患者さん向け 皮膚がんの治療(PDQ®)

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このPDQがん情報要約では、皮膚がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

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皮膚がんについての一般的な情報

皮膚がんは、皮膚の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

皮膚は体のなかで最も大きな臓器です。その機能の1つは、熱や日光、外傷、感染などから体を保護することです。皮膚はまた体温の調節にも関わっていて、さらに水分や脂肪、ビタミンDなどの保持という役割も果たしています。皮膚はいくつかの層から構成されていますが、大きく分けると表皮(外側の層)と真皮(内側の層)の2つの層があります。皮膚がんはこのうちの表皮から発生してきますが、この表皮は以下の3種類の細胞から構成されています:

皮膚の解剖図:図は、表皮(扁平上皮細胞層と基底細胞層を含む)、真皮、皮下組織を示す。さらに、毛幹、毛包、油腺、リンパ管、神経、脂肪組織、静脈、動脈、汗腺も示されている。

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皮膚の表皮(扁平上皮細胞層と基底細胞層を含む)、真皮、皮下組織などの各部を示す皮膚の解剖図。

皮膚がんは全身のどの部分にも発生しますが、最も発生しやすいのは顔面や頸部、手などの日光によく曝される部分です。

様々ながんが皮膚から発生します。

皮膚がんは基底細胞や扁平上皮細胞から発生することがあります。よくみられる種類の皮膚がんに、基底細胞がん扁平上皮がんがあります。これらのがんは非黒色腫皮膚がんとも呼ばれています。また、日光角化症という皮膚の病態は、扁平上皮がんになることがあります。

黒色腫は基底細胞がんまたは扁平上皮がんほど一般的ながんではありません。このがんでは、周辺組織に拡がる可能性や皮膚以外の場所に転移する可能性がより高くなります。

本要約は基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、日光角化症について書かれたものです。

色白であることと日光への曝露は、基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんのリスク因子です。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。これらのリスク因子の1つ以上を持つ人がみな皮膚がんになるわけではありませんし、既知のリスク因子を持たない人が皮膚がんになることもあります。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんのリスク因子には以下のものがあります:

高齢であることは、ほとんどのがんで主要なリスク因子です。歳をとればとるほど、がんになる確率は高まります。

基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、日光角化症はしばしば皮膚の変化として現れます。

皮膚に生じる全ての変化が、基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、日光角化症の徴候であるとは限りません。皮膚の変化に気づいた場合は、医師の診察を受けてください。

基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんの徴候には以下のものがあります:

基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんは、鼻や耳、下唇、手の甲などの日光によく曝されている部分の皮膚によくみられます。

日光角化症の徴候には以下のものがあります:

日光角化症は顔面や手の甲によくみられます。

皮膚の基底細胞がんと扁平上皮がんを診断するために、皮膚を調べる検査や手技が行われます。

医師は、既往歴および家族歴の聴取と身体診察に加えて、以下の検査や手技を行うことがあります:

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

皮膚の扁平上皮がんの予後は、以下の点に大きく左右されます:

基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんの治療選択肢は、以下の点に応じて異なります。

皮膚がんの病期

皮膚の扁平上皮がんの診断がついた後には、がん細胞の皮膚内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がんの皮膚内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。皮膚の扁平上皮がんの治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。

皮膚の基底細胞がんが他の部位に転移することはめったにありません。皮膚の基底細胞がんが転移しているかどうかを調べる病期分類検査は、通常は不要です。

皮膚の扁平上皮がんの病期分類には以下のような検査法や手技が用いられます:

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、皮膚がんに転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は皮膚がんの細胞です。このような疾患は、転移性皮膚がんであって、肺がんではありません。

基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんの病期分類はがんが発生した場所によって異なります。

眼瞼の基底細胞がんと扁平上皮がんの病期分類は、頭頸部の他の部分に認められる基底細胞がんと扁平上皮がんの病期分類と異なります。頭頸部以外に発生した基底細胞がんまたは扁平上皮がんには、病期分類システムがありません。

手術で原発腫瘍と異常なリンパ節を切除し、得られた組織サンプルを病理医が顕微鏡で調べることがあります。この過程は病理学的病期分類と呼ばれ、その結果は下記の病期分類に利用されます。腫瘍を切除する手術の前に行われる病期分類は、臨床病期分類と呼ばれます。臨床病期と病理学的病期は一致しない場合があります。

以下の病期分類は頭頸部の基底細胞がんと皮膚扁平上皮がんについてのものであり、眼瞼上に発生したそれらのがんの病期分類ではありません:

0期(上皮内がん)

0期では、表皮扁平上皮細胞または基底細胞異常な細胞が認められます。こうした異常細胞は、がん化して周囲の正常組織へと拡がっていく可能性があります。0期は上皮内がんとも呼ばれます。

頭頸部の非黒色腫皮膚上皮内がん:図は表皮内で発生した異常な扁平上皮細胞と基底細胞を示している。真皮とその下の皮下組織も示している。2枚の拡大図:左の拡大図は正常または異常な扁平上皮細胞を示し、右の拡大図は正常または異常な基底細胞を示している。

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頭頸部の非黒色腫皮膚上皮内がん。表皮の扁平上皮細胞層または基底細胞層に異常な細胞が認められます。こうした異常細胞は、がん化して周辺の正常組織に拡がっていく可能性があります。

I期

I期では、がんが形成されており、腫瘍の大きさは2cm以下です。

頭頸部のI期非黒色腫皮膚がん:図は表皮内のがんを示している。拡大図は、腫瘍が2cm以下であり、2cmがピーナッツ程度の大きさであることを示している。真皮とその下の皮下組織も示している。

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頭頸部のI期非黒色腫皮膚がん。腫瘍の大きさは2cm以下です。

II期

II期では、腫瘍の大きさは2cmを超えますが4cm以下です。

頭頸部のII期非黒色腫皮膚がん:図は表皮と真皮にまたがっているがんを示している。拡大図は、腫瘍は2cmより大きいが4cm以下であり、2cmがピーナッツ程度、4cmがクルミの粒程度の大きさであることを示している。真皮の下の皮下組織も示されている。

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頭頸部のII期非黒色腫皮膚がん。腫瘍は2cmより大きく4cm以下です。

III期

頭頸部のIII期非黒色腫皮膚がん(1):(a)拡大図は腫瘍が4cmより大きいことと、4cmがクルミ程度の大きさであることを示している。また図は、表皮を越えて(b)真皮の下の神経を覆う組織、(c)皮下組織より下部、(d)骨に拡がったがんも示している。

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頭頸部のIII期非黒色腫皮膚がん(1)。腫瘍は(a)4cmより大きいか、がんが(b)真皮の下の神経を覆う組織に拡がっているか、(c)皮下組織より下部に拡がっているか、(d)骨に転移し、その骨に軽度の損傷が認められます。がんは腫瘍と同じ側にあるリンパ節の1つに転移していることもありますが、そのリンパ節の大きさは3cm以下で、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっていません(図には示されていません)。

または、

頭頸部のIII期非黒色腫皮膚がん(2):図は顔面の原発腫瘍と、この腫瘍と同じ側にあるリンパ節1つに転移したがんを示している。上の拡大図は、腫瘍が4cm以下であり、4cmがクルミ程度の大きさであることを示している。下の拡大図は、がんが転移したリンパ節の大きさが3cm以下であり、3cmがブドウ程度の大きさであることを示している。

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頭頸部のIII期非黒色腫皮膚がん(2)。腫瘍の大きさは4cm以下です。がんは腫瘍と同じ側にあるリンパ節の1つに転移し、そのリンパ節の大きさは3cm以下である。

III期は、以下の条件のいずれかに該当します:

IV期

頭頸部のIV期非黒色腫皮膚がん(1):図は顔面の原発腫瘍と以下のように転移したがんを示している。(a)腫瘍と同じ側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節の大きさは3cm以下であり、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっている。(b)腫瘍と同じ側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節は3cmより大きく6cm以下である。(c)腫瘍と同じ側にある複数のリンパ節に転移しており、それらのリンパ節の大きさは6cm以下である。(d)腫瘍と反対側もしくは体の両側にある1つ以上のリンパ節に転移しており、それらのリンパ節の大きさは6cm以下である。10cmと4インチの目盛りも表示している。

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頭頸部のIV期非黒色腫皮膚がん(1)。腫瘍の大きさは問いません。がんは骨に転移している場合がありますがその骨に損傷はほとんどみられません、または真皮の下の神経を覆う組織に拡がっています、もしくは皮下組織より下部に拡がっています。がんは、(a)腫瘍と同じ側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節の大きさは3cm以下であり、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっているか、または(b)腫瘍と同じ側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節は3cmより大きく6cm以下であり、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっていないか、または(c)腫瘍と同じ側にある複数のリンパ節に転移しており、それらのリンパ節の大きさは6cm以下であり、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっていないか、または(d)腫瘍と反対側もしくは体の両側にある1つ以上のリンパ節に転移しており、それらのリンパ節の大きさは6cm以下であり、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっていません。

または、

頭頸部のIV期非黒色腫皮膚がん(2):図は顔面の原発腫瘍と以下のように転移したがんを示している。(a)1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節の大きさが6cmを超えている。(b)腫瘍と同じ側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節は3cmより大きく、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっている。(c)腫瘍と反対側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節の大きさは問わず、そのリンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっている。(d)体の片側または両側にある複数のリンパ節に転移しており、それらのリンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっている。10cmと4インチの目盛りも表示している。

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頭頸部のIV期非黒色腫皮膚がん(2)。腫瘍の大きさは問いません。がんは真皮の下の神経を覆う組織や皮下組織の下部に拡がっているか、または骨髄や頭蓋底などの骨に転移していることがあります。がんは以下のように転移しています:(a)1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節は6cmより大きく、リンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっていないか、または(b)腫瘍と同じ側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節は3cmより大きく、そのリンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっているか、または(c)腫瘍と反対側にある1つのリンパ節に転移しており、そのリンパ節の大きさを問わず、そのリンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっているか、または(d)体の片側または両側にある複数のリンパ節に転移しており、それらのリンパ節の外側を覆う被膜を越えてがんが拡がっている。

または、

頭頸部のIV期非黒色腫皮膚がん(3):図は、顔面の原発腫瘍に加えて、頭蓋底、肺、骨や骨髄などの非黒色腫皮膚がんが転移しうる他の部位を示している。拡大図は、がん細胞が血液やリンパ系を介して体の別の部位に移動し、転移がんを形成する様子を示している。

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頭頸部のIV期非黒色腫皮膚がん(3)。腫瘍の大きさを問わず、骨髄または頭蓋底などの骨にがんが転移しており、その骨に損傷が認められます。さらにがんはリンパ節に転移していることもあります。またはがんが肺などの他の部位に転移しています。

IV期では、以下の条件のいずれかに該当します:

眼瞼上の基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんでは、以下の病期分類が使用されます。

0期(上皮内がん)

0期では、表皮(通常は基底細胞層)に異常細胞が見られます。こうした異常細胞は、がん化して周囲の正常組織へと拡がっていく可能性があります。0期は上皮内がんとも呼ばれます。

I期

I期では、すでにがんが形成されています。I期は、さらにIA期とIB期に分けられます。

II期

II期はさらにIIA期とIIB期に分けられます。

III期

III期は、さらにIIIA期とIIIB期に分けられます。

IV期

IV期では、肝臓など、体内の他の部位に腫瘍が転移しています。

治療法は、診断された皮膚がんの種類や他の皮膚の病態に基づいて決定されます:

基底細胞がん

写真は、赤褐色でわずかに隆起した皮膚がん病変(左図)と、耳の後ろに発生した、潰瘍に類似し真珠状の縁を示す皮膚がん病変(右図)を示している。

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基底細胞がん。赤褐色でわずかに隆起した皮膚がん病変(左図)と、潰瘍に類似し真珠状の縁を示す皮膚がん病変(右図)。

基底細胞がんは、皮膚がんのなかで最も多くみられるものです。皮膚のうち日光に曝されている部分に発生するのが通常で、なかでも鼻での発生が最も多くなっています。このがんは、多くの場合、表面が滑らかで光沢のある隆起したできもののように見えます。またそれよりは少ないものの、傷跡のように見え、平らで硬く、皮膚の色または黄色であったり光沢があったりする種類のがんもあります。基底細胞がんは腫瘍周辺の組織には拡がることがありますが、体の離れた場所に転移することは通常ありません。

扁平上皮がん

写真は、隆起し、かさぶたのようになった皮膚がん病変が生じた顔面側部(左図)と、隆起したピンクの皮膚がん病変が生じた脚(右図)を示している。

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扁平上皮がん。隆起し、かさぶたのようになった顔面の皮膚がん病変(左図)と隆起したピンク色の皮膚がん病変が生じた脚(右図)。

扁平上皮がんは皮膚のうち日光による損傷を受けた部分(耳、下唇、手の甲など)に発生します。また、扁平上皮がんは、皮膚上の日焼けした部分や、化学薬品放射線を浴びた部分に発生することもあります。このがんはしばしば、硬くて赤いできもののように見えます。こうした腫瘍も、うろこ状になったり、出血を伴ったり、かさぶたになったりする場合があります。また、扁平上皮がんは、付近のリンパ節に転移することがあります。転移していない扁平上皮がんは、通常は治癒させることが可能です。

日光角化症

日光角化症という皮膚の病態があり、それ自体はがんではありませんが、ときに扁平上皮がんに進行することがあります。この病態では、日光によく曝されている部分(顔面、手の甲、下唇など)に病変が発生します。病変は、表面が粗くうろこ状で赤色、ピンク色、または褐色の平坦なまたは隆起した斑点として出現したり、リップクリームやワセリンを塗っても治らない下唇のひび割れや皮むけとして現れます。日光角化症は治療を行わなくても消失することがあります。

治療選択肢の概要

基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、日光角化症の患者さんには様々な治療法が存在します。

基底細胞がん皮膚の扁平上皮がん日光角化症の患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

以下のような治療法が用いられます:

手術

基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、日光角化症の治療には以下のような外科的手技が用いられます:

単純切除、モース顕微鏡手術、電気乾固術および掻爬術、凍結手術は、基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんの治療に用いられることがあります。基底細胞がんの治療でレーザー手術が使用されることはほとんどありません。日光角化症の治療では、単純切除、削り切除、掻爬と乾燥、皮膚剥削術、レーザー手術が用いられます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんのある領域に放射線を照射する方法です。

基底細胞がんと皮膚の扁平上皮がんの治療では、外照射療法が使用されます。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。

基底細胞がん、皮膚の扁平上皮がん、日光角化症に対する化学療法には、外用剤(皮膚に塗るクリームやローション)が用いられるのが通常です。基底細胞がんの治療には外用フルオロウラシル(5-FU)が使用されます。

詳しい情報については、基底細胞がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

光線力学療法

光線力学療法(PDT)は、薬と特定の波長の光線を用いてがん細胞を死滅させる治療法です。まず、光が当たることで活性化する薬を静脈内に注射するか皮膚に塗ります。この薬は正常細胞よりもがん細胞により多く集まります。皮膚がんに対する治療の場合は、レーザー光線を皮膚に照射してこの薬を活性化させることによって、がん細胞を殺傷していきます。光線力学療法では、健常組織への損傷がごくわずかで済みます。

光線力学療法は日光角化症の治療に用いられることがあります。

免疫療法

免疫療法は、患者さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。

皮膚がんの治療に用いられる免疫療法にはいくつかの種類があります:

詳しい情報については、基底細胞がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

標的療法

標的療法とは、特定のがん細胞を認識し攻撃する性質をもった薬物や物質を用いる治療法です。

詳しい情報については、基底細胞がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

ケミカルピーリング

ケミカルピーリングは皮膚の外見に関する特定の問題を改善するために用いられる方法です。化学薬品の溶液を皮膚に塗り、皮膚細胞の上層を溶かします。ケミカルピーリングは日光角化症の治療に用いられることがあります。この種の治療はケマブレージョンや化学的表皮剥離法とも呼ばれます。

その他の薬物療法

レチノイドビタミンAと関係のある薬)が皮膚の扁平上皮がんの治療に使用される場合があります。また外用薬のジクロフェナクインゲノールは日光角化症の治療に用いられます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

皮膚がんの治療は副作用を引き起こすことがあります。

がん治療による副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

基底細胞がんと扁平上皮がんは再発する(再び現れる)ことがあり、その場合は通常、初回治療から5年以内に起こります。がんの徴候を調べるために皮膚の検査を受ける頻度について、担当の医師と話し合ってください。

基底細胞がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

限局性基底細胞がんの治療法には以下のようなものがあります:

転移性の基底細胞がん、または局所療法では治療できない基底細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:

転移が認められない再発基底細胞がんの治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

皮膚扁平上皮がんの治療

限局性扁平上皮がんの治療法には以下のようなものがあります:

転移性の扁平上皮がん、または局所療法では治療できない扁平上皮がんの治療法には以下のようなものがあります:

転移が認められない再発扁平上皮がんの治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

日光角化症の治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

日光角化症がんではないのですが、がんに発展する恐れがあることから何らかの治療が行われます。日光角化症の治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

皮膚がんについてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している皮膚がんに関する詳しい情報については、以下をご覧ください:

米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、皮膚がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

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本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Skin Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: https://www.cancer.gov/types/skin/patient/skin-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389265]

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