原文更新日 : 2006-05-04
翻訳更新日 : 2007-06-27
腎細胞がん(腎がんまたは腎腺がんとも呼ばれる)は、腎臓の尿細管(非常に微細な管)の内面に悪性(がん)細胞が発生する疾患です。腎臓は体内に2つ存在し、腰の上あたりの背骨の左右両側にそれぞれが位置しています。腎臓の尿細管では、血液が濾過されてきれいになり、同時に血液から取り除かれた老廃物より尿が生成されます。尿は左右の腎臓から出た後、尿管と呼ばれる長い管を通って膀胱に送られます。膀胱は排泄時まで尿を溜めておくという役割を果たしています。
尿管または腎盂(尿が集まって尿管へ流れ込む部分)に発生するがんは、腎細胞がんとは別のものです。(さらに詳しい情報については、PDQの腎盂と尿管の移行上皮がんの治療に関する要約をご覧ください)。
腎細胞がんの発生リスクを高める可能性のある要因に、喫煙と特定の鎮痛剤の濫用があります。危険因子には以下のようなものがあります:
腎細胞がんでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。早期の場合はまったく症状が現れないこともあります。症状は腫瘍が大きくなってくるにつれて現れてきます。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)や治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
がんの腎臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
I期では、大きさ7cm以下の腫瘍が腎臓の中だけに認められます。
II期II期では、大きさが7cmを超える腫瘍が腎臓の中だけに認められます。
III期再発腎細胞がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、最初の治療の終了から何年も経過した後に起こることもあり、腎臓内に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。
腎細胞がんの患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中の治療法もあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の5種類が用いられています:腎細胞がんの治療法としては、腎臓の一部または全体を摘出する手術法がよく用いられます。以下のような手術法が用いられます:
人は片方の腎臓さえ機能していれば生きていくことができるのですが、両方の腎臓が摘出されたり機能を失ったりした場合には、透析(体外の装置を用いて血液を浄化する処置)か腎移植(腎臓を健康なドナーのものと取り替えること)が必要になります。病巣が腎臓にとどまっていて、かつ腎臓を提供してくれる人が見つかる場合には、腎移植が行われることがあります。腎臓の提供者がすぐには見つからない場合には、必要に応じて他の治療法が用いられます。
手術によるがんの摘出が不可能な場合には、動脈塞栓術と呼ばれる治療法を用いて腫瘍を縮小させることができます。まず体表に小さな切開を施し、そこからカテーテル(細い管)を挿入して、腎臓へ血液を流し込んでいる大きな血管の辺りまで到達させます。次にこのカテーテルを通して、特殊なゼラチンスポンジの小片をその血管の中に注入します。このようにスポンジを詰めて腎臓への血液の流入を遮ることにより、酸素などの増殖に必要となる物質のがん細胞への供給を阻止することができます。
たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法や放射線療法を実施する場合があります。治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に置いた機械を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどに放射性物質を封入し、腫瘍の内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
生物学的療法生物学的療法は、がんを撃退するために患者さんの免疫系を利用する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。
ターゲット療法ターゲット療法とは、正常な細胞には損傷を与えずに特定のがん細胞のみを攻撃する薬を利用した治療法です。このターゲット療法で用いられる薬の一種に血管新生抑制薬がありますが、進行期の腎細胞がんの治療に用いられることがあります。この薬には腫瘍内部の血管の形成を抑える作用があり、この作用によって腫瘍を一種の飢餓状態に追い込むことにより、腫瘍を小さくすることができます。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:ドナーの血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、点滴によって患者さんの体内へ送り込みます。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
I期腎細胞がんに対しては、新しい治療法が臨床試験において研究されています。このような臨床試験や現在進行中の他の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
II期腎細胞がんに対しては、新しい治療法が臨床試験において研究されています。このような臨床試験や現在進行中の他の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
III期腎細胞がんの標準治療には以下のようなものがあります:
III期腎細胞がんに対しては、手術の後に生物学的療法を行う臨床試験が実施されています。この臨床試験や現在進行中の他の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
IV期腎細胞がんに対しては、新しい治療法が臨床試験において研究されています。このような臨床試験や現在進行中の他の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発腎細胞がんの治療法としては、化学療法、生物学的療法、幹細胞移植などが臨床試験で研究されています。このような臨床試験や現在進行中の他の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。