患者さん向け 小児甲状腺がんの治療(PDQ®)

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このPDQがん情報要約では、小児甲状腺がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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小児甲状腺がんについての一般的な情報

甲状腺がんは甲状腺の組織に悪性(がん)細胞が発生する疾患です。

甲状腺咽頭最下部の気管付近にあるです。蝶のような形状であり、右と左葉があります。峡部という薄い組織によって、2つの葉が接続されています。通常は皮膚の上から感触を得ることはできません。

甲状腺と副甲状腺の解剖図:図は咽頭基部の気管付近に位置する甲状腺を示している。拡大図は甲状腺の正面図と背面図である。正面図からは甲状腺が蝶のような形状であること、右葉と左葉が峡部という細い組織で連結されていることがわかる。背面図は4つの豆粒大の副甲状腺を示している。喉頭も示されている。

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甲状腺と副甲状腺の解剖図。甲状腺は、咽頭の最下部の気管付近に位置しています。蝶のような形状であり、右葉と左葉が峡部という細い組織で連結されています。副甲状腺は4つの豆粒大の器官で、頸部の甲状腺の近くに存在します。甲状腺と副甲状腺はホルモンを産生します。

甲状腺はヨウ素(一部の食品やヨウ素添加塩に含まれるミネラル)を使用して、数種類のホルモンを作っています。甲状腺ホルモンには次のような働きがあります:

甲状腺結節は、腺腫の場合とがん腫の場合があります。

次の2種類の甲状腺結節があります:

甲状腺乳頭がんと甲状腺濾胞がんは、ときに分化型甲状腺がんと呼ばれます。甲状腺髄様がんと甲状腺未分化がんは、ときに低分化または未分化甲状腺がんと呼ばれます。甲状腺未分化がんは小児では非常にまれであるため、この要約では取り上げません。

甲状腺結節は定期健診で発見されることがあり、多くの場合はがんではありません。

定期健診の際にお子さんの甲状腺にしこり(結節)が見つかることや、画像検査や別の病態に対する手術の際に結節がみつかることがあります。甲状腺結節は異常に増殖した甲状腺の細胞です。これらの結節は固形の場合や内部が液体で満たされている場合があります。

甲状腺結節が見つかると、甲状腺と頸部リンパ節の超音波検査が行われます。がんの徴候を調べるために、穿刺吸引生検が行われることがあります。また血液検査が行われ、血液中の甲状腺ホルモンの濃度と抗甲状腺抗体が調べられます。この検査では他の種類の甲状腺疾患がないか確認します。

甲状腺結節は通常、症状がみられないか治療の必要がありません。時折、甲状腺結節が肥大し、ものを飲み込んだり呼吸したりしにくくなって、さらなる検査と治療が必要になることがあります。5分の1の甲状腺結節ががんになります。

放射線に曝されたり特定の遺伝性症候群を患っていたりすると、甲状腺がんのリスクが高くなることがあります。

病気になるリスクを増大させるものは、全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば、必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければ、がんにならないというわけでもありません。お子さんのリスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。

小児甲状腺がんのリスク因子には以下のものがあります:

甲状腺髄様がんは、親から子に受け継がれる遺伝子内の変化によって引き起こされることがあります。

細胞内の遺伝子は、親から子へ受け継がれる遺伝情報を保持しています。RET遺伝子の特定の変化は親から子へと受け継がれ(遺伝し)、甲状腺髄様がんの原因になることがあります。

変化が生じた遺伝子を調べるために、遺伝子検査が行われます。最初に患者さんが遺伝子の変化について調べる検査を受けます。患者さんの遺伝子に変化が認められたら、ご家族の方々にも、甲状腺髄様がんのリスクが高いかどうかを確認する検査が行われることがあります。遺伝子にそうした変化が認められた家族の方は、幼い小児であっても、甲状腺摘除術(甲状腺を切除する手術)を受ける場合があります。これにより、甲状腺髄様がんが発生する確率を下げることができます。

甲状腺がんの徴候には、頸部の腫れやしこりなどがあります。

甲状腺腫瘍では徴候や症状がみられないことがあります。これらに加え、別の徴候や症状が甲状腺乳頭がんや甲状腺濾胞がんにより引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。

お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

これらに加え、別の徴候や症状が甲状腺髄様がんにより引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。

お子さんに以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:

甲状腺がんの発見、診断、病期分類には、甲状腺、頸部、血液を調べる検査法が用いられます。

がんの発見、診断、病期分類を行うために検査が実施されます。がんの診断後は、がん細胞が周辺領域で拡がっているかどうか、または他の部位に転移しているかどうかを調べる検査が行われます。このプロセスは病期分類と呼ばれます。手術で腫瘍を切除する前にがん細胞の拡がりを明らかにするための検査は、術前病期分類と呼ばれます。がんの転移の有無を明らかにすることは、最適な治療を計画するうえで重要です。

以下のような検査法や手技が用いられます:

特定の因子が予後(回復の見込み)に影響を及ぼします。

予後(回復の見込み)を左右する因子には以下のものがあります:

甲状腺がんの病期

手術でがんが切除された後、がん細胞が体内に残存しているかどうかを調べる検査を行います。

手術後に検査を実施して、がん細胞が体内に残存しているかどうかを調べ、さらなる治療が必要かどうかを判断します。このプロセスは術後病期分類と呼ばれます。

手術の約12週後に以下のような検査や手技が行われます:

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、甲状腺がんがに転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は甲状腺がんの細胞です。この疾患は転移性甲状腺がんであり、肺がんではありません。

再発小児甲状腺がん

再発甲状腺がんは、治療後に再発した(再び現れた)がんです。甲状腺がんの再発は甲状腺でも他の部位でも起こることがあります。

治療選択肢の概要

甲状腺がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

甲状腺がんの小児の治療では、小児がんの治療に精通した医師で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。

この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括します。小児腫瘍医は、小児がんの治療に精通し、特定の医療分野を専門とする他の小児医療専門家と協力しながら治療に取り組んでいきます。具体的には以下のような専門家が挙げられます:

標準治療として以下の4種類が用いられています:

手術

手術は、甲状腺がんに対して最もよく行われる治療法です。以下の手技のいずれかが実施されることがあります:

小児の場合、通常は甲状腺全摘術が行われます。

放射性ヨウ素療法

甲状腺濾胞がん甲状腺乳頭がんの治療にはときに放射性ヨウ素(RAI)療法が用いられることがあります。RAI療法は、手術を受けた小児に対し、術後も残存している甲状腺がん細胞を全て殺傷するために実施されるほか、手術で切除できない腫瘍が生じている小児にも行われます。経口で投与されたRAIは、残存している甲状腺組織や他の部位に転移している甲状腺がん細胞に集まります。ヨウ素を取り込む性質があるのは甲状腺組織だけであるため、RAIは他の組織に害を及ぼすことなく、甲状腺組織と甲状腺がん細胞を破壊します。RAIの全用量を投与する前に、少量を投与して、患者さんの腫瘍がヨウ素を取り込むかどうかを調べます。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞に対する害を少なく抑えつつ、特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。

チロシンキナーゼ阻害薬療法(TKI)は、腫瘍の増殖に必要となる指令を妨害する標的療法です。バンデタニブ進行甲状腺髄様がんの小児に対する治療に用いられるTKIです。

標的療法は、再発した(再び現れた)小児甲状腺がんの治療法として研究されています。

ホルモン補充療法

ホルモンは体内ので作られる物質で、血流に乗って体内を循環します。甲状腺がんの治療を受けると、甲状腺は十分な甲状腺ホルモンを作ることができなくなります。患者さんは残りの生涯にわたって、甲状腺ホルモンを補充する錠剤を服用します。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

小児甲状腺がんの治療は副作用を引き起こすことがあります。

がんの治療中に発生する副作用に関する詳しい情報については、副作用(英語)のページをご覧ください。

がんの治療の副作用のうち、治療後に始まり、何ヵ月または何年も続くものは、晩期合併症(晩期障害)と呼ばれます。小児甲状腺がんに対するがん治療の晩期合併症(晩期障害)には以下のようなものがあります:

晩期合併症(晩期障害)には治療や制御することが可能なものもあります。がんの治療によってお子さんに生じうる影響について担当医とよく相談することが重要です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関する要約をご覧ください。)

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

特に10歳未満の小児でリンパ節にがんが存在している場合は、甲状腺がんの再発がよくみられます。がんが再発しているかどうかを確認するために、時折、超音波検査、全身スキャン、サイログロブリン検査が行われます。生涯にわたる経過観察で血液中の甲状腺ホルモンの値を把握し、適切な量のホルモン補充療法(HRT)を実施する必要があります。どのくらいの頻度でこれらの検査を受ける必要があるかは、担当医にご相談ください。

小児甲状腺乳頭がんと小児甲状腺濾胞がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

小児の甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:

詳しい情報については、PDQ小児にはまれながんの治療に関する要約の多発性内分泌腫瘍症候群のセクションをご覧ください。

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

小児甲状腺髄様がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

小児の甲状腺髄様がんの治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

進行性または再発小児甲状腺がんの治療

以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。

進行性または再発小児甲状腺乳頭がんと小児甲状腺濾胞がんの治療法には以下のようなものがあります:

進行性または再発小児甲状腺髄様がんの治療法には以下のようなものがあります:

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

甲状腺がんについてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している甲状腺がんに関する詳しい情報については、以下をご覧ください:

小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、小児甲状腺がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。 より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

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本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Thyroid Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/thyroid/patient/child-thyroid-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.

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