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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

乳がんのスクリーニング(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-12-01
    翻訳更新日 : 2017-02-22

Breast Cancer (PDQ®): Screening PDQ Screening and Prevention Editorial Board

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、乳がんのスクリーニングについて、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

乳がん 疾患のスクリーニング

概要

注:乳がんの予防乳がんの治療男性の乳がんの治療、および乳がんの治療と妊娠については、別のPDQ要約を参照できるようにしてある。

本要約は乳がんのスクリーニングの話題を扱っており、乳がんの発生率と死亡率や乳がんの危険因子、乳がんの診断過程のほか、乳がんのさまざまなスクリーニング方法の有益性と有害性に関する情報を含んでいる。本要約にはまた、特殊集団におけるスクリーニングに関する情報が掲載されている。

マンモグラフィは最も広く用いられているスクリーニング方法であり、固い証拠によると、40~74歳の女性について有益性が示されている。乳房視触診および乳房自己検査もまた評価されているが、有益性は明らかになっていない。超音波、磁気共鳴画像法、トモシンセシス、分子乳房画像法などの技術は通常、マンモグラフィの補助として評価されている。

マンモグラフィによるスクリーニング

有益性

固い証拠によると、スクリーニングマンモグラフィは以下の有益性をもたらしうる:


  • 乳がん死亡率の低下


      影響の大きさ

      :複数のランダム化比較試験(RCT)において、40~74歳の女性にマンモグラフィによるスクリーニングを実施すると、乳がん死亡率は相対的に15~20%低下した。 [1] 年1回のスクリーニングを10年間受けた女性における死亡率の絶対的有益性は全体で約1%であり、範囲は40歳でスクリーニングを開始する女性の10,000人当たり4人から50歳で開始する女性の10,000人当たり50人までである。 [2] 乳がんスクリーニングのRCTであるCanadian National Breast Screening Study(CNBSS) [3] の25年に及ぶ追跡によると、現在ではマンモグラフィの有益性の大きさについて、いくぶん不確実性がある。

      研究デザイン

      :RCT、集団ベースの証拠。

      内部妥当性

      :ばらつきがあるものの、RCTのメタアナリシスは良好。

      一貫性

      :普通。

      外部妥当性

      :良好。

有害性

固い証拠によると、スクリーニングマンモグラフィは以下の悪影響をもたらすことがある。


  • 規模の小さながんの過剰診断と結果としての治療

    :ある女性の生涯で診断されていなければ決して症状または死亡の原因となっていなかったであろうがんの診断は、その女性を即時に治療(手術による変形や放射線療法、ホルモン療法または化学療法による毒性作用)、晩期続発症(リンパ浮腫)、および治療的放射線の晩期障害(新たながん、瘢痕、または心毒性)のリスクにさらす可能性がある。推奨される治療の具体的な計画は、一般的に個別の腫瘍の特徴に合わせて調整されるが、現在のところ、ある患者において決して進行しないがんを確実に区別する方法は存在しない;したがって、ほとんどの場合、何らかの治療が推奨される。

      影響の大きさ

      :患者の年齢、平均余命、腫瘍のタイプ(非浸潤性[in situ]乳管がんおよび/または浸潤がん)で異なる。 [4] [5] スクリーニングマンモグラムにより検出された全乳がんの最大54%が過剰診断の結果であると推定される。 [6] スクリーニングに関するRCTを長期間追跡することまたは大規模スクリーニングプログラムにおける過剰な発生率を計算することで、過剰診断が最適に推定される。各アプローチには不確実性が存在するが、長期のCNBSSおよび米国 [7] およびスカンジナビア [8] [9] の運営が優れた過剰な発生率の研究を追跡することで、スクリーニングで発見された乳がんの少なくとも20%が過剰診断であることが明らかにされた。

      研究デザイン

      :集団ベースの記述的比較研究、剖検シリーズ、および乳房縮小の標本シリーズ。

  • 偽陽性による追加検査と不安。


      影響の大きさ

      :各スクリーニング検査を受けた女性のうち、平均して10%が追加検査のために呼び戻されるが、呼び戻された女性100人のうち、がんを有するのはわずか5人であろう。 [10] 米国で年1回のスクリーニングを10年間受けた女性の約50%が偽陽性を経験し、そのうち7~17%が生検を受けることになる。 [11] [12] 以前のマンモグラムが比較用に利用できる場合は、追加の検査が実施される可能性は低い。

      研究デザイン

      :記述的集団ベース。

  • 偽陰性による誤った安心感とがん診断の遅延の可能性。


      影響の大きさ

      :浸潤がんを有する女性の6~46%は、特に若い場合や乳房が濃く映る場合(dense breast) [13] [14] 、あるいは粘液性がん、小葉がん、または増殖の早いがんを有する場合 [15] には、マンモグラフィ陰性所見となる。

      研究デザイン

      :記述的集団ベース。

  • 放射線誘発乳がん

    :放射線療法による突然変異は、特に30歳までにホジキンリンパ腫に対するマントル放射線療法などの高線量の放射線に曝露された場合に乳がんの原因となる。標準的な2方向マンモグラフィによる乳房への照射線量は約4mSvであり、がんの原因になる可能性はきわめて低い。1Svはマンモグラフィ200回に相当する。潜伏期は8年以上で、リスクの増大は生涯にわたる。 [16] [17]

      影響の大きさ

      :理論的に40~80歳の女性における年1回のマンモグラムは、女性1,000人当たり最大1件の割合で乳がんを発生させる可能性がある。 [16] [17]

      研究デザイン

      :記述的集団ベース。

スクリーニングマンモグラフィのこうした潜在的有害性のいずれについても、内部妥当性、一貫性および外部妥当性は良好である。

乳房視触診

有益性

乳房視触診(CBE)は独立して検証されていない;カナダの1件の試験では、CBEがマンモグラフィとともに用いられ、別の試験ではマンモグラフィと比較する対照法として用いられた。したがって、CBEを通常のケア(スクリーニングを行わない)との比較に単独で用いる場合には、スクリーニング方法としてのCBEの効力を評価することはできない。


    影響の大きさ

    :現在の証拠はCBEの追加の有益性および有害性を評価するには不十分である。質の高いCBEとスクリーニングマンモグラフィを比較した単一のRCTでは、どちらの方法でも有益性は同等であることが示された。地域医療での正確度はRCTよりも低いであろう。

    研究デザイン

    :単一のRCT、集団コホート研究。

    内部妥当性

    :良好。

    一貫性および外部妥当性

    :不良。

有害性

CBEによるスクリーニングは以下の悪影響をもたらすことがある:


  • 偽陽性による追加検査と不安。


      影響の大きさ

      :50~59歳の女性における特異度は88~99%で、偽陽性率は1~12%であった。 [18]

      研究デザイン

      :記述的集団ベース。

      内部妥当性、一貫性および外部妥当性

      :良好。

  • 偽陰性による誤った安心感とがん診断の遅延の可能性。


      影響の大きさ

      :がん患者女性の17~43%はCBE陰性であった。熟練した医師による検査時間が長くなるほど、また検査の質が高くなるほど、感度は高くなる。

      研究デザイン

      :記述的集団ベース。

      内部妥当性および外部妥当性

      :良好。

      一貫性

      :普通。

乳房自己検査

有益性

乳房自己検査(BSE)は(スクリーニングを行わない)通常のケアと比較されているが、乳がん死亡率の低下は示されていない。


    影響の大きさ

    :影響なし。 [19] [20]

    研究デザイン

    :2件のRCT。

    内部妥当性および一貫性

    :普通。

    外部妥当性

    :不良。

有害性

固い証拠によると、BSEを実施するために正式に指導および奨励することは、より多くの胸部生検の実施につながるとともに、良性の乳房病変の診断が増加する。


    健康上のアウトカムに対する影響の大きさ

    :研究集団における生検実施率は1.8%、対する対照群は1.0%であった。 [19]

    研究デザイン

    :2件のRCT、コホート研究。

    内部妥当性

    :良好。

    一貫性

    :普通。

    外部妥当性

    :不良。

参考文献
  1. Nelson HD, Tyne K, Naik A, et al.: Screening for breast cancer: an update for the U.S. Preventive Services Task Force. Ann Intern Med 151 (10): 727-37, W237-42, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Moss SM, Cuckle H, Evans A, et al.: Effect of mammographic screening from age 40 years on breast cancer mortality at 10 years' follow-up: a randomised controlled trial. Lancet 368 (9552): 2053-60, 2006.[PUBMED Abstract]

  3. Miller AB, Wall C, Baines CJ, et al.: Twenty five year follow-up for breast cancer incidence and mortality of the Canadian National Breast Screening Study: randomised screening trial. BMJ 348: g366, 2014.[PUBMED Abstract]

  4. Yen MF, Tabár L, Vitak B, et al.: Quantifying the potential problem of overdiagnosis of ductal carcinoma in situ in breast cancer screening. Eur J Cancer 39 (12): 1746-54, 2003.[PUBMED Abstract]

  5. Welch HG, Black WC: Overdiagnosis in cancer. J Natl Cancer Inst 102 (9): 605-13, 2010.[PUBMED Abstract]

  6. Zahl PH, Strand BH, Maehlen J: Incidence of breast cancer in Norway and Sweden during introduction of nationwide screening: prospective cohort study. BMJ 328 (7445): 921-4, 2004.[PUBMED Abstract]

  7. Bleyer A, Welch HG: Effect of three decades of screening mammography on breast-cancer incidence. N Engl J Med 367 (21): 1998-2005, 2012.[PUBMED Abstract]

  8. Kalager M, Zelen M, Langmark F, et al.: Effect of screening mammography on breast-cancer mortality in Norway. N Engl J Med 363 (13): 1203-10, 2010.[PUBMED Abstract]

  9. Jørgensen KJ, Gøtzsche PC: Overdiagnosis in publicly organised mammography screening programmes: systematic review of incidence trends. BMJ 339: b2587, 2009.[PUBMED Abstract]

  10. Rosenberg RD, Yankaskas BC, Abraham LA, et al.: Performance benchmarks for screening mammography. Radiology 241 (1): 55-66, 2006.[PUBMED Abstract]

  11. Elmore JG, Barton MB, Moceri VM, et al.: Ten-year risk of false positive screening mammograms and clinical breast examinations. N Engl J Med 338 (16): 1089-96, 1998.[PUBMED Abstract]

  12. Hubbard RA, Kerlikowske K, Flowers CI, et al.: Cumulative probability of false-positive recall or biopsy recommendation after 10 years of screening mammography: a cohort study. Ann Intern Med 155 (8): 481-92, 2011.[PUBMED Abstract]

  13. Rosenberg RD, Hunt WC, Williamson MR, et al.: Effects of age, breast density, ethnicity, and estrogen replacement therapy on screening mammographic sensitivity and cancer stage at diagnosis: review of 183,134 screening mammograms in Albuquerque, New Mexico. Radiology 209 (2): 511-8, 1998.[PUBMED Abstract]

  14. Kerlikowske K, Grady D, Barclay J, et al.: Likelihood ratios for modern screening mammography. Risk of breast cancer based on age and mammographic interpretation. JAMA 276 (1): 39-43, 1996.[PUBMED Abstract]

  15. Porter PL, El-Bastawissi AY, Mandelson MT, et al.: Breast tumor characteristics as predictors of mammographic detection: comparison of interval- and screen-detected cancers. J Natl Cancer Inst 91 (23): 2020-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  16. Ronckers CM, Erdmann CA, Land CE: Radiation and breast cancer: a review of current evidence. Breast Cancer Res 7 (1): 21-32, 2005.[PUBMED Abstract]

  17. Goss PE, Sierra S: Current perspectives on radiation-induced breast cancer. J Clin Oncol 16 (1): 338-47, 1998.[PUBMED Abstract]

  18. Fenton JJ, Rolnick SJ, Harris EL, et al.: Specificity of clinical breast examination in community practice. J Gen Intern Med 22 (3): 332-7, 2007.[PUBMED Abstract]

  19. Thomas DB, Gao DL, Ray RM, et al.: Randomized trial of breast self-examination in Shanghai: final results. J Natl Cancer Inst 94 (19): 1445-57, 2002.[PUBMED Abstract]

  20. Semiglazov VF, Manikhas AG, Moiseenko VM, et al.: [Results of a prospective randomized investigation [Russia (St.Petersburg)/WHO]to evaluate the significance of self-examination for the early detection of breast cancer]. Vopr Onkol 49 (4): 434-41, 2003.[PUBMED Abstract]

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証拠の記述

背景

乳がんの発生率および死亡率

乳がんは、米国の女性において最も一般的な非皮膚性のがんであり、2016年には新たに非浸潤(in situ)がん 61,000例、浸潤がん 246,660例が罹患して、40,450例が死亡すると推定されている。 [1] したがって、乳がんを診断された女性がこのがんで死亡するのは、6人中1人未満である。比較として、2016年に肺がんで死亡する米国人女性は約72,160人と推定されている。 [1] 男性は乳がん例および乳がん死の1%を占める(詳しい情報については、本要約の特殊集団のセクションを参照のこと)。

ある集団ではスクリーニングが広く採用されており乳がん発生率が増加し、発見されるがんの特徴が変化しており、低リスクがん、前がん病変、および非浸潤性(in situ)乳管がん(DCIS)の発生率が増加している。(詳しい情報については、本要約の乳がん診断と病理学のセクションの非浸潤性乳管がんのサブセクションを参照のこと。)米国 [2] および英国 [3] の複数の地域相関研究で、1970年代以降DCISおよび浸潤性乳がんの発生率増加が示されているが、これは閉経後ホルモン療法とスクリーニングマンモグラフィの両方が広く採用されているためである。過去10年間、女性たちは閉経後ホルモン療法の使用を控えており、乳がん発生率は低下しているが、スクリーニングマンモグラフィが広く用いられるようになる以前のレベルにまでは低下していない。 [4]

スクリーニングによりがんが臨床症状を引き起こす前に同定されるようになり、これを受けてスクリーニング期間の後、母集団での年間発生率または高齢女性における発生率のいずれかにおいて、がん発生率の代償的低下が引き続いてみられると期待している人もいる。しかしながら、これまでのところスクリーニング採用後に発生率における代償的低下はみられず、スクリーニングによって過剰診断-つまり臨床的に規模の小さながんの同定につながることが示唆されている(詳しい情報については、本要約のスクリーニングの有害性のセクションの過剰診断のサブセクションを参照のこと)。

乳がんの発生および死亡リスクはまた、地理、文化、人種、民族、および社会経済的状態に応じて変化する(詳しい情報については、本要約の特殊集団のセクションを参照のこと)。

乳房症状の病理学的評価

乳房に症状を有する女性は、診断的評価を要するためスクリーニングの候補ではない。10年間で40~69歳の女性2,400人のうち16%が、健康維持機構に乳房症状の診療を求めた。 [5] 50歳未満の女性が評価を求める傾向は2倍であった。このうち、侵襲的手技を受けた27%を含めて66%が追加検査を受けた。6.2%の女性でがんが診断され、ほとんどがII期またはIII期であった。医学的関心を促す乳房症状のうち、腫瘤ががんの診断に結びつく可能性が最も高く(10.7%)、痛みは診断に結びつく可能性が最も低かった(1.8%)。

乳がんの危険因子

乳がんのリスクは、スクリーニング活動への参加のほかに多くの因子による影響を受ける。これらのリスクを理解し定量化することは、女性、彼女の医師、および公共政策の立案者にとって重要である。(乳がんのリスク増加または減少に関連する因子の完全な説明については、乳がんの予防に関するPDQ要約を参照のこと。)


参考文献
  1. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2016. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2016. Available online. Last accessed December 8, 2016.[PUBMED Abstract]

  2. Altekruse SF, Kosary CL, Krapcho M, et al.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2007. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2010. Also available online. Last accessed December 1, 2016.[PUBMED Abstract]

  3. Johnson A, Shekhdar J: Breast cancer incidence: what do the figures mean? J Eval Clin Pract 11 (1): 27-31, 2005.[PUBMED Abstract]

  4. Haas JS, Kaplan CP, Gerstenberger EP, et al.: Changes in the use of postmenopausal hormone therapy after the publication of clinical trial results. Ann Intern Med 140 (3): 184-8, 2004.[PUBMED Abstract]

  5. Barton MB, Elmore JG, Fletcher SW: Breast symptoms among women enrolled in a health maintenance organization: frequency, evaluation, and outcome. Ann Intern Med 130 (8): 651-7, 1999.[PUBMED Abstract]

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乳房組織の病理学的評価

浸潤性乳がんの病理学的診断

乳がんは、乳腺組織の固定検体の病理学的レビューにより最も頻繁に診断される。乳房組織は、症状のある部位から、または画像検査で同定された部位から得られる。触知可能の病変は、針生検や、頻度は低いが、穿刺吸引法または外科的切除により採取される;画像ガイダンスにより精度が向上する。触知不可能な病変は、定位的X線ガイド下または超音波ガイド下針生検で採取可能であり、また画像ガイダンスによる位置確認後に外科的切除を行うことも可能である。マンモグラフィにより1,042の病変が発見され針生検またはX線ガイド下に外科針目印による位置確認を受けた939人の患者に関するレトロスペクティブ研究では、がんを検出する針生検の感度は95%を上回り、特異度は約90%であった。X線ガイド下の外科針目印による位置確認に比べて、針生検は根治治療のための外科的手技が少なくて済み、初回切除時に切除断端が陰性である可能性が高い。 [1]

非浸潤性(in situ)乳管がんの病理学的診断

非浸潤性(in situ)乳管がん(DCIS)は不定の頻度で時間経過とともに浸潤がんへと進展しうる非浸潤性病変である。 [2] 著者の中にはDCISを浸潤性乳がんの統計に含める者もいるが、DCISという用語は子宮頸部および前立腺前駆病変に用いられる用語法と同様に乳管上皮内新生物と言い換えるべきであり、乳がんの統計にはDCISの症例を除外すべきであると主張する者もいる。

DCISはそのほとんどがマンモグラフィによって診断される。米国では、1983年にDCISと診断された女性はわずか4,900人であったのに対し、スクリーニングマンモグラフィが広く採用されるようになった2016年には約61,000人の女性が診断されると予想される。 [2] [3] [4] 50~59歳の女性を対象としたカナダ全国乳がんスクリーニング研究-2では、乳房視触診(CBE) + マンモグラフィを併用したスクリーニングを受けた女性のDCISの症例数が、CBEのみのスクリーニングを受けた女性の4倍であったが、乳がん死亡率には差がなかったことが判明した。 [5] (詳しい情報については、乳がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

DCISの自然史は、DCIS症例のほぼ全員が治療を受けるため、ほとんど解明されていない。1952年から1968年に実施された乳房の生検11,760例を単独でレトロスペクティブに見直したところ、28例のDCISが同定されたが [6] [7] 、これらは身体診察で発見され、切除を行わずに生検が実施され、その後30年間追跡された。9人の女性が浸潤性乳がんを発症し、4人がこの疾患で死亡した。これらの知見は興味深いものであるが、おそらくがん医療が向上している時代ではスクリーニングで発見されたDCISの女性には当てはまらない。

DCISの治療後の乳がん発生は病変の特徴に依存するが、治療法にも依存する。1件の大規模ランダム化試験では、腫瘤摘出術の単独療法を受けた女性の13.4%が90ヵ月以内に同側浸潤性乳がんを発症したのに対し、腫瘤摘出術に放射線療法を併用した女性では3.9%であった。 [8] 最も有力な証拠により、DCIS病変の大部分は浸潤がんに進展することはなく、進展した場合は移行後でも通常はうまく管理可能であると示されている。したがって、触知不可能なDCISの発見および治療は過剰診断および過剰治療となる。

1984年から1989年にDCISを診断された(そして治療を受けた)女性のうち、10年以内に乳がんにより死亡したのは1.9%であり [9] 、これは年齢をマッチさせた一般集団よりも低い死亡率であった。この良好な治療成績は、DCISの良性の性質や治療の有益性、ボランティア効果(乳がんのスクリーニングを受ける女性は一般的にスクリーニングを受けない女性よりも健康的である)を反映している可能性がある。

より少ない治療で管理可能な低リスクのDCIS症例を明らかにする試みが重要である。そのような1件の試みとして、モニタリングを受けたDCIS患者706人のシリーズが分析され、年齢、切除断端、腫瘍のサイズ、および悪性度に基づいてDCISの女性におけるDCIS再発および浸潤がんのリスクを明確にする南カリフォルニア大学/Van Nuys予後指数が開発された。 [10] 症例の3分の1に当たる低リスク群は、DCIS再発のわずか1%しか経験せず、術後放射線療法を使用しなくとも浸潤がんの発生はなかった。中等度リスク群および高リスク群では再発率がより高く、腫瘤摘出術後の放射線療法によって利益が得られた。全体として、乳がんで死亡したのは約1%であった。別の研究では、タモキシフェンによる補助療法を実施することで、浸潤性乳がん発生率の低下が示された。 [11]

異型の病理学的診断

異型の有病率は低く、乳房生検の4~10%の範囲に収まる。 [12] [13] しかしながら、乳房生検は米国だけでも年間160万件と推定されるように毎年膨大な件数が実施されているため [14] [15] 、この割合でもきわめて多くの女性が当事者となる。異型は現役の病理医の間にかなりの相違がみられる診断分類である。米国の病理医115人を対象にした1件の研究によると、専門家の合意による異型の診断と研究に参加した病理医の診断が一致したのはそのときの48%のみであった。 [16]

乳房生検標本の解釈に関する病理医の診断のばらつき

病理医による乳房組織の診断は、異型なしの良性から、異型あり、DCIS、浸潤性乳がんに至るまで幅広い。異型またはDCIS乳房病変の発生率は、過去30年間にマンモグラフィによるスクリーニングが普及した結果、上昇した。 [17] [18] 乳房病変の誤分類は乳房スクリーニング時に同定された病変の過剰治療または過小治療につながる可能性がある。いくつかの研究により、異型とDCISをはじめとする乳房組織の診断への同意をめぐって病理医が直面する課題が明らかになっている。 [16] [19] [20] [21] [22] [23]

このテーマに取り組んだ最大規模の研究であるB-Path研究では、米国の現役病理医115人に症例ごとに1つの乳房生検のスライドを解釈してもらい、その結果を専門家の合意による基準診断と比較した。 [16] 個別の病理医の解釈と専門家の基準診断との全般的な一致は浸潤がんで最も高かった一方、DCISと異型に対する一致のレベルは顕著に低かったことが示された。 [16] B-Path研究には、実地臨床で一般的にみられるよりも異型およびDCIS症例の割合が高かったため、著者らは、乳房生検を受けた50~59歳の米国人女性の観点から診断のばらつきが正確度に及ぼす影響の程度を推定するため、ベイズの定理を適用して作業を拡大した。 [19] 米国の集団レベルでは、乳房生検による診断の92.3%(信頼区間[CI]、91.4%-93.1%)が専門家の合意による基準診断で確認され、最初の乳房生検の4.6%(CI、3.9%-5.3%)が過剰解釈され、3.2%(CI、2.7%-3.6%)が過少解釈されると推定されている。図1は、100乳房生検当たりの予測される結果を全体および診断カテゴリー別に示している。

図1.100乳房生検当たりで予測される全体および診断カテゴリー別の結果。From Annals of Internal Medicine, Elmore JG, Nelson HD, Pepe MS, Longton GM, Tosteson AN, Geller B, Onega T, Carney PA, Jackson SL, Allison KH, Weaver DL, Variability in Pathologists' Interpretations of Individual Breast Biopsy Slides: A Population Perspective, Volume 164, Issue 10, Pages 649–55, Copyright © 2016 American College of Physicians.All Rights Reserved.American College of Physicians, Inc.から許諾を得て転載。

乳房組織の診断において不一致の割合が高い問題に対処するため、セカンドオピニオンを必要とする検査室の方針が一般的になりつつある。B-Path研究に参加した252人の乳房病理医を対象にした米国の調査で、回答者の65%が最初に浸潤がんと診断された全症例に対して検査室の方針ではセカンドオピニオンが必要であると報告した。また、回答者の56%がDCISの最初の診断に対して検査室の方針ではセカンドオピニオンが必要であると報告した一方、最初に異型乳管過形成が診断された症例に対してセカンドオピニオンを必要とする検査室の方針を報告した回答者は36%であった。 [24] この同じ調査で、圧倒的多数の病理医が、セカンドオピニオンにより診断精度(96%)が改善したことに同意した。

B-Path研究のデータを用いた1件のシミュレーション研究では、乳房の病理組織所見の解釈を改善すべくセカンドオピニオンを得ることに対する12の戦略が評価された。 [25] セカンドオピニオンを浸潤がん症例のみに限定した戦略を除いて、すべてのセカンドオピニオン戦略で正確度が有意に改善した。診断における病理医の信頼や経験値に関係なく、正確度が改善した。セカンドオピニオンにより正確度が改善した一方で、特に乳房異型の見分けにくい症例で診断のばらつきを完全に排除することはできなかった。


参考文献
  1. White RR, Halperin TJ, Olson JA Jr, et al.: Impact of core-needle breast biopsy on the surgical management of mammographic abnormalities. Ann Surg 233 (6): 769-77, 2001.[PUBMED Abstract]

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  3. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2016. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2016. Available online. Last accessed December 8, 2016.[PUBMED Abstract]

  4. Virnig BA, Tuttle TM, Shamliyan T, et al.: Ductal carcinoma in situ of the breast: a systematic review of incidence, treatment, and outcomes. J Natl Cancer Inst 102 (3): 170-8, 2010.[PUBMED Abstract]

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乳がんスクリーニングの概念

バイアス

膨大な数の非対照試験およびレトロスペクティブシリーズで、臨床経過の良好な小さな初期乳がんを診断するマンモグラフィの能力が実証されている。 [1] 数件の試験でもまた、スクリーニングを受けた女性の方が受けていない女性よりもがん関連生存率が良好であることが明らかにされているが、以下に示すいくつかの重要なバイアスによってこの知見を説明できる:

  1. リードタイム・バイアス:マンモグラフィによりがんが発見されてからの生存期間には、マンモグラフィによる発見時期と臨床症状により発見されたであろう時期との間の期間が含まれているが、臨床症状によりがんが発見された場合の生存期間にはこの期間は含まれない。
  2. レングス・バイアス:マンモグラフィは症状発現前のがんを発見するが、症状発現までの期間はさまざまである。症状発現までの期間が長いがんは、定義上、発見される機会が多いためスクリーニングによって発見されやすい;スクリーニングにかかわりなく、これらのがんは増殖が遅く比較的予後良好な傾向がある。
  3. 過剰診断バイアス:レングス・バイアスの極端な形;スクリーニングは、きわめて増殖が遅く、女性の生涯で臨床的に決して顕在化しないであろうがんを発見することがある。
  4. 健康ボランティア・バイアス:スクリーニングを受ける集団は一般集団の中でも特に健康であるか、または健康意識が最も高い女性であろう。

これらのバイアスの程度は特定の研究で決して明らかにはならないため、スクリーニングの有益性を評価するには、ほとんどのグループがランダム化比較試験に頼っている。(詳しい情報については、がんスクリーニングの概要に関するPDQ要約を参照のこと。)

性能と正確度の評価

米国におけるスクリーニングマンモグラフィの性能の基準は、Breast Cancer Surveillance Consortium(BCSC)のウェブサイトに記述されている。

感度

マンモグラフィの感度とは、ある集団で乳がんが存在する場合に乳がんが検出される割合をいう。感度は、腫瘍のサイズ、目立ちやすさ、ホルモン感受性、乳腺組織の陰影濃度、患者の年齢、月経周期の時期、画像全体の質、放射線科医の読影力に左右される。全体的な感度は約79%であるが、年齢の低い女性および乳房が濃く映る(dense breast)女性では低くなる(BCSCウェブサイトを参照のこと)。 [2] [3] [4] 乳がん診断の遅れは医療過誤訴訟の最も一般的な原因であり、原告に賠償することになった事例の半数は、「偽陰性」マンモグラムに関するものであった。 [5]

特異度および偽陽性率

マンモグラフィの特異度とはがんがない場合に検査結果が正常となる尤度であるが、一方、偽陽性率とはがんがない場合に検査結果が異常となる尤度である。特異度が低いと偽陽性が多くなり、不必要な追加検査および追加措置を実施することになる。(詳しい情報については、本要約の概要のセクションのマンモグラフィによるスクリーニングセクション内の有害性に関するサブセクションを参照のこと。)

中間期がん

中間期がんとは、通常のスクリーニング検査後からその次のスクリーニングまでの期間に診断されるがんである。これらのがんはマンモグラフィ時に存在していたもの(偽陰性)もあれば、マンモグラフィと発見までの期間に急速に増殖するものもある。一般的には、中間期がんは急激な増殖を特徴としており [6] [7] 、発見/診断時には進行期にある頻度が高い。 [8]

Nova Scotia Breast Screening Programからのデータを用いた1件の研究で、302,234例のスクリーニング検査で342例の中間期乳がんが同定された。著者らは342例を見逃されたがん(以前のスクリーニングでの偽陰性)と真の中間期がん(以前のスクリーニング検査で検出できないがん)のカテゴリーに分類した。40~49歳の女性について、見逃されたがんの年間割合はスクリーニング受診女性1,000人当たり0.45であった;真の中間期がんの年間発生率は0.93であった。50~69歳の女性について、見逃されたがんの年間割合はスクリーニング受診女性1,000人当たり0.90であった;真の中間期がんの年間発生率は3.15であった。 [9]

中間期がんを有する女性576人を対象にした1件の研究により、中間期がんは40~49歳の女性で有病率が高いことが報告された。スクリーニングマンモグラフィで陰性であった後、12ヵ月以内に現れる中間期がんはマンモグラフィの低い感度に関係しており、これは症例の68%で乳腺密度が高いためであると考えられる。24ヵ月以内に現れる中間期がんは、37.6%の症例では乳腺密度が高いことによるマンモグラフィの低い感度、および30.6%の症例では腫瘍の急激な増殖の両方に関係しているようである。 [10]

スクリーニングで発見された279のがんの特徴と150の中間期がんの特徴を比較した別の研究では、中間期がんは50歳未満の女性にはるかに多く発生し、粘液性または小葉性であり;また高い組織学的悪性度と増殖活性を示し、マンモグラフィ検査では比較的良性の特徴を有し、および/または石灰化はみられないことが明らかにされた。スクリーニングで発見されたがんは管状の組織型をとり;腫瘍径が小さく、病期が進んでおらず、ホルモン感受性であり;非浸潤性(in situ)乳管がんの成分が大部分を占める可能性が高かった。 [6]


参考文献
  1. Moody-Ayers SY, Wells CK, Feinstein AR: "Benign" tumors and "early detection" in mammography-screened patients of a natural cohort with breast cancer. Arch Intern Med 160 (8): 1109-15, 2000.[PUBMED Abstract]

  2. Carney PA, Miglioretti DL, Yankaskas BC, et al.: Individual and combined effects of age, breast density, and hormone replacement therapy use on the accuracy of screening mammography. Ann Intern Med 138 (3): 168-75, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Rosenberg RD, Hunt WC, Williamson MR, et al.: Effects of age, breast density, ethnicity, and estrogen replacement therapy on screening mammographic sensitivity and cancer stage at diagnosis: review of 183,134 screening mammograms in Albuquerque, New Mexico. Radiology 209 (2): 511-8, 1998.[PUBMED Abstract]

  4. Kerlikowske K, Grady D, Barclay J, et al.: Likelihood ratios for modern screening mammography. Risk of breast cancer based on age and mammographic interpretation. JAMA 276 (1): 39-43, 1996.[PUBMED Abstract]

  5. Physician Insurers Association of America: Breast Cancer Study. Washington, DC: Physician Insurers Association of America, 1995.[PUBMED Abstract]

  6. Porter PL, El-Bastawissi AY, Mandelson MT, et al.: Breast tumor characteristics as predictors of mammographic detection: comparison of interval- and screen-detected cancers. J Natl Cancer Inst 91 (23): 2020-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  7. Hakama M, Holli K, Isola J, et al.: Aggressiveness of screen-detected breast cancers. Lancet 345 (8944): 221-4, 1995.[PUBMED Abstract]

  8. Tabár L, Faberberg G, Day NE, et al.: What is the optimum interval between mammographic screening examinations? An analysis based on the latest results of the Swedish two-county breast cancer screening trial. Br J Cancer 55 (5): 547-51, 1987.[PUBMED Abstract]

  9. Payne JI, Caines JS, Gallant J, et al.: A review of interval breast cancers diagnosed among participants of the Nova Scotia Breast Screening Program. Radiology 266 (1): 96-103, 2013.[PUBMED Abstract]

  10. Buist DS, Porter PL, Lehman C, et al.: Factors contributing to mammography failure in women aged 40-49 years. J Natl Cancer Inst 96 (19): 1432-40, 2004.[PUBMED Abstract]

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乳がんスクリーニングの画像診断法

マンモグラフィの記述と背景

マンモグラフィは、電離放射線を利用して乳腺組織の画像を描出する。検査は2枚のプレートに乳房をしっかりと挟んで実施する。このように乳房を圧迫することで、重なっている組織が広げられ、乳腺の描出に必要な放射線量を減らすことができる。米国におけるルーチンのスクリーニング検査用には、斜位(内外)方向および上下方向の両方から撮影する。いずれの像も、乳頭から胸筋までの乳腺組織が描出されるようにしなくてはならない。放射線曝露は標準の2方向スクリーニング撮影ごとに4~24mSvである。2方向撮影では、正常な乳腺構造の重複による異常についての懸念が払拭されるため、1方向撮影のみの検査に比べてリコール率が低くなる。 [1] 2方向撮影ではまた、1方向撮影のみの検査よりも中間期がんの発生率が低い。 [2]

マンモグラフィを実施する米国の施設はすべて、職員が標準的なトレーニングを受けており、低線量の標準化されたマンモグラフィ検査であることを保証するため1992年に議会が制定したMammography Quality Standards Act(MQSA)の下で米国食品医薬品局(FDA)の認定を受けなくてはならない。 [3] (Mammography Facility Surveys, Mammography Equipment Evaluations, and Medical Physicist Qualification Requirement under MQSAに関するFDAのウェブページを参照のこと。)1998年のMQSA再認可条例は、マンモグラフィの結果の一般向け要約文書を患者に渡すよう要求している。

マンモグラフィの結果の報告には、次のBreast Imaging Reporting and Data System(BI-RADS)のカテゴリーが用いられる: [4]


    0:不完全-比較用に追加の画像評価および/または以前のマンモグラムを要する。
    1:陰性。
    2:良性。
    3:良性と推定。
    4:悪性の疑い。
    5:悪性の強い疑い。
    6:既に生検で悪性疾患が証明されている。

ほとんどのスクリーニングマンモグラムは一般的に陰性または良性と解釈され(それぞれBI-RADS 1または2)、追加の評価のために再来院を求められる米国人女性は約10%である。 [5] 追加の評価のために再来院を求められる女性の割合は、各女性の基本的な特徴だけでなく、マンモグラフィを実施する施設および放射線科医によっても異なる。幅広い文献で、BI-RADS評価カテゴリーに伴って悪性腫瘍の割合が増加することが示されており、BI-RADS 1または2の評価後1年以内にがんを診断されるリスクは1%未満、BI-RADS 3の評価後1年以内にがんを診断されるリスクは2%、およびBI-RADS 5の評価後1年以内にがんを診断されるリスクは95%である。BI-RADS 4は任意に、がんの疑いが低い4a(悪性腫瘍のリスクが2%超~10%);がんの疑いが中等度の4b(悪性腫瘍のリスクが10%超~50%);およびがんの疑いが高い4c(悪性腫瘍のリスクが50%超~95%未満)に細分できる。 [6]

デジタルマンモグラフィ

デジタルマンモグラフィはスクリーンフィルムマンモグラフィ(SFM)より高価であるが、データの記憶と共有により適している。健康上のアウトカムに関してフィルムマンモグラフィと比較したデジタルマンモグラフィスクリーニングの正味の影響および過剰診断の割合における純差は不明である。がん発見率、感度、特異度、および陽性適中率(PPV)などの測定値について、SFMとデジタルマンモグラフィ双方の性能が数件の試験で直接比較されているが、試験結果はほぼ同じであった。

Digital Mammographic Imaging Screening Trial(DMIST)において、デジタルおよびフィルムマンモグラフィの両方を受けた女性の大規模コホート(n = 42,760)が米国の33の施設で評価された。乳がん検出に差はみられなかった(デジタル:曲線下面積[AUC] 0.78 +/- 0.02、フィルム:AUC 0.74 +/- 0.02;P = 0.18)。50歳未満の女性に対するがん検出については、デジタルマンモグラフィが優れていた(デジタル:AUC 0.84 +/- 0.03、フィルム:AUC 0.69 +/- 0.05;P = 0.002)。 [7]

DMISTの2番目の報告では、65歳以上の女性ではフィルムマンモグラフィの方が高いAUCを示していた(フィルム:AUC 0.88、デジタル:AUC 0.70;P = 0.025);しかしながら、多重比較で検討した場合、この知見は統計的に有意ではなかった。 [8]

米国の大規模コホート研究 [9] では、50歳未満の女性に関する感度がフィルムマンモグラフィで75.7%(95%CI、71.7-79.3)、デジタルマンモグラフィで82.4%(95%CI、76.3-87.5)であった;また特異度はフィルムマンモグラフィで89.7%(95%CI、89.6-89.8)、デジタルマンモグラフィで88.0%(95%CI、88.2-87.8)であった。2004年から2010年にオランダで実施されたデジタルマンモグラフィスクリーニング150万回とスクリーンフィルムマンモグラム(SFM)スクリーニング450万回の所見を比較したところ、デジタルマンモグラフィスクリーニングの方がリコール率とがん発見率が高いことが示された。 [10] デジタルマンモグラフィとSFMの両方の検査(n = 150万)で読影した放射線科医では、デジタルマンモグラフィのリコール率が2.0%(95%CI、2.0-2.1)であったのに対し、SFMでは1.6%(95%CI、1.6-1.6)であった;がん発見率はデジタルマンモグラフィで1,000回当たり5.9件(95%CI、5.7-6.0)、SFMで1,000回当たり5.1件(95%CI、5.0-5.2)であった。PPVはデジタルマンモグラフィ受診群(PPV、31.2%;95%CI、30.6-31.7)の方がスクリーンフィルムマンモグラフィ受診群(PPV、34.4%;95%CI、33.8%-35.0%)よりも統計的に有意に低かった。49~54歳の女性について、デジタルスクリーニング vs フィルムスクリーニングのリコール率はそれぞれ、2.7% vs 2.0%;がん発見率はスクリーニング1,000回中それぞれ、5.1件 vs 4.0件;およびPPVはそれぞれ、21.4% vs 22.1%であった。55~74歳の女性について、デジタルスクリーニング vs フィルムスクリーニングのリコール率はそれぞれ、1.7% vs 1.4%;がん発見率はスクリーニング1,000回中それぞれ、6.2件 vs 5.6件;およびPPVはそれぞれ、35.7% vs 40.1%であった。 [10]

DMIST [7] [8] および前述の米国のコホート研究 [9] を含む10件の研究のメタアナリシス [11] では、デジタルマンモグラフィとフィルムマンモグラフィの両方を経験した女性82,573人を対象として、これらの手法が比較された。変量効果モデルで、2種類のマンモグラフィの間にがん検出に関する統計的有意差は認められなかった(フィルム:AUC 0.92、デジタル:AUC 0.91)。50歳未満の女性では、すべての研究でデジタルマンモグラフィの感度が高かったが、特異度は同等か、フィルムマンモグラフィの方が高かった。このメタアナリシスでは、他に年齢による差はみられなかった。

コンピュータX線撮影(CR)では、カセット式の脱着可能な検出器と外部読取装置を使用してデジタル画像を生成する。1件の大規模な同時的コホート研究で、254,758回のフルフィールドデジタルマンモグラフィ(FFDM)によるスクリーニングと、487,334回のSFMおよび74,190回のCRによるスクリーニングが比較された。 [12] ここでも、リコール率はFFDMの方が高かったが、がん発見率はFFDM(1,000回中4.9件)とSFM(1,000回中4.8件)の間で差がみられなかった。重要なことに、CRのがん発見率は1,000回中3.4件と低く、調整後オッズ比(OR)は0.79であった(95%CI、0.68-0.93)。非同時性コホートを対象とした2件の先行研究では、CRとSFMの間に差がないこと、またはCRによるがん発見率の方が高いことが示された。 [13] [14]

コンピュータ支援検出(CAD)

CADシステムは、微小石灰クラスタや腫瘤などの疑わしい領域を強調することで放射線科医のマンモグラム読影を支援するように設計されている。 [15] 一般的に、CADシステムは感度を高めて特異度を低下させ [16] 、非浸潤性(in situ)乳管がん(DCIS)の検出を増加させる。 [17] 数種のCADシステムが使用されている。CADシステム導入前後のリコール率および乳がん発見率を比較した1件の大規模な集団ベース研究では、いずれの割合にも変化が認められなかった。 [15] [18] 別の大規模研究では、リコール率の増加およびDCIS発見の増加が確認されたが、浸潤がん発見率における向上は示されなかった。 [17] [19]

40歳から89歳の女性(主に高齢女性ではない)の大型データベースとデジタル(フィルムスクリーンではない)マンモグラフィを使用した以前の研究の限界に対処するためデザインされた研究では、感度、特異度、スクリーニングで検出されたがん(DCISおよび浸潤性)、および中間期がんの発見の4つについて、マンモグラフィのスクリーニングを改善する証拠は得られなかった。この研究で、CADはDCISの高い検出率を実現した。 [20]

デジタルマンモグラフィおよびCADの集団ベースの評価

著者らは、Surveillance, Epidemiology, and End Results-Medicareリンクデータベースを用いて、2つの期間:2001年から2002年および2008年から2009年における65歳以上の女性27万人以上による新たなスクリーニングマンモグラフィ法の使用について調査された。デジタルマンモグラフィは2%から30%に増加し、CADは3%から33%に増加し、費用は$660,000,000から$962,000,000に増加した。初期(DCISまたはI期)腫瘍または進行期(IV期)腫瘍の発見率における差は認められなかった。 [21]

トモシンセシス

トモシンセシス、または3次元(3-D)マンモグラフィは、標準の2-Dマンモグラフィと検査の実施方法が似ている:乳房をマンモグラフィと同じ位置で圧迫し、検査では画像の描出にX線が用いられる。トモシンセシスでは、X線管が乳房上を移動しながら複数枚の短時間曝露X線写真がさまざまな角度で撮影される。この過程では、標準のマンモグラムよりも2~3秒長い時間を要する。次に各画像を再構成して、一連の薄いスライス画像が個別にまたは動画のように閲覧できるようになる。がんや他の異常は、周囲の組織と比較して密度と形態が異なるために発見されるが、一部のがんおよびその他の所見では、構造的な歪みが生じている。トモシンセシスを用いると重複している組織をより容易に正確に正常と認識でき、一部のがんは標準のマンモグラフィ上よりも見やすく写し出される。トモシンセシス上でしか見ることのできない一部のがんは超音波検査では発見できないため、トモシンセシスガイド下生検が利用できる施設もある。

2-Dおよび3-Dマンモグラフィの併用は、乳がん発見の改善(CADと同様に平均して1.3/1,000が追加で発見される)および重要なこととしてリコール率の低下に関して2-Dマンモグラフィ単独よりも正確であることが報告されている。標準の2-Dデジタルマンモグラフィスクリーニングに追加してトモシンセシスを実施した場合、さらなる検査に呼び戻される女性は平均で1.8%減少する。トモシンセシスでしか発見されないがんの80%以上が浸潤性でリンパ節転移陰性である。 [22] [23] 特に、トモシンセシスは標準のデジタルマンモグラフィよりも構造的な歪みを良好に描出できる;2-Dと3-Dの両方のマンモグラフィを受けた女性において構造的な歪みを有した26例を対象にした1件のシリーズ [24] では、19人(73%)がトモシンセシス上でのみ発見され、これら19人中4人(21%)が悪性であった。

トモシンセシスを2-Dマンモグラフィと併用して実施した場合、その結果患者が曝露する放射線量は実質的に倍増する。これにより、40歳でスクリーニングを受けた女性10万人当たり追加で1.3例(スクリーニングの年齢が高くなると減少する)が致死的がんになるのに対して130例のがんが追加で発見されると予想される(表1を参照のこと)。

(合成した2-Dマンモグラムとは)独立したトモシンセシスの実践における性能は十分に確認されておらず、現在のところ1人のみの読影者の研究および1件のプロスペクティブ臨床試験しか実施されていない。 [25] 年1回のトモシンセシスの乳がん死亡率に対する効果は、プロスペクティブ臨床試験で検証されていない。

診断目的のトモシンセシス(特に、マンモグラフィの異常の評価)は、非対称病変や歪みなど、非石灰化異常の精密検査を行うためのスポット圧迫撮影と少なくとも同程度に有効であることが示されている。 [26] [27] 疑わしい微小石灰病変の特定に関して、トモシンセシスは標準の2-Dマンモグラフィよりも劣っていない [28] が、疑わしい石灰化の特徴を明らかにするためには、一般的にさらに拡大撮影が必要である。

スクリーニングと診断の両方でトモシンセシスを用いることで、超音波をはじめとする追加の検査が必要となる場合が減るであろう(表1を参照のこと)。現在のところ、トモシンセシスと全死亡率の低下との関連に関するデータは得られていない。

表1.トモシンセシスを用いたスクリーニングに対する重要な性能測定の要約

研究 全体
CDR = がん発見率;DBT = デジタル乳房トモシンセシス(3-Dマンモグラフィとしても知られる);FFDM = フルフィールドデジタルマンモグラフィ(標準2-Dマンモグラフィとしても知られる)。
研究デザイン プロスペクティブ;各患者が両方の検査を受けた プロスペクティブ;各患者が両方の検査を受けた 歴史的対照は2-Dのみであった 歴史的対照は2-Dのみであった 歴史的対照は2-Dのみであった  
DBT受診者数 12,631 7,292 9,499 173,663 23,149 226,234
FFDM受診者数 12,631 7,292 13,856 281,187 54,684 365,293
CDR 3-D + 2-D 8.0/1,000 8.1/1,000 5.37/1,000 5.4/1,000 6.3/1,000  
CDR FFDM(2-D)単独 6.1/1,000 5.3/1,000 4.04/1,000 4.2/1,000 4.9/1,000  
差(女性の数) +1.9/1,000 (24) +2.7/1,000 (20) +1.3/1,000 (12) +1.2/1,000 (208) +1.4/1,000 (32) +1.3/1,000 (296)
P値(がん発見率) .001 < .0001 0.18 < .001 .035  
リコール率の絶対差 -0.8% -2.0% -3.2% -1.6% -2.6% -1.8%
P値(リコール率) < .001 < .0001 < .001 < .001 > .0001  


超音波検査

超音波検査の主な役割は、初回スクリーニング方法としての実施というよりもむしろ触知可能な腫瘤またはマンモグラフィにより確認された腫瘤の診断的評価である。乳がんスクリーニングに関するヨーロッパグループ(European Group for Breast Cancer Screening)による文献と専門家の見解の見直しでは、「あらゆる年齢において、集団乳がんスクリーニングへの超音波検査の使用を支持する証拠はほとんどない」という結論に達している。 [32] マンモグラフィと超音波検査が正常な場合、腫瘤を有する女性が最終的に乳がんであると明らかになるのは3%未満である。 [33] [34] [35] [36]

磁気共鳴画像法

乳房の磁気共鳴画像法(MRI)は、シリコンインプラントの完全性評価、手術後または放射線療法後の触知可能な腫瘤の査定、腋窩リンパ節転移のある女性におけるマンモグラフィまたは超音波検査によって存在を示唆された潜伏乳がんの発見、既知の乳がんを有する患者に対する術前計画などの診断的評価のために女性に用いられることがある。この手技によって電離放射線に曝露することはない。BRCA1/2突然変異キャリア、乳がんの強い家族歴、またはリー-フラウメニ症候群やコーデン症候群などいくつかの遺伝的症候群に基づいて、乳がんリスクが高い女性における乳がんのスクリーニング検査としてMRIが奨励されている。 [37] [38] [39] 乳房のMRIはスクリーニングマンモグラフィよりも感度は高いものの特異度は低く [40] [41] 、費用が高い。

サーモグラフィ

赤外線画像技術を用いる乳房サーモグラフィは、皮下に存在する腫瘍の指標として皮膚の温度変化を検知し、色分けしてその変化を表示する。サーモグラフィ装置はFDAにより510(k)の下、承認されているもので、この過程では臨床的有効性の証拠は要求されない。乳がん死亡率や乳がん検出能力にサーモグラフィが与える影響について評価したランダム化試験は行われていない。複数の小規模コホート研究では、サーモグラフィを乳がんのスクリーニングにおける補助診断法として使用することに対する追加の有益性は何も示唆されていない。 [42] [43]

スクリーニングの有益性

ランダム化比較試験

4ヵ国から50万人近くの女性が参加した複数のランダム化比較試験(RCT)で、定期的スクリーニングを提供されている女性の乳がん死亡率を検討した。1件の試験、カナダ全国乳がんスクリーニング研究(NBSS)-2では、マンモグラフィと乳房視触診(CBE)を組み合わせた場合とCBEのみ実施した場合とが比較された;他の8件では、CBEを併用するまたは併用しないスクリーニングマンモグラフィと、対照として通常のケアとが比較された。

これらの試験は、デザイン、被験者の募集方法、介入方法(スクリーニング、治療のいずれも)、対照群の管理、スクリーニング群と対照群への割り付けのコンプライアンス、転帰の解析法が異なっていた。個々のランダム化を用いた試験もあれば、コホートを特定してからスクリーニングを提示したクラスターランダム化を採用した試験もある;1件の試験では誕生日の日にち(月には関係なく)を基に非ランダムに割り付けしたのもあった。クラスターランダム化を行うと、ときに、介入群と対照群との間に不均衡が生じることになった。数件の試験では、年齢差があることが明らかになっているが、おそらくその差が小さかったために試験成績に大きな影響を及ぼすことはなかった。 [44] エジンバラの試験では、乳がん死リスクと相関する社会経済的状態は介入群と対照群とで顕著に異なっていたため、試験成績の解釈は、不可能ではないとしても困難である。

乳がん死亡率は、これらの各試験の主要な治療成績パラメータであるため、死亡原因を決定する方法がきわめて重要となる。死因の帰属におけるバイアスを減らすために、盲検化したモニタリング委員会(ニューヨーク)の使用や、全国死亡登録(スウェーデンの試験)などの独立したデータ供給元との連携などの試みがなされている。残念ながら、これらの試みでさえも、女性のスクリーニング群や対照群への割り付けが完全に分からないようにはできないことがある。スクリーニングを支持するバイアスが生じた可能性のあるTwo-County Trialでは、乳がん死の誤分類の可能性の証拠が解析されている。 [45]

また、これらの試験結果の解析に用いられた方法にも違いがあった。5件のスウェーデンの試験のうち4件では、対照群ではスクリーニングマンモグラフィを1回だけ、研究群で実施する一連のスクリーニングマンモグラフィの最終回に時を合わせて実施した。これらの試験の初期解析では評価解析を用いて、試験で実施した最後のマンモグラフィ時またはその前までにがんが発見された女性で生じた乳がん死のみをカウントしている。これらの試験の一部では、最後のマンモグラフィを実施するのが遅れたため、対照群の女性に乳がんが発生するまたは乳がんと診断される期間が長くなった。追跡解析を用いた試験もあり、診断の時期とは無関係に、乳がんに起因する全死亡者数をカウントしている。このタイプの解析は、評価解析に関する懸念を受けて、スウェーデンの試験5件のうち4件のメタアナリシスで用いられた。 [45]

国際的な監査および検証に関するデータの入手しやすさも異なっており、公的な監査を受けたのはカナダの試験でのみであった。他の試験は通常、より厳格さを緩めたさまざまな程度の監査を受けている。 [46]

これらの研究はすべて、全死亡者数に比べて乳がん死がまれであることから、全原因死亡率ではなく乳がん死亡率を研究するためにデザインされている。諸試験における全原因死亡率をレトロスペクティブに検討すると、エジンバラの試験のみが有意差を示し、これは社会経済的差によるものであった可能性がある。このほか、4件のスウェーデンの試験のメタアナリシス(追跡手法)でも、全原因死亡率において、わずかではあるが有意な改善が認められた。

本試験の詳細な記述については、本要約のランダム化比較試験の付録のセクションを参照のこと。

RCTの要約

乳がんのスクリーニングは全死亡率に影響を及ぼすことはなく、乳がん死亡率に対する絶対的利益は小さい。

乳がんスクリーニングの有益性を検討するには、乳がんの早期発見によって生存が延長された数を評価する方法がある。 [47] [48] 1人の著者により、スクリーニングを1回受けた50~70歳の女性10,000人の転帰が推定された。 [49] マンモグラフィは9,500人が正常(真の陰性および偽陰性)になるであろう。異常を示した500人のうち、466~479人が偽陽性であり、これらの女性の100~200人が侵襲的手技を受けることになる。残る21~34人の異常例が真の陽性であり、乳がんであることを示す。このうちの一部は、マンモグラフィにより乳がんが発見されて至適治療を受けたとしても乳がんにより死亡すると考えられ、一部はがんが検知されていなかったとしても他の原因で死亡するまで長期生存することもある。マンモグラフィによりがんを発見された生存者の増加数は2~6人である。この解析について別の言い方をすれば、スクリーニングを受け15年間追跡された1,700~5,000人につき1人が生存延長できることになる。40~49歳の女性10,000人を同じように解析すると、同じように異常を示した500人のうち、488人が偽陽性であり、12人が乳がんであると考えられる。この12人のうち、おそらく1人か2人が生存を延長されるに過ぎない。このため、40~49歳の女性では、マンモグラム5,000~10,000枚につき、1または2例で生存が延長されると推定されている。

上述の数は1回のマンモグラフィ検査からの数字であり、女性は生涯にわたってスクリーニングを受けるため、スクリーニング活動は20~30年に及ぶ可能性がある。U.S. Preventive Services Task Force向けに2009年に実施されたRCT(AGE試験を含む)のメタアナリシスにより、1人の女性の乳がんによる死亡を回避するか延期するために10年間のスクリーニングに招待する必要がある人数は、40代の女性で1,904人、50代の女性で1,339人、60代の女性で377人であったことが明らかにされた。 [50] Cancer Intervention and Surveillance Modeling Networkの6つのモデル群による2009年併合解析で、2年ごとのスクリーニングにより年1回のスクリーニングで得られる有益性の平均81%が維持され、偽陽性結果はほぼ半数であったことが明らかにされた。50~69歳までの2年ごとのスクリーニングにより、スクリーニングなしと比較して乳がん死における中央値16.5%の低下が達成された。(50歳と比較して)40歳で開始する2年ごとのスクリーニングで乳がん死亡率は追加で3%低下したが、より多くの資源を消費し、より多くの偽陽性の結果が生じた。 [51]

現在、これらのRCTだけで乳がんスクリーニングの長期プログラムによる乳がん死亡率の低下の程度を推定することには、いくつかの問題がある。以下にそれらの問題を挙げる:

  1. RCTを理由にマンモグラフィに関する変化が生じる。
  2. RCTを理由に乳がんに対する女性の意識が変容する。
  3. RCTを理由に集団における危険因子(初潮年齢、初回妊娠年齢、肥満、閉経後のホルモン療法の使用)の分布が変化する。
  4. RCTを理由に乳がん治療に変化が生じる。
  5. 短期のRCTによって乳がんスクリーニングの長期的な影響の推定に支障を来す。

これらの問題に対する理想的な答えは存在しないが、現行のスクリーニングによる乳がん死亡率の低下の程度を推定するにあたって、RCTだけでなく、十分に管理されたコホートと地域相関研究を考慮に入れることが肝要である。 [52]

集団ベースのスクリーニングプログラムの有効性

スクリーニングのRCTではスクリーニングの効力の問題(すなわち、RCTの理想的な条件下でスクリーニングが乳がん死亡率をどの程度低下させるか)に取り組んでいるが、スクリーニングの有効性(すなわち、スクリーニングが米国民の乳がん死亡率をどの程度低下させるか)についての情報は提供していない。この問題に関する情報を提供する研究には、スクリーニング集団 vs 非スクリーニング集団の非ランダム化比較研究、実在の地域社会でのケースコントロール研究、および大規模集団を対象としたスクリーニングの影響を調べるモデリング研究などがある。これらの研究のいずれにおいても重要な問題とは、地域社会での乳がん治療の改善や乳がんの認識の向上といった、乳がん死亡率に追加される影響をどの程度コントロールできるかである。

スウェーデンから報告された3件の集団ベースの観察研究では、スクリーニングマンモグラフィ計画の有無における乳がん死亡率が比較された。1件の研究では、スウェーデンの25県のうち7県において隣接する2つの期間を比較し、スクリーニングにより乳がん死亡率が、統計的に有意な18~32%の低下を示したと結論付けた。 [53] この研究における最も重大なバイアスは、乳がん補助療法の有効性に劇的な改善がなされた期間にこれらの県でスクリーニングが開始されており、研究の著者らはこの変化に対処しなかったことである。2つ目の研究では、11年間にわたる検討で、スクリーニングプログラムを実施した7つの県と実施しなかった5つの県が比較された。 [54] スクリーニングを支持する傾向がみられたが、ここでも著者らは補助療法の影響や治療の実践に影響しうる地理的差(都市部 vs 非都市部)を考慮しなかった。

一部には治療の影響を説明するために、3つ目の研究では県ごとの詳細な解析が行われ、スクリーニングによる影響はほとんどないと結論付けられた。 [55] これらの著者らは、スクリーニング前の期間に観察された年間死亡率の低下はスクリーニング後の期間に伝わり、何らかのスクリーニングの効果が死亡率の低下を増加させると想定していた。スクリーニング導入後に乳がん死亡率の低下におけるこうした増加は観察されなかったが、研究の想定が結論を弱めている。県間の比較により、県のスクリーニングプログラム開始時期に関係なく乳がん死亡率における同様の低下が示された;しかしながら、著者らは県間の公式の解析を実施しなかった。

この地域相関解析の解釈は、以下の要因により限定的である:


  • この解析では、乳がんスクリーニングの導入前に診断された偶発的な乳がん症例と、スクリーニング導入後の乳がんによる死亡の解析とを切り分けていなかった。これらの症例は、スクリーニング導入後10年間に起きた全死亡の過半数を占めている。

  • この解析では、発生率の増加傾向(スクリーニングとは独立に、死亡率を押し上げる要因)に対する調整が実施されなかった。

  • 観察研究とは異なり、 [53] [54] 3つ目の研究 [55] では、スクリーニングの受診を測定しなかった。

  • この解析では、70歳以前にマンモグラフィで乳がんが発見されたことで回避された70歳以降の死亡に関する補正がなされなかった。

  • この解析では、いくつかの国で実施された便宜主義的なスクリーニングに対する調整が行われなかった。

  • この解析は、国ごとに異なる、スクリーニング実施に要する期間を考慮していない(すなわち、スクリーニングは施策に据えられた後、直ちに効力を発揮するわけではなく、各国でスクリーニング実施の歩調が異なる)。

1975年にオランダのナイメーヘンで集団ベースのスクリーニングプログラムが実施され、ケースコホート研究でスクリーニングを受けた女性の死亡率が低下したことが示された(OR、0.48)。 [56] しかしながら、ナイメーヘンの乳がん死亡率とスクリーニングプログラムを実施しなかったオランダの隣市アルンヘムの乳がん死亡率を比較したその後の研究では、乳がん死亡率の差は示されなかった。 [57]

1983年から1998年に米国の優れた医療システムで実施されたスクリーニングの地域社会ベースのケースコントロール研究は、以前のスクリーニングと乳がん死亡率の低下との間に関連を見いださなかった。しかしながら、スクリーニングマンモグラフィ率は一般に低い。 [58] 乳がんの家族歴または以前の乳房生検によりリスクが高い女性(OR、0.74;95%CI、0.50-1.03)では、この関連性は平均リスクの女性(OR、0.96;95%CI、0.80-1.14)よりも強かったものの、その差は統計的に有意ではなかった(P = 0.17)。 [58]

運営の優れた1件の地域相関研究により、医療制度の類似性および集団の構成で対応させたヨーロッパの3組の隣国が比較された(このうち一国では、国家的なスクリーニングプログラムが他の国よりも数年早く開始されていた)。研究者たちは、各国で乳がん死亡率の低下がもたらされたが、対応する国どうしでのスクリーニングによる差は認められなかったことを明らかにした。死亡率の低下はスクリーニングによるものというよりも、乳がん治療および/または医療機関の改善によるものである可能性が高いことが、著者たちによって示唆された。 [59]

2011年3月までに発表された地域相関研究および大規模コホート研究の系統的レビューで、乳がんスクリーニングをさまざまな時期に開始した50~69歳の大規模集団女性における乳がん死亡率が比較された。17件の研究が包含基準を満たした。いずれの研究にも、対照群の相違点、乳がんリスクおよび乳がん治療の地域差に対する不十分な調整、そして比較された地域間での乳がん死亡率の測定値が類似していることに伴う問題といった方法論的な問題がみられた。研究間の結果には大きなばらつきがみられており、4件の研究では33%以上の乳がん死亡率の相対的低下(広範な信頼区間を伴う)がみられ、5件の研究では乳がん死亡率における低下はみられなかった。乳がん死亡率の全般的な低下のうち、スクリーニングによるものはほんの一部であると考えられるため、このレビューでは、スクリーニングによる乳がん死亡率の相対的低下はRCTによって予測されたよりも低く、10%程度であろうと結論付けられた。 [60]

1976年から2008年に実施された米国の1件の地域相関分析で、40歳以上の女性に対する早期 vs 進行期乳がんの発生率が調査された。スクリーニングの効果を明らかにするため、著者らは早期がんの増加の大きさと進行がんの予想される減少の大きさを比較した。研究期間全体で、早期がん発生率の絶対的増加は女性10万人当たり122例であった一方、進行がんの絶対的減少は女性10万人当たり8例であった。ホルモン療法および他の不明な原因による発生率の変化を調整後、著者らは乳がん死亡率低下(この期間で28%)に対するスクリーニングの効果は小さく、乳がんの過剰診断は診断されたすべての乳がんの22~31%であろうと結論付けた。著者らは、乳がん死亡率における低下の大部分は、おそらくスクリーニングというよりもむしろ治療の改善によるものであろうと結論付けた。こうした調整を行うために、著者らは発生率に対する他の因子の影響に関して不確かな仮定を用いており、経時的な治療の変化の影響については言及しなかった。地域相関研究は、この種の潜在的に制御不能な交絡因子のほか、こうした不当な比較によって解釈が困難である。しかしながら、この研究は他の国の同様の分析とおおむね一致している(上述の研究を参照のこと)。 [61] これらの地域相関研究における主な制限は、スクリーニングへの実際の受診についての説明が行えないことである。ほとんどの進行期乳がんはスクリーニングを受けていない女性に発生する。

米国における地域社会ベースのスクリーニングプログラムに関する1件のプロスペクティブ・コホート研究により、1年ごとのスクリーニングマンモグラフィは2年ごとのスクリーニングマンモグラフィと比較して、50~74歳の女性または乳房がきわめて濃く映る40~49歳の女性において発見される予後不良な乳がんの割合を低下させないことが明らかにされた。乳房がきわめて濃く映る40~49歳の女性では、2.0cmを超えるがんが減少した(2年ごと vs 1年ごとのスクリーニングに対するOR、2.39;95%CI、1.37-4.18)。 [62]

米国における乳がん発生率と死亡率の統計モデル分析

スクリーニングの最適な実施間隔について、モデラーによる取り組みが行われている。モデリングでは正しくない可能性がある仮説を設ける;それでも、そのモデリングの信頼性は、そのモデルによりすべてのランダム化試験と一致する全体的な結果が得られる場合、およびそのモデルを使用して内挿または外挿される場合により高くなる。例えば、1年ごとのスクリーニングについてモデルの出力がRCTの結果と一致すれば、2年ごと vs 1年ごとのスクリーニングの相対的有効性の比較において信頼性がより高くなる。

2000年に米国国立がん研究所はモデリンググループ(Cancer Intervention and Surveillance Modeling [CISNET])のコンソーシアムを創設し、米国における乳がん死亡率に観察された減少に対するスクリーニングおよび補助療法の相対的寄与率の解明に取り組んだ。 [63] (詳しい情報については、本要約のランダム化比較試験のセクションを参照のこと。)これらのモデルでは、RCTの状況で予測されたものと同様な乳がん死亡率の減少が得られたが、現代的な補助療法の使用に対して更新されていた。2009年に、CISNETモデラーにより、1年ごと vs 2年ごとのスクリーニングの比較を含めて、マンモグラフィの有害性および有益性に関するいくつかの課題への取り組みが行われた。 [51] 50~74歳の女性に対するスクリーニングを1年ごとから2年ごとに変更しても、乳がん死亡率の減少の割合は変わらず、6つのモデル群全体で72~95%に及び、中央値で80%であった。


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  57. Verbeek AL, Hendriks JH, Holland R, et al.: Reduction of breast cancer mortality through mass screening with modern mammography. First results of the Nijmegen project, 1975-1981. Lancet 1 (8388): 1222-4, 1984.[PUBMED Abstract]

  58. Elmore JG, Reisch LM, Barton MB, et al.: Efficacy of breast cancer screening in the community according to risk level. J Natl Cancer Inst 97 (14): 1035-43, 2005.[PUBMED Abstract]

  59. Autier P, Boniol M, Gavin A, et al.: Breast cancer mortality in neighbouring European countries with different levels of screening but similar access to treatment: trend analysis of WHO mortality database. BMJ 343: d4411, 2011.[PUBMED Abstract]

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  61. Bleyer A, Welch HG: Effect of three decades of screening mammography on breast-cancer incidence. N Engl J Med 367 (21): 1998-2005, 2012.[PUBMED Abstract]

  62. Kerlikowske K, Zhu W, Hubbard RA, et al.: Outcomes of screening mammography by frequency, breast density, and postmenopausal hormone therapy. JAMA Intern Med 173 (9): 807-16, 2013.[PUBMED Abstract]

  63. Berry DA, Cronin KA, Plevritis SK, et al.: Effect of screening and adjuvant therapy on mortality from breast cancer. N Engl J Med 353 (17): 1784-92, 2005.[PUBMED Abstract]

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乳房画像検査により発見されたがんの特徴

数件の研究により、がんの検出方法は患者の転帰の強力な予測因子であり [1] 、予後判定および治療決定に有用な情報となることが示されている。いずれの研究でも病期、リンパ節転移の状態、および腫瘍のサイズが明らかにされた。

浸潤性乳がんに罹患しているフィンランドの女性1,983人を対象とした10年にわたる追跡調査は、がんの検出方法が予後の独立変数であることを証明した。年齢、リンパ節転移の状態、および腫瘍のサイズに関する対照がある場合、スクリーニングで検出されたがんの方が再燃リスクが低く、全生存率が良好であった。スクリーニング以外の方法でがんが検出された女性では、たとえ補助全身療法を受ける可能性が高くても、死亡のハザード比(HR)は1.90(95%信頼区間[CI]、1.15-3.11)であった。 [2]

同様に、3件のランダム化スクリーニング試験(Health Insurance Plan、全国乳がんスクリーニング研究[NBSS]-1、およびNBSS-2)で発見された乳がんの検査では、病期、リンパ節転移の状態、および腫瘍のサイズが明らかにされ、スクリーニングでがんが発見された患者はより良好な予後をもつという判断に至った。スクリーニングにより検出されたがんと比較すると、中間期がんおよび発生がんの死亡の相対リスクは1.53(95%CI、1.17-2.00)であった;スクリーニングにより検出されたがんと比較すると、対照群のがんでは1.36(95%CI、1.10-1.68)であった。 [3]

第3の研究では、英国において1998年から2003年までに診断された女性計5,604人のスクリーニング発見乳がんの患者と症状のある乳がんの患者との間で転帰の比較が行われた。腫瘍のサイズ、リンパ節転移の状態、悪性度、患者の年齢について調整が行われた結果、スクリーニング発見乳がんの女性の方が症状のある乳がん患者よりも経過が良好であったことが明らかになった。症状のある乳がん女性の生存に対するハザード比は0.79であった(95%CI、0.63-0.99)。 [4] したがって、がんの検出方法は転帰の強力な予測因子であり [2] 、予後判定および治療決定に有用な情報となる。この研究の知見はまた、スクリーニングで検出されたがんの一部は低リスクで過剰診断であるという証拠とも一致している。


参考文献
  1. Sickles EA: Findings at mammographic screening on only one standard projection: outcomes analysis. Radiology 208 (2): 471-5, 1998.[PUBMED Abstract]

  2. Joensuu H, Lehtimäki T, Holli K, et al.: Risk for distant recurrence of breast cancer detected by mammography screening or other methods. JAMA 292 (9): 1064-73, 2004.[PUBMED Abstract]

  3. Shen Y, Yang Y, Inoue LY, et al.: Role of detection method in predicting breast cancer survival: analysis of randomized screening trials. J Natl Cancer Inst 97 (16): 1195-203, 2005.[PUBMED Abstract]

  4. Wishart GC, Greenberg DC, Britton PD, et al.: Screen-detected vs symptomatic breast cancer: is improved survival due to stage migration alone? Br J Cancer 98 (11): 1741-4, 2008.[PUBMED Abstract]

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正確度に関連する変数

患者の特徴

スクリーニングを受診する女性について、マンモグラフィの正確度に関連するいくつかの特徴としては、年齢、乳腺密度、最初の検査であるかその後の検査であるか、最後のマンモグラフィからの経過時間などが挙げられる。年齢の低い女性では感度が低くなり、年齢の高い女性よりもスクリーニングマンモグラフィでの偽陽性率が高い(詳しい情報については、Breast Cancer Surveillance Consortiumの年齢別の性能測定を参照のこと)。

いずれの年齢の女性でも、乳腺密度が高ければ特異度は10~29%低くなる。 [1] 高い乳腺密度は生来の体質であり、家族性である可能性があるが [2] [3] 、他にも、年齢、内因性 [4] および外因性 [5] [6] のホルモン [7] 、タモキシフェンのような選択的エストロゲン受容体調節因子 [8] 、食事の影響も受ける。 [9] ホルモン療法は高い乳腺密度と関連し、低い感度だけでなく、中間期がんの割合の増加とも関連している。 [10]

英国のMillion Women Studyは、50~64歳の女性に対するスクリーニングマンモグラフィの感度と特異度の低下と関連した次の3つの患者の特徴を明らかにした:閉経後のホルモン療法の使用、以前の乳房手術、および25未満の肥満指数。 [11] さらに、前回のマンモグラフィからの間隔が長いほど、感度、リコール率、がん検出率は高くなり、特異度は低くなる。 [12]

マンモグラフィの感度を改善すべく、食事内容の変更、月経周期によるマンモグラフィの実施時期の調節、検査前のホルモン療法の中断、デジタルマンモグラフィ機器の使用など、さまざまな戦略が提唱されている。 [13] 肥満の女性は体重が標準以下および正常の女性と比べてマンモグラフィの結果が偽陽性となるリスクが20%以上高くなるが、感度に変化はない。 [14]

腫瘍の特徴

他のがんと比べてマンモグラフィで容易に発見されるがんがある。特に、粘液性、小葉性で増殖の速いがんはX線上の外観は正常な乳腺組織に類似しているため、見逃されることがある。 [15] 髄様がんも同様に見逃されることがある。 [16] 一部のがん、特にBRCA1/2突然変異に関連するがんは良性腫瘍に類似している。 [17] [18]

医師の特徴

放射線科医の能力はマンモグラフィの読影力を評価する上できわめて重要であるが、放射線科医によってかなりの差があることが十分に実証されている。放射線科医の能力に影響する因子としては、経験値および放射線科医が読影したマンモグラム数が挙げられる。 [19] 感度と特異度の間にはしばしばトレードオフが存在するため、感度を高くすると特異度が低くなる可能性がある。学術センターの放射線科医は、地域の放射線科医よりも生検を実施する推奨した場合の陽性適中率(PPV)が高い。 [20] 乳房画像検査のフェローシップ・トレーニングはがん発見の向上につながるが、偽陽性率の増加と関連している。 [13]

施設の特徴

患者と放射線科医の特徴で調整した後、スクリーニングマンモグラフィの読影力(特異度、PPV、曲線下面積[AUC])は施設によって異なり、施設レベルの特徴に関連する。スクリーニング検査のみを提供し、乳房画像検査専門家のスタッフを有し、二重読影に対して単独読影を行い、毎年2回以上読影監査による見直しを受けていた施設では、スクリーニングマンモグラフィの読影の正確度が高かった。 [21]

偽陽性率は診断的マンモグラフィを実施している施設間では有意に差があり、医療過誤への関心が高い施設では偽陽性率が比較的高い。 [22] また偽陽性率は、弱い立場にある女性(人種または民族的少数派の女性および教育達成度が低く、家計収入が少なく、非都市部在住の女性)にサービスを提供している施設では、それ以外の女性にサービスを提供している施設と比べて高いが、その理由はおそらく追跡検査の推奨に対するコンプライアンスが低いためであろう。 [23] 重要な患者の特徴に対する調整を行っていない分析では、全体としての正確度における施設による変動が実際よりも大きいと誤って結論付けられる可能性がある。 [22]

国際的な比較

スクリーニングマンモグラフィを多国間で比較したところ、集約度の高いスクリーニングシステムと国で定めた品質保証プログラムのある国では特異度が高くなることが判明した。 [24] [25] 例えば、1件の研究では、リコール率は、米国の方が英国よりも2倍高いが、がん発見率に違いはないと報告された。そのような比較では、社会的、文化的、経済的交絡因子が考えられる。 [25]

有病率 vs その後の検査と検査の間隔

がん診断の可能性は、有病率(初回)のスクリーニング検査時が最も高く、検診1,000件につき年齢に応じて9~26例のがんが見つかる。その可能性は追跡検査を重ねる間に低下して、がん診断はスクリーニング1,000件につき1~3例となる。 [26] スクリーニングマンモグラフィの最適な実施間隔は不明である。特に、乳がん死亡率を対象としたランダム化比較試験では単一のスクリーニング間隔を使用し、試験間でほとんど差がなかった。英国で実施された1件のプロスペクティブ試験では、50~62歳の女性が1年ごとまたは標準的な3年ごとのマンモグラフィを受ける群にランダムに割り付けられた。悪性度およびリンパ節転移の状態は両群とも同程度であったが、3年ごとにスクリーニングを実施する群と比較した場合、1年ごとにスクリーニングを実施する群では、サイズがやや小さいがんが多く検出され、リードタイムは約7ヵ月であった。 [27]

ある大規模な観察研究によると、40代女性で2年ごとに実施するスケジュールに従った群は、1年ごとの実施スケジュールに従った群に比べ、診断時に進行がんとなるリスクがわずかに増大した(28% vs 21%;オッズ比[OR]、1.35;95%信頼区間[CI]、1.01-1.81)が、50代または60代女性では差は認められなかった。 [28] [29]

フィンランドの研究では、40~49歳の女性14,765人を対象に、誕生日が偶数年の女性を1年ごとのスクリーニング群に、誕生日が奇数年の女性を3年ごとのスクリーニング群に割り付けた。この研究は死亡者数の点で小規模であったため、両群間の乳がん死亡率を識別するには検出力が乏しかった。3年ごとのスクリーニング群における100,738生存年での乳がんによる死亡者数は18人で、1年ごとのスクリーニング群における88,780生存年での乳がんによる死亡者数は18人であった(ハザード比、0.88;95%CI、0.59-1.27)。 [30]


参考文献
  1. Rosenberg RD, Hunt WC, Williamson MR, et al.: Effects of age, breast density, ethnicity, and estrogen replacement therapy on screening mammographic sensitivity and cancer stage at diagnosis: review of 183,134 screening mammograms in Albuquerque, New Mexico. Radiology 209 (2): 511-8, 1998.[PUBMED Abstract]

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  3. Boyd NF, Dite GS, Stone J, et al.: Heritability of mammographic density, a risk factor for breast cancer. N Engl J Med 347 (12): 886-94, 2002.[PUBMED Abstract]

  4. White E, Velentgas P, Mandelson MT, et al.: Variation in mammographic breast density by time in menstrual cycle among women aged 40-49 years. J Natl Cancer Inst 90 (12): 906-10, 1998.[PUBMED Abstract]

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  9. Boyd NF, Greenberg C, Lockwood G, et al.: Effects at two years of a low-fat, high-carbohydrate diet on radiologic features of the breast: results from a randomized trial. Canadian Diet and Breast Cancer Prevention Study Group. J Natl Cancer Inst 89 (7): 488-96, 1997.[PUBMED Abstract]

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スクリーニングの有害性

スクリーニングマンモグラフィは、一定の母集団の乳がん死亡率を低下させるのに有効な可能性があるが、参加する女性に危害を与える可能性がある。これらの制限は、偽陽性(検査の特異度に関係する)、過剰診断(臨床的意義をもたないであろう真の陽性)、偽陰性(検査の感度に関係する)、検査に伴う不快感、放射線曝露リスクおよび不安として最もよく表される。

表2は、年1回のスクリーニングマンモグラフィを10年間にわたって受診する女性10,000人について推定されるスクリーニングマンモグラフィの有益性と有害性の概要を示している。 [1]

表2.年1回のスクリーニングマンモグラフィを10年間にわたって受診する女性10,000人について推定されるマンモグラフィスクリーニングの有益性と有害性a

年齢、歳 マンモグラフィスクリーニングにより、次の15年間にわたって回避される乳がん死亡数 10年間に1回以上偽陽性結果となる数(95%CI) 10年間に1回以上の偽陽性結果が生検実施につながる数(95%CI) 臨床的には決して重要にならない乳がんまたはDCISが10年間に診断される数(過剰診断)
CI = 信頼区間;DCIS = 非浸潤性(in situ)乳管がん。
a出典:Pace and Keating. [1]
b回避された死亡数の出典:Welch and Passow. [2] 下方限界は、(カナダの試験 [3] [4] の最小限の有益性に基づいて)乳がん死亡の相対リスクが0.95であった際の乳がん死亡の低下を示し、上方限界は、(スウェーデンの2-County Trial [5] に基づいて)相対リスクが0.64であった際の乳がん死亡の低下を示す。
c偽陽性および生検の推定値および95%信頼区間はHubbard et al.およびBraithwaite et al.において報告された10年累積リスクである。 [6] [7]
d過剰診断例はWelch and Passowにより算出された。 [2] 下方限界はMalmö試験 [8] の結果に基づく過剰診断であり、上方限界はBleyer and Welch [9] からの推定値である。
eWelch and Passow [2] により報告された過剰診断の下方限界推定値の出典はMalmö試験 [8] であった。この研究には50歳未満の女性は登録されなかった。
40 1–16 6,130 (5,940–6,310) 700 (610–780) ?–104e
50 3–32 6,130 (5,800–6,470) 940 (740–1,150) 30–137
60 5–49 4,970 (4,780–5,150) 980 (840–1,130) 64–194


偽陽性による追加介入の可能性

マンモグラフィの特異度(詳しい情報については、本要約の乳がんスクリーニングの概念のセクションを参照のこと)は、偽陽性の結果による追加介入の件数に影響する。乳がんは女性において最もよくみられる非皮膚性のがんであるが、スクリーニングを受けた場合に病変を実際にもつのは女性1,000人当たり5人未満である。このため、たとえマンモグラフィの特異度が90%であっても、異常を示した検査結果の大部分は偽陽性である。 [10] スクリーニングマンモグラフィで異常と判定された女性は、懸念領域の拡大撮影を行うための追加マンモグラフィ、超音波検査、磁気共鳴画像法、および組織採取(穿刺吸引法、針生検、または切除生検による)を受ける。

健康維持機構に加入している女性2,400人における乳がんスクリーニング研究では、10年間に88例のがんが診断され、そのうち58例がマンモグラフィで同定されたことが分かった。この期間中、被験者の3分の1に、追加検査を必要とするマンモグラム異常所見が認められて、539人に追加のマンモグラフィ、186人に超音波検査、188人に生検が実施された。マンモグラフィの異常所見による累積生検率(真の陽性率)は、約1/4(23.6%)であった。この母集団におけるスクリーニングマンモグラフィ異常所見での陽性適中率(PPV)は、40~49歳の女性で6.3%、50~59歳で6.6%、60~69歳で7.8%であった。 [11] 1983年7月から1995年6月までHarvard Pilgrim Health Care planに継続加入していた女性コホートから得られたデータの継続解析とモデリングでは、マンモグラフィで少なくとも1回偽陽性となるリスクは、初回マンモグラフィで7.4%(95%信頼区間[CI]、6.4%-8.5%)で、5回までのマンモグラフィで26.0%(95%CI、24.0%-28.2%)、9回までのマンモグラフィで43.1%(95%CI、36.6%-53.6%)と推定された。 [12] 9回目のマンモグラフィまでに少なくとも1回偽陽性である累積リスクは、4つの患者の変数(比較的年齢が低いこと、以前の乳房生検回数が多いこと、乳がんの家族歴、および現在のエストロゲン使用)と3つのX線の変数(スクリーニングの間隔が長いこと、現在および以前のマンモグラムの比較を行えないこと、およびマンモグラムを異常と解釈する放射線科医それぞれの傾向)によって、5%から100%まで変動した。全体的に見て、マンモグラムが偽陽性となる最大の危険因子は、放射線科医それぞれがマンモグラムを異常と読影する傾向であった。

地域社会ベースのスクリーニングに関する1件のプロスペクティブ・コホート研究により、1年ごとにスクリーニングを受けた女性が10年後に少なくとも1回のスクリーニングで偽陽性を経験する割合は、乳腺密度に関係なく、2年ごとにスクリーニングを受けた女性における割合よりも高いことが明らかにされた。散在性線維腺組織(scattered fibroglandular densities)を有する女性について、40歳代でのこの差は68.9%(1年ごと) vs 46.3%(2年ごと)であった。この乳腺組織を有する集団の50~74歳の女性における差は、49.8%(1年ごと) vs 30.7%(2年ごと)であった。 [13]

1件の研究 [14] では、65歳を超える23,172人の女性についてマンモグラフィによるスクリーニング後のメディケアの請求を見直すことで、1,000人中85人が追跡検査を受け、23人が生検を受け、7人ががんであったことが分かった。したがって、異常なマンモグラムに対する陽性適中率は8%であった。70歳を超える女性では、陽性適中率は14%であった。

1998年に単一施設で実施されたマンモグラムの監査では、調査対象の14.7%が追加検査(Breast Imaging Reporting and Data Systemカテゴリー0)、1.8%が生検(カテゴリー4と5)、5.7%が短期間隔でのマンモグラフィの受診(カテゴリー3)を勧められるに至ったことが分かった。追加検査に紹介された症例の0.5%に、がんが診断された。 [15]

表2に示されているように、年1回のスクリーニングマンモグラフィを10年間にわたって受診する女性10,000人のうち、少なくとも1回は偽陽性結果となる女性の推定数は、40~50歳の女性で6,130人、60歳の女性で4,970人である。偽陽性結果が生検実施につながる女性の数は年齢によって700~980人に及ぶと推定されている。 [1]

過剰診断

過剰診断される疾患とは、スクリーニングを実施していなければ臨床的に明らかにならない腫瘍と定義される。がん以外の原因で死亡した女性におけるがんの有病率は驚くほど高い。7件の剖検研究の概要では、有病率の中央値は潜伏浸潤性乳がんで1.3%(範囲、0~1.8%)、非浸潤性(in situ)乳管がんで8.9%(範囲、0~14.7%)であった。 [16] [17]

現在のところ、医師は疾患および/または死亡の原因となるであろうがんと、潜伏したままのがんとを確信的に識別することはできないため、すべてのがんが治療される。

スクリーニングで発見され過剰診断されたがんの数を明らかにするには、スクリーニング受診集団における経時的な乳がん発生率をスクリーニング非受診集団のそれと比較するとよい。

集団ベース研究では、スクリーニング受診集団とスクリーニング非受診集団とでスクリーニング以外が同じであれば過剰診断の程度を実証できる。残念ながら、集団は時代、地理、健康行動、および閉経後ホルモン療法の使用について異なっている可能性がある。さらに、研究者はリードタイムバイアスなどの特徴に対応しているため、研究者間で過剰診断の算定に相違がみられている。 [18] [19] 結果として、スクリーニングマンモグラフィによる過剰診断の割合については現在も論争が続いており、その推定値には0~54%という大きな幅がみられる。 [8] [18] [19] [20]

数件の集団ベースの観察研究では、スクリーニングの導入前後における乳がんの発生率の推移に注目している。 [21] [22] [23] [24] [25] もし過剰診断が存在しない(なおかつスクリーニングの他の性質は不変)とすれば、発生率はスクリーニング導入前の水準からいったん上昇してから低下へと転じ、累積での発生率はほぼ同様となるはずである。しかし、このような結果は観察されていない。スクリーニングの開始により乳がん発生率の上昇はみられたものの、その後の代償的な低下は確認されていない。例えば、スウェーデンの非都市部11県での1件の研究では、スクリーニングの開始以降乳がん発生率の上昇が持続していることが示された。 [22] ノルウェーとスウェーデンの集団ベースの別の研究では、全国的なスクリーニングプログラムの導入後、50~69歳の女性において、ノルウェーでは54%、スウェーデンでは45%の浸潤性乳がん発生率の増加が示された。 [26] 過剰診断を示唆する同様の知見が英国 [23] および米国 [24] [25] で報告されている。

過剰診断を示すものとして、スクリーニングによる乳がん発生率の増加が早期乳がんでみられる傾向があり、より遅い病期の減少がほとんどまたは全く伴わないことである。ノルウェーの1件のコホート研究で、個別の県内でのスクリーニング導入後、年齢に基づいてスクリーニングに適格な女性におけるがん発生率の増加と、スクリーニングに適格ではないより年齢の低い女性におけるがん発生率とが比較された。適格な女性では限局性がんの発生率が60%増加した(相対リスク[RR]、1.60;95%CI、1.42-1.79)一方、進行がん発生率の増加は2群間で同程度のままであった(RR、1.08;95%CI、0.86-1.35)。 [27]

米国の異なる郡を比較した集団研究では、スクリーニングマンモグラフィの利用率が高いほど乳がん診断率が高かったが、10年乳がん死亡率における対応する低下はみられなかったことが示された。 [28] この研究の強みは、非常に大規模であること(1600万人の女性)と郡間で観察された相関の強さおよび一貫性が挙げられる。この研究の制限としては、生態学的研究に固有の制限(生態学的研究は、曝露または介入[すなわち、スクリーニングマンモグラフィ]およびアウトカム[すなわち、がん診断または死亡]が同じ地域またはケアの設定において発生する頻度に関係する)および以下のように測定値の信頼性を低下させうる3つのデザインの特性が挙げられる: [28]

  1. マンモグラフィによるスクリーニングの自己報告(診断的マンモグラムをスクリーニングマンモグラムと誤認していることがある)。
  2. スクリーニングマンモグラフィの受診を評価する上で1年のウィンドウ期間よりも2年のウィンドウ期間の使用(スクリーニングの受診を過大評価する可能性がある)。
  3. 解析期間(ホルモン補充療法による乳がん発生率における一過性の上昇)。

ランダム化臨床試験であるCanadian National Breast Screening Studyで指摘された過剰診断の程度の推定値が報告されている。5回のスクリーニング検査終了時にマンモグラフィ受診群では対照群と比較して142例の過剰な浸潤性乳がんが診断された。 [29] 15年経過時に対照群と比較したマンモグラフィ受診群のがん症例の過剰数は106例であった;これはスクリーニングで発見された484例の浸潤がんに対する過剰診断の割合は22%であったことを意味している。 [29]

表2では、10,000人の女性の10年間にわたるスクリーニング中に診断される、臨床的には決して重要にならない(過剰診断)乳がんまたは非浸潤性(in situ)乳管がんを有する女性の推定数が示されている。旧技術のマンモグラフィおよび乳房視触診を用いたHealth Insurance Plan研究では過剰診断は認められなかった。改善された技術を用いたマンモグラフィの時代では過剰診断がより顕著になっている。しかしながら、死亡率の低下に関して旧技術のマンモグラフィを上回る新技術のマンモグラフィの有益性は実証されていない。 [1]

偽陰性による誤った安心感の可能性

マンモグラフィの感度(詳しい情報については、本要約の乳がんスクリーニングの概念のセクションを参照のこと)には、女性の年齢と乳腺密度に応じて70~90%と幅がみられ、乳腺密度は遺伝的素因、ホルモン状態、および食事の影響を受ける。平均感度を80%と仮定すると、マンモグラムはスクリーニング時に存在している乳がんの約20%を見落とすことになる(偽陰性)。見落とされたこれらのがんの多くが高リスクであり、有害な生物学的特徴を有する(詳しい情報については、本要約の乳がんスクリーニングの概念のセクションの中間期がんのサブセクションを参照のこと。)正常なマンモグラムであるために女性または担当医が乳房の症状の評価を中止または延期すると、女性が有害な結果を被る可能性がある。したがって、乳房に症状が認められる場合はマンモグラムが陰性であっても精密検査を必ず行うべきである。

不快感

マンモグラフィに際しては、動きの人為的結果を少なくし、画像の質を向上させるため、乳房の圧迫が重要である。そのため女性の位置決めが重要である。マンモグラフィ中に痛みや不快に感じる頻度を評価した1件の研究の報告によると、マンモグラフィを受診した女性の90%が不快に感じ、女性の12%は強烈なまたは耐えられない感覚であると評価した。 [30]

放射線曝露

放射線リスクの主な予測因子は、曝露時に若年であること、および線量である。40歳を超える女性にとって年1回のマンモグラムの有益性はおそらくマンモグラフィによる放射線曝露の潜在的リスクよりも勝るが [31] 、女性のある亜集団は電離放射線による障害に遺伝的感受性をもっている可能性がある。 [32] [33] 米国におけるスクリーニングマンモグラフィの乳腺への平均線量は、1回の撮影当たり1~2mSv、または1回の標準2方向撮影当たり2~4mSvである。 [34] [35] マンモグラフィによる放射線曝露は乳房に対するものであり、全身に対する有効線量としては0.29mSvより低くなる。したがって、年1回のマンモグラフィを受けている40~80歳の女性1,000人につき、最大で1件の乳がんが引き起こされると推定される。統計モデルによると、放射線量を増やす必要のある大きな乳房を持つ女性や、追加の見解を必要とする豊胸の女性では、リスクは倍増するであろう。放射線誘発乳がんは、40歳で毎年スクリーニングを開始する場合より、50歳で2年ごとのスクリーニングを開始する女性の方が5倍減らすことができる。 [36]

不安

多くの女性が偽陽性の検査結果を得ているため、追加検査により引き起こされうる心理的苦痛の問題が研究されている。スクリーニングマンモグラフィから3ヵ月経過した時点で実施された308人の女性の電話調査法では、疑わしい結果の出た女性68人の約1/4が、二次検査でがん診断の可能性が否定されたにもかかわらず、その時点でも気分や身体機能を損なうほどの不安に苛まれていることが明らかになった。 [37] しかし、数件の研究 [38] [39] [40] では、偽陽性の検査結果の評価後の不安が原因となって、その後のスクリーニングへの参加が増大したことが示されている。 [41]


参考文献
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乳がんのスクリーニング法-乳房画像検査以外

乳房視触診

単独のスクリーニング方法としての乳房視触診(CBE)に関するランダム化試験はまだ報告されていない。カナダのNational Breast Screening Study(NBSS)では、50~59歳の女性を対象に質の高いCBE + マンモグラフィの併用とCBEのみ実施とが比較された(詳しい情報については、本要約の概要のセクションの乳房視触診のサブセクションを参照のこと)。1乳房当たり5~10分間行うCBEは、診療の質を定期的に評価されている熟練した医療専門家が行った。がん診断の頻度、病期、中間期がん、および乳がん死亡率は、この2群間ではほぼ同じであり、他のマンモグラフィ単独の試験と比べても遜色がなかったが、これはおそらくCBEを実施する医療専門家の慎重な訓練と指導監督によるものであったと考えられる。 [1] 登録後11~16年追跡(平均13年)した時点での乳がん死亡率は、2つのスクリーニング群間でほぼ同じであった(死亡率比、1.02[95%信頼区間[CI]、0.78-1.33])。 [2] 研究者らは、CBE単独について作業特性を推測した;50~59歳の女性19,965人では、試験開始から1、2、3、4、および5年の感度はそれぞれ83%、71%、57%、83%、および77%であり、特異度は88%と96%の間に分布した。陽性適中率(PPV)とは、検査で異常を認めた件数に対する検知されたがんの割合を示し、3~4%と推定された。登録時にのみ検査を受けた40~49歳の女性25,620人について、推定感度は71%、特異度は84%、PPVは1.5%であった。 [3]

地域の臨床医におけるスクリーニングのためのCBEは、乳がんスクリーニングの臨床試験における検査者と比較して特異度が高く(97~99%) [4] 、感度は低い(22~36%)。 [5] [6] [7] [8] 乳がん家族歴のある女性における1件のスクリーニング研究では、通常の初期評価の後、患者自身または臨床医が実施するCBEの方がマンモグラフィより多くのがんを同定したことが示された。 [9] 別の研究では、スクリーニングマンモグラフィにCBEを追加する方法の有用性が調査された;マンモグラフィおよびCBEによるスクリーニングを受けた40歳を超える女性61,688人において、マンモグラフィの感度は78%、マンモグラフィとCBEの併用した場合の感度は82%であった。両方のスクリーニング法を受けた女性は、マンモグラフィ単独を受けた女性よりも、特異度が低かった(97% vs 99%)。 [10] インドおよびエジプトでCBEに関する2件の国際的試験が進行中である。

乳房自己検査

月1回の乳房自己検査(BSE)が奨励されているが、乳がん死亡率を低下させる上でその有効性を裏付ける固い証拠はない。 [11] [12] 唯一の運営が優れたBSEの大規模ランダム化臨床試験では、上海において女性の工場勤務者266,064人を、BSEの指導、強化、奨励群、または背中下部の痛みの予防に関する指導の群にランダムに割り付けた。両群とも他の方法による乳がんスクリーニングは受けなかった。10~11年間の追跡調査の後、指導群の乳がん死は135例、対照群では131例であった(相対リスク[RR]、1.04;95%CI、0.82-1.33)。両群における浸潤性乳がんの診断例はほぼ同数であったが、指導群では、胸部生検を受けた症例と良性病変が診断された症例が対照群の症例よりも多かった。 [13]

BSEに関する他の研究は少ない。第一に、レニングラードの研究者が、10万人以上の女性にBSEトレーニング群または対照群へのクラスターランダム化を実施した。BSEトレーニング群では乳房生検が多く行われたが、乳がん死亡率の改善は得られなかった。 [14] 第二に、英国の乳がん早期発見試験(United Kingdom Trial of Early Detection of Breast Cancer)では、2つの地域で45~64歳の女性63,500人以上をBSEの講習会に招いた。10年間の追跡後、組織的なBSE教育を実施しなかった施設から得た女性と比較して乳がん死亡率の差は認められなかった(RR、1.07;95%CI、0.93-1.22)。 [15] 第三(最後)に、カナダ全国乳がんスクリーニング研究内ネステッドケースコントロール研究では、登録前の自己申告によるBSE実践頻度と乳がん死亡率とが比較された。自分の乳房を視覚的にチェックして、指球と示指、中指、薬指の3本の指で腫瘤の有無を調べた女性の方が、乳がん死亡率が低かった。 [16]

組織採取(穿刺吸引法、乳頭吸引法、乳管洗浄法)

乳がんのスクリーニング方法として、悪性腫瘍が乳房組織にないかを分析するためのさまざまな方法が提唱されている。

任意の乳輪周囲の穿刺吸引法を乳がんリスクの高い女性480人に実施して、中央値にして45ヵ月間モニタリングした。 [17] 20人の女性が乳腺腫瘍を発症した(浸潤性乳がん13例、非浸潤性[in situ]乳管がん[DCIS]7例)。多重ロジスティック回帰分析およびCox比例ハザード解析を用いることにより、異型乳管過形成の診断はその後のDCISおよび浸潤性乳がんの発生と関係があることが明らかになった。

乳頭分泌液細胞診を2,701人の女性に実施し、平均12.7年間にわたってその後の乳がんの発生をモニタリングした。 [18] DCIS11例および浸潤がん93例をはじめ、全乳がん発生率は4.4%であり、乳頭分泌液細胞診異常との関連が認められた。一方、乳腺新生物の割合は、乳頭分泌液を吸引できなかった352人ではわずか2.6%であったが、上皮過形成のみられる327人では5.5%、異型過形成のみられる58人では10.3%であった。

乳がんリスクの高い女性507人に対して、乳頭分泌液吸引に続いて乳管洗浄を実施した研究の報告がある。 [19] 417人から乳頭分泌液を得たが、わずか111(27%)だけがサンプルとして適切だった。計383例の乳管洗浄液検体が評価され、このうち299(78%)が診断を下すのに適切なものであった。92例(24%)の乳管洗浄検体に異常細胞が認められ、内訳は軽度の異型性88例(17%)、著明な異型性23例(6%)、悪性腫瘍1例(1%未満)であった。乳頭吸引液の場合、それぞれ16例(6%)、8例(3%)、1例(1%未満)であった。乳管洗浄に伴う不快感は、参加者によってマンモグラフィに伴う不快感と同程度と判断された。乳管洗浄スクリーニングはマンモグラフィと比較されておらず、効力または死亡率の低下を示す証拠がないため、スクリーニングツールまたは診断ツールとしての使用は依然として研究段階にある。


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特殊集団

スクリーニングによる利益がほとんどない個人

余命が限られた女性患者

スクリーニングの有益性と有害性のバランスをとることは、平均余命が5年以下の女性の場合、特に重要である。このような女性は、終末期の腎疾患や重度の認知症、末期がん、または日常生活の活動における機能的依存を伴う重度の共存症を有する場合がある。早期がんの検出および迅速な治療が、期待寿命が5年以内の女性の罹病率および死亡率を低下させる可能性は低いが、スクリーニングによる否定的な結果はすぐに発生することとなる。スクリーニングの異常結果は追加検査を受けることになり、これに付随して不安が生じる。特に、低リスクの悪性腫瘍の検出はおそらく治療を推奨される結果となり、生存率の改善はなく、生活の質を改善するよりむしろ損なう場合がある。これらの点が考慮されているにもかかわらず、年齢または健康状態のために余命の短い女性の多くがしばしばスクリーニングマンモグラフィを受けている。 [1] かなりの割合の進行がん患者が、有益性を提供する可能性があまりないがんスクリーニング検査を継続して受けている。例えば、進行がんの女性は対照群と比較して、少なくとも1回のスクリーニングマンモグラフィを受けた割合が8.9%(95%信頼区間[CI]、8.6%-9.1%)であったのに対して、対照群では22%(95%CI、21.7%-22.5%)であった。 [2]

高齢女性

65歳以上の女性を対象としたスクリーニングマンモグラフィでは、しばしば1,000人当たり85人の女性で追加の診断検査が行われ、9人にがんが診断される。この検査はしばしば終了までに何ヵ月もかかり、不安を引き起こしうる。 [3] スクリーニングマンモグラフィでは、高齢女性の約1%においてがんの診断がなされるが、これらのがんの多くは低リスクである。65~79歳のカリフォルニアのメディケア受給者を対象とした研究が、これを明らかに示した。限局性乳がんの検出の相対リスク(RR)はスクリーニングを受けた女性では3.3(95%CI、3.1-3.5)であった。スクリーニングを受けた女性では転移性がんの診断が少なく(RR、0.57)、高齢女性におけるスクリーニングマンモグラフィの有益性を示唆するが、同時に過剰診断のリスクも高い。 [4]

若年女性

40歳未満の平均リスクの女性におけるスクリーニングマンモグラフィの実施については証拠がない。

男性

全乳がんの約1%が男性に発症する。ほとんどの症例は、触知可能の病変(通常は容易に発見できる)の評価を行う間に診断される。治療は手術、放射線照射、補助全身ホルモン療法、または化学療法で構成される。男性の乳がんはまれであるため、何らかのスクリーニング法が有用であるという可能性はきわめて低い。

乳がんリスクが高いため、スクリーニングの利益が多いと考えられる個人

胸部放射線療法を受けたことのある女性

乳がんのスクリーニングは、胸部が治療的放射線に曝露された女性、特に若年で曝露された場合に勧められている。30歳以前に大線量(20Gy以上)の胸部放射線に曝露された女性を対象とした観察研究の1件の系統的レビューにより、乳がんに対する標準化発生比は、年齢の増加に応じたプラトーを伴わずに13.3~55.5であることが明らかにされた。 [5] スクリーニングマンモグラフィと磁気共鳴画像法は、これらの女性において早期がんを同定することができるものの、その有益性とリスクは明確に確認されていない。

人種

年齢調整乳がん発生率は黒人女性より白人女性の方が高いものの、死亡率は黒人女性の方が高い。2004年から2010年に診断された乳がん症例の中で、限局性乳がんを有したのは白人女性の62%、黒人女性のわずか52%であった。限局性乳がんの5年相対生存率は、白人女性では99.1%であり、黒人女性では94.0%であった;局所病変では、白人女性で86.0%、黒人女性で74.6%であった;遠隔転移例では白人女性で26.2%および黒人女性で16.4%であった。 [6] 乳がん発生率および死亡率はいずれも、ヒスパニック系およびアジア系/太平洋諸島の女性では白人および黒人よりも低い。 [6] 黒人女性の生存率は白人女性よりも不良であるが、これは少なくとも一部には黒人女性がトリプルネガティブ表現型などの不良な組織学的特徴を有する頻度が高いためである。 [7]

これらの知見の説明がいくつか提唱されており、それらには、社会経済的状態の悪さ、教育水準の低さ、スクリーニングおよび治療サービスを受ける機会の少なさがある。集団ベースの研究は、他のグループに比べ、すべての人種のメディケイド受給者および保険未加入者は、病期が進行した乳がんの診断を受けており、また、診断からの生存期間も短いことを実証している。こうした違いは社会経済的状況に関連しており、スクリーニング活動への不参加を反映している。 [8] [9] 65歳を超える黒人女性がスクリーニングマンモグラフィを受ける可能性は低い。しかし、定期的にマンモグラフィを受ける人々の場合は、黒人女性も白人女性もほぼ同じ病期のがんが診断されていた。 [10]

ヒスパニック系母集団についても同じような研究が実施されている。カリフォルニア州のサンディエゴ郡における診断時の乳がんの病期は、特に50歳未満で、白人女性よりもヒスパニック系女性の方が進行していた。所得の低い白人は所得の高い白人よりも病期が進行して診断される可能性が高かった。ヒスパニック系女性間には収入による差は認められなかったが、このヒスパニック系グループすべての所得レベルは、白人の最低所得レベルと同じかそれを下回っていた。 [11] ニューメキシコでは、各グループの半数が乳がんとなる集団ベースのケースコントロール研究で、ヒスパニック系719人と白人836人の乳がん患者の妊娠、出産歴を調査した。ヒスパニック系女性の方が肥満指数が高く、出産回数が多く、妊娠も早かった。 [12] 最初の満期出産年齢、出産歴、授乳期間などの生殖に関する諸因子は、閉経後女性における乳がん発生率の民族差の原因となるのに対して、このような諸因子が閉経前女性における乳がん発生率の民族差に何らかの役割を果たすことを示す証拠はなかった。アルバカーキの健康維持機構におけるスクリーニングマンモグラフィの研究からは、ヒスパニック系女性は一貫して白人女性よりもスクリーニング受診率が低いことが分かった(1989年には50.6% vs 65.5%、1996年には62.7% vs 71.6%)。 [13] 診断時の進行病期の予測因子は、ヒスパニック系(オッズ比、2.12)および若年者であることであった。


参考文献
  1. Walter LC, Lindquist K, Covinsky KE: Relationship between health status and use of screening mammography and Papanicolaou smears among women older than 70 years of age. Ann Intern Med 140 (9): 681-8, 2004.[PUBMED Abstract]

  2. Sima CS, Panageas KS, Schrag D: Cancer screening among patients with advanced cancer. JAMA 304 (14): 1584-91, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Welch HG, Fisher ES: Diagnostic testing following screening mammography in the elderly. J Natl Cancer Inst 90 (18): 1389-92, 1998.[PUBMED Abstract]

  4. Smith-Bindman R, Kerlikowske K, Gebretsadik T, et al.: Is screening mammography effective in elderly women? Am J Med 108 (2): 112-9, 2000.[PUBMED Abstract]

  5. Henderson TO, Amsterdam A, Bhatia S, et al.: Systematic review: surveillance for breast cancer in women treated with chest radiation for childhood, adolescent, or young adult cancer. Ann Intern Med 152 (7): 444-55; W144-54, 2010.[PUBMED Abstract]

  6. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2011. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2014. Also available online. Last accessed November 18, 2016.[PUBMED Abstract]

  7. Bauer KR, Brown M, Cress RD, et al.: Descriptive analysis of estrogen receptor (ER)-negative, progesterone receptor (PR)-negative, and HER2-negative invasive breast cancer, the so-called triple-negative phenotype: a population-based study from the California cancer Registry. Cancer 109 (9): 1721-8, 2007.[PUBMED Abstract]

  8. Roetzheim RG, Pal N, Tennant C, et al.: Effects of health insurance and race on early detection of cancer. J Natl Cancer Inst 91 (16): 1409-15, 1999.[PUBMED Abstract]

  9. Bradley CJ, Given CW, Roberts C: Race, socioeconomic status, and breast cancer treatment and survival. J Natl Cancer Inst 94 (7): 490-6, 2002.[PUBMED Abstract]

  10. McCarthy EP, Burns RB, Coughlin SS, et al.: Mammography use helps to explain differences in breast cancer stage at diagnosis between older black and white women. Ann Intern Med 128 (9): 729-36, 1998.[PUBMED Abstract]

  11. Bentley JR, Delfino RJ, Taylor TH, et al.: Differences in breast cancer stage at diagnosis between non-Hispanic white and Hispanic populations, San Diego County 1988-1993. Breast Cancer Res Treat 50 (1): 1-9, 1998.[PUBMED Abstract]

  12. Gilliland FD, Hunt WC, Baumgartner KB, et al.: Reproductive risk factors for breast cancer in Hispanic and non-Hispanic white women: the New Mexico Women's Health Study. Am J Epidemiol 148 (7): 683-92, 1998.[PUBMED Abstract]

  13. Frost FJ, Tollestrup K, Trinkaus KM, et al.: Mammography screening and breast cancer tumor size in female members of a managed care organization. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 7 (7): 585-9, 1998.[PUBMED Abstract]

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説明を受けた上での医学的意思決定

説明を受けた上での医学的意思決定は、がんのスクリーニングを検討している患者に対して、ますます推奨されている。多種多様な意思決定支援が研究されている。(詳しい情報については、がんスクリーニングの概要に関するPDQ要約を参照のこと。)

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ランダム化比較試験の付録

1963年、Health Insurance Plan、米国

[1] [2]


    登録時の年齢:

    40~64歳。

    ランダム化の方法:

    個人、ただし、割り付けられた群間には、閉経状態(P < 0.0001)および教育(P=0.05)の差で明らかなように、有意な不均衡が認められる。

    サンプルサイズ:

    スクリーニング群30,000~31,092人、対照群30,565~30,765人。

    報告の整合性:

    サンプルサイズの報告にばらつきがみられる。

    介入:

    年1回の2方向撮影マンモグラフィ(MMG)と乳房視触診(CBE)を3年間。

    対照:

    通常のケア。

    コンプライアンス:

    初回スクリーニングの不参加者(スクリーニング群の35%)については再度の召喚はなされなかった。

    混合:

    スクリーニングMMGは試験以外では実施されないようになっていたが、対照群女性におけるCBEの実施回数は不明である。

    死因の帰属:

    試験登録前に乳がんと診断され乳がん死した女性は、スクリーニングと対照の群間比較から除外された。しかしながら、除外の方法は2群間で異なっていた。スクリーニング群の女性は試験期間に成された決定に基づいて、初回スクリーニング時に除外された。これらの女性は、これ以降すべての検討対象から外された。試験デザインによって、対照群患者は定期的に通院しないことになっていたため、対照群の患者の試験前のがんの状態は特定できなかった。対照群の患者が死亡し、その死因が乳がんだと特定された場合、乳がんの診断日を特定するためレトロスペクティブな調査が行われた。診断日が試験期間の前であった場合は、その対照群の患者は解析から除外された。この方法の違いには、2群間の乳がん死亡率の比較においてかなりのバイアスを含む可能性があり、このバイアスはスクリーニングに有利に働く傾向がある。

    解析:

    追跡調査。

    外部監査:

    なし。

    追跡期間:

    18年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%信頼区間[CI]):

    10年0.71(0.55-0.93)、15年0.77(0.61-0.97)。

    コメント:

    機器および技術が時代遅れであるため、後に実施された試験に比べて、MMGの質が低かった。介入群はマンモグラフィとCBEとを併用していたことを忘れてはならない。試験実施に関する主な懸念は、初回のランダム化の妥当性と乳がんの既往歴のある女性の除外基準が異なっていることである。

1976年 マルメー、スウェーデン

[3] [4]


    登録時の年齢:

    45~69歳。

    ランダム化の方法:

    個人ランダム化、第一段階のMMGスクリーニング試験(MMST I)は誕生年ごとのコホート内で。MMST IIは1933年から1945年生まれを1つのコホートとして個人ランダム化、ただし、限られた医療財源によりやむを得ず変動有り。両群にみられる年齢解析では有意差は認められない。

    除外:

    スウェーデンのメタアナリシスでは、既存の乳がんの女性393人を介入群から除外し、対照群から412人を除外した。しかし、全体でみると、除外例は対照群よりも介入群の方が86人多かった。

    サンプルサイズ:

    スクリーニング群21,088人、対照群21,195人。

    報告の整合性:

    症例数にばらつきはみられない。

    介入:

    18~24ヵ月ごとに1回2方向撮影マンモグラフィ(MMG)×5。

    対照:

    通常のケア、試験終了時にマンモグラフィ。

    コンプライアンス:

    マルメーから移住した被験者(2%/年)は追跡されなかった。被験女性の参加率は、1巡目74%、2巡目以降70%であった。

    混合:

    1回以上マンモグラフィ(MMG)を受けたのは対照群の全被験者中24%であり、45~49歳の対照群女性では35%であった。

    死因の帰属:

    初期の報告では剖検率は76%であるが、のちには低くなる。死因の評価は、乳がんの診断を受けた被験者をマスクした。スウェーデン死因登録に結びつけた。

    解析:

    初期評価。追跡解析は、スウェーデンのメタアナリシスの一部として実施。 [5]

    外部監査:

    なし。

    追跡期間:

    12年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    0.81(0.62-1.07)。

    コメント:

    評価解析には、対照群でマンモグラフィの実施が遅れたため、補正係数が必要であった。2件のMalmo試験、MMST IおよびMMST IIは、大部分の解析で1つにまとめられている。

1977年 エステルイェトランド(County E of Two-County Trial)、スウェーデン

[6] [7] [8]


    登録時の年齢:

    40~74歳。

    ランダム化の方法:

    居住地(都市部か田園部)、社会経済的因子および大きさによる層別化を用いた、地理的クラスターランダム化。ベースラインの乳がん発生率および死亡率は、ランダム化により割り付けられた地理的クラスター間で同等であった。介入群の女性は対照群の女性よりも年齢が高かった(P < 0.0001)が、この年齢差は、試験結果に大きな影響は及ぼさなかったはずである。

    除外:

    既存の乳がんの女性を両群から除外したが、文献によって報告数が異なっている。スウェーデンのメタアナリシスは、割り付けられた群とは無関係に、既に乳がんの診断を受けていた女性をすべて除外した。

    サンプルサイズ:

    スクリーニング群38,405~39,034人、対照群37,145~37,936人と、報告によりばらつきがある。

    報告の整合性:

    ばらつきがある。

    介入:

    50歳未満の女性については、2年ごとに1方向撮影マンモグラフィ(MMG)×3、50歳以上の女性については、33ヵ月ごとに1方向撮影マンモグラフィ×3。

    対照:

    通常のケア、試験終了時にマンモグラフィ。

    コンプライアンス:

    89%がスクリーニングを受けた。

    混合:

    Two-County試験において13%の女性が、主に1983年から1984年にルーチンケアとしてマンモグラフィを受けた。

    死因の帰属:

    地元の医師チームにより判断。スウェーデン死因登録から得たデータを用いてスウェーデンのメタアナリシスで試験結果を算出し直すと、既報よりもスクリーニングの有益性が小さかった。

    解析:

    当初は、対照群のマンモグラフィ実施時期の遅れを補正して、評価。追跡解析は、スウェーデンのメタアナリシスの一部として実施。 [5]

    外部監査:

    なし。しかしながら、乳がん例および乳がん死は、研究者を含むスウェーデンの委員会に評価された。 [9]

    追跡期間:

    12年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    0.82(0.64~1.05)Ostergotland(スウェーデン)。

    コメント:

    ランダム化の方法と、評価解析について懸念が提起され、対照群のマンモグラフィ実施時期の遅延に対する補正が必要とされた。スウェーデンメタアナリシスは、この問題を適切に解消した。

1977年 コッパルベリ(County W of Two-County Trial)、スウェーデン

[6] [7] [8]


    登録時の年齢:

    40~74歳。

    ランダム化の方法:

    居住地(都市部か田園部)、社会経済的因子および大きさによる層別化を用いた、地理的クラスターランダム化。ランダム化のプロセスは述べられていない。介入群の女性は対照群の女性よりも年齢が高かった(P < 0.0001)が、この年齢差は、試験結果に大きな影響は及ぼさなかったはずである。

    除外:

    既存の乳がんの女性を両群から除外したが、文献によって報告数が異なっている。

    サンプルサイズ:

    介入群38,562~39,051人、対照群18,478~18,846人と、報告によりばらつきがある。

    報告の整合性:

    ばらつきがある。

    介入:

    50歳未満については、2年ごとに1方向撮影マンモグラフィ(MMG)×3、50歳以上については、33ヵ月ごとに1方向撮影マンモグラフィ×3。

    対照:

    通常のケア、試験終了時にマンモグラフィ。

    コンプライアンス:

    89%が参加。

    混合:

    Two-County試験において13%の女性が、主に1983年から1984年にルーチンケアとしてマンモグラフィを受けた。

    死因の帰属:

    地元の医師チームにより判断(エステルイェトランド参照)。

    解析:

    評価。

    外部監査:

    なし。しかしながら、乳がん例および乳がん死は、研究者を含むスウェーデンの委員会に評価された。 [9]

    追跡期間:

    12年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    0.68(0.52-0.89)。

1976年 エジンバラ、英国

[10]


    登録時の年齢:

    45~64歳。

    ランダム化の方法:

    医師ごとのクラスターランダム化、ただし、研究開始後に、多くのランダム化割り付け法が変更された。試験への各患者の適性に関して医師の判断に基づいた被験者の募集方法が、各試験内で一貫していなかった。介入群と対照群との間には大きな社会経済的地位の差があったが、試験終了後まで認識されていなかった。

    除外:

    既存の乳がんの女性被験者の除外者数は、介入群(338)の方が、対照群(177)よりも多かった。

    サンプルサイズ:

    スクリーニング群23,226人、対照群21,904人。

    報告の整合性:

    良好。

    介入:

    初回には2方向撮影マンモグラフィ(MMG)+CBE、以降は年1回のCBEと、3年目、5年目、7年目に1方向撮影マンモグラフィ。

    対照:

    通常のケア。

    コンプライアンス:

    61%がスクリーニングを受けた。

    混合:

    なし。

    死因の帰属:

    がん登録データによる。

    解析:

    追跡調査。

    外部監査:

    なし。

    追跡期間:

    10年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    0.84(0.63-1.12)。

    コメント:

    ランダム化の過程には不備があった。全原因による死亡率が、介入群よりも対照群の方で高いのは、おそらく介入群と対照群との間の社会経済的格差のためであろう。この全原因による死亡率における差は、対照群の乳がん死亡率の4倍に当たり、このため対照群の乳がん死亡率はスクリーニングを受けた女性よりも高いことを説明しうる。最終解析には補正因子を用いたが、解析を十分に調整できたとはいえない。

この研究デザインおよび運営方法によって、これらの試験結果の評価が、また結果を他の試験結果と合わせることが難解になる。

1980年 NBSS-1、カナダ

[11]


    登録時の年齢:

    40~49歳。

    ランダム化の方法:

    個人志願者をランダム化、割り付けリストに受診順に記入された名前による。ランダム化の手順に対して批判があるが、完全に独立した審査から、破壊因子(subversion)の証拠がないことおよび試験結果に影響を及ぼすほど大規模な破壊因子はありそうもないと判明した。 [12]

    除外:

    ほとんどなく、両群とも均衡がとれていた。

    サンプルサイズ:

    スクリーニング群25,214人(CBE登録後に100%スクリーニングを受診)、対照群25,216人。

    報告の整合性:

    良好。

    介入:

    年1回の2方向撮影マンモグラフィ(MMG)とCBEを4~5年間。

    対照:

    通常のケア。

    コンプライアンス:

    当初100%、5回目のスクリーニングまでに85.5%に低下。

    混合:

    通常ケア群26.4%。

    死因の帰属:

    死亡診断書と、盲検化された検討委員会による疑いのある症例のレビュー。Statistics CanadaのCanadian Mortality Data Baseとも連携した。

    解析:

    追跡調査。

    外部監査:

    あり。独立したもので、数名の審査官がデータを解析。

    追跡期間:

    25年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群:

    1.09(95%CI、0.80-1.49)。

    コメント:

    これは、40~49歳の女性を研究するために特にデザインされた唯一の試験である。研究群および対照群とも登録時に診断されたがんが含まれた。試験完了前に、マンモグラフィの技術的妥当性、放射線科医の訓練、および機器の標準化についての懸念が表明され、そのことが独立した外部の審査を促した。この審査により明らかにされた第一の欠陥は、1980年から1985年にかけて中外斜位方向の代わりに中外方向の撮影を行っていたことであり、中外斜位方向の撮影は1985年以降に用いられた。 [13] その後の解析から、この試験でマンモグラフィにより発見されたがんのサイズおよび病期は、他の諸試験のものと同じであることが分かった。 [14] この試験およびNBSS-2は、腋窩リンパ節陽性女性に乳がんの局所療法後、補助ホルモンおよび化学療法を一貫して採用している点で、他のランダム化比較試験と異なっている。

1980年 NBSS-2、カナダ

[15]


    登録時の年齢:

    50~59歳。

    ランダム化の方法:

    個人志願者(NBSS-1参照)。

    除外:

    ほとんどなく、両群とも均衡がとれていた。

    サンプルサイズ:

    スクリーニング群19,711人(CBE登録後に100%スクリーニングを受診)、対照群19,694人。

    介入:

    年1回の2方向撮影マンモグラフィ(MMG)とCBE。

    対照:

    年1回のCBE。

    コンプライアンス:

    マンモグラフィとCBEの実施群では、当初100%、5回目のスクリーニングまでに86.7%に低下。CBEのみ実施群では、当初100%、5回目のスクリーニングまでに85.4%に低下。

    混合:

    CBEのみ実施群の16.9%。

    死因の帰属:

    死亡診断書と、盲検化された検討委員会による疑いのある症例のレビュー。Statistics CanadaのCanadian Mortality Data Baseとも連携した。

    解析:

    追跡調査。

    外部監査:

    あり。独立したもので、数名の審査官がデータを解析。

    追跡期間:

    25年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群:

    1.02(95%CI、0.77-1.36)。

    コメント:

    この試験は、あるスクリーニング法と別のスクリーニング法を比較し、スクリーニング非受診対照群を設けていないという点で独特である。この試験に関する批評およびコメントについては、NBSS-1を参照のこと。

1981年 ストックホルム、スウェーデン

[16]


    登録時の年齢:

    40~64歳。

    ランダム化の方法:

    誕生日によるクラスターランダム化。2件のサブトライアルがあり、第1のサブトライアルのランダム化では均衡が保たれていたが、第2のサブトライアルでは著しい不均衡がみられ、対照群よりもスクリーニング群の被験者数が508人多かった。

    除外:

    報告に一貫性がない。

    サンプルサイズ:

    公表された諸報告に差が有り、サイズは介入群では40,318人から38,525人まで減少し、対照群では19,943人から20,978人まで増大した。

    報告の整合性:

    ばらつきがある。

    介入:

    28ヵ月ごとに1方向撮影マンモグラフィ×2。

    対照:

    5年目にマンモグラフィ。

    コンプライアンス:

    82%がスクリーニングを受けた。

    混合:

    試験に参加した女性の25%が、登録前の3年の間にマンモグラフィを受けていた。

    死因の帰属:

    スウェーデン死亡登録(Swedish Cause of Death Registry)と連携。

    解析:

    評価解析、対照群では試験終了時のマンモグラフィの実施が1年遅れた。追跡解析は、スウェーデンのメタアナリシスの一部として実施。 [5]

    外部監査:

    なし。

    追跡期間:

    8年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    0.80(0.53-1.22)。

    コメント:

    特に2番目のサブトライアルにおけるランダム化、除外および対照群のマンモグラフィ実施の遅れについて懸念がある。スウェーデンのメタアナリシスにこのデータを組み込むことは、こうした疑問の多くを解消することになる。

1982年 Gothenberg、スウェーデン


    登録時の年齢:

    39~59歳。

    ランダム化の方法:

    複雑;高齢群(年齢50~59歳)では誕生年内で行う誕生日によるクラスターランダム化割り付け、若年群(年齢39~49歳)では個人ごと;対照群に対する研究群の比は、MMGの利用可能性によって年ごとに異なる(ランダム化は1982年から1984年に実施)。

    除外:

    過去の乳がんの診断のために両群から同じ割合の女性を除外した(各1.2%)。

    サンプルサイズ:

    最近の発表:21,650人招待、対照群29,961人。

    報告の整合性:

    ばらつきがある。

    介入:

    最初に2方向撮影マンモグラフィ(MMG)、その後、18ヵ月ごとに1方向撮影マンモグラフィ×4。最初の3巡は単独での読影、その後二重読影。

    対照:

    対照群は、研究群の最終スクリーニングからおよそ3~8ヵ月後に1回スクリーニング検査を受けた。

    死因の帰属:

    スウェーデン死亡登録(Swedish Cause of Death Registry)と連携。また、独立エンドポイント委員会を使用。

    解析:

    評価と追跡の両方法。 [5]

    外部監査:

    なし。

    追跡期間:

    12~14年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    年齢39~59歳:0.79(0.58-1.08)[評価];0.77(0.60-1.00)[追跡]。

    コメント:

    年齢50~54歳の女性では減少がなかったが、他の5歳ごとの年齢グループでは同様の減少がみられた。

    結論:

    対照群におけるマンモグラフィの実施の遅れおよび招待群と対照群との女性の数の不平等性(複雑なランダム化の手順)が解釈を複雑化する。

AGE Trial

[17] [18]


    登録時の年齢:

    39~41歳。

    ランダム化:

    イングランド、ウェールズ、およびスコットランドの地理的に限定された地域の一般医のリストからの個人。

    除外:

    所在不明であるか、死亡しているために、各群で少数が除外された(招待群でn = 30および非招待群でn = 51)。

    サンプルサイズ:

    160,921人(招待:53,884人;非招待:106,956人)。

    報告の整合性:

    該当せず。

    介入:

    48歳以下の招待群はMMGによる年1回のスクリーニングを提供された(初回は2方向撮影、次にその後は中外斜位方向);68%が初回スクリーニングでスクリーニングを受け、69~70%が再び招待された(81%が少なくとも1回のスクリーニングに参加した)。

    対照:

    非招待群は通常の医療を受け、自身の研究への参加に気付いておらず、ランダム化前にスクリーニングを受けた者はほとんどなかった。

    死因の帰属:

    National Health Service(NHS)の中央登録簿から受けた死亡証明書コード。

    解析:

    追跡手法はintention-to-treat解析であった(ただし50歳の女性は全員にNHSによるスクリーニングが提供された)。

    外部監査:

    なし。

    追跡期間:

    10.7年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群(95%CI):

    0.83(0.66-1.04)。

    結論:

    統計的に有意な結果は得られなかったが、他の研究と一致している。

    追跡期間:

    ランダム化から10年に制限。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群:

    0.75(0.58-0.97)。

    結論:

    統計的に有意な結果。

    追跡期間:

    中央値17.7年。

    乳がん死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群:

    0.88(0.74-1.04)。

    結論:

    統計的に有意な結果は得られなかった。

    追跡期間:

    中央値17.7年。

    全原因死の相対リスク、スクリーニング群 vs 対照群:

    0.98(0.93-1.03)。

    結論:

    統計的に有意な結果は得られなかった。

追跡期間中央値17.7年での乳がん死亡率の低下は、死亡1,000例当たり0.1例(または10,000例当たり1例)の絶対リスク低下に相当する。

39~49歳の女性におけるスクリーニングマンモグラフィ開始によって乳がん死亡率が臨床的に有意に低下するという結論を支持するには、この証拠は不十分である。標準以外の画像検査スケジュール、標準以外の画像検査プロトコル、および生検に対する標準以外の閾値に基づくと、報告された乳がん死亡率の低下は非常に小さく一過性の低下である;したがって、一般集団との関連は不明である。絶対的には、これは死亡1,000例当たり0.1例(または10,000例当たり1例)の絶対リスク低下に相当する。また、この死亡率の低下は統計的に有意でなかった元のデータセットの再解析に基づいており、サブグループの乳がん死亡率の再計算は10年間の追跡に限定されていた。20年の追跡期間で、乳がんのリスクまたは全原因死亡率における統計的に有意な低下は認められなかった。 [18]

過剰診断の大きさを明確に判断するには、証拠が不十分である。証拠がサブグループ解析と標準以外の画像検査スケジュール、標準以外の画像検査プロトコル、および生検に対する標準以外の閾値に基づいており、一般集団との関連が不明であるため、「最悪の場合でもわずかな過剰診断」という研究者の結論は支持されない。 [18]


参考文献
  1. Shapiro S, Venet W, Strax P, et al.: Ten- to fourteen-year effect of screening on breast cancer mortality. J Natl Cancer Inst 69 (2): 349-55, 1982.[PUBMED Abstract]

  2. Shapiro S: Periodic screening for breast cancer: the Health Insurance Plan project and its sequelae, 1963-1986. Baltimore, Md: Johns Hopkins University Press, 1988.[PUBMED Abstract]

  3. Andersson I, Aspegren K, Janzon L, et al.: Mammographic screening and mortality from breast cancer: the Malmö mammographic screening trial. BMJ 297 (6654): 943-8, 1988.[PUBMED Abstract]

  4. Nyström L, Rutqvist LE, Wall S, et al.: Breast cancer screening with mammography: overview of Swedish randomised trials. Lancet 341 (8851): 973-8, 1993.[PUBMED Abstract]

  5. Nyström L, Andersson I, Bjurstam N, et al.: Long-term effects of mammography screening: updated overview of the Swedish randomised trials. Lancet 359 (9310): 909-19, 2002.[PUBMED Abstract]

  6. Tabár L, Fagerberg CJ, Gad A, et al.: Reduction in mortality from breast cancer after mass screening with mammography. Randomised trial from the Breast Cancer Screening Working Group of the Swedish National Board of Health and Welfare. Lancet 1 (8433): 829-32, 1985.[PUBMED Abstract]

  7. Tabàr L, Fagerberg G, Duffy SW, et al.: Update of the Swedish two-county program of mammographic screening for breast cancer. Radiol Clin North Am 30 (1): 187-210, 1992.[PUBMED Abstract]

  8. Tabar L, Fagerberg G, Duffy SW, et al.: The Swedish two county trial of mammographic screening for breast cancer: recent results and calculation of benefit. J Epidemiol Community Health 43 (2): 107-14, 1989.[PUBMED Abstract]

  9. Holmberg L, Duffy SW, Yen AM, et al.: Differences in endpoints between the Swedish W-E (two county) trial of mammographic screening and the Swedish overview: methodological consequences. J Med Screen 16 (2): 73-80, 2009.[PUBMED Abstract]

  10. Roberts MM, Alexander FE, Anderson TJ, et al.: Edinburgh trial of screening for breast cancer: mortality at seven years. Lancet 335 (8684): 241-6, 1990.[PUBMED Abstract]

  11. Miller AB, To T, Baines CJ, et al.: The Canadian National Breast Screening Study-1: breast cancer mortality after 11 to 16 years of follow-up. A randomized screening trial of mammography in women age 40 to 49 years. Ann Intern Med 137 (5 Part 1): 305-12, 2002.[PUBMED Abstract]

  12. Bailar JC 3rd, MacMahon B: Randomization in the Canadian National Breast Screening Study: a review for evidence of subversion. CMAJ 156 (2): 193-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  13. Baines CJ, Miller AB, Kopans DB, et al.: Canadian National Breast Screening Study: assessment of technical quality by external review. AJR Am J Roentgenol 155 (4): 743-7; discussion 748-9, 1990.[PUBMED Abstract]

  14. Fletcher SW, Black W, Harris R, et al.: Report of the International Workshop on Screening for Breast Cancer. J Natl Cancer Inst 85 (20): 1644-56, 1993.[PUBMED Abstract]

  15. Miller AB, Baines CJ, To T, et al.: Canadian National Breast Screening Study: 2. Breast cancer detection and death rates among women aged 50 to 59 years. CMAJ 147 (10): 1477-88, 1992.[PUBMED Abstract]

  16. Frisell J, Eklund G, Hellström L, et al.: Randomized study of mammography screening--preliminary report on mortality in the Stockholm trial. Breast Cancer Res Treat 18 (1): 49-56, 1991.[PUBMED Abstract]

  17. Moss SM, Cuckle H, Evans A, et al.: Effect of mammographic screening from age 40 years on breast cancer mortality at 10 years' follow-up: a randomised controlled trial. Lancet 368 (9552): 2053-60, 2006.[PUBMED Abstract]

  18. Moss SM, Wale C, Smith R, et al.: Effect of mammographic screening from age 40 years on breast cancer mortality in the UK Age trial at 17 years' follow-up: a randomised controlled trial. Lancet Oncol 16 (9): 1123-32, 2015.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(12/01/2016)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

乳房組織の病理学的評価

本文で以下の記述が改訂された;マンモグラフィにより1,042の病変が発見され針生検またはX線ガイド下に外科針目印による位置確認を受けた939人の患者に関するレトロスペクティブ研究では、がんを検出する針生検の感度は95%を上回り、特異度は約90%であった。

本文で以下の記述が改訂された;米国では、1983年に非浸潤性(in situ)乳管がんと診断された女性はわずか4,900人であったのに対し、スクリーニングマンモグラフィが広く採用されるようになった2016年には約61,000人の女性が診断されると予想される(引用、参考文献3としてAmerican Cancer Society)。

参考文献19としてElmore et al.(Ann Intern Med)が追加された。

本文に、B-Path研究に関する記述が追加され、この研究では、米国の現役病理医115人に症例ごとに1つの乳房生検のスライドを解釈してもらい、その結果を専門家の合意による基準診断と比較した;米国の集団レベルでは、乳房生検による診断の92.3%が専門家の合意による基準診断で確認され、最初の乳房生検の4.6%が過剰解釈され、3.2%が過少解釈されると推定されている。

図1、100乳房生検当たりで予測される全体および診断カテゴリー別の結果が追加された。

本文で以下の記述が改訂された;B-Path研究に参加した252人の乳房病理医を対象にした米国の調査で、回答者の65%が最初に浸潤がんと診断された全症例に対して検査室の方針ではセカンドオピニオンが必要であると報告した。

本文に、B-Path研究のデータを用いた1件のシミュレーション研究に関する記述が追加され、乳房の病理組織所見の解釈を改善すべくセカンドオピニオンを得ることに対する12の戦略が評価された;セカンドオピニオンにより正確度が改善した一方で、特に乳房異型の見分けにくい症例で診断のばらつきを完全に排除することはできなかった(引用、参考文献25としてElmore et al.[BMJ])。

乳がんスクリーニングの概念

本文に、Nova Scotia Breast Screening Programからのデータを用いて302,234例のスクリーニング検査で342例の中間期乳がんが同定された1件の研究に関する記述が追加された;40~49歳の女性について、見逃されたがんの年間割合はスクリーニング受診女性1,000人当たり0.45であり、真の中間期がんの年間発生率は0.93であった;50~69歳の女性について、見逃されたがんの年間割合はスクリーニング受診女性1,000人当たり0.90であり、真の中間期がんの年間発生率は3.15であった(引用、参考文献9としてPayne et al.)。

スクリーニングの有害性

本文に以下の記述が追加された;過剰診断を示すものとして、スクリーニングによる乳がん発生率の増加が早期乳がんでみられる傾向があり、より遅い病期の減少がほとんどまたは全く伴わないことである。また本文に、個別の県内でのスクリーニング導入後、年齢に基づいてスクリーニングに適格な女性におけるがん発生率の増加と、スクリーニングに適格ではないより年齢の低い女性におけるがん発生率とを比較したノルウェーの1件のコホート研究に関する記述が追加された(引用、参考文献27としてLousdal et al.)。

本要約はPDQ Screening and Prevention Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、乳がんのスクリーニングについて、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。The PDQ Screening and Prevention Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Screening and Prevention Editorial Board.PDQ Breast Cancer Screening.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/types/breast/hp/breast-screening-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389344]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

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