性腺外胚細胞腫瘍の治療(PDQ®): 治療
性腺外胚細胞腫瘍の治療

性腺外胚細胞腫瘍についての一般的な情報

性腺外胚細胞腫瘍は、性腺から別の部位へと紛れ込んだ未成熟の精子または卵子から発生する腫瘍です。

「性腺外」とは、性腺(生殖器官)の外部を意味する言葉です。精巣卵巣精子や卵子となるはずの細胞が体の他の部位に移動すると、その細胞は性腺外胚細胞腫瘍へと変化することがあります。こうした腫瘍は体のどこにでも発生する可能性がありますが、通常は、脳の松果体などの器官や、縦隔内、腹部などから発生します。

性腺外胚細胞腫瘍は、良性(がんではない)の場合もあれば、悪性がん)の場合もあります。良性の性腺外胚細胞腫瘍は良性奇形腫とも呼ばれます。良性奇形腫は、悪性の性腺外胚細胞腫瘍よりも多くみられ、しばしば非常に大きく成長します。

悪性の性腺外胚細胞腫瘍は非セミノーマセミノーマの2種類に分けられます。非セミノーマではセミノーマと比べて増殖や拡大のペースがより速くなる傾向があります。非セミノーマは大きく成長して症状を伴うのが通常です。無治療の場合は、悪性の性腺外胚細胞腫瘍はリンパ節、骨、肝臓、その他の部位に拡がることがあります。

卵巣および精巣の胚細胞腫瘍に関する情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:


性腺外胚細胞腫瘍の発生リスクに影響を及ぼうる因子には年齢と性別があります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。危険因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、危険因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクが高いと思う人は、そのことについて担当の医師と話し合ってください。悪性の性腺外胚細胞腫瘍の危険因子には、以下のものがあります:


性腺外胚細胞腫瘍の徴候として考えられるものに、胸痛と呼吸障害があります。

悪性の性腺外胚細胞腫瘍では、付近の領域に腫瘍の増殖が及ぶにつれて症状が引き起こされてきます。ただし他の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:


性腺外胚細胞腫瘍の発見と診断には、画像検査と血液検査が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:



性腺外胚細胞腫瘍の病期

性腺外胚細胞腫瘍の診断がついた後には、がん細胞が体の他の部位に拡がっていないかを明らかにするために、さらに検査が行われます。

通常、がんの存在範囲や拡がりは病期を用いて表現されます。しかし性腺外胚細胞腫瘍の場合は、病期ではなく予後による分類法が用いられます。この分類法では、治療に対するがんの反応性の予測に基づいて腫瘍が分類されます。治療計画を立てるためには予後分類を把握しておくことが重要となります。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

体内でのがんの拡がり方には以下の3種類があります:


がん細胞原発腫瘍(最初にできた腫瘍)を離れてリンパ液や血液を介して体内の別の場所に移動すると、新たな腫瘍(続発性腫瘍)が形成されることがあります。このプロセスは転移と呼ばれます。続発性(転移性)腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳がんが骨に転移する場合、その骨のがん細胞は、実際は乳がんの細胞です。この疾患は転移性乳がんであり、骨がんではありません。

性腺外胚細胞腫瘍では、以下の予後分類が用いられます:
予後良好

非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後良好群に分類されます:


セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後良好群に分類されます:


予後中等度

非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後中等度群に分類されます:


セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後中等度群に分類されます:


予後不良

非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍では、以下の条件が満たされると予後不良群に分類されます:


セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍には予後不良群の分類はありません。


治療選択肢の概要

性腺外胚細胞腫瘍の患者さんには様々な治療法が存在します。

性腺外胚細胞腫瘍の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。ただし臨床試験のなかには、まだ治療を開始していない患者さんだけを対象としたものもあります。

標準治療として以下の3種類が用いられています:
放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。

手術

良性腫瘍の患者さんや、化学療法や放射線療法の実施後も体内に腫瘍の残存が認められる患者さんでは、手術が必要となる場合があります。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

本稿では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

幹細胞移植を伴う大量化学療法とは、高用量の化学療法を実施するとともに、このがん治療によって破壊された造細胞を外から補充するという治療法です。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍し、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。

患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全でかつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方では、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験データベースのものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏功の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。これはときに再病期分類と呼ばれます。

治療が終ってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

性腺外胚細胞腫瘍の場合は、最初の治療の終了後に治療効果の確認のためにAFPと他の腫瘍マーカーの血中濃度の測定が行われます。


性腺外胚細胞腫瘍の治療選択肢

それぞれの治療のセクションには現在実施中の臨床試験の一覧へのリンクが張られています。がんの種類や病期によっては、臨床試験の掲載が1件もない場合もあります。ここに掲載されていない臨床試験でご自身に適したものがないかは、担当の医師にご確認ください。


良性奇形腫

良性奇形腫の治療法は手術です。

NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、良性奇形腫の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


セミノーマ

セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、性腺外セミノーマの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


非セミノーマ

非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:


NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、悪性非セミノーマ性腺外胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


再発性または難治性の性腺外胚細胞腫瘍

再発した性腺外胚細胞腫瘍(治療完了後に再び発生したもの)と難治性の性腺外胚細胞腫瘍(治療を行っても良くならないもの)に対する治療法には、以下のようなものがあります:


NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、再発性腺外胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


性腺外胚細胞腫瘍についてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している性腺外胚細胞腫瘍に関する詳しい情報については、性腺外胚細胞腫瘍についてのホームページをご覧ください。

米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:



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