ご利用について
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児がんのゲノミクスについて、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約では、特定の小児がんの分子的亜型およびそれに伴う臨床的特徴、診断時または再燃時に各亜型の特徴をなす頻発性ゲノム変化、ならびにそのゲノム変化の治療上および予後上の重要性について記載する。脳腫瘍、腎腫瘍、白血病、リンパ腫、肉腫、およびその他のがんに伴うゲノム変化について考察する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
CONTENTS
- 小児がんのゲノミクスに関する一般情報
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この数十年で、世界中の研究チームによって、ほとんどの種類の小児がんにおけるゲノムの全体像を解明する上で目覚しい進歩がなされている。10年前に、活性化チロシンキナーゼのような標的となるがん遺伝子を高い割合の小児がんで同定することが期待できるようになった。しかしながら、小児がんにおけるゲノムの全体像は変動が大きく、多くの例で、一般的な成人のがんとはかなり異なることが現在明らかになっている。
迅速な治療を必要とするゲノム異常の例を以下に示す:
一部のがんでは、特有な生物学的特徴および特有な臨床的特徴(特に進行度に関して)を有する組織像の中で、ゲノム的に定義された患者のサブセットを識別する際に、ゲノム所見が詳細に解明されている。一部の例で、これらの亜型の識別は、髄芽腫のWNTサブグループにより例示されるように、早期に臨床へ応用されている。WNTサブグループは、その転帰が優れているために、長期合併症を低減しながら好ましい転帰を維持することを目標として、治療の低減が評価可能となるように、今後の髄芽腫の臨床試験で個別に検討される。しかしながら、他の一部のがんで、頻発性のゲノム異常の予後的意義は未だ確定していない。
ゲノム研究からの重要な知見は、小児がんの分子的特徴がその臓器の組織(細胞)と相関する程度である。ほとんどの成人のがんと同様に、小児がんにおける変異は、ランダムに発生することはないが、むしろ特定の集団において疾患カテゴリーに関係している。少数の例として以下のものがある:
複数の小児がんにまたがる他の検討項目は、がん臓器の正常な組織の発達に関連する遺伝子の変異の関与およびエピゲノム制御に関連する遺伝子の関与である。
構造変化は多くの小児がんで重要な役割を果たしている。発がん性の融合遺伝子またはがん遺伝子の過剰発現をもたらす転座は、特に白血病および肉腫で中心的な役割を果たす。しかしながら、主に構造変化を特徴とする他の小児がんで、機能性融合遺伝子は産生されない。これらの頻発性の構造多様体によりがん遺伝子が発生する機序は、骨肉腫(TP53の最初のイントロンに限定される転座)および髄芽腫(構造多様体によりGFI1またはGFI1Bのコード配列が活性化エンハンサーエレメントの近位に並置して転写活性化がもたらされる[エンハンサーの乗っ取り(enhancer hijacking)])で同定されている。[ 1 ][ 2 ]しかしながら、他の小児がんで頻発性の構造変化(例、神経芽腫にける染色体セグメントの変化)で、がん遺伝子を生じる機序を解明する必要がある。
全ゲノムまたは全エクソーム配列決定法の小児がんコホートへの適用により、小児がんの病因に対する生殖細胞変異の関与に関する理解が深まりつつある。これらの配列決定法を小児がんコホートへ適用した研究から、病原性生殖細胞変異の発生率で約10%の推定値が得られている。[ 3 ][ 4 ][ 5 ]病原性生殖細胞変異が明らかに患者のがんに関与している例(リー-フラウメニ症候群との関連で生じるTP53変異など)があるが、患者のがんへの生殖細胞変異の関与がほとんど明らかではない例(小児がんの素因における役割が未確定のBRCA1およびBRCA2のような成人がんの素因遺伝子における変異)もある。[ 4 ][ 5 ]生殖細胞変異の頻度は腫瘍の種類により異なり(例、神経芽腫で低く、骨肉腫で高い)[ 5 ]、同定された生殖細胞変異の多くが既知の素因症候群に相当する(例、胸膜肺芽腫でDICER1、ラブドイド腫瘍および小細胞性卵巣がんでSMARCB1およびSMARCA4、副腎皮質がんおよびリー-フラウメニ症候群のがんでTP53、網膜芽細胞腫でRB1など)。特定のがんに対する生殖細胞変異の関与については、以下の疾患特異的セクションで考察している。
本書の各セクションは、特定の小児がんにおけるゲノムの全体像に関する現時点での知識および小児がんに対する正確な投薬の概念を適用する方法を検討する上で不可欠な知識について、読者に簡潔な要約を提供することを目的としている。
参考文献- Northcott PA, Lee C, Zichner T, et al.: Enhancer hijacking activates GFI1 family oncogenes in medulloblastoma. Nature 511 (7510): 428-34, 2014.[PUBMED Abstract]
- Chen X, Bahrami A, Pappo A, et al.: Recurrent somatic structural variations contribute to tumorigenesis in pediatric osteosarcoma. Cell Rep 7 (1): 104-12, 2014.[PUBMED Abstract]
- Mody RJ, Wu YM, Lonigro RJ, et al.: Integrative Clinical Sequencing in the Management of Refractory or Relapsed Cancer in Youth. JAMA 314 (9): 913-25, 2015.[PUBMED Abstract]
- Parsons DW, Roy A, Yang Y, et al.: Diagnostic Yield of Clinical Tumor and Germline Whole-Exome Sequencing for Children With Solid Tumors. JAMA Oncol 2 (5): 616-624, 2016.[PUBMED Abstract]
- Zhang J, Walsh MF, Wu G, et al.: Germline Mutations in Predisposition Genes in Pediatric Cancer. N Engl J Med 373 (24): 2336-46, 2015.[PUBMED Abstract]
- 白血病
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急性リンパ芽球性白血病(ALL)
小児ALLのゲノミクス
小児ALLの遺伝学は広範にわたって研究されており、細胞遺伝学的特性および分子的特性の解析に基づきいくつかの特有な亜型が定義されており、それぞれ固有な臨床的および予後的特徴のパターンを有している。[ 1 ]図1に細胞遺伝学/分子的亜型別のALL症例の分布を例示する。[ 1 ]
B-ALLの細胞遺伝学/ゲノム情報
B-ALLにおけるゲノムの全体像は、正常なB細胞産生を妨げるゲノム変化、また一部の例では増殖シグナルを発する遺伝子における変異という特徴を示す(例、RASファミリー遺伝子における活性化変異またはキナーゼ経路シグナリングにつながる変異/転座)。B細胞産生の阻止につながるゲノム変化には、転座(例、TCF3-PBX1およびETV6-RUNX1)、点変異(例、IKZF1およびPAX5)、および遺伝子内/遺伝子間欠失(例、IKZF1、PAX5、EBF、およびERG)がある。[ 2 ]
B-ALLにおけるゲノム変化ではランダムに発生する傾向はみられないが、むしろその遺伝子発現プロファイルのような生物学的特徴により説明できる亜型内で群発する傾向がある。頻発性染色体転座を認める症例(例、TCF3-PBX1、ETV6-RUNX1、およびKMT2A[MLL]再構成を認めるALL)は、独特な生物学的特徴を有し、この点を例示しており、特有な生物学的亜型内での特定のゲノム変化の以下の例も同様である:
キナーゼ遺伝子の活性化点変異は、高リスクB-ALLでまれである。変異していることが明らかになる第一のキナーゼ遺伝子がJAKである。これらの変異は、CRLF2異常を伴うPh-like ALL患者に一般に観察されるが、ダウン症候群のALL小児の15%にJAK2変異も観察される。[ 4 ][ 8 ][ 9 ]いくつかのキナーゼ遺伝子およびサイトカイン受容体遺伝子は、Ph+ ALLおよびPh-like ALLの考察で以下に記載しているように、転座により活性化される。FLT3変異は、高二倍体ALLおよびKMT2A再構成ALLの少数例(約10%)で発生し、他の亜型ではまれである。[ 10 ]
再燃時のB-ALLのゲノミクスの解明は、診断時のALLのゲノミクスの解明より進展が遅れている。小児ALLは診断時にしばしば多クローン性であり、治療の選択的影響下で、一部のクローンが消滅し、特有なゲノムプロファイルを有する新たなクローンが発生することがある。[ 11 ]特に重要な点として、再燃時に特定の治療要素により選択されることがある新たな変異が発生する。例として、NT5C2の変異は診断時に検出されないが、この変異について評価した2件の研究では、早期再燃を来したB-ALL症例の44人中7人(16%)および20人中9人(45%)でNT5C2に特異的な変異が観察された。[ 11 ][ 12 ]NT5C2変異は、再燃が遅い患者でまれであり、この変異がメルカプトプリン(6-MP)およびthioguanineに対する抵抗性を誘導すると考えられている。[ 12 ]再燃時のみに変異が検出される他の遺伝子は、プリン生合成に関与する遺伝子のPRSP1である。[ 13 ]中国人コホートの13.0%およびドイツ人コホートの2.7%に変異が観察され、治療中に再燃した患者で変異が観察された。再燃例で観察されたPRSP1変異は、白血病細胞株でチオプリン系薬物に対する抵抗性を誘導した。CREBBP変異も再燃時に豊富にみられ、グルココルチコイド系薬物に対する抵抗性増加に関係していると考えられている。[ 11 ][ 14 ]再燃のゲノミクスに関する理解が深まるにつれて、再燃を避けるように初期治療を修正すること、または抵抗性を誘導する変異を早期に検出して明らかな再燃前に介入することが可能になるかもしれない。
特にB-ALLで、頻発性の染色体異常の多くが予後的意義を有することが示されている。高度の高二倍体(染色体数が51~65)およびETV6-RUNX1融合などの一部の染色体変化は、比較的良好な転帰に関係している。歴史的に、フィラデルフィア染色体(t(9;22)(q34;q11.2))、KMT2A遺伝子再構成、低二倍体、およびAML1遺伝子の染色体内増幅(iAMP21)など、不良な予後に関係している変化もある。[ 15 ]
これらのゲノム変化の多くが臨床的に重要なことが認識され、造血器およびリンパ組織腫瘍の世界保健機関分類2016年版では、B-ALLとして以下の疾患を掲載している:[ 16 ]
小児ALLにおけるこれらの染色体および他の染色体ならびにゲノムの異常について以下に記載している。
- 染色体の数。
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染色体転座および染色体セグメントの増加/欠失。
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t(12;21)(p13.2;q22.1);ETV6-RUNX1(以前はTEL-AML1として知られていた)。
12番染色体上のETV6遺伝子と21番染色体上のRUNX1遺伝子の融合は、B-ALL症例の20~25%にみられるが、T-ALLでみられることはまれである。[ 29 ]t(12;21)(p13;q22)は、従来の細胞遺伝学的検査ではなく、FISHなどの検査法で検出される潜在性転座をもたらし、2~9歳の小児に最も多くみられる。[ 38 ][ 39 ]ヒスパニック系のALL小児では、白人の小児よりもt(12;21)(p13;q22)の発生率が低い。[ 40 ]
ETV6-RUNX1融合を認める小児では、一般的にEFSおよび全生存(OS)が良好なことを示す報告がある;しかしながら、この遺伝的特徴の予後的な影響は、以下の因子によって変化する:[ 41 ][ 42 ][ 43 ][ 44 ][ 45 ]
- 治療に対する早い反応。
- NCIリスクカテゴリー(診断時の年齢およびWBC数)。
- 治療レジメン。
新たにALLと診断された小児の治療を検討したある研究では、予後因子の多変量解析により、年齢および白血球数は独立した予後因子であるが、ETV6-RUNX1はそうではないことが明らかにされた。[ 41 ]ETV6(12p)またはCDKN2A/B(9p)の欠失といった二次性の細胞遺伝学的異常の存在は、ETV6-RUNX1融合が認められる患者の転帰に影響しないと考えられる。[ 45 ][ 46 ]
ETV6-RUNX1融合を認める患者では、他の再燃B-ALL患者と比較して、晩期再燃の頻度が高い。[ 41 ][ 47 ]ETV6-RUNX1融合を認める再燃患者は、他の再燃患者より転帰が良好であると考えられており[ 48 ]、診断から36ヵ月を過ぎてから再燃した患者は、特に予後良好である。[ 49 ]t(12;21)(p13;q22)を認める患者における一部の再燃は、(最初のヒットがETV6-RUNX1転座であった)持続性の前白血病クローンが新たに独立して受けた2番目のヒットである可能性もある。[ 50 ][ 51 ]
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t(9;22)(q34.1;q11.2);BCR-ABL1(Ph+)。
フィラデルフィア染色体t(9;22)(q34.1;q11.2)は、ALL患児の約3%にみられ、チロシンキナーゼ活性を有するBCR-ABL1融合蛋白の産生につながる(図2を参照のこと)。
このALLの亜型は、B-ALLでWBC数が多い年長の小児に多くみられ、t(9;22)(q34.1;q11.2)の発生率はALLの若年成人で約25%に増加する。
歴史的にフィラデルフィア染色体のt(9;22)(q34.1;q11.2)は、きわめて不良な予後と関連しており(特に、WBC数が多い患者、または初期治療に対する早期反応が緩慢な患者)、その存在は第一寛解期の患者における同種造血幹細胞移植(HSCT)への適応と考えられていた。[ 25 ][ 52 ][ 53 ][ 54 ]メシル酸イマチニブなどのBCR-ABL1チロシンキナーゼ阻害剤は、Ph+ ALL患者に有効である。[ 55 ]強化化学療法と同時にメシル酸イマチニブの連日投与を行った小児腫瘍学グループ(COG)の研究では、5年EFS率が70%(±12%)であったことが示されており、チロシンキナーゼ阻害剤(メシル酸イマチニブ)登場前の時代における歴史的対照のEFS率より優れていた。[ 56 ][ 57 ]
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t(v;11q23.3);KMT2A再構成。
KMT2A遺伝子が関与する再構成は、小児ALL症例全体の約5%にみられるが、ALLの乳児では最大80%にみられる。これらの再構成は、一般に治療失敗のリスク増加と関係している。[ 58 ][ 59 ][ 60 ][ 61 ]t(4;11)(q21;q23)は、ALL小児で最も一般的なKMT2A遺伝子が関与する再構成であり、小児ALLの約1~2%にみられる。[ 59 ][ 62 ]
t(4;11)(q21;q23)を認める患者は、一般にWBC数が多い乳児である;このような乳児では、中枢神経系(CNS)病変がみられる可能性、および初期治療に対する反応が不良である可能性が他のALL患児よりも高い。[ 63 ]t(4;11)(q21;q23)を認める乳児および成人は、いずれも治療失敗のリスクが高いが、t(4;11)(q21;q23)を認める小児は、乳児または成人のいずれよりも転帰が良好であるとみられている。[ 58 ][ 59 ]KMT2A遺伝子再構成の種類に関係なく、白血病細胞にKMT2A遺伝子再構成を認める乳児は、白血病細胞にKMT2A遺伝子再構成を認める年長患者より治療転帰が不良である。[ 58 ][ 59 ]
全ゲノム配列決定法により、KMT2A遺伝子再構成を認める乳児ALL症例は、別のゲノム変化(これらのいずれについても臨床的意義は不明である)をほとんど有さないことが明らかにされている。[ 10 ]KMT2A遺伝子の欠失は、予後不良とは関連していない。[ 64 ]
興味深いことに、KMT2AおよびMLLT1/ENLを巻き込んだt(11;19)(q23;p13.3)は、ALL症例の約1%にみられ、early B細胞系列ALLでもT-ALLでも認められる。[ 65 ]t(11;19)を認める乳児の転帰は不良であるが、t(11;19)を認めるより年長のT-ALL患児では、転帰が比較的良好なようである。[ 65 ]
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t(1;19)(q23;p13.3);TCF3-PBX1およびt(17;19)(q22;p13);TCF3-HLF。
t(1;19)は、小児ALL症例の約5%にみられ、19番染色体上のTCF3遺伝子が1番染色体上のPBX1遺伝子に融合したものである。[ 66 ][ 67 ]t(1;19)は、均衡型転座または不均衡型転座のいずれでも発生することがあり、pre-B ALL免疫表現型(細胞質免疫グロブリン陽性)で主要な頻発性のゲノム変化である。[ 68 ]黒人の小児は、白人の小児よりもt(1;19)を伴うpre-B-ALLを有する可能性が相対的に高い。[ 69 ]
代謝拮抗薬を基本にした治療状況で、t(1;19)は不良な転帰と関連していたが[ 70 ]、その有害な予後的意義は、より積極的な多剤療法によってほぼ打ち消された。[ 67 ][ 71 ]しかしながら、St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)が実施した試験によると、すべての患者が頭蓋照射療法を含まない治療を受け、t(1;19)を有する患者は、この転座が認められない小児と全体的に同程度の転帰であったが、CNS再燃リスクが高く、骨髄再燃の発生率が低かったことから、これらの患者にはより強力なCNS療法が必要となる可能性が示唆される。[ 72 ][ 73 ]
TCF3-HLF融合を引き起こすt(17;19)は、小児ALL症例の1%未満に発生する。TCF3-HLF融合を認めるALLは、診断時に播種性血管内凝固症候群および高カルシウム血症を伴う。t(17;19)を有する小児の転帰は非常に不良で、21症例中20例の死亡を記録した文献レビューが報告されている。[ 74 ]このALL亜型におけるゲノムの全体像は、TCF3-HLF融合に加えて、B細胞分化に関与する遺伝子(PAX5、BTG1、およびVPREB1)における欠失とRAS経路の遺伝子(NRAS、KRAS、およびPTPN11)における変異を特徴としていた。[ 68 ]
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DUX4再構成ALL、頻発性ERG欠失を伴う。
小児B-ALL患者について標準リスクの約5%および高リスクの10%で、DUX4の過剰発現につながるDUX4が関与する再構成がみられる。[ 5 ][ 6 ]年齢の高い青年(15歳超)における頻度は約10%である。最も一般的な再構成は、IGH-DUX4融合をもたらし、ERG-DUX4融合も観察される。[ 75 ]DUX4再構成症例では、独特な遺伝子発現パターンがみられ、このパターンは最初にERGにおける限局的な欠失と関連しているとして特定され[ 75 ][ 76 ][ 77 ][ 78 ]、これらのうち半数から3分の2を超える症例では、ERGを巻き込んだ限局的な遺伝子内欠失がみられるが、他のALL亜型では観察されていない。[ 5 ][ 75 ]ERG欠失はしばしばクローン性のようであるが、感度の高い発見方法を用いると、ほとんどの症例は多クローン性であると考えられる。[ 75 ]IKZF1の変化は、DUX4再構成ALLの20~40%で観察される。[ 5 ][ 6 ]
ERG欠失は非常に優れた予後を暗示しており、OS率は90%を超える;IZKF1欠失が認められる場合でも、予後は依然として非常に良好である。[ 76 ][ 77 ][ 78 ]DUX4再構成ALLの予後は全般的に良好な一方で、このことがERG欠失症例とERGが損なわれていない症例の両方に当てはまるかどうかは不明である。DUX4再構成ALL患者50人を対象にした研究において、ゲノムポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で発見されたERG欠失患者(n = 33)は、ERGが損なわれていない患者(n = 17)(EFS率は約70%)と比較して約90%という良好なEFS率を有した。
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MEF2D再構成ALL。
B細胞分化時に発現する転写因子、MEF2Dが関与する遺伝子融合が小児ALL症例の約4%に認められる。[ 79 ][ 80 ]複数の融合パートナーが生じる場合があるが、MEF2Dと同様、ほとんどの症例は、染色体1q21に位置するBCL9が関わる。[ 79 ][ 81 ]MEF2D-BCL9融合を生じる中間部欠失はあまりに小さいため、従来の細胞遺伝学的方法では検出できない。MEF2D遺伝子融合の症例は独特の遺伝子発現プロファイルを示すが、例外としてPh-likeの遺伝子発現プロファイルを持つMEF2D-CSFR1のまれな症例がある。[ 79 ][ 82 ]
成人患者と小児患者の両方を対象とした研究でのMEF2D再構成ALLの症例の診断時の年齢中央値は12~14歳であった。[ 79 ][ 80 ]高リスクALL臨床試験に登録されたMEF2D再構成ALLの小児22人について、5年EFS率は72%(標準誤差、±10%)であり、これは他の患者のものより低かった。[ 79 ]
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ZNF384再構成ALL。
ZNF384は、小児B-ALL症例の約4~5%で再構成されている転写因子である。[ 79 ][ 83 ][ 84 ]ARID1B、CREBBP、EP300、SMARCA2、TAF15、およびTCF3など、ZNF384について複数の融合パートナーが報告されている。融合パートナーに関係なく、ZNF384再構成ALL症例は独特の遺伝子発現プロファイルを示す。[ 79 ][ 83 ][ 84 ]ZNF384再構成は独立した予後的意義を有さないとみられる。[ 79 ][ 83 ][ 84 ]ZNF384再構成を持つB-ALLの免疫表現型は、CD10の弱い発現または発現陰性を特徴とし、CD13および/またはCD33の発現がよく認められる。[ 83 ][ 84 ]ZNF384遺伝子融合を持つ混合表現型急性白血病(MPAL)(B細胞性/骨髄性)の症例が報告されており[ 85 ][ 86 ]、MPALのゲノム評価から、ZNF384遺伝子融合はB/骨髄性症例の約半数に認められることが明らかにされた。[ 87 ]
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t(5;14)(q31.1;q32.3);IL3-IGH。
この疾患単位は、造血器およびリンパ組織腫瘍のWHO分類2016年版に加えられた。[ 16 ]1980年代に過好酸球増加症のALL患者でt(5;14)(q31.1;q32.3)が発見されたのに続き、本疾患の基礎にある遺伝的根拠としてIL3-IGH融合が特定された。[ 88 ][ 89 ]IGH遺伝子座がIL3遺伝子のプロモーター領域へ結合すると、IL3発現の異常調節につながる。[ 90 ]好酸球増加症のALL小児における細胞遺伝学的異常はさまざまで、あるサブセットのみがIL3-IGH融合に起因する。[ 91 ]
IL3-IGHを有するALLでは、公表文献で報告されている症例数が少なすぎるため、IL3-IGH融合の予後的意義が評価できない。IL3-IGH ALL症例の診断は、血球減少および循環血液中の芽球が認められず、過好酸球増加症を呈する場合があるため、遅れることがある。[ 16 ]
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21番染色体の染色体内増幅(iAMP21)。
iAMP21は一般にFISHを用いて診断され、細胞当たりのRUNX1シグナルが5つ以上(または単一の異常染色体上のRUNX1の過剰コピーが3つ以上)の存在により定義される。[ 16 ]iAMP21は、B-ALL症例の約2%にみられ、比較的高い年齢(中央値、約10歳)、発症時のWBC数が50×109/L未満、わずかな女性優勢、および寛解導入療法終了時の高いMRDと関連している。[ 92 ][ 93 ][ 94 ]
英国のAcute Lymphoblastic Leukaemia(UKALL)臨床試験グループによって、MRC ALL 97/99試験で治療を受けた患者においてiAMP21が存在すると予後不良(5年EFS率、29%)となることが初めて報告された。[ 15 ]その後の試験(UKALL2003[NCT00222612])において、iAMP21が認められた患者はより集中的な化学療法レジメンに割り付けられ、転帰が顕著に改善した(5年EFS率、78%)。[ 93 ]同様に、COGでもNCIの標準リスク患者において、iAMP21は有意に不良な転帰(4年EFS率、iAMP21が存在する場合73% vs それ以外の場合92%)と関連していたが、NCIの高リスク患者においてはそうではなかった(4年EFS率、73% vs 80%)ことが報告されている。[ 92 ]多変量解析で、iAMP21はNCIの標準リスク患者においてのみ転帰不良の独立した予測因子であった。[ 92 ]UKALL2003およびCOG研究の結果から、iAMP21患者では、高リスク化学療法レジメンを用いた治療により、その不良な予後的意義が無効になり、初回寛解期でのHSCTが不要になることが示唆される。[ 94 ]
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PAX5の変化。
遺伝子発現解析により、PAX5のゲノム変化として、PAX5altおよびPAX5 p.Pro80Argと呼ばれる変化を有する2つの独特なALLサブセットが同定された。[ 95 ]PAX5alt亜型における変化には、再構成、配列の変異、限局的な遺伝子内増幅が含まれた。
PAX5alt。PAX5遺伝子再構成は、小児ALLの2~3%を占めると報告されている。[ 96 ]PAX5に関して、20を超えるパートナー遺伝子が報告されており[ 95 ]、dic(9;12)(p13;p13)における主要なゲノム変化であるPAX5-ETV6[ 97 ]が最も一般的な遺伝子融合である。[ 95 ]
B-ALL症例の約1%でPAX5の遺伝子内増幅が確認されており、通常、既知の白血病発症因子であるゲノム変異のない症例で検出されている。[ 98 ]PAX5増幅を有する症例は男性優勢であり(66%)、NCI高リスク状態を有するものが多かった(55%)。1993年から2015年に診断されたPAX5増幅を認める患者のコホートについて、5年EFS率は49%(95%信頼区間[CI]、36%-61%)、OS率は67%(95%CI、54%-77%)であり、このB-ALL亜型については予後が比較的悪いことを示唆している。
PAX5 p.Pro80Arg。p.Pro80Arg変異を有するPAX5は、PAX5の変化を有する他の症例とは異なる遺伝子発現プロファイルを示す。[ 95 ]PAX5 p.Pro80Argを有する症例は、NCI標準リスクまたは高リスクALLの小児(それぞれ、0.4%および1.9%の頻度)よりも青年および若年成人(AYA)と成人集団(3~4%の頻度)において一般的なようである。PAX5 p.Pro80ArgおよびPAX5altを有し、COG臨床試験で治療された小児患者の治療成績は、中程度(5年EFS率、約75%)のようである。[ 95 ]
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Ph-like(BCR-ABL1-like)。
遺伝子発現プロファイルがBCR-ABL1陽性の患者と類似したBCR-ABL1陰性の患者は、Ph-likeと呼ばれている。[ 99 ][ 100 ][ 101 ]この遺伝子発現プロファイルは小児ALL患者の10~20%に発生し、年齢とともに頻度が高くなり、IKZF1の欠失または変異と関連している。[ 8 ][ 99 ][ 100 ][ 102 ][ 103 ]
Ph-like ALLの患者は予後不良であることが複数のレトロスペクティブ解析で示されている。[ 4 ][ 99 ]1件のシリーズにおいて、Ph-like ALLでNCI高リスクの小児および青年に対する5年EFS率はそれぞれ、58%および41%であった。[ 4 ]Ph-like ALL亜型は比較的年齢の高いより高リスクの患者において頻度が高いが、NCI標準リスク患者においても確認されている。COGの1件の研究において、NCI標準リスクのB-ALL患者1,023人中の13.6%がPh-like ALLであることが明らかにされた;これらの患者はPh-like以外の標準リスク患者と比較してEFS率が劣っていた(82% vs 91%)が、OSにおける差は示されなかった(93% vs 96%)。[ 104 ]Ph-like患者40人を対象にした1件の研究において、患者がMRDのレベルに基づくリスクに従った治療法を受けた場合、この亜型の不良な予後的意義が打ち消されたようである。[ 105 ]
Ph-like ALLの特徴はキナーゼシグナル伝達の活性化であり、50%にCRLF2のゲノム変化がみられ[ 101 ][ 106 ]、これらの症例の半数に同時性のJAK変異が認められる。[ 107 ]
残りのPh-like ALL症例の多くに一連の転座が認められており、ABL1、ABL2、CSF1R、JAK2、およびPDGFRBなどのキナーゼの関与が共通のテーマとなっている。[ 4 ][ 102 ]これらの遺伝子の組み合わせから生じた融合蛋白は、一部の症例で変化をもたらす作用を有し、in vitroおよびin vivoのいずれにおいてもチロシンキナーゼ阻害剤に反応を示すことが確認されており[ 102 ]、これらを有する患者に対する治療戦略となる可能性が示唆されている。Ph-like ALLにおいて標的を定めることが可能なキナーゼ融合の保有率は、NCI標準リスク患者(3.5%)の方がNCI高リスク患者(約30%)よりも低い。[ 104 ]ただし、キナーゼ遺伝子内の点変異は、JAK1およびJAK2を除いて、Ph-like ALL症例においてまれである。[ 8 ]
Ph-like ALL症例の約9%が切断型エリスロポエチン受容体(EPOR)の過剰発現に至る再構成に起因している。[ 108 ]この受容体で失われているC末端領域は、原発性家族性先天性赤血球増多症で変異している領域で、EPORの安定性を制御している領域である。JAK-STAT活性化および白血病発現の誘導には、EPORの残りの部分だけで十分である。
CRLF2。性染色体の偽常染色体領域に位置するサイトカイン受容体遺伝子であるCRLF2におけるゲノム変化がB-ALL症例の5~10%で同定されている;これらはPh-like ALL症例の約50%を占める。[ 109 ][ 110 ][ 111 ]CRLF2の過剰発現につながることが多い染色体異常として、IGH遺伝子座(14番染色体)のCRLF2への転座、およびP2RY8-CRLF2融合をもたらす性染色体の偽常染色体領域における中間部欠失がある。[ 8 ][ 106 ][ 109 ][ 110 ]これら2つのゲノム変化は特有な臨床的および生物学的特徴に関連する。
P2RY8-CRLF2融合はCRLF2ゲノム変化を有する小児患者の70~75%で観察され、比較的年齢の低い患者に発生する(年齢中央値、約4歳 vs IGH-CRLF2を有する患者で14歳)。[ 112 ][ 113 ]P2RY8-CRLF2は確立された染色体異常(例、高二倍体、iAMP21、dic(9;20))とともに発生することが少なくない一方で、IGH-CRLF2は一般に既知の細胞遺伝学的サブグループとは相互排他的である。CRLF2ゲノム変化はダウン症候群ALL患者の約60%で観察され、P2RY8-CRLF2融合の方がIGH-CRLF2よりも一般的である(約80% vs 20%)[ 110 ][ 112 ]
IGH-CRLF2およびP2RY8-CRLF2は一般的にB-ALL発症において初期のイベントとして発生し、クローン性の拡がりを示す。[ 114 ]しかしながら、一部の症例では、これらは晩期イベントのようであり、サブクローン性の拡がりを示す。[ 114 ]再燃時に一部の症例でCRLF2のゲノム異常が認められなければ、これらの症例では遺伝子変化がサブクローン性の性質であることが確認される。[ 112 ][ 115 ]
CRLF2異常は、IKZF1欠失の存在と強く関連している。CRLF2の変化に関連して発見される他の頻発性ゲノム変化には、B細胞分化に関連する遺伝子(例、PAX5、BTG1、EBF1など)や細胞周期制御に関連する遺伝子(CDKN2A)における欠失のほか、JAK-STAT経路のシグナル伝達を活性化させるゲノム変化(例、IL7RおよびJAKの変異)がある。[ 4 ][ 106 ][ 107 ][ 110 ][ 116 ]
数件のレトロスペクティブ研究の結果から、単変量解析でCRLF2異常が不良な予後的意義をもつ可能性が示唆されるが、この異常が独立した転帰の予測因子であることを明らかにしたものはほとんどない。[ 106 ][ 109 ][ 110 ][ 117 ][ 118 ]例えば、ヨーロッパの1件の大規模研究において、CRLF2の発現増加は多変量解析で不良な転帰と関連していなかったが、IKZF1欠失およびPh-likeの遺伝子発現署名は不良な転帰と関連していた。[ 103 ]CRLF2の過剰発現またはCRLF2のゲノム変化の存在に基づいて、CRLF2異常の予後的意義を解析すべきかどうかについては、意見の相違がある。[ 117 ][ 118 ]
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IKZF1欠失。
IKZF1欠失は、遺伝子全体の欠失および特定のエクソンの欠失を含め、B-ALL症例の約15%にみられる。頻度は低いが、IKZF1が有害な点変異により不活性化されることがある。[ 100 ]
IKZF1欠失を認める症例は、年長の小児に発生する傾向があり、診断時のWBC数が多いことから、NCI標準リスクの患者と比較してNCI高リスクの患者に多くみられる。[ 2 ][ 100 ][ 116 ][ 119 ]Ph-like症例では、高い割合でIKZF1欠失がみられ[ 3 ][ 116 ]、ダウン症候群の小児に発生したALLでは、IKZF1欠失の発生率が高いと考えられている。[ 120 ]IKZF1欠失はまた、CRLF2のゲノム変化を有する症例およびPh-like ALLでも多くみられる。[ 76 ][ 99 ][ 116 ]
多数の報告で、IKZF1欠失の不良な予後的意義が実証されており、ほとんどの研究の多変量解析で、この欠失が不良な転帰の独立した予測因子であることが報告されている。[ 76 ][ 99 ][ 100 ][ 103 ][ 116 ][ 121 ][ 122 ][ 123 ][ 124 ][ 125 ][ 126 ][ 127 ];[ 128 ][証拠レベル:2Di]しかしながら、IKZF1の予後的意義は、ERG欠失を示す患者で明らかな予後的意義が認められないことによって例示されるように、ALLの生物学的亜型に等しく当てはまらない可能性がある。[ 76 ][ 77 ][ 78 ]同様に、IKZF1欠失の予後的意義もまた、DUX4再構成ALLおよびERG欠失により頻繁に発生したERG転写脱制御を示すCOGの患者コホートで極小化されたようである。[ 6 ]Associazione Italiana di Ematologia e Oncologia Pediatrica(AIEOP)-ベルリン-フランクフルト-ミュンスター(BFM)グループにより、IKZF1欠失は、寛解導入療法終了時のMRDが多いB-ALL患者でのみ重要な予後不良因子であり、このような患者では、CDKN2A、CDKN2B、PAX5、またはPAR1の欠失の同時発生(ERG欠失はみられない)が同定されたことが報告された。[ 129 ]
IKZF1遺伝子の状態に基づく治療法の変更の結果はほとんど発表されていない。マレーシア-シンガポールのグループにより、2件の連続した試験の結果が発表された。最初の試験(MS2003)では、リスク層別化においてIKZF1の状態は考慮されなかったが、その後の試験(MS2010)では、IKZF1が欠失した患者は標準リスクの集団から除外された。したがって、MS2010試験では、より多くのIKZF1が欠失した患者が強化療法を受けた。IKZF1が欠失したALLの患者は、MS2003の患者と比較してMS2010の方が治療成績が改善したが、この観察の解釈はリスク層別化において他にも変更点があったことおよび2件の試験間で治療に差があったことにより制限される。[ 130 ][証拠レベル:2A]
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t(12;21)(p13.2;q22.1);ETV6-RUNX1(以前はTEL-AML1として知られていた)。
T-ALLの細胞遺伝学/ゲノム情報
T-ALLは、T細胞発生に関係する転写プログラムの活性化に至るゲノム変化ならびにNOTCH1経路の活性化をもたらすNOTCH1および/またはFBXW7の変異を有する症例の頻度が高い(約60%)ことを特徴とする。[ 131 ]B-ALLと対照的に、T-ALLにおけるゲノム変化の予後的意義はほとんど確定していない。B細胞系統のALLで一般的にみられる細胞遺伝学的異常(例:高二倍体、染色体数が51~65)は、T-ALLでまれである。[ 132 ][ 133 ]
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Notch経路のシグナル伝達。
T-ALLでは、NOTCH1およびFBXW7の遺伝子変異によってNotch経路のシグナル伝達が活性化していることが多く、これらは、小児T-ALLで最も多く変異している遺伝子である。[ 131 ][ 134 ]NOTCH1活性化遺伝子変異がT-ALL症例の約50~60%に、またFBXW7不活性化遺伝子変異が同症例の約15%にみられ、その結果、これらの遺伝子の少なくとも1つの変異により、約60%の症例でNotch経路が活性化される。[ 135 ]
NOTCH1/FBXW7変異の予後的意義は、RASおよびPTENにおけるゲノム変化により変化する場合がある。French Acute Lymphoblastic Leukaemia Study Group(FRALLE)およびGroup for Research on Adult Acute Lymphoblastic Leukemiaグループにより、変異型NOTCH1/FBXW7および野生型PTEN/RASは、予後良好群を構成するが、PTENまたはRASの変異を認める患者は、NOTCH1/FBXW7の状態にかかわらず、治療失敗のリスクがかなり高いことが報告された。[ 136 ][ 137 ]FRALLE研究で、5年累積再燃発生率および無病生存(DFS)率は、変異型NOTCH1/FBXW7かつ変異型PTEN/RASの患者で50%および46%であったのに対して、変異型NOTCH1/FBXW7かつ野生型PTEN/RASの患者で13%および87%であった。[ 136 ]FRALLE研究で全体の5年DFS率は73%であり、全体の5年DFS率が90%に近い現在の治療レジメンに対して、NOTCH1/FBXW7とPTEN/RASの変異に同じ予後的意義が適用できるかを確定するにはさらに研究が必要である。[ 138 ]
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染色体転座。
T-ALLでは、標的遺伝子発現の脱規制につながる染色体転座が多く同定されている。これらの染色体再構成では、転写因子をコードしている遺伝子(例:TAL1/TAL2、LMO1とLMO2、LYL1、TLX1、TLX3、NKX2-I、HOXA、およびMYB)がT細胞受容体の遺伝子座のいずれか(またはその他の遺伝子)と融合し、白血病細胞におけるこれらの転写因子発現の脱規制につながる。[ 131 ][ 132 ][ 139 ][ 140 ][ 141 ][ 142 ][ 143 ]これらの転座は、標準の核型検査ではしばしば明らかにならないが、FISHまたはPCRなどのより高感度のスクリーニング技法を用いることで特定可能である。[ 132 ]TAL1遺伝子の近くにあり、TAL1上流のスーパーエンハンサーを産生する非コード領域の変異は、非転座ゲノム変化であり、TAL1転写を活性化して、T-ALLを発生させることもある。[ 144 ]
T-ALLでは、キメラ融合蛋白を生じる転座も観察されている。[ 136 ]
- NUP214-ABL1融合は、T-ALL症例の4~6%に認められており、成人と小児の両方で観察され、男性に多くみられる。[ 145 ][ 146 ][ 147 ]この融合は、細胞遺伝学的に潜在性で、FISH法では増幅したエピソームで確認されるが、それ以外でも、はるかにまれであるが、均一に染色された小領域として確認されることもある。[ 147 ]T-ALLでは、他の遺伝子パートナー(例:ETV6、BCR、およびEML1)とのABL1融合蛋白がまれにみられることもある。[ 147 ]このT-ALLの亜型では、イマチニブまたはダサチニブなどのABLチロシンキナーゼ阻害薬による治療効果が実証される可能性があるが[ 145 ][ 146 ][ 148 ]、この戦略を用いた臨床経験はきわめて限られている。[ 149 ][ 150 ][ 151 ]
- SPI1(転写因子PU.1をコードしている)を巻き込んだ遺伝子融合が日本人のT-ALL患児の4%で報告された。[ 152 ]融合パートナーには、STMN1およびTCF7があった。SPI1融合を認めるT-ALL症例は、特に予後不良であった;罹患者の7人中6人が早期再燃の診断から3年以内に死亡した。
- T-ALL患者における他の頻発性遺伝子融合には、MLLT10、KMT2A、およびNUP98を巻き込んだものがある。[ 131 ]
初期の前駆T細胞ALLの細胞遺伝学/ゲノム情報
初期の前駆T細胞ALLの詳細な分子的特徴では、この疾患単位が分子レベルできわめて不均一であり、3分の1を超える症例で変異またはコピー数の変化により損傷した遺伝子が1つもみられないことが示された。[ 153 ]他のT-ALL症例と比較して、初期の前駆T細胞群では、NOTCH1変異の割合が低く、サイトカイン受容体およびRASのシグナル伝達、造血発生、ならびにヒストン修飾を調節している遺伝子における変化の頻度が有意に高かった。初期の前駆T細胞ALLの転写プロファイルでは、正常な造血幹細胞および骨髄性白血病幹細胞との類似性がみられる。[ 153 ]
比較ゲノムハイブリダイゼーションおよび/または定量的DNA-PCRにより検出されるようなTCR-γ遺伝子座の両アレル性欠失なし(ABD)がT-ALL患者の早期治療失敗に関連していることが研究により明らかになっている。[ 154 ][ 155 ]ABDは初期胸腺前駆細胞の特徴であり、ABDを伴うT-ALL患者の多くは、免疫表現型が初期の前駆T細胞の表現型の診断と一致している。
混合表現型急性白血病(MPAL)の細胞遺伝学/ゲノム情報
細胞系列があいまいな急性白血病に対するWHO分類システムが表1に要約されている。[ 156 ][ 157 ]MPAL診断に対して細胞系列を割り当てるための基準が表2で示されている。[ 16 ]
表1.造血器およびリンパ組織腫瘍に関する世界保健機関分類による細胞系列があいまいな急性白血病a 疾患 定義 NOS = 他に特定されない。 a 出典:Béné MC: Biphenotypic, bilineal, ambiguous or mixed lineage: strange leukemias!Haematologica 94 (7): 891-3, 2009.[ 156 ]出典:Haematologica/the Hematology Journal website http://www.haematologica.org. 急性未分化型白血病 リンパ系または骨髄系のいずれかに特異的とみなされるマーカーの発現が認められない急性白血病 BCR-ABL1;つまりt(9;22)(q34;q11.2)を伴う混合表現型急性白血病(BCR-ABL1を伴うMPAL) 混合表現型急性白血病の診断基準を満たし、(9;22)転座、つまりBCR-ABL1再構成も芽球に認められる急性白血病 KMT2A(MLL)再構成;つまりt(v;11q23)を伴う混合表現型急性白血病(KMT2Aを伴うMPAL) 混合表現型急性白血病の診断基準を満たし、KMT2A遺伝子を巻き込んだ転座も芽球に認められる急性白血病 混合表現型急性白血病、B細胞性/骨髄性、NOS(B/M MPAL) B細胞系および骨髄系の両方に割り当てる診断基準を満たし、BCR-ABL1またはKMT2Aを巻き込んだ遺伝子異常が芽球に認められない急性白血病 混合表現型急性白血病、T細胞性/骨髄性、NOS(T/M MPAL) T細胞系および骨髄系の両方に割り当てる診断基準を満たし、BCR-ABL1またはKMT2Aを巻き込んだ遺伝子異常が芽球に認められない急性白血病 混合表現型急性白血病、B細胞性/骨髄性、NOS-まれなタイプ B細胞系およびT細胞系に割り当てる診断基準をいずれも満たす急性白血病 他の細胞系列があいまいな白血病 ナチュラルキラー細胞リンパ芽球性白血病/リンパ腫 表2.骨髄腫瘍と急性白血病の2016年世界保健機関(WHO)分類改訂版による混合表現型急性白血病に対する細胞系列の割り当て基準a 細胞系列 基準 a出典:Arber et al.[ 16 ] b「強い」とは、標本内の正常なBまたはT細胞と比較して同等かまたはより明るいものと定義された。 骨髄性細胞系列 ミエロペルオキシダーゼ(フローサイトメトリー、免疫組織化学、または細胞化学);あるいは単球分化(次のうち少なくとも2つ:非特異的エステラーゼ細胞化学、CD11c、CD14、CD64、リゾチーム) T細胞系列 強いb細胞質CD3(CD3イプシロン鎖に対する抗体を伴う);または細胞表面のCD3 B細胞系列 強いbCD19と次のうち少なくとも1つ以上が強く発現している:CD79a、細胞質CD22、またはCD10;あるいは弱いCD19と次のうち少なくとも2つ以上が強く発現している:CD79a、細胞質CD22、またはCD10 MPALに対する分類システムには、主要な分子的変化により定義される次の2つの疾患実体がある:BCR-ABL1転座を伴うMPALおよびKMT2A再構成を伴うMPAL。MPAL、B細胞性/骨髄性、NOS(B/M MPAL)およびMPAL、T細胞性/骨髄性、NOS(T/M MPAL)の疾患実体に関連するゲノム変化は、以下に示すように明確に区別できる:
-
B/M MPAL。
- ゲノム特性化が実施されたMPALの115症例のうち、35例(30%)がB/M MPALであった。追加の16例(14%)のMPAL症例はKMT2A再構成を有したが、このうち15例はB細胞性/骨髄性の免疫表現型を示した。
- B/M MPAL症例の約半数はZNF384の再構成を有し、頻発性の融合パートナーにはTCF3およびEP300が含まれた。これらの症例の遺伝子発現プロファイルは、ZNF384再構成を有するB-ALL症例と鑑別できなかった。[ 87 ]
- B/M MPAL症例の約3分の2ではRAS経路が変化しており、NRASおよびPTPN11が最も一般的に変化を来した遺伝子であった。[ 87 ]
- エピジェネティック調節因子をコードする遺伝子(例、MLLT3、KDM6A、EP300、およびCREBBP)は、B/M MPAL症例の約3分の2で変異している。[ 87 ]
-
T/M MPAL。
- ゲノム特性化が実施されたMPALの115症例のうち、49例(43%)がT/M MPALであった。[ 87 ]T/M MPAL症例のゲノムの特徴は初期の前駆T細胞(ETP)ALLのゲノムの特徴と共通点が認められたことから、T/M MPALとETP ALLは未熟白血病のスペクトラム内で類似した疾患実体であることが示唆されている。
- T-ALLと比較して、T/M MPALでは、T-ALLの核となる転写因子(TAL1、TAL2、TLX1、TLX3、LMO1、LMO2、NKX2-1、HOXA10、およびLYL1)が変化している割合が低いことが示された(それぞれ、63% vs 16%)。[ 87 ]ETP ALLについても同様に観察された割合は低かった。
- T-ALL症例の約3分の2に認められるCDKN2A/BおよびNOTCH1の変異は、T/M MPAL症例ではるかに少なかった。対照的に、WT1変異は、T/M MPALの約40%で発生していたが、T-ALL症例では10%未満であった。[ 87 ]
- RASおよびJAK-STAT経路の変異は、T/M MPALおよびETP ALL症例で多くみられ、T-ALLでは、PI3Kシグナル伝達経路の変化がより多くみられる。[ 87 ]T/M MPALに対して最も一般的に変異を来したシグナル伝達経路の遺伝子はFLT3であった(症例の43%)。FLT3変異はRAS経路の変異と相互排他的である傾向がみられた。
- エピジェネティック調節因子をコードする遺伝子(例、EZH2およびPHF6)は、T/M MPAL症例の約3分の2で変異していた。[ 87 ]
薬剤代謝経路における遺伝子多型
化学療法薬の代謝に関与する多くの遺伝子多型は小児期のALLに予後的意義を有することが報告されている。[ 158 ][ 159 ][ 160 ]
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TPMT。
TPMT(メルカプトプリンなどのチオグアニン代謝に関与する遺伝子)の変異表現型を有する患者は、転帰が比較的良好であると考えられるが[ 161 ]、このような患者では、骨髄抑制および感染などの重大な治療関連毒性が発生するリスクも高い可能性がある。[ 162 ][ 163 ]TPMT多様体がホモ接合性で酵素活性が低い患者では、ごく低い用量のメルカプトプリン(標準量の約10%)しか耐容できず、過剰な毒性を避けるためにメルカプトプリンの用量を低減した治療を行う。この変異酵素遺伝子がヘテロ接合体である患者は、一般に重篤な毒性なしにメルカプトプリンに耐えられるが、実際には正常アレルがホモ接合体である患者よりも造血毒性に対する用量減量が頻繁に必要となる。[ 164 ][ 165 ]
-
NUDT15。
NUDT15における生殖細胞多様体は、この酵素の活性を低下または消失させ、チオプリンに対する耐容性の減弱にもつながる。[ 164 ][ 166 ]この多様体は、東アジアおよびヒスパニック系で最も多くみられ、欧州およびアフリカではまれである。このリスク多様体がホモ接合性の患者は、ごく低量のメルカプトプリンしか耐容できず、このリスクアレルがヘテロ接合性の患者は、野生型アレルのホモ接合性の患者より低い用量(平均して約25%の用量減量)しか耐容できないが、この2つの集団では耐量範囲が広く重複している。[ 164 ][ 167 ]
-
CEP72。
遺伝子多型は、抗がん剤の細胞効果において中心的な役割を果たす蛋白の発現に影響を及ぼす場合もある。例を挙げると、CEP72(微小管の形成に関与する中心体蛋白)のプロモーター領域の多型がホモ接合性の患者では、ビンクリスチンによる神経毒性のリスクが高い。[ 168 ]
-
一塩基多型。
全ゲノム多型性解析では、導入療法終了時のMRDレベルおよび再燃リスクが高いことに関連した特定の一塩基多型が同定されている。インターロイキン-15の多型は、エトポシドおよびメトトレキサートの代謝に関連する遺伝子と同様に、SJCRHプロトコルおよびCOGプロトコルに従って治療したALL患者の2つの大規模なコホートで、治療に対する反応と有意に関連していた。[ 169 ]還元型葉酸キャリアおよびメトトレキサートの代謝に関与する多型多様体は、毒性および転帰に関連している。[ 170 ][ 171 ]これらの関係から、薬物代謝の個人差が転帰に影響を与えている可能性が示唆されるが、これらの個人差を調整しようとした研究はほとんどない;これらの知見に基づいて個別化した用量調節を行うことで転帰が改善するかどうかは不明である。
(小児ALLの治療に関する情報については、小児急性リンパ芽球性白血病の治療のPDQ要約を参照のこと。)
急性骨髄性白血病(AML)
急性骨髄性白血病の分子的特徴
小児および成人AMLの包括的分子プロファイリングにより、AMLは年齢層間で共通性および明確な差の両方を示す疾患であることが明らかにされている。[ 172 ][ 173 ]
- 小児AMLは成人におけるAMLとは対照的に、典型的に頻発性染色体変化の疾患である(一般的な遺伝子融合の一覧については表3を参照のこと)。[ 172 ][ 174 ]小児年齢層において、特定の遺伝子融合は主に5歳未満の小児に起こる一方(例、NUP98遺伝子融合、KMT2A遺伝子融合、およびCBFA2T3-GLIS2)、他の遺伝子融合は主に5歳以上の小児に起こる(例、RUNX1-RUNX1T1、CBFB-MYH11、およびNPM1-RARA)。
- 小児のAML患者では変異の割合が低く、ほとんどの症例では、メガベース当たりの蛋白翻訳領域における体細胞変化が1より小さい。[ 173 ]この変異の割合は、成人のAMLで観察される割合よりもいくぶん低く、チェックポイント阻害薬に反応するがん(例、黒色腫)に対する変異の割合よりもはるかに低い。[ 173 ]
- 遺伝子変異パターンは、小児と成人のAML症例間で異なる。例えば、IDH1/IDH2、TP53、RUNX1、およびDNMT3A変異は小児AMLよりも成人AMLで一般的である一方、NRASおよびWT1変異は小児AMLで有意に多い。[ 172 ][ 173 ]
白血病芽球細胞の遺伝子解析(従来の細胞遺伝学的方法および分子遺伝学的方法の両方を使用)は、染色体異常および分子的異常がいずれも重要な診断的および予後的マーカーであることから、AMLの小児に対して実施される。[ 174 ][ 175 ][ 176 ][ 177 ][ 178 ][ 179 ][ 180 ]クローン性の染色体異常は、約75%のAML患児の芽球に認められており、予後と治療の両方で重要な亜型を明らかにする上で有用である。
分子的異常の発見はまた、リスク層別化および治療割り当てに役立つ可能性がある。例えば、NPMおよびCEBPAの変異は、良好な転帰に関連する一方で、FLT3の特定の変異では高い再燃リスクが予想されており、後者の変異の同定により標的療法が可能になる場合がある。[ 181 ][ 182 ][ 183 ][ 184 ]
骨髄腫瘍と急性白血病の2016年世界保健機関(WHO)分類改訂版によると、AML患者における頻発性染色体転座は、成人AMLと比べて特異的であったり、保有率が異なっていたりする場合があることが強調されている。[ 16 ]従来の染色体分析で認められる小児AMLの染色体転座および潜在性(蛍光in situハイブリダイゼーションまたは分子的技術でのみ同定される)のものは、成人より高い割合でみられる。これらの頻発性転座を表3に要約する。[ 16 ]表3では、最後の3行に、AML患児で相対的に多くみられる頻発性転座も追加して示している。[ 178 ][ 179 ][ 185 ]
表3.小児急性骨髄性白血病(AML)で一般的な染色体転座 遺伝子融合産物 染色体転座 小児AMLにおける保有率(%) a潜在性の染色体転座 KMT2A(MLL)の転座 11q23.3 25.0 NUP98-NSD1a t(5;11)(q35.3;p15.5) 7.0 CBFA2T3-GLIS2a inv(16)(p13.3;q24.3) 3.0 NUP98-KDM5A4a t(11;12)(p15.5;p13.5) 3.0 DEK-NUP214 t(6;9)(p23;q34.1) 1.7 RBM15(OTT)-MKL1(MAL) t(1;22)(p13.3;q13.1) 0.8 MNX1-ETV6 t(7;12)(q36.3;p13.2) 0.8 KAT6A-CREBBP t(8;16)(p11.2;p13.3) 0.5 RUNX1-RUNX1T1 t(8;21)(q22;q22) 13–14 CBFB-MYH11 inv(16)(p13.1;q22)またはt(16;16)(p13.1;q22) 4–9 PML-RARA t(15;17)(q24;q21) 6–11 小児AML症例におけるゲノムの全体像は、診断から再燃までに変化し、診断時に検出可能な変異が再燃時に減少して、逆に再燃時に新たな変異が現れることがある。診断時および再燃時に塩基配列データが得られた20症例の研究で、重要な知見は、診断時の多様体アレル頻度が再燃時の変異の持続と強く相関することであった。[ 186 ]多様体アレル頻度が0.4を超える診断時変異の約90%は再燃まで持続するのに対して、多様体アレル頻度が0.2未満ではわずか28%である(P < 0.001)。この観察結果は、FLT3-ITD変異が存在すると、FLT3-ITDアレル比が高い場合にのみ不良な予後が予想されたことを示す過去の結果と一致している。
特定の頻発性の細胞遺伝学的および分子的異常について、以下に簡潔に示す。これらの異常は、臨床用途で患者が予後良好か予後不良かを特定できる異常別に記載しており、それ以外の異常はその後に記載している。骨髄腫瘍と急性白血病の2016年WHO分類改訂版の命名法は、関連する部分で疾患単位に組み込まれている。
良好な予後に関係している分子的異常
良好な予後に関係している分子的異常には以下のものがある:
- コア結合因子AMLには、RUNX1-RUNX1T1およびCBFB-MYH11の融合遺伝子を認める症例が含まれ、これら融合遺伝子により、RUNX1およびCBFBを含むコア結合因子の活性が妨げられる。これらは、骨髄腫瘍と急性白血病の2016年WHO分類改訂版で特異的な疾患単位である。
- t(8;21)(q22;q22.1);RUNX1-RUNX1T1を伴うAML:t(8;21)を伴う白血病では、21番染色体上のRUNX1(AML1)遺伝子が8番染色体上のRUNX1T1(ETO)遺伝子と融合している。t(8;21)の転座は、FAB M2の亜型および顆粒球肉腫と関係している。[ 187 ][ 188 ]t(8;21)を認める成人は、他のタイプのAMLの成人より予後良好である。[ 175 ][ 189 ]t(8;21)を認める小児は、正常または複雑な核型を特徴とするAMLの小児より転帰が良好で[ 175 ][ 190 ][ 191 ][ 192 ]、5年全生存(OS)率が74~90%である。[ 178 ][ 179 ][ 193 ]t(8;21)の転座は、AML小児の約12%にみられる。[ 178 ][ 179 ][ 193 ]
- inv(16)(p13.1;q22)またはt(16;16)(p13.1;q22)(CBFB-MYH11)を伴うAML:inv(16)を伴う白血病では、染色体バンド16q22のCBFB遺伝子が染色体バンド16p13のMYH11遺伝子と融合している。inv(16)の転座は、FAB M4Eoの亜型と関連している。[ 194 ]inv(16)は、AMLの成人と小児の両方で予後良好に関与しており[ 175 ][ 190 ][ 191 ][ 192 ]、その5年OSは約85%である。[ 178 ][ 179 ]AMLの小児の7~9%にinv(16)がみられる。[ 178 ][ 179 ][ 193 ]上述したように、CBFB-MYH11の症例およびRUNX1-RUNX1T1の症例は特有な二次変異を有している;CBFB-MYH11の二次変異は、主に受容体チロシンキナーゼのシグナル伝達を活性化する遺伝子(NRAS、FLT3、およびKIT)に限定される。[ 195 ][ 196 ]
- t(16;21)(q24;q22);RUNX1-CBFA2T3を伴うAML:t(16;21)(q24;q22)を伴う白血病では、RUNX1遺伝子がCBFA2T3遺伝子と融合しており、遺伝子発現プロファイルは、t(8;21)およびRUNX1-RUNX1T1を伴うAML症例と密接に関係している。[ 197 ]これらの患者は、初発時年齢中央値が7歳で、まれであり、小児AML症例の約0.1~0.3%にみられる。RUNX1-CBFA2T3を認める患者23人のうち、5人が二次性AMLを呈し、その中には初期診断がユーイング肉腫であった患者2人が含まれていた。患者23人のコホートにおける転帰は良好であり、4年EFSが77%で、再燃の累積発生率は0%であった。[ 197 ]
RUNX1-RUNX1T1およびCBFB-MYH11のいずれの亜型でも、受容体チロシンキナーゼのシグナル伝達を活性化する遺伝子(例、NRAS、FLT3、およびKIT)に変異が多くみられる;NRASおよびKITは、両亜型で最も多く変異している遺伝子である。KIT変異は、コア結合因子AMLの患者で治療失敗のリスクが高いことを示す場合があるが、KIT変異の予後的意義は、変異-アレル比(比が高いと不良)および/または特定の種類の変異(エクソン17変異は不良)に依存する可能性がある。[ 195 ][ 196 ]RUNX1-RUNX1T1 AMLの小児を対象とした研究では、KITの変異が症例の24%(その79%がエクソン17の変異)にみられ、RAS変異が症例の15%にみられたが、いずれにも転帰との有意な関連は認められなかった。[ 193 ]
RUNX1-RUNX1T1およびCBFB-MYH11融合遺伝子のいずれもコア結合因子の活性を妨げるが、これらのゲノム変化を認める症例では、特有な二次変異がみられる。[ 195 ][ 196 ]
- RUNX1-RUNX1T1の症例では、クロマチンの立体配置を規制している遺伝子(例、ASXL1およびASXL2)(症例の40%)およびコヒーシン複合体のメンバーをコードしている遺伝子(症例の20%)にも頻発性変異がみられる。ASXL1およびASXL2における変異ならびにコヒーシン複合体メンバーにおける変異は、CBFB-MYH11白血病においてまれである。[ 195 ][ 196 ]
- RUNX1-RUNX1T1 AMLの成人204人を対象とした研究では、ASXL2変異(症例の17%に存在)およびASXL1またはASXL2変異(症例の25%に存在)に予後的意義が認められなかったことが明らかにされた。[ 198 ]RUNX1-RUNX1T1 AMLで、ASXL1およびASXL2変異を認める小児で、数は少なかったものの、同様な結果が報告された。[ 199 ]
-
PML-RARAを伴う急性前骨髄球性白血病(APL):APLはAML患児の約7%を占める。[
179
][
200
]t(15;17)を伴うAMLは常にAPLと関連しており、APLはAMLの異なる亜型で、三酸化ヒ素に対する感受性およびオールトランス(all-trans)レチノイン酸の分化促進作用に対する感受性が顕著であるために、他のタイプのAMLと異なる方法で治療される。t(15;17)の転座または他のより複雑な染色体再構成がみられる場合は、レチノイン酸受容体αおよびPMLを含む融合蛋白が産生される。[
201
]2016年WHO分類改訂版で、潜在性であるか、複雑な核型変化に起因する可能性があるPML-RARA融合の意義を強調するため、t(15;17)の細胞遺伝学的指定は含まれていない。[
16
]
PML-RARA転写産物に対する定量的逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)の利用が標準診療となってきている。[ 202 ]定量的RT-PCRにより、多くみられる3つの転写多様体の同定が可能になり、治療に対する反応のモニタリングおよび分子的再燃の早期発見に使用される。[ 203 ]その他のはるかにまれなレチノイン酸受容体αと関連する転座によっても、APLが発生する可能性がある(例えば、PLZF遺伝子を含むt(11;17)(q23;q21))。[ 204 ][ 205 ][ 206 ]t(11;17)(q23;q21)を伴う場合、オールトランス(all-trans)レチノイン酸に対する感受性が低いため、この症例の特定が重要である。[ 201 ][ 204 ]
-
NPM1が変異したAML:NPM1は、核小体における蛋白凝集の防止に関与する分子シャペロンであるだけでなく、リボソーム蛋白の集合と輸送に関係している蛋白でもある。免疫組織化学法を用いてNPMの細胞質内局在を明らかにすることで、NPM1変異を有する患者を正確に同定可能である。[
207
]核移行を減少させるNPM1蛋白における変異は、主に核型が正常で、CD34の発現がみられないAMLのサブセットと関連し[
208
]、成人および若年成人においてFLT3遺伝子内縦列重複(ITD)変異がみられない場合は予後の改善と関連する。[
208
][
209
][
210
][
211
][
212
][
213
]
小児AMLの研究により、細胞遺伝学的に正常な成人と比較した場合、小児ではNPM1変異の発生率が低いことが示唆される。NPM1変異は、AMLの小児患者の約8%にみられ、2歳未満の小児ではまれである。[ 181 ][ 182 ][ 214 ][ 215 ]NPM1変異では、核型が正常な特徴があるAML患者では予後良好であるという関係がみられる。[ 181 ][ 182 ][ 215 ]小児集団で、FLT3-ITD変異も存在する場合のNPM1変異の予後的意義に関して、相反する報告が公表されている。1件の研究で、NPM1変異は、FLT3-ITD変異を有することに関連する不良な予後を完全に無効にするわけではないことが報告されたが[ 181 ][ 216 ]、他の研究では、NPM1変異に関連する良好な予後に対してFLT3-ITD変異による影響がないことが示された。[ 173 ][ 182 ][ 215 ]
-
CEBPAの両アレル性変異を伴うAML:CEBPA遺伝子における変異は、細胞遺伝学的に正常なAMLの小児および成人のサブセットにみられる。[
217
]60歳未満の成人では、細胞遺伝学的に正常なAML症例の約15%がCEBPA変異を有する。[
212
]CEBPA変異を伴うAMLの成人の転帰は、比較的良好で、コア結合因子白血病の患者と同程度であると考えられている。[
212
][
218
]AMLの成人を対象とした研究により、CEBPAの単一アレル変異体ではなく、その二重変異体を有するAMLでは、独立して予後良好に関係していることが実証され[
219
][
220
][
221
][
222
]、その疾患定義に両アレル性変異を必要とする2016年WHO分類改訂につながった。[
16
]
CEBPA変異は、AML小児の5~8%にみられ、FAB M1またはM2の細胞遺伝学的に正常なAML亜型に選択的に認められている;小児患者の70~80%が二重変異体アレルを有し、これにより、成人を対象とした研究で観察された効果と同様な生存の有意な改善が予測される。[ 183 ][ 223 ]ある大規模な研究では、CEBPAの二重変異体アレルと単一変異体アレルのいずれもAML患児の良好な予後と関連していたが[ 183 ]、別の研究によると、単一のCEBPA変異を有する患者では不良な転帰が観察された。[ 223 ]しかしながら、これらの2件の研究に含まれていた単一アレル変異体を有する小児はきわめて少数(全体で13人のみ)であり、小児における単一アレルのCEBPA変異の予後的意義に関して結論を出すのは時期尚早である。[ 183 ]新たにCEBPAの二重変異AMLと診断された患者では、これらの患者の5~10%にCEBPA生殖細胞変異が認められることが報告されているため、通常の家族歴の問診に加え、生殖細胞スクリーニングを考慮すべきである。[ 217 ]
-
ダウン症候群と関連する骨髄性白血病(GATA1変異):GATA1変異は、すべてではないものの、一過性骨髄異常増殖症(TAM)または急性巨核芽球性白血病(AMKL)のいずれかを有するほとんどのダウン症候群の小児で認められる。[
224
][
225
][
226
][
227
]GATA1変異は、非ダウン症候群小児の9%およびAMKL成人の4%にも観察された(10例中9例で21番染色体上のダウン症候群クリティカル領域の増幅が共存)。[
228
]GATA1は、赤血球系細胞、巨核球、好酸球、および肥満細胞の正常な発達に必要な転写因子である。[
229
]
GATA1変異は、シチジンデアミナーゼの発現を減少させることによりシタラビンへの感受性を高めるが、このことがシタラビンを含むレジメンによる治療を受けたダウン症候群およびM7 AMLの小児の治療成績が優れている説明になると考えられる。[ 230 ]
予後不良に関連している分子的異常
予後不良に関連している分子的異常には以下のものがある:
-
5番および7番染色体:AMLの成人における予後不良と関連する染色体異常には、5番染色体(5モノソミーおよびdel(5q))および7番染色体(7モノソミー)に発生するものがある。[
175
][
189
][
231
]これらの細胞遺伝学的なサブグループは、小児AML症例のそれぞれ約2%および4%を占め、小児における予後不良にも関係している。[
178
][
189
][
231
][
232
][
233
][
234
][
235
]
以前は、del(7q)を有する患者も治療失敗のリスクが高いとみなされ、AMLの成人から得られたデータにより、del(7q)および7モノソミーでの予後不良が裏付けられていた。[ 180 ]しかしながら、del(7q)を有するが7モノソミーではない小児の転帰は、他のAML患児と同程度であると考えられている。[ 179 ][ 234 ]del(7q)の存在は、予後良好な細胞遺伝学的特徴(例えば、inv(16)およびt(8;21))の予後的意義を妨げない。[ 175 ][ 234 ][ 236 ]
4歳以下のダウン症候群を伴うAML患者では、5番および7番染色体の異常に予後的な意義はないとみられる。[ 237 ]
-
inv(3)(q21.3;q26.2)またはt(3;3)(q21.3;q26.2);GATA2、MECOMを伴うAML:染色体3q26上のMECOMは、いずれも転写調節因子であるEVI1およびMDS1-EVI1の2つの蛋白をコードしている。inv(3)およびt(3;3)の異常は、EVI1の過剰発現およびGATA2の発現低下につながる。[
238
][
239
]これらの異常は、AML成人における予後不良と関係しているが[
175
][
189
][
240
]、小児では非常にまれである(小児AML症例の1%未満)。[
178
][
191
][
241
]
MECOMが関与する異常は、他の3q異常を認める一部のAML症例で検出されることがあり、予後不良にも関係している。
-
FLT3変異:成人のAMLにおいて、FLT3-ITD変異の存在は予後不良に関係していると考えられており[
242
]、特に両アレルが変異している場合、または正常アレルに対して変異アレルの割合が高い場合に顕著である。[
243
][
244
]また、AML患児においてもFLT3-ITD変異は不良な予後をもたらす。[
184
][
216
][
245
][
246
][
247
][
248
]小児におけるFLT3-ITD変異の頻度は成人に観察される頻度より低く、特に10歳未満の小児で低いが、その場合、この変異が認められる症例は5~10%である(これに対して、成人では約30%に認められる)。[
247
][
248
][
249
]
FLT3-ITDの予後的意義は、他の頻発性ゲノム変化の存在により変化する。FLT3-ITDの保有率は、80~90%にFLT3-ITDが認められるNUP98-NSD1融合遺伝子を有する患児など、小児AMLの特定のゲノム亜型で高い。[ 250 ][ 251 ]FLT3-ITDが認められる患児の約15%がNUP98-NSD1を有し、FLT3-ITDとNUP98-NSD1の両方を有する患児は、FLT3-ITDを有し、NUP98-NSD1が認められない患児よりも予後不良である。[ 251 ]FLT3-ITDを有する患者で、WT1変異またはNUP98-NSD1融合のいずれかが存在すると、これらの変化のないFLT3-ITDを有する患者より転帰不良(EFS率が25%未満)となる。[ 173 ]対照的に、FLT3-ITDに伴ってNPM1変異がみられる場合の転帰は、比較的良好であり、FLT3-ITDを認めない小児AML症例と同程度である。[ 173 ]
APLでは、FLT3-ITDおよび点変異が小児および成人の30~40%にみられる。[ 243 ][ 246 ][ 247 ][ 252 ][ 253 ][ 254 ][ 255 ][ 256 ]FLT3-ITD変異の存在は、APLの微小顆粒性多様体(M3v)および白血球増加と強い相関を示す。[ 246 ][ 254 ][ 257 ][ 258 ]FLT3変異が、オールトランス(all-trans)レチノイン酸および三酸化ヒ素を含む最新の治療を受けるAPL患者で、より不良な予後と関連するかどうかは依然として不明である。[ 252 ][ 253 ][ 256 ][ 257 ][ 259 ][ 260 ][ 261 ][ 262 ]
FLT3の活性化点変異もAMLの成人と小児の両方で同定されているが、これらの変異の臨床的意義は明確に定義されていない。これらの点変異の一部は、小児患者に特異的であると考えられる。[ 173 ]
- t(16;21)(p11;q22);FUS-ERGを伴うAML:t(16;21)(p11;q22)を伴う白血病では、FUS遺伝子がERG遺伝子と結合しており、他の細胞遺伝学的サブグループとは別のクラスターである遺伝子発現プロファイルを伴う特有なAML亜型を形成する。[ 197 ]これらの患者は、初発時年齢中央値が8~9歳で、まれであり、小児AML症例の約0.3~0.5%にみられる。FUS-ERGを伴うAML患者31人のコホートでは、転帰が不良であり、4年EFSが7%で、再燃の累積発生率が74%であった。[ 197 ]
小児AMLに認められる他の分子的異常
小児AMLに認められる他の分子的異常には以下のものがある:
-
KMT2A(MLL)遺伝子再構成:KMT2A遺伝子再構成は、AML小児の約20%にみられる。[
178
][
179
]これらの症例には、エピポドフィロトキシンによる二次性AMLのほとんどを含み[
263
]、一般に単球系の分化(FAB M4およびM5)と関連している。KMT2A遺伝子再構成は、FAB M7(AMKL)患者の5~10%でも報告されている(以下を参照)。[
228
][
264
]
小児AML集団においてKMT2A遺伝子再構成を認める症例の約50%を占める最も一般的な転座はt(9;11)(p22;q23)で、KMT2A遺伝子がMLLT3(AF9)遺伝子と融合している。[ 265 ]2016年WHO分類改訂版では、異なる疾患単位としてt(9;11)(p21.3;q23.3);MLLT3-KMT2Aを伴うAMLを定義している。しかしながら、AML患者でKMT2A遺伝子に対する異なる融合パートナーとして50を超えるものが同定されている。
小児における11q23/KMT2A遺伝子再構成を有する症例の年齢中央値は約2歳であり、転座を有するほとんどのサブグループの発症時年齢中央値は5歳未満である。[ 265 ]ただし、t(6;11)(q27;q23)(12歳)およびt(11;17)(q23;q21)(9歳)を有する小児症例については、発症時年齢中央値が有意に高い。[ 265 ]
KMT2A遺伝子再構成を伴うde novo AML患者では、一般に転帰が他のAML患者とほぼ同じであると報告されている。[ 175 ][ 178 ][ 265 ][ 266 ]しかしながら、KMT2A遺伝子は多くの異なった融合パートナーとの転座に関与している可能性があり、11q23再構成またはKMT2A再構成を伴うAMLの小児756人の転帰を評価した大規模な国際レトロスペクティブ研究によって示されているように、特定の融合パートナーが予後に影響していると考えられている。[ 265 ]例えば、11q23/KMT2A再構成を伴うAML全体の3%を占めるt(1;11)(q21;q23)を有する症例は、5年イベントフリー生存(EFS)率が92%という非常に良好な転帰を示した。
個々の臨床試験グループからの報告によると、t(9;11)(p21.3;q23.3)/MLLT3-KMT2Aを有するAML患者で予後が比較的良好なことがときによって示されているが、国際レトロスペクティブ研究では、このサブグループで良好な予後が確認されなかった。[ 175 ][ 178 ][ 265 ][ 267 ][ 268 ][ 269 ]小児AMKL患者について評価した1件の国際共同研究で、AMKL症例の約5%に認められるt(9;11)の存在は、他のAMKL症例と比較して不良な転帰に関連していることが観察された。[ 264 ]
KMT2A再構成を伴うAMLのサブグループは、以下を含む転帰不良に関係していると考えられている:
- t(10;11)の転座を有する症例は、骨髄およびCNSにおける再燃リスクが高いグループである。[ 175 ][ 179 ][ 270 ]t(10;11)の転座を有する一部の症例では、KMT2A遺伝子と10p12のAF10-MLLT10遺伝子との融合が認められている一方、他の症例では、KMT2A遺伝子と10p11.2のABI1遺伝子との融合が認められている。[ 271 ][ 272 ]国際レトロスペクティブ研究により、これらの症例は年齢中央値約1歳で発症し、5年EFSは20~30%であることが明らかにされた。[ 265 ]
- (6;11)(q27;q23)を有する患者は不良な転帰を示し、5年EFSが11%であった。
- t(4;11)(q21;q23)を有する患者も不良な転帰を示し、5年EFSが29%であった。[ 265 ]
- 国際共同研究グループによる追跡研究により、別の細胞遺伝学的異常がKMT2A転座を有する小児の転帰にさらに影響を及ぼすことが明らかにされ、複雑な核型および19トリソミーにより不良な転帰、8トリソミーにより通常より良好な転帰が予測される。[ 273 ]
-
t(6;9)(p23;q34.1);DEK-NUP214を伴うAML:t(6;9)により、白血病関連融合蛋白DEK-NUP214が形成される。[
274
][
275
]このAMLのサブグループは、成人AMLでは予後不良と関係していたが[
274
][
276
][
277
]、小児にみられる頻度は低い(AML症例の1%未満)。DEK-NUP214 AML小児は、年齢中央値が10~11歳で、FLT3-ITDを認める小児患者の約40%である。[
278
][
279
]
小児におけるt(6;9)AMLは、高い治療失敗リスクと関係し、特に同種幹細胞移植を受けていない小児で高いと考えられる。[ 178 ][ 275 ][ 278 ][ 279 ]
-
非ダウン症候群急性巨核芽球性白血病(AMKL)の分子的サブグループ:AMKLは、小児AMLの約10%を占め、分子レベルで大幅な不均一性がみられる。AMKLの分子的サブグループを以下に示す。
- CBFA2T3-GLIS2:CBFA2T3-GLIS2は、潜在性16番染色体逆位(inv(16)(p13.3q24.3))により生じる融合である。[ 280 ][ 281 ][ 282 ][ 283 ][ 284 ]これは、非ダウン症候群AMKLでほぼ例外なくみられ、小児AMKLの16~27%を占め、年齢中央値は1歳である。[ 228 ][ 282 ][ 285 ][ 286 ]また、不良な転帰と関係していると考えられ[ 228 ][ 280 ][ 284 ][ 285 ][ 286 ]、患者28人を含む2件の報告で、2年EFSは20%未満であった。[ 228 ][ 284 ][ 286 ]
- KMT2A再構成:KMT2A転座を有する症例は、小児AMKLの10~17%を占め、MLLT3(AF9)が最も多くみられるKMT2A融合パートナーである。[ 228 ][ 264 ][ 285 ]KMT2A再構成の症例は、AMKLの小児で不良な転帰と関係するとみられ、4~5年OS率は約30%である。[ 228 ][ 264 ][ 285 ]小児AMKLを評価した国際共同研究では、t(9;11)/MLLT3-KMT2Aの存在がAMKL症例(n = 21)の約5%に認められ、他のAMKL症例および他のKMT2A再構成(n = 17)と比較して不良な転帰(5年OS、約20%)と関係しており、比較対照の各5年OSは50~55%であったことが観察された。[ 264 ]他のKMT2A再構成を有する患者(n = 17)で不良な転帰は観察されなかった。
- NUP98-KDM5A4:NUP98-KDM5A4は、小児AMKL症例の約10%に観察され[ 228 ][ 285 ]、非AMKL症例で観察される割合は、はるかに低い。[ 286 ]NUP98-KDM5A4症例では、不良な予後を示す傾向がみられたが、検討された症例数が少ないため、この評価の信頼性には限界がある。[ 228 ][ 285 ]
-
RBM15-MKL1:RBM15-MKL1を生じるt(1;22)(p13;q13)の転座はまれであり(小児AMLの1%未満)、急性巨核芽球性白血病(AMKL)に限定される。[
178
][
286
][
287
][
288
][
289
][
290
][
291
]諸研究により、t(1;22)(p13;q13)は、細胞遺伝学的検査または分子遺伝学的検査で評価可能なAMKL小児の10~18%に観察されることが明らかにされている。[
228
][
264
][
285
]t(1;22)を伴うAMKL症例のほとんどが乳児にみられ、初診時の年齢中央値(生後4~7ヵ月)は他のAMKLの患児より若い。[
264
][
282
][
292
]t(1;22)を伴わずにRBM15-MKL1融合転写産物が検出可能な症例も、これらの若い患者が通常骨髄低形成を示すために、報告されている。[
289
]
t(1;22)の51症例を対象とした国際共同レトロスペクティブ研究では、この異常を有する患者の5年EFS率が54.5%、OS率が58.2%で、他のAMKLの小児における割合と同程度であることが報告された。[ 264 ]非ダウン症候群AMKLで、分子解析用のサンプルが利用可能な153症例を対象とした別の国際レトロスペクティブ解析では、t(1;22)を有する患者の4年EFS率が59%、OS率が70%であり、他の特定の遺伝子異常(CBFA2T3/GUS2、NUP98/KDM5A4、KMT2A再構成、7モノソミー)を有するAMKL患者より有意に良好であった。[ 285 ]
- HOX再構成:ある報告で、HOXクラスター遺伝子が関与する遺伝子融合を認める症例は、AMKL小児の15%を占めていた。[ 228 ]この報告では、これらの患者の予後が相対的に良好であるとみられるが、検討された症例数が少ないため、この評価の信頼性には限界がある。
- GATA1変異:非ダウン症候群AMKLにおけるGATA1の切断型変異は、若い小児(年齢中央値、1~2歳)で発生し、21番染色体上のダウン症候群クリティカル領域の増幅と関係している。[ 228 ]これらの患者は、非ダウン症候群AMKLの約10%を占め、予後的に不良な融合遺伝子も存在しない場合に転帰が良好とみられるが、検討された患者数が少なかった(n = 8)。[ 228 ]
-
t(8;16)(MYST3-CREBBP):t(8;16)の転座では、染色体8p11上のMYST3遺伝子が染色体16p13上のCREBBP遺伝子と融合する。小児でt(8;16)を伴うAMLがみられるのはまれである。小児62人を対象とした国際Berlin-Frankfurt-Münster(BFM)AML研究で、この転座の存在は、診断時年齢が若いこと(中央値、1.2歳)、表現型がFAB M4/M5、赤血球貪食、皮膚白血病、および播種性血管内凝固症候群と関係していた。[
293
]t(8;16)を伴うAMLの小児の転帰は、他のタイプのAMLと同程度とみられる。
生後1ヵ月でt(8;16)を伴うAMLと診断された乳児の相当な割合が自然寛解を示すが、数ヵ月から数年後にAMLが再発することがある。[ 293 ][ 294 ][ 295 ][ 296 ][ 297 ][ 298 ][ 299 ]これらの観察から、新生児期にt(8;16)を伴うAMLと診断された症例では、長期にわたり綿密なモニタリングが確実に実施できるのであれば、観察と待機の方針が検討可能なことが示唆される。[ 293 ]
- t(7;12)(q36;p13):t(7;12)(q36;p13)の転座は、染色体12p13上のETV6と染色体7q36上のMNX1(HLXB9)領域におけるさまざまな切断点を巻き込んだ転座である。[ 300 ]この転座は、従来の核型分析では陰性となる可能性があり、一部の症例では、FISHでやっと確認できることがある。[ 301 ][ 302 ][ 303 ]この変化は、実質的に2歳未満の小児に限定され、KMT2A(MLL)再構成と相互排他的で、治療失敗リスクが高いことに関係する。[ 178 ][ 179 ][ 215 ][ 301 ][ 302 ][ 304 ]
-
NUP98遺伝子融合:NUP98は、20を超えるパートナーと融合して白血病誘発遺伝子となることが報告されている。[
305
]小児AMLの設定において最も多くみられる融合遺伝子は、NUP98-NSD1とNUP98-KDM5A4(JARID1A)の2つで、前者は細胞遺伝学的検査で正常な小児AMLの約15%にみられ、後者は小児AMKLの約10%にみられることがそれぞれ1件の報告で示された(上を参照)。[
228
][
250
][
282
]いずれかのNUP98融合遺伝子を伴うAML症例は、HOXAおよびHOXB遺伝子の発現量が多く、幹細胞の表現型を示している。[
275
][
282
]
NUP98-NSD1融合遺伝子は、しばしば細胞遺伝学的検査で発見されず、NUP98(染色体11p15)とNSD1(染色体5q35)の融合から生じる。[ 250 ][ 251 ][ 275 ][ 306 ][ 307 ][ 308 ][ 309 ]この変化は、小児AML症例の約4~7%にみられる。[ 16 ][ 185 ][ 250 ][ 275 ][ 308 ]小児集団では5~9歳の年齢グループで最も頻度が高く(約8%)、より年齢の低い小児では頻度が比較的低い(2歳未満の小児で約2%)。NUP98-NSD1の症例では、WBC数が高値を示す(1件の研究によると、中央値で147×109/L)。[ 250 ][ 251 ]NUP98-NSD1を伴うAML症例は、ほとんどが細胞遺伝学的異常を示さない。[ 250 ][ 275 ][ 306 ]NUP98-NSD1症例では、FLT3-ITDが認められる割合が高い(74~90%)。[ 185 ][ 250 ][ 251 ]
NUP98-NSD1を伴うAML患児12人を含む研究では、すべての患児がCRを達成したものの、NUP98-NSD1の存在により独立して予後不良が予測され、NUP98-NSD1を伴うAML患児は再燃リスクが高く、結果的に4年EFS率は約10%であったことが報告された。[ 250 ]NUP98-NSD1を伴うAMLの患児(n = 38)および成人(n = 7)を含む別の研究では、NUP98-NSD1とFLT3-ITDの両方の存在により独立して予後不良が予測された;両方の異常を有する患者はCR率が低く(約30%)、3年EFS率も低かった(約15%)。[ 251 ]
難治性AMLの小児に関する研究で、寛解に達したコホートと比較してNUP98の発現が過剰であった(21%[患者28人中6人] vs 4%未満)。[ 310 ]
- RUNX1変異:RUNX1が変異したAMLはAMLおよび関連新生物の2016年WHO分類における暫定的疾患単位であり、小児よりも成人において多くみられる。成人において、RUNX1変異は治療失敗リスクが高いことに関連している。AML小児の研究において、RUNX1変異は患者503人中11人(約2%)で観察された。RUNX1が変異したAML患者11人中6人では寛解達成に失敗し、これらの患者の5年EFS率は9%で、RUNX1変異は小児と成人の双方で予後不良となることが示唆された。[ 311 ]
- RAS変異:RASの変異は、AML患者の20~25%で同定されているが、これらの変異の予後的意義は明確に示されているわけではない。[ 215 ][ 312 ][ 313 ][ 314 ]小児AML症例では、NRASにおける変異がKRASにおける変異より多く観察される。[ 215 ][ 315 ]RAS変異は、APLを除くすべてのタイプII変化の亜型に同程度の頻度で認められ、APLではRAS変異がほとんど観察されない。[ 215 ]
-
KIT変異:KITにおける変異は、AMLの約5%にみられるが、コア結合因子の異常を伴うAMLでは10~40%に認められる。[
215
][
315
][
316
][
317
]
このAML亜型を有する成人における活性化KIT変異の存在は、KIT変異を認めないコア結合因子AMLと比較して、より不良な予後に関係していると考えられている。[ 316 ][ 318 ][ 319 ]小児コア結合因子AMLにみられるKIT変異の予後的意義は、依然として明らかではないものの[ 320 ][ 321 ][ 322 ][ 323 ]、これまでに報告されている小児を対象とした最大規模の研究では、KIT変異に予後的意義は認められていない。[ 324 ]
-
WT1変異:WT1は、遺伝子転写を制御するジンクフィンガー蛋白で、成人AMLの細胞遺伝学的に正常な症例の約10%で変異している。[
325
][
326
][
327
][
328
]WT1変異は、成人の無病生存、EFS、およびOSが不良なことを示す独立した予測因子であることが、一部の研究[
325
][
326
][
328
]で示されているが、すべてではなく例外[
327
]もある。
AML患児では、WT1変異が症例の約10%に認められる。[ 329 ][ 330 ]WT1変異の症例は、細胞遺伝学的所見で正常な小児およびFLT3-ITD変異を認める小児で多く認められるが、3歳未満の小児ではまれである。[ 329 ][ 330 ]NUP98-NSD1を伴うAML症例は、FLT3-ITDおよびWT1変異の両方で多くみられる。[ 250 ]単変量解析によると、WT1変異は、小児患者における不良な転帰の予測因子であるが、WT1変異の状態は、FLT3-ITDと強く相関するとともに、NUP98-NSD1とも相関しているため、その独立した予後的意義については明らかではない。[ 250 ][ 329 ][ 330 ]AML患児を対象にWT1変異を検討した最大規模の研究では、WT1変異を認めるが、FLT3-ITDは認められない小児の転帰は、WT1変異を認めない小児と同程度であったのに対して、WT1変異とFLT3-ITDの両方が認められる小児の生存率は20%を下回っていた。[ 329 ]
難治性AMLの小児に関する研究で、寛解に達したコホートと比較してWT1の発現が過剰であった(54%[患者28人中15人] vs 15%)。[ 310 ]
- DNMT3A変異:DNMT3A遺伝子の変異は、成人AML患者の約20%で同定されており、細胞遺伝学的に予後良好な患者ではまれであるが、細胞遺伝学的に中リスクの成人患者では3分の1にみられる。[ 331 ]この遺伝子の変異は、独立して不良な転帰と関係している。[ 331 ][ 332 ][ 333 ]DNMT3A変異は、実質的に小児にみられない。[ 334 ]
-
IDH1およびIDH2変異:イソクエン酸脱水素酵素をコードするIDH1およびIDH2における変異は、AML成人の約20%にみられ[
335
][
336
][
337
][
338
][
339
]、NPM1変異を有する患者に多く認められる。[
336
][
337
][
340
]IDH1およびIDH2に特異的に発生する変異により、αケトグルタル酸の2-ヒドロキシグルタル酸への変化を促進する新たな酵素活性が生じる。[
341
][
342
]この新たな酵素活性により、TET2における機能喪失変異を有するAML症例に観察されるものと同様なDNA高メチル化発現型を生じると考えられている。[
340
]
IDH1およびIDH2における変異は、小児AMLにおいてまれで、症例の0~4%にみられる。[ 334 ][ 343 ][ 344 ][ 345 ][ 346 ][ 347 ]AML患児では、IDH1およびIDH2変異に関して予後的に不良な影響の徴候はみられない。[ 343 ]
-
CSF3R変異:CSF3Rは、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)受容体をコードしている遺伝子で、CSF3Rにおける活性化変異は、小児AML症例の2~3%にみられる。[
348
]これらの変異は、G-CSF受容体を介したシグナル伝達の活性化につながり、CEBPA変異またはコア結合因子異常(RUNX1-RUNX1T1およびCBFB-MYH11)のいずれかを有するAMLで主に観察される。[
348
]CSF3R変異を有する患者の臨床的特徴および予後は、CSF3R変異を認めない患者とそれほど差がないと考えられる。
CSF3Rの活性化変異は、重度の先天性好中球減少症患者にも観察される。これらの変異は、重度の先天性好中球減少症の原因ではないが、むしろ体細胞変異として現れ、AMLへの進行過程の早い段階でみられることがある。[ 349 ]重度の先天性好中球減少症患者の研究によると、骨髄悪性腫瘍を発症しなかった患者で末梢血の好中球および単球にCSF3R変異が検出できるのは34%であるが、骨髄悪性腫瘍を発症した患者では、78%がCSF3R変異を示した。[ 349 ]AMLまたはMDSを発症した重度の先天性好中球減少症患者31人の研究では、約80%でCSF3R変異が観察され、RUNX1変異も高い頻度(約60%)で観察されることから、重度の先天性好中球減少症では、白血病発症にCSF3RとRUNX1の変異が共同で働くことが示唆される。[ 350 ]
(小児AMLの治療に関する情報については、小児急性骨髄性白血病とその他の骨髄性悪性疾患の治療のPDQ要約を参照のこと。)
若年性骨髄単球性白血病(JMML)
JMMLにおけるゲノムの全体像は、Ras経路の次の5つの遺伝子のいずれかにおける変異を特徴とする:NF1、NRAS、KRAS、PTPN11、およびCBL。[ 351 ][ 352 ][ 353 ]Ras経路の活性化変異を伴うJMMLと診断された連続登録症例118人のシリーズで、変異した遺伝子としてPTPN11が最も多く、症例の51%を占めていた(生殖細胞系が19%および体細胞系が32%)(図3を参照のこと)。[ 351 ]NRAS変異を有する患者が症例の19%を、KRAS変異を有する患者が症例の15%を占めていた。NF1変異は症例の8%を占め、CBL変異は症例の11%を占めていた。これら5つの遺伝子の変異は一般的に相互排他的であるが、症例の4~17%はこのようなRas経路の遺伝子の2つに変異を有しており[ 351 ][ 352 ][ 353 ]、これは予後不良と関連する所見である。[ 351 ][ 353 ]
JMMLにおける白血病細胞の変異率は非常に低いが、前述の5つのRas経路遺伝子以外に他の変異が認められている。[ 351 ][ 352 ][ 353 ]転写抑制因子複合体PRC2の遺伝子に二次的なゲノム変化が認められている(例、ASXL1が症例の7~8%で変異を生じていた)。成人の骨髄増殖性腫瘍に関連するいくつかの遺伝子も、JMMLにおいては低率で変異を生じている(例、SETBP1が症例の6~9%で変異を生じていた)。[ 351 ][ 352 ][ 353 ][ 354 ]JAK3変異もJMML症例のわずかな割合(4~12%)で認められている。[ 351 ][ 352 ][ 353 ][ 354 ]PTPN11生殖細胞変異およびCBL生殖細胞変異を有する症例では、その他の変異が低率でみられた(図3を参照のこと)。[ 351 ]疾患を定義するRAS経路の変異以外の変異の存在が、より不良な予後に関連している。[ 351 ][ 352 ]
JMMLのゲノムの全体像について記述した報告では、患者150人中16人(11%)で標準のRas経路の変異が認められなかったことが明らかにされた。これら16人の患者のうち、3人は受容体チロシンキナーゼが関与するインフレーム融合(DCTN1-ALK、RANBP2-ALK、およびTBL1XR1-ROS1)を有することが観察された。これらの患者は全員が7モノソミーを有し、生後56ヵ月以上であった。ALK融合が認められた1人の患者は、クリゾチニブ + 従来の化学療法で治療され、分子的完全寛解を達成し、同種骨髄移植に進んだ。[ 353 ]
予後(ゲノムおよび分子的因子)
以下を含むいくつかのゲノム因子がJMML患者の予後に影響する:
-
非Ras経路の変異数。 JMMLの小児における予後の予測因子は、疾患を定義するRas経路の変異以外の変異数である。[
351
][
352
]
- 1件の研究の観察では、診断時に患者64人(65.3%)で0または1個の体細胞変異(病原性変異または7モノソミー)が同定されたのに対し、34人(34.7%)で2個以上の変異が同定された。[ 352 ]多変量解析で、変異数(2個以上 vs 0~1個)は、不良なイベントフリー生存(EFS)および全生存(OS)の予測因子として有意性を維持した。2個以上の変異を有すると診断された患者では、比較的年長および男児の割合が高く、これらの患者では7モノソミーまたは体細胞NF1変異の割合が高いことも示された。[ 352 ]
- 別の研究で、患者の約60%に、疾患を定義するRas経路の変異以外の追加の変異が1個以上認められることが観察された。これらの患者では、追加の変異が認められなかった患者と比較してOSが劣っていた(3年OS率、それぞれ61% vs 85%)。[ 351 ]
- 3つ目の研究では、変異が0~1個の患者と比較して変異が2個以上の患者ではOSが劣る傾向が観察された。[ 353 ]
-
RAS経路の二重変異。JMMLに関連する標準のRas経路の5つの遺伝子(NF1、NRAS、KRAS、PTPN11、およびCBL)における変異は一般的に相互排他的であるが、症例の4~17%はこのようなRas経路の遺伝子の2つに変異を有しており[
351
][
352
]、これは予後不良と関連する所見である。[
351
][
352
]
-
DNAメチル化プロファイル。
- 1件の研究で、39人のJMML患者の発見コホートと40人の患者の検証コホートに対してDNAメチル化プロファイリングが実施された。両コホートでメチル化レベルが高い、中等度、または低いJMMLの異なるサブセットが観察された。メチル化レベルが最も低い患者では生存率が最も高く、メチル化レベルが低いコホートの15人の患者のうち1人を除く全員が自然消退を経験した。高メチル化状態はより低いEFS率に関連した。[ 355 ]
- 別の研究では、106人のJMML患者のコホートに対してDNAメチル化プロファイリングが実施され、メチル化プロファイルが高い患者の1つのサブグループとメチル化プロファイルが低い患者の1つのサブグループが観察された。高メチル化群の患者は、低メチル化群の患者よりもOS率が有意に低かった(5年OS率、それぞれ46% vs 73%)。高メチル化群の患者はまた、低メチル化群の患者よりも5年無移植生存率が有意に低かった(2.2%;95%CI、0.2%-10.1% vs 41.2%;95%CI、27.1%-54.8%)。高メチル化状態は、2つ以上の変異、胎児ヘモグロビン高値、比較的高い年齢、および診断時の少ない血小板数に関連した。ヌーナン症候群の患者はすべて低メチル化群に入っていた。[ 353 ]
-
LIN28Bの過剰発現。LIN28B過剰発現は、JMML患児の約半数に認められ、生物学的に特徴的なJMMLサブセットが同定される。LIN28Bは幹細胞の再生を調節するRNA結合蛋白の1つである。[
356
]
骨髄異形成症候群(MDS)
小児骨髄異形成症候群(MDS)は、成人に発生するMDSと比較して明確に異なった遺伝的変化の集合に関連している。成人におけるMDSは、しばしばクローン性造血から進展し、TET2、DNMT3A、およびTP53における変異を特徴とする。対照的に、これらの遺伝子における変異は小児MDSではまれである一方、GATA2、SAMD9/SAMD9L、SETBP1、ASXL1、およびRas/MAPK経路の遺伝子における変異が小児MDS症例のサブセットで観察されている。[ 357 ][ 358 ]
小児MDSのゲノムの全体像に関する報告で、小児原発性MDS患者32人に対する全エクソーム配列決定法および別の14症例の標的シークエンシングの結果が記述された。[ 357 ]これら46症例が小児不応性血球減少および過剰芽球を伴うMDS(MDS-EB)に等しく分類された。報告の結果は以下の通りである:
- Ras/MAPK経路の遺伝子における変異が原発性MDS症例の43%に観察され、PTPN11およびNRASが関与する変異が最も一般的であったが、他の経路の遺伝子(例、BRAF[BRAF V600E以外]、CBL、およびKRAS)における変異も観察された。Ras/MAPK変異は小児不応性血球減少を有する患者(17%)よりMDS-EBを有する患者(65%)の方が多くみられた。
- SAMD9(n = 4)またはSAMD9L(n = 4)における生殖細胞多様体が原発性MDS患者の17%に観察され、8つの変異のうち7つが小児不応性血球減少を有する患者で発生した。これらの症例はすべて、7番染色体における遺伝物質の欠失を示した。7番染色体の一部または全部が欠失した患者の約40%で、SAMD9またはSAMD9Lの生殖細胞多様体が認められた。
- 3人の症例(7%)でGATA2変異が観察され、すべての症例が生殖細胞系であると確認または推定された。
- 7番染色体が関与する欠失は最も一般的なコピー数の変化で、41%の症例で観察された。7番染色体の一部または全部の欠失は、最も一般的にはSAMD9/SAMD9L症例(100%)およびRas/MAPK変異を有するMDS-EB患者(71%)で観察された。
- 研究された46例中2例以上で変異を来していた他の遺伝子には、SETBP1、ETV6、およびTP53があった。
2つ目の報告では、MDSの小児患者50人(小児不応性血球減少 = 31およびMDS-EB = 19)への105遺伝子の標的シークエンシングパネルの適用について記述され、7モノソミーの症例(48%)について強化された。[ 357 ][ 358 ]この遺伝子パネルにはSAMD9およびSAMD9Lは含まれなかった。2つ目の報告で以下の結果が記述された:
- GATA2の生殖細胞変異は30%の患者に観察され、RUNX1変異は6%の患者に観察された。
- 体細胞変異は34%の患者に観察され、MDS-EBを有する患者の方が小児不応性血球減少を有する患者より多くみられた(68% vs13%)。
- 最も一般的な変異遺伝子はSETBP1(18%)であった;これより頻度の低い変異遺伝子には、ASXL1、RUNX1、およびRas/MAPK経路の遺伝子(PTPN11、NRAS、KRAS、NF1)があった。12%の症例が、Ras/MAPK経路の遺伝子における変異を示した。
GATA2の生殖細胞変異を有する患者は、MDSに加えて広範な造血および免疫の欠陥のほか、非造血関係の症状を示す。[ 359 ]前者の欠陥には非定型マイコバクテリア感染症への易感染性を伴う単球減少症およびDCML欠損症(樹状細胞、単球、およびB細胞とナチュラルキラーリンパ球の欠失)が挙げられる。結果として生じる免疫不全により、疣贅、重症ウイルス感染症、マイコバクテリア感染症、真菌感染症、およびヒトパピローマウイルス関連がんへの感受性が増加する。非造血関係の症状には、難聴およびリンパ浮腫がある。GATA2の生殖細胞変異が、European Working Group of MDS in Childhood(EWOG-MDS)の連続した研究に登録された原発性MDSの小児患者426人および二次性MDS症例82例において研究された。[ 360 ]研究で以下の結果が得られた:
- GATA2の生殖細胞変異は原発性MDSの小児患者の7%で同定された。EWOG-MDS小児集団においてGATA2変異を呈する患者の年齢中央値が12.3歳であったのに対し、GATA2の生殖細胞変異に関係した骨髄性新生物のほとんどの症例は成人期に発症する。[ 361 ]
- GATA2変異は小児不応性血球減少を有する患者(4%)よりMDS-EBを有する患者(15%)の方が多くみられた。
- GATA2変異を有する患者のうち、46%がMDS-EBを呈し、70%が7モノソミーを示した。
- 詳細な家族歴が利用可能であったGATA2変異患者53人中12人で家族性MDS/AMLが確認された。
- GATA2欠損の血液以外の表現型がGATA2が変異したMDS患者の51%に認められ、難聴(9%)、リンパ浮腫/水腫(23%)、免疫不全(39%)が含まれた。
SAMD9およびSAMD9L生殖細胞変異はどちらも小児MDS症例に関連し、これらの症例ではさらに7番染色体の全部または一部が欠失している。[ 362 ]2016年に、SAMD9はMIRAGE症候群(骨髄異形成、易感染性、発育障害、副腎低形成症、生殖器症状、および腸疾患)の原因として同定されており、この症候群は7モノソミーを伴う早期発症型MDSに関連している。[ 363 ]その後、SAMD9Lにおける変異は小脳失調-汎血球減少症候群(ataxia pancytopenia syndrome:ATXPC;OMIM 159550)の患者において同定された。SAMD9およびSAMD9L変異は、7モノソミーを伴う骨髄異形成および白血病症候群(MLSM7;OMIM 252270)の原因としても同定され[ 364 ]、この症候群は、小児期に7モノソミーを伴うMDSまたはAMLを発症した表現型が正常な同胞において最初に同定された。[ 365 ]
- SAMD9とSAMD9Lの両方で原因となる変異は機能獲得型変異であり、SAMD9/SAMD9Lの増殖抑制活性を高める。[ 363 ][ 365 ]
- SAMD9とSAMD9Lはどちらも染色体7q21.2に位置する。SAMD9またはSAMD9L変異を有する患者におけるMDS症例はしばしば7モノソミーを示し、残っている7番染色体は野生型のSAMD9/SAMD9Lを有する。この結果、変異遺伝子の高められた増殖抑制活性の欠失に至る。
- SAMD9/SAMD9L変異および7モノソミーを有する表現型が正常な患者は、MDSまたはAMLに進行することもあれば、代わりに正常な造血を回復して7モノソミーの消失を示すこともある。[ 365 ]前者の転帰はMDS/AMLに関連する遺伝子(例、ETV6またはSETBP1)における変異の獲得に関連する一方、後者はSAMD9/SAMD9L活性の正常化をもたらす遺伝的変化(例、野生型アレルを保持したリバータント変異またはコピー数の変化を伴わないヘテロ接合性の消失)に関連する。これらの観察から、SAMD9/SAMD9L関連7モノソミーを有する患者を、AMLへの進行に関連する遺伝子について後天性の変異が認められないか臨床シークエンシングを用いて監視することで、造血幹細胞移植から最も利益が得られる可能性のある白血病性形質転換のリスクが高い患者を同定しうることが示唆されている。[ 365 ]
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- 非ホジキンリンパ腫
-
成熟B細胞リンパ腫
成熟B細胞リンパ腫には、バーキットリンパ腫、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、および原発性縦隔B細胞リンパ腫がある。
バーキットリンパ腫/白血病
バーキットリンパ腫/白血病のゲノミクス
この悪性細胞は、成熟B細胞の表現型を示し、酵素末端デオキシヌクレオチド転移酵素陰性である。これらの悪性細胞は、一般に表面免疫グロブリンを発現し、ほとんどがカッパ型またはラムダ型のいずれかの軽鎖を伴うクローン性のM型表面免疫グロブリンを有している。他にさまざまなB細胞マーカー(例、CD19、CD20、CD22)を通常発現しており、ほとんどの小児バーキットリンパ腫/白血病でCD10が発現している。[ 1 ]
バーキットリンパ腫/白血病は、一般にt(8;14)および比較的まれにt(8;22)またはt(2;8)といった特徴的な染色体転座を発現している。これらの各転座では、MYCがん遺伝子と免疫グロブリン(IG)遺伝子座の調節因子が並置することになるため、細胞増殖に関与する遺伝子であるMYCが異常に発現することになる。[ 2 ][ 3 ][ 4 ]t(2;8)またはt(8;22)のいずれかの多様体転座が存在しても、奏効または転帰に影響しないと考えられる。[ 5 ]
IGH転座切断点のマッピングにより、散発性バーキットリンパ腫におけるIG-MYC転座は最も一般的には異常なクラススイッチ組換えおよびこれより少ないが体細胞過剰変異を介して発生することが示された;異常な可変、多様性、連結(VDJ)遺伝子セグメントの組換えに起因する転座はまれである。[ 6 ]これらの所見は、バーキットリンパ腫の胚中心由来と一致している。
MYC転座は、すべてのバーキットリンパ腫にみられるが、リンパ腫発生には、協同するゲノム変化が必要と考えられる。小児および成人症例のバーキットリンパ腫で特定されている、より一般的に観察される頻発性変異の一覧を以下に示す。小児バーキットリンパ腫で、これらの変異の臨床的意義はまだ解明されていない。
- 転写因子TCF3の活性化変異およびその負の調節因子ID3の不活性化変異がバーキットリンパ腫症例の約70%に観察される。[ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ]
- TP53の変異は、3分の1から半数の症例で観察される。[ 7 ][ 9 ]
- サイクリンD3(CCND3)の変異は、散発性バーキットリンパ腫で多く(症例の約40%で)観察されるが、地域性バーキットリンパ腫ではまれである。[ 7 ][ 9 ]
- SWItch/Sucrose Non-Fermentable(SWI/SNF)複合体の構成要素であるSMARCA4およびARID1Aにおける相互排他的な変異[ 6 ]は、小児バーキットリンパ腫症例の半数以上で観察される。[ 11 ]
- MYC自体の変異は、バーキットリンパ腫症例の約半数に観察され、一部にはMYC安定性が強化されることで、腫瘍形成が高められると考えられる。[ 6 ][ 7 ][ 12 ]
地域性のバーキットリンパ腫のゲノムの全体像と散発性のバーキットリンパ腫のゲノム学を比較した1件の研究により、地域性症例では高いエプスタイン-バーウイルス(EBV)陽性率が予想され、散発性症例ではその割合ははるかに低いことが明らかにされた。地域性症例と散発性症例の変異パターンおよびEBV陽性症例およびEBV陰性症例の変異パターンは全般的に類似していた;ただし、EBV陽性症例ではSMARCA4、アポトーシス、CCND3、およびTP53を含む選択された遺伝子/経路の変異率が有意に低かった。[ 11 ]
バーキットおよびバーキット様リンパ腫/白血病の区別については意見が分かれている。バーキットリンパ腫/白血病は、核に切れ込みのない小型で均一な細胞で構成されるが、バーキット様リンパ腫/白血病の診断は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と一致した特徴を示すため、病理医間で大きな意見の相違がある。[ 13 ]
バーキットリンパ腫/白血病の診断では、MYC再構成の細胞遺伝学的証拠がゴールドスタンダードである。細胞遺伝学的分析が利用できない場合、世界保健機関(WHO)では、バーキットリンパ腫/白血病に酷似しているリンパ腫、またはより多形性で大細胞を認め、増殖率(すなわち、MIB-1またはKi-67免疫染色)が99%以上のリンパ腫に対してのみバーキット様リンパ腫/白血病の診断を下すように推奨している。[ 1 ]免疫組織化学検査によるBCL2染色の結果はさまざまである。BCL2遺伝子が関与する転座が認められないからといって、バーキットリンパ腫/白血病の診断が除外されるわけではなく、そのような転座がないことに臨床的意義はない。[ 14 ]
11qの異常を伴うバーキット様リンパ腫は、2017年の造血器およびリンパ組織腫瘍に関する改訂WHO分類において、暫定的疾患単位として追加された。[ 13 ]この疾患単位では、MYC再構成は認められず、特徴的な染色体11qの所見(細胞遺伝学的および/またはコピー数DNAアレイにより検出される)は11q23.2-q23.3増加/増幅および11q24.1-長腕端部(qter)の消失である。[ 15 ][ 16 ]ほとんどの患者は青年および若年成人年齢層で、限局性リンパ節病変を発症し、確認された少数の症例における転帰は良好なようである。症例は非常に高い増殖指数を示し、局所性の星空パターンを示すこともある。11qの異常を伴うバーキット様リンパ腫の変異の全体像はバーキットリンパ腫とは異なる;バーキットリンパ腫に一般的に観察される変異(例、ID3、TCF3、およびCCND3)は11qの異常を伴うバーキット様リンパ腫ではまれである。[ 15 ]これとは逆に、GNA13における変異は11qの異常を伴うバーキット様リンパ腫患者ではよくみられるようであり(最大50%)、バーキットリンパ腫患者ではまれである。
(小児非ホジキンリンパ腫の治療に関する情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
世界保健機関(WHO)分類システムでは、分子的特徴に基づき、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫を胚中心B細胞型および活性化B細胞型に分類し、残りの亜型をびまん性B細胞リンパ腫に分類している。[ 17 ]
小児および青年におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫は、生物学的に以下の点で成人におけるびまん性大細胞型B細胞リンパ腫と異なる:
- BCL6遺伝子産物およびCD10など、正常な胚中心B細胞にみられる蛋白を選択した免疫組織化学的分析により評価されるように、小児びまん性大細胞型B細胞リンパ腫症例の大多数に胚中心B細胞の表現型が認められる。[ 5 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ]予後良好な胚中心亜型が予後不良な非胚中心亜型へ変化する年齢は連続変数であることが示された。[ 21 ]
- 小児びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、成人にみられる免疫グロブリン重鎖遺伝子およびBCL2遺伝子を巻き込んだt(14;18)の転座がまれに明らかになる。[ 18 ]
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫では、14歳未満の30%もの患者がバーキットリンパ腫/白血病と同様な遺伝子シグネチャーを示す。[ 22 ][ 23 ]
- 成人のびまん性大細胞型B細胞リンパ腫とは異なり、小児症例では、MYC座(染色体8q24)の異常が高い頻度でみられ、小児症例の約3分の1がMYC再構成を示し、この再構成がみられない症例の約半数がMYC増幅を示す。[ 23 ][ 24 ]
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、NOSの小児患者31人を含む報告で、ほとんどの患者(n = 21)が胚中心表現型を示し、そのゲノム変化は、成人胚中心B細胞-びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(GCB-DLBCL)のものと類似していた(例、SOCS1およびKMT2Dの変異)。この患者グループのうち、MYC再構成が3人の患者で検出され、症例の25人中5人がEBV陽性(活性化B細胞表現型が4人)であった。[ 20 ]
IRF4再構成を伴う大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL-IRF4)は、2017年改訂版のリンパ腫のWHO分類で暫定の疾患単位として追加された。[ 25 ]
- LBCL-IRF4症例では、免疫グロブリン遺伝子座の1つの隣にIRF4がん遺伝子が並置する転座がみられる。
- ある報告によると、IRF4転座を有するびまん性大細胞型B細胞リンパ腫症例は、小児における頻度がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫または濾胞性リンパ腫の成人よりも有意に高かった(15% vs 2%)。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫または濾胞性リンパ腫の小児症例32人を対象とした研究で、2人(6%)がIRF4転座を有することが明らかになった。[ 26 ]
- LBCL-IRF4症例は、主に胚中心由来のB細胞リンパ腫であり、一般に頭頸部(特にワルダイエル輪)のリンパ節浸潤を伴って発現し、消化管にみられるのはまれである。[ 20 ][ 27 ][ 28 ]
- LBCL-IRF4は、強力なIRF4/MUM1発現を示し、17症例の研究で特に頻度の高い変異遺伝子は、CARD11(35%)およびCCND3(24%)であった。
- LBCL-IRF4は、診断時の病期が低いとみられ、この異常を認めないびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の症例と比較して良好な予後を伴っている。[ 20 ][ 27 ]
高悪性度B細胞リンパ腫、NOSは、MYC + BCL2および/またはBCL6再構成がみられず、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、NOSまたはバーキットリンパ腫の基準を満たさない臨床的にアグレッシブなB細胞リンパ腫として定義される。[ 29 ]
- 高悪性度Bリンパ腫、NOSは、生物学的に不均一な疾患である。小児高悪性度B細胞リンパ腫、NOSの8症例の研究で、4例の変異プロファイルはバーキットリンパ腫のものと類似していた(例、MYC再構成ならびにCCND3、ID3、およびDDX3Xの変異)。[ 20 ]残りの症例は、MYC再構成がみられず、変異プロファイルがGCB-DLBCLに近く(例、TNFRSF14、CARD11、およびEZH2の変異)、MYC転座が認められなかった。
(小児非ホジキンリンパ腫の治療に関する情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
原発性縦隔B細胞リンパ腫
原発性縦隔B細胞リンパ腫は、以前にびまん性大細胞型B細胞リンパ腫の亜型とみなされていたが、現在、最新の世界保健機関(WHO)分類では異なった疾患である。[ 30 ]これらの腫瘍は縦隔の胸腺B細胞から発生し、硬化を伴うびまん性大細胞の増殖を示し、それにより腫瘍細胞が区別される。
原発性縦隔B細胞リンパ腫は、以下の病型のリンパ腫と形態学的に鑑別することが非常に困難なことがある:
- びまん性大細胞型B細胞リンパ腫:細胞表面マーカーは、CD19、CD20、CD22、CD79a、PAX-5など、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫にみられるものとほぼ同じである。原発性縦隔B細胞リンパ腫では、細胞表面免疫グロブリン発現が欠失していることが多いが、細胞質内免疫グロブリンが認められる。CD30発現は多くが陽性である。[ 30 ]
- ホジキンリンパ腫:原発性縦隔B細胞リンパ腫は、特に広範な硬化および壊死のために縦隔生検が小さいと、ホジキンリンパ腫と臨床的にも形態学的にも鑑別が困難な場合がある。
原発性縦隔B細胞リンパ腫は、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と比較して明確に異なった遺伝子発現プロファイルを示す;しかしながら、その遺伝子発現プロファイルの特徴は、ホジキンリンパ腫でみられるものとほぼ同じである。[ 31 ][ 32 ]原発性縦隔B細胞リンパ腫は、他のNHL亜型と比較して明確に異なった一連の染色体異常とも関係している。原発性縦隔B細胞リンパ腫は主に青年および若年成人のがんであるため、年齢にかかわらずゲノム所見を呈する。
- 原発性縦隔B細胞リンパ腫では、染色体9p24での構造的再構成およびコピー数増幅が一般的である。この領域は、免疫チェックポイント遺伝子のPD-L1(PDL1)およびPD-L2(PDCD1LG2)をコードしており、そのゲノム変化は、これらのチェックポイント蛋白の発現増加につながる。[ 33 ][ 34 ][ 35 ]
- 主要組織適合性複合体(MHC)クラスII発現の主要な転写調節因子であるCIITAにおけるゲノム変化は、原発性縦隔B細胞リンパ腫で多くみられ、MHCクラスII発現の喪失をもたらす。MHCクラスII発現喪失は、原発性縦隔B細胞リンパ腫に対して免疫回避の別の機序を提供する。[ 36 ]
-
JAK-STAT経路遺伝子を巻き込んだゲノム変化は、原発性縦隔B細胞リンパ腫のほとんどの症例で観察される。[
37
]
- 原発性縦隔B細胞リンパ腫では、BCL11AおよびRELをコードしている2p16.1領域でのコピー数増加および増幅もみられる。[ 38 ][ 39 ]
(小児非ホジキンリンパ腫の治療に関する情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
リンパ芽球性リンパ腫
リンパ芽球性リンパ腫は、通常、酵素末端デオキシヌクレオチド転移酵素陽性で、T細胞の免疫表現型が75%を超えており、残りは前駆B細胞の表現型である。[ 2 ][ 42 ]
小児急性リンパ芽球性白血病とは対照的に、小児リンパ芽球性リンパ腫の染色体異常および分子生物学的特徴は、ほとんど明らかになっていない。ベルリン-フランクフルト-ミュンスターグループの報告によると、染色体6qのヘテロ接合性の消失が患者の12%に観察され、NOTCH1変異が患者の60%にみられたが、6qのヘテロ接合性の消失を認める患者で、NOTCH1変異がみられることはまれである。[ 43 ][ 44 ]
(小児非ホジキンリンパ腫の治療に関する情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
未分化大細胞型リンパ腫
未分化大細胞型リンパ腫の主な免疫表現型は、成熟T細胞型であるが、ヌル細胞型(すなわち、T細胞、B細胞、またはナチュラルキラー細胞の表面抗原を発現していない細胞)もみられる。世界保健機関(WHO)分類システムでは、未分化大細胞型リンパ腫を末梢性T細胞リンパ腫として分類している。[ 45 ]
未分化大細胞型リンパ腫のすべての症例がCD30陽性である。小児未分化大細胞型リンパ腫の90%を超える症例でALK遺伝子を巻き込んだ染色体再構成がみられる。これらの染色体再構成の約85%が染色体転座t(2;5)(p23;q35)であり、これにより融合蛋白NPM-ALKが発現する;残りの15%の症例は、多様体のALK転座で構成されている。[ 46 ]抗ALK免疫組織化学的染色パターンは、ALK転座型に完全に特異的である。ALKの細胞質および核の染色は、NPM-ALK融合蛋白と関連している一方で、ALKの細胞質のみの染色は、表4に示すように、多様体のALK転座と関連している。[ 47 ]
表4.多様体のALK転座とそれに伴うパートナー染色体の部位および頻度a 遺伝子融合 パートナー染色体の部位 遺伝子融合の頻度 a出典:suyama et al.[ 47 ] NPM-ALK 5q36.1 ~80% TPM3-ALK 1p23 ~15% ALO17-ALK 17q25.3 まれ ATIC-ALK 2q35 まれ CLTC-ALK 17q23 まれ MSN-ALK Xp11.1 まれ MYH9-ALK 22q13.1 まれ TFG-ALK 3q12.2 まれ TPM4-ALK 19p13 まれ TRAF1-ALK 9q33.2 まれ 成人において、ALK陽性の未分化大細胞型リンパ腫は、予後が良好な傾向を示すことから、他の末梢性T細胞リンパ腫と異なるとみなされている。[ 48 ]また、成人のALK陰性の未分化大細胞型リンパ腫患者は、ALK陽性の患者と比較して転帰が不良である。[ 49 ]しかしながら、小児では、このALK陽性とALK陰性の転帰における差が明らかになっていない。さらに、転帰との間に相関が認められた特定のALK転座型は確認されていない。[ 50 ][ 51 ][ 52 ]
全身性ALK陽性未分化大細胞型リンパ腫の小児および青年の375人を対象とした欧州のシリーズでは、小細胞またはリンパ組織球成分の存在が患者の32%に認められ、多変量解析で臨床的特徴について調整した場合、その存在は高い失敗リスクと有意に関係していた(ハザード比、2.0;P = 0.002)。[ 51 ]化学療法骨格に違いはあるが、未分化大細胞型リンパ腫の小細胞多様体の予後的意義についてもCOG-ANHL0131(NCT00059839)研究で示された。[ 52 ]
(小児非ホジキンリンパ腫の治療に関する情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
小児型濾胞性リンパ腫
小児型濾胞性リンパ腫は、成人でより一般的に観察される濾胞性リンパ腫と分子的に明確に異なるとみられる。小児型では、BCL2再構成がみられない;BCL6およびMYC再構成も存在しない。TNFSFR14変異は、小児型濾胞性リンパ腫で一般的であり、成人の濾胞性リンパ腫と同程度の頻度で発生するとみられる。[ 53 ][ 54 ]しかしながら、成人でまれなMAP2K1変異が小児型濾胞性リンパ腫の43%と、多くに観察される。MAP2K1変異がみられない症例で、他の遺伝子(例:MAPK1およびRRAS)が変異していることが明らかにされていることから、MAPキナーゼ経路は、小児型濾胞性リンパ腫の発生機序に重要なことが示唆される。[ 55 ][ 56 ]小児型濾胞性リンパ腫では、免疫グロブリン遺伝子座とIRF4の転座、IRF8の変異、染色体1pの異常もまた観察されている。[ 27 ][ 53 ][ 57 ]
(小児非ホジキンリンパ腫の治療に関する情報については、小児非ホジキンリンパ腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 中枢神経系腫瘍
-
中枢神経系(CNS)腫瘍には、毛様細胞性星細胞腫をはじめとする星細胞腫、びまん性星細胞腫、脳幹グリオーマ、CNS非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍、髄芽腫、髄芽腫以外の胚芽腫、および上衣腫がある。
中枢神経系腫瘍に関する2016年の世界保健機関(WHO)分類の用語体系が以下に用いられている。2016 WHO CNS分類では、組織像に加えてゲノムの特徴が組み込まれており、以前の2007 WHO分類から複数の変更が含まれている。[ 1 ]小児脳腫瘍に特に関連があるのは、新たな疾患実体のびまん性正中グリオーマ、H3 K27M変異型であり、これにはH3 K27M変異を伴うびまん性内在性橋グリオーマ(DIPG)およびH3 K27M変異を伴う他の高悪性度正中グリオーマが含まれる。後述の分子的に定義された疾患実体の他の例は、上衣腫 RELA融合があるもの、WNT活性化およびSHH活性化髄芽腫、および多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍 C19MC変異型である。
毛様細胞性星細胞腫をはじめとする星細胞腫
低悪性度グリオーマの分子的特徴
低悪性度グリオーマの一種である毛様細胞性星細胞腫の小児症例では、BRAFおよびERK/MAPK経路の活性化に関与するゲノム変化が非常に多くみられる。
毛様細胞性星細胞腫におけるBRAF活性化は、BRAF-KIAA1549遺伝子融合を介して最も多くみられ、これによりBRAFの調節領域を欠く融合蛋白が産生される。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ]この遺伝子融合は、テント下および正中線上の毛様細胞性星細胞腫のほとんどでみられるが、テント上(大脳半球)腫瘍で認められる頻度は低い。[ 2 ][ 3 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ]毛様細胞性星細胞腫では、ERK/MAPK経路を活性化する可能性もある他のゲノム変化(例、代替BRAF遺伝子融合、RAF1遺伝子再構成、RAS変異、およびBRAF V600Eの点変異)がまれに観察される。[ 3 ][ 5 ][ 6 ][ 13 ]
低悪性度グリオーマを不完全切除した小児について著した1件の報告では、BRAF-KIAA1549融合の存在により、良好な臨床転帰(無増悪生存[PFS]および全生存[OS])が予測された。[ 11 ]しかしながら、CDKN2Aの欠失、7番染色体全体の増加、および腫瘍の位置などの他の因子によって、転帰に対するBRAF変異の影響が変わる可能性がある。[ 14 ];[ 15 ][証拠レベル:3iiiDiii]BRAF-KIAA1549融合が認められる小児低悪性度グリオーマが高悪性度グリオーマに進行することはまれである。[ 16 ]
BRAF-KIAA1549融合によるBRAFの活性化は、他の小児低悪性度グリオーマ(例、毛様類粘液性星細胞腫)でも報告されている。[ 10 ][ 11 ]
BRAF V600Eの点変異はときに毛様細胞性星細胞腫で観察される;この変異はまた、神経節膠腫[ 17 ]、線維形成性乳児神経節膠腫、約3分の2の多形黄色星細胞腫などの非毛様細胞性の小児低悪性度グリオーマでも観察されている。[ 18 ][ 19 ][ 20 ]諸研究により、以下が観察されている:
- 低悪性度グリオーマの小児400人以上を対象にした1件のレトロスペクティブ・シリーズにおいて、腫瘍の17%にBRAF V600E変異が認められた。10年PFS率はBRAF V600E変異症例で27%であったのに対して、腫瘍にこの変異が認められなかった症例では60%であった。この不良な予後に関連する追加の因子として、亜全切除およびCDKN2A欠失が挙げられた。[ 21 ]肉眼的完全切除を受けた患者においてでさえ、こうした症例の3分の1で再発が示されたことから、BRAF V600E腫瘍は他の低悪性度グリオーマ多様体よりも浸潤性の表現型であることが示唆されている。
- 同様の解析において、BRAF V600E変異を認める間脳の低悪性度星細胞腫の小児では、5年PFS率が22%であったのに対して、BRAF野生型の小児では5年PFS率が52%であった。[ 22 ][証拠レベル:3iiiDiii]
- BRAF V600E変異の頻度は、高悪性度グリオーマに形質転換した小児低悪性度グリオーマ(18例中8例)の方が高悪性度グリオーマに形質転換しなかった症例における変異の頻度(167例中10例)よりも有意に高かった。[ 16 ]
神経線維腫症1型(NF1)のERK/MAPK経路活性化不足と同様に、NF1を伴う毛様細胞性星細胞腫でBRAFのゲノム変化の活性化はまれである。[ 9 ]
小脳以外の毛様細胞性星細胞腫では、FGFR1、PTPN11、およびNTRK2融合遺伝子における活性化変異も特定されている。[ 23 ]小児の悪性度IIのびまん性星細胞腫で最も多く報告されている変化(腫瘍の最大53%)は、転写因子のMYBファミリーにおける再構成である。[ 24 ][ 25 ]
結節性硬化症患児の大半では、2つの結節性硬化症遺伝子(TSC1/ハマルチンまたはTSC2/ツベリン)のどちらかに生殖細胞変異が認められる。これらの変異は、いずれも哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)複合体1の活性化を引き起こす。これらの小児では、上衣下巨細胞星細胞腫、皮質結節、および上衣下結節が発現するリスクがある。上衣下巨細胞星細胞腫はmTOR活性化により推進されるため、mTOR阻害剤はこれらの腫瘍を有する小児における腫瘍退縮を誘発できる活性のある薬物である。[ 26 ]
血管中心性膠腫:血管中心性膠腫は一般的に、痙攣発作を呈する大脳腫瘍として小児および若年成人に発症する。[ 1 ]2016年の2件の報告で、血管中心性膠腫と診断されたほぼすべての症例にMYB遺伝子の変化が認められることが確認され、融合パートナーの検査が可能であった症例においてQKIが主要な融合パートナーであった。[ 27 ][ 28 ]血管中心性膠腫は最も一般的にはテント上に発生するが、MYB-QKI融合を伴う脳幹の血管中心性膠腫も報告されている。[ 29 ][ 30 ]
星芽腫:星芽腫は、組織学的にはGFAP陽性細胞で構成される膠細胞性新生物と定義され、しばしば硬化症を示す星状芽細胞性偽ロゼットを含む。星芽腫は主として、小児期から若年成人期に診断される。[ 1 ]複数の報告で、星芽腫に関連するゲノム変化が記述されている。
- CNS原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)の分子分類について記述した1件の報告で、MN1が関与する遺伝子融合を特徴とするMN1の変化を伴うCNS高悪性度神経上皮腫瘍(CNS HGNET-MN1)と呼ばれる疾患実体が同定された。[ 31 ]星芽腫を組織学的に診断された腫瘍のほとんど(23例中16例)が、この分子的に定義された疾患実体に属した。
- 組織学的に定義された27例の星芽腫に関する報告で、10例がMN1再構成を有し、7例がBRAF再構成を有し、2例がRELA再構成を有したことが明らかにされた。[ 32 ]メチル化アレイ解析により、MN1再構成を有する症例はCNS HGNET-MN1に集中し、BRAF変異症例は多形黄色星細胞腫に集中し、RELA症例は上衣腫に集中することが示された。
- 星芽腫8症例のゲノム評価により、4例にMN1の変化が確認された。残りの4症例のうち、2例は高悪性度グリオーマと一致するゲノム変化を有し、2例は分子的特徴に基づく分類ができなかった。[ 33 ]
- 1件の報告で8例の星芽腫について記述された。5例が蛍光in situハイブリダイゼーション解析を受け、全員がMN1再構成を示した。[ 34 ]
これらの報告から、星芽腫の組織学的診断にはゲノム的に定義される不均一な疾患実体グループが含まれることが示唆されている;MN1融合を伴う星芽腫は組織学的に診断された症例の異なるサブセットである。[ 35 ]
(低悪性度小児星細胞腫の治療に関する情報については、小児星細胞腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
びまん性星細胞腫
このカテゴリーには、数ある診断の中でも特に、びまん性星細胞腫(悪性度II)および小児高悪性度グリオーマ(退形成性星細胞腫[悪性度III]、膠芽腫[悪性度IV]、およびびまん性正中グリオーマ、H3 K27M変異型[悪性度IV])が含まれる。
びまん性星細胞腫
小児のびまん性星細胞腫(悪性度II)については、転写因子のMYBファミリー(MYBとMYBL1)における再構成が最も一般的に報告されているゲノム変化である。[ 24 ][ 25 ][ 28 ]この他の観察されている変化としては、FGFR1変化(主にチロシンキナーゼ領域に関与する重複)[ 25 ][ 28 ]、BRAF変化、NF1変異、およびRASファミリーの変異が挙げられる。[ 24 ][ 25 ]成人のびまん性星細胞腫で最も一般的なゲノム変化であるIDH1変異は、びまん性星細胞腫の小児でまれであり、認められる場合は、ほぼ例外なく年齢の高い青年に観察される。[ 24 ][ 36 ]
退形成性星細胞腫および膠芽腫
高悪性度グリオーマの分子的特徴
小児の高悪性度グリオーマで、特に多形性膠芽腫は、生物学的に成人に発生する腫瘍と異なっている。[ 36 ][ 37 ][ 38 ][ 39 ]
小児の高悪性度グリオーマは、エピジェネティックパターン(DNAメチル化)に基づいて異なったサブグループに分類可能で、これらのサブグループは腫瘍における独特な染色体コピー数増加/減少および遺伝子変異を示す。[ 40 ][ 41 ][ 42 ]小児の高悪性度グリオーマの中でもとりわけ独特な亜型は、ヒストン遺伝子の特定のアミノ酸において頻発性の変異がみられる亜型で、これらは併せて小児高悪性度グリオーマの約半数を占める。DNAメチル化パターンに基づいて以下に示す小児高悪性度グリオーマのサブグループが同定されており、これらは独特な分子的および臨床的特徴を示す:[ 42 ]
-
H3.3(H3F3A)およびH3.1(HIST1H3BおよびまれにHIST1H3C)のK27での変異:ヒストンK27変異症例は、主に小児期中期(年齢中央値が約10歳)に現れ、ほぼ例外なく正中線構造(視床、脳幹、および脊髄)にみられるもので、きわめて不良な予後をもたらす。2016 WHO分類では、これらのがんを単一の疾患実体であるびまん性中心性グリオーマ、H3 K27M変異型に分類しているが、後述のようにH3.3とH3.1変異を有する症例では臨床的および生物学的な相違がみられる。[
1
]これらの症例はK27Mの存在を同定するための免疫組織化学を用いて診断可能である。
- H3.3K27M症例は正中線および橋の至るところに発生し、これらの部位の症例の約60%を占め、一般的に5~10歳の間に発症する。[ 42 ]H3.3K27M患者の予後は特に不良で、生存期間中央値は1年に満たない;2年生存率は5%未満である。[ 42 ]
- H3.1K27M症例は、H3.3K27M症例よりも約5倍頻度が低い。これらは主に橋に発生し、他のH3.3K27M症例よりも低い年齢で発症する(年齢中央値、5歳 vs 6~10歳)。これらの症例の予後は、H3.3K27M症例よりもわずかに良好である(生存期間中央値、15ヵ月 vs 11ヵ月)。ACVR1における変異は遺伝性疾患の進行性骨化性線維異形成症においても観察される変異で、H3.1K27Mの高い割合の症例で認められる。[ 42 ][ 43 ][ 44 ]
- まれに、K27M変異はまたH3.2(HIST2H3C)症例にも同定される。[ 42 ]
- H3.3(H3F3A)のG34での変異:H3.3G34亜型は、少し年長の小児および若年成人(年齢中央値が14~18歳)にみられ、発生は大脳皮質に限局している。[ 40 ][ 41 ]H3.3G34症例は一般的にTP53およびATRXの変異を有し、全ゲノムにわたる広範な低メチル化を示す。H3F3A変異を有する患者は治療失敗のリスクが高い[ 45 ]が、予後はヒストン3.1または3.3 K27M変異を有する患者ほど不良ではない。[ 41 ]O6-メチルグアニン-DNAメチルトランスフェラーゼ(MGMT)メチル化が約3分の2の症例で観察され、IDH1変異亜型(下記を参照のこと)を除いて、H3.3G34亜型は20%を超えるMGMTメチル化の割合を示す唯一の小児高悪性度グリオーマ亜型である。[ 42 ]
- IDH1変異:IDH1変異症例は小児高悪性度グリオーマのわずかな割合(約5%)を占めており、腫瘍にIDH1変異が認められる小児高悪性度グリオーマ患者は、ほとんど例外なく大脳半球腫瘍を有する年齢の高い青年(小児集団における年齢中央値、16歳)である。[ 42 ]IDH1変異症例はしばしば、TP53変異、MGMTプロモーターメチル化、およびグリオーマ-CpG island methylator phenotype(G-CIMP)を示す。[ 40 ][ 41 ]IDH1変異を認める小児患者は、他の小児多形性膠芽腫患者より良好な予後を示す;5年全生存(OS)率は、IDH1変異を認める小児患者で60%を超えていたのに対して、野生型IDH1の患者では5年OS率が20%未満であった。[ 42 ]
- 多形黄色星細胞腫(PXA)-like:小児高悪性度グリオーマの約10%に、PXA-likeのDNAメチル化パターンがみられる。[ 41 ]PXA-like症例は一般的にBRAF V600E変異を有し、転帰が比較的良好である(約50%の5年生存率)。[ 42 ][ 45 ]
- 低悪性度グリオーマ-like:高悪性度グリオーマの組織学的外観を有する小児脳腫瘍の小規模なサブセットは、低悪性度グリオーマに似たDNAメチル化パターンを示す。[ 41 ][ 42 ]これらの症例は主に年齢の低い患者(年齢中央値は4歳)で観察される;多形性膠芽腫を診断された乳児16人中10人が低悪性度グリオーマ-like集団に含まれていた。[ 42 ]これらの患者の予後は、他の小児高悪性度グリオーマの亜型よりもはるかに良好である。[ 45 ]乳児における多形性膠芽腫の追加の考察については、下記を参照のこと。
腫瘍にヒストン変異もIDH1変異も認められない小児多形性膠芽腫の高悪性度グリオーマ患者は、小児多形性膠芽腫症例の約40%を占める。[ 42 ][ 46 ]これは、他の小児高悪性度グリオーマ亜型よりも遺伝子増幅率が高い不均一な集団である。最も一般的に増幅が認められる遺伝子は、PDGFRA、EGFR、CCND/CDK、およびMYC/MYCNである[ 40 ][ 41 ];この集団ではMGMTプロモーターのメチル化の割合は低い。[ 46 ]1件の報告でこの集団が3つの亜型に分けられた。高いMYCN増幅率を特徴とする亜型が最も不良な予後を示した一方、TERTプロモーター変異およびEGFR増幅を特徴とする亜型は最も良好な予後を示した。3つ目のグループはPDGFRA増幅により特徴付けられた。[ 46 ]
多形性膠芽腫が診断された乳児および幼児は、より年齢の高い小児および成人の腫瘍と比較して腫瘍の分子的特徴が異なるようである。小児の多形性膠芽腫に対してDNAメチル化解析を実施したところ、腫瘍の分子的特徴が低悪性度グリオーマと一致した患者のグループ(多形性膠芽腫が組織学的に診断された小児患者の約7%を占めた)が確認された。この患者集団の年齢中央値は1歳で、乳児10人中8人が低悪性度グリオーマ-likeプロファイルを示した。[ 41 ]低悪性度グリオーマ-like亜型は予後良好であった(3年OS率、約90%)。[ 41 ][ 42 ]BRAF V600E変異は、低悪性度グリオーマ-like腫瘍13例中4例および3歳以下の患者の腫瘍15例中3例で観察された。[ 41 ]
2つ目の報告では、生後36ヵ月未満の小児からの多形性膠芽腫について遺伝子コピー数の増加と減少、および選択された遺伝子の変異状態が調査された。[ 47 ]年齢の高い小児では測定可能な割合で観察された分子的変化(例、K27M、CDKN2A喪失、PDGFRA増幅、およびTERTプロモーター変異)は、これらの幼児の腫瘍ではまれであり、新たな異常(例、染色体14q32におけるSNORDの喪失)が一部の症例で観察された。
ゲノム特性化のために腫瘍組織が利用可能であった乳児118人を対象にした研究において、乳児(生後12ヵ月未満)に発生するグリオーマの特有な分子的特徴がさらに明らかにされた。[ 48 ]症例の約75%が低悪性度に分類されたが、低悪性度コホートに対するOS率が比較的低く(71%)、高悪性度コホートに対する生存が比較的良好である(55%)ため、この年齢集団における組織学的分類の有用性は低いことが示された。ゲノム特性化により、グリオーマの乳児集団は以下の3つのグループに分類された:
- グループ1の腫瘍は受容体チロシンキナーゼ(RTK)誘導性で、大部分(83%)が高悪性度であった。これらの腫瘍は、ALK、ROS1、NTRK、およびMETに病変を有した。診断時年齢中央値は生後3ヵ月で、OS率は約60%であった。
- グループ2の腫瘍はRAS/MAPK誘導性で、すべて大脳半球の低悪性度グリオーマであり、乳児における大脳半球グリオーマの1/4を占めた。BRAF V600Eは最も一般的な変化であり、FGFR1の変化およびBRAFの融合が続いた。このグループの発症時年齢中央値は生後8ヵ月で、転帰は最も良好であった(10年OS率、93%)。
- グループ3の腫瘍はRAS/MAPK誘導性で、低悪性度の組織型を有し、正中線での発症が認められた(~80%が視経路/視床下部グリオーマ)。グループ3の腫瘍のほとんどがBRAF融合またはBRAF V600Eのいずれかを示した。診断時年齢中央値は生後7.5ヵ月であった。5年経過時の無増悪生存(PFS)率は約20%で、10年経過時のOS率は約50%(1歳を超える小児における視経路/視床下部グリオーマのOS率よりもはるかに劣る)であった。
小児続発性高悪性度グリオーマ(低悪性度グリオーマが先行する高悪性度グリオーマ)はまれである(886人を対象にした研究で2.9%)。BRAF-KIAA1549融合が認められる小児低悪性度グリオーマが高悪性度グリオーマに形質転換した例はないが、BRAF V600E変異が認められる低悪性度グリオーマは形質転換するリスクが高い。続発性高悪性度グリオーマ患者の18人中7人(約40%)にBRAF V600E変異が認められ、症例14人中8人(57%)にCDKN2Aの変化が認められた。[ 16 ]
神経線維腫症1型(NF1)の小児において高悪性度グリオーマが発生することがあるが、低悪性度グリオーマの方がはるかに一般的である。高悪性度腫瘍が発生する場合は、成人期に発生することが最も多い。NF1関連高悪性度グリオーマを有する患者23人(年齢中央値、38.8歳)のゲノム特性化によって、低悪性度グリオーマを有するNF1患者と比較して変異の割合が高かったことが示された(それぞれ、21.5の変異 vs 6の変異)。[ 49 ]大多数の患者が、ヘテロ接合性の消失またはNF1の2つ目のアレルにおける不活性化変異を伴うNF1の生殖細胞変異を示した。NF1関連低悪性度グリオーマとは対照的に、高悪性度グリオーマに関連するゲノム変化が一般的であった(CDKN2A[58%]、ATRX[38%]、およびTP53[29%])。
(高悪性度小児星細胞腫の治療に関する情報については、小児星細胞腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
神経細胞腫瘍および混合神経細胞・膠細胞腫瘍
神経細胞腫瘍および混合神経細胞・膠細胞腫瘍の分子的特徴
神経細胞腫瘍および混合神経細胞・膠細胞腫瘍は、悪性度IIIの退形成性神経節膠腫を除いて、一般的に低悪性度腫瘍である。2016年の世界保健機関(WHO)分類で認識されている組織型には以下のものがある:[ 1 ]
- 胚芽異形成性神経上皮腫瘍。
- 神経節細胞腫。
- 神経節膠腫。
- 退形成性神経節膠腫。
- 小脳異形成性神経節細胞腫(Lhermitte-Duclos病)。
- 線維形成性乳児星細胞腫および神経節膠腫。
- 乳頭状グリア神経細胞性腫瘍。
- ロゼット形成性グリア神経細胞性腫瘍。
- びまん性軟髄膜グリア神経細胞性腫瘍。
- 中心性神経細胞腫。
- 脳室外神経細胞腫。
- 小脳脂肪神経細胞腫。
- 傍神経節腫。
神経節膠腫:神経節膠腫は小児期から成人期に発症する。神経節膠腫は最も一般的には痙攣発作を伴って大脳皮質に発生するが、脊髄など、他の部位にも発生する。[ 50 ][ 51 ]神経節膠腫の分子的発生機序に対する統一的なテーマは、MAPK経路の活性化につながるゲノム変化である。[ 28 ][ 52 ]BRAFの変化は神経節膠腫症例の約50%で観察され、V600Eは飛び抜けて多くみられる変化となっている;しかしながら、他のBRAF変異および遺伝子融合も観察されている。神経節膠腫における他のあまり一般的ではない変異遺伝子には、KRAS、FGFR1/2、RAF1、NTRK2、およびNF1がある。[ 28 ][ 52 ]
胚芽異形成性神経上皮腫瘍(DNET):DNETは小児および成人に発症し、診断時年齢中央値は青年期中期から後期である。病理組織学的には、柱状の乏突起膠腫様細胞および粘液中に遊離した皮質神経節細胞の存在を特徴とする。[ 53 ]側頭葉は最も一般的な部位であり、薬剤抵抗性てんかんに関連する。[ 51 ][ 54 ]DNETの60~80%にFGFR1の変化が報告されており、FGFR1活性化点変異、キナーゼドメインの遺伝子内縦列重複、および活性化遺伝子融合が含まれる。[ 28 ][ 55 ][ 56 ]DNETでは、BRAF変異はまれである。
透明中隔のDNET:中隔DNETは一般に、閉塞性水頭症に関係した症状を呈する。[ 57 ][ 58 ]中隔DNETは緩徐な臨床像を有し、ほとんどの腫瘍が手術以外の治療を必要としない。他の文献で報告された症例を組み込んだ単一施設のシリーズにおいて、発症時年齢中央値は青年の年齢層であった。[ 59 ]
低悪性度グリオーマ(例、BRAF V600E)および皮質DNET(FGFR1変異)に一般的な変異は、中隔DNETではまれである。[ 58 ][ 59 ][ 60 ]その代わり、K385残基のPDGFRAにおける変異は、中隔DNETのほとんどの症例で典型的に認められる。18例の中隔DNETの分子生物学的検討に関する報告から、14例がPDGFRA変異を有し、1例を除く全例がK385残基における変異であり[ 59 ]、PDGFの結合と同時に二量体形成および活性化に必要となる受容体-受容体相互作用を媒介するPDGFRAの細胞外領域にこの変異が認められることが示された。残りの4例のうち、3例は皮質DNETで観察されたものと一致するFGFR1変異を有した。2つ目の報告では、中隔DNETの4症例それぞれのK385においてPDGFRA変異が観察された[ 60 ];総合すると、2件の報告から、中隔DNETは、ありふれた解剖学的部位および、ほとんどの症例においてPDGFRA変異を特徴とする異なる疾患実体であることが示されている。K385のPDGFRA変異を有する低悪性度グリア神経細胞性腫瘍もまた、脳梁および側脳室の脳室周囲白質における発生が確認されたことから、粘液型グリア神経細胞性腫瘍、PDGFRA p.K385変異型を中枢神経系(CNS)腫瘍の異なる疾患実体として考慮すべきであると提案されている。[ 61 ]
線維形成性乳児星細胞腫(DIA)および線維形成性乳児神経節膠腫(DIG):DIAおよびDIGは生後1年の間に最もしばしば発症し、コントラスト増強性の充実性結節が大きな嚢胞性成分に伴って認められる特徴的な画像所見を示す。[ 62 ][ 63 ]DIGはDIAよりも一般的であり[ 62 ]、メチル化アレイ解析では、両方が同時に診断される場合がある。[ 64 ]一般に外科的切除で良好な生存転帰が得られる。[ 62 ]
DIAおよびDIGにおいて最も一般的に観察されるゲノム変化はV600が関与するBRAF変異である;キナーゼ遺伝子が関与する遺伝子融合が観察される頻度はあまり高くない。
- 組織型およびDNAメチル化プロファイル解析によりDIAおよびDIGであることが確認された16症例のうち、BRAF変異が7例(43.8%)で観察された:4例がBRAF V600E変異および3例がBRAF V600D変異であった。別の1例にEML4-ALK融合が認められた。BRAF変異は、DIG症例12例中4例(25%)(変異が認められた4例中3例がBRAF V600Dを有した)およびDIA症例4例中3例(75%)(変異が認められた3例すべてがBRAF V600Eを有した)に認められた。
- DIG症例7例の研究では、4例(57%)でMAPK経路の変化が明らかにされた。[ 65 ]3つの変化はBRAF(V600E、V600D、およびV600を中心とした1つの欠失/挿入)が関与し、1つはTPM3-NTRK1のインフレーム融合であった。注目すべきことに、多様体アレル頻度が低かった(8~27%)ことから、DIGは顕著な非腫瘍性構成部分を特徴としている結果、クローン性ドライバー変異のアレル頻度が低くなっていることが示唆される。
- 別の報告でも、DIG症例におけるBRAF V600D変異が記述された。[ 66 ]他のがんではV600D変異はV600Eよりはるかにまれであるため、複数のDIG症例におけるV600Dの検出は、この変異とDIGとの関連を示唆している。
ロゼット形成性グリア神経細胞性腫瘍(RGNT):RGNTは青年および成人で発症し、腫瘍は一般的にテント下に位置するが、中脳または間脳領域に発生することもある。[ 67 ]典型的な組織学的外観は、ロゼットまたは血管周囲偽ロゼットで配列されたグリア細胞成分および神経細胞成分の両方を示す。[ 1 ]RGNT患者の転帰は一般的に良好で、WHO悪性度Iの指定と一致する。[ 67 ]DNAメチル化プロファイル解析により、RGNTは他の低悪性度グリア細胞/グリア神経細胞性腫瘍の疾患実体とは区別される別個のエピジェネティックなプロファイルを有することが示されている。[ 67 ]RGNT症例30例の研究で、解析されたすべての腫瘍でFGFR1のホットスポット変異が観察された。[ 67 ]さらに、30例中19例(63%)ではPIK3CA活性化変異が同時に観察された。30例中10例(33%)ではNF1におけるミスセンス変異または機能障害性変異(damaging mutation)が同定され、7例の腫瘍にFGFR1、PIK3CA、およびNF1における変異が認められた。MAPK経路とPI3K経路の両方を活性化する変異の同時発生は、星細胞腫およびグリア神経細胞性腫瘍において特有なRGNTの変異プロファイルとなっている。
びまん性軟髄膜グリア神経細胞性腫瘍(DLGNT):DLGNTは、放射線学的には磁気共鳴画像法(MRI)での軟髄膜増強(後頭蓋窩、脳幹領域、および脊髄に病変がみられうる)を特徴としているまれなCNS腫瘍である。[ 68 ]実質内病変は、認められる場合には一般的に脊髄にみられる[ 68 ];軟髄膜播種が認められず、組織形態学(histomorphologic)、免疫表現型、およびゲノムの特徴がDLGNTに類似した限局性の脊髄内グリア神経細胞性腫瘍が報告されている。[ 69 ]DLGNTは、DNAメチル化アレイ解析で特有のエピジェネティックなプロファイルを示し、30例に適用されたアレイデータの教師なしクラスタリングにより、DLGNTの次の2つのサブクラスが明らかにされた:メチル化クラス(MC)-1(n = 17)およびMC-2(n = 13)。[ 68 ]注目すべきこととして、アレイ解析で明らかにされた症例の多くが当初は別の疾患実体(例、原始神経外胚葉性腫瘍、毛様細胞性星細胞腫、および退形成性星細胞腫)として診断されていた。DLGNT-MC-1を有する患者は、DLGNT-MC-2を有する患者よりも若年で診断された(それぞれ、5歳 vs 14歳)。5年全生存率は、DLGNT-MC-1を有する患者の方がDLGNT-MC-2を有する患者よりも高かった(それぞれ、100% vs 43%)。メチル化アレイ解析で明らかにされたDLGNT症例30例のゲノム所見を以下に示す:
- 30例すべてが染色体1pの欠失を示したが、染色体1qの追加の増加を示したDLGNT-MC-1症例は17例中6例のみであったのに対し、DLGNT-MC-2症例はすべて増加を示した。[ 68 ]別の報告で、DLGNT患者(限局性疾患の症例を含む)における染色体1qの増加は有害な予後因子であることが示された[ 70 ]が、これはDLGNT-MC-2患者に対する不良な転帰と一致している。
- 1p/19qの両欠失は、DLGNT-MC-1群(13例中7例、54%)の方がDLGNT-MC-2群(13例中2例、15%)よりも頻度が高かった。乏突起膠腫とは対照的に、IDH1およびIDH2の変異は確認されなかった。[ 68 ]
- DLGNT症例ではMAPK経路の活性化が一般的である。[ 68 ]KIAA1549:BRAF融合がDLGNT-MC-1症例15例中11例(65%)およびDLGNT-MC-2症例13例中9例(69%)で認められた。NTRK1/2/3が関与する融合は、それぞれ1例で認められ、別の症例はTRIM33:RAF1融合を有した。
脳室外神経細胞腫:脳室外神経細胞腫は組織学的に中心性神経細胞腫に類似しており、神経細胞分化を示す均一な小型細胞で構成されるが、脳室系に関連してというよりもむしろ脳実質に発生する。[ 1 ]脳室外神経細胞腫は小児期から成人期に発症する。組織学的に脳室外神経細胞腫に分類され、メチル化アレイ解析に提出された40例の腫瘍に関する研究では、他の組織型の参照用腫瘍と異なる別個のクラスターを形成したのは26例のみであった。[ 71 ]メチル化アレイ解析で脳室外神経細胞腫と分類され、ゲノム特性化を実施できた症例について、15例中11例(73%)がFGFRファミリーメンバーに影響を及ぼす再構成を示し、FGFR1-TACC1が最も一般的な変化であった。[ 71 ]
乳頭状グリア神経細胞性腫瘍:乳頭状グリア神経細胞性腫瘍は、主にテント上部に発生し、星細胞腫と神経細胞腫分化を示す低悪性度の二相性新生物である。[ 1 ]発症時年齢中央値は20代前半であるが、小児期から成人期に観察される。乳頭状グリア神経細胞性腫瘍に関連する主要なゲノム変化はSLC44A1-PRKCAの遺伝子融合で、t(9:17)(q31;q24)転座に関連している。[ 72 ][ 73 ]メチル化アレイ解析を用いて乳頭状グリア神経細胞性腫瘍と組織学的に診断された28症例を対象にした1件の研究において、11症例が特有のメチル化クラスに集中した一方、残りの症例は他の腫瘍の疾患実体に典型的なメチル化プロファイルを示した。特有のメチル化クラスターにおける症例の分子解析では、NOTCH1-PRKCA遺伝子融合を有した単一症例を除く全例がSLC44A1-PRKCA遺伝子融合を有したことが示された。[ 74 ]このことから、PRKCA融合の存在を確認するための分子的検査法は、乳頭状グリア神経細胞性腫瘍の診断において、形態学に基づく検査法よりも誤分類の可能性が低いことが示唆されている。
びまん性正中グリオーマ、H3 K27M変異型(びまん性内在性橋グリオーマ[DIPG]を含む)
びまん性正中グリオーマ、H3 K27M変異型のカテゴリーには、以前にDIPGとして分類されていた腫瘍も含まれる;データのほとんどがDIPGでの経験から得られている。このカテゴリーには、視床などの正中線構造に発生するH3 K27M変異を有するグリオーマも含まれる。
DIPGのゲノミクス
DIPGゲノムの特徴は、他の多くの小児高悪性度大脳グリオーマおよび成人高悪性度グリオーマと異なると考えられる。[ 75 ]DIPGの分子的および臨床的特徴は、ヒストンH3.3(H3F3A)またはH3.1(HIST1H3BおよびHIST1H3C)に特有なH3 K27M変異を伴う他の高悪性度正中グリオーマのものと一致しており、世界保健機関は、これらの腫瘍を、びまん性正中グリオーマ、H3 K27M変異型と呼ばれる単一の疾患群にまとめて分類するに至った。[ 1 ]
視床腫瘍を有する小児64人に関する1件の報告で、高悪性度グリオーマの50%(22例中11例)でH3 K27M変異がみられ、低悪性度の形態的特徴を示す腫瘍の約10%(42例中5例)でH3 K27M変異がみられた。5年全生存(OS)率はわずか6%(16人中1人)であった。[ 76 ]膠芽腫の患児202人を含む別の研究で、68腫瘍が正中線(主に視床)で、H3 K27M変異がみられた。この集団の5年OS率はわずか5%で、これはこの研究の残りの患者の生存率よりも有意に劣っていた。[ 41 ]
DIPGでは、以下を含めて、いくつかの染色体およびゲノム異常が報告されている:
-
ヒストンH3遺伝子:DIPG腫瘍の約80%には、ヒストンH3.3(H3F3A)またはH3.1(HIST1H3BおよびHIST1H3C)遺伝子の特定のアミノ酸に変異がみられる。[
43
][
44
][
77
][
78
][
79
]このH3 K27M変異は正中線の他部位に発生する小児高悪性度グリオーマでみられるが、小児の高悪性度大脳グリオーマおよび成人高悪性度グリオーマではまれである。[
43
][
44
][
77
][
78
][
79
][
80
]
DIPG患者7人における複数の腫瘍部位(原発部位、隣接部位、および転移部位)を検査した1件の剖検研究では、H3 K27M変異が常に認められることが明らかになり、DIPGのドライバー変異としての役割が裏付けられる。[ 81 ]
H3.1 K27M変異を有する患者の生存期間中央値(15ヵ月)は、H3.3 K27M変異を有する患者(10.4ヵ月)よりも長い。[ 82 ]
- ACVR1遺伝子:約20%のDIPGの症例では、ACVR1遺伝子における活性化変異がみられ、ほとんどの場合H3.3変異と同時に発生する。[ 43 ][ 44 ][ 78 ][ 79 ]
-
受容体チロシンキナーゼ増幅:PDGFRA増幅は、約30%の症例にみられ、他のいくつかの受容体チロシンキナーゼ遺伝子(例、METおよびIGF1R)で増幅が確認される割合は低い。[
83
][
84
]
DIPG患者7人の複数の腫瘍部位(原発部位、隣接部位、および転移部位)を検査した病理解剖研究では、これらの部位でPDGFRA増幅が常に認められることが明らかになり、この変化はDIPGの二次ゲノム変化であることが示唆される。[ 81 ]
- TP53欠失:DIPG腫瘍では、染色体17p上のTP53遺伝子の欠失が多くみられる。[ 84 ]その上、DIPG腫瘍で特にヒストンH3遺伝子変異を伴う場合、TP53変異が多くみられる。[ 43 ][ 44 ][ 78 ][ 79 ][ 85 ]TP53変異を有する症例で、異数性がよく観察される。[ 43 ]
DIPGの遺伝子発現プロファイルは、非脳幹性の小児高悪性度グリオーマと異なっていることから、この小児グリオーマのサブセットは生物学的に異なっていることがさらに裏付けられる。[ 84 ]小児におけるH3 K27M変異腫瘍はまれにO6-メチルグアニン-DNA-メチルトランスフェラーゼ(MGMT)プロモーターメチル化を示し[ 41 ]、このことはDIPGの患者においてテモゾロミドが検証された場合に、その効力の不足を説明している。[ 86 ]
(低悪性度グリオーマの遺伝学に関する詳しい情報については、小児星細胞腫の治療に関するPDQ要約のゲノム変化のセクションを参照のこと。)
(小児脳幹グリオーマの治療に関する情報については、小児脳幹グリオーマの治療のPDQ要約を参照のこと。)
中枢神経系(CNS)非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍(AT/RT)
SMARCB1遺伝子
AT/RTは、腫瘍抑制遺伝子候補のSMARCB1(INI1およびhSNF5として既に知られている)が同定された初めての原発性小児脳腫瘍である。[ 87 ]SMARCB1は、CNS、腎、および腎外のラブドイド悪性腫瘍を含むほとんどのラブドイド腫瘍でゲノムが変化している。[ 87 ]SMARCB1/SMARCA4染色なしは、AT/RTの決定的マーカーである。SMARCB1関連AT/RTの患者で、他の遺伝子における追加のゲノム変化(変異および増加/喪失)はきわめてまれである。頻度は少ないが、SMARCA4陰性(SMARCB1を保持)腫瘍が報告されている。[ 88 ]AT/RTで、他の遺伝子に頻発性の変異はみられない。[ 89 ][ 90 ][ 91 ]
SMARCB1は、Switch(SWI)型およびSucrose non-fermenting(SNF)型のアデノシン三リン酸依存性クロマチン再構築因子複合体の成分である。[ 92 ]SMARCB1を発現しているが、SMARCB1変異を認めない、まれなラブドイド腫瘍の家族性症例では、SWI/SNFクロマチン再構築因子複合体の別のメンバーであるSMARCA4/BRG1の生殖細胞変異との関連も認められている。[ 93 ][ 94 ]
2016年WHO分類では、SMARCB1またはSMARCA4のいずれかの変化の存在によりAT/RTが定義される。AT/RTの組織学的特徴を示し、これらのゲノム変化がみられない腫瘍は、ラブドイドの特徴を示すCNS胚芽腫と呼ばれる。[ 1 ]
SMARCB1(およびはるかにまれであるが他のSWI/SNF複合体メンバー)以外に頻発性のゲノム変化が認められないにもかかわらず、生物学的に異なるAT/RTのサブセットが特定されている。[ 95 ][ 96 ]150のAT/RT腫瘍のDNAメチル化アレイおよび67のAT/RT腫瘍の遺伝子発現アレイを用いて、以下の3つの異なるAT/RTのサブセットが特定された。[ 96 ]
- AT/RT TYR:このサブセットは、症例の約3分の1を占めており、TYR(チロシナーゼをコードしている遺伝子)などのメラノソームのマーカーの発現亢進を特徴としていた。このサブセットの症例は、主にテント下であり、0~1歳の小児に最も多くみられ、染色体22q欠失を示す。[ 96 ]AT/RT TYRの患者で、臨床的に不均一な集団における平均全生存期間(OS)は37ヵ月 (95%信頼区間[CI]、18-56ヵ月)であった。[ 97 ]篩状神経上皮腫瘍は、若年小児にも認められ、AT/RT TYRと非常に似たゲノム的およびエピゲノム的特徴を有する脳のがんである。[ 97 ](詳しい情報については、小児中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の治療に関するPDQ要約の篩状神経上皮腫瘍のセクションを参照のこと。)
- AT/RT SHH:このサブセットは、症例の約40%を占め、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)経路における遺伝子(例、GLI2およびMYCN)の発現亢進を特徴としていた。このサブセットの症例は、テント上およびテント下に同様な頻度でみられた。ほとんどが2歳未満にみられたが、約3分の1の症例は、2~5歳に認められた。[ 96 ]AT/RT SHHの患者では、平均OSが16ヵ月(95%CI、8-25ヵ月)であった。[ 97 ]
- AT/RT MYC:このサブセットは、症例の約4分の1を占めており、MYC.の発現亢進を特徴としていた。AT/RT MYCの症例は、テント上部に発生する傾向がある。ほとんどのAT/RT MYC症例は5歳までにみられるが、AT/RT MYCは、6歳以上で診断される最も多いサブセットであった。SMARCB1の限局的な欠失がこのサブセットで最も多くみられるSMARCB1欠失の機序であった。[ 96 ]AT/RT MYCの患者では、平均OSが13ヵ月(95%CI、5-22ヵ月)であった。[ 97 ]
体細胞変異に加え、SMARCB1の生殖細胞変異がAT/RT患者の相当数のサブセットで報告されている。[ 87 ][ 98 ]ラブドイド腫瘍の小児65人を対象とした研究では、23人(35%)に生殖細胞変異および/またはSMARCB1欠失が認められたことが明らかにされた。[ 99 ]SMARCB1に生殖細胞変異を認める小児は、散発例より若い年齢で発症し(中央値で生後約5ヵ月 vs 18ヵ月)、同時性の多病巣性腫瘍を呈する可能性が高かった。[ 99 ]生殖細胞変異を示す評価可能症例22人中7人は、片親がSMARCB1生殖細胞系異常のキャリアであり、そのキャリアの親のうち4人は、SMARCB1関連がんに罹患していなかったことが明らかにされた。[ 99 ]これは、AT/RTが不完全浸透の常染色体優性遺伝パターンを示すことを意味している。
性腺モザイク現象も観察されており、これは複数の同胞がAT/RTに罹患しており、同一のSMARCB1変異が認められるが、両親ともSMARCB1の変異/欠失が認められない家系があることから明らかである。[ 99 ][ 100 ]AT/RTと診断された小児をSMARCB1の生殖細胞変異についてスクリーニングすることで、その小児のAT/RT診断の遺伝的意味合いに関する家族のカウンセリングに有用な情報が得られる場合がある。[ 99 ]
SMARCB1またはSMARCA4蛋白発現喪失は、これががん細胞のEZH2活性への依存をもたらすため、治療上重要である。[ 101 ]前臨床研究では、SMARCB1喪失を認める一部のAT/RT異種移植株が腫瘍増殖阻害および偶発的腫瘍退縮を伴ってEZH2阻害薬に反応を示すことが示されている。[ 102 ][ 103 ]EZH2阻害薬のタゼメトスタットの研究で、腫瘍(非CNS悪性ラブドイド腫瘍および類上皮肉腫)にSMARCB1またはSMARCA4のいずれかの喪失を認める成人患者で客観的奏効が観察された。[ 104 ](詳しい情報については、本要約の再発小児CNS非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の治療のセクションを参照のこと。)
(小児CNS非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の治療に関する情報については、小児中枢神経系非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍の治療のPDQ要約を参照のこと。)
髄芽腫
髄芽腫の分子的サブタイプ
統合的分子解析によって複数の髄芽腫の亜型が同定されている。[ 105 ][ 106 ][ 107 ][ 108 ][ 109 ][ 110 ][ 111 ][ 112 ][ 113 ][ 114 ][ 115 ][ 116 ][ 117 ][ 118 ][ 119 ][ 120 ][ 121 ][ 122 ]2012年以降、一般的なコンセンサスは、分子的に4つ以上の中心となる亜型に髄芽腫が分類できることであり、その亜型には、WNT活性化、ソニック・ヘッジホッグ(SHH)活性化、グループ3、およびグループ4の髄芽腫がある。ただし、同じ腫瘍の異なる領域には、他の本質的に異なる遺伝子変異が存在する可能性が高く、有効な分子標的療法を考案する上で複雑さが増している。[ 123 ]これらの亜型は原発部位と転移部位で安定したままである。[ 124 ][ 125 ]
2016年の世界保健機関(WHO)分類では、分子的に定義された髄芽腫について以下のカテゴリーを追加することで、このコンセンサスを支持している:[ 1 ]
- 髄芽腫、WNT活性化。
- 髄芽腫、SHH活性化およびTP53変異型。
- 髄芽腫、SHH活性化およびTP53野生型。
- 髄芽腫、非WNT/非SHH型。
これらのサブグループはさらなる下位分類が可能であり、こうした分類によりさらに多くの予後情報が得られる。[ 125 ][ 126 ][ 127 ]
髄芽腫、WNT活性化
WNT腫瘍は、WNTシグナル伝達経路の異常を伴う髄芽腫であり、すべての髄芽腫の約10%を占める。[ 126 ]WNT髄芽腫は、WNTシグナル伝達遺伝子発現シグネチャーおよび免疫組織化学検査によるβ-カテニン核染色を示す。[ 128 ]通常、組織学的に古典的髄芽腫の腫瘍と分類され、大細胞型/退形成性の所見はまれである。WNT髄芽腫は一般的に比較的年齢の高い患者(年齢中央値、10歳)に発生し、診断時に転移を来していることはまれである。
CTNNB1は、WNT髄芽腫の85~90%に観察され、APC変異は、CTNNB1変異を認めない症例のほとんどで検出される。腫瘍にAPC変異を認めるWNT髄芽腫の患者では、しばしばターコット症候群(すなわち、生殖細胞APC変異)がみられる。[ 127 ]WNT髄芽腫腫瘍では、CTNNB1変異に加えて、6q欠失(6モノソミー)が症例の80~90%にみられる。6モノソミーは、診断時18歳未満のほとんどの髄芽腫患者に観察されるが、18歳を超える患者では、はるかに少ない(症例の約25%)と考えられる。[ 126 ][ 128 ]
WNT亜型は、主に年長児、青年、および成人にみられ、男性が多いとはいえない。一部は胚性菱脳唇領域からの脳幹由来であると考えられている。[ 129 ]WNT髄芽腫は、小児において非常に良好な転帰を伴っており、特に腫瘍がβ-カテニン核染色陽性で、6q欠失および/またはCTNNB1変異が証明された患者で良好である。[ 120 ][ 130 ][ 131 ]
髄芽腫、SHH活性化およびTP53変異型、および髄芽腫、SHH活性化およびTP53野生型
SHH腫瘍は、SHH経路の異常を伴う髄芽腫であり、髄芽腫症例の約25%を占める。[ 126 ]SHH髄芽腫は、染色体9q欠失;線維形成性/結節性組織型;ならびにPTCH1、PTCH2、SMO、SUFU、およびGLI2を含むSHH経路遺伝子の変異を特徴とする。[ 128 ]
Gタンパク質共役型受容体161(GPR161)におけるへテロ接合性の有害な生殖細胞変異は、SHH髄芽腫症例の約3%で同定された。[ 132 ]GPR161は、SHHシグナル伝達の阻害因子である。GPR161変異症例の診断時年齢の中央値は1.5歳であった。GPR161遺伝子座のヘテロ接合性の消失(LOH)がすべての腫瘍で認められ、患者6人中5人からの腫瘍が染色体1q(GPR161が位置する)のコピー数の変化のない(copy-neutral)LOHを示した。
U1スプライセオソームの低分子核内RNA(snRNA)の第3ヌクレオチドにおける変異(r.3A>G)は、SHH髄芽腫で高度に特異的であった。[ 133 ][ 134 ]U1 snRNA r.3A>G変異は、成人におけるSHH髄芽腫の実質的にすべての症例にみられ、小児および青年では約3分の1の症例にみられるが、乳児の症例では認められない。[ 134 ]U1 snRNA変異はRNAスプライシングを妨げることから、腫瘍抑制遺伝子(例、PTCH1)の不活性化およびがん遺伝子(例、GLI2)の活性化につながる。SHH髄芽腫の特定の亜型におけるU1 snRNA r.3A>G変異の意義について以下に記述する。
SHH髄芽腫では、発症年齢が二峰性分布を示し、主に3歳未満の小児および青年の高年齢層/成人にピークがみられる。この腫瘍は、小脳外顆粒層から発生すると考えられている。発症時年齢における不均一性によって異なるサブセットに分かれ、以下のように詳細な分子的特徴解析で特定される:
- 3~16歳の小児に最も多くみられる髄芽腫のサブセットは、SHH-alphaと呼ばれ、MYCNおよびGLI2増幅が豊富にみられるとともに、これらの増幅のいずれかと同時にTP53変異が発生することが多い。[ 125 ][ 126 ]PTCH1変異は、この亜型にみられ、TP53変異(しばしば生殖細胞変異)と相互排他的であるが、SMOおよびSUFUの変異はまれである。[ 125 ][ 135 ]U1 snRNA変異は、SHH-alpha髄芽腫症例の約25%にみられ、非常に不良な予後を伴っている。[ 134 ]
- 主に3歳未満の小児にみられる2つのSHH亜型が報告されている。[
126
]これらの亜型の1つで、SHH-βと呼ばれる亜型では、転移の頻度が高く、局所増幅の頻度も高い。[
136
]これらの亜型のうち、もう1つのSHH-γと呼ばれる亜型では、広範な小結節形成を伴う髄芽腫(MBEN)の組織型が豊富にみられる。3歳未満の髄芽腫患児におけるSHH経路の変異には、PTCH1およびSUFUの変異がある。[
125
]SUFU変異は、年長の小児および成人でまれに観察され、その多くが生殖細胞系のイベントである。[
135
]
DNAメチル化アレイを用いた2番目の報告でも、低年齢の小児でSHH髄芽腫の2つの亜型が特定された。[ 136 ]この亜型の1つは、SMO変異を伴う症例のすべてを含み、予後良好と関係していた。もう一方の亜型は、SUFU変異のほとんどを有しており、無増悪生存(PFS)率がはるかに低いことに関係していた。PTCH1変異は、両亜型でみられた。
- 4つ目のSHH亜型で、SHH-δと呼ばれるものには、成人のSHH髄芽腫症例のほとんどが含まれる。[ 126 ]SHH-δ髄芽腫の実質的にすべての症例にU1 snRNA r.A>3変異がみられ[ 134 ]、症例の約90%にTERTプロモーター変異がみられる。[ 126 ]SHH髄芽腫の成人では、PTCH1およびSMOの変異もみられる。
非転移性のSHH髄芽腫患者の転帰は、3歳未満の小児および成人で比較的良好である。[ 126 ]MBENの組織像を認める若い小児は、予後が特に良好である。[ 137 ][ 138 ][ 139 ][ 140 ][ 141 ]治療失敗のリスクが最も高いSHH髄芽腫患者は、腫瘍にTP53変異を認める3歳未満の小児で、しばしばGLI2またはMYCNの増幅および大細胞型/退形成性組織型の両方がみられる。[ 126 ][ 135 ][ 142 ]
予後不良な分子所見を示す患者の予後は悪く、従来の治療後に生存する患者は50%未満である。[ 121 ][ 135 ][ 142 ][ 143 ][ 144 ]
2016 WHO分類では、別個の疾患実体としてTP53変異を伴うSHH髄芽腫(髄芽腫、SHH活性化およびTP53変異)が同定されている。[ 1 ]SHH活性化髄芽腫症例の約25%にTP53変異が認められ、これらの症例ではまたTP53生殖細胞変異が高い割合で示されている(1件の研究では20例中9例)。これらの患者の年齢は一般的に5~18歳で、転帰不良である(5年全生存率、50%未満)。[ 144 ]この腫瘍はしばしば大細胞型/退形成性の組織像を示す。[ 144 ]
髄芽腫、非WNT/非SHH活性化
WHO分類では、グループ3とグループ4の髄芽腫症例をまとめて1つの疾患単位としており、これは部分的にこの区別に緊急の臨床的影響がないことに基づいている。グループ3の髄芽腫は、髄芽腫症例の約25%を占めるが、グループ4の髄芽腫は、髄芽腫症例の約40%を占める。[ 126 ][ 128 ]グループ3とグループ4の両方の髄芽腫患者は主に男性である。[ 114 ][ 125 ]グループ3およびグループ4の髄芽腫は、遺伝子発現およびDNAメチル化のプロファイルなどの特徴に基づいて、さらに細分化できるが、この細分化に対する至適アプローチは確立されていない。[ 126 ][ 127 ]
グループ3およびグループ4の髄芽腫では、さまざまなゲノム変化が観察される;しかしながら、10%以上~20%の症例では1つの変化もみられない。ゲノム変化には以下が挙げられる:
- MYC増幅は、グループ3の髄芽腫で最も多く報告された特有な変化で、症例の約15%にみられた。[ 119 ][ 127 ]
- グループ4の髄芽腫で最も多く報告された(症例の約15%で観察された)特有なゲノム変化は、エンハンサーの乗っ取り(enhancer hijacking)によるPRDM6の活性化で、これは近隣のSNCAIP遺伝子の縦列重複に起因している。[ 127 ]
- グループ3およびグループ4のいずれの症例でも、その他のゲノム変化が観察され、その中には、MYCN増幅に加え、エンハンサーの乗っ取りを介してGFI1またはGFI1Bの過剰発現に至る構造的多様体がみられた。
- 同腕染色体17q(i17q)は、最も多くみられる細胞遺伝学的異常で、グループ3の症例とともにグループ4の症例に高い割合で観察されるが、WNTおよびSHH髄芽腫での観察はまれである。[ 119 ][ 127 ]グループ3およびグループ4の患者に対する予後は、i17qの存在による影響を受けないようである。[ 145 ]
MYC増幅またはMYC過剰発現が認められるグループ3の患者は予後不良で[ 125 ]、これらの患者で診断から5年後まで生存するのは50%未満である。[ 126 ]この不良な予後は、特に診断時に4歳未満の小児に当てはまる。[ 121 ]しかしながら、MYC増幅が認められないグループ3の髄芽腫の3歳を超える患者の予後は、非WNT髄芽腫のほとんどの患者とほぼ同じであり、5年PFS率は70%を超える。[ 143 ][ 145 ]
グループ4の髄芽腫は、乳児から小児期を通して、成人期まで発生する。グループ4の髄芽腫患者の予後は、他の非WNT髄芽腫の患者とほぼ同じであり、転移病変の存在、染色体11q欠失、および染色体17p欠失など、その他の因子により影響を受ける場合がある。[ 118 ][ 119 ][ 126 ][ 142 ]1件の研究により、11番染色体の欠失または17番染色体の増加のいずれかが認められるグループ4の患者は転移に関係なく低リスクであることが明らかにされた。これらの細胞遺伝学的特徴が両方とも認められない症例では、発症時の転移によって高リスクと中リスクが区別された。[ 142 ]
グループ3およびグループ4の標準リスク患者(すなわち、MYC増幅または転移病変が認められない)について、染色体全体の増加または欠失は良好な予後を暗示するようである。この知見は、SIOP-PNET-4(NCT01351870)臨床試験に登録された非WNT/非SHH型髄芽腫患者91人のデータから得られ、1990年から2014年に治療された非WNT/非SHH型髄芽腫の小児70人の独立したグループで確認された。[ 145 ]染色体異常には以下が挙げられる:
- 1つ以上の染色体全体が増加/欠失した場合の5年イベントフリー生存(EFS)率が93%であったのに対し、染色体全体ではない増加/欠失でのEFS率は64%であった。
- 最も一般的な染色体全体の増加/欠失は7番染色体の増加および8番および11番染色体の欠失である。
- 最適に機能する予後の判断基準は、次の異常の2つ以上の発生であることが明らかにされた:7番染色体の増加、8番染色体の欠失、および11番染色体の欠失。グループ3およびグループ4の標準リスク患者の約40%はこれらの染色体異常を2つ以上有し、5年EFS率は100%であったのに対し、異常が1つ以下の患者のEFS率は68%であった。
- 独立したコホートで、7番、8番、および11番染色体の増加/欠失が0または1つと比較して2つ以上の予後的意義が確認された(2つ以上の患者では5年EFS率が95%であったのに対し、1つ以下では59%であった)。
髄芽腫を4つの主要な亜型に分ける分類法は、近い将来に変更される可能性が高い。[ 126 ][ 127 ][ 146 ][ 147 ]これらのサブグループはそれぞれ分子的にさらに分けられるため、サブグループ内での分子的特徴に基づいてさらに細分される可能性が高いが、これらの研究では、多数の独立した研究からのデータが併合されるのに伴い、コンセンサスに近づきつつある。1つの例として、相補的バイオインフォマティクスのアプローチを用いて、多数の大規模な公表コホート間での一致が解析され、さらに統合されたサブグループ化が報告された。グループ3およびグループ4の髄芽腫の小児では、DNAメチル化のクラスタリングにより、8つの異なるサブグループが決定された。特定のサブグループごとに予後が異なっていた。[ 118 ][ 128 ][ 135 ][ 148 ]
髄芽腫の成人に対する分類が小児において同様な予測能力を有するかどうかは不明である。[ 119 ][ 121 ]成人の髄芽腫に関する1件の研究では、MYCがん遺伝子増幅の観察はまれであり、6q欠失およびWNT活性化(β-カテニン核染色により識別)を示す腫瘍は、小児の髄芽腫でみられる非常に優れた予後を共有しなかったが、別の研究では、成人におけるWNT活性化腫瘍で非常に優れた予後が確認された。[ 119 ][ 121 ]
(小児髄芽腫の治療に関する情報については、小児髄芽腫およびその他の中枢神経系胚芽腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
髄芽腫以外の胚芽腫
このセクションでは、髄芽腫および非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍以外の胚芽腫のゲノムの特徴について記述している。2016 WHO分類では診断用語から原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)という用語が削除された。[ 1 ]この変更は、以前にCNS PNETに分類されていた多くの腫瘍が19番染色体上のC19MC領域の増幅という共通する所見を有しているという認識に起因した。これらの疾患実体には、上衣芽腫、神経網および真性ロゼットに富む胎児性腫瘍(ETANTR)、および一部の髄上皮腫症例が含まれた。2016 WHO分類では現在、C19MC増幅が認められる腫瘍を、多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍(ETMR)、C19MC-変異型として分類している。以前にCNS PNETに分類されていた腫瘍は現在、CNS胚芽腫、NOSと呼ばれており、このカテゴリーの腫瘍はWHO分類の将来の版ではゲノム病変を決定することで分類される可能性が高いと認識されている。
髄芽腫以外の胚芽腫の分子的亜型
髄芽腫以外の胚芽腫の323の腫瘍を対象にDNAメチル化パターンの教師なしクラスタリング(unsupervised clustering)を適用した研究で、髄芽腫以外の胚芽腫と診断されたこれらの腫瘍の約半数は、他の既知の小児脳腫瘍(例、高悪性度グリオーマおよび非定型奇形腫様/ラブドイド腫瘍[AT/RT])の分子プロファイルの特徴を示したことが明らかになった。[ 31 ]この観察結果は、このクラスの腫瘍をその適切な生物学ベースの診断に割り当てる分子的特性解析の有用性を強調している。
髄芽腫以外の胚芽腫と診断された323の腫瘍の同一群で、分子的特性解析により、以下のようなゲノム的および生物学的に異なる亜型が特定された:
-
多層性ロゼットを有する胎児性腫瘍(ETMR):この亜型は、323症例の11%にみられ、以前に神経網と真正ロゼットに富む胎児性腫瘍(ETANTR)、上衣芽腫、または髄上皮腫のいずれかに分類されていた胚性ロゼット形成性神経上皮脳腫瘍を統合している。[
31
][
149
]ETMRは、低年齢小児(診断時年齢中央値が2~3歳)にみられ、高度に侵攻性の臨床経過を示し、無増悪生存(PFS)期間中央値は1年未満で、長期生存はほとんどみられない。[
149
][
150
][
151
]
ETMRは、microRNAクラスターC19MCの高レベル増幅、およびTTYH1とC19MC間の遺伝子融合により、分子レベルで定義される。[ 149 ][ 152 ][ 153 ]この遺伝子融合により、C19MCの発現がTTYH1プロモーターで制御されるようになるため、このクラスター内でmicroRNAの高レベルの異常発現がもたらされる。世界保健機関(WHO)は、C19MCの変化が認められない組織学的に類似した腫瘍のETMR、他に特定されない(NOS)としての分類を認めている。
- FOXR2活性化を伴う中枢神経系(CNS)神経芽腫(CNS NB-FOXR2):この亜型は、323症例の14%にみられ、転写因子FOXR2の発現亢進に至るゲノム変化を特徴とする。[ 31 ]CNS NB-FOXR2は、主に10歳未満の小児に観察され、これらの腫瘍の組織型は、典型的にCNS神経芽腫またはCNS神経節芽細胞腫のものである。[ 31 ]CNS NB-FOXR2腫瘍でFOXR2過剰発現に至る単一のゲノム変化は認められておらず、複数のFOXR2パートナーを巻き込んだ遺伝子融合が特定されている。[ 31 ]この亜型はWHO分類の診断用語に追加されていない。
- CIC変異を伴うCNSユーイング肉腫ファミリー腫瘍(CNS EFT-CIC):この亜型は、323症例の4%にみられ、CIC(染色体19q13.2に位置する)に影響を及ぼすゲノム変化を特徴とし、検討したいくつかの症例でNUTM1への融合が特定されている。[ 31 ]CIC遺伝子融合は、CNS外ユーイング様肉腫でも特定され、CNS EFT-CIC腫瘍の遺伝子発現シグネチャーは、これらの肉腫と類似している。[ 31 ]CNS EFT-CIC腫瘍は、一般に10歳未満の小児にみられ、小細胞表現型を特徴とするが、組織型はさまざまである。[ 31 ]この亜型はWHO分類の診断用語に追加されていない。
- MN1変異を伴うCNS高悪性度神経上皮腫瘍(CNS HGNET-MN1):この亜型は、323症例の3%にみられ、MN1(染色体22q12.3に位置する)を巻き込んだ遺伝子融合を特徴とし、融合パートナーにはBEND2およびCXXC5がある。[ 31 ]CNS HGNET-MN1の亜型は、女性で著しく多くみられ、10代に発生する傾向がある。[ 31 ]この亜型は、2007年WHO分類スキームに従い星状芽細胞腫の診断を受けているほとんどの症例を含んでいた。[ 31 ]この亜型はWHO分類の診断用語に追加されていない。組織学的に定義された星芽腫の35症例を同時に検討した別の2件の報告では、蛍光in situハイブリダイゼーション法によるCNS HGNET-MN1および/またはMN1の変化と一致するメチル化プロファイルを14例が示したことが明らかにされた。[ 32 ][ 33 ]
- BCOR変化を伴うCNS高悪性度神経上皮腫瘍(CNS HGNET-BCOR):この亜型は、323症例の3%にみられ、BCOR遺伝子内縦列重複を特徴とし[ 31 ]、このゲノム変化は腎明細胞肉腫でも認められている。[ 154 ][ 155 ]診断時の年齢中央値は10歳未満であるが、10代およびそれ以降に発生する症例もある。[ 31 ]この亜型はWHO分類の診断用語に追加されていない。
CNSのテント上原始神経外胚葉性腫瘍(CNS-PNET)および松果体芽腫を有する患者を対象にした1件の臨床試験において、テント上胚芽腫を正確に診断する上でDNAメチル化プロファイル解析の寄与が実証された。[ 156 ]松果体芽腫症例では、メチル化プロファイル解析により下された診断と中央病理診断により下された診断との間で高い一致がみられた(29例中26例)。しかしながら、残りの31人の患者について、メチル化プロファイル解析により下された診断は、18人の患者で高悪性度グリオーマ、2人の患者でAT/RT、および2人の患者でRELA融合陽性上衣腫であった。中央病理診断により下された診断とメチル化プロファイル解析により下された診断間の不一致の判定では、再検査された10例でメチル化プロファイル解析が支持された。
髄上皮腫
古典的なC19MC増幅を伴う髄上皮腫はETMR、C19MC変異型と考えられる(上述のETMRの情報を参照のこと)。しかしながら、腫瘍に髄上皮腫の組織学的特徴があるが、C19MC増幅を伴わない場合、WHO分類システム内で組織学的に別個の腫瘍として識別され、髄上皮腫と呼ばれる。[ 157 ][ 158 ]髄上皮腫はまれで、乳児および幼児に最も一般的に発生する傾向がみられる。組織学的に胚神経管を再現する髄上皮腫は、主に脳室内のテント上に発生する傾向があるが、神経根に沿ってテント下、馬尾、および神経外でも発生する場合がある。[ 157 ][ 158 ]
(小児PNETの治療に関する情報については、小児髄芽腫およびその他の中枢神経系胚芽腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
松果体芽腫
松果体芽腫は、以前に慣習的に胚芽腫に含めて分類されていたが、現在は世界保健機関(WHO)により松果体実質細胞腫瘍として分類されている。松果体芽腫に対する治療法が胚芽腫に用いられている治療法に非常に類似していることを考慮して、本要約でも松果体芽腫を中枢神経系(CNS)胚芽腫とともに含める以前の慣習に従う。松果体芽腫は、以下に示すように、RB1およびDICER1遺伝子の両方における生殖細胞変異を伴う:
- 松果体芽腫は、RB1における生殖細胞変異を伴い、一般に松果体または他の正中線構造に発生する組織学的に類似した脳腫瘍を合併する眼球網膜芽細胞腫を表すために三側性網膜芽細胞腫という用語が用いられる。歴史的に、遺伝性網膜芽細胞腫の小児の5~15%に頭蓋内腫瘍が報告されている。[ 161 ]遺伝性網膜芽細胞腫で現在の治療プログラムを受ける小児における松果体芽腫の割合は、こうした歴史的な推定値よりも低い可能性がある。[ 162 ][ 163 ][ 164 ]
- DICER1の生殖細胞変異も松果体芽腫の患者で報告されている。[ 165 ]松果体芽腫患者18人のうち、DICER1の生殖細胞変異を有する3人が確認され、DICER1生殖細胞変異のキャリアであることが確認された別の3人が松果体芽腫を発症した。[ 165 ]松果体芽腫患者におけるDICER1変異は、胸膜肺芽腫などのDICER1症候群関連腫瘍で観察される変異と異なると考えられる機能喪失型変異である。[ 165 ]
(小児松果体芽腫の治療に関する情報については、小児髄芽腫およびその他の中枢神経系胚芽腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
上衣腫
上衣腫の分子的亜型
分子的特性化研究から、上衣腫について9つの分子的亜型が同定されており、小児ではそのうち6つが圧倒的に多い。これらの亜型は、特有なDNAメチル化および遺伝子発現プロファイルに加え、独特な広範囲のゲノム変化により決定される(図4を参照のこと)。[ 166 ][ 167 ][ 168 ][ 169 ]
- テント下腫瘍。
- 後頭蓋窩A(PF-EPN-A)、H3 K27のトリメチル化基準の消失。
- 後頭蓋窩B(PF-EPN-B)、H3 K27のトリメチル化基準の保持。
- テント上腫瘍。
- C11orf95-RELA陽性上衣腫(ST-EPN-RELA)。
- YAP1融合陽性上衣腫(ST-EPN-YAP1)。
- 脊髄腫瘍。
- 粘液乳頭状上衣腫(SP-EPN-MPE)。
- 古典的組織型(SP-EPN)。
上衣下腫は-テント上、テント下、または脊髄のいずれでも-残りの3つの分子遺伝学的な多様体の原因となっており、小児でみられることは、あったとしてもまれである。
テント下腫瘍
後頭蓋窩A上衣腫(PF-EPN-A)
後頭蓋窩上衣腫で最も多い亜型はPF-EPN-Aであり、その特徴は以下の通りである:
- 幼児に発生(年齢中央値、3歳)。[ 166 ][ 170 ]
- 蛋白の構造に影響を及ぼす変異率が低い(ゲノム当たり約5個)。[ 167 ]
- 症例の約25%での、上衣腫[ 171 ]の予後不良因子として知られている染色体1qの増加。[ 166 ][ 168 ][ 172 ]
- 染色体の増加や欠失がほとんどない均衡の取れた染色体プロファイル。[ 166 ][ 167 ]
- H3 K27のトリメチル化基準の消失およびゲノム全域にわたるDNAの低メチル化。[
173
]H3 K27のトリメチル化基準の消失は、以下の2つの機序の1つにより発生する:
- 症例の10%におけるCXorf67/EZHIPの反復性変異で、ほぼすべてのPF-EPN-AにおいてCXorf67/EZHIP mRNAの発現が多くみられる。[ ][ ](変異を伴うまたは伴わない)CXorf67/EZHIP発現により、メチルトランスフェラーゼEZH2が阻害され、H3 K27のトリメチル化基準の消失に至る。[ ][ ]
- 少数の症例でのヒストンH3多様体における反復性のK27M変異。[ ][ ]びまん性内在性橋グリオーマとは異なり、H3.1における変異(HIST1H3BおよびHIST1H3C)は、H3.3における変異(H3F3A)よりも一般的である。[ ]ヒストン変異はCXorf67/EZHIPの高発現と相互排他的であり[ ]、それらはまたEZH2阻害を介してH3 K27のトリメチル化基準の消失に至る。
PF-EPN-Aの600例を超える症例を対象にした1件の研究では、メチル化アレイプロファイリングを用いてこの集団をPFA-1およびPFA-2の2つの異なるサブグループに分けた。[ 174 ]遺伝子発現プロファイリングによって、これら2つの亜型は後脳の解剖学的に異なる位置に発生しうることが示唆された。PFA-1とPFA-2グループの双方で、より小さい異なる亜型が同定でき、異質性の存在が示唆された。これらの亜型の臨床的意義を明らかにするには、さらなる研究が必要である。
テント上腫瘍
RELA融合を伴うテント上上衣腫(ST-EPN-RELA)
ST-EPN-RELAは小児テント上上衣腫の最大のサブセットであり、NF-κB経路活性に重要な転写因子であるRELAが関与する遺伝子融合を特徴とする。[ 179 ][ 180 ]ST-EPN-RELAは、以下を特徴とする:
YAP1融合を伴うテント上上衣腫(ST-EPN-YAP1)
ST-EPN-YAP1は2番目のそれほど多くないテント上上衣腫のサブセットで、11番染色体上のYAP1が関わる融合を有する。ST-EPN-YAP1は以下を特徴とする:
RELAまたはYAP1融合(11番染色体上)を伴わないテント上上衣腫は未定義の疾患実体であり、これらのサンプルが何を意味するかは不明である。DNAメチル化解析により、これらのサンプルはしばしば、高悪性度グリオーマや胚芽腫といった他の疾患実体とクラスターを形成する;11番染色体が関わる融合が認められないテント上上衣腫を診断する際は注意すべきである。[ 31 ][ 181 ]
(小児上衣腫の治療に関する情報については、小児上衣腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 肝芽腫および肝細胞がん
-
肝芽腫に関連するゲノム異常には以下のものがある:
- 全エクソーム配列決定法を用いて3つのグループにより決定された肝芽腫の変異頻度は、5歳未満の小児で非常に低かった(1腫瘍当たり約3つの多様体)。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]
- 肝芽腫は、主としてWNT経路活性化の疾患である。WNT経路活性化の基本的機序は、エクソン3が関与するCTNNB1の活性化変異/欠失である。CTNNB1変異は、症例の70%で報告されている。[ 1 ]WNT経路活性化のまれな原因としては、AXIN1、AXIN2、およびAPC(家族性大腸腺腫症に関連した症例のみにみられるAPC)の変異がある。[ 4 ]
- 肝芽腫標本中のNFE2L2変異の頻度は、1件の研究で腫瘍62例中4例(7%)[
2
]、別の研究で標本51例中5例(10%)と報告された。[
1
]
同様の変異が肝細胞がんを含む多くの種類のがんで認められている。これらの変異によって、NFE2L2がKEAP1媒介性分解に反応しなくなることで、NFE2L2-KEAP1経路が活性化し、これにより酸化ストレスに対する抵抗性が活性化し、化学療法抵抗性を獲得すると考えられる。
- チオレドキシン領域を含む遺伝子であるTXNDC15およびTXNDC16の不活性化変異など、酸化ストレスの制御に関係した他の遺伝子で、体細胞変異が同定されている。[ 2 ]
- 図5は、肝芽腫でのCTNNB1、NFE2L2、およびTERTの変異の分布を示している。[ 1 ]
現時点まで、これらの遺伝子変異は、臨床試験における研究対象の治療薬選択に使用されたことがない。
肝細胞がんに関係するゲノム異常には以下のものがある:
- 小児肝細胞がんの最初の症例が全エクソーム配列決定法により解析され、変異率が比較的高く(多様体が53)、CTNNB1およびNFE2L2変異が併存していることが示された。[ 5 ]
- 1件の研究では、複数の解析ツールを用いて小児非fibrolamellar型肝細胞がん(N = 15)が調査された。これらの腫瘍は、一般的には成人の肝細胞がんで変異を来している遺伝子のサブセット(CTNNB1やTERTなど)に変化が認められることがしばしば明らかにされたが、こうした変異の分子的機序は異なっている;TP53変異はこの小児肝細胞がんコホートではまれであった。基礎に代謝性疾患が認められる状況で発生した小児肝細胞がんでは変異がほとんどみられず、異なる分子プロファイルを有していた;一般的なドライバー変異はこの患者グループでは認められなかった。[ 6 ]
- fibrolamellar型肝細胞がんは、肝細胞がんのまれな亜型であり、年長の小児にみられる。この亜型は、19番染色体における約400kBの欠失を特徴とし、これにより、プロテインキナーゼAの触媒ドメインであるPRKACAとインフレームで融合する分子シャペロンDNAJのホモログであるDNAJB1のアミノ末端領域を含む蛋白をコードするキメラRNAが産生される。[ 7 ]
- 小児肝がんのより侵攻性のまれな亜型(肝細胞腫瘍NOS[他に特定されない]、肝移行上皮腫瘍とも呼ばれる)は、年長の小児に発生し、肝芽腫および肝細胞がんの両方の臨床的および病理組織学的所見が得られる。
TERT変異は、検査した4例中2例に観察された。[ 1 ]TERT変異は、肝細胞がんの成人でも一般的に観察される。[ 8 ]
現時点まで、これらの遺伝子変異は、臨床試験における研究対象の治療薬選択に使用されたことがない。
(肝がんの治療に関する情報については、小児肝がんの治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 肉腫
-
骨肉腫
骨肉腫におけるゲノムの全体像は、他の小児がんと異なっている。多くの成人のがんと比較すると、構造的多様体の数が例外的に多く、単一ヌクレオチド多様体の数が相対的に少ないことを特徴とする。[ 1 ][ 2 ]
骨肉腫におけるゲノムの全体像に関する主要な観察結果を以下に要約する:
- 骨肉腫で観察される構造的多様体の数は非常に多く、ゲノム当たりの構造的多様体は200を超えている[ 1 ][ 2 ];そのため、骨肉腫のゲノムは小児がんの中で最も混沌としている。図6に示すCircos図は、骨肉腫のゲノムで典型的な染色体内および染色体間の転座の数が例外的に多いことを表している。
- 蛋白の塩基配列に影響を及ぼす骨肉腫のゲノム当たりの変異の数(ゲノム当たり約25)は、他の一部の小児がん(例、ユーイング肉腫およびラブドイド腫瘍)よりも多いが、黒色腫および非小細胞肺がんなどの成人がんよりはるかに少ない。[ 1 ][ 2 ]
- TP53におけるゲノム変化は、ほとんどの骨肉腫症例にみられ、TP53の最初のイントロンにおける構造多様体によってTP53不活性化の特有な変化が生じ、TP53遺伝子の機能喪失につながる。[ 1 ]TP53不活性化の他の機序も観察され、TP53遺伝子のミスセンスおよびナンセンス変異ならびに欠失などがみられる。[ 1 ][ 2 ]骨肉腫のほとんどの症例で、これらのさまざまなTP53機能喪失機序が複合して両アレル性不活性化につながる。
- 少数の骨肉腫症例(約5%)で、MDM2増幅が観察され、これはTP53機能喪失の別の機序である。[ 1 ][ 2 ]
- 骨肉腫では一般的にRB1が不活性化されており、ときには変異に起因することもあるが、欠失による場合が多い。[ 1 ][ 2 ]
- その他に骨肉腫で頻発性のゲノム変化として、ATRXおよびDLG2がある。[ 1 ]その上、経路解析では、患者の約4分の1でPI3K/哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)経路が変異/欠失/増幅によって変化しており、PTENの変異/欠失が最も一般的な変化であることが示された。[ 2 ]
- 診断時の骨肉腫の腫瘍で報告される変異の範囲は、標的可能ながん遺伝子の活性化ではなく、主に腫瘍抑制遺伝子(TP53、RB1、PTEN)の欠失を反映しているため、明確な治療標的は得られない。
いくつかの生殖細胞変異が骨肉腫への感受性に関係している;表5にその症候群と各疾患に関連する遺伝子を要約する。
TP53の変異は、骨肉腫と関係している最も一般的な生殖細胞変化である。この遺伝子の変異は、リー-フラウメニ症候群(LFS)患者の約70%にみられ、骨肉腫、乳がん、さまざまな脳のがん、軟部肉腫、およびその他のがんのリスク増加と関係している。横紋筋肉腫は、5歳以下のTP53関連LFSの患者に発生する最も一般的な肉腫であるが、骨肉腫は、6~19歳の小児および青年で最も一般的な肉腫である。[ 3 ]ある研究で、LFSに関連することが確認された、またはLFSに関連する可能性が高いTP53変異(3.8%)またはまれなエクソンのTP53多様体(5.7%)を有する若い(30歳未満の)骨肉腫症例の頻度が高いことが観察され、全体のTP53変異頻度は9.5%であった。[ 4 ]別の研究で、全エクソーム配列解析の対象となった骨肉腫症例59人中7人(12%)に生殖細胞TP53変異が観察された。[ 2 ]他のグループは、骨肉腫患者でTP53生殖細胞変異の頻度が低い(3~7%)ことを報告している。[ 5 ][ 6 ]
表5.骨肉腫の素因となる遺伝性疾患a 症候群 説明 位置 遺伝子 機能 AML = 急性骨髄性白血病;IL-1 = インターロイキン-1;MDS = 骨髄異形成症候群;RANKL = 核因子κβ活性化受容体リガンド;TNF = 腫瘍壊死因子。 a出典:Kansara et al.[ 7 ] ブルーム症候群 [ 8 ] まれな遺伝性疾患で、低身長および太陽光に過敏な皮膚変化を特徴とする。細長い顔、小さい下顎、大きな鼻、および立ち耳を呈することが多い。 15q26.1 BLM(RecQL3) DNAヘリカーゼ ダイアモンド-ブラックファン貧血[ 9 ] 遺伝性赤芽球癆。患者にはMDSおよびAMLのリスクがある。異常な顔面の特徴(鞍鼻、遠心顔)などの骨格異常を伴う。 リボソーム蛋白 リボソーム生成[ 9 ][ 10 ] リー-フラウメニ症候群[ 11 ] TP53遺伝子の遺伝性変異。罹患した家系員は骨腫瘍、乳がん、白血病、脳腫瘍、および肉腫のリスクが高い。 17p13.1 P53 DNA損傷応答 パジェット病[ 12 ] 骨形成および骨リモデリングの異常を伴う過剰な骨破壊で、その結果もろく変形した骨により痛みを生じる。 18q21-qa22 LOH18CR1 IL-1/TNFシグナル伝達;RANKLシグナル伝達経路 5q31 5q35-qter 網膜芽細胞腫 [ 13 ] 網膜の悪性腫瘍。2歳までに患者の約66%が診断され、3歳までに患者の95%が診断される。胚細胞に遺伝性変異を有する患者は二次腫瘍のリスクが高い。 13q14.2 RB1 細胞周期チェックポイント Rothmund-Thomson症候群(先天性多形皮膚萎縮症とも呼ばれる)[ 14 ][ 15 ] 常染色体劣性疾患。皮膚所見(萎縮、末梢血管拡張、色素沈着)、まばらな毛髪、白内障、低身長、および骨格異常を伴う。比較的若年での骨肉腫の発生率が高い。 8q24.3 RTS(RecQL4) DNAヘリカーゼ ウェルナー症候群[ 16 ] 患者は低身長で20代初めであり、白髪や皮膚の硬化などの老化の徴候がみられることが多い。白内障、皮膚潰瘍、アテローム性動脈硬化症といった他の老化問題が後で現れる。 8p12-p11.2 WRN(RecQL2) DNAヘリカーゼ;エキソヌクレアーゼ活性 これらの遺伝的症候群に関する詳しい情報については、以下のPDQ要約を参照のこと:
(骨肉腫の治療に関する情報については、骨肉腫および骨悪性線維性組織球腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
ユーイング肉腫
22番染色体のバンドq12にあるEWSR1遺伝子といくつかのパートナー染色体のいずれか6つが関与する転座の検出は、ユーイング肉腫診断において重要な特徴である(表1を参照)。[ 17 ]EWSR1遺伝子は、RNA結合蛋白のTETファミリーのメンバー[TLS/EWS/TAF15]である。[ 18 ]FLI1遺伝子は、DNA結合遺伝子のETSファミリーのメンバーである。特徴的な点として、EWSR1遺伝子のアミノ末端がSTSファミリー遺伝子のカルボキシル末端に接している。ほとんどの患者(90%)で、こうしたカルボキシル末端は、その転写因子遺伝子ファミリーのメンバーであり11番染色体のバンドq24に位置するFLI1のものである。EWSR1遺伝子と結合する可能性のある他のファミリーメンバーには、ERG、ETV1、ETV4(E1AFとも呼ばれる)、FEVがある。[ 19 ]まれに、他のTETファミリーメンバーであるTLSがEWSR1に代わることがある。[ 20 ]最後に、EWSR1ががん遺伝子のETSファミリーのメンバーではないパートナーと転座しているごく少数の症例がある。これらの代替パートナーの意義は不明である。
22q12のEWSR1遺伝子に必ず起こる染色体異常のほか、2番、5番、8番、9番、12番、および15番染色体の増加、t(1;16)(q12;q11.2)の非相互転座、6番染色体の短腕欠失などの染色体数異常ならびに染色体構造異常がユーイング肉腫に観察されている。20トリソミーは、ユーイング肉腫のより侵攻性のサブセットと関連している可能性がある。[ 21 ]
3件の文献でユーイング肉腫におけるゲノムの全体像が報告されており、いずれの報告でも、これらの腫瘍は、相対的にサイレント状態のゲノムを有し、新たな分子標的療法による治療ができるような経路内の変異が少ないことを示している。[ 22 ][ 23 ][ 24 ]これらの文献でも、症例の約15~20%にコヒーシン複合体のメンバーであるSTAG2に変異が確認され、これらの変異が存在すると、進行した病期の疾患を伴っていた。CDKN2A欠失は症例の12~22%に認められた。最後に、TP53変異は、症例の約6~7%で同定され、STAG2とTP53の変異が併存すると、不良な臨床的転帰を伴う。[ 22 ][ 23 ][ 24 ]
発見コホート(n = 99)からの以下の図7は、ユーイング肉腫での8番染色体増幅、染色体1q増幅と染色体16q欠失の同時発生、CDKN2A欠失とSTAG2変異の相互排他性、および比較的少ない頻発性の単一ヌクレオチド多様体の頻度を示している。[ 22 ]
ユーイング肉腫の転座は、いずれも標準の細胞遺伝学的分析により確認できる。現在では、ユーイング肉腫の診断を分子的に確定するために、より迅速にEWS遺伝子の断片を検出する分析が頻繁に行われている。[ 25 ]しかし、これらの検査結果は注意して検討しなければならない。TLS転座を利用するユーイング肉腫は、これらの症例でEWSR1遺伝子が転座していないため、検査結果は陰性になる。その上、線維形成性小型円形細胞胞腫瘍、明細胞肉腫、骨外性粘液型軟骨肉腫、および粘液型脂肪肉腫など、その他の小型円形腫瘍にも、別のETSファミリーメンバーとEWSR1の転座が認められ、いずれの腫瘍もEWS蛍光in situハイブリダイゼーション(FISH)分離プローブで陽性となる可能性がある。EWSR1分離プローブを用いたFISHによりEWSR1再構成が陰性であった青色小型円形細胞腫瘍患者85人の詳細解析では、FUS再構成を認める患者8人が特定された。[ 26 ]EWSR1-ERG融合を認める患者4人は、EWSR1分離プローブを用いたFISHにより検出されなかった。著者らは、免疫組織化学検査でCD99が強い陽性を示す青色小型円形細胞腫瘍の分析では、EWSR1分離プローブのみに依存しないように推奨している。
EWSR1-NFATc2融合を伴う未分化青色小型円形細胞肉腫はDNAメチル化プロファイル解析により研究されている;これにより、EWSR1-NFATc2融合を伴うこれらの肉腫について均一なメチル化クラスターが明らかにされたが、これらの肉腫はより一般的な型のEWS-ETS転座を伴うユーイング肉腫と明確に分離された。[ 27 ]
組織学的にユーイング肉腫と類似しているが、EWSR1遺伝子の再構成がみられない骨と軟部組織の青色小型円形細胞腫瘍が分析され、複数の転座が同定されている。この中には、BCOR-CCNB3、CIC-DUX4、およびCIC-FOX4がある。[ 28 ][ 29 ][ 30 ][ 31 ]これらの腫瘍の分子プロファイルは、EWS-FLI1の転座を認めるユーイング肉腫のプロファイルと異なり、限られた証拠から、これらの臨床的挙動が異なることが示唆される。ほとんどすべての症例で、患者はユーイング肉腫との組織および免疫組織学的な類似性に基づいて、ユーイング肉腫用にデザインされた療法による治療を受けた(詳しい情報については、本要約のBCOR-CCNB3再構成を伴う未分化円形細胞肉腫およびCIC-DUX4再構成を伴う未分化円形細胞肉腫のセクションを参照のこと)。それぞれの転座を伴う症例の数がきわめて少ないため、これらの青色小型円形細胞腫瘍の予後が、病期および部位が類似しているユーイング肉腫の予後と異なるかどうか判断できない。[ 28 ][ 29 ][ 30 ][ 31 ]
一部の未分化円形細胞肉腫はX染色体の偏動原体逆位およびBCOR-CCNB3再構成を特徴とする;MAML3やZC3H7Bなど、BCORの代替パートナーもまた報告されている。[ 32 ]ユーイング肉腫と臨床病理学的に類似しているにもかかわらず、これらの腫瘍は発現プロファイルおよび一塩基多型アレイ解析では、生物学的に異なっている。(この腫瘍の治療に関する詳しい情報については、本要約のBCOR-CCNB3再構成を伴う未分化円形細胞肉腫のセクションを参照のこと。)
他の未分化円形細胞肉腫は反復性のt(4;19)またはt(10;19)の結果として起こるCIC-DUX4融合を特徴とし、最も一般的なEWSR1-FUS融合陰性の未分化円形細胞肉腫である。[ 33 ](この腫瘍の治療に関する詳しい情報については、本要約のCIC-DUX4再構成を伴う未分化円形細胞肉腫のセクションを参照のこと。)
ゲノムワイド関連解析では、ユーイング肉腫の感受性遺伝子座が1p36.22、10q21、および15q15で同定されている。[ 34 ][ 35 ][ 36 ]10q21.3領域の詳しい塩基配列決定により、EGR2遺伝子における多型が同定され、これはユーイング肉腫患者のほとんどにみられるEWSR1-FLI1融合の遺伝子産物と協同で作用し、その強化された活性を増大させると考えられる。[ 35 ]リスク増加に関連するこの多型は、白人の方が黒人またはアジア人よりはるかに高い頻度に検出されることから、後者の集団でユーイング肉腫の頻度が比較的低いという疫学に関与している可能性がある。3つの新たな感受性遺伝子座が6p25.1、20p11.22、および20p11.23で同定されている。[ 36 ]
表6.ユーイング肉腫におけるEWSおよびTLSの融合と転座 TETファミリーのパートナー ETS様がん遺伝子パートナーとの融合 転座 コメント a これらのパートナーは、がん遺伝子のETSファミリーのメンバーではない。 EWS EWSR1-FLI1 t(11;22)(q24;q12) 最も多い:症例の約85~90% EWSR1-ERG t(21;22)(q22;q12) 二番目に多い:症例の約10% EWSR1-ETV1 t(7;22)(p22;q12) まれ EWSR1-ETV4 t(17;22)(q12;q12) まれ EWSR1-FEV t(2;22)(q35;q12) まれ EWSR1-NFATc2a t(20;22)(q13;q12) まれ EWSR1-POU5F1a t(6;22)(p21;q12) EWSR1-SMARCA5a t(4;22)(q31;q12) まれ EWSR1-ZSGa t(6;22)(p21;q12) EWSR1-SP3a t(2;22)(q31;q12) まれ TLS(FUSとも呼ばれる) TLS-ERG t(16;21)(p11;q22) まれ TLS-FEV t(2;16)(q35;p11) まれ (ユーイング肉腫の治療に関する情報については、ユーイング肉腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
横紋筋肉腫
横紋筋肉腫のゲノミクス
胎児型および胞巣型の組織型診断では、診断確定に用いられている特有な分子的特徴が認められ、リスク群の割り当て、治療法の決定、および治療中の残存病変のモニタリングに有用な可能性がある。[ 37 ][ 38 ][ 39 ][ 40 ][ 41 ]
-
胎児型:胎児型腫瘍では、11p15におけるヘテロ接合性の消失および8番染色体上の増加がみられることが多い。[
42
][
43
][
44
]胎児型腫瘍は胞巣型腫瘍よりも背景変異率および一塩基多様体の割合が高く、体細胞変異の数は診断時年齢が高くなるにつれて増加する。[
45
][
46
]頻発性の変異がみられる遺伝子には、RAS経路の遺伝子(例、NRAS、KRAS、HRAS、およびNF1)が含まれており、これらは合わせて症例の約3分の1で観察される。頻発性の変異がみられる他の遺伝子として、FGFR4、PIK3CA、CTNNB1、FBXW7、およびBCORがあり、これらはいずれも症例の10%未満でみられる。[
45
][
46
]
退形成を伴う胎児型:退形成は、横紋筋肉腫の少数の小児で報告されており、主に10歳未満の胎児型の小児にみられる。[ 47 ][ 48 ]TP53の生殖細胞変異を認めるリー-フラウメニ症候群の小児では、非胞巣型で退形成形態の横紋筋肉腫が初診時の特徴となる場合がある。[ 49 ]TP53の生殖細胞変異を認める横紋筋肉腫の8連続の初診例では、すべての小児に退形成形態がみられた。TP53の生殖細胞変異状態が確認された退形成横紋筋肉腫の別の小児7人では、7人中3人の小児で機能的に意味のあるTP53の生殖細胞変異が認められた。TP53の生殖細胞変異状態が確認された小児11人の診断時年齢中央値は、生後40ヵ月(範囲、19~67ヵ月)であった。
-
胞巣型:胞巣型腫瘍の約70~80%は、13番染色体上のFOXO1遺伝子と2番染色体上のPAX3遺伝子との転座(t(2;13)(q35;q14))または1番染色体上のPAX7遺伝子との転座(t(1;13)(p36;q14))のいずれかを特徴とする。[
37
][
42
][
50
]他のまれな融合として、PAX3-NCOA1およびPAX3-INO80Dが挙げられる。[
45
]PAX3遺伝子が関与する転座は、胞巣型横紋筋肉腫症例の約59%に発生するのに対し、PAX7遺伝子は、症例の約19%に関与するとみられている。[
37
]組織型が固形多様体の胞巣型である患者では、組織型が古典的な胞巣型を示す患者より、PAX-FOXO1遺伝子融合の発生率が低い。[
51
]
胞巣型横紋筋肉腫の診断では、蛍光in situハイブリダイゼーションまたは逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応のいずれかを用いて、FOXO1遺伝子の再構成が良好な感度および特異度で検出される可能性がある。[ 52 ]
転移巣の有無にかかわらず、PAX7遺伝子と関連する胞巣型は、より若い年齢の患者に発生すると考えられ、PAX3遺伝子再構成と関連するものよりもイベントフリー生存率が高い可能性がある。[ 53 ][ 54 ][ 55 ][ 56 ][ 57 ][ 58 ]PAX3遺伝子と関連する胞巣型の患者はより年齢が高く、浸潤性腫瘍(T2)の発生率が高い。胞巣型を示す症例の約22%では、PAX遺伝子再構成が検出されない。[ 41 ][ 51 ]
FOXO1遺伝子再構成に加えて、胞巣型腫瘍は、融合が認められない腫瘍よりも変異量が少なく、頻発性の変異がみられる遺伝子がほとんどないことを特徴とする。[ 45 ][ 46 ]BCORおよびPIK3CAの変異、ならびにMYCN、MIR17HG、およびCDK4の増幅も報告されている。
-
紡錘細胞型/硬化型の組織像:紡錘細胞型/硬化型横紋筋肉腫は、軟部組織および骨の腫瘍に関する世界保健機関分類において、別の疾患単位として提案されている。[
59
]
先天性/乳児性紡錘細胞型横紋筋肉腫では、患者の11人中10人に頻発性融合遺伝子がみられることがある研究で報告された。これらの患者のほとんどが躯幹の原発腫瘍で、傍精巣腫瘍は認められなかった。新たなVGLL2遺伝子再構成は、7人(63%)の患者で観察され、そのうち4人がVGLL2-CITED2融合、2人がVGLL2-NCOA2融合であった。[ 60 ]3人(27%)の患者では、異なるNCOA2遺伝子融合がみられ、そのうち2人がTEAD1-NCOA2、1人がSRF-NCOA2であった。長期の追跡結果が得られた融合陽性の先天性/乳児性紡錘細胞型横紋筋肉腫患者はすべて生存しており、健康状態良好で、遠隔転移を認めた患者はいなかった。[ 60 ]紡錘細胞型横紋筋肉腫の幼児におけるこれらの遺伝子再構成の保有率および予後的意義をうまく定義するには、さらに研究が必要である。
紡錘細胞型/硬化型横紋筋肉腫の年長の小児および成人では、患者の大きな集団内で特異的なMYOD1変異(p.L122R)が観察されている。[ 60 ][ 61 ][ 62 ][ 63 ]PIK3CAの活性化変異は約半数の症例にみられ、これらの症例の60%は純粋な硬化型の形態学を有する。[ 64 ]MYOD1変異の存在は、局所および遠隔における制御失敗のリスク増加に関連している。[ 60 ][ 61 ][ 62 ]MYOD1変異腫瘍を有する小児15人を対象にした1件の研究において、最も一般的な原発部位は頭頸部であった。[ 65 ]これらの患者は硬化型の紡錘細胞または混合型の組織像を有し、患者15人中10人が積極的な集学的治療法にもかかわらず本疾患により死亡した。
これらの知見は、胎児型と胞巣型の腫瘍に重要な違いがあることを際立たせている。PAX-FOXO1融合陽性の胞巣型腫瘍は、融合陰性の胞巣型腫瘍および胎児型腫瘍とは生物学的および臨床的に異なることをデータが示している。[ 41 ][ 66 ][ 67 ][ 68 ][ 69 ]単一のプロスペクティブ臨床試験からのコホート全体を組み入れたIntergroup Rhabdomyosarcoma Study Groupの患者を対象にした1件の研究において、転座陰性の胞巣型横紋筋肉腫患者の転帰は、転座陽性の患者で観察された転帰よりも良好であった。この転帰は、胎児型横紋筋肉腫患者でみられたものとほぼ同じであり、小児横紋筋肉腫におけるリスク層別化に融合状態がきわめて重要な因子であることが実証された。
ゲノムワイドメチル化解析により、PAX3およびPAX7融合陽性の横紋筋肉腫のほか、野生型およびRAS変異融合陰性腫瘍を正確に同定できる。[ 70 ]
(小児横紋筋肉腫の治療に関する情報については、小児横紋筋肉腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- ランゲルハンス細胞組織球症
-
1994年に、ヒトアンドロゲン受容体、DXS255、PGK、およびHPRTをコードするX染色体領域のメチル化特異的制限酵素部位の多型を用いて、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)におけるクローン性を明らかにする研究が発表された。[ 1 ][ 2 ]単一系統型または多系統型の患者における病変部の生検の結果により、単一クローンからのLCH細胞の増殖が示された。LCHで頻発性のゲノム変化(主にBRAF V600E)の発見(以下を参照)により、小児におけるLCHのクローン性が確認された。
成人の肺LCHは当初症例の約75%で非クローン性であることが報告されたが[ 3 ]、BRAF変異の解析により、患者の25~50%でBRAF V600E変異の証拠が認められることが示された。[ 3 ][ 4 ]26人の肺LCH症例を対象とした別の研究で、50%がBRAF V600E変異を有し、40%がNRASを有することが認められた。[ 5 ]ほぼ同数の変異が単クローン性ではなく、多クローン性である。クローン性とBRAF経路の変異が同じ患者において一致するかどうかについてはまだ研究が行われておらず、その結果によっては喫煙者の肺LCHの腫瘍性疾患や他の種類のLCHにおけるクローン性腫瘍ではなく、反応性疾患であることを示唆する可能性がある。
LCHのゲノムの基礎は、61症例中35例(57%)で検出されたBRAFのがん遺伝子(V600E)の活性化変異に関する2010年の報告により進展した。[ 6 ]その後の複数の報告により、小児のLCH症例の50%以上でBRAF V600E変異の存在が確認されている。[ 7 ][ 8 ][ 9 ]シグナル活性化をもたらす他のBRAF変異が報告されている。[ 8 ][ 10 ]LCHでARAF変異はまれであるが、変異が存在する場合、RAS-MAPK経路活性化も生じることがある。[ 11 ]
RAS-MAPKシグナル伝達経路(図8を参照のこと)では、細胞表面受容体(例、増殖因子)からRAS経路を通じて(RAF蛋白[A、B、またはC]の1つを介して)シグナルが伝達され、MEKからさらに細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)がリン酸化されて、細胞周期および転写調節に影響を与える核シグナルにつながる。BRAFのV600E変異により、外部シグナルを必要とせずに、MEKおよびERKが連続的にリン酸化され、それにより活性化される。ERKの活性化は、リン酸化により生じ、LCH病変のほぼすべてにおいてリン酸化されたERKが検出できる。[ 6 ][ 12 ]
すべてのLCH症例でRAS-MAPK経路の活性化が検出できるが、すべての症例でBRAF変異が認められるわけではないため、この経路の他の部分におけるゲノム変化の存在が疑われた。以下のゲノム変化が同定された:
- BRAF変異型 vs BRAF野生型のLCH生検組織標本の全エクソーム配列決定法により、BRAF野生型標本21個中7個にMAP2K1変異が認められたが、BRAF変異型標本ではMAP2K1変異が認められなかったことが明らかにされた。[ 12 ]そのERKリン酸化の誘導により示されたように、MAP2K1(MEKをコード)の変異は活性化されていた。[ 12 ]
- 別の研究で、BRAF野生型の22症例中11症例に限定して、MAP2K1変異が示された。[ 13 ]
- 最後に、BRAF V600EおよびMAP2K1変異陰性の症例グループでは、インフレームのBRAF欠失およびインフレームのFAM73A-BRAF融合が認められている。[ 14 ]
これまでの研究で、LCHにおけるERKの普遍的な活性化が裏付けられ、ほとんどの症例の活性化がBRAFおよびMAP2K1の変化によって説明される。[ 6 ][ 12 ][ 14 ]全体的にみて、MAPキナーゼ経路のこのような変異はLCHにおけるERKの普遍的な活性化の原因の約90%を占めている。[ 6 ][ 12 ][ 14 ]
血液および骨髄中のBRAF V600E変異の存在が100人の患者を対象としたシリーズで検討され、高感度の定量的ポリメラーゼ連鎖反応法による検査で、そのうち65%がBRAF V600E変異陽性であった。[ 7 ]高リスクのすべての患者および低リスクの一部の多系統型患者で、BRAF V600E変異を有する循環細胞が検出可能であった。この変異を認める循環細胞の存在は、2倍高い再燃リスクをもたらした。BRAF V600E変異LCHを認める患者48人を対象とした同様の研究で、リスク臓器陽性多系統型LCH患者の100%、リスク臓器陰性LCH患者の42%、単一系統型LCH患者の14%で、循環無細胞DNA中にBRAF V600Eアレルが検出された。[ 15 ]
高リスク患者の骨髄で変異を有するCD34陽性幹細胞が発見されたことにより、LCHの骨髄樹状細胞の起源が確認された。低リスク疾患の患者では、変異がより成熟した骨髄樹状細胞内に認められたことから、体細胞変異が生じる細胞の成長段階がLCHにおける病変の拡がりを定義する上できわめて重要なことが示唆される。LCHは現在では骨髄性新生物と考えられている。
臨床的意義
報告されたゲノム所見の臨床的意義には以下のものがある:
- LCHは、他の活性化BRAF変異を認める小児疾患群に属し、これらには一部の非悪性疾患(例、良性母斑)[ 16 ]および低悪性度の悪性腫瘍(例、毛様細胞性星細胞腫)などがある。[ 17 ][ 18 ]これらの疾患はいずれも一般に緩慢な経過をたどり、一部の症例では自然消退もみられる。この特有な臨床経過は、発がん遺伝子により誘発された老化を示している可能性がある。[ 16 ][ 19 ]
-
BRAF V600E変異は、BRAF阻害剤(例、ベムラフェニブおよびダブラフェニブ)またはBRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用(例、ダブラフェニブ/トラメチニブおよびベムラフェニブ/コビメチニブ)の標的となる。これらの薬物および併用薬は、黒色腫の成人に対して承認されている。BRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用による成人における黒色腫の治療では、BRAF阻害剤による単剤治療と比較して無増悪生存転帰の有意な改善が示された。[
20
][
21
]
LCHに対するBRAF阻害剤の効果に関する症例報告が成人[ 22 ][ 23 ][ 24 ][ 25 ][ 26 ]および小児[ 27 ]の患者で公表されているが、LCHの小児の治療におけるこれらの薬物の役割を評価するには、データが不十分である。
BRAF阻害剤療法の最も重篤な副作用は、皮膚扁平上皮がんの誘発であり[ 20 ][ 21 ]、このような二次がんの発生率は加齢とともに増加する[ 28 ];この副作用は、BRAF阻害剤とMEK阻害剤の併用療法により低減させることが可能である。[ 20 ][ 21 ]エルドハイム-チェスター病およびLCHでベムラフェニブの投与を受けた成人患者の長期研究において、患者の85%に関節痛がみられた;患者の62%に斑状丘疹型発疹がみられた;40%を超える患者に、角質増殖、脂漏性角化症、そう痒症など他の皮膚の問題がみられた。[ 29 ]
- 神経変性疾患を呈するLCHを発症した患者では59%にBRAF V600E変異を有する循環細胞が検出されたのに対して、神経変性疾患を呈するLCHを発症しなかった患者では15%であった。検出可能な変異を有する循環細胞は、神経変性疾患の発症に対する感度が0.59および特異度が0.86であった。治療後でも、神経変性疾患を呈するLCHを有する一部の患者ではBRAF V600E変異を有する循環細胞が認められた。[ 30 ]
- さらなる研究に伴い、循環細胞または無細胞DNA中におけるBRAF V600E(または変異の可能性のあるMAP2K1)の観察が高リスク vs 低リスクの疾患を定義する有用な診断ツールになる可能性がある。[ 7 ]さらに、体細胞変異を有する患者で、変異を有する循環細胞の持続は、残存病変のマーカーとして有用な可能性がある。[ 7 ]
(小児LCHの治療に関する情報については、ランゲルハンス細胞組織球症の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 神経芽腫
-
神経芽腫の分子的特徴
神経芽腫の小児は、診断時の臨床因子および生物学的マーカーに基づいて予測される再燃リスクが異なるサブセットに再分類できる。
- 低リスクまたは中リスクの神経芽腫患者。低リスクまたは中リスクに分類される患者は予後良好であり、生存率は95%を超える。低リスクおよび中リスクの神経芽腫は、通常生後18ヵ月未満の小児にみられる。これらの腫瘍は、多くが全染色体の増幅を伴い、フローサイトメトリーで測定すると、高二倍体である。[ 1 ][ 2 ]
- 高リスクの神経芽腫患者。高リスクの神経芽腫患者の予後にはより注意が必要で、長期生存率は50%を下回る。高リスクの神経芽腫は、一般に生後18ヵ月を超える小児にみられ、しばしば骨に転移し、通常はこれらの腫瘍に染色体セグメントの異常(増幅または欠失)および/またはMYCN遺伝子増幅が検出される。高リスク腫瘍は、フローサイトメトリーで測定すると、近二倍体または近四倍体である。[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ]高リスク腫瘍は、まれにエクソン変異(詳しい情報については、本要約の神経芽腫におけるエクソン変異のセクションを参照のこと)を伴うことがあるが、ほとんどの高リスク腫瘍ではこのような遺伝子変異は認められない。成人がんと比較すると、神経芽腫の腫瘍では、蛋白の塩基配列に影響を及ぼすゲノム当たりの変異の数が少ない(ゲノム当たり10~20)。[ 8 ]
以下で考察する高リスク神経芽腫の主なゲノム的特徴には以下のものがある:
- 染色体セグメントの異常。
- MYCN遺伝子増幅。
- エクソン変異の割合が低く、ALKにおける活性化変異が最も一般的な頻発性変化である。
- テロメア長を延長するゲノム変化。
染色体セグメントの異常
1p、1q、3p、11q、14q、および17pで最も高い頻度でみられる染色体セグメントの異常は、比較ゲノムハイブリダイゼーションにより最もよく検出され、ほとんどの高リスクおよび/または4期の神経芽腫腫瘍でみられる。[ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ]神経芽腫のすべての患者で、染色体切断点の数が多い(すなわち、染色体セグメントの異常の数が多い)ことは、以下と関係する:[ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][証拠レベル:3iiD]
- 診断時年齢が高い。
- 病期が進行。
- 再燃リスクが高い。
- 転帰不良。
国際共同研究で、高リスク神経芽腫の患者556人について検討され、きわめて転帰不良と関係する2種類のセグメントコピー数異常が特定された。6q遠位部欠失が6%の患者にみられ、それに伴う10年生存率はわずか3.4%であった;MYCN増幅に加えて、MYCN遺伝子座を含まない領域の増幅は、18%の患者で検出され、それに伴う10年生存率は5.8%であった。[ 9 ]
転移を伴わない切除不能な原発性神経芽腫の生後12ヵ月を超える小児を対象とした研究では、ほとんどで染色体セグメントの異常が確認され、年長の小児は、この異常を有する可能性が高く、この異常の腫瘍細胞当たりの数も多い傾向がみられた。生後12~18ヵ月の小児で、染色体セグメントの異常の存在は、イベントフリー生存(EFS)に有意な影響を及ぼしたが、全生存(OS)への影響はみられなかった。しかしながら、生後18ヵ月を超える小児におけるOSでは、組織学的予後にかかわらず、染色体セグメントの異常を認める小児(67%)と染色体セグメントの異常を認めない小児(100%)で有意な差が認められた。[ 7 ]
MYCN遺伝子増幅を認めない限局性で切除不能または転移性の神経芽腫の乳児で、染色体セグメントの異常は再発の予測因子でもある。[ 1 ][ 2 ]
MYCN遺伝子増幅
神経芽腫の16~25%の腫瘍にMYCN増幅が検出される。[ 10 ]高リスク神経芽腫の患者では、症例の40~50%にMYCN増幅がみられる。[ 11 ]
病期にかかわらず、予後因子に関するほぼすべての多変量回帰分析で、MYCN遺伝子増幅があると、腫瘍進行までの時間およびOSのいずれにおいてもより不良な予後が強く予測される。[ 1 ][ 2 ]限局性腫瘍のMYCN増幅コホート内では、高二倍体腫瘍の患者が二倍体腫瘍の患者より転帰が良好である。[ 12 ]しかしながら、MYCN増幅または染色体セグメントの異常を認める高二倍体腫瘍の患者は、MYCN増幅を認めない高二倍体腫瘍の患者と比較して、相対的に状態が良くない。[ 3 ]
神経芽腫患者4,672人を対象としたMYCNコピー数の小児腫瘍学グループ研究において、以下の結果が報告された:[ 13 ]
- 79%の患者がMYCN野生型腫瘍を有し、3%がMYCN増加(蛍光in situハイブリダイゼーションによりシグナルの2倍から4倍の増加として定義)を認める腫瘍を有し、18%がMYCN増幅腫瘍を有した。
- 個々の臨床的/生物学的特徴を検討した場合、予後不良の特徴を示す患者の割合は、MYCN野生型カテゴリーが最低、MYCN増加カテゴリーが中程度、MYCN増幅カテゴリーが最高であった(P < 0.0001)が、11q異常を認める腫瘍は例外で、MYCN増加カテゴリーで予後不良の特徴の割合が最高であった。
- 疾患病期が4期以外の患者および高リスク以外でMYCN増加の患者では、MYCN野生型腫瘍の患者より死亡リスクが有意に高かった。
最も好ましくない臨床的および病理生物学的特徴は、MYCN増幅にある程度関連している;International Neuroblastoma Risk Group(INRG)研究の患者7,102人の多変量ロジスティック回帰分析で、併合された染色体セグメントの異常および17q増加は、MYCN増幅と関連しない場合でさえ、予後不良の特徴であった。しかしながら、別の予後不良の特徴である11qでの染色体セグメントの異常はMYCNの増幅とほぼ完全に相互排他的である。[ 14 ][ 15 ]
MYCNの状態が明らかになっているINRGデータベースの患者6,223人のコホートにおいて、MYCN増幅に伴うOSのハザード比(HR)は6.3(95%信頼区間[CI]、5.7-7.0;P < 0.001)であった。MYCN増幅がOSに対して最も大きく予後不良に影響したのは、最も年齢の低い患者であった(生後18ヵ月未満:HR、19.6;生後18ヵ月以上:HR、3.0)。MYCNの状態が転帰に最も影響を及ぼした患者は、生後18ヵ月未満の年齢、高い有糸分裂/核崩壊指数、低フェリチンなど、他の点では予後良好な特徴を有する患者であった。[ 16 ][証拠レベル:3iiiA]
腫瘍内不均一性MYCN増幅(hetMNA)は、クラスターとしてまたは単独の散在した細胞としてのMYCN増幅細胞と非MYCN増幅腫瘍細胞の共存を意味する。HetMNAはまれに報告されており、空間的に腫瘍内に加えて、同時に腫瘍と転移巣との間に発生したり、または時間的に疾患過程中に発生したりすることがある。International Society of Paediatric Oncology Europe Neuroblastoma(SIOPEN)の生物学グループは、この神経芽腫亜型の予後的意義について検討した。hetMNAを有することが特定され、1991年~2015年に診断された患者99人からの腫瘍組織が解析され、MYCN増幅クローンの予後的意義について、それ以外は非MYCN増幅の神経芽腫で解明された。生後18ヵ月未満の患者は、すべての病期で年長の患者と比較して良好な転帰を示した。このゲノム的な背景は、再燃頻度および全生存と有意に相関していた。染色体異常が数的異常のみの症例で再燃はみられなかった。この研究から、hetMNA腫瘍は、患者の年齢および病期を含む臨床パターンと組み合わせて、ゲノム的な腫瘍背景との関連で評価しなければならないことが示唆される。今後は、hetMNA病変が限局性の生後18ヵ月未満の患者を対象とした研究が必要である。[ 17 ]
神経芽腫におけるエクソン変異
少数の高リスク神経芽腫では、遺伝子の頻発性変異の発生率が低いことが多数の報告で明らかにされている。最も一般的な変異遺伝子はALKで、患者の約10%で変異している(以下を参照)。変異頻度がさらに低い遺伝子には、他にATRX、PTPN11、ARID1A、およびARID1Bがある。[ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ][ 23 ][ 24 ]図9に示すように、ほとんどの神経芽腫症例では、頻発性変異遺伝子に変異がみられない。
神経芽腫でエクソン変異が最も一般的にみられるALKは、細胞表面受容体のチロシンキナーゼで、発育段階の胚脳および新生児脳のみで有意な量が発現している。ALKの生殖細胞変異は遺伝性神経芽腫の主要原因として特定されている。体細胞の後天性ALK活性化エクソン変異も神経芽腫の発がん因子であることが明らかになっている。[ 23 ]
ALK変異の存在は、高リスクおよび中リスクの神経芽腫患者における著しく不良な生存と関係している。1,596の神経芽腫診断サンプルでALK変異が調査され、以下の結果が観察された:[ 23 ]
- ALKチロシンキナーゼ領域の変異は、サンプルの8%(ホットスポットが3およびマイナーサイトが13)で認められ、高リスクおよび中リスクの神経芽腫患者における不良な生存と有意に関係していた。
- ALK変異は、MYCN増幅を認める腫瘍の10.9%に認められたのに対して、MYCN増幅を認めない腫瘍では7.2%であった。
- ALK変異は、10歳を超える患者に最も高い頻度(11%)で認められた。
- ALK変異の頻度は、高リスク神経芽腫群で14%、中リスク神経芽腫群で6%、低リスク神経芽腫群で8%であった。
- 高リスク群に含まれていたALK異常の腫瘍は、ALKとMYCNの同時増幅からなり、これもALK活性化をもたらす可能性がある。
副腎に発生した特徴的な原発性神経芽腫(n = 646)のゲノムデータと胸部交感神経節に発生した神経芽腫(n = 118)のゲノムデータを比較した1件の研究では、胸部腫瘍の16%にALK変異が認められた。[ 25 ]
高リスク神経芽腫でALKが活性化していると新たに診断された患者を対象に、クリゾチニブなどの小分子ALKキナーゼ阻害薬(従来の治療法に加えて)が検討されている(COG ANBL1531)。[ 23 ]
エクソン変異のゲノム進化
神経芽腫の診断から再燃までのエクソン変異のゲノム進化に関するデータは限られている。再燃に伴う体細胞遺伝子変異を確定するために、診断時と再燃時の神経芽腫サンプルの23ペアに対して全ゲノム配列決定が適用された一方で[ 26 ]、2つ目の研究では、診断時と再燃時の検体の16ペアが評価された。[ 27 ]両研究で、診断時のサンプルと比較して再燃時のサンプルに変異の数が多いことが特定された;このことは、次世代の塩基配列決定法に送られた神経芽腫の腫瘍サンプルの研究で確認されている。[ 28 ]
- 最初の研究で、RAS-MAPKシグナル伝達と関連する遺伝子における変異の発生率は、診断時の同一患者からの腫瘍と比較して再燃時に高いことが明らかにされた;この経路に関与する遺伝子に体細胞変異が含まれている再燃時サンプルは23検体中15検体で、各変異は経路活性化と一致していた。[
26
]
さらに、3つの再燃時サンプルで、経路活性化と一致するMAPK経路遺伝子が関与する構造的変異が示され、この経路の異常は、再燃時サンプルの23検体中18検体(78%)で検出された。ALK(n = 10)、NF1(n = 2)、ならびにNRAS、KRAS、HRAS、BRAF、PTPN11、およびFGFR1で各1つ異常が発見された。ディープシークエンシングを行った場合でも、18の変化のうち7つが原発腫瘍で検出できなかったことから、変異の進化が再燃につながったと推定されること、および再燃時に採取した組織のゲノム評価の重要性が強調される。
- 2件目の研究では、診断時または再燃時検体のいずれにもALK変異が認められなかったが、染色体1p36に位置する推定上のCHD5神経芽腫腫瘍抑制遺伝子を含む11遺伝子で、再燃時に特異的な頻発性一塩基多様体が観察された。[ 27 ]
高深度塩基配列決定の研究で、神経芽腫の276サンプル(すべての病期および診断時の全年齢層の患者から構成される)を用いて、2つのみの増幅ALK変異ホットスポットの超深度配列決定(33,000X)が実施され、クローン性変異が4.8%、およびその他のサブクローン性変異が5%で明らかになったことから、サブクローン性ALK遺伝子変異が一般的であることが示唆される。[ 29 ]そのため、高深度配列決定では、治療中に生存し、増殖して再燃巣を形成することができると考えられる腫瘍細胞のわずかなサブセットにおける変異の存在を明らかにできる。
テロメア延長を促すゲノム変化
染色体の先端にあるテロメアの延長は細胞生存を促す。延長されない場合、細胞の複製ごとにテロメアが短くなり、最終的に細胞の複製能がなくなる。低リスクの神経芽腫の腫瘍では、テロメア延長活性がほとんどない。高リスクの神経芽腫の腫瘍でテロメア延長の異常な遺伝機構が特定されている。[ 18 ][ 19 ][ 30 ]これまで相互排他的とみられる以下の3つの機構が報告されている:
- テロメラーゼの触媒ユニットをコードしているTERT遺伝子の近位にある5p15.33の染色体領域が関与する染色体再構成が高リスクの神経芽腫症例の約25%にみられ、MYCN増幅およびATRX変異と相互排他的である。[ 18 ][ 19 ]この再構成により、強いエンハンサー要素を有する塩基配列をコードしているTERTと並置されることによって、TERTの転写がアップレギュレーションされる。
- TERT過剰発現を促す別の機構は、MYCN増幅であり[ 31 ]、高リスクの神経芽腫症例の約40~50%に関係している。
- ATRX変異または欠失は、ほぼ例外なく年長の小児で、高リスクの神経芽腫の腫瘍の10~20%に認められ[ 20 ]、テロメア延長の代替的機構と呼ばれる異なる機構によるテロメア延長に関係している。[ 20 ][ 30 ]
予後に関連するその他の生物学的因子
MYCおよびMYCN発現
未分化型/低分化型神経芽腫の357腫瘍の限定サブセットを対象としたMYCおよびMYCN蛋白の免疫染色により、MYC/MYCN蛋白の発現増加は予後的に重要であることが実証されている。[ 32 ]68腫瘍(19%)でMYCN蛋白の発現量が多く、81腫瘍でMYCNが増幅されていた。39腫瘍(10.9%)でMYC発現量が多く、MYCN発現量が多いことと相互排他的であった;MYC発現腫瘍で、MYCまたはMYCN遺伝子増幅はみられなかった。この研究で染色体セグメント異常は調査されなかった。[ 32 ]
- 予後良好な組織型の腫瘍でMYC/MYCN発現量が多くない患者は、良好な生存を示した(3年EFS率、89.7%±5.5%、3年OS率、97%±3.2%)。
- 腫瘍の組織型が未分化型または低分化型で、MYC/MYCN発現を認めない患者は、3年EFS率が63.1%(±13.6%)、3年OS率が83.5%(±9.4%)であった。
- MYCN増幅、MYCN発現量高値、およびMYC発現量高値を認める患者の3年EFS率は、それぞれ48.1%(±11.5%)、46.2%(±12%)、および43.4%(±23.1%)で、OS率はそれぞれ65.8%(±11.1%)、63.2%(±12.1%)、および63.5%(±19.2%)であった。
- さらに、MYCおよびMYCN蛋白の発現量高値について、MYC/MYCN遺伝子増幅を含む他の予後因子とともに多変量解析を行ったところ、MYCおよびMYCN蛋白の発現量高値は、他の予後マーカーと独立していた。
ニューロトロフィン受容体キナーゼ
ニューロトロフィン受容体キナーゼおよびそのリガンドの発現は、高リスクと低リスクの腫瘍間で異なる。TrkAは低リスク腫瘍にみられ、そのリガンドのNGFの消失は自然腫瘍退縮につながると想定されている。対照的に、TrkBは高リスク腫瘍にみられ、そのリガンドのBDNFも発現しており、神経芽腫細胞の増殖および生存が促進される。[ 33 ]
免疫系の阻害
抗GD2抗体は、抗体の抗神経芽腫活性を増強する免疫系の調節と併せて、神経芽腫の治療補助にしばしば使用される。このような1つの抗体の臨床的有効性は、米国食品医薬品局によるジヌツキシマブの承認につながった。免疫療法に対する患者の反応は、部分的に免疫機能の患者間変動により引き起こされる可能性がある。3F8と呼ばれる1つの抗GD2抗体は、神経芽腫の治療として独占的に1つの医療施設で使用され、神経芽腫細胞を殺すためにナチュラルキラー細胞を利用している。しかしながら、ナチュラルキラー細胞は、HLA抗原とキラー免疫グロブリン受容体(KIR)亜型の相互作用により阻害される恐れがある。[ 34 ][ 35 ]この知見は、抗GD2抗体のジヌツキシマブを顆粒球マクロファージコロニー刺激因子およびインターロイキン-2と併用した国内ランダム化COG-ANBL0032(NCT00026312)研究で治療を受けた患者の転帰解析で確認され、拡張された。この研究では、特定のKIR/KIRリガンドの遺伝子型が免疫療法を受けた患者の良好な転帰と関係することが明らかになった。[ 36 ][証拠レベル:1A]阻害性のKIR/KIRリガンドの存在は、免疫療法の有効性低下と関係していた。そのため、患者の免疫系遺伝子は、神経芽腫に対する免疫療法への反応を判断するのに役立つ。この免疫系の遺伝子型が特定の免疫療法への患者選択の指針にできるかどうか判断するには、追加の研究が必要である。
(神経芽腫の治療に関する情報については、神経芽腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 網膜芽細胞腫
-
網膜芽細胞腫は、遺伝型(25~30%)と非遺伝型(70~75%)で発生する腫瘍である。遺伝型疾患は、RB1遺伝子の生殖細胞変異の存在によって定義される。この生殖細胞変異には、罹患した祖先から遺伝した場合(症例の25%)、または散発性疾患の患者で受胎前の胚細胞または胚形成早期に子宮内(in utero)で発生している場合(症例の75%)がある。家族歴陽性または両眼性もしくは多巣性病変が存在すると、遺伝型疾患が示唆される。
遺伝性網膜芽細胞腫は、片眼性または両眼性病変として現れることがある。RB1変異の浸透度(側性、診断時の年齢、腫瘍の数)は、MDM2およびMDM4の多形のような同時発生の遺伝子修飾因子によって異なる可能性がある。[ 1 ][ 2 ]両眼性病変を有するすべての小児および片眼性病変を有する患者の約15%は遺伝型であると推定されるが、それでも罹患した親がいるのは25%に過ぎない。
遺伝性網膜芽細胞腫の小児は、本疾患の非遺伝型の小児より低い年齢で診断される傾向にある。1歳未満の小児における片眼性網膜芽細胞腫では、遺伝性である懸念が生じるが、片眼性腫瘍を有する1歳以上の小児では、本疾患の非遺伝型である可能性が高いと考えられていた。[ 3 ]しかしながら、片眼性網膜芽細胞腫患者182人を対象にした1件の単一施設のレトロスペクティブ報告では、遺伝子検査の結果が陽性であった患者(n = 32)における診断時の平均年齢は生後26ヵ月であり、遺伝子の結果が陰性であった患者における診断時の平均年齢は生後22ヵ月であった(P = 0.31)。[ 4 ]
網膜芽細胞腫におけるゲノムの全体像は、両アレル性不活性化に至るRB1の変化により得られる。[ 5 ][ 6 ]RB1不活性化のまれな原因として染色体の粉砕現象(chromothripsis)があり、これを従来の方法で検出するのは困難な可能性がある。[ 7 ]
ごく少数の腫瘍で頻発性の他のゲノム変化には、BCORの変異/欠失、MYCN増幅、およびOTX2増幅がある。[ 5 ][ 6 ][ 7 ]非家族性の片眼性網膜芽細胞腫の腫瘍1,068検体を対象とした研究で、RB1欠失の証拠が認められない症例の割合がわずか(約3%)であったことが報告された。これらのRB1欠失の証拠が認められない症例の約半数(非家族性の片眼性網膜芽細胞腫全体の約1.5%を占める)では、MYCN増幅が認められた。[ 6 ]網膜芽細胞腫蛋白(pRb)の機能状態は、MYCN増幅を伴う網膜芽細胞腫で不活性化していると推定される。変異によるRB1の不活性化およびpRb不活性化は、MYCN増幅と独立して、網膜芽細胞腫の発生に不可欠である。[ 8 ]
網膜芽細胞腫を有するすべての患者に遺伝カウンセリングが推奨される。(詳しい情報については、網膜芽細胞腫の治療に関するPDQ要約の遺伝カウンセリングのセクションを参照のこと。)
(網膜芽細胞腫の治療に関する情報については、網膜芽細胞腫の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 腎腫瘍
-
ウィルムス腫瘍
他の小児胚芽腫と同様に、ウィルムス腫瘍は、典型的に限定数の遺伝子異常の後に発生する。1件の研究では、ウィルムス腫瘍117例に対してゲノムワイドシークエンシング、mRNAおよびmiRNA発現、DNAコピー数、およびメチル化解析が実施され、その後ウィルムス腫瘍651例に対して標的シークエンシングが実施された。[ 1 ]腫瘍は、予後良好な組織型(FH)で再燃したウィルムス腫瘍またはびまん性退形成が認められるウィルムス腫瘍のいずれかで選択された。研究により以下が示された:[ 1 ]
- ウィルムス腫瘍は、一般に複数の遺伝子イベントを通して発生する。
- ウィルムス腫瘍では、遺伝子異常が異なると、遺伝子発現およびメチル化パターンに違いがみられる。
- ウィルムス腫瘍には、原因となる候補遺伝子が多くあり、そのうちのほとんどで、変異はウィルムス腫瘍の5%未満である。
- ウィルムス腫瘍では、共通の機能を果たす遺伝子に頻発性変異がみられ、ほとんどが初期の腎発生またはエピジェネティックな調節に関与している(例:クロマチン修飾、転写延長、およびmiRNA)。
ウィルムス腫瘍症例の約3分の1で、WT1、CTNNB1、またはWTXの変異が関与している。[ 2 ][ 3 ]ウィルムス腫瘍症例のその他のサブセットは、DROSHA、DGCR8、DICER1、およびXPO5などのmiRNAプロセッシング遺伝子(miRNAPG)における変異に起因している。[ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ]初期の腎発生に不可欠な他の遺伝子で、ウィルムス腫瘍に頻発性変異がみられるものには、SIX1およびSIX2(初期の腎発生に重要な役割を果たす転写因子)[ 4 ][ 5 ]、EP300、CREBBP、ならびにMYCNがある。[ 1 ]ウィルムス腫瘍にみられる変異のうち、30~50%が腎発生における転写延長プロセスに集中しているとみられ、これらには、MLLT1、BCOR、MAP3K4、BRD7、およびHDAC4が含まれる。[ 1 ]退形成型ウィルムス腫瘍は、TP53変異の存在を特徴とする。
WAGR(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、泌尿生殖器奇形、および精神遅滞)症候群、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群、片側肥大症、Denys-Drash症候群、およびパールマン症候群など、多くの遺伝性疾患の患者でウィルムス腫瘍の発生率上昇が観察される。[ 8 ]家族性ウィルムス腫瘍の症例で観察されている他の遺伝的原因には、RESTおよびCTR9における生殖細胞変異がある。[ 9 ][ 10 ]
ウィルムス腫瘍のゲノム的および遺伝的特徴を以下に要約する。
WT1遺伝子
WT1遺伝子は、11番染色体単腕(11q13)に位置する。WT1は、正常な泌尿生殖器の発生に必要な転写因子であり、腎芽体の分化に重要である。[ 11 ]WT1変異は、散発性ウィルムス腫瘍の10~20%の症例で観察される。[ 2 ][ 11 ][ 12 ]
WT1変異を有するウィルムス腫瘍は、以下を特徴とする:
- CTNNB1遺伝子における活性化変異によるWNT経路活性化の証拠が多くある。[ 12 ][ 13 ][ 14 ]
- 11番染色体での父方の片親性ダイソミーが残りの正常なWT1アレルを喪失する共通機序であるため、11p15でヘテロ接合性の消失(LOH)が多く観察される。[ 12 ][ 15 ]
- nephrogenic rest(造腎組織遺残)は、出生後の生命に異常に存続する胚性腎細胞の良性巣である。腎葉内のnephrogenic restは、ウィルムス腫瘍症例の約20%にみられる。WAGRおよびDenys-Drash症候群のようなWT1変異を有する遺伝的症候群の症例で高い発生率が観察される。[ 16 ]腎葉内のnephrogenic restは、散発性のWT1およびMLLT1変異の症例でも観察される。[ 17 ][ 18 ]
- 非症候性のウィルムス腫瘍におけるWT1の生殖細胞変異はまれ(2~4%)である。[ 19 ][ 20 ]
- WT1変異および11p15のLOHは、化学療法を受けていない患者56人を対象とした1件の研究で非常に低いリスクのウィルムス腫瘍の患者における再燃と関連していた。[ 21 ]これらの所見は検証が必要であるが、将来に患者を層別化するバイオマーカーとなる可能性がある。
WT1の生殖細胞変異は、ウィルムス腫瘍の小児で多くみられ、さらに以下のいずれかの小児にも多くみられる:
WT1の生殖細胞変異を伴う症候性疾患には、WAGR症候群、Denys-Drash症候群[ 22 ]、およびFrasie症候群[ 23 ]がある。
-
WAGR症候群。 WAGR症候群の小児は、ウィルムス腫瘍の発症リスクが高い(約50%)。[
24
]WAGR症候群は、WT1およびPAX6遺伝子を含む一連の隣接遺伝子が関与する染色体11p13での欠失に起因する。
PAX6遺伝子における不活性化変異または欠失は、無虹彩症を引き起こす一方で、WT1の欠失は、ウィルムス腫瘍のリスクを高める。WT1が欠失していない散発性無虹彩症は、ウィルムス腫瘍のリスク上昇を伴わない。したがって、一般に多くの世代にわたりみられ、腎異常のない家族性無虹彩症の小児は、WT1遺伝子が正常で、ウィルムス腫瘍のリスク上昇を認めない。[ 25 ][ 26 ]
WAGR症候群の患児におけるウィルムス腫瘍は、両側性病変、腎葉内のnephrogenic rest、早い年齢での診断、予後良好な組織型の腫瘍における間質優勢組織が多いことを特徴とする。[ 27 ]WAGR症候群における精神遅滞は、SLC1A2またはBDNFなどの他の遺伝子の欠失に続発することがある。[ 28 ]
WT1の生殖細胞点変異は、腎症、46XYの性発達障害、およびさまざまなリスクのウィルムス腫瘍を特徴とする遺伝的症候群をもたらす。[ 29 ][ 30 ]
-
Denys-DrashおよびFrasier症候群。Denys-Drash症候群は、びまん性メサンギウム硬化症に起因するネフローゼ症候群、XY偽半陰陽、およびウィルムス腫瘍のリスク上昇(90%超)を特徴とする。Frasier症候群は、巣状分節性糸球体硬化症に起因する進行性腎症、性腺芽細胞腫、およびXY偽半陰陽を特徴とする。
Denys-Drash症候群におけるWT1変異では、WT1のDNA結合領域をコードしているエクソン8および9のミスセンス変異の頻度が最も高い。[ 22 ]対照的に、Frasier症候群におけるWT1変異は、典型的にKTS部位のイントロン9に発生し、選択的スプライシングバリアントを作成し、これにより通常はより豊富なWT1の+KTSアイソフォームの産生が阻害される。[ 31 ]
WT1変異の遺伝子型と表現型の相関を評価した研究で、ウィルムス腫瘍のリスクは、切断型変異で最も高く(17症例中14例、82%)、ミスセンス変異で低い(67症例中27例、42%)ことが示されている。このリスクは、KTSスプライス部位の変異で最も低い(27症例中1例、4%)。[ 29 ][ 30 ]WT1切断型変異の症例における両側性ウィルムス腫瘍(14症例中9例)は、WT1ミスセンス変異の症例(27症例中3例)よりもはるかに多い。[ 29 ][ 30 ]これらのゲノム研究によって、Denys-Drash症候群の小児でウィルムス腫瘍のリスクが高く、Frasier症候群の小児でウィルムス腫瘍のリスクが低いという以前の推定が確認される。
WAGR症候群およびウィルムス腫瘍に伴う晩期合併症(晩期障害)には以下のものがある:
(ウィルムス腫瘍に伴う晩期合併症(晩期障害)に関する詳細情報については、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療に関するPDQ要約のウィルムス腫瘍治療後の晩期合併症(晩期障害)のセクションを参照のこと。)
CTNNB1遺伝子
CTNNB1は、ウィルムス腫瘍で最も多く変異がみられる遺伝子であり、ウィルムス腫瘍患者の15%で発生すると報告されている。[ 1 ][ 3 ][ 12 ][ 14 ][ 34 ]これらのCTNNB1変異により、WNT経路の活性化がもたらされ、腎発生で重要な役割を果たす。[ 35 ]CTNNB1変異は、WT1変異を伴って多くみられ、WT1変異を認めるウィルムス腫瘍のほとんどの症例は、同時にCTNNB1変異を伴っている。[ 12 ][ 14 ][ 34 ]WT1またはWTX変異がみられないと、MLLT1変異を伴う場合を除き、CTNNB1変異が検出されるのはまれなため、損傷していないWT1蛋白の存在下でβ-カテニンが活性化しても、腫瘍発生を促すには不十分と考えられる。[ 3 ][ 36 ]CTNNB1変異は、腫瘍で検出されるが、nephrogenic restでは検出されないため、ウィルムス腫瘍の発生における後期の事象と考えられる。[ 17 ]
X染色体上のWTX遺伝子
WTXは、AMER1とも呼ばれ、X染色体のXq11.1に位置する。この遺伝子は、ウィルムス腫瘍症例の15~20%で変化している。[ 2 ][ 3 ][ 12 ][ 37 ][ 38 ]WTXの生殖細胞変異は、X連鎖性の硬化性骨異形成、つまり頭蓋硬化症を伴う先天性骨線条症(MIM300373)を引き起こす。[ 39 ]先天性骨線条症の患者は、WTXの生殖細胞変異があるにもかかわらず、腫瘍発生の素因を有しない。[ 39 ]WTX蛋白は、β-カテニンの分解およびAPC蛋白の細胞内分布の両方に関与していると考えられる。[ 36 ][ 40 ]WTXは、WTX遺伝子の一部または全部を含む欠失によって最も多く変異しており、有害な点変異の発生頻度は高くない。[ 2 ][ 12 ][ 37 ]WTX変異を伴うウィルムス腫瘍のほとんどの症例で、エピジェネティックな11p15異常がみられる。[ 12 ]
WTX変異は、男女間で等しく分布しており、WTX不活性化は、臨床症状または予後に影響しないと考えられる。[ 2 ]
染色体11p15(WT2)上のインプリンティングクラスター領域(ICR)とベックウィズ-ヴィーデマン症候群
ウィルムス腫瘍の第2の遺伝子座であるWT2は、染色体11p15.5のインプリンティングドメイン領域に位置している;この遺伝子が生殖細胞変異すると、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群が発生する。ウィルムス腫瘍の小児の約3%では、過成長の臨床症状を伴わずに、11p15.5の増殖調節遺伝子座で生殖細胞のエピジェネティック変化または遺伝子変化がみられる。ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の小児のように、これらの小児では、両側性ウィルムス腫瘍または家族性ウィルムス腫瘍の発生率が高い。[ 28 ]
ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の患者でウィルムス腫瘍を発症する患者の約5分の1で両側性病変がみられ、異時性の両側性病変も観察される。[ 25 ][ 41 ][ 42 ]ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の有病率は、National Wilms Tumor Study(NWTS)に報告されたウィルムス腫瘍の小児で約1%である。[ 42 ][ 43 ]
ベックウィズ-ヴィーデマン症候群患者の約80%では、11p15ドメインの分子欠損がみられる。[ 44 ]ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の基礎をなすさまざまな分子機構が同定されている。これらの異常の一部は、遺伝子変化(CDKN1Cの母方アレルの生殖細胞変異、11p15の父方片親性イソダイソミー、または11p15ドメインの部分重複)であるが、エピジェネティック変化(母方ICR2/KvDMR1のメチル化喪失または母方ICR1のメチル化増強)の頻度が高い。[ 28 ][ 45 ]
WT2遺伝子座に位置するいくつかの候補遺伝子がIGF2/H19およびKIP2/LIT1という独立した2つのインプリンティングドメインを構成している。[ 45 ]LOHは、母方染色体のみに影響を与え、父方の活性遺伝子の発現を促し、母方の活性遺伝子の発現を抑制する作用がある。この領域における遺伝子のインプリントの消失またはスイッチ(メチル化状態の変化)も高い頻度で観察されており、同様の機能異常をもたらす。[ 28 ][ 44 ][ 45 ]
エピジェノタイプと表現型との関係は、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群で明らかにされており、ベックウィズ-ヴィーデマン症候群では11p15領域の変異の種類に応じてがんの発生率が異なっている。[ 46 ]
特定の遺伝子型-表現型の相関を特徴とするベックウィズ-ヴィーデマン症候群には、以下の4つの主要な分子的サブタイプがある:
- ICR1のメチル化(ICR1-GoM)。症例の5~10%は、テロメアICR1-GoMにより引き起こされ、IGF2遺伝子(正常であれば父方アレルのみによって発現)の両アレル性発現に加え、腫瘍抑制性のH19遺伝子の発現減少が生じる。ウィルムス腫瘍の発生率は22.8%である。[ 47 ]
- ICR2のメチル化喪失(ICR2-LoM)。ベックウィズ-ヴィーデマン症候群症例の50%は、ICR2-LoMにより引き起こされ、正常であれば母系染色体のみによって発現するCDKN1C遺伝子の発現減少を来す。腫瘍の発生率は、非常に低い(2.5%)。[ 47 ]
- 片親性ダイソミー(UPD)。染色体11p15.5に位置するモザイクUPDでは、両方のインプリンティング遺伝子クラスターでの発現変化が観察され、本症例の20~25%を占めている。ウィルムス腫瘍の発生率は6.2%で、次に肝芽腫(4.7%)および副腎がん(1.5%)が多い。[ 47 ]ベックウィズ-ヴィーデマン症候群症例の1%未満は、11p15領域を巻き込んだ染色体再構成によって発生する。
- CDKN1C変異。母系遺伝性のCDKN1C機能喪失変異は、本症例の約5%を占めている。この種類は、神経芽腫の4.3%の発生率と関係している。[ 47 ]
父方の11p15イソダイソミーを有する患者では神経芽腫または肝芽腫などの他の腫瘍が報告された。[ 48 ][ 49 ][ 50 ]ベックウィズ-ヴィーデマン症候群の患者が肝芽腫を発症する相対リスクは一般集団におけるリスクの2,280倍である。[ 42 ]
インプリンティングの消失または遺伝子のメチル化が他の遺伝子座で検出されるのはまれであることから、11p15.5でのインプリンティングの消失の特異性が裏付けられる。[ 51 ]興味深いことに、ヨーロッパの小児におけるよりも発生率が低いアジアの小児におけるウィルムス腫瘍は、nephrogenic restまたはIGF2のインプリンティングの消失のいずれとも関連していない。[ 52 ]
その他の遺伝子変異および染色体変化
ウィルムス腫瘍の発生機序および生物学に関与しているその他の遺伝子および染色体の変化には以下のものがある:
-
1q。染色体1q増加は、不良な転帰と関係しており、最も強力な単一の転帰予測因子である。1q増加が存在すると、1pおよび16qのいずれの欠失も重要ではない。[
53
][
54
]染色体1q増加は、ウィルムス腫瘍で最も一般的な細胞遺伝学的異常の1つであり、腫瘍の約30%に観察される。
NWTS-5(COG-Q9401/NCT00002611)に参加した患者1,114人から採取した予後良好な組織型のウィルムス腫瘍の解析で、腫瘍の28%が1q増加を示した。[ 53 ]
- 8年イベントフリー生存(EFS)率は、1q増加を認める患者で77%、1q増加を認めない患者で90%であった(P < 0.001)。各病期内で、1q増加は不良なEFSと関係していた。
- 8年全生存(OS)率は、1q増加を認める患者で88%、1q増加を認めない患者で96%であった(P < 0.001)。OSは、病期がI期P < 0.0015)およびIV期(P = 0.011)の症例で有意に劣っていた。
-
16qおよび1p。 その他の腫瘍抑制または腫瘍促進遺伝子が染色体16qおよび1pに存在する可能性があり、これらの領域ではLOHがウィルムス腫瘍症例のそれぞれ17%および11%でみられることから明らかである。[
55
]
- 大規模なNWTS研究で、これらの遺伝子座に腫瘍特異的な喪失を認める患者は、無再燃生存およびOS率が著しく不良であった。最新の小児腫瘍学グループ(COG)の研究では、1pおよび16qの重複欠失を用いて、より積極的な治療の対象となる予後良好な組織型のウィルムス腫瘍患者を選択している。ただし、400人を超える患者を対象とした英国の研究で、1p欠失と予後不良の間に有意な関係はないことが示されたが、予後不良と16qのLOHとの関係が認められた。[ 56 ]
- 患者125人を対象としたイタリアの研究では、COGの研究と非常に類似した治療を用いて、1p欠失を示すが16q欠失を示さない患者で予後が有意に不良なことが明らかになった。[ 57 ]
これらの対立する結果は、前述した1q増加のより大きな予後的意義から生じている可能性がある。1q増加が存在する状況で、16qおよび1pのLOHは、独立した予後マーカーとしての重要性を失っている。しかしながら、1q増加がみられない状況で、16qおよび1pのLOHは、その有害な予後への影響を保持している。[ 53 ]16qおよび1pのLOHは、1qのLOHまたは1q増加をもたらす複合的な染色体イベントから生じていると考えられる。1qにおける変化は、きわめて重要な腫瘍原性の遺伝的イベントとみられる。[ 58 ]
-
miRNAPG。 選択したmiRNAPGの変異は、ウィルムス腫瘍症例の約20%に観察され、前駆状態を持続させると考えられる。[
1
][
4
][
5
][
6
][
7
] これらの遺伝子の産物は、最初のpri-miRNA転写から機能性の細胞質miRNAまでのmiRNAの成熟を方向付ける(図10参照)。[
59
]最も多く変異がみられるmiRNAPGはDROSHAで、頻発性の変異(E1147K)は、RNase IIIbドメインの金属結合残基に影響を及ぼし、DROSHAが変異した腫瘍の約80%に認められる。その他のウィルムス腫瘍で変異しているmiRNAPGには、DGCR8、DICER1、TARBP2、DIS3L2、およびXPO5がある。これらの変異は一般に相互排他的であり、有害であると考えられ、腫瘍抑制miRNAの発現抑制をもたらす。DGCR8(染色体22q11に位置する)の変異には著しい性差が認められ、43例中38例(88%)は女児に発生する。[
4
][
5
]
miRNAPGの生殖細胞変異は、DICER1およびDIS3L2で観察され、前者の変異はDICER1症候群を引き起こし、後者の変異はパールマン症候群を引き起こす。
- DICER1症候群は、典型的にDICER1における遺伝性の切断型変異により引き起こされ、pre-miRNAの5p腕に由来するmiRNAのプロセッシングに関与するDICER1の残りのアレルのドメイン(RNase IIIbドメイン)におけるミスセンス変異の獲得後に腫瘍が形成される。[ 60 ]DICER1症候群と関連する腫瘍には、胸膜肺芽腫、嚢胞性腎腫、卵巣の性索間質性腫瘍、多結節性甲状腺腫、および胎児性横紋筋肉腫がある。[ 60 ]ウィルムス腫瘍は、DICER1症候群のまれな形態である。ある研究で、DICER1症候群の3家系にはウィルムス腫瘍の小児が含まれ、ウィルムス腫瘍の2症例は、RNase IIIbドメインにおける典型的な二次性DICER1変異を示した。[ 61 ]その他の研究で、家族性ウィルムス腫瘍の48家系中2家系でDICER1変異が確認された。[ 62 ]大規模なウィルムス腫瘍コホートの塩基配列決定研究でも、DICER1変異を認める偶発症例が観察されている。[ 5 ][ 6 ]
- パールマン症候群は、pre-let-7 miRNAの分解に関与するリボヌクレアーゼをコードするDIS3L2の変異によって引き起こされるまれな過成長疾患である。[ 63 ][ 64 ]パールマン症候群の予後は不良で、新生児死亡率が高い。パールマン症候群で公表された症例(N = 28)の調査によると、新生児期を超えて生存した乳児では、約3分の2がウィルムス腫瘍を発症し、すべての患者が発達遅滞を示した。胎児性巨大児、腹水、および羊水過多が頻度の高い症状である。[ 65 ]
- SIX1およびSIX2。SIX1およびSIX2は、高度の相同性を示す転写因子で、腎発生初期に重要な役割を果たし、後腎間充織で発現しており、そこで間葉系前駆細胞集団を維持している。ウィルムス腫瘍におけるSIX1変異の頻度は3~4%で、SIX2変異の頻度は1~3%である。[ 4 ][ 5 ]実質的にすべてのSIX1およびSIX2変異がエクソン1にあり、177位でのグルタミンからアルギニンへの変異をもたらす。WT1、WTX、およびCTNNB1の変異は、SIX1/SIX2またはmiRNAPG変異の場合、まれである。逆に、SIX1/SIX2変異およびmiRNAPG変異は同時にみられる傾向にある。ウィルムス腫瘍におけるSIX1およびSIX2変異は、高リスクの芽体型および化学療法未治療例では未分化芽体の存在に関連している。[ 4 ][ 5 ]
- MLLT1。ウィルムス腫瘍症例の約4%では、発生初期のRNAポリメラーゼIIによる転写伸長に関与していることが知られている遺伝子であるMLLT1の高度に保存されたYEATSドメイン(ENL)に変異がみられる。[ 18 ]変異MLLT1蛋白では、アセチル化ヒストン尾部への結合に変化がみられる。MLLT1が変異した腫瘍を有する患者は、若年で発症し、前駆細胞の腎葉内のnephrogenic restの有病率が高いことから、腎発生初期に活性化したMLLT1変異により、ウィルムス腫瘍の発生を来すモデルが支持される。
-
TP53(腫瘍抑制遺伝子)。退形成型ウィルムス腫瘍症例のほとんどがTP53腫瘍抑制遺伝子の変異を示す。[
66
][
67
][
68
]TP53は、不良な予後マーカーとして有用な可能性がある。[
66
][
67
]
びまん性退形成型ウィルムス腫瘍でNWTS-5試験に登録された患児118人を対象にプロスペクティブに確認された研究では、患児57人(48%)にTP53変異が示され、患児13人(11%)に変異を伴わないTP53セグメントコピー数の減少が示され、患児48人(41%)ではどちらの異常も認められなかった(野生型TP53[wtTP53])。すべてのTP53変異が塩基配列決定法のみで検出された。wtTP53を有するIII期またはIV期疾患の患児は、TP53に異常が認められた患児よりも再燃率および死亡率が有意に低かった(それぞれ、P = 0.00006およびP = 0.00007)。I期またはII期の腫瘍を有する患児に対するTP53の状態の影響は認められなかった。びまん性退形成型ウィルムス腫瘍の患児39人の徹底的なサブセット解析により、7人の患児(18%)がwtTP53であったことが示された。これらのwtTP53腫瘍は、p53経路の活性化という遺伝子発現の証拠を示した。wtTP53腫瘍のレトロスペクティブな病理学的レビューでは、腫瘍7例中6例で退形成の容積は非常に少量であるか全く認められなかった。これらのデータから、ウィルムス腫瘍における退形成の発生に関してTP53消失の重要な役割が支持され、手術後に退形成病変が残存する患児における重大な臨床的影響が支持される。[ 69 ]
- FBXW7。FBXW7は、ユビキチンリガーゼの構成要素の1つで、ウィルムス腫瘍において低い発生率で頻発性の変異が確認されている遺伝子である。この遺伝子の変異は、上皮型腫瘍の組織型との関連が認められている。[ 70 ]
- 9q22.3微小欠失症候群。 9q22.3微小欠失症候群の患者は、ウィルムス腫瘍のリスクが高い。[ 71 ][ 72 ]生殖細胞欠失を認める染色体領域には、ゴーリン症候群(骨肉腫に伴う母斑基底細胞がん症候群)で変異している遺伝子PTCH1が含まれる。9q22.3微小欠失症候群は、ゴーリン症候群の臨床所見に加え、発達遅滞および/または知的能力障害、前頭縫合早期癒合症、閉塞性水頭症、出生前および出生後巨大児、および痙攣発作を特徴とする。[ 71 ]構成的な9q22.3微小欠失との関連でウィルムス腫瘍を呈した5人の患者が報告されている。[ 72 ][ 73 ][ 74 ]
- MYCN。ウィルムス腫瘍症例の約13%でMYCNコピー数増加が観察され、退形成型症例(23症例中7例、30%)では、非退形成型症例(11.2%)より多くみられた。[ 75 ]コドン44での活性化変異(p.P44L)は、ウィルムス腫瘍症例の約4%で確認された。[ 75 ]MYCNでの生殖細胞コピー数増加は、両側性ウィルムス腫瘍症例で報告されており、生殖細胞MYCN重複も出生前の両側性腎芽腫症を認め、腎芽腫症の家族歴を有する小児で報告された。[ 76 ]
- CTR9。CTR9不活性化の生殖細胞変異は、家族性ウィルムス腫瘍の36家系中4家系で確認された。[ 10 ][ 77 ]CTR9は、染色体11p15.3に位置し、ポリメラーゼ結合因子1複合体(PAF1c)の主要な構成要素であり、RNAポリメラーゼII制御で複数の役割を果たすとともに、胚発生における器官形成および胚性幹細胞の維持に関与している。
- REST。REST(RE1サイレンシング転写因子をコード)の不活性化生殖細胞変異は、家族性ウィルムス腫瘍の4家系で確認された。[ 9 ]RESTは、細胞分化および胚発生で機能する転写レプレッサーである。ほとんどのREST変異は、DNA結合ドメインをコードしているREST部分内に集中しており、機能解析でこれらの変異がRESTの転写抑制を妨げていることが示された。REST変異についてスクリーニングを行った場合、ウィルムス腫瘍の血縁者歴がないウィルムス腫瘍患者519人中9人の変異検査結果が陽性であった;一部には親が検査陽性の患者もみられた。[ 9 ]これらの観察は、RESTがウィルムス腫瘍の素因遺伝子で、ウィルムス腫瘍の約2%に関係していることを示している。
図11では、予後良好な組織型を示すにもかかわらず、再燃が認められたことから抽出したウィルムス腫瘍患者の選択コホートにおけるゲノムの全体像を要約している。[ 18 ]予後良好な組織型のウィルムス腫瘍75症例が遺伝子発現データの教師なし解析により6つのクラスターに分類された。遺伝子発現データが得られたMLLT1変異腫瘍の6個中5個がクラスター3に含まれ、2個がCTNNB1変異を伴っていた。このクラスターには、WT1の変異または小区画欠失を伴う腫瘍も4個含まれており、そのいずれにもCTNNB1変異またはWTXの小区画欠失もしくは変異のいずれかが認められた。また、11p15のインプリンティングを保持しているかなりの数の腫瘍も含まれていた(MLLT1変異腫瘍はすべて含まれていた)。miRNAPG変異例は一緒にクラスター分類され、MLLT1およびWT1/WTX/CTNNB1変異例の両方と相互排他的であった。
(ウィルムス腫瘍の治療に関する情報については、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
腎細胞がん
腎臓の転座陽性がんは、腎細胞がん(RCC)の別の病態として認識されており、小児におけるRCCで最も多くみられる病態と考えられ、小児RCCの40~50%を占めている。[ 78 ]小児および青年のRCC患者120人を対象とした小児腫瘍学グループ(COG)のプロスペクティブ臨床試験で、半数近くの患者が転座陽性のRCCであった。[ 79 ][ 80 ]これらのがんは、Xp11.2に位置するTFE3遺伝子を巻き込んだ転座を特徴とする。TFE3遺伝子は、以下のいずれかの遺伝子をパートナーとする場合がある:
- t(X;17)(p11.2;q25)でASPSCR。
- t(X;1)(p11.2;q21)でPRCC。
- t(X;1)(p11.2;p34)でSFPQ。
- inv(X;p11.2;q12)でNONO。
- t(X;17)(p11;q23)でCLTC。
他のまれな転座の亜型であるt(6;11)(p21;q12)は、TFEBの遺伝子融合を含み、TFEBの過剰発現を生じる。TFE3およびTFEBを巻き込んだ転座は、これらの蛋白の過剰発現を引き起こし、免疫組織化学検査により同定可能である。[ 81 ]
Xp11転座型RCCを発症する危険因子として唯一知られているのは、過去の化学療法への曝露である。1件の研究で、化学療法後から発症までの期間は、4~13年の範囲であった。報告されているすべての患者に対して、DNAトポイソメラーゼII阻害剤および/またはアルキル化剤が投与された。[ 82 ][ 83 ]
小児および若年成人における転座型RCCの生物学的挙動に関しては見解が分かれている。数件のシリーズによると、転座と関連するRCCより進行した病期(III期/IV期)で発見されたにもかかわらず、RCCの治療に手術単独を用いた場合でも予後良好であることが示唆されているが、あるメタアナリシスによると、このような患者は転帰がより不良であることが報告された。[ 84 ][ 85 ][ 86 ]これらの患者の転帰は、進行中のCOGのAREN03B2(NCT00898365)の生物学および分類研究で検討されている。血管内皮増殖因子受容体標的療法および哺乳類ラパマイシン標的蛋白(mTOR)阻害剤は、Xp11転座型の転移性RCCで活性があるとみられている。[ 87 ]転座を伴ったRCCの初回切除から20~30年後でも、再発が報告されている。[ 88 ]
Xp11転座を有するRCCの診断には、TFE3の免疫組織化学検査単独で報告された症例でこの転座が認められないことから、むしろ分子遺伝学的アプローチによる確認が必要である。RCC症例には、TFE3が陽性で、TFE3転座が認められず、代わりにALK転座を示すまれなサブセットが存在する。このサブセットの症例は、RCC内で新たに認識されたサブグループであり、未分類の小児RCCの15~20%を含むと推定される。6~16歳の小児で報告された8症例において、以下が観察された:[ 89 ][ 90 ][ 91 ][ 92 ]
- t(2;10)(p23;q22)の転座でALKがVCLと融合していた(n = 3)。VCL転座の症例は、すべて鎌状赤血球形成傾向の小児に発生したが、TMP3転座の症例はみられなかった。
- ALKがTPM3と融合していた(n = 3)。
- ALKが1p32上のHOOK-1と融合していた(n = 1)。
- t(1;2)転座でALKとTMP3が融合していた(n = 1)。
(腎細胞がんの治療に関する情報については、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
腎臓ラブドイド腫瘍
ラブドイド腫瘍では、解剖学的な部位を問わず、染色体22q11.2に位置するSMARCB1(INI1/SNF5/BAF47)遺伝子の機能喪失という一般的な遺伝子異常が認められる。以下の記述では、原発部位を問わずにラブドイド腫瘍に言及している。SMARCB1は、遺伝子の転写制御に重要な役割を果たすSWI/SNF(SWItch/Sucrose NonFermentable)クロマチンリモデリング複合体を構成する蛋白をコードする。[ 93 ][ 94 ]機能喪失は、SMARCB1遺伝子の一部または全部の喪失に至る欠失およびSMARCB1蛋白のpremature truncationに至る一般的にフレームシフトまたはナンセンス変異である変異により生じる。[ 94 ][ 95 ]ラブドイド腫瘍のうち割合は小さいが、SWI/SNF複合体における主要ATPaseであるSMARCA4の変異により生じるものがある。[ 96 ][ 97 ]ラブドイド腫瘍の35症例を対象としたエクソーム配列決定では、ごく低い変異率が確認され、腫瘍形成に関与していると考えられていたSMARCB1以外に、頻発性の変異遺伝子はみられなかった。[ 98 ]
脳および/または腎臓に原発腫瘍が1つまたは複数認められる患者においてSMARCB1の生殖細胞変異が確認されており、ラブドイド腫瘍発症の遺伝的素因と一致している。[ 99 ][ 100 ]ラブドイド腫瘍患者の約3分の1にSMARCB1の生殖細胞変異が認められる。[ 94 ][ 101 ]ほとんどの症例において変異はde novoであり、遺伝ではない。ラブドイド腫瘍で生殖細胞変異または欠失を認める小児の診断時年齢中央値(6ヵ月)は、明らかな散発性疾患の小児(18ヵ月)より若い。[ 102 ]生殖細胞のモザイク現象は、複数の罹患した同胞を有するいくつかの家系で提唱されている。生殖細胞変異がある患者は、最も予後不良の可能性があるとみられている。[ 103 ][ 104 ]SMARCA4の生殖細胞変異もラブドイド腫瘍患者で報告されている。[ 96 ][ 105 ]
(腎臓ラブドイド腫瘍の治療に関する情報については、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療のPDQ要約を参照のこと。)
腎明細胞肉腫
腎明細胞肉腫はまれな腎腫瘍で、小児におけるすべての原発性腎悪性腫瘍の約5%を構成し、米国における毎年約20例の新規症例を占め、3歳前に最も多くみられる。[ 106 ]腎明細胞肉腫はまれであり、実験モデルがないため、その分子的背景はほとんど解明されていない。
腎明細胞肉腫の生物学的特徴は、以下を含めていくつか報告されている:
- BCOR遺伝子(BCL6コリプレッサー)内のエクソン15の縦列重複は、腎明細胞肉腫症例の90%で報告されているが、少数のサブセットではYWHAE-NUTM2B/EまたはBCOR-CCNB3遺伝子融合が認められる。[ 107 ][ 108 ][ 109 ][ 110 ][ 111 ][ 112 ]これらの遺伝子異常はすべて、BCOR mRNA発現を特徴とする転写署名につながる。[ 113 ]
- BCORに対する広範で強力な免疫反応性は、腎明細胞肉腫の診断に対する感度および特異度が高い。ウィルムス腫瘍、先天性間葉芽腎腫、腎明細胞肉腫、後腎間質腫瘍、腎ラブドイド腫瘍、腎原始神経外胚葉性腫瘍(PNET)、硬化性類上皮線維肉腫など、79例の腫瘍を対象にしたシリーズにおいて、検査された腎明細胞肉腫のすべてのサンプルがBCORに対して広範で強力な核標識を示した。他の小児腎腫瘍のほとんどはBCORに対して完全に陰性を示した。[ 114 ]
(腎明細胞肉腫の治療に関する情報については、ウィルムス腫瘍とその他の小児腎腫瘍の治療のPDQ要約を参照のこと。)
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- 黒色腫
-
(小児黒色腫のゲノミクスに関する情報については、小児黒色腫の治療に関するPDQ要約の分子的特徴のセクションを参照のこと。)
(小児黒色腫の治療に関する情報については、小児黒色腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
- 甲状腺がん
-
(小児甲状腺がんのゲノミクスに関する情報については、小児甲状腺がんの治療に関するPDQ要約の分子的特徴のセクションを参照のこと。)
(小児甲状腺がんの治療に関する情報については、小児甲状腺がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
- 多発性内分泌腫瘍症候群
-
(小児MEN症候群のゲノミクスに関する情報については、小児多発性内分泌腫瘍[MEN]症候群の治療に関するPDQ要約の臨床像、診断的評価、および分子的特徴のセクションを参照のこと。)
(小児MEN症候群の治療に関する情報については、小児多発性内分泌腫瘍[MEN]症候群の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
- 本要約の変更点(05/13/2020)
-
PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。
白血病
急性リンパ芽球性白血病(ALL)のサブセクションは再編集された。
本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。
- 本PDQ要約について
-
本要約の目的
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児がんのゲノミクスについて、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
査読者および更新情報
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:
- 会議での議論、
- 本文の引用、または
- 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。
要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。
- Malcolm A. Smith, MD, PhD (National Cancer Institute)
本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。
証拠レベル
本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。
本要約の使用許可
PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。
本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Childhood Cancer Genomics.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/childhood-cancers/pediatric-genomics-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 27466641]
本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。
免責条項
入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。
お問い合わせ
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