原文更新日 : 2008-09-12
翻訳更新日 : 2009-12-22
胚細胞腫瘍は体内の生殖細胞(卵子または精子)から発生します。卵巣胚細胞腫瘍は通常十代または若年の女性に発生し、ほとんどの場合片方の卵巣のみに発見されます。
卵巣は女性の生殖系に属する左右一対の臓器です。この臓器は骨盤の内部に位置していて、子宮(胎児の成長の場となる、洋ナシのような形をした中空の臓器)の左右に1つずつ存在しています。卵巣の大きさはアーモンドと同じくらいで、その形状も似ています。卵巣は卵子の生産と女性ホルモン(特定の細胞や臓器の機能を制御する化学物質)の分泌を行っています。
卵巣胚細胞腫瘍とは、いくつかの異なる種類のがんを総称する用語です。卵巣胚細胞腫瘍のなかで最も多くみられるのは未分化胚細胞腫と呼ばれるものです。(他の種類の卵巣がんに関する情報については、PDQの上皮性卵巣がんの治療と卵巣低悪性度腫瘍の治療に関する要約をご覧ください。)
卵巣胚細胞腫瘍の徴候として考えられるものに、腹部の腫れと閉経後の膣出血があります。卵巣胚細胞腫瘍では、早期の診断(発見)が困難となる場合があります。早期の段階では症状がまったく現れてこない場合も多くありますが、婦人科の定期診察(検診)で腫瘍が発見される場合もあります。他の部位では変化がないにもかかわらず腹部だけに腫れが生じている女性は、医師の診察を受ける必要があります。また、すでに月経が起こらなくなった(閉経期を迎えた)女性において膣からの出血がみられる場合も、医師の診察を受ける必要があります。
卵巣胚細胞腫瘍の発見と診断には、卵巣、骨盤領域、血液、卵巣組織を調べる検査法が用いられます。以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
一般に卵巣胚細胞腫瘍は、早期に発見し治療すれば治癒が望めます。
がんの卵巣内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程ではいくつかの検査法が用いられます。
卵巣胚細胞腫瘍の診断に用いられる検査法の多くは、病期判定の際にも用いられます。卵巣から他の部位にがんが転移していることが明らかな場合以外では、がんの病期の確定には開腹手術の実施が必要となります。がんの有無を確かめるには、腹部を切開して、この臓器全体を入念に調べる必要があります。ここでは組織を小さく切り出し、それを顕微鏡で観察することによって、その組織中のがん細胞の有無を調べます。腹腔内に液体を流して洗浄し、回収された洗浄液を顕微鏡で注意深く観察して、その中にがん細胞が混入していないかを調べる場合もあります。通常は、この開腹術の実施中に、がんやがんに侵されている他の臓器も摘出されます。
体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。体内でのがんの拡がり方には以下の3種類があります:
がん細胞が原発腫瘍(最初にできた腫瘍)を離れてリンパ液や血液を介して体内の別の場所に移動すると、新たな腫瘍(続発性腫瘍)が形成されることがあります。このプロセスは転移と呼ばれます。続発性(転移性)腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳がんが骨に転移する場合、その骨のがん細胞は、実際は乳がんの細胞です。この疾患は転移性乳がんであり、骨がんではありません。
卵巣胚細胞腫瘍では以下のような病期が用いられます:I期では、がんが片側または両側の卵巣に認められますが、それ以上は拡がっていません。I期はさらにIA期、IB期、IC期に分けられます。
II期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに骨盤内の他の部位に拡がっています。II期はさらにIIA期、IIB期、IIC期に分けられます。
III期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに腹部の他の部位に拡がっています。III期は以下のようにIIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます:
がんが肝臓の表面に拡がっている場合も、III期に分類されます。
IV期IV期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに腹部外の部位まで転移しています。
卵巣胚細胞腫瘍の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。ただし臨床試験のなかには、まだ治療を開始していない患者さんだけを対象としたものもあります。
標準治療として以下の3種類が用いられています:手術は卵巣胚細胞腫瘍で最も多く用いられている治療法です。以下の手術法のいずれかによってがんが切除されます。
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与か静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。
たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法や放射線療法が実施される場合があります。治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
ときには、こうした放射線療法や化学療法の実施後に、さらにセカンドルック開腹術と呼ばれる手術が実施される場合もあります。これは、がんの病期を確定するために行われる開腹術と同様の手術です。セカンドルック手術では、がんが残っていないかどうかを確かめるために、腹部のリンパ節とその他の組織のサンプルが採取されます。
臨床試験で、新しい治療法が研究されています。本稿では、臨床試験で研究されている治療について説明しています。現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
骨髄移植を伴う大量化学療法骨髄移植を伴う大量化学療法とは、非常に高用量の化学療法を行うとともに、このがん治療によって破壊された造血細胞を外部から補充するという治療法です。まず患者さん自身もしくはドナーの骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、これを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞へと成長することにより、血液の機能が回復していきます。
新しい治療法併用化学療法(2種類以上の化学療法薬を使用するもの)が臨床試験で検証中です。
患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方では、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験データベースのものです。
フォローアップ検査が必要となることもあります。がんを診断するため、あるいはがんの病期がんの診断や病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏功の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。これはときに再病期分類と呼ばれます。
治療が終ってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
それぞれの治療のセクションには、現在実施中の臨床試験の一覧へのリンクが張られています。がんの種類や病期によっては、臨床試験の掲載が1件もない場合もあります。ここに掲載されていない臨床試験でご自身に適したものがないかは、担当の医師にご確認ください。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:
他の種類の胚細胞腫瘍の治療法は次のどちらかとなるでしょう:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、I期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法は次のどちらかとなるでしょう:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、II期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、III期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法には以下のようなものがあります:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、IV期卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療は以下のものになるでしょう:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には以下のようなものがあります:
NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、再発卵巣胚細胞腫瘍の患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。
米国国立がん研究所が提供している卵巣胚細胞腫瘍に関する詳しい情報については、卵巣がんについてのホームページ(英語)をご覧ください。
米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:
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For more information, U.S. residents may call the National Cancer Institute's (NCI's) Cancer Information Service toll-free at 1-800-4-CANCER (1-800-422-6237) Monday through Friday from 9:00 a.m. to 4:30 p.m. Deaf and hard-of-hearing callers with TTY equipment may call 1-800-332-8615. The call is free and a trained Cancer Information Specialist is available to answer your questions.
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