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膀胱癌は泌尿器科領域において、前立腺癌についで頻度の高い悪性疾患である。膀胱癌は組織型より表在性膀胱癌と浸潤性膀胱癌とに分類されるが、約3割が浸潤性膀胱癌となる。浸潤性膀胱癌の標準的治療は、転移がなければ根治的膀胱全摘出術であるが、その予後は不良であり、化学療法との併用などの集学的治療が用いられることが多い。我々は本邦における根治的膀胱全摘術の治療成績を明らかにするため、京都大学・名古屋大学・奈良県立医大および関連施設32施設における膀胱全摘出術をうけた浸潤性膀胱癌患者の治療成績を検討した(H.Nishiyama, Eur.Urol 2004)。対象は1990年より2000年までの10年間に3大学を含む32関連施設において施行された浸潤性膀胱癌患者とした。症例数は1132人、内男性は903人であった。組織型としては移行上皮癌(TCC)が92%占めていた(スライド1)。
80歳、組織型が移行上皮癌、リンパ節郭清術を伴う根治的膀胱全摘術を施行された913例を対象として検討したところ、平均観察期間は3.8年、臨床病期としては、T2が263例、T3が297例、T4が54例であった(スライド2)。病理病期別治療成績を見たところ、病期が進むに従い治療成績は低下し、pN0症例の場合、pT2b以下では約7割以上の5年生存率を示すが、pT3以上になると約5〜6割の5年生存率であった(スライド3)。一方、リンパ節転移を有する症例でも、病理病期とともに予後は不良となるが、局所がpT2b以下ならリンパ節転移を有していても約5割以上の治療成績をえていた(スライド4)。今回我々の治療成績をまとめると、全体での5年生存率は68%、病理病期別にみたところ、pT2以下であれば、5年生存率85%であるが、pT3以上では58%であった。我々の治療成績は、2000年以降に報告されている欧米での治療成績にほぼ匹敵していた(スライド5)。
近年の報告において、浸潤性膀胱癌の治療成績に及ぼす重要な因子として、手術手技と補助化学療法があげられる。2004年のHerrらの報告によると、郭清リンパ節の範囲・個数が予後と相関し、より多くのリンパ節郭清を行った方が治療成績は良いとされている(スライド6)。また、Grossmanらは膀胱全摘単独治療とMVAC化学療法と膀胱全摘との併用療法とを比較し、MVAC化学療法併用が予後を改善することを明らかにした(スライド7)。我々の症例に関しても、化学療法に非常によく奏功した症例(CR症例)では、他の群より有意に良子な予後が得られていた(スライド8)。
以上の結果をまとめると、我々の浸潤性膀胱癌に対する根治的膀胱全摘出術の治療成績は欧米とほぼ同等の治療水準にある。また、化学療法に反応性を有する症例を選べば、補助化学療法による予後の改善は十分期待できると考えられた。