原文更新日 : 2006-04-11
翻訳更新日 : 2007-06-27
「性腺外」とは、性腺(生殖器官)の外部を意味する言葉です。精巣や卵巣で精子や卵子となるはずの細胞が体の他の部位に移動すると、その細胞は性腺外胚細胞腫瘍へと変化することがあります。この腫瘍は体のどこにでも発生する可能性がありますが、通常は、脳の松果体などの臓器や、縦隔内、腹腔内などから発生します。
性腺外胚細胞腫瘍は、良性(がんではない)の場合もあれば、悪性(がん)の場合もあります。良性の性腺外胚細胞腫瘍は良性奇形腫と呼ばれます。良性奇形腫は悪性の性腺外胚細胞腫瘍よりも多くみられ、しばしば非常に大きく成長します。
悪性の性腺外胚細胞腫瘍は非セミノーマとセミノーマの2種類に分けられます。非セミノーマではセミノーマと比べて増殖や拡大のペースがより速くなる傾向があります。非セミノーマは大きく成長して症状を伴うのが通常です。無治療の場合、悪性の性腺外胚細胞腫瘍は肺、リンパ節、骨、肝臓、その他の部位に拡がることがあります。
卵巣および精巣の胚細胞腫瘍に関する情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:
悪性の性腺外胚細胞腫瘍の危険因子には、以下のようなものがあります:
悪性の性腺外胚細胞腫瘍では、付近の領域に腫瘍の増殖が及ぶにつれて症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)や治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
通常、がんの存在範囲や拡がりは病期を用いて表現されます。しかし性腺外胚細胞腫瘍の場合では、病期ではなく予後による分類が用いられます。ここでは、治療に対してそのがんが示す反応の予測に基づいて腫瘍が分類されます。治療計画を立てるためには、この予後分類を把握しておくことが重要となります。
性腺外胚細胞腫瘍では、以下の予後分類が用いられます:非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後良好群に分類されます:
セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後良好群に分類されます:
非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後中等度群に分類されます:
セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後中等度群に分類されます:
非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後不良群に分類されます:
性腺外胚細胞腫瘍の患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中の治療法もあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の3種類が用いられています:放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に置いた機械を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に放射性物質を封入し、がんの内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与あるいは静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、その薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
手術良性腫瘍の患者さんや、化学療法や放射線療法の実施後も腫瘍が体内に残っている患者さんでは、手術が必要となる場合があります。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:幹細胞移植を伴う大量化学療法とは、高用量の化学療法を実施するとともに、このがん治療によって破壊された造血細胞を外から補充するという治療法です。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出し、凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍し、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
最初の治療の終了後から腫瘍マーカーの検査が継続して行われます。セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発した性腺外胚細胞腫瘍(治療完了後に再び発生したもの)と難治性の性腺外胚細胞腫瘍(治療を行っても良くならないもの)の治療法には、以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。