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乳がんのスクリーニング: 検診

スクリーニングとは

スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。その実施が、がんの早発見に役立つ場合もあります。異常組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合もあります。症状が現れる頃には、がんが拡がり始めている可能性があります。

ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、こうした疑問をより深く解明しようとする努力が科学者たちによって続けられています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、がんのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それにその検査を受ける頻度について、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。

担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんが疑われているわけではないということは、忘れてはなりません。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。

スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。

乳がんの予防、診断、治療法に関する情報については、PDQ乳がんの予防乳がんの治療に関する要約をご覧ください。


乳がんについての一般的な情報

乳がんは、乳房の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

乳房と乳から構成されています。乳房には葉と呼ばれる組織の集まりが左右それぞれで15〜20個存在し、さらにそれぞれの葉は小葉と呼ばれる多数の小さな組織から構成されています。そしてこの小葉の先端には、腺房と呼ばれる、乳汁を生産するための微細な構造が数十個存在しています。葉と小葉と腺房は、乳管と呼ばれる細い管でつながっています。

乳房の解剖図:葉、小葉、乳管、乳輪、乳頭、脂肪、リンパ節、リンパ管を示す図を拡大する
乳房の解剖図:リンパ節とリンパ管を示す。

乳房の中にはさらに血管リンパ管が走っています。リンパ管の中ではリンパ液と呼ばれるほぼ無色の液体が流れています。リンパ管はリンパ節と呼ばれる臓器につながっています。リンパ節は豆粒状の小さな臓器で、全身のいたるところに点在しています。その役割はリンパ液のろ過や感染や病気に対する防衛などです。腋窩(わきの下)の乳房付近や鎖骨の上、胸部などには、このリンパ節が群れを成すように存在しています。

乳がんは、米国人女性の間ではがんによる死亡原因の第2位を占めています。

米国人の女性では、皮膚がんを除く全ての種類のがんの中で乳がんの発生数が最も多くなっています。女性のがんによる死亡原因でみると、乳がんは肺がんに次ぐ第2位の位置を占めています。乳がんは男性にも発生しますが、その症例はごく少数に限られます。

乳がんの発生リスクに影響を及ぼす要因に年齢と病歴があります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。乳がんの危険因子には以下のようなものがあります:


家族歴と乳がんのスクリーニングに関するさらに詳しい情報については、PDQ乳癌および卵巣癌の遺伝学に関する要約をご覧ください。


乳がんのスクリーニング

がんのスクリーニングでは様々な検査法が用いられます。

スクリーニング検査の中には、がんの早期発見に役立ち、同時にがんによる死亡の可能性を低減できることが明らかとなっているために、実施されているものがあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査もありますが、こうした検査にがんの死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては臨床試験での証明は得られていません。

最小のリスクで最大の効果が得られる検査法を開発するために、現在もスクリーニング検査の研究が行われています。がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんによる死亡のリスクが低減されるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早のうちに発見し治療すれば、回復の見込みが高まる場合があります。

がんのスクリーニング方法を研究するための臨床試験が米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。

乳がんのスクリーニングに用いられる検査法としては、以下の3つが一般的です:
乳腺X線撮影

乳腺X線撮影(マンモグラフィ)とは乳房X線検査のことです。この検査では、触診では発見できない小さな腫瘍も検出できます。乳腺X線撮影ではさらに、非浸潤性乳管がん(乳の内側を覆う細胞異常化したもので、一部の患者さんでは浸潤がんへと発展することもある)の発見も可能です。乳腺X線撮影で乳がんを発見できるかどうかは、腫瘍の大きさや乳房組織の密度、放射線科医の技量などに左右されます。

右の乳房が乳腺X線撮影装置のプレートの間に置かれている図を拡大する
右乳房の乳腺X線撮影。

臨床的乳房検査(CBE)

臨床的乳房検査とは、医師やその他の医療専門家が行う乳房の診察のことです。乳房とわきの下の触診を入念に行って、しこりなどの異常がないかを調べます。

乳房自己検査(BSE)

乳房自己検査とは、乳房にしこりなどの異常がないかを自分自身で調べる検査のことです。

これら3つの検査法のいずれかでしこりなどの異常が発見された場合には、さらに詳しく調べるために超音波検査を実施することがあります。ただしこの検査は、乳がんのスクリーニング検査として単独で実施されるものではありません。超音波検査は、高エネルギーの音波(超音波)を体内の組織や臓器に反射させ、それによって生じるエコーを利用する検査法です。このエコーをもとにソノグラムと呼ばれる体内の組織の映像が描き出されます。

この他にも新しいスクリーニング検査が臨床試験で検証されています。
MRI(磁気共鳴画像法)

MRIとは、磁気、電磁波、コンピュータを利用して体内領域の精細な連続画像を作成する検査法です。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。乳がんの遺伝的リスクが高い女性を対象としたMRIによるスクリーニングの臨床試験からは、MRI検査を行った方が乳腺X線撮影を行うよりも乳房の腫瘍を発見できる可能性が高くなるということが報告されています。

このMRIスキャンは、臨床的乳房検査や乳房自己検査で乳房のしこりが発見された場合に、そのしこりを判別するのに実施されます。またMRIは、がんと瘢痕(はんこん)組織を区別するのにも役立ちます。MRI検査にはX線は使用されません。

組織採取

乳房組織採取とは、顕微鏡での検査のために乳房組織から細胞を採取することです。一部の研究からは、乳房内の液体から異常な細胞が検出される人では乳がんの発生リスクが高くなるという報告がなされています。そこで、乳房組織の採取によって乳がんの早期発見や発生リスクの予測などが行えるかどうかについて、現在研究が進行しています。現在研究中の組織の採取方法には以下の3つがあります:


スクリーニングの臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


乳がんのスクリーニングのリスク

スクリーニング検査にはリスクが伴います。

スクリーニング検査に関する判断は難しくなる場合があります。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要になります。

乳がんのスクリーニング検査に伴うリスクとしては、以下のものが挙げられます:
乳がんが発見されても健康状態の改善や余命の延長につながらない場合もあります。

乳がんが存在していても、既に進行している場合や別の部位に転移している場合には、その時点でスクリーニングを受けたとしても有用性はあまりないでしょう。また、スクリーニングの乳腺X線撮影で発見される乳がんの中には、何の症状ももたらさず命に関わる心配のないものも含まれています。そのようながんが発見された場合、その治療に患者さんの余命を長くする効果はないでしょうし、一方でその治療によって重篤な副作用が発生する恐れがあります。現時点では、スクリーニングで乳がんが発見された場合に、それが症状を引き起こすものかどうかを判別する術はありません。

偽陰性の検査結果が出る可能性もあります。

スクリーニング検査の結果は、たとえ実際に乳がんが存在していても、正常となることがあります。 偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた女性では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。

乳腺X線撮影では、がんの5分の1が見逃されることがあります。若い女性では乳房組織の密度が高くなることから、高齢の女性と比べて偽陰性の発生する可能性が高くなっています。偽陰性が発生する可能性には、この他にも腫瘍の大きさや腫瘍の増殖の速さ、体内のホルモンエストロゲンプロゲステロンなど)の量、放射線科医の技量などの要因も影響してきます。

偽陽性の検査結果が出る場合もあります。

スクリーニング検査の結果は、がんが存在していなくても異常となることがあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となることもあり、さらに、その後も検査(生検など)が引き続き実施されていくのが通常で、そうした検査によるリスクも生じてきます。

検査で異常とされた場合も、結局のところそのほとんどががんではありません。偽陽性が発生しやすい女性としては、若年の女性、乳房の生検を受けたことのある女性、乳がんの家族歴のある女性、ホルモン(エストロゲンやプロゲステロンなど)を服用している女性などが挙げられます。偽陽性が発生する可能性には検査を行う医師の技量も影響してきます。

乳腺X線撮影では乳房が放射線に曝されます。

放射線に曝されること(暴露)は、乳がんの危険因子のひとつです。放射線への暴露(スクリーニングの乳腺X線撮影や通常のX線検査などによるもの)による乳がんの発生リスクの増大は、照射量が大量であるほど大きく、またその女性の年齢が低いほど大きくなります。しかし40歳以上になってくると、乳腺X線撮影でのスクリーニング検査を年1回受けるのであれば、放射線の暴露によるリスクよりも検査による利益の方が勝ってくるようになります。

乳がんのスクリーニングの有害性と有益性は、受ける人が属する集団によって異なってきます。

乳がんのスクリーニングの有益性は、以下のように年齢によって異なります:


胸部への放射線治療を受けたことのある女性(特に若年の女性)には、乳がんのスクリーニングを定期的に受けることが推奨されます。ただしこうした女性の場合でも、乳腺X線撮影とMRIの有益性と有害性についてはまだよく分かっていません。また男性の乳がんのスクリーニングについては、その有益性についても有害性についてもまったく情報がありません。

乳がんの危険因子をもっている人の場合は、その年齢に関係なく、乳腺X線撮影を受ける時期やスクリーニングの頻度について医師と相談しておく必要があります。


2007-06-27