原文更新日 : 2004-11-17
翻訳更新日 : 2007-06-27
胚細胞腫瘍は体内の生殖細胞(卵子または精子)から発生してきます。卵巣胚細胞腫瘍は通常十代または若年の女性に発生し、ほとんどの場合片方の卵巣のみに発見されます。
卵巣は、女性の生殖系に属する、左右で対を成す臓器です。この臓器は骨盤の内部に位置していて、子宮(胎児の成長の場となる、洋ナシの形をした中空の臓器)の左右に1つずつ存在しています。卵巣の大きさはアーモンドと同じくらいで、その形状も似ています。卵巣は卵子の生産と女性ホルモン(特定の細胞や臓器の機能を制御する化学物質)の分泌を行っています。
卵巣胚細胞腫瘍とは、いくつかの異なる種類のがんを総称して用いられる用語です。卵巣胚細胞腫瘍の中で最も多くみられるのは未分化胚細胞腫と呼ばれるものです。(他の種類の卵巣がんに関する情報については、PDQの上皮性卵巣がんの治療と卵巣低悪性度腫瘍の治療に関する要約をご覧ください。)
卵巣胚細胞腫瘍の徴候として考えられるものに、腹部の腫れと閉経後の膣出血があります。卵巣胚細胞腫瘍では早期診断(発見)が困難な場合があります。早期では症状がまったく現れてこない場合も多くあるのですが、婦人科の定期診察(検診)で腫瘍が発見される場合もあります。他の部位は大きくなっていないのに腹部に腫れが生じている女性は、医師の診察を受ける必要があります。月経の起こらなくなった(閉経期を迎えた)女性で膣からの出血が起こる場合も、医師の診察を受ける必要があります。
卵巣胚細胞腫瘍の発見と診断には、卵巣、骨盤領域、血液、卵巣組織を調べる検査法が用いられます。以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)や治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
一般的に卵巣胚細胞腫瘍は、早期に発見し治療すれば治癒が望めます。
がんの卵巣内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程ではいくつかの検査法が用いられます。
卵巣胚細胞腫瘍の診断に用いられる検査の多くは、病期の判定の際にも用いられます。卵巣から体の他の部位へとがんが拡がっていることが明らかな場合以外では、がんの病期確定に開腹手術の実施が必要となります。この臓器の全体を注意深く調べてがんの有無を明らかにするためには腹部を切り開く必要があるからです。ここでは組織を小さく切り出し、それを顕微鏡で観察することによって、その組織中のがん細胞の有無を調べます。腹腔内を液体で洗浄し、回収された洗浄液を顕微鏡で注意深く観察して、その中にがん細胞が混入していないかを調べる場合もあります。通常は、開腹術の実施中にがんやがんに侵されている他の臓器も摘出されます。
卵巣胚細胞腫瘍では、以下の病期分類が用いられます:I期では、がんが片側または両側の卵巣に認められますが、それ以上は拡がっていません。I期はIA期、IB期、IC期に分けられます。
II期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに骨盤内の他の部位に拡がっています。II期はIIA期、IIB期、IIC期に分けられます。
III期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに腹部の他の部位に拡がっています。III期は以下のようにIIIA期、IIIB期、IIIC期に分けられます。
がんが肝臓の表面に拡がっている場合も、III期に分類されます。
IV期IV期では、がんが片側または両側の卵巣に認められ、さらに腹部外の部位まで転移しています。また、がんが肝臓の組織の中まで拡がっている場合も、IV期に分類されます。
卵巣胚細胞腫瘍の患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中の治療法もあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の3種類が用いられています:手術は卵巣胚細胞腫瘍で最も多く用いられている治療法です。以下の手術法のいずれかによってがんが切除されます。
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与あるいは静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、その薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に置いた機械を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどに放射性物質を密封し、がんの内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法か放射線療法を実施する場合があります。治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
ときに、放射線療法または化学療法の実施後に、セカンドルック開腹術と呼ばれる手術が行われることがあります。これはがんの病期を確定するために行われる開腹術と同様の手術です。セカンドルック手術では、がんが残っていないかどうかを確かめるために、腹部のリンパ節とその他の組織のサンプルが採取されます。
この他にも臨床試験で検証中の治療法があります。具体的には以下のようなものがあります:骨髄移植を伴う大量化学療法とは、非常に高用量の化学療法を実施するとともに、このがん治療によって破壊された造血細胞を外から補充するという治療法です。まず患者さん自身またはドナーから採取した骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出し、冷凍保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍し、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。
新たな治療選択肢併用化学療法(2種類以上の化学療法薬を使用するもの)が臨床試験で検証中です。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法には、以下のようなものがあります:
他の種類の胚細胞腫瘍の治療法は次のどちらかとなるでしょう:
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法は次のどちらかとなるでしょう:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には、以下のようなものがあります:
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法には、以下のようなものがあります:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には、以下のようなものがあります:
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療法には、以下のようなものがあります:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には、以下のようなものがあります:
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
治療法は、腫瘍が未分化胚細胞腫か他の種類の胚細胞腫瘍かによって異なります。
未分化胚細胞腫の治療は以下のものになるでしょう:
その他の胚細胞腫瘍の治療法には、以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。