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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリング(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-11-22
    翻訳更新日 : 2017-01-20

PDQ Cancer Genetics Editorial Board

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングについて包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Cancer Genetics Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

がんの遺伝学

[注: 本要約で用いられている医学および科学用語については、NCI Dictionary of Genetics Termsに解説が用意されている。リンクが張られた用語をクリックすれば、別のウインドウにその定義が表示される。]

[注: 現在、遺伝学的多様性を記載するための用語体系を変化させるべく、遺伝学のコミュニティにおいて協調的な取組みが進められている。その変化とは、研究対象の個人または集団と参照配列との間に存在する遺伝学的な差異を記載する際に、従来の「mutation(突然変異ないし変異)」ではなく、「variant(多様体ないしバリアント)」という用語を使用するというものである。多様体はさらに、良性(無害)(benign [harmless])、おそらく良性(likely benign)、意義不明(of uncertain significance)、おそらく病原性(likely pathogenic)、病原性(疾患を引き起こす)(pathogenic [disease causing])のいずれかに分類することができる。本要約では、全体を通じて、疾患を引き起こす突然変異に対して病原性多様体(pathogenic variant)という用語を使用する。多様体の分類に関する詳しい情報については、がん遺伝学の概要の要約を参照のこと。]

本要約では、遺伝的にがんになりやすいかどうかの評価とそれに関するカウンセリングについて、取り組みの現状を説明する。遺伝カウンセリングとは、米国遺伝カウンセラー学会(National Society of Genetic Counselors)により、疾患に対する遺伝的寄与の医学的、心理学的、および家族的意味合いを人々が理解し、適応するのを助ける過程と定義されている。がんのリスク評価、カウンセリング、および遺伝子検査の経過について概要を示したレビューが数件ある。 [1] [2]

遺伝性がんを示唆する特徴を伴う個人歴および/または家族歴(母方または父方家系)を有する人は、がんリスク評価の候補と考えられる。 [1] これらの特徴はがんの種類および特異的な遺伝的症候群により異なる。遺伝カウンセリングにより利益が得られる個人を同定しやすいように基準が発表されている。 [1] [3] 乳がん卵巣がん子宮内膜がん大腸がん前立腺がん腎がん皮膚がん、および内分泌および神経内分泌腫瘍に関するPDQがん遺伝学情報要約では、これらの病態と関連している遺伝的症候群の臨床的特徴が記述されている。

以下は、遺伝性がんを示唆する特徴である:


  • 異常に若い年齢でのがん発症(例、閉経前乳がん)。

  • 1人で複数の原発がんを発症(例、大腸がんおよび子宮内膜がん)。

  • 対臓器に両側性のがん、または多発性病変の発症(例、両側乳がんまたは多発性腎がん)。

  • 近親血縁者に同じ種類のがんが多発(例、母親、娘、および姉妹が乳がん)。

  • 家系の複数世代にわたるがんの発症(すなわち、常染色体優性遺伝)。

  • まれな腫瘍の発症(例、網膜芽細胞腫、副腎皮質がん、卵巣顆粒膜細胞腫、眼内黒色腫、または十二指腸がん)。

  • 珍しいがん(例、男性の乳がん)。

  • まれな腫瘍の組織型(例、甲状腺髄様がん)。

  • 先天性異常に関連するまれながん(例、ウィルムス腫瘍と泌尿生殖器奇形)。

  • 遺伝性がんリスクが高いことが知られている地理的または民族的集団。特定の集団(例、アシュケナージ系の血筋およびBRCA1/BRCA2 病原性多様体)において強い創始者効果が存在する場合は、民族性のみに基づいて遺伝子検査の候補が同定される。 [4] [5] [6]

遺伝子検査は遺伝学教育および遺伝カウンセリング過程の一環として、次の因子が存在する場合に検討される:


  • がんの遺伝的素因について、個人歴(民族性を含む)および/または家族歴が疑わしい。

  • 遺伝子検査が、解釈するのに十分な感度および特異度を有する。

  • 検査が個人の診断、がん管理またはがんリスク管理に影響し、および/または家系員のリスクを明らかにするのに役立つ。 [7] [8] [9]

遺伝子検査の候補者は、説明を受けた上での意思決定およびリスクまたは状況への適応を容易にするために、検査前に遺伝学教育および遺伝カウンセリングを受けることが重要である。 [1] 遺伝学教育および遺伝カウンセリングにより、個人は異なる検査結果に基づくさまざまな医学的不確実性、診断、または医学的管理について熟考できるほか、遺伝子検査のリスク、有益性、および限界が提供される。


参考文献
  1. Riley BD, Culver JO, Skrzynia C, et al.: Essential elements of genetic cancer risk assessment, counseling, and testing: updated recommendations of the National Society of Genetic Counselors. J Genet Couns 21 (2): 151-61, 2012.[PUBMED Abstract]

  2. Weitzel JN, Blazer KR, MacDonald DJ, et al.: Genetics, genomics, and cancer risk assessment: State of the Art and Future Directions in the Era of Personalized Medicine. CA Cancer J Clin 61 (5): 327-59, 2011 Sep-Oct.[PUBMED Abstract]

  3. Hampel H, Bennett RL, Buchanan A, et al.: A practice guideline from the American College of Medical Genetics and Genomics and the National Society of Genetic Counselors: referral indications for cancer predisposition assessment. Genet Med 17 (1): 70-87, 2015.[PUBMED Abstract]

  4. Tobias DH, Eng C, McCurdy LD, et al.: Founder BRCA 1 and 2 mutations among a consecutive series of Ashkenazi Jewish ovarian cancer patients. Gynecol Oncol 78 (2): 148-51, 2000.[PUBMED Abstract]

  5. Beller U, Halle D, Catane R, et al.: High frequency of BRCA1 and BRCA2 germline mutations in Ashkenazi Jewish ovarian cancer patients, regardless of family history. Gynecol Oncol 67 (2): 123-6, 1997.[PUBMED Abstract]

  6. Gabai-Kapara E, Lahad A, Kaufman B, et al.: Population-based screening for breast and ovarian cancer risk due to BRCA1 and BRCA2. Proc Natl Acad Sci U S A 111 (39): 14205-10, 2014.[PUBMED Abstract]

  7. Robson ME, Storm CD, Weitzel J, et al.: American Society of Clinical Oncology policy statement update: genetic and genomic testing for cancer susceptibility. J Clin Oncol 28 (5): 893-901, 2010.[PUBMED Abstract]

  8. Lancaster JM, Powell CB, Chen LM, et al.: Society of Gynecologic Oncology statement on risk assessment for inherited gynecologic cancer predispositions. Gynecol Oncol 136 (1): 3-7, 2015.[PUBMED Abstract]

  9. Robson ME, Bradbury AR, Arun B, et al.: American Society of Clinical Oncology Policy Statement Update: Genetic and Genomic Testing for Cancer Susceptibility. J Clin Oncol 33 (31): 3660-7, 2015.[PUBMED Abstract]

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がんのリスク評価とカウンセリング

包括的がんリスク評価は、1回以上の遺伝カウンセリングセッションで提供される臨床評価、遺伝子検査(適切な場合)、およびリスク管理の推奨を含む相談のサービスである。検査前遺伝カウンセリングはリスク評価の過程における重要な部分であり、遺伝子検査の選択肢および可能性のある検査結果についての患者の理解に役立つ。検査後遺伝カウンセリングは、検査結果について自身および血縁者に対する医学的意味を含めて患者の理解に役立つ。

いくつかの専門家組織は、がんリスク評価および遺伝子検査過程における遺伝カウンセリングの重要性を強調している。これらの組織の例には以下のものがある:


  • American College of Medical Genetics and Genomics(米国臨床遺伝学会) [1] 。

  • American Society of Clinical Oncology(米国臨床腫瘍学会)。 [2] [3]

  • American Society of Human Genetics(米国人類遺伝学会)。 [4] [5]

  • International Society of Nurses in Genetics(国際遺伝看護学会)。 [6] [7]

  • National Society of Genetic Counselors(米国遺伝カウンセラー学会)。 [8] [9] [10]

  • National Comprehensive Cancer Network(全米がん包括ネットワーク)。 [11] [12]

  • Oncology Nursing Society(腫瘍看護学会)。 [13]

  • Society of Gynecologic Oncologists(婦人科腫瘍学会)。 [14]

遺伝カウンセリング、リスクアセスメント、遺伝子検査、および/または遺伝性乳がんおよび卵巣がんの管理に関する臨床診療ガイドラインを公表している機関の一覧は、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学に関するPDQ要約で利用可能である。

遺伝カウンセリングは、来談者に対して潜在的ながんリスクおよび遺伝子検査の有益性と限界についての情報を与え、医学的、心理学的、家族的、および社会的に考えられる遺伝情報の意味について考える機会を提供する。 [8] [15] 遺伝カウンセリングの説明およびがんリスク評価のカウンセリングに特化した実践については次に詳しく述べる。

遺伝カウンセリング

遺伝カウンセリングは、米国人類遺伝学会(American Society of Human Genetics)により、「家系内における遺伝性疾患の発症または発症リスクに関連する人間の諸問題に対処するコミュニケーションプロセス」として定義されている。このプロセスには、1人以上の適切な訓練を受けた人による試みとして、個人または家族が以下のことを行えるように支援する試みが含まれている:

  1. その疾患の診断、予想される経過、および利用可能な管理法といった医学的事実をよく理解する。
  2. 特定の近親者で疾患および再発(発症)リスクに遺伝がどのように関与するのか、正しく理解する。
  3. 再発(発症)リスクに対処するための代替案を理解する。
  4. 自身のリスク、家族の目標、ならびに倫理的および宗教的基準の視点から、自身にとって適切と思われる一連の行動を選択し、その決断に従って行動する。
  5. 罹患家系員内の疾患、および/または疾患の再発(発症)リスクに対して、取り得る最善の対応を行う。 [16]

2006年に米国遺伝カウンセラー学会(National Society of Genetic Counselors)は遺伝カウンセリングの定義をさらに改良し、疾患に対する遺伝的寄与についての医学的、心理学的、および家系的な意味を人々が理解して、それに適応するように支援するプロセスを追加し、以下を統合している:


  • 疾患の発生または再発の可能性を評価するための家族歴および医学的病歴の解釈。

  • 遺伝、検査、管理、予防、資源、および研究に関する教育。

  • 説明を受けた上での選択およびリスクまたは状況への適応を促進するためのカウンセリング。 [8]

遺伝カウンセリングの哲学と実践の中心をなすのは、自発的なサービスの利用、説明を受けた上での意思決定、遺伝的リスクに対処する心理社会的側面と感情的側面への注意、ならびに患者の機密性とプライバシーの保護という原則である。これは、ラポール形成および情報収集;診断の確定または確認;リスク評価および定量的発病/再発リスクの算出;教育およびインフォームド・コンセントの過程;家族の文化および民族性に適った心理社会的評価、支援、およびカウンセリング;その他の関連する背景特性の組み合わせによって促進される。 [17] [18] 心理社会的評価は、遺伝情報の有害作用による影響を最も受けやすい個人には、過去にストレスの多い生活上の出来事にうまく対処できなかった人々が含まれるため、遺伝カウンセリング過程の中で特に重要である。 [19] 遺伝情報に対する心理社会的対応に影響する可能性がある変数には、個人的および家族的因子;文化的因子;および検査の種類、疾病の状態、リスク情報などの医療系因子がある。 [19] 心理社会的評価から得られた知見はカウンセリングセッションの方向を導く助けとするために利用できる。 [9] 遺伝カウンセリングの重要な目的は、ある行動方針の医学的有益性が他のものより優れているかどうか明らかではない場合に、共有的な意思決定を行う機会を提供することである。病原性多様体キャリアに対する効果的な治療の利用可能性と既定の検査の臨床的妥当性との関係は、リスクのある人のカウンセリングにおける個人的選択または医師のアドバイスをどの程度まで裏付けるかに影響を与える。 [20] 紹介された人の遺伝カウンセリングサービスの受診率は、がん症候群および臨床状況によって異なる。サービス利用の障壁を減らす努力が現在行われている(例、患者ナビゲーション電話呼び出し(patient navigator telephone call)はこれらのサービスの利用を増加させる可能性がある)。 [21] 遺伝カウンセリングの性質と歴史に関心のある読者のために、多くの包括的レビューがある。 [22] [23] [24] [25] [26] [27]

がんリスク評価のカウンセリング

がんリスク評価のカウンセリングは、遺伝学と腫瘍学の知識、個人および家族とのカウンセリング技術を必要とし、こうした集学的訓練を受けた医療提供者によって提供される専門的な実践として登場している。 [28] がんリスク評価のサービスを提供している一部の施設では集学的チームが関与しており、その中には、遺伝カウンセラー;遺伝学高度専門看護師;遺伝医学者、あるいは腫瘍医、外科医、または内科医などの医師;およびメンタルヘルス専門家が含まれる場合がある。がん遺伝学サービスディレクトリ(Cancer Genetics Services Directory)では、がんリスク評価、遺伝カウンセリング、遺伝子検査、およびその他の関連サービスに関与している担当者リストの一部を公開しており、米国国立がん研究所のウェブサイト上で利用できる。

遺伝カウンセラー、医師、看護師、検査技師などにがんの遺伝学に関する高度な専門教育を行う必要があることは、広く報告されている。 [29] [30] [31] [32] こうした必要性が確認されているにもかかわらず、遺伝学専門家を除くすべての医療分野で、遺伝学およびゲノミクスにおける能力が依然として不十分なままであることを証拠が示している。 [33] 次の点における不足が同定されている:(1)遺伝性がん症候群に関する知識 [34] およびリスクに応じた適切な管理戦略; [35] (2)遺伝カウンセリングサービスの提供; [35] (3)がんの個人歴および家族歴に基づいた遺伝性がん症候群のリスクが高い個人の考証と同定および紹介 [36] [37] [38] [39] 、および(4)遺伝情報差別禁止法に関する知識。 [36] [40] (詳しい情報については、がん遺伝学の概要に関するPDQ要約の医療専門家向け医療および遺伝学教育情報の表を参照のこと。)

National Coalition for Health Professional Education in Genetics(その研究は2013年にJackson Laboratoryに移管された)はすべての医療専門職に必要な核となる能力を発表している。この取り組みに基づいて、医師 [32] 、看護師 [41] [42] 、医師助手 [43] 、薬剤師 [44] 、遺伝カウンセラー [45] のような個々の医療専門家は、自身の専門に特化した核となる能力を開発し、公開している。他にも多くの組織から、専門家向けの診療ガイドライン、診療範囲、および診療基準が発表されている。

伝統的に、遺伝カウンセリングサービスは、予約制の個別面談形式で提供される。しかしながら、グループセッション、電話によるカウンセリング、およびビデオ会議による遠隔医療を含めて、他の手法も模索されている。 [46] [47] [48] [49] [50] [51] [52] [53] さらに、遺伝学教育用にデザインされたコンピュータプログラムとウェブサイトは、コンピュータを使える人にとっては、個別的な遺伝カウンセリングサービスに加えて有用な補助教材となる。 [54] [55] [56] [57] [58]

がんの遺伝カウンセリングサービスに対する患者の満足度についての研究がいくつか発表されている。例えば、がんの遺伝学プログラムが開始された年に参加した個人の1件の調査研究では、この臨床サービスがほとんどの参加者のニーズと期待を満たしたことが報告された。 [59] 被験者がカウンセリング体験で最も良かったこととして報告したのは、単にがんに対する不安について会話する機会が得られたこと、個人別の要約文書および家系図が提供されたこと、またがんリスクが予想より低かったと分かったこと、あるいは家族においてがんの遺伝を疑っていたことが正当であったと認識したことであった。

それ以来、数件の研究で大部分の個人が遺伝カウンセリングの経験に満足していることが示されている。 [60] [61] [62] [63] しかしながら、BRCA1/2遺伝子検査プログラムに参加した61人の女性を対象とした1件の研究で、遺伝カウンセリングに対する満足度は楽観主義、家族機能、および一般的およびがん特異的苦痛などの心理学的変数による影響を受けたことが明らかにされた。 [64]

数件の比較研究のメタアナリシスで、遺伝カウンセリングの結果としてがんの遺伝学的知識が向上したことが示された(併合された短期差 0.70 U、95%信頼区間、0.15-1.26 U)。全体的に、遺伝カウンセリングの結果として一般的不安、がん特異的心配、苦痛または抑うつにおける長期の増加は検出されなかった。しかしながら、遺伝カウンセリングのリスク認識への影響はそれほど明確ではなく、リスク認識に変化がないと報告している研究もあれば、カウンセリングの前後で有意差を報告した研究もある。 [65]


参考文献
  1. Hampel H, Bennett RL, Buchanan A, et al.: A practice guideline from the American College of Medical Genetics and Genomics and the National Society of Genetic Counselors: referral indications for cancer predisposition assessment. Genet Med 17 (1): 70-87, 2015.[PUBMED Abstract]

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  9. Riley BD, Culver JO, Skrzynia C, et al.: Essential elements of genetic cancer risk assessment, counseling, and testing: updated recommendations of the National Society of Genetic Counselors. J Genet Couns 21 (2): 151-61, 2012.[PUBMED Abstract]

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  12. National Comprehensive Cancer Network: NCCN Clinical Practice Guidelines in Oncology: Genetic/Familial High-Risk Assessment: Colorectal. Version 2.2015. Fort Washington, PA: National Comprehensive Cancer Network, 2015. Available online with free registration. Last accessed October 6, 2016.[PUBMED Abstract]

  13. Oncology Nursing Society: Oncology Nursing: The Application of Cancer Genetics and Genomics Throughout the Oncology Care Continuum. Pittsburgh, Pa: Oncology Nursing Society, 2016. Available online. Last accessed March 10, 2016.[PUBMED Abstract]

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  15. Resta RG: Defining and redefining the scope and goals of genetic counseling. Am J Med Genet C Semin Med Genet 142C (4): 269-75, 2006.[PUBMED Abstract]

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  60. Chen WY, Garber JE, Higham S, et al.: BRCA1/2 genetic testing in the community setting. J Clin Oncol 20 (22): 4485-92, 2002.[PUBMED Abstract]

  61. Nordin K, Lidén A, Hansson M, et al.: Coping style, psychological distress, risk perception, and satisfaction in subjects attending genetic counselling for hereditary cancer. J Med Genet 39 (9): 689-94, 2002.[PUBMED Abstract]

  62. Klemp JR, O'Dea A, Chamberlain C, et al.: Patient satisfaction of BRCA1/2 genetic testing by women at high risk for breast cancer participating in a prevention trial. Fam Cancer 4 (4): 279-84, 2005.[PUBMED Abstract]

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  64. Tercyak KP, Demarco TA, Mars BD, et al.: Women's satisfaction with genetic counseling for hereditary breast-ovarian cancer: psychological aspects. Am J Med Genet A 131 (1): 36-41, 2004.[PUBMED Abstract]

  65. Braithwaite D, Emery J, Walter F, et al.: Psychological impact of genetic counseling for familial cancer: a systematic review and meta-analysis. J Natl Cancer Inst 96 (2): 122-33, 2004.[PUBMED Abstract]

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リスク評価過程の要素

本セクションでは、がんリスク評価過程における重要な要素の概要を提供する。

がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングの諸要素に関する多くの専門家向けガイドラインが利用できる。 [1] [2] [3] [4] 断り書きがない限り、以下の考察はこうしたガイドラインに基づいている。

がんリスク評価およびカウンセリングの過程は提供者間で異なる可能性があるが、1回以上の相談のセッションが必要であり、一般的に以下を含む:


  • 家族歴を含む詳細で多面的な評価。

  • 遺伝性がん症候群の証拠に基づいたがんリスクおよび/または遺伝子検査に対する適応の決定。

  • 教育およびカウンセリング。

  • 遺伝子検査という選択肢のレビュー。

  • がんリスク管理計画の確立。

評価

初回カウンセリングセッションのはじめに、来談者のがんに関する認識と懸念、およびリスク評価過程から期待することを聞き出し、それに対処することは、来談者をセッションに引き込むのに役立つ。また、このことは実際的または心理社会的な問題に関する情報を医療提供者に知らせることにも役立ち、カウンセリングの焦点およびリスク評価のための戦略の指針となる。

心理社会的評価

がんリスク評価の一部として行われるカウンセリングの過程で、来談者のがんリスクに対する認識およびがんリスク評価や遺伝子検査を求めた動機に寄与している因子を同定できる。カウンセリングの過程ではまた、セッション中またはセッション後も取り組む必要のある潜在的な心理学的問題も同定できる。セッション前および/またはセッション中に集められる情報には以下のものがある:


  • がんリスク評価を求めた動機。

  • がんの原因に関する考え。

  • がんの経験およびそうした経験と関係した感情、認識、懸念、または恐怖。

  • がんの経験および認識が保健行動およびがんスクリーニングの実践に及ぼす影響。

  • 文化的、宗教的、および社会経済的背景。

  • 抑うつまたは不安など、一般的な心理学的問題。

  • 対処機構。

  • 支援システム。

がんリスクカウンセリングに携わる医療提供者は、1人であるいは精神保健専門家と相談しながら、カウンセリングに対する個人の期待が現実的であるかどうか、リスクおよび/または遺伝的状態の開示後に不都合な心理的結果が生じるリスクを示唆する因子があるかどうかの評価を試みる。場合によっては、検査前、または検査の代わりに、心理療法への紹介が推奨されることがある。 [5]

教育

個人的ながんリスク、遺伝学、および両者の関係についての概念は複雑なこともあり、患者が理解することが困難な場合がある。多くの因子が患者のリスクの個人的理解に影響を及ぼし、その理解は証拠に基づいた定量的計算とは一致しない場合がある。これらの因子には以下のものがある:


  • 経験的および共感的知識。

  • 自身および/または近親者におけるがん発生の根拠に関する人々の考え。

  • 情報源および間違いおよび/または誤解。

  • 健康および基本的な計算能力を含めた知識レベル。 [6] [7]

  • 個人的な遺伝理論。

  • 意思決定パターン(熟考 vs 経験的)。 [8] [9]

これらの問題の徹底的な理解は、遺伝学教育および遺伝カウンセリングに大いに情報を提供する。これらの因子は、リスク情報の処理およびその後の保健行動に影響する。 [9]

リスクの認識

リスクの伝達には、さまざまな予防行動を行って疾患を発症する可能性に関してデータが示す内容についての定量的情報を伝えることが含まれる。しかしながら、より大まかに言えば、リスクの伝達とは、リスクに関連した個人の知識、考え、感情、および行動に関して、伝えられるリスクのメッセージと相互作用する過程である。したがって、リスク伝達の目標は危険因子、リスクの可能性、リスクの潜在的な結果、および予防行動の有益性と欠陥に関する個人の知識に影響を及ぼすことであろう。

リスク情報を提供する前であっても、医療提供者は個人が既に自身のがんリスクについて何らかの認識があると予想できる。個人はこの情報を医師、家系員、およびメディアなど複数の情報源から得ている可能性がある。 [10] この情報は、家系員の1人が最近がんで亡くなっている、または家族が新たに診断されている場合はより顕著であるか、感情的であろう。 [11] [12] また、個人は遺伝的感受性が家族内でどのように作用するかについて考えをもっていることがある。 [13] [14] 例えば、これまで常染色体優性がん感受性症候群に女性しか罹患していない家系において、来談者の女性に対して、彼女の息子がその疾患に関係する病原性多様体を受け継いでいるリスクが50%であることを納得させることは困難な場合がある。社会-生態学的背景は、それを通してリスクの考えが進展し維持されるが、がんリスクの伝達過程に対する個人の受容力の潜在的な調節因子として重要であり、個人が自身のリスクの管理方法について現行の意思決定をまた続けるようになる背景も表している。 [15] [16] 教育および遺伝リスクのカウンセリングでは、個人の考え、およびリスクの社会的状況をそういうものとして話し合うことが重要である。

認識されたリスクは統計的なリスク推定値とはしばしば大幅に異なるという事実にもかかわらず [18] [19] [20] 、認識されたリスクは個人のカウンセリングへの参加の決定に重要な役割を果たしている可能性がある。 [17]

臨床評価

個人的健康歴

来談者にがんの個人歴があるかどうかに関係なく、来談者の個人的健康歴の検討はがんリスク評価に不可欠である。来談者の健康歴に関して入手すべき重要な情報としては、以下のものがある:


  • 現在の年齢。

  • 人種および民族性。

  • 良性または悪性腫瘍の病歴、手術、生検、大疾患、医薬品、および生殖歴(女性については、初潮年齢、経産数、第1子出産年齢、閉経時の年齢、および外因性ホルモンの使用歴が含まれる)。

  • 環境曝露。

  • 食事および運動習慣。

  • 補完代替医療の実践。

  • 過去および現在のアルコール摂取および喫煙。

  • 画像法および/または身体診察を含めたスクリーニング習慣および最後に受けたスクリーニング検査の日付。 [1] [3] [21]

がんの既往歴がある来談者に対しては、追加で次の情報を収集する:


  • 原発腫瘍の部位。

  • 診断時年齢。

  • 腫瘍の病理学。

  • 治療(例、手術、化学療法、および放射線療法)。

  • 疾患の両側性(該当する場合)。

  • 現在のサーベイランス計画。 [1]

身体診察

場合によっては、個人が遺伝性がん素因症候群を示唆する身体所見を有するかどうかを判断する、または既存の悪性腫瘍の証拠を除外するために、資格を有する医療専門家によって身体診察が実施される。例えば、医療専門家はムア-トレ症候群にみられる脂腺腺腫の検索、コーデン症候群と関連する良性の皮膚の特徴を除外するための頭囲測定または皮膚検査、あるいは乳がんのリスク評価を受ける女性に対する臨床的な乳房検査および腋窩リンパ節検査を実施することがある。

家族歴

家族歴の文書化

家族歴は、がんリスクの評価に必須のツールである。家族歴は、面談または文書による自己報告を介して得ることができる;教育達成の範囲がさまざまなサンプル(N = 104)を用いた1件の研究で、いずれの方法でも同等の情報が得られることが明らかにされた。 [22] 家族歴をスクリーニングするための9項目の質問ツールが、がんを含む一般的な健康状態についてリスクが高く、より詳細な家族歴を調査すべき個人を同定できることが示されている(受診者動作特性、84.6%[範囲、81.2~88.1%];感度、95%[範囲、92~98%];特異度、54%[範囲、48~60%])。 [23] 受診前に家族歴に関する文書による質問票を使用することで、正確な家族歴の情報が得られること [24] 、およびこのような質問票の使用は受け入れ可能で理解が得られる家族歴収集法であること [25] が研究により示唆される。しかしながら、質問票を用いた評価は家族歴をある程度少なく報告することにつながる可能性がある;したがって、フォローアップ面談を実施し、報告された情報を確認して重要な家族歴情報をすべて収集することが必要になる場合がある。 [26] ルーチンのカルテレビュー(例、電子医療記録を用いる)は、遺伝カウンセリングへの紹介が適切な候補の特定を最大化するために実施する価値がある。単一の非学術機関では、遺伝カウンセラーによる系統的なカルテレビューにより遺伝相談に紹介される数が増加した。 [27] 最も重要な改善は卵巣がんの紹介において示された。家族歴を収集し見直すなどの取り組みと併せて、ルーチンのカルテレビューの性能は既存の紹介パターンにおける差を確認する上で役立つ可能性がある。また、単一家系において複数の近親者から家族歴を収集することにより、1人の家系員から提供される家族歴の情報と比較して、報告されるがんの家系員の数が増加することが示されている。 [28]

家族の健康歴の詳細は家族の系譜、すなわち家系図にまとめるのが最良である。家族関係の標準化された図解である家系図は、疾患伝達パターンの同定、特定の遺伝性がん症候群と関連がある臨床的特徴の認識、およびリスク評価に最適な戦略およびツールの決定を容易にする。 [29] [30] 家系内の遺伝性がんリスクを示唆する因子については、以下に記載している。

家族歴に関する情報を収集するために、現在マルチメディア(例、インターネット)およびプリント(例、家族歴に関する質問票)の両方によるツールが利用できる。米国では、多くの情報が中学2年よりも高い読解力レベルで記述されており、これより低いレベルで記述すると家族歴に関する正確な情報収集の有効性が低下しうる。平均して、プリントによるツールの方が、マルチメディアによるツールよりも低い読解力レベルで記述されていることが明らかにされている。 [31]

標準的な家系図命名法が確立されている。 [29] [30] 一般的な家系図用記号については図1を参照のこと。

図1.標準的な家系図命名法。一般的な記号は家系図(家族の系譜)の作成に使用される。家系図は家系員と特定の形質および疾患に対する遺伝パターンとの関係を示す。

家族におけるがんの病歴の文書化は典型的に以下を含む:


  • 家族の母方および父方双方の少なくとも第一度および第二度近親者。複数世代の情報は遺伝パターンを実証するのに役立つ。遺伝性がんは家系の母方または父方のいずれかから受け継いでいる可能性があり、成人発症型疾患である場合が多い。 [32]

  • 祖父母全員の人種、祖先、および民族性。一部の遺伝子における特定の病原性多様体がある集団に高頻度で発現すること(創始者効果)が知られているため、これは遺伝子検査の決定に影響を及ぼす可能性がある。 [32]

  • 小児および成人における出生時欠陥、非定型性皮膚突出(atypical skin bumps)、またはその他の非悪性症状など、無関係に見える状態に関する情報(がん感受性症候群の診断に役立つことがある)。

  • 利用可能な場合には、養子縁組、非実父(実父を家系図に含めるべきである)、血族関係、および生殖補助技術(例、ドナー卵または精子)の利用についての表記。

3世代の家族歴には次のものがある:


  • 第一度近親(例、子供、兄弟姉妹、および両親)。

  • 第二度近親(例、祖父母、おばとおじ、姪と甥、孫、および片親が違う兄弟)。

  • 第三度近親(例、いとこ、大おば、および大おじ)。

  • 情報が利用できれば、特に既知のがんの病歴がある場合に追加の遠い近親者が含められる。

がんに罹患した近親者すべてについて、次の情報を収集する: [33]


  • 各がんの原発部位とともに、原発部位および組織型を確認するために(入手可能な場合は)キーとなるがんを裏付ける記録(例、病理検査報告、診療文書、および死亡証明書)。

  • 各原発がんの診断時年齢。

  • 近親者がどこで診断および/または治療を受けたか。

  • がんのリスクを軽減した可能性のある手術または治療の履歴。例えば、閉経前女性における両側卵管卵巣摘除術は卵巣がんおよび乳がんのリスクを有意に低下させる。これにより、これらのがんに対する遺伝的素因が隠される可能性がある。

  • 現在の年齢(生存している場合)。

  • 死亡時の年齢および死因(死亡している場合)。

  • 発がん性物質への曝露(例、喫煙および放射線曝露)。

  • その他の重大な健康問題。

がんに罹患していない近親者について、次の情報を収集する:


  • 現在の年齢または死亡時の年齢。

  • 死因(死亡している場合)。

  • がんのリスクを軽減した可能性のあるすべての手術または治療の履歴。

  • がんスクリーニングの実践。

  • 問題になっている症候群と関連するすべての非悪性的特徴。

  • 発がん性物質への曝露。

  • その他の重大な健康問題。

家族歴の正確度

家族歴の正確度は鑑別診断の決定、適切な検査の選択、遺伝子検査結果の解釈、個々のがんリスクの推定値の洗練、およびスクリーニングとリスク低減のための推奨の概説と直接関係する。1,019人を対象とした電話による調査では、第一度近親者にがんの人がいるかどうか知らない人はわずか6%であった;第二度近親者では、この値が8.5%に上昇した。 [34] しかしながら、家族におけるがん病歴に関する人々の情報はしばしば不完全あるいは不正確である。 [30] [33] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] 患者教育は、家族歴の収集の完全性を向上させるために、より正確なリスクの層別化、遺伝カウンセリングのための紹介、および管理の推奨事項の変更につながる可能性が示されている。 [42] 特にリスク低減のための手術などの決定をこの家族歴に基づいて行う場合には、遺伝的素因の確率の計算および/またはがんリスクの経験的推定に影響する家族におけるがんの原発部位を確認することが重要である。 [37] [43]

発端者のがん診断報告が確認された第一度および第二度近親者2,605人を対象とした集団ベースの調査では、近親者ががんと診断されたという報告の正確度は低度から中度であったが、がんになったことがないという報告は正確であったことが明らかになった。 [39] 正確度はがんの部位および血縁度によって異なる。 [39] [44] [45] がん家族歴に関する報告は、乳がん [39] [45] が最も正確で、婦人科悪性腫瘍 [39] [45] および結腸がん [39] では正確性に欠けることがある。自己報告の家族歴には誤りが含まれていることがあり、まれなケースとして虚偽である場合がある。 [37] [43] [45] がん組織学の最も信頼性の高い文書は病理学の報告書である。がんの検証は、他の診療記録、腫瘍登録、または死亡証明書によっても行える。英国の1件の研究により、乳がん(n = 2,278)および結腸がん(n = 1,184)の家族歴を有する個人におけるがん家族歴の検証の重要性が例証されている。 [41] 管理の変更が必要となるベースラインから最終時点での遺伝的リスク割り付けの変更(再割り付け)(例、低リスクから高リスク)は大腸がんを有する家系の30%近く、および乳がんを有する家系の20%で報告された。このコホートにおいて報告されたがん診断の検証により、他の研究においてよりも報告された診断と確認された診断間の全般的な一貫性の程度が低かったことが明らかにされた。 [37] [46]

また、がんリスク評価のために家系図を見直す場合、限定的な、欠けている、または疑問の余地のある情報を考慮することも重要である。親戚付き合いの喪失、小家族化、または関係のない原因による若年での死亡によって家族構成が途切れた家系では、遺伝性疾患の特徴を同定することはさらに困難である。主に男性または女性に特有のがんが発現する特殊な症候群を検討する際に、リスクが高い性別の家族が少ない場合は、家族歴の評価が困難になる(例、遺伝性乳がんおよび卵巣がん症候群のリスクが高い家族で女性の家族が少ない)。加えて、卵巣摘出術などのリスク低減のための外科的手技について集められた情報は、以前の確率の推定および家族において観察されるがんの集合を著しく変化させる可能性がある。 [47] 可能である場合には常に明確にして文書化すべき他の因子は、養子縁組、ドナー卵または精子の利用、血族関係、および父親不明である。

さらに、家族歴は動的である。追加のがんの発生はがんに対する遺伝的素因の可能性を変化させ、追加のがんが家族に発生した場合は鑑別診断またはがんリスクの経験的推定値の考察が変化することがある。さらに、がん家族歴の経時的な変化により、より早期またはより強力ながんスクリーニングを行うように推奨が変わることがある。米国における集団ベースのがん登録からベースライン時および追跡時の家族歴データを調べた記述的研究では、乳がんまたは大腸がんの家族歴は、次第に若い成人に関連するようになっており、30歳から50歳まで著しく変化していることが報告された。 [48] そのため、初回のリスク評価過程の完了後に生じたがん診断または他の関係する家族の既往歴に注意し、それを確認して報告するように、来談者に助言することが重要である。このことは、遺伝子検査が実施されていないか情報価値のないものであった場合は特に重要である。

最後に、家族歴の聴取の過程は心理社会的側面をもっている。家族の関係および健康に関する個別の側面を話し合い文書化することは、たとえカウンセリングを受けるのは1人でも、象徴的にその家族がセッションの対象となる。家族歴を聞き出し、家系図を作成する際に遭遇しうる問題には、ほとんどまたは全く関係のない近親者と連絡を取ることの困難さ、遺伝情報の価値に関する家系員間の意見の相違、がんおよびがん関連疾患について話し合うことへの抵抗、以前は知らなかった医学的または家族の情報の思いがけない発見、および検査の受診決定に関してある近親者による別の近親者への強要がある。さらに、家族歴情報の収集過程において、予期せぬ情動的苦痛を来談者が経験する場合がある。

がんリスクの評価とカウンセリングへの紹介の適応

ある人のがんの個人歴および家族歴を聴取した後、いくつかの因子により遺伝性がん感受性症候群を評価するため遺伝学専門家への紹介が妥当となる場合がある。American College of Medical Genetics and Genomics(米国臨床遺伝学会)およびNational Society of Genetic Counselors(米国遺伝カウンセラー学会)により、リスクのある個人の特定とがんの遺伝的リスク相談への適切な紹介の指針とするために個人歴および家族歴の包括的な一組の基準が発表されている。 [49] これらの診療ガイドラインは、腫瘍の種類や他の特徴と遺伝相談への紹介が必要であることを示す関係する基準を考慮に入れている。著者らは、このガイドラインはリスクのある個人のがん遺伝相談への適切な紹介を最大化するように意図されたものであり、遺伝子検査または治療の推奨を提供するように意図されたものではないと表明している。

がんリスクの決定

家族歴の分析

がんの家族歴はがんリスクの重要な予測因子の1つであるため、家系図の分析はリスク評価の重要な一側面となる。この分析は次の一連の疑問として考えられる:


  • この家族にがん感受性症候群が存在するという根拠は何か。

  • 症候群が存在する場合、最も可能性が高い診断は何か。

  • 何がこの家族歴の解釈を困難にしているか。

  • 特定の症候群の診断が確立できるかどうかに関係なく、最も可能性の高い遺伝様式は何か。

  • 遺伝的感受性が存在する場合、この家族の1人の家系員ががんを発症する見込みはどうか。

  • 症候群であると認められない場合、他の疫学的危険因子に基づくがんのリスクは存在するか。

以下のセクションで、上の各疑問への取り組み方を説明する。

  1. この家族にがん感受性症候群が存在するという根拠は何か。


    遺伝的症候群への手がかりは、家系図分析および身体的所見に基づく。以下の場合に、遺伝的症候群の疑念指数が増す:


    • 近い近親者に複数のがんが認められ、特にそれが複数の世代にわたっている。

    • 若年でのがん発症(成人発症型のがんでは40~50歳未満の発症がみられる)。

    • 1人で複数のがんを発症した者がいる。

    • 対臓器(例、乳房および腎臓)に両側性のがんの発症がみられる。

    • 家族内の病因的に関係する複数のがんで既知の関連が認められる。

    • がんリスク増大との関連が分かっている先天性異常または前がん性病変が存在する(例、非定型母斑の存在と悪性黒色腫のリスク)。

    • メンデルの遺伝様式が認められる。

    • 家族歴にかかわらず、がん感受性遺伝子に生殖細胞病原性多様体を有する特定の腫瘍型。 [32]


    さまざまながん遺伝的症候群について異なったリスクの範囲と関連する臨床的特徴が、Concise Handbook of Familial Cancer Susceptibility Syndromesの第2版で要約されている。 [50]

  2. 症候群が存在する場合、最も可能性が高い診断は何か。


    何百種類もの遺伝性疾患ががんリスクの増大と関連する。こうした疾患については、教科書 [51] [52] [53] や簡潔な総説で概説されている。 [50] 種々の遺伝的症候群の診断基準には、症候群を定義する当初の目的に応じて、上記リストからさまざまな特徴が取り入れられている(例、遺伝子マッピング、遺伝子型-表現型研究、疫学的研究、一般集団スクリーニング、または臨床サービス)。このように、研究目的では、リンチ症候群(遺伝性非ポリポーシス大腸がん[HNPCC]とも呼ばれる)などの症候群は、血縁の大腸がん患者が3人おり、うち1人は他の2人の第一度近親者である;2世代にわたっている;うち1人はがん診断時に50歳未満であるとの、3-2-1ルールとしてよく知られるアムステルダム基準により定義されうる。しかしながら、これらの基準は、リンチ症候群の重要な特徴として知られる子宮内膜腫瘍その他の結腸以外の腫瘍が見過ごされているため臨床の場では限界がある。リンチ症候群の結腸以外のがんを考慮した改訂版の基準がその後開発されており、それにはアムステルダム基準IIおよび改訂Bethesdaガイドラインがある。

  3. 何がこの家族歴の解釈を困難にしているか。


    他の因子が基本的遺伝様式の認識を複雑にするか、異なるタイプの病因を示すことがある。これらの因子には以下のものがある:


    • 小家族。

    • 性別の不均衡(例、遺伝性乳がんが疑われる家系で女性が少ない)。

    • 非常に若年での死亡。

    • リスク軽減または病状の結果のいずれかの理由による高リスク器官の切除(例、子宮筋腫または子宮内膜症の病歴による腹式子宮全摘術)。

    • 親子の誤認。

    • 後期または可変性の発症

    • 不浸透

    • 可変性の症状発現

    • 遺伝的異質性

    • ゲノム刷り込み

    • de novo病原性多様体

    • モザイク現象(体細胞または生殖細胞系)。

    • ミトコンドリア性遺伝。

    • 血族関係。

    • 生殖補助技術(例、ドナー卵または精子、あるいは体外[in vitro]受精)。

  4. 症候群の診断が確立できるかどうかに関係なく、最も可能性の高い遺伝様式は何か。


    遺伝様式とは、家族における遺伝的形質の伝わり方のことである。メンデルの遺伝の法則では、遺伝因子とは、互いに独立して受け継がれる遺伝子という名の不連続単位として親から子へと伝達されるもので、旧世代から次世代に順送りされると仮定されている。メンデル式の遺伝で最も多い形態は、常染色体優性遺伝常染色体劣性遺伝、およびX染色体連鎖遺伝である。非メンデル式の遺伝には、染色体性、複合性、ミトコンドリア性などがある。研究者は、メンデル式遺伝でさえも環境およびその他の遺伝学的因子により変調されること、および遺伝の法則の働き方にはバリエーションがあることを、がんをはじめとする遺伝性疾患から学んでいる。 [54] [55] [56]


    最も一般的には、メンデル式遺伝は、臨床診断と、それ自体は決定的ではないが、整合する家系図のパターンとの組み合わせによって確立される。 [57] 以下は家系図でメンデル式遺伝であると気付く手がかりとなる遺伝様式のリストであり、続いて家系図の解釈を複雑にする状況のリストを挙げる。

    常染色体優性遺伝
    • 常染色体優性遺伝とはヘテロ接合体で発症する疾患のことである(すなわち、罹患者は多様体の対立遺伝子コピー1つと正常に機能する対立遺伝子1つを保有している)。常染色体優性遺伝は下記によって特徴付けられる:
        垂直発生(すなわち、連続する世代にみられる)。
        通常、家族の片方の側(すなわち、父方のみまたは母方のみ)にみられる。
        男女ともにその疾患を受け継いで子供に伝える可能性がある。
        男性から男性への伝達もみられる。
        子供は、病原性多様体を受け継ぐ確率が50%、正常な対立遺伝子を受け継ぐ確率が50%ある。
        この疾患は、不完全な浸透度、他の原因による早期死亡、発症年齢の遅延、またはリスクのある器官が性特異的(例、前立腺および卵巣)である女性または男性の数が少ないといったことが原因で、1世代とばして現れることがある。
        現在最も有名ながん感受性症候群は、常染色体優性遺伝の様式に従う。例を挙げれば、遺伝性乳がんおよび卵巣がん症候群、リンチ症候群、家族性大腸腺腫症(FAP)、フォン-ヒッペル-リンダウ病などである。
        上述の種々の因子により、以前は常染色体優性遺伝するがんの家族歴として発現していなかった病原性多様体が個人に発生することがある(疑問3を参照)。
        個人にde novo(新規)病原性多様体が発生する可能性がある。この人がその家系で最初に罹患した人になるが、通常の常染色体優性遺伝の様式でこの形質を子孫に伝達する可能性がある。

    常染色体劣性遺伝
    • 常染色体劣性遺伝とは、罹患者がホモ接合体でなければならない遺伝様式(すなわち、それぞれの親から1つずつ、合計2つの変異遺伝子コピー)を受け継いでいる。常染色体劣性遺伝は下記によって特徴付けられる:
        水平発生(すなわち、1世代のみにみられる[罹患した親がない兄弟姉妹の罹患]);一般に次の世代にはみられない。
        病原性多様体は必ず父方と母方の両方から来る(すなわち2親性遺伝である)。
        両親はヘテロ接合体キャリアで、それぞれ遺伝子多様体のコピー1つと機能が正常な遺伝子のコピー1つを保有している。
        両親は通常、遺伝病の症状も完全な症候群も発現しない;場合によっては、両親に軽微な特徴がいくつかみられることがある。
        両親がともにヘテロ接合体であれば、将来の子供が罹患するリスクは25%である。
        常染色体劣性遺伝様式であることが十分に明らかになっているがん感受性症候群には、ブルーム症候群、毛細血管拡張性運動失調症、MYH関連ポリポーシス、ファンコニー貧血がある。

    X染色体連鎖遺伝
    • X染色体連鎖遺伝とは、X染色体上にある遺伝子の遺伝のことである。男性は1個のY染色体と1個のX染色体を保有しているため、女性でその形質が優性遺伝か劣性遺伝かに関係なく、男性のX染色体上にある遺伝子はヘミ接合性で、発現する可能性がある。X連鎖劣性遺伝はX連鎖優性遺伝より頻度が高く、次のような特徴をもつ:
        子供は男女とも、女性キャリアから多様体の対立遺伝子を受け継ぐ確率が50%である。
        母系の男性(兄弟、母方のおじ)が罹患する。
        女性の罹患はまれで、罹患しても通常その影響は男性より軽度である。
        病原性多様体が父親から息子へ伝達されることはない(すなわち、父親が息子に与えるのはX染色体ではなくY染色体なので、父親が息子にX連鎖性疾患を伝達することはありえない)。
        がん感受性症候群がX連鎖性の遺伝を示すことはめったにない。まれな例として、X連鎖リンパ球増殖性障害がある。

    染色体性
    • まれな染色体転座の症例を除き、染色体異常症は一般に遺伝性疾患ではない。というより、ある個人の受胎時に生じた減数分裂のde novoエラーとして発生する。ある種の染色体異常には悪性腫瘍のリスクが伴う;そのため、綿密な家系図の作成と解釈にとって先天異常および知的障害について尋ねることは重要である。悪性腫瘍のリスクが高い染色体異常の例には、白血病を伴うダウン症候群(21トリソミー)と、乳がんを伴うクラインフェルター症候群(核型47,XXY)がある。

    複合性
    • 複合性または多因子性疾患の遺伝は、遺伝因子および環境因子により引き起こされる疾患の説明に使用される。したがって、疾患の原因が、多数の遺伝子の発現の場合もあれば、複数の遺伝子と環境因子との相互作用の場合もある。そのため、単独の遺伝子のみに当該疾患の原因があるのではない。むしろ、遺伝、ライフスタイル、環境といった要因の正味の効果が個人のがんなどの疾患への易罹患性を決定する。

      感受性または抵抗性は母集団内でおおむね正規分布する。大部分の人は中程度の感受性を有し、分布曲線の端に位置する人は感受性が著しく低いか著しく高いかのいずれかである。罹患者は、危険因子の特別な組み合わせにより、罹患する閾値を越えたと推測される。ほとんど知られていないメンデル式遺伝症候群は特定のがんの発生率が高い傾向があり、これ以外は、ほとんどのがんが病因学的に複合性である。


      近親者にがんが集積することは一般的であるが、明確な遺伝様式が認められない場合には基礎にある原因の解明はかなり困難である。肺がんなどの一般的な悪性腫瘍の多くで、近親者に過度に多くのがんがみられることがある。こうした家族集積性は、喫煙などの既知の発がん物質への曝露の複合、および浸透度の高い遺伝子における病原性多様体、または問題となる発がん物質の代謝に影響するような浸透度の低い遺伝子における変異が原因となっていると考えられる。 [58]


      一般医はがんの強力な遺伝的素因をもつ家族に遭遇する可能性が高く、がん感受性の認識が個人の健康と管理に劇的な結果をもたらすことがある。主要ながん感受性遺伝子における病原性多様体は、認識可能なメンデルの遺伝様式につながるが、一般的ではない。それにもかかわらず、がん感受性遺伝子は、1%未満から最大でも15%の臓器特異的がんの発生率に関与していると推定される。 [59] これらの遺伝子に病原性多様体が生じると、相対リスクも絶対リスクも高くなる。しかし、きわめてまれであるため、寄与リスクは低い。


      一方で、現在の科学者は、デオキシリボ核酸(DNA)における多型または変異が一般集団で非常に多くみられることを理解している。それぞれの多型による相対リスクの増加も絶対リスクの増加もわずかであるが、全体的にみれば、非常に頻度が高いため、高い寄与リスクを占める可能性がある。ある遺伝的多型が存在する場合、臨床的に有意な疾患が発生するかどうかは、強力な発がん物質への環境曝露に大きく左右される可能性がある。弱い疾患感受性と関連する多型を保有している人々はターゲットグループの構成員とみなせるが、そのグループでは本格的な疾患の発症予防に発がん物質への曝露の回避が非常に有用となる。


      浸透度の低い特定の遺伝子の詳細については、各種のがんの遺伝学に関する要約を参照のこと。


      以下を示す家系では、複合性遺伝が考えられる:


        男性と女性の罹患者(ただし、標的器官が性特異的器官でない場合)。
        明らかな垂直伝達も同胞集積性もみられない少数のがん。
        型にはまった遺伝様式がない。
        世代をとびこすようにみえる。

  5. 遺伝的感受性が存在する場合、がんの発現の見込みはどうか。


    こうした確率は、症候群、家族、遺伝子、および病原性多様体によって異なり、同じ遺伝子の異なる多様体が異なるがんリスクをもたらすこともあれば、同一の多様体が家族によってさまざまな臨床症状で現れることもある。こうした現象は、別項で考察する浸透度、表現度などの問題と関わっている。

  6. 症候群であると認められない場合、他の疫学的危険因子に基づくがんのリスクは存在するか。


    家族歴が陽性であれば、特定の遺伝学的に知られているがん症候群がなくてもリスクに関する情報が得られることがある。例えば、乳がんまたは大腸がんに罹患した近親者が1名いる場合のリスクは、疫学的研究および家族研究のデータから推定できる。この種の経験的リスク推定の例は、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学および大腸がんの遺伝学に関するPDQ要約に掲載されている。

がんリスクを定量化する方法

がんリスク評価のなによりも重要な目標は、個人のリスクに基づいてがんリスク管理の提言を個別に行うことである。リスクを算出する方法では、明らかになってきた生物学的および遺伝学的/ゲノム的に予測を立証する証拠としばしば組み合わせて、健康歴の情報、および危険因子と家族歴のデータを利用する。 [60] リスクの算出には、統計モデル、特定の集団から得た有病率のデータ、ある家系において既に実証された病原性多様体が同定された場合の浸透度のデータ、メンデル式の遺伝、およびベイズの解析といった方法が複数用いられる。すべてのモデルに、モデルを作成するために用いられた方法論、サンプルサイズ、および/または集団に応じた個別の性能、欠点および限界がある。リスクを個別に定量化する方法は次の2つの主要な領域を含む:がん感受性遺伝子において病原性多様体を有する確率および特異的ながんを発現するリスク。 [60]

がん感受性遺伝子において病原性多様体を有するリスク

がん感受性について遺伝子検査を提案する決定は複雑で、個人および/または家族が病原性多様体を有する確率を客観的に評価することで、ある程度支援される。 [61] がん感受性遺伝子に病原性多様体を保有する確率の予測は、経験的データ、統計モデル、集団の有病率のデータ、メンデルの法則、ベイズの解析、および腫瘍特異的特徴のような特異的健康情報を含め、いくつかの戦略を使用して行うことができる。 [61] [62] これらの方法はすべて遺伝子特異的またはがん症候群特異的であり、徹底的な評価が完了し、遺伝的な鑑別診断が確定した後にのみ使用される。

ある遺伝子または遺伝性がん症候群が疑われる場合、遺伝子検査に情報価値があるかどうか決定するために、その疾患に特異的なモデルを用いることができる。(がん症候群特異的な確率モデルに関する詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学大腸がんの遺伝学;または皮膚がんの遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)特異的モデルまたは有病率のデータを使用する上での鍵は、そのモデルまたは統計学をその使用に最も適した集団においてのみ適用することである。例えば、35歳を超える個人の集団研究から得たモデルまたは有病率のデータは、35歳以下の集団には正確に適用できない可能性がある。さまざまなリスクモデルから得たデータを解釈する際、何を実際に推定しているかが異なっているため、注意しなければならない。あるモデルは家族で示されている病原性多様体のリスクを推定し、別のモデルはカウンセリングを受けている個人で示されている病原性多様体のリスクを推定する。あるモデルは個人で発生する特定のがんのリスクを推定するのに対し、別のモデルは複数の上記データを推定する。(特定のがんのリスク予測モデルおよび病原性多様体の確率モデルに関する詳しい情報については、NCIのリスク予測モデルのウェブサイトまたはがん種別のPDQがん遺伝学要約を参照のこと。)他の重要な考慮事項としては、小家族または元来のがんリスクが主に女性で高い場合に男性が多く占めている家族、養子縁組、および他の原因による早期死亡といったモデルの信頼性に重大な影響を及ぼす可能性がある危機的な家族構成が挙げられる。 [62] [63] また、ほとんどのモデルは、遺伝子および/または症候群特異的な確率は提供しているが、未だ同定されていないがん感受性遺伝子によってがんの個人歴および/または家族歴が引き起こされている可能性については説明していない。 [64] 家族において実証済みの病原性多様体が認められない場合、個人歴および家族歴の批判的な評価は、遺伝子検査の適応に関する決定を支援するために用いられる確率の推定値の有用性および限界を決定する際に必須である。 [61] [62] [64]

家族内に病原性多様体が同定されており、検査報告でその所見が実証されている場合は、より高い信頼性で以前の確率を確認できる。この状況では、病原性多様体が同定されている遺伝子と関連する遺伝様式に基づいて確率を算出できる。加えて、メンデル式の遺伝の適用には、より正確な事後確率を算出するため現在の年齢など他の変数を計算に組み込んでいるベイズの定理を統合するよう検討することがきわめて重要である。 [1] [65] これは、家族内で同定された病原性多様体に基づいてがんが発症しているであろう年齢よりも長く生きており、そのため家族内のキャリアとの関係に基づいた確率と比較して、家族の病原性多様体を有する可能性がより低いと思われる個人においては特に有用である。

家族の一方の側で実証済みの病原性多様体が認められる場合であっても、家族のもう一方の側(母系または父系、適用可能な場合)でのがんリスクまたはがん感受性遺伝子の病原性多様体の疑いを除外するために、がんの個人歴および家族歴に関する個人の注意深い評価と査定がきわめて重要である。 [66] 家系内で病原性多様体を2つ以上分離することが可能である(例えば、特定の祖先を起源とする家系に関連した創始者病原性多様体ががん症候群に認められる状況で)。

がんを発現するリスク

がんの個人歴および/または家族歴が特定の遺伝子における病原性多様体と関連している可能性を予測する病原性多様体の確率モデルとは異なり、経時的にがんを発現するリスクの推定には他の方法とモデルが使用される。病原性多様体の確率の評価と同様に、がんリスクの算出も複雑で、詳細な健康歴と家族歴を必要とする。実証済みの病原性多様体が存在する場合、がんリスクの推定値はピアレビューの浸透度データから導き出せる。 [1] ある患者におけるがんの絶対リスクは他の変数の影響を受けるため、浸透度のデータは常に洗練されており、多くの遺伝的多様体で浸透度は不定である。病原性多様体キャリアにおけるがんリスクの修飾因子には、遺伝子/蛋白の機能に対する多様体の影響(例、多様体のタイプおよび位置)、変更遺伝子の寄与、および個人的および環境要因(例、BRCA病原性多様体を有する女性において他の適応で実施された両側卵管卵巣摘除術の影響)がある。 [67] がんに対する遺伝的感受性の証拠があるが、遺伝子検査が実施されていない場合は、がんリスクを推定するために家系図の分析を利用できる。この種の計算では、がんリスクを算出するために個人が遺伝的多様体を有する確率および多様体特異的な浸透度のデータが用いられる。 [1]

遺伝性がん症候群の証拠が存在しない場合には、がんリスクの推定にいくつかの方法が利用される。特定の危険因子の研究から得られた相対リスクのデータにより、特定の危険因子と関連した観察されたがん vs 予想されたがんの比率が提供される。しかしながら、個別のリスク評価に相対リスクのデータを利用する場合には、次のような明らかな限界がある:相対リスクの計算値は対照集団の種類および他の研究に関連したバイアスによって異なり、研究間の比較可能性が大幅に異なる可能性がある。 [65] 加えて、相対リスクは生涯の比率であり、年齢特異的な計算値を提供しているわけでもなければ、相対リスクに集団リスクを乗じて個人のリスクの推定値が得られるわけでもない。 [65] [68]

これらの限界にもかかわらず、臨床の場では疾患特異的な累積リスクの推定値が最もしばしば利用される。これらの推定値は通常、ある時間間隔でのリスクを提供し、特定の集団における他の健康条件の累積リスク(例、ゲイルモデルの5年間リスク)に結合される場合がある。 [65] [68] 累積リスクモデルには限界があり、リスクを過小評価または過大評価する可能性がある。例えば、ゲイルモデルでは乳がんの父系の家族歴が排除される。 [62] さらに、これらのモデルの多くは主に白人の集団から得たデータを元に作成されたため、他の民族におけるリスクの推定に用いる場合には妥当性が限定される可能性がある。 [69]

累積リスクの推定値は、他の基礎にある重要な危険因子の証拠が除外されている場合に使用するのが最良である。個人の個人的健康歴および家族歴を注意深く評価することにより、累積リスクモデルから得たリスクの推定値よりも重要な可能性がある他の交絡危険因子を同定できる。例えば、母親が65歳で乳がんを診断されており、以前の生検で上皮内小葉がん(LCIS)が明らかにされている女性では、第一度近親が1人いることに基づく乳がんの累積生涯リスクよりもLCISの病歴による生涯リスクの方が大きい。 [70] [71] この状況では、がんリスク管理の推奨はLCISと関連したリスクに基づいて行われる。残念なことに、ある個人の関連する危険因子すべてを組み合わせてがんの正確な絶対リスクの推定値を算出する信頼性の高い方法は存在せず、また個人の危険因子は加法的でもない。

以上をまとめると、個人的健康歴およびがんの家族歴の注意深い確認およびレビューは、リスクの計算に影響する重大な要素が考慮されていることを確認するために、以前の確率モデルの使用およびがんリスク評価に必須の付加物である。 [61] 影響する因子には以下のものがある:


  • 個人歴およびがんの家族歴と一致する鑑別診断。

  • 家族歴がどの程度情報価値があるかに影響する因子の考慮。

  • モデルの使用に最も適した集団。

  • 遺伝的素因が疑われるまたは個人のがんリスクの予測を修飾しうる腫瘍特異的特徴。

  • 計算値を過大評価または過小評価しうるモデル特異的な制限。 [64]

多くの研究者がGenetic Risk Assessment on the Internet with Decision Support(GRAIDS) [72] などの医療提供者向けの決定支援ツールを開発しているが、現時点では、臨床判断が依然として、以前の確率またはがんの絶対リスク推定の重要な構成要素となっている。 [61]


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リスク/リスクの伝達に関する教育とカウンセリング

遺伝的にがんのリスクが高い人には、リスク管理に関する具体的な臨床プログラムを提供することがある。こうしたプログラムは、以下に示すいくつかの点で、平均リスクの人に提供するプログラムとは異なる:スクリーニングの開始年齢が早いかスクリーニングの間隔が短いこと;卵巣がんスクリーニングなどの通常使用しないスクリーニング戦略を提案する場合があること;およびリスクを低下させるための手術などがんリスクを低減させる介入を提案する場合があることである。現在の推奨事項は各部位別がんの遺伝学を扱ったPDQ要約にまとめてある。

遺伝学教育および遺伝カウンセリングの目標は、個人が自分の個人的なリスク状態とがんリスク管理のための選択肢を理解する助けとなり、自分の個人的なリスク状態をどう感じているのかを探ることである。カウンセリングは、情報の入手および提供、自主的な意思決定の促進、ならびに遺伝子検査が求められた場合のインフォームド・コンセントの推進に主眼を置いている。

理想的には、

がんリスク

に関する教育およびカウンセリングには、次の情報の提供を含む:


  • がんリスク評価の目的、程度、および限界。

  • 基礎遺伝学および遺伝様式。

  • がんの遺伝子的根拠。

  • 関連する遺伝性がん症候群の臨床的特徴。

  • 来談者の個人歴および家族歴から得た遺伝性がん症候群の証拠。

  • 適応であれば遺伝子検査を含めたがんリスクを明らかにするための選択肢。

  • 早期発見およびリスク低減のための種々の方法の効力に関するデータ(またはそうしたデータがない)などリスク管理に利用可能な選択肢。

  • がんの徴候および症状。

臨床的に妥当な遺伝子検査が利用可能な場合、

遺伝子検査

のための教育およびカウンセリングには、典型的に以下が含まれる:


  • 病原性多様体を有するリスクおよび遺伝様式。

  • 遺伝子検査の代わりの案。

  • 心理学的および差別的なリスクを含めた遺伝子検査のリスク、有益性および限界。

  • 情報価値のない結果の可能性および意義不明の多様体を同定する可能性を含めて、考えられる検査結果。

  • 遺伝子検査の実施に使用される技術および関連する限界を含めた遺伝子検査の感度。

  • 考えられる検査結果に基づいた医療管理の選択肢。

  • 遺伝様式に基づいた子供および他の家系員に対する意味合い。

  • 家系員に対するリスクおよび遺伝情報の浸透。

  • 検査、カウンセリング、医学的管理、および保険適用の選択肢に伴う費用。

  • 遺伝情報および遺伝子検査結果が診療記録にどのように記録されるか。

  • 標本の保管および再利用(該当する場合)。

遺伝子検査の結果を開示し、解釈する

ために2回目のセッションが行われる場合、教育およびカウンセリングでは以下に焦点が当てられる:


  • 検査結果の解釈。

  • リスクを明らかにできる可能性がある追加の検査(例、大規模な遺伝子再構成検査、および患者の特異ながん症候群リストに基づく他の遺伝子の検査)についての話し合い。

  • 遺伝子検査の結果に対する情動反応および行動反応の評価。

  • がんリスクに関係した問題に取り組むための対処および伝達戦略に対する推奨事項。

  • がんリスク管理のための推奨事項。

  • リスク分析および家系員へのリスク結果の浸透。

カウンセリングの過程では、医学的検査、遺伝子検査、および心理社会的支援の問題に取り組むために複数回の受診が必要であろう。相談セッションの前後には、診療記録の入手とレビュー、症例記録の作成、鑑別診断に関する情報の要求、遺伝子検査に適切な検査室の確認、患者支援組織の検索、資源(リソース)の調査、および他の専門家との連絡または他の専門家への紹介のため、面談時間以外の症例に関する準備に時間が費やされる。 [1]

がんの遺伝的リスクに関する情報は急速に増加している。カウンセリングセッションで話し合う問題の多くは、新情報が現れたときに再検討が必要となる。カウンセリング過程の最後には、今後の研究によって新たな選択肢および/またはリスクに関する新情報がもたらされる可能性に言及しておくのが通例である。新情報が追加のカウンセリングセッションに値するかどうかを判断するために、定期的に医療提供者のもとを訪れるよう個人に助言してもよい。新しい遺伝子検査法や治療法の選択肢が利用可能になったときの、医療提供者から相談者への再連絡の義務については見解が分かれており、基準は未だ確立されていない。

リスクの提示方法

リスクを伝えるために数値的な確率を使用する場合、特に推定値に対して信頼区間の幅が広い、またはその人がリスクの推定値を導き出したサンプルとは重要な点で異なる可能性があると、リスクの確実性のレベルが過大評価される恐れがある。また、数字はリスクの生理的なレベルまたは情動的な面を表現するには不適切な場合が多い。最後に、数学的概念(すなわち、数量的思考能力)に関する個人の理解度には大きな差がある。上記のすべての理由から、数字と言葉の両方を用いた複数の方法でリスクを伝えることは、リスクの理解を高めるための有用な戦略であろう。最も理解を容易にする数値形式は自然頻度であり、それは、頻度にその人が参照する可能性がある基準群である母数に関する情報が含まれているためである。一般的に、対数尺度は避けるべきである。 [2] さらに、リスクの理解を高める目的で、頻度とともに重要な「前後関係の」リスクが含められることがある;この中には、その人のリスクを、問題となる危険因子をもたない人のリスクおよび自動車事故に遭うなどの通常の危険と関連するリスクと比較する方法を含むことがある。この他の提案には、リスクの形式を一貫させる(オッズとパーセンテージを併用しない)、リスクの推定値全体で同じ母数を使用する、小数点を避ける、ベースになる発生率の情報を含める、リスクが1%未満の場合にはより詳しく説明するといったことがある。

リスクの伝達には、数値、言葉、または図が用いられることがある。複数の戦略を使用することにより、がんの遺伝学的リスクに関する情報の理解と記憶保持が高まる。 [2] 最近、視覚的にリスクを伝達する戦略(例、ヒストグラム、円グラフ、およびベン図)の使用が増加している。リスクの視覚的表現は数値の理解での問題を避ける際に非常に有用であるが、このことを確認している研究は不足している。 [3] [4] 2008年に発表された1件の研究では、乳がんリスクを伝えるために2つの異なる視覚資料の使用が調査された。乳がんリスクが高い女性が、棒グラフのみの報告を受ける群と棒グラフと頻度図(すなわち、ハイライトされた人形の数)の報告を受ける群にランダム化された。結果から、全体として2群間でリスク認識の正確度の改善において差は認められなかったが、ベースライン時にリスクが非常に高いと不正確に認識していた女性のうち、両方の視覚資料を受けた群では正確度の改善がより大きかった。 [5]

リスクの伝達

リスクカウンセリングの目的は、個人のリスクに関する正確な情報を提供し、リスクの理解と解釈を助け、この情報を用いた医療に関する重要な決定の支援と、自らの状況にできる限り適応できるような援助を行うことである。伝達介入を評価した28件の研究を対象とした系統的レビューにより、リスクの伝達は、リスク認識の知識および理解を向上させることによって利用者に認識的な利益をもたらすとともに、情動(不安、がんに関係する悩み、およびうつ病)に悪影響を及ぼさないことが示された。リスクの伝達によって、スクリーニングの実践および検査の利用が変化することはないようである。利用者は、リスクの伝達を遺伝カウンセリングとともに用いるアプローチから最大の利益を受けた。 [6] [7] リスクの認識は、リスク情報の提示方法、確率と遺伝の理解の難しさ [8] [9] 、および個人と医師の双方の立場の心理学的過程による影響を受ける。 [10] リスクを伝える手段は数多くある(例、数字や言葉または図によって;単独または他のリスクと関連させて;有害事象が発生する確率によって;相対的な数値あるいは絶対的な数値によって;さらにこれらの方法を組み合わせて、など)。リスク情報でも伝達方法によって、リスクの大きさに対する個人の認識に影響することがある。一般に、相対リスクの推定値(例、「あなたが大腸がんになるリスクは3倍です」)は、絶対リスクの推定値(例、「あなたが大腸がんになるリスクは25%です」) [11] または割合(例、4人に1人)として提示されたリスク情報よりも情報価値はないと認識される。 [9] 遺伝子検査を考えている女性からは、BRCA1/2病原性多様体リスク推定値は数字で表されることが強く好まれると報告されている。 [12] 個人は差異の幅が広い量的なリスクを、「まれ」または「一般的」といった質的なリスクの表現に結びつけて考える。 [13] 個人が自らのがんリスクを正確に理解できるようにするため、最善のリスク伝達方法を探るさらなる研究が必要である。

伝達戦略

がん遺伝カウンセリングの過程に関する最近の記述的調査により、カウンセリングセッションでは、クライアントに選択肢を告げ、遺伝学的所見の全体像を理解させるために必要な生物医学的教育を重点に行っているが、心理社会的問題への注目は、教育目標を損なうことなく、カウンセリングを受けるクライアントの満足度を高める可能性があることが明らかになっている。例を挙げると、BRCA1に対する検査前の167回のカウンセリングセッションにおける伝達パターンに関する1件の研究では、セッションがほとんど生物医学と教育に集中していることが明らかにされた [14] ;しかしながら、このアプローチではクライアントに注目し、カウンセラーとクライアントは等しく対話に参加した。これらの著者は、カウンセラー間および異なるセッション内の両方で、カウンセラーのスタイルには各カウンセラーによって著しい相違があったことを指摘している。教訓的方法の知見は、乳がん感受性に対する51回のカウンセリングセッションについて観察者が評価した内容のチェックリストとセッションのビデオテープを調査した他の研究者により支持された。 [15] 注目すべきこととして、遺伝カウンセラーは遺伝カウンセリングセッションをクライアントそれぞれに合わせるために、クライアントの自己報告型の期待または心理社会的因子よりもむしろ人口統計学的情報と乳がん既往歴に頼っていたようである。 [16] 心理社会的および科学的情報を同時に提供することは、がん遺伝学の話題に関するカウンセリングにおいて心配を減らす上で重要であろう。 [17] 言語選択の理解が高まると、セッションにおける理解と不安レベル低下に寄与するであろう;例えば、「変化した遺伝子」など、「突然変異」という単語の同義語を選択すると患者がよく理解することが指摘された。 [18] 一部の著者らにより、大きなフリップチャートのようなアフリカ系米国人集団向け教材に関して、単純な言葉や図、文化的に特定可能なイメージ(例、霊的なシンボルおよび部族の模様)、鮮やかな色、およびユーモアの使用といった文化的調整についての推奨事項が発表されている。 [19]

諸研究により、がんのリスクが高い個人向けにがんの遺伝学的リスクの情報を伝達し、心理社会的支援を提供し、そして遺伝カウンセリングの過程を標準化するための新たな方向が調査されている。 [20] [21] [22] [23] [24] [25] [26] [27] こうした文献の多くは、リスクに関するクライアントの個人的および情動的な懸念に時間を使うために、遺伝カウンセリングのセッションをさらに効率化するか、セッションでカウンセラーが基本的な遺伝的法則を扱う必要性を減らす試みを行っている。例えば、BRCA1/2およびミスマッチ修復遺伝子検査について、遺伝カウンセリングとの面談による結果報告の場より、むしろ手紙による遺伝子検査結果の伝達について検討されている。 [28] 他の方法には、患者の評価またはチェックリスト、CD-ROMプログラム、双方向型のコンピュータプログラムなどの開発がある。

患者の評価またはチェックリストは、カウンセリングセッションにおいて扱われる重要な分野の範囲を分かりやすくするように開発されている。1件の研究では、遺伝性がんカウンセリングセッション前に患者の心理社会的要求が評価され、セッションへのこうした評価の効果が測定された。 [29] 家族性がんについて扱う2つのクリニックから計246人の参加者が、カウンセラーが評価結果を受けた介入群または通常ケアの対照群のいずれかにランダムに割り付けられた。研究結果から、介入群参加者では対照群参加者よりも頻繁に心理社会的懸念について話し合われたが、セッションの長さには影響しなかったことが実証された。さらに、カウンセリングセッションから4週間後のがんの心配および心理的苦痛は対照群の参加者よりも介入群の参加者で有意に低かった。

2番目の研究では、高リスク乳房クリニックを受診した女性197人がカウンセリングセッション前に記入したフィードバックチェックリストが比較され、以前の遺伝学的知識および勘違いを伝えてカウンセラーがそのクライアントに応じたセッションを調整するのに役立てられた。 [22] フィードバックチェックリストの使用により、カウンセリングセッションから知識は増加したものの、遺伝カウンセリング時間は短縮されなかった;これはおそらく遺伝カウンセリングで心理社会的問題などの話題の話し合いに時間を費やすように決められたためである。しかしながら、チェックリストの使用によって、腫瘍内科医に費やされる時間は減少した。フィードバックチェックリストは、基本的な遺伝的概念および検査の有益性と限界について概説したCD-ROMと比較され、CD-ROMを閲覧した人はカウンセラーと相談する時間が短くなり、遺伝子検査の受診を選択する傾向が低いことが明らかになった。CD-ROMでは、チェックリストを使用した場合ほど遺伝的概念の知識は増加しなかった。

Bethesda基準を満たすがアムステルダム基準を満たさない大腸がん患者239人を対象に、マイクロサテライト不安定性(MSI)の腫瘍検査に対するCD-ROMによる意思決定支援ツールの効果を評価したレトロスペクティブ研究がある。 [30] この研究では、MSIの腫瘍検査を受ける意思決定にまつわる決心の葛藤に影響を与える因子の理論モデルも検証された。この研究の中では、サンプルの半数が臨床対応内でMSI検査についての簡単な説明を受ける群にランダムに割り付けられ、残る半数が同様な簡単な説明に加えてCD-ROMによる意思決定支援ツールを与えられた。CD-ROMと簡単な説明による介入では、MSI検査に関する理解度が簡単な説明のみの場合より高くなった。その結果、参加者は検査に関して意思決定を下す覚悟がさらに強まったと感じるとともに、MSI検査が有益だという認識が深まったことから、決心の葛藤が減少した。

この他の革新的戦略としては、教材および双方向型のコンピュータ技術がある。1件の研究において、図解や言葉による説明などリスクを伝えるためのさまざまな形式を使用した13ページのカラー伝達補助資料が開発された。 [23] 著者らは、BRCA1/2病原性多様体のリスクが高い27人の女性における伝達補助資料の影響を評価し、補助資料を読んだ女性と標準的な遺伝カウンセリングを受けた女性107人の比較サンプルとを比較した。補助資料を読んだ女性における遺伝学的知識およびリスク認識の正確度の改善が実証されたが、集団間で不安または抑うつにおける差は認められなかった。個人別の双方向型の電気的教材もまた、遺伝学教育および遺伝カウンセリングを支援するために開発されている。 [24] [25] 1件の研究において、BRCA1/2検査に対するカウンセリングを受診した女性を対象に、遺伝カウンセリングセッション前に利用可能な双方向型のコンピュータ教育プログラムが遺伝カウンセリング単独と比較された。 [25] 遺伝カウンセリング前のコンピュータプログラムの利用により、特にBRCA1/2病原性多様体のリスクがより低い女性で遺伝学カウンセラーとの面談時間が減少した。カウンセラーの多くが、コンピュータプログラムをクライアントが使用することによって、効率が増し、セッションで費やす時間をクライアント特有の懸念に再配分できるようになったと報告した。

テレビ会議は、専門クリニックの環境に移動できないクライアントとの遺伝カウンセリングセッションを容易にするための革新的戦略である。英国の37人の個人において、リアルタイムのテレビ会議が直接会って行うカウンセリングセッションと比較された;いずれの方法も知識を向上させ、不安レベルを低下させることが明らかにされた。 [26] 同様に、小児科で発達遅滞に対する遺伝情報および所見を伝える状況において、クライアントと遺伝学の専門家がリアルタイムでお互いに話すことができるテレビ会議セッションがメイン州の地方コミュニティで利用され [27] 、意思決定の信頼度および相談に関する満足度の点で、直接的な面談と同等であることが明らかにされた。オーストラリアの研究で、遺伝性乳がんおよび卵巣がんの遺伝カウンセリングをテレビ会議を通して受けた女性106人の経験と、面談形式のカウンセリングを受けた女性89人の経験が比較された。カウンセリング受診前および受診の1ヵ月後の評価によると、知識増加、満足感、がん特異的不安、全般性不安、うつ状態、および遺伝カウンセラーへの共感認識において有意差がないことが明らかになった。 [31]


参考文献
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遺伝子検査という選択肢

検査の提案に際して考慮すべき因子

検査に対する適応

リスク評価から遺伝性がん症候群の存在が示唆され、それに関する特定の遺伝子が同定されている場合に、専門家は遺伝子検査の提案を奨める。米国臨床腫瘍学会(ASCO)のがん感受性に対する遺伝子検査の方針声明( [1] [2] American Society of Clinical Oncology Policy Statement on Genetic Testing for Cancer Susceptibility)では、下記の状況に当てはまる場合に遺伝子検査を提案すべきであると提唱している:


  • 個人が、遺伝学的がん感受性症候群を示唆する個人歴または家族歴を有する。

  • 検査の結果が解釈可能である。

  • 検査が医学的管理に影響する。

この決定を下す際に使用する特徴については、具体的ながんの遺伝学に関するPDQ要約で考察する。個人歴と家族歴の特徴によって可能性がある遺伝性がん症候群が示された場合でも、下に記すような予測されるリスク、有益性、および限界について話し合った後に、検査の受診を選択しない人がいる。反対に、きわめて小規模な家族、早期死亡、またはキーとなる家系員に関するデータが不完全といったことが原因で、家系図が不完全または情報価値のない場合、自身のリスク状態をより詳しく明らかにするために、遺伝子検査の受診を選択する人もいる。このような場合、検査前カウンセリングで検査過程の限界を十分に検討しておくことが特に重要である。

2010年に、ASCOは浸透度が低~中程度の遺伝子の検査、多重遺伝子(パネル)検査、および消費者向け(DTC)検査を扱う最新の方針声明を発表した。このASCOの枠組み(表1)では、検査提供者は、その検査が医療提供者を介して得られたものか、消費者によって直接得られたものかに加えて、検査の臨床的有用性の証拠についても検討するよう推奨している。 [1]

表1.遺伝子/ゲノム検査の臨床的有用性a

検査依頼者 不確定な臨床的有用性 不確定な臨床的有用性
a出典:Robson et al. [1]
医療専門家 浸透度の高い遺伝的多様体(すなわち、BRCA1BRCA2 浸透度が低~中程度の遺伝的多様体(例、CHEK2
消費者 浸透度の高い遺伝的多様体(すなわち、BRCA1BRCA2 浸透度が低~中程度の遺伝的多様体


ASCOの立場は、検査がその臨床的有用性とは無関係に医療提供者により依頼される場合、検査提供者は検査所見に基づいてフォローアップケアの取りまとめを行う責任があるというものである。検査が医療提供者の関与なしに消費者により依頼された場合、管理の判断は臨床的有用性の証拠に基づいて行う。臨床的有用性が受け入れられている検査については、フォローアップケアは遺伝子検査の所見に関連するがんリスクの証拠に導かれる。しかしながら、消費者が依頼した検査で臨床的有用性が不確定なものについては、ASCOはフォローアップケアに検査の臨床的有用性に関する証拠の不足についての教育を含めるべきであり、およびがんリスク管理の決定を確立されたがん危険因子によって導くべきであると推奨している。 [1]

遺伝子検査結果の解釈を含む遺伝に関する教育およびカウンセリングは、遺伝子検査を以前に試みたことがあるかどうかによって変わってくる(図2を参照のこと)。一般に、遺伝子検査が実施される状況には主に次の2つがある:


  • 遺伝子検査を受けたことがないか、遺伝子検査で病原性多様体が同定されていない、遺伝的感受性の証拠を有する家族。

  • 実証済みの病原性多様体を有する家族。

図2.この遺伝子検査アルゴリズムは、がん感受性検査のための多段階過程を示す。

罹患した家系員を最初に検査する意義

一般に遺伝的感受性検査から最も有用な情報が得られるのは、問題となっているがんに罹患し生存している家系員が最初に検査を受け、がんの診断の遺伝子的根拠が確立できるかどうかが決定される場合である。検査を延期し、罹患した血縁者の追跡を保留する場合、罹患していない発端者に対する暫定がんリスク管理ガイドラインの提供を検討する。 [3] 検査で考えられる結果は次の3つである(図2を参照のこと):


  • 病原性多様体が検出された。

  • 多様体が検出されなかった。

  • 意義不明の多様体(VUS)の検出。

実証された病原性多様体(がんリスクと関連している)が同定された場合、リスクはその特定遺伝子の病原性多様体に関する浸透度データに基づく。また、この特異的病原性多様体の有無を調べるために他の家系員が検査されることもある。罹患した家系員に多様体が認められなければ、遺伝子検査は情報価値のないものと考えられるため、非罹患血縁者が検査を受診する根拠はなくなる。罹患している家系員に病原性多様体が検査室によって検出できなかったからといって、その家族におけるがんの遺伝性が除外されるわけではない。検査が「情報価値がない」となる理由には以下のものがある:


  • 家族内のがんが、検査された遺伝子以外のがん感受性遺伝子と関連している。

  • 家族内のがんは遺伝子の病原性多様体と関連している場合があるが、検査を受けた特定の家系員のがんがその多様体と関連しているわけではない。これは、特に乳がんおよび前立腺がんといった一般集団によくみられるがんで認められることがある。がんに罹患しているが、その家族におけるがんの遺伝的素因と関連する病原性多様体のキャリアではない家系員は、表現型模写と考えられる。

  • 遺伝的多様体の検出に用いられる研究室の手技の感度が不十分な場合、遺伝的多様体の同定が不可能なことがある。最初の遺伝子検査で見逃されてしまうある種の多様体を検出するため、追加検査が利用可能な場合がある。

  • 遺伝子の機能が、別の遺伝子における病原性多様体により変化することがある。

最後に、検査によってVUSが明らかになることがある。この結果は、遺伝的多様体が明らかになったことを意味している;しかしながら、この多様体によってがんリスクがどの程度増加するか、あるいはその多様体が家族におけるがんの病歴と関連しているかどうかは不明である。この状況において、多様体の意義に関する手がかりは以下から導き出すことができる:


  • 遺伝子の領域および機能に関係する多様体の位置。

  • 特異的変化;多様体の多くはミスセンス多様体であるため、すべてのアミノ酸置換に意義があるわけではない。

  • 実証済みの病原性多様体が存在する場合に、その多様体が証明されているかどうか。

  • がんを有する家族の一方の側と多様体が関連しているかどうか、および/または家族にがんを伴って多様体が認められるかどうか。

残念なことに、このような情報が得られても、特定の多様体の意義を実証するには証拠として不十分なことが多く、さらに解明する研究が必要である。

検査を受けるために近い近親者で生存している罹患者がいない場合、または生存している罹患近親者が検査を断る場合は、患者と検査室とで他の選択肢について話し合うこともある。まれな例で、家族から正式な許可が得られた場合、死亡した血縁者の保存組織の検査を検討してもよい。しかしながら、保存組織で実施する遺伝子検査は技術的に困難で、確実な結果が得られない場合がある。そのため、以前に罹患した家族員の検査を行っていない非罹患者の検査を実施してもよい。このような例では、陰性の検査結果によっても、家族または患者におけるがん感受性遺伝子の存在は除外されず、十分な情報が得られるわけではないことについての話し合いをカウンセリングに含める。

実証済みの病原性多様体が認められる家族における検査

家族における実証済みの病原性多様体に対する遺伝的感受性検査は非常に情報価値があり、次の2つの結果の1つが得られる(図2を参照のこと):


  • 家族性病原性多様体が陽性。

  • 家族性病原性多様体が陰性。

ある家系員に家族性病原性多様体が検出された場合、その家族のがんリスクはその特定の遺伝子における病原性多様体の浸透度データに基づく。ある家系員に、実証済みの病原性多様体が検出されない場合、その個人のがんリスクは一般集団のがんリスクと同程度である。しかしながら、他の危険因子および実証済みの病原性多様体と関連しない側の家族の家族歴により、一般集団の水準よりもがんリスクが高くなることがある。

要約すれば、遺伝学教育および遺伝カウンセリングは、家族において検査すべき最も情報価値が高い個人を同定することであり、その個人は遺伝サービスを求めた個人というよりもむしろ罹患した家系員の1人であろう。さらに、カウンセリングには、検査の限界、想定されるすべての検査結果、および臨床的なVUS型を同定する重要性についての話し合いが含まれる。 [4]

保険の適用範囲

多重遺伝子(パネル)検査を含めてがん感受性検査に対する保険の適用範囲は異なる。一般に、特定の基準(例、BRCA1/2またはリンチ症候群検査に対するNational Comprehensive Cancer Network[NCCN]のガイドライン)を満たすほとんどの個人は、多重遺伝子検査に対する保険適用を受けることができる。 [5] 注目すべきこととして、一部の保険会社は特定の検査所と契約を結んでおり、検査はその検査所に依頼する必要がある。

Affordable Care Act(ACA)では、民間保険会社がUnited States Preventive Services Task Forceのガイドラインを満たす非罹患女性に対して-被保険者の自己負担なしに-遺伝カウンセリングおよびBRCA1/2検査をカバーするように要求している。 [6] [7] [8] 重要なことに、ACAのガイドラインの元では、以前にがんの診断を受けた女性はカバーされない。ACAでは、遺伝子検査の結果に基づくフォローアップケア(例、リスク低減のための手術)がカバーされるようには規定していない。しかしながら、一部の保険会社は検査を許可する前に、資格認定を受けた遺伝学専門家による検査前の遺伝カウンセリングを実施するように要求している。検査を依頼する前に、メディケイドおよびメディケア加入患者を含めて費用と保険適用について確認することが重要である。メディケアでは、検査が依頼された病原性多様体に関連するがんの診断を患者が受けていない場合は、遺伝子検査をカバーしない。また、罹患していないメディケア加入者は既知の家族性病原性多様体のみに対する検査であっても、検査に対する保険適用を受けられない。さらに、メディケアでは別に支払い請求可能なサービスとしての遺伝カウンセリングもカバーされない。 [9] 保険適用を受けられない個人および一部被保険者を対象に、低費用のオプションを提供するか、または経済的助成プログラムを設けている検査所もある。

遺伝子検査および生殖補助技術

キャリアはがんの病原性多様体を子供に伝えるリスクがある。絨毛膜標本採取および羊水穿刺を用いる生殖補助技術が、着床前遺伝子診断(PGD)および出生前のがん素因の遺伝子検査に利用できる。 [10] [11] [12] 常染色体優性遺伝性がん症候群(例、APCBRCA1/2PTEN、またはTP53の病原性多様体に関連する症候群)を有する個人には、病原性多様体の1つのコピーを有する子供(ヘテロ接合体)を発見するため、出生前の検査およびPGDといった生殖の選択肢がある。しかしながら、多重遺伝子(パネル)検査の出現に伴い、以前は病原性多様体の2つのコピーを有する個人(ホモ接合体)において主に同定されてきた広範囲の遺伝子アレイの中で、単一の病原性多様体を有する個人が同定されることがより多くなっている。

したがって、ある個人の検査でこのような遺伝子の1つの病原性多様体が陽性となれば、生殖の意味合いに関するカウンセリングでは、常染色体優性遺伝に伴うリスクだけでなく、重度の疾患となる同じ遺伝子に2つの病原性多様体(両アレル性)を有する子供が生まれる潜在的なリスクについても扱われる。そのため、検査を受けた個人のパートナーを評価すること(すなわち、パートナーの個人歴および家族歴と民族性)が重要である。両親が特定の病原性多様体についてヘテロ接合体であるまれな事象では、子供がホモ接合体となり、重度の表現型を有するリスクが25%となる。こうした情報に照らして、カップルはPGDか出生前の検査を検討できる。

生殖の選択肢についてキャリアにカウンセリングを行う場合に提案されている分析の枠組みでは、以下の問題が検討される: [11]

  1. がん症候群に小児がんまたは若年での重大な罹病または死亡が含まれるか。
  2. 遺伝的多様体と関連する浸透度はどの程度か。
  3. 症候群の表現型の重症度はどの程度か。
  4. 病原性多様体と関連したがんリスクを低下させるか、または治療が可能な早期にがんを検出することが証明されている介入を利用できるか。
  5. 個人がヘテロ接合体またはホモ接合体キャリアである場合、異なる表現型の証拠があるか。 [13] [14]

さまざまな遺伝性がん症候群の患者320人を対象にした研究において、ほとんどはPGDについて知らなかった;しかしながら、大多数がPGDの利用可能性についてより詳しく知りたいと関心を示した。 [15] 患者はまた、PGDについて遺伝カウンセラーまたはプライマリケア医との話し合いを望んだ。疾患特異的因子(例、遺伝性疾患の重症度、生活の質、および医学的介入)および個別の因子(例、性別、出産状態、および宗教的な信念)が、PGDに関する患者の態度に影響した。

使用する検査の決定

遺伝子検査は専門性の高い検査である。特定の検査は通常、少数の検査室でしか実施されていない。また、複数の分子学的検査方法が利用可能で、それぞれ適応も、費用も、利点も欠点も異なる。同一遺伝子の検査でも、使用した方法と分析の程度によって感度と特異度のレベルはさまざまである。分析方法の妥当性が高いと仮定しても、遺伝的異質性のために検査法の選択は難しい。特定の型のがんが発生する背景には、多くの異なる遺伝的症候群が存在していることがある。例えば、遺伝性結腸がんの原因として家族性大腸腺腫症(FAP)やリンチ症候群、ポイツ・ジェガース症候群、若年性ポリポーシス症候群、その他の症候群が考えられる。こうした症候群にはそれぞれ異なる遺伝子的根拠がある。さらに、同一の症候群にさまざまな遺伝子が関わっている(例、リンチ症候群はいくつかのミスマッチ修復[MMR]遺伝子の1つに生じた病原性多様体に起因する可能性がある)。

一部の遺伝子では、血縁関係がないとみられる複数の家系に同一の病原性多様体が発見されている。この観察所見は、創始者効果と一致しており、そこでは、現在のヒト集団に同定された病原性多様体について、地理的因子、文化的因子、またはその他の因子により単離された少数の創始者グループまでさかのぼることができる。例えば、アシュケナージユダヤ人では、特異的な2つのBRCA1病原性多様体(185delAGおよび5382insC)と1つのBRCA2病原性多様体(6174delT)がよくみられることが報告されている。また、他の遺伝子でも創始者病原性多様体が報告されている。創始者病原性多様体の存在は、遺伝子検査では実用的な意義がある。多くの検査施設が、特に民族特異的なアレルを標的とした検査を提供している。これは遺伝子検査の技術面を大幅に簡素化するが、限界がないわけではない。例えば、アシュケナージに発生するBRCA1およびBRCA2病原性多様体の約15%は、創始者病原性多様体ではない。 [16] また、創始者集団で大規模なゲノム再構成がよくみられる遺伝子では、異なった技術を用いる特注の追加検査が必要となる場合がある。

対立遺伝子異質性(すなわち、同一遺伝子内の異なる多様体)は、別のリスクをもたらすか、または異なる表現型と関連している可能性がある。例えば、結腸腺腫性ポリポーシスAPC)遺伝子の病原性多様体は、何百、何千もの結腸ポリープ、および古典的FAP症候群の結腸がんに関連しているという一般原則があるが、APC病原性多様体のなかには、ポリープが少なく、大腸がんのリスクが低い軽症型の臨床像を生じるものもある。 [17] [18] さらに、他の障害がFAPの範囲に属している可能性がある。APC遺伝子の特定部に病原性多様体が生じても網膜変性が発現しやすくなり、例えば、APC遺伝子の別の領域に病原性多様体が生じると、デスモイド腫瘍が発現しやすくなる。このため、ある個人に適した遺伝子検査を選択するには、遺伝子診断法をはじめ、臨床所見と分子的所見との相関の知識が相当必要であるとともに、検査法の選択肢の急速な変化に関する情報の入手が必要である。こうした問題は各部位別がんの遺伝学に関するPDQ要約に詳しく説明している。(詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学大腸がんの遺伝学;および内分泌および神経内分泌腫瘍に関するPDQ要約を参照のこと。)

多重遺伝子(パネル)検査

次世代の塩基配列決定法(NGS)により、病原性多様体の有無について複数の遺伝子を同時に検査できる多重遺伝子検査が利用可能になっており、費用も単一遺伝子の検査と同程度であることが多い。これらの多重遺伝子パネルには、特徴が十分明らかになっているがんの高リスク遺伝子や、中等度のリスクおよびリスク不明の遺伝子を含めることができる。多重遺伝子パネルは特定のがんの種類(例、乳がん、卵巣がん、結腸がん)に限定することもできるし、多くのがんの種類を含めることもできる。この種類の検査には利点および欠点があり、本セクションに示す情報の大半は経験的データに基づくものではなく、注解に基づくものである。

多重遺伝子検査使用時の考慮事項

多重遺伝子パネルの使用は複雑であるが、この検査アプローチの使用により利点が得られる可能性がある。最初に、多くの遺伝性がんは類似した表現型を呈する複数の候補遺伝子により生じる(すなわち、遺伝子座異質性)。この背景において、ある表現型に関連するすべての遺伝子を検査することで時間と費用の両方を節約することができる。 [19] さらに、家族歴の解釈に影響を及ぼしうる多くの変数を考慮すれば、多重遺伝子検査は、特に鑑別診断リストに複数の症候群が存在しうる場合、または家族歴があるがん症候群の標準的基準を満たさない場合に、患者および/または家族におけるがんの遺伝子的基礎の同定を促進する可能性がある。 [19] [20] (家族歴の解釈を困難なものとする可能性のある因子のリストについては、本要約の家族歴の分析のセクションを参照のこと。)

この検査アプローチの使用には困難も存在する。現在、複数の検査施設が多様な臨床的がん感受性遺伝子パネルを提供している。 [21] [22] 臨床的多重遺伝子パネルは進歩を続けており、パネルの組成を変更できることから、再検査が検討事項となることがある(誰をいつ再検査するか)。結果の解釈に困難をもたらしうる他の考慮事項としては、特に発生率が民族によって異なるために、意義不明の多様体(VUS)の発生率が比較的高いこと、およびがんとの関連性が不明な遺伝子の多様体の発見などがある。

National Society of Genetic Counselors(米国遺伝カウンセラー学会)およびASCOのガイドラインは、以下の基準が該当する場合の遺伝子検査提供を支持している:個人歴/家族歴に遺伝性がん感受性症候群に関する疑いがある;検査を解釈することができる;およびその結果により医療上の意思決定のための情報が得られる。 [2] [23] 多重遺伝子検査には浸透度が中程度または不明の遺伝子が含まれうることを踏まえれば、検査されるすべての遺伝子がこのような専門家団体のガイドラインに従っていなくてもよい。(中程度および低い浸透度に関する情報については、がん遺伝学の概要のPDQ要約の図1を参照のこと。)したがって、リスクのレベルまたは不明リスクに基づく医学的管理の変更を裏付ける証拠は限定的であるか存在しない可能性がある。 [1] [2] さらに、表現型に基づく検査に対する多重遺伝子検査の優位性を確定する証拠も不十分である。 [24] この結果、多重遺伝子検査の至適臨床使用についての診療ガイドラインはようやく登場しつつある段階である。 [2] [25] NCCNおよびASCOのガイドラインは、鑑別診断リストに2つ以上のがん症候群または遺伝子がある場合は、多重遺伝子検査を使用することで効率が高まる可能性があることを示唆している。 [2] [25] さらに、NCCNは、患者に遺伝的感受性に合致する個人歴または家族歴が認められるが、単一遺伝子検査では病原性多様体が確認されなかった場合に、多重遺伝子検査に一定の役割がある可能性について記述している。 [25]

このような一次基準に加え、至適検査戦略を判断する医療提供者は以下についても検討することができる:全体的費用および患者の自己負担費用;保険払い戻し;検査完了までの期間;検査施設使用の容易さ;VUS同定の確率ならびに、多様体に関する再分類過程および補足データ提供などの、その所見の管理;欠失/重複アッセイの有無などの技術的違い;患者の好み;臨床歴。 [2] [19] [21] [26]

多重遺伝子検査についての遺伝学教育およびカウンセリング

ASCOは、患者にこの種の検査の意義について十分な情報を確実に提供するための遺伝カウンセリングの重要性を強調しており、検査をがん遺伝子の専門家が依頼することを推奨している。 [2] [24] しかし、多重遺伝子検査を使用する場合は、遺伝カウンセリングに対する従来のアプローチを修正する必要がある。 [20] [27] 至適な証拠に基づくカウンセリング戦略はまだ確立されていない。直接面談の単一遺伝子検査前の遺伝カウンセリングモデルとは異なり、このようなアプローチは、理解、満足、心理社会的アウトカム、および検査利用率などのカウンセリングの転帰について検討されていない。表2は、生殖細胞がん遺伝子検査についての検査前遺伝カウンセリングおよびインフォームド・コンセントの諸要素に関するASCOの推奨を要約したものである。 [2]

表2.生殖細胞がん遺伝子検査についての検査前遺伝カウンセリングおよびインフォームド・コンセントの諸要素a

トピック 従来の生殖細胞がん遺伝子検査 多重遺伝子パネル生殖細胞がん遺伝子検査
a出典:Robson et al.
遺伝子情報 検査される特定の遺伝子または遺伝子多様体。 多重遺伝子パネルに含まれる特定の遺伝子のレビューは、各遺伝子を個々に扱うことが不可能であるため、一括で行うことが必要となる場合もある。
遺伝子または遺伝子多様体に関連するリスクおよび医療に対する意義。 多重遺伝子パネルに含まれる高浸透度の遺伝子および/または症候群(すなわち、遺伝性乳がん-卵巣がん症候群、リンチ症候群、遺伝性びまん性胃がん、リー-フラウメニ症候群)、個人歴および家族歴に基づく検出の可能性ならびに医療に対する一般的意義を説明する。
臨床的有用性が不明な遺伝子について一般的に説明する。
考えられる検査結果 • 病原性多様体が検出された。
• 多様体が検出されなかった。
• 意義不明の多様体(VUS)の検出。
  以下の特徴を有する遺伝子の多様体:
• 浸透度に関する証拠が限定的。
• 所見が一致しない(患者の個人歴および/または家族歴と一致しない遺伝子に同定された病原性多様体)。
VUS発生率が高い。
遺伝子検査のリスク、便益、および限界 検査結果の心理社会的意味合い。
プライバシー、データ保護、結果の配置(すなわち、電子医療記録)などの機密性に関する考慮事項。
将来の研究のためのDNAサンプルの使用。
雇用差別および保険差別のリスクおよび保護。
検査に関わる費用および保険が適用可能な場合のその範囲。
遺伝学医療専門家が検査企業に雇用されているかどうか。
家系員に対する遺伝子検査の意味合い 多様体の伝播パターンならびに小児および他の家系員における遺伝リスク。
検査結果を家系員と共有する重要性。
劣性疾患に関連する遺伝子の病原性多様体(すなわち、ATM、ファンコニー貧血[BRCA2PALB2]、NBNBLM)と関連する潜在的な生殖上の意味合い。
遺伝子検査結果の使用 遺伝子検査結果の医療に対する意味合い。


多重遺伝子検査の結果

多重遺伝子検査では、以下のものを含め、いくつかの結果が生じうる: [24]


  • 多様体が検出されなかった。

  • VUSが検出されなかった。

  • 既存の個人歴/家族歴と一致する高浸透度遺伝子の病原性多様体(例、リンチ症候群のAmsterdam基準を満たす個人における生殖細胞 MSH2 病原性多様体)。

  • 既存の個人歴/家族歴と一致しない高浸透度遺伝子の病原性多様体(例、胃がんの個人歴/家族歴のない個人における生殖細胞 CDH1 病原性多様体)。

  • 中浸透度の遺伝子の病原性多様体(例、 CHEK2 ATM )。

  • がんリスクおよび/またはがんとの関連性が不確定な遺伝子の病原性多様体(例、 POLE )。

複数の遺伝子が同時に検査され、VUSの発生率が高いことを考慮すれば、結果から2つ以上の所見が明らかとなる可能性もある。 [20] 理解、心理社会的アウトカム、およびがんリスク管理選択肢の利用率などの、多重遺伝子検査の結果についての評価は行われていない。

多重遺伝子検査について調査した研究

NGS多重遺伝子パネルからの一連の結果が臨床シリーズおよび検査シリーズからのデータ両方で出てきつつある。これらの研究のうちの数件は両者の共同研究である。多重遺伝子検査に関してこれまで実施された研究についてはいくつか重要な注意点がある:


  • 研究間でその目的、アプローチ、被験者の確認、使用パネルが異なる。

  • 検査施設およびクリニックそれぞれをベースとする研究は抽出枠(研究が抽出する集団およびその特性)に関して異なる可能性が高い。例えば、数件の研究が、高リスク患者のトリアージ、検査、助言にそれほど経験がない可能性のある専門家を含む多様な医療専門家による検査を対象としている可能性がある。 [28]

  • 検査法もエクソン/イントロンのカバー率、読み深度Sanger塩基配列決定法による確認、および多様体の解釈について検査施設間で異なる。 [29]

  • 多重遺伝子パネルの一環として検査される遺伝子は常に変化している。数件の研究では、通常はより多くの遺伝子が含まれる研究の経過中に多重遺伝子パネルの構成が変更された。 [30]

  • 一部の患者集団では、従来の単一遺伝子の手法により既に検査を受けた患者および検査を初めて受ける患者が混在しており、真の診断率を明らかにすることが困難となっている。 [31] [32]

基本的に以前のBRCA検査を再現した研究によると、NGS多重遺伝子パネル検査の分析的妥当性は以前の単一遺伝子検査と同等であり、単一遺伝子BRCA検査および多重遺伝子検査の両方を受けた患者での一致率はほぼ100%であった。 [31] [32] しかしながら、単一遺伝子検査では見逃されたか、見逃されていたであろう、新しい病原性多様体が発見される患者が若干存在することは明らかなようである。多重遺伝子検査による付加的発見率の範囲は使用される検査および疾患により異なるが、現在は約4%とみられる。 [32] [33] [34] 認められる最も一般的なBRCA以外の病原性多様体は、CHEK2ATM、およびPALB2に存在する。 [32] [33] [34] [35] 同様に、VUSの発生率も研究間で異なる。表3は多重遺伝子検査を使用して発見された病原性多様体およびVUSの発生率に関して得られつつある報告の抜粋からのデータを示している。本表は、1,000人を超える参加者を含む研究から構成されている。多重遺伝子パネルは常に変化しており、遺伝子が追加されたり、削除されたりしているため、研究間での発生率の比較は注意して行うべきである。VUSの発生率は、本パネルに含まれる遺伝子の数とともに増加している。 [33] [36] 一部の患者は複数のVUSを有していたが、これは定量化されていない。これらのデータは予備的なものであり、多様体の解釈を精緻化し、標準化するために必要なデータを併合するために学術的クリニックおよび民間検査施設が提携するにつれ、変化する可能性があることに注意することが重要である。

表3.多重遺伝子(パネル)検査の使用について検討した研究

著者 対象集団 対象集団の臨床記述 評価されたがん検査パネル 病原性多様体 VUS
LS = リンチ症候群I;NCCN = National Comprehensive Cancer Network;POSH = Prospective Study of Outcomes in Sporadic Versus Hereditary Breast Cancer;VUS = 意義不明の多様体。
a1つ以上のVUSが確認された患者の割合を参照のこと。
LaDuca et al., 2014 2012年3月から2013年5月までにがんパネル検査を受けた患者2,079人。患者は検査施設のデータベースから確認された。検査は「臨床医」が依頼した。

乳房パネルサブグループ:

95.1%(831/874)ががんまたはポリープの個人歴を持っていた
乳がんパネル(BRCA1/2を除く)(14遺伝子) 7.4% 19.8%

結腸パネルサブグループ:

95.5%(532/557)ががんまたはポリープの個人歴を持っていた
結腸がんパネル(14遺伝子) 9.2% 15%

卵巣パネルサブグループ:

92.4%(206/223)ががんまたはポリープの個人歴を持っていた
卵巣がんパネル(19遺伝子) 7.2% 25.6%

多重がんパネルサブグループ:

96.7%(411/425)ががんまたはポリープの個人歴を持っていた
多重がんパネル(22遺伝子) 9.6% 23.5%
Couch et al., 2014 Triple-Negative Breast Cancer ConsortiumおよびPOSH試験に参加している11の臨床施設の患者1,824人 全員がトリプルネガティブ乳がんに罹患しており、家族歴に基づく選択は行われなかった。 乳がんパネル(17遺伝子) 14.6%(BRCA1/2の11.2%) 報告なし
Tung et al., 2014 民間検査施設のサンプル(コホート1、n = 1,781)および学術的がん遺伝子センター(コホート2、n = 377)から確認された患者2,158人

コホート1:

乳がんパネル(25遺伝子) 13.5% 41.7%(BRCA1/2を除けば39.3%)
- 乳がんの個人歴
- 検査経験なし

コホート2:

乳がんパネル(25遺伝子) 3.7% 41.6%
- 乳がんの個人歴
BRCA陰性
Desmond et al., 2015 2001年から2014年までの3箇所の学術的がん遺伝子クリニックからの患者1,046人 全員がBRCA陰性であった。83%(847/1,046)が乳がんおよび/または卵巣がんの個人歴を持っていた 多重がんパネル(25または29遺伝子) 3.8% 報告なし
Yurgelun et al., 2015 2012年から2013年に民間検査施設のサンプルから確認された患者1,260 人 全患者がリンチ症候群関連がんおよび/または大腸ポリープの既往歴があった;1,112人(88%)がリンチ症候群検査のNCCNガイドラインに適合した。 多重がんパネル(25遺伝子) 11% (病原性多様体がMMRで9%;BRCA1/2で1.2%;APC、両アレル性MUTYH、およびSTK11で0.8%) 38%
Susswein et al., 2015 2013年8月から2014年10月までにがんパネル検査を受けた連続患者10,030人。患者は検査施設のデータベースから確認された。検査は「臨床医」が依頼した。 本集団の74.8%ががん(乳がん、卵巣がん、大腸がん、胃がん、子宮内膜がん、膵がん)であった。 全体(全パネル) 9% 24%
包括的がんパネル(29遺伝子) 10% 35%
乳がん/卵巣がんパネル(21遺伝子) 9.6% 27%
高/中リスクのがんパネル(20遺伝子) 12% 30%
大腸がんパネル(16遺伝子) 11% 25%
膵がんパネル(16遺伝子) 6.4% 22%
子宮内膜がんパネル(11遺伝子) 7% 12%
高リスクのリンチ症候群パネル(7遺伝子) 13.7% 14%
高リスクの乳がんパネル(6遺伝子) 3.8% 7%
Shirts et al., 2016 2011年11月から2014年6月までに乳がん/卵巣がん(n = 1,066)または結腸がん(n = 396)のパネル検査を受けた患者1,462人 患者には順次遺伝子検査が紹介された;80%ががんによって個人的な影響を受け、12%に複数の種類のがんが認められた 乳がんと卵巣がんパネル(48遺伝子) 12.2% (9.2%が臨床疾患を伴う病原性多様体を保有) 10.5%
結腸がんパネル(20遺伝子)


遺伝子検査の規制

遺伝子検査の政府による規制は現在のところ、解析的妥当性および臨床的妥当性の双方の点で不十分であり、中間的機関による調整がほとんど行われていない。 [39] メディケア・メディケイド・サービスセンター(Centers for Medicare & Medicaid Services)では、臨床検査改善法(Clinical Laboratory Improvement Act:CLIA)を用いて、米国において診断情報またはその他の健康に関する情報を得る目的で実施されるすべてのヒトに対する臨床検査を規制している。CLIAの規定では、検査担当者の資格、検査室の品質保証基準、ならびに検査と手順の文書化および妥当性確認が扱われている。 [40] 臨床検査自体について、CLIAでは検査を複雑さのレベルに基づいて免除検査(waived test)、中等度の複雑性(moderate complexity)、または高い複雑性(high complexity)に分類している。遺伝子検査は複雑性が高いと考えられており、それは検査の実施または解釈に高度な知識と技術が必要なことを示している。高い複雑性検査を実施する検査室は、規定された間隔で熟達度試験を受ける必要があり、この試験では検査を正確に実施し解釈する検査室の能力が外部機関により審査される。 [39] [41] しかしながら、分子生物学的遺伝子検査に特化した専門分野は未だ確立されていない;そのため、CLIAでは遺伝子検査を実施する検査室専用の熟達度試験を要求していない。 [39]

分析の妥当性に関して、遺伝子検査は次の2つの主要なカテゴリーに分類される:検査キットおよび検査室で開発した検査(以前は自家製検査と呼ばれた)。遺伝子検査を実施する検査室内で使用するための検査キットが製造されており、それには分析を完了するために必要なすべての試薬、説明書、性能成績、および検出可能な遺伝的多様体に関する詳細情報が含まれる。米国食品医薬品局(FDA)は検査キットを医療機器と規定している;しかしながら、利用可能な遺伝子検査は1,000を超えるにもかかわらず、FDAにより承認された検査キットは10に満たない。 [41] ある検査施設では検査室で開発した検査を実施しており、検査室内で自前の検査用材料を組み合わせて使用している [41] ;このカテゴリーが最も一般的な遺伝子検査の形態である。臨床的転帰を予測する検査の正確度に関連した検査実施施設の熟達度または臨床的妥当性については、CLIAもFDAも評価していないため、検査室で開発した検査は、監視が行き届かなくなりやすい。 [39] [41] FDAは製造された分析物専用試薬(analyte-specific reagent:ASR)を医療機器として規定している。これらの小分子は検査室で開発した検査を実施するために用いられるが、検査室でも作ることができる。検査室で作られたASRはFDAによる監督を受けない。製造された市販のASRを用いた検査室で開発した検査に対して、FDAでは医療専門家または州法で検査をオーダーする権限が与えられている他の人が検査をオーダーするよう義務付けている。しかしながら、この規定では、患者をケアする医療提供者または検査を提供する検査室に勤めている医療提供者が区別されていない。 [41]

規制を目的とする監督は、古典的な臨床的遺伝子検査に加えて研究目的の遺伝子検査も対象としている。研究目的で遺伝子検査を実施している検査室は、その検査室が疾患または障害の診断、予防、または治療に対する患者特異的な結果あるいは個々の患者の健康の評価を報告しない場合は、CLIAによる監督を免除されている。 [39] しかしながら、臨床目的で検査結果を提供している研究検査室の逸話的報告があり、検査室では、臨床目的でCLIAの承認を受けた検査室で検査を繰り返すよう推奨していることが警告されている。また、検査が臨床で提供されても十分に分析的および臨床的妥当性を有する時期を決定する確立された仕組みは存在しない。 [41] 現在、遺伝子検査を臨床的に提供する決定は、検査室室長の判断に任されている。

遺伝子検査に関するこの限られた規制的な監督の意味に関する証拠は不十分で、主に品質保証調査に対する検査室室長の回答から得られている。遺伝子検査を実施している検査室長133人を対象とした調査により、88%の検査室がAmerican Board of Medical Genetics(ABMG)認定、またはABMG資格を有する専門の遺伝学者を1人以上雇用しており、23%が1人以上の博士過程の遺伝学者と提携していることが明らかになった。8%の検査室では、博士レベルの遺伝学専門家を雇っておらず、また提携もしていなかった。70%の検査室では検査室で開発した検査が実施されていた。63%の検査室は、検査報告の一環として検査結果の解釈を提供していた。 [42] 190人の検査室室長を対象とした別の調査では、97%の検査室が高い複雑性検査に対してCLIAの承認を受けていたことが明らかにされた。16%の検査室が専門分野の承認を受けていないと回答した;専門分野の承認を受けていない検査室が最も検査量が多く、最も広範囲な検査の選択を提供していた。 [39] 専門分野の承認を受けていた検査室のうち、すべての検査室が遺伝子検査に関する承認を受けていたわけではなく、48%が病理学の承認、46%が化学の承認、および41%が臨床細胞遺伝学の承認を得ていると回答した。16%の検査室室長が外部機関による公式の熟達度試験プログラムに参加していないことを報告したが、77%では外部機関による公式の熟達度試験プログラムが利用できない場合に、非公式の熟達度試験を実施していた。

熟達度試験への不参加に対する最も高頻度の理由は、利用可能な熟達度試験プログラムの不足であった。検査室室長の推定によれば、過去2年間、37%が3回以下の不正確な報告をし、35%が少なくとも4回の不正確な報告をしていた。欠陥のある試薬や装置誤動作、人為的なミスなどの分析誤差は、完了した熟達度訓練のレベルにおけるそれぞれの低下により40%増加した。 [39] 18ヵ国が参加した国際的な遺伝子検査室室長の調査により、回答のあった827の検査室の64%が国外からのサンプルを受け入れていることが明らかになった。 [43] 米国の研究と同様に、74%が何らかの熟達度試験に参加していることを報告した。53%の検査室が検査を実施する同意書のコピーを要求し、72%の検査室が検査のために提出された検体を無期限に保管していた。 [43]

米国保健社会福祉省(U.S. Department of Health and Human Services)のSecretary's Advisory Committee on Genetics, Health, and Societyにより、米国における遺伝子検査に対する現在の監督システムの妥当性および透明性に関する詳細な報告書が発表されている。この委員会により、以下の領域で隔たりが確認されている:


  • 臨床検査室の品質を管理する規定。

  • 遺伝子検査の臨床的妥当性の監督。

  • 遺伝子検査を実施する検査室の数と確認および実施されている特異的遺伝子検査。

  • 遺伝子検査の臨床的有用性に関する現在の知識水準。

  • 医療提供者、公衆衛生コミュニティ、患者、および消費者の遺伝学における教育準備。

消費者向け(DTC)遺伝子検査

がんおよびその他の健康リスクに対するほとんどの遺伝子検査は、患者の個人歴、家族歴、または民族性を基に医療提供者により提供される。しかしながら、次第に個人が医療提供者の指導を受けないでDTC提供会社を介して遺伝子検査を依頼できるようになってきた。DTC検査では、先祖、父系、特定の身体的特徴への傾向、有害薬物反応のリスク、および疾患リスクに関する情報が得られる可能性がある。疾患リスクに関して、DTC提供会社は、多くのがんを含む一般的な疾患に対する遺伝リスクの推定に従来から一塩基多型 (SNP)の検査を主に頼りにしている。しかしながら、DTCの提供では、全ゲノム配列決定法(WGS)および全エクソーム配列決定(WES)を含めるように進展している。一部のDTC提供会社は、遺伝学専門家と相談する選択肢を消費者に提供しているが、これは検査の依頼または解釈に義務付けられているわけではない。本セクションでは、SNP、WES、またはWGSからのデータを用いたがんリスクに対するDTC検査に関連する重要なポイントに焦点を合わせている。

SNPの検査

過去に、がんリスクを含む健康リスクに関する情報を得るために、いくつかのDTC提供会社がSNPベースの検査のみを提供した。SNPの選択は、ゲノムワイド関連解析(GWAS)からのデータを基にしている場合がある;しかしながら、個々には一般に疾患リスクのわずかな増加(通常もたらされるオッズ比は2.0未満)または疾患リスクのわずかな減少と関係しているさまざまなSNPからがんリスクの推定値を得る方法を記述した検証済みのアルゴリズムはない。 [44] (詳しい情報については、がん遺伝学の概要のPDQ要約のGWASセクションを参照のこと。)結果として、異なるDTC提供会社から予想される疾患リスクは異なる結果を生じる可能性がある。例えば、4つの異なるがんに対して2つの異なった会社からのSNPベースのリスク予測のサンプル比較では、0.64~1.42という相対リスクが得られた(3つのアシュケナージBRCA1/BRCA2創始者病原性多様体を除く)。 [45] その上、提供会社は異なったSNPパネルを使用しているため、一般的な疾患で予測されるリスクに関してめったに一致することがなく、そのようなリスク推定はプロスペクティブに検証されたことがない。 [46] [47]

他の研究分野は、SNP検査から予想された疾患リスクが家族歴をベースとした評価と一致するかどうかである。1つの市販された個人遺伝子検査の提供会社からのデータを用いた研究では、乳がん、前立腺がん、および結腸がんなどの一般的ながんに関するSNPと家族歴によるリスク評価の一致は一般に乏しいことが明らかになった。 [48] [49] [50] 重要な点として、これらの研究の1つでは、遺伝性乳がん/卵巣がんまたはリンチ症候群を示唆する家族歴を有する個人がSNP検査を受けて、大多数で平均または平均を下回る生涯がんリスクを示す結果が得られたことが強調された。 [48]

がんを発症する確率を評価するために、他の確立された危険因子とともにSNP検査が使用可能かどうかを検討する研究がいくつか開始されている。例えば、National Cancer Institute's Breast Cancer Risk Assessment Tool(Gailモデルに基づく) [51] に含まれるものなど、検証済みの乳がん予測ツールにSNPデータを追加することで、リスク評価の精度が改善する可能性がある。 [52] [53] しかしながら、このアプローチは現時点でFDA承認されていない。

これらの知見から、SNP検査は正確なリスク評価として検証されておらず、資格のある医療専門家による個人歴および家族歴危険因子情報の収集、統合、および解釈に置き換えられないことが強調される。

DTC全エクソーム/ 全ゲノム配列決定法と解釈

徐々にDTC検査の提供会社がSNPデータを含むWGSまたはWESを提供してきている。(WGSおよびWESの説明については、がん遺伝学の概要のPDQ要約の臨床シークエンシングのセクションを参照のこと。)その上、特定の適応(例えば、先祖の検査)のためにDTCラボに自身のDNAを提出する消費者は、自身の生の塩基配列データへのアクセスが許され、解釈のために他の会社、ウェブサイト、およびオープンアクセスのデータベースに問い合わせできる場合がある。 [54] [55]

がん(または他の疾患)リスク評価で全塩基配列データの有用性を判断する際に考慮すべきいくつかの因子には、関心のある遺伝子のsequencing depth、大規模な再構成または遺伝子欠失が検出されるかどうか、および陽性の結果が確認できるかどうか、またはどのように確認するか(例えば、Sanger塩基配列決定法を通して)などがある。例えば、sequencing depthが浅い、つまりまれな多様体が検出できない場合は、偽陰性結果について懸念がある。同定された多様体が良性であると確認検査または異なる解釈アプローチで判定されるような塩基配列の変化が誤って病原性と表示されるリスクもある(偽陽性)。WESまたはWGSを実施する場合、VUSが同定される可能性も高く [56] 、DTC提供会社は分類のためにさまざまなプロトコルを用意しており、国のガイドライン(例えば、 [57] を参照)と一致するものも、一致しないものもある。その上、エビデンスが充実し、多様体が再分類されるのに伴い、最新の情報を得て、消費者に改訂された解釈を再度伝えるためにDTCラボが保有する手順がもしあれば、消費者は、それを知っている必要がある。

考慮事項

DTC検査に関連する潜在的有益性が存在する場合がある。DTC市場および遺伝子検査の供給は、患者の自主性を促す場合がある。 [45] 家族歴の重要性、リスクと家族歴の関係、疾患における遺伝学の役割、および遺伝カウンセリングの価値をより深く理解することについて、個人が認識を高める場合もある。 [58] 一般に、DTC検査の結果は、個人が主治医の助言を求める、生活習慣を変える、スクリーニング検査を受けるといった動機になる場合がある。 [59] [60] [61] さらに、さまざまな疾患に対するDTC検査を受けた消費者の間で、心理学的苦痛が広く報告されているわけではない。 [61] しかしながら、DTCの状況下で、従来形式の検査前および検査後の遺伝子教育およびカウンセリングを受けることなく検査が実施された場合、BRCA1/BRCA2などの高リスク遺伝子に病原性多様体を保有することを知った後で、個人がどのような反応を示すかはほとんど解明されていない。

遺伝子検査の複雑さを考慮して、いくつかの専門機関は、DTC遺伝子検査に関する立場表明を公表している。例えば、2010年にASCOは、前述したものを含め、DTCがん遺伝子検査に関連するいくつかの考慮事項を示した立場表明を公表した。 [1] ASCOは、資格のある医療専門家による検査前および検査後の遺伝カウセリングとインフォームド・コンセントを支持した。ASCOが2015年に公表したがん感受性の遺伝子およびゲノム検査に対する立場表明では、ゲノム検査および解釈の複雑さを考慮して、提供者の教育の重要性を強調するとともに、DTC提供会社により提供されたものを含め、ゲノム検査の規制審査に対する推奨について考察している。 [2]

2016年にAmerican College of Medical Genetics and GenomicsによるDTC遺伝子検査に関する声明では、同様に検査の申し込みおよび解釈の過程で資格のある遺伝学専門家の関与が支持された。 [62] この声明でも、確立されたリスク評価方法を疾患リスク予測(個人および家族の病歴情報など)に組み込む必要性が力説され、消費者がDTC検査で考えられる限界およびリスクについて情報を得る必要性が強調された。

インフォームド・コンセント

インフォームド・コンセントにより、検査の有益性と限界の細心の比較検討、有害な心理社会的転帰の最小化、医学的選択肢の適切な使用、ならびに誠実、支援、および信頼に基づく医療提供者と患者の関係強化を含め、検査に対する心構えが高められる。

インフォームド・コンセントの過程は検査前カウンセリングの過程で必ず行うべき項目であるという点で、専門家の見解は一致している。 [63] このような見解は、遺伝的感受性検査で生じる可能性があるいくつかの倫理的ジレンマによってもたらされる。最も一般的に挙げられる懸念は、検査結果が発覚した場合、または個人が検査を探していたあるいは探している最中であるという事実が発覚した場合でも、保険や雇用で差別される可能性である。2008年に米国議会は、遺伝情報差別禁止法(GINA)を制定した。この連邦法は、遺伝情報に基づいた保険および雇用の差別に関する保護を与えている。しかしながら、GINAでは、生命、身体障害、または長期医療保険の差別は対象外である。 [64] 関連した問題として病気の烙印が押されることがあり、問題の疾患を発症する可能性がない人、または数十年間は発症しない可能性がある人が、遺伝子情報を受け取り、病気のレッテルを貼られたり、自ら病気と思い込んだりした場合に起きることがある。最後に、遺伝子検査の場合、一個人に提供された医学的情報は、生物学的近親者にも即関わってくる。これらの意味には、医学的リスクだけではなく、家族関係の崩壊も含まれる。家系員の1人が検査を希望したものの、最善の検査を受けるために最初に他の家系員から遺伝子試料や情報を入手しなければならない場合、他の家系員はこれを強要される可能性が出てくる。

カウンセリングにインフォームド・コンセントのプロセスを含めることで、患者の自主性を高めることができる。 [65] これにより、患者と医療提供者との間に誤解が生じる可能性も少なくなる。多くの臨床プログラムでは、遺伝子検査およびカウンセリングプロセス中に、個人が自身のインフォームド・コンセントを見直す機会が与えられる。最初のインフォームド・コンセントでは、口頭および/または文書によりプロセスの概要が示される。

プログラムのなかには、遺伝子検査の結果を本人に開示する前に第2のインフォームド・コンセントの過程を設けているものがある。この過程により、検査結果を受領するかどうかの決心を変更できる。検査結果の開示後に、第3のインフォームド・コンセントの話し合いがもたれることも多い。ここでの話し合いは、医療提供者および/または現在あるいは将来に関心をもつ家系員との、遺伝子検査結果の共有に関する問題に関係している。リスクのある他の家系員に検査結果を知らせることについて文書で承諾を得ておけば、個人がいなくて自分の検査結果の公表ができない場合に起こる将来の煩わしい問題を避けることができる。

インフォームド・コンセントに必須の要素

インフォームド・コンセントで話し合うべき主な要素は、ここまでの議論から浮き彫りにされている。文献 [1] [2] [66] [67] にみる重要な要素には以下のものがある:


  • 個人の期待、考え、目標、および動機を聞き出し、それについて話し合うこと。

  • 遺伝因子の遺伝ががん感受性にどのように影響を及ぼすかの説明。

  • 個人の高リスク状態の説明。

  • 検査に予想される有益性、リスク、および限界に関する話し合い。

  • 検査とフォローアップの費用および詳細な計画に関する話し合い。

  • 想定される検査結果(例、真陽性、真陰性、VUS、解釈不能偽陽性)に関する話し合い。

  • 検査を選択した人、検査を選択しなかった人、および結果が陽性、陰性、または解釈不能であった人が利用できるリスク評価および/または検査結果に基づいた医学的管理の選択肢に関する話し合い。

  • がん予防と早期発見の諸方法の効力に関するデータ。

  • 検査を受けた場合、または検査を受けなかった場合に考えられる心理的、社会的、経済的、および家族動態的な悪影響に関する話し合い。

  • 遺伝子検査の代替案(例、組織バンク、遺伝子検査によらないリスク評価)に関する話し合い。

  • 口頭と書面のインフォームド・コンセントの実現、または明確な検査拒否の決意の説明。

遺伝子検査を考えている個人全員に、遺伝子検査の終了後にもいくつかの選択肢があることを知らせるべきである。被検者は検査後の話し合いで、結果の通知を受け取るか、遅らせるか、またはまれだが受け取らないかを決めることができる。被検者には、結果の通知を受け取る意思の有無が検査後の話し合いの冒頭で尋ねられること(下記参照)、および通知に関する懸念とそれまでの考えを見直す時間をとることができることを知らせるべきである。この情報を検査前カウンセリングの際に与えておき、検査結果が得られた後でも、被検者が安心して、結果の通知を辞退または延期できるようにしておくことが重要である。

小児における検査

小児においてがん感受性遺伝子の病原性多様体を調べる遺伝子検査は特に複雑である。親 [68] および医療提供者 [69] は、いずれも幼い子供に検査を求めたり、勧めたりする場合があるが、検査結果が小児または青年の医学的管理に必ず影響するという証拠がない限り、自主性、差別の可能性、および考えられる心理社会的影響に関する懸念のため、法的成人(18歳以上)に達するまで遺伝子検査を延期すべきであると多くの専門家が推奨している。 [70] [71] [72] 網膜芽細胞腫、多発性内分泌腫瘍(MEN)1型および2型(MEN1およびMEN2)、神経線維腫症1型および2型(NF1およびNF2)、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、ファンコニー貧血、FAP、およびフォン-ヒッペル-リンダウ症候群(VHL)といった多くのがん症候群が小児疾患のリスクを含んでいる。 [73] [74] 結果として、小児における遺伝子検査は、病原性多様体が疑われる特定の遺伝子の状況で決定される。がん感受性を調べる遺伝子検査に関するASCOの声明により、小児への遺伝子検査提供を検討する決定では小児の悪性腫瘍のリスクだけでなく、その障害に対するリスク低減のための介入と関連する証拠を考慮すべきであると主張されている。 [1] 特に、ASCOでは以下を推奨している:


  • 小児期のスクリーニングまたは予防戦略が利用できる場合(例、MENおよびFAP)、臨床的根拠により検査を勧めるべきである。

  • 小児期においてリスク低減戦略が利用できない場合、および小児期に悪性腫瘍を発現する確率が非常に低い(例、遺伝性乳がん/卵巣がん症候群)場合には、検査を提案すべきではない。

  • 患者によっては小児期に悪性腫瘍を発現するリスクがあり、妥当性が確認されたリスク低減戦略が利用できない場合もある(例、TP53病原性多様体)。このような状況における検査の決定は特に議論の余地がある。 [1]

がん感受性遺伝子の病原性多様体に関する遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査を小児に検討する場合には、特別な配慮が必要である。最初の問題は小児の年齢である。若年の小児、特に10歳未満の小児は検査を受ける決定に関与できないか、関与が限定される場合があり、遺伝カウンセリングの過程に参加しないこともある。こうした場合、小児の両親または他の法的代理人が遺伝カウンセリングに関与し、最終的に検査を受診する意思決定の責任を負うことになる。 [1] [75] このような状況下のカウンセリングでは、小児が大きくなったときに検査結果を小児とどのように共有するかの話し合いが組み込まれる。 [1] 10~17歳の小児は意思決定の過程により多く関与するであろう。 [76] 両親と10~17歳の小児を対象に遺伝子研究に参加する意思決定を評価した定性的研究では、年齢が高く成熟した小児およびコミュニケーションのスタイルがオープンな家族の方が共同で意思決定を行う傾向が高かった。この研究の小児の大半は、遺伝子研究へ参加する最終決定を下す権利が自分たちにあるはずだと考えていたが、多くが両親から意見を求めたいと考えていた。 [76] この研究は遺伝子研究への参加に限定されているが、その知見は10~17歳の小児が自身に影響を及ぼす因子について個人的な意思決定を行う重要性を暗に示している。残念ながら、認知的および心理社会的発達は小児の年齢と一貫して相関していない場合がある。 [75] そのため、小児の発達段階の注意深い評価は、親と小児の検査結果への適応を容易にするための遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査の過程において有用であろう。他にも複雑にする要素として、潜在的な差別のリスクがある。(詳しい情報については、 本要約の倫理的、法的、および社会的意味合いのセクションにある雇用差別および保険差別のセクションを参照のこと。)

小児における遺伝子検査の結果がレビューされている。 [75] 成人における観察とは対照的に、特に若年の小児は検査結果に基づく親子の絆の変化による影響を受けやすい。遺伝子検査は自己概念および自尊心の発達に干渉しうる。小児はまた、生存者の罪悪感や強い不安の感情を作り出すリスクがある。いずれの小児も特に検査、結果、健康への意味を理解できない可能性がある。小児が成熟するにつれて、両親への依存は低下し始める一方で、個人のアイデンティティが現れてくる。これは重大な健康に関する状況または遺伝的障害の状況で変化しうる。より年齢の高い小児は身体的に成熟し、親密な関係を築き始める一方で、両親の理想像を変化させることもある。これらすべてが遺伝子検査の結果による影響を受ける。 [75] European Society of Human Geneticsは、無症状の未成年者における遺伝子検査についての推奨において、子供の年齢および発達段階に合わせた方法で、両親が遺伝的リスクについて子供に話し、この情報を伝える責任があることを強調している。 [77] [78]

要約すると、小児において検査を受ける決定は、その小児の医学的意思決定のための検査の使用、検査を解釈する能力、および小児期における医学的意思決定の変更が健康上のアウトカムにプラスに影響する可能性があるという証拠に基づいている。遺伝子検査の延期は、小児期の悪性腫瘍のリスクが低いか、または認められない、および/または介入によりリスクを低下できる証拠がない場合に提案される。 [1] 小児期において遺伝子検査を提案する場合、その小児の発達段階への配慮が行われ、検査決定への小児の関与および同意する法的権限の保有者の決定に役立つ。さらに、家族内の問題および小児における検査の潜在的な心理社会的結果によく注意することで、医療提供者は検査結果への適応を容易にする支援を提供できる。(特定のがん感受性遺伝子の病原性多様体に対する検査を受ける小児に実施された心理社会的研究に関する詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学大腸がんの遺伝学;および内分泌および神経内分泌腫瘍に関するPDQ要約を参照のこと。)

弱者集団における検査

遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査を弱者集団に実施する場合には特別な配慮が必要である。1995年、米国人類遺伝学会(American Society of Human Genetics)は、弱者集団としての小児および青年における遺伝子検査の倫理的、法的、および心理社会的意味合いに関する立場表明を発表した。 [71] しかしながら、弱者集団に含まれるのは単純に小児だけではない。ヒトの被験者がかかわる研究に適用可能な連邦政策、45 CFR Code of Federal Regulations part 46 Protection Of Human Subjectsでは、次のグループを潜在的な弱者集団とみなしている:囚人、外傷がある患者および昏睡患者、末期患者、認知障害のあるおよび/または施設に収容されている高齢者、マイノリティ、学生、従業員、および米国以外の出身の個人。遺伝子検査に限定すると、国際遺伝看護学会(International Society of Nurses in Genetics)では、弱者集団の定義がさらに拡大され、聴力および言語障害者またはコミュニケーションが阻害される状況(例えば、言語の違いおよび翻訳の信頼性に対する懸念)にある人、認知障害者、精神障害者、家族状況によりストレスを受けているクライアント、経済的困窮者、急性または慢性疾患を有する寿命末期のクライアント、および医薬品が根拠を損なっている可能性がある人も含められた。

弱者集団における遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査は、特別な配慮を提起する。遺伝カウンセリングの目的は、人々が疾患に対する遺伝的寄与の医学的、心理学的、および家族的意味を理解し、適応する助けとなることであり、これには部分的に実際の情報の有意義な交換が関係している。 [79] 弱者集団では、個人の情報理解能力に影響する可能性がある因子に対して、医療提供者は敏感になる必要がある。特に認知障害または知能障害が認められる状況では、その人の法的権限が与えられた代理人がカウンセリング、インフォームド・コンセント、および検査の過程に関与すべきであるかどうかに特別な注意が払われる。

医療提供者は、遺伝子検査を受ける前に説明を受けた上で、強要ではなく自主的な意思決定を行う能力について、すべての患者を評価する必要がある。弱者とは考えられない集団(例えば、法的成人の大学生)でも、両親による検査の過度の強要、または両親の要望と一致しない検査決定を基にした両親からの資金援助差し止めへの恐れのために、実際には弱者と考えられる場合がある。子供の利益のために検査を選択するが、死が差し迫っているため、結果が自身の医療に影響しないか、または死亡する前に結果が得られない可能性がある末期症状の患者におけるカウンセリングおよび検査など、状況に応じて遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査の過程の変更が必要になる場合がある。以上をまとめると、遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査では、医療提供者が脆弱性の証拠についてすべての個人を評価し、脆弱性が認められる場合はそうした問題に敏感になり、個別の状況に基づいて遺伝カウンセリングを修正し、余計な害を起こさないようにする必要がある。

検査前カウンセリングの重要性

がん感受性に関する遺伝子検査は複雑であるため、検査の利用について何らかの決定を下す前に、遺伝子検査の利用について一般に受け入れられている原則に従って、丁寧で徹底的なカウンセリングを行うべきだと専門家は提唱するようになった。 [80]

定性的および定量的な調査研究から、家族は自分の家系内に認められる特徴的な遺伝について多様な考えをもっていることが示されている;こうした考えの中には、現在の科学的知識に適合するものもあれば、適合しないものもある。 [81] [82] [83] こうした考えは教育、個人的経験と家族の経験、さらに文化的背景の影響を受けているであろう。行動はこうした考えの影響を受けやすいため、遺伝情報の有用性は、個人の既存認識についての理解およびその対処によって左右される場合がある。この過程は、初回の話し合いから始まり、遺伝カウンセリングの全過程が終了するまで継続する。

遺伝情報/検査結果が個人に及ぼす心理学的影響

心理社会的機能をはじめ、検査の動機、潜在的影響、利用に関連する情動的因子の正確な評価は、検査前カウンセリングにおいて重要な部分である。 [84] [85] [86] [87] [88] 一般に、医療提供者は、がんの家族歴に対する個人の情動反応について尋ね、自身の発がんリスクに対する個人の反応についても質問する。遺伝的リスクなどのストレスの強い環境に対して、人々はさまざまな方法で対処している。こうした対処方法を明らかにし、それが機能している度合いがどのくらい十分か、または不十分かの確認は、検査後のカウンセリングで必要な援助のために意味をもつとともに、検査に予想されるリスクと利益についてその個人に適した考察をするのに有用となる。過去および現在の精神症状(例、うつ病、極度の不安、または自殺傾向)について簡潔な既往歴を聴取することで、その人に検査結果の開示後に有害作用が生じる特別なリスクがあるかどうかの評価が可能になる。そうした症例では、さらなる心理学的評価が適応となるであろう。

さらに、カウンセリングを受けている人に認知障害があれば、提供された遺伝情報の理解が著しく制限されて、インフォームド・コンセントを与える能力が妨げられる可能性があり、詳細な心理学的評価が必要になる場合もある。がんリスクに対する情動反応は、家庭や仕事、およびがんのスクリーニングの実践など本人の健康管理といった他の生活面において、総合的な気分や機能状態にも影響を及ぼす。 [89] 教育および遺伝カウンセリングのセッションでは、コミュニケーションプロセスの情動面および認識面を非公式に評価する継続的な機会が与えられる。行動因子はスクリーニングおよびサーベイランスの推奨の遵守に影響するので、情動的障壁についての考慮は、個人が予防戦略を選択するのを補助する際のほか、遺伝子検査の潜在的な有用性を話し合う際に重要である。 [90] [91]

うつ病、不安、および自殺思考または傾向の既往歴といった問題の話し合いには、その人への思いやりが必要である。カウンセリングの過程は最大限の利益を得ながら押しつけがましさを最小限に抑えるための共同作業であることを確約しなければならない。個人が現在、大きな精神疾患の治療を受けているかどうかを明らかにすることは、カウンセリングの過程の重要部分である。心理学的評価に精通したメンタルヘルス専門家に相談することは、医療提供者がこうした話し合いの戦略を展開するのに有用であろう。また、個人が経験しているうつ病、不安、およびその他の精神的苦痛のレベルを評価する標準的な心理学的自己報告法を教えることも有益である。このステップにより、既に確立されている標準的データとの客観的比較ができる。 [92] [93]

がん患者およびがんのリスクが高い人々の心理学的状態を評価するため、心理的機能の臨床評価に加えて、いくつかの評価方法が使用されている。こうした評価方法には、疫学研究所うつ評価尺度(Center for Epidemiological Studies-Depression scale) [94] 、気分プロフィール検査(Profile of Mood States) [95] 、不安と抑うつの評価スケール(Hospital Anxiety and Depression Scale) [96] 、および簡易症状尺度(Brief Symptom Inventory) [97] がある。諸研究プログラムでは、遺伝子検査で有害な心理社会的影響を受けるリスクが高い人たちをよりよく選択できるように、こうした測定法が1つ以上用いられている。心理学的評価は遺伝カウンセリングの一環として継続されている。苦痛の増大による諸症状、情動の極端な回避、または他の著明な精神症状を有する個人のなかには、メンタルヘルス専門家と話し合うか、またはメンタルヘルス専門家による評価を受けることで利益が得られる人がいる。一部の人(一般に、いずれの集団でも割合はきわめて小さい)には、情動安定性が高まったことが確定するまで、検査の延期が提案される場合がある。

遺伝情報/検査結果が家族に与える心理学的影響

がんの遺伝カウンセリング過程の一環として、がんの家族歴の評価とともに、社会システムとしての家族を評価することもある。がんに対する遺伝的感受性は、社会との相互作用および家族への態度に影響を及ぼすことがある。 [98]

家族の評価において、関連するであろう特徴には、家族の構成(他の家系員の意見を代弁するか、または彼らに動機付けをする人が誰かという認識など)、家族内の伝達のパターン、家系員同士のつながりまたは親密度(もしくは、その欠如)、および保健行動に影響を及ぼす家族の考えと価値観がある。家族によっては、行動の方向性を決める際に民族文化的因子も重要な役割を果たす場合がある。

また、家族のこれまでの疾患の経験が、遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査に対する家系員の態度と行動に及ぼす影響も評価する。がんの診断と治療に関する過去の経験、がんによる喪失、および家系員と医療界との関わりは、遺伝情報受け入れに対する態度に大きく影響し、遺伝サービスを求める個人の感情的状態に大きな役割を果たすことがある。

遺伝カウンセリングを行う人は、来談者が(1)家族の中の罹患者、または(2)遺伝カウンセリングまたは遺伝子検査の実施を考慮することに反対と考えている人および反対と決めている人とどのような関係にあるかを尋ねるため、上記の枠組みを使用できる。健康や病気および遺伝的感受性に関する情報をどのように家族で共有しているか(または、共有していないか)について質問すれば、個人が他の家系員からのプレッシャーを感じているかどうか、あるいはカウンセリングや検査で得られた遺伝情報を共有することが困難と考えているかどうかを確認できる。現在の家族の健康の状態(新たな診断またはがんによる死亡)または家系員の関係(離婚、結婚、死別)について尋ねることで、カウンセリングや検査を受けるタイミングについての情報が得られ、また、現時点での検査に対する潜在的な禁忌も明らかとなりうる。

家族の健康歴を評価するために家系図を用いるだけでなく、GenogramやEcomapなどのツールを用いると、個人相互間の家族関係の本質および家族以外の社会的ネットワークとのつながりに関して具体的な情報が期待できる。 [99] [100] [101]

リンチ症候群に罹患した38家系の個人297人を対象にした研究から得られた証拠により、遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査サービスのタイミングが心理検査に関係した苦痛反応に影響しうることが示唆された。特に、発端者と同じ世代の家系員は、発端者によるMMR病原性多様体の結果の受け取りと家系員への遺伝カウンセリングおよび遺伝子検査サービスの提供との期間が長くなるほど、検査に関係した苦痛をよりいっそう強く経験することが多かった。しかしながら、時間の経過が、発端者が検査結果を伝達する際に遅れているためか、発端者の結果を認識しているにもかかわらず家系員が遺伝子検査を遅らせる選択を下したためであるかは不明であった。 [102]

遺伝性がんに対処するのに家族が果たす機能に関する具体的な情報については、各種のがんの遺伝学に関するPDQ要約の心理社会的またはカウンセリングのセクションに詳しく記載してある。(詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学および大腸がんの遺伝学のPDQ要約を参照のこと。)

遺伝的感受性検査に予想されるリスク、有益性、負担、限界の探求

遺伝子検査の予想される限界が多くの人々に理解されず、予想される有益性を重視しすぎていることを示す実質的な証拠がある。 [103] [104] [105] カウンセリングでは、検査の潜在的なリスクと有益性に対するバランスのとれた見方を示し、誤解を正す機会が提供される。この話し合いの中で、検査のプラス面とマイナス面に対する個人の認識について尋ね、これを明らかにさせることは有用であろう。

  1. 検査結果が、情報価値がないか、または意義が不明であった場合に生じうる負担。


    その家族で病原性多様体が既知でなければ、陰性の検査結果は情報価値がない。この場合、被検者のリスク状態は検査前と変わらない。情報価値のないBRCA検査結果を有する女性183人の1件の研究では、ほとんどの女性が検査結果の意味を理解しており、高リスクスクリーニングレジメンを受ける意志に変わりはないことが明らかになった。 [106] [107] また、検査で臨床的意義が不明の新たな多様体が見つかっても、検査結果の意義は不明で、これをもって被検者のリスク評価を改めることはできない。しかしながら、今後の研究が進めば、その多様体ががんリスクに及ぼす作用(または、作用の欠如)に関する情報が得られるであろう。

    生じうる負担
    • 疾患との関係が不明の多様体の意味を明らかにするため、他の家系員を評価する必要が生じる。

    • 遺伝的素因の可能性が確実に除外できなければ、リスク状態が不確実な状況が続くため、集中的監視を奨められることがある。

    • 予防またはサーベイランス戦略に関する証拠に基づくガイダンスの欠如。

    • 確実な回答が示されないため、不確実であることからくる不安、欲求不満、その他の有害な心理学的続発症が持続する。

    • 高額の検査費がかかる。

  2. その家族で疾患と関係する病原性多様体が以前に同定されている場合、リスクのある非罹患者で検査結果が陽性のときに生じうる有益性と負担。

    生じうる有益性
    • 個人の遺伝的感受性についての不確実性がなくなる。

    • がんリスク管理戦略(すなわち、スクリーニングの増加、健康的な生活様式の採用、および危険因子の回避)の増強により、将来の罹病率および死亡率を低下できる可能性がある。

    • 化学予防およびリスクを低下させるための手術により、がんリスクを低下させる機会が得られる。

    • 家族性病原性多様体をもつ可能性について、また、遺伝子検査、がんリスクの評価、および管理サービスを利用できることについて、近親者に知らせる機会が得られる。

    生じうる負担
    • 病原性多様体キャリアとなることへの不安が増大したために、スクリーニングおよびサーベイランスをしない。

    • 不安、抑うつ、自尊心低下などの心理的苦痛。

    • リスクを低減するための現在の介入法の有効性が証明されていないため、がんに関する不安が高まる。

    • スクリーニングまたは予防処置が増えることにより、リスクが生じ、費用がかかる。

    • 家族内の関係が緊張したり変化したりする。

    • 子供に遺伝的リスクを伝達するかもしれないという罪悪感。

    • 保険、雇用、または社会的に差別される可能性。

  3. その家族で疾患と関係する病原性多様体が同定されている場合、陰性の検査結果によって生じうる有益性と負担。

    生じうる有益性
    • 安心感が得られ、遺伝による個人的ながんリスクに対する不安が軽減する。

    • 不必要な集中的監視および予防戦略が避けられる。

    • リスクを低下させるための手術などの侵襲性介入が避けられる。

    • 子供のがんリスクが高まっていないと安心できる。

    生じうる負担
    • 検査結果陰性の意味を誤解したため、ルーチンのサーベイランスをしない。患者には一般集団のリスクが残存し、このリスクは個人の危険因子ともう一方の家族に付随するリスク次第で増大しうる。

    • 予想される人生の道筋の変化への適応。

    • 生存者の罪悪感。

    • 他の家系員との緊張関係。

    • 以前の決定事項(例えば、検査を受ける前にリスクを低下させるための手術を受けたことなど)への後悔。

  4. 家族で最初にキャリアと同定された個人の検査結果が陽性のときに生じうる有益性と負担。

    [4] 生じうる有益性
    • 情報価値のある検査結果を求めて他の家系員に頼る必要がない。

    • がんリスク管理戦略(すなわち、スクリーニングおよびサーベイランスの増強、化学予防、リスク低減のための手術)の強化を通して、将来の罹病および死亡におけるリスクが低下する可能性がある。

    • 家族性病原性多様体をもつ可能性について、また、遺伝子検査、がんリスクの評価、および管理サービスを利用できることについて、近親者に知らせる機会が得られる。

    生じうる負担
    • 誰が情報を受け取るべきか、何を伝えるべきか、そしてそれを特定の家系員にいつ伝えるべきかという倫理的ジレンマに直面する。

    • 情報を伝えるに当たり予想される個人的な苦痛への対処。

    • 情報に対する家系員の予想される苦痛と反応への対処。

    • 家族によって遺伝情報が広まることに伴う課題に対し、心の準備ができていない。

    • プライバシーの喪失。

    • 考えられる個人的な心理的苦痛および情報に対する反応への対処。

検査後の教育と結果の通知

検査後のセッションの主要な要素は、結果の通知である。しかしながら、結果を開示する瞬間まで、結果の通知に対する被検者の気持ちが変わる可能性がある。したがって、結果を開示するセッションでは典型的に、今でも検査結果の通知を希望していることが最初に確認される。なかには検査結果の通知を辞退する人もあれば、延期する人もいる。どの程度の割合の人がこうした決定をするかは明らかではない。このような人には継続的にフォローアップを行い、将来検査結果を受け取ることができるように機会を与えることが必要である。

結果通知の希望が確認されると、被検者は結果を直接、速やかに報告してほしいと望む;検査を受ける中で最もストレスの強かったことの1つは結果を待つ時間であると述べる人が多い。 [108] 検査結果を聞いた後、被検者には落ち着きを取り戻すために数分間1人の時間がしばしば必要となる。検査後の最初の面談ではきわめて短時間の話し合い以外、何もできないこともある。通常、検査前カウンセリングの過程で十分に準備が整っていれば、面談ができなくなるような心理的苦痛を示すことはない。結果の開示時に急性の心理反応が生じることはまれであるが、遺伝子検査の結果を伝える者にとって、極端な反応が生じた場合に相談したり、情動の問題に対して精査を希望する人に対して紹介したりできる精神保健専門家と関係を築いておくことが有益である。

開示時またはその直後に、結果を伝える人と被検者は、検査結果に派生して生じる遺伝的、医学的、心理的、および社会的な問題を考えるために、セッションを行うとよい。徹底的な検査前教育を行っても、被検者は検査結果の示唆と意味について混乱している場合がある。頻繁に報告される誤解の例には、陽性結果はがんの存在または確実にがんが発生することを意味しているという思い込み、陰性結果は決してがんに罹らないという意味であるとの思い込み、限定した遺伝子パネルのみを検査した場合などにつきものである検査結果の不確実性が理解できないことなどがある。医学的な意味に関しては、ある遺伝的症候群に生じることのあるすべての種類のがんに関するリスクの意味および管理の選択肢を被検者に知らせ、リスク管理の選択肢を見直すことが重要である。

検査後カウンセリングでは、他の家系員に対する検査結果の意味について考えることがある。遺伝的障害に罹患した個人のなかには、家系員で共有可能な情報を得るために遺伝子検査の実施に同意する者もいることが示唆されている。検査結果が開示された後の発端患者とのフォローアップカウンセリングプログラムの実施により、遺伝的リスクについて知らされる近親者の割合が有意に増加するという証拠がある。フォローアップカウンセリングには、どの家系員と連絡を取っているかを確認するための発端患者との電話での会話および家系員に情報を伝える支援の提案が含まれる。 [109] 検査結果が陽性であれば、その時点で、個人のその検査結果に基づいて他の近親者への通知、教育、およびカウンセリングの計画を立てるべきであると提案する専門家もいる。文書による資料、小冊子、または個人的書簡は、遺伝的リスクについてしかるべき近親者に知らせるのに有用であろう。

検査結果が陰性であれば、検査後セッションは短時間で済む。しかしながら、既知の病原性多様体を有する家族では、検査結果が陰性であった場合でも、その遺伝的、医学的、および心理学的な意味について話し合うことが重要である。例えば、陰性でも、当該がんの一般集団におけるリスクが当てはまること、またその人の個人的がんリスクは他の危険因子およびもう一方の家族の家族歴に影響されることを当事者が理解することがきわめて重要である。さらに、検査が陰性でも、驚いて苦痛を感じる人もいる。このような転帰は、BRCA1/2病原性多様体の検査 [110] との関連で報告されており、他のがん感受性検査でも予測される可能性がある。症例によっては、検査結果通知後のこうした心理的苦痛の議論が、別のカウンセリングの紹介につながることもある。

多くの個人が、検査結果開示後に医療専門家のフォローアップカウンセリングおよび相談を受けることで利益が得られる。これにより、自分のリスク状態に関する感情、リスク管理にスクリーニングおよび検出法を取り入れる選択肢、および他の家系員に対する検査結果の意味についてさらに話し合う機会が提供される。


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倫理的、法的、および社会的意味合い

がん遺伝子検査に関する倫理的、法的、および社会的意味合い(ELSI)の理解は、リスク評価およびカウンセリングの過程で生じうる複雑な疑問および問題への臨床家の反応に影響する。本セクションでは、生命医学倫理学コード、プライバシーに関する法的および社会的問題、および遺伝情報の解釈における公正使用について考察する。生命倫理学、法律、および心理社会的影響のさまざまな観点を統合するため、症例シナリオを挙げて臨床の場で遭遇するジレンマが示されている。(遺伝子検査の規制に関する詳しい情報については、本要約の使用する検査の決定のセクションを参照のこと。)

がん遺伝子検査における生命倫理の問題

生命倫理学的教義により、医療提供者は遺伝性がんの予測検査を取り巻く複雑な問題に対処できる。善行、無危害、自律性、および公正の教義は、プライバシーの尊重、機密性およびがん遺伝子検査から得られる遺伝情報の公正使用における臨床家の役割に伴う複雑で相反する可能性のある因子のバランスを保つために必要な枠組みの一部である。

善行

善行の概念では、医療の主目標が適切な健康ケアを通して利益を提供することであると指示している。 [1] これは腫瘍学の分野で言い換えると、早期発見および効果的な治療プロトコルを使用して治療成績を向上させることである。善行のケアを提供することは、治療による医学的転帰にとどまらず、患者の生活環境、期待、および価値にまで及んでいる。 [1] 患者が検査および検査結果開示の過程に対処する心理学的および情動的能力の検討は、危害を与えないようにするのに役立つ。 [2] (詳しい情報については、本要約の遺伝情報/検査結果が個人に及ぼす心理学的影響のセクションを参照のこと。)

無危害

無危害は、医療提供者が身体的および情動的な害悪を含めた危害を与えないように指示し、医療がリスクおよび有益性に関係していることを認める生命倫理学の規約である。 [1] 特に腫瘍学の分野では、この構成概念の遵守には、がんの予防、治療、および制御による有害作用を最小限に抑えるための手段を取ることが含まれる。これには、デリケートな情報の不注意な発覚を回避するため、予防策を講じることが含まれる。 [2]

自律性

自律的な意思決定では、インフォームド・コンセントおよび教育を取り入れることによって個人の希望が尊重される。 [1] 各個人は、遺伝子検査のリスクと有益性について知らされる権利、および検査を自分自身で自由に選択または辞退する権利を有する。さらに、医療に関する意思決定が強要または干渉なしに確実に行われるように、社会文化的背景および家族の動態を考慮することが有益である。 [1]

公正

公正は医療の有益性およびリスクの公平な配分を意味する。 [1] 腫瘍学における目標は、がんの遺伝サービスへの利用を保証することである。予測的遺伝子検査の利用可能性は、民族的背景、地理的な位置、または支払い能力に左右されるべきではない。遺伝的差別が予測検査の結果となってはならない。 [2] 公平な配分により、個人の権利と地域社会の一員としての義務とが釣り合わされる。 [1]

プライバシーと機密性:患者の遺伝情報の開示

医療提供者と患者の強い関係は、患者のプライバシーと機密性に対する尊重に基づいている;そのため、患者の個人情報を第三者から保護することは信頼関係を築くための鍵となる。 [2] [3] がん感受性に対する予測検査は、検査される疾患の遺伝的性質および家系員に対する遺伝的リスクの意味のために難題である。医師は予測可能な害を回避するために警告するまたは行動する義務に直面する。 [4] 家族による伝達を容易にするための1つの実践的な提案は、家系員との疾患感受性に関する話し合いを促進するため、教育および情報の資料を患者に提供することである。 [1] 次のセクションでは、患者の機密性と警告義務とのバランスを取るための法的、立法上の、および倫理的根拠について考察する。

研究における開示

プライバシーおよび機密性は、遺伝病に対する集団スクリーニングなどの研究にも適用される。米国保健社会福祉省は、研究者に機密性証明書(Certificates of Confidentiality)を使用する権限を与えている。 [5] この証明書は米国国立衛生研究所により発行され、「連邦訴訟、州訴訟、または地方民事訴訟、刑事訴訟、行政訴訟、立法手続きなどあらゆる訴訟手続きにおいて」どのような研究被験者でも個人情報を明らかにしなければならないことから研究者を保護している。機密性証明書により提供される保護は、発行日から研究の終了日と一致する満了日までに収集された個人を特定可能な情報に限られる。NIH Office of Extramural Researchの機密性証明書に関する方針および指導では、この期間中に収集された個人を特定可能なすべての情報が永久に保護されることを強調している。家族に基づく募集戦略に関して、Cancer Genetics Network Bioethics Committeeでは専門家集団が集合して、家系員へのアプローチに際して研究者が使用すべき推奨事項が策定された。 [6] 広範な研究戦略のために、さまざまなレベルの懸念がある。家族に基づく募集戦略には、潜在的な研究参加者に、個人情報が研究者によってどのように入手されたか、研究者が彼らに連絡を取っている理由、研究者が彼らについて何を知っているか、どのような目的で情報が使用されるか、彼らが参加を決定するかどうかを知らせることが必須である。 [6]

「警告義務」:訴訟手続き、連邦法/州法、および専門家組織の勧告

「警告義務」では、善行および自律性という生命倫理学的構成要素と、訴訟手続き、法律、および専門家学会の推奨事項といった他の因子を比較検討する必要がある。2008年9月の時点で、National Council of State Legislaturesは、遺伝情報の開示に同意を義務付けた法律を有するを記載している。「遺伝情報」の定義は、訴訟事例および州法と連邦法で用いられる用語により異なることがあり、一般に遺伝子検査および家族歴の情報を含んでいる。しかしながら、この定義は一般に現在の診断には適用されない。遺伝子診断は、特異的遺伝子に関連した障害に対する直接的な遺伝子検査、および特異的遺伝子が不明の障害、または複数の異なる遺伝子(遺伝的異質性)が関与する障害に対する間接的な遺伝子検査を通じて行われる。 [7] 警告義務に該当する州の判例法は4つある。 [8] 2つの判例では遺伝性がん素因症候群に対する検査を直接扱っている;一方の判例では差し迫った脅威を近親者に警告する精神療法医の義務を扱い、もう一方の判例では出産に関する決定のためのツールとしての遺伝子検査を扱っている。これらの判例は、表4に要約している。

表4.警告義務に該当する州の判例法

州の判例法 記述 要約
Tarasoff 対 Regents of the University of California 事件 [9] [10] 家系員に彼らが知らないリスクについて警告する道徳上の義務が制定されている 1976年、カリフォルニア裁判所は、予測可能で重大な害を特定可能な個人に警告するための機密性の違反は正当化されるという判決を下した。
病原性多様体は家系員において既に存在する(または存在しない)ため、遺伝的リスクとは別である
Pate 対 Threlkel 事件 [8] [11] [12] がんの遺伝性リスクについて家系員に警告する義務は、患者に対して家族に話すように指示することで履行される 1995年、フロリダ裁判所は、甲状腺がんが早期発見され治癒していたであろうという理由から医師は患者に対して、彼女の子供に甲状腺がんが発現するリスクがあると警告する義務があったという判決を下した。
Safer 対 Estate of Pack 事件 [8] [13] 医師は家系員に遺伝性リスクのある疾患について警告する合理的な手段を講じなければならない 1996年、ニュージャージー上訴裁判所は、医師が結腸がんのリスクについてきわめて近い家系員に警告する義務を明確に定めた;しかしながら、裁判所は患者が子供の頃に直腸スクリーニングを受けており、このことは彼女がリスクについて警告されていたことを示しているため、医師の勝訴とした。
Molloy 対 Meier 事件 [8] [14] 予測可能な疾患リスクの遺伝子検査および遺伝子診断に関する医師の義務は患者にとどまらず、生物学上の両親にまで及ぶ 2004年、ミネソタ最高裁判所は、医師が第1子における脆弱X症候群の診断を両親に通知しなかったことから、医師が遺伝性疾患リスクについて警告するために機密性に違反しなかったという判決を下した。両親は、この情報は彼らの生殖の決定に影響していたであろうと述べている。


連邦レベルでは、個人的な健康情報を管理する厳格な非公開政策がある。 [8] 個人特定可能医療情報のプライバシー基準(Standards for Privacy of Individually Identifiable Health Information[Privacy Rule])は、1996年医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act[HIPAA] of 1996)を要約しており、公共の利益が危機にさらされている場合に健康情報を同意なしに開示することは許されると認定している [15] [16] ;そのため特定の状況下では、秘匿政策に以下のような例外がある:

  1. 個人または公衆の健康または安全に対して重大なまたは差し迫った脅威がある。
  2. その脅威が特定可能な第三者に差し迫った重大な脅威となる。
  3. 医師は重大な害を回避するための法的資格を有する。

専門家学会および政府諮問機関により、遺伝病の開示に関する医師と患者の近親者間の伝達についてさまざまな立場および推奨事項が発表されている。 [4] [8] [17]

Council on Ethical and Judicial Affairs of the American Medical Association(AMA)および米国臨床腫瘍学会(ASCO) [18] [19] は、患者が家系員と遺伝情報を共有することの重要性を話し合うよう促している。 [4] 特に、Council on Ethical and Judicial Affairs of the American Medical Associationは、「医師は・・・患者が生物学的血縁者に疾患のリスクに関する情報が利用できることを告知すると予想される状況を特定すべきである・・・(また)患者が血縁者と連絡を取り、必要に応じてカウンセリングおよび検査の機会について話し合う際に、医師は支援できるようにしておくべきである」と述べている。ASCOの立場は、医療提供者は「検査結果を家系員に伝達することの重要性を患者に気付かせるべきである・・・ASCOは、リスクのある近親者に対するがん医療提供者の義務は(それが存在する場合には)、検査を受けた人に家族のリスクを伝達することにより最も適切に果たされており、家系員もまた利益が得られるように彼らとこの情報を共有することの重要性を強調していると考えている」というものである。 [18] これらの組織は家系員が遺伝情報を開示するよう推奨している。

米国遺伝カウンセラー学会(National Society of Genetic Counselors) [20] および国際遺伝看護学会(International Society of Nurses in Genetics) [21] は、患者の同意を得た場合に限るが、血縁者を含む第三者に対しては、要求に応じてあらゆる遺伝情報の開示を支持している。 [4] 遺伝カウンセリングの教義の1つは、クライアントにより放出されたか、開示の同意が法律上必要とされて提供される場合を除いてクライアントから受けた情報は機密として扱うことである。 [4] [20]

Privacy Ruleと同様に、U.S. Bioethics Commission [22] 、米国人類遺伝学会(American Society of Human Genetics) [23] 、および米国国立ヒトゲノム研究所(National Human Genome Research Institute:NHGRI)は、機密性に違反することが倫理的に受け入れられる例外的な状況を明らかにするため、以下に示すガイドラインを推奨している。 [4] [8]

  1. 近親者が警告されない場合に害が生じる可能性が高い。 [4] [22] [23]
  2. 促しているにもかかわらず、患者が家系員に知らせようとしない。 [4] [22] [23]
  3. 近親者が特定できる。 [23]
  4. 秘匿の害が、開示の害を上回る。 [23]
  5. 現在の医療技術により、遺伝疾患は予防、治療、または管理が可能になっている。 [23]
  6. 害を回避するために必要な情報のみが放出される。 [4] [24]
  7. 害を避けるために合理的な方法が他にない。 [4]

国際的なレベルでは、世界保健機関および世界医師会(World Medical Association)にも同様のガイドラインがある。 [4] またオーストラリア、カナダ、ドイツ、日本、オランダ、および英国にも、同様の例外的な状況では近親者への遺伝情報の開示を支持するガイドラインがある。 [4]

雇用差別および保険差別

遺伝的感受性検査から得られる遺伝情報は、検査を受けた個人とその家系員に対して医学的、経済的、および心理社会的意味を有する可能性がある。雇用および保険の差別は、遺伝子検査を検討している個人では一般的な関心事である。がん遺伝学クリニックにおける倫理的論争を対象としたレビューには、遺伝学支援グループの300人を超える会員への電話インタビューが含まれていた;研究参加者の報告では、13%が仕事を得られないか解雇されており、22%が家族における遺伝性疾患のために生命保険への加入を拒否されていた。 [10] [12] [25]

遺伝性がん症候群の遺伝子検査を基にした保険、雇用、またはその他の差別の発生を明らかにした経験的研究は、ほとんど行われていない。2000年(連邦法の遺伝情報差別禁止法[GINA]が通過する8年前)に公表された研究では、このような差別を禁止する州法の通過の前でも後でも、症状が認められる前の遺伝子検査に関する情報が医療保険加入審査の際に使用されることは、あったとしてもまれであるという結論であった。 [26] この研究の結論は、遺伝子カウンセラー29人、患者支援団体員5人、保険監督官12人、保険会社代表35人、保険外交員30人とのインタビューを基にしていた。

これより小規模な研究は、罹患していないBRCAまたはミスマッチ修復遺伝子の病原性多様体キャリア47人を対象としたもので、遺伝子検査の後に生命保険および健康保険の給付金が拒否されたり、制限されたりした事例が少数報告された;しかしながら、このような有害な影響が遺伝子検査の結果に直接関係しているかどうか判定することは不可能であった。それでも、病原性多様体キャリアの一部には、考えられる保険差別を避けるために自費で遺伝子検査を受けたと答えた者(32%)、差別の心配があるために遺伝子検査を受けない血縁者がいると答えた者(13%)、保険の保障範囲に心配があるため、新たな就職口を探すことに抵抗を覚えると答えた者(13%)がいた。 [27]

National Society of Genetic Counselors(NSGC)のCancer Special Interest Groupのメンバーによる2007年の調査では、遺伝的差別のリスクについて、低い、きわめて低い、または机上の空論だと考えている者が94%であったことが明らかになった。 [28] がんの素因検査に関する遺伝的差別に対して保護する米国の連邦法や州法の能力について、非常に信頼している、またはある程度信頼していると、ほとんどが答えている(それぞれ64%および70%)。がんと診断された人(93%)、またはがんの診断を受けていない人(79%)のいずれも、遺伝子検査を受けると健康保険が問題になるとは、ほとんどが考えていなかった。この研究の結果によると、遺伝性がんに関して最前線にいるか、またはそのリスク評価およびカウンセリングを行っている遺伝子カウンセラーは、遺伝的差別のリスクが低いと考えており、既存の州法および連邦法により十分に保護されると信じている可能性があることが示唆される。それでも、健康保険の差別についての懸念から、遺伝性がんのリスクに関する遺伝子検査を患者は拒否してもよいことに、NSGCのサンプルの35%が同意した。さらに、全回答者が、遺伝的差別について担当した患者の一部と話し合ったと報告しており、担当した患者に遺伝的差別に関して安心させるような情報を与えると、87%が報告した。

GINAとその保護範囲に対する国民意識は限られている。2010年に実施された多州にわたる調査では、回答者の80%以上がこの法律について知らなかったと述べた。 [29] 米国の成人1,479人を対象にした2014年の調査では、79%がこの法律について知らなかったと述べた。 [30] GINAを知っていた人のうち、44%はこの法律により健康保険から保護されることを知っており、33%はこの法律により雇用差別から保護されることを知っていた;23%はこの法律により生命、障害、および長期の保険差別から保護されると不正確に考えていた。GINAの記述を読んだ後、回答者の30%が差別に関して実際に懸念を抱いたことを述べた[注:後者の結果の分母は不明である]。この法律の制定以降、遺伝子検査は増加しているが、GINAの権威を検証できる差別の事例が報告されることは比較的少なくなっている。 [30]

(がん遺伝学サービスに関係した差別問題に関する詳しい情報については、本要約のインフォームド・コンセントおよび遺伝的感受性検査に予想されるリスク、有益性、負担、限界の探求のサブセクションを参照のこと。)

訴訟手続き、連邦法/州法、および専門組織の推奨事項

連邦地方裁判所レベルの訴訟事例として、Burlington Northern Santa Fe Railroadがある。U.S. Equal Employment and Opportunities Commissionは、Burlington Northern Santa Fe Railroadが遺伝子検査から得られた医学情報を雇用の決定に使用する許可を与えないよう要請した。 [24]

過去15年間、州法と連邦法の法令は、雇用、昇進、および給与の決定などの雇用慣行;および生命および健康の補償範囲を含めた保険証券について雇用主、学校、政府機関、および保険会社による遺伝情報の使用を防ぐために制定されている。 [12] 大統領令第13145号(Executive Order 13145)により、連邦政府各機関には、遺伝子検査結果または遺伝子検査サービスの要求に関する情報に基づく従業員の差別が禁止されている。 [24] 雇用主および保険会社には、がんなどの遺伝病感受性により疾患になるか死亡するリスクのある個人に対してスクリーニングなどを実施することにより、故意に保険証券利率を下げることが禁止されている。 [24] GINAなどの連邦法では、雇用主提供の生命および身体障害保険を対象としていない;それでも、一部の州には、生命および身体障害保険証書のための遺伝情報の使用について扱った法律が実際にある。 全米州議会議員連盟(National Conference of State Legislatures:NCSL) [31] [32] により、現在の連邦議会の保健法令がまとめられている。遺伝情報についての関連法の例としては、GINA、HIPAA、アメリカ障害者法(Americans with Disabilities Act:ADA)、および従業員退職所得保障法(Employee Retirement Income Security Act:ERISA)が挙げられる。

表5.遺伝的な適用範囲、限界、および保護を扱った連邦法の比較

法令 適用範囲 限界 すべての米国人の保護
出典:Leib et al. [33]
1964年公民権法(Civil Rights Act of 1964) 雇用のみ 健康保険には適用されない 保護
人種または民族と関連している場合、遺伝情報に基づく差別の事例に適用 遺伝性がんに関して人種または民族との強い関連はまれである
1990年アメリカ障害者法(Americans with Disabilities Act of 1990) 遺伝情報の発現と関連した能力障害 健康保険には適用されない 保護
1996年医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act of 1996) 団体健康保険プラン 保険会社による遺伝子検査の要求を阻止していない 保護
遺伝情報が定義されていない
遺伝情報のために個人が団体保険プランに加入できないようにすることを禁止している 遺伝情報がプランの引き受け査定に用いられることがある
異なる団体プランのメンバーに対する保険料増加を禁止している 遺伝情報の開示が制限されていない
既存の疾患は予測的遺伝情報に含められない 相互運用性の規定範囲に含まれていない場合、個人の健康保険プランには適用されない
2000年大統領令第13145号(Executive Order 13145 of 2000) 連邦政府の職員の職場での遺伝的差別を禁止している 健康保険には適用されない 非保護;米国軍兵士および連邦政府職員以外のすべての人は除外される
連邦政府の職員のみに適用される
2008年遺伝情報差別禁止法(Genetic Information Nondiscrimination Act of 2008:GINA)(2009年に制定) 職場および健康保険における遺伝的差別を禁止している 民事訴訟は、すべての行政救済が尽きた人のみに制限される 非保護;米国軍兵士、退役軍人管理局を介して医療を受けている退役軍人、およびインディアン保健局(Indian Health Service)の対象者は除外される
遺伝情報が大まかに定義されている
団体および個人の保険プランに限定
引き受け査定における遺伝情報の使用を禁止している
雇用主および保険会社による遺伝子検査の要求を禁止している 生命、身体障害、および長期医療保険は適用範囲に含まれていない


2008年遺伝情報差別禁止法(Genetic Information Nondiscrimination Act 2008)

GINA 2008では、以下のように遺伝情報に基づく差別に対して健康保険および雇用の規定が保護される:


  • 保険会社および雇用主による個人の個人的な遺伝情報へのアクセスが禁止されている。 [34]

  • 保険会社が団体または個人の健康保険保護プランの申請者に遺伝子検査またはスクリーニングを受けるように要求すること、および個人的な遺伝情報に基づいて健康保険プラン申請者を差別することを禁止している。 [34]

  • 雇用主が遺伝情報を用いて雇用を拒否することを禁止し、また雇用主が従業員の個人的な遺伝情報を明確な同意なしに収集することを禁止している。 [34]

  • 派遣会社が遺伝情報に基づいて候補者を紹介しないまたは紹介を拒否することを禁止している。 [35]

  • 労働組合が組合員の遺伝構造に基づいて組合員資格を失わせる行為を禁止している。 [35]

  • 医学検査または治療に対する保険適用を義務付けていない。 [36]

  • 現在の健康状態に基づく医務査定は禁止していない。 [36]

  • 健康保険会社に雇用されているか、または健康保険と提携している医療提供者を含めた治療を行う医療提供者が、遺伝子検査について個人に要求または通知することは制限されていない。 [37]

  • 毒物監視プログラム、雇用主後援の健康推進プログラム、連邦および州のFamily and Medical Leave Laws(育児介護休業法)の施行、および遺伝情報の故意ではない取得といった特定の事例に対しては、職業上の検査を禁止していない。 [38]

GINAは医療プライバシーおよび機密性の法律および雇用および保険の決定に遺伝情報を含めることにより、HIPAA、ADA、およびERISAの適用範囲を修正および/または拡大している。 [31] またGINAの成立により、遺伝子検査の結果に基づく差別に対しては連邦政府による保護があるので、研究者および臨床家は臨床試験および適切な遺伝子検査への参加を促すことができる。GINAは、すべての州で満たされなければならない最低保護基準を設定した。しかしながら、より強固な法律が整備されている州に対しては、GINAは州法で規定された既存の保護を弱めていない。

しかしながら、GINAにはいくつか制限がある。

  1. GINAは、米国軍兵士、退役軍人管理局を介して医療を受けている退役軍人、またはインディアン保健局(Indian Health Service)の対象者には適用されないが、これはGINAによって修正された法律がこれらの団体およびプログラムには適用されないためである。
  2. この法律は、生命保険、長期医療保険、または身体障害保険には適用されない。GINAが雇用主提供の身体障害および生命保険の保護を提供していない場合でも、州によっては、雇用、遺伝的プライバシー、健康保険、健康保険の執行、生命、身体障害、および長期医療に加えてこれらの領域も含められている。NHGRIのGenome Status and Legislation Databaseは、以下のテーマに関係する州法および法案についての検索可能な一覧を提供している:消費者向け遺伝子検査、雇用非差別および保険非差別、健康保険範囲、プライバシー、研究、および残存新生児スクリーニング検体の使用。
  3. GINAの雇用規定は一般に従業員15人未満の雇用者には適用されない。 [36]

2009年から2010年にFacing Our Risk of Cancer Empowered(FORCE)ウェブサイトに投稿された調査を通じて実施された1件の研究は、GINA成立後の遺伝子検査結果に基づく保健差別に関する消費者の見解についての理解を深めた。参加者1,669人(うち69%が以前に遺伝子検査を受診)のうち、53%が遺伝子検査に基づく保険差別について聞いたことがあると答えた。サンプルの半数以上(54%)は、調査以前にGINAについて聞いたことがなかったと報告した。調査過程の一環でGINAについての簡潔な説明が行われた後、60%(n = 886)が遺伝子検査に対する感情が変化したと報告し、過半数(参加者886人中573人)が健康保険差別に関する懸念は薄いと答えた。最後に、GINAに関する疑問を誰に尋ねるかについて質問したところ、38%が医療提供者と答えた。 [39]

雇用差別および保険差別に対する保護の例外:現役勤務兵士

GINAおよび他の州および連邦の保護は、現役勤務兵士の遺伝子検査または現役勤務兵士から得られた遺伝情報には及ばない。 [40] 軍隊では、遺伝子検査により、健康問題を刺激または悪化させる可能性のある害のある任務やその他の曝露から兵士を保護するために用いられる医療情報が提供される。例えば、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ欠損症の個人におけるある抗マラリア薬の使用は赤血球破裂を引き起こしうる。そのため、ストレスが多いと考えられる兵士が直面する職業環境を考慮すると、一部の遺伝情報は兵士の健康および安全の維持にきわめて重要である。加えて、すべての兵士はDNAサンプルを提供し、身元確認目的で使用できるよう保管庫で維持される。 [41]

疾患素因に対する遺伝子検査の結果は新規入隊のための軍の適格性に影響する可能性があり、現在の兵士に対しては、遺伝子検査の結果は世界的な適格性、任務、および昇級に影響する可能性がある。例えば、BRCA病原性多様体を保有することが明らかにされた若年の女性は、BRCA病原性多様体キャリアに推奨されているスクリーニング方法である乳房MRIなどの推奨される医療が容易に行えない可能性があるため、12~15ヵ月間の展開には適格でないとみなされる可能性がある。現役勤務活動が8年未満の現役勤務兵士は、身体障害者となり受給資格を証明するために医療委員会に出頭する状況では特に弱い立場にある。

2006年にDepartment of Defense Instruction Number 1332.38(DODINST 1332.38)は、軍歴の後期にそれぞれ遺伝性疾患を発症した兵士会員が起こした2件の訴訟の結果として、既存の疾患を再定義した。身体障害の説明では、兵士が現役勤務に就いた後に発見された傷害または疾患は - 先天性および遺伝性疾患を除いて - すべて勤務中にこうむったものと推定されると明記している。遺伝性疾患および/または遺伝病は現役勤務に就く前にこうむっていたものと推定する。しかしながら、DODINST 1332.38ではさらに、勤務中にこうむった疾患のいかなる悪化も、自然な進行によるものと判断されたものというよりも、勤務により悪化したものとすると指定されている。これら2件の訴訟の結果として、8年間の現役勤務活動の制限が確立された。これは、軍務が8年以上になれば、遺伝的疾患の自然な進行は軍務により悪化したものと考えられることを意味する。そのため、2008年後半まで、8年以上勤務している兵士に対する身体障害の判定において、先天性または遺伝性疾患の存在は既存の疾患とはみなされなかった。

2008年10月、National Defense Authorization Act of 2008(NDAA)Title XVI;「Wounded Warrior Matters」に応じて、方針覚書(policy memorandum)が発表され、遺伝性疾患または遺伝病に関する新たな用語を含めた身体障害に関係した規定の実施についての補足的および明示的ガイダンスが提供された。この方針覚書では以下のように述べられている:「遺伝性疾患または遺伝病はすべて、その軍人が現役勤務開始前に身体障害が存在し、軍務により悪化したものではないことを明確かつ疑う余地のない証拠が証明するかどうかを決定するために、評価するものとする。しかしながら、現役勤務開始前に身体障害をこうむっていたという結論であっても、軍人が基本給を受ける資格を有する間にこうむった疾患のいかなる悪化も、自然な進行によるものとは判断されず、勤務により悪化したものとする。」この方針の解釈は現時点では不確定である。 [41]

がん遺伝子検査においてELSIの問題を含めた症例シナリオ

がん遺伝子検査では考慮すべき複数の心理社会的、倫理的、および法的問題がある。生殖細胞系病原性多様体に対する遺伝子検査は社会的および家族的意味合いをもつ。予防およびサーベイランスの選択肢に加えて、遺伝子検査を遺伝学教育および遺伝カウンセリングと併せて提案すべきである。 [18] [19] 倫理的ジレンマに対処するための包括的戦略では、オープンな話し合い、計画立案、家族の関与など、意思決定に対して共通のアプローチを取り入れることがある。 [5] 生命倫理学、法律、および心理社会的影響のさまざまな観点を統合するため、以下のようなシナリオは、医療提供者が一般的に遭遇するジレンマに慣れるのに役立つであろう;しかしながら、臨床家は各患者と症例ごとの患者の状況を評価することが絶対必要である。これらの症例シナリオは「がんに関するカウンセリング:遺伝カウンセリングのための戦略(Counseling about Cancer:Strategies for Genetic Counseling)」から採用されたものであり、詳細な症例の事例は原典で広範に考察されている。 [2]

警告義務 vs プライバシー

乳がんの家族歴が既知である患者は、BRCA1およびBRCA2病原性多様体の検査に興味を抱いている。彼女の家族歴をレビューして、医療提供者は過去に医療センターで検査され確認された第二度近親におけるまれではあるが追加の遺伝性がんの病原性多様体を患者が認識していないことに気付く。家族と話した後、患者は第二度近親の遺伝性がんの病原性多様体の詳細を確認できず、再びBRCA1/2検査に興味を示している。医療提供者は、個人的な患者の情報を開示する危険を冒して家族に認識されていないがん感受性遺伝子について患者に「警告する義務」を有するか。この事例を解決する際に次の問題を検討することが重要である。

  1. 近親者の機密性の保持およびがんのリスクについて患者に知らせることの両方が重要な目標である。一般的に、医療専門家は、警告されなければ害が発生する可能性が高い場合、リスクのある患者が特定できる場合、秘匿の害が開示の害より大きい場合、および害を回避するために必要な情報だけが放出される場合に「警告義務」を有する。(詳しい情報については、本要約のプライバシーと機密性:患者の遺伝情報の開示のセクションを参照のこと。)
  2. まれながんの監視および管理は一般集団に対するガイドラインとは異なるため、二次がん症候群について患者に知らせることの有益性が害に勝っている可能性がある。またどちらの関係者も特定可能である。遺伝子検査の結果を問題の患者に開示する許可を得るために近親者と連絡を取ることも選択肢の1つである。
  3. 開示の許可が得られない場合は、近親者の遺伝子検査の結果に関する具体的な情報を放出することなく、患者が遺伝性がん症候群の臨床基準を満たしていると患者に知らせることが可能である。

患者の知る権利 vs 家系員の自律性

遺伝性がんの家族歴を有する1人の患者が予測的遺伝子検査に興味を抱いており、最初乗り気でないと言っている罹患家系員に対して家族性病原性多様体の確証を得るために検査を受けるよう説得している。このシナリオで、生存している家系員は遺伝子検査に同意するよう圧力をかけられていると感じていることを認める。患者と罹患家系員の両者が患者である。どちらが優先されるか-患者の知る権利か、それとも家系員の自律性か。この事例を解決する際に次の問題を検討することが重要である。

  1. 死亡した近親者の保存組織を検査するなど、気が進まない家系員の参加を伴わない検査の代わりの案を患者と探究する。(詳しい情報については、本要約の罹患した家系員を最初に検査する意義のセクションを参照のこと。)
  2. 患者が他の選択肢の検討を希望せず、家系員が強要または干渉なしに検査を受けることに同意した場合は、リスクと有益性を含めた検査結果の意味合いを家系員に告げ、検査前に彼女の情動的幸福を評価する。 [20] (詳しい情報については、本要約のインフォームド・コンセントのセクションを参照のこと。)

知る権利 vs 知らないでいる権利

遺伝性がん症候群がある家族において同定されている。その家族内の成人した子供が、彼女の親が辞退したがん感受性検査を希望しており、一卵性双生児の1人は検査を希望しているが、もう1人は希望していない。関心のない関係者が検査を辞退しており、結果を知りたくないと考えていても、1人の近親者を検査することで他の家系員の結果を開示してしまう可能性がある。予測検査に興味を抱いている家系員の権利は、結果を知りたくないと考えている近親者の権利よりも優先されるか。この事例を解決する際に次の問題を検討することが重要である。

  1. 遺伝性がん症候群において、個人の知る権利は、特に罹病および死亡の可能性を低下させるための早期発見と予防の戦略がある場合に、個人の知らないでいる権利よりも優先される。
  2. 家族は実証済みの病原性多様体を有するため、標準ケアの推奨事項にはスクリーニングおよび監視のためのガイドラインが含まれる。検査が実施されていない状況では、きわめて近い家系員が遺伝性のがんリスクについて確実に警告を受けるよう「理にかなった手段」を講じることが重要である。(詳しい情報については、本要約のプライバシーと機密性:患者の遺伝情報の開示のセクションを参照のこと。)
  3. 検査前および検査後の話し合いには、家系員に対する医学的、心理学的、および社会的影響の可能性および負の影響を減らす方法に関する戦略が含まれるであろう。患者は、検査結果を知らないでいたいと要求し、結果を秘密にしておこうとしている近親者の願望を尊重すべきである。 [20]

善行 vs 父親的干渉

常染色体優性のがんに対する予測検査に興味を抱いているある患者の心理学的評価により、うつ病および自殺未遂の既往が明らかにされる。患者は情緒が安定していると報告しており、そのため心理士への紹介を拒む場合でも、医療提供者は患者の情動的幸福に対する懸念から検査の拒否または延期を検討している。予測的遺伝子検査の延期または拒否は善行を表す意志表示か、それとも父親的干渉の行為か。この事例を解決する際に次の問題を検討することが重要である。

  1. 心理士と話すことを患者が拒否しても、医療提供者は自殺のリスクを判断するためメンタルヘルス専門家と事例の詳細を話し合うことができる。(詳しい情報については、本要約の遺伝情報/検査結果が個人に及ぼす心理学的影響のセクションを参照のこと。)
  2. 検査結果のために心理社会的障害のリスクがある場合は、検査を延期することができる。検査を再開できる条件が患者に説明される。例えば、NSGC Code of Ethicsでは、患者に付加的なサービスが必要な場合にはクライアントを他の資格のある専門家に紹介すべきであると推奨されている。 [20]
  3. 検査を拒否することは暗にクライアントが検査を決して受けられないことを意味しているため、いかなる状況であっても検査の拒否は正当化できるようには思われない。

医療専門家向けのガイドラインおよびその他の資源

(遺伝子検査および遺伝カウンセリングのELSIに関する詳しい情報については、がん遺伝学の概要に関するPDQ要約の遺伝学関連の資源のセクションを参照のこと。)


参考文献
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本要約の変更点(11/22/2016)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

参考文献2としてWeitzel et al.が追加された。

参考文献6としてGabai-Kapara et al.が追加された。

リスク評価過程の要素

本文のがんリスクの評価とカウンセリングの過程に一般的に含まれる項目の一覧に、家族歴を含む詳細で多面的な評価および遺伝子検査という選択肢のレビューを含めるように記述が改訂された。

遺伝子検査という選択肢

新規のサブセクションとして保険の適用範囲が追加された。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングについて包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Cancer Genetics Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

がんの遺伝学的リスク評価とカウンセリングに対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Cancer Genetics Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Cancer Genetics Editorial Board.PDQ Cancer Genetics Risk Assessment and Counseling.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/causes-prevention/genetics/risk-assessment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389258]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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