原文更新日 : 2005-05-16
翻訳更新日 : 2007-06-27
成人急性リンパ芽球性白血病(ALL;急性リンパ球性白血病とも言われる)は、血液と骨髄のがんです。治療しないと、この種類のがんは大抵速く悪化します。
通常、幹細胞(未成熟細胞)は骨髄で生産され、成熟血球になります。成熟血球には下記の3タイプがあります:
急性リンパ芽球性白血病(ALL)では、過剰な幹細胞がリンパ球と呼ばれる白血球の一種になります。これらのリンパ球は、リンパ芽球または白血病細胞とも呼ばれます。リンパ球には下記の3タイプがあります:
急性リンパ芽球性白血病(ALL)では、リンパ球は感染と充分に戦えなくなります。また、血液や骨髄中のリンパ球数が増加することによって、健康な白血球、赤血球、血小板のためのスペースが少なくなります。このことにより、感染症や貧血を起こし、出血しやすくなります。がんは、中枢神経系(脳および脊髄)にも拡がることがあります。
この要約は、成人急性リンパ芽球性白血病についてのものです。他の種類の白血病の情報については、以下のPDQ要約を参照してください:
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の危険因子として考えられているものを以下に記述します:
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の早期の徴候は、インフルエンザや他の一般的な病気と似ていることがあります。次に挙げるような症状があれば医師の診察を受けるべきです:
これらの症状および他の症状は、成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)または他の病気により現れることがあります。
成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の発見と診断には、血液や骨髄を調べる検査が用いられます。以下の検査および方法が用いられます:
予後(回復する可能性)および治療法の選択肢は、以下の項目に左右されます:
がんの転移または拡がりは、通常、病期で示されます。白血病の血液および骨髄以外への拡がりの有無を知ることは治療を計画する上で重要です。以下の検査および方法は白血病の拡がりを決めるのに用います:
未治療の成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)
急性リンパ芽球性白血病(ALL)は新たに診断され、発熱、出血、または痛みのような症状を緩和させる以外の治療は行われていません。
寛解中の成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)
急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療が行われています。
再発成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、寛解状態となった後に再発(再び発生)したがんです。急性リンパ芽球性白血病(ALL)は、血液、骨髄、または体の他の部位で再発する可能性があります。
異なるタイプの治療法が、成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の患者さんに利用可能です。治療法のいくつかは標準的(現在使用されている治療法)なもので、その他のものは臨床試験中です。治療法の臨床試験とは、現在の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法についての情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。最適ながん治療の選択は、患者さん、ご家族そして医療チームが関わって行うことが理想です。
通常、成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療には2段階あります。成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療は、以下の段階によって行われます:
中枢神経系(CNS)聖域療法と呼ばれる治療は通常、各治療段階中に行われます。経口または静注(静脈への注射)による化学療法は、中枢神経系(CNS)(脳および脊髄)内の白血病細胞まで到達しない可能性があるため、白血病細胞は中枢神経系内に「聖域(隠れ場所)」を見つけることができます。髄腔内化学療法および放射線療法は中枢神経系(CNS)内の白血病細胞に到達し、白血病細胞を殺し、がんの再発(再び発生)を予防することができます。中枢神経系(CNS)聖域療法は、中枢神経系(CNS)予防とも呼ばれます。
標準治療には以下の3タイプがあります:化学療法は、がん細胞を殺すまたは分裂を止めるといういずれかの方法によって、がん細胞の増殖を止める薬物を使用するがん治療です。化学療法が経口、静注または筋注によって行われる場合、薬物は血流に入り、全身をめぐりがん細胞に到達することができます(全身化学療法)。化学療法が脊柱、臓器、または腹部などの体腔に直接投与される場合、薬物は主にこれらの部位のがん細胞に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は2種類以上の抗がん剤を用いる治療法です。化学療法の処方は、治療するがんの種類および病期により異なります。
髄腔内化学療法は、脳および脊髄へ進展した、または進展する可能性のある成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に用いられます。がんの脳および脊髄への進展予防に使用される場合、中枢神経系(CNS)聖域療法または中枢神経系(CNS)予防と呼ばれます。髄腔内化学療法は、経口または静注による化学療法に加えて行われます。
放射線療法放射線療法は、高レベルのX線またはその他の放射線を使用しがん細胞を殺すがん治療です。放射線療法には、2種類あります。外照射療法は、体外からがんへ放射線を照射する装置を使用します。内照射療法は、がんの近くまたはがん内部へ直接放射線を到達させるために針、シード、ワイヤーまたはカテーテルに密閉した放射性物質を使用します。外照射療法は、脳や脊髄へ進展した、または進展する可能性のある成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に使用されます。この方法で用いられる場合、この治療は中枢神経系(CNS)聖域療法または中枢神経系(CNS)予防とも呼ばれます。
幹細胞移植を伴う化学療法幹細胞移植は、化学療法を行い、そのがん治療によって破壊された造血細胞を入れ換える方法です。幹細胞(未熟血液細胞)は、患者さんもしくはドナーの血液または骨髄から採取し、凍結保存します。化学療法終了後、保存した幹細胞を解凍し点滴によって患者さんへ戻します。これらの再注入された幹細胞は、血液細胞に成長し体内を巡ります。
その他の治療法は臨床試験で検証中です。それらの療法には以下のものを含みます:生物学的治療は、患者さんのがんと戦う免疫系を使用する治療法です。体内あるいは製造ラボで作られる物質を用いて、がんに対する体本来の防御力を増強、方向付け、あるいは修復します。この種のがん治療は、生物療法あるいは免疫療法とも呼ばれます。
本稿では、臨床試験で研究している個々の治療法について述べていますが、現在研究されている新しい治療法全てを掲載しているわけではありません。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
寛解導入期中の成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の標準治療には以下のものがあります:
維持期中の成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の標準治療には以下のものがあります:
再発成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)の標準療法には、以下のものがあります:
再発成人急性リンパ芽球性白血病(ALL)に関して、臨床試験下で治療法が研究されており、以下に示します:
これらの臨床試験および他の進行中の臨床試験についての情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手できます。