医療専門家向け 疲労(PDQ®)

ご利用について

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、疲労の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

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概要

疲労は、化学療法、放射線療法、または特定の生物学的反応修飾物質によるがん治療に最も一般的にみられる副作用である。[ 1 ]がん治療関連疲労は一般的に治療完了後に改善するが、ある程度の疲労が治療後数ヵ月または数年持続しうる。研究では、少なくとも一部の患者にとって、疲労が生存期間を通じて重大問題となりうることが示されている。[ 2 ][ 3 ]疲労はまた貧血、内分泌変化、および気道閉塞などの問題を引き起こすがんの主症状としてみられ、積極的ながん治療を受けていない進行がん患者では一般的である。がん治療関連疲労は、がん治療を受けている患者の14~96%[ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ]、およびがん治療後の患者の19~82%[ 1 ][ 2 ] で報告されている。

ある総説[ 1 ]で記載されているように、がん以外の集団と比べてがん生存者で疲労が有意に悪化することが、複数の研究で示されている。例えば、ノルウェーの1件の横断研究[ 11 ]で、治療から平均11年経過した精巣腫瘍の長期生存者(n = 1,431)における疲労の有病率と年齢でマッチさせたノルウェーの一般集団男性(n = 1,080)における疲労の有病率とが比較された。慢性がん関連疲労(CRF)の有病率は、精巣腫瘍生存者で17.1%(95%信頼区間[CI]、15.2-19.1%)であったのに対し、一般集団では9.7%(95%CI、8.0-11.5%)であった。慢性CRFはまた、多発性の心理社会的問題、身体的愁訴、および不良なQOLとも関連していた。[ 11 ]

疲労は疼痛と同様に、自己で認知した状態とみなされている。患者は疲労を次のような感覚で説明することがある:[ 12 ]

医療専門家は、次のような概念で疲労を表現してきた:

がん患者の疲労に関する研究には主に疲労の自己報告が含まれているが、これよりは少ないものの生物学的または生理学的相関を調査したデータが増えつつある。このような相関には、筋力低下、最大酸素摂取量、サイトカイン、コルチゾールの測定が含まれている。

がん治療の副作用として経験される疲労は、健康な人が日常生活で経験する疲労とは区別される。健全な疲労はしばしば睡眠と安静によって最後には緩和する急性疲労として表現される;がん治療関連疲労は長期間にわたって認められ、機能性を阻害し、睡眠と安静によって完全に緩和するわけではないため慢性疲労として分類される。[ 13 ]また、CRFのレベルは、活動のレベルや消費されるエネルギーとはつり合わないことが多い。[ 13 ]慢性疲労という分類は正確ではあるが、この分類の使用は疲労を経験しているがん患者が慢性疲労症候群であることを意味しているわけではない。慢性疲労という語句の使用は、患者にも医療専門家にも紛らわしい。がん疲労がん関連疲労、およびがん治療関連疲労などの用語はいずれも、臨床文献、研究文献、および患者と一般の人々のための教材で用いられている。

疲労は以下をはじめとする全機能領域に負の影響を及ぼす:[ 14 ][ 15 ][ 16 ][ 17 ]

がん治療と関連する疲労のパターンは、治療の種類およびスケジュールによって変わる。例えば、周期的な化学療法レジメンで治療される患者は一般的に、治療後数日で疲労のピークを示し、続いて次の治療まで疲労の程度が低くなると報告する;しかしながら、外照射療法を受ける患者は治療照射野が最大となる治療コースで疲労が徐々に増加すると報告する。がん治療を受けている患者の研究で、がんに対する診断的評価の受診と関連する感情的苦痛の結果としての疲労、およびそうした評価および初期治療に使用される医学的および外科的手技の影響の結果としての疲労の問題を扱っているものはほとんどない。ほとんどの成人が少なくとも1回の外科的手技に続いてがん治療システムに登録し、手術および感情的苦痛はどちらも疲労と関連しているため、非外科的治療を開始する患者のほとんどが治療開始時に疲労を経験している可能性が高い。[ 19 ][ 20 ]

疲労評価の推奨事項は、疲労に寄与している可能性のある因子の同定に焦点を当てている。研究を通じて決定的な原因が証明された機序は現時点で化学療法誘発性貧血のみであるため、化学療法誘発性貧血以外の原因による疲労を管理するためのほとんどの臨床的推奨事項は、National Comprehensive Cancer Networkの疲労に対するガイドラインで概説されているように、臨床仮説の慎重な発展に頼っている。[ 21 ]CRFに対するレベル1の介入は、現時点で運動のみである。(詳しい情報については、本要約の運動のセクションを参照のこと。)疲労とその経過をよりよく定義し、その生理を解明し、最善の予防および治療方法を決定するためには、さらに多くの研究が必要である。

特に明記していない場合、本要約には成人に関する証拠と治療について記載している。小児に関する証拠と治療は、成人の場合とかなり異なる可能性がある。小児の治療に関する情報が入手できる場合は、小児に関する情報であることを明記した上でその内容を要約する。

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疲労の発生機序

化学療法誘発性貧血を除いて、がん患者の疲労の原因となっている機序は不明である。がん患者における疲労の原因の理解は、各個人が疲労に対して可能性のある原因を複数同時に経験している可能性があるため、特に困難である。この多因子性の病因の仮説は、疲労の研究のために提案されているさまざまなモデルにおいて明らかである。[ 1 ][ 2 ]エネルギーバランス、ストレス、生活での要求、睡眠、神経生理学的変化、概日リズムの崩壊、心臓の問題、および神経免疫学的変化はがん以外の状況で疲労と関連しているという理論的根拠に基づいて、一般的に、これらの因子はこうしたモデルに組み入れられる。[ 3 ]がんの文献ではこれらの変数の一部が支持されている。

特に乳がんの女性および前立腺がんの男性で、疲労が免疫炎症活性亢進マーカーと関連しているとの証拠が急増している。乳がんの病歴があり疲労がみられる患者と疲労がみられない乳がん生存者を比較すると、インターロイキン6、インターロイキン1受容体アンタゴニスト、C反応性蛋白、ネオプテリン、可溶性腫瘍壊死因子受容体IIについて異なるパターンが出現する。[ 4 ][ 5 ][ 6 ]正確な関連性-およびこれらの関連性の臨床的意味-は依然不明であるが、サイトカインの増加は、動物[ 7 ][ 8 ]およびヒト[ 9 ]でサイトカイン誘導疾病行動モデルの裏付けがある通り、無力症、疲労、嗜眠の症状の一因となると考えられる。疲労またはサイトカインバイオマーカーに対する一般的な抗炎症剤の効果を評価した、大規模でよく管理された研究はまだない。

他の研究では、視床下部-下垂体-副腎軸によるコルチゾール制御の変化が示されている。1件の重要な研究では、疲労がみられる乳がん生存者と疲労がみられない乳がん生存者に対し、実験室条件で一連のストレス検査を受けさせた。疲労がみられない生存者では急性ストレスに呼応して有意なコルチゾール増加が認められたが、疲労がみられる生存者ではあまり明確な反応は認められなかった。[ 10 ]別の試験では、疲労がみられる乳がん生存者はコルチゾールの濃度勾配が平坦化しており、疲労がみられない生存者よりも一日の終わりにおけるコルチゾール濃度が高いことが示された。[ 11 ]これは視床下部-下垂体-副腎(HPA)軸の調節異常であり、炎症性サイトカイン環境の長期化の原因となりうる;がんにおける多数の慢性ストレッサーに対する身体反応を解明することは、疲労の管理に役立つ可能性がある。

最後に、炎症誘発性サイトカインへの慢性曝露によりセロトニンがネガティブな影響を受けるとの別の理論を紹介する。仮説の1つは、中枢神経系のセロトニン濃度と疲労との関係がU字型の関係を有しているとのものであり、非常に高濃度および非常に低濃度のセロトニンががん関連疲労と関連している可能性を示唆している。[ 12 ]しかしながら、セロトニン作動薬を評価した研究では、疲労に対する有益性は示されていない。[ 2 ]HPA軸の機能およびサイトカイン発現に対するドパミン、ノルエピネフリン、セロトニンなどの多くの重要な神経伝達物質の役割と関係は、まだ十分に解明されていない。

参考文献
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寄与因子

疲労ががん患者の間で高い有病率があることは明らかであるが、この患者集団の中で疲労との整合性のある相関を同定することは困難である。最も頻繁に関連がみられる因子は以下の通り:[ 1 ][ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ]

がん治療

疲労と手術、化学療法、放射線療法、および生物学的反応修飾物質による治療といった主要ながん治療法との関連から、疲労は組織の損傷または細胞死による産物の蓄積の結果として起こるという推測に至った。がん治療が炎症誘発性サイトカインの産生に及ぼす影響への関心は、インターフェロンアルファなど一部の生物学的反応修飾物質が疲労を誘発する強い影響の認識およびがん治療後に持続性の疲労を経験している患者において炎症誘発性サイトカインのレベルが高くなっているという知見に基づいている。[ 10 ][ 11 ]

多くのがん患者は、診断または治療のための手術を受ける。臨床的実践で観察される術後疲労の高い発生率にもかかわらず、がん患者における術後疲労の原因および相関するものを調べる研究はほとんどない。[ 12 ]しかしながら、疲労は時間が経過するにつれて改善する手術後の問題であり、手術以外のがん治療から経験される疲労によって悪くなることは明らかである。[ 12 ]

疲労は放射線曝露との関連が長く認められており、がん放射線療法の最も一般的かつ活動を制限する副作用の1つであると報告されている。[ 4 ][ 13 ]放射線療法中の疲労の経過を記載している研究の大半は、乳がんの女性および前立腺がんの男性で行われている。[ 13 ][ 14 ]疲労は放射線療法を通じて増加し、コースの中頃に頂点に達する;放射線療法が終了するまでこのレベルが持続し、終了後2ヵ月間である程度回復する。[ 13 ][ 14 ][ 15 ]前立腺がんに対して放射線療法を受けていた男性(n = 82)における疲労の経過を調査した研究では、有意な個人差が示された。[ 14 ]著者らは、非常に高度な分析方法である階層的線形モデルを用いて持続的な疲労の経過に対する予測因子を同定した。放射線療法開始時に高いレベルの疲労を有した比較的若年の男性では、放射線療法コース中の朝夕に高いレベルの疲労に対するリスクが高かった。さらに、放射線療法開始時におけるうつ病のレベルから放射線療法コース中の朝の疲労のレベルが予測された。[ 14 ]

乳がんの補助放射線療法を受けていた女性73人を対象とした二番目の研究でも、朝と夕の疲労のパターンと予測因子に同様の差が認められた。[ 16 ]この研究では、予備来院時に被験者を募集し、ベースライン質問表に完答してもらった。放射線療法中の各週;放射線療法後2ヵ月間の2週ごと;その後さらに2ヵ月間の月1回に、2日連続して起床時と就寝時にデータを収集した。疲労はLee疲労スケールにより測定した。25週のデータ収集を通じて患者群全体では、朝の疲労は放射線療法中にわずかに減少し、その後4ヵ月間も一定であったのに対し、夕の疲労は放射線療法中に増加し、治療後にわずかに減少した。以下の患者で夕の疲労度が高かった:

以下の患者で朝の疲労度が高かった:

朝の疲労の重症度には進行疾患と共存症も追加した。[ 16 ][証拠レベル:III]

多くの調査研究によって、疾病の種類または放射線照射部位に特異的ではない疲労症候群が存在する証拠が提供され、治療終了後に患者の疲労が緩徐に減少していることが明らかにされている。[ 15 ][ 17 ][ 18 ][ 19 ][ 20 ]しかしながら、このうちいくつかの研究では、全患者が治療前のエネルギーレベルまで回復するわけではないことを示唆している。放射線療法に関連する疲労の特異的な病因および相関するものは同定されていない。[ 12 ]がん患者で低エネルギーが持続する危険因子には高齢、進行がん、および併用療法がある。[ 21 ]

疲労は種々の生物学的薬物を用いた治療による用量制限毒性である。生物学的治療では患者を内因性ならびに外因性のサイトカインに曝露させる。[ 22 ]生物学的治療関連の疲労は通常、感冒類似症候群と呼ばれる一連の症状の一部として発症する。この症候群には以下の症状が含まれる:[ 23 ]

精神的疲労および認知障害もまた、生物学的治療法の副作用として同定されている。[ 24 ]使用している生物学的治療薬の種類は経験される疲労のタイプおよびパターンに影響する。

化学療法による治療は疲労の予測因子であり、疼痛や抑うつ、不安の共存により悪化することがある。[ 25 ][証拠レベル:II][ 26 ]ある縦断的な記述的研究では、患者の化学療法サイクルの中間点における疲労レベルが最も高く、治療後に疲労が改善されたものの、最終治療後30日ではベースラインレベルまで完全には戻らなかったと報告された。[ 25 ]0期~II期乳がんで放射線療法を併用するまたは併用しない化学療法(N = 103) vs 放射線療法単独(N = 102) vs 対照群(N = 193)に割り付けられた女性を対象にした別の縦断的な研究[ 27 ]では、他の2群と比較して放射線療法を併用するまたは併用しない化学療法を受けた群で治療後3年間、疲労の増加が示された。Fatigue Symptom Inventory(範囲、0~10)で測定した疲労の重症度に対する平均スコアは、3年間で以下のように増加した:

放射線療法を併用するまたは併用しない化学療法を受けた群では、統計的に有意なグループ x 時間効果がみられた。疲労のこうした増加はホルモン療法では説明されず、臨床的に意味がある値に近かった。[ 27 ]長期に及ぶ疲労の増加または重度の疲労のリスクと関連する特異的な患者の特徴および疲労の消退を経験するのはどのような患者かについては、現在のところ明らかになっていない。

貧血

がん関連疲労(CRF)およびがん患者の生活の質において、貧血が主要な因子であることを示唆する証拠がある。[ 28 ][ 29 ][ 30 ]貧血には疾患そのものに起因する貧血もあれば、治療によるものもある。ときには、貧血が疾患にも治療にも関連せず、単に併存した医学的所見であることもある。貧血はしばしばがん患者における症状の明らかな寄与因子である。貧血の特異的な影響の評価を混乱させる他の問題がしばしばあることから、個々の患者について貧血の実際の影響を見分けることは困難である。貧血の影響は以下のような因子により異なる:[ 31 ]

あるレトロスペクティブ研究が、放射線療法を受けている患者の貧血の問題を解明するために実施された。最初、貧血の有病率は患者の48%であったが、治療中に57%に増大した。女性の方が男性よりも多かった(64% vs 51%);しかしながら、前立腺がんの男性は放射線療法中に貧血の最も大きな増大を経験した。[ 32 ]子宮頸管がんおよび頭頸部がんなどある種のがんでは、貧血は放射線療法を受けている患者の不良な生存および生活の質の低下の予測因子であることが分かっている。[ 33 ][ 34 ][ 35 ][ 36 ]

栄養因子

疲労は、しばしば身体エネルギーの需要が供給を上回る場合に生じる。[ 37 ][ 38 ]がん患者では、次の3つの主要な機序が関与している:

栄養的変化の原因を表1に挙げる。

表1.栄養/エネルギー因子
機序 原因
栄養素の処理能力の変化 グルコース、脂質、および蛋白代謝の障害
エネルギー要求量の増大 腫瘍の栄養消費および栄養をめぐる競合
腫瘍の増殖による代謝亢進状態
感染症/発熱
呼吸困難
エネルギー源摂取量の減少 食欲不振
吐き気/嘔吐
下痢
腸閉塞

心理的因子

がん患者の気分、信念、態度、およびストレス因子に対する反応と関連した多くの要因も慢性疲労の発生に寄与すると考えられている。不安およびうつ病は、CRFに最もよくみられる精神障害である。[ 39 ]しばしば、疲労は一連の肉体的、精神的病因の最終共通経路である。

うつ病は、がん患者の約15~25%を冒す併存する障害性症候群となりうる。[ 40 ]うつ病の存在は、興味の喪失、集中困難、無気力、および絶望の感情によって明らかになり、これらの個人における疲労の身体的な原因を増悪し、身体的な原因が消退した後も長く残存する。[ 41 ]

がんの診断のほか、がんの診断が患者の身体的、心理社会的、および経済的な健康感に及ぼす影響に伴う不安および恐怖は、感情的ストレスの源になる。がんの診断による苦痛は、これだけでも疲労を誘発しうる。情動障害の病歴のない早期乳がん患者74人の研究では、診断後約2週間の適応に関するさまざまな症状が評価された;約45%が中等度または重篤な疲労を示した。この疲労は、診断に対処するために高まった認知的緊張または不眠(全患者の約60%に中等度~重度に認められたことが報告されている)による二次的なものであろう。したがって、疲労は、一次性および不眠に続発する不安または他の認知因子のために、治療前に始まる。この疲労は、その後のさまざまな治療形態によって悪化しうる。[ 42 ]

また、がん生存者において、疲労が一般集団にみられる水準以上に激しくなることもある。[ 43 ][ 44 ]精巣腫瘍生存者において、不安およびうつ病は疲労を予測し、疲労管理における精神医学的介入の役割の可能性を示唆した。[ 45 ](詳しい情報については、うつ病およびがんへの適応:不安と苦痛に関するPDQ要約を参照のこと。)

精神的および症状的苦痛も、疲労の有意な予測因子であることが判明している。[ 46 ][ 47 ]乳がん手術を受ける予定の女性患者101人を対象とした試験では、若年、手術前の苦痛、疲労の予期が術後1週時の疲労レベルを有意に予測した。回帰モデルでは、年齢、苦痛、予期のそれぞれが独自に疲労に寄与しており、苦痛と予期が分散の25%を占めていた。[ 46 ][証拠レベル:III]婦人科がん患者の縦断的研究では、症状と精神的苦痛が化学療法による治療前、治療中、治療後の疲労を有意に予測し、治療後の疲労スコアにおける分散の最大80%を説明した。[ 47 ]早期がん患者にみられる因子と類似した因子が、進行した治癒不能がんの患者においても疲労の寄与因子となっている。[ 48 ]

認知因子

注意持続の低下、知覚および思考の障害を含む認知機能の障害は、一般に疲労に伴う。[ 49 ][ 50 ]疲労と認知障害とは結びついているが、この関連の基礎にある機序は不明である。がんの診断および治療に伴う精神的な要求に関しては証拠が多く提出されているが、がん患者の注意疲労という共存する問題についてはほとんど知られていない。注意の問題はがんの治療中にも後にも一般的である。報告されている注意の問題の中には、指向性注意による疲労が原因のものもある。[ 51 ][ 52 ]注意による疲労は、休養を促進する活動および指向性注意の回復によって軽快する。睡眠は注意疲労を緩和し、注意力を回復するために不可欠であるが、高い注意力を要する場合には睡眠だけでは不十分である。経験的文献では、自然環境には指向性注意力を回復させ、注意疲労を緩和する特性があることが示唆されている。

睡眠障害および不活動

CRFにおける原因または寄与因子には、以下の因子が考えられる:

昼間の活動が少なく、夜間の覚醒時間が長い患者が一貫してより高レベルのCRFを訴えることが分かっている。腕時計型活動計による測定でより低いピーク活動スコアの患者は強い疲労を経験していた。[ 6 ]

睡眠障害は明らかに疲労に寄与しており[ 53 ]、評価時期により疲労評点に異なった影響を及ぼす可能性がある。乳がんに対して放射線療法を受けている女性患者の疲労を評価した研究では、睡眠は夕の疲労スコアよりも朝の疲労スコアに大きく影響していたことが判明した。[ 16 ]前立腺がんの放射線療法を受けている男性患者における同様の試験では、睡眠は朝と夕の両方の疲労レベルに寄与していた。[ 14 ]ただし、疲労と睡眠は別個の問題ともなりえる。認知行動療法の使用により睡眠に有意な改善がみられた研究では、疲労への有意な影響は認められなかった。[ 54 ]

詳しい情報については、睡眠障害に関するPDQ要約を参照のこと。

投薬

化学療法以外の薬物投与は疲労に寄与しうる。がん関連疼痛の治療に使用されるオピオイドには程度に個人差があるものの、しばしば鎮静作用がある。オピオイドは、視床下部からゴナドトロピン放出ホルモンを分泌するという正常な機能を低下させることが分かっている。[ 55 ]

性腺機能低下症は進行がん患者でみられることがあり、がん治療中の疲労の一因となりうる。[ 56 ]1件のケースコントロール研究により、がん生存者におけるオピオイドの長期間にわたる経口投与の影響が調査され、髄腔内注入に関する研究と一致して、性機能障害、抑うつ、および疲労の有意な症状を有するオピオイド使用者では著明な中枢神経性の性機能低下が明らかにされた。[ 57 ]1件の試験(NCT00965341)では、テストステロン補充療法はテストステロン濃度が低い進行がん男性における疲労に影響するかどうか、および影響の程度が研究された。

他の薬物-三環系抗うつ薬、神経遮断薬、ベータ遮断薬、ベンゾジアゼピン系、抗ヒスタミン薬など-にも副作用として鎮静作用がある。また、鎮痛薬、催眠薬、抗うつ薬、制吐薬、ステロイド類、または抗痙攣薬など-これらの薬物の多くは中枢神経系に作用する-の医薬品を同時に服用すると、疲労の問題が明らかに悪化することがある。さまざまな副作用をもつ多数の薬物の併用は、疲労症候群を増悪させうる。

参考文献
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評価

疲労の評価は本来多次元的なものであり[ 1 ]、本来疲労の研究のために開発された多くのツールもまた実地臨床で使用されている。これらのツールのほとんどは、疲労の影響または結果、疲労の時期、関係する症状、およびセルフケア行動といった疲労の強さ以外の症状の特質を含んでいる。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ]研究は検証された小児用の10項目の基準にも貢献している。[ 11 ]

しかしながら、医療提供者/患者への負担が認識されているため、実地臨床では多くの場合、スクリーニングは1項目の疲労強度評点に依拠することが最も多い。[ 12 ][ 13 ][ 14 ][ 15 ]National Comprehensive Cancer Network(NCCN)ガイドラインに従い、0~10(10は非常に重度の疲労を示す)の疲労スケールで評点が4以上の場合は、疼痛、情動的苦痛、貧血、睡眠、栄養、活動レベルなどの既知の寄与因子をさらに評価すべきである。その後、これらの併存症を治療する。[ 16 ]固形腫瘍を有する外来患者(N = 148)を対象とした1件の研究で、疲労および疼痛などの症状に対する1項目のスクリーニングの有用性が評価された。[ 12 ]研究者は、1項目の評価が症状の総合的な評価を必要とする患者を同定するための最初のスクリーニング段階として役立つことを発見した。1項目のスクリーニング法を使用して同定された患者は、臨床的に関連のある総合的症状を発見するために総合的な評価を受ける。[ 12 ][ 13 ]

複数項目ツール

文献はあいまいで、評価に先立って疲労を測定する特異的ツールもないため、評価とガイドラインの確立は困難である。疲労の患者の総合評価は、各自の疲労パターンを明らかにし、疲労の発生に寄与するすべての因子を同定すべく、詳細な病歴を入手することから始まる。初期の評価では、以下の項目が含まれる場合がある:

以下のような、疲労に寄与し、かつ改善可能な根底にある因子には特別の注意が払われる:[ 17 ][ 18 ]

がん関連疲労(CRF)に提案される基準を以下に挙げる。これらの基準は、国際疾病分類第10版修正版-臨床的修正(ICD-10-CM)に包括され、採用されている。[ 19 ]

診断学的症候群としてCRFを定義することは、利点もあれば欠点もある。[ 20 ]利点の1つは、医師らが疲労の有無を再現性ある形で記録できることであろう。このほか、この所見の管理のための適正な医療費償還の確立に有用である。このアプローチに欠点があるとすれば、ICD-10診断の閾値に達しない疲労が管理されなくなる可能性があることである。疼痛および吐き気などの現象には、症候群に基づくアプローチ(うつ病でよく用いられる)の代わりに、症状に基づくアプローチがよく用いられる。以下に示すICD-10のCRF診断基準の有用性は確認されていない。

がん関連疲労におけるICD-10の診断基準

次のような症状が、最近1ヵ月のうち2週間以上ほぼ毎日存在するもの。

  1. 著明な疲労があり、エネルギーが減退するかまたはいっそうの休息が必要であり、最近の活動度の変化に不均衡があることに加えて、下記の項目のうち5つ以上が当てはまる場合:
    1. 全身の脱力、四肢重感の愁訴がある。
    2. 集中力または注意力の低下。
    3. 日常の活動に対する意欲または興味の減退。
    4. 不眠または過眠。
    5. 睡眠による気力および体力の回復がみられない。
    6. 不活動の克服にきわめて努力を要することを自覚している。
    7. 疲労を感じることに対する著明な感情的反応(例えば、悲嘆、欲求不満または苛立ち)。
    8. 疲労感により、日常の仕事を達成するのに困難がある。
    9. 短期記憶に問題があることを自覚している。
    10. 労作後の疲労が数時間持続する。
  2. これらの症状が社会的、職業的、またはその他の重要な活動の場で、臨床的に著明な苦痛または障害の原因となっている。
  3. 病歴、身体診察または検査所見から、がんまたはがん治療の結果生じた症状であるという証拠が得られている。
  4. これらの症状は大うつ病、身体化障害、身体表現性障害、またはせん妄などの併存する精神障害の結果、一次的に生じたのではない。

疼痛などの他の自己報告症状と同様に、医療従事者に疲労の症状を報告するよう、患者およびその家族に勧めることが必要であろう。がんまたはがん治療に起因する疲労の可能性と疲労の管理法、さらに症状報告の重要性に関する情報は、治療開始時に患者に提示される。[ 17 ]医療専門家から促されなければ、患者は自分が感じた疲労について言及しないであろう。

いくつかの障害がCRFの適切な管理を妨げている。これらの障害の一部は、疲労を管理するための証拠に基づいた(NCCN)ガイドラインの実行に関する進行中の3段階のプロジェクトの第1段階において同定された。[ 21 ]最も多く同定された障害を以下に示す:[ 21 ][ 22 ]

疲労を測定するために普遍的に受け入れられているスタンダードはないが、疲労とその関連症状を評価するための種々の方法が開発されている。[ 2 ][ 3 ][ 4 ][ 5 ][ 6 ][証拠レベル:II];[ 7 ][ 8 ][ 9 ][ 10 ]また、疲労は多面的生活の質評価法で評価されることが多い。疲労を評価するために選択される方法を以下に挙げる。

貧血の評価

がん患者の貧血に対する適正な評価は、以下の方法で行われる:

これらの検査による情報を組み合わせて診断がつくことが多い。

貧血を分類するためによく使用されている1つの方法に、平均赤血球容積(MCV)によって測定する赤血球の大きさによる貧血の分類がある。小球性貧血は、MCVが79fL以下となる貧血であり、鉄欠乏性貧血、サラセミア、および慢性疾患に伴う貧血がこれに含まれる。大球性貧血は、MCVが101fLを超える貧血であり、ビタミンB12欠乏または葉酸欠乏、骨髄異形成症、および肝疾患に伴う貧血がこれに相当する。ほとんどの貧血は、MCVが正常範囲内であることを意味する正球性である。このカテゴリーに含まれるものを以下に示す:[ 25 ]

混合赤血球による貧血では小赤血球および大赤血球の両者が認められるが(赤血球不同症)、これは病因が複合していることを示し、例えば、慢性失血(小球性)の結果生じた網状赤血球症(大球性)などがある。この場合、MCVは正常範囲であるが、赤血球粒度分布幅が増大するであろう。

末梢血塗抹検査は見過ごされることが多いが、貧血の評価では依然として重要な段階である。例えば、有核赤血球および涙滴状赤血球は骨髄癆性貧血であることを示唆している。大楕円赤血球および過分葉好中球は巨大赤芽球性貧血であることを示すことが多い。標的小球および好塩基性斑点はサラセミアに関連している。

ある患者における貧血を特徴付けるために必要な追加の検査には、ビタミンB12または葉酸濃度;血清鉄、トランスフェリン、およびフェリチン濃度;エリスロポエチン濃度、直接または間接クームス試験、および/または骨髄穿刺液および生検検査がある。がん患者では、基礎にある病因が多因子的であることが多い。

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介入

疲労への介入に関する多くの情報は、健常者の場合、または筋肉疲労が問題の一次病因であるか、疲労が治療関連の貧血から二次的に発生している個人の場合のいずれかに関するものである。[ 1 ][ 2 ][証拠レベル:II];[ 3 ][ 4 ]がん患者にみる疲労の原因の機序が確定されていないため、介入は症状管理および感情的支持に向けられねばならない。腫瘍患者の疲労の管理にはいくつかの推奨があるが、それらは元来理論的または逸話的であり、一般に科学的評価に焦点が合わされたものではなかった。

進行がん患者(N = 152)に実施され、2013年に発表された研究により、症状(例、疼痛、吐き気、および食欲減退)の管理は疲労に対して有意なプラスの影響があることが実証された。この12週間の研究で、患者は看護師によって調整された身体症状の監視とプロトコルで定められた治療を受ける群または通常ケア(標準的な腫瘍学的医療に含まれる症状管理)を受ける群にランダムに割り付けられた。介入群の患者は厄介な症状が確認されると、その症状に合わせた治療を受けた。多面的疲労症状一覧表で疲労レベルを測定したところ、通常ケアを受けた群と比較して介入群では有意な改善が示された。介入群はまた、以下のような改善を示した:[ 5 ]

特異的な身体的および心理学的症状の治療により疲労を緩和できるかどうかを調査し、そのような管理によって恩恵が得られる患者集団を特定するために、同様の研究が必要である。この研究が言わんとしていることは、疲労は一次症状でもあり、また二次症状(他の厄介な問題の結果)でもあるということである。したがって、介入に適した標的となる症状について患者を評価することは、おそらく患者が健康関連のQOLを改善するために役立つ最も効率的な方法であろう。

がん患者の疲労/無力症に関する病因および機序が確定していないことから、この症状の管理の実際の方法にはさまざまなものがある。医学的管理の焦点は、特異的で回復の可能性がある相関する症状を同定することにしばしば向けられており、以下にその例を示す:

安全に離脱できる薬物の投与中止がしばしば役立つ。疲労の評価および治療のためのアプローチには未だ見解の一致したものはないが、このようながん患者の問題に取り組むためにデザインされた臨床試験の数は増している。

貧血の治療

がん患者の貧血は、その基礎にある原因を治療することで最もよく管理できる。貧血の原因が明確でないかまたは特異的な対応策がない場合には、治療は支持的である。他の治療手段に加え、栄養価の高い食品および栄養補助食品の摂取などの栄養学的介入が検討されている。濃厚赤血球の輸血は、症候性貧血のあるがん患者の症状を緩和する最も迅速な方法であり、最も広く使用されている。輸血によってヘモグロビン値を高めることができる可能性はきわめて高く、合併症のリスクは低い。にもかかわらず、患者にとって輸血を繰り返すことは負担になり、血液媒介感染のリスクも懸念される。この他のリスクには、急性輸血反応、輸血後GVHD、輸血による軽度の免疫修飾、および輸血が繰り返される患者における鉄過負荷がある。[ 6 ]

地域ベースの数件の大規模研究により、化学療法を受けている患者のがん関連貧血の治療におけるエポエチンαおよびダルベポエチンα[ 7 ][証拠レベル:I];[ 8 ][証拠レベル:I]の有効性が検討された。[ 2 ][証拠レベル:II];[ 9 ][証拠レベル:III];[ 10 ][証拠レベル:I]エポエチンαのごく少数の研究はオープンラベルの非ランダム化デザインで、客観的エンドポイント(ヘモグロビン反応、輸血の必要性)のほか、疲労、生活の質という主観的評価を含んでいた。この設定では、エポエチンαはヘモグロビン値の上昇および輸血の必要性の減少という点で有効であった。さらに、エポエチンαは、腫瘍反応とは無関係に機能的状態、生活の質の改善を伴っている。エポエチンαおよびダルベポエチンαの数件の研究では、ランダム化比較デザインが用いられた。これらの研究は、薬物の投与法と投与頻度が異なっていた。ランダム化オープンラベル研究のレビューとメタアナリシスで、これらの薬剤がCRFの管理に有効であると結論付けたが[ 11 ]、これらの薬剤に関連する安全性データと有害転帰について重大な懸念も提起した。著者らは、CRFの治療において、これらの薬剤に伴うリスクが有益性を上回っているため、使用すべきではないと結論付けた。

FDAは、これらの薬剤の研究で得られた安全性情報の包括的レビューを実施した。[ 12 ]レビューの結果、乳がん、非小細胞肺がん、頭頸部がん、リンパがん、子宮頸がんの患者では、赤血球新生刺激薬(ESA)が全生存を短縮し、腫瘍の進行や再発のリスクを高めたことが示された。同レビューでは、高めのヘモグロビン濃度(13.5~14g/dL)を目標としてESAを投与する場合、ESAが心血管および血栓塞栓性の重篤事象のリスクを高めることも示された。

FDAはこれらの知見に基づき、ESAのラベルを改訂し、更新した警告、新たな枠付き警告、適応および投与法の修正を追加するよう命じた。枠付き警告には、心血管/血栓塞栓性事象および腫瘍の進行や再発のため、死亡リスクが高まること関する情報が含まれている。2010年米国臨床腫瘍学会(ASCO)/米国血液学会(ASH)ガイドランでは、以下が推奨されている:[ 13 ]

コクランレビューでは、化学療法を受けている貧血患者に対するESAの投与により、臨床的に有意な疲労の減少が得られると結論された。[ 11 ]しかしながら、さらにこのレビューでは、FDAにより提起された安全性への懸念を基にして、確認された副作用を考慮し、実際の臨床では疲労に対してESAを使用すべきではないと結論された。[ 11 ]臨床医は、ESAのリスクと有益性について、患者と家族と話し合う機会を持ち始めている。

FDAは2010年2月、医療提供者と患者に対しESAのリスクを通知するリスク管理プログラムを承認し交付した。[ 12 ][ 17 ]本プログラムには、FDA公衆衛生勧告[ 18 ]とともに、患者向けに特化した薬物療法ガイドが含まれており、同ガイドでは、がん患者の疲労の治療に対するESAの適応が承認されていないことを表明している。

精神刺激薬

がん関連疲労(CRF)のために評価される薬物による介入の最も一般的なカテゴリーの1つは、精神刺激薬である(表2参照)。精神刺激薬は脳内で神経伝達物質および受容体と相互作用し、皮質機能を増加させる薬物である。異なる種類の精神刺激薬がさまざまな機序で脳を活性化するように働き、その働きはエネルギーレベルと精神運動活動の短期の改善と一致している。これらの医薬品はまた、一部の集団における気分、注意、集中を改善させうる。市販されている精神刺激薬には以下のものがある:

精神刺激薬がCRFを改善するとの仮説は、主として臨床での逸話的経験から最初に支持される。これらの薬物はCRFの治療用には米国食品医薬品局(FDA)によって承認されていない。しかしながら、ランダム化比較研究[ 19 ][ 20 ][ 21 ]からの予備的証拠から、 これらの薬物が重度の疲労を経験している患者の亜集団に有用な可能性があることが示唆されている。CRFに対する精神刺激薬の有効性を評価したランダム化臨床試験が、少なくとも7試験(メチルフェニデートが6試験、モダフィニルが1試験)発表されている。これらのランダム化試験のうち、疲労の転帰に関しプラセボ群とメチルフェニデート群で有意差を示したのは1試験のみ[ 19 ]である。

CRFに対しプラセボよりも有意な改善を示した1試験では、研究の介入として平均用量27.7mgのメチルフェニデートD型異性体が用いられた。[ 19 ]有益性が認められた患者集団は、乳がんまたは卵巣がんの化学療法を終了した女性患者であった。効果に応じた漸増を研究デザインに組み入れたため、有益性があったと考えられる患者の一部は27.7mgを超える薬剤投与を受けていた可能性がある。また、被験者の11%が試験中に有害事象のため脱落した(プラセボ群の脱落は1%であった)。これとは逆に、同等規模のランダム化比較試験では、進行中の治療の有無を問わず早期がんおよび進行がんの患者を、長時間作用型メチルフェニデート製剤54mg(D型異性体27mgに相当)またはプラセボにランダムに割り付けたが、本試験ではいかなる疲労転帰においても2群間の差は認められなかった。[ 22 ][証拠レベル:I]神経質および食欲不振については群間の有意差が認められ、これら副作用の両方に対するメチルフェニデート群のスコアが悪化した。

比較的新しい、いわゆる覚醒促進薬であるモダフィニルとアルモダフィニルについては、CRFに対する有効性の試験がまもなく開始される。モダフィニルは、中枢作用性の非アンフェタミン系中枢神経系刺激薬である。[ 23 ]アルモダフィニルはモダフィニルのR-エナンチオマーでα1アドレナリン受容体作動薬である。[ 24 ]モダフィニルおよびアルモダフィニルは、FDAにより睡眠発作、閉塞性睡眠時無呼吸、交代勤務性睡眠障害への適用が承認されている。これらの薬物のいずれもCRFの治療用にはFDAによって承認されていない。これらの薬物は小児および青年における使用についても適応とされていない。モダフィニルおよびアルモダフィニルの作用機序はアンフェタミンの機序とは異なっているが、これらの薬物が覚醒を高める正確な機序は不明である。2件のオープンラベルのパイロット試験が有望であったため[ 25 ][ 26 ]、化学療法を受けている850人を超える患者を対象とした大規模ランダム化比較試験で、CRFに対するモダフィニルの有効性を200mgとプラセボを用いて評価した。疲労評点が10点中2点以上である患者を、本研究に適格とした。4サイクルの化学療法において、本研究は群間の有意差を示すことができなかった。[ 21 ]アルモダフィニルは販売開始されて間もないため、CRFで果たしうる役割に関する研究はまだ発表されていない。モダフィニルおよびアルモダフィニルが疲労を改善するかどうか、およびどのがん生存者集団がこれらによる恩恵を最も得られるかを明らかにするには、さらに研究が必要である。

メチルフェニデートもモダフィニルも、疲労が重度な患者またはがんが進行した患者ほど、これらの薬物による恩恵が多く得られることを示唆する探索的データがある。[ 21 ][ 22 ]介入としてメチルフェニデート(30mg/日まで漸増)を用いた1件の小規模(n = 13)ランダム化プラセボ対照研究[ 20 ]では、主要結果尺度、簡易疲労一覧表(BFI)の総スコア、または活動障害サブスケールで統計的有意差を示すことができなかった。しかしながら、メチルフェニデート群は、プラセボ群におけるBFIの重症度サブスケールスコアの低下と比較してスコアの有意な低下を示した。ベースライン時の平均重症度スコアはメチルフェニデート群で6.5およびプラセボ群で5.7であったことから、これらの患者は疲労が比較的重度のカテゴリーに分類された。CRFに対するモダフィニル vs プラセボを評価した第III相試験の2回目の分析でも、疲労が比較的重度の患者でモダフィニルによる恩恵が得られたことが明らかにされた。[ 21 ]精神刺激薬が重度のCRFを経験している患者に有益であるかどうかをさらに詳しく評価するには、さらなる研究が必要である。

よく記載されている精神刺激薬の副作用には、以下のものがある。[ 19 ][ 21 ][ 22 ][ 27 ][ 28 ]

高用量で長期間投与すると、以下の影響が出る場合がある:

がん患者はがんのタイプとがん治療(例、心毒性を有する化学療法レジメン)によっては、心血管合併症のリスクが高くなる。精神刺激薬による心血管合併症は、明らかな危険因子をもたない患者にでも起こることがある。[ 20 ]前立腺がん患者におけるCRFを治療するための介入としてメチルフェニデートを用いた研究では、メチルフェニデート群の計16人の被験者のうち6人(27%)が血圧上昇および頻脈のために中止された。これらの患者のうち、アントラサイクリン系など、既知の心毒性を有する化学療法レジメンで治療されていた者はなかったことに注意することが重要である。[ 20 ]精神刺激薬をCRFの治療に用いる場合には、特定の心血管パラメータ(主に血圧および心拍数)の注意深く継続的な監視がきわめて重要である。一部の複雑な症例では、循環器科との相談を検討してもよい。心血管の問題は、モダフィニルおよびアルモダフィニルによるリスクとしては軽視される。これらの薬物をCRFの治療に用いる場合に、リスク有益性比の検討や、反応および副作用についての患者の評価を行うことがある。

すべてのSchedule IV刺激薬に対する添付文書には、乱用の可能性のリスクおよび/または精神依存のリスクを示す枠付きの警告文書が載せられている。さらに、特定の刺激薬(メチルフェニデートおよびデキサメチルフェニデート製剤)の枠付き警告文書は精神病のエピソードのリスクを示している。[ 27 ]他の刺激薬(アンフェタミン、デキストロアンフェタミン、メシル酸リスデキサンフェタミン、メタンフェタミン、およびアンフェタミン製剤の混合塩)にも、臨床医にこれらの薬物の誤用が突然死を含む重篤な心血管系の有害事象の原因となりうることについて注意した枠付き警告文書が載せられている。[ 29 ]

表2.成人がん患者に対する中枢作用性刺激薬
薬剤 用量 コメント/主な副作用
AUC = 曲線下面積;MAOI = モノアミン酸化酵素阻害薬;SSRI = 選択的セロトニン再取り込み阻害薬。
デキストロアンフェタミン(Dexedrine) 2.5mg/日(開始時) Schedule II。シタロプラムおよびベンラファキシンと相互作用を起こす可能性が高い。
5~30mg/日を2・3回分割投与
メチルフェニデート(Ritalin) 2.5mg/日(開始時) Schedule II。高脂肪食はAUCを増加させる可能性がある。最高濃度は服用後102時間。高血圧クリーゼを誘発することがあるため、MAOIと併用しないこと。ノルエピネフリンを増加させる抗うつ薬は、アンフェタミンの副作用増加を引き起こすことがある。SSRIとの併用は、SSRIの濃度上昇を起こすことがある。
54mg/日(D型異性体27mg)まで漸増
モダフィニル(Provigil) 50~100mg(開始時) Schedule IV。影響が判明するまで自動車の運転/機械の操作は避けること。就寝時に服用しないこと。最高濃度は2~4時間。食物は吸収を約1時間遅延させるが、生体利用率には影響を及ぼさない。経口避妊薬の効果を減弱する。
100~200mgを毎朝投与
アルモダフィニル(Nuvigil) 50mg(開始時) Schedule IV。影響が判明するまで自動車の運転/機械の操作は避けること。就寝時に服用しないこと。空腹時の最高濃度は2時間で、摂食時には4時間に遅延するが、食物は生体利用率に影響を及ぼさない。経口避妊薬の効果を減弱する。
25~250mgを毎朝投与

臨床経験は限られ、ランダム化比較試験の証拠は不足しているが、メチルフェニデートやモダフィニルなどの精神刺激薬の使用は、特に進行がん患者で重度の疲労を短期間(2~3週間)治療する場合に合理的である。これらの医薬品の使用を検討している場合、インフォームド・コンセントを得るとともにリスク、有益性、および代替案について慎重に話し合うことが重要である。これらの医薬品を使用する場合、特に既存の心血管の問題が認められる患者や既知の心毒性を有する化学療法レジメン(例、アントラサイクリン系)で治療されている患者では、心血管パラメータを継続して監視することがきわめて重要である。一部の症例では、循環器科との相談が必要であろう。精神刺激薬の長期連用は、そのマイナスの影響および長期の有益性に関する情報が不足しているため、現時点では推奨されない。

他の薬理学的介入

ブプロピオン

ブプロピオンは主にドパミン作動性およびノルアドレナリン作動性の作用機序を有する刺激性抗うつ薬である。小規模オープンラベル研究(N = 21)からの予備的証拠から、徐放性(SR)ブプロピオンは併存する抑うつ症状を伴うまたは伴わないCRFを治療するために有効な治療薬として可能性があることが示唆されている。[ 30 ][証拠レベル:II]この薬物のまれではあるが重篤な副作用である痙攣発作はこの研究では起こらなかった(この研究で使用された徐放性ブプロピオンの最大投与量は300mgであった)。

デキサメタゾン

デキサメタゾンは、最近進行がん患者における疲労の治療法として評価されている抗炎症効果を有する薬物である。84人の患者が、14日間4mg、1日2回のデキサメタゾンまたはプラセボを投与される群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、Functional Assessment of Chronic Illness Therapy-Fatigue(FACIT-F)スケールで測定する、ベースラインから15日目の疲労の改善であった。研究者らはまた、うつ病、不安、および症状的苦痛についても評価した。デキサメタゾンを投与された群では、FACIT-Fスケールの平均スコアが8日目まで(P = 0.005)および15日目(P = 0.008)に有意に改善した。身体的健康感および身体的苦痛もまた、デキサメタゾンを投与された群で有意に良好であった。感情に関するスコアおよび全般的な症状的苦痛については、有意差は認められなかった。Common Terminology Criteria for Adverse Events, version 3.0で測定された有害事象についても両群で差は認められなかった。

この研究の制限の1つは研究期間がわずか2週間しかなかったことであり、デキサメタゾンの長期使用は望ましくない副作用と関連することがよく知られている。したがって、疲労の治療にデキサメタゾンを2週間以上使用する場合は、リスクと有益性を検討する必要がある。疲労は高レベルの炎症と関連しているため、疲労を軽減するための抗炎症薬としてデキサメタゾンを評価したこの研究は注目に値する。[ 31 ]研究者らは炎症性バイオマーカーについては評価していない;したがって、炎症を緩和することで疲労が軽減されるという概念の証明には試験の反復が必要である。

栄養補助食品

栄養補助食品は、CRFに対するこの他の(しばしば大衆に受けの良い)薬理学的介入である。

L-カルニチン

L-カルニチンは、細胞エネルギーの代謝における役割と炎症誘発性サイトカインを減少させるカルニチンの作用のためにCRFの治療に有用であると考えられて広く用いられている栄養補助食品である。パイロット試験の有望なデータから、多施設共同グループによる大規模(N = 376)第III相研究の開発と完了に至った。中等度から重度の疲労を有する参加者が、4週間にわたってレボカルニチン10gまたはプラセボを投与される群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、疲労の平均値の変化であった。L-カルニチンの平均値が増加したにもかかわらず、両群で疲労における統計的有意差は認められず、研究期間中、両群とも疲労の改善を報告した。[ 32 ]

人参

疲労の治療に用いられる別の人気のあるサプリメントである人参もまた、大規模多施設臨床試験で評価されている。1件の有望な第II相用量決定研究[ 33 ]に基づいて、抗がん治療を受けているか、または完了したがん患者364人を対象にした第III相ランダム化プラセボ対照試験が完了した。参加者は、根を粉末状にしたアメリカ人参(特に、ウィスコンシン人参)2,000mgのカプセル剤またはマッチさせたプラセボのいずれかを投与される群にランダムに割り付けられた。主要エンドポイントは、多面的疲労症状一覧表-短文式で測定した疲労スコアの変化であった。4週間経過時に、人参投与群では有意な改善傾向を示し、8週間経過時には人参投与群を支持する臨床的に意義のある有意差が認められた。試験期間中、群内または群間のいずれにも認識可能な副作用はみられなかった。[ 34 ]

運動

複数の予備研究[ 35 ][ 36 ][ 37 ][証拠レベル:I];[ 38 ][証拠レベル:II];[ 39 ][ 40 ][証拠レベル:III];[ 41 ] [ 42 ][証拠レベル:IV]が、運動(軽度~中等度の強さの歩行プログラムを含む)はがん患者に有益な可能性があることを示唆している。このような試験で示され、また臨床的設定で認められた有益性の中には、身体的エネルギーの増大、食欲増進、および/または生活の質の改善を伴う機能的能力の向上のほか、心理状態の多方面にわたる改善(例、外観の改善、健康感、責任感の向上、がんおよびがん治療と戦えるだけの能力など)がある。

いくつかのレビューおよびNational Comprehensive Cancer Networkガイドラインは、運動が疲労に対し有益な効果があることを裏付ける多数の研究について概説している。[ 43 ][ 44 ]ランダム化試験で疲労の約35%低減と活力の30%改善が示されており、一部の試験ではがん療法中に、他の試験ではがん療法後に強い効果が示された。[ 43 ][ 45 ]運動プログラムの初期の試験の多くは乳がんの女性患者に焦点を当てたが、その後の試験では前立腺がん、多発性骨髄腫、大腸がんの男性患者も含まれた。[ 46 ]一部の研究には、以下のような方法論的な弱点がある:[ 47 ][証拠レベル:I][ 48 ]

2件のランダム化比較試験で、乳がん治療中の疲労の低下における運動の有益性が実証された。通常のケアと比較した12週間の有酸素運動プログラムに関する試験で、3~6ヵ月後に疲労が有意ではないものの改善したことが示された。[ 49 ][証拠レベル:I]低強度および中~高強度の運動と通常のケアとを比較した別の試験では、高強度の運動(1日30分、週5日)が疲労の低下に有益であることが示された。[ 50 ]両研究の制限としては、プラセボ対照群が設定されなかったことと低い参加率であった。低い参加はがん患者を対象にした運動に関する研究では一般的であり、この問題を克服するために患者に合わせたアプローチの必要性が示唆されている。これらの研究で示された有益性は、有酸素運動により、がん治療中および治療後の疲労が有意に低下すると結論付けた56件の研究(4,068の参加者を含む)のコクランレビューによって支持されている。[ 51 ]

診断後平均6ヵ月の乳がん生存者545人を対象とした研究において、身体活動の増加は一貫して身体機能の改善および疲労と体の痛みの低下と関係した。診断前の身体活動は39ヵ月経過時の比較的良好な身体機能と関連したが、一般的に症状とは関係しなかった。がんの後の身体活動の増加は疲労および疼痛の低下および良好な身体機能と関係した。中等度~活発な娯楽の身体活動との明らかに肯定的な関連が認められたが、家事との肯定的な関連は認められなかった。この研究から、乳がん生存者は疲労と体の痛みを低下させることができ、がんの後に娯楽の身体活動を増やすことで日々の活動をより良好に遂行できることが示唆されている。[ 52 ][証拠レベル:II]

進行がんおよび末期がんの患者を対象とした運動は研究することが難しいが、運動はこのような患者に対しても有益であろう。1件の研究では、ホスピスでケアを受け、日常の活動を行うため理学療法レジメンを受けている進行がん患者の能力が向上したことが報告されている。[ 53 ][証拠レベル:III]家族が参加するプログラムが多い場合に、理学療法レジメンの満足度の改善が報告された。あるランダム化研究では、運動が乳がん治療中の疲労を改善することが示唆された。[ 54 ][証拠レベル:I]進行がん患者を対象にした1件の観察研究により、疲労は運動を行っている患者では重症度がより低いことが明らかにされた。[ 55 ]

CRFにおける活動について患者を教育する場合、考慮すべき重要な目標の1つは、週3~5時間の中等度の活動を組み入れることである。以下が非常に重要である:

短時間の軽めの活動で開始し、強度と時間の長さを増していくことが必要であろう。積極的治療中も治療終了後もこれを安全に行えることが、複数の研究で確認されている。[ 45 ]

精神-肉体要素を有する運動のバリエーションには、人気のある介入である気功、太極拳、ヨガなどの補完的理学療法が含まれており、CRFに対する効果が研究されている。これらの理学療法は、動き、ストレッチ、バランスに認知的および精神的要素を組み入れる点で独特である。1件のかなり大規模な研究で、がん治療を受けているか、完了した患者162人の不均一な集団においてCRFに対する医学的気功の効果が評価された。[ 56 ]本研究では、通常ケアと比較して介入群で、疲労および他の複数のQOLについて有意な改善が報告された。

気功介入は、10週間、週2回の90分グループセッション時に、計1,800分の処置として行われた。通常ケア群は、グループミーティングもさらなる提供者との相互作用も受けなかった。したがって、非特異的効果またはグループ相互作用効果のほかに、気功が何を独自に提供したかを明言することは難しい。また、有益性を維持するため、生存者が気功を継続する必要性がどの程度あるかについても不明である。本研究では有害事象が起こらなかったため、時間と資源の消費以外に、患者にこのような活動を採用するよう促すことのマイナス面を正確に指摘することは難しい。気功を評価した本研究の重要な強みの1つは、炎症マーカーを測定するために血清を採取したことである。10週の終わりにおいて、医学的気功群の患者ではC反応性蛋白が3.6mg/L減少したのに対し、通常ケア群の患者では本マーカーが19.57mg/L増加した。これは統計的有意差であった。[ 56 ]

気功群と待機リスト対照群を比較した第2のより小規模な研究(N = 96)では、副次的アウトカムとしてBFIを用いて疲労が評価され、また生物学的測定法として唾液中のコルチゾールも査定された。この研究では、両群間で疲労またはコルチゾールの測定値における有意差は示されなかった。乳がんを診断された女性に対する6週間の放射線療法中に実施された40分のセッション5回で構成されたこの研究の介入量は、上述のより大規模な研究の介入量よりもはるかに少なかった。[ 57 ]

これらの研究の解釈と統合を制限する主な弱点は、結果が異なっているにもかかわらず、注目や介入による何らかの社会的側面を調整する試みがなかったことである。

認知行動療法

認知行動療法(CBT)は、さまざまな精神心理学的問題に対処できるよう、問題提議に関係する思考(認知)および機能的行動に焦点を当てた療法とともに、長らく使用されてきた。1件のランダム化臨床試験では、特定の身体的原因をもたない重度の疲労を経験しているさまざまなタイプのがんの生存者98人(介入群 = 50人、待機リスト対照群 = 48人)を対象に、個別CBTが施された。[ 58 ][証拠レベル:I]このCBTは、がん治療後の疲労を長引かせる可能性がある以下の6つの要因について、各参加者の固有のパターンに焦点を当てて行われた:

治療セッション数(範囲:5~26回、1回は1時間;平均:12.5回)は、要因の数によりさまざまであった;結果は疲労の重症度および機能障害の程度において臨床的に有意な低下を示した。

活動と休息

患者個人のエネルギーを最適に使用するために、医療専門家はがん患者と協力して患者の疲労パターンの評価に基づく活動/休息プログラムを作成できる。日常のルーチンにどのような変化があっても余分なエネルギーを消費する。がん患者は、優先順位の設定と、合理的なスケジュールの維持について助言を受ける。医療専門家は、日常活動および責務を援助してくれる支援サービスに関する情報を提供することによって、患者を支援できる。エネルギー保持の方法を評価するには、作業療法的な助言が有用である。睡眠衛生として、就寝時以外にベッドで横になることを避け、昼寝は1時間以内とし、睡眠中の騒音(例、テレビ、ラジオ)を避けるといった方法で、睡眠と活動のサイクルが向上しうる。

患者教育

疲労のリスクについて患者に情報を与え、疲労を低下させる戦略についての教育を提供することは、本要約で述べている他の管理戦略の有用な補助となる。しかしながら、成人におけるがん関連疲労に対する教育的介入に関するコクランレビューでは、教育的介入は疲労を管理するためのより包括的なアプローチの一部とすべきであると忠告している。[ 59 ]

疲労を管理するための特異的な方法を以下に示す:

化学療法中に疼痛および疲労の症候群を報告した患者の対照試験において、保育行動による介入は、生活の質の改善をもたらし、通常のケアに比べて症状の負荷を低下させた。[ 61 ][ 62 ][証拠レベル:I]これらの興味深い結果は、乳房または婦人科学の悪性腫瘍を有する女性以外の患者集団においてさらに調査する必要がある。

研究者と医師が痛みをもって学んだように、誤解と知識不足は、適切な評価と管理を行う上で患者および提供者に関係する障害となることが判明する可能性がある。ある準実験研究は、疼痛と疲労の管理をどちらも改善する多重システム教育アプローチを試験した。[ 63 ]本アプローチは以下で構成されていた:

3ヵ月間にわたる教育的介入の結果、疼痛と疲労の管理に関する知識が増加し、障害が減少した。注目すべきことに、疲労の管理に関係する重要な患者の障害には以下の考えが含まれていた:[ 63 ][証拠レベル:II]

最新の臨床試験

現在、参加者を受け入れている疲労および貧血についての支持療法と緩和ケアの試験は、NCIのがん臨床試験リストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。

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治療後の考慮事項

この治療後のセクションは、すべての抗腫瘍療法を終えてから少なくとも6ヵ月間経過しているがん患者を特に対象として作成されている。ここに独立したセクションを設けた理由は2つある。第一に、問題の病因が、治療中の患者と治療を終えた患者とでは異なることが挙げられる。第二に、介入戦略および情報は個人に合わせた方が有効であり、これによって、2つの別の集団の必要性に応じられる可能性が強まることが挙げられる。

疲労は治療が完了した患者にとっては、別のはっきりした問題である。治療中の患者にみられる疲労の病因を説明するとともに、治療が生活の質に及ぼす影響を説明しようとする多くの理論が提唱されている。しかしながら、これらの理論の多くは治療後の患者群には適用されない。にもかかわらず、治療が終了し、無病であると考えられる患者にとって、疲労は継続して大きな問題である。

疲労が、がん生存者の生活の質に明らかな影響を及ぼしているという証拠がある。一般の医療設定では、がん生存者の疲労の経験は、慢性疲労症候群の患者の経験ときわめて類似している。[ 1 ]ごく少数の研究で、疲労の生活の質に及ぼす影響が示されているが、以下にいくつか例を挙げる:

多くの研究で、がん治療が終了した患者にみられる疲労の発生率を実証しているが、疲労の特異的な機序は解明されていない。疲労は多面的な問題であるため、その病因を決定することは困難である。

小児がんの生存者にみられる疲労に関して入手できた情報は、治療後の生理的ならびに認知的影響を記載した文献からであった。1件の研究では、脳腫瘍の診断後3~4年の小児を対象に認知的転帰を評価した。疲労は学業不振の一因であった。[ 12 ]

他の研究では、急性リンパ芽球性白血病の生存者で治療後の認知障害が評価され、典型的な疲労作用があることが認められた。このことは、被験者の検査スコアにばらつきがあることの一因と考えられる。[ 13 ]逸話的に、胸部および全身放射線照射を受けた患者は、疲労のほか睡眠の要求が高くなったことを訴える。

がん治療に成功した患者には、治療から二次的に生じるさまざまな臓器特異的合併症のリスクがある。[ 14 ]治療後の集団の疲労は、フォローアップケアの重要性を強く示している。がん治療後に持続している疲労には、生理的状態の寄与を除外するため、徹底的な評価が必要である。

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本要約の変更点(06/29/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

寄与因子

本文に以下の記述が追加された;早期がん患者にみられる因子と類似した因子が、進行した治癒不能がんの患者においても疲労の寄与因子となっている(引用、参考文献48としてPeters et al.)。

介入

参考文献48として、Carayol et al.が追加された。

本文で、がん治療中の疲労の低下における運動の有益性に関する記述が改訂された(引用、参考文献49としてMutrie et al.、参考文献50としてvan Waart et al.、および参考文献51としてCramp et al.)。

本文に以下の記述が追加された;進行がん患者を対象にした1件の観察研究により、疲労は運動を行っている患者では重症度がより低いことが明らかにされた(引用、参考文献55としてPeters et al.)。

本文で、疲労の管理における患者教育の役割に関する記述が改訂された(引用、参考文献59としてBennett et al.)。

本要約はPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、疲労の病態生理および治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約として特定することはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board.PDQ Fatigue.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/about-cancer/treatment/side-effects/fatigue/fatigue-hp-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389484]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

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