原文更新日 : 2008-08-04
翻訳更新日 : 2009-12-22
慢性骨髄性白血病(CMLまたは慢性顆粒球性白血病とも呼ばれる)は緩やかに進行する血液と骨髄の疾患で、通常は中年期以降に発生しますが、まれに小児にも起こります。
正常な状態の骨髄では、いずれは成熟した血液細胞に成長する血液幹細胞(未熟な細胞)が作られます。この血液幹細胞はまず骨髄系幹細胞かリンパ系幹細胞に成長します。リンパ系幹細胞は白血球に成長します。骨髄系幹細胞は以下の3種類の成熟血液細胞のいずれかに成長します:
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CMLでは、過剰な数の血液幹細胞が顆粒球と呼ばれる白血球の一種に成長するようになります。しかしこのような顆粒球は異常であるため、正常な白血球にはなれません。こうした細胞は白血病細胞とも呼ばれます。白血病細胞は血液中や骨髄中に蓄積することがあり、その場合には正常な白血球や赤血球、血小板のためのスペースが少なくなってしまいます。このような状態に陥ると、感染症や貧血が起きたり、出血が起きやすくなったりします。
本要約は慢性骨髄性白血病について書かれたものです。白血病に関する詳しい情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:
CMLでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし他の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
CMLではときに、症状がまったく現れない場合もあります。
CMLの患者さんでは、その大半にフィラデルフィア染色体と呼ばれる遺伝子の変化が認められます。体を構成する全ての細胞の中には、その細胞の外観や活動を規定しているDNA(遺伝物質)が含まれています。このDNAは染色体の中に含まれています。CMLでは、ある染色体のDNAの一部分が別の染色体に移動しています。この変化は、“フィラデルフィア染色体”と呼ばれます。この変化によって、骨髄中でチロシンキナーゼと呼ばれる酵素が作られるようになり、この酵素の働きによって、過剰な数の幹細胞が白血球(顆粒球や芽球)に成長するという事態が引き起こされます。
フィラデルフィア染色体は親から子供に遺伝するものではありません。
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フィラデルフィア染色体。9番染色体の断片と22番染色体の断片が互いに入れ替わります。9番染色体の断片が22番染色体上に結合した部分には、bcr-abl遺伝子が形成されます。このような変化を起こした22番染色体はフィラデルフィア染色体と呼ばれます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
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予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
がんの拡がりの程度を調べていくためのプロセスは病期分類と呼ばれます。慢性骨髄性白血病(CML)には標準的な病期分類の体系は存在しません。その代わりに、この疾患は以下のような段階によって分類されます:慢性期、加速期、急性転化期。治療計画を立てるためには、この段階を把握しておくことが重要になります。段階を特定する過程では、以下のような検査法や手法が用いられます:
がん細胞が血管の外に出て、固形腫瘍を形成するかもしれません。このプロセスは転移と呼ばれます。がん細胞が体に拡がる方法は3つあります:
新しくできた(転移)腫瘍は、原発がんと同じタイプのがんです。例えば、白血病細胞が脳に拡がると、その脳のがん細胞は、実際には白血病細胞です。この病巣は、脳腫瘍ではなく、転移した白血病です。
慢性骨髄性白血病には3つの段階があります。血液中や骨髄中で芽球の量が増加するのに伴って、正常な白血球、赤血球、血小板のためのスペースが少なくなっていきます。このため、感染症や貧血が起きたり、出血が起きやすくなったりするほか、骨の痛みや左側の肋骨下の痛みや膨満感などの症状が生じてくることがあります。血液中および骨髄中の芽球細胞の数と症状の重さから、疾患の段階が決定されます。
慢性期慢性期の慢性骨髄性白血病(CML)では、血液中および骨髄中に占める芽球細胞の数が全細胞数の10%未満となります。
加速期加速期の慢性骨髄性白血病(CML)では、血液中および骨髄中に占める芽球細胞の数が全細胞数の10%~19%となります。
急性転化期急性転化期の慢性骨髄性白血病(CML)では、血液中および骨髄中に占める芽球細胞の数が全細胞数の20%以上となります。急性転化期に疲労感と発熱と脾臓の腫大がみられた場合は、急性転化と呼ばれます。
慢性骨髄性白血病(CML)の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。ただし臨床試験のなかには、まだ治療を開始していない患者さんだけを対象としたものもあります。
標準治療として以下の6種類が用いられています:特定の種類の慢性骨髄性白血病と新たに診断された患者さんには、メシル酸イマチニブと呼ばれる薬が第一選択療法として使用されています。この薬は、必要量以上の白血球(顆粒球または芽球)を作るように幹細胞に働きかけるチロシンキナーゼという酵素の作用を阻害します。さらに、別のチロシンキナーゼ阻害薬であるダサチニブが進行した特定の種類のCMLの患者さんへの治療に使用されていて、第一選択療法として研究されています。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。
生物学的療法生物学的療法は、患者さんの免疫系を利用してがんを撃退する治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。この種のがんの治療法は生物療法や免疫療法とも呼ばれます。
幹細胞移植を伴う大量化学療法幹細胞移植を伴う大量化学療法とは、高用量の化学療法を実施するとともに、このがん治療によって破壊された造血細胞を外部から補充するという治療法です。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞へと成長することにより、血液の機能が回復していきます。
ドナーリンパ球輸注(DLI)ドナーリンパ球輸注(DLI)は、幹細胞移植の実施後に用いられることのある、がんの治療法です。まず幹細胞移植のドナーの血液からリンパ球(白血球の一種)を採取し、場合によってはこれを冷凍保存しておきます。次にこのドナーのリンパ球を、冷凍されている場合は解凍し、1回または数回に分けて点滴で患者さんに投与します。このリンパ球によって、患者さんのがん細胞が異物と認識されて攻撃を受けます。
手術臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方では、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験データベースのものです。
フォローアップ検査が必要となることもあります。がんを診断するため、あるいはがんの病期がんの診断や病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏功の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。これはときに再病期分類と呼ばれます。
治療が終ってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
それぞれの治療のセクションには、現在実施中の臨床試験の一覧へのリンクが張られています。がんの種類や病期によっては、臨床試験の掲載が1件もない場合もあります。ここに掲載されていない臨床試験でご自身に適したものがないかは、担当の医師にご確認ください。
慢性期慢性骨髄性白血病の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、慢性期慢性骨髄性白血病の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
加速期慢性骨髄性白血病の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、加速期慢性骨髄性白血病の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
急性転化期慢性骨髄性白血病の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、急性転化期慢性骨髄性白血病の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
再燃した慢性骨髄性白血病に対する治療法には、以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、再燃した慢性骨髄性白血病の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
米国国立がん研究所が提供している慢性骨髄性白血病に関する情報については、以下をご覧ください:
米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:
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