骨肉腫は骨にがん(悪性の)細胞が発生する疾患です。これは最もよくみられる種類の骨がんです。骨肉腫は青年および若年成人に最も多く発生します。小児と青年では、膝周辺の骨に最もよく腫瘍が発生します。小児と青年における症状と回復の見込みに差はないようです。
骨の悪性線維性組織球腫(MFH)はまれな骨の腫瘍です。この病気は放射線療法の後に起こることがあります。MFHは一般的に骨肉腫と同様に治療され、治療に対する反応も似ているようです。
ユーイング肉腫(ユーイング腫瘍)も骨がんの一種ですが、がん細胞を顕微鏡で見ると骨肉腫のそれとは違いがみられます。(詳しい情報については、PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)のユーイング腫瘍の治療に関する要約をご覧ください。)
患者さんに症状(骨または骨周辺の痛みや腫れなど)がみられた場合、医師はX線検査および血液検査を指示します。骨肉腫による症状が疑われる場合、医師は、整形と腫瘍を専門とする医師の診察を受けるよう勧めることがあります。整形腫瘍医(orthopedic oncologist)は患部から組織小片を切り出します。これは生検と呼ばれます。切り出した組織小片は顕微鏡で観察し、がん細胞が含まれているかどうかを調べます。病院でこの検査を行っているところもあります。
回復の見込み(予後)および治療の選択は、がんの大きさ、部位、種類、病期(がんがどの程度広範囲に拡がっているか)、症状のみられた期間、手術で取り除いたがんの大きさや化学療法で殺したがんの大きさ、また患者さんの年齢、血液検査などの結果、全身状態などによって決まります。
骨肉腫がみられた場合、さらに検査を行いがん細胞が体内の他の部位へ拡がっているかどうかを調べます。これは病期分類と呼ばれます。現在のところ、骨肉腫のための病期分類システムはありません。これに代わるものとして、ほとんどの患者さんはがんが体内の一部位だけにみつかるか(限局性疾患)あるいはがんが一部位から他の部位に拡がっているか(転移性疾患)によってグループ分けされます。治療計画を立てるため、医師はがんがどこにあり、どの程度の範囲に拡がっているかを知る必要があります。骨肉腫には次のようなグループがあります:
がん細胞は原発部位である骨または周辺組織を越えて拡がっていません。若年層の患者さんでは、ほとんどの腫瘍が膝周辺に発生します。
がん細胞はその原発部位である骨から体内の他の部位に拡がっています。最も多いのは、がんの肺への転移です。他の骨に転移することもあります。骨肉腫の患者さんの約5人に1人では、診断時までにがんが転移しています。
再発疾患とは、治療後に再び悪化(再発)したがんを意味します。再発は、がんが最初に発生した組織に発生することも、また体内の他の部位に発生することもあります。骨肉腫の再発が最も多いのは肺です。骨肉腫の再発は通常、治療完了から2〜3年以内に起こります。それ以降の再発もまれに起こります。
骨肉腫であることが疑われた場合、医師は最初の生検を実施する前に、整形腫瘍医と呼ばれる専門家の診察を受けるように勧めることがあります。
骨肉腫の患者さん全てに、治療法が存在します。下記の3種類の治療が用いられています:
こうした標準治療に加えて、生物学的治療と呼ばれる治療法が限局性骨肉腫と転移性骨肉腫で検証中です。生物学的治療とは、患者さん自身の免疫系を利用してがんと闘う治療法です。体内あるいは製造ラボで作られる物質を用いて、がんに対する体本来の防御力を増強、方向付け、あるいは修復します。この種のがん治療は、生物療法あるいは免疫療法とも呼ばれます。
限局性骨肉腫の患者さんはすべて、可能な場合、腫瘍を切除する手術を受けるべきです。医師はがんとその周辺の健常組織の一部を取り除きます(患肢温存手術)。腫瘍が体重を支える骨にみられる場合には、骨折すると患肢温存手術を受けにくくなるため、活動している間はこの骨を保護すべきです。全てのがんを確実に取り除くため、腕または脚の全部または一部を切り取らなければならいこともあります(切断術)。がんがリンパ節に拡がっている場合には、そのリンパ節も切除します(リンパ節郭清)。
骨を越えて拡がっていない骨肉腫の患者さんにおいて、患肢温存手術と切断手術を比較した研究では、全体の生存率に差はみられませんでした。切断せずにがんを取り除くことができる場合、人工骨または他の部位の骨を切除した骨と入れ換えて使用することが可能です。以前の手術で変化した体の部位を再建(再構築)する手法を、再建手術と呼びます。骨肉腫の患者さんにおける再建手術の選択は、腫瘍の位置と大きさ、患者さんの年齢、患者さんの体格の成長予測など、多くの要因によって異なります。
化学療法では、薬を使ってがん細胞を殺す治療です。化学療法は錠剤の服用または静注または筋注により行われます。化学療法が全身療法と呼ばれるのは、薬が血流(血液の流れ)に入り、体中をかけめぐり、体中のがん細胞を破壊することができるからです。2種以上の薬物による化学療法を併用化学療法といいます。
化学療法の中には、がんのみられる部位に直接注入するもの(局所化学療法)もあります。骨肉腫の治療では、手術はしばしば限局性の腫瘍を取り除くために行われ、その後体内に残ったがん細胞を死滅させるために化学療法が行われます。がんを切除した手術の後に行われる化学療法を補助化学療法と呼びます。化学療法はまた、手術の前に行ってがんを縮小させ手術で摘出できるようにする場合もあり、これは術前補助化学療法と呼ばれます。
放射線療法では、がん細胞を破壊し、腫瘍を縮小させるためにX線や他の高エネルギー線を用います。骨肉腫への放射線照射は、通常体の外から機器を用いて行われます(外照射療法)。
骨肉腫の治療は、病期、がんの見つかった部位、患者さんの年齢と全身状態によって決まります。
過去の研究において多くの患者さんで有効性が示されたことから標準治療とみなされている治療を受けることも、あるいは臨床試験への参加を選択することもできます。全ての患者さんが標準治療で治癒するとは限りませんし、標準治療の中には予想よりも副作用が強く出るものもあります。このような理由から、臨床試験は最新の情報に基づき、がんの患者さんにより良い治療法を見い出すためにデザインされます。骨肉腫を対象とする臨床試験は米国各地で進行中です。
がん治療の中には、治療が終った後も副作用が続くものや数年後に副作用が出てくるものがあります。これらは晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には、身体的問題や、気分、感情、思考、学習、記憶における変化、そして二次がん(新しい種類のがん)の発生が挙げられます。晩期障害によっては治療または制御できるものがあります。治療が原因となり後に起こりうる晩期障害について、担当医と親が話し合うことは重要です。(詳しい情報については、PDQのがん治療の晩期障害(小児)に関する要約をご覧ください。)
骨肉腫の治療には次の方法があります:
骨の悪性線維性組織球腫の治療には次の方法があります:
治療はがんが再発した部位や以前に施された治療の種類、その他の要因によって決まります。臨床試験への参加が合理的な治療選択である場合もあります。
がんが肺にだけ再発した場合の治療法は、肺のがんを取り除く手術で、化学療法を併用する場合もあります。がんが肺以外の部位にも再発した場合には、治療は併用化学療法となります。臨床試験では、痛みを緩和し、生活の質(QOL)を高めることを目的とした緩和療法としての新しい化学療法薬と末梢血幹細胞サポートが評価されています。