患者さん向け 大麻(カンナビス)とカンナビノイド(PDQ®)

    • 原文更新日:2019-06-27
    • 翻訳更新日:2020-03-12

ご利用について

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療での大麻やカンナビノイドの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

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概要
大麻についての質問と回答
1.大麻(カンナビス)とは何ですか。

カンナビス(大麻草)はマリファナとも呼ばれる中央アジア原産の植物で、現在では世界各地に分布しています。大麻草はカンナビノイドと呼ばれる化合物を含む樹脂(粘り気のある物質)を分泌する植物です。一部のカンナビノイドは精神活性(意識や気分に影響を及ばす性質)を有しています。米国では、大麻規制薬物としてSchedule I(スケジュールI)の薬物(乱用の危険性が高く、医療用として認められていない薬物)に分類されています。

がん治療用の大麻を研究対象とした臨床試験は少数しかありません。

米国では連邦法により、承認を受けた研究目的以外での大麻(マリファナ)の所持が違法とされています。しかし、いくつかの州、準州、コロンビア特別区では医療マリファナを合法と定めており、そうした州は次第に増加しています。(質問3を参照してください)。

2.カンナビノイドとは何ですか。

カンナビノイド大麻に含まれる化学物質であり、フィトカンナビノイドとも呼ばれ、体内で中枢神経系免疫系などに薬物様の効果を引き起こします。大麻に含まれる精神活性のあるカンナビノイドのうち、主なものはデルタ-9-THCです。また、他の有効なカンナビノイドにカンナビジオール(CBD)がありますが、この物質はデルタ-9-THCのように「ハイ」な(高揚)状態を引き起こさず、痛みを軽減し、炎症を抑える作用があると考えられています。

カンナビノイドはがんやがん治療の副作用に対する治療に役立つ可能性があります。

3. 非合法の物質である大麻を、米国の一部のがん患者さんはどうやって使用していますか。

連邦法では大麻の使用が禁止されていますが、下の地図に挙げた州や準州では、医療用大麻の使用が許可されています。その他に、カンナビジオール(CBD)など大麻の有効成分を1種類だけ合法としている州もありますが、こうした州は地図で表されていません。医療マリファナに対する法は州ごとに異なります。

地図は大麻の医療使用が承認されている米国内の州と準州を示しています。

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地図は大麻の医療使用が承認されている米国内の州と準州を示しています。

4.大麻はどのように投与または摂取しますか。

大麻は口から摂取する(焼き菓子に混ぜて、またはハーブティとして)か、吸引して使用することができます。口から摂取すると、大麻の主要な精神活性成分(デルタ-9-THC)が肝臓で処理され、精神活性を持つ別の化学物質(11-OH-THC)に変換されます。

喫煙や吸引によって大麻を摂取すると、速やかにカンナビノイドが血流に入ります。口から摂取した場合に比べ、精神活性を持つ化学物質(11-OH-THC)が作られる量は少なくなります。

複数の臨床試験で、カンナビス(大麻草)の抽出物から作られた一定量のカンナビノイドを含有する薬物が研究されており、こうした試験の数は増加しています。この薬物は舌下に噴霧して投与します。

5.大麻またはカンナビノイドを用いた基礎研究や動物試験は実施されていますか。

基礎研究では、腫瘍細胞を使用して、特定の物質が抗がん作用をもつかどうかを調べます。動物試験では、特定の薬物、処置、治療法などが動物において安全で有効かどうかを調べる試験が行われます。基礎研究や動物試験は、ヒトを対象とした試験に先立って行われます。

基礎研究または動物試験では、研究室での実験によりカンナビノイドの効果が調べられています。カンナビノイドを使用して行われた基礎研究や動物試験に関する情報については、大麻(カンナビス)とカンナビノイドに関する医療専門家向けバージョンの要約で、Laboratory/Animal/Preclinical Studies(基礎研究/動物試験/前臨床研究)のセクションを参照してください。

6.ヒトを対象とした大麻またはカンナビノイドの研究は実施されていますか。

ヒトを対象としたがん治療薬としての大麻の進行中の研究は、米国国立衛生研究所により管理されているCAM on PubMedデータベースには存在しません。

小規模な研究はいくつか実施されていますが、結果が報告されていないか、より規模の大きい研究の必要性が示唆されています。

大麻とカンナビノイドは、がんやがん治療の副作用を管理する方法として研究されています。

吐き気と嘔吐

大麻とカンナビノイドは、がんやがん治療により生じる吐き気嘔吐の治療薬として研究されています。

がん患者さんを対象として、化学療法によって引き起こされる吐き気の治療に用いられる新しい薬物を大麻またはカンナビノイドと直接比較する試験は、これまでに実施されていません。

吐き気などの症状がみられる小児に大麻やカンナビノイドを用いる治療法が注目されていますが、これに関する研究は少数しかありません。米国小児科学会は、脳の発達に対する影響が懸念されるとして、大麻とカンナビノイドの使用を是認していません。

食欲の刺激

カンナビノイドの食欲を増進する作用が研究されています:

痛みの緩和

大麻とカンナビノイドは痛みの治療に関して研究されています:

不安

大麻とカンナビノイドは不安の治療に関して研究されています。

7.大麻とカンナビノイドによる副作用またはリスクは報告されていますか。

カンナビノイドの副作用には、次のようなものがあります:

大麻とカンナビノイドはいずれも嗜癖性(習慣性)があると考えられています。カンナビノイドの使用を中止することで起こる離脱症状には、次のようなものがあります:

これらの症状はアヘン剤の離脱に伴う症状より軽度で、通常は数日で消失します。

大麻使用のリスクに関する研究

大麻喫煙に関連する様々ながんのリスクが研究され、以下の知見が得られています:

大麻使用と精巣胚細胞腫瘍の高リスクに関連があるかどうかを明らかにするには、長期間にわたって患者さんを追跡する大規模研究が必要です。

8.米国食品医薬品局は、大麻またはカンナビノイドをがん関連の症状やがん治療の副作用に対する治療に使用することを承認していますか。

米国食品医薬品局(FDA)は、がんの治療薬として大麻またはカンナビノイドを使用することを承認していません。

米国食品医薬品局(FDA)は、大麻をがん関連の症状やがん治療の副作用の治療に使用することを承認していません。

2種類のカンナビノイド(ドロナビノールとナビロン)は、制吐薬による治療が効果を発揮しない患者さんにおいて化学療法が原因で生じた吐き気と嘔吐の治療薬として、FDAに承認されています。

現在実施中の臨床試験

NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。 臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。

本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療での大麻やカンナビノイドの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Integrative, Alternative, and Complementary Therapies Editorial Board.PDQ Cannabis and Cannabinoids.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/cam/patient/cannabis-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389314]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、3,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替療法を検討されているがん患者さんは、どんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。補完代替療法の中には、標準治療を妨げるものや、従来の治療と併用した場合に有害となるものがあります。

補完代替医療(CAM)の治療法の評価

CAM療法は、従来の治療に対する検証と同じように、科学的な方法で検証することが重要です。米国国立がん研究所および米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)は医療施設において、がんに対するCAM療法の検証を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。ほとんどのCAM療法は厳密な科学的方法で検証されていません。純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法は、治癒を目指すものではなく、患者さんをより楽にし回復を早めるための補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)の専門家委員会によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理を助けることがわかりました。一方で、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、効果がないか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMはこれらの資料を慎重に検討し、さらに調査を行う価値があるかどうかを判断します。

補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。

補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完統合衛生センター(NCCIH)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完統合衛生センター(NCCIH)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。

CAM on PubMed

NCCIHおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、NCIのウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)にフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)で電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前9時から午後9時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです: