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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

がん医療における喫煙(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2014-06-20
    翻訳更新日 : 2014-08-21

概要

本要約では、がんの一次的な危険因子としての喫煙を簡潔に扱っているが、主眼は再発または二次原発がんの診断に対する喫煙の作用、がん患者の禁煙および喫煙継続の傾向ならびにがん患者に対する喫煙介入の推奨事項に焦点を当てている。この情報は、治療中および治療後に患者を治療する医療専門家の助けとなろう。一般集団におけるがん予防および禁煙に関するマテリアルはきわめて多く、別稿により参照できる。実際に入手可能な証拠はすべて、嗅ぎタバコまたは噛みタバコなどではなく、紙巻きタバコに関するものであるため、タバコの使用ではなく紙巻きタバコの喫煙に言及する。

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。

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一次的な危険因子としての喫煙

タバコの使用と肺がんおよび頭頸部がんとの関係が確認されてほぼ50年になる。毎年診断される頭頸部がんは53,000例と推定され、そのうち85%はタバコの使用が原因である。喫煙による肺がん罹患の相対寄与リスクは90%を超える;他の喫煙関連がん(喉頭がん、口腔がん、食道がん、膀胱がん、腎がん、膵がん、および他の尿路系のがん)については60%~70%である。 [1] 証拠によれば、男性 [2] および女性 [3] ともに30歳以前の喫煙が、きわめて長期にわたる誘導期(>35年)を経て、大腸がんの強力な危険因子になることが示唆されている。

喫煙者は診断時の疾病の局所進行度および転移のリスクが高いこともある。 [4] 1件の研究では、喫煙は、急性骨髄性白血病の経過と転帰を特に若年患者および望ましくない核型を有する患者において悪化させた。 [5] 1件の腎細胞がん患者の研究では、禁煙後の腎細胞がんリスクにおける改善は比較的直線的であるが、非喫煙者のレベルまでリスクが低下するには20年以上かかることがあると示唆されている。 [6]

喫煙は、腫瘍抑制遺伝子および優性発がん遺伝子に変異を来し、肺の粘液線毛による除去を障害し、免疫反応を低下させることにより、がんの発生に寄与する。 [7] (詳しい情報については、肺がんの予防に関するPDQ要約を参照のこと。)


参考文献
  1. Shopland DR, Burns DM, Garfinkel L, et al.: Monograph 8: Changes in Cigarette-Related Disease Risks and Their Implications for Prevention and Control. Bethesda, Md: National Institutes of Health, National Cancer Institute, NIH Publ No 97-4213, 1997.[PUBMED Abstract]

  2. Giovannucci E, Rimm EB, Stampfer MJ, et al.: A prospective study of cigarette smoking and risk of colorectal adenoma and colorectal cancer in U.S. men. J Natl Cancer Inst 86 (3): 183-91, 1994.[PUBMED Abstract]

  3. Giovannucci E, Colditz GA, Stampfer MJ, et al.: A prospective study of cigarette smoking and risk of colorectal adenoma and colorectal cancer in U.S. women. J Natl Cancer Inst 86 (3): 192-9, 1994.[PUBMED Abstract]

  4. Kobrinsky NL, Klug MG, Hokanson PJ, et al.: Impact of smoking on cancer stage at diagnosis. J Clin Oncol 21 (5): 907-13, 2003.[PUBMED Abstract]

  5. Chelghoum Y, Danaïla C, Belhabri A, et al.: Influence of cigarette smoking on the presentation and course of acute myeloid leukemia. Ann Oncol 13 (10): 1621-7, 2002.[PUBMED Abstract]

  6. Parker AS, Cerhan JR, Janney CA, et al.: Smoking cessation and renal cell carcinoma. Ann Epidemiol 13 (4): 245-51, 2003.[PUBMED Abstract]

  7. Carbone D: Smoking and cancer. Am J Med 93 (1A): 13S-17S, 1992.[PUBMED Abstract]

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がん患者にみられる治療反応性の低下

いったんがんが診断された後、患者が禁煙することにより実質的に医学的利点が生じることを示す証拠がある。喫煙を継続すると治療の有効性が低下し、二次発がんの可能性を増大させると考えられる実質的な証拠がある。(詳しい情報については、本要約の二次悪性疾患の危険因子としての喫煙二次悪性疾患の危険因子としての喫煙のセクションを参照のこと。)また、喫煙を継続すると治療の副作用を悪化させる可能性もあるが [1] 、この問題を評価した研究はほとんどないため、これに関する直接的な証拠はきわめて少ない。

血管収縮による心血管疾病、肺機能、免疫抑制、および創傷治癒に対する喫煙の影響、および禁煙後にみられるいくつかの影響のかなり急速な減少を裏づける多大な証拠から外挿すると [2] [3] 、外科的治療または肺機能が関与する場合は特に、これらの結果ががん患者にも当てはまる。例えば、1件の研究では、さまざまな抗腫瘍薬療法に反応する心肺毒性(タバコの使用により助長されうる)のモデルが概説された。より具体的に言うと、ブレオマイシンまたはカルムスチンで治療された喫煙者は、肺線維症および拘束性肺疾患の発生率が増大し、アントラサイクリン系薬物により喫煙者の心筋症リスクが高まった。 [4]

放射線療法を受けた頭頸部進行がん患者の研究 [5] では、放射線療法中に喫煙を継続した患者(23.4週間)は、放射線療法時に禁煙し禁煙を継続していた患者(13.6週間)または治療後少なくとも1ヵ月は禁煙を継続していた患者(18.3週間)より長期間粘膜炎を患った。長引く粘膜炎は、外見の恒久的な変化と関連しうる。諸研究から、喫煙を継続する頭頸部がん患者では周術期および長期合併症率がかなり高いことが示されている。 [6] ある研究では、急性骨髄性白血病に対する導入化学療法を受けている患者で喫煙を継続した患者は、重症肺感染症を経験する可能性が高かったが(26% vs 18%)、60歳以上の成人では全生存率に差はみられなかった。 [7] 喉頭がんの放射線療法後も喫煙を継続する患者は、満足のいく声質にまで回復することは少ないと考えられる。 [8]

喫煙を継続する患者に対して考えられる合理的な別の懸念は、すべての種類の手術後にみられる一般的な合併症の割合である。ニコチンおよび一酸化炭素はどちらも血管収縮、上皮化の阻害、および細胞の低酸素状態を惹起するため、喫煙者の術後の創傷治癒には遅延が認められることが実証されている。 [9] [10] 肺がん患者における切除術後の合併症を予測する因子に関する1件の研究では、喫煙歴のあるものは(ないものに比べて)合併症発症の可能性を2倍にしたが、手術のための入院時に喫煙していたものは(していなかったものに比べて)2倍にはならなかった。 [11] しかし、禁煙してからの経過時間に関する詳しい情報については示されなかった。

1件の研究では、治療中に喫煙を継続した頭頸部がん患者に奏効率および生存率の低下がみられた。喫煙を継続した患者は、放射線療法に対する完全奏効率(45% vs 74%)および2年生存率(39% vs 66%)が有意に低かった。最近禁煙した患者の18ヵ月生存率は、喫煙継続者より長期禁煙患者の値に近似していた。 [12]

さらに、別の研究では頭頸部がん患者における喫煙継続が生存率に及ぼす影響が示された。 [13] 禁煙した患者は、診断時の腫瘍の大きさに関係なく生存率が2倍になった;2年後には禁煙者の生存率は非喫煙者の値に近似していた。禁煙者における再発の相対リスクは非喫煙者のリスクに比べて約2倍であった;喫煙量に関係なく、診断後も喫煙を継続した者では再発の相対リスクが4倍であった。1件の研究では、切除を行ったI期の非小細胞肺がん患者の予後に喫煙状態に応じた有意差を認めることはできなかった;前喫煙者および現喫煙者の間での再発率および死亡率に差はなかったが、新規喫煙者の割合の2~3倍であった。 [14] しかし、新規喫煙者の症例数が少なかったため、これらの差は統計的有意に達することができなかった;加えてこれらの差は、定義が提供されなかったため、前喫煙者と現喫煙者との間に差が認められなかったことについては解釈が困難である。

別の研究では、小細胞がん患者に一貫した傾向が認められた:喫煙継続者は最も生存率が低く、次いで診断時に禁煙した患者、診断の平均2.5年前に禁煙した患者が続いた。 [15] 対象者数が少なかったことが原因と思われるものの、最近禁煙した患者の生存曲線は、喫煙継続者と統計的に差はみられなかったが、診断時に禁煙した患者(n = 35)のうち6人が1年および2年後に完全寛解の状態であったのに対して、喫煙継続者(n = 57)が131週間を過ぎて生存した例はなかった。

このほか、喫煙と前立腺がんの再発と死亡率の関係が検討されてきた。諸研究から喫煙の継続と早期再発 [16] [17] および死亡率の増加 [18] との関連が明らかになった。根治的前立腺摘除術を受けた男性1,416件の研究では、平均7.3年間追跡した結果、喫煙継続者の34.3%で、喫煙経験者の14.8%で、喫煙未経験者の12.1%で再発した。 [17] 他の研究では、D2期(88% vs 63%)またはA期以外(39% vs 17%)の喫煙者では5年死亡率が高くなることを明らかにした。 [16] 男性5,366人を対象とした1件のプロスペクティブ観察研究において、前立腺がん特異的死亡率は、1,000人年当たりでは喫煙継続者の場合15.3人であり、喫煙未経験者の場合は9.6人であった。10年以上前に喫煙をやめた前立腺がんの患者では、死亡率は非喫煙者とほぼ同じであった。 [18]


参考文献
  1. Des Rochers C, Dische S, Saunders MI: The problem of cigarette smoking in radiotherapy for cancer in the head and neck. Clin Oncol (R Coll Radiol) 4 (4): 214-6, 1992.[PUBMED Abstract]

  2. U.S. Department of Health and Human Services: The Health Benefits of Smoking Cessation. A Report of the Surgeon General. Rockville, Md: 1990. DHHS Publ No. (CDC) 90-8416.[PUBMED Abstract]

  3. U.S. Department of Health and Human Services: A Report of the Surgeon General: How Tobacco Smoke Causes Disease: What It Means to You. Atlanta, Ga: U.S. Department of Health and Human Services, Centers for Disease Control and Prevention, National Center for Chronic Disease Prevention and Health Promotion, Office on Smoking and Health, 2010. Also available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  4. Tyc VL, Hudson MM, Hinds P, et al.: Tobacco use among pediatric cancer patients: recommendations for developing clinical smoking interventions. J Clin Oncol 15 (6): 2194-204, 1997.[PUBMED Abstract]

  5. Rugg T, Saunders MI, Dische S: Smoking and mucosal reactions to radiotherapy. Br J Radiol 63 (751): 554-6, 1990.[PUBMED Abstract]

  6. Wein RO: Preoperative smoking cessation: impact on perioperative and long-term complications. Arch Otolaryngol Head Neck Surg 135 (6): 597-601, 2009.[PUBMED Abstract]

  7. Chelghoum Y, Danaïla C, Belhabri A, et al.: Influence of cigarette smoking on the presentation and course of acute myeloid leukemia. Ann Oncol 13 (10): 1621-7, 2002.[PUBMED Abstract]

  8. Karim AB, Snow GB, Siek HT, et al.: The quality of voice in patients irradiated for laryngeal carcinoma. Cancer 51 (1): 47-9, 1983.[PUBMED Abstract]

  9. Gritz ER, Kristeller J, Burns DM: Treating nicotine addiction in high-risk groups and patients with medical co-morbidity. In: Orleans CT, Slade J, eds.: Nicotine Addiction: Principles and Management. New York, NY: Oxford University Press, 1993, pp 279-309.[PUBMED Abstract]

  10. U.S. Department of Health and Human Services: The Health Consequences of Smoking: Cardiovascular Disease. A Report of the Surgeon General. Rockville, Md.: DHHS Publication No. (PHS) 84-50204, 1983.[PUBMED Abstract]

  11. Kearney DJ, Lee TH, Reilly JJ, et al.: Assessment of operative risk in patients undergoing lung resection. Importance of predicted pulmonary function. Chest 105 (3): 753-9, 1994.[PUBMED Abstract]

  12. Browman GP, Wong G, Hodson I, et al.: Influence of cigarette smoking on the efficacy of radiation therapy in head and neck cancer. N Engl J Med 328 (3): 159-63, 1993.[PUBMED Abstract]

  13. Stevens MH, Gardner JW, Parkin JL, et al.: Head and neck cancer survival and life-style change. Arch Otolaryngol 109 (11): 746-9, 1983.[PUBMED Abstract]

  14. Gail MH, Eagan RT, Feld R, et al.: Prognostic factors in patients with resected stage I non-small cell lung cancer. A report from the Lung Cancer Study Group. Cancer 54 (9): 1802-13, 1984.[PUBMED Abstract]

  15. Johnston-Early A, Cohen MH, Minna JD, et al.: Smoking abstinence and small cell lung cancer survival. An association. JAMA 244 (19): 2175-9, 1980.[PUBMED Abstract]

  16. Daniell HW: A worse prognosis for smokers with prostate cancer. J Urol 154 (1): 153-7, 1995.[PUBMED Abstract]

  17. Joshu CE, Mondul AM, Meinhold CL, et al.: Cigarette smoking and prostate cancer recurrence after prostatectomy. J Natl Cancer Inst 103 (10): 835-8, 2011.[PUBMED Abstract]

  18. Kenfield SA, Stampfer MJ, Chan JM, et al.: Smoking and prostate cancer survival and recurrence. JAMA 305 (24): 2548-55, 2011.[PUBMED Abstract]

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二次悪性疾患の危険因子としての喫煙

最初に喫煙関連悪性疾患および非喫煙関連悪性疾患を呈した患者はいずれも、喫煙を継続すれば、同一部位または他の部位に二次悪性疾患発生のリスクが増大するという事実に直面する。 [1] [2] 初回のがんの予後が良好であるほど、喫煙の継続により初回のがんの診断後最長20年間は新しい原発がんのリスクが増大することを示す証拠はさらに確実性を増す。小細胞肺がん(SCLC)(主にI期およびII期)生存者を対象とした2件の研究 [3] [4] [5] では、第二がんのリスク(主に非SCLC[NSCLC])は一般集団の3.5倍~4.4倍であった。喫煙を継続した患者のうちでも特に胸部放射線照射を実施した(相対リスク[RR] = 21.0)患者およびアルキル化剤を投与された(RR = 19.0)患者の第二がんのリスクは、大幅に高かった。 [4] 診断時に禁煙した患者のリスクは、診断前少なくとも6ヵ月の時点で禁煙した患者より高くなることはなかった。

乳がんの生存者で、その後肺がんが発生した患者を対象とした1件の研究 [6] では、胸部放射線療法(XRT)単独で治療された患者にその後肺がんが発生するリスクは無視できる程度であったが、喫煙に起因するリスクはかなり高く(調整オッズ比[OR] = 5.6)、XRTと喫煙との組合せの場合はさらに高かった(未調整OR = 9.0、P < 0.05;調整OR = 8.6、P = 0.08)。ホジキンリンパ腫生存者の研究において放射線療法と喫煙(RR = 20.2)により、その後肺がんが発生する相乗リスクがさらに高くなることが確認されたが [7] 、この研究では中等度から重度喫煙者における放射線およびアルキル化剤の併用が対照患者に比べて相乗効果(RR = 49.1)がさらに高くなることが明らかにされた。これとは別に日本の研究では、禁煙すれば、少なくとも2年生存したSCLC患者では二次がんの可能性が大幅に低下することが確認された。 [8]

このほか、喫煙している口腔がんおよび咽頭がん患者では、二次原発がんの発生率がきわめて高い。口腔がん患者1,000人以上を対象とした追跡研究では、喫煙の継続によって長期重度喫煙者(2箱以上/日)において、それ自体が過剰なリスクをもつアルコール摂取の調整後でも、すべての気道消化管がんの二次がんのリスクが最大5倍近く増大(OR = 4.7)することが明らかにされた。2年以内に禁煙した場合では何の効果もみられなかったが、5年以上禁煙するとリスクは有意に低下した。 [9] 別の研究 [10] では、幾分低いレベルではあるが、このリスク増大が確認された。1,000人以上の早期の頭頸部扁平上皮がん患者について初診から最長6年間、二次原発腫瘍(SPT)におけるタバコとアルコールへの暴露の共同効果を調べた。SPT症例は、より長期にわたって喫煙し、紙巻タバコ以外の形態のタバコまたは紙巻タバコとの組み合わせでタバコを使用している現喫煙者(27.5% vs 18.8%)ほど発生する可能性が高かった。SPTの全リスクは、喫煙者の場合約2倍であった。リスク増大のほとんどが診断後の喫煙継続(RR = 2.1)およびアルコール摂取(RR = 1.3)と関連していたが、相互作用の影響は明らかではなかった。

喫煙と前立腺がん進行との関係が明らかにされている。1件の研究では、D2期(88% vs 63%)またはA期以外(39% vs 17%)の喫煙者では5年腫瘍特異的死亡率はきわめて高く、これは喫煙継続の免疫抑制作用に起因することを明らかにした。 [11] 喫煙が二次肺がんのリスクに与える影響はホジキンリンパ腫の生存者において実証されている。 [7] [12] 原発がん患者において実施された諸研究でも、禁煙の結果として二次悪性疾患のリスク低下および生存の改善が示されている。 [13] [14]


参考文献
  1. Gritz ER, Fingeret MC, Vidrine DJ, et al.: Successes and failures of the teachable moment: smoking cessation in cancer patients. Cancer 106 (1): 17-27, 2006.[PUBMED Abstract]

  2. Parsons A, Daley A, Begh R, et al.: Influence of smoking cessation after diagnosis of early stage lung cancer on prognosis: systematic review of observational studies with meta-analysis. BMJ 340: b5569, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Richardson GE, Tucker MA, Venzon DJ, et al.: Smoking cessation after successful treatment of small-cell lung cancer is associated with fewer smoking-related second primary cancers. Ann Intern Med 119 (5): 383-90, 1993.[PUBMED Abstract]

  4. Tucker MA, Murray N, Shaw EG, et al.: Second primary cancers related to smoking and treatment of small-cell lung cancer. Lung Cancer Working Cadre. J Natl Cancer Inst 89 (23): 1782-8, 1997.[PUBMED Abstract]

  5. Johnson BE: Second lung cancers in patients after treatment for an initial lung cancer. J Natl Cancer Inst 90 (18): 1335-45, 1998.[PUBMED Abstract]

  6. Ford MB, Sigurdson AJ, Petrulis ES, et al.: Effects of smoking and radiotherapy on lung carcinoma in breast carcinoma survivors. Cancer 98 (7): 1457-64, 2003.[PUBMED Abstract]

  7. Travis LB, Gospodarowicz M, Curtis RE, et al.: Lung cancer following chemotherapy and radiotherapy for Hodgkin's disease. J Natl Cancer Inst 94 (3): 182-92, 2002.[PUBMED Abstract]

  8. Kawahara M, Ushijima S, Kamimori T, et al.: Second primary tumours in more than 2-year disease-free survivors of small-cell lung cancer in Japan: the role of smoking cessation. Br J Cancer 78 (3): 409-12, 1998.[PUBMED Abstract]

  9. Day GL, Blot WJ, Shore RE, et al.: Second cancers following oral and pharyngeal cancers: role of tobacco and alcohol. J Natl Cancer Inst 86 (2): 131-7, 1994.[PUBMED Abstract]

  10. Do KA, Johnson MM, Doherty DA, et al.: Second primary tumors in patients with upper aerodigestive tract cancers: joint effects of smoking and alcohol (United States). Cancer Causes Control 14 (2): 131-8, 2003.[PUBMED Abstract]

  11. Daniell HW: A worse prognosis for smokers with prostate cancer. J Urol 154 (1): 153-7, 1995.[PUBMED Abstract]

  12. Abrahamsen JF, Andersen A, Hannisdal E, et al.: Second malignancies after treatment of Hodgkin's disease: the influence of treatment, follow-up time, and age. J Clin Oncol 11 (2): 255-61, 1993.[PUBMED Abstract]

  13. Chen CH, Shun CT, Huang KH, et al.: Stopping smoking might reduce tumour recurrence in nonmuscle-invasive bladder cancer. BJU Int 100 (2): 281-6; discussion 286, 2007.[PUBMED Abstract]

  14. Geyer SM, Morton LM, Habermann TM, et al.: Smoking, alcohol use, obesity, and overall survival from non-Hodgkin lymphoma: a population-based study. Cancer 116 (12): 2993-3000, 2010.[PUBMED Abstract]

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禁煙と禁煙継続に与えるがん診断の影響

がん患者における喫煙継続の有害な影響について強力な証拠があるにもかかわらず、こうした患者集団、特にメンタルヘルスの問題と物質乱用障害が併存する患者において禁煙は困難な問題となっている。 [1] [2] [3] 喫煙関連がんの患者は、大部分が診断時に禁煙する努力を真剣に行う。 [4] [5] [6] [7] 諸研究で、口腔がんおよび咽頭がん患者の約半数が診断時または診断後に禁煙することが示唆されている [8] [9] ;重度喫煙者であるほど、実際に禁煙する確率が高かった。別の研究では、頭頸部がん患者における12ヵ月間禁煙率は64.6%であった。 [5] 頭頸部がん患者115人では、診断直前に52%の禁煙率が報告されたが、これは、診断の認識に加え、喫煙およびがん関連症状の増加が禁煙の決意をかなり駆り立てることを示唆している。 [10]

喫煙を継続する患者でも、禁煙への動機づけはなされているようである。I期小細胞肺がんの患者群では約90%が禁煙を1回以上試みたにもかかわらず、2年後でも生存者の60%がまだ喫煙していた。 [4] 別の研究では、対象症例の84%が術後少なくとも1回は禁煙を試み、69%が複数回禁煙を試みた。 [6] 以上の諸研究では、喉頭がんおよび咽頭がん患者の80%が術後禁煙を継続していたが、口腔がん患者で禁煙を継続していたのは20%のみであった。侵襲度の低い治療(特に放射線療法)を実施した患者ほど喫煙を継続する傾向にあり、重症度による調整後でも、いったん禁煙して再び喫煙を始める確率は2.46倍であった。より高い再開率は、頭頸部がんの侵襲度の少ない治療にも関連している。 [11]

このような喫煙の継続と重症度の低い疾病との関係は、心疾患患者にもみられる。 [12] これとは別に二次予防が特に重要と思われる集団は、小児がん生存者である。小児がん生存者では、喫煙開始率が同輩の健常者群と同じくらい高い。この集団の喫煙問題に取り組むに当たり、いくつかの知見および推奨事項のすぐれたレビューが出版されている。 [13]


参考文献
  1. Nayan S, Gupta MK, Strychowsky JE, et al.: Smoking cessation interventions and cessation rates in the oncology population: an updated systematic review and meta-analysis. Otolaryngol Head Neck Surg 149 (2): 200-11, 2013.[PUBMED Abstract]

  2. Schnoll RA, Martinez E, Langer C, et al.: Predictors of smoking cessation among cancer patients enrolled in a smoking cessation program. Acta Oncol 50 (5): 678-84, 2011.[PUBMED Abstract]

  3. Blalock JA, Lam C, Minnix JA, et al.: The effect of mood, anxiety, and alcohol use disorders on smoking cessation in cancer patients. J Cogn Psychother 25 (1): 82-96, 2011.[PUBMED Abstract]

  4. Gritz ER, Nisenbaum R, Elashoff RE, et al.: Smoking behavior following diagnosis in patients with stage I non-small cell lung cancer. Cancer Causes Control 2 (2): 105-12, 1991.[PUBMED Abstract]

  5. Gritz ER, Carr CR, Rapkin D, et al.: Predictors of long-term smoking cessation in head and neck cancer patients. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2 (3): 261-70, 1993 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  6. Ostroff JS, Jacobsen PB, Moadel AB, et al.: Prevalence and predictors of continued tobacco use after treatment of patients with head and neck cancer. Cancer 75 (2): 569-76, 1995.[PUBMED Abstract]

  7. Vander Ark W, DiNardo LJ, Oliver DS: Factors affecting smoking cessation in patients with head and neck cancer. Laryngoscope 107 (7): 888-92, 1997.[PUBMED Abstract]

  8. Day GL, Blot WJ, Shore RE, et al.: Second cancers following oral and pharyngeal cancers: role of tobacco and alcohol. J Natl Cancer Inst 86 (2): 131-7, 1994.[PUBMED Abstract]

  9. Duffy SA, Khan MJ, Ronis DL, et al.: Health behaviors of head and neck cancer patients the first year after diagnosis. Head Neck 30 (1): 93-102, 2008.[PUBMED Abstract]

  10. Browman GP, Wong G, Hodson I, et al.: Influence of cigarette smoking on the efficacy of radiation therapy in head and neck cancer. N Engl J Med 328 (3): 159-63, 1993.[PUBMED Abstract]

  11. Gritz ER, Schacherer C, Koehly L, et al.: Smoking withdrawal and relapse in head and neck cancer patients. Head Neck 21 (5): 420-7, 1999.[PUBMED Abstract]

  12. Ockene J, Kristeller JL, Goldberg R, et al.: Smoking cessation and severity of disease: the Coronary Artery Smoking Intervention Study. Health Psychol 11 (2): 119-26, 1992.[PUBMED Abstract]

  13. Tyc VL, Hudson MM, Hinds P, et al.: Tobacco use among pediatric cancer patients: recommendations for developing clinical smoking interventions. J Clin Oncol 15 (6): 2194-204, 1997.[PUBMED Abstract]

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がん患者に対する喫煙介入

これまでがん患者を対象にした喫煙介入研究は驚くほどわずかしか実施されていない。多くの患者が診断時に禁煙したことを報告し、他の多くの患者は臨床試験への登録を妨げる併存疾患を有するためであるが、腫瘍設定におけるルーチンの禁煙サービスについてはほとんど知られていない。そのため、1件の禁煙実施可能性に関する研究では、試験実行の諸問題について報告された。 [1] この研究では、成人がん患者14,514人が潜在的な参加者としてスクリーニングを受けたが、適格であると判断された患者は2%未満であった。登録への障害および除外基準は以下の通りであった:


  • 非喫煙者状態(83%)。

  • 禁忌の病歴(例、重篤な心血管障害)(5%)。

  • 禁煙に関心がない(4%)。

  • 現在の精神医学的状態(例、アルコール依存症、なんらかのAxis I 障害)(0.1%)。

  • その他(例、電話がつながらない、施設から遠い、死亡している、英語を話せない、現在、薬物療法が禁忌である)(7.2%)。

適格であった患者の84%が登録した。試験に参加しなかった患者は、登録した患者よりも進行疾患を有する確率が高かった。登録した患者は喫煙歴が長く(平均、38年間)、ニコチン依存の測定でスコアが非常に高く、1週間当たり平均で約7杯飲酒していた;登録者の約1/4が臨床レベルの抑うつ症状を報告した。研究者らは、ルーチンの臨床治療に禁煙プログラムを組み込むことは困難であるが可能であり、うつ病も経験している喫煙者の亜集団には特に注意を払うべきであると結論づけた。 [1] 他の研究でも、うつ病とアルコール使用障害を有する患者では禁煙率が低いことが示唆されている。 [2] [3]

別の研究では、頭頸部がん患者の集団に一貫した介入を実施した場合、研究開始時に禁煙に関してほとんど興味を示さなかった患者の約半数を含む約65%が、禁煙および禁煙の継続に成功したことが明らかにされた。 [4] [証拠レベル:I]頭頸部がん患者を対象とした大規模な介入研究では、外科医または歯科医が禁煙するよう助言を行い、禁煙契約をして禁煙開始日を設定し、文書マテリアルを用い、追加で助言を行なう会を開いた。脱落率が高かったこともあり、差は予想通りであったが、有意な介入効果はみられなかった。 [4] 同様のある研究 [5] [証拠レベル:I]でも、以下に略述の質問、助言、支援、段取り質問、助言、支援、段取りモデルに基づいた非常に短時間(5分未満)の医師による介入に、有益な効果を認めることはできなかった。さまざまな診断を受けたがん患者400人以上が、介入群または通常ケア群にランダムに割り付けられた。約半数は前6ヵ月間に診断を受け、46.3%は前6ヵ月間に禁煙を試み、また、84%はその後の6ヵ月間に禁煙を考えていた。介入群にランダムに割り付けられた患者は、担当医からプロトコルと一致した助言と手段を受けることを了承した;しかし、6ヵ月間の追跡(11.9% vs 14.4%)においても12ヵ月間の追跡(13.6% vs 13.3%)においても禁煙率の有意差はみられなかった。患者は、頭頸部がんまたは肺がんと診断された場合、より軽度の喫煙者であった場合、強い禁煙願望を示した場合、および追加的介入手段を使用していた場合に、より禁煙する確率が高かった。これらの結果は、非常に短時間の医師のカウンセリングがこの高リスク群の禁煙率を改善するには適切ではないことを示す。

1件のケースコントロールレトロスペクティブ研究 [6] [証拠レベル:III]では、肺がんと診断された200人を超える喫煙者をニコチン依存センターへ紹介した効果が、肺がんの診断を受けなかった喫煙者と比較して評価された。ほとんどの肺がん患者は過去に禁煙を試みた経験が少ない傾向にあったが、肺がんが認められない喫煙者よりも禁煙に対する動機づけを高く示した。介入後6ヵ月の時点で禁煙している可能性は肺がん患者の方が高かったが(22% vs 14%)、人口統計学的変数および動機づけのレベルの調整後は、統計的有意差は認められなかった。介入時点がより診断に近接している患者は、6ヵ月の時点で禁煙している可能性がはるかに高かった(27.3% vs 3~6ヵ月間 0% vs 6ヵ月超7%、P = 0.01)。一般に、短時間の喫煙介入は薬物療法の処方を含めて約1時間に調整された介入で構成されるが、この高リスク集団においては比較的影響が小さいことを示した。しかし、診断後のより早い紹介は禁煙の可能性を高める。患者の自己選択が入り、また不介入対照群が欠如していることから、この研究には限界がある。

しかしながら、他の患者群、特に心疾患患者群を対象に膨大な研究が行われ、医療という状況で喫煙介入を実施する場合、医師をはじめとする医療提供者が果たす役割の価値が明らかにされている。いくつかの状況下で、タバコの使用に介入する場合の具体的な推奨事項が出版されている。1980年代後半に実施された医師による喫煙介入の主要な臨床試験6件の治療成績に基づき [7] 、質問、助言、支援、段取り(Ask, Advise, Assist, Arrange)モデルが開発された。このモデルでは、来院ごとに喫煙状態について質問する、禁煙するよう助言する、禁煙開始日を設定することで支援する、自助教材を提供する、ニコチン置換療法の実施を推奨する、および経過観察のための来院を段取りするといったことを含む医師による簡単な介入が行われる。短時間の介入および拡大介入の概要については、後出の一覧表後出の一覧表を参照のこと。後出の患者中心のカウンセリングの重要な要素患者中心のカウンセリングの重要な要素の一覧では、通常の来院の状況で行う短時間の(5~7分の)患者中心のカウンセリングのフォーマットのうち、Assist(支援)期で質問すると思われる事項を詳細に示した。 [8] [証拠レベル:I]

これらの推奨事項は米国公衆衛生局(Public Health Service)が後援する臨床診療ガイドライン(Clinical Practice Guideline) [9] [証拠レベル:IV]; [10] の根幹をなしており、指針ではさらに強力なカウンセリングに紹介することの重要性を強く支持することで推奨事項を拡張した。さらに、(ガム、口中錠、パッチ、鼻噴霧または吸入器による)ニコチン置換療法の有用性が明らかにされたことに加え、現在では、治療の補助として抗うつ薬の塩酸ブプロピオン(Wellbutrin SRおよびZyban)150mg1日2回投与は効果があることを裏づける確かな証拠が存在する [11] ;しかしながら、これらの補助的薬理学的治療は未だがん患者に対しては試験されていない。患者には医師に相談するよう助言する必要がある。

喫煙者すべてが同等に禁煙したいと思っているわけではない。喫煙をやめ実際に禁煙することに関する動機づけの問題を医師が理解するのに最も有用なモデルのひとつが変化のステージモデル(Stages of Change Model)である。 [9] 喫煙のような複雑な行動を変えようと試みる人のほとんどは、無関心期から関心期、準備期へと続き、最後に実行期に至るといういくつかの予測可能な段階を経験する。医師の簡単なカウンセリングの目標のひとつに、患者がさらに禁煙に向けて動機づけられるように、これらの段階に沿って患者を誘導することがある。このほか、初回禁煙者の場合は特に、(喫煙再開を留まらせる)よりよい行動的技能を修得するまでは、喫煙を再開し、再びこれらの段階を始めるという循環を1回以上繰り返すことが一般的である。

再開の誘因として最もよくみられるのは、ストレスを引き起こす事態および喫煙に対する社会的誘因である。1件の研究では、頭頸部がん患者にみられる再開のパターンは、一般集団の禁煙者の再開パターンと差がないということを明らかにした。 [12] [証拠レベル:II]喫煙者に対しては、非喫煙者としての新しい自己を開発していく過程の一部として、このような(ストレスおよび喫煙に対する社会的誘引という)事態を予想し、これに対処する方策を見出せるように励ますべきである。禁煙への動機づけのある喫煙者の場合でも、このような変化を達成するのに1年以上かかることがある。変化のステージモデル(Stages of Change Model)は、十分に記載、要約されており [9] 、後出の質問、助言、支援、段取り(ASK, ADVISE, ASSIST ARRANGE)の重要な要素質問、助言、支援、段取り(ASK, ADVISE, ASSIST ARRANGE)の重要な要素一覧表の一部に概要を示した。このほか、喫煙歴(例えば、喫煙量、過去の禁煙努力)などの重要な情報は、待合室で患者に簡単な自己評価用紙一式を記入してもらうことにより効率的に収集することができる。ニコチン依存度は、ファーガストロームのニコチン依存度テスト(FTND)を使用することにより評価可能で、行動の傾向(例えば、ストレスを受けると喫煙する傾向)は、オンラインのClearing the Air(禁煙ガイド:空気をきれいに)を用いて評価可能である。患者と禁煙について話をするときには、疾病予防管理センターから入手可能なファクトシートを利用することができる。

精神障害およびアルコール乱用は、その集団にかかわらず、禁煙治療を複雑にする因子となることがある。精神障害またはアルコール障害がある患者では、喫煙率が著しく高く [13] [14] 、治療への反応は不良である。 [15] [16]

MD Anderson Cancer Center Tobacco Treatment Programで患者(N = 1,425)を3年にわたって観察した包括的縦断研究 [3] では、大うつ病(n = 194)、不安障害(n = 53)、アルコール乱用(n = 92)、またはこれらの障害の複合(n = 255)がみられる個人が特定され、残り(n = 831)は精神障害ではないと診断された。グループ全体で、1日当たり平均1箱を1人が喫煙していた。患者は個人別に計画された行動療法を受けたが、これは一般に、直接面談による初期評価、および3~4ヵ月で平均8回の直接面談または電話のいずれかによる治療セッションと6ヵ月時点での追跡調査から構成されていた。参加者の88%が治療の一環として禁煙関連薬物療法を受けた;約15%は禁煙プログラムの依存症精神科医による診察も受けた。

精神障害ではないと診断された人の禁煙率は、禁煙プログラム終了時点で44%、6ヵ月時点で45.1%であった。6ヵ月時点での臨床集団の禁煙率はさまざまで、以下のようになった: [3]


  • 不安、うつ病、およびアルコール乱用が複合した患者では30.2%。

  • アルコール乱用のみの患者では33.7%。

  • 大うつ病の患者では37.6%。

  • 不安障害のみの患者では45.3%。

診断にかかわりなく、禁煙持続の最も優れた予測因子は、FTNDであった(全体での平均スコア、4.9[標準偏差、2.2];集団の範囲、4.7[診断なし]~5.4[大うつ病])。全体的結論では、MD Andersonで提供された禁煙プログラムのような喫煙するがん患者に対する集中包括的プログラムにおいて、不安障害がある患者は、どのような障害の診断も受けなかった患者と同様に禁煙状態が良好な傾向があるが、大うつ病またはアルコール乱用の患者は、特にFTNDスコアが高いほど、禁煙状態が不良となる可能性がある。

このほか、特定の集団に合わせた介入も重要であるが、特にがん患者での介入は検討されていない。アフリカ系米国人集団を対象にデザインした自助介入マテリアルの効果に関する研究では、介入後12ヵ月の時点で対象集団専用にデザインしたマテリアルを受け取った群にみられた禁煙率(25%)は、標準のマテリアルを受け取った群(15.4%)より高かったことが示された。 [17] [証拠レベル:I]

諸研究者は、肺がん発症高リスクという点を除けば健常な喫煙者における遺伝的バイオマーカーのフィードバック(肺がん発症リスクを2~4倍増大させるCYP2D6遺伝子異常の存在)を使用することにより、肺がん発症のハイリスク患者に特異的な介入アプローチの検討を始めた。通常のカウンセリングアプローチに加えがんの遺伝的リスクに関する情報により、初期禁煙率は有意に増大したが、この効果は持続しなかった;このようなアプローチは、さらに包括的な介入にプラスするには有用な動機づけの要素であるが、これだけでは十分ではない可能性がある。 [18] [証拠レベル:I]

質問、助言、支援、段取りの重要な要素
  1. 質問/評価:
    • 最低限の評価:来院時ごとまたは入院時に喫煙状態についてスクリーニングを実施する。

    • 詳しい評価:喫煙歴および喫煙傾向の特徴を評価する。
        喫煙量。
        禁煙歴。
        変化のステージ:
        • 無関心期:禁煙を真剣に考えていない。

        • 関心期:3~6ヵ月以内に禁煙することを真剣に考えている。

        • 準備期:次週から次月の間に禁煙することを真剣に考えており、すでに喫煙本数を減らすなどの行動変化を起こしている。

        • 実行期:最近(6ヵ月以内に)禁煙した。

        • 再開:少なくとも48時間は禁煙したが、再び喫煙している。

        • 維持期:少なくとも6ヵ月間は禁煙したが、1年までは依然として再開しかねない。



    • ニコチン依存:ファーガストロームのニコチン依存度テスト。

    • 行動の傾向:オンラインのClearing the Air(禁煙ガイド:空気をきれいに)。

  2. 助言:
    • 最低限の助言:「担当医として助言しますが、喫煙は健康によくないので禁煙することをお勧めします。」

    • 強い助言:「現在(  )の状態ですから、禁煙することを強く勧めます。今禁煙すれば、(禁煙することにより得られる基本的な健康上のメリットについて簡単に教示する)。」

  3. 支援/カウンセリング:
    • 最低限の支援:自助マテリアルを提供する; 禁煙に対する関心度を評価し、薬理学的補助に対する関心度およびその使用についての妥当性を評価する。

    • 強力な支援:5~7分間の簡単な患者中心のカウンセリングを行う。カウンセリング内容の概要については後出の一覧表を参照のこと。

  4. 追跡支援の段取り:
    • 最低限の追跡支援:約2週間後に行う訪問または電話による追跡接触の手配を行う;喫煙カウンセラーまたはグループに紹介する。

    • 長期にわたる追跡支援:禁煙開始日を設定した「禁煙」契約を結ぶ。訪問または電話による、追跡のための3回以上の接触を取り決める。

患者中心のカウンセリングの重要な要素
  1. 動機づけ:
    • 基本的な質問:
        「喫煙についてどう感じていますか。」

    • 追加の質問:
        「禁煙についてどう感じますか。」
        「これまでに禁煙を試みたことがありますか。」「禁煙してみてどうでしたか。」
        「喫煙のどんな所が好きですか。」
        「喫煙のどんな所が嫌いですか。」

  2. 予期される問題:
    • 基本的な質問:
        「禁煙するとどのような問題が起きるでしょうか。」

    • 追加の質問:
        「他にはどんなことがありますか。」
        「My Quit Journal(禁煙日誌)(オンラインのClear Pathways[禁煙のための明確な道筋]で入手可能)によると、(  )であったときに喫煙欲求レベルが最高になっていました。そのような状況に対処するにはどうしたらいいと思いますか。」

  3. 問題解決能力:
    • 基本的な質問:
        「どのようにしたら対処できると思いますか。」

    • 追加の質問:
        「ほかにはどうしたらいいと思いますか。」
        「(家族/配偶者/友人)にはどのような協力を期待しますか。」


参考文献
  1. Martinez E, Tatum KL, Weber DM, et al.: Issues related to implementing a smoking cessation clinical trial for cancer patients. Cancer Causes Control 20 (1): 97-104, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Schnoll RA, Martinez E, Langer C, et al.: Predictors of smoking cessation among cancer patients enrolled in a smoking cessation program. Acta Oncol 50 (5): 678-84, 2011.[PUBMED Abstract]

  3. Blalock JA, Lam C, Minnix JA, et al.: The effect of mood, anxiety, and alcohol use disorders on smoking cessation in cancer patients. J Cogn Psychother 25 (1): 82-96, 2011.[PUBMED Abstract]

  4. Gritz ER, Carr CR, Rapkin D, et al.: Predictors of long-term smoking cessation in head and neck cancer patients. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 2 (3): 261-70, 1993 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  5. Schnoll RA, Zhang B, Rue M, et al.: Brief physician-initiated quit-smoking strategies for clinical oncology settings: a trial coordinated by the Eastern Cooperative Oncology Group. J Clin Oncol 21 (2): 355-65, 2003.[PUBMED Abstract]

  6. Sanderson Cox L, Patten CA, Ebbert JO, et al.: Tobacco use outcomes among patients with lung cancer treated for nicotine dependence. J Clin Oncol 20 (16): 3461-9, 2002.[PUBMED Abstract]

  7. Glynn TJ, Manley MW, Pechacek TF: Physician-initiated smoking cessation program: the National Cancer Institute trials. Prog Clin Biol Res 339: 11-25, 1990.[PUBMED Abstract]

  8. Ockene JK, Kristeller J, Goldberg R, et al.: Increasing the efficacy of physician-delivered smoking interventions: a randomized clinical trial. J Gen Intern Med 6 (1): 1-8, 1991 Jan-Feb.[PUBMED Abstract]

  9. Prokhorov AV, Hudmon KS, Gritz ER: Promoting smoking cessation among cancer patients: a behavioral model. Oncology (Huntingt) 11 (12): 1807-13; discussion 1813-4, 1997.[PUBMED Abstract]

  10. Fiore MC, Jaén CR, Baker TB, et al.: Treating Tobacco Use and Dependence: 2008 Update. Quick Reference Guide for Clinicians. Rockville, Md: Public Health Service, U.S. Department of Health and Human Services, 2009. Also available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  11. Cinciripini PM, McClure JB: Smoking cessation: recent developments in behavioral and pharmacologic interventions. Oncology (Huntingt) 12 (2): 249-56, 259; discussion 260, 265, 2, 1998.[PUBMED Abstract]

  12. Gritz ER, Schacherer C, Koehly L, et al.: Smoking withdrawal and relapse in head and neck cancer patients. Head Neck 21 (5): 420-7, 1999.[PUBMED Abstract]

  13. Lawrence D, Mitrou F, Zubrick SR: Smoking and mental illness: results from population surveys in Australia and the United States. BMC Public Health 9: 285, 2009.[PUBMED Abstract]

  14. Lasser K, Boyd JW, Woolhandler S, et al.: Smoking and mental illness: A population-based prevalence study. JAMA 284 (20): 2606-10, 2000 Nov 22-29.[PUBMED Abstract]

  15. Breslau N, Peterson E, Schultz L, et al.: Are smokers with alcohol disorders less likely to quit? Am J Public Health 86 (7): 985-90, 1996.[PUBMED Abstract]

  16. Pratt LA, Brody DJ: Depression and smoking in the U.S. household population aged 20 and over, 2005-2008. NCHS Data Brief (34): 1-8, 2010.[PUBMED Abstract]

  17. Orleans CT, Boyd NR, Bingler R, et al.: A self-help intervention for African American smokers: tailoring cancer information service counseling for a special population. Prev Med 27 (5 Pt 2): S61-70, 1998 Sep-Oct.[PUBMED Abstract]

  18. Audrain J, Boyd NR, Roth J, et al.: Genetic susceptibility testing in smoking-cessation treatment: one-year outcomes of a randomized trial. Addict Behav 22 (6): 741-51, 1997 Nov-Dec.[PUBMED Abstract]

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薬理学的治療

次の情報は、一般集団の禁煙における薬理学的作用薬の奏効に基づくものである。以下の作用薬のうち、禁煙を補助する目的でがん患者を対象に大規模なプラセボ対照研究により研究されたものはない。このほか、以下の作用薬を腫瘍科の対象患者に投与する場合は、用量調整および漸増が必要になることがある。(詳しい情報については、表1表1表6表6を参照のこと。)

ニコチン置換療法

ニコチン置換療法は、ニコチンの離脱症状緩和のためデザインされている。治療を開始する前に数点の注意事項を考慮する必要があるが、これは絶対禁忌ではない。


  • 妊娠しているかまたは授乳中の患者は、同製品を使用する前に医療専門家から助言を受ける必要がある。

  • 喫煙を継続しているかまたはかみタバコおよびかぎタバコをはじめとするニコチン含有製品の使用を継続している患者には、同製品を使用してはならないよう助言する必要がある。

  • 患者が18歳未満の場合、心疾患または不整脈がある場合、高血圧で薬剤によるコントロールが行なわれていない場合、食道炎または消化性潰瘍の既往歴があるかまたは現在罹患している場合、糖尿病でインスリンを使用している場合、抑うつ症または喘息で処方薬を使用している場合のいずれかに該当すれば、同製品を使用する前に医師の診察を受けるよう指示する必要がある。 [1]

表1.ニコチン吸入器

商標 一日量 副作用 コメント
Rx = 処方。
Rx Nicotrol NS 40mg以下/日 局所の刺激 使用期間3ヵ月以下。
Rx Nicotrol Inhaler 個別調整 局所の刺激 使用は24週間以下。


表2.ニコチンポラクリレックスガム

商標 一日量 副作用 コメント
OTC=一般用医薬品。
OTC Nicorette 18~24mg/日 のどの痛み、口内炎 30個以下/日;4~7日ごとに1個減らしていく。
OTC Nicorette DS 36~48mg/日 顎の痛み 20個以下/日;4~7日ごとに1個減らしていく。


表3.ニコチンロゼンジ

商標 一日量 副作用 コメント
OTC=一般用医薬品。
OTC Commit 40~80mg/日 局所の刺激(暖感および刺痛) 12週間の使用;20ロゼンジ以下/日。1~6週目:1~2時間ごとにロゼンジ1~2個;7~9週目:2~4時間ごとにロゼンジ1個;10~12週目:4~8時間ごとにロゼンジ1個。


表4.ニコチンパッチ

商標 一日量 副作用 コメント
OTC = 一般用医薬品;Rx = 処方。
Rx Habitrol 7~21mg/日 紅斑 6~12週間の使用。
OTC NicoDerm CQ 7~21mg/日 かゆみ 6~12週間の使用。
OTC Nicotrol 5~15mg/日 貼付部位の灼熱感 14~20週間の使用。
Rx ProStep 11~22mg/日 局所の刺激 6~12週間の使用。


この他の薬理学的治療

この他の薬理学的治療としては、ニコチン受容体を標的とした薬物(例、バレニクリン)および神経伝達物質を標的とした薬物(例、塩酸ブプロピオン)が挙げられ、これらはニコチンの離脱症状と欲求の病理発生に関与している。塩酸フルオキセチン(Prozac)もまた、禁煙治療の1つとして研究されている。これら3つの治療薬にはすべて枠付き警告文書が載せられている。

バレニクリン(Chantix)

バレニクリンはニコチン性アセチルコリン受容体部分アゴニストであり、これらのニコチン受容体を標的として米国食品医薬品局(FDA)により承認された最初の処方箋薬理学的薬剤(prescription pharmacologic agent)である。 [2] [証拠レベル:I]作用の特異的な機序は解明されていないが、アゴニストの性質によってドパミン放出が刺激されることで欲求と離脱症状が低下し、アンタゴニストの性質によって吸入されたニコチンのニコチン受容体への結合が阻止されると考えられている。 [3]

喫煙または無煙タバコの使用に関連した禁煙率に影響を与えるバレニクリン vs プラセボ(または他の承認された禁煙薬)の効果を評価したランダム化比較試験が少なくとも12件公表されている。 [2] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] すべての研究が比較的大規模(群当たりの患者数が129~607人)で、多くの施設および国が関与していた。すべての研究で、自己報告および一酸化炭素測定で評価された禁煙達成率においてバレニクリン群はプラセボ群より統計的に良好であり、多くの場合、他の承認された禁煙薬比較群よりも優れていた。12週目での禁煙率は、バレニクリン群で44%~49%の範囲と予想されるのに対して、プラセボ群では11%~17%の範囲と予想される;長期的な禁煙率(52週目)はバレニクリン群で14%~22%に対して、プラセボ群では4%~8%の範囲である。

ほとんどの研究はバレニクリンの0.5mgの1日1回投与を3日間および0.5mgの1日2回投与を4日間行う1週間の漸増後に1mgの1日2回投与を11週間行うことで、バレニクリン1mgの1日2回投与を評価した。しかしながら、少数の研究は0.3mgまたは0.5mgの1日1回投与、または0.5mgの1日2回投与などの異なった用量を評価し、1件の研究はすべての参加者がオープンラベルの様式で1mgの1日2回投与まで漸増した後に2~12週間の柔軟な投与スケジュールを評価した。これらのデータから、バレニクリン0.5mgの1日2回投与がプラセボより統計的有意に良好な禁煙率を達成するために必要な最低用量であると考えられる。 [9] [10]

ほとんどの研究が、健康な喫煙者、すなわち心血管疾患または精神疾患などの重大な併存疾患がない喫煙者を含んでいた。1件の研究では、慢性閉塞性肺疾患の患者を対象にバレニクリンを評価し [12] 、他の研究では心血管系疾患が安定状態の患者を重点に評価した。 [11] しかしながら、がん集団を対象にバレニクリンの使用を評価した研究はなかった。

臨床試験で3,000人を超える患者が、12~24週間にわたりバレニクリン1mgの1日2回投与を受けた。これらの12件の研究 [2] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11] [12] [13] [14] 全体での副作用プロファイルは、(発生率はさまざまであるが)きわめて一致しており、以下の副作用がみられた:


  • 吐き気(13%~52%)。

  • 不眠(10%~35%)。

  • 頭痛(8%~24%)。

  • 異常な夢(6%~22%)。

  • 消化不良(6%~13%)。

  • 便秘(7%~12%)。

  • 鼓腸(6%~12%)。

  • 疲労または傾眠(6%~10%)。

プラセボ群およびニコチン置換療法群では、心血管イベントがバレニクリン群と同程度の頻度で多く発生したが、全体的にまれであった。

心血管系疾患が安定状態の患者を対象にバレニクリンを評価した研究は1件のみであった。この研究では、24週目の時点で、7日間禁煙率がバレニクリン群で34.9%、プラセボ群で15.9%(P < 0.0001)であったことが明らかになった;52週目の時点では、これらの禁煙率がバレニクリン群で27.9%、プラセボ群で15.9%(P = 0.0001)であった。 [11] 何らかの心血管イベントと判定された割合は、バレニクリン群で7.1%、プラセボ群で5.7%で、その差は1.4%であった。 [11]

用量設定試験および添付文書は、有害事象の発生率がわずかに用量依存性であるという証拠を示している。 [10] [15] しかしながら、心血管系疾患が安定状態の患者を対象にバレニクリンを評価した研究がバレニクリン1mgの1日2回投与しか評価していないため、特に心臓の併存疾患がある患者で、心血管リスクが用量に関係しているかどうか不明である。 [11] これは調査が必要な領域である。

2011年6月、FDAは、バレニクリンが心血管疾患の患者にとって心血管有害事象のリスク増加しうると警告する処方情報ラベルを更新した。 [16] また2012年12月にFDAは、バレニクリンの薬物安全性情報について、バレニクリンまたはプラセボのいずれかの投与を受けた患者における心血管有害事象を評価した大規模メタアナリシスの結果を含めるため改訂を行った。報告された比較的高い頻度の心血管有害事象は統計的に有意ではなかったが、プラセボ投与を受けている患者よりも、バレニクリンの投与を受けている患者においてリスクが増加していた。 [17]

2件のランダム化研究(N = 2,052)に関するプール解析 [3] において、バレニクリンがブプロピオンSRおよびプラセボと直接比較された結果、9週目~12週目の禁煙継続率はバレニクリンが44%、ブプロピオンSRが29.7%、およびプラセボが17.7%であったことが示された。禁煙率は研究終了時の52週目まで追跡され、バレニクリンが22.4%、ブプロピオンSRが15.4%、およびプラセボが9.3%であった。より良好な禁煙率を予測すると以前の研究において明らかにされた因子-比較的年齢が高い、男性である、ニコチン依存レベルが低い、ベースライン時の喫煙本数が少ない、1日の最初の喫煙時間が遅いなど-は、このプール解析においてより高い禁煙率の予測因子ではないと示された。 [3]

塩酸ブプロピオン(bupropion HCl)

抗うつ薬としても使用される塩酸ブプロピオン(Zyban)は非ニコチン性禁煙補助薬である。ノルエピネフリン、セロトニンおよびドパミンのニューロン取り込みを阻害する比較的弱い阻害剤であるが、モノアミン酸化酵素は阻害しない。塩酸ブプロピオンが患者の禁煙能力 を強化する正確な機序については不明である;しかしながら、この作用はノルアドレナリン作用性機序またはドパミン作用性機序により媒介されると推定されている。 [18] 1件の研究 [19] [証拠レベル:I]では、(成功したパッチ療法の終了後の)喫煙再開防止プログラムの一部として、またはニコチンパッチ療法後も喫煙を続ける患者の第二段階の治療としてニコチンパッチを使用する患者をプラセボと比較すると、喫煙再開の減少において塩酸ブプロピオンの追加的な価値を見出せなかった。

表5.バレニクリンおよび塩酸ブプロピオン

商標 一日量 副作用 注意事項/予防措置
HCl = 塩酸;Rx = 処方;SR = 徐放性。
a臨床家はバレニクリンおよび塩酸ブプロピオン(bupropion HCl)を受けているすべての患者を綿密にモニタリングする必要がある。これらの薬物療法に関する市販前の禁煙研究では重大な精神疾患(例、統合失調症、双極性障害、および大うつ病性障害)を有する患者は除外されたため、これらの患者に対するこうした薬物療法の安全性は研究されていないことが示唆されている。 [15] [20] そのため、禁煙のためにバレニクリンおよび塩酸ブプロピオンを受けており、先在する精神疾患を有する患者を、禁煙中は特別にモニタリングする必要がある。
Rx Chantix(バレニクリン) 0.5mg/日、1~3日目;0.5mgを1日2回、4~7日目;その後1.0mgを1日2回12週目まで 吐き気、不眠症 腎機能障害を有する患者では毒性のリスクがより高い。
小児および妊婦での検証はなされていない。
Rx Zyban(塩酸ブプロピオン 150mg/日×3日、その後300mg/日×7~12週まで増量 不眠症、口渇、めまい感、鼻炎 WellbutrinまたはWellbutrin SRと併用しない。
過食症または食欲不振の治療を実施している患者においては痙攣発生率が高い。


バレニクリンおよびブプロピオンによる神経精神医学的イベントのリスク

バレニクリンおよび塩酸ブプロピオンは、うつ病および自殺行動を含むその他の神経精神医学的イベントのリスク増加と関連している可能性があるという懸念がある。 [15] [21] この懸念は市販後調査の報告および事後解析に基づいている。 [15] [21] これらの薬理療法を受けている患者では自殺未遂および自殺既遂が報告されている。 [20] こうした神経精神医学的イベントは先在する精神疾患を有する患者にも有さない患者にも報告されている。

2009年7月、FDAは市販後調査における有害事象の報告を継続して見直した結果、バレニクリンおよび塩酸ブプロピオンの両方の製造会社に対して製品のラベルに枠付き警告文書を追記するように義務づけた。 [20] この警告文書は、市販後調査の報告から以下のような神経精神医学的イベントのリスクについて記述している: [15] [20]


  • 気分の変化(うつ病および躁病を含む)。

  • 精神病。

  • 幻覚。

  • パラノイア。

  • 妄想。

  • 殺人念慮。

  • 敵意。

  • 激越。

  • 不安。

  • パニック。

  • 自殺念慮、自殺未遂、自殺既遂。

警告文書は禁煙に関係したニコチン離脱症状がこれらの神経精神医学的イベントの一因となっている可能性を認めている。警告文書はまた薬物の暴露とこれらのイベントとの因果関係を確証的に確立することは不可能であることも認めており、これらの薬物療法のリスクは禁煙によって得られるであろう健康上の有益性と比較検討すべきであると述べている。

塩酸フルオキセチン

塩酸ブプロピオン(Zyban)は禁煙のために使用することができる唯一のFDA承認抗うつ薬であるが、塩酸フルオキセチン(fluoxetine HCl)(Prozac)が研究され、うつ病の既往がある個人において有効であることが示されている。この試験には、投与時にうつ病である個人は含まれなかった。 [18] [証拠レベル:I]しかしながら、塩酸フルオキセチン(fluoxetine HCl)にも25歳未満の成人における自殺傾向のリスク増加について記述した枠付き警告文書が記載されている。 [22] (詳しい情報については、小児の支持療法に関するPDQ要約のうつ病および自殺のセクションを参照のこと。)

表6.塩酸フルオキセチン

商標 一日量 副作用 コメント
HCl = 塩酸;Rx = 処方。
Rx Prozac 30~60mg/日 不眠症、めまい感、食欲不振、性的不能、錯乱 認知的行動療法との併用に関しては、入手可能なデータは限られている。


ロベリン(Bantron)

ロベリン(Bantron)はFDAによってカテゴリーIII作用薬に分類され、安全であるが、その有効性は明らかにされていない。本製品は効力の不足のため、いかなる禁煙プログラムにおける使用にも推奨されない。 [23]


参考文献
  1. Fincham JE: Smoking cessation products. In: Covington TR, Berardi RR, Young LL, et al., eds.: Handbook of Nonprescription Drugs. 11th ed. Washington, DC: American Pharmaceutical Association, 1996, pp 715-723.[PUBMED Abstract]

  2. Tonstad S, Tønnesen P, Hajek P, et al.: Effect of maintenance therapy with varenicline on smoking cessation: a randomized controlled trial. JAMA 296 (1): 64-71, 2006.[PUBMED Abstract]

  3. Nides M, Glover ED, Reus VI, et al.: Varenicline versus bupropion SR or placebo for smoking cessation: a pooled analysis. Am J Health Behav 32 (6): 664-75, 2008 Nov-Dec.[PUBMED Abstract]

  4. Aubin HJ, Bobak A, Britton JR, et al.: Varenicline versus transdermal nicotine patch for smoking cessation: results from a randomised open-label trial. Thorax 63 (8): 717-24, 2008.[PUBMED Abstract]

  5. Fagerström K, Gilljam H, Metcalfe M, et al.: Stopping smokeless tobacco with varenicline: randomised double blind placebo controlled trial. BMJ 341: c6549, 2010.[PUBMED Abstract]

  6. Gonzales D, Rennard SI, Nides M, et al.: Varenicline, an alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, vs sustained-release bupropion and placebo for smoking cessation: a randomized controlled trial. JAMA 296 (1): 47-55, 2006.[PUBMED Abstract]

  7. Nakamura M, Oshima A, Fujimoto Y, et al.: Efficacy and tolerability of varenicline, an alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, in a 12-week, randomized, placebo-controlled, dose-response study with 40-week follow-up for smoking cessation in Japanese smokers. Clin Ther 29 (6): 1040-56, 2007.[PUBMED Abstract]

  8. Niaura R, Hays JT, Jorenby DE, et al.: The efficacy and safety of varenicline for smoking cessation using a flexible dosing strategy in adult smokers: a randomized controlled trial. Curr Med Res Opin 24 (7): 1931-41, 2008.[PUBMED Abstract]

  9. Nides M, Oncken C, Gonzales D, et al.: Smoking cessation with varenicline, a selective alpha4beta2 nicotinic receptor partial agonist: results from a 7-week, randomized, placebo- and bupropion-controlled trial with 1-year follow-up. Arch Intern Med 166 (15): 1561-8, 2006 Aug 14-28.[PUBMED Abstract]

  10. Oncken C, Gonzales D, Nides M, et al.: Efficacy and safety of the novel selective nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, varenicline, for smoking cessation. Arch Intern Med 166 (15): 1571-7, 2006 Aug 14-28.[PUBMED Abstract]

  11. Rigotti NA, Pipe AL, Benowitz NL, et al.: Efficacy and safety of varenicline for smoking cessation in patients with cardiovascular disease: a randomized trial. Circulation 121 (2): 221-9, 2010.[PUBMED Abstract]

  12. Tashkin DP, Rennard S, Hays JT, et al.: Effects of varenicline on smoking cessation in patients with mild to moderate COPD: a randomized controlled trial. Chest 139 (3): 591-9, 2011.[PUBMED Abstract]

  13. Tsai ST, Cho HJ, Cheng HS, et al.: A randomized, placebo-controlled trial of varenicline, a selective alpha4beta2 nicotinic acetylcholine receptor partial agonist, as a new therapy for smoking cessation in Asian smokers. Clin Ther 29 (6): 1027-39, 2007.[PUBMED Abstract]

  14. Williams KE, Reeves KR, Billing CB Jr, et al.: A double-blind study evaluating the long-term safety of varenicline for smoking cessation. Curr Med Res Opin 23 (4): 793-801, 2007.[PUBMED Abstract]

  15. CHANTIX (varenicline) Tablets. New York, NY: Pfizer Inc., 2013. Available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  16. U.S. Food and Drug Administration: FDA Drug Safety Communication: Chantix (varenicline) may increase the risk of certain cardiovascular adverse events in patients with cardiovascular disease. Silver Spring, Md: U.S. Food and Drug Administration, 2011. Available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  17. U.S. Food and Drug Administration: FDA Drug Safety Communication: Safety review update of Chantix (varenicline) and risk of cardiovascular adverse events. Rockville, Md: U.S. Food and Drug Administration, 2012. Available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  18. Hitsman B, Pingitore R, Spring B, et al.: Antidepressant pharmacotherapy helps some cigarette smokers more than others. J Consult Clin Psychol 67 (4): 547-54, 1999.[PUBMED Abstract]

  19. Hurt RD, Krook JE, Croghan IT, et al.: Nicotine patch therapy based on smoking rate followed by bupropion for prevention of relapse to smoking. J Clin Oncol 21 (5): 914-20, 2003.[PUBMED Abstract]

  20. U.S. Food and Drug Administration: Information for Healthcare Professionals: Varenicline (Marketed as Chantix) and Bupropion (Marketed as Zyban, Wellbutrin, and Generics). Rockville, Md: U.S. Food and Drug Administration, 2009. Available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  21. Hughes JR: Smoking and suicide: a brief overview. Drug Alcohol Depend 98 (3): 169-78, 2008.[PUBMED Abstract]

  22. U.S. Food and Drug Administration: Antidepressant Use in Children, Adolescents, and Adults. Rockville, Md: Food and Drug Administration, Center for Drug Evaluation and Research, 2007. Available online. Last accessed June 12, 2014.[PUBMED Abstract]

  23. Drug Facts and Comparisons. St. Louis, Mo: Facts and Comparisons, 1998.[PUBMED Abstract]

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要点


  • 喫煙を継続することにより、生存者のうち特に放射線療法を実施した症例にがんの再発または二次がんの発生の可能性が大幅に増大する。

  • 喫煙関連がんに罹患した患者のほとんどは、診断時には禁煙に積極的であると思われる。

  • 診断後最初の1ヵ月間は、全患者に対して接触するたびに禁煙に関し強く助言し、短時間のカウンセリングを行い、基本的情報を提供することによる段階的禁煙治療のアプローチを実施することが推奨されるが、その後、禁煙することまたは禁煙を継続することが困難な患者にはさらに強力な治療(喫煙専門医による薬理学的治療およびカウンセリング)を実施することが推奨される。

  • 患者は特異的な禁煙戦略に注意深く適合させることができる。カウンセリングまたは心理学的介入の補助で禁煙できる喫煙者もいれば、ニコチン置換療法が必要となる者もいる。禁煙を成功させるために薬物療法が必要となる喫煙者もいる。禁煙によって得られる大きな健康上の有益性を考慮して、これらの患者には注意深いモニタリングを行いながら薬物療法を使用できる。

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本要約の変更点(06/20/2014)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

がん患者にみられる治療反応性の低下がん患者にみられる治療反応性の低下

本文本文に以下の記述が追加された;諸研究から、喫煙を継続する頭頸部がん患者では周術期および長期合併症率がかなり高いことが示されている(引用、参考文献6としてWein)。

二次悪性疾患の危険因子としての喫煙二次悪性疾患の危険因子としての喫煙

参考文献1および2参考文献1および2として、それぞれGritz et al.およびParsons et al.が追加された。

本文本文に以下の記述が追加された;原発がん患者において実施された諸研究でも、禁煙の結果として二次悪性疾患のリスク低下および生存の改善が示されている(引用、参考文献13および14として、それぞれChen et al.およびGeyer et al.)。

禁煙と禁煙継続に与えるがん診断の影響禁煙と禁煙継続に与えるがん診断の影響

本文本文に以下の記述が追加された;がん患者における喫煙継続の有害な影響について強力な証拠があるにもかかわらず、こうした患者集団、特にメンタルヘルスの問題と物質乱用障害が併存する患者において禁煙は困難な問題となっている(引用、参考文献1、2、および3として、それぞれNayan et al.、Schnoll et al.、およびBlalock et al.)。

参考文献9参考文献9として、Duffy et al.が追加された。

がん患者に対する喫煙介入がん患者に対する喫煙介入

本文本文に以下の記述が追加された;他の研究でも、うつ病とアルコール使用障害を有する患者では禁煙率が低いことが示唆されている(引用、参考文献2としてSchnoll et al.)。

薬理学的治療薬理学的治療

本セクションは広範囲にわたって改訂された。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約について本PDQ要約についておよびPDQ NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本要約についての質問とコメント

本要約に関する質問またはコメントは、ウェブサイトのお問い合わせフォームからCancer.govまで送信のこと。英語で書かれたeメールにのみ答えられる。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、がん患者における喫煙を継続する場合のリスクおよびこれらの患者における禁煙の傾向と禁煙のための介入について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約への変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

がん医療における喫煙に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、ウェブサイトのContact FormからCancer.gov まで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約として特定することはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    National Cancer Institute: PDQ® Smoking in Cancer Care.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Date last modified <MM/DD/YYYY>.Available at: http://cancer.gov/cancertopics/pdq/supportivecare/smokingcessation/HealthProfessional.Accessed <MM/DD/YYYY>.

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

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    これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのCoping with Cancer: Financial, Insurance, and Legal Informationページで入手できる。

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