ご利用について
このPDQがん情報要約では、直腸がんの治療法に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。
CONTENTS
- 直腸がんについての一般的な情報
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直腸がんは、直腸の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。
直腸は消化器系の一部を構成する臓器です。消化器系は、食物中の栄養素(ビタミン、ミネラル、炭水化物、脂質、蛋白質、水分)の取り込みと、老廃物の体外への排出という役割を担っています。消化器系は、食道、胃、小腸および大腸から構成されます。結腸(太い腸)は大腸の最初の部分で、長さは約5フィート(およそ152cm)です。加えて、大腸の終端部に直腸と肛門管があり、これらの長さは6~8インチ(15~20cm)です。肛門管は肛門(大腸から体外への開口部)で終わります。
病歴は直腸がんの発生リスクに影響を及ぼします。
直腸がんの徴候には、排便習慣の変化や血便などがあります。
これらに加え、別の徴候や症状が直腸がんにより引き起こされることがありますが、その他の病態によって生じることもあります。以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:
直腸がんの診断には、直腸と結腸を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
- 身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。
- 直腸指診(DRE):直腸を調べる診察法。医師または看護師が、手袋をはめて潤滑剤を塗った指を直腸下部に挿入し、しこりなどの異常がないかを調べます。女性の場合、膣の検査も行われる場合があります。
- 結腸鏡検査:直腸および結腸内部に、ポリープ(膨らんだ組織の小片)や異常な領域、がんなどがないか調べる検査法。結腸鏡とは、観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具のことです。ポリープや組織のサンプルを採取するための器具が付いているものもあり、それで採取された組織は、顕微鏡での観察によってがんの徴候がないか調べられます。
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生検:細胞や組織を採取する手技のことで、採取されたサンプルは顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。生検時に採取された腫瘍組織は、患者さんの遺伝子がHNPCCの原因となる突然変異を起こしている可能性を調べるために用いられる場合があります。この検査結果は治療計画を立てる際の参考になります。以下のような検査法が用いられます:
- 逆転写-ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)検査:特定の遺伝子が作るmRNAという遺伝物質の量を測定する臨床検査。逆転写酵素を使用して特定のRNA片を対応するDNA片に変換し、DNAポリメラーゼという別の酵素による増幅(大量複製)を可能にします。増幅されたDNAコピーを解析することで、特定の遺伝子によって特定のmRNAが作られているかどうかを示す情報が得られます。RT-PCRで特定の遺伝子の活性化を調査した結果、がん細胞の存在が判明することがあります。この検査は遺伝子や染色体における特定の変化の有無を調べるためにも行われ、がんの診断に役立つことがあります。
- 免疫組織化学検査:抗体を利用して、患者さんから採取した組織のサンプルに含まれる特定の抗原(マーカー)を調べる臨床検査。使用される抗体には、通常、酵素や蛍光色素が結合されています。この抗体が組織サンプル内の特定の抗原に結合すると、酵素や色素が活性化し、顕微鏡で抗原を観察できるようになります。この種の検査はがんの診断に利用されるほか、各種のがんの違いを示すためにも用いられます。
- がん胎児性抗原(CEA)測定:CEAの血中濃度を測定する検査法。CEAはがん細胞と正常な細胞のどちらからも血液中に放出されます。この物質の値が通常量よりも高い場合は、直腸がんやその他の病態の徴候である可能性があります。
- 直腸がんの病期
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直腸がんの診断がついた後には、直腸内でのがん細胞の拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。
がんの直腸内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。
病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
- 胸部X線検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。
- 結腸鏡検査:直腸および結腸内部に、ポリープ(膨らんだ組織の小片)や異常な領域、がんなどがないか調べる検査法。結腸鏡とは、観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具のことです。ポリープや組織のサンプルを採取するための器具が付いているものもあり、それで採取された組織は、顕微鏡での観察によってがんの徴候がないか調べられます。
- CTスキャン(CATスキャン):腹部や骨盤、胸部などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。
- MRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。
- PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性腫瘍細胞を検出するための検査法。まず放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。
- 直腸内超音波検査:直腸と周辺の臓器の検査に用いられる検査法。まず、超音波振動子(プローブ)を直腸内に挿入し、高エネルギーの音波(超音波)を発生させ内部の組織や臓器に反射させることにより、エコーを生じさせます。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。医師はこのソノグラムを見ることによって腫瘍を発見することができます。この検査法は経直腸的超音波検査とも呼ばれます。
体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。
がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。
がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。
転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、直腸がんが肺に転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は直腸がんの細胞です。この疾患は転移性直腸がんであり、肺がんではありません。
直腸がんでは以下のような病期が用いられます:
0期(上皮内がん)
0期直腸がんでは、直腸壁の粘膜(最も内側の層)に異常な細胞が認められます。こうした異常細胞は、がん化して周辺の正常組織に拡がっていく可能性があります。0期は上皮内がんとも呼ばれます。
直腸がんは治療後に再発する(再び現れる)ことがあります。
再発は直腸に生じることもあれば、結腸、骨盤、肝臓や肺などの直腸以外の場所に発生することもあります。
- 治療選択肢の概要
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直腸がんの患者さんには様々な治療法が存在します。
直腸がんの患者さんは、様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
標準治療として以下の6種類が用いられています:
手術
手術は、全ての病期の直腸がんで最もよく用いられている治療法です。がんの摘出には以下の手術法のいずれかが用いられます:
- ポリープ切除術:がんがポリープ(隆起した組織の小片)内に見つかったときは、多くの場合、結腸鏡検査の際にそのポリープを切除します。
- 局所切除術:がんが直腸内部の表面に認められ、直腸壁の中には拡がっていない場合は、がんとその周囲の少量の健常組織を切除します。
- 切除:がんが直腸壁の中に拡がっている場合は、直腸のがんが存在する部分と周囲の健常な組織を切除します。場合によって、直腸と腹壁の間の組織も除去することがあります。直腸に近いリンパ節を切除して、顕微鏡で観察することにより、がんの徴候がないかを調べます。
- ラジオ波焼灼術:小さな電極の付いた特殊なプローブを用いてがん細胞を死滅させる治療法。プローブを皮膚から直接刺し込む方法もあり、その場合は局所麻酔のみでの実施が可能です。その他の場合には、腹部を切開した上でそこからプローブを挿入していきます。この方法の場合は、大きな病院で全身麻酔で実施されます。
- 凍結手術:専用の装置を用いて異常組織を凍結させ破壊する治療法。この種の治療は凍結療法とも呼ばれます。
- 骨盤内臓器摘出術:がんが他の臓器に転移している場合は、結腸下部、直腸、膀胱を切除します。女性の場合、子宮頸部、膣、卵巣、および周辺のリンパ節も摘出される場合があります。男性の場合、前立腺が摘出される場合があります。これと同時に、尿と便を体外に取り付けたバッグまで送り出すための開口部(ストーマ)が人工的に造られます。
がんの摘出後、外科医は次のいずれかの処置を行います:
放射線療法や化学療法は、腫瘍を小さくしてがんを摘出しやすくし、手術後の排便のコントロールに伴う問題を軽減するために、手術前に実施されることがあります。このように手術前に行われる治療は術前補助療法と呼ばれます。手術の際に確認できる全てのがんを切除した後に、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に放射線療法や化学療法が実施される場合があります。 このようにがんの再発リスクを低減させるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用して、がん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります:
放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。直腸がんの治療には外照射療法が用いられます。
一部の種類の直腸がんには、短期コースの術前放射線療法が実施されます。この治療では、標準治療よりも低線量の放射線を照射し回数も少なく、最終照射の数日後に手術を行います。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹腔などの体腔内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。
肝動脈の化学塞栓療法は局所化学療法の1つで、肝臓に転移したがんの治療に用いられます。この治療法では、肝動脈(肝臓に血液を供給する主要な動脈)を遮断して、遮断部と肝臓の間の領域に抗がん剤を注入します。すると、この肝臓の動脈を介して肝臓に薬剤が運ばれます。肝臓以外の部分に達する薬の量はごくわずかです。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。肝臓への血液供給は、胃や腸から血液を運んでくる肝門脈によって維持されます。
化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。
詳しい情報については、結腸がんと直腸がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
積極的サーベイランス
積極的サーベイランスとは、検査結果に変化がみられるまで、治療を一切行わずに患者さんの状態を注意深く観察していくことです。病態の悪化の徴候を早期に発見するために用いられます。積極的サーベイランスでは、患者さんの診察と検査を行い、がんが増殖していないか確認します。がんの増殖が始まっている場合は、がんの治癒に向けた治療法を行います。以下のような検査を行います:
標的療法
標的療法とは、特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。標的療法では一般に、化学療法や放射線療法に比べて、正常な細胞に及ぼす害が少なくなります。
直腸がんの治療に用いられる標的療法には以下のようなものがあります:
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モノクローナル抗体療法:モノクローナル抗体は製造ラボで作られ、がんなどの様々な疾患に対する治療に用いられる免疫系蛋白です。がん治療薬として、これらの抗体は、がん細胞や他の細胞上に存在してがん細胞の増殖に関与する特定の標的に結合する性質をもちます。これにより、抗体はがん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などの効果を発揮できるようになります。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独で使用されることもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。
モノクローナル抗体療法にはいくつかの種類があります:
- 血管内皮成長因子(VEGF)阻害薬療法:がん細胞はVEGFという物質を作りますが、この物質には、新しい血管を発生させ(血管新生)、がんの増殖を助ける働きがあります。VEGF阻害薬は、このVEGFの働きを阻害し、新しい血管の形成を抑止します。これによって、増殖に新しい血管を必要とするがん細胞を殺傷できる場合があります。ベバシズマブとラムシルマブはVEGF阻害薬であり、血管新生阻害薬でもあります。
- 上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬療法:EGFRは、がん細胞など特定の細胞の表面に存在する蛋白です。上皮成長因子が細胞表面のEGFRに結合し、細胞の成長と分裂を引き起こします。EGFR阻害薬はこの受容体をブロックし、上皮成長因子とがん細胞の結合を阻止します。これにより、がん細胞の成長と分裂を抑止します。セツキシマブとパニツムマブはEGFR阻害薬です。
- 血管新生阻害薬:血管新生阻害薬は腫瘍の増殖に必要な新しい血管の成長を阻害します。
- アフリベルセプトは腫瘍内で新しい血管の成長に必要な酵素の働きを阻害する血管内皮成長因子トラップです。
- レゴラフェニブは体の他の部位に転移し、他の治療では改善しなかった大腸がんの治療に用いられます。血管内皮成長因子などの特定の蛋白の作用を阻害します。がん細胞の増殖を抑止し、殺傷できる可能性があります。腫瘍の増殖に必要な新しい血管の成長を阻害する作用もあります。
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プロテインキナーゼ阻害薬療法:この治療法は、がん細胞の分裂に必要な蛋白を阻害します。プロテインキナーゼ阻害薬には以下のようなものがあります:
詳しい情報については、結腸がんと直腸がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
免疫療法
免疫療法は、患者さんの免疫系を利用して、がんと戦う治療法です。体内で生産された物質や製造ラボで合成された物質を用いることによって、体が本来もっているがんに対する抵抗力を高めたり、誘導したり、回復させたりします。このようながんの治療法は生物学的療法の一種です。
免疫チェックポイント阻害薬療法:免疫チェックポイント阻害薬は、T細胞などの免疫系細胞や一部のがん細胞により作られるチェックポイントと呼ばれる蛋白の働きを阻害します。これらのチェックポイント蛋白は、免疫反応が強くなり過ぎないように抑制する働きがあり、T細胞によるがん細胞の殺傷を妨げることがあります。こうしたチェックポイント蛋白を阻害すると、T細胞によるがん細胞の殺傷が促進される可能性があります。この種の薬剤は、転移性大腸がんの患者さんの治療に用いられることがあります。
免疫チェックポイント阻害薬療法には2種類あります:
- CTLA-4阻害薬療法:CTLA-4はT細胞表面の蛋白で、体の免疫反応を抑制する働きがあります。CTLA-4ががん細胞上のB7と呼ばれる別の蛋白に結合すると、T細胞はそのがん細胞を殺傷しなくなります。CTLA-4阻害薬はCTLA-4に結合することで、T細胞ががん細胞を殺傷できるようにします。イピリムマブはCTLA-4阻害薬の一種です。
- PD-1およびPD-L1阻害薬療法:PD-1はT細胞の表面に存在する蛋白で、体の免疫反応を抑制する働きがあります。PD-L1は数種類のがん細胞上に存在する蛋白です。PD-1がPD-L1に結合すると、T細胞はがん細胞を殺傷しなくなります。PD-1阻害薬とPD-L1阻害薬は、PD-1蛋白とPD-L1蛋白の結合を阻止します。そうすることでT細胞によるがん細胞の殺傷を可能にします。ペムブロリズマブとニボルマブはPD-1阻害薬の一種です。
詳しい情報については、結腸がんと直腸がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。
その他にも、いくつかの治療法が臨床試験で試されています。
臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。
患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。
患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。
今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。
患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。
患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。
ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。
臨床試験は米国各地で行われています。NCIが支援する臨床試験に関する情報は、NCIの臨床試験検索ウェブページで探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。他の組織によって支援されている臨床試験は、ClinicalTrials.govウェブサイトで探すことができます。
フォローアップ検査が必要となることもあります。
がんの診断や病期判定のために実施される検査の中には、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。
治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。
直腸がんの治療の終了後には、がんの再発の有無を調べるためにがん胎児性抗原(CEA:がんが存在すると血液中の濃度が上昇することのある物質)の量を測定する血液検査が実施されることがあります。
- 0期(上皮内がん)の治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
0期の直腸上皮内がんの治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- I期の直腸がんの治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
I期の直腸がんの治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- II期およびIII期直腸がんの治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
II期およびIII期直腸がんの治療法には以下のようなものがあります:
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- IV期および再発直腸がんの治療
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以下の治療法に関する情報については、治療選択肢の概要のセクションをご覧ください。
IV期の直腸がんと再発直腸がんの治療法には、以下のようなものがあります:
- 手術と、場合により化学療法または放射線療法。
- 全身化学療法と、場合により標的療法(血管新生阻害薬)。
- 全身化学療法と、場合により免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬療法)。
- 腫瘍の増殖を抑制する化学療法。
- 症状を和らげ生活の質を高める緩和療法としての放射線療法または化学療法、もしくはそれらの併用。
- 直腸が腫瘍により部分的に閉塞している場合は、症状を和らげ生活の質を高める緩和療法として、閉塞を解消するためのステント留置。
- BRAF遺伝子に特定の変化が認められる患者さんには、プロテインキナーゼ阻害薬およびモノクローナル抗体による標的療法。
- 免疫療法。
- 化学療法または標的療法、もしくはその併用を行う臨床試験への参加。
他の臓器に転移している直腸がんの治療法は、がんが転移した部位によって異なります。
NCIの臨床試験検索から、現在患者さんを受け入れているNCI支援のがん臨床試験を探すことができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。)。がんの種類、患者さんの年齢、試験が実施される場所から、臨床試験を検索できます。臨床試験についての一般的な情報もご覧いただけます。
- 直腸がんについてさらに学ぶために
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米国国立がん研究所が提供している直腸がんに関する詳しい情報については、以下をご覧ください:
米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:
- 本PDQ要約について
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PDQについて
PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。
PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。
本要約の目的
このPDQがん情報要約では、直腸がんの治療法に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。
査読者および更新情報
PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("原文更新日")は、直近の更新日を表しています。
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臨床試験に関する情報
臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。
NCIのウェブサイトで臨床試験を検索することができます。より詳細な情報については、NCIのコンタクトセンターであるCancer Information Service(CIS)(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。
本要約の使用許可について
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本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:
PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Rectal Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/colorectal/patient/rectal-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389378]
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