全:
      • 唾液腺炎。

      • 口腔乾燥。


      味覚障害。

  • 慢性合併症:
      粘膜線維化および粘膜萎縮。
      口腔乾燥。
      齲蝕。
      軟部組織壊死。
      骨壊死。
      味覚障害:
      • 味覚異常。

      • 無味覚症。


      筋/皮膚線維化。
      感染症:
      • 真菌感染症。

      • 細菌感染症。



しかしながら、放射線障害は化学療法とは異なり、解剖学的に部位特異的であり、 毒性は照射組織に局在する。損傷度は使用した放射線のタイプ、照射した総線量、および照射野のサイズ/分割を含む治療レジメン関連因子によって決まる。このほか、放射線療法による損傷は永続的であるという点でも化学療法とは異なっており、患者に口腔後遺症の継続的リスクをもたらす。口腔組織は、後の毒性薬または放射線被曝による損傷を被りやすく、永続的な細胞障害の結果として、正常な生理学的修復機序が損なわれる。


参考文献
  1. Larson PJ, Miaskowski C, MacPhail L, et al.: The PRO-SELF Mouth Aware program: an effective approach for reducing chemotherapy-induced mucositis. Cancer Nurs 21 (4): 263-8, 1998.[PUBMED Abstract]

  2. Sonis ST: Mucositis as a biological process: a new hypothesis for the development of chemotherapy-induced stomatotoxicity. Oral Oncol 34 (1): 39-43, 1998.[PUBMED Abstract]

  3. Lalla RV, Brennan MT, Schubert MM: Oral complications of cancer therapy. In: Yagiela JA, Dowd FJ, Johnson BS, et al., eds.: Pharmacology and Therapeutics for Dentistry. 6th ed. St. Louis, Mo: Mosby Elsevier, 2011, pp 782-98.[PUBMED Abstract]

  4. Schubert MM, Peterson DE: Oral complications of hematopoietic cell transplantation. In: Appelbaum FR, Forman SJ, Negrin RS, et al., eds.: Thomas' Hematopoietic Cell Transplantation: Stem Cell Transplantation. 4th ed. Oxford, UK: Wiley-Blackwell, 2009, pp 1589-1607.[PUBMED Abstract]

  5. Rocke LK, Loprinzi CL, Lee JK, et al.: A randomized clinical trial of two different durations of oral cryotherapy for prevention of 5-fluorouracil-related stomatitis. Cancer 72 (7): 2234-8, 1993.[PUBMED Abstract]

  6. Pilotte AP, Hohos MB, Polson KM, et al.: Managing stomatitis in patients treated with Mammalian target of rapamycin inhibitors. Clin J Oncol Nurs 15 (5): E83-9, 2011.[PUBMED Abstract]

  7. de Oliveira MA, Martins E Martins F, Wang Q, et al.: Clinical presentation and management of mTOR inhibitor-associated stomatitis. Oral Oncol 47 (10): 998-1003, 2011.[PUBMED Abstract]

  8. Sonis ST, Peterson DE, McGuire DB, eds.: Mucosal injury in cancer patients: new strategies for research and treatment. J Natl Cancer Inst Monogr (29): 1-54, 2001.[PUBMED Abstract]

  9. Akintoye SO, Brennan MT, Graber CJ, et al.: A retrospective investigation of advanced periodontal disease as a risk factor for septicemia in hematopoietic stem cell and bone marrow transplant recipients. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 94 (5): 581-8, 2002.[PUBMED Abstract]

  10. Raber-Durlacher JE, Epstein JB, Raber J, et al.: Periodontal infection in cancer patients treated with high-dose chemotherapy. Support Care Cancer 10 (6): 466-73, 2002.[PUBMED Abstract]

  11. Myers RA, Marx RE: Use of hyperbaric oxygen in postradiation head and neck surgery. NCI Monogr (9): 151-7, 1990.[PUBMED Abstract]

  12. Paju S, Scannapieco FA: Oral biofilms, periodontitis, and pulmonary infections. Oral Dis 13 (6): 508-12, 2007.[PUBMED Abstract]

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がん治療に先立つ口腔および歯科の管理

がん患者における口腔の健康状態不良は、口腔合併症の発生率および重症度の増加と関連していることから、治療前に口腔ケアを安定させるという積極的なアプローチが採用される。 [1] [2] 適切な栄養摂取、効果的な口腔衛生習慣、および口腔病変の早期検出といった一次予防法は、重要な治療前介入である。

世界的に受け入れられるようながん治療前の歯科プロトコルは、特定のプロトコルの有効性を評価した臨床試験が行われていないため、存在しない。文献の系統的レビューにより、がん治療前の口腔ケアのプロトコルに関する2件の研究文献が明らかになった。 [3] 1件の研究は、最小介入のがん治療(ほとんどが化学療法)前歯科プロトコルの有益性を検討したもので、他の1件は、化学療法を受ける患者に対する強化予防プロトコルの効果を検討したものである。両研究とも、サンプルサイズが小さい、または比較群を欠くといった欠点がいくつかあった。 [3]

口腔腫瘍の経験を有する歯科チームが関わることにより、このチームが患者を直接診察しても、地域歯科医が診察しても、口腔合併症のリスクを低下できる。その評価は治療前のできるだけ早期に実施すべきである。 [4] [5] 診察により、歯科医はがん治療を始める前に口腔状態を把握でき、がん治療中および治療後に生じる口腔合併症を減少させる可能性がある必要な介入を開始できる。理想的には、どのような侵襲的口腔外科術が必要になっても十分な治癒が可能なように、診察はがん治療を開始する1ヵ月以上前に実施すべきである。口腔衛生のプログラムは、継続を基本に患者のコンプライアンスを最大化することに重点を置いて開始すべきである。

化学療法の患者

骨髄破壊的化学療法を実施予定の患者に対する口腔の評価および管理は、治療開始前のできるだけ早期に実施すべきである(化学療法および/または造血幹細胞移植前の口腔疾患の安定化についての一覧一覧を参照のこと)。最大限の治療成績を得るべく、腫瘍チームは患者の医学的状態および治療計画に関して、歯科医に明確に助言すべきである。一方、歯科医チームはがん治療前、治療中および治療後の口腔疾患管理のケア計画を描き、連携を図るべきである。 [5]

化学療法および/または造血幹細胞移植前の口腔疾患の安定化
  • 腫瘍学チームが歯科医師に提供するデータ:
      原疾患:
      • がん:型、病期、予後。

      • 再生不良性貧血状態、全血球数(CBC)。

      • その他。


      移植の種類:
      • 自家移植。

      • 同種ドナーの種類:
          適合血縁者および非血縁者。
          非適合血縁者。

      • 非適合非血縁者。

      • 同系。


      造血幹細胞の入手元:
      • 骨髄。

      • 末梢血幹細胞。

      • 臍帯血幹細胞。


      前処置レジメン:
      • 骨髄破壊的。

      • 強度縮小前処置(骨髄非破壊的レジメンを含む)。


      移植計画日。
      前処置レジメン:
      • 化学療法。

      • 全身照射。

      • 放射性抗体。


      直近の血液状態および免疫状態。
      現在の薬物療法。
      その他考慮する点:
      • 心疾患(心雑音を含む)。

      • 肺疾患。

      • 留置静脈アクセスライン。

      • 凝固状態。

      • 脾摘。



  • 歯科医師が腫瘍学チームに提供するデータ:
      齲蝕(がん治療を開始する前に治療すべき歯牙の本数指定を含む、歯牙の本数および重症度)。
      歯内疾患:
      • 歯髄感染を有する歯牙。

      • 根尖性感染を有する歯牙。


      歯周疾患の状態。
      抜歯が必要な歯牙の本数。
      この他に必要な緊急療法。
      口腔疾患の安定化を完了させるのに必要な期間。

全体目標は、放っておくと化学療法中または化学療法後に合併症を生じかねない口腔疾患を除去または安定化させる包括的な口腔ケア計画を完成させることにある。この目標を達成することにより、口腔毒性のリスクが減少し、結果として全身への後遺症の減少、医療費の削減およびQOLの向上につながる。患者が地域社会で医学的に必要な口腔ケアを受けられない場合は、腫瘍チームが口腔管理の責任を負うべきである。

歯科治療計画は、歯科疾患の種類および程度に加え、通常の歯のケアを再開するまでにどの位の期間が必要かに関連して、現実的なものとする必要があるとの認識が重要である。例えば、歯の齲蝕が軽度であれば、特により控えめな疾患安定化戦略(例えば、積極的な局所フッ化物プロトコル、仮修復、または歯科シーラント)が使用できる場合には、がん治療開始前に修復する必要はない場合がある。

特異的介入により以下を管理する:


  • 粘膜病変。

  • 齲蝕および歯内疾患。

  • 歯周疾患。

  • 不適合義歯。

  • 歯科矯正装置。

  • 顎関節機能不全。

  • 唾液腺異常。

抜歯、歯内管理およびこれに関する介入のガイドライン(表3表3参照)が、適切なものとして使用できる。 [6] [7] 侵襲的口腔外科術の前の抗生物質予防投与は、中心静脈カテーテルを留置している状況では正当化される場合がある;これらの患者には、感染性心内膜炎および口腔外科術に対する現行のAmerican Heart Association(AHA)のプロトコルがよく用いられる。

表3.侵襲的歯科手技に関する管理ガイドライン

医学的状態 ガイドライン コメント
CBC = 全血球数(complete blood cell count);IV = 静注(intravenous)
a初期安定化/治癒がみられるまで、この他の凝固パラメータが正常範囲内にあり、血小板数が規定レベル以上にあるものと仮定する。
長期留置静脈確保ライン(例えば、Hickman)患者。 AHAの予防的抗生物質投与勧告(低リスク)。 歯科手技後のこれらのラインに対する感染症リスクについて詳述した明らかな科学的根拠はない。この勧告は経験的なものである。

好中球

  CBCと血液像検査依頼。
> 2,000/mm3 予防的抗生物質投与は実施しない。  
1,000~2,000/mm3 AHAの予防的抗生物質投与勧告(低リスク)。 臨床的判断がきわめて重要である。感染症が認められるか、感染症の有無が不明であれば、さらに積極的な抗生物質治療が適応である。
< 1,000/mm3 手術の1時間前にアミカシン150mg/m2;手術の30分前にチカルシリン75mg/kgを静注。術後6時間で両剤を再投与する。 細菌が検知されるか、その疑いがあれば、感受性に基づき適切に調節すべきである。

血小板a

  血小板数計測および血液凝固試験を依頼する。
> 60,000/mm3 追加的支援は不要である。  
30,000~60,000/mm3 非侵襲性の治療に対しては、血小板輸血を選択肢とする;外科的治療(例えば、抜歯)に対しては、術前およびその24時間後の投与を検討する。臨床経過に基づき輸血を追加する。 出血のコントロールの確立と維持を促進する方法を活用する(すなわち、縫合、加圧パック、外傷の最小化)。
< 30,000/mm3 血小板は手術の1時間前に輸血すべきである;輸血後迅速に血小板数を回復させる;初期治癒がみられるまで、30,000~40,000/mm3を超える血小板数を維持するよう定期的に輸血する。一部の症例では、60,000/mm3を越える血小板数が必要な場合がある。 上の方法に加えて、止血薬(すなわち、ミクロフィブリルコラーゲン、局所トロンビン)の使用を考慮する。アミノカプロン酸は、血餅が持続しない状態に安定化させるのに役立つ場合がある。慎重にモニタリングする。


造血幹細胞移植患者の評価

造血幹細胞移植患者に関する評価の段階が報告されている(表4表4参照)。 [5] これは、一般に、好中球減少がみられるがん患者を分類するのに有用なモデルである。口腔合併症の型、時期および重症度は、臨床症状を招く局所因子と全身因子との相互作用を表している。このため、患者の口腔状態と全身症状とを結びつけて考えるのがきわめて重要である。

骨髄抑制に対する薬剤強度が弱いという特徴がある特定の前処置レジメンが患者に使用されている。これらのレジメンは、特に粘膜炎および感染症リスクについて、移植後早期の口腔合併症の重症度を有意に低下させることが広く認められている。表4表4に示されているガイドラインは、使用される特定の前処置レジメンに基づいて、これらのさまざまな程度のリスクを反映するように調節できる。

表4.造血幹細胞移植による口腔合併症

移植期 口腔合併症
GVHD=移植片対宿主病(graft-versus-host disease)。
第I期:前処置期 口腔感染症:齲蝕、歯内感染症、歯周疾患(歯肉炎、歯周炎)、粘膜感染症(すなわち、ウイルス感染症、真菌感染症、細菌感染症)。
歯肉白血病性侵襲。
転移がん。
口腔出血。
口腔潰瘍:アフタ潰瘍、多形性紅斑。
顎関節機能不全。
第II期:好中球減少調整期 中咽頭粘膜炎。
口腔感染症:粘膜感染症(すなわち、ウイルス感染症、真菌感染症、細菌感染症)、歯周感染症。
出血。
口腔乾燥。
味覚障害。
神経毒性:歯痛、筋肉振戦(例えば、顎、舌)。
顎関節症:顎痛、頭痛、関節痛。
第III期:生着による造血回復期 口腔感染症:粘膜感染症(すなわち、ウイルス感染症、真菌感染症、細菌感染症)。
急性GVHD。
口腔乾燥。
出血。
神経毒性:歯痛、筋肉振戦(例えば、顎、舌)。
顎関節症:顎痛、頭痛、関節痛。
肉芽腫/乳頭腫。
第IV期:免疫再構築がみられる移植後晩期 口腔感染症:粘膜感染症(すなわち、ウイルス感染症、真菌感染症、細菌感染症)。
慢性GVHD。
歯牙/骨格の成長および発育変化(小児患者)。
口腔乾燥。
再燃関連口腔病変。
二次性悪性腫瘍。
第V期:長期生存期 再燃または二次性悪性腫瘍。
歯牙/骨格の成長および発育変化。


第I期:化学療法前

口腔合併症は、この時点の全身および口腔の健康状態、原疾患の口腔徴候およびがんをはじめとする疾患の治療による合併症の有無に関係している。この時期には、口腔外傷および齲蝕、歯周疾患、および歯髄感染症のように臨床的に重大な感染症を除去しておくべきである。さらに、患者に対して、第II期以降に生じる口腔合併症の範囲および管理に関する教育を実施する。また、ベースラインとなる口腔衛生を指示するべきである。患者(例えば、多発性骨髄腫の患者)がビスホスホネートによる治療を受けているかどうかに注意し、それに応じて患者のケアを計画することが特に重要である。

第II期:好中球減少期

口腔合併症は、主に、大量化学療法または化学放射線療法ならびにその後遺症に関係する直接口腔毒性および間接口腔毒性から生じる。粘膜炎、口腔乾燥、骨髄抑制による病変、血小板減少症および貧血がよくみられる。この期には、典型的に、口腔合併症の有病率および重症度が高くなる。

口腔粘膜炎は、通常、細胞毒性治療を開始してから7~10日後に発現し、治療終了から約2週間後まで残存する。ウイルス感染、真菌感染および細菌感染を認め、その発生率は予防的治療の実施、化学療法前の口腔状態および好中球減少の期間/重症度に左右される。粘膜炎の消散および好中球の再生により、感染症の頻度が低下する。優れた証拠に基づくと、この現象は、因果関係というより時間に関係しているとみられる。しかしながら、初期の骨髄回復にもかかわらず、全体的な免疫再構築の状態に応じて、患者には感染リスクが残存することがある。

抗コリン薬による唾液腺機能低下/口腔乾燥、および味覚障害は、この時期に初めて認められる;この毒性は通常2~3ヵ月以内に消失する。

同種移植患者では、まれであるが超急性の移植片対宿主病(GVHD)が発生し、重大な口腔粘膜の炎症および破壊をもたらすことがあり、それにより患者に対する経口治療が困難になることがある。臨床像では、この病変を診断するだけの十分な違いが認められないことが多い。臨床評価は一般に、化学療法が引き起こす口腔粘膜炎に関連した粘膜回復の想定時間枠内に治癒しないことが多い、予想より重度の粘膜炎が認められた患者に基づいている。

第III期:造血回復

急性口腔合併症の頻度および重症度は、通常、化学療法中止後約3~4週間で低下する。骨髄再生の状況において、潰瘍性口腔粘膜炎の治癒がこの動態に寄与する。免疫再構築が進行しても、口腔粘膜の免疫防御が十分に機能しないことがある。一般に言われているように、免疫の再構築には、自家移植患者で6~9ヵ月、慢性GVHDを発症していない同種移植患者で9~12ヵ月の期間が必要である。こうして患者には、カンジダおよび単純ヘルペスウイルス感染症のような何らかの感染リスクが残存する。

生着が遅延している場合、患者が急性GVHDを発症している場合、またはGVHD治療を実施している場合を除いて、この時期に粘膜の細菌感染が発生することはほとんどない。ほとんどの施設では、この期間中は(また、多くの例では、さらに長く)、一般的な感染リスクを減らすために全身感染予防処置を使用するが、これは全身感染および局所口腔感染のいずれの発生率および重症度にも好ましい影響を及ぼす慣行である。

この点、造血幹細胞移植患者は独特のコホートである。例えば、同種移植患者には、通常、この時期に急性口腔GVHDのリスクが生じる。

第IV期:全身毒性からの免疫再構築/回復

口腔内の病変は、主に前処置レジメン(放射線療法を併用または併用しない化学療法)関連の長期毒性のほか、同種移植患者ではGVHDに関連している。遅発性ウイルス感染症および口腔乾燥がよくみられる。患者が依然として好中球減少状態であるか、重度の慢性GVHDがある場合を除いて、粘膜の細菌感染の発現頻度は低い。

移植失敗、がん再燃および二次性悪性腫瘍のリスクがある。造血幹細胞移植患者は、この時期に慢性GVHDの口腔徴候を発症することがある。

第V期:長期生存期

単独大量化学療法または化学放射線療法によるがんの治療を受けた長期生存者には、通常、重大な永続的口腔合併症はほとんどみられない。

放射線療法による慢性合併症のリスクは、総線量および治療スケジュールに関係している。全身放射線照射を組み込んだレジメンは、晩期口腔合併症として最も多く報告される唾液腺機能低下/口腔乾燥を引き起こすことがある。 [8] 永続的な唾液腺機能低下は、自家移植を受けていない患者に加えて、自家移植患者にも発生することがある。この他の重大な合併症には、小児患者での頭蓋顔面成長障害および頭頸部の二次性悪性腫瘍が挙げられる。


参考文献
  1. Sonis ST, Woods PD, White BA: Oral complications of cancer therapies. Pretreatment oral assessment. NCI Monogr (9): 29-32, 1990.[PUBMED Abstract]

  2. Epstein JB: Infection prevention in bone marrow transplantation and radiation patients. NCI Monogr (9): 73-85, 1990.[PUBMED Abstract]

  3. Hong CH, Napeñas JJ, Hodgson BD, et al.: A systematic review of dental disease in patients undergoing cancer therapy. Support Care Cancer 18 (8): 1007-21, 2010.[PUBMED Abstract]

  4. Lalla RV, Brennan MT, Schubert MM: Oral complications of cancer therapy. In: Yagiela JA, Dowd FJ, Johnson BS, et al., eds.: Pharmacology and Therapeutics for Dentistry. 6th ed. St. Louis, Mo: Mosby Elsevier, 2011, pp 782-98.[PUBMED Abstract]

  5. Schubert MM, Peterson DE: Oral complications of hematopoietic cell transplantation. In: Appelbaum FR, Forman SJ, Negrin RS, et al., eds.: Thomas' Hematopoietic Cell Transplantation: Stem Cell Transplantation. 4th ed. Oxford, UK: Wiley-Blackwell, 2009, pp 1589-1607.[PUBMED Abstract]

  6. Williford SK, Salisbury PL 3rd, Peacock JE Jr, et al.: The safety of dental extractions in patients with hematologic malignancies. J Clin Oncol 7 (6): 798-802, 1989.[PUBMED Abstract]

  7. Overholser CD, Peterson DE, Bergman SA, et al.: Dental extractions in patients with acute nonlymphocytic leukemia. J Oral Maxillofac Surg 40 (5): 296-8, 1982.[PUBMED Abstract]

  8. Jensen SB, Pedersen AM, Vissink A, et al.: A systematic review of salivary gland hypofunction and xerostomia induced by cancer therapies: prevalence, severity and impact on quality of life. Support Care Cancer 18 (8): 1039-60, 2010.[PUBMED Abstract]

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がん治療後の口腔および歯科の管理

口腔衛生のルーチンは、がん治療による口腔合併症の発生率および重症度を低下させるのに重要である。患者には、がん化学療法および放射線療法で考えられる副作用に加えて、口腔衛生プログラムの理論的根拠に関しても情報を提供しなければならない。効果的な口腔衛生は、がん治療前に口腔衛生を開始することに重点を置いて、がん治療のあらゆる段階に重要である。 [1]

大量化学療法または上部マントル照射のいずれかを受けた患者を管理するに当たり、いくつかの共通原理がある。これらの原理は、ベースラインの口腔ケア(ルーチンの口腔衛生ケアに対する提案の一覧一覧を参照のこと)、および口腔粘膜に対する物理的外傷の減少(大量がん療法を受ける患者の義歯および歯科矯正装置の管理ガイドラインの一覧一覧を参照のこと)に基づくものである。

ルーチンの口腔衛生ケア
  • 歯磨き。[注: 患者が外傷を生じさせずに使用できる場合は、電動歯ブラシまたは超音波歯ブラシを用いてもよい。]

  • ナイロン性の柔毛ブラシ(2~3列)。
      Bass溝清拭法で1日に2~3回。
      頻繁に含嗽する。
      発泡歯ブラシ:
      • 使用は、通常の歯ブラシの使用が適さない場合に限定すること

      • ルーチンの歯磨きおよび歯間清掃ができない場合には、抗微生物含嗽薬を使用する。

      • 1日に2~3回歯磨きをする。

      • 頻繁に含嗽する。



  • 歯磨き剤:
      忍容性に応じて患者選択。
      • (注:口腔粘膜炎または口腔移植片対宿主病[GVHD]がある場合は、ミント味ではない歯磨き剤の方が、一般に忍容性がミント味の歯磨き剤より良好である。)


      フッ化物を推奨。
      歯磨き剤で刺激がみられれば、0.9%生食水または水を用いる。

  • フロス:
      1日1回。
      必要に応じて、修正した無外傷的方法を実施する。

  • 無刺激含嗽薬:
      種々のもの:
      • 0.9%生食水。

      • 炭酸水素ナトリウム溶液。

      • 0.9%生食水と炭酸水素ナトリウム溶液。


      8~12オンス(240~360mL)の含嗽薬の使用し、全量を使い切るまで一口含んで吐き出すことを繰り返す;2~4時間ごとまたは不快感が改善するまで必要に応じて反復する。

  • フッ化物:
      1.1%中性フッ化ナトリウムゲル。
      0.4%フッ化スズゲル。
      ゲルを塗布して2~3分間ブラッシング。
      吐き出して穏やかに含嗽する。
      1日1回塗布する。

  • 局所抗微生物含嗽薬:
      急性歯肉病変の管理には、0.12~0.2%のクロルヘキシジン含嗽薬。
      ポビドンヨード含嗽薬。
      含嗽、1~2分間口に含み、吐き出す。
      歯周疾患の重症度に応じて、1日2~4回反復する。

大量がん療法を受ける患者の義歯および歯科矯正装置の管理ガイドライン

[1]


  • 移植後、最初の3週間は義歯の使用を最低限に抑える。
      飲食時のみに義歯を装着する。
      これ以外には装着しない。

  • 柔らかいブラシで1日2回洗浄し、よく漱ぐ。

  • 非装着時には抗菌薬溶液に浸す。

  • 矯正装置を口から外し、ルーチンの口腔粘膜ケアを1日3~4回実施する。

  • 就寝時および口腔痛が著しい場合には、矯正装置を外す。

  • 口腔ケアに必要な投薬(例えば、抗真菌薬)を保持するために、義歯を使用してもよい。

  • 口腔粘膜炎が治癒するまで、可撤性矯正装置を装着しない。

  • 前処置の前に歯科矯正装置(例えば、ブラケット、ワイヤー、保持器)を除去する。

発表された数少ない証拠から判断すると、ベースラインの口腔ケアを実施する特異的な非薬物的アプローチに関して、各施設間にかなりのバラツキがある。非薬物的口腔ケアのほとんどのプロトコルは、0.9%生食水で局所を頻繁に(4~6時間ごと)含嗽する方法を使用している。この他の介入には、歯磨き剤を用いる歯磨き、デンタルフロス、氷片および炭酸水素ナトリウムによる含嗽がある。医療担当者が包括的に監視することにより、患者のこれら薬剤のコンプライアンスを最大化できる。

可撤性の歯科補綴物または歯科矯正装置を用いている患者には、粘膜損傷または感染症のリスクがある。このリスクは大量がん療法前に排除または相当な減少が可能である。(大量がん療法を受ける患者の義歯および歯科矯正装置の管理ガイドラインの一覧一覧を参照のこと。)

歯磨きおよび歯間清掃は、細菌プラークをコントロールするのに、単純で費用効果が高いアプローチである。この方法は、骨髄除去中の口腔軟部組織感染症のリスクを低減させるようデザインされている。ある施設でこの方法を推進する腫瘍チームもあれば、別の施設の腫瘍チームは末梢血成分が規定閾値を下回る場合(例えば、血小板数が30,000/mm3未満)には歯磨きおよび歯間清掃を中止させる。至適アプローチに関して包括的な証拠を伴う根拠は存在しない。歯肉感染リスクを抑える上で歯磨きおよび歯間清掃を適切に実施する有益性がリスクが上回るという戦略を多くの施設が採用している。

歯周感染症(歯肉炎および歯周炎)は、口腔出血のリスクを高める;健康な組織は出血しないはずである。歯磨きおよび歯間清掃を中止することにより、歯肉出血、口腔感染症および菌血症のリスクが増大する。このため、治療前に歯肉感染を一掃し、治療中には毎日柔らかい、またはきわめて柔らかい歯ブラシを用いた優しいデブリドマンで細菌プラークを除去することで口腔の健康を増進することにより、歯肉出血および感染症のリスクが低減する。機械的なプラークコントロールにより、歯肉の健康が増進されるほか、損傷した粘膜表面の細菌定着による口腔粘膜炎の悪化のリスクが低減される。

歯磨きおよび歯間清掃は、専門スタッフの監督下で、毎日実施すべきである。


  • 特に歯牙の歯肉部分と歯周溝に細菌プラークが付着しないよう維持する方法で、ナイロン性の柔毛歯ブラシを1日に2~3回使用すべきである。

  • 歯磨きの間、15~30秒ごとに熱湯で歯ブラシを漱ぐことによって、ブラシが軟化し外傷のリスクが低減する。

  • また、ブラッシングをしながら、3~4回、水または生食水で口内含嗽することによって、歯磨きによるプラーク除去の効果を高めることにもなる。

  • アルコールを含有する含嗽薬は避けるべきである。

  • 歯磨き剤に含まれる香料は口腔軟部組織を刺激することがあるため、比較的風味の少ない歯磨き剤を検討すべきである。

  • 歯ブラシは空気乾燥する。

  • 殺菌薬は勧められているが、歯ブラシに対する、それらのルーチン使用は価値が証明されていない。

  • また、超音波歯ブラシの使用に習熟していれば、これを代替に使用してもよい。

歯肉組織を傷つけずに歯間清掃ができる患者では、化学療法薬投与期間を通して歯間清掃を継続してもよい。デンタルフロスを実施することによって、細菌プラークを歯間空隙から除去することができるため、歯肉の健康を増進することになる。その安全な投与を保証するためには、歯磨きと同じように、この介入も専門スタッフの監視下で実施すべきである。

口腔は、食後、清潔にすべきである:


  • 口腔乾燥が認められるのであれば、唾液腺機能低下によりプラークおよび食物残滓が堆積するため、口腔衛生をより頻繁に実施する必要がある。

  • 義歯は、毎日、義歯洗浄剤で洗浄する必要があり、食後には磨いて洗浄すべきである。

  • 口腔組織を徹底的に清掃するには、口腔含嗽では不十分であり、機械的プラーク除去が必要なことが多い。

  • 利用可能なさまざまな機械的衛生補助具を用いるには注意が必要である;デンタルフロス、歯間ブラシおよび楊枝は、化学療法によって脆弱化している口腔組織を傷つける怖れがある。

  • 口腔ブラシは歯列を清潔にする能力が限られている;しかしながら、上顎/下顎の無歯領域の歯槽堤、口蓋および舌を清潔にするには有用である。

組織損傷のリスクを低下させるために、口唇乾燥の予防が重要である。口呼吸および/または吐き気管理に用いられる抗コリン薬による口腔乾燥によって、口唇乾燥が進行する。同種移植患者では、唇のGVHDも口唇乾燥の一因となることがある。油性オイルおよびワックスを含有する口唇ケア製品が有用である。ラノリン性クリームおよび軟膏の方が唇の保湿/潤滑性を改善することで外傷の予防に有効な場合がある。


参考文献
  1. Schubert MM, Peterson DE: Oral complications of hematopoietic cell transplantation. In: Appelbaum FR, Forman SJ, Negrin RS, et al., eds.: Thomas' Hematopoietic Cell Transplantation: Stem Cell Transplantation. 4th ed. Oxford, UK: Wiley-Blackwell, 2009, pp 1589-1607.[PUBMED Abstract]

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口腔粘膜炎

口腔粘膜炎および口内炎という用語は、しばしば臨床レベルでは互換的に用いられるが、同一のプロセスを反映するわけではない。

口腔粘膜炎:
  • 化学療法薬または電離放射線に起因する口腔粘膜の炎症を指す。 [1] [2] [3]

  • 通常、紅斑または潰瘍がみられる。

  • 局所因子によって悪化する場合がある。

口内炎:
  • 粘膜、歯列/歯根尖周囲、および歯周組織などの口腔組織にみられるすべての炎症状態を指す。

  • 粘膜炎の他に口腔組織の感染を含む。

口腔粘膜炎のリスクは、歴史的に治療ごとおよび患者ごとに異なるという特徴を示している。 [4] 口腔粘膜炎の現在のモデルには、分子ごと、細胞ごと、さらには組織ごとに変化する複雑な経過を含んでいる。この傷害の遺伝的ガバナンスの証拠が増えつつあり [5] [6] [7] [8] 、その一部の特徴として、上皮基底細胞の傷害に加えて、核因子κβ、炎症性サイトカイン(例えば、腫瘍壊死因子-α)、インターロイキン-1のアップレギュレーションがある。この病変の分子に基づく因果関係に関する包括的な知見は、標的薬の臨床用途開発に貢献している。 [9] 開発段階にある新薬のパイプライン(例えば、組み換えヒト腸トレフォイル因子)は [10] 、将来臨床医が患者に合わせて口腔粘膜炎の予防および治療を行えるという点で、戦略的に新しい進展をもたらす可能性がある。 [11]

紅斑性粘膜炎は、一般に大量がん療法の開始から7~10日後に発現する。消化管粘膜毒性が示される臨床諸試験で、医師は薬剤の増量および治療期間の延長により毒性が増大することに注意を払うべきである。白血病の治療および造血幹細胞移植レジメンに用いるような大量化学療法は、重度の粘膜炎を引き起こすことがある。粘膜炎は感染症を伴わない場合には自然治癒の経過をたどり、通常は細胞毒性を有する化学療法を中止してから2~4週間以内に治癒する。

治療後の口腔の系統的評価により、病変の早期同定が可能となる。 [12] [13] [14] [15] [16] 口腔衛生をはじめとする支持療法を実施することは、初期病変の重症度を最小化するのに重要である。

粘膜保全性の測定法を標準化するために、口内炎のレベルを等級化すべく口腔評価スケールが開発されており、これは口唇、舌、粘膜、歯肉、歯牙、咽頭、唾液の質および声の変化を特徴付けることによる。 [12] [13] [14] 粘膜炎の観察範囲および機能範囲を評価するのに、特殊評価器具が開発されている。これらの評価器具は、複雑性において異なる。

化学放射線療法と造血幹細胞移植患者

粘膜炎の管理

臨床状況が適切な患者に対して、医師は予防的な処置および治療選択肢を適用すべきである。口腔粘膜炎を最低限に抑えるための具体的な推奨事項には以下のものがある:


  • 良好な口腔衛生。

  • スパイスの効いたもの、酸っぱいもの、硬いもの、熱いものなどの飲食を避ける。

  • マイルドな風味の歯磨き剤を用いる。

  • 生食水・過酸化水素の含嗽薬を1日に3~4回用いる。

2007年に粘膜炎の予防と治療に関する米国臨床腫瘍学会(ASCO)の最新ガイドライン [17] が公表されたが、そこには以下のものが含まれている:


  • 造血幹細胞移植に伴う口腔粘膜炎に対するパリフェルミン。

  • 放射線直腸炎に対するアミフォスチン。

  • 高用量メルファラン誘発性粘膜炎に対する凍結療法。

臨床専門医に対する具体的な推奨事項には以下のものがある:


  • 消化管粘膜炎の予防に全身性グルタミンを用いない。

  • 放射線誘発性粘膜炎にスクラルファートまたは抗生物質のトローチ剤を用いない。

  • 顆粒球マクロファージコロニー刺激因子の含嗽薬を用いない。

造血幹細胞移植患者にみられる口腔粘膜炎は、臨床的に重大な毒性を生じ、多くの専門的介入が求められる。 [18] [19] [20] [21] [22] [23] [24] [25] この病変により、全身感染のリスクが増大するとともに [1] 、臨床的に重大な疼痛が生じ [26] [証拠レベル:II]、さらに口腔出血が促進される可能性がある。このほか、上気道が損なわれるため、気管内挿管が必要である。また、経腸栄養を受けられないため、しばしば完全非経口栄養法が必要となる。

粘膜炎を発症した場合には、この疾患の重症度および患者の血液学的状態に応じて、適切な口腔管理を実施する。綿密な口腔衛生と症状の緩和が不可欠である。確立している口腔ケアのガイドラインには、入院患者に対する1日2回の口腔評価、および粘膜炎の重症度の増悪に応じて回数を増やす頻繁な口腔ケア(少なくとも4時間ごとおよび就寝時)がある。

一般に、口腔ケアのプロトコルには、口腔粘膜の非外傷的洗浄、口唇および口腔組織の持続潤滑および疼痛ならびに炎症の緩和が挙げられる。いくつかの健康専門家団体が、証拠に基づいた口腔粘膜炎のガイドラインを発表している。これらの団体には、限定されるわけではないが、次のものが挙げられる:


  • Multinational Association of Supportive Care in Cancer/International Society of Oral Oncology [17]

  • National Comprehensive Cancer Network [27]

  • European Society of Medical Oncology [11]

  • European Oncology Nursing Society

  • Cochrane Collaboration [28] [29]

多くの場合、すべての団体の推奨には類似性がある。しかしながら、Cochrane Collaborationはメタアナリシスのアプローチを採用しているため、ガイドラインを構築するために独特な構成を提供している。

ケラチノサイト成長因子-1としても知られているパリフェルミン(Kepivance)は、放射線療法を併用するまたは併用しない大量化学療法による前処置後に造血幹細胞救援を受ける血液がん患者を対象に重度の口腔粘膜炎の発生および期間を低下させるために承認されている。 [9] [証拠レベル:I]この標準的な投与レジメンは、前処置前の3日間の連日投与に加え、さらに0日目(移植日)に開始する3日間の連日投与である。パリフェルミンは、ランダム化プラセボ対照試験において、フルオロウラシルをベースとした化学療法で治療された転移性大腸がん患者における口腔粘膜炎の発生を抑えることも示されている。 [30] [証拠レベル:I]さらに、パリフェルミンの単回投与により、ドキソルビシンをベースとした化学療法を受けていた肉腫患者の重度の口腔粘膜炎が予防された。 [31] [証拠レベル:I]

頭頸部がんで術後化学放射線療法を受けている患者および局所進行頭頸部がんに最も確実な化学放射線療法を受けている患者を対象に実施された2件のランダム化プラセボ対照試験では、パリフェルミンを週1回、8週間にわたり静脈内投与することで、重度の口腔粘膜炎が軽減し [32] [33] [証拠レベル:I]、その粘膜炎のグレードは、標準の毒性評価法を用いて、多サイクルの化学療法期間中に投与者により判定された。 [31] しかし、口腔および咽喉の痛みと治療の中断または遵守に関する患者報告アウトカムについては、どちらの試験においても有意な群間差は認められなかった。ある研究では、オピオイド系鎮痛薬の使用量も検討されたが、そこでも有意な群間差は認められなかった。 [33]

数件の研究による証拠で、小児において化学療法に起因する口腔粘膜炎の期間を減少させる可能性がある口腔ケアを加えた低レベルのレーザー療法の有効性が裏付けられている。 [34] [証拠レベル:I] [35] [証拠レベル:I]

粘膜炎の管理
  • 無刺激含嗽薬:
      0.9%生食水溶液。
      炭酸水素ナトリウム溶液。
      0.9%生食水/炭酸水素ナトリウム溶液。

  • 局所麻酔薬:
      リドカイン:粘体、軟膏、スプレー。
      ベンゾカイン:スプレー、ゲル。
      0.5%塩酸ジクロニンまたは1.0%塩酸ジクロニン。
      ジフェンヒドラミン溶液。

  • 粘膜塗布剤:
      アンフォジェル。
      カオペクテート。
      ヒドロキシプロピルメチルセルロースフィルム状剤(例えば、ジラクチン)。
      Gelclair(デバイスとして米国食品医薬品局[FDA]により承認されている)。

  • 鎮痛薬:
      塩酸ベンジダミン局所含嗽薬(米国では未承認)。
      オピオイド薬:経口、静注(例えば、丸薬、持続注入、患者管理無痛法[PCA])、パッチ、経粘膜。

  • 成長因子(ケラチノサイト成長因子-1):
      パリフェルミン(血液のがんの治療として、放射線療法を併用するまたは併用しない高用量化学療法に続いて、骨髄移植を受けた患者における重度の口腔粘膜炎の発生および期間を低下させるものとして、2004年12月にFDAにより承認された)。

局所アプローチによる口腔粘膜炎の管理には、治療効力、患者の受け入れおよび適切な用量が求められる。次のように、あるレベルから次のレベルへの進行に応じた段階的アプローチが通常用いられる:


  • 刺激の少ない含嗽薬(例えば、0.9%生食水および/または炭酸水素ナトリウム溶液)。

  • 粘膜塗布剤(例えば、制酸溶液、カオリン溶液)。

  • 口腔乾燥に対する人工唾液などの水溶性潤滑剤。

  • 局所麻酔薬(例えば、粘性リドカイン、ベンゾカインスプレー/ゲル、ジクロニン含嗽薬、ジフェンヒドラミン溶液)。

  • 局所潰瘍病変を被覆するセルロースフィルム剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース)。

生食水溶液は、水32オンス(約950mL)に食卓塩約小さじ1杯を添加したものである。患者の好みに応じて、室温または冷温で用いる。約大さじ1杯分で含嗽してから吐き出し、口腔の快適性が維持されるよう、しばしばこれを繰り返す。粘性唾液があれば、炭酸水素ナトリウム(大さじ1~2杯/クオート[約0.95L])を添加できる。生食水溶液によって、口腔の潤滑が直接高まるほか、唾液腺を刺激して唾液分泌が増大する。

口腔衛生を維持するために、定期的に取替えながら柔らかい歯ブラシを用いるべきである。 [17] 発泡スワブの歯ブラシは歯牙の清掃には有効ではなく、ナイロン性の柔毛歯ブラシのルーチンの代替として考えるべきではない;さらに、粗いスポンジ面は、磨いている歯牙表面の反対側の粘膜表面を刺激し傷つけることがある。

口腔以外の粘膜創傷治癒に関する研究に基づいて、日々の予防的口腔衛生のための過酸化水素含嗽薬の反復使用は、線維芽細胞およびケラチノサイト胞に損傷を与えて、創傷治癒が遅れる原因となる怖れがあるため、特に粘膜炎が認められる場合は推奨されない。 [36] [37] [38] [39] 出血片の除去には、水または生食水で1:1に希釈した3%過酸化水素の使用が有用な場合がある;このアプローチは、長期の使用により、出血と関連する粘膜病変の適時な治癒を損なう怖れがあるため、1日または2日にとどめるべきである。 [40]

麻酔薬の病巣への局所塗付は、さらに広範囲な疼痛緩和が必要な患者でなければ、口腔全体の局所塗付よりも好ましい。以下のような製品で緩和が得られる場合がある:


  • 2%粘性リドカイン

  • ジフェンヒドラミン溶液

  • 次のような塗布剤を局所麻酔薬と組み合わせ即席で調合した多くの配合剤のいずれか:
      マグネシウム乳。
      カオリンとペクチンとの懸濁液。
      アルミニウム混合物。
      水酸化マグネシウム懸濁液(多数の製酸剤)。

調合する局所麻酔含嗽薬の使用は、これらに薬品の調合費用対その実際の有効性に関して、十分注意して検討すべきである。

残渣を除去することにより、唾液が口腔組織を効果的に被覆し、物質の堆積を防止することから、局所治療前に洗浄を実施すべきである。頻繁に含嗽すれば、組織の清潔および潤滑が保たれ、痂皮を予防でき、歯肉および粘膜の疼痛を緩和できる。

全身鎮痛薬は、局所麻酔では臨床的軽快が不十分な場合に投与すべきである。オピオイドが一般に使用される [26] [証拠レベル:II];長期留置静脈カテーテルと自動投与ポンプとを併用してPCAを実施することにより、麻薬性鎮痛薬の用量および副作用を軽減しながら、重度の粘膜炎の疼痛をコントロールする効果が著しく増加する。特に血小板減少が認められる場合には、血小板接着に影響を及ぼし、胃粘膜障害をもたらす非ステロイド性抗炎症薬は禁忌である。

粘膜炎は依然フルオロウラシル(5-FU)の用量制限毒性の1つであるが、凍結療法は口腔粘膜炎予防の選択肢の1つである。5-FUの半減期は短いため(5~20分)、5-FUの投与5分前から、30分間氷片を口中で転がすよう患者に指示する。 [41] [証拠レベル:I]口腔凍結療法は、移植で使用される大量メルファラン含有レジメンを受ける患者を対象に研究されている [42] [43] ;さらなる研究が必要である。

粘膜炎の管理または予防のため、多くの薬物およびプロトコルが奨励されている。 [44] [45] [46] 比較臨床試験によって十分に支持されていないが、アロプリノール含嗽液およびビタミンEが粘膜炎の重症度を低下させる薬として取り上げられている。プロスタグランジンE2は、骨髄移植後の口腔粘膜炎を予防する手段としては有効ではなかったが、ただ、異なる投薬プロトコルでプロスタグランジンE2を投与した場合は、効果がある可能性を示す研究がいくつかある。

最新の臨床試験

現在、参加者を受け入れている粘膜炎についての支持療法と緩和ケアの試験は、NCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
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がん患者における口腔顔面痛

がん患者の疼痛は、生存期間を通して病気の発生から生じることがあり、次の場合がある: [1]


  • 悪性疾患により生じる場合。

  • がん治療により急性または慢性の合併症から生じる場合。

  • 偶発的でがんとは無関係な場合。

がんの疼痛は、罹病率増加、パフォーマンスステータス低下、不安およびうつ病の増加、生活の質(QOL)の低下を引き起こす。急性および慢性の疼痛の評価範囲には以下を含む:


  • 知覚の評価

  • 生理学的な評価

  • 感情の評価

  • 認知の評価

  • 行動の評価

  • 社会文化的な評価

頭頸部疼痛および口腔疼痛の管理は、食事、会話、嚥下、およびその他の頭頸部および中咽頭の運動機能が常に痛みの発端となるため、特に困難となることがある。

がんによる口腔顔面痛

がんにおける急性および慢性の疼痛は、以下のようないくつかの因子からもたらされる:


  • 悪性疾患による疼痛:
      限局性/局所性がん。
      全身性/造血器がんにおける口腔浸潤。
      転移疾患。

  • 治療による疼痛:
      手術。
      放射線。
      化学療法。

  • 悪性腫瘍とは無関係な疼痛。

診断時の疼痛は強くないことが多いが、一般に疾患進行に伴って発現頻度および重症度が増すようになる。がんの疼痛は、腫瘍の限局性で遠隔的な作用によって引き起こされる場合がある。がんによる直接浸潤が疼痛を引き越すことがあり、炎症性および神経障害性の機序により生じる場合がある。がんにおける疼痛の有効な防止および管理には、関与している因子および機序を理解する必要がある。

全がん患者の45~80%で疼痛管理が不適切であると推定されている。末期がんまたは進行がん患者の75~90%に疼痛がみられることがある。疼痛は頭頸部がん(HNC)診断時の患者の最大85%が持続性となることがある。

がん管理に関連する口腔顔面疼痛は、広く認知された治療の有害事象である。口腔粘膜炎による疼痛は、がん治療中に最も高頻度に報告される患者関連の愁訴である。重度で痛みの強い粘膜炎は、追加入院および入院期間延長に関連し、がん治療プロトコルの遅延、中断、または変更につながることで、予後、QOL、および医療費に影響する可能性がある。移植片対宿主病(GVHD)は同種造血細胞移植(HCT)にみられる一般的な合併症であり、患者の25~70%に発生する;口腔病変は痛みを伴うことが多い。

HNCに加えて、白血病およびリンパ腫の口腔発現は、疼痛および機能喪失を引き起こす。リンパ腫および白血病は、痛覚感受性組織への浸潤により、また口腔感染が続発した場合に痛みをもたらすことがある。多発性骨髄腫では高頻度で疼痛がみられ、歯に関連する場合は診断が困難である。頭蓋内悪性腫瘍は、口腔顔面の疼痛および頭痛を引き起こす場合がある。がんと診断された患者でも、頭痛の発生または変化による頭蓋内転移の予測は困難である。

疼痛は古典的な三叉神経痛と同様に持続性となる場合がある。顎の疼痛は、転移がんにより生じる場合があり、乳房、前立腺、甲状腺、肺および腎から生じた腫瘍は、頭頸部の骨に拡がりやすく、下顎後方部に最も多く見られる。口腔領域への転移は、患者の最大60%において遠隔の未発見の悪性腫瘍の最初の徴候となる場合がある。上咽頭がんの患者は、顎関節領域を指して、顎関節症と類似した痛みを訴える。口腔顔面の疼痛は、遠隔非転移性がんの患者で報告されており、最も肺がんが多い。

疼痛の機序は、迷走神経または横隔神経への浸潤であると考えられている。腫瘍随伴プロセスでは、特に肺がんおよびリンパ腫の患者において末梢神経障害を呈することがある。神経障害は、腫瘍、腫瘍随伴症候群および治療関連毒性による直接作用のため、悪性腫瘍患者によく報告される(1.7~5.5%)。

がん管理による口腔顔面疼痛

放射線療法および/またはがん化学療法で最もよくみられる急性の口腔副作用は、口腔粘膜炎である。口腔粘膜炎およびそれに関連する疼痛は、頭頸部放射線療法および積極的な神経障害誘発性化学療法レジメンを受けている患者が報告する最も苦痛な症状である。化学療法と放射線療法の併用は、粘膜炎の発現頻度、重症度および持続期間の増加をもたらす。(詳しい情報については、本要約の口腔粘膜炎口腔粘膜炎のセクションを参照のこと。)

粘膜炎の痛みは、約3分の1の患者で日常活動を妨げ、半数を超える患者で社会活動および気分を阻害することがある。粘膜炎の痛みは、粘膜炎消失後も長く持続する場合がある。1年の追跡時に粘膜の過敏性が報告されることはよくあり、慢性症状が、上皮萎縮および/または神経障害を含む組織変化に関係している可能性を示唆している。

HNC治療後の口腔顔面の痛みは、粘膜線維症、瘢痕形成、および顎不連続に関連する顎関節疾患を含む筋骨格症候群により引き起こされる場合がある。切除手術は、口腔顔面機能の重大な喪失を引き起こすことがある組織欠損につながる可能性がある。上顎骨および下顎骨の切除は、感覚障害を招き、半数を超える患者に限局性の痛覚過敏または異痛症が認められる。HNCに対する手術後の疼痛スコアは、口腔がんで最も高く、次に喉頭がんおよび中咽頭がんが高い。

術後6ヵ月を過ぎてから、中等度~重度の疼痛による障害が約3分の1の患者にみられることがある。これらの患者では、疼痛管理に鎮痛薬および理学療法がよく使用される。HNCの長期(3年を超える)生存者では、さらに痛みおよび機能障害の苦しみが続くことになる。手術関連疼痛には、炎症性および神経障害性の疼痛機序が関与している。

放射線照射後骨壊死およびビスホスホネート関連骨壊死は、痛みを引き起こす可能性がある口腔合併症として認知されている;臨床所見に疼痛、腫脹および骨露出が含まれることもある。口腔GVHDでは、全身疾患に対するHCT後の局所症状が代表的で、粘膜および関節の痛みを引き起こすことがある。ヘルペスウイルスの再活性化が痛みを引き起こすことがある。帯状疱疹後神経痛は、患部に痛みを伴う異常感覚を生じる慢性疼痛を引き起こす可能性があり、数年間持続する場合もある。

がん患者における疼痛の治療

疼痛管理は、病因、疼痛に関与する機序、および疼痛の重症度の診断に向けて実施すべきである。(詳しい情報については、がん性疼痛に関するPDQ要約を参照のこと。)がんにおける疼痛の機序には、以下が含まれる:


  • 炎症。
      悪性疾患。
      治療合併症。
      感染。

  • 腫瘍浸潤、組織圧迫、または粘膜表面潰瘍。

  • 侵害受容性疼痛。

  • 神経障害性疼痛。

口腔粘膜炎による疼痛の管理

口腔粘膜炎の痛みは、傷害部位で侵害受容器を活性化する炎症性サイトカインおよび神経伝達物質の放出に関連しており、続発性粘膜感染により強まることがある。痛みの悩みは、不安、うつ病、社会文化的変化、および睡眠の質と量に影響を及ぼす。

粘膜疼痛緩和のための局所療法

局所麻酔薬は、粘膜炎の痛みでは効果持続時間が限られており(15~30分)、粘膜患部への塗付で刺すような痛みを生じ、味覚および咽頭反射に影響する場合がある。特定の潰瘍部位に局所麻酔薬を直接塗る患者もいるが、対照比較研究は報告されていない。

局所麻酔薬は、マグネシア乳剤、ジフェンヒドラミンまたはナイスタチンのような塗布剤および抗菌剤と混ぜ合わせることが多いが、対照比較研究では検討されていない。しかしながら、これらの配合により各成分が希釈される結果となり、治療効果を制限する可能性がある。さらに、配合中のさまざまな薬剤が相互反応し、各成分の効果が低下することがある。

外用ベンジダミン(米国では未承認)、抗炎症薬、および鎮痛薬/麻酔薬は、ランダム化比較試験で口腔粘膜炎の痛みを低減し、全身鎮痛薬の必要性を減らせることが示されている。 [2] 他の局所療法には以下が含まれる:


  • 三環系抗うつ薬である局所ドキセピンの単回塗付により、がん患者で4時間以上の鎮痛作用が得られる。 [1] 局所ドキセピンの粘膜患部への塗付は、長期間の疼痛緩和が得られることに加えて、灼熱感を伴わない。

  • 局所モルヒネは、疼痛緩和に有効なことが示されているが [1] 、この薬の大量投与に対する懸念がある。

  • ランダム化プラセボ対照研究で投与するトローチ剤として用意された局所フェンタニルは、口腔粘膜炎の疼痛緩和で効果を示した。

  • 局所カプサイシンは、口腔粘膜炎の疼痛コントロールを対象に研究されているが [3] 、患者の忍容性はよくない。治療前にカプサイシンを開始することは、粘膜炎発現前に患者を鈍感にするアプローチの代表的なものかもしれない。

局所塗布剤は、粘膜炎の痛みを低減させる場合がある。スクラルファートのような塗布剤は、粘膜の疼痛管理に役に立つ可能性があるが、組織傷害を減らすわけではない。

全身薬物療法

診断および疼痛機序に向けた疼痛管理戦略には、以下を含む:


  • 局所麻酔薬/鎮痛薬。
      全身療法前の局所療法;局所療法が有効であれば、全身鎮痛薬を追加中も継続する。

  • 全身鎮痛薬。

  • 補助薬(筋弛緩薬、抗炎症薬、抗不安薬、抗うつ薬、抗痙攣薬)。

  • 補助療法(理学療法、リラクゼーション、認知行動療法、カウンセリング)。

  • 症状緩和目的の放射線療法。

腫瘍学における追加的および非薬理学的な疼痛管理法には、以下を含む:


  • 経皮的電気神経刺激。

  • 冷却/湿熱。

  • 催眠。

  • 鍼療法。

  • 心理学的アプローチ:
      気晴らし。
      リラクゼーション/イメージ法。
      認知/行動療法。
      音楽療法、演劇療法。
      カウンセリング。

がん性疼痛におけるオピオイド使用提案には、以下を含む:


  • 最低有効用量の使用。

  • 薬剤の特性に基づいた頓服での処方。

  • 突出痛に対する鎮痛薬の処方。

  • 非オピオイド鎮痛薬の併用。

  • 便秘に対する予防/治療の実施。

  • 定期的な疼痛評価を実施し、疼痛のコントロール状態に応じて管理方法を変更。

  • 世界保健機関(WHO)の鎮痛ラダーにおける段階に準拠。

WHOの鎮痛ラダーは、がん患者における疼痛を管理するための3段階の戦略である。 [4] 疼痛管理は、疼痛の重症度を対象に実施しなければならない;疼痛コントロールをさらに良好とするために、最小用量の強オピオイド(WHOラダーの第3段階)を弱オピオイドの代わりに選択してもよい。 [5] [6]

鎮痛薬は、鎮痛作用の安定状態を得るよう頓服を基本として投与すべきである;必要時には、突出痛を管理するための投薬が利用できなければならない。特にがん性疼痛に関与している共通的な神経障害性機序に関する理解が進んでいることを踏まえて、三環系抗うつ薬、ガバペンチンおよびその他の中枢作用性鎮痛剤などの補助薬を検討すべきである(疼痛の機序疼痛の機序の一覧を参照のこと)。 [6] [7] [8] 定期的な疼痛評価および鎮痛剤の調整が必要である。

経皮的フェンタニルは、疼痛管理における期間延長治療に外来で広く使用されている。粘膜炎ではシクロオキシゲナーゼ-2(COX-2)の発現が増加しており、COX-2阻害薬は、粘膜炎の痛みおよび進展に効果がある可能性を有する薬の代表的なものである。

鎮痛薬に加えて補助薬を使用すべきである。神経障害性のがん性疼痛があり、モルヒネに加えてアミトリプチリンが投与された患者について、ランダム化比較試験で研究された。 [9] [証拠レベル:I]付加的な鎮痛作用は限定的で、嗜眠、錯乱および口渇が減少したことが観察された;しかしながら、アミトリプチリンの中枢作用により睡眠が改善される場合がある。

ガバペンチンは、電位感受性ナトリウムおよびカルシウムチャンネル遮断薬で、さまざまな疼痛症状の管理に使用され、がん患者ではモルヒネに追加することで疼痛コントロールが改善される可能性がある。N-メチル-d-アスパラギン酸受容体に作用する薬剤は、神経障害性疼痛に有効な可能性がある;ガバペンチンは、この中の1つで、忍容性良好である。疼痛管理に使用されることがある他の薬剤には、以下を含む:


  • カンナビノイド。

  • α2-アドレナリン受容体拮抗薬。

  • ニコチン。

  • リドカイン。

  • ケタミン。

がん患者ではオピオイド治療における依存症は、一般に心配ない;必要に応じて(評価に基づいて)強オピオイドまで段階的に増量すること、および適切な疼痛緩和を達成すために補助療法を使用することに、その重点を置くべきである。しかしながら、可能性のある薬を探し求める患者の行動を臨床医は常に認識しておくべきである。

オピオイドにより、耐性のほか、便秘、吐き気、嘔吐、意識混濁などの身体的な副作用が発生するため、可能であれば、予防的に管理すべきである。便軟化剤および他の腸管理法を初期のオピオイド処方と合わせて開始すべきである。その治療法の妥当性は定期的に評価すべきである。

非薬理学的な疼痛管理戦略

ランダム化試験で、催眠はがん治療のための有用な疼痛管理戦略であることが示されている。カウンセリング、気晴らし、リラクゼーション法、他の認知行動訓練プログラムなどの付加的な心理学的治療技術が報告されている(疼痛管理技術への心理学的アプローチ心理学的アプローチの一覧を参照のこと)。

口腔顔面疼痛の理学的管理には、口腔冷却のための氷片の使用、冷罨法および理学療法を含む。鍼治療(詳しい情報については、鍼治療に関するPDQ要約を参照のこと)、経皮的神経刺激、グループ療法、自己催眠、リラクゼーション、イメージ法、認知行動訓練、およびマッサージ療法が、がん患者における疼痛緩和に検討されている。リラクゼーションおよびイメージ法により、口腔粘膜炎に起因する疼痛が緩和される場合がある。 [1] [3] ; [10] [証拠レベル:I] [11]

口腔顔面疼痛の要約

口腔顔面疼痛は、がん患者によくみられ、がんまたはその治療によって引き起こされる場合がある。口腔顔面疼痛は、局所領域のがんと関連する頻度が高いが、全身性および遠隔性のがんの徴候である可能性もある。

疼痛管理には、がん患者における疼痛のさまざまな原因および機序の診断が必要である。一般医は、がん性疼痛がある患者の治療中に、疼痛スコアを定期的に入手しなければならない。疼痛は多因子性であることが多いため、患者の疼痛に関する評価項目のそれぞれに対処することで、疼痛コントロールが改善する可能性がある。患者の全体的な治療状況および口腔状態に注意を払うべきである。

鎮痛療法の副作用、特にオピオイドおよび補助薬によって引き起こされる副作用を認識し、管理することが重要である。最初の粘膜傷害で有効な局所鎮痛剤を使用することで、全身薬物療法の期間を短縮したり、用量を低減したりできる場合がある。管理には補助療法に対する認識が不可欠である;有効性の証拠を伴った薬物療法および包括的管理の両者を検討すべきである。


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感染症

正常な口腔粘膜に関わる多くの防御バリア機能は、急性感染症のリスクに直接影響する。正常な口腔粘膜は、表層を剥落させることによって、粘膜への口腔微生物定着のレベルを低下させる;化学バリアを維持することによって、多くの複合物の上皮への浸透も制限する。 [1] 正常な唾液腺機能は、粘膜の健康を増進する。

免疫低下患者では、口腔粘膜炎は感染が合併する。特異的微生物が、糖脂質などの細菌代謝物による炎症誘発性サイトカインの増加に、何らかの役割を演じているであろう。このほか、潰瘍性口腔粘膜炎および重度の遷延性好中球減少症を来すと、口腔内細菌が全身に播種する。 [2] [3] [4] [5]

固有の口腔細菌叢および院内病原菌のいずれも、菌血症および全身感染症に関係している。絶対好中球数が1,000/mm3を下回ると、感染症の発生率および重症度が高くなる。 [6] 好中球減少症が持続する患者では、重篤な感染が発生するリスクが高くなる。 [7] [8] 唾液機能の障害により、口腔を起源とする感染のリスクが増大することがある。

大量化学療法による骨髄抑制中には、歯列、歯根尖周囲、および歯周組織といった他の口腔部位にも急性感染がみられることがある。 [9] [10] [11] [12] 1990年1月1日~2008年12月31日に公表された文献に関するMEDLINE/PubMedおよびEMBASEデータベースの系統的レビューでは、(3件の研究から)化学療法中における歯科感染/膿瘍の加重有病率は5.8%(標準誤差、0.009;95%信頼区間[CI]、1.8-9.7)であった。 [13] 細胞減少療法開始前の歯科管理により、これらの感染合併症のリスクを大幅に低下させることができる。 [14] [15] [16]

細菌感染症

過去30年間にわたって骨髄抑制がん患者における感染プロファイルに変化が生じている。この疫学の進展は、抗菌薬の予防的レジメンおよび治療的レジメンのほか、成長因子療法による骨髄抑制の重症度および期間の減少などの多数の因子によりもたらされている。 [17] 緑色レンサ球菌および腸球菌(Enterococci種)などのグラム陽性菌が口腔を起源とする全身感染に関連している。さらに、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)、ナイセリア(Neisseria種)、および大腸菌(Escherichia coli)などのグラム陰性菌も依然として心配される。

慢性歯周疾患があり、骨髄が破壊されたがん患者では、全身性続発症に関連した急性歯周感染を発症することがある。 [3] [9] [10] [11] [12] 歯周疾患と関連した歯肉溝上皮の広範な潰瘍は直接観察できないが、多種多様な微生物による播種性感染の代表的な感染源となる場合がある。基礎に骨髄抑制があることで、炎症徴候が顕在化しないことがある。このため、骨髄抑制中は、好中球減少に対する口腔ケアプロトコルで、歯列および歯周組織の微生物定着を低下させることが重要である。局所療法には以下のものが挙げられる:


  • 0.12%ジグルコン酸クロルヘキシジンによる含嗽。

  • 歯周ポケットへの嫌気性細菌定着に影響する可能性がある発泡(過酸化物)剤による洗浄。

  • 歯ブラシおよびデンタルフロスによる慎重な機械的プラーク除去。

化学療法患者では、歯牙に起源がある歯髄/歯根尖周囲の感染が、合併症を引き起こすことがある。 [14] そのような病変は、化学療法開始前に取り除いておくべきである。化学療法前の歯内治療は、化学療法開始の少なくとも10日前には完了させておくべきである。予後不良の歯牙は、指針のように10日の時間枠を利用して抜歯すべきである。特異的管理ガイドラインがNIHコンセンサス会議宣言で概説されている。 [14] [15]

不適合な可撤性補綴物は、口腔粘膜を傷つけ、深部組織に微生物が侵入するリスクを増大させる。義歯を浸すコップには、緑膿菌(P. aeruginosa)、大腸菌(E. coli)、腸内細菌属(Enterobacter種)、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)、クレブシエラ属(Klebsiella種)、およびカンジダアルビカンス(Candida albicans)などのさまざまな病原菌が定着しやすい。義歯は化学療法開始前に評価し、外傷のリスクを抑えるために必要に応じて調整すべきである。義歯洗浄溶液は、毎日交換すべきである。一般に、患者に潰瘍性粘膜炎があり、好中球減少(例えば、絶対好中球数が500 細胞/mm3未満)が認められる場合は、義歯を装着させない。

真菌感染症

カンジダ症

カンジダ症は一般に、大多数の人における正常な口腔寄生菌であるカンジダ-アルビカンス(C. albicans)の日和見的な増殖によって引き起こされる。薬剤または疾患誘発性の骨髄抑制、粘膜損傷および唾液障害などの臨床発現には、いくつかの因子が関わっている。さらに、抗生物質の使用により、口腔細菌叢が変質して、真菌の増殖に好適な環境が形成される可能性がある。 [18]

系統的レビューでは、化学療法中の臨床的口腔真菌感染の加重平均有病率は、38%であった。 [19] がん患者に報告される口腔内カンジダ症で、最もよくみられる種類は、偽膜性および紅斑性のカンジダ症である。 [20] [21] 偽膜性カンジダ症は通常、その特徴的な臨床所見を基に診断可能であり、灼熱痛および味覚変化を伴うことがある。紅斑性カンジダ症の所見は比較的非特異的で、診断を確定するために臨床検査が必要な場合もある。また、患部に灼熱感を伴うことがある。

ナイスタチン含嗽薬およびクロトリマゾールトローチ錠などの局所口腔抗真菌薬がよく使用されるが、好中球減少症患者に対する真菌感染の予防または治療における有効性には違いがあるとみられる。 [22] [23] 可撤性の歯科補綴物(例えば、部分義歯または総義歯)を装着した患者は、口腔抗真菌薬の使用前に取り外すべきである。義歯も抗真菌溶液に一夜浸すことで対処可能である。

局所薬は表在性口腔カンジダ症に有用な場合があるが、持続性の真菌感染に対して、また重大な免疫抑制状態の患者では、全身性薬剤を使用すべきである。全身性のフルコナゾールは、がん患者集団において口腔真菌感染の予防および治療にきわめて有効である。 [19]

非カンジダ真菌感染症

免疫抑制状態にあるがん患者にみられる口腔感染症と関連があるさまざまな真菌が増大しており、このような感染症には、アスペルギルス属(Aspergillus)、ムコール属(Mucormycosis)およびクモノスカビ属(Rhizopus)の種によるものが含まれる。 [3] [23] その臨床症状に特徴的症状はみられない;病変が他の口腔毒性により引き起こされる病変と類似しているようにみえる場合がある。微生物学的な証拠が不可欠である。罹病および死亡のリスクが高いため、全身療法を即座に開始しなければならない。

ウイルス感染症

ヘルペスウイルス

口腔病変により引き起こされる感染を含むヘルペス群のウイルス感染は、がんの治療を受けている患者において軽度から重度な状態に及ぶさまざまな疾患を引き起こす可能性がある。 [24] これらの病変および全身性続発症の重症度および影響は、患者の免疫能低下の程度に直接関わっている。粘膜炎または移植片対宿主病といった共存性の口腔状態は、口腔病変の重症度を劇的に高め、診断の困難さを著しく増大させる。

ほとんどの場合、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水痘帯状疱疹ウイルス(VZV)およびエプスタイン-バーウイルス(EBV)感染症は潜伏ウイルスの再活性化により発症するが、サイトメガロウイルス(CMV)感染症は、潜伏ウイルスの再活性化と新規獲得ウイルスのどちらによっても発症しうる。ウイルス感染症は口腔粘膜病変の原因となる。HSV感染の有病率は、口腔潰瘍があると、ない場合より高いことが明らかになっている。 [25]

系統的レビューがMultinational Association of Supportive Care in Cancer/International Society of Oral OncologyのMucositis Study Group (MSG)により実施された。 [25] このレビューの目的の1つは、1989年以降に実施され口腔ウイルス感染の有病率を検討した研究を評価することであった。報告された口腔HSV感染の有病率は、好中球減少症のがん患者で49.8%(95% CI、31.3-68.2%)であった。この有病率は、放射線療法による治療を受けた頭頸部がん(HNC)患者ではかなり低かった(0%);しかしながら、化学療法と併用した放射線療法による治療を受け、照射されたHNC患者では43.2%(95% CI、0-100%)に増加した。好中球減少症の患者-主に血液悪性疾患患者-は、がん患者の他のグループよりがん治療中に発生する免疫抑制の程度が重度なため、この知見は驚くことではない。しかしながら、HNC患者では、従来の放射線療法への化学療法の追加によりリスクが高まった。

がん治療法中に重度の免疫抑制状態になると予想される血清反応陽性患者におけるHSVおよびVZVの再活性化によるリスク増大の認識に伴って、抗ウイルス薬による予防が疾患の発生率を劇的に低下させることが、主に大量化学療法を受け、造血幹細胞移植(HSCT)に進んだ患者で証明されている。MSGによる系統的レビューでは、さまざまな抗ウイルス予防プロトコルを検証した一連のランダム化比較試験が特定された。 [25] それによると、HSV口腔感染予防にはアシクロビル(800mg/日で)の使用に有意な有益性が認められると結論している。 [26] [証拠レベルI]さらに、この系統的レビューでは、アシクロビルまたはバラシクロビルのいずれが処方されても、HSVの再活性化が同様な有病率で報告されていること [27] 、およびHSVの再活性化の予防がバラシクロビルのさまざまな投与プロトコル(500または1,000mg/日)で達成されたことを指摘している。 [27]

疾病予防管理センター(CDC)、Infectious Diseases Society of America(IDSA)、およびAmerican Society for Blood and Marrow Transplantation(ASBMT)は、HSCTを受ける患者を対象とした日和見感染予防のガイドラインを公表しており、この分野の基準となっている。 [28] [29] この重要な文献の内容は、ウイルス感染予防に関するグローバルな視点を提示している。CDC、IDSAおよびASBMTは、 HSV血清陽性のすべての同種移植患者にアシクロビル予防が推奨されると結論している。アシクロビルの代替としてのバラシクロビルは、HSCTにおけるHSVの効果的な予防法として中程度の位置付けとなっている;ホスカネットは、腎毒性が強いことから、ルーチンのHSV予防には避ける薬剤として扱われている。

これらのガイドラインはMSGによる系統的レビューの範囲を越えており、得られている証拠が口腔病変を伴う感染に特異的なものではないため、十分な証拠(例えば、CMV、VZVおよびEBV感染に関して)を提供していない。これらの米国の3つの団体によるガイドラインは、German Society of Hematology [30] およびEuropean Group for Blood and Marrow Transplantation. [31] による推奨に沿ったものである。

早期診断および迅速な治療が管理に不可欠である。残念ながら、入手可能な文献 [25] ならびにCDCおよびASBMTのガイドライン [28] [29] は、ウイルス感染の診断が確定した後の治療推奨には言及していない。他の感染症と同じく、全身播種および罹病/死亡のリスクは免疫低下の程度および期間に従って増大する。免疫抑制の程度によっては、致死的な感染症となることがある。

単純ヘルペスウイルス

口腔ヘルペス性病変は、通常の口唇ヘルペスから口内全体に大きな有痛性潰瘍を生じる重度の口内炎に及ぶことがある。病変の重症度は免疫抑制の程度の増加に応じて劇的に増加する。骨髄抑制状態のがん患者における再発口腔HSV病変の発生率は、予防的なアシクロビルおよびバラシクロビルレジメンの使用によりかなり減少している。 [32] [33] [34] また、実際のHSV病変の重症度および持続期間も、抗ウイルス療法により減少している。

破綻(breakthrough)感染はまれであるが、発生しうる。抗ウイルス薬に対する真性耐性もみられるが、抗ウイルス療法にもかかわらず起こる臨床感染は、不十分な投与または経口アシクロビルの消化管での吸収不全によって生じる可能性が高い。バラシクロビルの導入は、口腔HSVの破綻感染の発生率を低下させているようである。単独局所療法は、一般に、免疫低下患者には無効である。

抗ウイルス薬による予防を受けていない患者における口腔病変は通常、化学療法または化学放射線療法と同時に免疫抑制が最も顕著な時期(白血球が最低の状態)に発生する。通常、HSCT患者におけるこの期間は、移植前数日から移植後35日までを意味する。HSV再活性化のリスクは、免疫系の再構築が起こるまで通常より高くとどまる。高用量の(免疫抑制的な)化学療法を受けている患者でも、同様なパターンのリスクが認められている。

がん治療と同時に発生した再発口腔HSV感染は、口腔粘膜炎を引き起こし、臨床的に原発性ヘルペス口内炎に類似した広範な集簇性粘膜潰瘍の発生につながることがある。このように、HSV口内炎は、潰瘍性粘膜炎を引き起こし、がん治療を困難にすることがある。正確な診断には、HSV血清抗体陽性患者の病変からのウイルス培養が不可欠である。直接蛍光抗体法、シェルバイアル検査、およびHSV抗原特異的イムノアッセイおよび/または生検のように、さらに迅速な結果が得られる測定法もまた有用である。

免疫抑制状態のがん患者とは異なり、頭頸部放射線照射を受けた患者におけるHSV再活性化の発生率はきわめて小さい。 [25] したがって、頭頸部放射線照射を予定している患者に対して、HSV予防は推奨されない。

水痘帯状疱疹ウイルス

VZV感染は皮膚知覚帯を通して分散するのが典型であるが、ただ、免疫低下患者では臨床症状が変化し、複数の皮膚知覚帯または病変のより広範な分布がみられることがある。大量化学療法を受けている患者では、口腔顔面のVZV病変は通常、化学療法の中止から数週間後に観察され、化学療法の中止から2~3週後に発生することが多いHSVとは異なる。理由は完全には明らかになっていないが、VZV再活性化のリスクが増加する期間は、基本的に移植後約3ヵ月から12ヵ月に延びており、同種移植を受けた患者が最もリスクが高い。アシクロビル、バラシクロビル、およびファムシクロビルが治療の第一選択薬である。 [35]

サイトメガロウイルス

CMVに伴う口腔病変が、骨髄移植を受けた患者をはじめとする免疫低下患者において報告されている。 [3]

疾病特徴的症状はみられず、境界が不規則な軽症から中等度の多発性潰瘍がみられる。病変は骨髄再生の初期段階(例えば、化学療法を中止してから3週間後)に初発し、肉芽腫様の基底を有する非特異的な偽膜性のフィブリン滲出物で被覆された潰瘍を特徴とする。表面清拭培養で疑陰性の結果が得られる場合があるが、おそらく感染した内皮細胞および線維芽細胞では遊離ウイルスのレベルが低くなるという性向があるためである。

シェルバイアル培養法を用いればCMVの同定を強化できるものの、生検標本に対するCMV特異的な免疫組織化学染色法がやはりゴールドスタンダードである。ガンシクロビルは、急性CMV感染に対する治療の選択肢である。予防手段の改善により、原発性および再発性のいずれのCMV感染も発生率が低下している。 [36] [証拠レベル:I] [37]

エプスタイン-バーウイルス

EBVは腫瘍の発生に関係している。 [38] さらに、口腔毛状白板病は、HIV感染患者および固形臓器移植患者にみられるように、免疫低下患者におけるEBV感染に起因している。しかしながら、この病変は、化学療法を受けた患者に臨床的に有意にみられるわけではない。対照的に、長期にわたり免疫低下状態にあるHSCT患者では、特に同種移植にT細胞除去移植片を用いた場合に、頭頸部領域にEBV関連リンパ腫が発現するリスクが生じる可能性がある。このように、EBV感染のリスクは通常、移植前処置に用いる骨髄破壊的治療の終了から数ヵ月後に出現する。

EBVは鼻咽腔がんと関連している。 [39] 治療(外科手術および/または放射線療法)後に抗EBV抗体価が低下することが多く認められている;抗体価のその後の増加は再発と関連していることがある。

非ヘルペス群ウイルス感染

ヘルペス以外のウイルスが原因の感染は、免疫低下患者に非常によく見られ、感染リスクは免疫抑制の強さおよび持続期間に伴って増加するようである。アデノウイルスおよび口腔ヒトパピローマウイルス(HPV)に起因する口腔病変が報告されている。 [3] しばしば、皮膚のHPV病変が増加した患者は口腔病変を示す。これらの病変は、過角化性いぼ状病変または偏平な尖圭様の病変として出現することがある。

免疫機能の回復により、口腔粘膜病変は縮小することが多く、場合によっては消失する。医療的または美容的に必要な場合は、口腔HPV病変の除去に、レーザー手術または凍結療法が一般に用いられている;インターフェロンαの病変内注入が再発病変に有効となる場合もある。コクサッキーウイルスによる感染が発生することがあるが、一般にはまれであるとみられている。アデノウイルス感染は、口腔病変の潜在原因として関与していることが多いが、正確な発生率は不明である。 [3]


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  38. Kanegane H, Nomura K, Miyawaki T, et al.: Biological aspects of Epstein-Barr virus (EBV)-infected lymphocytes in chronic active EBV infection and associated malignancies. Crit Rev Oncol Hematol 44 (3): 239-49, 2002.[PUBMED Abstract]

  39. Kumar S, Wairagkar NS, Mahanta J: Demonstration of Epstein-Barr virus antibodies in serum of patients with nasopharyngeal carcinoma. Indian J Cancer 38 (2-4): 72-5, 2001 Jun-Dec.[PUBMED Abstract]

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出血

出血は、治療による血小板減少および/または凝固障害の期間に発生することがあり、大量化学療法または造血幹細胞移植を受ける患者では問題となる。 [1] 特発性歯肉毛細管性出血は、血小板数が20,000 /mm3未満に減少した場合、特に歯肉炎または歯周炎が既に存在している場合に発生することがある。通常の機能またはルーチンの口腔衛生(歯磨きおよびフロッシング)でさえも、既に存在している歯肉炎および歯周炎がある場合歯肉毛細管性出血を誘発しうる。

口腔出血は、重症化するのはまれであるが、患者および家族にとっては心配の種となる。口腔出血には、軽度(例えば、口唇、軟口蓋または口底の局所性点状出血)なものもあれば、重度(例えば、持続性歯肉出血または重度の血小板減少中の単純ヘルペスウイルス潰瘍による出血)のものもある。

がん患者では、血小板数が40,000/mm3未満に低下した場合に、歯ブラシおよびデンタルフロスを使用しないように厳しく指導されることはまれではない。酌量すべき事情がない限り、このような助言は一般に良くない。健康な歯肉組織は外傷を受けないかぎり出血しない。ルーチンの口腔衛生を中止することで、感染リスクが高まる可能性があり、出血が促進されるだけでなく、細菌プラークの蓄積による局所および全身感染のリスクも高まり、歯周感染症および組織破壊の原因となる。このような問題は、歯肉または歯周の病状の緩和または解消を目的としたがん療法前の歯科治療の有用性をさらに裏付けている。

医療専門家が血小板減少症患者をどの程度監視するかが、機械的な衛生法に関するリスクに対する重要な留意点である。包括的なモニタリングにより、血小板減少症の発現中でも患者は安全に歯ブラシおよびデンタルフロスを使用できることが多い。発泡ブラシを一部の医師が推奨している。しかしながら、発泡ブラシでは歯肉縁に沿ったプラークを十分に除去できないため、歯肉感染および出血が助長されることさえあることが複数の研究で示されている。

口腔出血の管理は、次のように血管収縮薬、血餅形成薬、および組織保護薬の使用を中心に展開される:


  • エピネフリンまたはコカインは通常、出血している脈管を通過する血流速度を低下させるために使用できる。

  • 血餅を構成し安定化させるべく、局所トロンビンおよび/または止血性コラーゲン剤を用いる。

  • 粘膜付着製品(シアノアクリレート系の製品)の適用は、出血部位の封鎖および形成された血餅の保護に役立つ。

もろく剥がれやすい血餅を形成する傾向のある患者にはアミノカプロン酸の局所適用が有益であろう;一部の例では凝固および安定した血餅形成を改善するために静脈内投与も考慮される。

外傷部の洗浄および表在する血液残屑の除去には、3%過酸化水素および0.9%生食水(容積比1:2~1:3)の適用が役立つ。血餅をつぶすと出血を促進してしまうため、注意が必要である。 [1]


参考文献
  1. Schubert MM, Peterson DE: Oral complications of hematopoietic cell transplantation. In: Appelbaum FR, Forman SJ, Negrin RS, et al., eds.: Thomas' Hematopoietic Cell Transplantation: Stem Cell Transplantation. 4th ed. Oxford, UK: Wiley-Blackwell, 2009, pp 1589-1607.[PUBMED Abstract]

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神経毒性

ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、およびビンブラスチンをはじめとする化学療法薬の選択クラスによっては、直接神経毒性が生じうる。さらに、サリドマイドおよびレナリドミドのような薬剤は、末梢神経障害に関連しており、顔面および顎に影響を及ぼすことがある。深在性の拍動性下顎痛も来しうる。この症状は急性歯髄疾患とも一致しているため、口腔に痛みがある場合は、徹底的な病歴聴取および口腔診察を実施することが重要である;通常、X線検査および歯髄生死試験が必要である。神経毒性が適切に診断された後の管理として疼痛支援および患者とのカウンセリングが含まれる。この症状は、一般に原因となる化学療法を中止してから1週間以内に消失する。

口腔過敏症は、化学療法を中止してから数週間または数ヵ月後に、患者に偶発的に認められることがある。さらに、移植片対宿主病の治療のためにシクロスポリンによる治療を受けている患者が温熱感受性の上昇を報告することが観察されている。この反応の機序は明らかになっていない。温熱刺激は数ヵ月間持続しうるが、幸いなことに治療の中止または停止後は自己消散的である。フッ化物および/または脱感作歯磨き剤を局所投与することにより、不快感を改善できる。

患者は、咀嚼筋肉、顎関節、または歯牙を含めた顎関節機能不全痛を来すことがある。この状態はがん患者に独特のものではなく、ストレスおよび歯ぎしりならびに噛みしめのような不正習癖と相関する。ストレスおよび睡眠機能障害が最も多い病因のようである。筋弛緩薬または抗不安薬を慎重に投与し、理学療法(湿熱、マッサージおよび丹念なストレッチ)を併用するのが、管理の標準アプローチである。就寝中に歯ぎしりまたは噛みしめの習癖がある患者では、個人に合わせた咬合スプリントの就寝中の使用が有効なことがある。

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移植片対宿主病

同種移植または適合非血縁者移植を受けた患者は、移植片対宿主病(GVHD)を発症するリスクがある。 [1] [2] 偽GVHDと呼ばれる関連症状がときに自家造血幹細胞移植を受けた患者に報告されている。GVHDは、口腔組織に影響を及ぼすことがあり、びらん性扁平苔癬、天疱瘡、強皮症、およびシェーグレン症候群のような、自然発生する自己免疫疾患に類似する場合が多い。口腔のGVHDは、口腔の前がん性病変および悪性病変とも関連している。 [3]

急性GVHDは、移植してから2~3週間後に発症する;粘膜紅斑およびびらん/潰瘍が、典型的な症状である。慢性口腔GVHDによる変化は移植後早くも70日を過ぎると確認できる。 [4] 急性GVHDでみられる病変のパターンおよびタイプは、慢性GVHDでもみられるが、隆起した白角化性のプラークおよび線条、ならびに持続性の唾液腺機能低下も症状に含まれる場合がある。口腔GVHDの口腔症状には、口腔乾燥および香辛料、アルコール、芳香剤(特に歯磨き剤や口腔ケア製品中のミントの香味)に対する感受性と疼痛の上昇がある。患者は、消化管病変による嚥下痛および嚥下困難に苦しめられることもある。 [5] これらのGVHD症状のいずれも体重減少および栄養失調の原因となる場合がある。 [6]

最終診断の確定には、表面上皮および小唇唾液腺の両方を含めた口腔粘膜の生検が有用なことがある。 [7] [8] 上皮細胞壊死(悪性度 II)を伴うリンパ球浸潤(悪性度 I)が認められれば、口腔GVHDの診断の基準となる。GVHDの口腔徴候および症状認識のための臨床基準が確立されるにつれて、口腔病変を診断する口腔生検への依存は低下している。検査所見が不確かな場合は、その生検により、口腔病変の認識が改善される可能性がある。

粘膜病変に対する局所管理には、ステロイド、アザチオプリン、および/または口腔ソラレン紫外線A(PUVA)療法がある(口腔GVHDの管理の一覧一覧を参照のこと)。 [4] [9] 局所シクロスポリンは、治療上有益であると示唆されているが、他の治療と比べその有効性は予測しがたい-このことは、医療費の増加を加味した場合、通常その有用性を低下させる。口腔GVHDを局所的に治療するFK506およびミコフェノール酸モフェチルの使用は逸話的であり、効力は不明である。主にその症状を治療するためには、全身療法(例えば、プレドニゾン、ブデソニド、シクロスポリン、ミコフェノール酸モフェチルおよび他の免疫抑制薬)がルーチンで必要である。局所療法は、特に口腔の感受性を管理するために使用され、潰瘍の治癒に有用なことがある。臨床的に重大な口腔乾燥を認める患者には、本来の唾液腺機能がある程度正常であればピロカルピン(5mgを3回/日または4回/日)またはセビメリン(10mgを4回/日)が有益であろう。

慢性GVHDの持続性症例では、粘膜下および/または皮膚の線維症が発生することがある。この強皮症に似た合併症は、ほとんど感じられず、わずかに粘膜または皮膚が硬くなったように感じたり、皮膚の肥厚および線維症に進行したりすることがある。口腔内粘膜下の線維性索状物により、著しく開口が制限されることが認められている。全身療法によるGVHDの管理が成功すれば、通常この問題の解消および/または著しい改善がみられる。しかしながら、まれな例では、開口を改善するために、外科的または化学的に線維性の索状物を砕く手法が必要なことがある。

口腔GVHDの管理
  • 局所ステロイド:
      含嗽薬:デキサメタゾンエリキシル(Decadron 0.1mg/mL)。
      ゲル、クリーム:
      • フルオシノニド(Fluonex)

      • クロベタゾール(Temovate)

      • ハロベタゾール(Ultravate)

      • ベタメサゾン(Celestone)


      粉末薬:ベクロメタゾン(Beclovent)(粘膜に適用される吸入薬)。

  • その他の局所免疫抑制薬:
      アザチオプリン含嗽薬(Imuran;5~10mg/mL)
      シクロスポリン(Neoral)

  • 抗真菌薬(口腔真菌感染が同時に認められた場合):
      局所製剤:
      • ナイスタチン(Mycostatin)

      • クロトリマゾール(Mycelex)

      • アンフォテリシン溶液(Amphocin;米国では調合剤である)


      全身薬:
      • フルコナゾール(Diflucan)

      • イトラコナゾール(Sporanox)



  • PUVA。

  • 催涎剤:
      セビメリン(Evoxac)
      ピロカルピン(Salagen)
      ベタネコール

  • 局所麻酔薬:
      リドカイン(Xylocaine)
      ジクロニン(Dyclone)
      ジフェンヒドラミン(Benadryl)
      ドキセピン(Zonalon)

  • 齲蝕予防:
      口腔衛生(プラーク除去)
      フッ化物:
      • 成人患者:刷毛ブラシ製品、含嗽薬、家庭用トレイ

      • 小児患者:刷毛ブラシ用ゲル(患者がフッ化物ゲルを使用した後に吐き出すことが信頼できる場合)


      [注: 虫歯予防に十分なフッ化物が飲料水に含有されていなければ、12歳未満の小児には経口フッ化物(例えば、錠剤、ビタミン剤)を投与すべきである。]


      ミネラル補給溶液(リン酸カルシウム±フッ化物の調合液)


参考文献
  1. Schubert MM, Sullivan KM: Recognition, incidence, and management of oral graft-versus-host disease. NCI Monogr (9): 135-43, 1990.[PUBMED Abstract]

  2. Demarosi F, Bez C, Sardella A, et al.: Oral involvement in chronic graft-vs-host disease following allogenic bone marrow transplantation. Arch Dermatol 138 (6): 842-3, 2002.[PUBMED Abstract]

  3. Abdelsayed RA, Sumner T, Allen CM, et al.: Oral precancerous and malignant lesions associated with graft-versus-host disease: report of 2 cases. Oral Surg Oral Med Oral Pathol Oral Radiol Endod 93 (1): 75-80, 2002.[PUBMED Abstract]

  4. Schubert MM, Peterson DE: Oral complications of hematopoietic cell transplantation. In: Appelbaum FR, Forman SJ, Negrin RS, et al., eds.: Thomas' Hematopoietic Cell Transplantation: Stem Cell Transplantation. 4th ed. Oxford, UK: Wiley-Blackwell, 2009, pp 1589-1607.[PUBMED Abstract]

  5. Schima W, Pokieser P, Forstinger C, et al.: Videofluoroscopy of the pharynx and esophagus in chronic graft-versus-host disease. Abdom Imaging 19 (3): 191-4, 1994 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  6. Jacobsohn DA, Margolis J, Doherty J, et al.: Weight loss and malnutrition in patients with chronic graft-versus-host disease. Bone Marrow Transplant 29 (3): 231-6, 2002.[PUBMED Abstract]

  7. Loughran TP Jr, Sullivan K, Morton T, et al.: Value of day 100 screening studies for predicting the development of chronic graft-versus-host disease after allogeneic bone marrow transplantation. Blood 76 (1): 228-34, 1990.[PUBMED Abstract]

  8. Yamada H, Chihara J, Hamada K, et al.: Immunohistology of skin and oral biopsies in graft-versus-host disease after bone marrow transplantation and cytokine therapy. J Allergy Clin Immunol 100 (6 Pt 2): S73-6, 1997.[PUBMED Abstract]

  9. Epstein JB, Nantel S, Sheoltch SM: Topical azathioprine in the combined treatment of chronic oral graft-versus-host disease. Bone Marrow Transplant 25 (6): 683-7, 2000.[PUBMED Abstract]

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移植後の歯科治療

移植患者に対して歯科治療を検討する場合、免疫が再構築されるまでは注意すべきである;免疫再構築までの時間は、6ヵ月から12ヵ月まで変動する可能性がある。全血球数および分画を含む血液学的パラメータが正常範囲内であった場合でも、機能的な免疫異常が残存することがある。移植片対宿主病(GVHD)からの回復をはじめとする十分な免疫機能回復が得られるまで、歯石除去および歯牙研磨のようなルーチンの歯科治療は再開すべきではない。超音波または高速回転式の切削器具使用中における残屑および細菌のエアロゾル化は、患者を誤嚥性肺炎のリスクにさらすことがある;さらに、歯科治療の結果として菌血症が発生することが多く、その影響が認められることがある。

至急または緊急の歯科治療が必要な患者では、予防的な抗生物質投与または歯科用エアロゾル吸引で考えられる影響を抑える戦略を用いるべきである。抗生物質の追加投与は、既往疾患によって、または治療の続発症として生じる患者の感染リスクによって判断すべきである。

侵襲的な口腔処置を施行する前に、適切な支持療法-抗生物質、免疫グロブリンG投与、ステロイドの用量調節、および/または血小板輸血-を包括的に検討すべきである。

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再燃および二次性悪性腫瘍

局所的病因とは考えにくい、歯肉浸潤、口腔感染、および/または出血は、特に白血病またはリンパ腫の治療を受けている患者では、疾患再燃の可能性を示すことがある。さらに、限局性の口腔形質細胞腫が多発性骨髄腫で自家移植後の早期再燃患者に認められている。以前にリンパ腫治療した患者における無痛性一側性リンパ節症も再燃を示す。移植を受けた患者に認められる軟部組織の腫瘤およびリンパ節症では、移植後の二次性原発悪性腫として発生したリンパ増殖性疾患を想定しなければならない。

二次性悪性腫瘍の発生率は、がん患者の移植後の生存期間が延長するにつれて着実に増加している。過去の化学療法および放射線療法への曝露のほか、免疫機能の変化、移植片対宿主病(GVHD)、およびGVHD治療が合わさって二次性悪性腫瘍のリスクの一因となっている。口腔扁平上皮がんは、移植患者に最もよくみられる二次性口腔悪性腫瘍であり、口唇および舌が最も頻繁に報告される部位である。

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味覚異常

幹細胞移植患者では、味覚異常が、化学療法/化学放射線療法による前処置または移植片対宿主病のいずれかに続発して認められることがある。管理の推奨事項については、本要約の化学療法と頭頸部放射線療法の両方によって影響を受ける条件化学療法と頭頸部放射線療法の両方によって影響を受ける条件のセクション内の味覚異常味覚異常のサブセクションを参照のこと。

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化学療法または放射線療法とは関係しない口腔毒性

薬物投与に伴う顎骨壊死(ONJ)

最初に報告された薬物投与に伴う顎骨壊死(ONJ)の症例は、ビスホスホネートを投与されている患者でみられた。 [1] [2] [3] ビスホスホネートは破骨細胞の強力な阻害薬である。これらは、乳がん、前立腺がん、または肺がんを含む骨転移がん患者;および多発性骨髄腫患者に用いられている。ビスホスホネートは、悪性腫瘍の高カルシウム血症の治療にも使用されている。ビスホスホネートは骨折および骨痛のリスクを低下させ、悪性骨疾患患者の生活の質を改善する。 [4] (詳しい情報については、がん性疼痛に関するPDQ要約を参照のこと。)

内科および歯科の文献の証拠から、ビスホスホネート以外の以下を含む薬剤の使用で報告されたONJの数例の症例が明らかにされている: [5] [6]


  • デノスマブ、核因子κβ活性化受容体リガンド(RANKL)を阻害するヒト化モノクローナル抗体。

  • ベバシズマブ、スニチニブ、およびおそらくソラフェニブを含む、進行がん症例を対象に検証されている血管新生阻害剤。

表5.腫瘍学において用いられ、ONJとの関連が報告されている薬物および生物学的製剤

薬物の一般名(商品名) 製造業者(適応症) 薬物クラス 作用メカニズム ONJを引き起こすとの報告
GIST = 消化管間質腫瘍;ONJ = 薬物投与に伴う顎骨壊死;RANKL = 核因子κβ活性化受容体リガンド;VEGF = 血管内皮増殖因子。
ゾレドロン酸(Zometa、Reclast) Novartis(骨転移;がん治療による骨量減少) ビスホスホネート(抗再吸収薬) 破骨細胞の阻害 あり
パミドロン酸(Aredia) Novartis ビスホスホネート(抗再吸収薬) 破骨細胞の阻害 あり
アレンドロン酸(Fosamax) Merck(がん治療による骨量減少) ビスホスホネート(抗再吸収薬) 破骨細胞の阻害 あり
デノスマブ(Prolia、XGeva) Amgen, Inc.(骨転移;骨粗鬆症;がん治療による骨量減少) ヒト化モノクローナル抗体(抗再吸収薬) RANKLの阻害による骨リモデリングの抑制 あり
ベバシズマブ(Avastin) Genentech BioOncology(進行がん:転移性大腸がん;非扁平上皮性非小細胞肺がん;転移性乳がん;膠芽腫;転移性腎細胞がん) 血管新生阻害剤 VEGF作用の遮断による血管形成の阻害 あり
スニチニブ(Sutent) Pfizer Oncology(進行性腎細胞がん;GIST) 血管新生阻害剤 VEGF受容体のチロシンキナーゼの遮断による血管形成の阻害 あり
ソラフェニブ(Nexavar) Bayer Health Care Pharmaceuticals(腎細胞がん;肝細胞がん) 血管新生阻害剤 VEGF受容体のチロシンキナーゼの遮断による血管形成の阻害 あり(抗再吸収薬と併用する場合)


RANKLを標的として、ビスホスホネート系薬物の適応症と同様の適応を有する完全ヒト化モノクローナル抗体である新しい抗再吸収薬、デノスマブが承認されたところ、追加の報告でこの新薬もまたONJを引き起こすことが確認された。その後、腫瘍学の臨床試験で血管新生阻害剤が導入され、これらの薬物もまた、単剤として、または抗再吸収薬と併用する場合にONJの発症と関連しうることが明らかにされた。血管新生阻害剤をビスホスホネート系薬物と併用する場合、ONJのリスクは有意に増加する。 [7]

したがって、顎骨壊死はもはやビスホスホネート系薬物の使用にのみ関連する問題ではない;顎骨壊死はまた、モノクローナル抗体のデノスマブなど、他の薬物およびベバシズマブやソラフェニブなどの血管新生阻害剤の使用とも関連している。このため、この病理学を示す命名法を、薬物投与に関連する顎骨壊死を意味するONJに変更すべきであると提案されている。

ONJは、がん患者における抗再吸収薬療法の口腔合併症である。 [8] ONJは2003年に初めて報告され [1] [2] [3] 、ONJと関連のある薬物(ビスホスホネート、デノスマブ、および血管新生阻害剤)を受けており、頭頸部への放射線療法を受けていない患者の口腔内における露出壊死骨の予期しない出現と定義される。この露出した骨は、標準的な歯科ケアを施しても、少なくとも6~8週間持続する。目に見える露出骨を認めずに、歯牙疾患および/または歯周疾患の症状が認められる場合もある。 [9] ONJの発生は文献で報告された症例に基づいており、発生率は静脈内投与(パミドロン酸およびゾレドロン酸)を受けている患者の1~10%から、経口ビスホスホネートを受けている患者の1%未満にまで及ぶ。 [10] [11]

2008年12月までの文献を評価した研究により、ONJの有病率は研究デザインおよび使用ビスホスホネートの種類によって異なる可能性があることが明らかにされた。例えば、患者の評価および追跡調査が歯科専門医により実施された研究では、全有病率が7.3%と示されているが、大規模な患者集団を対象とした調査研究での有病率は1%未満である。この有病率を使用ビスホスホネートの種類を基に算定すると、治療経過中にゾレドロン酸およびパミドロン酸による併用療法を用いた場合のONJ症例の有病率は24.5%と高くなる。 [12] 約68%の症例は下顎骨に、約28%の症例は上顎骨に、約4%の症例では両方の顎骨に罹患する。 [13] しかしながら、頭頸部および骨格の他の部分でもONJの証拠が報告されている。 [14] [15] [16]

ONJの発生率、危険因子、および転帰が、固形腫瘍または骨髄腫に続発する転移性骨病変を有し、抗再吸収薬療法を受けている患者を対象にした3件の第III相試験の解析で評価された。 [17] 患者は、4週間ごとのデノスマブ皮下注射(120mg)またはゾレドロン酸の静脈内投与(4mg)のいずれかに割り付けられた。口腔検査はベースライン時と6ヵ月ごとに実施された。口腔の有害事象は歯科専門家の委員会により評価された。登録された5,723人の患者のうち、89人(1.6%)がONJを診断された;37人がゾレドロン酸を投与され、52人がデノスマブを投与された。ONJ患者の3分の2で抜歯が報告された。2010年10月時点で、ONJは36%の患者で回復した(ゾレドロン酸で29.7%およびデノスマブで40.4%)。これらの試験の統合解析により、ONJはまれなイベントであること、管理は主に保存的であること、および3分の1以上の患者で回復が得られたことが明らかにされた。骨を標的とした治療により、ONJの発生率が低下し、転帰の改善に役立つ可能性がある。 [17]

非転移性高リスク去勢抵抗性前立腺がんで、少なくとも24ヵ月間治療を受けた男性患者の研究においてデノスマブがプラセボと比較された際のONJ発生率はデノスマブ治療患者で4.6%であった;プラセボ群におけるONJ症例は認められなかった。 [18] したがって、投薬期間はONJ発症の一因子と考えられる。

ONJの危険因子は以下の通りである:


  • 抜歯。 [19] [証拠レベル:II] [20]

  • 不適合義歯。 [19]

  • 静注ビスホスホネート(ゾレドロン酸、デノスマブ)。 [19] [20] [証拠レベル:I] [12] ; [21] [証拠レベル:I]

  • 投薬期間。 [12] [18] [20]

  • 多発性骨髄腫。 [12]

骨転移がある固形腫瘍患者では、ビスホスホネート開始前の歯科予防処置の適用によって、ONJの発生率が低下する可能性がある。 [22] [23]

ONJの診断

ONJの診断は臨床的に困難な場合がある。最も一般的な臨床像は以下の通りである:


  • 古典的:

    静脈内投与によるビスホスホネートまたはデノスマブ療法を受けており、口腔内に壊死骨が見えている骨格転移を有するがん患者。この部位は感染し痛みを伴うことがある;こうした状態が歯科医師に紹介される典型的な理由である。疼痛は、壊死骨に近接した軟部組織の炎症によっても、また感染によっても生じる。他の症状は典型的に、より進行した症例に起こる(例、局所神経障害に続発する感覚異常)。露出部における化膿性分泌物は活動性感染を示す。放射線検査により、腐骨と関連する典型的な放射線透過性および放射線不透過性の領域が示されることがある。骨小梁が虫食い状態になることがあり、骨破壊が進行中であることを示唆している。外科的歯科治療(例えば、抜歯または歯根膜手術)、重篤歯牙感染または外傷に続発して、病変が生じることがある。その他にも、検知可能な外傷または素因となる治療なしに、ONJが自然発生的に生じることがある。

  • 低頻度:

    静脈内投与によるビスホスホネートまたはデノスマブ療法を受けており、歯周部または歯髄の症状に似た痛みを訴えるがん患者。臨床的に目に見える露出壊死骨は認められないが、排膿性瘻や歯周溝からの化膿性分泌物が存在しうる。罹患した歯牙では触診および打診時に典型的に症状が認められる。

  • 偶発症例:

    口腔痛および不快感を訴えるがん患者で、臨床的に露出骨が明らかでないためにONJの確定診断が行えない。このような患者では、最も可能性が高い臨床診断に最初に対処すべきである。抗再吸収薬投与により、頭頸部および顎の領域などに骨痛が発生する可能性を認識することが重要である;追加歯科診断を求める際に、顎症状で可能性がある病因を検討すべきである。ルーチンでの臨床的歯髄検査および歯周疾患の徴候および症状の評価(例、歯周ポケットの深さ、骨量低下、およびプロービング時の出血)を実施すべきである。放射線検査も実施すべきである。文献ではまだ明確には確認されていないが、X線像の所見で患歯に歯槽硬板が硬化している場合、または認められない場合には、初期のONJの存在を示している可能性がある。 [13] [証拠レベル:III]

    歯内および歯周療法を最初に実施すべきである。患者にはONJの可能性について助言し、口腔衛生法について教育すべきである。抜歯が適応の場合、無症状性のONJの可能性を検討し、患者に説明すべきである。したがって、抜歯後の治癒が遅れている場合、または治癒がみられない場合は、最終的なONJ発生のリスクとしてみなさなければならない。侵襲的手技を実施する前に、骨髄抑制による過度の出血および/または感染のリスクを患者の医師と話し合い、適切な予防手段を構築しておく必要がある。


ONJの管理

口腔内に露出骨が確認されたONJは、最初は局所デブリドマンおよび鋭利な骨端の除去により、保存的に管理すべきである;これにより、舌などの軟部組織の外傷リスクが減る。化膿性分泌物を伴う活動性感染、周囲の軟部組織の腫脹および炎症、および疼痛が認められる場合には、抗生物質の全身投与を実施すべきである。初期療法は1種類の抗生物質により実施可能であるが、最初に選択すべき薬物に関して、意見の一致は得られていない。選択肢には以下のものが挙げられる:


  • アモキシシリン、500mg、4回/日、少なくとも14日間。

  • メトロニダゾール、250mg、3回/日、少なくとも14日間。

  • クリンダマイシン、300mg、4回/日、少なくとも14日間。

  • アモキシシリンおよびクラブラン酸、500mg、4回/日、少なくとも14日間。

さらに、局所口腔療法として、0.12%クロルヘキシジン口腔含嗽薬またはテトラサイクリン含嗽薬(62.5mg/オンス;約2.20mg/mL)を1日2回実施することもできる。食後の入念な歯磨きおよび歯間清掃による口腔衛生の必要性を重要視すべきである。 [4] [10] [11] [13] [24] [25]

患者は2週間ごとに再評価すべきである。臨床徴候および症状が改善したら、抗生物質の全身投与を中止できる。しかしながら、歯磨きおよび歯間清掃から成るルーチンの口腔衛生法の一部として、局所療法は維持すべきである。

治療に反応しないONJの患者は、長期間の抗生物質治療で維持する必要がある。これらの患者には、ペニシリン、メトロニダゾールなど異なる抗生物質の併用を検討するのもよい。他に可能性のあるものは、クリンダマイシン単独、またはそれとアモキシシリンとの併用、およびアモキシシリンの代わりにクラブラン酸との併用を用いることである。感染過程が頭頸部のより重要な領域に拡がる場合、患者は入院し、静脈内投与による抗生物質治療が必要になり、ついには患部の広範な外科的切除が必要になる。 [25]

特に保存療法に難治性の症例では、外科的切除および原発創傷閉鎖によりONJを良好に管理できることが複数の報告で示唆されている。 [26] [27] [28] 根治的手術の施行が増加しており、手術はONJ症例では実施すべきではないという初期のパラダイムはもはや適切ではないようである。しかしながら、患者には手術による治療が失敗する可能性があり、すべての症例で治療が成功するわけではないことを助言する必要がある。治療選択肢として手術があるため、現在では臨床医はONJの診断を確定するために骨生検を行うようになっている。がん患者では常に、ONJに類似した顎骨への転移性病変の可能性がある;最終診断の確定には、病理組織学的検査を実施すべきである。 [29] 外科レーザーの使用も、保存的管理が無効なONJ患者に対する代替療法として提案されている。 [30]

ONJが確定した症例を治療するのに、高圧酸素療法(HBO)の使用は有効ではないようである。 [4] [13] [24] [25] しかしながら、ビスホスホネート療法の中止を加えたHBOは、ONJの患者に有益な可能性があることを示す証拠がある。 [31] この分野での研究が続けられているが、確定的な証拠は未定である。 [32]

他の可能性のあるアプローチとして、外科的処置を伴い、テトラサイクリンにより標識した骨を用いたものがある。この方法では、患者は手術前の数日間、標準用量のテトラサイクリンによる治療を受ける。骨が露出している場合、手術中にウッド灯を骨全体に照射する。壊死した骨は蛍光を発しないので、除去する。この手技を正常な骨の存在を示す蛍光が認められるまで継続する。 [33]

American Association of Oral and Maxillofacial SurgeonsではONJに対する病期分類システムを提案しており、治療戦略(表6表6を参照のこと、出典:ガイドライン文書 [34] )を提唱した。

表6.ONJ病期分類システム

BRONJ(ONJ)病期分類 治療戦略
BRONJ = ビスホスホネート関連顎骨壊死;IV = 静注(intravenous);ONJ = 薬物投与に伴う顎骨壊死。

リスクのあるカテゴリー:

経口またはIVビスホスホネートのいずれかによる治療を受けた患者において、明らかな壊死骨が認められない。
適応とされる治療はなし;患者の教育。

0期:

壊死骨の臨床的証拠は認められないが、非特異的な臨床所見および症状。
鎮痛薬および抗生物質の使用を含む全身管理。

1期:

無症状で感染の証拠が認められない患者において露出した壊死骨。
抗菌薬を用いた含嗽;年4回の臨床的フォローアップ;患者の教育と継続的なビスホスホネート療法に対する適応の見直し。

2期:

排膿を伴う、または伴わない露出骨領域の疼痛および紅斑で示される感染に関連する露出した壊死骨。
経口の抗生物質による全身治療;経口抗菌薬を用いた含嗽;疼痛管理;軟部組織の刺激を緩和するための表面近くのデブリドマン。

3期:

疼痛、感染、および次の1つ以上が認められる患者における露出した壊死骨:歯槽骨領域を越えて拡がっている露出した壊死骨(すなわち、下顎骨下縁および下顎枝、上顎骨の上顎洞および頬骨)で、病的骨折、外歯瘻、口腔洞/口腔鼻連絡、または下顎骨下縁あるいは上顎洞底にまで進展している骨溶解を引き起こしている。
抗菌薬を用いた含嗽;抗生物質治療および疼痛管理;感染および疼痛の長期緩和を得るための外科的デブリドマン/切除。


ビスホスホネート療法の中止

この文献では、治癒過程を速めるためのビスホスホネート療法の中止は支持されていない。ビスホスホネートは患者の骨格に蓄積し、特に1年を超えて静注ビスホスホネートによる治療を受けた患者では数年間活性が残存する可能性がある。ONJを発症した患者においてゾレドロン酸療法を中止しても、骨壊死過程は臨床的に進行し、近接部位に拡がる可能性があるという逸話的証拠が得られている。しかしながら、特にONJを治療する処置を計画している場合は、ビスホスホネート療法の中止を提唱する著者もいる。 [10] [13]

壊死部を治療する手術を予定している患者では、投薬中止が有益なことがあると考える臨床医もいるが、ただ、こうした考えに、科学的な研究による裏付けはない。このような休薬期間は、治癒の臨床的証拠が観察されるまでは維持すべきであると推奨されている。 [10] しかしながら、この問題には論争があり [11] [証拠レベル:IV]、さらに研究が必要である。

要約すると、骨壊死の有無にかかわらず、ビスホスホネート治療中の患者に対する休薬の可能性を検討すべきである。ランダム化対照比較研究による科学的証拠が欠けていることを考慮して、処方する医師は投薬中止のリスクと有益性を判断しなければならない。ビスホスホネートによる治療を受けていて、侵襲的な処置が必要な患者では、休薬の裏付けとなり、休薬によりONJの発生が抑えられるという科学的情報は存在しない。侵襲的な処置が必要な骨壊死の患者では、休薬が有益な可能性がある。 [35] 一方では、多発性骨髄腫の骨壊死患者において、骨壊死の経過を進行させるリスクなしに、ビスホスホネート治療を継続できる可能性を示す証拠が得られつつある。 [36]

ビスホスホネート療法の中止によって、患者の全身状態が危険にさらされないかどうかを患者の医師と話し合うことが望ましい。提案されている薬物を中止し、治療を実施する前に患者からインフォームドコンセントを得ることが重要である。

自然発症および無症状のONJ

患者には口腔内のどの部位にも無症状の露出壊死骨がみられる場合があるが、ただ、下顎後方部および下顎隆起の上にある顎舌骨プレートが最も罹患頻度が高い部位である。この場合、消失を確認するための患者の全身的な再評価と同様に、局所療法および効果的な口腔衛生が重要である。

QOLへの影響

ONJを発症する患者の数は、ビスホスホネートを使用している多数の患者と比べると少数である。しかしながら、一部の病変は大きなサイズに進行し、患者の生活の質に重篤な変化をもたらす可能性がある。 [4] [8] 例えば、下顎骨の進行した病変は皮質骨の壊死を引き起こし、骨折のリスクを高める。 [4] 進行性で非反応性の感染では入院および静脈内投与による抗生物質治療が必要になりうる。 [4] ONJの進行例では顎骨の広範な切除が必要になることがある。 [37] そのため、ビスホスホネート療法によるこの有害事象は、生活の質に悪い影響を及ぼすことがある。

喫煙とONJ

治癒過程を助けるために、喫煙の中止が推奨されている。 [38] しかしながら、ONJ形成過程におけるタバコや他の共存症の役割については、依然として研究段階にある。 [13]


参考文献
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頭頸部放射線療法の患者

頭頸部放射線療法の患者にとって、放射線療法から生じる治療中および治療後の口腔合併症は重大な問題である。治療終了後の持続期間が短く、ほんの短期間(数週間から2ヵ月)だけ重度となる化学療法による口腔合併症とは異なり、頭頸部放射線療法による口腔合併症はさらに予測しやすく、より重度となることが多く、また重篤な慢性合併症のリスクを患者にもたらす永続的な組織変化につながることがある。

放射線療法前の歯科評価および口腔疾患の安定化

口腔疾患の除去および口腔の健康状態を最大に維持するようデザインされた口腔ケアプロトコルを、放射線療法開始前の患者の評価およびケアの一部として実施しなければならない。放射線療法中および治療後の口腔管理は、以下によって左右される:


  • 患者の特定ニーズ。

  • 放射線療法の仕様。

  • 放射線療法により生じた慢性合併症。

口腔組織への放射線は、一般に生涯にわたる口腔合併症のリスクをもたらすため、口腔評価および合併症の治療の継続が不可欠である。また、侵襲的口腔手技は後遺症の原因となりうる。基礎の慢性的な放射線誘発性の組織損傷のため、歯科ケアは一般に変更が必要である。

高線量の上部マントル照射を開始する数週間前に、患者の包括的な口腔評価を実施すべきである。この時期に実施すれば、抜歯、歯石除去/歯牙研磨および歯内治療のような侵襲的口腔手技が必要な場合に、組織が治癒する適切な期間が得られる。この評価の目的は、軟部組織壊死および骨壊死のリスクを増加させる放射線療法中および治療後に、積極的または侵襲的な歯科治療が最終的に必要になるような感染および/または破壊の重大なリスクがある歯牙を特定することである。これらの病変が放射線療法後に生じる可能性は、重大な歯科疾患のリスク(回復、歯周および歯内)が高まるにつれて、患者の生涯にわたって増大する。唾液腺機能低下および口腔乾燥が、放射線照射後に頻繁に発生する。したがって、唾液分泌を著しく減少させる合併症の影響、およびそれに関連して上昇する齲蝕のリスクを低下させるために、放射線照射前の歯科ケア戦略を開始することが特に重要である。

さらに、以下のように放射線療法に特異的な3つの問題が発生する:


  1. 放射線傷害は口腔組織特異的であり、療法の線量および照射野に左右される。
  2. 放射線療法による口腔粘膜炎は、通常、6~8週間持続するのに対し、化学療法患者では約5~14日間である。この違いは、主に、放射線療法プロトコルの期間が長いためである。
  3. 口腔がんの主因は喫煙であり、アルコール乱用によって、さらにリスクが増大する。このため、頭頸部がん患者は、永続して禁煙することが不可欠である。
    • 喫煙に関係するがん患者のほとんどは、がん診断の時点で、禁煙するという積極的な姿勢を示す。

    • 喫煙を継続することによって、生存者、特に放射線療法を受けた患者は、再発または二次がんの可能性が実質的に高くなる。

    • すべての患者に対して、がん診断から1ヵ月間は、会う度に医師が直接、禁煙を助言して基礎情報を提供し、続いて、禁煙が困難な患者にさらに強力な薬物療法またはカウンセリングを実施するなど、禁煙への段階的ケアアプローチが推奨される。

頭頸部放射線療法の口腔合併症

頭頸部放射線療法の口腔合併症は、その通常の発現時期を基に2つのグループに分けることができる:


  • 治療中に発生する急性合併症。

  • 放射線療法終了後に発生する晩期合併症。

急性合併症には、以下を含む:


  • 中咽頭粘膜炎。 [1]

  • 唾液腺炎および口腔乾燥。

  • 感染症(主にカンジダ症)。

  • 味覚障害。

ときに、組織壊死が治療後期にみられることがあるが、比較的まれである。

慢性合併症には、以下を含む:


  • 粘膜線維化および粘膜萎縮。

  • 唾液分泌低下および口腔乾燥。 [1]

  • 唾液分泌障害に関連した齲蝕の急増。

  • 感染症(主にカンジダ症)。

  • 組織壊死(軟部組織壊死および骨壊死)。

  • 味覚障害(味覚異常/無味覚症)。

  • 筋および皮膚の線維症。 [1]

  • 嚥下困難。 [2]

口腔粘膜炎の管理

頭頸部放射線療法により引き起こされる粘膜炎の病因発生機序は、大量化学療法により引き起こされる粘膜炎と類似しているが、同一ではないとみられる。 [3] [4] [5] 化学療法/造血幹細胞移植のために報告された管理戦略は、一般に、頭頸部放射線療法患者に適用可能である。 [6] [7] (詳しい情報については、本要約の粘膜炎の管理粘膜炎の管理のセクションを参照のこと。)ある研究では、ガバペンチンが、放射線療法を受けた頭頸部悪性腫瘍の患者において、麻薬性鎮痛薬の投与量を減少させうるという有望な結果が示された。 [8] [証拠レベル:III]

外来患者のように、ほとんどの放射線療法患者の治療と合わせて、放射線療法による粘膜炎の多大な持続期間および重症度は、疼痛管理の課題となる。粘膜炎の重症度が増加し、局所疼痛の管理戦略が有効でなくなるにつれて、放射線療法による口腔粘膜炎の疼痛を管理するために全身鎮痛薬に依存する必要性が次第に増してくる: [9]


  • 頭頸部放射線療法患者には一般に出血のリスクがないため、鎮痛治療は非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)を用いて開始する。

  • 疼痛が増すにつれて、NSAIDをオピオイドと併用することで、患者を比較的楽にさせることができる。

NSAIDの用量は、推奨用量の天井値まで滴定されるが、一方、オピオイドは有効な疼痛緩和が得られるまで漸増される。全身鎮痛薬は、定常状態の血中レベルを達成し十分な疼痛緩和を提供できるように時間を決めて投与される。

さらに、補助的無痛を提供し、NSAIDとオピオイドの副作用を管理するために補助的薬剤が投与される。放射線療法と併用する亜鉛サプリメントにより、粘膜炎および皮膚炎が改善する場合がある。 [10] [証拠レベル:I]アルコールを含まないポビドンヨード口腔洗浄剤の使用で、抗腫瘍放射線療法により引き起こされる口腔粘膜炎の重症度を抑え、発現を遅らせる場合がある。 [11] [証拠レベル:I]

初期感染症

系統的レビューでは、頭頸部放射線療法中の臨床的な口腔カンジダ症の加重平均有病率は37.4%で、さらに同時に化学療法を受けている患者では有意に高い可能性があることが示されている。 [12] この集団で臨床的な真菌感染を促進する因子には、次を含む:


  • 唾液腺に対する放射線傷害に起因する唾液分泌減退。

  • 放射線誘発性口腔粘膜炎により引き起こされる組織損傷。

  • 結果として生じる摂食障害。

  • 口腔衛生の維持不能。

これらの患者は通常著しい好中球減少症ではないため、ナイスタチン含嗽液/錠剤およびクロトリマゾールトローチ錠のような局所抗真菌薬が有効なことがある。トローチ錠の使用は重度の口腔乾燥で制限される場合がある。局所抗真菌薬を投与している患者では、使用後30分以上は飲食または含嗽を避けるよう指導すべきである。可撤義歯を用いている患者では、局所抗真菌薬使用前に義歯を取り外すべきであり、さらに、義歯に定着している真菌による口腔組織への再度の定着を避けるために義歯を処理すべきである。

持続性の病変では、フルコナゾールのような全身薬が非常に有効である。

味覚障害

口腔および咽頭の粘膜が放射線に曝露されたとき、味覚受容体が損傷を受け、味覚識別が次第に低下してくる。 [13] [14] 放射線療法の数週間後に、患者が味覚がないと訴えることは一般的である。味覚受容体が回復し、機能するようになるには、一般的に放射線療法の終了後6~8週間以上必要である。硫酸亜鉛補充剤(220mgを1日2回または3回)が味覚の回復に役立つことが報告されている。 [15] [16] [証拠レベル:I]


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頭頸部放射線療法の晩期合併症

放射線療法による晩期口腔合併症は、主に、血管系、唾液腺、粘膜、結合組織および骨の慢性損傷の結果である。 [1] [2] [3] [4] これらの変化の種類および重症度は、総線量、分割線量および治療期間を含む放射線被曝量に直接関係している。

粘膜病変

粘膜病変には、上皮萎縮、血管新生低下および粘膜下線維化を含む。これらの変化により、粘膜バリアが萎縮し、易出血化する。筋肉、真皮および顎関節が線維化すると、口腔機能が低下する。唾液腺組織の変化には、腺房細胞の喪失、上皮管の変化、線維化および脂肪変性がある。血管新生および骨リモデリング能低下によって、骨壊死のリスクが生じる。

唾液腺機能低下および口腔乾燥

唾液腺に対する電離放射線は、唾液腺実質細胞、特に漿液性腺房細胞への炎症および変性作用を引き起こす。放射線照射に対する初期の唾液腺組織反応により、治療の第1週以内に唾液流量率が減少し、10Gyを超える線量では口腔乾燥(口腔乾燥の自覚的感覚)が出現する。

機能不全の程度は、放射線量および照射野にある唾液腺組織の容積に関係している。54Gyを超える線量は一般に、不可逆性の機能不全を誘発すると考えられている。漿液性の耳下腺は、非漿液性の下顎腺、舌下腺および小唾液腺の組織に比べて、放射線の作用の影響を受けやすい可能性がある。晩期唾液腺合併症に対して報告されている管理戦略は、一般に頭/頸部に対する放射線療法患者の急性合併症にも適用可能である。(詳しい情報については、口腔乾燥患者の口腔および歯牙の管理口腔乾燥患者の口腔および歯牙の管理のセクションを参照のこと。)

唾液腺機能低下(唾液腺分泌の減少)および口腔乾燥は、頭頸部領域への放射線療法の最も高頻度で重度の長期的な副作用の1つである。この有害事象は、放射線療法後の生涯の見通しの中で患者の生活の質に重大な影響を及ぼす。 [5]

口腔乾燥は、唾液腺機能低下により引き起こされる。味覚、嚥下および発声のような正常な口腔機能が働くには唾液が必要である。非刺激下の総唾液流量率が0.1mL/分未満であれば、病的低下と考えられる(正常唾液流量率は0.3~0.5mL/分)。 [6]

唾液腺組織の晩期変化には、腺房細胞の喪失、上皮管の変化、線維化および脂肪変性を含む。治療から第1週以内に著しい唾液流量率低下をもたらす放射線に対する初期反応に続いて、放射線療法後(治療後1~3ヵ月)に唾液分泌がさらに減少して口腔乾燥が悪化し、その後、唾液分泌および口腔乾燥は、一般に唾液腺組織に対する放射線の総線量に応じて、時間とともに次第に回復する(最大回復は治療から1~2年後)。 [6] 唾液腺機能の回復は通常不完全であり、全般的な乾燥の度合いは軽度から重度までの幅がある。

唾液腺機能低下および口腔乾燥は、例えば甲状腺がんに対する放射性ヨード療法および血液がんの治療に対する造血幹細胞移植の前処置での全身照射などの他の放射線療法レジメンでも、重症度はかなり低いが、続発症となる場合があることに注意すべきである。 [7] [8]

唾液腺機能低下の症候および徴候には、以下を含む:


  • 口腔乾燥。

  • 唇の乾燥/痂皮。

  • 唇交連裂。

  • 背側舌表面の萎縮。

  • 萎縮性および脆弱性の口腔粘膜。

  • 発語、咀嚼および嚥下の障害。

  • 義歯装着困難(無歯患者)。

  • 口腔灼熱感。

  • 味覚障害。

  • 口渇増大。

  • 辛い食べ物、濃い調味料に対する過敏症/疼痛。

照射ポータルから除外された唾液腺は、過形成となる場合があり、他の口腔部位にある非機能腺を部分的に補う。

唾液腺機能低下は、口腔の機械的清掃能および緩衝能も変化させるため、齲蝕(虫歯)および歯周疾患が加速されるリスクが高い原因となる。また、齲蝕の進行は通常唾液に含まれる抗菌蛋白の減少によって加速される。

要約すると、唾液腺機能低下により、以下に挙げる口腔の変化を生じ、それらが合わさって患者に不快感を与える原因となり、口腔病変のリスクが増大する:


  • 唾液粘度が増大し、その結果、口腔組織の潤滑が損なわれる。

  • 糖曝露後の酸生成のフラッシング/クリアランスが減少し、歯牙の脱石灰化が引き起こされるとともに、う蝕の原因ともなる。

  • 緩衝能および唾液pHが障害を受け、齲蝕および浸食のリスクが増大する。

  • 口腔細菌叢の病原性が高まる。

  • 患者の口腔衛生維持の障害(口腔粘膜痛および/または筋線維化/開口障害が原因)に起因する細菌プラークの堆積。

口腔乾燥患者の口腔および歯牙の管理

唾液腺機能低下および口腔乾燥が認められる患者では、口腔病変のリスクを最小化するために、高度の口腔衛生を維持しなければならない。予防処置をしなければ、歯周疾患が加速し、齲蝕が急増することがある。複数の予防戦略を検討すべきである。

口腔衛生プロトコル

系統的な口腔衛生を1日当たり4回以上実施する(食後および就寝前):


  • 歯磨き(口腔粘膜痛があり、開口困難であれば、小さいきわめて柔らかい歯ブラシを使用する)。

  • 歯磨きには、フッ化物含有歯磨き剤を用いる。

  • 毎日1回歯間清掃。

  • 齲蝕予防に、処方用量のフッ化物ゲルを就寝時に塗布。

  • 口腔組織を洗浄、潤滑し、口腔環境の酸性度を中和するために、塩とベーキングソーダの溶液(1カップの温水に小さじ1/2杯の塩と小さじ1/2杯のベーキングソーダ)で1日当たり4~6回含嗽。

  • 口腔を洗浄し、口腔乾燥を軽減するために、頻繁に水を摂取。

  • 糖分を多く含む飲食物を避ける。(詳しい情報については、がん医療における栄養に関するPDQ要約を参照のこと。)

フッ化物

[注: 非処方のフッ化物製品は、中等度から重度の齲蝕には不適切なため、処方用量のフッ化物を使用すべきである。う蝕の予防に十分なフッ化物が飲料水に含有されていなければ、経口フッ化物(すなわち、錠剤またはビタミン剤)を投与すべきである。]

局所フッ化物の使用が、齲蝕形成を最小化するのに有益であることが分かっている。放射線療法中に、マウスガードに局所1%フッ化ナトリウムゲルを満たし、上歯および下歯にかぶせることが推奨されている。この器具は5分間留置せねばならず、患者はその後30分間飲食を控えねばならない。

再石灰化溶液:


  • フッ化物およびカルシウム/リン酸塩。

  • 局所高濃度フッ化物。

  • 小児:局所および全身。

  • 成人:局所。

口腔乾燥の管理

唾液腺機能低下および口腔乾燥の予防

唾液腺機能低下および口腔乾燥の拡大を防いだり、減らしたりするために、腫瘍学的に実施可能であれば、耳下腺を保護した強度変調放射線療法(IMRT)が、頭頸部がん(HNC)における標準療法として推奨されている。さらに、顎下腺および小唾液腺は口腔組織の湿潤の主要な寄与因子であるため、治療はこれらの腺に対する照射線量をさらに減らす手段に重点を置くべきである。 [9]

放射線誘発性の唾液腺機能低下および口腔乾燥を抑えるための他の予防戦略は、一部の口腔咽頭および下咽頭/喉頭のがん患者において、照射ポータルに含まれていない顎下のスペースに顎下腺の1つを外科的に移動させることである。 [10] ; [11] [証拠レベル:I]

アミフォスチンは、HNC患者における急性または遅発性の口腔乾燥の抑制に加え、放射線または化学療法の有害作用に対する正常組織の保護を対象に承認された有機性のチオリン酸塩である。効果の程度は異なることが複数の研究で報告されている。 [12] [13] [証拠レベル:I]1件のランダム化プロスペクティブ研究では、頭頸部への放射線照射中に投与した静注アミフォスチンにより、局所腫瘍制御率、無増悪生存率、または全患者生存率に悪影響がみられることなく、アミフォスチンによる治療から2年後の口腔乾燥の重症度および持続時間が減少することが報告された。 [14] [証拠レベル:I]アミフォスチンの静注投与により、高血圧、嘔吐、吐き気およびアレルギー反応のような重度の有害反応が生じる場合がある。これらの有害事象は、アミフォスチンの皮下投与により減少する可能性がある。アミフォスチンにより可能性がある腫瘍保護のリスクは、依然として臨床上の関心事である。 [15]

口腔乾燥の軽減

放射線療法により誘発される唾液腺機能低下および口腔乾燥の治療は、主に対症療法である。口腔乾燥の軽減には、頻繁な飲水または口腔への水噴霧、代用唾液の使用、または味覚/咀嚼、薬理学的催涎剤あるいは鍼療法による損なわれていない唾液腺組織からの唾液分泌刺激を含む。 [9]

代用唾液または人工唾液製品(例えば、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ポリグリセリンメタクリル酸、ムチンまたはキサンタンゴムを含有する含嗽薬またはゲル)は、口腔粘膜を一時的に湿潤することで、口腔乾燥による不快感を緩和する症状緩和目的の手段である。 [9]

無糖のロゼンジ、酸性キャンディーまたはチューインガムにより、唾液腺組織の残存能力を刺激することで、口腔乾燥の一時的な緩和が得られることがある(酸性物質は、歯牙の脱石灰化の原因となる可能性があり、歯がある患者には推奨されない場合がある)。 [9]

ピロカルピンは、放射線療法による口腔乾燥に対する催涎剤(塩酸ピロカルピン5mg錠)として、米国食品医薬品局によって使用が承認されている唯一の薬物である。治療は、5mgの1日3回の経口投与で開始する;その後、至適な臨床反応を達成し、有害事象を最低限に抑えるよう用量を調整する。連日の大量投与により高い有益性がみられる患者もいるが、用量に比例して副作用の発生率も増大する。ピロカルピンの投与を開始してから1週間以内に、夕方の投与量を10mgに増量できる。次に、午前および午後の用量も1回当たり最大10mgに増量してもよい(30mg/日)。増分間を7日間にすることにより、患者の耐容性が確認される。

臨床的に有益な用量で最もよくみられるピロカルピンの副作用は多汗症(過剰発汗)であり、その発生率および重症度は、用量に比例する。また、一般に5mgの1日3回より多い用量では、次のことが報告されている:


  • 吐き気。

  • 悪寒。

  • 鼻漏。

  • 血管拡張。

  • 流涙増大。

  • 膀胱圧増大(尿意切迫および頻尿)。

  • めまい。

  • 無力症。

  • 頭痛。

  • 下痢。

  • 消化不良。

ピロカルピンは、通常、摂取後30分以内に唾液流量を増大させる。最大反応は継続使用(8週間超)の後にしかみられないことがある。 [16] [証拠レベル:I]

放射線療法中のピロカルピン投与により、治療中および治療後の唾液腺障害および口腔乾燥が減少する可能性があることが示唆されている。しかしながら、HNC患者249人のランダム化研究では、放射線療法中のピロカルピンの併用は、唾液流量の維持にもかかわらず、生活の質または唾液腺機能の患者評価に良い影響を与えなかった。 [17] [証拠レベル:I]ピロカルピンの効果は、治療中に耳下腺に照射された放射線量に依存すること、すなわち、耳下腺の平均線量が40Gyを超える患者では、ピロカルピンにより耳下腺機能が保存され、口腔乾燥が抑えられる可能性があり、特に12ヵ月で顕著であったことが示されている。 [18] [証拠レベル:I]

セビメリン(30mgを1日3回)も、逸話的には放射線誘発性の口腔乾燥の管理に効果があるとみられる。 [19] ; [20] [証拠レベル:I]セビメリンは、シェーグレン症候群の管理における使用にのみ承認されているが、適切な臨床試験が進行中であり、その有効性がまもなく確立されるはずである。セビメリンは、M3ムスカリン性レセプタに対してピロカルピンよりも優れた選択的結合性を有するが、このことが放射線による口腔乾燥の治療に有利であるかは、依然として不明である。

鍼療法は、唾液腺機能が残存している患者を対象とした放射線誘発性の口腔乾燥治療に対する一種の介入を提供するとみられ、重大な有害事象を伴わない治療法である。 [21] [22] [23] 偽鍼治療を含むランダム化対照比較臨床試験がさらに必要である。

低強度の電流を口腔粘膜に流す-したがって、唾液反射の求心性ニューロンおよび遠心性ニューロン(例えば、舌神経)を刺激することで、唾液腺分泌が刺激される-口腔内電気刺激器具が開発中で、検証が行われており、口腔乾燥の緩和に有望な初期結果が得られている。 [24] ; [25] 電気刺激器具を頭頸部放射線療法患者に使用した場合は、特別な配慮が指示されるとみられる。 [26] [証拠レベル:I]さらに研究が必要である。

齲蝕

齲蝕のリスクは、う蝕原性細菌叢へのシフト、唾液中の抗菌蛋白質濃度の低下および石灰化成分の喪失など、多くの因子の後に高まる。 [3] (詳しい情報については、本要約の化学療法と頭頸部放射線療法の両方によって影響を受ける条件化学療法と頭頸部放射線療法の両方によって影響を受ける条件のセクションを参照のこと。)体系的レビューで報告されているように、抗腫瘍療法後の患者における腐食、欠損または詰め物をした歯(DMFT)の総数は、9.19(標準偏差[SD]、7.98;n = 457)であった。放射線療法後の患者におけるDMFTは、17.01(SD、9.14;n = 157)であり、化学療法後の患者(DMFT、4.5)よりきわめて多かった。 [27]

治療戦略は、齲蝕のプロセスの各構成要素を標的とする必要がある。最適な口腔衛生を維持しなければならない。口腔乾燥は、唾液の代替または唾液の置換によって、可能な限り管理すべきである。局所フッ化物および/または再石灰化剤の使用により、齲蝕への抵抗力が高まる。局所製剤の効力は、歯牙への塗布にビニール担体を用いて接触時間を延長させることによって増強する。フッ化物トレイの使用に対する遵守が効果的でない患者では、歯磨き用ゲルおよび含嗽薬の使用を指示すべきである。

ミュータンス-レンサ球菌(Streptococcus mutans)およびラクトバシラス属(Lactobacillus species)の定着が増大することによって、齲蝕のリスクが高まる。培養データは、定着パターンに関するリスクのレベルを定義するのに有用である。局所フッ化物またはクロルヘキシジン含嗽薬により、ミュータンス-レンサ球菌(S. mutans)のレベルは低下することはあるが、ラクトバシラス属(Lactobacilli)には無効である。フッ化物とクロルヘキシジンの投与では、有害な薬物間相互作用があるため、数時間の間隔を空けるべきである。

リン酸カルシウムおよびフッ化物に多く含まれる再石灰化剤は、in vitroでの有益性および臨床効果が実証されている。この介入は、カスタマイズしたビニール担体で送達することにより増強される。このアプローチによって、有効薬剤が歯牙構造に接触する時間が長くなり、エナメル質への取りこみが増大する。

放射線療法後の患者における齲蝕管理の系統的レビューにより、以下の結論が導かれた: [27] [28]


  • フッ化物:フッ化物製品の使用により、放射線療法後の患者で齲蝕活動性が低下する。フッ化物ゲルの種類または使用するフッ化物デリバリーシステムは、齲蝕活動性にほとんど影響を与えない。

  • クロルヘキシジン:クロルヘキシジン含嗽薬の使用により、プラークスコアおよび口腔のミュータンス-レンサ球菌(Streptococcus mutans)スコアが低下する。この減少は、ラクトバチルス菌(Lactobacillus)の数ではみられなかった。

  • 歯科修復材:放射線療法を受けた患者では、従来のグラスアイオノマー修復材の性能は、樹脂修正グラスアイオノマー、複合樹脂、アマルガム修復材より劣っていることを示唆する証拠が得られている。

放射線骨壊死

放射線骨壊死(ORN)のリスクは、照射線量および照射された組織の容積に直接関連している。下顎骨の各半分に対して一側の血管で供給されるため、上顎骨よりも下顎骨で最も高頻度にORNが発生する。認められる臨床的特徴には以下を含む:


  • 疼痛。

  • 知覚の低下または完全喪失。

  • 瘻孔。

  • 感染。

障害がある骨は罹患部位での修復が適切に行えないため、病的骨折が発生することがある。組織壊死のリスクは、外傷または口腔感染にある程度関連している;しかしながら、特発性の症例も発生することがある。頭頸部に高線量放射線療法を受けた患者は、生涯にわたりORNのリスクがあり、全体でのリスクは約15%である。

理想的には、放射線療法後のORNの管理は、放射線療法開始前の包括的な口腔および歯科ケアで始める予防を基本とする。照射後に外科的治療が必要となるような重篤な歯原性感染、または歯周ないし粘膜感染の原因となると考えられる口腔疾患を特定するために、歯列、歯周組織、歯根尖周囲組織および粘膜を徹底的に診査すべきである。口腔疾患は治療前に根絶しておくべきである。不良な予後を示し、高線量照射野にある歯列は、放射線療法を開始する前に抜歯すべきである。理想的には、放射線療法開始前の治癒には7~14日間以上見込むべきである;最長で21日間を考慮するよう提案している研究者もいる。外科的手技は可能な限り無傷的なものとし、第一に創閉鎖術を用いるべきである。

ORNを発症した患者では、以下について包括的に管理すべきである:


  • 外傷の解消。

  • 義歯装着部位が骨壊死領域内にあれば可撤性歯科補綴物を回避。

  • 十分な栄養摂取の確保。

  • 禁煙および禁酒。

局所抗生物質(例えば、テトラサイクリン)または消毒薬(例えば、クロルヘキシジン)が、創傷の消退に役立つであろう。実施可能な部位であれば、必ず露出骨を粘膜で被覆すべきである。疼痛コントロールには、しばしば鎮痛薬が有効である。腐骨の局所切除も可能である。

骨壊死の管理に対して高圧酸素療法(HBO)が推奨されるが、ただ、これは一般には受け入れられていない。HBOは照射組織の酸素化を増加させ、血管新生を促進し、骨芽細胞の再増殖および線維芽細胞機能を高めることが報告されている。HBOの処方は、通常、100%酸素および2~2.5気圧で20~30回とする。外科手術が必要であれば、術後に10回のHBOが推奨される。残念ながら、HBO技術は、入手可能な装置が不足しており、医療費が高額なため、他に有益な方法がある患者では、必ずしも利用できるわけではない。

治療依存的頻度、現行の管理戦略、および今後の研究に関する系統的レビューが公表されている。 [29] 1990年から2008年の計43編の公表文献が精査された。ORNの加重有病率には、以下を含む:


  • 従来の放射線療法で、7.4%。

  • IMRTで、5.1%。

  • 化学療法で、6.8%。

  • 小線源治療で、5.3%。

HBOは、ORN管理において役割を担う可能性がある。しかしながら、文献調査に基づくと、ORNの予防または治療に対する明解な推奨は確定できなかった。このレビューでは、IMRTおよび化学放射線同時療法のような新しいがん治療法は、ORNの有病率への影響を最小限に抑えていると結論している。生活の質または医療費に対するORNの影響を体系的に扱った研究はない。これらを総合した問題に取り組む研究が必要である。

ORNの重症例では、下顎部分切除術が必要な場合がある。美容および機能を維持すべく、下顎は再建することができる。これらの患者の管理には、腫瘍医、腫瘍看護師、顎顔面補綴歯科医、一般歯科医、衛生士および理学療法士を含む集学的がん治療チームが適切である。

組織壊死

頭頸部腫瘍への放射線療法を受けた患者では、過去に照射した組織にみられる壊死および二次感染は重篤な合併症である。 [3] 急性反応は、一般的に、口腔粘膜に認められる。骨および粘膜にみられる慢性的な変化は、血管炎症および瘢痕のプロセスの結果であり、次に、これらの症状により乏血管性変化、低細胞性変化および低酸素性変化を来す。組織損傷に付随する感染症と骨壊死には、プロセスの交絡がみられる。

軟部組織壊死は口内のあらゆる粘膜表面を冒すが、非角化表面はやや高いリスクがあるようである。外傷および損傷は非治癒性軟部組織壊死病変と関連することが多いが、ただ、自然発生的な病変も報告されている。軟部組織壊死は粘膜表面における潰瘍性断裂として始まり、直径および深度が拡がる。軟部組織壊死が悪化するにつれて、一般に疼痛はより顕著になる。二次感染が危険である。

下顎不全

放射線療法および外科手術に続発して、筋骨格症候群がみられることがある。病変には、軟部組織線維化、外科的に生じた下顎不連続、ならびにがんおよびがん治療により引き起こされる情動ストレスと関連する非機能運動習癖を含む。患者には、下顎ストレッチング運動のほか、線維症の重症度を低下させるようデザインされた補綴具の使用のような理学療法による介入を指示することができる。これらのアプローチは、開口障害を生じる前に開始することが重要である。臨床的に重大な変化が発生した場合は、以下を含むいくつかのアプローチが検討できる:


  • 咬合の安定化。

  • 発痛点への注射およびその他の疼痛管理の戦略の使用。

  • 筋弛緩薬の投与。

  • 三環系抗うつ薬の投与。

開口障害

開口障害は、咀嚼障害による栄養低下、会話困難、口腔衛生障害などの重大な健康的影響を伴い、放射線療法後の重大な罹病率と関連している。 [30] 顎の開口制限は、顎関節および/または咬筋/翼突筋に放射線を照射した患者の6~86%に報告されており、発生頻度および重症度はやや予測不能である。 [31]

放射線療法による下顎運動の機能喪失および可動範囲制限は、咀嚼筋の線維化および損傷に関連しているとみられる。これらの反応では線維芽細胞の異常増殖が重要な初期イベントであることが複数の研究により実証されている。さらに、放射線療法または手術による瘢痕組織、神経損傷、あるいはこれらの因子が合わせてみられる場合がある。直接原因とは無関係に、下顎の可動性低下により最終的に筋肉および顎関節の変性に至る。

顎関節、翼突筋または咬筋を照射野に含んだ放射線療法は、開口障害を引き起こす可能性が最も高い。 [30] この種の放射線療法に関連した腫瘍が、以下の部位に現れることがある:


  • 上咽頭。

  • 口腔。

  • 中咽頭。

  • 舌根。

  • 唾液腺。

  • 上顎または下顎。

開口障害の有病率は、放射線量の増加に伴って高くなり、60Gyを超える線量では開口障害が生じる可能性がさらに高い。 [5] 過去に放射線療法を受けており、再発に対して治療を受けている患者では、治療を初めて受けている患者より開口障害のリスクが高いとみられる。 [32] [33] これは、放射線の影響が長年経過しても累積することを示唆している。放射線誘発性の開口障害は、放射線療法の後期の方で始まる場合、またはその後の24ヵ月の任意の時期に始まる場合がある。開口の制限幅は、数週間または数ヵ月かけてゆっくり大きくなることが多い。この状態は、治療をしていなくとも、時間をかけて悪化する場合、同じ状態が続く場合、または症状が時間とともに緩和する場合がある。

開口の制限は、栄養状態悪化の原因となることが多い。これらの患者では、重大な体重減少または栄養不良が認められることがある。 [34] 初期体重から10%を超える体重減少を意味があるとみなすことが一般に受け入れられている。患者が手術、化学療法および/または放射線療法から回復中の時点では、これが特に重要である。さらに、それが社交会食の能力を低下させるため、社会的孤立のリスクを高め、HNC患者の生活の質を低下させることになる。

最後に、開口の制限は、口腔衛生の障害原因となることがある。唾液腺を照射野に含む放射線療法を受けた患者は、齲蝕予防のため高度の口腔衛生を維持しなければならない。口腔衛生不足は、粘膜および歯牙の問題を悪化させ、その後に下顎のORNのリスクが高まることがある。また、歯科処置およびその他の手術などの口腔ケア手段の実施がさらに困難になることがあり、腫瘍学的な追跡調査に支障を来す可能性さえある。

従来の放射線療法による開口障害の加重有病率は、25%と推定されているが、IMRTではわずか5%である。化学療法の研究による開口障害の有病率は、約30%である。 [35]

予防戦略

開口障害に対する初期治療は、この障害の帰結の多くを予防または最小化する可能性がある。臨床検査で開口制限があることが判明し、その症状が開口障害であるとの診断が確定した場合は、実施可能な限り早く治療を開始すべきである。制限がさらに重度になり、不可逆性の可能性が高くなるにつれて、治療の必要性はさらに緊急を要する。

数年にわたって、臨床医は、多彩な歯列矯正器具を用いて開口障害の予防または治療を試みてきた。これらの器具には、以下を含む:


  • 頭部に合わせたケージ。

  • 歯間に合わせた太いバネ。

  • 中切歯間に取り付けるスクリューネジ。

  • 歯間に取り付けるハイドロリックバルブ。

これらの器具の費用はさまざまである。連続受動運動具のような一部の器具は、患者ごとに合わせて製作しなければならない;他にも、1週間当たり数百ドルまでのレートで、日また週単位で貸し出すものもある。最も安価な選択肢は、舌圧子であり、顎の移動に多年にわたり使用されている。しかしながら、文献検索では、舌圧子により開口障害の治療で有意な改善を示した研究は見当たらなかった。

治癒アプローチ

一部の治療介入は、がん治療関連の開口障害の重症度を低下させる点で、ある程度の有効性を示しているとみられる(例えば、ペントキシフィリン [36] [37] 、ボツリヌス毒素 [38] 、Therabite器具を用いた運動 [39] 、およびDynasplint Trismus System [40] )。しかしながら、この提案された有効性はランダム化対照比較研究で確認しなければならず、それがこの分野では欠けている。

今後の研究方向の推奨

放射線腫瘍学の教本では、HNC患者に対する放射線療法の続発症としての開口障害に言及していないことが多く、この病状の有病率および重要性の認識が欠けている原因となっている。Radiation Therapy Oncology GroupおよびEuropean Organization for Research and Treatment of Cancerによって、LENT(正常組織における晩期障害)罹病スケールを開発する試みが進行中である。米国国立がん研究所のコンセンサス会議は、晩期毒性のSOMA(主観的、客観的、管理、解析)分類を導入した。しかしながら、両スケールは、腫瘍臓器を中心に扱っており、皮膚傷害および開口障害は扱っていない。これは、これらのスケールの今後の改定で修正すべきである。

公表された研究で開口障害の有病率が高いこと、および開口障害に関連する生活の質における欠点を考慮して、患者教育、予防、および早期治療選択肢に関する努力を強めることが必要である。管理を改善し、放射線療法関連の開口障害の低減および生活の質におけるIMRTの有益性、ならびにこの放射線療法でよくみられる口腔続発症の経済的影響を確認するためには、開口障害の予防および治療を含む大規模なプロスペクティブ試験が必要である。

最新の臨床試験

現在、参加者を受け入れている口腔乾燥についての支持療法と緩和ケアの試験は、NCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
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化学療法と頭頸部放射線療法の両方によって影響を受ける条件

唾液腺機能低下および口腔乾燥

放射線療法は、唾液腺を損傷し、重度の唾液腺機能低下および口腔乾燥を引き起こすことがある。(詳しい情報については、本要約の頭頸部放射線療法の口腔合併症頭頸部放射線療法の口腔合併症のセクションを参照のこと。)さらに、特定の化学療法薬(単独または併用投与)が、唾液腺機能障害および口腔乾燥の原因に関与している。 [1] しかしながら、唾液腺機能に対するがん化学療法の影響については、一貫した結論を導くことは不可能であった。 [2]

嚥下困難

嚥下困難および嚥下痛は、がん患者ではよくみられ、治療の前・中・後に認められることがある。


  • 嚥下困難により、誤嚥が起こりやすくなり、命に関わる肺合併症の可能性もある。 [3]

  • 嚥下障害は、好ましくない食事の変化および経口食の減少につながる場合があり、脱水、栄養失調、創傷の治癒遅延、および感染への抵抗力低下の原因となることもある。

  • 経管栄養が必要になることがあり、さらに嚥下が困難になる。

  • 嚥下痛の管理で投与されるオピオイドは、口腔乾燥および便秘を引き起こす可能性がある。

  • 会話困難、飲食困難、またはよだれは、メンタルヘルスに影響を与え、患者および家族を社会的に孤立させる場合がある。

これらの問題のすべてに加えて、患者の嚥下困難の自覚は、健康関連の生活の質を著しく低下させる。 [3] [4]

嚥下困難は、頭頸部がん患者では最も突出しているが、他の悪性腫瘍の患者でも、口腔咽頭および食道の粘膜炎または感染として発生することがある。さらに、嚥下困難は、移植片対宿主病と関係している場合がある。

頭頸部腫瘍に関連する治療前の嚥下困難の有病率および重症度は、腫瘍病期および患部の位置によって決まる。 [5] 治療前の嚥下困難の有病率は、咽頭がんおよび喉頭がんの患者で最も高い。 [6] 頭頸部腫瘍に対する外科的介入は、嚥下困難の部位特異的なパターンを伴う解剖学的または神経学的傷害の原因となる。 [7] 一般的に、切除範囲が大きいほど、嚥下機能が大きく阻害される。

放射線誘発性の嚥下困難の重症度は、次によって決まる: [8]


  • 全身放射線照射線量。

  • 分割サイズおよびスケジュール。

  • 標的容積。

  • 治療デリバリー技術。

  • 同時化学療法。

  • 遺伝因子。

  • 摂食状況(経皮的内視鏡下胃瘻造設術[PEG]チューブ経由またはnil per os[NPO、絶食])。

  • 喫煙状況。

  • 心理学的対処因子。

強化スケジュールおよび化学放射線療法の使用は、局所制御率および生存率を改善することが示されているが、より重度の急性および慢性の副作用と引き換えに得られたものである。強度変調放射線療法(IMRT)は、周囲の健康な組織への曝露を抑えると同時に、腫瘍およびリスクがある領域に十分な放射線量を照射する有効な技術として出現している。しかしながら、生体組織の保存は必ずしも嚥下機能の保存には結びつかない。 [9]

化学放射線療法または化学療法単独により生じる粘膜炎、浮腫、疼痛、粘性唾液の肥厚化および唾液分泌減退、放射線皮膚炎、および感染は、すべて急性嚥下困難の一因となる場合がある。上皮成長因子阻害剤の使用は、粘膜炎および急性嚥下困難の増加とは無関係とみられる。 [10]

治療から3ヵ月までに、急性の臨床作用はほぼ消失し、ほとんどの患者で正常な嚥下機能が再開される。残念ながら、化学放射線療法を受けた頭頸部がん患者では、酸化的ストレスおよび低酸素に誘発された炎症性サイトカインの連続カスケードにより、曝露された組織が傷害を受け、嚥下困難が治療終了から数年後でも発生することがある。慢性嚥下困難の一因となる晩期続発症には、以下を含む:


  • 毛細血管流量減少。

  • 萎縮および壊死。

  • リンパ浮腫。

  • 開口障害および狭窄形成につながる神経筋線維化。

  • 唾液分泌減退。

  • 感染。

嚥下困難の管理に成功するには、以下が求められる:


  • 学際的協力。

  • 正確で早期の診断検査。

  • 効果的な予防および治療戦略。

  • 独特の患者特性に応じて個々の患者に合わせたアプローチ。

嚥下困難および誤飲に関連する組織が特定されており、これらの周辺組織への放射線照射を最低に抑えることで、良好な嚥下転帰が得られる。 [11] 唾液分泌減退は嚥下機能に影響するため、IMRTおよびアミフォスチンの使用などの唾液腺の保存を目指した戦略により嚥下転帰が改善する可能性がある。 [12] [13]

頭頸部がんに対する化学放射線療法後に持続する嚥下機能障害の予測モデルが開発されている。 [14] 嚥下機能および誤嚥リスクの評価、ならびに患者教育および嚥下治療を含む治療計画の立案には、会話および言語療法士の早期関与が不可欠である。 [15] 適切で安全な栄養摂取を確保するには、栄養士の協力が重要である。義歯による介入で、嚥下能力が改善する可能性があり、精神的な支援により患者に利益をもたらす場合もある。

味覚異常

味覚異常は、化学療法または頭頸部放射線療法を受けている患者にみられる主症状となりうる。 [16] [17] 病因は、味蕾に対する直接神経毒性、口腔乾燥、感染症および心理的状態などのいくつかの因子と関連している可能性が高い。さらに、味覚機能障害は、移植片対宿主病によって引き起こされる味覚認識単位に対する傷害と関連している可能性がある。(詳しい情報については、本要約の移植片対宿主病移植片対宿主病のセクションを参照のこと。)

がん化学療法を受けた患者は、口腔への薬剤の拡散に続いて発生する不快な味覚を感じることがある。さらに、化学療法患者では、細胞毒性治療を中止してから早期の週に味覚異常を訴えることが多い。この症状は一般に可逆性であり、発症の翌月には味覚は正常に回復する。

しかし、これとは対照的に、30Gyを超える総分割照射を受けると、甘味、酸味、苦味および塩味の鋭敏さが低下する。微絨毛および味覚細胞の外表面に及ぶ障害が、味覚喪失の主な機序であるとみられている。多くの場合、味覚鋭敏度は、放射線療法中止後2~3ヵ月で回復する。しかしながら、味覚異常が持続する患者も多い。一部の患者で亜鉛サプリメント(硫酸亜鉛220mgを1日2回)が有用なことが報告されている;この治療の全体的な有益性は、未だ明らかではない。 [18] ; [19] [証拠レベル:I]

栄養の留意点

頭頸部がん患者では栄養面の問題が生じるリスクが高くなる。栄養失調の原因は以下のものである: [20]


  • 悪性腫瘍自体。

  • 診断後の栄養不良。

  • 手術、放射線療法、および化学療法の合併症。

がん患者では、粘膜炎や口腔乾燥、味覚喪失、嚥下困難、吐き気、嘔吐などによって食欲の喪失が起こりうる。QOLは、食事が困難になるにつれて低下する。飲食時の口腔痛のために口腔組織の状態を悪化させない食物を患者が選ぶようになり、しばしば栄養摂取が十分に確保されないことがある。栄養の不足は、摂取物の食感や硬さを変更したり、食事回数の増加や間食によってカロリーおよび蛋白質摂取量を増やしたりすることにより最小化できる。継続的な栄養評価と登録栄養士によるカウンセリングが患者の治療計画に組み込まれるべきである。 [21]

放射線療法のみを受けている患者の多くは軟食であれば摂取可能であるが、治療が進むにつれて高カロリー高蛋白の液体栄養補助食品を用いた流動食への変更を迫られる患者が大半を占めるようになり、栄養所要量を確保するために経腸栄養管が必要になる場合もある。化学療法と放射線療法の併用の場合、ほぼすべての患者が治療開始から3~4週間以内に経腸栄養に完全に依存するようになる。重大な体重減少がみられる前に、治療開始時に経腸栄養を開始することの有益性が数多くの研究から実証されている。 [22] [23]

経口栄養は治療終了後、照射部位が十分に治癒してから再開する。経口栄養にはしばしばチームによるアプローチが必要となる。固形食摂取の再開には、手術や治療による生じる嚥下困難の評価のために、しばしば発話および嚥下の治療専門家の支援が必要かつ有益となる。患者の経口摂取量が増えてれば経管栄養の回数を減らすことが可能となり、経管栄養の中止は患者の栄養所要量の75%が経口摂取で確保されるようになった時点とする。患者のほぼすべてが十分な経口摂取を再開できるものの、多くの患者が味覚変化や口腔乾燥、さまざまな程度の嚥下困難などの慢性的な合併症を経験し、それによって栄養状態やQOLの低下を来すことがある。 [20] [21]

疲労

大量化学療法および/または放射線療法を受けているがん患者には、疾患またはその治療のいずれかに関連する疲労が認められることがある。 [24] これらのプロセスでは、睡眠不足または代謝異常を生じることがあり、合わさって口腔状態悪化の原因となる。例えば、疲労がある患者は、規則正しく行えば粘膜潰瘍、感染および疼痛のリスクを最小化するようデザインされた口腔ケアのプロトコルに対するコンプライアンスが不良となる可能性が高い。また、生化学的異常が多数の患者に関与している可能性がある。精神社会学的要素も重要な役割を果たしており、うつ病は全身的な疲労の原因となる。(詳しい情報については、疲労に関するPDQ要約を参照のこと。)


参考文献
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心理社会的問題

口腔粘膜炎 [1] および唾液腺機能低下/口腔乾燥 [2] を含むがんによる口腔合併症は、食事およびコミュニケーションといった人間の最も基本的な活動に影響を及ぼすため、短期的にも長期的にもがん患者が遭遇する最も悲惨な問題の1つである。これらの問題を抱える患者が、口腔合併症とともに生きる中で遭遇する困難およびフラストレーションの結果、引きこもりや、社会からの回避、臨床的にうつ状態になることがある。

このような患者の治療において、向精神薬による介入を実施する場合、口腔合併症が改善するか、少なくとも悪化しないような薬物を選択することが重要である。例えば、うつ病の治療では、口腔乾燥および唾液腺不全がみられる患者では、抗コリン作用が高い薬物は避けるべきである。(詳しい情報については、がんへの適応:不安と苦痛およびうつ病に関するPDQ要約を参照のこと。)

がん治療に関係する口腔合併症が認められる患者には、教育および症状の管理を含む支持療法が重要である。各患者の苦痛レベル、対処能力および治療に対する反応を、綿密にモニタリングすることが重要である。このアプローチにより、医療従事者が、患者の合併症に対する気遣いを発揮でき、患者および介護家族を教育できる状況が可能になる。スタッフおよび家族が実施する包括的支持療法によって、がんおよび合併症に対する患者の対処能力が高まる。


参考文献
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小児集団に対する特別な考慮

歯牙の成長および発育の変化は、小児悪性腫瘍に対する大量化学療法および/または頭/頸部への放射線療法を受けた長期のがん生存者に生じる頻度の高い合併症である。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] 4Gyと低い放射線量でも、ヒトに限局性の歯牙欠陥を引き起こすことが示されている。 [9] [10]

12歳未満で治療された小児における成長障害は、一般に頭蓋顔面発育に加え、歯牙のサイズ、形状および萌出にも影響する。


  • 歯牙の異常形成には、歯冠サイズの減少、短縮歯根および円錐状歯根、矮小歯があり、ときに、完全無形成が起こりうる。

  • 上顎犬歯が埋伏することが多くなるなど、歯牙の発生が遅延しうる。

  • 短縮歯根は、歯槽突起の消失に関係しており、咬合垂直間距離の減少につながる。

  • 前処置により生じた上顎および下顎の成長中心の障害により、頭蓋顔面複合体の完全な成熟が損なわれることがある。

その変化は左右対称となる傾向があるため、その影響は常に臨床的な事象となるわけではない。頭部X線解析が、一般にその状態の範囲を想定するために必要となる。

歯牙および頭蓋顔面の奇形の程度および位置は、主としてがん治療を開始した年齢および使用したがん治療レジメンにより決まる。治療時点で5歳または6歳より若い小児(特に化学療法と頭頸部放射線療法を同時に伴う治療を受けた小児)は、 それ以上の年齢の小児または化学療法のみを受けた小児より、歯牙および頭蓋顔面の奇形の発生率が高いとみられる。 [11] [12]

移植関連の咬合異常、または歯牙の成長および発育の変化がみられる患者に対する矯正治療の役割および時期については、十分に確立されていない。具合よく管理されている矯正的介入の数は、増加しているようであるが、歯牙を移動するのに用いる最適な力およびペースをはじめとする特異的管理ガイドラインは、まだ確定していない。上顎構造および下顎構造の成長の改善に関係する成長ホルモンの影響は、未だ包括的に研究されていない。このような研究によって、矯正治療の推奨が進むであろう。(詳しい情報については、小児がん治療の晩期障害に関するPDQ要約を参照のこと。)

小児患者の口腔合併症の管理は、口腔毒性に向けた研究基盤が比較的限られているため、さらに困難である。そのため、新たな包括的な調査研究が必要である。


参考文献
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本要約の変更点(12/16/2016)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約には編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約について本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、化学療法および頭頸部放射線療法の口腔合併症の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。 委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Oral Complications of Chemotherapy and Head/Neck Radiation.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/mouth-throat/oral-complications-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389320]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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