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男性の乳がん: 治療

男性乳がんについての一般的な情報

男性乳がんは、乳房の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

乳がんは男性にも発生します。乳がんはあらゆる年齢の男性に発生しますが、通常は60〜70歳の男性に発見されます。男性乳がんの症例数は乳がん症例全体の1%にも及びません。

男性に発生する乳がんとしては、以下の種類のものが挙げられます:


女性の乳がんには上皮内小葉がん[乳腺区域]の1つに異常な細胞が発生する疾患)という種類もありますが、これが男性に発生したという報告は未だありません。

男性の乳がんの発生リスクを高める要因に、放射線への暴露や体内のエストロゲン(薬剤詳細へ)量の増大、乳がんの家族歴などがあります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。男性における乳がんの危険因子には以下のようなものがあります:


男性乳がんの一部には、遺伝によって親から受け継がれた変異遺伝子がその原因となっているものも含まれます。

細胞の内部には遺伝子が格納されていますが、そこには両親から受け継いだ遺伝情報が保持されています。乳がん全体の約5%〜10%は遺伝性の乳がんが占めています。乳がんと関係のある変異遺伝子には、特定の民族集団では一般の集団よりも頻繁に認められるものもあります。 乳がんに関係する変異遺伝子をもつ男性では、この疾患の発生リスクが高くなります。

現在ではこうした変異遺伝子を検出する検査法が利用できます。このような遺伝子検査は、がんの発生リスクが高い家系の人々に対してしばしば実施されています。さらに詳しい情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:


乳がんの男性では、触って分かるほどのしこりができるのが通常です。

男性乳がんでは、しこりなどの症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。乳房に顕著な変化がみられる場合は医師の診察を受けてください。

男性における乳がんの発見と診断には、乳房を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


乳がんの男性の生存率は、乳がんの女性の生存率とほぼ同等です。

診断時の病期が同じであれば、乳がんの男性の生存率は、乳がんの女性の生存率とほぼ同等になります。しかしながら男性の乳がんでは、診断時に既に進行している場合が多くなっています。診断時の病期が進行しているほど、治癒の可能性はより低くなってきます。

特定の因子によって予後(回復の見込み)や治療法の選択肢が変わってきます。

予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:



男性乳がんの病期

乳がん診断がついた後には、がん細胞乳房内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。こうした検査の過程は病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。男性の乳がんの病期分類は、女性の乳がんの場合と同じです。(さらに詳しい情報については、PDQ乳がんの治療に関する要約をご覧ください。)乳房からリンパ節や体内の他の部位へのがんの拡がり方についても、男性の場合と女性の場合で違いはありません。


再発男性乳がん

再発乳がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、乳房内や胸壁内部に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。


治療選択肢の概要

男性乳がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

男性乳がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。

臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。

男性の乳がんの治療では、標準治療として以下の4種類が用いられています:
手術

男性の乳がんに対する手術は、非定型的根治的乳房切除術 乳房、わきの下のリンパ節多数、胸部の筋肉の表面を覆う組織を切除し、場合により胸壁の筋肉も切除する手術)となるのが通常です。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。

ホルモン療法

ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを妨害したりすることによってがん細胞の増殖を阻止する、がんの治療法です。ホルモンとは、体内のから分泌されて血流内を循環する物質のことです。ホルモンの中には、特定のがんを増殖させるものがあります。ホルモンが結合できる部分(レセプター)ががん細胞上に存在するということが検査によって判明した場合には、薬物投与や手術、放射線療法などの手段を用いて、そのホルモンの分泌を抑制したりその機能を阻害したりする治療を行っていきます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を封入し、がんの内部かその付近に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:
術後補助療法としてのモノクローナル抗体の投与

モノクローナル抗体療法とは、製造ラボにおいて単一の免疫系細胞から抗体を作り出し、それを使用するがんの治療法のことです。ここでは、がん細胞の表面上に存在する物質に結合する抗体や、がん細胞の増殖を促進する物質に結合する抗体が作られます。こうした抗体がそれぞれの対象となる物質に結合することにより、がん細胞の死滅やその増殖の阻止、転移の抑止などといった効果が得られます。モノクローナル抗体の投与は点滴によります。単独で使用されることもありますが、薬や毒素放射性物質などをがん細胞のもとに送り届けるという用途でも用いられます。モノクローナル抗体はまた、術後補助療法治癒の可能性を高めるために手術の実施後に行われる治療)として化学療法と組み合わせて用いられることもあります。

トラスツズマブ(ハ−セプチン)はモノクローナル抗体のひとつで、成長因子という種類の蛋白のひとつであるHER2の作用を阻害します。

本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


男性乳がんの治療選択肢

男性の乳がんには女性の乳がんと同様の治療が行われます。(さらに詳しい情報については、PDQ乳がんの治療に関する要約をご覧ください。)


初回手術

乳がん診断された男性の治療法は、非定型的根治的乳房切除術となるのが通常です。


術後補助療法

手術の実施後にもはやがん細胞が認められなくなった時点で行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に放射線療法化学療法ホルモン療法モノクローナル抗体療法などを実施する場合があります。


こうした治療には、その対象が男性の場合でも、女性の場合と同等の生存率の向上が見込まれます。患者さんのホルモン療法に対する反応(ホルモン療法の効き目)は、腫瘍組織の中にホルモンレセプター蛋白の一種)が存在しているかどうかに左右されます。男性の乳がんの大半にはこのホルモンレセプターが存在しています。そのため男性乳がんの患者さんにはホルモン療法が勧められるのが通常となっていますが、この治療法にはほてり勃起不全勃起を達成または維持できず性交が不可能になった状態)などの数多くの副作用のリスクがあります。

本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


遠隔転移

遠隔転移がんが体の別の部位に拡がること)を起こした男性に対する治療法は、ホルモン療法化学療法、もしくはその両方となります。ホルモン療法には以下のようなものがあります:


ホルモン療法は、それぞれを切り替えながら連続で実施していく場合もあります。ホルモン療法がうまくいかない場合は、標準的な化学療法レジメンが用いられることがあります。その治療に対する反応(治療の効き目)は、その対象が男性であっても乳がんの女性の場合と同様のものとなるのが通常です。


再発男性乳がんの治療選択肢

局所再発(治療後に限られた領域のみにがんが再び発生すること)を起こした男性に対する治療法は、通常次のどちらかとなります:



2007-06-27