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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

ほてりおよび寝汗(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2019-09-17
    翻訳更新日 : 2019-11-22


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、ほてりおよび寝汗の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

概要

ほてりおよび寝汗はがん生存者、特に女性でよくみられるが、男性にも起こりうる。病態生理学的機序は複雑である。治療法の選択肢は広範で、ホルモン剤、非ホルモン剤による薬物療法、さまざまな総合医学療法などを含む。 [1]

ほてりは乳がんの既往歴のある閉経後の女性の約3分の2に起こり、これらの女性の44%で寝汗を伴う。 [2] [3] 乳がん患者におけるほてりの重症度は、睡眠障害、比較的高い疼痛の重症度、および不良な心理的機能に関連している。 [4] 閉経前の乳がん生存者において、血管運動神経症状-ほてりおよび寝汗を含む-は、睡眠障害が媒介する影響の1つであるうつに関連している。 [5] 乳がん患者および前立腺がん患者のほとんどに中等度~重度のほてりがみられる。発汗は閉経期の血管運動神経不安定を特徴付けるほてり症状の一部の可能性がある。生理学的に、発汗は経皮蒸発性熱放散によって深部体温を媒介する。 [6] [7] 睡眠時間中に発生する発汗を伴うほてりはしばしば、寝汗と呼ばれる。 [8] 文献で見られるほてり(hot flashes)の別の同義語は、ほてり(hot flushes)である。

乳がんのない女性の約20%が血管運動神経不安定を含む閉経後の症状に対する医学的処置を求める。 [9] このような集団の大部分では、血管運動神経症状は自然に治まるが、そのうち20%のみが最終月経後4年間は著しいほてりを訴える。 [9] 転移性乳がんがある女性の比較データはない。内科的または外科的精巣摘出を受けた局所進行前立腺がんまたは転移性前立腺がんのある男性の3/4がほてりを経験する。 [10]

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。


参考文献
  1. Dalal S, Zhukovsky DS: Pathophysiology and management of hot flashes. J Support Oncol 4 (7): 315-20, 325, 2006 Jul-Aug.[PUBMED Abstract]

  2. Couzi RJ, Helzlsouer KJ, Fetting JH: Prevalence of menopausal symptoms among women with a history of breast cancer and attitudes toward estrogen replacement therapy. J Clin Oncol 13 (11): 2737-44, 1995.[PUBMED Abstract]

  3. Carpenter JS, Andrykowski MA, Cordova M, et al.: Hot flashes in postmenopausal women treated for breast carcinoma: prevalence, severity, correlates, management, and relation to quality of life. Cancer 82 (9): 1682-91, 1998.[PUBMED Abstract]

  4. Chang HY, Jotwani AC, Lai YH, et al.: Hot flashes in breast cancer survivors: Frequency, severity and impact. Breast 27: 116-21, 2016.[PUBMED Abstract]

  5. Accortt EE, Bower JE, Stanton AL, et al.: Depression and vasomotor symptoms in young breast cancer survivors: the mediating role of sleep disturbance. Arch Womens Ment Health 18 (3): 565-8, 2015.[PUBMED Abstract]

  6. Boulant JA: Thermoregulation. In: Machowiak PA, ed.: Fever: Basic Mechanisms and Management. New York, NY: Raven Press, 1991, pp 1-22.[PUBMED Abstract]

  7. Dinarello CA, Bunn PA: Fever. Semin Oncol 24 (3): 288-98, 1997.[PUBMED Abstract]

  8. 8 Causes of Night Sweats. New York, NY: WebMD, 2018. Available online. Last accessed July 15, 2019.[PUBMED Abstract]

  9. Johnson SR: Menopause and hormone replacement therapy. Med Clin North Am 82 (2): 297-320, 1998.[PUBMED Abstract]

  10. Charig CR, Rundle JS: Flushing. Long-term side effect of orchiectomy in treatment of prostatic carcinoma. Urology 33 (3): 175-8, 1989.[PUBMED Abstract]

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病因

閉経期のほてりの原因には、自然閉経、外科手術による閉経、または化学的閉経が挙げられる;がん患者では細胞毒性のある化学療法、放射線療法、またはアンドロゲン治療によって化学的閉経が引き起こされる場合がある。いわゆる男性更年期の原因には、精巣摘除、ゴナドトロピン放出ホルモンの使用、またはエストロゲンの使用がある。男性および女性におけるほてりおよび寝汗の薬物関連性の原因としては、タモキシフェン、アロマターゼ阻害剤、オピオイド、三環系抗うつ薬、およびステロイドの使用が含まれる。CYP2D6によるタモキシフェン代謝能の高い女性では、代謝能の低い女性に比べてほてりの症状が重くなりがちである [1] ;しかしながら、この話題に関するデータは矛盾している。 [2]


参考文献
  1. Lynn Henry N, Rae JM, Li L, et al.: Association between CYP2D6 genotype and tamoxifen-induced hot flashes in a prospective cohort. Breast Cancer Res Treat 117 (3): 571-5, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Jansen LE, Teft WA, Rose RV, et al.: CYP2D6 genotype and endoxifen plasma concentration do not predict hot flash severity during tamoxifen therapy. Breast Cancer Res Treat 171 (3): 701-708, 2018.[PUBMED Abstract]

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一次介入

ホルモン補充療法

エストロゲン補充は、女性の生物学的な閉経後状態、または治療に起因する閉経後状態に関連するほてりを効果的にコントロールする。エストロゲン補充療法の提案されている作用機序は、発汗の深部体温閾値を上昇させることでほてりを改善するというものである; [1] [証拠レベル:I];しかしながら、エストロゲン補充が相対的または絶対的禁忌となる女性は多い。医師および乳がん生存者はホルモン補充療法により乳がんの再発またはde novoの乳がんが発生する可能性が増大すると考え、ホルモンによる閉経後症状の管理を先延ばしにすることが多い。そのようなリスクの可能性を示唆する強力な基礎科学的考察が複数存在するが、健康な女性においてホルモン補充療法と関連する乳がんのリスクを評価した方法論的に強力なデータはきわめて少ない。 [2]

2002年5月に、健康な閉経後女性におけるエストロゲン + プロゲスチンのリスクと便益に関するWomen's Health Initiativeの大規模ランダム化プラセボ対照試験では、ホルモン補充療法を受けた女性で乳がんリスクが1.26倍に増加(95%信頼区間[CI]、1.00-1.59)したことが判明したため、平均追跡期間5.2年(±1.3)の時点で試験は早期に中止された。ホルモン補充療法群の女性にみられた腫瘍は、プラセボ群の女性における腫瘍よりも若干大きく、より進行しており、年1回のスクリーニングの初回実施時にマンモグラム異常がみられる割合に実質的で統計的有意な上昇がみられた;このような上昇は乳がん診断の妨げとなり、診断時に病期がより進行している原因となりうる。 [3] [4] [証拠レベル:I]これらの結果は、併用ホルモン補充療法を受けている女性において、乳がんリスクが1.7倍(95%CI、1.3-2.2)増加することを示唆する1件の集団ベースのケースコントロール研究により支持されている。浸潤性小葉がんのリスクは2.7倍(95%CI、1.7-4.3)、浸潤性乳管がんのリスクは1.5倍(95%CI、1.1-2.0)増加し、エストロゲン受容体陽性/プロゲステロン受容体陽性乳がんのリスクは2.0倍(95%CI、1.5-2.7)増加した。リスク増加は、浸潤性小葉がんおよびより長期間ホルモン補充療法を受けた女性において最も大きかった。拮抗されないエストロゲン療法の場合、リスクは増加しなかった。 [5]

入手可能な非常に限られたデータでは、乳がん歴のある患者におけるエストロゲン単独使用時の乳がん再発のリスク増加は示されていない。 [6] [7] 二重盲検プラセボ対照試験のシリーズで、低用量の酢酸メゲストロールはこの集団におけるほてりを管理するために有望な薬物であることが示唆された。 [8] [証拠レベル:I]; [9] [証拠レベル:II]筋肉内デポ型酢酸メドロキシプロゲステロンの短期サイクルがほてりの管理において役割を果たすことを示唆するデータは限られている。 [10] [証拠レベル:I]プロゲスチンの使用に関連するリスクは不明である。 [2]

血管運動神経症状に対するホルモンベースの薬理学的治療の例が表1に要約されている。

表1.血管運動神経症状のホルモンベースの治療

薬物カテゴリー 医薬品 用量 解説 参考文献
IM = 筋肉内;PO = 経口;qd = 毎日。
エストロゲン 例:17β-エストラジオール 0.5 mg、PO、24時間ごと 複数の経路が利用できる;無傷の子宮を有する女性には、エストロゲン/プロゲスチン併用製品の使用を検討する。 [11] ; [12] [証拠レベル:I]
プロゲスチン 酢酸メゲストロール 20mg、PO、qd 男性と女性で研究された。 [8] [証拠レベル:I]; [9] [証拠レベル:III]
メドロキシプロゲステロン 400mg、IM x 1   [13] [証拠レベル:I]; [14] [証拠レベル:III]


他の薬理学的介入

乳がん既往歴を有する女性およびアンドロゲン遮断療法を受けている一部の男性におけるほてりの管理のために、多数の非エストロゲン様の薬理学的治療介入が評価されている。効力が報告された選択肢には、アンドロゲン、プロゲステロン剤、ガバペンチン、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)、選択的セロトニンノルエピネフリン阻害薬、αアドレナリン作用薬(例、メチルドパ、クロニジン)、およびベータ遮断薬がある。劣った効力、決定的な大規模研究の不足、および副作用の可能性のためこれらの薬物の多くは使用が制限される。 [15] [16] [17] [証拠レベル:I]

大規模ランダム化プラセボ対象臨床試験において有用であることが明らかにされている薬物には、ベンラファキシンパロキセチンシタロプラムフルオキセチン、ガバペンチン、プレガバリン、およびクロニジンがある。 [15] [16] [17] ほてりを55~60%低下させる薬物は徐放性ベンラファキシン [18] 、パロキセチン放出制御製剤 [19] [20] [証拠レベル:I]または即放性製剤 [21] 、ガバペンチン [22] [23] [24] [25] [証拠レベル:I]; [26] [証拠レベル:II]、およびプレガバリン [27] [証拠レベル:I]である。ほてりを約50%低下させる他の有効な薬物には、シタロプラム [28] [証拠レベル:I]およびフルオキセチン [29] [証拠レベル:I]がある。クロニジン、経皮投与 [30] または経口投与 [31] [証拠レベル:I]は、ほてりを約40%低下させることができる。

ほてりの軽減を目的としたガバペンチン300mg1日3回に対して、ベンラファキシン75mg1日1回の有効性および患者の好みを比較した研究が1件ある。乳がんの既往がある女性66人をオープンラベル下でランダムに割り付け、ベンラファキシンまたはガバペンチンを4週間投与した;2週間の休薬期間後に、薬を逆にした治療をさらに4週間実施した。両治療により、ほてりスコア(重症度に頻度を乗じた値)が約66%減少した。しかしながら、ベンラファキシンを好んだ女性がガバペンチンより有意に多かった(それぞれ68% vs 32%)。 [22]

ほてりの評価にシタロプラムを使用した1件の研究で、日常生活活動および一般的な健康に関連したQOLに対してプラスの影響を及ぼすためには、ほてりをどの程度低下させる必要があるのかが調査された。 [32] 著者らは、女性が日々の活動において経験している悩みの程度の有意な改善を報告するためには、ほてりを少なくとも46%低下させる必要があると報告した。

閉経後の婦人科がん生存者におけるパロキセチン vs プラセボに関する1件のランダム化研究において、パロキセチンはほてりおよび血管運動神経症状による夜間の覚醒の重症度および頻度を有意に低下させ、睡眠時間が改善された。 [20] [証拠レベル:I]

第II相試験で評価されているが、効力は示されていない薬物としては、ブプロピオン [33] 、アプレピタント [34] 、およびデシプラミン [35] [証拠レベル:II]がある。興味深いことに、これらの薬物は一次的にセロトニンを調節していない。また、セルトラリンについてのランダム化臨床試験では、ほてりの管理における効力の説得力のある証拠は提供されていない。 [36] [37] [38] [証拠レベル:I]

血管運動神経症状に対する非ホルモン剤による薬物学的治療の例が表2に要約されている。

表2.血管運動神経症状の非ホルモン剤による治療

薬物カテゴリー 医薬品 用量 解説 参考文献
bid = 1日2回;CR = 放出制御製剤;ER = 徐放性製剤;GABA = γアミノブチル酸;IR = 即放性製剤;PO = 経口;qam = 毎朝;qhs = 就寝時に1日1回;VMS = 血管運動神経症状。
選択的セロトニン再取り込み阻害薬 シタロプラム 10~20mg、PO、24時間ごと 効力の結果は混在している [28] [証拠レベル:I]
エスシタロプラム 10~20mg、PO、24時間ごと 腫瘍以外の患者集団で研究された [39] [40] [証拠レベル:I]
フルオキセチン 20 mg、PO、24時間ごと   [29] [証拠レベル:I]
パロキセチン IR:10~20mg、PO、24時間ごと VMS向けにBrisdelleという商標名の付いた製品、7.5mg、PO、qhs [19] [20] [21] [証拠レベル:I]
CR:12.5~25mg、PO、24時間ごと
セルトラリン 50mg、PO、24時間ごと クロスオーバー後にプラセボを上回る有益性が示されたが、ベースラインのVMSと比較すると有益性は示されなかった [36] [証拠レベル:I]
セロトニン/ノルエピネフリン再取り込み阻害薬 ベンラファキシン 37.5~150mg/日(ERでの1日の投与量またはIRでは37.5mg超の用量で2~3回に分割した投与量)   [11] ; [18] [41] [42] [証拠レベル:I]
デュロキセチン 30mg、qam x 1週間、続いて60mg、qam ほてりの重症度と頻度、および抑うつ症状を減らす場合にエスシタロプラムと同等の用量(10mg、qam x 1週間、続いて20mg、qam) [43] [証拠レベル:I]
α-2拮抗抗うつ薬 ミルタザピン 7.5~30mg、qhs 小規模パイロット試験;標的用量、15~30mg [44] [証拠レベル:II]
抗痙攣薬/GABAアナログ ガバペンチン 初回、300mg、qhs;分割投与で900mg/日まで漸増 比較群によって混在した結果;男性と女性で研究された [22] [23] [24] [26] [証拠レベル:I]
プレガバリン 50mg、qhs、続いて50~150mg、PO、bid 75mg、PO、bidの標的用量に達するまで漸増は週1回実施すべきである [11] ; [27] [証拠レベル:I]
α-2アドレナリン作用薬 クロニジン 0.1mg/24時間、経皮投与;0.1mg、PO、24時間ごと 突然の中止は重大な高血圧を引き起こしうる;精巣摘除術後にほてりが認められる男性における効力は実証されていない [31] [45] [証拠レベル:I]


夜間のほてりまたは寝汗が特に問題となっているが日中はあまり悩みの原因となっていない場合は、睡眠とほてりを同時に改善する戦略が適切である。両方の症状を標的にできる効果的な治療に関するデータは限られている。1件のパイロット試験では、ほてりに対してミルタザピン(主にセロトニンに影響する四環系抗うつ薬)が評価されたが、それはミルタザピンがしばしば睡眠障害に対して処方されるためである。22人の女性がミルタザピンを就寝時に1日30mg、3週間まで漸増された;続いて、4週目は毎日就寝時に15mgまたは30mgを選択できた。この非ランダム化試験においてほてりは約53%低下し、女性はほてりの制御に統計的に有意に満足した。 [44] しかしながら、研究の全期間にわたってこの薬物を継続できた女性は、過剰なふらつきのために22人中わずか16人であった。そのため、この薬物はより大規模なランダム化試験でさらに研究できるが、リスク/便益比を評価することが特に重要であろう。

短期では、ほてりの治療に用いられる用量での抗うつ薬の副作用は短期ではごくわずかであり、主に吐き気、鎮静、口渇、および食欲抑制または刺激が認められる。長期では、ほてりの治療に用いられる用量でSSRIを使用した場合の性機能低下の有病率は不明である。抗痙攣薬のガバペンチンおよびプレガバリンが鎮静、めまい、および集中困難の原因となる一方で、クロニジンは口渇、鎮静、便秘、および不眠の原因となりうる。 [25] [27] [46] [証拠レベル:I]患者はさまざまな薬の効果と毒性に対して個々に反応する。したがって、慎重な臨床評価とともに、医療の提供者と利用者が共同で選択したオーダーメイドの治療が必要である。

ある人に対して1つの薬物療法が有用でない場合には、別の薬物療法への切り替え-別の抗うつ薬またはガバペンチン-は価値があることをデータが示している。ランダム化第III相試験(NCCTG-N03C5)では、抗うつ薬単独ではほてりのコントロールが不十分であった女性を対象に、ガバペンチン単独に対して、ガバペンチンと抗うつ薬の併用を比較し [47] [証拠レベル:I]、抗うつ薬を継続したかどうかにかかわらず、ガバペンチン使用により、ほてりの頻度およびスコアに中央値で約50%の減少が認められた。換言すれば、抗うつ薬のみの使用ではほてりのコントロールが不十分な女性に対し、抗うつ薬を中止しガバペンチンの投与を開始すると、併用療法で得られる結果と同様の結果がもたらされ、より少ない種類の薬物療法で済む。同様に、ほてりの低下のためにベンラファキシンでは有益性があまり得られない女性を対象にしたパイロット研究において、オープンラベルのシタロプラム、20mg/日への切り替えにより、ほてりの頻度およびスコアは50%低下した。 [48]

薬物相互作用

SSRIの多くは、乳がんの治療によく用いられるタモキシフェンの代謝に関係するチトクロムP450酵素群を阻害する。SSRIが使用されている場合には、薬物-薬物相互作用に注目される。タモキシフェンは、乳がんの管理において用いられるが、チトクロムP450酵素系、具体的にはCYP2D6により代謝される。野生型のCYP2D6は、タモキシフェンをエンドキシフェンとしても知られている活性代謝物、4-ヒドロキシ-N-デスメチル-タモキシフェンに代謝する。タモキシフェンとCYP2D6阻害薬であるパロキセチンの同時投与において、タモキシフェンの代謝に与えるパロキセチンの影響を評価した1件のプロスペクティブ試験では、パロキセチン同時投与によって、エンドキシフェンの濃度が低下することが判明した。野生型のCYP2D6遺伝子型をもつ女性の方が、多様体の遺伝子型をもつ女性よりも低下の度合いが大きかった(P = 0.03)。 [49] [証拠レベル:II]

また、新たに診断された乳がんに対しタモキシフェンによる補助療法を開始した女性80人を対象とした1件のプロスペクティブ観察研究において、CYP2D6多様体では、SSRIのCYP2D6阻害薬を同時使用することにより、エンドキシフェンのレベルが低下した。CYP2D6多様体は、機能的なCYP2D6酵素を産生しない。 [50] [証拠レベル:II]この研究が発表されて以来、何人かの研究者がこの知見の臨床的意義の評価を行ってきた。 [51] ; [52] [53] [54] [証拠レベル:II]1件の研究では、1,300人以上の女性を中央値で6.3年間追跡調査した結果、代謝能の低い女性または代謝能は中等度以上であってもヘテロ接合体の(したがってCYP2D6活性が低い)女性は、代謝能の高い女性に比べて再発率が高く、イベントフリー生存率および無病生存率が低いと結論付けられた。 [53] 同様に、タモキシフェンとSSRIの併用投与を受けているオンタリオ州の女性2,400人以上を対象とするレトロスペクティブ・コホート研究も終了している。著者らは、パロキセチンとタモキシフェンを併用している女性ではその併用期間に比例して死亡リスクが高いと結論付けた。 [54] [証拠レベル:II]

これらの変化および他のCYP2D6遺伝子型の臨床的意味 [55] は未だ解明されていないが、ほてりの治療に用いられる比較的新しい抗うつ薬とタモキシフェンの薬物動態的相互作用はさらなる研究に値する。 [56] 同様に、乳がんの再発および/または進行に対する大豆植物エストロゲンのリスクは未だ明らかにされていない。大豆植物エストロゲンは植物性食品にみられる弱いエストロゲンである。複数のin vitroモデルは、植物エストロゲンおよびエストラジオールの細胞内濃度に依存する乳房の細胞増殖に対し、これらの化合物が二相効果を有することを示唆している。 [57]

男性に特異的な情報

前立腺がん男性におけるほてりの病態生理学および管理に関するデータは少ない。アンドロゲン遮断療法を受けている男性におけるほてりの割合は約75%である。 [58] 既存の限られたデータは、男性におけるほてりは視床下部の体温調節中枢の不安定を引き起こす性ホルモンレベルの変化と関連しており、女性に生じるほてりについて提案されている機序と似ていることを示唆している。乳がんの女性と同様に、ほてりはアンドロゲン遮断療法を受けている前立腺がん男性の生活の質を損なう。血管拡張性神経ペプチドのカルシトニン遺伝子関連ペプチドは、ほてりが発生する助けとなっている可能性がある。 [58]

1件の前立腺がんの臨床試験に対する事前に規定された2回目の解析において、12ヵ月のアンドロゲン遮断療法を受けた男性の93%がほてりを経験した。ほてりはテストステロン値が去勢レベルで発生し、ほとんどの男性でほてりの停止は、テストステロンの完全回復に先行し、99%の男性がほてりの回復を報告した。 [59] [証拠レベル:I]

前立腺がんに対してアンドロゲン遮断療法を受けている男性におけるほてりの治療のために、認知行動療法(CBT)が研究されている。 [60] [証拠レベル:I]患者は、リラクゼーションおよび呼吸法を取り入れた訓練に関する小冊子およびCDを含むガイド付きの自助CBT、または通常の治療のいずれかにランダムに割り付けられた。6週間経過時に、CBTに割り付けられた患者はほてり/寝汗の症状が統計的に有意な40%の低下を経験したのに対して、通常の治療を受けた患者での低下は12%であった。症状の低下は持続したが、32週間経過時に統計的有意性は認められなかった。CBTの遵守は良好で、88%の患者が小冊子をすべてまたは半分以上読み、リラクゼーションのCDは79%の患者が利用していた。

クロニジンを除いて、女性におけるほてりの治療に有効であることが明らかにされている上述の薬物(本要約の他の薬理学的介入のセクションを参照のこと)は、男性において研究した場合に同様の効力の割合を示している。男性に対する治療法の選択肢として、エストロゲン、プロゲステロン、SSRI、およびガバペンチンがある。 [61]

フランスの大規模な多施設研究が1件あり [62] 、前立腺がんに対してリュープロレリンを投与していた男性を対象に、ほてりを1週間当たり14回以上の報告した場合に、ベンラファキシン75mg;酢酸シプロテロン(抗アンドロゲン)100mg;または酢酸メドロキシプロゲステロン20mgを投与する群にランダムに割り付けた。3種類の治療では、いずれもほてりが有意に減少し、シプロテロンでは100%減少、メドロキシプロゲステロンでは97%減少、ベンラファキシンでは57%減少という結果が8週目の中央値で得られた。酢酸シプロテロンでは、投薬に起因した1件の重篤な有害事象(呼吸困難)を含め、他より多くの有害事象が報告された。ベンラファキシンに関しては、重篤な有害事象は全く認められず、投薬に起因した有害事象の発生率は全体で20%であった。メドロキシプロゲステロンは最も忍容性が良好な薬物で、有害事象の発生率は12%であったが、重篤な有害事象として蕁麻疹が1件認められた。すべての薬剤で最も高頻度にみられた副作用は消化管障害に関連したもので、吐き気、便秘、下痢、および腹痛であった。 [62]

女性における効力に基づいて、ベンラファキシンと大豆の併用がアンドロゲン遮断療法を受けた男性におけるほてりの低下について研究された。 [63] [証拠レベル:I]患者は12週間にわたって、ベンラファキシンと大豆タンパク、ベンラファキシンとミルクタンパクによるプラセボ、大豆タンパクとプラセボ、または二重プラセボの投与にランダムに割り付けられた。研究期間中すべての群でほてりの回数と重症度が低下したが、投与群間で有意差は認められなかった。著者らは、いずれの物質も男性におけるほてりの治療に用いるべきではない;ほてりの治療に関する研究では顕著なプラセボ効果が認められる;および女性におけるほてりについて成功を示した物質は男性では成功しない可能性があると結論付けた。

1件の小規模な多施設レトロスペクティブ・レビューで、前立腺がんに対する黄体形成ホルモン放出ホルモンアゴニスト療法に関連するほてりを治療および予防するために、単回投与として2種類の酢酸メドロキシプロゲステロン筋肉内投与(400mgおよび150mg)の使用が評価された。 [14] [証拠レベル:III]検討された48人の男性のうち、91%がほてり症状の改善を経験し、46%がほてりの完全消失を経験した。試験では2つの用量間で差を判定する検出力を有していなかった;しかしながら、著者らは現在では400mgの用量が使用されると結論付けた。

SSRIのパロキセチンおよびフルボキサミンの効力に関するパイロット研究により、これらの薬物は前立腺がん男性におけるほてりの頻度および重症度を低下させることが示唆されている。 [64] [65] ホルモン感受性腫瘍の女性と同様に、前立腺がんの転帰に対するホルモン使用の影響のほか、よく記述される副作用に関する懸念がある。 [58]

認知行動療法

包括的な非薬理学的介入が開発され、ほてりおよび寝汗を軽減する能力のほか、ほてりおよび寝汗に関係した負担や問題の認識について評価されている。これらの介入には典型的に以下のものがある: [66] [67] [68] [69]


  • ストレス、不安、性的および他の閉経期の懸念をはじめとする一般的症状の管理に関する心理教育。

  • ゆっくりとした深呼吸(ペース呼吸と呼ばれる)などのリラクゼーション訓練。

  • 些細なことでの大騒ぎ、否定的な考え、および回避行動に対処する認知的再体制化。

このほか、一次的治療法または補助的治療法としての行動介入は、ほてりの管理に一定の役割を果たしている。深部体温はほてりの前に上昇することが示されている [70] ;そのため、体温を抑える介入により、ほてりの管理が改善される。体温を抑えるための方法としては、ゆったりした木綿の衣服を着るほか、扇風機の使用、室内を換気するために窓を開けるなどがある。セロトニンはほてりの中心的な誘因として関与している可能性があるという理論に基づくと、ストレス管理といった行動介入によりセロトニンが調節されて、ほてりの低下がもたらされる可能性がある。

リラクゼーション訓練およびペース呼吸は、初期には対照を設けたパイロット試験においてほてりの強度を40~50%も低下させることが明らかにされている [71] [72] ;しかしながら、さまざまなペースの呼吸を用いた対照群を設けた複数のランダム化試験でペース呼吸介入の有意な有益性は実証されていない。 [73] [74]

治療なし、通常のケア、待機リスト対照比較群を用いた同様の介入に関する3件の大規模研究 [67] [68] [69] が完了している。いずれの研究でも、ほてりおよび寝汗に関する問題の評点または悩みの評点が有意に低下したことが実証された一方で、ほてりの頻度が実際に低下したことを示した研究はなかった。3件の研究のうち、いくつかのデータポイントで寝汗が有意に改善したことを実証した研究は1件のみであった。 [68] セラピストのサポートを併用する、または併用しないインターネットをベースにしたCBTに関する大規模試験において同様の結果が示された。 [75] [証拠レベル:I]認知行動介入は、ほてりに関係する症状を有する患者の全般的な経験を改善するために薬理学的治療の重要な付加物になりうる。しかしながら、ほてりを軽減するためにCBTの単独使用を支持するデータは存在しない。

医学的催眠は、ほてりに対して有用であることが示されている比較的新しい介入である。医学的催眠では、医療提供者が患者を深いリラクゼーションとトランス状態に導き、患者をその状態にしたまま、潜在意識に対処すべき症状または問題を和らげるような暗示をかける。ほてりに対する医学的催眠では、体を冷やす暗示と深部体温の上昇を防ぎ、交感神経の活性を抑えるためのストレス低下が用いられる。パイロット研究の強力なデータに基づいて、閉経後女性187人を対象にしたランダム化比較試験では注意制御比較が用いられ、対照群よりも催眠群でほてりの有意な軽減が実証された。催眠介入の期間は5週間であった。6週目のほてりの頻度は、催眠群で64%減少したのに対し、対照群では9%の減少しか認められなかった。12週目の催眠群の減少が75%であったのに対し、対照群の減少は17%であった。 [76] この研究にはがん生存者は含まれなかったが、以前の研究では、乳がんの既往に基づくほてりに対する介入の鑑別的効果は実証されていない。

ほてりの管理に対する今後の研究では、さまざまな日常活動に対するほてりの影響を評価するHot Flash Related Daily Interference Scaleといった、精神測定的に音声を評価する方法の開発によって補助されるであろう。 [77]

統合的アプローチ

漢方薬/栄養補助食品

ほてりを低下させるため、多くの漢方薬および栄養補助食品が一般に使用されている。これらの物質のいくつかは、厳格な臨床試験において十分に研究されていない。さらに、市販のさまざまなサプリメントの生物活性は未だ明らかにされておらず、標準化からは程遠い。比較的よく研究された物質としては、大豆植物エストロゲン、ブラック・コホッシュ、およびビタミンEがある。

ビタミンE、400 IUの1日2回投与は、プラセボで得られるよりもほんのわずかに良好なほてりの控えめな低下が得られるようである。ほてりの低下はおおよそ35~40%である。 [78] [79] [証拠レベル:I]

大豆はここしばらくの間、更年期症状および乳がんを低下させるための興味深い栄養補助食品となっている。こうした関心は、主にアジアにおける大豆を多く含む食事と乳がん/更年期症状の低さの関連研究から生じている。大豆はイソフラボンであるが、これはフラボノイドと呼ばれるはるかに大きな分類の植物化合物の一部である。大豆製品には次の3種類のイソフラボンが発見されている:


  • ゲニステイン(genistein)

  • ダイゼイン(daidzein)

  • グリシタイン(glycitein)

イソフラボンはしばしば植物エストロゲンまたは植物性エストロゲンと呼ばれるが、それは細胞系および動物実験においてエストロゲン受容体との結合能を有することが示されているためである。 [80]

これら植物性エストロゲンの安全性については混乱があるが、それはこれらの物質が、一部の細胞においてはエストロゲン様に作用し、細胞増殖(分裂および成長)を引き起こす一方で、他の細胞ではイソフラボンはエストロゲン作用を停止または遮断させて好ましくない細胞が成長しないように、または細胞死さえ起こすようにする特性を有するためである。以下の問題についての議論が引き続きなされている: [81]


  • 大豆のどのような用量およびどの種類の大豆が、増殖因子としてのエストロゲンを阻害するか。

  • どのような状況で大豆は増殖因子としてのエストロゲンを阻害するか。

  • どのような用量または状況で大豆はエストロゲン関連増殖を促進するか。

これらの疑問に対する最終的な答えは不明であるが、植物エストロゲンは化学予防特性について引き続き研究されている。その一方で、大豆はほてりを低下させる効果について多くのランダム化プラセボ対照試験で十分に研究されている。 [82] [83] [84] [85] [86] [証拠レベル:I]それらの試験の大部分は、大豆がほてりの低下に関してプラセボと変わらないことを示している。 [87] [証拠レベル:I]; [88] ほてりの管理に大豆の使用を促す説得力のあるデータは存在しない。

同様に、ランダム化プラセボ対照群を設けたデザインの優れたブラック・コホッシュの試験でも、ブラック・コホッシュはほてりの低下に関して、プラセボと変わらないことが示されている。 [86] [89] [90] [証拠レベル:I]さらに、ブラック・コホッシュに関する14件のランダム化比較試験を含むメタアナリシスでは、ほてりの治療におけるブラック・コホッシュの使用を支持する証拠は不足していると結論付けられた。 [91]

ブラック・コホッシュは以前はエストロゲン特性を有すると考えられていたが、2004年のWorkshop on the Safety of Black Cohosh in Clinical Studiesで考察されているように、現在ではブラック・コホッシュはセロトニン受容体に作用することが明らかにされている。1件の研究では、ランダム化二重盲検試験によりブラック・コホッシュ、ムラサキツメクサ、エストロゲンおよびプロゲステロン、およびプラセボを評価した。 [92] [証拠レベル:I]各投与群の規模は小さかった(n = 22)が、12ヵ月間でほてりはブラック・コホッシュによって34%、ムラサキツメクサで57%、プラセボで63%、ホルモン療法で94%減少した。注目すべきことに、この長期研究でも遵守率は4群で約89%であった。12ヵ月で、子宮内膜厚、エストラジオール、エストロン、卵胞刺激ホルモン、性ホルモン結合グロブリン、肝機能などの生理学的指標については、ムラサキツメクサまたはブラック・コホッシュの投与群とプラセボ投与群の間に統計的有意差が認められなかった。ただし、これら各群は規模が小さいため、この二次分析の検出力は報告されておらず、重要な群間差の検出力は低いと考えられた。

フラキシードは地中海東部およびインド周辺地域原産の亜麻(Linum)属の植物である。フラキシードはリグナンおよびオメガ-3脂肪酸の豊富な供給源である。フラキシードにみられるリグナンはセコイソラリシレシノールジグルコシドおよびαリノレン酸と呼ばれる。フラキシードはまた繊維の供給源でもある。リグナンは植物エストロゲンの一種であり、大豆と同様にエストロゲンアゴニスト-アンタゴニスト作用のほか、抗酸化作用を有すると考えられている。リグナンは結腸の細菌によってエンテロジオールおよびエンテロラクトンに転換されるが、これらは細胞増殖の低下とアロマターゼ、5αリダクターゼ、および17βヒドロキシステロイド活性の阻害といった重要な生理学的特性を有すると考えられる代謝物である。細胞系の研究から、エンテロラクトンのアロマターゼ阻害特性は示されているが、エンテロジオールについてはそれほどの特性は示されていない。 [93] これらの特性はホルモン感受性がんのリスクを低下できると考えられている。 [94] [95] [96] また、諸研究からフラキシードは尿中への排泄によりエストロゲン濃度を低下できることが示されている。 [97] [98]

フラキシードについて、ほてりに対する効果および関連エンドポイントを検証した予備データに基づいて [99] [100] [証拠レベル:I]、オープンラベルのパイロット研究が実施され、フラキシード40gがほてり軽減を対象に評価された。30人の女性を対象としたこの研究では、6週間にわたってほてりのスコアが57%低下し、ほてりの頻度が50%低下したことが示された。 [101] しかしながら、North Central Cancer Treatment Groupによる188人の女性を対象とした第III相の追跡ランダム化比較試験では、フラキシード・バー中の410mgのリグナンは、プラセボに対していかなる有益性も示さなかった。 [102] [証拠レベル:I]

同様に、酸化マグネシウム補充によりほてりが有意に低下することを示唆した2件のパイロット研究に基づいて、乳がんおよび症候性のほてりの既往を有する閉経後女性において、酸化マグネシウム、1日800mgまたは1,200mg vs プラセボに関する二重盲検ランダム化プラセボ対照試験が実施された。 [103] [証拠レベル:I]酸化マグネシウムによる有益性は観察されなかった。

ほてりに対する素晴らしい治療薬として多くの植物および天然物がもてはやされている。これらの製品は植物エストロゲンもあれば、特性が不明のものもある。これらの作用物には、ドンクアイ、オオアザミ、ムラサキツメクサ、甘草、およびチェストツリーベリーがある。これらの作用物の生物学およびこれらの摂取が乳がんリスクまたは乳がん再発にプラスに影響するか、またはマイナスに影響するかの理解は不完全である。データはこれらの植物の効果はさまざまであり、使用される用量だけでなく、女性がこれらを摂取する際の女性のホルモン環境によっても異なることが示されている。これらの作用物についてはほとんど理解されておらず、女性がエストロゲン補充を避けている場合、これらの摂取については注意が必要である。 [104] [105] [106] [107]

鍼療法

パイロットおよびランダム化シャム試験で、ほてりを治療するための鍼療法の使用が評価されている。 [108] [109] [110] [111] [112] [証拠レベル:I]鍼療法の研究は、新たな方法論がない-特に、適切な対照群としてどのような集団を用いるかという難問-ために実施が困難である。加えて、鍼療法の実践を取り巻く基本的な考え方は、ほてりを経験している2人の女性が必ずしも同じ治療を受けないという点で、かなり個別化されている。関連した臨床的処置を利用して鍼療法を研究することが重要であろう;現在のところ、これを達成するための受け入れられる研究方法はない。したがって、ほてりに対する鍼療法の効果に関するデータはかなり入り混じっている。しかし、乳がん患者におけるほてりを治療するための鍼療法について研究した12試験の2016年のメタアナリシスでは、鍼療法には効果が限られているまたは全く効果がないことが示された。 [113] 含められた試験は規模が患者10~84人で、5~16回の治療セッションで追跡期間は1~24ヵ月であった。比較群には、ホルモン療法、リラクゼーション法、偽鍼療法、および抗うつ薬が含まれた。著者らは、鍼療法では乳がん患者の集団におけるほてりの頻度に有意な効果を示すことができなかったと結論付けた。

対照的に、2016年のメタアナリシスに含まれなかった1件のランダム化比較試験では、鍼療法によってほてりスコアの統計的に有意な低下が示された。 [114] [証拠レベル:I]試験では、女性が10回の鍼療法セッション + 強化されたセルフケア vs 強化されたセルフケア単独にランダムに割り付けられた。女性の適格基準は、乳がんであること;少なくとも中等度のほてり(1日6回以上のほてりと定義された)を有すること;および/またはGreene Climacteric Scaleでスコアが15以上であることとされた。鍼療法へのランダムな割り付けによって、ほてりが少なく、生活の質が高くなった。ほてりスコアの低下は3~6ヵ月のフォローアップ来診時に維持されていた。

1件のランダム化比較試験において、ほてりがみられる乳がん生存者(120人の女性)が電気鍼療法(経皮的電気神経刺激器具を用いて2箇所の鍼療法ポイント間を通電させる)またはガバペンチン、毎日900mg、と対照群として偽電気鍼療法(皮膚を貫通せず、電気を用いない針)およびプラセボカプセルにランダムに割り付けられた。 [24] 電気鍼療法により、ほてりの症状が最も大きく低下し、偽電気鍼療法、ガバペンチン、およびプラセボカプセルと続いた。積極的な治療群に割り付けられた女性の睡眠転帰について、別々に発表された事前に規定された2回目の解析において、電気鍼療法は睡眠の質の改善についてガバペンチンと同等であった;患者全体でほてりの重症度/頻度の低下と睡眠潜時および睡眠の質の改善間で有意な関連が示された。 [115]

詳しい情報については、鍼療法に関するPDQ要約の血管運動神経症状のセクションを参照のこと。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


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本要約の変更点(09/17/2019)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約は包括的に見直され、広範囲にわたって改訂された。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、ほてりおよび寝汗の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

ほてりおよび寝汗に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Hot Flashes and Night Sweats.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/hot-flashes-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389188]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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