ご利用について
医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。
本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。
CONTENTS
- 小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)に関する一般情報
-
過去50年間で、小児悪性腫瘍に対する治癒的治療の開発では劇的な進歩が成し遂げられている。成人期に至る長期生存は、小児悪性腫瘍に対する現代的な治療法が入手可能になるにつれて80%を超える小児に期待される。[ 1 ][ 2 ]このような生存率が得られる基になった治療法は、がん治療を終えてから数ヵ月ないし数年後に現れる「晩期合併症(晩期障害)」と呼ばれる、有害な長期にわたる健康関連転帰も同時にもたらすことがある。
多様な方法によって、小児がんに関連する長期間の罹病率と早期死亡への寄与に関する知識の解明が進められてきた。このような取り組みにおいては、以下のデータに対する研究を含む一連のリソースが活用されている:
臨床状態と受けた治療の点から十分に特徴付けられ、医学的評価により特定の影響が包括的に確認された生存者の転帰を報告する研究は、一般的に晩期がん治療関連毒性の発生とリスクプロファイルを明らかにするための質の高いデータを提供する。研究方法にかかわらず、報告される知見の文脈でコホート研究の選択バイアスと参加バイアスを考慮することが重要である。
小児がん生存者における晩期合併症(晩期障害)の有病率
晩期合併症(晩期障害)は、小児がんで生存している成人の多くが経験している;晩期合併症(晩期障害)の有病率は、がん診断からの経過時間が長いほど高い。集団ベース研究により、小児および若年成人のがん生存者では、年齢および性別が一致する対照群に比べ、病院に関連する罹病率が高いことが裏付けられる。[ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 10 ][ 11 ][ 12 ][ 13 ][ 14 ]
調査によると、小児期にがんの治療を受けた成人では、以下を含めて、晩期合併症(晩期障害)が高い合併症負担の原因であることが明らかになっている:[ 6 ][ 8 ][ 9 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ][ 18 ]
累積疾患負担測定法-この測定法では、複数の健康障害および再発性のイベントが、競合リスクを考慮した単一の測定基準に組み込まれる-を用いたところ、St. Jude Lifetime Cohortの生存者は、50歳までに平均で17.1回の慢性の健康障害を経験し、このうち4.7回が重度/障害性、命を脅かす、または致死的であった。[ 17 ]これは、9.2回の慢性の健康障害を経験し、このうち2.3回が重度/障害性、命を脅かす、または致死的であった対応する地域の対照者における累積疾患負担とは対照的である(図1を参照のこと)。[ 17 ]
有病率のばらつきは、以下の因子にみられる差に関連している:
Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)の研究者らによると、このコホートの成長した生存者における罹病および死亡の高いリスクは、30代を過ぎて増加することが明らかになった。自己報告による重度、障害性、命を脅かす、または致死的な健康障害の50歳までの累積発生率は、生存者が53.6%であったのに対して、同胞対照では19.8%であった。過去に重度、障害性、命を脅かす、または致死的な健康障害を認めることなく35歳に達した生存者では、10年以内にグレード3からグレード5の新たな障害を25.9%が経験したのに対して、健康同胞では6.0%であった(図2を参照)。[ 6 ]
重篤、障害性、および命を脅かす慢性健康障害の存在は、年齢を重ねた生存者の健康状態に有害な影響を及ぼし、機能障害および活動制限に対して最も影響が大きい。予想通り、慢性健康障害は、集団対照よりも成人生存者で情動的苦痛症状の有病率が高い一因となっていると報告されている。[ 19 ]女性生存者では、加齢による健康状態の悪化傾向が男性生存者より急激であることが示されている。[ 20 ]臨床的に確認されたコホートにおける晩期合併症(晩期障害)の有病率が高いことは、スクリーニングおよびサーベイランスの手段により検出される無症候性および診断未確定の病態に関連している。[ 9 ]
CCSSの研究者らはまた、ヒスパニック系(n = 750)および非ヒスパニック系の黒人(n = 694)参加者と非ヒスパニック系白人参加者(n = 12,397)における晩期死亡率、その後の腫瘍、および慢性的な健康障害を比較することで、人種および民族性が晩期アウトカムに及ぼす影響も評価した。[ 21 ]以下の結果が観察された:
晩期合併症(晩期障害)の認識は、がんの生物学、放射線科学および支持療法の進展と並行して、その有病率および治療の影響範囲に変化をもたらしている。晩期合併症(晩期障害)を減少させ、予防するための取り組みにおいて、ほとんどの小児悪性腫瘍に対する現代の治療は、さまざまな臨床的要因、生物学的要因、およびときには遺伝因子に基づいて決定されるリスク調整アプローチに移行している。CCSSは、1970年から1999年までの数十年の治療で使用された治療用放射線の累積線量および照射頻度の減少により、生存者で二次新生物のリスクに有意な減少が認められることを報告した。[ 23 ]侵攻性または難治性/再燃性の悪性疾患に対する強力な集学的治療(ときに造血細胞移植を含む)が必要であった生存者を除けば、現代的な治療の後、追跡期間の早期(診断から10年後まで)では、命に関わる治療の影響は比較的少ない。しかしながら、生存者では、がん治療による内分泌機能、生殖機能、筋骨格機能、および神経機能に対する影響に関連した、生活を変える病気が依然として高頻度に認められる。
CCSSの1件の研究で、1970年から1999年に治療された生存者における重度から致死的な慢性健康障害の累積発生率の時間的パターンが調査された。1つ以上のグレード3~5の慢性障害が起こる20年累積発生率は1970年から1979年に診断された生存者に対する33.2%から、1980年から1989年に診断された生存者に対する29.3%、および1990年から1999年に診断された生存者に対する27.5%へと有意に低下したが、同胞コホートにおける発生率は4.6%であった。10年ごとの3つ治療期間で慢性障害の発生率が全般的に低下したのは、一部には内分泌障害、その後の悪性新生物、筋骨格系疾患、消化管疾患が実質的に低下したためである一方、この期間で難聴の累積発生率は増加した。診断グループまたは障害の種類で罹病の低下は一様ではなかったが、それは経時的な治療および生存パターンに差があったためである(詳しい情報については、図3を参照のこと)。[ 24 ]
死亡率
晩期合併症(晩期障害)は、以下に示すように小児がんの長期生存者における早期死亡の過剰リスクの一因ともなっている:
早期の罹病率が高いにもかかわらず、全体的な死亡率は、時間経過とともに低下している。[ 25 ][ 33 ][ 34 ][ 35 ][ 36 ]この低下は、原発がんによる死亡が減少し、二次がんまたは治療関連毒性による死亡に関連した増加がないことに関係している。前者は治療の効力における改善を反映しており、後者は晩期合併症(晩期障害)の原因研究の結果として行われた治療変更を反映している。生存者における死亡率は一般集団のそれを上回り続けるという予想は、達した年齢とともに増加する可能性の高い長期続発症に基づく。治療プロトコルに基づいて治療された患者が成人期まで長期間追跡されれば、特異的治療介入との関連で過剰な生涯死亡率を評価できるであろう。
青年期および若年成人期のがん生存者
診断後5年を超えて生存している青年および若年成人のがん患者で、死亡の条件付き確率に関する情報はほとんど利用できない。SEERデータを用いて、最初に悪性がん(甲状腺がん、黒色腫、精巣腫瘍、乳がん、リンパ腫、白血病、中枢神経系[CNS]腫瘍)と診断された青年および若年成人患者(N = 205,954)のコホートで診断後25年までの条件付き相対生存が研究された。併合したすべてのがん種について、5年まで生存した患者で、その後の5年の相対生存率は、診断後7年まで95%を超えていた。この研究によると、診断後7年以上生存したほとんどの青年および若年成人のがん患者で、一般集団との生存期間の差はほとんどみられなかった。CNS腫瘍、女性の乳がん、ホジキンリンパ腫、および白血病などの特定のがん種では、がん診断後10年を超えて過剰な死亡リスクの証拠が持続または再現した。CNS腫瘍の青年および若年成人患者では、条件付き相対生存率が最低であったが、CNS腫瘍の診断時点で15~29歳の患者では、30~39歳の患者より生存率が高いことが実証された。[ 37 ]
晩期合併症(晩期障害)のモニタリング
治療法に特有な急性および晩期毒性の認識から、がん治療関連障害の病態生理学因子および予後因子を評価する研究の機運が高まってきている。このような研究の成果は、以下の取り組みに重要な役割を果たしている:[ 25 ][ 33 ]
小児がんでよくみられる晩期合併症(晩期障害)は、以下のような複数の広範な領域に関係している:
小児がんに対する治療の晩期続発症は、治療薬物曝露に基づいて予測できるが、リスクの大きさおよび個々の患者における発現は、多くの因子によって影響を受ける。晩期合併症(晩期障害)を考える上で、リスク評価で考慮すべき因子には以下のものがある:
生存者のケアを支援する資源
リスクに基づくスクリーニング
小児がん生存者の長期追跡の必要性は、American Society of Pediatric Hematology/Oncology、International Society of Pediatric Oncology、米国小児科学会、小児腫瘍学グループ(COG)、およびInstitute of Medicineにより支持されている。リスクに基づいた医学的追跡調査が推奨されているが、これには、以下の因子に基づくリスク推定を取り入れた生涯にわたるスクリーニング、調査、および予防に対する体系的な計画が含まれる。[ 38 ]
長期追跡調査の一部は、学習および職業の進展に関する適切なスクリーニングにも焦点を当てている。小児がんに対する特定の治療で、特に神経系の構造に直接影響を与えるものは、感覚系、運動系および神経認知の障害に至る場合があり、それが機能の状態、学業成績、将来の就業機会に有害な結果を及ぼす可能性がある。[ 39 ]CCSSの調査で、これを裏付ける以下の結果が得られた:[ 40 ]
これらのデータは、生存者が救済サービスを受けやすくする重要性を強調しており、そうすることで学業成績に好ましい影響を与え[ 41 ]、それにより就業機会が高まる可能性があることが実証されている。
リスクに基づいた医学的晩期合併症(晩期障害)のスクリーニングに加えて、健康行動ががん関連健康リスクに与える影響も重視される。小児がん生存者に対しては、健康増進行動を重視すべきである。教育を目標とした努力は、以下の面で価値があると考えられる:[ 42 ]
喫煙や飲酒の習慣があり不活発な生活を送る長期生存者の割合は妥当なレベルより高いことが数件の研究調査で確認され、これらは心肺および代謝の晩期合併症(晩期障害)のリスクを増大させるため、不健康で危険な行動に前向きに対処することが適切である。[ 42 ][ 43 ][ 44 ]
リスクに基づく生存者ケアの利用
小児がん生存者の大多数が推奨されているリスクに基づくケアを受けていない。CCSSでは、以下の観察結果が得られた:
健康保険の利用は、リスクに基づく生存者ケアにおいて重要な役割を果たすと考えられる。[ 49 ][ 50 ]健康保険が利用できない場合には、次の各点に影響が及ぶ:
- がん関連入院。CCSSによると、保険に未加入の生存者は、民間保険に加入している生存者より、がん関連来院(調整後相対リスク[RR]、0.83;95%CI、0.75-0.91)またはがんセンター来院(調整後RR、0.83;95%CI、0.71-0.98)を報告することが少なかった。保険に未加入の生存者は、民間保険に加入している生存者よりも、すべてのケア手段において利用頻度が少なかった。対照的に、公的保険に加入している生存者は、がん関連来院(調整後RR、1.22;95%CI、1.11-1.35)またはがんセンター来院(調整後RR、1.41;95%CI、1.18-1.70)を報告する例が民間保険に加入している生存者より高かった。[ 49 ]
- 医療アウトカム。青年と若年成人(AYA)のがんの長期生存者とがんの既往がない若年成人の医療アウトカムを比較した1件の研究では、保険に未加入の生存者の割合は2群間で差がなかった。[ 51 ]
- 経済的負担。AYAがん生存者のサブグループには、他にも医療上の障害に直面するリスクがある。若年の生存者(20~29歳)、女性、非白人、健康状態が不良であると報告している生存者は費用面での障害に直面し、これにより晩期合併症(晩期障害)の早期発見が妨げられている可能性がある。[ 51 ]
全体的に、小児がん生存者にとって健康保険の欠如は、健康問題、失業、および他の社会的要因の面からみて、依然として重大な懸案事項である。[ 52 ][ 53 ]「医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律(Health Insurance Portability and Accountability Act:HIPAA)」を含む立法[ 54 ][ 55 ]は、これらの政策に関連した法律の質および限界についての研究が十分ではないものの、生存者の健康保険の利用率および保有率を向上させている。
生存者ケアへの移行
長期追跡プログラム
米国ではほとんどの小児がん生存者に対して、小児から成人へ健康ケア環境を移行する必要がある。
利用可能であれば、小児がんセンターにおける集学的な長期追跡調査プログラムは、地域の医師と協力的に連携し合い、小児がん生存者のケアを提供する。この種の分担ケアは、がんセンターの腫瘍学チームと生存者のケアを提供している地域の医師グループとの間の調整を手助けする最適モデルとして提案されている。[ 56 ]
長期追跡調査プログラムの必要不可欠なサービスは、個人に合わせた生存者ケアプランの組織化であり、そのプランには次の情報が含まれる:
- 小児がんとそれにより考えられる健康リスクに対して実施される治療的介入に関する詳細(例えば、化学療法の種類と累積用量、放射線療法の照射野と線量、外科的処置、血液製剤輸血、および造血細胞移植)。
- 個別の健康スクリーニングに関する提案。
- リスクに変化をもたらす生活様式因子に関する情報。
将来の健康とがんリスクの認識について評価したCCSSの調査によって、長期間の追跡評価中、生存者の教育を継続することの重要性が強調された。成人生存者のかなりのサブグループが、リスク増加を伴う治療を受けた後でさえ、将来の健康(24%)およびその後のがんリスク(35%)に関して心配していないことを報告した。これらの知見は、生存者が有益なスクリーニングおよびリスク低減のための行動に従事する可能性が低いという懸念を提示している。[ 57 ]
このような情報が提供されていない生存者に対して、COGは、生存者が個人の治療概要を整理するために使用できるテンプレートを提供している(COGのSurvivorship Guidelines Appendix 1を参照のこと)。
COGのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)
生存者および扶養者が簡潔な情報をリスクに基づくケアの指針として利用しやすいように、COGの研究者は小児がん生存者のケアを標準化する目的をもって、曝露量およびリスクに基づく健康監視の推奨要綱を体系化している。[ 58 ]
リソースの概要は次の通りである:
- 長期追跡ガイドライン。COGのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent and Young Adult Cancersは、治療終了から2年以上にわたって定期的な曝露に基づいた医学的評価に参加している無症状の生存者に適している。
- Health Links。「Health Links」と呼ばれる患者向け教材は、このようながん生存者集団における健康維持および健康増進を促進するために、ガイドライン規定の話題に関する詳細情報を提供している。[ 59 ]
- 包括的レビュー。 文献調査、ガイドライン内容の評価、新たな情報が現れた際のガイドライン改定の推奨案作成に責任がある集学的な組織ベース(例えば、心血管系、神経認知系、生殖系)のタスクフォースは、小児がんに特有な晩期合併症(晩期障害)を対象とした包括的レビューをいくつか公表している。[ 60 ][ 61 ][ 62 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ][ 66 ][ 67 ][ 68 ][ 69 ][ 70 ][ 71 ][ 72 ]
晩期合併症(晩期障害)に関する情報は本要約全体にわたって複数の表にまとめている。
複数の研究グループは、COGおよび他の小児腫瘍学共同グループが推奨するリスクに基づくスクリーニングの結果を評価する調査を実施した。[ 9 ][ 73 ][ 74 ]これらの研究結果を解釈するにあたって、次の事項が考慮された:
- 治療時におけるコホートの年齢にみられるばらつき。
- スクリーニング時の年齢。
- がん治療からの時間。
- 参加バイアス。
総合すると、これらの研究は、以前に認識されていなかった多様な重症度の治療関連合併症を有する人の割合が相当高いことがスクリーニングにより特定されることを実証している。また、利益の少ない評価も指摘し、スクリーニング推奨事項の改訂を促している。現在実施中の研究では、有益性、リスク、有害性を考慮する観点から、スクリーニングの費用対効果が評価されている。
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- 二次新生物
-
二次新生物(SN)は、原発悪性腫瘍に対する治療終了から2ヵ月以上経過して発現した、組織学的に明らかに異なる新生物として定義される。小児がん生存者はSNを発症するリスクが高く、そのリスクは次の因子によって変動する:
- 宿主因子(例えば、遺伝的特徴、免疫機能、ホルモン状態)。
- 原発がん治療。
- 環境曝露。
- 生活様式因子。
SNは無再燃晩期死亡の第一原因である(標準化死亡比、15.2;95%信頼区間[CI]、13.9-16.6)。[ 1 ]Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)は、以下の項目についての30年累積発生率を報告している:[ 2 ]
- すべてのSN:20.5%(95%CI、19.1%-21.8%)。
- 非黒色腫皮膚がん(NMSC):9.1%(95%CI、8.1%-10.1%)。
- 組織学的に悪性のSN(NMSCを除く):7.9%(95%CI、7.2%-8.5%)。
- 髄膜腫:3.1%(95%CI、2.5%-3.8%)。
これは、がん生存者では、SNのリスクが一般集団と比べて6倍高いことを示している。[ 2 ]
SNの過剰リスクが数件の研究で記述されている。[ 3 ]
証拠(40歳以降のSNの過剰リスク):
- CCSSコホートで、40歳以降に発生する新たなSN(悪性新生物、NMSC、良性髄膜腫、およびその他の良性新生物を含む)の55歳での累積発生率は34.6%であった。悪性SNの発生率は16.3%であった。多変量解析において、女性および治療のための放射線曝露はSN発症のリスク増加と関連していた。さらに、長期追跡により、小児がん生存者が成長すると複数のSNが多くみられることが立証されている。[ 4 ][ 5 ]
- CCSSにより、治療の時代がつい最近の治療患者では、初期の治療患者と比較してSN(二次悪性腫瘍、NMSC、良性髄膜腫を含む)のリスク減少が認められ、これは治療用放射線への曝露減少と関連していることが報告された;しかしながら、1990年代に治療を受けた患者では、一般集団と比較して依然としてSNのリスクが高かった。[ 6 ]
- CCSSフォローアップ研究では、頭蓋照射療法で治療された4,221人の参加者における髄膜腫に関連した合併症および死亡率が評価された。[
7
]
- この患者集団における40歳までのその後の髄膜腫の累積発生率は5.6%で、発生率に明らかなプラトーは認められなかった。
- その後の髄膜腫に対する危険因子としては、女性であること(ハザード比[HR]、1.7;95%CI、1.2-2.3)および比較的高い頭蓋部への放射線量(30Gy以上照射された後のHR、2.6;95%CI、1.6-4.2)が挙げられた。
- 髄膜腫を報告した生存者において、原発がん診断から5年以上経過後に神経学的後遺症が発生するリスクは、痙攣発作(HR、10.0;95%CI、7.0-15.3);聴覚-前庭覚-視覚感覚欠損(HR、2.3;95%CI、1.3-4.0);局所性神経学的機能障害(HR、4.9;95%CI、3.2-7.5);および激しい頭痛(HR、3.2;95%CI、1.9-5.4)で高かった。
- 髄膜腫診断からの追跡期間中央値72ヵ月時に、13%の患者が死亡し、6例の死亡は髄膜腫によるものであった。
- CCSSの研究者らはまた、放射線照射を受けていない長期生存者における化学療法とその後の悪性新生物(SMN)の関連を評価している。[
8
]
- 1,344人の生存者における1,498のSMNのうち、化学療法単独で治療された生存者206人に229のSMNが発生した。
- SMNの30年累積発生率は、化学療法単独群で3.9%、化学療法 + 放射線療法群で9.0%、放射線療法単独群で10.8%、およびどちらの治療も受けていない群で3.4%であった。
- SMNに対する標準化発生比(SIR)は、すべてのSMN(SIR、2.8)、その後の白血病/リンパ腫(SIR、1.9)、乳がん(SIR、4.6)、軟部肉腫(SIR、3.4)、甲状腺がん(SIR、3.8)、および黒色腫(SIR、2.3)について高かった。
- SMNの割合は、750mg/m2を超える用量のプラチナ製剤による化学療法(相対的比率、2.7)およびアルキル化剤(相対的比率、5,000mg/m2当たり1.2)への曝露に有意に関連していた。
- 乳がんの割合は、アントラサイクリン系への曝露に線形の用量反応(相対的比率、100mg/m2当たり1.3)を示した。
- オランダの研究者らは、1963年から2001年までに診断された小児がん生存者の大規模コホート(追跡期間中央値、20.7年)を対象に固形がんリスクに対する化学療法の関与を評価した。[
9
]
- 25年間のSN累積発生率は3.9%で、数十年にわたり変化はみられなかった。
- ドキソルビシンによる治療を受けた生存者では、すべての固形がんおよび乳がんの用量依存性リスク増加がみられた。
- 胸部への放射線照射または全身放射線照射(TBI)を受けなかった女性生存者(n = 31、乳がん)で、ドキソルビシン用量三分位数でのHRは、1.3(95%CI、0.3-6.1)、5.6(95%CI、1.9-16.2)、および9.9(95%CI、4.2-23.8)であった。
- ドキソルビシンと乳がんの用量反応性は、リー-フラウメニ症候群関連小児がん(白血病、中枢神経系[CNS]、およびユーイング肉腫以外の肉腫)の生存者の方が他のがんの生存者より強かった。
- この研究結果は、シクロホスファミドと二次性肉腫(特に骨肉腫)で用量反応関係を実証している以前のSN研究の結果でも確認された。二次性肉腫のHRは、9,400mg/m2を超える用量のシクロホスファミドが投与された生存者で3.1(95%CI、1.5-6.0)、イホスファミドが投与された生存者で2.6(95%CI、1.3-5.2)であった。
- St. Jude Lifetime Cohort Studyの研究者らにより、小児がん生存者におけるがん素因遺伝子の病原性変異および病原性の可能性が高い変異のSNのリスクに対する寄与が評価された。[
10
]
- 全ゲノム配列決定法(×30)で評価された研究参加者3,006人(年齢中央値、35.6歳)中、生存者439人(14.6%)に1,120のSNが診断され、生存者の5.8%に175の病原性変異および病原性の可能性が高い変異が同定された;放射線照射を受けていないSNを有する生存者における病原性変異および病原性の可能性が高い変異の保有率は18%とはるかに高かった。
- 変異は、何らかのSN(RR、4.7)、乳がん(RR、7.7)、非黒色腫皮膚がん(RR、11)、および2つ以上の組織学的に異なるSN(RR、18.6)の発症に関連し、また放射線照射を受けた生存者における乳がん(相対リスク[RR]、13.9)および肉腫(RR、10.6)の有意に高い割合にも関連した。
- 変異キャリアに髄膜腫または甲状腺がんの割合の増加は認められなかった。
- 悪性または非悪性疾患に対して1969年から2014年の間に移植を受け、中央値で12.5年間追跡された同種造血細胞移植(HCT)の1年生存者4,905人を対象にした研究により、TBIの線量および線量分割がSNのリスクに及ぼす強い影響が実証された。[
11
]
- 581のSN(皮膚の扁平上皮がんおよび基底細胞がんを除く)が499人の個人に発生した。
- SNの累積発生率は、HCT後30年で22.0%であった。
- SNのリスクは、高線量の非分割(600-1,200cGy)または非常に高線量の分割(1,440-1,750cGy)TBIに曝露した生存者で最も高かった。
- 低線量のTBI(200-450cGy)では、SNのリスクは化学療法単独でのリスクと同等であったが、一般集団におけるよりも依然として2倍高かった。
SNの発生は、病因において多因子性である可能性が高く、遺伝子と環境の相互作用や遺伝子と遺伝子の相互作用などの影響が複合してもたらされる。小児がん治療に組織耐性限界の薬物累積用量および治療法が含まれていた場合は、一部の組織学的サブタイプに対する治療が困難になる可能性があるため、SNの診断後の転帰はさまざまである。[ 12 ]
SNの発生率および種類は、次の因子によって異なる:
- 原発がんの診断。
- 受けた治療の種類。
- 遺伝性疾患の存在。
特異的治療上の曝露と特有の関係があるため、SNは次の2つの明らかに異なるグループに分類されている:
- 化学療法関連の骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病(t-MDS/AML)。
- 放射線療法関連の固形SN。
治療関連の骨髄異形成症候群および白血病
治療関連の骨髄異形成症候群および急性骨髄性白血病(t-MDS/AML)が、ホジキンリンパ腫(HL)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)、および肉腫の治療後に報告されており、治療後15年での累積発生率は約2%である。[ 13 ][ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ]
t-MDS/AMLには、以下の特徴がみられる:[ 13 ][ 18 ][ 19 ]
- 短い潜伏期間(原発がん診断から10年未満)。t-MDS/AMLのリスクは10~15年後に一定に落ち着く。二次性白血病の長期リスクは一次診断から15年を過ぎてからも有意に上昇するが(標準化発生比[SIR]、3.5;95%CI、1.9-6.0)、これらのイベントは比較的まれで、絶対過剰リスクは1,000人年当たり0.02例である。[ 19 ]
- アルキル化剤および/またはトポイソメラーゼII阻害剤との関連性。
t-MDS/AMLは、明らかに異なった染色体変化を特徴とするクローン性疾患である。次の2種類のt-MDS/AMLが、世界保健機関分類で認定されている:[ 20 ]
-
アルキル化剤関連型:t-MDS/AMLに関連するアルキル化剤には、シクロホスファミド、イホスファミド、メクロレタミン、メルファラン、ブスルファン、ニトロソウレア、クロラムブシル、およびダカルバジンが含まれる。[
21
]
アルキル化剤関連t-MDS/AMLのリスクは用量依存性で、曝露から3~5年の潜伏期間がある;また、5番(-5/del(5q))および7番(-7/del(7q))の染色体が関与した異常と関連している。[ 21 ]
-
トポイソメラーゼII阻害剤関連型:トポイソメラーゼII阻害剤には、エトポシド、テニポシド、アントラサイクリン関連の薬剤が含まれる。
トポイソメラーゼII阻害剤に曝露された患者にみられるほとんどの転座は、11q23バンドの第5エクソンと第11エクソンの間の切断点クラスター領域を分断し、混合細胞系列白血病とパートナー遺伝子とを融合する。[ 21 ]トポイソメラーゼII阻害剤関連のt-AMLは、6ヵ月から3年の潜伏後に顕性の白血病として現れ、11q23または21q22の染色体バンドを巻き込んだ均衡型転座と関連している。[ 22 ]
治療関連固形新生物
治療関連固形SNは全SNの80%を占め、放射線曝露との強い関連性が実証されているほか、潜伏期間が10年を超えるという特徴がある。固形SNのリスクは追跡期間延長に伴って増加する。また、固形SNのリスクは以下の場合に最も高くなる:[ 2 ][ 17 ]
- 低年齢で放射線に曝露した。
- 放射線の総線量が多い。
- 放射線曝露後の追跡期間が長い。
固形SNの組織学的サブタイプには、良性および低悪性度の悪性病変(例えば、NMSC、髄膜腫)から高悪性度の悪性腫瘍(例えば、乳がん、髄芽腫)に及ぶ多種多様な新生物が含まれている。[ 2 ][ 15 ][ 23 ][ 24 ][ 25 ][ 26 ][ 27 ]
小児がん生存者における固形SNは、以下に最もよくみられる:[ 2 ][ 13 ][ 15 ][ 17 ][ 24 ][ 28 ][ 29 ]
小児がんコホートの成人生存者を対象としたさらに長期の追跡で、以下の部位に上皮性新生物が観察されている:[ 2 ][ 13 ][ 23 ][ 30 ]
NMSCおよび髄膜腫などの良性および低悪性度のSNも観察されており、小児がんに対して放射線療法で治療された生存者に多くみられる。[ 2 ][ 24 ][ 25 ]
放射線曝露に加えて、特定の抗がん剤への曝露も固形SNを引き起こすことがある。前処置として高用量のブスルファンおよびシクロホスファミド(Bu-Cy)を用いたHCTのレシピエントでは、新たな固形がんの累積発生率は放射線曝露にかかわりなく、同程度であると考えられる。レジストリーベースのレトロスペクティブ・コホート研究では、TBIを省略したBu-Cyによる前処置は、固形SNのリスクが一般集団と比べて高いという関係が認められた。慢性移植片対宿主病が認められる場合は、特に口腔に障害がある患者でSNリスクが高かった。[ 31 ]
十分に立証された固形SNは以下のセクションで記述されている:[ 32 ]
乳がん
乳がんはHL後に最も多くみられる治療関連固形SNで、この主な理由は、HLの治療に使用される胸部放射線の照射線量が高いためである(二次乳がんのSIR、25-55)。[ 13 ][ 33 ]以下の各点は、小児HLの女性生存者に観察された内容である:
- 高線量で照射容積を拡大した放射線療法を30歳以下で受けた女性HL生存者に乳がんの過剰リスクが報告されている。[ 34 ]低線量の浸潤領域放射線療法を受けた女性も乳がんの過剰リスクがあることを示すデータが現れている。[ 35 ]
- 横隔膜上部(腋窩部を除く)への放射線療法を受けたHL患者では、マントル照射野への放射線療法を受けた患者よりも二次乳がんのリスクが有意に低かった。[ 36 ]
- 16歳未満で胸部放射線療法を受けた女性HL患者では、45歳までの乳がんの累積発生率が20%に迫る。[ 13 ]
- 胸部放射線照射後の潜伏期間は8~10年に及び、二次乳がんのリスクは放射線の照射線量に伴って直線的に増加する(傾向性のP < 0.001)。[ 37 ]
放射線照射によって生じる乳がんは、散発性乳がんの女性と比較すると、15年HL生存者に観察されるエストロゲン受容体陰性、プロゲステロン受容体陰性乳がんのリスクが2倍高いことから明らかなように、悪性度の高い臨床病理学的特徴があることが1件の集団ベースの研究で報告されている。[ 38 ]小児がんに対して放射線で治療された女性に発生するその後の乳がんの臨床的特徴を調査した数件の研究により、年齢でマッチさせた散発性浸潤がんよりも組織学的に侵攻性の高いサブタイプ(例、トリプルネガティブ乳がん)の割合が高いことが観察されている。[ 39 ][ 40 ]このような知見は、原発性乳がん対照と比較した場合にホルモン受容体の状態に特筆すべき変化が特定されていないHL生存者における乳がんを対象とした他の小規模な病院ベースのケースコントロール研究と対照的である。過去の研究でも、高悪性度と低悪性度腫瘍の全リスクに特筆すべき差がないことが明らかにされている。[ 41 ][ 42 ][ 43 ]
アルキル化剤の累積用量が高く、卵巣への放射線照射線量が5Gy以上(早発閉経の素因となる曝露量)による小児HLの治療は、乳がんリスクの減少と相関しており、乳がん発生に対してホルモン刺激が寄与する可能性を強く示している。[ 36 ][ 44 ][ 45 ]
放射線照射によって生じる乳がんのリスクを示したほとんどのデータが、HLに対して15~50Gyの線量範囲で治療を受けた患者を基にしている。しかしながら、乳がんのリスクは、胸部/肺へ転移したがん(例えば、ウィルムス腫瘍、肉腫)の治療に低放射線量を使用し、乳房組織に照射した以下の研究でも増加した:
- 肺に対して2~20Gy(中央値14Gy)の照射を受けたCCSSコホートの小児116人では、乳がんのSIRが43.6(95%CI、27.1-70.1)であった。[ 46 ]
- National Wilms Tumor Study(NWTS)による研究1~4(1969~1995)の女性参加者2,492人の報告では、乳がんの過剰リスクが扱われた。[
47
]
- 転移性ウィルムス腫瘍に対する胸部放射線照射を受けた女性369人のうち、16人が浸潤性乳がんを発症した(40歳時点の累積リスク、14.8%[95%CI、8.7-24.5])。5,010人年の追跡に基づくSIRは27.6であった(95%CI、16.1-44.2)。
- 患者369人のうち、胸部への照射線量が12Gy未満であった患者の割合は4%、12Gyであったのは64%、13~15Gyは19%、15Gy超は13%であった。
- 乳がんに罹患したすべての患者について(胸部照射の有無にかかわらず)、乳がんの初回診断時の年齢中央値は34.3歳(範囲、15.5-48.4)で、ウィルムス腫瘍の診断からの期間中央値は27.1年(範囲、7.9-35.7)であった。
小児がんに対して胸部放射線療法を受けた女性を対象に乳がんのサーベイランスを開始することによる生存利益を立証するには、現在までに得られている証拠では不十分であるが、過去に放射線またはアントラサイクリンへの曝露があるために治療法の選択肢が比較的限定される可能性がある女性では特に、小さな初期の腫瘍の検出を促す介入により予後が改善される可能性がある。
- 胸部放射線に曝露していない小児期の肉腫または白血病の生存者もまた、若年での乳がんリスクが高い。[
48
]
- CCSS研究者らは、胸部放射線を受けなかった女性参加者3,768人において一般集団の割合と比べて乳がんの4倍の過剰リスク(SIR、4.0;95%CI、3.0-5.3)を観察した。
- 乳がんリスクは肉腫生存者(SIR、5.3;95%CI、3.6-7.8)と白血病生存者(SIR、4.1;95%CI、2.4-6.9)で最も高く、45歳までの乳がんの累積発生率はそれぞれ、5.8%および6.3%と推定された。
- アルキル化剤およびアントラサイクリン系による治療は、用量依存性に乳がんのリスクを増加させた。
- オランダの研究者らは、1963年から2001年までに診断された小児がん生存者の大規模コホートを対象に固形がんリスクに対する化学療法の関与を評価した。[
9
]
- ドキソルビシンで治療された生存者では、乳がんリスクが用量依存性に増加した(250mg/m2以上の用量のアントラサイクリン系薬物で治療された生存者におけるHR、3.1;95%CI、1.4-6.5)。
- ドキソルビシンと乳がんの用量反応性は、リー-フラウメニ症候群関連がん(白血病、CNS、およびユーイング肉腫以外の肉腫)の生存者の方が他のがんの生存者より強かった。
- St. Jude Lifetime Cohort Studyでは、女性のがん生存者1,467人がその後に乳がんを発症するリスクについて査定され、画像検査によるサーベイランスで乳がんの転帰が影響されるかどうかが評価された。[
49
]
- 胸部放射線照射を受けなかった女性およびアントラサイクリン系薬物を投与されなかった女性における乳がんの累積発生率は、35歳で2%および50歳で15%であった。250mg/m2以上の用量のアントラサイクリン系薬物で治療された女性における累積発生率は、35歳で7%および50歳で46%であった。
- 複数のモデルで250mg/m2以上の用量のアントラサイクリン系薬物は、がん素因遺伝子変異を有する生存者および/または10Gy以上の胸部放射線を受けた生存者の除外後も依然として、乳がんリスクの増加に有意に関連していた。
- 画像検査および/または予防的乳房切除術により発見された乳がんは、身体所見により発見された乳がんと比較して、非浸潤性(in situ)乳がんで、腫瘤が小さく、リンパ節転移を来しておらず、化学療法なしで治療される可能性が高かった。
- これらの所見に基づいて、著者らは、比較的高用量のアントラサイクリン系薬物で治療された生存者に対して、乳房に影響を及ぼす放射線を受けた生存者および/または既知の乳がん素因変異(例、BRCA1/BRCA2)を有する生存者と一致する方法でのスクリーニングを推奨している。また、マンモグラフィと乳房磁気共鳴画像法(MRI)によるデュアルイメージングは、身体所見により発見された乳がんよりも低侵襲性の治療しか必要としない乳がんを同定する上で感度が高く特異的なアプローチである。
後に乳がんを診断されたCCSSの女性参加者(n = 274)とde novo乳がんを有するマッチングされた対照群の女性(n = 1,095)を対象にした研究において、小児がん生存者は乳がんの治療について調整した後でさえ、死亡率が高いことが明らかにされた(HR、2.2;95%CI、1.7-3.0)。生存者は、他の二次悪性新生物および心血管疾患や肺疾患など、他の健康関連の原因の結果として死亡する可能性が5倍高かった(HR、5.5;95%CI、3.4-9.0)。非同時性の二次乳がんの累積発生率は、対照と比較して有意に高かった(5年経過時に、小児がん生存者で8.0% vs 対照で2.7%;P < 0.001)。[ 50 ]
甲状腺がん
甲状腺がんは、次の事象の後に観察されている:[ 2 ][ 13 ][ 51 ]
- HL、ALL、脳腫瘍に対する頸部放射線療法。
- 神経芽腫に対するヨウ素 131メタヨードベンジルグアニジン(131I-MIBG)療法。
- 造血幹細胞移植のためのTBI。
ホジキン病生存者における甲状腺がんのリスクは一般集団の18倍になることが報告されている。[ 52 ]甲状腺がんの放射線関連リスクの重要な因子には以下のものがある:[ 53 ][ 54 ]
(甲状腺結節および甲状腺がんの検出に関する情報については、本要約の甲状腺結節のセクションを参照のこと。)
CNS腫瘍
脳腫瘍は、組織学的に異なる脳腫瘍に対する頭蓋照射後[ 24 ]、またはALLあるいは非ホジキンリンパ腫の患者における疾患管理のための頭蓋照射後に発生する。[ 14 ][ 56 ]小児がん治療後の二次CNS新生物について報告されたSIRは、研究間で8.1~52.3の範囲であった。[ 57 ]
二次脳腫瘍のリスクは、放射線の照射線量との線形の関係が実証されている。[ 2 ][ 24 ]
頭蓋照射による治療を受けた小児がん生存者では二次CNS新生物のリスクが増大することが十分に立証されているにもかかわらず、近年の文献ではこれらの病変に対するルーチンのスクリーニングの潜在的な害と利益が十分に評価されていない。[ 57 ]
骨および軟部組織腫瘍
遺伝性網膜芽細胞腫、ユーイング肉腫、および他の悪性骨腫瘍の生存者は、その後の骨および軟部組織腫瘍の発症リスクが特に高い。[ 62 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ][ 66 ]
20歳前にがんを診断された5年生存者69,460人を対象にした集団ベースの研究により、以下が観察された:
- その後の原発性骨がんのリスクは一般集団のリスクよりも22倍高く、45年累積発生率の推定値は0.6%であったのに対し、一般集団で予想される発生率は0.03%であった。[ 64 ]その後の原発性骨がんについて観察された過剰数は、年齢および診断からの年数とともに低下した。
- 同じコホートで、二次軟部肉腫のリスクは一般集団のほぼ16倍と高く、45年での累積発生率は、予想される発生率の0.1%と比較すると、1.4%と推定された。[
65
]診断時から軟部肉腫の発生までの期間中央値は19年であった。
- 最も多く観察された軟部肉腫は、平滑筋肉腫、線維の新生物、および悪性末梢神経鞘腫瘍であった。二次線維腫原発性肉腫のSIRは、診断時からの年数および達した年齢増加とともに減少したが、平滑筋肉腫および悪性末梢神経鞘腫瘍のSIRは、診断時からのすべての年数および達した全年齢にわたり一貫して高いままであった。
- 特に、肉腫のすべてのサブタイプの絶対過剰リスクは一般に低いが、網膜芽細胞腫後の平滑筋肉腫は例外であった(診断時から45年以上の生存者で絶対過剰リスクが10,000人年当たり52.7)。平滑筋肉腫の発症リスクは、一般集団で過剰リスクが0.7であることと比較すると、小児がんの生存者で30倍と高い。網膜芽細胞腫の生存者が最もリスクが高く(SIR、342.9)、次にウィルムス腫瘍の生存者(SIR、74.2)であった。ウィルムス腫瘍の診断後に観察された平滑筋肉腫の90%が放射線照射組織内に発生した。
放射線療法と関連して、線形の線量反応関係がみられる。[ 62 ][ 67 ]放射線療法について調整した後、アルキル化剤による治療も骨がんと関連しており、累積薬物曝露量に従ってリスクが増加する。[ 62 ]これらの初期の研究から得られたデータは、CCSSまたは他の研究者らが観察した以下のデータと一致している:
- CCSSコホートにおける二次性骨肉腫または軟部肉腫のリスク上昇は、放射線療法、肉腫の一次診断、他のSNの既往歴、およびアントラサイクリン系薬剤またはアルキル化剤の高用量による治療と関連していた。[ 68 ]CCSSの参加者における二次性肉腫の30年累積発生率は、放射線療法を受けた生存者で1.08%、受けなかった生存者で0.5%であった。[ 68 ]
- 1942年から1986年に治療を受けた小児固形がんの生存者4,171人のレトロスペクティブ・コホート(追跡期間中央値26年)において、用量-リスクのモデリングを用いて骨肉腫のリスクが研究された。[
67
]
- この用量-リスクのモデリングにより、骨肉腫のリスクは放射線療法を受けなかった患者と比較して、累積臓器吸収放射線量が15Gyまでわずかに増加し(HR、8.2;95%CI、1.6-42.9)、さらに放射線量が高くなると、急激に増加する(30Gy以上でHR、117.9;95%CI、36.5-380.6)ことが明らかになった。
- このモデルにおける1Gy当たりの過剰RRは、1.77(95%CI、0.62-5.94)であった。
- オランダの研究者らは、1963年から2001年までに診断された小児がん生存者の大規模コホートを対象に肉腫のリスクを調査した。[
9
]
- アルキル化剤のシクロホスファミドの使用は、用量依存性(9,400mg/m2以上の用量のシクロホスファミドで治療された生存者におけるHR、3.1;95%CI、1.5-6.0)に肉腫、特に骨肉腫のリスクを増加させることが明らかにされた。
- 両側性網膜芽細胞腫の生存者で、最もよくみられるSNは肉腫であり、特に骨肉腫が多い。[
69
][
70
][
71
][
72
]固形悪性腫瘍の発がんに対する化学療法の寄与は、1914年から1996年の間に診断され、2009年まで観察された遺伝性網膜芽細胞腫の5年生存者906人の長期追跡研究で明らかになった。[
63
]
- このコホートのメンバーでは、アルキル化剤を用いた治療により、二次骨腫瘍(HR、1.60;95%CI、1.03-2.49)および平滑筋肉腫(HR、2.67;95%CI、1.22-5.85)のリスクが有意に増加した。
- 平滑筋肉腫の発現は、アルキル化剤を用いた化学療法および放射線療法後の方が放射線療法単独と比較して多くみられた(40歳で、5.8% vs 1.6%;P = 0.01)。
- 1914年から2006年の間に診断された遺伝性網膜芽細胞腫の放射線照射を受けた生存者952人のコホートにおいて、CCSS研究者らにより、骨肉腫および軟部肉腫のリスク増加は年齢、位置、および性別で異なることが観察された。[
73
]
- 頭頸部の骨肉腫および軟部肉腫の診断は小児期の早い時期に始まり、成人期にかけて明確に続いた(60年累積発生率は、頭頸部の骨肉腫で6.8%および頭頸部の軟部肉腫で9.3%であった)。
- 体幹および四肢の骨肉腫の発生率は青年期以降は平坦化した(60年累積発生率、3.5%)。
- 体幹および四肢の軟部肉腫の発生率は30歳まではまれであったが、30歳以降の発生率は急激に増大し(60年累積発生率、6.6%)、特に女性で増大した(60年累積発生率、9.4%)。
- 遺伝性網膜芽細胞腫の放射線照射を受けた患者160人を対象にした1件のレトロスペクティブ研究では、外照射療法が実施される年齢(生後12ヵ月前または後)およびその後の悪性腫瘍の発症間で相関は確認されなかった。その後の悪性腫瘍を発症した患者と発症しなかった患者で、RB1変異型による差は認められなかった。また、変異型とSMNの位置、またはSMNの種類と診断時年齢との関連も認められなかった。この研究で、低浸透度の変異を有し、外照射療法を受ける患者はSMNのリスクが依然として高く、慎重に監視すべきであると示された。[ 66 ]
軟部肉腫にはさまざまな組織学的サブタイプが存在し、具体的には、非横紋筋肉腫性軟部肉腫、横紋筋肉腫、悪性末梢神経鞘腫瘍、ユーイング腫瘍/原始神経外胚葉性腫瘍、および他のまれな型の腫瘍などがある。CCSSは、小児がん生存者14,372人を対象にしたネステッドケースコントロール研究の症例105例および対応対照422例に関して、以下の結果を報告した。[ 74 ]
- 軟部肉腫は最初の診断から中央値にして11.8年(範囲、5.3~31.3年)経過時に発生した。
- 放射線へのいずれの曝露も軟部肉腫の発生リスクの増加に関連し(OR、4.1;95%CI、1.8-9.5)、線形の線量反応関係が実証された。
- アントラサイクリン系への曝露は、放射線量とは関係なく軟部肉腫のリスクに関連した(OR、3.5;95%CI、1.6-7.7)。
皮膚がん
非黒色腫皮膚がん(NMSC)は小児がん生存者に最もよくみられるSNの1つで、放射線療法と強い相関を示す。[ 75 ]CCSSでは、以下の観察結果が得られた:
- 放射線療法を受けたCCSSの参加者は、放射線療法を受けなかった参加者と比較して、NMSCのリスクが6.3倍(95%CI、3.5-11.3)も高かった。[ 76 ]
- 腫瘍の90%が放射線照射領域内に発生した。[ 76 ]
- CCSSの同じコホートを対象にしたケースコントロール研究で、その後の基底細胞がん(BCC)に関する報告が発表された。皮膚に35Gy以上の放射線を受けた小児は、放射線療法を受けなかった小児と比較してBCC発症の過剰リスクがほぼ40倍も高かった(OR、39.8;95%CI、8.6-185);結果は線形の線量反応関係が一貫してみられ、1Gy当たりの過剰なORは1.09(95%CI、0.49-2.64)であった。[
76
]
これらのデータは、このリスクを高める可能性がある紫外線曝露を減らす日光防御対策について、生存者に対してカウンセリングを実施する重要性を強く示している。[ 25 ]
Dutch Childhood Oncology Group(DCOG)-LATERコホートにおける小児がん生存者5,843人では、研究者らにより、小児がん生存者はBCC発症リスクが30倍高いことが明らかにされた。最初のBCC診断後、患者の46.7%がその後さらにBCCを発症した。このリスクは最初の放射線領域への何らかの放射線療法(HR、14.32)に関連し、また照射野内の皮膚表面積の推定割合(曝露面積26%-75%:HR、1.99;76%-100%:HR、2.16 vs 1%-25%;曝露におけるP傾向 = 0.002)に関連していた。BCCリスクは、規定された放射線量および日光に曝露した可能性のある皮膚領域に関連しなかった。調査されたすべての化学療法群のうち、ビンカアルカロイドのみがBCCリスクを増加させた(HR、1.54)。[ 77 ]
最初のSNとしてNMSCが発生することで、将来的に浸潤性悪性SNのリスクが高い集団が特定されることが報告されている。[ 4 ]CCSSの研究者らは、放射線曝露を受けた生存者における15年時点での悪性新生物の累積発生率について、最初のSNとしてNMSCを発症した生存者では20.3%(95%CI、13.0%-27.6%)であったのに対して、最初のSNが浸潤性悪性腫瘍であった生存者では10.7%(95%CI、7.2%-14.2%)あったことを認めた。
小児がん生存者コホートでは、悪性黒色腫もSNとして報告されているが、発生率はNMSCよりはるかに低い。19件のオリジナル研究(合計生存者 N = 151,575;追跡調査期間中央値13年)からのデータを含む系統的レビューにより、悪性黒色腫の年間発生率が小児がん生存者100,000人当たり10.8例であることが確認された。[ 78 ]
これらの研究で、次のような悪性黒色腫の危険因子が特定された:[ 78 ]
- 放射線療法。
- アルキル化剤と有糸分裂阻害剤との併用療法。
黒色腫は、HL、遺伝性網膜芽細胞腫、軟部肉腫、および性腺腫瘍の生存者に最も高頻度に発生したが、関連研究で報告された生存者の中で、他の種類の小児がんで黒色腫リスクの評価がなされていない生存者の数は比較的少なかった。[ 78 ]
CCSSの研究者らによる観察では、コホート構成員では黒色腫のリスクが約2.5倍高かった(SIR、2.42;95%CI、1.77-3.23、発症までの期間中央値、21.0年)。最初のがん診断から35年経過時におけるそれ以降の最初の黒色腫の累積発生率は0.55%(95%CI、0.37%-0.73%)、絶対過剰リスクは1,000人年当たり0.10(95%CI、0.05-0.15)であった。がんの家族歴、人口統計学的因子、または治療関連因子は黒色腫のリスクを予測しなかった。[ 79 ]
肺がん
肺がん:小児がん生存者コホートで、肺がんは比較的まれなSNである;CCSSの参加者における肺がんの30年累積発生率は0.1%(95%CI、0.0%-0.2%)であった。[ 2 ]以下の各点は、小児HLの成人生存者に観察された内容である:[ 80 ]
- 肺がんはHLに対する胸部放射線照射後に報告されている。リスクは診断後の経過時間の長さに関連して増大する。
- 喫煙はHLに対する放射線療法後に発生する肺がんの発現と関連している。放射線量増加に伴う肺がんリスクの増加は、放射線曝露後に喫煙した患者の方が、喫煙を控えた患者より大きい(P = 0.04)。
消化管(GI)がん
小児がんの生存者では一般集団よりも頻繁かつ若い年齢で消化管悪性腫瘍が発生するという実質的な証拠が存在する。[ 13 ][ 81 ][ 82 ][ 83 ][ 84 ]
以下の各点は、小児がんの成人生存者に観察された内容である:
- Late Effects Study Groupは、小児HLの成人生存者では胃がんのリスクが63.9倍に増大し、大腸がんのリスクが36.4倍に増大することを報告した。以前の放射線療法に加え、原発がんの治療時に若年(0~5歳)であることもリスクを顕著に増大させた。[ 13 ]
- 17歳未満で小児固形がんと診断された生存者を対象としたフランスと英国のコホート内ケースコントロール研究によると、消化器官にSNを発症するリスクは治療法によって異なっていた。以下の結果も観察された:[
81
]
- 消化管がんのリスクは一般集団の9.7倍以上になることが報告されている。
- SNは最も頻繁に結腸/直腸(42%)、肝臓(24%)、および胃(19%)に関係した。
- 放射線療法の線量-反応の関連性が強く示され、放射線療法を受けていない生存者における線量反応と比べたORは、局所照射線量が10~29Gyで5.2(95%CI、1.7-16.0)、30Gy以上で9.6(95%CI、2.6-35.2)であった。
- 化学療法単独および集学的治療法は、消化管にSNを発症するリスクが有意に高かった(SIR、9.1;95%CI、2.3-23.6;SIR、29.0;95%CI、20.5-39.8)。
- CCSS研究者らは、研究参加者における消化管のSNリスクが、一般集団の4.6倍(95%CI、3.4-6.1)であることを報告した。さらに、以下の結果も報告している:[
82
]
- SNは最も頻繁に結腸(39%)、直腸/肛門(16%)、肝臓(18%)、および胃(13%)に関係した。
- 大腸がんのSIRは、4.2(CI、2.8-6.3)であった。
- 最も一般的な消化管のSNの組織型は腺がん(56%)であった。
- 最も高い消化管のSNリスクは、腹部への放射線照射(SIR、11.2;CI、7.6-16.4)と関連していたが、放射線に曝露していない生存者もリスクが有意に高かった(SIR、2.4;CI、1.4-3.9)。
- 高用量のプロカルバジン(RR、3.2;CI、1.1-9.4)および白金製剤(RR、7.6;CI、2.3-25.5)は、それぞれ独立してGIのSNリスクを増加させた。
- St. Jude Children's Research Hospitalの研究者らは、米国集団の対照と比較した二次性大腸がんのSIRが10.9(95%CI、6.6-17.0)であったことを明らかにした。さらに、次の結果も報告している:[
83
]
- 二次性大腸がんの発生率は年齢上昇とともに急激に増大し、40年累積発生率は全コホート(N = 13,048)で1.4% ± 0.53%、5年生存者で2.3% ± 0.83%であった。
- 放射線量が10Gy増えるごとに、大腸がんのリスクは70%増大し、放射線照射容積が大きい場合もリスクが増大した。
- アルキル化剤化学療法による治療も、二次性大腸がんの8.8倍という過剰リスクと関連していた。
- 多施設プロスペクティブ研究で、10年以上前に腹部/骨盤部に放射線照射を受け、35~49歳で大腸内視鏡検査によるスクリーニングを受けた小児がん生存者の27.8%で前がん性の可能性がある腫瘍性ポリープが発見されたことが観察された。[
85
]
- このポリープの有病率は、50歳を超える平均リスクの集団で以前に報告されたものと同程度以上であり、遺伝性の非ポリポーシス結腸がん患者での24%の発生率と同程度である;35~49歳の一般集団におけるポリープの有病率は不明である。
- DCOG-LATERレコードリンケージ研究により、中央値で24.9年追跡された小児がんの5年生存者5,843人において組織学的に確認された大腸腺腫のリスクが評価された。[
86
]
- 45歳までの大腸腺腫の累積発生率は、腹骨盤部照射を受けた生存者で3.6% vs 腹骨盤部照射を受けなかった生存者で2.0% vs 同胞で1.0%であった。
- 腺腫のリスクに関連する因子は、腹骨盤部照射(HR、2.1)、TBI(HR、10.6)、シスプラチン(HR、480mg/m2未満で2.1;HR、480mg/m2以上で3.8)、肝芽腫の診断(HR、27.1)、および早発型大腸がんの家族歴(HR、20.5)であった。
- 腹骨盤部照射またはTBIを受けていない生存者では、プロカルバジンへの曝露もまたリスクの増加に関連した(HR、2.7)。
- 2つの施設の大規模シリーズにおいて、(1914年から2016年に診断された)網膜芽細胞腫患者2,053人が確認された。[
87
]
- ほとんどの死亡は、診断から70年以上の遺伝性網膜芽細胞腫患者で発生し(1,129人中518人)、これらの死亡のうち267人は二次がんが原因であった。
- 膵がん、大腸がん、および腎がんによる死亡リスクの増加が報告された。
- 二次がんの全般的なリスクは、放射線療法単独で治療された患者よりも放射線療法と化学療法の併用で治療された患者で高かったが、臓器部位により二次がんリスクのパターンはさまざまであった。
- 1997年から2006年に診断された網膜芽細胞腫生存者143人の新たなコホートによると、死亡率における改善が継続して観察された。
- 非遺伝性網膜芽細胞腫患者では、二次がんが原因の死亡は患者924人中27人のみであった。
まとめると、これらの研究から、高リスクの線量に曝露された生存者では、大腸がんサーベイランスを若い年齢で開始する必要性が支持される。[ 13 ][ 81 ][ 82 ][ 83 ][ 88 ]
SN後の生存転帰
Surveillance, Epidemiology, and End Results (SEER) Programからのデータを用いて、最初の原発性悪性腫瘍を有する60歳未満の患者(n = 1,332,203)が、2回目の原発性悪性腫瘍を有する小児がん生存者(n = 1,409)と比較された。2回目の原発性悪性腫瘍を診断された小児がん生存者は、研究でがんの種類、年齢、性別、人種、および診断の10年間で調整後、がんの既往のない同等の患者よりも全生存が不良であった(HR、1.86;95%CI、1.72-2.02)。小児がんの既往は、最も一般的に診断される2回目の原発性悪性腫瘍(乳がん、甲状腺がん、急性骨髄性白血病、脳腫瘍、黒色腫、骨がん、軟部肉腫など)による死亡リスクの2~3倍の増加に一貫して関連していた。[ 94 ]
後に乳がんを診断されたCCSSの女性参加者(n = 274)とde novo乳がんを有するマッチングされた対照群の女性(n = 1,095)を対象にした研究において、小児がん生存者は乳がんの治療について調整した後でさえ、死亡率が高いことが明らかにされた(HR、2.2;95%CI、1.7-3.0)。生存者は、他のSMNおよび心血管疾患や肺疾患など、他の健康関連の原因の結果として死亡する可能性が5倍高かった(HR、5.5;95%CI、3.4-9.0)。非同時性の二次乳がんの累積発生率は、対照と比較して有意に高かった(5年経過時に、小児がん生存者で8.0% vs 対照で2.7%;P < 0.001)。[ 50 ]
二次新生物と遺伝的感受性
文献によると、SN発生における化学療法と放射線療法の役割が明確に裏付けられている。しかしながら、個人間変動が存在し、遺伝子変異が遺伝毒性薬曝露に対する脆弱性に関与しており、リー-フラウメニ症候群のような遺伝的感受性症候群ががんリスクを増大させることを示唆している。[ 95 ][ 96 ]過去の研究により、特にリー-フラウメニ症候群の家族歴またはがんの家族歴を有する小児がん生存者は、SNの発症リスクが高いことが明らかにされている。[ 97 ][ 98 ]
SNのリスクは、これらの重篤な遺伝性疾患(例えば、リー-フラウメニ症候群)の原因となる、浸透度が高い遺伝子の変異によって潜在的に変化する可能性がある。[ 98 ]しかしながら、浸透度が高い遺伝子における変異の保有率はきわめて低いため、寄与リスクは非常に小さいと予測される。
同様に、神経線維腫症1型(NF1)を認め原発腫瘍を発症する小児は、NF1を認めない小児がん生存者と比較してSNのリスクが高い。放射線による治療(ただし、アルキル化剤ではない)によって、NF1を認める生存者におけるSNのリスクが増大する。[ 99 ]
表1に、多種多様な新生物、欠陥遺伝子、および遺伝性がん素因の中から選択された症候群のメンデル型遺伝モードについて要約している。
表1.遺伝性がん素因の中から選択された症候群a 症候群 主要な腫瘍型 欠陥遺伝子 遺伝モード AML = 急性骨髄性白血病;MDS = 骨髄異形成症候群;WAGR = ウィルムス腫瘍(W)、無虹彩症(A)、泌尿生殖器奇形(G)、精神遅滞(R)。 a 出典:Schwartz et al.[ 100 ] b患者の一部で優性遺伝がみられ、自然突然変異が生じている可能性がある。 結腸の腺腫性ポリポーシス 結腸がん、肝芽腫、腸のがん、胃がん、甲状腺がん APC 優性遺伝 毛細血管拡張性運動失調症 白血病、リンパ腫 ATM 劣性遺伝 ベックウィズ-ヴィーデマン症候群 副腎がん、肝芽腫、横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍 CDKN1C/NSD1 優性遺伝 ブルーム症候群 白血病、リンパ腫、皮膚がん BLM 劣性遺伝 ダイアモンド-ブラックファン貧血 結腸がん、骨原性肉腫、AML/MDS RPS19および他のRP遺伝子 優性遺伝、自然突然変異b ファンコニー貧血 婦人科腫瘍、白血病、扁平上皮がん FANCA、FANCB、FANCC、FANCD2、FANCE、FANCF、FANCG 劣性遺伝 若年性ポリポーシス症候群 消化管の腫瘍 SMAD4/DPC4 優性遺伝 リー-フラウメニ症候群 副腎皮質がん、脳腫瘍、乳がん、白血病、骨肉腫、軟部肉腫 TP53 優性遺伝 多発性内分泌腫瘍1型 膵島細胞腫瘍、副甲状腺腺腫、下垂体腺腫 MEN1 優性遺伝 多発性内分泌腫瘍2型 甲状腺髄様がん、褐色細胞腫 RET 優性遺伝 神経線維腫症1型 神経線維腫、視経路グリオーマ、末梢神経鞘腫瘍 NF1 優性遺伝 神経線維腫症2型 前庭神経鞘腫 NF2 優性遺伝 母斑基底細胞がん症候群 基底細胞がん、髄芽腫 PTCH 優性遺伝 ポイツ・ジェガース症候群 腸のがん、卵巣がん、膵がん STK11 優性遺伝 網膜芽細胞腫 骨肉腫、網膜芽細胞腫 RB1 優性遺伝 結節性硬化症 過誤腫、腎血管筋脂肪腫、腎細胞がん TSC1/TSC2 優性遺伝 フォン・ヒッペル-リンダウ症候群 血管芽細胞腫、褐色細胞腫、腎細胞がん、網膜および中枢神経系の腫瘍 VHL 優性遺伝 WAGR症候群 性腺芽細胞腫、ウィルムス腫瘍 WT1 優性遺伝 ウィルムス腫瘍症候群 ウィルムス腫瘍 WT1 優性遺伝 色素性乾皮症 白血病、黒色腫 XPA、XPB、XPC、XPD、XPE、XPF、XPG、POLH 劣性遺伝 薬物代謝酵素とDNA修復多型
SNリスクにおける個人差は、浸透度が低い遺伝子によくみられる多型に関連しており、その多型が薬の活性代謝産物の利用能を調節したり、DNA修復に関与したりしている可能性が高い。遺伝子と環境の相互作用は、遺伝的変異に起因する微妙な機能差を誇張する場合がある。
薬物代謝酵素
遺伝毒性薬物の代謝は2段階で発生する。
- 第I段階は、基質を活性化して、きわめて反応性に富み、DNAを傷つける可能性がある求電子的中間物質を生じる、主に酵素のチトクロムp450(CYP)ファミリーが働く反応を伴う。
- 第II段階の酵素(接合)は、遺伝毒性基質を不活化する働きをする。その第II段階の蛋白は、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)酵素、NAD(P)H:quinone oxidoreductase-1(NQO1)酵素、およびその他で構成される。
この2組の酵素のバランスは、生体異物に対する細胞反応にきわめて重要である;例えば、第I段階の酵素活性が高く、第II段階の酵素活性が低いと、DNA損傷を引き起こす可能性がある。
二次新生物のスクリーニングおよび経過観察
小児がん生存者には、慎重なスクリーニングを行うことが重要である。[ 102 ]小児がん生存者の集団は比較的小さいことや、有病率および治療関連の合併症の発症までの時間により、スクリーニングの推奨事項が晩期合併症(晩期障害)に関連した罹病率および死亡率に及ぼす影響を評価する臨床研究は実施が困難である。
小児がん生存者の大規模集団に対するよく管理された研究は、特異的治療への曝露と晩期合併症(晩期障害)との関連性の有力な証拠を提示している。この証拠は、複数の国内および国際共同グループ(Scottish Collegiate Guidelines Network、Children's Cancer and Leukaemia Group、小児腫瘍学グループ[COG]、DCOG)が、医学的に脆弱な小児がん生存者に対する即時ケアの必要性についての認識を広め、標準化することを目的に、コンセンサスに基づいた臨床診療ガイドラインを作成するために用いられている。[ 103 ]
小児がん生存者に対するすべての健康スクリーニングガイドラインは、証拠に基づくアプローチ(治療的曝露と晩期合併症(晩期障害)との確立された関連性を利用して高リスクのカテゴリーを特定する)と専門家の臨床経験の集積に基づくアプローチ(リスクの大きさとスクリーニング推奨事項の強さを一致させる)の両方を混合的に採用している。これらのガイドラインのスクリーニング推奨事項は、小児がん治療の晩期合併症(晩期障害)の専門家で構成される委員会のコンセンサスを表明している。[ 102 ][ 103 ]
悪性SNに対するCOGガイドラインは、小児がん生存者の中の特定の高リスク集団には、素因となる宿主因子、行動因子、治療因子があるため、強化したサーベイランスを行う価値があることを指摘している。[ 102 ]
- 白血病のスクリーニング:t-MDS/AMLは通常、曝露後10年以内に現れる。推奨事項には、アルキル化剤またはトポイソメラーゼII阻害薬への曝露後10年間にわたり、汎血球減少の徴候および症状に関する病歴聴取と身体診察によるモニタリングを実施することが含まれる。
-
放射線曝露後のスクリーニング:他のSNのほとんどは放射線曝露に関連しており、通常は曝露から10年以上が経過した後に発現する。スクリーニングの推奨事項には、照射野における皮膚および皮下組織についての毎年の注意深い身体診察を含む。
放射線療法に関連して多くみられるSNのスクリーニングに関する具体的なコメントは、以下の通りである:
-
早発型皮膚がんのスクリーニング:年1回の皮膚科検査で、照射野内の皮膚病変と色素性母斑を重点的に調べることが推奨される。生存者は以下の各点についての説明を受ける:
- 皮膚がんのリスク上昇。
- 日焼けによるリスク増大の可能性。
- 過度の紫外線曝露から皮膚を保護する行動を徹底することの利点。
-
早発型乳がんのスクリーニング:乳がん後の転帰は診断時の病期と密接に関係しているため、早期診断につながる厳重な監視によって生存の優位性がもたらされる。[
104
]複数の小児がんグループが、胸部放射線照射による治療を受けた若年女性に対してマンモグラフィまたは乳房MRI、もしくは両方の画像検査法を用いて乳がんのサーベイランスを早期(集団の乳がんスクリーニングの開始前)に開始する推奨を支持している。[
105
]
マンモグラフィは、一般集団の乳がんに対して最も普及しているスクリーニングツールであるが、比較的若年で乳房密度が高い女性に発生する放射線関連乳がんに対して単独使用する場合は、理想的なスクリーニングツールではない可能性がある。乳がんに対して遺伝的感受性を有する若い女性を対象とした研究に基づくと、閉経前の密度の高い乳房の病変検出におけるMRIの高い感度および非浸潤性(in situ)乳管がんの識別におけるマンモグラフィの優位性に関連して、画像検査を二重に実施する方式が早期発見を増加させる可能性がある[ 106 ][ 107 ][ 108 ];そのため、米国がん協会は、MRIによる補助的なスクリーニングを含めることを推奨している。[ 109 ]二重画像検査によるサーベイランスで早期の病変を検出する高い感度および特異度は、偽陽性結果の原因となる追加検査の割合がかなり高くなることにより相殺される。[ 108 ]
多くの臨床医は、こうした若い女性に対する年1回のマンモグラフィによる放射線曝露の潜在的な有害性を懸念している。これに関しては、現在の標準的な2方向スクリーニングマンモグラフィによる乳房に対する放射線量の推定平均値が約3.85~4.5mGyである点を考慮することが重要である。[ 110 ][ 111 ][ 112 ]したがって、25歳から39歳までに監視目的で15回のマンモグラフィを実施した場合、20Gyの胸部放射線による治療を受けた女性の放射線曝露量の合計は20.05775Gyになる。高リスクの女性における早期乳がん病変の検出の有益性と、放射線曝露の0.3%の増加により罹患しやすくなるリスクのバランスを考慮しなければならない。
乳房の健康に対する監視に若い女性を継続的に関与させることを目的として、COGガイドラインは、マントル、縦隔、肺全体、および腋窩照射野への20Gy以上の放射線照射を受けた女性に対し、次の推奨事項を示している:
- 思春期以降に毎月、乳房を自己検査する。
- 思春期から25歳までの間、年1回の乳房視触診を受ける。
- 放射線療法の8年後または25歳になった時点(いずれか遅い方)から、6ヵ月ごとの乳房視触診と年1回のマンモグラムおよびMRIを受ける。
乳房に影響を及ぼす可能性のある20Gy未満の放射線照射を受けた患者における乳がんリスクの大きさは、20Gyを超える照射を受けた患者と比較して小さい。乳房に影響を及ぼす可能性のある20Gy未満の放射線照射による治療を受けた患者のモニタリングは、スクリーニングのベネフィット/有益性とリスク/有害性について医療提供者と話し合った上で、患者ごとに個別に決定する。スクリーニングの実施が決定した場合は、20Gy以上の放射線に曝露した女性に対する推奨事項が適用される。
- 早発型大腸がんのスクリーニング:早発型大腸がんのリスク(すなわち、腹部、骨盤、または脊椎への30Gy以上の放射線量)がある人のスクリーニングでは、35歳になった時点または放射線療法の10年後(いずれか遅い方)から開始する5年ごとに大腸内視鏡検査が含まれる。[ 85 ]
-
早発型皮膚がんのスクリーニング:年1回の皮膚科検査で、照射野内の皮膚病変と色素性母斑を重点的に調べることが推奨される。生存者は以下の各点についての説明を受ける:
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- 心血管系の晩期合併症(晩期障害)
-
最初のがんが再発した後および二次原発がんの発生後の心血管疾患は、小児がん長期生存者における若年死亡の第一原因であることが報告されている。[ 1 ][ 2 ][ 3 ]
証拠(心血管疾患による若年死亡の過剰リスク):
- 1970年から1986年に治療を受けた20,000人以上の北米の小児がん5年生存者(Childhood Cancer Survivor Study [CCSS])において、心疾患による死亡の標準化死亡比は7.0(95%信頼区間[CI]、5.9-8.2)であり、この比は1,000人年当たり0.36の超過死亡に変換された。[ 4 ]より近年(すなわち、1990年代)に治療を受けた小児における晩期の心臓死は減少しているようである(例、累積発生率は1970年から1974年で0.5%であったのに対し、1990年から1994年では0.1%であった)。[ 1 ]
- 1940年から2006年に診断された小児がんの5年生存者34,489人を対象とした集団ベースのBritish Childhood Cancer Survivor Studyで観察されているように、心疾患は小児がん生存者が熟年期に達するにつれてますます重要になる。[
2
][
5
]
このセクションで取り上げる晩期合併症(晩期障害)には以下のものがある:
- 心筋症/心不全。
- 虚血性心疾患。
- 心膜疾患。
- 弁膜症。
- 伝導障害。
- 脳血管疾患。
- 静脈血栓塞栓症。
このセクションでは、これらの晩期合併症(晩期障害)に関して、高血圧、異脂肪血症、糖尿病などの関連疾患の影響についても簡潔に説明するが、小児がん治療の結果生じるこれらの疾患の詳細を直接レビューするわけではない。American Heart Associationによるがんの小児生存者と若年成人生存者における長期心血管毒性の包括的レビューが公開されている。[ 6 ]
心血管系転帰に対する証拠資料
- 多数の研究で、小児がん生存者における心臓関連のイベントに焦点が当てられている。病院ベース[ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ]、臨床試験ベース[ 11 ][ 12 ]、または集団ベース[ 2 ][ 3 ][ 5 ][ 13 ]の非常に大規模なコホート研究があり、それらの多くでは数十年の追跡が実施されている。
- 注目すべきことに、対象集団の平均年齢はまだ比較的若年(若年成人または中年)である。したがって、報告された重篤な心血管系転帰のリスクは年齢を一致させた一般集団に比べて非常に高い一方で、絶対リスクは依然としてしばしば低く、多くの研究の検出力に限界がある。
- 数千人の生存者を対象とした非常に大規模な研究での主な制限は、晩期心血管合併症を臨床的に確認する方法が十分でなく、行政記録(例、死亡登録)および/または自己報告あるいは代理報告に大きく依存していることである。
- それぞれの研究デザインには固有のバイアスがあるが、自己報告の転帰、臨床での確認、行政のデータソースから複合的に判断すると、全体の文献は、特定のがん関連の曝露が素因となり、生存者の心血管系の罹病および死亡リスクが有意に増大するという結論を強固に示している。
- 多くの場合、晩期合併症(晩期障害)の研究は現代的な治療の変化に遅れて実施されるが、今日でも、心血管系の晩期合併症(晩期障害)に関連する多くの療法が依然として広く使用されている。[ 14 ][ 15 ]
- 現在継続中の研究は、現在導入されつつある新たな標的薬物の使用が心血管系に予期せぬ影響を及ぼさないことを確実にするために重要である。[ 16 ]
証拠(心血管系転帰について記述している一部のコホート研究):
- CCSSの研究者らは、1970年から1999年の間に小児がんを診断された参加者における主要な心イベントについて報告した。[
17
]
- この更新において、1990年代に治療された患者に対する心不全および冠動脈疾患の20年累積発生率は数十年間にわたって、それぞれ0.54%および0.19%に低下したが、冠動脈疾患についてのみ有意であった。
- 冠動脈疾患のリスクは1970年代、1980年代、および1990年代から有意に低下した(それぞれ、0.38%、0.24%、および0.19%;ハザード比[HR]、0.65)が、これは特にホジキンリンパ腫の生存者において、心臓への放射線の曝露が歴史的に低下したためであった。
- 1990年代に治療された患者に対する20年累積発生率は、弁膜症について0.05%、心膜疾患について0.03%、および不整脈について0.13%であった;これらの数字はこの時代(1970年~1990年)に変化しなかった。
- CCSSでは、1970年から1999年に診断された5年生存者24,214人のデータを用いて、放射線療法の線量と曝露した心臓容積、選択された化学療法薬、および曝露時の年齢が晩発性の心疾患のリスクに及ぼす影響を評価した(図4を参照のこと)。[
18
]
- 心疾患(何らかの心疾患、冠動脈疾患、および心不全)の累積発生率は、診断から30年で4.8%であった。男性生存者は女性生存者よりも冠動脈疾患を発症する可能性が高く、心不全を発症する可能性が低かった。非ヒスパニック系黒人生存者は、非ヒスパニック系白人生存者よりも何らかの心疾患を発症する可能性が高かった。
- 大きな心臓容積(心臓の50%超)への低線量から中等度の線量(5.0-19.9Gy)の放射線は、心臓が放射線療法に曝露しなかった生存者と比較して、心疾患のリスクが1.6倍高かった。
- 小さな心臓容積(0.1-29.9%)への高線量(20Gy超)の放射線では、曝露していない生存者と比較して、心疾患の割合が高かった。
- アントラサイクリン系への曝露と心不全との用量反応関係が観察され、比較的年齢の低い小児(13歳未満)で同等用量投与後の心不全のリスクが最も大きかった。
- フランスの多施設コホートで1942年から1986年に治療を受けた5年生存者3,162人が追跡期間中央値26年にわたりモニターされた。[
9
]
- 40歳までの任意の心疾患(虚血性心疾患、心不全、不整脈、または弁および心膜疾患)の累積発生率は11%(医学的介入が必要であった場合に限ると7%)であった。
- アントラサイクリン用量および放射線量が高いほど、特にアントラサイクリン用量が250mg/m2以上で、心臓への放射線量が15Gy以上の場合にリスクが高かった。
- 放射線量、アントラサイクリン曝露量、および到達年齢の間に有意な相互関係が特定された。
- オランダの病院ベースの小児がん5年生存者コホート1,362人(到達年齢中央値29.1歳)が診断から追跡期間中央値22.2年にわたりモニターされた。[
19
]
- 症候性心イベント(うっ血性心不全、心虚血、弁膜症、不整脈、および/または心膜炎)の30年原因特異的累積発生率は、アントラサイクリンおよび心臓への放射線照射の併用療法(12.6%;95%CI、4.3%-20.3%)、アントラサイクリンのみ(7.3%;95%CI、3.8%-10.7%)、および心臓への放射線照射のみ(4.0%;95%CI、0.5%-7.4%)の後に、他の治療法と比較して有意に高かった。
- CCSSにより、小児がん生存者において重篤な心イベント(心筋梗塞、うっ血性心不全、心膜疾患、および心臓弁膜異常)の累積発生率が45歳以降も増大し続けることが実証された。[
7
]
- これらのイベントのリスクは、肥満、異脂肪血症、糖尿病、そして特に高血圧などの併存する修正可能な病態によって増強された(すなわち、加法モデルで予測される範囲を超えて増大した)。
- 高血圧は、アントラサイクリン使用と胸部放射線照射に対する調整後でも、独立してすべての重篤な心臓転帰に関連していた(率比[RR]、6~19倍)。
- St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)で治療を受け、10年以上生存しているホジキンリンパ腫の生存者670人のうち、348人の患者がSt. Jude Lifetime Cohort Studyで臨床的に評価された。[
20
]
- 全体として、生存者は、累積疾患負担(複数の健康上の障害および再発事象を1つの測定値に組み入れる疾患負担の新たな測定値)が地域の対照者より高く、生存者が30歳における総合したグレード3~5の累積疾患負担は、50歳の地域の対照者と同程度であった。
- これらの生存者が50歳までにグレード3~5の心血管系障害を1回以上経験した累積発生率は、45.5%(95%CI、36.6%-54.3%)であったのに対し、地域の対照者では15.7%(95%CI、7.0%-24.4%)であった。
- 生存者における過剰なグレード3~5の累積負担に対して、心筋梗塞および構造的心奇形が主要な寄与因子であったが、異脂肪血症および本態性高血圧症のグレード3~5の累積負担では、生存者と50歳の地域の対照者に特筆すべき違いはみられなかった。
- 別のSt. Jude Lifetime Cohort Studyでは、2,715人の参加者と268人の地域の対照者における心電図(ECG)の重大な異常と軽微な異常の有病率が比較された。[
21
]
- ECGの重大な異常の有病率は、対照者(4.9%)よりも生存者(10.7%)において有意に高かった;最も一般的な異常としては、孤立性のST-T波異常(7.2%)、心筋梗塞の証拠(3.7%)、ストレイン型を伴う左室肥大(2.8%)が挙げられた。
- 重大な異常のリスク増加を予測した治療曝露は、300mg/m2以上のアントラサイクリン用量(オッズ比[OR]、1.7;95%CI、1.1-2.5)および心臓への放射線照射(OR、2.1;95%CI、1.5-2.9[1-1,999cGy];OR、2.6;95%CI、1.6-3.9[2,000-2,999cGy];OR、10.5;95%CI、6.5-16.9[≥3,000cGy])であった。
- ECGの重大な異常は、全原因死亡を予測した(HR、4.0;95%CI、2.1-7.8)。
- Teenage and Young Adult Cancer Survivor Studyでは、青年および若年成人がんの20万人以上の5年生存者(年齢15~39歳)を対象にして心疾患による死亡が調査された。[
3
]
- 診断時年齢およびがんの種類が心疾患による死亡リスクの決定において重要であることが確認された。
- すべての心疾患を統合した場合の標準化死亡比は、15~19歳で診断された個人で最も大きく(4.2)、35~39歳の個人では1.2に低下した(傾向性の2P < 0.0001)。この年齢の影響はホジキンリンパ腫の生存者で最も明白であり、これらの生存者はまた全体でリスクが最も高いことも明らかにされた。
- この研究の限界には、放射線療法への曝露(線量、照射野)、化学療法への曝露(主にアントラサイクリン系薬剤の用量)、および心血管系危険因子(例:喫煙、肥満、高血圧、糖尿病、家族歴)に関する詳細情報が欠けていることが挙げられる。
治療の危険因子
放射線療法を伴う化学療法(特に、アントラサイクリン系およびアントラキノン系)は、単独でも併用でも、小児がん生存者の心血管疾患のリスクを高め、この集団における早発心血管疾患に寄与する最も重要な危険因子であると考えられる(図5を参照のこと)。[ 19 ]
アントラサイクリン系薬剤および関連薬剤
アントラサイクリン系薬剤(例、ドキソルビシン、ダウノルビシン、イダルビシン、エピルビシン)およびアントラキノン系薬剤(例、ミトキサントロン)は、心筋細胞におけるトポイソメラーゼ2βの阻害および活性酸素種の形成を通じて心筋細胞に直接損傷を与え、その結果、細胞死経路の活性化およびミトコンドリア性アポトーシスの阻害を来すことが知られている。[ 22 ][ 23 ]細胞死が起きた結果、心臓の構造に壁厚減少などの変化が生じて心室負荷や病的なリモデリングにつながり、やがて機能不全を来して、最終的に臨床的心不全に至る。[ 24 ][ 25 ]
アントラサイクリン系薬剤に関連する心筋症の危険因子には以下のものがある:[ 18 ][ 26 ]
- 累積用量、特に250mg/m2~300mg/m2を超える場合。
- 曝露時の年齢が若いこと、特に5歳未満の小児。
- 曝露からの経過時間が長い。
- 確実に安全な用量の下限が存在するかどうかは定かでないところもあるが、250mg/m2~300mg/m2を超える用量は心筋症リスクのかなりの増大と関連しており、20年の追跡後に累積発生率が5%を超えたほか、一部のサブグループでは40歳までに累積発生率が10%またはそれ以上に達した。[ 10 ][ 17 ][ 18 ][ 25 ]
- 胸部または心臓に対する放射線療法の同時施行も、高血圧などの他の心血管代謝特性が存在する場合[ 7 ][ 28 ]と同様に、心筋症リスクをさらに増大させる。[ 9 ][ 19 ][ 27 ]
- アントラサイクリンへの曝露から数年以内に臨床的心不全を発症する場合もあるが、ほとんどの生存者では-用量が非常に多い生存者でも-臨床症状は数十年にわたって現れない。
アントラサイクリン用量の同等性
伝統的に、アントラサイクリン用量の同等性は主として、晩期の心毒性というよりもむしろ急性の血液毒性の同等性に基づいている。[ 29 ]
アントラサイクリンに対する心保護
以下の心保護的戦略が検討されている:
- 心毒性の低い新規薬剤とリポソーム製剤。 一般的に、アントラサイクリン系のリポソーム製剤が小児の心毒性を低減するかどうかに関するデータは限られている。[ 33 ][ 34 ]
- 注入時間の延長。 注入時間の延長は、成人患者において心不全の減少に関連しているが、小児では関連がみられない。[ 35 ][ 36 ]
- 心保護薬の同時投与。 さまざまな薬剤が心保護薬としての検証を受けてきた(アミフォスチン、アセチルシステイン、カルシウムチャネル遮断薬、カルベジロール、コエンザイムQ10、Lカルニチン)が、十分な有益性が示されたものはなく、いずれも標準治療にはなっていない。[ 37 ][ 38 ]
-
デクスラゾキサン。主に成人がん患者についてのものではあるが、心保護薬としてのデクスラゾキサンに関するデータは多く存在し、米国食品医薬品局は、アントラサイクリン系薬剤300mg/m2を投与され、さらなるアントラサイクリンをベースとした療法の有益性が見込まれる転移性乳がんの女性に対し、その使用を承認している。[
37
]
- 小児のデータは、デクスラゾキサンが治療後5年までの早期の心毒性を示すいくつかの代替マーカーを改善しうることを示している。[ 39 ][ 40 ][ 41 ][ 42 ]
- デクスラゾキサンは、一部のレジメンで急性毒性のリスク増加を伴う可能性がある。[ 43 ]
- 初期の1件の研究により、急性骨髄性白血病のリスクが増加する可能性が示唆された[ 44 ]が、その後の研究ではこの関連は実証されていない。[ 42 ][ 45 ][ 46 ]
- これらのデータは、デクスラゾキサンが短期では心臓を守ることを示唆している一方で、デクスラゾキサンが心臓の健康に及ぼす長期の影響について示したデータはまだ得られていない。
放射線療法
アントラサイクリン系薬剤は心筋細胞に直接損傷を与え、放射線療法は主に心臓の微細血管系に影響を及ぼす。[ 6 ]
心血管疾患
心臓への放射線療法によって、特に以下の晩期合併症(晩期障害)が生じる:
- 突然発現したり、慢性の心嚢液貯留として現れたりすることがある遅発性心膜炎。
- 心膜線維症および心筋線維症を含む汎心炎で、心内膜線維弾性症を伴う、または伴わない場合がある。
- 心筋症(重大な心膜疾患がない場合)、アントラサイクリン系への曝露がなくても起こりうる。
- 虚血性心疾患。
- 大動脈に多い心弁機能障害。
- 伝導障害。
これらの心臓への晩期合併症(晩期障害)は以下に関連している:
- 個々の放射線分割線量。
- 放射線が照射された心臓の容積。[ 18 ]
- 総照射線量。
- さまざまな研究により、高い放射線量を照射すると、これらの転帰のリスクが大幅に上昇することが示されており、特に35Gyを超える線量を心臓に照射した場合は顕著であった(図4を参照)。[ 9 ][ 12 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ]
- 放射線の照射線量が高い場合には、20~30年後に心不全、心膜疾患、弁膜症の割合が10%を超えることが報告されている。いくつかの研究で5Gy未満の線量は、心血管疾患のリスク増加と関係する可能性が示唆されているが、相対リスクが小さく(すなわち2.5)、95%CIが大きい(すなわち0.2~41.5);さらに、線量測定解析は、一般に偶発的な心臓曝露の推定である。[ 9 ][ 17 ][ 19 ]
- 大きな心臓容積(心臓の50%超)への低線量から中等度の線量(5.0-19.9Gy)の放射線療法では、心臓が放射線療法に曝露しなかった生存者と比較して、心疾患の割合が高い(すなわち、1.6倍)。[ 18 ]
- 小さな心臓容積(0.1-29.9%)への高線量(20Gy超)の放射線では、心疾患の割合が高い(相対的比率、2.4)。[ 18 ]
- 心臓への線量が非常に低い場合の正確なリスク評価には、追加の確認データが必要である。
- アントラサイクリン系と同様に、これらの晩期合併症(晩期障害)の症状は、10年単位ではないにせよ、数年間を経て発現することがある。
心血管系に影響を及ぼす放射線療法と心毒性の化学療法薬に曝露した患者は、晩期の心血管系転帰のリスクがよりいっそう高くなる。[ 9 ][ 18 ]
脳血管疾患
放射線療法に曝露した後の脳血管疾患も、生存者に観察される可能性のある別の晩期合併症(晩期障害)である。
- 放射線誘発性の血管損傷は、動脈と毛細血管の両方の損傷が関係する複雑な過程であるが、静脈は放射線への感受性が比較的低い。
- 異常の範囲には、ラクナ病変、血管奇形、末梢血管拡張症、頭蓋内出血、およびもやもや病が含まれ、それぞれに症状に応じた結果がみられる可能性がある。[ 47 ]
- 従来、脳腫瘍生存者のリスクは最も高い部類に入るが、他に白血病やリンパ腫の生存者など、頭蓋照射(18Gy以上)や頸部照射(40Gy以上)を受けた生存者についても、高いリスクが報告されている。[ 48 ][ 49 ][ 50 ][ 51 ]
- 胸部および/または頸部放射線療法のみを受けたリンパ腫生存者では、脳血管疾患が大血管のアテローム性動脈硬化症および心臓塞栓症によって引き起こされると考えられている。[ 49 ]
- 曝露した累積線量に伴ってリスクは増大する。1件の研究(N = 325)の報告によると、脳卒中ハザードは1Gyの線量増加ごとに5%増大し(HR、1.05;95%CI、1.01-1.09;P = 0.02)、初発脳卒中の累積発生率は5年後で2%、10年後で4%に達した。[ 52 ]
- 脳卒中を経験した生存者は、脳卒中の再発リスクが有意に高かった。[ 53 ]
証拠(脳血管障害[CVA]/血管疾患の有病率および危険因子を報告した選択された研究):
- オランダの1件の多施設レトロスペクティブ研究では、51歳以前(25%は小児患者)に診断されたホジキンリンパ腫の5年生存者2,201人のうち、追跡期間中央値18年で96人の患者が脳血管疾患(CVAおよび一過性脳虚血発作[TIA])を発症した。[
49
]
- ほとんどの虚血性イベントは、大動脈のアテローム性動脈硬化症(36%)または心臓塞栓症(24%)から発生したものであった。
- リンパ腫治療から30年後における虚血性のCVAまたはTIAの累積発生率は7%であった。
- 全標準化発生比(SIR)はCVAで2.2、TIAで3.1であった。ただし、SIR推定値は小児がん生存者において高いようであり、CVAで3.8、TIAで7.6であった。
- 頸部および縦隔への放射線照射は、放射線療法を実施しない場合に対して、虚血性脳血管疾患の独立危険因子であった(HR、2.5;95%CI、1.1-5.6)。化学療法による治療は、リスク増加とは無関係であった。
- 高血圧、糖尿病、および高コレステロール血症は、虚血性脳血管疾患の発生に関連していた。
- フランスの研究者は、小児がんの5年生存者4,227人(追跡期間中央値、29年)において、脳への放射線量と長期的な脳血管死亡率の間に有意な関連性を認めた。[
50
]
- 橋前槽に対して50Gyを超える放射線を受けた生存者は、放射線療法を受けなかった生存者または橋前槽領域に対して0.1Gy未満の放射線を受けた生存者と比べて、脳血管障害による死亡のHRが17.8(95%CI、4.4-73.0)であった。
- 頭蓋照射または頸部照射による治療を受けた小児がんの生存者325人を対象とした、単一施設のレトロスペクティブ・コホート研究で、頭蓋照射は生存者における初発または再発脳卒中のリスクを高めると判定された。[
52
]
- 初発脳卒中の累積発生率は、放射線療法後10年時で4%であった(95%CI、2.0%-8.4%)。脳卒中ハザードは照射線量が1Gy増加するごとに5%上昇した(HR、1.05;95%CI、1.01-1.09;P = 0.02)。
- 再発脳卒中の累積発生率は、初回の脳卒中後、5年時で38%(95%CI、17%-69%)、10年時で59%(95%CI、27%-92%)であった。
- CCSSの研究者らにより、初発脳卒中を報告した参加者における再発脳卒中の割合および予測因子が評価された。[
53
]
- 回答した参加者(443人中329人)のうち、271人で初発脳卒中が確認され(年齢中央値、19歳)、70人が2回目の脳卒中を報告した(年齢中央値、32歳)。
- 再発脳卒中の独立した予測因子として、50Gy以上の線量の頭蓋照射療法による治療(vs 頭蓋照射療法なし)、高血圧の病歴、初発脳卒中が40歳以上(vs 0-17歳)であったことが挙げられた。
- 晩期再発脳卒中の10年累積発生率は全体で21%、50Gy以上の頭蓋照射療法で治療された参加者で33%であった。
- 脳卒中を経験したCCSS参加者224人の追跡調査研究で、全原因死亡および健康関連死亡のリスク増加、および社会的達成、神経認知的機能、感情的苦痛、および他の健康関連のQOL測定値への否定的影響が実証された。[ 54 ]
- 小児がん5年生存者3,172人を平均で26年間にわたりモニターしたレトロスペクティブ研究は、Euro2Kコホートから構成され、フランスおよび英国の8施設が含まれていた。放射線療法を受けた2,202人の各小児についてウィリス動脈輪に対する放射線量が見積もられた。[
55
]
- 放射線療法を受けていない患者でリスクが増加しないのに対して、放射線療法を受けた患者では、脳卒中のリスクが8.5倍(95%CI、6.3-11.0)高かった。
- 40Gy以上の線量での相対リスクは、15.7(95%CI、4.9-50.2)であった。
- 10Gy以上の放射線量がウィリス動脈輪へ照射された患者で、45歳での累積発生率は11.3%(95%CI、7.1%-17.7%)であったのに対して、一般集団では1%である。
- Teenage and Young Adult Cancer Survivor Study(N = 178,962)の研究者らにより、15~39歳の間に診断されたがんの5年生存者における脳血管性イベントによる入院のリスクが評価された。[
56
]
- 青年および若年成人がんの生存者では、脳血管性イベントによる入院のリスクが一般集団と比べて40%高いことが、研究者らにより明らかにされた。
- 中枢神経系(CNS)腫瘍(標準化入院比[SHR]、4.6)、頭頸部腫瘍(SHR、2.6)、および白血病(SHR、2.5)の生存者では、脳血管合併症による入院のリスクが最も高かった。
- 男性は特に頭頸部腫瘍の生存者において女性よりも、絶対過剰リスクが有意に高かった。60歳までに、CNS腫瘍生存者の9%、頭頸部腫瘍生存者の6%、および白血病生存者の5%が脳血管性イベントにより入院していた。
- 脳梗塞による入院のリスクは、60歳以上のCNS腫瘍の生存者で特に高かったのに対し、頭頸部腫瘍の生存者ではこのリスクは全年齢層で高かった。
静脈血栓塞栓症
がんの小児は診断から最初の5年以内に静脈血栓塞栓症を発症する過剰リスクを有する;しかしながら、小児がん生存者における静脈血栓塞栓症の長期リスクはあまり研究されていない。[ 57 ]
CCSSの研究者らにより、コホート集団における自己報告の晩期に発生する(がん診断から5年以上)静脈血栓塞栓症が評価された(追跡期間中央値、21.3年)。[ 58 ]
- 生存者における静脈血栓塞栓症の35年累積発生率は4.9%で、これは同胞コホートと比較して2倍を超えるリスクであった(率比[RR]、2.2;95%CI、1.7-2.8)。
- 生存者における静脈血栓塞栓症の危険因子は、女性であること、シスプラチンまたはアスパラギナーゼによる治療、肥満または低体重、および再発、原発性、または二次がんであった。
- 下肢の骨肉腫の生存者では切断術で治療された患者と比較して、患肢温存手術で治療された場合に晩期静脈血栓塞栓症のリスクが高かったが、これはおそらく末梢血管の解剖およびホメオスタシスが変化した結果であると考えられる。
- 静脈血栓塞栓症は、晩期死亡のほぼ2倍のリスク増加に関連していた(RR、1.9;95%CI、1.6-2.3)。
通常の心血管疾患
- 各種のがん治療に対する曝露は、高血圧、糖尿病、異脂肪血症の発症にも直接的または間接的な影響を及ぼすことがある。[ 6 ]
- 一般集団の場合と同じく、これらの病態は心筋症、虚血性心疾患、脳血管疾患の発生における独立危険因子であるため、依然としてがん生存者の間で重要である。[ 7 ][ 49 ][ 59 ][ 60 ][ 61 ]
- これらの心血管疾患は潜在的に修正可能な介入の標的であるため、小児がん生存者には、これら疾患の発生を綿密に監視すべきである。
- 小児がん生存者の一部に多く見られる肥満や各種の内分泌障害(例、甲状腺機能低下症、性腺機能低下症、成長ホルモン欠乏症)などの関連病態も監視する必要がある;これらの病態を治療または管理せず放置すると、心血管リスクを高める代謝プロファイルにつながることがある。[ 8 ](詳しい情報については、本要約の心血管系疾患のリスク予測のセクションを参照のこと。)
その他の危険因子
性。 すべてではないが、一部の研究では、女性であることとアントラサイクリン関連心筋症のリスク増大に関連がある可能性が示されている。[ 6 ]
遺伝学。 薬物の代謝および分布を調節する遺伝子における一塩基多型のような遺伝因子で、アントラサイクリンによる心臓損傷への感受性における不均一性を説明できる可能性があり、このことを示す証拠が新たに得られつつある。[ 62 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ][ 66 ][ 67 ] しかし、これらの遺伝学的発見は、臨床スクリーニングアルゴリズムに統合する前に、さらに検証を重ねる必要がある。[ 68 ]
周産期の心機能不全
潜在的に心毒性を有する治療に過去に曝露した小児、青年、および若年成人における悪性腫瘍の長期生存者は周産期の心機能不全のリスクが高い。
一般集団における周産期心筋症(PPCM)は、妊娠中(通常は妊娠第3期ないし分娩後5ヵ月未満)の心不全を特徴とするまれな疾患である。一般集団における推定発生率は、1:3,000生児出生である。[ 69 ]
心毒性を有する治療を受けた小児、青年、および若年成人の悪性腫瘍生存者における有病率に関して利用可能なデータは限られている。リスクを有する患者には周産期の心臓評価が推奨される。
- SJCRHの1件のレトロスペクティブ・シリーズにおいて、妊娠を終えた1,554例中3例で周産期の心機能不全が発生し、発生率は0.2%であった;長期生存者847人中27%は心毒性を有する治療に曝露していなかった。[ 70 ]
- 全員が心毒性を有する治療を受けた64人の女性を対象にしたシリーズ(44%が胸部放射線療法 + アントラサイクリンを受け、14%が胸部放射線療法を受け、42%がアントラサイクリン単独を受けた)において、5人の女性(7.8%)で周産期の心イベントが認められた(3人で症状が認められ、2人は無症状であった)。生児出生110例中、2人でPPCMが認められたことから、一般集団よりもリスクが55倍高かった。危険因子は、がん診断時に若年であることおよび高用量のアントラサイクリンであった。分娩後の心機能は4人の患者(80%)でベースラインに戻らなかった。[ 71 ]
小児がん後の心臓移植
心臓移植が必要な心不全が認められる生存者の有病率および転帰に関するデータは限られている。
十分に解明されていない領域
過去20年以上にわたって多くの知見が蓄積され、小児がん生存者における心血管疾患の長期負荷と危険因子についての理解は進んだが、現在も以下のような多くの領域で研究が進められている:
スクリーニング、サーベイランス、カウンセリング
米国国立衛生研究所が後援している小児腫瘍学グループ(COG)(表2を参照)などのさまざまな国際グループが、小児がん生存者を対象とした心血管系やその他の晩期障害のスクリーニングとサーベイランスに関する推奨を公表している。[ 75 ][ 76 ][ 77 ](詳しい情報については、COGの長期追跡ガイドラインを参照のこと。)
専門家グループ(小児および成人の両方)がエビデンスに基づく健康サーベイランスの推奨を策定しており、今後の研究の指針として役立てるために、十分に解明されていない領域を特定している。[ 26 ][ 78 ]
成人腫瘍学の専門グループと国際グループも、心毒性のモニタリングに関する推奨を発表している。[ 79 ]
スクリーニング、サーベイランス、カウンセリングの証拠に関するコンセンサス
- 心血管系の晩期合併症(晩期障害)に関連するがん治療を受けた生存者において、一定期間後にリスクのプラトーに達することを示す明確な証拠はない(少なくとも50歳まで、または治療後30~40年時までは)。[ 13 ][ 19 ][ 48 ][ 80 ][ 81 ]したがって、たとえ特定のスクリーニング戦略の費用対効果が不明のままでも、生涯にわたるサーベイランスを施行することが推奨される。[ 26 ][ 82 ][ 83 ][ 84 ]
- 文献の量が増加するに伴い、これらのスクリーニング研究の検出力が確定され始めており、こうした知見は将来のガイドラインに反映されることになるだろう。[ 8 ][ 85 ][ 86 ][ 87 ]これらの研究の中で例を挙げると、成人した小児がん生存者の間で、リスクのある生存者の約6%に心エコーの変化を基準とした心筋症の証拠がみられた。全体的には、1,000人以上の生存者を含む1つのコホート(年齢中央値、32歳)で、スクリーニングを受けたリスクのある生存者のほぼ60%に、臨床的に確認された何らかの心臓異常が認められた。[ 8 ]
- 高血圧、異脂肪血症、糖尿病などの一般的な心血管系の病態が、生存者のさらに重篤な心血管疾患リスクを大幅に増大させることを示す証拠が増えているため、臨床医はベースラインおよび追跡のスクリーニングとこれらの心血管系の健康に影響を及ぼす合併症の治療を慎重に検討する必要がある(表2を参照)。[ 7 ][ 49 ][ 59 ][ 88 ][ 89 ]
- リスクのある生存者では、より健康的なライフスタイル因子を採用することで、将来の心血管系疾患の罹病率が低下する可能性を示すエビデンスも出現している。[ 90 ]そのため、一般集団と同様に、生存者も健常な体重の維持、定期的な身体活動への参加、心臓の健康に配慮した食事の遵守、および禁煙についてカウンセリングを受けるべきである。
- COGでは、生存者のカウンセリングおよび教育を促進するため心血管疾患やそれに関連する話題として一般向けにライフスタイルの選択肢などを記したパンフレットを作成している。
心血管疾患リスクの予測
- 心血管疾患に対する各症例個別のリスク予測を開発する試みは、将来のサーベイランスおよびカウンセリングの改良に役立つ可能性がある。
- いくつかのグループが協力して、50歳までの心不全、虚血性心疾患、および脳卒中に対する各症例個別のリスク計算モデルを開発し、妥当性を検証している。[ 27 ][ 89 ][ 91 ]
- CCSSのデータのみに基づく更新されたモデルには、予測精度を向上させるため、高血圧、異脂肪血症、および糖尿病の経時的な状態が組み込まれている。[ 89 ]
- これらのモデルを組み込んだオンラインのリスク計算モデルは次のサイトで利用可能である:https://ccss.stjude.org/cvcalc。
心血管系疾患のリスク予測
- 大規模で説明の豊富な4つの小児がん生存者コホート(CCSS、National Wilms Tumor Study Group、オランダの施設、SJCRH)のデータを使用して、入手が容易な人口統計学的特性と治療上の特徴に基づく心不全リスクの計算モデルの作成と検証が行われ、最近治療が完了した小児がんの5年生存者について、このモデルで患者ごとに40歳までの臨床的な心不全リスク推定を示すことが可能になった。この推定モデルには、ベースラインの予測(5年生存)時に参加者が若年であるため、高血圧、異脂肪血症、または糖尿病などの通常の心血管疾患に関する情報が組み込まれていないという制限がある。[ 27 ]
- 別の共同研究で、CCSS、オランダ、およびSJCRHからのデータを用いて、小児がんの5年生存者で50歳までの虚血性心疾患および脳卒中のリスク予測モデルが開発された。性別、化学療法の曝露、および放射線療法の曝露を含む標準予測モデルから得られたリスクスコアで、統計的に異なる低リスク、中間リスク、および高リスクが識別された。CCSS低リスク群における50歳での累積発生率は、5%未満であったのに対して、高リスク群では約20%で、同胞でわずか1%であった。[ 91 ]
- 高血圧、異脂肪血症、糖尿病などの従来の心血管系危険因子に関する情報と組み合わせて心毒性を有するがん治療への曝露を説明する予測モデルを構築したCCSSの調査で実証されているように、小児がんの成人生存者における心血管疾患のリスクを予測する上で、従来の心血管系危険因子は依然として重要である。人口統計学、がん治療、高血圧、異脂肪血症、および糖尿病の情報に基づくリスクスコアは、発見コホートおよび複製コホートに適用するモデルにおいて心血管イベントを予測する上で良好な性能(受信者動作特性曲線下面積および一致性統計量が0.70以上)を示した。最も影響力の強い曝露は、アントラサイクリン系薬物を含む化学療法、放射線療法、糖尿病、および高血圧であった。[ 89 ]
表2.心血管系の晩期合併症(晩期障害)a,b 素因となる治療 潜在的な心血管系の影響 健康スクリーニング a小児腫瘍学グループ(COG)ガイドラインには、肥満および糖尿病/糖代謝障害など、心血管系リスクに影響を与えうる他の病態も記載されている。 b出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 アントラサイクリンおよび/または心臓に対する放射線照射 心毒性(不整脈、心筋症/心不全、心膜疾患、弁膜症、虚血性心疾患) 年1回の病歴聴取および身体診察 初回の心電図と長期追跡 初回の心電図と長期追跡、以前の曝露とその他の危険因子に基づく定期的な再実施 頸部および頭蓋底への放射線照射(特に40Gy以上) 頸動脈および/または鎖骨下動脈疾患 年1回の病歴聴取および身体診察;曝露の10年後にドプラ超音波検査を検討する 脳/頭蓋に対する放射線照射(特に18Gy以上) 脳血管疾患(海綿腫、もやもや病、閉塞性脳血管症、脳卒中) 年1回の病歴聴取および身体診察 腹部への放射線照射 糖尿病 2年ごとの糖尿病スクリーニング 全身放射線照射(通常14Gy未満) 異脂肪血症;糖尿病 2年ごとに空腹時脂質組成および糖尿病スクリーニング 重金属(カルボプラチン、シスプラチン)、およびイホスファミドへの曝露;腎臓に対する放射線照射;造血細胞移植;腎摘出術 高血圧(腎毒性の結果として) 年1回の血圧;初回の腎機能臨床検査と長期追跡で、臨床的に適応であれば繰り返す 参考文献- Armstrong GT, Chen Y, Yasui Y, et al.: Reduction in Late Mortality among 5-Year Survivors of Childhood Cancer. N Engl J Med 374 (9): 833-42, 2016.[PUBMED Abstract]
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-
神経認知的
神経認知的晩期合併症(晩期障害)は、中枢神経系(CNS)に対する治療を必要とする悪性腫瘍の治療後に現れることが最も多い。この転帰については多数の証拠が発表されているが、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアス、横断的評価 vs 縦断的評価、治療への曝露から評価までの時間が不定であることによって質がしばしば限定される。中枢神経系(CNS)に対する治療には以下のものがある:
- 頭蓋照射療法。
- 高用量メトトレキサートまたはシタラビンによる全身療法。
- 髄腔内化学療法。
脳腫瘍または急性リンパ芽球性白血病(ALL)の小児が罹患する可能性が最も高い。神経認知的晩期合併症(晩期障害)の発生に関する危険因子には以下のものがある:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ]
- 女性。
- 治療時の年齢が若いこと。
- 腫瘍の部位。
- 高線量での頭蓋照射。
- 頭蓋照射療法および/または化学療法薬(全身または髄腔内)による治療。
ALLおよびCNS腫瘍の小児生存者における認知的表現型は、従来の発達障害とは異なる場合がある。例えば、ALLおよび脳腫瘍の生存者における注意力障害の表現型は、重大な多動性/衝動性を示す生存者がほとんど見られないことから、発達上の注意欠陥障害/多動性障害とは異なるが、代わりに処理速度と実行機能の障害に関連していると考えられる。[ 8 ][ 9 ]
Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)の研究者らは、頭蓋照射のような神経毒性療法の直接的な影響に加えて、非神経毒性療法(例、胸部放射線療法)の曝露からもたらされる慢性的な健康障害が神経認知的機能に有害な影響を与える可能性があることを観察した。[ 10 ]彼らは、長期生存者における健康的な脳の成長を支援する介入を促進する重要性を強調して、治療後に発生する慢性的な心肺および内分泌機能不全が神経認知機能に対する神経毒性曝露の影響を調節しており、さらに悪化させるのではないかと仮定した。
脳腫瘍生存者における神経認知機能転帰
脳腫瘍の小児の生存率は、ここ数十年間で増加している;しかしながら、病気自体および病気に伴う治療による長期的な認知的障害は、この生存者グループ内において十分に確立された障害である。小児期および青年期の脳腫瘍からの生存者では、有害な神経認知的障害の危険因子として、以下のような因子が挙げられる:
- 頭蓋照射療法。頭蓋照射療法は、特に低年齢の小児における長期的な認知機能障害の最も高いリスクと関係していた。[ 11 ]高線量の頭蓋照射療法を一貫して知能が未発達の状態で受ける患者では、線量反応関係が立証されている。[ 12 ]髄芽腫に対して頭蓋脊髄照射で治療された小児では、側頭葉や海馬など、脳の特定の領域への放射線量は経時的な知能指数(IQ)スコアと学力達成度スコアに有意に影響することが示されている。[ 13 ]
- 腫瘍の部位。[ 11 ][ 14 ]
- シャントが留置された水頭症。[ 11 ][ 15 ][ 16 ]
- 術後小脳無言症。[ 17 ]
- 聴覚障害(感音難聴を含む)。[ 15 ][ 18 ]
- 脳卒中の既往歴。[ 19 ]
- 痙攣発作。[ 14 ][ 20 ]
放射線療法の有害な影響は、IQスコアの変化に特徴的に現れ、IQスコアは診断から約2~5年間で低下する;その後、5~10年にわたって低下し続けるが、診断から数十年後にIQスコアが安定するか、またはさらに低下するかについてはよく分かっていない。[ 21 ][ 22 ][ 23 ]通常、この経時的なIQスコアの低下は、能力および知識の進行性消失よりも、むしろ新しい能力または情報を同年齢の子供と同程度の速度で獲得できないことを反映している。[ 12 ]さらに、障害のある小児は他の認知領域の障害、例えば、学習困難(読解および数学)や注意、処理速度、記憶、視覚および知覚運動能力の問題を抱える場合がある。[ 22 ][ 24 ][ 25 ]
これらの認知機能の変化は、磁気共鳴画像法(MRI)により評価される、放射線療法誘発性の正常白質容積の減少または白質経路の完全性の低下によって、部分的に説明可能である。[ 26 ][ 27 ][ 28 ]実際に、白質統合性の低下は脳腫瘍生存者の認知的処理速度の低下に直接関連している一方で、[ 29 ]白質容積の大きさと作業記憶の良好さは、特に女性において関連している。[ 28 ]注目すべきことに、現行のプロトコルから得られたデータによると、頭蓋照射の線量を低くし、照射容積をより限定することで、治療による神経認知的障害が軽減されるようである。[ 14 ][ 16 ][ 30 ]
長期にわたるコホート研究により、CNS腫瘍の生存者における認知力低下の経過と予測因子に対する洞察が得られている。
証拠(CNS腫瘍の生存者における認知力低下の予測因子):
- St. Jude Children's Research Hospital(SJCRH)は、低悪性度グリオーマの診断を受けた20歳未満の小児78人(平均9.7歳)を対象とする研究を行った。[
31
]
- 54Gyの原体頭蓋照射法による治療後に認知力低下が認められた(図7を参照のこと)。
- 認知力低下の予測においては頭蓋照射線量よりも照射時年齢の方が重要であり、5歳未満の小児における認知力低下が最も大きいと推定された。
- 生後1年以内に診断された低悪性度グリオーマおよび低悪性度グリア神経細胞性腫瘍の小児51人を対象にした研究では、平均IQスコアは75.5であった;小児の75%でIQスコアが85未満であった。低いIQを予測する因子には、原発腫瘍がテント上に位置することおよび多くの化学療法レジメンを用いた治療が挙げられたが、放射線の使用は挙げられなかった。年齢に応じた課題を完了する小児の能力も、IQスコアと同様に影響を受けた。[ 32 ]
- 23.4Gyまたは36~39.6Gyの頭蓋脊髄照射(原発腫瘍床に対する55.8Gyの原体ブースト照射)を受けた髄芽腫の生存者126人を対象とした研究では、処理速度、注意、および記憶能力が評価された。[
33
]
- 処理速度スコアが経時的に顕著に低下したが、一方で注意および記憶能力には、より小幅な低下がみられた。高線量での照射および診断時年齢の低さにより、経時的な処理速度の低下が予測された。
- 同じ髄芽腫試験(SJCRH SJMB03[NCT00085202])に登録された患者の作業記憶と学業達成度に関する研究は、診断から最長で5年後までに、ほとんどの患者の能力が年齢から予測される範囲内に収まっていたことを示したが[ 34 ][ 35 ]、いずれの研究でも、後頭蓋窩症候群、高い線量での頭蓋照射、診断時年齢の低さから経時的な能力低下が予測された。さらに、重篤な聴覚障害が知的能力と学力の経時的な低下に関連していた。[ 35 ]
- 1件のプロスペクティブ研究で、後頭蓋窩症候群を経験した36人の小児髄芽腫患者と、後頭蓋窩症候群は経験しなかったが、治療および診断時年齢をマッチさせた36人の髄芽腫患者が比較された。[
36
]
- 後頭蓋窩症候群を経験したグループは、後頭蓋窩症候群を経験しなかったグループと比較して診断から1年、3年、および5年経過時の一般的な知的能力、処理速度、作業記憶、および空間的関係の平均スコアが低いことを示した。
- 後頭蓋窩症候群を経験したグループは後頭蓋窩症候群を経験しなかったグループと比較して、経時的な回復が少なく、一部の領域(注意および作業記憶)では経時的なさらなる低下を示した。
- カナダの研究者らは、髄芽腫生存者113人のコホート(診断時平均年齢、7.5歳;診断から最終評価までの平均期間、6年)を対象に、知的機能パターンに対する放射線療法(線量およびブースト量)および神経学的合併症の影響について評価した。[
37
]
- 線量を抑えた頭蓋脊髄放射線療法に腫瘍床へのブーストを加えた治療を受けた生存者は、安定した知的機能を示した。
- 脳脊髄液路変更術を必要とする水頭症および無言症のような神経学的合併症、ならびにより高い線量およびより大きなブースト量の放射線照射による治療は、独特な経過を伴う知的衰弱をもたらす。
- 組織学的に明らかに異なるサブタイプの脳腫瘍における認知的転帰について検討する研究が開始されている。例えば、髄芽腫患者121人のサンプルからのデータにより、4つの異なる分子的亜型での認知的転帰における変動および経時的な変化パターンにおける違いが実証された。[ 38 ]この研究では、小児脳腫瘍の生物学的に異なるサブタイプ間で神経認知機能転帰について検討する研究がさらに必要なことが強調されている。
治療後5~10年以内に観察された有害な神経認知的転帰は広汎性であり経時的に増悪しうると推定されるが、非常に長期のCNS腫瘍生存者の神経認知的機能に関して参照できる経験的データはほとんど存在しない。
- CCSSに参加した成人生存者のうち、CNS腫瘍生存者(n = 802)は、注意力/処理速度、記憶力、感情調節、組織化能力について、非CNS悪性腫瘍の生存者(n = 5,937)および同胞対照(n = 382)よりも有意に多くの問題を自己報告した。[ 4 ]さらに、頭蓋照射を受けたCNS腫瘍生存者の大部分が、注意力/処理速度(42.9%-73.3%)および記憶力(14.3%-37.4%)の測定に関する障害を報告し、診断および頭蓋照射線量による差異が観察された。[ 39 ]
- St. Jude Lifetime Cohort Studyに参加した小児脳腫瘍の成人生存者224人を対象とした研究では、知能、記憶、実行機能(例、計画、組織力、柔軟性)の検査で、生存者の20~30%が重度の神経認知的障害(標準的平均値を標準偏差の2倍以上下回ることで定義)を示したことが明らかになった。[ 14 ]一般成人集団では、この閾値で予想される障害の割合が2%である。全脳頭蓋照射受けた生存者は、重度の神経認知的障害を示す可能性が頭蓋照射受けなかった生存者より1.5~3倍高かった。シャントが留置された水頭症および痙攣発作も障害のリスク増加と関係していた。重要な点として、この研究は神経認知能力の直接評価によるものであったが、以前のCCSS報告は、問題の自己報告に依存していた。[ 14 ]
- CCSSの研究者らにより、小児低悪性度グリオーマの成人生存者181人の長期神経心理学的アウトカムおよび社会経済的状態のアウトカムが、年齢と性別をマッチングした同胞比較群のアウトカムと比較された。手術と放射線療法で治療された生存者(診断時年齢中央値、7歳;評価時年齢中央値、41歳)では、推定されるIQスコアが手術単独で治療された生存者よりも低く、手術単独で治療された生存者のスコアも同胞より低かった(手術と放射線療法、93.9;手術単独、101.2;同胞、108.5;全体のP値 < 0.0001)。診断時年齢の低さは、注意/処理速度を除くすべての神経心理学的アウトカムでの低スコアを予測した。手術と放射線療法で治療された生存者では、手術単独で治療された生存者よりも職業、収入、教育スコアが2倍以上低かった。[ 40 ]
CNS疾患および治療の神経認知的結果は、脳腫瘍生存者の機能的転帰に相当な影響を及ぼす可能性がある。
陽子線治療後の認知的転帰
CNSへの陽子線治療後の認知的転帰に関するデータが得られつつある[ 46 ][ 47 ][ 48 ][ 49 ];しかしながら、こうした研究は、比較的小規模の臨床的に不均質な小児脳腫瘍コホートにおける認知的転帰のレトロスペクティブ解析および比較群として過去に治療された光子放射線患者または集団の標準を用いていることによって制限がある。
- これらの研究は早期追跡中(放射線から5年未満)のIQ変化について主に記述しており、結果から光子線治療および陽子線治療を受けた患者間でIQ変化の勾配における差は認められない[ 46 ]が、陽子線治療を受けた患者において認知的処理速度の有意な低下が実証されている。[ 47 ]
- 1件の研究により、髄芽腫で陽子線治療および光子線治療を受けた小児患者間の知能の軌道が比較された(中央値で23.4Gyの頭蓋脊髄照射線量を受けた後、平均で4.3年間追跡された)。注目すべきことに、ブースト照射およびマージンは2群間で有意に異なっていた。[
49
]
- 陽子線治療を受けた小児は、光子線治療を受けた小児と比較して全体のIQ、知覚推理、および作業記憶において優れた長期成績を示した。
- 光子線治療群は、全体のIQ、作業記憶、および処理速度において有意な低下を示した。
- 陽子線治療群は、処理速度を除くすべての領域において経時的にスコアの安定を示した。
放射線からの追跡期間が比較的短期間であったことを考慮すると、陽子線治療が光子線治療と比較して認知機能を温存する上で臨床的に意義のある有益性をもたらすかどうかを明らかにするために長期の追跡が重要である。
急性リンパ芽球性白血病(ALL)生存者における神経認知機能転帰
ここ数十年間にわたってALL小児の治癒率が上昇したことで、生存者の神経認知的障害および生活の質への注目が高まっている。現在のALL治療の目標は、高い生存率を維持しながら有害な晩期合併症(晩期障害)を最小限に抑えることである。晩期続発症のリスクを最小化するために、患者は再燃リスクに応じた治療法に層別化される。頭蓋照射は、CNS再燃のリスクが高いとみなされる小児の20%未満に対してのみ行われる。[ 50 ]
低リスク、標準リスク、および最も高リスクの患者に対して、現在では化学療法単独のプロトコルにより治療されるが、ALL患者の神経認知的晩期合併症(晩期障害)に関する初期の報告は、髄腔内化学療法、放射線療法、および大量化学療法の(同時または順次)併用療法を受けた生存者の不均一な治療群に基づいたものであるため、個々の治療要素による影響を区別することが困難である。しかし、化学療法単独治療を受けた小児ALL生存者の神経認知的晩期合併症(晩期障害)のリスクに関して、利用できる転帰データは次第に増加している。
ALLと頭蓋照射
ALLの生存者では、頭蓋照射療法が以下を含む臨床上およびX線検査での神経学的晩期続発症をもたらすことがある:
- 臨床上の白質脳症。現代のALL治療後では、臨床的に痙攣、運動失調、構音障害、嚥下困難、片側不全麻痺、および痙攣発作を特徴とする白質脳症はまれである。対照的に、頭蓋照射および/または大量メトトレキサートによる治療を受けた生存者では、神経画像検査により白質異常がしばしば明らかになっている。数種類の治療レジメンを受けた小児の最大80%には、X線検査で白質脳症が報告されている。静注メトトレキサートでは、用量がより高く、コースがより多いほど、白質脳症のリスクが高いことが報告されている。[ 51 ]多くの患者で、白質異常は一過性で、治療完了からの経過時間が長くなるにつれて、有病率、範囲、および重症度が低下する。[ 51 ]白質脳症は、白質容積の減少をもたらし、認知障害との相関が認められている。これらの異常は、照射を受けた患者でも軽度(全体のIQ低下が約10ポイント)であるが、低年齢で高線量の放射線療法を受けた患者では重大な学習困難がみられることがある。[ 52 ][ 53 ]
- 神経心理学的障害。 視覚運動統合、処理速度、注意力、および短期記憶などの神経心理学的機能の障害が18~24Gyの放射線療法を受けた小児に報告されている。[ 52 ][ 54 ][ 55 ] 低年齢で治療を受けた女性の小児は、発育中の脳に対する頭蓋照射の有害な影響をより受けやすい。[ 56 ] 知的機能の低下は進行性と考えられ、これは放射線療法からの時間が経過するとともに認知機能の障害が重くなることを示している。[ 56 ][ 57 ] 頭蓋照射で治療された小児ALLの長期生存者では軽度の早発型認知障害と一致する進行性の低下のリスクがあることを示唆する研究は限られている;このリスクは24Gyの頭蓋照射線量で治療された生存者で最も顕著である。[ 58 ][ 59 ]
ALLと化学療法単独によるCNS治療
CNSへの移行性がよく、全身メトトレキサート療法は白血病のCNS予防として低用量と高用量のさまざまなレジメンにおいて使用されている。高用量の全身メトトレキサートを放射線療法と併用する場合と併用しない場合のいずれにおいても、まれではあるが詳細な報告のある白質脳症を引き起こすことがあり、神経認知的障害に関連していた。[ 51 ]放射線療法と化学療法単独のレジメンによる治療後の神経認知的な転帰を直接比較した場合の証拠は、化学療法単独による治療を受けた患者の転帰が良好なことを示しているが、有意差が示されていない研究もある。[ 60 ][ 61 ]小児ALL生存者210人の縦断的解析で、化学療法のみでのCNS治療時の急性白質脳症の発症によって、長期の神経行動学的問題(例:組織化および課題開始[実行機能の要素]の欠損)の発生リスクが高いことが予測されるとともに、脳の前頭部における大脳白質の完全性が低下する。[ 62 ]
頭蓋照射と比較すると、化学療法のみによるCNSに向けた治療法は、注意力、情報処理速度、記憶力、言語の理解力、視覚空間能力、視覚運動神経機能、および実行機能の過程に関与する神経認知的障害をもたらす;全体の知的機能は典型的に温存される。[ 54 ][ 60 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ][ 66 ]化学療法単独による治療後に長期的な神経認知的転帰を評価し、全体のIQ低下に関する十分なデータを報告している縦断的研究はほとんどない。[ 64 ]ALLからの長期生存者の学力達成度は、読解および筆記についてはおおむね平均的で、主に計算能力に影響を与える障害があると考えられている。[ 60 ][ 67 ][ 68 ]化学療法単独によるCNSに対する治療後の神経認知的転帰が不良な危険因子は、低年齢および女性である。[ 66 ][ 69 ][ 70 ]
記憶形成に必須の神経解剖学的領域における完全性低下(例、活性化を伴う海馬容積の低下および頭頂葉萎縮)に関連して、認知状態の低下が観察されている。しかしながら、小児ALLに対して、特に化学療法単独を用いた現代のアプローチで治療された、年齢を重ねつつある成人においてこうした有病率の高い神経認知的および神経画像検査による異常が機能状態に及ぼす長期的影響は、引き続き盛んに研究されている分野である。
証拠(大規模な小児がん生存者コホートにおける神経認知的機能):
- CCSSは、1970年から1999年にかけて化学療法のみで治療を受けた小児ALLの青年生存者1,560人の親が報告した認知、行動、および学習の問題について検討した。[
71
]
- 頭蓋照射による治療を受けた生存者は、不安-抑うつ、不注意-多動性、および引きこもりにおける問題の頻度が頭蓋照射による治療を受けなかった生存者より有意に高かった。
- 同胞と比較して、化学療法のみの治療を受けた生存者は、強情的行動(生存者の19% vs 同胞の14%、P = 0.010)、不注意-多動性(19% vs 14%、P < 0.0001)、引きこもり(18% vs 12%、P = 0.002)を示す傾向が高く、学習の問題の割合(28% vs 14%、P < 0.0001)が高かった。
- 生存者における多変量モデルで、静注メトトレキサートの累積用量が高い(すなわち、4.3g/m2を超える)と、不注意-多動性のリスクが高くなった(相対リスク[RR]、1.53)。
- 認知または行動に問題がある青年生存者ならびに学習に問題がある青年生存者は、認知または行動に問題がない青年生存者よりも若年成人で大学を卒業できる可能性が低かった。
- 不注意および多動性の問題は、青年期に特別教育を受けるリスクが最も高いことに関係していた。青年期に特別教育へ参加しても、成人での教育達成度は改善されなかった。
- 予防的頭蓋照射が省略されたSJCRH Total XV(NCT00137111)試験では、120週目に参加者243人に包括的な認知学的検査が実施され、以下が明らかになった:[
72
]
- 持続的注意の測定で能力が平均以下になるリスクが高かったが、知的機能、学習スキル、または記憶力の測定でリスクは高くなかった。
- 認知障害のリスクは治療の強度と相関したが、診断時年齢や性別とは相関しなかった。
- このコホートの長期追跡(平均、診断から7.7年)により、知能は集団の期待値と比較して正常範囲内にあることが実証されたが、実行機能、処理速度、および記憶の測定では集団の平均未満であった。血漿メトトレキサート高値は実行機能の低下、大脳皮質肥厚、および機能的MRIで脳の前頭部における高活性化に関連した。
- これらの結果は、この集団が年齢を重ねるにつれて、CNS向けの化学療法単独治療後の認知障害の有病率と大きさをより良く特徴付けるために追跡の継続が必要であることを強調している。[ 73 ]
- 新たにALLと診断された小児を対象とした神経認知機能転帰に関する大規模なプロスペクティブ研究で、リスクグループに基づいてCNSに向けた治療を受ける群に小児555人がランダム化された。[
74
]
- 低リスク群:髄腔内メトトレキサート vs 高用量メトトレキサート。
- 高リスク群:高用量メトトレキサート vs 24Gyの頭蓋照射療法。
- 提供されたCNS治療にかかわらず、対照と比較してすべての患者群で、IQスコアにおける有意な低下(4~7ポイント)が観察された。
- 診断時に5歳未満の小児は、治療割り付けに関係なく、5歳を過ぎて診断された小児より、治療後3年でのIQが80を下回る傾向が高く、年齢が若いほど、治療関連の神経毒性作用に対してより脆弱であることが示唆される。
- 持続性の認知障害と進行性の知的機能低下は、小児期にALLの治療を受けた成人の複数のコホートで観察されており、学業成績の低下と失業に関連している。[
53
][
56
][
59
]小児ALLの500人を超える成人生存者(診断後、平均26年)を対象とした研究の結果から以下が示された:[
53
]
- 生存者は、すべての神経認知的領域で障害の発生率増加を示した(各領域で28.6~58.9%の範囲)。
- 重度の障害の割合は、頭蓋照射線量の関数として増加したが、低線量の頭蓋照射と化学療法単独で治療を受けた生存者に多くみられた。
- 実行機能の技能における障害は、診断後の時間とともに頭蓋照射線量依存性で増大した;知的側面、学力、記憶力の障害は、治療時年齢が若いと頭蓋照射線量依存性で徐々に増大した;さらに神経認知的障害は、大学卒業やフルタイムでの就労の可能性低下など、成人としての機能的転帰に関連していた。
- 時間の経過に伴い発現しうる神経認知的な問題を特定するために、医療専門家による継続的なモニタリングが必要である。
ALLとステロイド療法
ALLの全身治療に用いられる種類のステロイドは認知機能に影響を及ぼす可能性がある。治療中にデキサメタゾンまたはプレドニゾンのいずれかの投与を受けた標準リスクのALLの既往を有する92人の小児を対象に長期神経認知機能検査を実施した研究(追跡期間中央値9.8年)で、神経認知的能力および学業成績の平均スコアに意味のある差は認められなかった。[ 75 ]対照的に、小児白血病の成人生存者567人(平均年齢、33歳;診断後の追跡期間平均値、26年)を対象とした研究で、デキサメタゾン曝露量は、メトトレキサート曝露量とは無関係に、注意力障害(RR、2.12;95%信頼区間[CI]、1.11-4.03)および実行機能障害(RR、2.42;95%CI、1.20-4.91)のリスク増加と関係していた。髄腔内ヒドロコルチゾンも注意力障害のリスクを高める(RR、1.24;95%CI、1.05-1.46)。[ 53 ]
その他のがん
神経認知異常は、他のがん生存者群において報告されている。小児非CNSがんの成人生存者(ALLを含む、n = 5,937)を対象とした1件の研究では、生存者の13~21%が作業効率、組織能力、記憶能力、または感情調節の障害を報告した。この障害比率は、同胞の比較群で報告された値より、約50%高かった。診断時年齢が6歳未満、女性、頭蓋照射療法、および聴覚障害といった因子が障害と関連していた。[ 55 ]さらに、新たに表れたデータにより、成人期の慢性的な健康障害の発生は、CNS以外のがんの長期生存者における認知障害に関与する可能性があることが示唆される。
神経認知異常は、以下のがんで報告されている:
- 骨肉腫。骨肉腫の長期生存者80人(診断からの平均追跡期間、24.7年)における神経認知機能を評価した研究において、生存者は読む能力、注意、記憶、処理速度の平均スコアが地域の対照者より低いことが示された。心疾患、肺疾患、および内分泌障害の存在は、記憶および処理速度の測定値に関する能力低下と有意に関係していた。[ 76 ]
-
網膜芽細胞腫。 網膜芽細胞腫の生存者における知的機能に関する初期の研究によると、両側性の生存者では非罹患の同胞および一般集団と比較して平均知能が上回ることが示唆され、特にこれらの疾患により失明した患者で顕著であった。[
77
][
78
][
79
]
その後の研究では、相反する結果が得られている。例えば、6歳未満の生存者集団における認知機能および適応能力の連続的評価では、経時的な発育機能の低下が明らかにされた。最も深刻な低下は、13q欠失の患者で観察された。[ 80 ]対照的に、診断から平均33年にわたり追跡された長期成人生存者を対象とした研究では、知能、記憶、注意、および実行機能の領域全体で、ほぼ平均的な認知機能が実証された。[ 81 ]このような相反する研究結果は、治療曝露における時間的違いに加えて、非常に若い年齢で認知的転帰を評価するために使用される測定法で検査-再検査の信頼性が低いことに部分的に起因している可能性がある。
- リンパ腫。リンパ腫の生存者は、歴史的に神経認知的晩期合併症(晩期障害)の発症リスクがあるとみなされていなかった。しかしながら、報告によると、小児非ホジキンリンパ腫の3分の2を超える生存者は、実行機能(13%)、注意(9%)、および記憶(4%)における重度障害を含め、少なくとも軽度の神経認知障害を経験することが示唆される。[ 82 ]同様に、小児ホジキンリンパ腫の成人生存者62人を対象とした研究で、生存者は、国内の標準的データと比較して、注意持続、短期および長期記憶、認知の流暢さの測定値に関して能力低下を示した。[ 83 ]重要な点として、この生存者集団では、心機能および肺機能の測定値も神経認知機能障害と関連していた。
幹細胞移植
小児における幹細胞移植による認知および学業への後遺症についても評価されており、以下のものがあるが、これだけに限定されるわけではない:
- 患者268人が幹細胞移植による治療を受けたSJCRHからの報告で、晩期の認知および学業への後遺症の軽微なリスクが観察された。[
84
]
- 非血縁ドナー移植を受けた患者、全身放射線照射を受けた患者、および移植片対宿主病(GVHD)を発症した患者を含む複数のサブグループでは、比較的リスクが高かった。しかしながら、これらの差異は発症前の機能、特に社会経済的状態と関連した機能の差と比較すると小さかった。
- 造血幹細胞移植(HSCT)および髄腔内化学療法を受けた患者38人を対象としたシリーズでは、移植後1年以内に視覚運動能力および記憶スコアに有意な低下が認められた。[
85
]
- 移植後3年までに、視覚運動発達スコアおよび記憶スコアに改善が認められたが、新たな欠損が長期記憶スコアにみられた。
- 移植後5年までに、言語能力およびパフォーマンス能力に進行性の低下が認められ、新たな欠損が長期言語記憶スコアにみられた。
- 初期治療の一環として、またはHSCT前処置の一部として頭蓋照射を受けた患者では、神経認知機能に最も大きな低下が認められた。
幹細胞移植後に現れる神経認知的晩期合併症(晩期障害)の大部分は、脳の白質損傷に関連していると考えられる。これは、HSCTによる治療を受けた白血病の小児を対象に研究された。36人の患者を対象とした1件のシリーズでは、典型的に白質に関連する神経認知的尺度の成績が、灰質機能に関連する尺度の成績と比較された。複合白質スコアは、複合灰質スコアより有意に低かったという結果が得られ、この結果は、白質損傷がこの集団における神経認知的晩期合併症(晩期障害)に寄与するという考えを支持している。[ 86 ]
神経学的後遺症
神経学的合併症のリスクは、以下の因子により高まる可能性がある:
- 腫瘍の部位。
- 神経外科手術。
- 頭蓋照射療法。
- 特定の神経毒性のある化学療法薬。
CNS腫瘍を患っている小児では、腫瘤による圧排、腫瘍浸潤、頭蓋内圧亢進により、運動または感覚欠損、小脳障害が発現する可能性があり、さらに痙攣発作および脳血管合併症などの二次的な影響が生じうる。CNSの完全性と機能の異常を示す報告は多数存在しているが、そうした研究は一般的に、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアス、転帰の横断的確認、治療への曝露から評価までの時間が不定であることによって限定されている。それに対して、末梢神経系機能に関する転帰を包括的または系統的に確認する研究は比較的少数である。
CNS腫瘍生存者は、同胞よりも生涯にわたって神経学的有害事象を新たに発症するリスクが高いままである。CCSSからのCNS腫瘍の5年生存者1,876人を対象にした1件の縦断研究によると、診断から30年経過しても新規の有害な続発症についてプラトーに達していない。診断からの期間中央値は23年で、調査された患者の年齢中央値は30.3歳であった。[ 87 ]
- 頭蓋照射、脳卒中、腫瘍再発、および髄膜腫の発症は、独立して晩発性の神経学的後遺症(痙攣発作、局所性神経学的機能障害、および神経感覚異常)に関連した。
- この知見から、これらの患者は集学的ながん生存者クリニック内で、またはこうした施設と密接に連携した継続的な神経学的フォローアップにより注意深く監視する必要があると支持されている。
小児がんの生存者に起こりうる神経学的合併症を以下に示す:
-
痙攣発作。痙攣発作の発生は、CNS内の腫瘍の腫瘤作用に続発して、および/またはCNSに向けた神経毒性治療の結果として認められることがある。
- CCSSからのCNS腫瘍の5年生存者1,876人において、痙攣発作の発生率は診断から5年経過した生存者における27%から診断から30年経過した生存者における41%に増加した。晩発性の痙攣発作は、前頭葉への50Gyの放射線(ハザード比[HR]、1.8)および線量依存性に側頭葉への放射線(HR、1-49Gyで1.9;HR、50Gy超で2.2)に関連した。晩発性の痙攣発作に関連する他の危険因子としては、再発(HR、2.3)、髄膜腫の発症(HR、2.6)、および脳卒中の既往(HR、2.0)が挙げられた。痙攣発作のリスクは同胞と比較して生存者で高かった(HR、12.7)。[ 87 ]
- CCSSにおける小児白血病の生存者(N = 4,151;64.5%が頭蓋照射による治療を受けた)で、痙攣発作の障害発生を6.1%が報告し、これらの患者の51%で診断後5年より後に痙攣発作が発生した。[ 88 ]
- 白質脳症。臨床的またはX線撮影による白質脳症は、頭蓋照射および高用量の全身メトトレキサート投与後に報告されている。若年の患者および24Gyを超える頭蓋照射を受けた患者は、白質脳症に伴う白質容積減少に対してより脆弱である。[ 54 ][ 59 ][ 89 ][ 90 ]白質病変は異栄養性石灰化、大脳ラクナ梗塞、および大脳萎縮などの神経画像診断による異常を伴うことがある。
-
末梢性神経障害。 ビンカアルカロイド薬(ビンクリスチンとビンブラスチン)およびシスプラチンは末梢性神経障害を引き起こす可能性がある。[
91
][
92
][
93
] この障害は治療中に発現し、治療終了後には改善または臨床的に解消すると考えられる。[
91
] しかしながら、小児ALLの長期生存者ではビンクリスチンおよび/または髄腔内メトトレキサートの累積用量が高いほど神経筋障害との関連性が強くなり、これらの薬剤の持続的効果が成長した生存者の身体機能状態に影響する可能性があることを示唆している。[
91
]
小児頭蓋外固形腫瘍の成人生存者(診断からの期間中央値、25年)において、神経筋機能の標準化された評価により、ビンクリスチン曝露に関連した運動障害およびシスプラチン曝露に関連した感覚障害が明らかにされた。[ 92 ]感覚障害が認められる生存者では、持久力の低さおよび可動性の制限に関係した運動機能制限の有病率が高いことが示された。これらの研究から、長期生存者における機能的転帰を最適にするため、評価とリハビリサービスへの紹介の重要性が強調されている。
- 脳卒中。 小児CNS腫瘍の生存者は、同胞と比較して脳卒中のリスクが43倍高い。[ 39 ][ 94 ] 頭蓋照射療法(線量に依存)、ベースラインのアテローム性動脈硬化症、高血圧、およびアフリカ系米国人の民族性が危険因子として同定されている。[ 95 ][ 96 ][ 97 ](脳卒中に関する情報については、本要約の脳血管疾患のセクションを参照のこと。)
-
過眠(日中の眠気)または睡眠発作。SJCRHで治療された脳腫瘍患者を対象にした1件のレトロスペクティブ・レビューにおいて、研究者らにより、2,336人の患者のうち39人が過眠/睡眠発作を診断され、10万人当たりの有病率は1,670例であり、これは一般集団において報告されている10万人当たりの有病率、20~50例よりもはるかに高いことが確認された。これは、疲労や睡眠障害といった軽度~中等度の症状を有する患者の多くが認識されず、睡眠専門医に紹介されない可能性があるため、小児脳腫瘍生存者において過小評価されている可能性がある。過眠/睡眠発作は、腫瘍診断から中央値にして6年(範囲、0.4~13.2年)、頭蓋照射から4.7年(範囲、1.5~10.4年)経過時に診断された。腫瘍の正中線上の位置および抗てんかん薬の使用が過眠/睡眠発作に相関した一方、30Gyを超える放射線量は重度が増す傾向がみられた。後頭蓋窩の腫瘍の位置は過眠リスクの低下に関連した。過眠/睡眠発作の治療は個別に対応すべきであり、刺激薬による薬理学的介入が有益な可能性がある。[
98
]
ニューロフィードバックのランダム化比較試験に参加した小児CNS腫瘍の生存者82人(年齢中央値、13.8歳)を対象にしたベースライン時の評価において、生存者の48%が睡眠に問題があることを認め、睡眠の開始と維持、過剰睡眠、および全体の尺度に対する下位尺度のスコアがSleep Disturbance Scale for Childrenにおける標準よりも有意に不良であった。感情面の問題および/または多動性/不注意は、睡眠の問題に対する独立した潜在的危険因子であった。睡眠の問題はまた、親が報告する不良な実行機能に関連した。[ 99 ]
-
その他の神経学的後遺症。CCSSによる報告では、小児ALLの成人生存者4,151人における自己報告による神経学的晩期合併症(晩期障害)をその同胞と比較しており、生存者では協調障害、運動障害、痙攣発作、および頭痛が晩期に発生するリスクが高かった。そのすべての累積発生率は、20年で44%であった。重篤な頭痛が最も多くみられ、その累積発生率は20年で25.8%で、次に局所性神経学的機能障害(21.2%)および痙攣発作(7%)が多くみられた。ALLに対する頭蓋照射を含むレジメンで治療を受けた小児および再燃を起こした小児は、神経学的後遺症の晩期発生リスクが高かった。[
88
]
小児ALLの生存者162人における神経系の罹病およびQOLを臨床的な神経学的検査とともに評価した(評価時の年齢中央値、15.7歳;治療完了からの期間中央値、7.4年)1件の横断研究では、神経学的症状は生存者の83%に認められたが、ほとんどの生存者で症状に関係する罹病率は低く、QOLが高かった。最もよく報告される症状として、神経障害(63%)、頭痛(46.9%)、めまい(33.3%)、背部痛(22.8%)が挙げられた。女性、10回以上の髄腔内化学療法、頭蓋照射、診断時のCNS白血病、およびALL再燃歴は、神経系の罹病率と関係していた。[ 7 ]
放射線照射を受けたALL生存者と受けていないALL生存者の神経画像研究では、白質脳症、大脳ラクナ梗塞、大脳萎縮、および異栄養性石灰化(石灰化微小血管障害)を含むさまざまなCNS異常が明らかになっている。これらの中で、大脳白質の完全性と容積の異常は、神経認知機能転帰との相関が認められている。[ 51 ][ 59 ][ 89 ][ 90 ]
海綿腫も頭蓋照射を受けたALL生存者に認められている。それらは腫瘍形成とは対照的に、血管新生過程により発生すると推定されている。[ 100 ]
CCSSからのCNS腫瘍の5年生存者1,876人において、頭痛の累積発生率は診断から5年経過時の38%から30年経過時の53%に増加した。同様に、協調障害は診断から5年経過時の21%から30年経過時の53%に増加し、運動障害は同じ期間で21%から35%に増加した。運動障害のリスク増加は、腫瘍再発(HR、2.6)、髄膜腫の発生(HR、2.3)、および脳卒中(HR、14.9)に関連した。感覚神経の有害転帰もまた同じ期間で増加した;難聴の累積発生率は5年経過時の9%から30年経過時の23%に増加し、耳鳴の累積発生率は5年経過時の8%から30年経過時の21%に増加し、めまいの累積発生率は5年経過時の9%から30年経過時の17%に増加した。運動障害のリスク(HR、7.6)および難聴のリスク(HR、18.4)は同胞と比較して高かった。[ 87 ]
表3では、CNSの晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表3.中枢神経系晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 神経学的影響 健康スクリーニング IQ = 知能指数;IT = 髄腔内;IV = 静脈内。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 プラチナ製剤(カルボプラチン、シスプラチン) 末梢性知覚神経障害 神経学的検査 植物性アルカロイド薬(ビンブラスチン、ビンクリスチン) 末梢性知覚または運動神経障害(反射消失、脱力、下垂足、感覚異常) 神経学的検査 メトトレキサート(高用量IVまたはIT);シタラビン(高用量IVまたはIT);脳に影響する放射線 臨床上の白質脳症(痙攣、運動失調、構音障害、嚥下困難、片側不全麻痺、痙攣発作);頭痛;痙攣発作;感覚欠損 既往:認知、運動、および/または感覚欠損、痙攣発作 神経学的検査 脳血管構造に影響する放射線 脳血管合併症(脳卒中、もやもや病、閉塞性脳血管症) 既往:一過性/持続性の神経学的イベント 血圧 神経学的検査 神経外科-脳 運動および/または感覚欠損(麻痺、運動障害、運動失調、眼の障害[視神経麻痺、注視不全麻痺、眼振、乳頭浮腫、視神経萎縮]);痙攣発作 神経学的検査 神経学的評価 神経外科-脳 水頭症;シャント機能不良 腹部X線 神経学的評価 神経外科-脊椎 神経因性膀胱;尿失禁 既往:血尿、尿意切迫/頻尿、尿失禁/尿閉、排尿障害、夜尿症、異常尿流 神経外科-脊椎 神経因性膀胱;便失禁 既往:慢性便秘、便失禁 直腸検査 素因となる治療 神経心理学的影響 健康スクリーニング メトトレキサート(高用量IVまたはIT);シタラビン(高用量IVまたはIT);脳に影響する放射線;神経外科-脳 神経認知的障害(実行機能、記憶、注意、処理速度、他);学習障害;IQ低下;行動上の変化 教育および職業訓練の進捗評価 正式な神経心理学的評価 心理社会的
多くの小児がん生存者は、生活の質の低下や他の有害な心理的転帰を報告している。小児がん後の心理社会的な適応不良に関する証拠は、患者報告または代理報告の転帰から集団ベースのレジストリーのデータに及ぶ多くのソースから得られている。前者の報告は少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアス、評価の方法と立場のばらつき(臨床 vs 距離ベースの調査)により制限される場合がある。後者は、心理社会的欠如のリスクが高い生存者の特定を可能にする臨床上および治療上の特徴に、十分相関しないことが多い。
神経認知的障害のある生存者は、成人に期待される社会的転帰の達成に影響する有害な心理社会的転帰に対し、特に脆弱である。
- 小児期または青年期に診断されたCNS腫瘍の成人生存者を対象にした集団ベースの研究で、生存者は一般集団の個人より自己知覚および自尊心の転帰が有意に不良であった。女性、継続して認められる身体的後遺症、特定の腫瘍タイプ、および頭蓋照射療法による治療で、自己知覚の転帰不良が予測された。[ 101 ]
- CCSSにより報告されたCNS悪性腫瘍生存者(n = 802)を対象としたシリーズによると、成人の適応成功(学業成績、所得、就職、および結婚歴)を示す複数の指標に関する転帰不良が神経認知機能障害を報告した生存者で最も多くみられた。[ 4 ]
- 全体的に、CNS腫瘍生存者の間の心理社会的結果を評価する研究は、社会的能力の障害が経時的に悪化したことを示している。[ 102 ]この中には、小児期/青年期における同級生からの拒絶および孤立に関する問題とともに、友情の輪を広げることや成人として恋愛関係ができないことが含まれている。
- 診断グループ全体で自立した生活状態の予測因子を検討したCCSS研究によると、神経認知的、心理学的、または身体的晩期合併症(晩期障害)を有する小児がんの成人生存者は、比較群の同胞と比べて、成人として自立した生活を過ごす可能性が低かった。[ 44 ]
- CNS腫瘍の生存者224人(現在の年齢中央値、26歳、診断からの期間中央値、18年)を対象にしたSt. Jude Lifetime Cohort研究では、神経認知障害が低い教育達成度、失業、および自立していない生活と有意に関連していた。[ 14 ]
- 化学療法のみの治療を受けた小児ALLの青年生存者1,560人のシリーズで、CCSSは、強情的行動、不注意-多動性、および引きこもりの問題をまだ経験していた生存者の割合がかなり高く、これらの問題は特別教育を受けるリスクの増加と関係し、成人での教育達成度低下が予測されたことを特定した。[ 71 ]
小児がん生存者は心理的苦痛の症状を発症するリスクも高い。生存者4,500人以上を対象とした1件の縦断研究によると、生存者の複数のサブグループは、16年の間に持続的で漸増する不安と抑うつ症状を呈するリスクが高かった。疼痛と健康状態の悪化を報告した生存者は、経時的な不安、抑うつ、身体化の症状の発現リスクが最大であった。[ 103 ]
小児がんの成人生存者は、同胞に比べて自殺念慮のリスクも高く、中でもCNS腫瘍の生存者は最も自殺願望を報告する可能性が高い。小児がんの成人長期生存者9,128人における反復性自殺念慮の有病率を評価したCCSS研究によると、生存者は同胞と比べて晩期の自殺念慮(オッズ比[OR]、1.9;95%CI、1.5-2.5)および反復性自殺念慮(OR、2.6;95%CI、1.8-3.8)を報告する傾向が高かった。痙攣発作の既往は、生存者が自殺念慮を抱く可能性が倍増することと関連していた。[ 104 ]25歳前にがんの治療を受けた成人における自殺について評価した集団ベースの研究で、自殺の絶対リスク(死亡3,375例中24例)は低かったが、自殺のHRは、がんの治療を受けた時期が小児期(0~14歳;HR、2.5;95%CI、1.7-3.8)、青年および若年成人期(15~24歳;HR、2.3;95%CI、1.2-4.6)で高かった。[ 105 ]
慢性的な健康障害の存在も、心理学的健康面に影響を及ぼす可能性がある。HSCTによる治療を受けた長期生存者における心理学的転帰を評価した1件の研究では、生存者の22%および同胞対照の8%が有害な転帰を報告した。最も多い訴えは身体的苦痛で、HSCT生存者の15%が訴えており、リスクは同胞の3倍であった。重度/命に関わる病態で活動性の慢性GVHDを有するHSCT生存者は、身体的苦痛のリスクが2倍高かった。[ 106 ]CCSSからの報告で、慢性の肺疾患、内分泌障害、および心疾患の存在は、小児がんの成人生存者5,021人のサンプルで心理的苦痛の症状を認めるリスクが高いことに関係していることが明らかになった。[ 107 ]
神経芽腫の生存者における長期の心理学的転帰および教育成果を評価したCCSSの調査において、生存者は特別な教育サービスの利用および低い教育達成度に関連する心理的な障害のリスク増加を示した。2つ以上の慢性的な健康障害の存在(ただし、一般的な治療への曝露ではない)は、心理的な障害を予測した。特に、肺疾患は5つすべての心理的領域の障害を予測した一方、内分泌疾患および末梢性神経障害はそれぞれ、3つの心理的領域の障害を予測した。[ 108 ]
小児がん生存者では、心理学的スクリーニングを臨床来院に組み込むことが有用な可能性がある;しかしながら、そうした評価を、長期フォローアップを実施する診療室に再来院する患者に限定することは、障害のより多い生存者のサンプルに偏った結果につながり、正確な有病率の確定が困難となる可能性がある。小児脳腫瘍の生存者における行動、情動、および社会的適応に関するレビューはこの点を明示しており、心理学的適応障害の有病率は25~93%の範囲である。[ 109 ]小児がんの成人生存者101人の研究において、Dana Farber Cancer Instituteの生存者クリニックでのルーチンの年1回の評価中に心理学的スクリーニングが実施された。症状チェックリスト90改訂版では、32人の被験者がスクリーニング陽性(心理的苦痛を示す)となり、14人の被験者が少なくとも1つの自殺の恐れのある症状を示した。心理的苦痛の危険因子は、被験者の身体的外観に対する不満、不十分な肉体的健康、頭蓋照射による治療などであった。この研究では、心理学的スクリーニングが30分以内に完了したため、臨床訪問設定においてその手段が実行できることが示された。さらに、その手段を完遂すること自体は、症例の80%において生存者の苦痛を引き起こさなかったようである。[ 110 ]これらのデータは、医療クリニックにおける心理社会的苦悩の一貫した評価について、その実施可能性と重要性を裏付けている。
(心理的苦痛とがん患者に関する詳しい情報については、がんへの適応:不安と苦痛に関するPDQ要約を参照のこと。)
小児がん後の心的外傷後ストレス
がんの診断および治療に関連して多くのストレスがあるにもかかわらず、がん患児では一般に心的外傷後ストレス症候群および心的外傷後ストレス障害(PTSD)の程度は低く、健常比較対照の小児より典型的に高くないことが複数の研究で示されている。[ 111 ]患者および親の適応様式は、小児腫瘍学領域でPTSDの重大な決定因子であると考えられる。[ 112 ][ 113 ]
PTSDおよび心的外傷後ストレス症候群の有病率は、小児がんの若年成人生存者の15~20%と報告されており、これらの疾患を定義するために使用した基準によってこの率は異なっている。[ 114 ]
- PTSDの生存者は、心理学的な問題ならびに自身の病気および健康状態に関して否定的な意見をPTSDでない生存者より多く報告した。[ 115 ][ 116 ]
- CCSSによると、成人生存者の一部(9%)は、PTSDの確定診断と一致する症状群と合わせて、機能障害および/または臨床上の苦痛を報告した。この率は、同胞対照の生存者より有意に高かった。[ 117 ]この研究では、PTSDは、未婚、年収が$20,000未満、失業中、高校教育以下、および30歳を過ぎた年齢と有意に関連していた。頭蓋照射を4歳未満で受けた生存者は、特にPTSDのリスクが高かった。がんに向けた強化治療も、完全PTSDのリスクが高いことと関連していた。
PTSDではがんに関連する場所や人物の回避がその一症状であるため、適切な医療を得る上でこの症候群が妨げとなる場合がある。PTSDの患者は、自身またはその子供の生命に関してより大きな脅威を感じていた。他の危険因子としては、家族機能の不良、社会的支援の不足、がん以外のストレス因子などが挙げられる。[ 118 ]
小児期、青年期、および若年成人期のがん生存者における心理社会的転帰
がんの晩期合併症(晩期障害)に関する大半の研究では、小児期にがんが発現した個人に焦点を当てている。青年期に発生したがんの診断に特有な影響、または青年および若年成人(AYA)の心理社会的転帰に対する小児がんの影響についてはほとんど知られていない。
証拠(AYAのがん生存者における心理社会的転帰):
- 青年期(15~18歳)にがんと診断された成人生存者(N = 825)が年齢を一致させた一般集団のサンプルおよびがんになったことがない成人の比較群と比較された。[
119
]
- 青年期のがんの女性生存者は、最初のボーイフレンドができるなどの心理精神的発達に関する発育上の重要段階に達する割合が低いか、これらの重要段階に達する時期が遅かった。
- 男性の生存者では、同性対照群よりも、両親と同居している割合が高かった。
- 青年がん生存者に結婚の経験がある、または子供がいる割合は低かった。年齢を一致させたサンプルと比較した場合、生存者では、最初の結婚時および第一子の誕生時の年齢が有意に高かった。
- このコホートの生存者は、地域社会ベースの対照群と被験者と比較して、一般生活および健康関連生活への満足度も有意に劣っていた。一般生活および健康関連生活への満足度が損なわれていることは、身体的な晩期合併症(晩期障害)、抑うつおよび不安の症状、および心的外傷後成長速度遅延と関連していた。[ 120 ]
- AYAのがん生存者4,054人およびがんの既往歴がない回答者345,592人の調査で以下が報告された:[
121
]
- AYAのがん生存者は、喫煙(26% vs 18%)、肥満(31% vs 27%)、ならびに心血管疾患(14% vs 7%)、高血圧(35% vs 9%)、喘息(15% vs 8%)、身体障害(36% vs 18%)、メンタルヘルス不良(20% vs 10%)などの慢性的な障害を抱える傾向が高かった。
- また、費用の面から医療を受けない傾向も高かった(24% vs 15%)。
- CCSSでは、青年生存者2,979人および小児がん生存者の同胞649人の転帰を評価し、6つの行動的および社会的領域(抑うつ/不安、強情、注意の欠陥、同級生との対立/引きこもり、反社会的行動、社会的能力)における障害の発生率を明らかにした。[
122
]
- 生存者では、抑うつ/不安の症状を有する傾向が同胞より1.5倍(95%CI、1.1-2.1)高く、反社会的行動がみられる傾向が同胞より1.7倍(95%CI、1.3-2.2)高かった。
- 同胞とのスコアの比較では、抑うつ/不安、注意の欠陥、反社会的行動の各領域のスコアが白血病またはCNS腫瘍の治療を受けた青年で有意に高かった。
- さらに神経芽腫の生存者には、抑うつ/不安および反社会的行動の領域での障害が認められた。
- CNSに対する治療(頭蓋照射療法および/または髄腔内メトトレキサート)は、行動面での有害な結果に固有の危険因子であった。
- 別のCCSS研究では、青年期および若年成人期に診断されたがんの長期生存者2,589人において心理学的および神経認知機能が評価された。[
123
]
- 同胞コホートと比較して、青年期および若年成人期に診断された生存者は抑うつ(OR、1.55;95%CI、1.04-2.30)および不安(OR、2.00;95%CI、1.17-3.43)の割合が高く、作業効率(OR、1.72;95%CI、1.21-2.43)、感情調節(OR、1.74;95%CI、1.26-2.40)、記憶能力(OR、1.44;95%CI、1.09-1.89)に影響する認知障害を多く報告した。
- 青年後期に診断されたリンパ腫および肉腫の生存者は、11歳未満で診断された生存者よりも心理社会的および神経認知的問題のリスクが低かった。CNS腫瘍および白血病の生存者ではこれらのアウトカムに診断時年齢による差は認められなかった。
- 青年期および若年成人期に診断された生存者はまた、同胞の対照と比較して高校より後の教育を受ける、フルタイムで働く、結婚する、独立して生活する可能性が有意に低かった;不良な社会的アウトカムは神経認知的症状に関係している。
- CCSSフォローアップ研究では、がん治療を受けた青年3,993人(13~17歳)における併存症の症状プロファイルが評価された。[
124
]潜在的プロファイル解析で、以下の4つの症状プロファイルが特定された:
- 重大な症状なし。
- 内向症状(不安および/または抑うつ、引きこもり、および注意力障害)の増加。
- 外向症状(強情行動および注意力障害)の増加。
- 内向および外向症状の増加。
総合結果は、青年生存者で行動、情動、および社会的症状がしばしば同時に発生し、治療曝露(頭蓋照射、コルチコステロイド、およびメトトレキサート)および晩期合併症(晩期障害)(肥満、がん関連痛、および感覚障害)と関係していることを裏付けている。
小児がんの診断はまた心理社会的アウトカムおよび成人してから期待される機能的および社会的自立の達成に影響する可能性もある。数件の調査で、小児CNS腫瘍の生存者は特に影響を受けやすいことが実証されている。[ 125 ][ 126 ]
証拠(機能的および社会的自立):
- CNS腫瘍の生存者665人(54%が男性;52%が頭蓋照射による治療を受けた;年齢中央値、15歳;診断から12年)を対象とした研究で、CCSSの研究者らにより、以下が観察された:[
125
]
- 生存者のほぼ50%が仲間関係に関する社会的困難を経験し、それは固形腫瘍の生存者や同胞の対照の社会的困難を超えていた。
- 頭蓋照射曝露は社会的関係および仲間関係を予測した;すべての社会的アウトカムと頭蓋照射との関連に認知障害が影響した。
- St. Jude Lifetime Cohort Studyで、CNS腫瘍の生存者306人(星細胞腫[n = 130]、髄芽腫[n = 77]、上衣腫[n = 36]、およびその他[n = 63];年齢中央値、25歳;診断からの期間、16.8年)における機能的および社会的自立が調査された。[
126
]
- 研究コホートで、成人してから完全な自立を達成していたのは長期生存者のわずか40%であった。
- 非自立の予測因子として、頭蓋脊髄照射による治療、シャントを伴う水頭症の病歴、および診断時年齢が低いことが挙げられた。
- IQスコアの低下のほか、有酸素運動能、柔軟性、身体的適応能力の機能的制限は非自立に有意に関連した。
青年期の引きこもりは、成人の肥満や身体的不活動に関連している。[ 127 ]結果として、これらの心理学的問題は将来の慢性的な健康障害のリスクを増大させる可能性があり、がん治療後の心理学的問題に対する定期的なスクリーニングおよび治療が必要なことを裏付けている。
これらの課題は、がん診断時および長期の追跡期間で青年および若年成人が経験するため、この集団では、生存への過渡期に影響を及ぼす心理社会的、教育的、職業的に特有な問題に取り組むプログラムが利用できることにより利益が得られる可能性がある。[ 128 ][ 129 ]
CNSおよび心理社会的晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 消化器系の晩期合併症(晩期障害)
-
歯科
概要
化学療法、放射線療法、および局所手術は、口腔および歯に多くの美容的および機能的異常をもたらす可能性がある。この転帰に関する現在のエビデンスの質は、レトロスペクティブなデータ収集、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアスのほか、治療アプローチ、治療期間、および確認方法における不均一性により制限される。
小児がん生存者で報告されている口腔および歯の合併症には以下のものがある:
口腔における放射線骨壊死および二次がんも発生する。
歯の発育異常
小児がん生存者で報告されている歯の発育異常には以下のものがある:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ][ 11 ]
- 歯牙発生の欠損。
- 歯数不足。
- 小歯症。
- エナメル質形成不全。
- 歯根奇形。
歯数不足の有病率は、診断時年齢、治療法、および確認方法に応じて、シリーズ間で大幅に異なっている。
歯の形成異常との関連が認められているがん治療法には以下のものがある:[ 3 ][ 11 ]
- 頭頸部への放射線療法。
- あらゆる化学療法。
- 造血幹細胞移植(HSCT)。
5歳未満の小児は、幼少期におけるエナメル芽細胞(エナメル質産生)および象牙芽細胞(象牙質産生)の活性障害に関連する歯根無形成、歯牙発生遅延、エナメル質欠損、および/または過剰な齲蝕を含む歯の異常のリスクが最も高い。[ 3 ]
がん治療による歯の成育への影響に関連する重要な知見には以下のものがある:
-
放射線療法。 エナメル芽細胞は10Gy程度の低い線量でも永久的な損傷を受ける可能性があるため、口腔またはその周囲構造に向けた放射線照射は歯の異常のリスクを高める。[
3
][
5
][
6
][
12
] しかし、最も著しい歯牙形成不全または発生遅延は、20Gy以上の放射線照射を受けた幼児(4歳未満)にみられる。[
13
]
発育中の歯列は、頭頸部肉腫、ホジキンリンパ腫、神経芽腫、中枢神経系白血病、上咽頭がん、脳腫瘍を治療する過程で、また全身放射線照射(TBI)の一部として照射を受ける場合がある。10~40Gyの線量は、歯根短縮または異常な弯曲、萎縮、および低石灰化を引き起こすことがある。[ 14 ]40Gyを超える線量で治療を受けた頭頸部横紋筋肉腫の85%を超える生存者で、下顎骨または上顎骨発育不全、齲蝕増加、歯数不足、小歯症、歯根分路、および口腔乾燥を含む重大な歯の異常が報告されている。[ 4 ][ 5 ]
- 化学療法。 化学療法で、特にアルキル化剤への曝露は、歯の発育に影響を与える可能性がある。[ 3 ][ 6 ][ 7 ] 白血病または神経芽腫治療のための化学療法は、小臼歯歯根の短縮および菲薄化のほか、エナメル質の異常に関連することがある。[ 15 ][ 16 ][ 17 ] Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)の研究者らは、小児がんの長期生存者における発育上の歯牙の異常に対する重大な危険因子として、5歳未満の年齢およびシクロホスファミドに対する高い曝露を特定した。[ 3 ]
- HSCT。HSCT前処置で、特にTBIを含むレジメンは、歯根無形成および歯根形成異常をもたらすことがある。永久歯が生えていない低年齢小児が最も影響を受けやすい。[ 1 ][ 2 ][ 6 ]TBIを伴うHSCTを受けた小児では、短いV型の歯根、小歯症、エナメル質形成不全、および/または早熟性の先端閉鎖が発生することがある。[ 1 ][ 2 ][ 8 ]HSCTによる治療を受けた患者が若いほど、歯牙の発育阻害がより重度で、顔面下部の垂直方向への成長不全がより大きくなる。このような高リスク患者では、綿密なサーベイランスと適切な介入が必要である。[ 9 ]TBIを併用しないHSCTを受けた患者(特に移植時年齢が2歳未満の患者)において、歯牙の異常が報告されている。[ 18 ]
唾液腺機能不全
口の渇きを覚える口腔乾燥は、頭頸部放射線照射またはHSCT後に発生する可能性のある副作用で、生活の質に重度の影響を与えることがある。唾液分泌減少の合併症には以下のものがある:[ 19 ][ 20 ]
- 齲蝕増加。
- 口腔の易感染。
- 睡眠障害。
- 咀嚼、嚥下、および発語の障害。
がん治療後における唾液腺機能不全の有病率は、測定方法に応じて異なる(患者報告 vs 刺激下または非刺激下での唾液分泌速度)。[ 21 ]一般に小児がん生存者では、自己報告による持続的な治療後口腔乾燥の有病率は低い。CCSSによると、自己報告による口腔乾燥の有病率は、同胞の0.3%と比較すると、生存者では2.8%で、30歳を超えた生存者でリスクが高かった。[ 3 ]
がん治療による唾液腺機能への影響に関連する重要な知見には以下のものがある:
- 放射線療法。 頭頸部悪性腫瘍またはホジキンリンパ腫の治療に付随する唾液腺への放射線照射は、唾液流量における質的および量的変化を招き、この変化は40Gy未満の線量後は可逆的であるが、より高線量の後には不可逆的な場合があり、これは感作化学療法も投与されるかどうかによって左右される。[ 19 ]
- HSCT。HSCTレシピエントは、移植前処置または移植片対宿主病(GVHD)に関係する唾液腺機能不全のリスクが高い。GVHDは、唾液分泌減退および口腔乾燥と、それによる歯科疾患を引き起こすことがある。小児HSCT生存者の研究では、シクロホスファミドと10Gyの単回TBIによる前処置レジメンに曝露された患者の60%に唾液分泌量の減少がみられ、これに対してシクロホスファミドとブスルファンが投与された患者では26%であった。[ 22 ]対照的に、別の研究では、長期生存者における唾液分泌減少の有病率に、前処置レジメン(単回TBI、47%;分割TBI、47%;ブスルファン、42%)による違いはみられなかった。[ 23 ]
- 化学療法。 化学療法単独と口腔乾燥との関連性については、依然として意見が分かれている。[ 19 ] シクロホスファミドによる治療を受けた患者における刺激下での唾液流量減少の過剰リスク(オッズ比、12.32[2.1-74.4])を明らかにした小児患者の研究は1件のみである;しかしながら、齲蝕の増加は認められず、患者報告による口腔乾燥は評価されなかった。[ 7 ]
治療中および治療後の感染合併症および細菌叢の変化の影響は不明である。[ 6 ]
頭蓋顔面発育異常
頭蓋顔面形成異常は、頭頸部への高線量放射線療法を受けた小児で多くみられる有害転帰であり、歯の異常、口腔乾燥、開口障害といった他の口腔後遺症を伴って発生することが多い。[ 5 ][ 24 ][ 25 ]筋骨格の外観損傷の範囲および重症度は、治療時の年齢および放射線療法の容積と線量に関連しており、若い患者および30Gy以上の照射を受けた患者でリスクが高かった。
顎の放射線骨壊死は、頭蓋顔面への高線量の放射線照射(40Gy超)による治療を受けた小児生存者において観察されるまれな合併症で、特に照射された下顎の抜歯後に多い。[ 26 ][ 27 ]
美容的および機能的異常の改善には、しばしば多くの外科的介入が必要である。
治療後の管理
数件の研究から、放射線療法を受けた患者にはフッ化物製品またはクロルヘキシジン含嗽薬が有益となる可能性が示唆されている。[ 28 ]齲蝕は、唾液の質および量の減少による結果として問題である。局所フッ化物の使用は齲蝕の頻度を劇的に減少させることができ、唾液の代替物および唾液分泌促進薬は口腔乾燥などの続発症を改善できる。[ 20 ]
小児がん生存者の歯の検診の頻度は、すべての成人は年1回歯科医にかかるようにとの米国歯科医師会(American Dental Association)の勧告を下回ることが報告されている。[ 29 ]小児腫瘍学グループのLong-term Follow-Up Guidelinesでは、すべての小児がん生存者に対して年2回の歯牙清掃と検査を推奨している。これらの知見は、医療提供者が小児がん治療の生存者へのルーチンの歯科治療および歯科衛生評価を奨励することを、さらに活発化させる。(がん患者における口腔合併症に関する詳しい情報については、化学療法と頭頸部放射線療法の口腔合併症に関するPDQ要約を参照のこと。)
表4では、口腔や歯科の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表4.口腔/歯牙の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 口腔/歯牙の影響 健康スクリーニング/介入 CT = コンピュータ断層撮影法;GVHD = 移植片対宿主病;MRI = 磁気共鳴画像法。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 任意の化学療法;口腔に影響する放射線 歯牙の発育異常;歯牙/歯根の発育不全;小歯症;歯根の菲薄化/短縮;エナメル質形成不全 6ヵ月ごとの歯科検診と歯科清掃 フッ化物塗布を含む定期的な歯科治療 放射線療法を受けた小児がん生存者の管理の経験を積んだ矯正歯科医の診察 歯科手術前に歯根の発育を評価するためのベースラインのパノラマX線撮影 口腔に影響する放射線 不正咬合;顎関節機能不全 6ヵ月ごとの歯科検診と歯科清掃 フッ化物塗布を含む定期的な歯科治療 放射線療法を受けた小児がん生存者の管理の経験を積んだ矯正歯科医の診察 歯科手術前に歯根の発育を評価するためのベースラインのパノラマX線撮影 顎開口のための補助用具について耳鼻咽喉科医への紹介 口腔に影響する放射線;慢性GVHDの既往を伴う造血細胞移植 口腔乾燥/唾液腺機能不全;歯周疾患;齲蝕;口腔がん(扁平上皮がん) 6ヵ月ごとの歯科検診と歯科清掃 代用唾液、湿潤剤および催涎剤(ピロカルピン)による支持療法 フッ化物塗布を含む定期的な歯科治療 疑わしい病変を生検するための紹介 口腔に影響する放射線(40Gy以上) 放射線骨壊死 既往:歯科処置後の治癒の障害または遅延 検査:持続性の顎の疼痛、腫脹または開口障害 画像検査(X線、CTキャンおよび/またはMRI)は診断決定に役立つ場合がある 外科的生検は診断確定に必要な場合がある 高圧酸素療法を検討 消化管
概要
消化(GI)管は、化学療法、放射線療法、および手術による急性毒性に対する感受性が高い。しかしながら、これらの重要な治療法は、治療依存性および用量依存性でいくつかの長期的問題をもたらすこともある。長期的な消化管の転帰について公表された報告は、レトロスペクティブなデータ収集、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアスのほか、治療アプローチ、治療期間、および確認方法における不均一性により制限される。
治療関連の晩期合併症(晩期障害)には以下のものがある:
- 化学療法および/または腹部放射線の用量/線量強度に関連した上部および下部消化管の晩期合併症(晩期障害)。
- 術後の腸閉塞の素因となる腹部手術に続発する癒着。
消化管関連の晩期合併症(晩期障害)には以下のものがある:
- 食道運動障害。
- 食道狭窄。
- 胃食道逆流症。
- 胃炎、腸炎、または大腸炎。
- 消化管運動機能障害(下痢、便秘、大便失禁、腸閉塞)。
- 二次悪性新生物。
選択したコホート研究による消化管転帰
証拠(選択したコホート研究による消化管転帰):
- CCSSに参加した小児がんの5年生存者の中では、自己報告した消化管障害の累積発生率は、がん診断から20年で37.6%(上部消化管合併症で25.8%、下部消化管合併症で15.5%)であり、同胞対照と比較した過剰リスクは、上部消化管合併症(相対リスク[RR]、1.8;95%信頼区間[CI]、1.6-2.0)および下部消化管合併症(RR、1.9;95%CI、1.7-2.2)でほぼ2倍を示した。[
30
]
特定の消化管合併症のリスクが高いことを予測する因子には以下のものがある:
- 診断時年齢が高い。
- 強化療法(上部消化管合併症ではアントラサイクリンおよび下部消化管合併症ではアルキル化剤)。
- 腹部放射線療法。
- 腹部手術。
- 急性骨髄性白血病に対して化学療法単独による治療を受けた小児のコホート研究によると、消化管疾患は比較的まれで、同胞対照から報告されたものと有意差はないことが明らかになった。[ 31 ]
- 放射線による消化管への晩期合併症(晩期障害)は、血管損傷に起因する。壊死、潰瘍形成、狭窄、または穿孔が生じることがあり、吸収不良、疼痛、および腸閉塞再発のほか、穿孔および感染という特徴がみられる。[
32
][
33
][
34
]
一般に、20~30Gyの分割照射線量は明らかな長期の病的状態なしに小腸に照射可能である。40Gyを超える線量は、腸閉塞または慢性腸炎リスクの増加に関連する。[ 35 ]ダクチノマイシンまたはアントラサイクリン系薬物などの感作化学療法薬はこのリスクを増大させうる。
消化管転帰に対するがん組織型の影響
横紋筋肉腫、ウィルムス腫瘍、リンパ腫、胚細胞腫瘍、神経芽腫などのいくつかの小児悪性腫瘍で、腹腔内腫瘍は比較的よくみられる部位である。腹腔内腫瘍では、しばしば集学的治療が必要になり、場合によっては、腸切除、腸傷害性の化学療法、および/または放射線療法が必要になる。そのため、このような腫瘍では、長期的な消化管の問題が特に生じやすいと予想される。
以下のように、放射線療法で治療された泌尿生殖器固形腫瘍の小児患者における消化管合併症を記述した少数の報告がある:[ 36 ][ 37 ][ 38 ][ 39 ][ 40 ]
- 全腹部(10~40Gy)および病変部(25~40Gy)に放射線療法を実施し、さらに腹部開腹術を受けた43人(98%)および化学療法を受けた25人(57%)の患者を含めて、消化管合併症の素因となる追加介入を受けたがん患児44人を対象に、腸症状を包括的に評価した研究が1件ある。[
36
]
- 晩期の小腸閉塞は19ヵ月から7年間生存している患者の36%にみられ、先行して治療中に小腸毒性が均一に認められていた。
- CCSSにより、5年生存者12,316人(腹部骨盤領域の腫瘍を有していた2,002人と有さなかった10,314人)と同胞4,023人において手術を要する後発性腸閉塞の発生率およびリスクが評価された。腹部骨盤領域の腫瘍を有していた生存者における最も一般的な診断はウィルムス腫瘍と神経芽腫であったが、軟部肉腫、リンパ腫、骨腫瘍も含まれた。[
41
]
- 35年経過時の手術を要する後発性腸閉塞の累積発生率は、腹部骨盤領域の腫瘍を有していた生存者で5.8%、腹部骨盤領域の腫瘍を有さなかった生存者で1.0%、同胞で0.3%であった。
- 手術を要する腸閉塞の高いリスクは腹部骨盤領域の腫瘍の存在(調整後率比[ARR]、3.6;P < 0.001)およびがん診断から5年以内の腹部または骨盤に対する放射線療法への曝露(ARR、2.4;P < 0.001)に関連していた。
- 腹部骨盤領域の腫瘍の生存者における診断から手術を要する最初の後発性腸閉塞までの期間中央値は12年(範囲、8~19年)であった。
- 手術を要する後発性腸閉塞の累積発生率は、リンパ腫が最も高かった(診断から35年経過時で7.2%)。
- 小児がん生存者は骨盤部照射曝露後、晩期肛門直腸疾患のリスクが高い。CCSSの報告で、以下の結果が示された:[
42
]
- 生存者では、がん診断の5年以内の30Gyを超える骨盤部照射療法は、遅発性肛門直腸疾患に関連した(照射なしと比較した30~49.9Gyに対するARR、1.6;照射なしと比較した50Gy以上に対するARR、5.4)。
- 報告された最も頻繁な肛門直腸疾患は痔瘻で、狭窄および肛門直腸の二次悪性新生物が続いた。
- 遅発性肛門直腸疾患は、情動的苦痛の増加および生活の質の障害によって特徴付けられているように、すべての領域の心理的な障害に関連した。
- 泌尿生殖器横紋筋肉腫長期生存者を対象に胃腸毒性を評価しているIntergroup Rhabdomyosarcoma Studyによる報告では、放射線を照射した腸の異常はまれにみられた。[
37
][
38
][
40
]
- 放射線関連合併症は、精巣周辺および膀胱/前立腺の横紋筋肉腫の長期生存者の約10%に発生し、腸閉塞を伴う腹腔内癒着、慢性的な下痢、および狭窄または腸瘻形成が含まれていた。
表5では、消化管の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表5.消化管の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 胃腸の影響 健康スクリーニング/介入 GVHD = 移植片対宿主病;KUB = 腎臓、尿管、膀胱(腹部単純X線撮影)。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 食道に影響する放射線;何らかの慢性GVHDの既往を伴う造血細胞移植 胃食道逆流症;食道運動障害;食道狭窄 既往:嚥下困難、胸やけ 食道拡張、逆流防止手術 腸に影響する放射線 慢性腸炎;瘻孔;狭窄 既往:吐き気、嘔吐、腹痛、下痢 慢性的な下痢または瘻孔がある患者では血清蛋白およびアルブミン値を毎年1回 症候性の患者では外科および/または胃腸科の診察 腸に影響する放射線;開腹術 腸閉塞 既往:腹痛、腹部膨満、嘔吐、便秘 検査:圧痛、腹壁防御、腹部膨満(急性発症) 臨床的に閉塞症状を認める患者ではKUBを得ること 内科的管理に対して不応性の患者では外科の診察 骨盤の手術;膀胱切除術 便失禁 既往:慢性便秘、便失禁 直腸検査 肝胆汁系
概要
小児がん治療に起因する肝合併症は、主に急性治療毒性として観察される。[ 43 ]多くの化学療法薬および放射線療法は肝毒性であるため、治療中に一過性の肝機能異常がよくみられる。重度の急性肝合併症が発生するのはまれである。小児がん生存者は、ときに長期にわたり肝損傷を来すことがある。[ 44 ]
小児がんに関連する肝毒性に関する一般的概念には以下のものがある:
- 長期肝毒性のリスクは、よく定義されていない。
- 原発性肝腫瘍で大幅な肝切除が必要な小児、または移植までも必要な小児は、肝損傷のリスクが高い。
- 肝に対して放射線療法を受けた小児は、肝損傷のリスクが高い。
- 骨髄移植を受けた小児は、肝損傷のリスクが高い。
化学療法の種類、放射線曝露の線量と範囲、外科的介入の影響、ウイルス性肝炎および/または他の感染合併症の進展中の影響など、特定の因子については、今後の研究でさらに注意していく必要がある。
肝胆道系晩期合併症(晩期障害)の種類
肝酵素の無症候性の上昇は最も一般的な肝胆道系合併症である。
-
肝酵素の無症候性の上昇。小児がんに対する治療に関係する肝損傷は、しばしば無症候性で、緩徐な経過を辿る。血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、およびガンマグルタミルトランスフェラーゼ(GGT)値の上昇は化学療法中の一過性の急性肝損傷を反映していることがあるが、これらは晩期の肝機能障害または肝硬変を予測しない。
オランダの研究者らは、肝細胞損傷についてALT、胆道損傷についてGGTを用いて長期生存者1,362人(診断からの追跡期間中央値、12.4年)を評価したところ、8.7%に肝胆汁系機能障害が観察された。ウイルス性肝炎および肝静脈閉塞疾患の既往がある症例は除外された。多変量解析によるALTおよびGGT高値の予測因子としては、肝臓を含む放射線療法、高い肥満指数(BMI)、比較的高いアルコール摂取量、長期の追跡期間が含まれた;GGT高値と有意に関連したのは、比較的高い診断時年齢のみであった。[ 45 ]CCSS報告によると、小児がん生存者は、同胞対照と比較して肝関連の健康障害を報告する傾向が2倍を超え、肝硬変を報告する傾向がほぼ9倍も高かった。[ 30 ]
低頻度で報告される肝胆道系合併症には以下のものがある:
- 胆石症。研究の数は限られているが、胆石症のリスク増加は、回腸導管、非経口栄養、腹部手術、腹部放射線療法、およびHSCTとの関連を示している。[ 46 ][ 47 ] 胆嚢疾患は、CCSS参加者で最も高頻度に報告された遅発性肝疾患で、同胞対照と比較した過剰リスクは2倍(RR、2.0;95%CI、2.0-40.0)であった。[ 30 ]
-
局所性結節性過形成。局所性結節性過形成と呼ばれ、再生肝から構成される病変は、化学療法またはHSCT後のスクリーニングの画像検査で偶然認められている。[
48
][
49
]
これらの病変は、血管損傷の医原性良性発現であると考えられ、静脈閉塞疾患、大量アルキル化剤(例、ブスルファンおよびメルファラン)、および肝臓への放射線照射と関連している。この所見の有病率は不明である;いくつかの報告では1%未満とされているが[ 49 ]、これは過小評価の可能性が高い。肝臓の鉄貯蔵量を評価するため、移植後の患者を磁気共鳴画像法(MRI)により追跡したある研究では、累積発生率が移植後150ヵ月で35%であった。[ 48 ]
この病変は、転移腫瘍または二次腫瘍に似ている可能性があるが、MRI画像では特徴的なパターンを有し、一般に診断可能である。病変が成長しないか、患者に気になる症状がない限り、通常は生検または切除の必要はない。
-
結節性再生性過形成。[
50
]結節性再生性過形成はまれな疾患で、多くの単一腺房の再生性肝結節および軽度の線維症の発生を特徴とする。その発生機序は十分確立されていないが、不均一な肝血流量に対する非特異的な組織適応を表している可能性がある。[
51
]肝臓への放射線照射を併用したかどうかにかかわらず、化学療法による治療を受けた小児がん生存者では、結節性再生性過形成がまれに観察されている。[
52
][
53
]
結節性再生性過形成を二次悪性腫瘍と区別するには、生検が必要になる場合がある。
- 小滴性脂肪変化。[ 50 ] 急性リンパ芽球性白血病に対する強化療法を最近完了したコホートでは、脂肪浸潤の組織学的証拠が93%に認められ、鉄沈着症が70%までの患者に認められた。[ 54 ]線維症は11%に発生し、血清低比重リポ蛋白(LDL)コレステロールが高いことと関連していた。また、同種幹細胞移植の前に頭蓋照射療法を受けた過体重または肥満ではない小児がんの長期生存者において、インスリン抵抗性の脂肪肝が高頻度に発生することも報告されている。[ 55 ]急性の治療後脂肪肝変化が、この集団における晩期脂肪性肝炎の発症またはメタボリックシンドロームの一因となるかどうか確定するには、プロスペクティブ研究が必要である。
-
輸血関連の鉄過剰。赤血球輸血は、外因性の鉄が組織に移行する際の鉄の貯蔵および分布のホメオスタシス崩壊のために、過剰な鉄蓄積をもたらすことがある。輸血による鉄過剰は、小児がん患者に報告されているが、その有病率、臓器分布、および重症度については、まだ特性解析が不十分である。
多臓器系の鉄測定の正確で非侵襲性手段としてMRIが浮上している。[ 56 ][ 57 ]患者75人(追跡期間中央値4.4年;最終輸血から4.9年)を対象とした横断研究において、MRIによる鉄濃度は、肝臓(49.3%)および膵臓(26.4%)で上昇していたが、心臓における増加は認められなかった。
多変量解析で、濃厚赤血球の累積量および診断時年齢が高いことが、肝臓の鉄濃度上昇の予測因子であった。[ 56 ]同種移植の実施は有意な危険因子である。[ 58 ]小児がん患者生存者116人を対象にした研究で、フェリチンが500ng/mLを超えた3人の患者(2.6%)が確認された。濃厚赤血球の総量がフェリチン上昇に相関した(r = 0.74;P < 0.0001)。[ 59 ]臨床的に重大な輸血関連鉄過剰のリスクがあり、鉄過剰および臓器機能不全の緩和に介入が必要な生存者の特性をよりよく解明するには、さらに研究が必要である。
肝胆道系晩期合併症(晩期障害)の治療関連危険因子
過去の治療の種類および強度は、後発性肝胆道系の結果についてリスクに影響する。治療関連毒性のリスクに加えて、HSCTレシピエントは、微小血管性、免疫学的、感染性、代謝性、および他の毒性の病因に関連する慢性肝機能不全を頻繁に経験する。
がん治療による肝胆道系合併症への影響に関連する重要な知見には以下のものがある:
-
化学療法。肝毒性の可能性が立証されている化学療法薬には、6-メルカプトプリン、6-thioguanine、メトトレキサートのほか、まれにダクチノマイシンのような代謝拮抗薬がある。チオプリン系薬剤の特に6-thioguanine投与後に静脈閉塞疾患/類洞閉塞症候群(VOD/SOS)および胆汁うっ滞性疾患が観察されている。6-thioguanineによる治療後にVOD/SOSを発症した小児の一部に進行性線維症および門脈圧亢進症が報告されている。[
60
][
61
][
62
]小児固形腫瘍に対してダクチノマイシンによる治療を受けた小児に、急性・用量依存性・可逆性のVOD/SOSが観察されている。[
63
][
64
]
移植の状況でも、シクロホスファミド/TBI、ブスルファン/シクロホスファミド、およびカルムスチン/シクロホスファミド/エトポシドを含む前処置レジメン後にVOD/SOSが観察されている。[ 65 ]大量のシクロホスファミドはこれらのレジメンすべてに共通しており、潜在的な原因因子と推定されている。
-
放射線療法。 急性放射線誘導性肝疾患も、VOD/SOSの特徴である内皮細胞傷害を引き起こす。[
66
] 成人では、通常分割で30~35Gyまで肝全体は耐えられ、放射線誘導性肝疾患の有病率は、肝病巣容積および肝臓予備力により6~66%と幅がある。[
66
][
67
]
ウイルス性肝炎または鉄過剰症のような素因となる疾患がない長期生存者では、現代的な治療後の放射線肝障害はまれであると考えられる。[ 68 ]不可逆的な損傷に対する線量の閾値は不明であるが、Pediatric Normal Tissue Effects in the Clinic(PENTEC)の主導で調査されている。小児における損傷リスクは、放射線量、肝容積、若い治療時年齢、部分肝切除の既往、ならびにダクチノマイシンおよびドキソルビシンのような放射線様作用性の化学療法併用に伴って増加する。[ 69 ][ 70 ][ 71 ][ 72 ]放射線量40Gyを肝容積の3分の1以上、30G以上を全腹部または肝全体を含む上腹部野に照射した生存者は、肝機能障害のリスクが最も高い。[ 44 ]
- HSCT。HSCT後の患者における慢性肝機能不全は、病因学的に多因子性である。最も一般的な慢性肝機能不全の病因は、鉄過剰、慢性GVHD、およびウイルス性肝炎である。[ 73 ]消化管の慢性GVHDで、ビリルビン高値を示す患者は、予後および生活の質が不良である。[ 74 ]慢性肝機能不全は、幹細胞移植の長期生存者の過半数にみられる場合があり、本疾患の経過は緩徐なようであるが、生存者の健康に及ぼす長期的影響を確立するために追跡の継続が必要である。[ 75 ]
肝胆道系晩期合併症(晩期障害)での感染の危険因子
B型およびC型ウイルス性肝炎は、小児がんの治療経過を悪化させ、慢性肝機能障害に至る場合がある。B型肝炎の方が侵攻性で急性の臨床経過を示し、慢性感染症の割合が低い傾向がある。C型肝炎の特徴は、急性感染症が軽度で、慢性感染症の割合が高いことである。小児がん生存者における輸血関連C型肝炎の発生率は、報告した施設の地理的位置により、5%から50%の幅がある。[ 76 ][ 77 ][ 78 ][ 79 ][ 80 ][ 81 ][ 82 ]
小児がん生存者は、慢性肝炎により、肝硬変、末期肝疾患、および肝細胞がんに罹患しやすくなる。他の向肝性ウイルスと組み合わさって、または他の向肝性ウイルスと同時発生したB型およびC型肝炎の同時感染は、肝疾患の進行を速める。
ほとんどの患者が小児がん治療中に何らかの血液製剤の投与を受けており、多くが輸血歴に気付いていないため、患者が何らかの血液または血液製剤の投与を受けていないことが絶対確実でない限り、診断日/治療日を基にしたスクリーニングが推奨される。[ 83 ]したがって、1972年より前に治療を受けた小児がんの生存者はすべてB型肝炎についてのスクリーニングを実施し、1993年より前に治療を受けた生存者はすべてC型肝炎についてのスクリーニングを実施するとともに、スクリーニング結果が陽性の場合は、治療法の選択肢に関する相談を求めるべきである。
治療後の管理
肝機能不全の生存者に対しては、肝損傷を予防するためのリスク低減方法に関して助言すべきである。標準的な推奨事項には、健康体重の維持、アルコール摂取の自制、およびA型およびB型肝炎ウイルスの予防接種を含む。慢性肝炎の患者では、家族へのウイルス伝播を減らすための予防措置および性的接触も見直すべきである。
表6では、肝胆汁系の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表6.肝胆道系の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 肝臓の影響 健康スクリーニング/介入 ALT = アラニンアミノトランスフェラーゼ;AST = アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ;HSCT = 造血幹細胞移植。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 メトトレキサート;メルカプトプリン/thioguanine;HSCT 肝機能障害 臨床検査:ALT、AST、ビリルビンの値 HSCTによる治療を受けた患者ではフェリチン メルカプトプリン/thioguanine;HSCT 静脈閉塞疾患/類洞閉塞症候群 検査:強膜黄疸、黄疸、腹水、肝腫大、脾腫 臨床検査:ALT、AST、ビリルビン、血小板の値 HSCTによる治療を受けた患者ではフェリチン 肝臓/胆管に影響する放射線;HSCT 肝線維化/肝硬変;局所性結節性過形成 検査:黄疸、くも状血管腫、手掌紅斑、黄色腫肝腫大、脾腫 臨床検査:ALT、AST、ビリルビンの値 HSCTによる治療を受けた患者ではフェリチン 肝臓スクリーニング検査で異常を認めた患者では、肝の合成機能を評価するためのプロトロンビン時間 肝機能異常が持続する患者または1993年以前に輸血を受けたすべての患者では、ウイルス性肝炎のスクリーニング 肝機能障害が持続する患者では、胃腸科/肝臓科の診察 免疫力が劣る患者では、A型およびB型肝炎の予防接種 鉄過剰に対しては、瀉血およびキレート療法を検討 肝臓/胆管に影響する放射線 胆石症 既往:高脂肪食に関連する仙痛性腹痛、過度の鼓腸 検査:右上腹部または心窩部の圧痛(急性発症) 慢性腹痛を訴える患者では、胆嚢の超音波検査を検討 膵臓
膵臓は、膵臓に関係した晩期合併症(晩期障害)に関する情報が不足しているため、放射線への感受性が比較的低いと考えられている。しかしながら、TBIまたは腹部放射線照射による治療を受けた小児および若年成人は、インスリン抵抗性および糖尿病のリスクが高いことが知られている。[ 84 ][ 85 ][ 86 ]コルチコステロイドおよびアスパラギナーゼは膵臓への急性毒性に関連している一方、急性損傷を経験している患者については膵外分泌または膵内外分泌機能における晩期続発症が報告されている。
証拠(糖尿病のリスク):
- 1件のレトロスペクティブ・コホート研究では、フランスと英国で治療を受けた小児がんの5年生存者2,520人の自己報告に基づいて、膵臓への放射線の照射線量とその後の糖尿病の診断リスクとの関連性が調査された。[
87
]
- 65例の糖尿病の妥当性が確認された;リスクはランゲルハンス島が集中する膵尾部への放射線療法により増加した。リスクは最大20~29Gyで増加した後、プラトーに達した。1GyのRRの推定値は1.61であった。
- 膵臓の他の部位への放射線照射は重大な影響を及ぼさなかった。
- 膵臓へ10Gy以上の放射線療法を受けた患者では、放射線療法を受けなかった患者と比べて糖尿病のRRが11.5であった。
- 放射線療法時に2歳未満であった小児は、より年齢の高い患児よりも感受性が高かった(1Gy時のRRは若年集団で2.1であったのに対し、より年齢の高い患児では1.4であった)。
- 10Gy以上の放射線照射を受けた511人の患者における糖尿病の累積発生率は16%であった。
- 別の研究では、ホジキンリンパ腫の5年生存者2,264人(42%が診断時に25歳未満であった)における追跡期間中央値21.5年後の糖尿病のリスクが評価された。[
88
]
- 糖尿病の累積発生率は、コホート全体で8.3%(95%CI、6.9%-9.8%)および傍大動脈領域への36Gyを超える放射線で治療された患者で14.2%(95%CI、10.7%-18.3%)であった。
- 傍大動脈リンパ節および脾臓へ36Gyを超える放射線を受けた生存者は、放射線療法を受けていない生存者と比較して糖尿病のリスクが2.3倍高かった。
- 膵尾部への照射線量が高くなるにつれて、糖尿病のリスクが高くなった。
- CCSSの研究者は、小児がんの5年生存者20,762人および同胞4,853人における糖尿病のリスクを評価した。[
89
]
- 腹部放射線に曝露した生存者(n = 4,568)は、同胞よりも糖尿病を発症する可能性がほぼ3倍高く、腹部放射線に曝露していない生存者よりも1.6倍高かった。
- 腹部放射線療法で治療された生存者における多変量モデリングにより、糖尿病の発症に対する独立した危険因子が同定され、これにはより高い到達年齢、より高いBMI、および膵尾部への高い照射線量が含まれた。
- がん診断時年齢が低いこと(10歳未満)と膵尾部への高い平均照射線量との間にも有意な相互作用が特定された。
- St. Jude Lifetime Cohortの研究者らにより、治療後10年以上臨床的に評価されていた小児急性リンパ芽球性白血病の成人生存者1,044人(平均年齢、34歳)および地域の対照368人(平均年齢、35歳)における糖尿病の有病率および危険因子が評価された。[
90
]
- 2型糖尿病の有病率は、生存者で7.5%および対照で3.8%であった。
- 生存者における糖尿病発症に対する独立した危険因子として、より高い年齢(オッズ比[OR]、1歳増えるごとに1.05)、30kg/m2以上の肥満指数(OR、7.4)、および治療中の薬物誘発性の高血糖症の既往(OR、4.67)が挙げられた。
消化器系晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 内分泌系晩期合併症(晩期障害)
-
内分泌機能不全は、小児がん生存者で非常に多くみられ、特にホルモン産生臓器に関わる手術または放射線療法を受けた場合およびアルキル化剤による化学療法を受けた場合に顕著である。
特定の内分泌異常の有病率は以下により影響を受ける:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
内分泌系晩期合併症(晩期障害)は、視床下部/下垂体の損傷または末梢の腺障害に起因するものとして大まかに分類できる。[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]前者は、中枢神経系(CNS)腫瘍に対する治療後に最も多くみられ、2年を超えて生存した生存者718人を対象とした全国コホート研究で有病率は24.8%と報告されており、すべての視床下部/下垂体軸に障害が認められた。[ 3 ]
以下のセクションでは、下垂体、甲状腺、副腎、および性腺の機能に影響を及ぼす内分泌機能不全のリスクのある生存者の臨床的特徴について明らかにする研究を要約する。
甲状腺
- 甲状腺機能障害は、ホジキンリンパ腫、脳腫瘍、頭頸部肉腫、および急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療に付随して実施される甲状腺などへの放射線療法の照射野によくみられる遅発障害である。
- 放射線曝露と甲状腺異常の関連性を示す証拠は多数存在するが、それらの研究が、コホート選択および参加バイアスのほか、治療アプローチ、放射線曝露からの期間、確認方法(例、自己報告 vs 臨床的または画像診断評価)における不均一性により制限されるため、特定の病態の有病率は大幅に異なっている。
- 小児がん生存者で非常に多く観察される甲状腺異常には以下のものがある:
- 原発性甲状腺機能低下症。
- 甲状腺機能亢進症。
- 甲状腺腫。
- 結節。
甲状腺機能低下症
危険因子
甲状腺機能低下症のリスク増大は、頭頸部に対する放射線療法で甲状腺にも照射を受けた小児がん生存者(特にホジキンリンパ腫の生存者)の間で報告されている。[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ]
ヨウ素 131メタヨードベンジルグアニジン(131I-MIBG)による治療は、ヨウ化カリウム、過塩素酸塩、またはヨウ化カリウム、チロキシン(T4)、およびチアマゾールの併用(131I-MIBG誘発性の甲状腺機能低下症のリスクは低下するが、完全に排除できるわけではない)により甲状腺を保護しても、原発性甲状腺機能低下症を引き起こすことがある。[ 5 ]
臨床像
- 放射線療法で治療される小児のほとんどが、治療後最初の2~5年以内に甲状腺機能低下症を発症するが、新たな症例はもっと遅くに起こる可能性がある。
- 甲状腺機能障害の報告は、放射線の線量、追跡の長さ、および診断を下すのに用いられる生化学的基準に応じて異なる。[ 6 ]
- 最も頻繁に報告される異常には以下のものがある:
- 甲状腺刺激ホルモン(TSH)の高値。
- チロキシン(T4)の低値。
- TSHの高値およびT4の低値。
- 中枢性甲状腺機能低下症は視床下部下垂体軸の放射線曝露の結果として生じる;典型的にはTSHの低値とともに遊離T4の低値が認められる。
- 代償性甲状腺機能低下症ではT4は正常でTSHが高値であり、症状は認められない。自然経過は不明であるが、内分泌医のほとんどが治療を支持する。
- 非代償性甲状腺機能低下症では、TSHが高値でT4が低値である。
- 甲状腺ホルモンの補充は、代謝異常の改善に有益であり、心血管、胃腸、および神経認知の機能に対して臨床的有益性を有する。
証拠(甲状腺機能低下症の有病率および危険因子):
- German Group of Paediatric Radiation Oncologyは、甲状腺および/または下垂体に対する放射線療法を受けた患者404人(年齢中央値、10.9歳)を含む62施設で治療を受けた患者1,086人について報告した。[
7
]追跡調査の情報は、264人(60.9%;追跡期間中央値、40ヵ月)の患者について得られており、60人(22.7%)の患者が病理学的値を示している。
- 予防的頭蓋照射(放射線量中央値、12Gy)による治療を受けた患者と比較して、甲状腺への放射線量が15~25Gyの患者では、病的な甲状腺を示す血液値を生じるハザード比(HR)が3.072(P = 0.002)であった。
- 甲状腺に対して25Gyを超える放射線を受けた患者ではHRが3.769(P = 0.009)であり、頭蓋脊髄照射を受けた患者ではHRが5.674(P < 0.001)であった。
- 甲状腺ホルモン補充療法の累積発生率では、定義されたサブグループ間に差は認められなかった。
- Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)により、12,015人の生存者において連続した質問票を介して評価された自己報告の甲状腺機能低下症の有病率が調査された。計1,193例の甲状腺機能低下症が観察され、このうち777例(65%)はがん診断から5年以上経過後に発生した。[
8
]
- がん診断後5年経過時の有病率 + がん診断後30年までの発生率は、ホジキンリンパ腫(32.3%)およびCNS腫瘍(17.7%)の5年生存者で最も高かった。
- 発生率は、甲状腺および下垂体への放射線量と有意に関連した。甲状腺および視床下部-下垂体への放射線量を合わせた影響は、下垂体への放射線量が16Gyを超える場合は、線量の和よりも低いようである。
- 放射線関連リスクは女性よりも男性の方が高く、曝露時年齢および曝露からの経過時間とは逆相関していたが、曝露後25年以上では高いままであった。
- 次に示すある種の化学療法はこのリスクと有意に関連した:ブレオマイシン(率比、3.4)、およびアルキル化剤のCCNU(率比、3.0)とシクロホスファミド(率比、1.3)。最も強力な化学療法関連リスクは、CNS腫瘍の生存者で認められた。CCNUでは有意な用量反応が観察された(P < 0.01)。
- CCSSでは、1970年から1986年に治療を受けた小児ホジキンリンパ腫生存者のコホートにおいて、生存者が自己報告式質問票を用いて甲状腺疾患について評価された。[
9
]
- 中央値で14年間追跡された生存者1,791において、生存者の34%が少なくとも1つは甲状腺の異常を診断されていると報告した。
- 甲状腺機能低下症については、明確な線量反応が認められ(図9を参照)、20年リスクは以下の通りであった:
- 甲状腺に35Gy未満の放射線照射を受けた群では20%。
- 甲状腺に35~44.9Gyの放射線照射を受けた群では30%。
- 甲状腺に45Gyを超える放射線照射を受けた群では50%。
- 同胞対照群と比較して、相対リスク(RR)は甲状腺機能低下症で17.1であった。
- 診断からの経過時間は、甲状腺機能低下症に対する危険因子であり、リスクは診断後最初の3~5年で増加した。
- 女性は、甲状腺機能低下症のリスクが高かった。
- CCSSからの追跡研究で、生存者14,290人からの自己報告データが同胞対照4,031人からのデータと比較された。[
2
]
- RRは甲状腺機能低下症で3.8であり、甲状腺または下垂体に対して放射線療法を受けなかった場合でも、対照と比較して依然として生存者の方が有意に高かった。
- これらの結果は、小児がん生存者における長期モニタリング戦略の継続および個別化の必要性を示している。
- 陽子線治療を受けた脳腫瘍の小児および若年成人(年齢26歳未満)189人を対象にした1件の研究で実証されているように、放射線療法送達の精度が向上し続けており、一部の患者において甲状腺が受ける放射線量の低下に有望である。[
10
]
- 追跡期間中央値4.4年時に、原発性甲状腺機能低下症の累積発生率は頭蓋脊髄照射後で3%および全体で1.6%であったが、これは光子線による頭蓋脊髄照射後の56~65%という以前の報告の発生率よりもかなり低い。[ 10 ]
甲状腺機能亢進症
甲状腺機能低下症よりも一般的ではないが、小児がん生存者ではまた甲状腺機能亢進症のリスクも高い。[ 2 ][ 9 ][ 11 ]
証拠(甲状腺機能亢進症の有病率および危険因子):
- CCSSの研究者らにより、1970年から1986年までに治療された小児ホジキンリンパ腫生存者1,791人における甲状腺疾患の有病率が評価され、中央値で14年間追跡された。[
9
]
- 5%の生存者が甲状腺機能亢進症を報告したが、これは対照が報告した発生率よりも8倍高かった。
- 35Gy以上の甲状腺への線量は甲状腺機能亢進症を確認するための唯一の危険因子であった。
- CCSSの別の研究により、甲状腺および下垂体への治療域の線量を同一にして甲状腺機能亢進症のリスクが評価された。[
11
]
- 生存者179人で甲状腺機能亢進症が自己報告され、148例ではがん診断から5年以上経過後に診断された。
- がん診断後30年までに甲状腺機能亢進症が認められている生存者の累積割合は2.5%(95%信頼区間[CI]、2.0%-2.9%)であった。
- 甲状腺への放射線は甲状腺機能亢進症のリスクを増大させ、0~63Gyの線量範囲での甲状腺への放射線について線形の線量反応の証拠が得られている。
- 下垂体への放射線量および化学療法は甲状腺機能亢進症と有意に関連しなかった。
- 甲状腺機能亢進症の放射線関連リスクは曝露後25年以上高いままであった。
甲状腺結節
小児がん生存者における甲状腺新生物の臨床症状は、無症状の孤立性小結節から隣接構造物を圧迫する大きな胸腔内甲状腺腫にまで及ぶ。
危険因子
甲状腺結節の発生リスク増大に関する因子には以下のものがある:
- 放射線量、診断からの経過期間、および女性であること。
- 放射線照射野に甲状腺が含まれる場合は甲状腺新生物の過剰リスクに関連し、甲状腺新生物は良性(通常は腺腫)の場合もあれば、悪性(分化型乳頭がんの頻度が最も高い)の場合もある。[ 2 ][ 9 ][ 12 ][ 13 ][ 14 ][ 15 ]
- ホジキンリンパ腫生存者を対象にした研究において、CCSSの研究者らは、診断からの経過期間、女性であること、25Gy以上の放射線量を甲状腺結節発生の有意な危険因子として同定した。[ 9 ]
- 1986年より前に治療を受けた小児がんの2年生存者3,254人を25年間モニターしたコホートによると、甲状腺腫のリスクは小児がん治療中の甲状腺への放射線量が高くなるとともに増加し、10Gyを超える線量でプラトーに達した。[ 13 ]
- CCSSの研究者らは、ネステッドケースコントロール研究を実施し、小児がんに対する放射線療法の治療域の線量範囲で甲状腺がんのリスクの大きさを評価した。甲状腺がんのリスクは、最大20~29Gyまで放射線照射線量とともに増加したが(オッズ比[OR]、9.8;95%CI、3.2-34.8)、30Gyを超える線量では低下し、細胞障害作用と一致していた。[ 15 ]
- 放射線療法施行時の年齢。
- 131I-MIBGへの曝露。
- 小児および青年期に131I-MIBG曝露を受けた患者では、甲状腺結節の発症リスクが高く、おそらくは甲状腺がんの発症リスクも高い。
- 131I-MIBG治療を受けた小児は、甲状腺機能だけでなく、甲状腺結節および甲状腺がんの発生についても生涯にわたってモニタリングを受けるべきである。[ 16 ]
- 化学療法。
- 放射線曝露とは関係なく化学療法に関連した甲状腺結節および甲状腺がんのリスク増加もまた、観察されている。[
2
][
12
][
13
]
- 生存者16,757人(うち二次甲状腺がんの患者187人)の2つのコホートを含む1件のプール研究では、アルキル化剤、アントラサイクリン、またはブレオマイシンによる治療が、放射線療法を受けていない個人における甲状腺がんリスクの有意な増大に関連していた。[ ]
- CCSSで、同胞対照と比較すると、甲状腺がんを発症する率比は、甲状腺への放射線療法を受けなかった生存者で2.5(P < 0.01)であった。[ ]
- 活発に研究されている分野として、化学療法に対する曝露の正確な役割を明らかにすること、人口統計学的および治療関連の危険因子に基づいて小児がん生存者の甲状腺がんに対するリスク予測モデルを開発することがある。[ ]
- 放射線曝露とは関係なく化学療法に関連した甲状腺結節および甲状腺がんのリスク増加もまた、観察されている。[
2
][
12
][
13
]
甲状腺がんのスクリーニング
- 数件の調査により、甲状腺結節および甲状腺がんを発見するには臨床検査よりも超音波検査の方が優れていることが実証され、悪性の可能性が高い結節の超音波検査における特徴が明らかにされた。[ 19 ][ 20 ][ 21 ]
- 甲状腺新生物に対する(甲状腺触診による身体診察より優れた)一次スクリーニングについては、早期発見と介入に関連した生存利益およびQOLの有益性を示すデータが不足しているため、議論の余地が残されている。
- これらの病変は進行が緩徐な傾向があり、生命を脅かすことはまれで、放射線曝露後、何年も経過してから臨床的に明らかになることがあるため、過剰なスクリーニングの費用と有害性についてかなりの懸念がある。[ 22 ]
- 専門委員会は、甲状腺がんのスクリーニングツールとして超音波検査の使用を明確に支持したり、否定したりすることを避けており、これは依然として活発な研究領域である。[ 23 ]
- International Guideline Harmonization Groupは、エビデンスの系統的な評価後に、医療提供者と生存者で共有した意思決定により、便益と有害性を慎重に考慮した上で、サーベイランスの開始およびサーベイランス手法の種類(甲状腺触診 vs 超音波検査)を決定すべきであると結論した。このような推奨には、話し合いを円滑にする意思決定支援を伴う。[ 24 ]
(二次甲状腺がんに関する情報については、本要約の二次新生物のセクションを参照のこと。)
移植後の甲状腺機能障害
小児における造血幹細胞移植(HSCT)の生存者は、甲状腺機能障害のリスクが高い。[ 25 ]
TSH欠乏症(中枢性甲状腺機能低下症)については、下垂体に影響を及ぼす晩期合併症(晩期障害)で考察している。
表7では、甲状腺の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表7.甲状腺の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 内分泌系/代謝系の影響 健康スクリーニング 131I-MIBG = ヨウ素 131メタヨードベンジルグアニジン;T4 = チロキシン;TSH = 甲状腺刺激ホルモン。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 甲状腺に照射された放射線;甲状腺摘出術 原発性甲状腺機能低下症 TSH値 甲状腺に照射された放射線 甲状腺機能亢進症 遊離T4値 TSH値 131I-MIBGなど、甲状腺に照射された放射線 甲状腺結節 甲状腺検査 甲状腺超音波検査 視床下部/下垂体軸
小児がん生存者には、主に視床下部に対する放射線療法の影響により、広範な神経内分泌異常が発現するリスクがある。
小児がん生存者における下垂体の内分泌障害に関する文献の質は、しばしばレトロスペクティブなデータ収集、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアスのほか、治療アプローチ、治療からの期間、および確認方法における不均一性により制限されるが、この転帰と放射線療法、手術、腫瘍浸潤の関連を示す証拠は、罹患者が通常、追跡初期に代謝上および発育上の異常を呈しているため、有力である。
中枢性尿崩症
中枢性尿崩症は、頭蓋咽頭腫、鞍上胚細胞腫瘍、またはランゲルハンス細胞組織球症の診断の前兆となる場合がある。[ 29 ][ 30 ][ 31 ]
- 鞍部/鞍上腫瘍の発症時に孤立した下垂体欠損症として尿崩症が発生することがあるが、腫瘍進行に伴って、さらに下垂体ホルモン欠乏症が生じることもある。
- さらに多いのは、視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸への腫瘍の影響に起因する汎下垂体機能低下症、または局所腫瘍を制御するために施行した外科処置の結果としての汎下垂体機能低下症との関連で発生する尿崩症である。
- 小児がん生存者における頭蓋照射の晩期合併症(晩期障害)としての中枢性尿崩症の報告はない。[ 3 ]
下垂体前葉ホルモン欠乏症
下垂体前葉ホルモンと主な視床下部調節因子の欠乏症は、頭蓋照射を受けた生存者でよくみられる晩期合併症(晩期障害)である。[ 28 ]
証拠(下垂体前葉ホルモン欠乏症の有病率):
- 単一施設研究で、小児がんおよび脳腫瘍の成人生存者1,713人(年齢中央値32歳)が追跡期間中央値25年にわたりモニターされた。[
27
]
- 18Gy以上の線量で頭蓋照射療法を受けた個人で、視床下部-下垂体軸疾患の有病率は56.4%であった。
- 頭蓋照射による治療を受け、平均27.3年にわたり観察された小児がん生存者748人を対象とした研究で、以下のことが報告された:[
4
]
- 下垂体前葉ホルモン欠乏症の時点有病率は、成長ホルモン欠乏症で46.5%、黄体ホルモン(LH)/卵胞刺激ホルモン(FSH)欠乏症で10.8%、TSH欠乏症で7.5%、副腎皮質刺激ホルモン欠乏症で4%と推定された;累積発生率は追跡を重ねるごとに増加した。
6種類の下垂体前葉ホルモンとその主な視床下部調節因子を表8に要約している。
表8.下垂体前葉ホルモンおよび主な視床下部調節因子 下垂体ホルモン 視床下部因子 下垂体ホルモンの視床下部調節 (-) = 阻害;(+) = 刺激。 成長ホルモン(GH) 成長ホルモン放出ホルモン + ソマトスタチン – プロラクチン ドパミン – 黄体形成ホルモン(LH) ゴナドトロピン放出ホルモン + 卵胞刺激ホルモン(FSH) ゴナドトロピン放出ホルモン + 甲状腺刺激ホルモン(TSH) 甲状腺放出ホルモン + ソマトスタチン – 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH) コルチコトロピン放出ホルモン + バソプレシン + 成長ホルモン欠乏症
成長ホルモン欠乏症は、小児がん生存者に最も早くみられる頭蓋照射療法関連のホルモン欠乏症である。
証拠(小児脳腫瘍生存者における成長ホルモン欠乏症の放射線量と反応の関係):
- CNS腫瘍を有する小児を対象とした原体照射療法(CRT)に関する研究では、視床下部の線量-容積作用にもよるが、通常は放射線療法から12ヵ月以内に成長ホルモン不全が明らかになることを示している。[ 34 ]
- 放射線療法を受けた限局性脳腫瘍患者118人のデータをまとめた報告では、CRTからの経過時間および視床下部に対する平均照射線量の指数関数として成長ホルモンピーク値がモデル化された。[
35
]
- 平均的な患者では、CRTからの経過時間と視床下部に対する平均照射線量の次の組み合わせで成長ホルモン欠乏症を発症すると予測された:12ヵ月と60Gy超過;36ヵ月と25~30Gy;および60ヵ月と15~20Gy。
- 視床下部に対する累積放射線量が16.1Gyであれば、成長ホルモン欠乏症のリスクが5年で50%となる平均放射線量(TD50/5)と考えられる(図10を参照のこと)。
証拠(小児ALL生存者における成長不足のリスク):
- ある研究で、ALLに対して24Gyもしくは18Gyの頭蓋照射療法を受けた患者または頭蓋照射療法を受けなかった患者127人が評価された。[
36
]
- 一般的な水準と比較して標準偏差スコア(SDS)で表された身長の変化は、3グループすべてに対し有意であり、線量反応は放射線療法の非施行群で-0.49±0.14、18Gyの放射線療法群で-0.65±0.15、24Gyの放射線療法群で-1.38±0.16であった。
- 化学療法単独で治療を受けた小児ALL生存者も成人低身長のリスクが高かったが、低年齢で頭蓋照射または頭蓋脊髄照射による放射線療法を受けた小児のリスクが最も高かった。[
37
]1件の横断研究では、CCSSに参加したALL生存者2,434人で到達成人身長が測定された。
- 全生存者の治療曝露群(化学療法単独、および化学療法と頭蓋または頭蓋脊髄への放射線療法の併用)では、成人身長が低く、同胞と比べて成人低身長(身長SDS < -2)のリスクが高かった(P < 0.001)。
- 化学療法単独による治療を受けた生存者では、同胞と比べて低身長のリスクが高かった(OR、3.4;95%CI、1.9-6.0)。
- 生存者における低身長の重大な危険因子は、思春期前のALL診断、高線量の頭蓋照射療法(20Gy以上 vs 20Gy未満)、脊椎に対する放射線療法(椎体に影響を及ぼす)、女性であることなどであった。
- ALLの現行レジメンによる治療を受けた生存者67人の成長に化学療法単独が及ぼした影響は、-0.59 SDと統計的に有意であった。この研究では成長能の喪失と成長ホルモンの状態に相関がみられず、この集団で観察された成長障害に対する他の因子の関与がより強調されている。[ 38 ]
- 単一施設の化学療法単独試験で治療を受けたALLの生存者372人の縦断研究において、以下が観察された:[
39
]
- 身長のzスコアは治療中に低下し、治療後に改善した。
- 診断時年齢が低く(2~10歳未満)、または低リスクALLの状態、または診断時に50 × 109/L未満の白血球数、またはCNS陰性状態は、診断時年齢が高く(10歳以上)、または標準リスク/高リスクALLの状態、または50 × 109/L以上の白血球数、またはCNS陽性状態の患者と比較して、治療を行っていない期間中の身長のzスコアにおける有意な改善に関連した。
- 年齢の高い患者における潜在的な身長の喪失は、治療後の改善を伴わない治療期間中の成長スパートの減衰および標準リスクまたは高リスク疾患の特性を有する患者における化学療法の強度によるものであった。
造血幹細胞移植(HSCT)後の成長
- TBIを伴うHSCTを受けた小児では、成長ホルモン欠乏症と骨格の発育に対する放射線療法の直接作用が合わさった重大なリスクがある。[ 40 ][ 41 ][ 42 ]
- 成長ホルモン欠乏症のリスクは、分割TBIとは対照的に単回照射TBIによって増大するほか、移植前の頭蓋照射、女性であること、移植片対宿主病(GVHD)などの治療後の合併症により増大する。[ 40 ][ 41 ][ 42 ]
- CNS白血病の予防または治療に対して頭蓋照射を受けなかった患者では、TBI線量の多分割により、リスクが著しく低下する。[ 43 ]
- 一部の試験では、ブスルファンおよびシクロホスファミドを含むレジメンにより、リスクが高まるようであるが[ 42 ][ 44 ]、リスク増加が認められなかった試験もある。[ 45 ]
証拠(小児HSCT生存者における成長ホルモン欠乏症):
- HSCT後に発生する晩期合併症(晩期障害)が研究されており、Late Effects Working Party of the European Group for Blood and Marrow Transplantationによってレビューされている。思春期前にHSCTを受けた再生不良性貧血、白血病、リンパ腫の患者181人において、以下の結果が観察された。[
46
][
47
]
- 移植時身長および遺伝的身長と比較して、最終身長-SDS値の全体的な低下がみられた。身長の損失平均値は、HSCT時身長平均値および遺伝的身長平均値と比較して、約1身長-SDS(6cm)と推定される。
- 移植の種類、GVHD、および成長ホルモンまたはステロイド治療は、最終身長に影響しなかった。
- 長期的な身長不足では、TBI(分割照射療法より単回照射療法が多い)、男性、および低年齢での移植が主要因子であることが明らかになった。
- ほとんどの患者(181人中140人)が、一般集団の正常範囲内の成人身長に到達した。
- 成長ホルモン欠乏症は、10Gyの単回照射および12~18Gyの分割線量のTBIという低い線量の照射後に報告されている。[ 48 ]
成長ホルモン補充療法
- 成長ホルモン補充療法には、骨格が成熟していない小児において、身長の転帰を最大限に引き出すという有益性がある。[ 28 ]診断には、専門的な動態試験が必要である。[ 28 ][ 49 ]
- 遺伝子組換え型成長ホルモン(rGH)補充療法による治療は、がんまたは脳腫瘍の治療が正常に終了した後、12ヵ月が経過し、さらに処方を行う小児内分泌医や主治医である腫瘍医、その他の患者または家族が選出した医療提供者らによる集学的な議論を経て施行されるのが通例である。[ 50 ]
- 小児がん生存者に対するrGHの使用に関係する安全性の懸念は主に、二次新生物のリスクが高い集団内で腫瘍増殖を刺激する成長ホルモンの分裂促進能に関連している。[ 51 ]しかしながら、これらの転帰を報告しているほとんどの研究は、選択バイアスおよびサンプルサイズが小さいことにより、限定的である。
証拠(成長ホルモン欠乏症の補充療法後の二次新生物のリスク):
- CCSSに登録され、成長ホルモンによる治療を受けたがん生存者361人を評価した研究が1件あり、成長ホルモンによる治療を受けた生存者と受けていない生存者で、再発リスク、二次新生物のリスク、および死亡リスクが比較された。[
52
]
- 成長ホルモンによる治療を受けた生存者で、疾患再発のRRは0.83(95%CI、0.37-1.86)であった。
- 成長ホルモンによる治療を受けた被験者では、15例が二次新生物と診断され、そのすべてが固形腫瘍で、主に急性白血病の生存者に観察された二次新生物の数がわずかに過剰であったため、全RRは3.21(95%CI、1.88-5.46)となった。[ 52 ]
- 追跡調査の延長に伴って、成長ホルモンに起因する二次がんリスクの上昇幅は縮小した。[ 53 ]
- 成長ホルモンによる治療を受けなかった生存者と比較した場合、治療を受けた生存者の二次新生物発症の過剰リスクは2倍(RR、2.15;95%CI、1.33-3.47;P < 0.002)であった;髄膜腫が最も多く観察された新生物であった(20腫瘍中9腫瘍)。[ 52 ]
- 既存データのレビューによると、成長ホルモンによる治療は、CNS腫瘍の進行もしくは再発、または白血病の新たな発症もしくは再発のリスク増加と無関係であることが示唆される。[ 54 ]
- CCSSによる研究で、長期追跡後の二次CNS新生物のリスクに関して具体的な報告が行われた。[
55
]
- 成長ホルモンによる治療を受けなかったCNS腫瘍の生存者と比較した場合、成長ホルモンによる治療を受けた生存者の髄膜腫およびグリオーマの発生率比は、調整後で1.0(95%CI、0.6-1.8;P = 0.94)であったことから、この特定リスクに関する2群間の差が無視できることを示している。
一般に、成長ホルモン療法で治療された小児がん生存者における二次がんについて検討したデータは、イベント数が少ないことを考慮して、注意して解釈すべきである。[ 28 ][ 50 ][ 51 ][ 52 ][ 56 ]
黄体形成ホルモン(LH)および卵胞刺激ホルモン(FSH)に関する障害
- 思春期発達は、頭蓋照射療法によって悪影響を受けることがある。
- 18Gyを超える線量は思春期早発症を引き起こすことがあり、一方で30~40Gyの線量はLHおよびFSH欠乏症を引き起こすことがある。[ 57 ]
中枢性思春期早発症
中枢性思春期早発症の診断
有病率および危険因子
- 中枢性思春期早発症は最も一般的な視床下部-下垂体機能不全の1つで、有病率は研究コホートの構成や確認方法によって研究間で異なる。[ 3 ][ 59 ][ 60 ]
- 視床下部-下垂体軸内または近くに位置するCNS腫瘍を有する小児(神経線維腫症1型の小児を含む)または頭蓋照射で治療された小児は、最も影響を受けやすい。[
3
]
- 小児脳腫瘍生存者178人を対象にした研究(追跡期間中央値、6.6年)において、思春期早発症は12.2%の生存者で発症し、5年累積発生率は4.0%であった。[ ]
- 中枢性思春期早発症は18Gy以上の線量の頭蓋照射を受けた小児に報告されている。[ ][ ][ ]
- 水頭症もまた、中枢性思春期早発症のリスクを増加させる。[ 63 ]
中枢性思春期早発症の治療および関連する転帰
- 早発した思春期発達に関連する適応や心理社会的課題のほかに、思春期早発症は骨格の成長板の早期閉鎖と低身長につながる可能性がある。この有害な影響は、成長ホルモン欠乏症によりさらに増強される場合がある。[ 58 ][ 59 ]
- 思春期発達がもたらす成長速度の増大によって、併発している成長ホルモン欠乏症が隠蔽され、成長速度が正常であるかのように見えることがある;こうした事象は医療提供者の誤解を招きうる。[ 58 ]
- 直線的成長に対する中枢性思春期早発症の影響は、X線撮影により左手の骨格の成熟度(または骨年齢)を評価する方法で確認できる。[ 64 ]
- 思春期の進行を遅らせるために、各種のゴナドトロピン放出ホルモンアゴニスト製剤を使用するが、このアプローチは成長の見通しを改善することが示されており、特に成長ホルモン欠乏症を含む他の下垂体異常を同時に治療する場合に顕著である。[ 28 ][ 65 ]
LH/FSH欠乏症
有病率、危険因子、および治療
- LH/FSH欠乏症(低ゴナドトロピン性性腺機能低下症とも呼ばれる)は、診断時の年齢および思春期の発達状態によって、思春期遅発、思春期未発来、性ホルモン産生低下の諸症状として発現することがある。
- LH/FSH欠乏症のリスクは、30Gy以上の線量で頭蓋照射を受けた患者で最も高い;低線量を照射後のLH/FSH欠乏症は、遅れた時点で発生することがある。[ 4 ]
- より高線量の頭蓋照射療法(35Gy超)では、LH/FSHの欠損がみられることがあり、治療後5~10年の累積発現率は10~20%である。[ 60 ][ 66 ]
- LH/FSH欠乏症の治療には、年齢および思春期の発達状態に合わせて調整した性ホルモン補充療法が用いられる。[ 28 ]
TSH欠乏症
小児がん生存者におけるTSH欠乏症(中枢性甲状腺機能低下症とも呼ばれる)は、顕著な臨床的帰結を有し、正当に評価されない可能性がある。
臨床像および診断
- 中枢性甲状腺機能低下症の症状(例えば、無力症、浮腫、嗜眠、および皮膚乾燥)は、緩やかに発現し、甲状腺補助療法を開始するまで認識されないまま進行することがある。
- 思春期遅発症および成長遅滞に加えて、甲状腺機能低下症により、疲労、皮膚乾燥、便秘、睡眠要求増加、および寒冷不耐性を生じることがある。
- TSH欠乏症の個人では、血漿遊離T4値が低く、TSH値が低いか不適切に正常である。
- 甲状腺および視床下部に対する別個の損傷(例、両構造に対する放射線損傷)のために原発性および中枢性が合わさった甲状腺機能低下症が発生し、視床下部-下垂体欠損が罹患者における甲状腺機能低下症に寄与しているにもかかわらず、TSH値のわずかな上昇に至る場合もある。
- TSH欠乏症の診断は困難な場合があり、医療提供者は甲状腺機能低下症の症状を有し、遊離T4値が正常ではあるが、低下しつつある生存者の再評価を躊躇すべきではない。[ 28 ][ 67 ]
有病率および危険因子
- TSH欠乏症のリスクは、30Gy以上の線量で頭蓋照射を受けた患者で最も高い;低線量を照射後のTSH欠乏症は、遅れた時点で発生することがある。[ 4 ]
- TSH欠乏症の累積発生率は、リスク調整頭蓋脊髄照射(CSI)、原発部位の原体照射法、および大量化学療法で治療された脳胚芽腫(embryonal brain tumor)の生存者で23%(±8%)であった。視床下部に対する42Gyを超える放射線量は、TSH欠乏症の発生リスク増加と関連している(42Gy以上の線量では44%±19%、42Gy未満の線量では11%±8%)。[ 68 ]
- 光子線治療(追跡期間中央値、9.6年)または陽子線治療(追跡期間中央値、3.8年)で治療された髄芽腫生存者において、原発性甲状腺機能低下症は、光子線治療後の患者54人中12人(22%)および陽子線治療後の患者41人中3人(7%)で発生した(HR、2.1;P = 0.27)。中枢性甲状腺機能低下症(TSH欠乏症)は、光子線治療後の患者54人中13人(24%)および陽子線治療後の患者41人中4人(10%)で発生した(HR、2.16;P = 0.18)。[ 69 ]
- 陽子線治療による治療を受けた脳腫瘍の小児および若年成人(年齢26歳未満)189人を対象にした研究において、甲状腺機能低下症の生命保険数理法による4年割合は20.1%で、90%が中枢性TSH欠乏症に関係していた。[ 10 ]
TSH欠乏症の管理
- レボチロキシンを使用する甲状腺ホルモン補充療法は、TSH欠乏症の治療の中心になる。
- レボチロキシンの用量は、血漿遊離T4値のみを使用して調整する必要がある;治療施行中、TSH値はこの欠乏症の中心的な性質上、低値にとどまると予想される。
- 中枢性甲状腺機能低下症は他の視床下部-下垂体欠損症の機能を評価する前に治療すべきでないが、それはこうした治療が副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)欠乏症が認められる患者において副腎クリーゼを引き起こす可能性があるためである。
副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)欠乏症
有病率および危険因子
- ACTH欠乏症は、他の神経内分泌障害ほど多くないが、脳腫瘍(治療方法にかかわらず)、頭蓋照射療法、成長ホルモン欠乏症、または中枢性甲状腺機能低下症の既往がある患者では疑うべきである。[ 28 ][ 68 ][ 70 ][ 71 ]
- ACTH欠乏症は、ほぼ例外なく視床下部-下垂体が以前に30Gy以上の線量に曝露した生存者に発症する。
- リスク調整CSI、原発部位の原体照射法、および大量化学療法で治療された脳胚芽腫(embryonal brain tumor)の生存者におけるACTH欠乏症の累積発生率は38%(±6%)であった。ACTH状態は、視床下部に実施された放射線療法の線量による影響を受けなかった(中央値、ACTH欠乏症なしに対して42.2Gy vs ACTH欠乏症に対して41.3Gy)。[ 68 ]
- 陽子線治療による治療を受けた脳腫瘍の小児および若年成人(年齢26歳未満)189人を対象にした研究において、ACTH欠乏症の生命保険数理法による5年割合は8%で、ほぼ例外なく視床下部および下垂体への40GyRBE以上の照射後に発生していた。[ 10 ]
- まれではあるが、24Gy未満の頭蓋内照射を受けた患者にACTH欠乏症が発生することがあり、化学療法単独後の患者の3%未満に発生すると報告されている。[ 71 ]
診断および管理
- 朝に測定したコルチゾール血漿値が低値の場合は、ACTH欠乏症の診断を疑うべきである(午前8時に採血したコルチゾール値でスクリーニングし、10μg/dL以上であれば、ACTHが十分にあることが再確認されるが、5μg/dL以下の値であれば、不足が疑われる)。
- 確定には、低用量でのACTH刺激試験などの動態試験を使用する必要がある。[ 70 ]
- 視床下部-下垂体軸に対する30Gyを超える線量の頭蓋照射による治療を受けた生存者では、中枢性副腎機能障害のリスクがかなり高いため、この高リスク集団では、臨床的な適応に応じて定期的に動態試験を実施する内分泌モニタリングが推奨される。
- 部分的ACTH欠乏症の患者は、病気になるまでわずかな症状しかみられないことがある。
- 病気はこれらの患者の通常のホメオスタシスを乱し、予想されるものより重度の、長期的な、または複雑な経過を引き起こすことがある。完全ACTH欠乏症と同様に、不十分なまたは認知されないACTH欠乏症は、併発疾患中に致命的となることがある。
- ACTH欠乏症の治療ではヒドロコルチゾンによる補充療法を用い、身体に必要なグルココルチコイド量の生理的増加に疾患が適応している状況では負荷投与を施行する。[ 28 ]
高プロラクチン血症
- 視床下部に対して50Gyを超える線量の放射線療法を受けた患者、または下垂体柄の完全性を損なう手術を受けた患者に高プロラクチン血症が報告されている。
- 原発性甲状腺機能低下症は、おそらく甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン(TRH)の分泌過多による甲状腺刺激ホルモン分泌細胞およびプロラクチン分泌細胞の過形成の結果として高プロラクチン血症を引き起こすことがある。
- これらの患者では、TRHに対するプロラクチン反応が通常過剰になっている。[ 32 ][ 72 ]
- 高プロラクチン血症は、思春期遅発、乳汁漏出、月経不順、性欲喪失、ほてり、不妊、骨減少症を引き起こすことがある。頭蓋照射療法が原因で生じた高プロラクチン血症では、まれにしか症状が発現せず、しばしば性腺機能低下症(中枢性および原発性の両方)を伴う。
- 高プロラクチン血症で治療が必要になるのはまれである。
表9では、下垂体の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表9.下垂体の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 内分泌系/代謝系の影響 健康スクリーニング BMI = 肥満指数;FSH = 卵胞刺激ホルモン;LH = 黄体形成ホルモン;T4 = チロキシン;TSH = 甲状腺刺激ホルモン。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 b化学療法または直接精巣に放射線照射を受けた男児の思春期発達に対する評価では、精巣容積の測定値は信頼性が低い。 c診断時に限り適切。TSH値は、補充療法中の追跡には有用でない。 視床下部/下垂体に影響する腫瘍または手術。視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 成長ホルモン欠乏症 栄養状態の評価 身長、体重、BMI、タナー段階b 視床下部/下垂体または視覚経路に影響する腫瘍または手術;水頭症。視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 思春期早発症 身長、体重、BMI、タナー段階b FSH、LH、エストラジオール、またはテストステロンの値 視床下部/下垂体に影響する腫瘍または手術。視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 ゴナドトロピン欠乏症 既往:思春期、性機能 検査:タナー段階b FSH、LH、エストラジオールまたはテストステロンの値 視床下部/下垂体に影響する腫瘍または手術。視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 中枢性副腎機能障害 既往:成長障害、食欲不振、一過性脱水、低血糖、嗜眠、原因不明の低血圧 30Gy以上の線量の放射線を受けた患者では内分泌科医受診 視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 高プロラクチン血症 既往/検査:乳汁漏出 プロラクチン値 視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 過体重/肥満 身長、体重、BMI 血圧 メタボリックシンドロームの構成疾患(腹部肥満、高血圧、異脂肪血症、糖代謝障害) 空腹時血糖値および脂質組成 視床下部/下垂体に影響する腫瘍または手術。視床下部-下垂体軸に照射された放射線。 中枢性甲状腺機能低下症 TSHc、遊離チロキシン(遊離T4)値 精巣および卵巣
精巣および卵巣のホルモン機能については、本要約の生殖器系の晩期合併症(晩期障害)のセクションで考察している。
メタボリックシンドローム
小児がん生存者の間にメタボリックシンドロームまたはその構成要素のリスク増大があることが認識されている。この転帰の証拠は、生存者の自己報告による臨床的に顕在化した病態から、レトロスペクティブに評価された医療記録および病院のレジストリーのデータ、さらには臨床的特徴が十分明らかになっているコホートの体系的な臨床評価に及んでいる。複数の研究が、コホート選択および参加バイアスのほか、治療アプローチ、治療期間、および確認方法における不均一性により制限されている。これらの制限にかかわらず、有力な証拠により、メタボリックシンドロームが心血管イベントおよび死亡率に強く関連することが示されている。
メタボリックシンドロームの定義には変遷がみられるが、一般に中心性(腹部)肥満と合わせて、以下の特徴の2つ以上が含まれる:[ 73 ]
- 高血圧。
- アテローム性異脂肪血症(トリグリセリド上昇、高比重リポ蛋白[HDL]コレステロール低下)。
- 糖代謝異常(空腹時高血糖、高インスリン症、インスリン抵抗性、2型糖尿病)。
証拠(小児がん生存者におけるメタボリックシンドロームの有病率および危険因子):
- ある研究で、小児ALLの長期生存者784人(年齢中央値31.7歳)が追跡期間中央値26.1年にわたりモニターされた。[
74
]
- メタボリックシンドロームの有病率は33.6%で、National Health and Nutrition Examination Surveyからの年齢、性別、および人種を一致させた対照群コホート(n = 777)より有意に高かった(RR、1.43;95%CI、1.22-1.69)。
- この研究でメタボリックシンドロームに関連した危険因子は、年齢が高いことおよび頭蓋照射療法曝露歴であった。
- ALL生存者では、肥満、インスリン抵抗性、高血圧、HDL低値などのメタボリックシンドローム構成疾患の有病率が対照より有意に高かった。
- フランスの研究者らにより、HSCTを用いずに治療された小児白血病の成人生存者650人におけるメタボリックシンドロームとその構成要素について、全体および年齢別の有病率のほか、危険因子が評価された。[
75
]
- メタボリックシンドロームの全体の有病率は6.9%で、年齢別の累積有病率は以下の通りであった:
- 20歳-1.3%。
- 25歳-6.1%。
- 30歳-10.8%。
- 35歳-22.4%。
- メタボリックシンドロームの個別の構成要素の有病率は以下の通りであった:
- 空腹時の血糖値の上昇-5.8%。
- トリグリセリド上昇-11.7%。
- 腹囲の増加-16.7%。
- HDLコレステロール低下-26.8%。
- 血圧上昇-36.7%。
- メタボリックシンドロームのリスクを有意に予測する臨床因子として、男性であること(OR、2.64;95%CI、1.32-5.29)、最終評価時の年齢(OR、1.10;95%CI、1.04-1.17)、および診断時の肥満指数(BMI)(OR、1.15;95%CI、1.01-1.32)が挙げられたが、ステロイドの累積投与量は含まれなかった。放射線照射を受けた患者と受けなかった患者では、異なる代謝異常パターンを呈し、放射線照射を受けた患者では腹部肥満の頻度が高く、放射線照射を受けなかった患者では高血圧の頻度が高かった。
- メタボリックシンドロームの全体の有病率は6.9%で、年齢別の累積有病率は以下の通りであった:
- 腹部放射線療法で治療された胚芽腫の長期生存者164人を対象にしたプロスペクティブ研究(追跡期間中央値、26年)で、腎芽腫(OR、5.2)および神経芽腫(OR、6.5)の生存者は、対照群よりも多くのメタボリックシンドロームの構成疾患を有していた。[
76
]
- 照射を受けていない生存者との比較で、腹部照射を受けた生存者は、血圧、トリグリセリド、低比重リポ蛋白コレステロールが高く、さらに二重エネルギーX線吸収法による評価で総脂肪率が高かった。
修正可能な危険因子に対する生活様式の影響
証拠(小児がん生存者における心血管リスクを低下させる生活様式の変更):
- St. Jude Lifetime Cohort Studyに参加し、心臓の健康に配慮した生活様式を守った生存者では、メタボリックシンドロームのリスクが低下した。[
78
]
- 推奨される食事および身体活動ガイドラインに従わなかったコホートにおける女性(RR、2.4;95%CI、1.7-3.3)および男性(RR、2.2;95%CI、1.6-3.0)では、メタボリックシンドロームの臨床的特徴が認められる過剰リスクが2倍を超えていた。
- CCSSの調査で、ホジキンリンパ腫生存者において運動が心血管疾患のリスクに及ぼす効果が評価された。[
79
]
- 高度の運動は、心血管リスクプロファイルおよび治療とは無関係に、運動量依存性に心血管イベントのリスク低下と関連していた。
- 国内の高度の運動ガイドラインを遵守した生存者では、種類を問わない心血管イベントのリスクが、ガイドラインを満たさなかった生存者と比較して51%低下した。
- CCSSの別の調査で、小児がんの成人生存者における運動と死亡率との関連が評価された。[
80
]
- 慢性的な健康障害および治療への曝露について調整後、全原因死亡率は生存者が報告した運動の4分位点(metabolic equivalent task[MET]:代謝当量、0時間/週、3~6時間/週、9~12時間/週、および15~21時間/週)と逆相関していた。
- 成人期の早期における推奨レベルの高度な運動(9 MET時間以上/週)を支持した生存者および8年かけて運動を増加させた生存者では死亡リスクが低かった。
糖代謝異常
腹部放射線療法およびTBIは、小児がん生存者における糖尿病の独立した危険因子としての認識が高まってきている。[ 2 ][ 81 ][ 82 ][ 83 ][ 84 ][ 85 ]
証拠(小児がん生存者における糖尿病の危険因子):
- 成人(年齢中央値25.6歳)の長期(追跡期間中央値17.9年)生存者532人を対象にした単一施設のコホート研究では、以下が観察された:[
83
]
- 治療はメタボリックシンドロームの構成疾患の発生と強く関連したが、遺伝的多様体はそうではなかった。
- 頭蓋照射(23.3%、P = 0.002)および腹部照射(23.4%、P = 0.009)を受けた生存者では、照射を受けていない生存者(10.0%)よりも、メタボリックシンドロームが頻繁に認められた。
- 小児がんの診断から5年以上の生存者319人および同胞対照208人からなる臨床的に不均一なコホートを対象とした横断研究で、心血管リスクおよびインスリン抵抗性が評価された。[
86
]
- インスリン抵抗性は、同胞と比較して、シスプラチンと頭蓋照射による治療を受けた生存者(92%が脳腫瘍)およびステロイドが投与されたがシスプラチンは投与されなかった生存者(ほとんどが白血病生存者)で有意に高かった。
- 手術単独による治療を受けた生存者と同胞との間では、インスリン抵抗性に違いはみられなかった。
- 生存者では、個々の化学療法薬の解析により、心血管の危険因子またはインスリン抵抗性との関連性を明らかにすることができなかった。
- 同胞と比較すると、ほぼすべての化学療法薬は、個々に検討した場合に、低い総除脂肪体重、高い脂肪量の割合、およびインスリン抵抗性を特徴とする心血管の高リスクプロファイルに関係していると考えられた。
- 小児がん生存者2,520人(追跡期間中央値、28年)を含む1件のヨーロッパの多施設コホートでは、糖尿病と膵尾部に対する放射線照射線量の増加との間に有意な関連がみられたことから、この集団において、放射線誘発性の島細胞損傷がグルコース恒常性障害の一因になっていることを裏付けている。[ 84 ]
- CCSSからの報告では、小児がん生存者8,599人とランダムに選択した同胞対照2,936人が年齢、BMI、およびいくつかの人口統計学的因子で調整した後に比較された。[
87
]
- 生存者における糖尿病のリスクが1.8倍高かった(95%CI、1.3-2.5;P < 0.001)。
- 糖尿病と若い診断時年齢(0~4歳)、アルキル化剤使用、および腹部放射線療法またはTBIとの間に有意な関連性が認められた。
- 生存者は、高血圧、異脂肪血症、および/または糖尿病に対する薬物療法を受ける傾向が同胞対照よりも有意に高かった。
表10では、メタボリックシンドロームの晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表10.メタボリックシンドロームの晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 潜在的な晩期合併症(晩期障害) 健康スクリーニング BMI = 肥満指数。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 腹部放射線照射;全身放射線照射。 メタボリックシンドロームの構成疾患(腹部肥満、高血圧、異脂肪血症、糖代謝障害) 身長、体重、BMI、血圧 臨床検査:空腹時の血糖および脂質 身体組成:低体重、過体重、および肥満
低体重
過体重/肥満
証拠(過体重/肥満の危険因子):
- CCSSの研究者らにより、小児がん生存者における肥満に対する次の独立した危険因子が報告された:治療、生活様式、および医薬品の使用。[
99
]
- 5~9歳で診断されたがん(RR、1.12;95%CI、1.01-1.24)。
- 身体機能の異常(RR、1.19;95%CI、1.06-1.33)。
- 視床下部/下垂体への20~30Gyの放射線量(RR、1.17;95%CI、1.05-1.3;P = 0.01)。
- 特異的抗うつ薬(パロキセチン)の使用(RR、1.29;95%CI、1.08-1.54)。
- 米疾病予防管理センターの強度の身体活動のためのガイドラインを遵守した生存者(RR、0.90;95%CI、0.82-0.97;P = 0.01)および中等度の不安がみられた生存者(RR、0.86;95%CI、0.75-0.99;P = 0.04)では、肥満のリスクが低かった。[ 99 ]
小児ALL後の身体組成変化
- ALL生存者における中等度線量の頭蓋照射療法(18~24Gy)は、特に低年齢で治療を受けた女性で肥満と関連している。[
90
][
92
][
100
]
- 身体組成変化は男性では減弱するようである。
- ALL治療レジメンは、治療終了から短期間で生じるBMIの増加に関連し、おそらくは長期的な肥満リスクの増大にも関連している。[
93
][
94
][
104
][
105
][
106
]
証拠(小児ALLの成人生存者における身体組成の変化):
- ALLの成人生存者365人(149人が頭蓋照射療法を含めた治療を受け、216人が頭蓋照射療法を含まない治療を受けた)を対象としたコホート研究で、身体組成、エネルギーバランス、および健康について、年齢、性別、および人種を一致させた同輩と比較された。[
110
]
- 頭蓋照射を受けなかった女性生存者は、同輩と身体組成値がほぼ同じであった。
- ウエスト周囲径、ウエストの身長に対する比、および総脂肪量とその割合は、男性生存者および頭蓋照射を受けた女性生存者の方が比較群のメンバーより高かった。
- 男女ともに頭蓋照射を受けた生存者では、BMIおよび体脂肪率が頭蓋照射を受けなかった生存者より高かった。
- 頭蓋照射を受けなかった生存者では、マッチさせた同輩群とエネルギーバランスがほぼ同じであったが、健康障害の測定値(柔軟性低下、末梢知覚運動障害、近位筋力低下、および運動耐性低下)が有意に高かった。
- 自己報告の身長および体重の測定値に基づくCCSSによる1件の報告では、化学療法単独による治療を受けた小児ALLの成人生存者は、同胞対照と比べて肥満率が有意に高かったわけではなく[ 90 ]、治療に続いて平均7.8年の追跡期間が経過した後も、これらの群間でBMIの変化に差はみられなかった。[ 92 ]
- スイスの研究者らにより、小児ALLのほか、非ホジキンリンパ腫およびホジキンリンパ腫の成人生存者1,936人(年齢中央値、24歳;診断からの期間中央値、17年)における自己報告の体重が評価され、同胞および一般集団と比較された。[
111
]
- 過体重を報告した生存者の割合(26%)は同胞の割合(24%)およびスイスの一般集団の割合(25%)と同等であった。
- グルココルチコイドの累積用量と過体重との関連の証拠は認められなかった。
- 頭蓋照射療法の使用によって、グルココルチコイドの累積用量が過体重に及ぼす影響が変化するという証拠も示されなかった。
研究間の転帰の変動は、異常な身体組成の測定基準としてBMIを用いたことに関係している可能性が高く、BMIでは、この集団において代謝リスクに寄与する可能性のある内臓脂肪が適切に評価されない。[ 112 ]
CNS腫瘍治療後の身体組成変化
より高い線量の頭蓋照射療法による治療を受けた脳腫瘍の生存者で肥満リスクが最も高いのは、若い時期に治療を受けた女性であると観察されている。[ 113 ]
頭蓋咽頭腫の生存者では、腫瘍部位、および外科的切除に起因する視床下部の損傷のために、極度の肥満が生じるリスクがかなり高い。[ 114 ][ 115 ][ 116 ][ 117 ]
造血幹細胞移植後の身体組成変化
身体組成と虚弱
小児がん生存者の若年成人には、筋肉量の減少、自己報告の消耗、エネルギー消費量の減少、歩行速度の低下、脱力の発現を特徴とする虚弱が予測を上回る割合で認められる。[ 122 ]
- これらの5つの特徴のうち2つがみられる個人はprefrail(虚弱予備群)と呼ばれ、これらの特徴のうち3つ以上がみられる個人はfrail(虚弱群)と呼ばれる。[ 122 ]
- 虚弱の発現率は年齢に伴って高くなり、死亡と慢性疾患の発症の過剰リスクに関連している。[ 122 ]
- CCSS参加者のうち、生存者における虚弱の全有病率(6.4%)は、同胞対照の有病率(2.2%)よりも3倍高かった。[
123
]
- 最も高い虚弱の有病率は、CNS腫瘍(9.5%)および骨腫瘍(8.1%)の生存者で報告された。
- 頭蓋照射、骨盤部照射(34Gy以上)、および肺手術がCCSSコホートにおける虚弱の独立した危険因子であった。
- 現在実施中の研究は、虚弱の病態生理を明らかにし、この病態を予防または改善する介入法を開発または検証することを目的としている。
表11では、身体組成の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表11.身体組成の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 潜在的な晩期合併症(晩期障害) 健康スクリーニング BMI = 肥満指数。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 頭蓋照射療法 過体重/肥満 身長、体重、BMI、血圧 臨床検査:空腹時の血糖および脂質 内分泌系およびメタボリックシンドロームの晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 免疫系の晩期合併症(晩期障害)
-
免疫系の晩期合併症(晩期障害)は、特に現代的な療法による治療を受けた生存者については、十分に研究されていない。長期的な免疫系の転帰について公表された報告は、レトロスペクティブなデータ収集、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアスのほか、治療アプローチ、治療期間、および確認方法における不均一性により制限される。
無脾症
外科的または機能的な脾臓摘出は、命を脅かす侵襲性細菌感染のリスクを高める。[ 1 ]
- 小児ホジキンリンパ腫に対する病期決定開腹術はもはや標準的な診療ではないが、治療の早い時期から患者に進行中のリスクがある。[ 2 ][ 3 ]
- 脾臓に対して30Gyを超える線量の放射線療法を受けると、小児は無脾症になる場合がある。[ 4 ][ 5 ]多剤併用化学療法と併用した低線量の病巣部位への放射線療法(21Gy)は、除核赤血球分析法で測定した脾機能に有害な影響を与えなかったと考えられる。[ 5 ]他に放射線療法後の免疫状態を対象とした研究はない。
- 造血幹細胞移植(HSCT)後の機能的無脾症(ハウエル・ジョリー小体を認め、脾臓のサイズおよび血流が減少)は、移植片宿主病(GVHD)に起因することが明らかになっている。
- Childhood Cancer Survivor Studyの研究者らは、脾臓摘出による治療を受けた生存者で遅発性の感染関連死亡のリスクが有意に高いことを観察した(相対リスク[RR]、7.7;95%信頼区間[CI]、3.1-19.1)。脾臓への放射線照射は、遅発性の感染関連死亡の用量依存性リスクとも関係していた(0.1~9.9Gy:RR = 2.0;95%CI、0.9-4.5;10.0~19.9Gy:RR、5.5;95%CI、1.9-15.4;20.0Gy超:RR、6.0;95%CI、1.8-20.2)。しかしながら、脾臓摘出後35年で感染関連の遅発性死亡の累積発生率は1.5%と低く、脾臓への放射線照射後では0.6%であったことから、これらはまれな事象であることを示している。[ 6 ]これらのデータは、リスクのある生存者における感染リスク低減のための免疫化およびその他の対策についてのカウンセリングの重要性を強調している。
無脾の個人は、無脾状態となった理由に関係なく、特に被包性細菌に関連する劇症型菌血症のリスクが高く、劇症型菌血症では死亡率が高い。菌血症のリスクは、年長児よりより年齢の低い小児の方が高く、このリスクは脾臓摘出術直後の数年間がより高い可能性がある。ただし、脾臓摘出術から最大25年経過後の成人で、劇症型敗血症が報告されている。
無脾の生存者では、以下の細菌により菌血症が引き起こされる場合がある:
- 肺炎レンサ球菌。無脾の小児において菌血症を引き起こす最も一般的な病原体。
- その他のレンサ球菌。
- B型ヘモフィルスインフルエンザ菌(Hib)。
- 髄膜炎菌。
- 大腸菌、黄色ブドウ球菌。
- サルモネラ菌種、クレブシエラ種、緑膿菌などのグラム陰性桿菌。
機能的または外科的無脾症の人は、致死的なマラリアおよび重度のバベシア症のリスクも高い。
治療後の管理
臨床医は、すべてのがんおよび移植生存者において推奨された用量とスケジュールで不活化ワクチン(例、インフルエンザ)と、精製抗原(例、肺炎球菌)、菌体成分(例、ジフテリア-破傷風-百日咳)、または遺伝子操作による組換え抗原(例、B型肝炎)で構成されるワクチンの投与を検討し、勧めるべきである。[ 7 ][ 8 ][ 9 ]
無脾の小児では、2歳から青年期に四価髄膜炎菌結合ワクチンの初回接種を2ヵ月空けて2回投与すべきであり、5年ごとに追加接種を実施すべきである。[ 10 ](詳しい情報については、Red BookのImmunization Schedules for 2019のセクションを参照のこと。)しかしながら、無脾の小児における髄膜炎菌ワクチンの効力は確立されていない。(詳しい情報については、Red BookのMeningococcal Infectionsのセクションを参照のこと。)これらのワクチンを別の必要なワクチンと同時に、別の注射器で、異なる部位に接種することについて、既知の禁忌は存在しない。
肺炎球菌結合ワクチン(PCV)および肺炎球菌多糖体ワクチン(PPSV)は、無脾のすべての小児に対して推奨される年齢で適応とされる。適切な回数のPCV13の接種後は、生後24ヵ月経過時に開始するPPSV23を接種すべきである。2回目の接種は5年後に実施すべきである。PCV7は完了したが、PCV13は接種していない2~5歳の小児に対しては、PCV13の補助的追加接種を実施すべきである。PCV13を接種していない6~18歳の無脾の個人に対しては、PCV13の補助的追加接種を検討すべきである。[ 11 ][ 12 ](詳しい情報については、Red BookのPneumococcal Infectionsのセクションを参照のこと。)Hib予防接種は生後2ヵ月で開始すべきであり、他の点では健康な幼児および以前に接種を受けていない無脾の小児に推奨される。[ 11 ](詳しい情報については、Red BookのImmunization Schedules for 2019のセクションを参照のこと。)
無脾の幼児については、予防接種を受けたかどうかにかかわらず、肺炎球菌感染に対する日常の抗微生物予防が推奨される。日常の抗微生物予防の効力は鎌状赤血球貧血の患者でしか証明されていないが、この経験は悪性腫瘍やサラセミアの既往を有する無脾の小児など、他の高リスクの小児にも拡張されている。一般的に、5歳未満の無脾のすべての小児には脾臓摘出術から少なくとも1年間、(予防接種に追加する)抗微生物予防を検討すべきである。
抗微生物予防を中止する年齢は経験で決定される。1件の鎌状赤血球症に関する多施設研究によれば、定期的な診察を受けており、重度の肺炎球菌感染または外科的脾臓摘出術を経験していない小児では、予防的ペニシリンを5歳で中止できる。他の原因によって無脾状態となった小児に対する予防の適切な期間については不明である。小児の間、さらに無脾の特に高リスクの患者では成人してからも予防を継続する専門家もいる。
表12では、脾臓の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表12.脾臓の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 免疫学的影響 健康スクリーニング/介入 GVHD = 移植片対宿主病;HSCT = 造血幹細胞移植;IgA = 免疫グロブリンA;T = 体温。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 脾臓に影響する放射線;脾臓摘出術;現時点で活動性のGVHDを伴うHSCT 無脾症/小脾症;重篤な脾臓摘出後敗血症 発熱(T > 38.5℃)中の血液培養;経験的抗生物質 莢膜を有する微生物に対する予防接種(肺炎球菌、B型ヘモフィルスインフルエンザ菌、および髄膜炎菌ワクチン) 何らかの慢性GVHDの既往を伴うHSCT 免疫学的合併症(IgA分泌不足、低ガンマグロブリン血症、B細胞減少、T細胞機能障害、慢性感染症[例えば、結膜炎、副鼻腔炎、および慢性GVHDに関連した気管支炎]) 既往:慢性結膜炎、慢性副鼻腔炎、慢性気管支炎、反復性または異常な感染症、敗血症 検査:眼、鼻/副鼻腔、および肺に注意 移植後予防接種に関する詳しい情報については、疾病予防管理センター(CDC)のGuidelines for Preventing Opportunistic Infections Among Hematopoietic Stem Cell Transplant Recipientsを参照のこと。
液性免疫
免疫系は積極的な化学療法および放射線療法の影響から回復するようにみえるが、リンパ系の一部はすべての生存者で正常化するわけではないという証拠がいくつかある。小児白血病の生存者では、先天性免疫、胸腺細胞増殖、および放射線に対するDNA損傷応答は、異常なことが示されている。[ 13 ]B細胞の枯渇を特徴とする免疫系回復不良が、標準リスクおよび中リスク急性リンパ芽球性白血病(ALL)の2年生存者において観察されている。[ 14 ]ALLに対する治療を1年以上受けていない患者でも、過去のワクチン接種に対する抗体量が減少していることから[ 15 ][ 16 ]、液性免疫の異常[ 17 ]およびそのような小児では再接種が必要なことが示唆される。小児がん生存者は、ワクチンで予防可能な感染症に依然としてなりやすいことがある。治療の強度、診断時年齢、および治療からの期間は既存の免疫を喪失するリスクに関連している。[ 18 ][ 19 ]
この集団における能動免疫投与の有益性に関するデータは不足しているが、再免疫は保護抗体を獲得させるために必要である。推奨される再免疫スケジュールは、以前に受けたワクチン接種や治療の強度に依存する。[ 20 ][ 21 ]強度の治療を受けた一部の小児では、再接種の必要性を判定するために、一般的なワクチン接種抗原に対する抗体の評価を検討してもよい。(詳しい情報については、Red BookのImmunization Schedules for 2019のセクションを参照のこと。)
HSCT後は、特にGVHDに関連して免疫状態も障害を受けている。[ 22 ]同種HSCTによる治療を受けた生存者210人を対象としたプロスペクティブ縦断研究において、破傷風(95.7%)、風疹(92.3%)、ポリオウイルス(97.9%)ではほとんどの患者で、またジフテリア(100%)ではジフテリア-破傷風-無菌性百日咳(DTaP)予防接種患者で予防接種後の抗体反応が5年を超えて持続していることが観察された。しかしながら、百日咳(25.0%)、麻疹(66.7%)、おたふく風邪(61.5%)、B型肝炎(72.9%)、および破傷風-ジフテリア(Td)(48.6%)予防接種患者への反応はあまり良好ではなかった。ワクチン失敗に関連する因子としては、予防接種時に年齢が高いこと;CD3、CD4、またはCD19数が低いこと;免疫グロブリンM濃度が高いこと;予防接種患者のサイトメガロウイルス血清学が陽性であること;予防接種前の抗体価が陰性であること;急性または慢性GVHDの既往歴;および放射線療法による前処置が挙げられる。[ 23 ]
主要な北米および欧米の移植グループ、CDC、およびInfectious Diseases Society of Americaから、移植を受けた患者に対する追跡の推奨事項が発表されている。[ 24 ][ 25 ]
免疫系の晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 筋骨格系の晩期合併症(晩期障害)
-
成長期の小児または青年の筋骨格系は、手術、化学療法、放射線療法などのがん治療による細胞毒性作用の影響を受けやすい。明らかにされた晩期合併症(晩期障害)には以下のものがある:
- 骨および関節(骨および/または筋肉の成長異常)の問題。
- 切断術/患肢温存術、関節拘縮、骨粗鬆症/骨折、および骨壊死に伴う変形および機能低下。
- 身体組成の変化(肥満および除脂肪体重減少)。
これらの晩期合併症(晩期障害)は個々に考察しているが、筋骨格系の要素は相互に関係していることに留意することが重要である。例えば、筋肉グループに対する低形成は長骨の機能に悪い影響を与えることがあり、それにより生じる機能障害は、次に廃用性骨粗鬆症をもたらす可能性がある。
がん治療を受けた小児および青年における筋骨格系晩期合併症(晩期障害)について公表された文献の大きな強みは、ほとんどの研究が転帰と曝露量を明確に定義している点である。しかしながら、多くの研究が観察的かつ横断的に行われるレトロスペクティブデザインである。単一施設研究が一般的で、一部の転帰については少数の都合のよいコホートのみが報告されている。そのため、追跡検査への参加者に死亡または不動状態のために最も重度の筋骨格系障害がある患者を除外した研究、または最も重度の筋骨格系晩期合併症(晩期障害)がある患者は合併症関連の経過観察で再来院することから、入手しやすいために余分な症例数とした研究のいずれかになる可能性がある。さらに、特に放射線療法など、この数年間で毒性が明らかになるにつれて、抗がん治療法の実施が変化してきているため、小児がんの成人生存者で報告された結果の一部は、現在治療を受けている患者には重要ではない可能性がある。[ 1 ][ 2 ]
骨成長異常
骨成長に対する放射線の影響は、以下のように照射部位に依存する:
頭部および脳に対する放射線療法
放射線は、年齢依存性および線量依存性の形で、正常な骨および筋肉の成熟および発育を阻害することがある。頭部に対する放射線(例、頭蓋、眼窩、側頭下、または上咽頭への放射線療法)は、特に5歳未満で、20Gy以上の放射線量で治療を受けた小児[ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ]または同時化学療法で治療された小児[ 9 ]では、頭蓋顔面異常を引き起こす可能性がある。軟部肉腫のうち、眼窩横紋筋肉腫および網膜芽細胞腫は、これらの領域に放射線が照射されるがんのタイプでよくみられる2つである。多くの場合、頭蓋顔面異常の外観的影響に加えて、関連した歯および鼻の障害がある可能性がある。
頭蓋照射療法は、年齢依存性および線量依存性で視床下部-下垂体軸に損傷を与えるため、成長ホルモン欠乏症を来すことがある。[ 10 ][ 11 ][ 12 ][ 13 ]成長期に成長ホルモン欠乏症を治療しない場合、ときには適切な治療法を用いた場合でも、最終身長がかなり低くなる。18Gy以上の頭蓋照射療法で治療した中枢神経系(CNS)腫瘍[ 10 ][ 14 ]または急性リンパ芽球性白血病(ALL)[ 15 ][ 16 ][ 17 ]の患者はリスクが最も高い。また、全身放射線照射(TBI)、特に単回照射のTBIによる治療を受けた患者[ 18 ][ 19 ][ 20 ][ 21 ]およびCNS以外の固形腫瘍に対して頭蓋照射で治療された患者[ 22 ]は成長ホルモン欠乏症のリスクがある。さらに、脊椎にも放射線を照射した場合(例、髄芽腫に対する頭蓋脊髄放射線療法または1960年代の初期ALL治療)、成長が2つの別個の機序-成長ホルモン欠乏症および脊椎に対する直接傷害-によって影響を受ける可能性がある。
脊椎および長骨に対する放射線療法
放射線療法は、脊椎および長骨(および関連する筋肉群)の成長に直接影響を及ぼすこともあるため、骨端の早期閉鎖を引き起こし、以下の原因となることがある:[ 23 ][ 24 ][ 25 ][ 26 ][ 27 ][ 28 ][ 29 ][ 30 ][ 31 ]
- 低身長。
- 非対称性の成長(脊柱側弯症/後弯症)。
- 四肢長不一致。
1970年より前によく使用された常用電圧放射線療法は、骨に対して高線量の放射線を照射するため、その後に骨の成長異常を伴うことが多かった。しかしながら、現代の放射線療法でも、固形腫瘍の位置が骨端または脊椎に近い場合は、骨の正常な成長における変質を避けることが困難になる可能性がある。
ウィルムス腫瘍の生存者を対象に、脊椎に照射した放射線療法による身長への影響が評価されている。
証拠(脊椎および長骨に対する放射線療法の影響):
- National Wilms Tumor Study(NWTS)による研究1~4では、小児2,778人を対象に身長低下が評価された。[
24
]長期間の追跡中に繰り返し身長の測定値が収集された。放射線の照射線量、治療時の年齢、および化学療法が身長に及ぼす影響について、性別および加齢を考慮した通常の身長変化を説明する統計モデルを使用して解析された。そのモデルから得られた予測は、患者205人の17~18歳時点で測定された身長に関する記述的解析により検証された。
- 診断時年齢が生後12ヵ月未満で10Gyを超える放射線療法を受けた生存者では、放射線療法を受けていない群と比較した場合、成人時における身長の伸びの欠損は推定で7.7cmであった。
- 10Gyの放射線照射を受けた群では、躯幹は推定で2.8cm以下短くなった。
- 10代での身長測定値が利用できた者のうち、放射線療法で15Gy以上の照射を受けた患者の身長は放射線療法を受けていない群よりも平均で4~7cm低く、線量反応関係の証拠が得られた。
- 化学療法は追加のリスクをもたらさなかった。
- 脊柱側弯症の発生に対する放射線療法の影響も再評価されている。1968年から1994年にウィルムス腫瘍の治療を受けた小児42人のグループで、18人の患者に脊柱側弯症が認められ、1人の患者のみが整形外科的介入を必要とした。[
32
]
- 脊柱側弯症発症までの期間中央値は102ヵ月(範囲、16~146ヵ月)であった。
- 明確な線量反応関係が認められた;低線量(24Gy未満)の放射線療法を受けた小児では、24Gyを超える放射線照射を受けた小児よりも脊柱側弯症の発生率が有意に低かった。
- また、現在ウィルムス腫瘍の治療に使用されている10~12Gyの線量を受けた患児では脊柱側弯症の発生がより少ないことが示唆されたが、サンプルサイズは小さかった。
骨粗鬆症および骨折
小児がんの長期生存者において骨折率の増加は報告されていないが[ 33 ]、最大ピークの骨量はより年齢の高い患者における骨粗鬆症および骨折のリスクに影響する重要な因子である。骨ミネラル損失に影響を及ぼす治療関連因子には以下のものがある:
骨石灰化に対するがんおよびその治療の影響に関する知識のほとんどは、ALL小児の研究により得られている。[ 34 ][ 40 ]このグループでは、白血病経過および可能性のあるビタミンD不足が、骨代謝および診断時にみられる骨量における変化において役割を果たしている可能性がある。[ 41 ]抗白血病治療により、骨塩密度の損失がさらに大きくなるが[ 42 ]、時間経過とともに正常化するとの報告[ 43 ][ 44 ]、または治療完了後も長年にわたって持続するとの報告[ 45 ][ 46 ]がある。骨塩密度低下の比較的高いリスクを予測する臨床的因子には以下の治療がある:[ 38 ][ 45 ][ 47 ][ 48 ][ 49 ]
- メトトレキサートの累積用量が高い(40g/m2超)。
- コルチコステロイドの累積用量が高い(9g/m2超)。
- 頭蓋照射療法または頭蓋脊髄放射線療法。
- デキサメタゾンのようなより強力なグルココルチコイド。
ALLに対する治療中の骨壊死発症もまた、高リスクの骨塩密度低下を予測する。[ 50 ]
小児ALLに対する治療を受けた成人における骨塩密度の臨床的評価によると、ほとんどの骨ミネラル不足は、骨傷害性治療の中止後、時間とともに正常化することが示唆される。
証拠(骨塩密度の低下):
- 小児ALLの成人生存者845人のコホートが年齢中央値31歳時に評価された。[
38
]
- 非常に低い骨塩密度は比較的まれであり、骨粗鬆症および骨減少症に相当する骨塩密度zスコアが明らかになった患者は、それぞれ5.7%および23.8%のみであった。
- 頭蓋照射線量は24Gy以上であるが、メトトレキサートまたはプレドニゾン同等品の用量が累積していない場合、骨塩密度zスコアが-1以下となるリスクが2倍高かった。
- 経時的な骨塩密度評価を受けた生存者400人のサブセットでは、青年から若年成人までに骨塩密度zスコアが改善する傾向がみられた。
- ALL生存者862人(年齢中央値、31.3歳)の椎骨をL1~L2まで定量的コンピュータ断層撮影で評価したところ、生存者の30%で骨塩密度が低く(zスコア-1未満)、18.6%が虚弱または前虚弱の基準を満たした。[
51
]
前虚弱(prefrail)の表現型は、5つの特徴(筋肉量の減少、自己報告の消耗、エネルギー消費量の減少、歩行速度の低下、脱力)のうち2つを認めることを特徴とし、虚弱(frail)の表現型は、これらの特徴のうち3つ以上を認めることを特徴とする。成長ホルモン欠乏症、喫煙、飲酒などの修正可能な因子は、これらの転帰に対する有意な予測因子であり、性別によって影響が異なった。これらのデータは、長期生存者における追跡評価中のホルモン不足に対する生活様式のカウンセリングとスクリーニングの重要性を強調している。
骨塩密度損失の病因がおそらく多因子性であることは、TBIで前処置を受け同種造血幹細胞移植(HSCT)を受けた患者について報告されている。[ 52 ][ 53 ]フランスの研究者らは、HSCTによる治療を受けた性腺欠損がある小児白血病の成人生存者において、大腿骨の骨塩密度が低くなる有意なリスクを認めた。[ 54 ]ホルモン療法により、HSCT後に性腺機能低下症と診断された青年女性の骨塩密度が増加することが示されている。[ 55 ]
疾患関連および治療関連の骨塩密度低下のリスクがあるにもかかわらず、Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)参加者における自己報告の骨折の有病率は、同胞対照によって報告された値よりも低かった。多変量解析による骨折有病率増加の予測因子は、以下のものであった:[ 33 ]
- 女性生存者では、追跡時の高年齢、白人、メトトレキサート治療歴、および平衡困難。
- 男性生存者では、喫煙歴および白人。
放射線誘発性骨折は、放射線量が50Gy以上で発生する可能性があり、この線量は四肢のユーイング肉腫に対する治療でよく使用されている。[ 56 ][ 57 ]
二重エネルギーX線吸収法によるスクリーニングを必要とする小児がんの成人生存者を特定する臨床および治療上の特徴に基づいて、低いおよび非常に低い骨塩密度に対する予測モデルを開発し、検証するために、St. Jude Lifetime Cohort(開発)およびオランダのErasmus Medical Center(検証)からのデータが用いられた。低い骨塩密度は、腰椎骨塩密度および/または全身の骨塩密度のZスコアが-1以下と定義された;非常に低い骨塩密度は、Zスコアが-2以下と定義された。低い骨塩密度は、St. Jude Lifetimeおよびオランダの参加者の51%および45%に認められ、それぞれ血液悪性腫瘍および固形悪性腫瘍の両方の生存者により代表されていた;非常に低い骨塩密度は、それぞれ20%および10%に認められた。このモデルには男性、身長、体重、到達年齢、現在の喫煙状態、および頭蓋照射が含まれ、低い骨塩密度のリスクの予測に良好な性能を示した(曲線下面積、St. Jude Lifetime Cohortで0.72およびオランダのコホートで0.69)。このモデルには男性、身長、体重、到達年齢、頭蓋照射、および腹部放射線照射が含まれ、非常に低い骨塩密度のリスクの予測に良好な性能を示した(曲線下面積、St. Jude Lifetime Cohortで0.76およびオランダのコホートで0.75)。これらのモデルでは、簡単に測定された患者と治療上の特徴を用いて40歳までのほとんどが白人の成人生存者における現在の骨塩密度状態が確認された。[ 58 ]
骨壊死
骨壊死(無菌壊死または虚血性壊死としても知られる)はまれであるが、広く認知された骨合併症として、コルチコステロイドによる治療を受けた小児血液悪性腫瘍の生存者に主に観察されている。[ 59 ][ 60 ][ 61 ]骨壊死の有病率は、研究対象集団、治療プロトコル、評価方法、および治療からの経過時間によって1%から22%の幅で変動している。[ 61 ][ 62 ][ 63 ][ 64 ][ 65 ][ 66 ][ 67 ][ 68 ]
この疾患は、1ヵ所以上の骨が壊死し、ほとんどの場合、体重を支える関節、特に股関節および膝関節に影響を及ぼすという特徴がある。縦断的コホート研究により、無症候性で画像上自然に消失する変化から、痛みを伴う進行性の関節崩壊で関節置換術を必要とするものまで、広範囲にわたる骨壊死の臨床症状が特定されている。[ 69 ][ 70 ]疼痛、関節腫脹、および可動性低下を特徴とする症候性の骨壊死は、特にALL患者で治療の最初の2年間に典型的にみられる。これらの症状は、治療完了後数年で、時間とともに改善する場合、持続する場合、または進行する場合がある。[ 71 ]1件のシリーズによると、骨壊死の診断から追跡期間中央値4.9年で、60%の患者に症状が引き続き認められた。[ 72 ]重度の症状が持続性の患者では、コア除圧術、骨切り術、関節置換術などの外科的処置が施行されることがある。[ 72 ]
骨壊死リスクを高める因子には以下のものがある:
-
コルチコステロイド、場合によりメトトレキサート、および併用アスパラギナーゼへの曝露。骨壊死の発症に関連する最も重要な治療因子は、コルチコステロイドへの長期曝露であり、ALL、非ホジキンリンパ腫、およびHSCTに使用される典型的な治療レジメンにコルチコステロイドが含まれている。[
64
][
67
][
68
][
73
][
74
]
骨壊死リスクは、コルチコステロイドの種類に関係している可能性があり、ALL患者を対象とした一部の研究で、デキサメタゾンの使用では、プレドニゾンと比較してリスクが高いことが示されている。[ 75 ][ 76 ]
コルチコステロイドの投与スケジュールも骨壊死発症リスクに影響を与えると考えられる。小児腫瘍学グループ(COG)による1961試験によると、新たに高リスクALLと診断された患者を対象に、遅延強化期間でデキサメタゾンの継続的(1日1回)投与またはデキサメタゾンの隔週投与スケジュールのいずれかにランダムに割り付けた;隔週投与スケジュールでは、骨壊死の発生率が低かった。[ 61 ]
コルチコステロイドに加えて、メトトレキサートおよび併用アスパラギナーゼへの曝露も、骨壊死発症の原因となる可能性がある。[ 77 ][ 78 ]
- 抗白血病治療中の血栓塞栓症の発症。 ALLに対する治療を受けた小児208人を対象にした1件のレトロスペクティブ・レビューにおいて、McMaster大学の研究者らにより、抗白血病治療中に血栓塞栓症を経験した小児では、年齢およびアスパラギナーゼへの曝露で調整した後でさえ血栓塞栓症が認められなかった小児よりも骨壊死のオッズが5.21倍(95%CI、1.82-14.91)高かったことが報告された。[ 78 ]
- HSCT前処置およびコース。Center for International Blood and Marrow Transplant Researchからのデータを用いて骨壊死の危険因子を評価した大規模なケースコントロール研究によると、非悪性腫瘍の患者および悪性腫瘍に対して薬物強度を低減した前処置レジメンを受けた患者では、悪性腫瘍に対して骨髄破壊的レジメンを受けた患者で見られるよりも、骨壊死のリスクが低いことが確認された。[ 79 ] 慢性移植片対宿主病(GVHD)に関連して、骨壊死のリスク増加が数件の研究で報告されている。[ 65 ][ 73 ][ 79 ]
- 診断時または移植時の年齢。数件の試験で、診断時年齢(または移植時年齢)が骨壊死の有意な独立予測因子であることが明らかにされている。[ 61 ][ 62 ][ 67 ][ 72 ][ 73 ][ 75 ][ 79 ]高年齢の小児および青年における骨壊死は、低年齢小児よりも有意に多くみられる。COG-1961試験によると、高リスクALLでの症候性骨壊死の5年累積発生率は、1~9歳の患者が1.0%、10~15歳の患者が9.9%、16~21歳の患者が20%であった(P < 0.0001)。[ 61 ]
- 人種。骨壊死はまた、白人患者における発生頻度が黒人患者より高い。[ 74 ][ 80 ]
-
遺伝因子。葉酸の代謝、グルココルチコイドの代謝、および脂肪生成に影響する遺伝因子は、生存者における骨壊死の過剰リスクとの関連が示されている。[
74
][
81
][
82
]
- 2件の候補遺伝子研究により、TS遺伝子の5'非翻訳領域内の28塩基対反復がホモ接合性の小児は骨壊死のリスクが高いことが示されている。[ 74 ][ 82 ]この遺伝子は葉酸の生成および補充に関連し、メトトレキサートにより阻害される。
- St. Jude Children's Research Hospitalの研究者らによると、脂質レベルと骨芽細胞分化を調節するACP1遺伝子に多型がみられる生存者では、骨壊死のリスクがほぼ6倍(オッズ比、5.6;95%信頼区間、2.7-11.3)であることが観察された。[ 66 ]
- ゲノムワイド関連解析により、BMP7、PROX1-AS1、GRID2(10歳未満の小児)、およびGRIN3A(これらはいずれもグルココルチコイド受容体活性に関連する)における潜在的なリスク多様体が同定されている。[ 81 ][ 83 ]
骨壊死に対する男女別の影響を評価した研究で出された結果は相反しており、女性の発生率が高いことを示唆する研究もあるが[ 69 ][ 72 ][ 80 ]、他では確認されていない。[ 60 ][ 69 ]
骨軟骨腫
骨軟骨腫は良性の骨膨隆で、自然に発生する場合も放射線療法に関連する場合もある。骨軟骨腫は一般に単一病変として発生する;しかしながら、遺伝性多発性骨軟骨腫症の場合は、複数の病変が発生することがある。[ 84 ]骨髄破壊的HSCTを受けた小児の約5%に骨軟骨腫が発生するが、これは長骨の骨幹端部に最もよくみられる。[ 84 ][ 85 ]
証拠(骨軟骨腫のリスク):
- 大規模なイタリアの研究では、移植後15年での骨軟骨腫発症の累積リスクは6.1%で、若い年齢(3歳以下)での移植、およびTBI使用と関連してリスクが高まることが報告された。[ 86 ]
- 骨軟骨腫は局所放射線療法、抗GD2モノクローナル抗体療法、およびイソトレチノインを受けた神経芽腫の患者において報告されている。[
87
]
- 骨軟骨腫は診断から中央値で8.2年後に発生しており、10歳未満の患者362人における診断から10年経過時の累積発生率は4.9%であった。
- このシリーズにおいて、骨軟骨腫のほとんどが放射線とは関係なく、発達上の良性骨軟骨腫の特徴を示した。
- 骨軟骨腫の発生における化学療法、抗GD2モノクローナル抗体療法、またはイソトレチノインの病原性の役割は、依然として思索的である。
成長ホルモン療法は、骨軟骨腫の発症および成長速度に影響する可能性がある。[ 21 ][ 88 ]
これらの病変の悪性への変性はきわめてまれなため、放射線学的追跡よりも臨床的な追跡が最も適している。[ 89 ]病変が関節のアライメントおよび運動を阻害する場合は、外科的切除のみが必要である。[ 90 ]
切断術および患肢温存手術
切断術および患肢温存手術は、肉眼的な病変および顕微鏡的な病変を切除することで骨腫瘍の局所再発を防ぐ。最適に実施されれば、両手技により、病巣以外の正常な組織の縁で腫瘍の一塊(en bloc)切除が達成される。外科的手術の種類、原発腫瘍部位、および患者年齢が術後合併症のリスクに影響する。[ 40 ]切断術による治療を受けた生存者の合併症には、人工装具適合の問題、残肢の慢性疼痛、幻肢痛、および骨の過成長がある。[ 91 ][ 92 ]患肢温存手術は外見的により好ましい結果を得ることができるが、これらの手術を受けた生存者では、切断術による治療を受けた生存者よりも合併症が高頻度で報告されている。患肢温存手術後の合併症には、偽関節、病的骨折、無菌性弛緩、四肢長不一致、人工装具内部骨折、および関節可動域制限がある。[ 91 ][ 93 ]ときには、患肢温存手術後に難治性の合併症が発生し、切断術が必要になる。[ 94 ][ 95 ]
多くの研究で、切断術および患肢温存手術後の機能的な転帰が比較されているが、機能性の評価方法が一貫しておらず、コホートサイズが小さいため、結果は限定されている。全体的に、患肢温存手術は切断術より良好な機能性が得られることをデータは示唆しているが、その差は比較的小さい。[ 91 ][ 95 ][ 96 ]同様に、切断術および患肢温存手術を受けた生存者では、生活の質の長期的な転帰もそれほど異なっていない。[ 94 ]CCSSにおける四肢肉腫生存者の健康状態の縦断的解析によると、下肢切断術と加齢に伴う活動制限増加との関連性、および上肢切断術と教育達成度の低下との関連性が示唆される。[ 97 ]
表13では、骨や関節の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表13.骨および関節の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 筋骨格系の影響 健康スクリーニング CT = コンピュータ断層撮影法;DXA = 二重エネルギーX線吸収法;GVHD = 移植片対宿主病;HSCT = 造血幹細胞移植。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 筋骨格系に影響する放射線 低形成;線維症;低成長/不均等成長(側弯症、後弯症);四肢長不一致 検査:照射野の骨および軟部組織 頭頸部に影響する放射線 頭蓋顔面異常 既往:次のものに注目した心理社会的評価:教育および/または就業の進捗、うつ病、不安、外傷後ストレス、引きこもり 頭頸部の検査 筋骨格系に影響する放射線 放射線誘発性骨折 患骨の検査 メトトレキサート;コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン);骨格構造に影響する放射線;HSCT 骨塩密度の低下 骨塩密度検査(DXAまたは定量的CT) コルチコステロイド(デキサメタゾン、プレドニゾン) 骨壊死 既往:関節痛、腫脹、不動、可動域制限 筋骨格系の検査 口腔に影響する放射線 放射線骨壊死 既往/口腔検査:歯科処置後の回復の障害または遅延、顎の痛みまたは腫脹の持続、開口障害 切断術 切断術関連の合併症(外見上の障害、機能/活動制限、残肢完全性、慢性疼痛、エネルギー消費増加) 既往:疼痛、機能/活動制限 検査:残肢完全性 人工装具の評価 患肢温存手術 患肢温存手術の合併症(機能/活動制限、線維症、拘縮、慢性感染症、慢性疼痛、四肢長不一致、エネルギー消費増加、人工装具不良[緩み、癒着不能、破損]) 既往:疼痛、機能/活動制限 検査:残肢完全性 患肢のX線検査 整形外科的評価 何らかの慢性GVHDの既往を伴うHSCT 関節拘縮 筋骨格系の検査 筋骨格系の晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 生殖器系の晩期合併症(晩期障害)
-
視床下部-下垂体軸または性腺の何らかの要素に悪影響を及ぼす手術、放射線療法、または化学療法は、小児がん生存者における生殖機能転帰を損なう可能性がある。小児がん生存者のこの転帰に関する証拠は、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアス、横断的評価のほか、治療アプローチ、治療期間、および確認方法における不均一性により制限される。特に、生殖能力(例、男性の精液検査、女性の原始卵胞数)の確かな転帰、および現行のリスク調整治療アプローチを施行した後の転帰に関する文献が不足している。[ 1 ][ 2 ]
不妊症のリスクは、一般にがんおよび特定の細胞傷害性治療の種類、用量、および併用により影響を受ける組織または臓器に関係している。
- 小児胚細胞腫瘍の管理で施行される精巣摘除術または卵巣摘出術により、胚細胞数が減少することがある。
- 小児がんの治療で使用されるアルキル化剤および同様なDNA鎖間架橋薬は、高い不妊症リスクに関係している主要な化学療法薬である。アルキル化剤による化学療法を受けた小児における性腺損傷のリスクに影響する因子には以下のものがある:
- 累積用量。
初期の研究において、特定の研究コホート内で性腺毒性のリスクに関連する用量レベルを明らかにするため、アルキル化剤の用量が用いられた。Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)の研究者らにより、シクロホスファミド同等品用量が策定され、これは研究集団に関係なくさまざまなアルキル化剤の累積用量を標準化する基準となっている。アルキル化剤の用量およびシクロホスファミド同等品用量は、治療への曝露を含めてさまざまな生存者の転帰に対するいくつかのモデルで用いられた場合に同様に機能するが、さまざまな治療が行われたコホート間での比較が可能なのはシクロホスファミド同等品用量のみである。性腺毒性に対する危険因子を評価する研究は、個別のアルキル化剤に基づいた累積用量、アルキル化剤の用量、およびシクロホスファミド同等品用量の使用に変動がある。[ 3 ]
- 特定のアルキル化剤。
- 治療期間。
- 診断時の年齢。
- 性。
- 累積用量。
- 視床下部-下垂体軸または性腺に対する放射線損傷のリスクは、治療容積、総線量、分割照射スケジュール、および治療時年齢に関係している。
抗がん治療、治療時年齢、および性別に加えて、遺伝因子も永久的な不妊症のリスクに影響する可能性が高い。小児がん治療プロトコルでは、集学的治療が行われることが多いため、生殖能の評価では性腺傷害性曝露の付加的な影響を考慮する必要があることに注意すべきである。特定のがん治療法で、特殊な外科処置、化学療法薬の種類と累積用量、および放射線療法の治療容積および線量などに関する詳細情報として、性腺機能不全および不妊症のリスクを推定する必要がある。
精巣
精巣機能および生殖機能を損なう可能性のあるがん治療には以下のものがある:
- 手術(精巣摘除術、後腹膜リンパ節郭清術、広範な骨盤切開術)。
- 放射線療法(視床下部-下垂体軸または性腺への放射線照射)。
- 化学療法(アルキル化剤および同様なプロカルバジンなどのDNA鎖間架橋薬)。
- 造血幹細胞移植(HSCT)。
性腺機能に影響を及ぼす手術
精巣捻転で片側の精巣摘除術を受けた患者は、長期の追跡で精子数が正常以下となることがある。[ 4 ][ 5 ]逆行性射精は精巣新生物の男性で実施される両側後腹膜リンパ節郭清で高頻度にみられる合併症で[ 6 ][ 7 ]、また前立腺の横紋筋肉腫を切除するための広範な骨盤切開後に勃起不全が発生することがある。[ 8 ][ 9 ]
精巣機能に影響を及ぼす放射線療法
小児がんに対する治療を受ける男児では、放射線療法の照射野に骨盤および性腺が含まれていたり、全身に照射したりする場合は、性腺損傷の可能性がある。胚上皮は、放射線損傷に対してアンドロゲン産生ライディッヒ細胞よりもはるかに影響を受けやすい。このような放射線照射から3~6週間後に精子数の減少がみられることがあり、用量にもよるが、回復には1~3年を要する場合がある。胚上皮はライディッヒ細胞(20~30Gy)よりもはるかに低い線量(1Gy未満)で損傷を受ける。不可逆的な胚細胞不全は2~4Gyを超える線量の分割放射線で発生する可能性がある。[ 10 ]24Gyのように高い線量の放射線照射は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の精巣再燃の治療で使用されたが、胚細胞不全およびライディッヒ細胞機能障害の両方を引き起こす。[ 11 ]
ライディッヒ細胞に対する放射線傷害は、照射線量および治療時年齢に関係している。精巣に対して12Gy未満の分割照射による治療を受けた思春期前の男児では、テストステロン産生量が正常である場合があるが、この集団でみられる黄体形成ホルモンの血漿濃度上昇は、無症候性の損傷を示す。思春期前の男児が精巣に対して20Gyを超える線量の放射線療法を受けた場合は、典型的に性腺機能不全となる;男性化にはアンドロゲン療法が必要となる。性的に成熟した男性患者では、放射線量が30Gyを超えなければ、ライディッヒ細胞機能は通常温存される。利用可能なデータからは、ライディッヒ細胞は思春期以前に放射線に曝露した場合に、より脆弱であることが示唆されるが、この観察の信頼性は検査時の年齢や精巣摘除術および化学療法の両方の影響などの交絡因子によって制限される。[ 12 ]
精巣機能に影響を及ぼす化学療法
アルキル化剤(シクロホスファミド、メクロレタミン、ダカルバジン)の累積用量は、精巣胚細胞の損傷リスクを推定する上で重要な因子であるが、臨床的特徴が十分明らかになっているコホートを対象とした精液検査の結果と相関しているデータで利用できるものは限られている。[ 13 ]一般に、ライディッヒ細胞機能は温存されるが、シクロホスファミドの累積用量が高く(7,500mg/m2以上)、アルキル化剤の併用療法が3ヵ月を超える男性では、胚細胞不全がよくみられる。ほとんどの研究で、思春期前の男性は、化学療法誘発性精巣損傷のリスクが思春期を過ぎた患者ほど低くないことが示唆される。[ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ]
放射線療法併用の有無にかかわらず、アルキル化剤投与後における低精子症または無精子症により明らかな精巣胚細胞損傷の研究では、以下のことが報告されている:
-
シクロホスファミド:
- シクロホスファミドの累積用量が9.5g/m2を超え、骨盤への放射線療法を受けた非ホジキンリンパ腫の男性生存者は、精子形成が回復しないリスクが高かった。[ 18 ]
- ユーイング肉腫および軟部肉腫の生存者で、シクロホスファミドの累積用量が7.5g/m2を超える治療は、低精子症または無精子症の持続と相関していた。[ 19 ]
- シクロホスファミドの用量が7.5g/m2を超えた場合、およびイホスファミドの用量が60g/m2を超えた場合、曝露されたほとんどの患者で低精子症または無精子症が発生した。[ 20 ][ 21 ][ 22 ]
- 少数コホートの研究で、0~10g/m2のシクロホスファミドおよび頭蓋照射による治療を受けた小児ALLの成人長期生存者における精液の質は正常であったが、20g/m2を超えるシクロホスファミドによる治療を受けた生存者の精液サンプルでは精子が検出されなかったことが報告された。[ 23 ]
- シクロホスファミド同等品の用量が4g/m2未満の治療は、無精子症または低精子症の頻度が低く、治療を受けた31人のうち88.6%の男性は、精子が正常であった。[ 24 ]
- 再生不良性貧血に対してHSCTを受ける前に、200mg/kgのシクロホスファミドの投与を受けた男性15人のうち67%に精子形成がみられた。[ 25 ]
-
ダカルバジン:
- 成人におけるドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジンの併用療法(ABVD)は、治療経過中に高い頻度で低精子症または無精子症を引き起こした。しかしながら、メクロレタミン、ビンクリスチン、プロカルバジン、およびプレドニゾン(MOPP)による治療後に報告された経験とは対照的に、治療後に精子形成の回復がみられ、完全回復した。[ 26 ]
-
アルキル化剤+プロカルバジン:
- アルキル化剤とプロカルバジンによる併用化学療法は、精巣胚上皮に対して重篤な損傷を引き起こし、累積用量が高くなると不可逆性となることがほとんどの研究で示唆される。[ 14 ][ 27 ][ 28 ][ 29 ][ 30 ]
- 成人におけるMOPPによる治療後の無精子症の発生頻度は2サイクル後では低かったが、6サイクルで高かった。[ 31 ]
- 基礎卵胞刺激ホルモン(FSH)値の上昇は、精子形成の障害を反映していることがあり、ビンクリスチン、プロカルバジン、プレドニゾン、およびドキソルビシン(OPPA)を2コース受けた患者では、2コース以上のシクロホスファミド、ビンクリスチン、プロカルバジン、およびプレドニゾン(COPP)と併用してOPPAを2コース受けた患者より頻度が低かった。[ 32 ]
-
低線量の頭蓋照射 + アルキル化剤:
- 小児ALLで頭蓋照射を併用するまたは併用しないアルキル化剤化学療法を受けた男性の成人生存者を含む1件の横断研究では、St. Jude Children's Research Hospitalの研究者らにより、線量が26Gy未満の頭蓋照射では精子形成に対する明らかな独立した影響は認められないことが実証された。[ 33 ]
造血幹細胞移植(HSCT)後の精巣機能
全身放射線照射(TBI)による前処置、高用量アルキル化剤による化学療法、またはその両方に関係する性腺機能不全および不妊症のリスクは、かなり大きい。再燃または難治性がんに対してしばしば移植が施行されるため、アルキル化剤による化学療法、または視床下部-下垂体軸もしくは性腺に対する放射線療法を用いた以前の治療により、リスクが上乗せされる可能性がある。治療時の年齢も性腺損傷のリスクに影響を及ぼす。高用量シクロホスファミド(200mg/kg)による治療を受けた低年齢の男児および青年では、一般にライディッヒ細胞の機能およびテストステロン産生が保たれるが、胚細胞不全がよくみられる。TBIによる前処置後、ほとんどの男性患者は、テストステロン産生能力を保持するが、胚細胞不全を経験する。[ 34 ]
ブスルファン/シクロホスファミドによる骨髄除去的前処置を受けた男児と比較して、フルダラビン/メルファランによる強度縮小前処置を受けた後、かなりの割合の男児が胚機能を維持するか、精子形成を回復する(思春期進行およびゴナドトロピン値に基づく)ことを示唆するデータは限られている。[ 35 ]
性腺機能の回復
細胞毒性化学療法および放射線療法後も性腺機能が回復する可能性がある。オランダの研究者らは、レトロスペクティブ横断研究で小児がんの男性生存者201人を対象に性腺機能の代替マーカーとしてインヒビンBを用い、診断からの追跡期間中央値は15.7年(範囲、3~37年)となった。コホート内のインヒビンB値の中央値は、中央値3.3年以上(範囲、0.7~11.3年)にわたって実施された連続測定で増加した。血清インヒビンB値が回復する確率は、ベースライン時のインヒビンB値、診断時年齢ではなく研究評価時の年齢、治療中止から研究評価までの期間、性腺への放射線照射、アルキル化剤用量スコアによる有意な影響を受けた。これらの結果から、回復の可能性があることが示唆されている(ただし、インヒビンB値が既に決定的に低い場合は回復しない)。[ 36 ]
インヒビンB値およびFSH値は精子濃度と相関しており、精子形成がみられるかどうかの評価にしばしば用いられる;ただし、これらの検査の特異度および陽性適中率には限界があることが報告されている。[ 37 ]したがって、男性生存者には、精子形成が十分であるかどうかの評価は精液検査が最も正確であると助言すべきである。
小児がんの長期生存者におけるライディッヒ細胞の機能
小児がん生存者におけるライディッヒ細胞の機能については、十分な研究が行われていない。St. Jude Lifetime Cohortの研究者らにより、1,516人の男性(年齢中央値、30.8歳;診断からの期間中央値、22年)におけるライディッヒ細胞不全およびライディッヒ細胞機能障害の有病率および危険因子が評価された。[ 38 ]
- ライディッヒ細胞不全(250ng/dL未満のテストステロンおよび9.85IU/L超の黄体形成ホルモンと定義される)の有病率は6.9%であった。
- ライディッヒ細胞機能障害(250ng/dL以上のテストステロンおよび9.85IU/L超の黄体形成ホルモンと定義される)の有病率は14.7%であった。
- ライディッヒ細胞不全に対する独立危険因子としては、評価時に26歳以上の到達年齢、すべての線量の精巣への放射線療法、および4,000mg/m2以上のシクロホスファミド同等品用量のアルキル化剤が挙げられた。
- 片側の精巣摘除術およびライディッヒ細胞不全に対する同様の危険因子がライディッヒ細胞機能障害に関連していた。
- ライディッヒ細胞不全およびライディッヒ細胞機能障害のリスクは、年齢の高さ、放射線量の高さ、およびアルキル化剤への曝露の増加とともに増大した。
- ライディッヒ細胞不全(ただし、ライディッヒ細胞機能障害ではない)と有意に関連する有害な転帰として、腹部肥満、糖尿病、勃起不全、筋力低下、および全原因死亡率が挙げられた。
卵巣
卵巣機能/温存を損なう可能性のあるがん治療には以下のものがある:
卵巣機能に影響を及ぼす手術
胚細胞腫瘍の管理で施行される卵巣摘出術により、卵巣の蓄えが減少することがある。このリスクを減らすため、現代の治療では、全身化学療法と併用して生殖機能を温存する外科処置を使用している。[ 39 ]
卵巣機能に影響を及ぼす放射線療法
小児がんに対する治療を受ける女児では、放射線療法の照射野に腰仙椎、腹部、および骨盤が含まれていたり、全身に照射したりすると、一次的性腺損傷の可能性がある。腹部放射線療法後の卵巣機能不全の頻度は、照射時の女性の年齢および卵巣が受けた放射線療法の線量のいずれとも関連している。低年齢女性の卵巣は、原始卵胞の補充量が多いため、高年齢女性よりも放射線損傷を受けにくい。
線量が20Gy以上の全腹放射線照射に伴って、卵巣機能不全のリスクが最も高くなる。1件のシリーズでは女性の71%が思春期を迎えることができず、線量が20~30Gyの全腹放射線療法を受けた後に早発閉経が26%にみられた。[ 40 ]他の研究では、小児期に腹部全体への照射[ 41 ]または頭蓋脊髄への照射[ 42 ][ 43 ]を受けた女性で同様な結果が報告されている。
卵巣機能に影響を及ぼす化学療法
アルキル化剤とプロカルバジンを含む併用療法による治療後に、卵巣機能が損傷することがある。一般に女児は、男児よりも高いアルキル化剤の累積用量でも性腺機能を維持する。小児がんでリスク調整化学療法による治療を受けた女性生存者のほとんどで、卵巣機能の保持または回復がみられる。しかしながら、アルキル化剤による化学療法および腹部または骨盤への放射線療法を用いた集学的治療、またはHSCT前の骨髄破壊的前処置レジメンとしての高用量アルキル化剤が治療に含まれる場合は、急性卵巣不全および早期閉経のリスクがかなり大きい。[ 44 ][ 45 ][ 46 ][ 47 ][ 48 ]
早期卵巣機能不全
早期卵巣機能不全は、小児がん生存者で、特にアルキル化剤および腹部放射線療法の両方による治療を受けた女性では十分に明らかにされている。[ 44 ][ 48 ][ 49 ][ 50 ]
その研究では、早期卵巣機能不全(急性卵巣障害および早発閉経)の発生率増加に関して、以下の因子に関連していた:
- 治療時の年齢および達した年齢。
- 高線量の腹部-骨盤放射線療法。
- アルキル化剤および/またはプロカルバジンへの曝露。
- 卵巣摘出術。
化学療法終了後の一見正常な卵巣機能の割合は、卵巣への障害が起きなかった証拠として解釈してはならない。
証拠(小児がん生存者における急性卵巣障害および早発閉経):
- CCSSに適格な参加者3,390人のうち、215人(6.3%)が急性卵巣障害(月経完全停止または診断から5年以内に月経停止として定義される)を発症した。[
45
]
- 急性卵巣障害の生存者は、急性卵巣障害ではない生存者より、がん診断時の年齢が高く(13~20歳 vs 0~12歳)、ホジキンリンパ腫と診断されていたか、腹部または骨盤への放射線療法を受けていた傾向が高かった。
- 急性卵巣障害を発症した生存者のうち、75%が腹部-骨盤放射線療法を受けていた。卵巣に対する20Gy以上の線量の放射線照射は、急性卵巣障害の最大発生率と関連し、そのような患者の70%を超える患者が急性卵巣障害を発症した。
- 多変量ロジスティック回帰モデルでは、卵巣への照射線量の増加、任意の年齢でのプロカルバジンへの曝露、および13~20歳でのシクロホスファミドへの曝露が急性卵巣障害の独立した危険因子であった。
- CCSSに参加した生存者2,930人の閉経状態が同胞1,399人の閉経状態と比較された。非外科的早発閉経は、妊娠、手術、または医薬品を原因とせずに、がん診断から5年後に始まり6ヵ月以上に及ぶ持続的な月経停止(ただし40歳前であること)と定義された。非外科的早発閉経を来した生存者110人において、年齢中央値34歳の集団における40歳での有病率は9.1%であった。[
48
]
- 多変量解析で、非外科的早発閉経の発症に対する独立した有意な危険因子は、4,000mg/m2を超える用量のプロカルバジンへの曝露(オッズ比[OR]、8.96;95%信頼区間[CI]、5.02-16.00[P < 0.0001])、卵巣に対するすべての線量の放射線療法(500cGy未満の線量でのOR、2.73[95%CI、1.33-5.61;P = 0.0062]および500cGyを超える線量でのOR、8.02[95%CI、2.81-22.85;P < 0.0001])、および幹細胞移植の実施(OR、6.35;95%CI、1.19-33.93[P = 0.0307])であった。単変量解析で、プロカルバジンを含む6,000mg/m2以上のシクロホスファミド同等品用量が有意であったが、多変量解析では有意性を達成しなかった。
- 4,000mg/m2を超える用量のプロカルバジンを受けた生存者における非外科的早発閉経の40歳時の有病率が39.7%であったのに対して、プロカルバジンを受けなかった生存者では4.2%であった(P < 0.0001)。卵巣に対する500cGyを超える線量の放射線による非外科的早発閉経の40歳時の有病率が24.1%であったのに対して、放射線を受けなかった生存者での有病率は3.0%であった(P < 0.0001)。
- シクロホスファミドへの曝露(すべての用量)、片側卵巣摘出術、喫煙状態、および肥満指数(BMI)は、非外科的早発閉経のリスクについて有意であるとは示されなかった。
- 非外科的早発閉経を発症しなかった生存者と比較して、非外科的早発閉経を発症した生存者では、31~40歳の間に妊娠するか、生児出生が得られる可能性が低かった。最終的に非外科的早発閉経を発症した生存者と発症しなかった生存者について30歳前の妊娠および生児出生が得られる割合における差は認められなかった。
- 小児固形がんの女性生存者1,109人を対象としたフランスのコホート研究で、以下の非外科的閉経の危険因子が特定された:[
50
]
- 特に青年期のアルキル化剤への曝露とその用量。
- 卵巣への照射線量。
- 卵巣摘出術。
- 思春期の開始後にアルキル化剤による治療を受けた女性は、単独の場合(相対リスク[RR]、9.0;95%CI、2.7-28.0;P = 0.0003)または低線量であっても卵巣に対する照射を受けた場合(RR、29;95%CI、8-108;P < 0.0001)に、非外科的閉経のリスク比が最も高くなった。
- 40歳までの非外科的閉経の全割合はわずか2.1%であり、血液悪性腫瘍の生存者を含むCCSSおよびEuropean Organization for Research and Treatment of Cancerコホート研究よりもかなり低かった。
- 片側卵巣摘出術は、7年早い閉経年齢に関連していた。
- ヨーロッパでは、15~40歳の間にホジキンリンパ腫の治療を受け、ホルモン避妊薬を服用していなかった生存者を対象に、早発性の卵巣機能不全の発生が調査された。[
49
]
- 460人の女性において、早発性の卵巣機能不全は主にアルキル化剤化学療法の使用による影響を受け、アルキル化剤化学療法と早発性の卵巣機能不全の発生との間には、線形の用量反応関係が認められた。早発性卵巣機能不全のリスクは、治療時の年齢1年当たり23%増加した。32歳前および32歳以上でアルキル化剤化学療法を併用せずに治療された女性における早発性卵巣機能不全の累積リスクはそれぞれ、3%および9%であった。
- 治療後に月経が再開した場合、早発性卵巣機能不全の累積リスクは治療時の年齢と関係しなかった。
- 最終的に早発性卵巣機能不全を発症した女性のうち、治療後に1人以上の子供を授かったのは22%であったのに対し、早発性卵巣機能不全を起こしていない女性では41%が治療後に1人以上の子供を授かった。この報告は、治療後に妊孕性が証明された女性でも後に不妊症の問題に直面する恐れが依然として存在することを示している。
- St. Jude Lifetime Cohortの研究者らにより、この研究に参加した小児がんの女性生存者921人における早期卵巣不全の有病率および危険因子が評価された。早期卵巣不全は臨床的に評価され、40歳前の持続性の無月経と30 IU/L以上のFSH値の同時発生と定義された。[
51
]
- 研究評価時の年齢中央値が31.7歳で、がん診断からの期間中央値が24年であった女性における早期卵巣不全の有病率は10.9%であった。
- 早期卵巣不全に対する独立危険因子としては、すべての線量の卵巣への放射線療法および8,000mg/m2以上のシクロホスファミド同等品用量が挙げられた。
- 評価時の肥満(BMIが30kg/m2以上)では、早期卵巣不全のリスクが低かった(HR、0.36)。早期卵巣不全を来した生存者では、早期卵巣不全を来していない生存者よりも骨塩密度低下(OR、5.07)および虚弱(OR、3.5)のオッズが高かった。
HSCT後の卵巣機能
HSCTによる治療を受けた女性における卵巣機能の温存は、治療時年齢、移植前のアルキル化剤化学療法および腹部-骨盤放射線療法の実施のほか、移植前処置レジメンに関係している。[ 46 ][ 52 ]
証拠(HSCTによる治療を受けた女性における卵巣機能):
- TBIまたはブスルファンベースのレジメンによる前処置を受けた女児および若年女性は、シクロホスファミド単独による前処置を受けた患者と比較して、卵巣機能の低下および早期閉経のリスクが同程度で高かった。[
46
]再生不良性貧血に対してHSCT前に大量のシクロホスファミド(50mg/kg/日×4日)投与を受けたすべての女性が移植後に無月経となった。
- 別のシリーズでは、シクロホスファミド(200mg/kg)による前処置を受けた再生不良性貧血の女性43人中36人が移植から3~42ヵ月後に正常な卵巣機能に回復し、この中には、HSCTの時点で13~25歳であった患者27人がすべて含まれていた。[ 47 ]
- TBIは、特に単回照射の場合に傷害性が高い。[
46
]HSCT前にTBIを受けた思春期後の女性のほとんどが無月経になる。
- 1件のシリーズで、正常な卵巣機能の回復が認められたのは患者144人中わずか9人で、25歳未満の患者では、放射線療法時の年齢と強い相関が認められた。[ 47 ]
- 白血病の女性では、移植前の頭蓋照射により卵巣機能保持の可能性がさらに低下した。[ 46 ]
- ブスルファン/シクロホスファミドによる骨髄除去的前処置を受けた女性と比較して、フルダラビン/メルファランによる強度縮小前処置を伴うHSCTを受けた女性では卵巣機能が良好に維持される(思春期進行およびゴナドトロピン値に基づく)可能性がある。[ 35 ]
妊孕性
不妊症は、依然として長期小児がん生存者が最も多く経験する生活を変える治療障害の1つである。小児がんコホート研究で、生殖機能転帰に対する細胞毒性治療の影響が明らかにされている。CCSSの調査では、小児がん生存者における低妊孕率の原因となる因子が解明されている。[ 53 ][ 54 ]
10,938人のCCSS参加者(男性5,640人、女性5,298人)と同胞3,949人における妊孕性が評価された。[ 53 ]
- コホートへの登録からの追跡期間中央値8年時点で、生存者の38%が妊娠した、または妊娠をもたらしたことを報告し、これらの生存者の83%で1人以上の生児出生が得られた。中央値で10年間モニタリングされた同胞では、62%が妊娠した、または妊娠をもたらしたことを報告し、これらの同胞の90%で1人以上の生児出生が得られた。多変量解析により、生存者では妊娠をもたらす、もしくは妊娠する可能性(ハザード比[HR]、男性で0.63および女性で0.87)、または生児出生が得られる可能性(HR、男性で0.63および女性で0.82)が同胞よりも有意に低かったことが確認された。
- 高用量のアルキル化剤(HR、5,000mg/m2の増分当たり0.82)およびシスプラチンにより、男性生存者が妊娠をもたらす可能性が低くなったが、ブスルファン単独および大量(411mg/m2を超える)のロムスチンは女性における妊娠が有意に低下した。安心できる点として、女性における妊娠の可能性が低下するリスクは、最も高いシクロホスファミド同等品用量でのみ観察された(曝露なしに対するHRは、上位四分位[11,295mg/m2以上]で0.85)。
- 男性および女性の生存者でシクロホスファミド同等品用量別に最初の妊娠を報告する可能性についてのHR(95%CI)を表14に要約する:
表14.3分位点別および性別のシクロホスファミド同等品用量 3分位点別のシクロホスファミド同等品用量 男性 女性 HR(95%CI) 値 HR(95%CI) 値 CI = 信頼区間;HR = ハザード比。 下位(4,897mg/m2未満) 1.14 (1.00–1.30) .045 0.97 (0.86–1.08) .55 中間(4,897~9,638mg/m2) 0.79 (0.68–0.91) .0010 0.98 (0.87–1.11) .76 上位(9,639mg/m2以上) 0.55 (0.47–0.64) <.0001 0.90 (0.79–1.01) .07 - 同様の関係が、生児出生の転帰について観察された。
妊孕性は、精子および卵子の欠如以外の因子によって障害を受けることがある。受胎には、精子を子宮頸部まで届けること、受精を達成するための卵管の開通性、および着床に適切な子宮の状態が必要である。[ 6 ][ 7 ][ 55 ]
CCSSの生存者2,930人を対象として生殖機能転帰に関する閉経状態の研究では、研究者らにより、最終的に非外科的早発閉経を発症した生存者に対する妊娠および生児出生が得られる割合は、31~40歳の年齢で非外科的早発閉経の発症前でも実質的に低かったことが明らかにされた。しかしながら、21~30歳の生存者については、最終的な閉経状態に基づく妊娠および生児出生が得られる割合の差は認められなかった。多変量解析による非外科的早発閉経の発症に対する有意な治療変数は、4,000mg/m2を超える用量のプロカルバジンへの曝露、すべての卵巣に対する放射線照射、および幹細胞移植であった。[ 48 ]単変量解析で、プロカルバジンを含む6,000mg/m2以上のシクロホスファミド同等品用量が有意であったが、多変量解析では有意性を達成しなかった。[ 48 ]
生殖
妊孕性を維持している生存者では、小児期にがんに対する治療を受けた成人を対象に妊娠合併症の有病率および危険因子が多くの研究で評価された。高血圧、胎位異常、胎児消失/自然流産、早期陣痛、および低出生体重を含む妊娠合併症は、特定の診断および治療グループに関連して観察された。[ 56 ][ 57 ][ 58 ][ 59 ][ 60 ]
証拠(小児期にがんに対する治療を受けた成人における妊娠合併症):
- CCSSにより追跡された1,915人の女性における4,029の妊娠の研究では、63%が生児出生、1%が死産、15%が流産、17%が中絶、3%が不明または妊娠中であった。[
56
]
- 流産のリスクは、頭蓋脊髄照射で治療された女性において3.6倍、骨盤照射で治療された女性において1.7倍高かった。化学療法単独では流産のリスクを増加させなかった。
- 生存者は、同胞と比較して生児を出産する可能性が低く、流産する可能性および低出生体重児をもつ可能性が高かった。
- 放射線療法をはじめとする子宮体積低下および子宮への血流障害を引き起こす治療後の正常な子宮機能の崩壊は、こうした多くの不良な産科イベントの基礎にある病態生理のようである。[ 61 ]
- 全米ウィルムス腫瘍研究では、妊娠期間が20週を超える1,021件に関する記録が得られた。このグループでは、955例の単生児出産がみられた。[
62
]
- 側腹部へ放射線照射を受けていた女性では、高血圧合併妊娠、早産または切迫早産、胎位の異常、低出生体重(2,500g未満)、および早産(36週未満)の頻度が線量依存性で高かった。
- 別の研究により男性生存者のパートナーの妊娠転帰が評価された。[
57
]
- 4,106人の性的活性のある男性中、1,227人が2,323例の妊娠をもたらしたことを報告し、そのうち69%が生児出生、13%が流産、13%が中絶、5%が分析時に不明または妊娠中という結果であった。
- 男性同胞のパートナーと比較して、生児出生率の低下(RR、0.77)がみられたが、治療による妊娠転帰に有意差は認められなかった。
- デンマークの研究からの結果によると、子宮への放射線照射と自然流産との関連性が確認されたが、他の種類の中絶では確認されなかった。Danish Cancer Registryで小児がん女性生存者1,688人が同定され、また3万4,000の妊娠が評価された。生存者、姉妹2,737人、および集団の比較女性16,700人の妊娠の結果が同定された。[
58
]
- 生児出生、死産、またはすべての種類の妊娠中絶合計の割合に関して、生存者および比較女性間で有意差は認められなかった。
- 神経内分泌または腹部放射線療法を受けたことのある生存者は、自然流産のリスクが高かった。
- そのため、生存者の妊娠転帰は、自然流産を除けば比較女性と同程度であった。
- がんで生存していた男性1,148人および女性1,657人を対象にしたCCSSのレトロスペクティブ・コホート解析で、4,946例の妊娠が確認された。[
59
]
- 男性における精巣および女性における下垂体への照射およびアルキル化剤を用いる化学療法は、死産または新生児死亡のリスク増加とは関連しなかった。
- 子宮および卵巣への10Gyを超える線量での照射は、死産および新生児死亡のリスクを有意に増加させた。
- 初潮前に治療を受けた女児で、子宮および卵巣へ照射を受けた場合、1~2.49Gyほどの低線量であっても死産または新生児死亡のリスクが有意に増加した。
- HSCT生存者とそのパートナーによる報告では、ほとんどの妊娠で生児出生が得られている。[
60
]
- TBIに曝露したHSCTの女性生存者では、低出生体重児の早産のリスクが高いようである。
- HSCTの女性生存者では、帝王切開分娩が必要となるリスクが正常な集団よりも高い(42% vs 16%)。
- HSCT後でも妊孕性の保持および妊娠成功がみられる可能性があるが、TBI、シクロホスファミド、およびブスルファンなどの前処置レジメンは性腺毒性が強い。ある研究で、HSCTによる治療を受けた女性集団における妊娠転帰が評価された。[
63
]
- 移植時に思春期後であった708人の女性中、116人が正常な卵巣機能を取り戻し、32人が妊娠した。
- 移植時に思春期前であった82人の女性中、23人が正常な卵巣機能を示し、9人が妊娠した。
- これらの女性41人における72の妊娠のうち、16はTBIで治療された女性でみられ、50%が流産となった。
- TBIまたはブスルファンを併用しないシクロホスファミドによる治療を受けた女性における56の妊娠では、21%が流産となった。
- ブスルファンとシクロホスファミドの併用療法を受けた女性73人では、妊娠が認められず、卵巣機能を保持していたのは1人のみであった。
- ドイツの1件の研究により、ホジキンリンパ腫の女性生存者が出産できる割合は一般集団の割合と同等であるが、骨盤への放射線療法を受けた生存者では出産できる割合が低いことが実証された。[ 64 ]
- 英国CCSSの研究者らは、英国CCSSのコホートデータを全国病院レジストリーと関連付けることによって、腹部放射線照射による治療を受けた小児がんの女性生存者における妊娠および分娩の合併症について評価した。[
65
]
- 腹部放射線照射による治療を受けた生存者は、腹部放射線照射を受けなかった生存者よりも妊娠合併症のリスクが有意に高かった(RR、2.1)。
- 腹部放射線照射による治療を受けたウィルムス腫瘍の生存者では、高血圧合併妊娠(RR、3.29)のリスクが高く、腹部放射線照射による治療を受けたすべての生存者では、妊娠糖尿病(RR、3.35)および貧血(RR、2.10)のリスクが高かった。
- 1件の系統的レビューで、小児および若年成人の白血病およびリンパ腫生存者について発表された妊娠および小児の健康上のアウトカムのデータが、がんの既往のない対照からのデータと比較された。[
66
]
- 対照と比較して生存者において、自然流産、母性糖尿病および貧血、死産、先天性欠損、または生まれてくる子供の小児がんのリスク増加は観察されなかった。
- 生児出生が得られる割合は低かった一方、早産および低出生体重のリスクは生存者の方が対照よりもわずかに高かった。
生殖機能温存
生殖内分泌学の進歩により、毒性を有する可能性のある化学療法または放射線療法を受ける予定の患者において、妊孕性を保持または可能にするためのいくつかの選択肢が利用可能になっている。[ 67 ]男性については、治療前の精子の冷凍保存は、治療の不妊化作用を回避するための有効な方法である。がん患者における治療前の精液の質は、健康なドナーにおける質よりも劣っていると示されることがあるが、精液の質のパーセント値低下およびがん患者からの精子に対する冷凍障害は正常ドナーの場合と類似している。[ 68 ][ 69 ]精子を銀行に保存できない患者では、精巣内精子採取法などの新しい技術が選択肢となりうる。細胞質内精子注入法および同様の手技のような微細操作技術のさらなる進歩は、精子の外科的採取を可能にし、あるいはがん患者からの質の良くない冷凍保存精子でさえも受精成功を可能にするであろう。[ 70 ]
女性では、生殖補助医療技術の成功のほとんどが、思春期後患者の卵母細胞の採取および保管のほか、性腺毒性治療前の未受精卵母細胞または胚の冷凍保存に依存している。[ 71 ]思春期前患者に対する選択肢は、研究段階にある後日の自己移植を目的とした卵巣組織の冷凍保存に限られており、卵巣がんおよび血液がん以外の女児に対して提供される場合がある。[ 72 ]
小児がん生存者の子供
子供のいる小児がん生存者については、その子供の先天異常、遺伝病、またはがんのリスクについての心配がある。がん生存者の子供には、変異原性のあるがん治療に両親が曝露していることによる先天異常の有意なリスク増加はみられない。
証拠(先天異常のリスクがそれほど高くないがん生存者の小児):
- CCSSに参加した男性1,128人および女性1,627人の子供4,699人において先天異常が確認された症例を対象にしたレトロスペクティブ・コホート解析では、以下が観察された:[
73
]
- 性腺への放射線またはアルキル化剤への累積的な曝露と子供の先天異常との有意な関連はみられなかった。
- ある研究で、1945年から1975年に小児がんに対する治療を受けた成人生存者の子供2,198人が同胞対照の子供4,544人と比較された。[
74
]
- 細胞遺伝学的症候群、単一遺伝子疾患、または単純奇形を有する子供の割合に差はみられなかった。
- 同様に、小児がん治療の種類も子供における遺伝病の発生に影響を及ぼさなかった。
- 小児がん生存者の存命子孫2,630人と生存者の同胞の存命子孫5,504人を比較した集団ベースの研究では、生存者の子孫と同胞の子孫との間において、異常核型、またはダウン症候群あるいはターナー症候群の発生率の割合に差異は見られなかった。[
75
]
同じ集団ベースのコホートで、腹部放射線療法および/またはアルキル化剤による治療を受けた生存者では、これらの治療を受けていない生存者と比較して、子供が遺伝性疾患を有するリスクが高くなることはなかった。
- 北欧5ヵ国で治療を受けた小児がん生存者の子供5,847人の研究では、(遺伝性網膜芽細胞腫などの)遺伝性がん症候群がなければ発がんリスクの増加は認められなかった。[ 76 ]この5ヵ所の施設の研究から得られたデータでも、同胞の子と比べ、かつて患者だった人の子では、単一遺伝子疾患、先天性奇形、または染色体症候群の過剰リスクはないことが示された。[ 77 ]
- European Group for Blood and Marrow Transplantationの研究者らは、同種移植患者19,412人および自家移植患者17,950人を対象に妊娠転帰を評価した研究で、男女のHSCTレシピエントの子孫における先天性欠損、発育遅延、またはがんのリスク増加を認めなかった。[ 60 ]
- フィンランドの全国規模の集団ベース登録研究で、1953年から2004年の間に治療された小児、青年、および若年成人がんの長期生存者6,862人の子孫における先天異常のリスクが、同胞35,690人の子孫における先天異常のリスクと比較された。[
78
]
- この研究では、同胞と比較して、小児および青年生存者(有病率比[PR]、1.17;95%CI、0.92-1.49)および若年成人生存者(PR、1.17;95%CI、0.83-1.23)における先天異常の有意な過剰リスクは認められなかった。
- 初期の数十年間(1955年~1964年:PR、2.77;95%CI、1.26-6.11;および1965年~1974年:PR、1.55;95%CI、0.94-2.56)に診断された生存者の子孫では、親のがんと先天異常との間に関連が認められた。
表15では、生殖の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表15.生殖の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 生殖の晩期合併症(晩期障害) 健康スクリーニング AMH = 抗ミュラー管ホルモン;FSH = 卵胞刺激ホルモン;LH = 黄体形成ホルモン。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 アルキル化剤;性腺照射 精巣ホルモン機能障害:テストステロン欠乏症/不全症;思春期遅発/未発来 タナー段階 朝のテストステロン LH 精子形成障害:妊孕性低下;低精子症;無精子症;不妊 精液検査 FSH インヒビンB 卵巣ホルモン機能異常:思春期遅発/未発来;早期卵巣不全/早発閉経。卵胞プール減少:卵巣の蓄え減少;不妊。 タナー段階 月経周期の記録 エストラジオール FSH LH AMH 胞状卵胞数 生殖の晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 呼吸器系の晩期合併症(晩期障害)
-
以下の治療法で治療された小児がんの長期生存者では、呼吸機能が損なわれうる:
- 特定の化学療法薬。
- 胸部放射線療法。
- 肺/胸壁手術。
- 造血幹細胞移植(HSCT)。
通常の加齢、他の併存する慢性健康障害、または喫煙に伴う肺機能低下により、がん治療による早期の肺損傷の影響が深刻化する場合がある。この転帰に関する現在のエビデンスの質は、レトロスペクティブなデータ収集、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアス、時代遅れの治療アプローチ後の転帰の記述、治療期間および確認方法の違いにより制限される。臨床評価に機能的評価および生活の質の評価を加えた大規模なコホート研究は実施されていない。
小児がん生存者における肺機能不全の真の有病率または発生率は明らかではない。HSCTによる治療を受けた小児で、重大な臨床疾患が観察されている。
証拠(長期の肺機能転帰について記述している一部のコホート研究):
- 中枢神経系悪性腫瘍で頭蓋脊髄放射線照射を受けた成人における自己報告による肺機能不全の発生率(1,000人年当たり)は、肺気腫/閉塞性細気管支炎で9.1(95%信頼区間、7.8-10.6)、喘息、慢性咳嗽、および酸素補充の必要性で3.0を超えていた。診断後5年を過ぎてから発生する晩期発症型肺機能不全の発生率も高いことが観察された。[ 1 ]
- オランダの研究者らは、小児がん生存者193人について診断後の追跡期間中央値18年で肺機能検査により評価した転帰について報告した。[
2
]
- 肺機能障害(有害事象共通用語基準でグレード2以上)が85人(44.0%)の患者で確認され、その中には、閉塞性障害(2.1%)、拘束性障害(17.6%)、および一酸化炭素拡散能の低下(39.9%)がみられた。
- 多変量ロジスティック回帰モデルでは、ブレオマイシン単剤と比較して、放射線療法、放射線療法とブレオマイシンの併用、および放射線療法と手術の併用では、肺機能障害のリスクが最も高いという関連性が認められた。
- 肺毒性の可能性がある治療法(例、ブレオマイシン、ブスルファン、肺への放射線療法)で治療された小児がん生存者121人において肺機能不全の大きさおよび経過を評価した1件の縦断研究(診断から最終の評価までの期間中央値、17.1年)において、生存者は健康な対照よりも拘束性障害および拡散障害を有する可能性が有意に高かった。[
3
]
- 16歳未満の診断時年齢および20Gy超の胸部放射線への曝露は、拘束性障害のオッズ増加に関連していた一方で、女性および胸部放射線の線量は、拡散障害に関連していた。
- 経時的な肺機能の低下は主に、拡散能の変化に関係していた。経時的な拡散能低下のオッズは女性では4倍高く、20Gy超の胸部放射線で治療された生存者では24倍高いことが示された。拡散能が正常な生存者と比較して、拡散障害がみられる生存者には症状があり、健康関連のQOLスコアが不良である可能性が有意に高く、身体機能の各領域の低下、身体的健康の結果としての役割の制限、低エネルギー/疲労の増加が認められた。
- Childhood Cancer Survivor Studyの研究者らは、がんの5年生存者(中央値で診断から25年)および同胞コホートを対象に、自己報告による肺の転帰およびその日常生活への影響を比較した。[
4
]
- 生存者は、喫煙率が低いにもかかわらず、慢性の咳嗽、酸素補給の必要性、肺線維症、および再発性肺炎を報告する可能性が同胞より高かった。
- 生存者で、45歳までの肺疾患の累積発生率は29.6%であった。慢性肺疾患(例、慢性の咳嗽)を有する生存者は、このような疾患のない生存者よりも活動制限を報告する傾向が高かった。
- 肺の合併症は、生存者におけるほぼ6倍の過剰な死亡リスクの原因となり、プラチナ製剤への曝露および肺への放射線照射と有意に関係することが実証された。
放射線療法後の呼吸器合併症
肺実質に対する放射線療法により、肺容積減少、動的コンプライアンス障害、および肺と胸壁の両方の変形に関係する肺機能不全を来すことがある。肺の慢性続発症の可能性は、照射した放射線量、肺の照射容積、分割放射線療法の線量に関係している。[ 5 ]放射線療法および肺毒性化学療法または胸部/胸壁手術などの集学的治療は、肺機能障害のリスクを高める。[ 2 ][ 6 ]
小児悪性腫瘍の治療後に報告されている慢性の肺合併症には、拘束性または閉塞性の慢性肺疾患、肺線維症、自然気胸がある。[ 7 ]これらの続発症は、現代的な治療の後ではまれで、ほとんどが画像検査または正式な肺機能検査によってのみ検出される不顕性の損傷であることが多い。
証拠(肺転帰について記述している一部のコホート研究):
- 肺全体に中央値で12Gy(範囲、10.5~18Gy)の放射線を受けた後、中央値で9.7年間追跡された小児悪性固形腫瘍の生存者48人を対象にした研究では、以下が報告された:[
8
]
- 小児ホジキンリンパ腫の生存者で、現行の浸潤領域法を用いた肺症状の有病率は低いと報告されている。しかしながら、多くの生存者がかなりの非顕性の機能不全を呈している。[ 11 ]
- 転移性ウィルムス腫瘍に対して全肺放射線療法で治療された小児において、肺機能の変化が報告されている。[
9
][
10
]
- 12Gy~14Gyの線量は全肺気量および肺活量を予測値の約70%に減少させ、患者が開胸術を受けていた場合にはさらに減少させた。
- ブレオマイシンの単独投与は肺毒性を引き起こすことがあり、放射線療法と併用される場合は放射線に対する反応を強めることがある。ドキソルビシン、ダクチノマイシン、ブスルファンなどの化学療法薬は放射線様作用薬であり、基礎にある放射線障害を再活性化させうる。[ 9 ][ 10 ][ 12 ]
化学療法後の呼吸器合併症
小児悪性腫瘍の治療に一般的に使用されている肺毒性作用の可能性がある化学療法薬には、ブレオマイシン、ブスルファン、およびニトロソウレア(カルムスチンおよびロムスチン)がある。これらの薬剤は、それ自体で肺損傷を誘発するか、肺への放射線の障害作用を増強する。肺毒性化学療法および胸部放射線療法または胸部/胸壁手術などの集学的治療は、肺機能障害のリスクを高める。[ 2 ]
証拠(肺毒性化学療法を受けたコホートにおける転帰):
- ブレオマイシンに関連した持続性の拘束性疾患を伴う肺線維症の発現は用量依存性であり、通常は小児悪性腫瘍向け治療プロトコルで使用される用量よりも高い200 U/m2~400 U/m2を超える用量で発生する。[ 12 ][ 13 ][ 14 ]
- ホジキンリンパ腫に対して放射線療法とドキソルビシン、ブレオマイシン、ビンブラスチン、およびダカルバジン(ABVD)を用いるより新しい小児レジメンでは、無症候性肺機能障害の発生率が有意に高く、治療後に時間経過とともに改善すると考えられることが示されている。[ 15 ][ 16 ][ 17 ]しかしながら、12サイクルのABVD後に21Gyの広範囲放射線照射を受けた小児の9%で、グレード3および4の肺毒性が報告された。[ 14 ]
- ABVDに関連した肺毒性作用は、ブレオマイシンにより誘発された線維症、またはドキソルビシン投与に関連した「radiation recall」による肺臓炎に起因する可能性がある。
- 肺静脈閉塞性疾患がまれに観察されており、ブレオマイシンによる化学療法に起因している。[ 18 ]
HSCTに伴う呼吸器合併症
HSCTを受けた患者は、以下に関係する肺毒性作用のリスクが高い:[ 19 ][ 20 ][ 21 ]
- 既存の肺機能不全(例えば、喘息、移植前治療)。
- シクロホスファミド、ブスルファン、またはカルムスチンなどの前処置レジメン。
- 全身放射線照射。
- 移植片対宿主病(GVHD)。
移植生存者のほとんどは、臨床的な障害を生じやすくはないが、拘束性肺疾患を発症することがあり、長期追跡コホートからの限定されたデータを基にすれば、HSCTからの経過時間とともに有病率が高くなることが報告されている。[ 22 ][ 23 ]拘束性および閉塞性疾患を含む晩期発症肺症候群と同様に、閉塞性疾患は少ない。器質化肺炎、びまん性肺胞損傷、および間質性肺炎を伴う、または伴わない閉塞性細気管支炎が、一般に移植後6~12ヵ月の間にこの症候群の構成要素として起こることがある。正常な胸部X線またはびまん性/斑状浸潤を伴って咳嗽、呼吸困難、または喘鳴が起こることがある;しかしながら、ほとんどの患者には症状がない。[ 20 ][ 24 ][ 25 ]
呼吸器晩期合併症(晩期障害)に関係する他の因子
慢性肺毒性作用の一因となる別の因子には、重複感染、基礎の肺症(例、喘息)、胸壁異常、呼吸毒性作用、慢性GVHD、および腫瘍自体または腫瘍に対する反応による慢性肺障害の影響がある。[ 6 ]小児期の肺葉切除術は、長期的な肺機能に重大な影響を与えないと考えられるが[ 26 ]、がん患児に対する肺手術の長期的な影響は十分には定義されていない。
肺合併症は、喫煙または他の物質の吸引により深刻化することもある。小児がん生存者の喫煙率は、一般集団より低い傾向がみられるが、この個別集団では、喫煙の開始を防止し、禁煙を促すことが依然として重要である。[ 27 ]
証拠(前喫煙者または現在喫煙者における肺機能不全):
- 肺毒性治療法を受けた小児がんの成人生存者433人の肺機能評価では、喫煙者における肺機能不全のリスクが非喫煙者よりも有意に高いことが明らかになった。[
28
]
- 現在喫煙者および前喫煙者におけるFEV1/FVCの中央値は、非喫煙者より低かった。
- FEV1/FVC中央値は、喫煙したことがない患者と比較して、喫煙歴が6パック-年未満の患者および6パック-年以上の患者で低かったことから、前喫煙者および現在喫煙者の生存者は将来的に閉塞性および拘束性肺疾患に罹患するリスクが高いことが示唆される。
表16では、呼吸器の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表16.呼吸器晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 呼吸器への影響 健康スクリーニング/介入 DLCO = 一酸化炭素の肺拡散能力;GVHD = 移植片対宿主病。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 ブスルファン;カルムスチン(BCNU)/ロムスチン(CCNU);ブレオマイシン;肺へ影響する放射線;肺機能に影響する手術(肺葉切除術、転移巣切除術、楔状切除術) 不顕性肺機能不全;間質性肺炎;肺線維症;拘束性肺疾患;閉塞性肺疾患 既往:咳嗽、息切れ、運動時呼吸困難、喘鳴 肺検査 肺機能検査(DLCOおよび肺気量測定を含む) 胸部X線 喫煙回避/禁煙に関する相談 肺機能検査および/または胸部X線が異常な患者では、全身麻酔の前に反復評価を考慮すること 症候性の肺機能不全がある患者に対しては肺の診察 インフルエンザおよびI肺炎球菌の予防接種 何らかの慢性GVHDを伴う造血幹細胞移植 肺毒性(閉塞性細気管支炎、慢性気管支炎、気管支拡張症) 既往:咳嗽、息切れ、運動時呼吸困難、喘鳴 肺検査 肺機能検査(DLCOおよび肺気量測定を含む) 胸部X線 喫煙回避/禁煙に関する相談 肺機能検査および/または胸部X線が異常な患者では、全身麻酔の前に反復評価を考慮すること 症候性の肺機能不全がある患者に対しては肺の診察 インフルエンザおよびI肺炎球菌の予防接種 呼吸器晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。[ 29 ]
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- 特殊感覚の晩期合併症(晩期障害)
-
聴力
治療の晩期合併症(晩期障害)としての難聴は、白金化合物(シスプラチンおよびカルボプラチン)への曝露または頭蓋照射療法後、もしくはその両方の施行後に発生することがある。これらの治療上の曝露は、中枢神経系(CNS)固形腫瘍および非CNS固形腫瘍の治療で最もよく生じる。小児は、プラチナ製剤による耳毒性への感受性が成人より高い。[ 1 ][ 2 ]Childhood Cancer Survivor Study(CCSS)の報告(N = 2,061)では、生存者における聴覚障害の有病率が10%に対して、同胞で3%と推定された。聴覚障害は、CNS腫瘍(25%)、神経芽腫(23%)、肝腫瘍(21%)、胚細胞腫瘍(20%)、骨腫瘍(16%)、および軟部肉腫(16%)の生存者で特に多くみられた。[ 3 ]スイスCCSSからのデータは、最初に聴覚合併症(聴力障害、耳鳴、聴覚低下、難聴)がみられる相対的発生率が診断から5年までの期間で最も大きいことを示している;しかしながら、診断後5年以上でも、このような障害が生存者に発生するリスクは、依然として同胞より有意に高かった。[ 4 ]
難聴に関連した危険因子には以下のものがある:
難聴とプラチナ製剤をベースにした療法
プラチナ製剤関連の感音難聴は、急性毒性として発生し、一般に不可逆性かつ両側性である。最初に聴力低下が高頻度で現れ、累積曝露量増加に伴い音声周波数帯に進行する。聴力低下の有病率は、シリーズごとに大幅に異なっており、プラチナ製剤の治療法(例えば、プラチナ製剤の種類、用量、投与期間);宿主因子(例えば、年齢、遺伝的感受性、腎機能);耳毒性治療(頭蓋照射療法、アミノグリコシド系、ループ利尿薬)の追加実施;ならびに聴力低下の有病率および重症度の報告に用いられるグレード判定基準に基づいて決まる。[ 5 ][ 6 ]
- 音声周波数帯(500~2,000Hz)に及ぶシスプラチン誘発性難聴は、通常、小児患者に対する累積用量が400mg/m2を超えると発生する。[
7
][
8
]注入時間の延長または用量の分割により、重大な聴力低下のリスクが低減することが報告されている。[
9
]
シスプラチン単独とシスプラチン + チオ硫酸ナトリウムの遅延投与を比較したランダム化試験において、シスプラチン化学療法から6時間後のチオ硫酸ナトリウムの投与により、標準リスク肝芽腫の小児におけるシスプラチン誘発性難聴の発生率が48%低下し、全生存またはイベントフリー生存への悪影響は認められなかった。[ 10 ]
- 骨髄破壊的カルボプラチンと併用したシスプラチンへの曝露により、重度の聴力低下のリスクが有意に高まる。[
8
]プラチナ製剤による化学療法後の耳毒性作用が治療終了から数年後に悪化することが報告されている。[
11
]
第8脳神経を含む後頭蓋窩への放射線療法(治療終了時の蝸牛への損傷を示唆)は、シスプラチンによる治療を受けた生存者における晩発性聴力低下のリスクを高める。[ 12 ]
- 従来の(骨髄非破壊的)用法で使用されるカルボプラチンは一般に耳毒性ではない。[
13
]しかしながら、以下の集団では晩発性難聴が報告されている:
- プラチナ製剤を投与されたが頭蓋照射療法は受けなかったオランダの小児がん生存者451人を対象にした1件の多施設横断解析において、カルボプラチン単独投与(n = 112)に関連した耳毒性(ミュンスターグレード > 2b[4~8kHz以上で>20dB]と定義される)の発生率は17%であった。[ 5 ]
- 網膜芽細胞腫に対する、幹細胞移植ではない目的でのカルボプラチン使用後の耳毒性を検討した1件の研究は、小児175人のうち8人が難聴を発症したことを報告した。小児の8人中7人では、耳毒性が発現するまでの遅れの中央値は3.7年であった。[ 14 ]
- 骨髄非除去的全身カルボプラチンおよびビンクリスチンで治療された網膜芽細胞腫の生存者60人における聴覚学的転帰を評価した別の研究により、難聴の累積発生率は10年経過時で20.3%と推定された。グレード3または4の持続的な難聴を発症した10人(17%)の患者のうち、9人は化学療法開始時に生後6ヵ月未満であった。治療開始時の低年齢は難聴の唯一の有意な予測因子であった;難聴の累積発生率は生後6ヵ月未満の患者では39%であったのに対し、生後6ヵ月以上の患者ではわずか8.3%であった。[ 15 ]
- 造血幹細胞移植に対するカルボプラチン前処置レジメンの使用は、特にカルボプラチンまたはシスプラチンによる治療を過去に併用している場合、重大な耳毒性作用を引き起こす可能性がある。[ 7 ][ 8 ]
難聴と頭蓋照射
頭蓋照射療法は、単独療法として使用した場合、耳毒性作用を引き起こす可能性があり、曝露後数ヵ月から数年で現れる緩徐な発症を示すことがある。放射線療法単独後の耳毒性の閾線量は、小児で35~45Gyの範囲である。[ 16 ]35Gyを下回る累積放射線量での高周波感音難聴はまれであり、45Gy未満の線量では重度になることはまれである。[ 17 ]例外は、テント上腫瘍で脳室腹腔シャントを有する患者で、30Gyを下回る線量でも中間周波数(1,000~2,000Hz)の難聴が現れることがある。[ 16 ][ 18 ]聴力低下のリスクを低減するため、蝸牛への平均線量は30~35Gyを超えてはならず、6週間を超えて照射できない。若い患者、ならびに脳腫瘍および/または水頭症の存在は、難聴になる感受性を高める可能性がある。
頭蓋照射療法後の感音難聴は経時的に進行しうる。原体放射線療法または強度変調放射線療法で治療され(シスプラチンを併用せず、既存の難聴が認められない)、中央値で9年間監視された小児脳腫瘍患者235人を対象にした研究では、感音難聴の有病率は患者の14%であり、放射線療法から発症までの期間中央値は3.6年であった。29人の患者における追跡評価により、聴覚感度における持続的な低下が確認された。頭蓋照射関連感音難聴に対する危険因子としては、放射線療法開始時に若年であること、蝸牛への高い放射線量、および脳脊髄液シャントが挙げられた。[ 19 ]
シスプラチンと同時使用した場合、放射線療法は、プラチナ製剤による化学療法に関連する難聴を大幅に悪化させる可能性がある。[ 16 ][ 20 ][ 21 ][ 22 ]CCSSからの報告によると、5年生存者は、同胞と比較して、聴力障害(相対リスク[RR]、2.3)、耳鳴(RR、1.7)、補助を必要とする難聴(RR、4.4)、および補聴器により補正されない片耳または両耳の難聴(RR、5.2)のリスクが高かった。側頭葉(30Gy超)および後頭蓋窩(50Gy超および30~49.9Gy)への放射線照射はこれらの有害な転帰と関連していた。プラチナ製剤への曝露は聴覚障害(RR、2.1)、耳鳴(RR、2.8)、補助手段が必要な難聴(RR、4.1)に関連していた。[ 4 ]
難聴と生活の質
重要な点として、悪性腫瘍の治療を受けた小児には、難聴が早期または晩期に発生するリスクがあり、学習、会話、学業、社会的交流、および全体的な生活の質に影響する可能性がある。
- 神経芽腫の小児生存者137人(8~17歳)で、難聴は読解および数学の能力障害と関係しており、同様に学習障害および/または特別教育の必要性のリスクも高かった。さらに、難聴は、学業関連の生活の質が劣ることにも関連していた。[ 23 ]
- 手術、リスク調整頭蓋脊髄照射、および化学療法で構成された治療プロトコルに登録された脳胚芽腫(embryonal brain tumor)の小児および若年成人260人に対して、連続的な神経認知的および聴力評価が実施された。重度の感音難聴を示す64人の小児は、聴覚が正常または軽度から中等度の感音難聴が認められる小児の集団と比較して、経時的に読解に大きな問題を示した。特に、重度の感音難聴を示すこれらの小児は、音韻体系の技能と処理速度(これらは読解力など、より高レベルの能力に影響する)に最も苦労するようであった。[ 24 ]
- 小児CNS腫瘍(n = 180)および非CNS固形腫瘍(n = 226)で耳毒性が考えられるがん治療を受けた成人生存者の研究では、重篤な聴覚障害(補助を必要とするか、難聴となる)に伴って、自立した生活ができず雇用されていない、または高校が卒業できないリスクが2倍高かった。[ 25 ]
小児腫瘍学グループにより、リスクのある生存者の早期特定および救済サービスへの適時紹介を促進するため小児がんおよび青年がんの生存者における難聴の評価と管理のための推奨事項が発表されている。[ 26 ]
表17では、聴覚の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表17.聴覚の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 潜在的な聴覚の影響 健康スクリーニング/介入 FM = 周波数調節。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 プラチナ製剤(シスプラチン、カルボプラチン);耳に影響する放射線 耳毒性; 感音難聴;耳鳴;めまい;乾型耳垢症;伝音難聴 既往:難聴、耳鳴、めまい 耳鏡検査 聴力評価 難聴が進行性の患者では増幅 難聴の小児に対しては言語治療 難聴を悪化させたり、原因となったりする慢性感染、乾性耳垢、または解剖学的問題がある患者では耳鼻咽喉科医の診察 教育上の調節(例えば、優先的な教室座席、FM増幅システム、その他) 眼窩と視力
眼窩の合併症は、全身放射線照射(TBI)の後や網膜芽細胞腫に対する放射線療法後、または小児頭頸部肉腫およびCNS腫瘍でよくみられる。
網膜芽細胞腫
網膜芽細胞腫の生存者については、眼球除去または放射線療法の結果、眼窩容積が小さくなることがある。1歳未満の年齢はリスクを増大させうるが、このことは研究間で一貫していない。[ 27 ][ 28 ]温熱療法、凍結療法、および封入剤による放射線療法に加えて、良好な摘出インプラント、静注ケモリダクション、および動注化学療法により、網膜芽細胞腫の管理が進歩している。こうしたより現代的な治療法を受けた患者の視力に対する効果を評価するには、さらに長期の追跡が必要である。[ 27 ][ 29 ][ 30 ]過去に、黄斑および中心窩付近に位置する腫瘍は、失明に至る合併症のリスク増加と関連していたが、これらの腫瘍に対する中心窩レーザー焼灼による治療は、視力保持に有望なことが示されている。[ 31 ][ 32 ][ 33 ][ 34 ]
(網膜芽細胞腫の治療に関する詳しい情報については、網膜芽細胞腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
横紋筋肉腫
眼窩横紋筋肉腫の生存者は30~65Gyの放射線療法後、ドライアイ、白内障、眼窩形成不全、眼瞼下垂、網膜症、角結膜炎、視神経症、眼瞼上皮腫、および視力障害のリスクがある。より高線量(50Gy超)では、眼瞼上皮腫、角結膜炎、涙管萎縮、および重度のドライアイと関連している。網膜炎および視神経症はまた、50~65Gyの線量の結果としても起こることがあり、個々の分割線量が2Gyを超える場合にはより低い総線量でも生じる。[ 35 ]白内障は比較的低い線量の10~18Gyの後に報告されている。[ 36 ][ 37 ][ 38 ]
(小児横紋筋肉腫の治療に関する詳しい情報については、小児横紋筋肉腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)
低悪性度視経路グリオーマおよび頭蓋咽頭腫
視経路グリオーマおよび頭蓋咽頭腫の生存者も視覚に関する合併症のリスクが高く、腫瘍が視神経の付近に存在していることが部分的な原因である。
1990年から2014年にかけて散発性視経路グリオーマと診断された小児患者59人を対象としたレトロスペクティブ・コホート研究(追跡期間中央値5.2年)で、長期的な視力障害の重大な負担が認められた。この研究結果では、3分の2を超える患者に長期の視力喪失の証拠がみられ、半数を超える患者の少なくとも片眼に重度の視力喪失があり、4分の1の患者に重度の両眼視力喪失があることが示された。不良な視覚の転帰で特定された危険因子は、視交叉後部病変、低年齢、および初診時の視神経蒼白であった。[ 39 ]
視経路グリオーマの患者21人に対する長期追跡(平均、9年)によると、治療前には患者の81%に視力低下、同じく81%に視神経蒼白がみられたほか、すべての患者において片眼または両眼に視覚誘発電位の低下を認めた。治療により4~5年の間、視力低下が抑制された。最終追跡時に、患者の33%に視力の安定または改善がみられた;しかし、平均では低下していた。追跡時の視力は初発時の腫瘍容積に関連があった。[ 40 ]
生後1年以内に診断された低悪性度グリオーマおよび低悪性度グリア神経細胞性腫瘍の小児51人を対象にした研究では、患者48人中27人(56%)で視力が低下しており、患者のうち13人(27%)が法定盲人であった。腫瘍の位置(視床下部または視経路)は視力の低下に有意に関連していた(P = 0.002)。[ 41 ]
頭蓋咽頭腫の診断を受けた患者25人を対象とした1件の研究では、平均追跡期間11年の時点で67%に視覚的な合併症がみられた。[ 42 ]頭蓋咽頭腫を有する小児30人を対象とした1件のレトロスペクティブ・レビューでは、患者19人に術前の失明が生じていた;また、患者21人に術後の視力低下がみられた。術前の失明は術後の失明を断定した。[ 43 ]
CCSSの研究者らにより、小児低悪性度グリオーマの成人生存者1,233人において視力障害が認知的および心理社会的転帰に及ぼす影響が評価された。ある程度の視力障害が患者の22.5%に認められ、患者の3.8%は両眼を失明していた。両眼を失明した生存者では、結婚していない、独立した生活ができない、および雇用されていない可能性が視力障害のない生存者と比較して高かった。しかしながら、両眼の失明は、自己報告による認知的転帰または感情的結果に影響しなかった。視力障害(一部の視力が残っている)は、心理学的結果または経済的結果と関連しなかった。[ 44 ]
治療に特異的な影響
小児がん生存者には、グルココルチコイドおよび眼の放射線曝露のいずれにも関連する眼の晩期合併症(晩期障害)のリスクが高い。
証拠(放射線曝露による眼への影響):
- CCSSの報告によると、診断から5年以上の生存者は、白内障(RR、10.8)、緑内障(RR、2.5)、法的盲(RR、2.6)、複視(RR、4.1)、およびドライアイ(RR、1.9)の発症リスクが同胞に比べて高かった。[ 45 ]
- 白内障の15年累積発生率は、細隙灯顕微鏡検査により系統的に評価した場合、小児急性リンパ芽球性白血病の生存者517人(診断から中央値で10.9年)において4.5%であった。CNSへの放射線療法は、白内障発症で特定された唯一の治療関連危険因子で、放射線照射を受けた生存者の11.1%にみられたのに対して、放射線照射を受けていない生存者では2.8%であった。[ 46 ]
- CCSSからの報告により、白内障発症と関係する放射線療法からの期間および放射線量に関する追加データが得られる。[
47
]
- 研究参加者13,902人で、3.5%が白内障を発症し(放射線療法から5年以内が41%)、発症までの時間の中央値が9.6年で、最長期間が37年であった。水晶体への放射線量は、有病率増加と関係していた:0.5Gy未満で1.3%、2.5~3.49Gy後で6.1%、20~60Gy後で40.6%。
- 線量が高いほど、診断までの期間が短いという関係もみられた。
- 白内障を有する集団のうち、31%が白内障手術、臨床的合併症の支持療法を報告した。
- シトシンアラビノシド(オッズ比[OR]、1.5)およびドキソルビシン(OR、1.5)は、独立して白内障発症と関係し、メトトレキサートでは逆相関(OR、0.6)がみられ、コルチコステロイドの使用と放射線療法の間に意味のある相互関係は観察されなかった。
白内障およびドライアイ症候群のような眼の合併症は、小児期の幹細胞移植後によくみられる。
証拠(幹細胞移植による眼への影響):
- ブスルファンまたは他の化学療法による治療を受けた患者と比べて、単回照射または分割照射による治療を受けた患者では、白内障のリスクが高い。リスクは治療後10年で総線量および分割線量に応じて約10%から60%の幅があり、単回照射後とより高い線量または線量割合のTBI後に、潜伏期がより短く、より重度の白内障が認められている。[ 48 ][ 49 ][ 50 ][ 51 ]
- TBIを40Gy未満の線量で受けた患者は、重度の白内障を発症する可能性が10%未満である。[ 51 ]
- コルチコステロイドおよび移植片対宿主病は、リスクをさらに増加させる可能性がある。[ 48 ][ 52 ]
- Leucémie Enfants Adolescents(LEA)プログラムへの参加者271人(平均追跡期間、20.3年)において細隙灯顕微鏡検査により連続して評価した白内障の有病率は41.7%で、8.1%が外科的介入を要した。[ 53 ]このコホートにおいて、TBIで治療された参加者の白内障の累積発生率は5年経過時の30%から15年経過時の70.8%、20年経過時の78%へと経時的に増加した。白内障の発生にプラトーが認められないことから、TBIで治療されたほぼすべての患者が追跡期間の増加とともに白内障を発症すると示唆されている。対照的に、ブスルファンを用いて処置レジメンを受けた参加者における白内障の15年累積発生率は12.5%であった。多変量解析により、白内障リスクに対するTBIの潜在的な補因子としてステロイドの高い累積投与量が同定された。
- ドライアイ症候群は、患者が反復投与された高トラフ濃度のシクロスポリンに曝露された場合により多くみられることが示されている。[ 54 ]
表18では、眼の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表18.眼の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 眼/視力の影響 健康スクリーニング/介入 GVHD = 移植片対宿主病;131I = ヨウ素 131。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 ブスルファン; コルチコステロイド;眼に影響する放射線 白内障 既往:視力低下、光輪、複視 眼の検査:視力、眼底検査(年1回) 眼科受診 放射性ヨウ素(131I)を含め、眼に影響を与える放射線 眼毒性(眼窩形成不全、涙管萎縮、眼球乾燥症[乾性角結膜炎]、角膜炎、末梢血管拡張、網膜症、視交叉神経障害、眼球陥没、慢性的な眼の痛み、黄斑症、乳頭症、緑内障) 既往:視覚変化(視力低下、光輪、複視)、ドライアイ、持続性の眼の刺激、過剰な流涙、光過敏性、夜間視力低下、眼の痛み 眼の検査:視力、眼底検査(年1回) 眼科受診 何らかの慢性GVHDを伴う造血幹細胞移植 眼球乾燥症(乾性角結膜炎) 既往:ドライアイ(灼熱感、そう痒、異物感、炎症) 眼の検査:視力、眼底検査(年1回) 核出術 美観上の障害;人工装具の装着不具合;眼窩形成不全 眼の人工装具の評価 眼科 特殊感覚の晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、健康カウンセリングを含む情報については小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 音声周波数帯(500~2,000Hz)に及ぶシスプラチン誘発性難聴は、通常、小児患者に対する累積用量が400mg/m2を超えると発生する。[
7
][
8
]注入時間の延長または用量の分割により、重大な聴力低下のリスクが低減することが報告されている。[
9
]
- 泌尿器系の晩期合併症(晩期障害)
-
がん治療による泌尿器系の急性毒性はよく知られていない。長期生存者における泌尿生殖器の転帰については、ほとんど知られていない。[ 1 ]小児がん生存者の長期腎障害に関する証拠は、少ないサンプルサイズ、コホート選択および参加バイアス、横断的評価のほか、治療アプローチ、治療期間、および確認方法における不均一性により制限される。特に、糸球体機能障害の推定式による慢性腎機能障害の診断ミスを検討すべきである。[ 2 ]晩期における腎障害および/または高血圧の素因となるがん治療には以下のものがある:
- 化学療法薬(シスプラチン、カルボプラチン、イホスファミド、メトトレキサート)。
- 腎への放射線療法。
- 腎摘出術。
腎機能障害のリスクおよび程度は、治療の種類および強度に依存し、研究結果の解釈は、検査法の違いにより複雑化している。
潜在的に腎毒性を有する方法で治療された生存者における腎臓の健康状態の晩期アウトカムおよび腎機能障害に対する危険因子について評価した大規模研究はほとんどない。
証拠(小児がん生存者における腎機能障害):
- 1,442人の小児がん生存者(到達年齢中央値、19.3歳;診断からの期間中央値、12.1年)を対象にした大規模横断研究で、オランダの研究者らは、イホスファミド、シスプラチン、カルボプラチン、大量シクロホスファミド(1コース当たり1g/m2以上)、または大量メトトレキサート(1コース当たり1g/m2以上)、腎臓領域への放射線療法、全身放射線照射(TBI)、または腎摘出術による治療を受けた生存者におけるアルブミン尿、低マグネシウム血症、低リン酸血症、および高血圧の存在を評価し、糸球体濾過率(GFR)を推定した。[
3
]
- 生存者の28.1%に腎機能または高血圧で少なくとも1つ以上の異常が検出された。
- 腎摘出術の既往(オッズ比[OR]、8.6;95%信頼区間[CI]、3.4-21.4)は、GFRが1.73m2当たり90mL/分を下回ることと最も強く関連していた。
- GFR低下の有病率は、腎摘出術、腎毒性のある化学療法、腹部放射線療法を含む集学的治療で治療された生存者で最も高かった。これらの生存者の5%近くで、GFRが1.73m2当たり90mL/分を下回っていた。
- 腹部放射線照射は、高血圧に対する唯一の有意な治療関連危険因子であった(OR、2.5;95%CI、1.4-4.5)。
腎臓に影響を及ぼす治療関連因子
晩期腎臓損傷および高血圧の素因となるがん治療には以下のものがある:[ 4 ][ 5 ][ 6 ]
-
腎摘出術。腎摘出術を受けた小児がん生存者は、過剰濾過損傷のリスクが高い。腎摘出術後には、非摘出腎の代償性肥大が典型的に発生するが、時間とともに、糸球体濾過量減少、ミクロアルブミン尿および蛋白尿、高血圧のほか、まれに慢性腎不全に至る巣状糸球体硬化症として、腎損傷が現れることがある。
小児がんの5年生存者1,442人(診断からの期間中央値12.1年)を対象とした横断研究で、全生存者の28.1%に腎臓の有害作用が1つ以上みられ、高血圧(14.8%)とアルブミン尿(14.5%)が特に多かった。腎摘出術を受けた生存者は、腎機能低下のリスクが最も高かった(OR、8.6;95%CI、3.4-21.4)。[ 3 ][ 5 ]しかしながら、非症候性の片側性ウィルムス腫瘍で、腎毒性のある化学療法または電離放射線療法を併用しない根治的片側腎摘出術により治療された患者では、重大な長期の腎機能障害を発症するリスクは低いようである。[ 7 ]
-
化学療法。
-
シスプラチン。 シスプラチンは、糸球体および尿細管の障害を引き起こし、GFR低下および電解質消耗(特に、マグネシウム、カルシウム、およびカリウム)をもたらすことがある。[
8
][
9
][
10
]
シスプラチン関連の急性腎毒性は、曝露された小児の30~100%で報告されている。[ 11 ]しかしながら、長期生存者における持続性腎機能障害の有病率は、かなり低いと考えられる。
プラチナ製剤による治療を受けた小児63人において、11%の小児のGFRが60mL/分/1.73m2未満で、治療完了から10年の時点で小児の7%に経口サプリメントを必要とする低マグネシウム血症が発生した。抗腫瘍療法の中止後(追跡期間中央値2年)に評価された肉腫患者651人において、低マグネシウム血症は、シスプラチン治療後で12.1%、カルボプラチン治療後で15.6%の患者にみられたのに対して、プラチナ誘導体の投与を受けなかった患者では4.5%であった。全群で、低マグネシウム血症の頻度は追跡期間が長くなるに伴い減少したが、プラチナ製剤治療患者では、研究期間を通して血清マグネシウムが依然として低かった。[ 10 ][ 12 ]
-
カルボプラチン。カルボプラチンは、シスプラチンのアナログで、シスプラチンより腎毒性が弱い。シスプラチンまたはカルボプラチンによる治療後10年を超えてモニターした小児を対象にした単一施設の縦断的プロスペクティブ・コホート研究では、治療時の年齢が高いことが腎毒性の主要危険因子であり、特にカルボプラチンを投与された患者で顕著であったが、シスプラチンの投与スケジュールとカルボプラチンの累積用量も毒性の重要な予測因子であった。プラチナの腎毒性は10年間にわたって有意に変化しなかった。[
10
]
カルボプラチンおよびイホスファミドの併用療法は、シスプラチンおよびイホスファミドの併用療法より重度の腎障害に関連する場合がある。[ 8 ][ 9 ][ 10 ]
腎毒性の可能性をより明確に定義できるようになるには、カルボプラチン(他に腎毒性の薬剤および治療法はない)による治療を受けたより多くの生存者を対象に、さらなる追跡調査を評価しなければならない。
-
イホスファミド。イホスファミドも、腎尿細管性アシドーシスに加え、ブドウ糖、アミノ酸、リン酸塩、炭酸水素イオンの再吸収障害を特徴とする近位尿細管障害であるファンコニー症候群を伴う糸球体および尿細管の毒性を生じることがある。イホスファミドの60g/m2を超える用量、治療時年齢が5歳未満、およびシスプラチンとカルボプラチンとの併用は、イホスファミド関連の腎尿細管毒性のリスクを増加させる。[
13
][
14
][
15
]
イホスファミド投与後の晩期腎毒性の有病率を評価したフランスの研究では、小児がん生存者の90%(追跡期間中央値10年)で尿細管機能が正常なことが報告された;がん生存者の79%はGFRが正常で、血清炭酸水素イオンおよびカルシウムはすべての生存者で正常であった。[ 15 ]低マグネシウム血症および低リン酸血症は、がん生存者の1%にみられた。糖尿は、がん生存者の37%に認められたが、症例の95%が軽度であった。蛋白尿は、がん生存者の12%に認められた。多変量解析では、イホスファミド用量および治療からの間隔が、尿細管症の予測因子であり、診断時年齢が高いことおよび治療からの間隔が、GFR異常の予測因子であった。
- 大量メトトレキサート。大量メトトレキサート(1,000~33,000mg/m2)は、最大12.4%の患者に急性腎機能障害を引き起こすことが報告されている。長期的な腎続発症は報告されていない。[ 5 ][ 16 ]
-
シスプラチン。 シスプラチンは、糸球体および尿細管の障害を引き起こし、GFR低下および電解質消耗(特に、マグネシウム、カルシウム、およびカリウム)をもたらすことがある。[
8
][
9
][
10
]
-
放射線療法。腎臓に対する放射線療法は、3~12ヵ月の潜伏期間後に放射線腎炎または腎症を引き起こすことがある。腎臓は、放射線に対して比較的感受性が高く、耐容線量は20Gyである。[
17
]18Gyの線量では、重度または慢性の腎後遺症を引き起こす可能性は低いと考えられる。対照的に、20Gyで治療を受けた患者の最大50%が20年以内に糸球体機能異常または高血圧を発症する可能性がある。[
18
]
具体的な定量データは少ないが、ウィルムス腫瘍の治療で片側腎摘出術を受けた小児108人を対象とした研究では、残りの対側腎に対して12Gy未満の照射を受けた小児の41%、12~24Gyの照射を受けた小児の56%、24Gy以上の照射を受けた小児の91%でクレアチニンクリアランスの低下(GFRが63mL/分/m2未満)が示された。[ 19 ]
ドイツのRegister for the Evaluation of Side Effects after Radiation in Childhood and Adolescence (RISKコンソーシアム)の報告では、さまざまながんに関して腎臓の一部に対する放射線療法を受けた患者126人に対する評価が行われた。さらにすべての患者が潜在的な腎毒性のある化学療法も受けていた。腎臓全体に対する20Gy(P = 0.031)または30Gy(P = 0.003)を超える放射線曝露は、腎毒性のリスクが高いという関連が認められた。[ 20 ]
放射線腎炎の危険因子には以下のものがある:
- 放射線療法施行時の年齢。新生児では放射線療法に対する感受性が高まるようである;腎臓全体に対して1.25~1.5Gyの分割線量で12~24Gyを照射する療法は、GFRの低下に関連していた。しかし、年長の小児では、放射線療法時の年齢が腎損傷に関連することを示す有力な証拠はない。[ 21 ]
- 片側放射線療法 vs 両側放射線療法。全米ウィルムス腫瘍研究の経験では、腎不全は片側性腫瘍の小児よりも両側性腫瘍の小児で多くみられた。[ 22 ]放射線の影響はまた、放射線療法の対象が腎の一部か腎全体かにも依存する。部分的な容積に対する12~27Gyの放射線照射後の腎不全はまれである。[ 23 ]シクロスポリンおよびテニポシドなどの特定の薬剤を使用しない場合、13Gyまでの全身放射線照射線量は、8%未満の腎毒性発生率に関連する。[ 24 ]
-
造血幹細胞移植(HSCT)。慢性腎疾患は、HSCTの長期合併症の1つで、急性腎損傷、移植前の腎機能低下、TBI、フルダラビンのような前処置レジメン、移植片対宿主病、およびカルシニューリン阻害薬の使用との関連性にはばらつきが認められている。[
25
][
26
][
27
]
HSCTによる治療を受けた小児がん長期生存者における腎臓転帰のほとんどの報告は、非常に少ないコホートの転帰を記述しているに過ぎない。
詳しい情報については、小児の造血細胞移植の要約の泌尿器系の晩期合併症(晩期障害)のセクションを参照のこと。
腎機能障害の素因となる遺伝因子
慢性腎不全を起こしたウィルムス腫瘍の小児生存者の多くが、腎疾患の素因となるWT1変異または欠失を伴う症候群であった。National Wilms Tumor Study GroupおよびU.S. Renal Data Systemのデータは、末期腎疾患の20年累積発生率を示しており、片側性ウィルムス腫瘍およびDenys-Drash症候群の小児では74%、WAGR(ウィルムス腫瘍、無虹彩症、泌尿生殖器異常、精神遅滞)症候群の小児では36%、泌尿生殖器奇形の男性患者では7%、これらの病態に該当しない患者では0.6%であった。[ 28 ]両側性ウィルムス腫瘍患者での末期腎疾患の発生率は、Denys-Drash症候群の患者で50%、WAGRの患者で90%、泌尿生殖器奇形の患者で25%、その他の患者で12%であった。[ 28 ][ 29 ]WAGRおよび泌尿生殖器奇形の患者での末期腎疾患は、発生時期が比較的遅い傾向にあり、しばしば青年期かそれ以降にみられる。[ 28 ]
治療関連の膀胱合併症
骨盤または中枢神経系の手術、シクロホスファミドまたはイホスファミドなどのアルキル化剤含有化学療法、骨盤への放射線療法、ならびに特定の脊髄および泌尿生殖器の外科処置は、以下のように膀胱晩期合併症(晩期障害)との関連性が認められている:[ 30 ]
-
化学療法。オキサゾフォリン系アルキル化剤(シクロホスファミドおよびイホスファミド)および膀胱へ照射する放射線療法では、出血性膀胱炎発症への関与が認められている。化学療法関連の出血性膀胱炎は、急性毒性として現れ、臨床的に特性が十分に明らかにされている長期生存者コホートにおける持続性障害としてはまれであると考えられる。[
31
][
32
]
1986年から2010年に治療を受けた小児6,119人(平均年齢、12.2歳±6.3 標準偏差)を対象とした1件の研究では、1.6%の患者(n = 97)が出血性膀胱炎を発症し(移植導入療法から平均2.7ヵ月経過時および骨盤への放射線療法から平均12.4ヵ月経過時に発症)、大半(75%)の重症度スコアがIIまたはIIIだった(スケール、I-IV)。腎臓もしくは膀胱結石または膀胱壁に浸潤した腫瘍がX線検査で明らかになった患者は、この研究から除外された。年長であること、以前の骨髄移植または末梢血幹細胞移植、尿中のBKウイルスが出血性膀胱炎の危険因子であり、より高い重症度スコアに関連していた。[ 33 ]
過去のシクロホスファミド曝露は、膀胱がんリスクとの関係が認められている。膀胱腫瘍の過剰な有病率は、特定の病型(例えば、遺伝性網膜芽細胞腫)の診断を受けた生存者でも観察されていることから、後発性の新生物発生における遺伝因子の寄与が裏付けられる。[ 34 ][ 35 ]
- 放射線療法。骨盤への放射線療法では、出血性膀胱炎のリスク増加との関連性も認められており、初発時に急性の場合も、慢性の場合もある。放射線誘発性出血性膀胱炎のリスクは、膀胱全体への線量が30Gyを超える、または膀胱の一部への線量が60Gyを超える放射線療法を受けた生存者で最も高い。出血性膀胱炎または放射線療法の続発症として、長期の膀胱線維症および拘縮が発生することがある。[ 30 ]
-
手術。下部泌尿生殖器を含む外科処置では、正常な膀胱機能および正常な排尿機構を損なう可能性がある。同様に、膀胱の神経支配を失調させる何らかのがん治療または腫瘍浸潤は、膀胱機能に悪影響を及ぼす可能性があり、膀胱貯留障害、排尿不能、および/または失禁として現れることがある。
膀胱拡大のために回腸-腸膀胱形成術を受けた小児は、ビタミンB12欠乏症を発症するリスクがある。血清ビタミンB12レベルは手技後、時間の経過とともに低下し、術後7年で発症リスクが最大となる。[ 36 ]
腎臓移植
Childhood Cancer Survivor Studyの生存者13,318人における固形臓器移植の調査において、71人の生存者が腎臓移植を要する末期の腎疾患を有し、このうち50人が腎臓移植を受けた。がん診断から35年経過時の腎臓移植の累積実施率は0.39%であり、待機リストに登録されているか、腎臓移植を受けようとしている累積割合は0.54%であった。イホスファミドへの曝露およびTBIを受けていると、待機リストに登録しているか、または腎臓移植を受けようとしていることへのハザード比が最も高くなった。腎臓移植後の5年生存率は93.5%であったが、これは同じ年齢層の一般集団における生存率とほぼ同じである。[ 37 ]
表19では、腎や膀胱の晩期合併症(晩期障害)および関連する健康スクリーニングについて要約している。
表19.腎および膀胱の晩期合併症(晩期障害)a 素因となる治療 腎臓/泌尿生殖器の影響 健康スクリーニング BUN = 血中尿素窒素;NSAID = 非ステロイド性抗炎症薬;RBC/HFP = 400倍強拡大(顕微鏡検査)による赤血球数。 a出典:小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)。 シスプラチン/カルボプラチン;イホスファミド;カルシニューリン阻害薬 腎毒性(糸球体損傷、尿細管損傷[腎尿細管性アシドーシス]、ファンコニー症候群、低リン血症性くる病) 血圧 BUN、クレアチニン、Na、K、Cl、CO2、Ca、Mg、PO4の値 尿検査 電解質消耗が持続する患者では、電解質補充 高血圧、蛋白尿、進行性腎不全の患者では、腎臓科受診 メトトレキサート;腎臓/尿道に影響する放射線 腎毒性(腎不全、高血圧) 血圧 BUN、クレアチニン、Na、K、Cl、CO2、Ca、Mg、PO4の値 尿検査 高血圧、蛋白尿、進行性腎不全の患者では、腎臓科受診 腎摘出術 腎毒性(蛋白尿、過剰濾過、腎不全) 血圧 BUN、クレアチニン、Na、K、Cl、CO2、Ca、Mg、PO4の値 尿検査 コンタクトスポーツ、自転車の安全性(例、ハンドルによる傷害を避けること)、およびシートベルトの適正使用(すなわち、胴ではなく腰の周りに膝ベルトを装着)について相談 NSAIDの使用は注意して勧める 高血圧、蛋白尿、進行性腎不全の患者では、腎臓科受診 腎摘出術;骨盤の手術;膀胱切除術 水腫 精巣の検査 膀胱切除術 膀胱切除術関連合併症(慢性尿路感染、腎機能障害、膀胱尿管逆流、水腎症、結石保有、自然発生的新生膀胱穿孔、ビタミンB12/葉酸/カロチン欠乏[回腸-腸膀胱形成術の患者のみ]) 泌尿器学的評価 ビタミンB12の値 骨盤の手術;膀胱切除術 尿失禁;尿路の閉塞 既往:血尿、尿意切迫/頻尿、尿失禁/尿閉、排尿障害、夜尿症、異常尿流 適切な水分摂取、定期的な排尿、排尿機能不全または尿路感染の症状について医療を求めること、推奨された膀胱カテーテルのレジメンのコンプライアンスに関して相談 排尿機能障害または再発性の尿路感染の患者では、泌尿器科受診 シクロホスファミド/イホスファミド;膀胱/尿道に影響する放射線 膀胱毒性(出血性膀胱炎、膀胱線維症、排尿障害、膀胱尿管逆流現象、水腎症) 既往:血尿、尿意切迫/頻尿、尿失禁/尿閉、排尿障害、夜尿症、異常尿流 尿検査 顕微鏡的血尿(5個以上のRBC/HFPが2回以上認められることで定義)を示す患者では、尿培養、スポット尿中カルシウム/クレアチニン比、および腎臓および膀胱の超音波 培養陰性の顕微鏡的血尿で、かつ超音波検査異常および/またはカルシウム/クレアチニン比異常の患者では、腎臓科または泌尿器科受診 培養陰性の肉眼的血尿の患者では、泌尿器科受診 泌尿器系の晩期合併症(晩期障害)の危険因子、評価、および健康カウンセリングを含む情報については、小児腫瘍学グループのLong-Term Follow-Up Guidelines for Survivors of Childhood, Adolescent, and Young Adult Cancers(小児がん、青年がん、若年成人がんの生存者に対する長期追跡ガイドライン)を参照のこと。
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- 本要約の変更点(04/02/2020)
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PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。
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-
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本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。
本要約の使用許可
PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly:【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。
本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:
PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Late Effects of Treatment for Childhood Cancer.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/childhood-cancers/late-effects-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389273]
本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。
免責条項
入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。
お問い合わせ
Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。