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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

がんにおける家族介護者(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-07-14
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、がん患者の介護者の苦難と有用な介入に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

介護者に関連した介入または処置

介護者とは?

家族介護者とは、配偶者、生活上のパートナー、子供、親族、友人など、患者の日常活動を支援し、自宅での医療ニーズに対応する方々です。

今日では、多くのがん患者さんが自宅でケアを受けています。以前に比べ、入院期間は短くなり、日帰りや病院外で受けられる治療は増加しました。また、がん患者さんの寿命も延び、多くの方ができるだけ自宅でケアを受けたいと望んでいます。こうした在宅でのケアは、多くの場合、家族介護者によって行われます。配偶者、パートナー、子供、親族、友人などが、この介護者の役目を果たします。

家族介護者は医療チームと協力して介護を行い、患者さんの健康状態と生活の質を向上させるために重要な役割を担います。かつては医療提供者が病院や診療所で実施していた多くの事柄を、現在では家族介護者が行っています。介護には、患者さんの薬剤使用、受診、食事、予定管理、健康保険の手続きといった日常的な活動の援助が含まれます。さらに、患者さんが自身の感情や難しい決断に対処するときの支援など、情動面や霊的な面でもサポートします。

家族介護者は当初から医療チームの一部であるという点が重要です。

家族介護者には、長期の在宅ケアの間に患者さんの病態の変化を読み取るという非常に大切な役割があります。また、家族介護者は様々な治療段階の至るところで、治療計画や意思決定、計画した治療の実行に関与します。

本要約は、がんに関わる成人の家族介護者について書かれたものです。

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介護者の観点

介護者は支援と感情面のサポートを必要としています。

がん患者さんの診断予後に対する介護者の反応は、人それぞれです。介護者が患者さんと同程度の感情を抱くことも、より強く反応することもあります。介護者に必要な情報や支援、サポートは、患者さんが必要とするものとは異なります。

家族介護者の生活は、がんの診断を契機として様々に変化します。これらの変化は生活の大部分に影響を及ぼし、治療が終了した後も続きます。

治療中や治療後に患者さんのニーズが変化すると、介護者の役割も変わります。

介護者の役割が変化し、新たな課題が持ち上がるタイミングは、主に診断時や病院での治療時、自宅での介護が必要となったとき、治療が終了したとき、患者さんが亡くなったときです。

診断時

がんの診断が下されたときから、家族介護者は積極的な役割を務めることになります。患者さんのがんの種類や馴染みのない医学用語について学習しなければなりません。また、治療を受けるために患者さんに付き添って訪れたことのない場所に行ったり、患者さんが治療法を決定する際の手助けをしたりします。

病院での治療時

患者さんが介護者に、医療チームと話し合い重要な決定を下すよう依頼する場合があります。こうした代理がうまくいくかどうかは、介護者と患者さんの関係に左右されます。患者さんと介護者の間に意見の相違がある場合は、重要な決定を下すことが困難になり、治療法の選択に影響が及ぶかもしれません。医療チームと対話する以外にも、介護者は次のような活動に関わります:


  • 患者さんの分の様々な家事労働をこなす。

  • 来院予定を管理し、行き帰りの行程について計画を立てる。

  • 患者さんが利用する医療システムに対応する。

  • 在宅ケアの準備を整える。

  • 保険に関する諸事を処理する。

積極的治療の段階では、介護者は患者さんのサポートに加えて、家事や仕事、家族の要望に応えなければなりません。これは肉体的にも精神的にも、極めて大きな負担となるでしょう。

在宅ケアの実施中

患者さんのケア環境(病院など)が他の環境(自宅など)へ移る場合、患者さんと介護者の両方にストレスが生じることがあります。一般的に患者さんは、病院よりも、親しみのある快適な自宅で過ごすことを望みます。しかし、自宅に戻ると、多くの場合、介護者の役割が増えます。

患者さんに対する実際の介護に加え、介護者は以下の活動にも携わります:


  • 患者さんの話し相手になる。

  • 引き続き、患者さんの分の様々な家事をこなす。

  • の管理と食事の世話をする。

  • 受診予定を管理し、行き帰りの行程について計画を立て、患者さんに付き添って病院に行く。

  • 治療者や他の専門家による自宅への訪問を手配する。

  • 医学的な緊急事態に対処する。

  • 保険に関する諸事を処理する。

  • 患者さんが利用する医療システムに対応する。

介護者は、どうすれば自分の健康を損なわず、この全てに対処できるかを心配します。介護者が社会活動への参加をあきらめ、辞職しなければならない場合もあります。こうした全てが、介護者と患者さんの両方にとっては心身両面でとてもつらく疲れることです。特に高齢の介護者では、上述の活動が大きな負担となるでしょう。

治療終了後

患者さんと介護者は、がんと診断される前の状態に生活が戻ることを期待するものですが、常にそうなるとは限りません。患者さんの治療が終了した後も、各人の役割が再び変化するため、介護者のストレスが続くことがあります。介護者のなかには、治療後の1年間にわたって適応の問題を抱える人もいます。その原因の1つは、がんの再発に対する心配です。介護者ががん生存者のパートナーや配偶者である場合は、性的な問題も一因となるかもしれません。いくつかの研究によると、こうした適応の問題は通常は長く続きません。しかし、以下のようなケースでは、調整の問題が長期化する可能性があります:


  • 介護者と患者さんの関係に問題がある。

  • 介護者と患者さんのコミュニケーションがうまくいっていない。

  • 社会的支援が欠如している。

終末期

在宅での終末期ケアを行う段階になると、介護者は新たな困難に直面します。患者さんが以前にもまして、介護者による身体面と感情面でのサポートを必要とするようになるのです。患者さんの症状管理がより困難になる場合もあります。介護者はこうした苦難に悩み、自身が重視している活動や関心事に関与できないことを苦痛に感じるかもしれません。患者さんがホスピスケアに移行すると、介護者の苦悩は一層深まることがあります。研究によると、患者さんの積極的治療が行われている間よりも、終末期ケア段階のほうが、介護者の生活の質は低く、健康状態も悪くなります。

病院やホスピスのプログラムによっては、患者さんの生活の質を改善し、介護者と患者さんの両方を支援する終末期サポートサービスが提供されます。終末期サポートサービスには次のような内容が含まれます:


  • 患者さんと介護者の生活の質を向上させることを目的として、身体的、精神的、社会的、霊的、経済的な必要性について患者さんと家族をチームで支援する。

  • 医学的な決定と症状の管理に介護者が関与できる。

  • 介護者が出す苦悩のサインに目を配り、必要な援助が得られるよう協力する。

終末期ケアに関する詳しい情報については、PDQ人生の最後の数日間に関する要約をご覧ください。

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介護者の役割

家族介護者の役割は、患者さんに対する実際のケア以外にもたくさんあります。

一般的に、家族介護者は主に身体的なケアを行うと考えられていますが、患者さんががんを患っている間に、他にも様々な役割を果たします。介護者には、身体的なケアに加え、以下のような役割があります:


  • 患者さんの医療ケア、保険請求、請求書の支払いを管理する。

  • 患者さんの話し相手になる。

  • 診察時に患者さんに付き添う、私用の使いに出向く、炊事や清掃などの家事を行う。

  • 必要な医師や専門家を見つけ、探すのが難しい情報を入手する。

  • 患者さんが家族、友人、隣人、地域の人々とつながりを保つのを助ける。

時間とともに患者さんのニーズが変化すると、家族介護者は新しい役割と課題に取り組むという困難な作業に直面します。

患者さんが必要な全ての情報やサポート、治療を得られるよう、介護者は様々な役割を担います。

介護者には、意思決定者、患者支援者、伝達者としての役割があります。

意思決定者

医師、介護者、患者さんの三者は意思決定におけるパートナーです。意思決定には、理解できる範囲で正しい情報を得ることも含まれます。がんの患者さんには多くの情報が必要です。患者さんは、健康を維持する方法や、検査と治療に関する情報、副作用症状の知識、さらには感情面での問題について知ることを望みます。

治療法を決定するにあたって、しばしば介護者と患者さんはより多くの情報を求め、医師以外の情報源から手がかりや情報を探すことがあります。一般的に患者さんや家族は次のような行動をとります:


  • インターネットで患者さんのがんと治療法についての情報をさらに探す。

  • 医師から聞いた情報について調査する。

  • 他の治療法や補完医療または代替医療を調べる。

  • 家族や友人に助言を求める。

外部の情報源から得られた情報は誤っていたり、担当医が述べた内容と異なっていたりする場合があります。信頼できる情報を入手し、それについて医師と話し合うことが重要です。 ほとんどの図書館で、医学雑誌に掲載されたがんについての記事や、患者さんなどを対象とした一般向けのがん情報を見つけることができます。政府機関、がんセンター、がん協会などの団体から情報を入手するのがよいでしょう。

支援者

家族介護者は患者さんのニーズを知り、理解しています。介護者は患者さんの支援者として、この情報を医療チームに伝えます。医学的な背景知識がなくても、介護者は患者さんと日常的に接するなかで、医療チームによる患者さんの支援に役立つ重要な情報を把握するでしょう。患者さんの症状や問題についての情報は、医師がより適切な治療計画を立てるために有用で、患者さんがよくなる可能性を高めます。

患者さんの支援者として、家族介護者は以下のような活動に関わります:


  • 患者さんのニーズと要望について、医療チームと話し合う。

  • 探すのが難しい情報を入手する。

  • 必要な医師や専門家を見つける。

  • 患者さんに変化や問題が生じていないか見守る。

  • 患者さんが治療の指示を守れるよう手助けする。

  • 新たに生じた症状や副作用を医療チームに伝え、その治療について助力を求める。

  • 患者さんが健康によい変化を取り入れ、健康的な行動をとれるよう促す。

  • 患者さんに対する請求の支払いをし、保険請求の処理を行う。

伝達者

医師、患者さん、介護者の三者間で円滑なコミュニケーションをとることは、患者さんの健康状態と医療ケアの改善につながるでしょう。患者さんが意思決定に加わっていても、代わりに家族介護者が話をする役目を担うことは珍しくありません。医師と家族介護者は、良好なコミュニケーションを通じて、患者さんの支援に必要な情報を得ることができます。医師は患者の懸念を把握する必要があり、介護者は病気や選択できる治療法について理解すべきです。コミュニケーション不足は治療の混乱を招きかねません。これにより、治療に関する選択や患者さんの改善の見込みに悪影響が及ぶ恐れがあります。

医師と介護者や患者さんとの文化的相違が、コミュニケーションに影響する場合もあります。一部の文化では、生命にかかわる疾患の診断を患者さんに伝えず、病気のことを話題にしないようにする慣習があります。重篤な疾患または終末期疾患について患者さんに本当のことを伝えることは、介護者に任されることがあります。これは介護者にストレスを感じさせ、孤独感と責任感を強めることになりがちです。介護者は、自分たちの文化的な信念が、がんについて話す仕方や治療法の決定に影響すると考えているかどうかを医療チームに伝えるようにします。

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介護者の生活の質

がん患者さんに対する介護は、介護者の生活の質に影響を及ぼします。

一般的に、家族介護者は訓練を受けずに介護を開始し、あまり支援もないまま多くの必要に応えることが求められます。介護者は、患者さんのニーズを最優先にして、自身の生活の質を無視してしまうことが多々あります。今日では、多くの医療提供者が、患者さんのがん治療中に介護者に苦悩の徴候が現れていないか注視しています。介護者の緊張(caregiver strain)によって介護の質が低下すると、患者さんの快適さにも悪影響が及びます。介護者を援助することは、患者さんの支援につながります。

介護は、様々な面から介護者の生活の質に影響を及ぼします。

介護者の健康は様々な面で影響を受けます。具体的には心理的、身体的、社会的、経済的、霊的な諸側面が挙げられます。

心理的な問題

心理的な苦悩は、介護を実施することで介護者の生活の質に及ぶ影響のうち、最も一般的にみられるものです。がん患者さんの介護は困難でストレスの大きい仕事です。介護者は必要な実際の作業で大変な思いをするのに加え、患者さんの苦しむ姿を見るときなどに、精神的にもつらい思いをします。愛する人ががんを患うと、そばにいる家族は患者さんと同じかそれ以上に苦しみを感じることがあります。がんが進行し、治癒させるための治療が行われなくなると、多くの場合、苦悩は大きくなります。

介護者自身が健康に問題を抱えている場合や、他にも生活上の必要がある場合、介護の役割は当初から過酷なものになるかもしれません。高齢の介護者の場合は、加齢に伴う問題によって介護の実施が困難になることがあります。

介護者が苦悩に対処する能力は、その人の性格に左右されると考えられます。希望を持ち前向きな人のほうが、介護の諸問題にうまく対応できるでしょう。

身体的な問題

がんの患者さんは、病気を患っている間、身体的な助力を多く必要とします。そのため、介護者は身体的な介助を行い、1日のなかで次のような多くの活動を支援すべきです:


  • トイレの使用。

  • 食事。

  • 寝床での体位変換。

  • ベッドからトイレなど、ある場所から別の場所への移動。

  • 医療機器の使用。

患者さんが身体的な介助をどのくらい必要とするかは、次の条件により異なります:


  • 着替えや歩行など、日常生活活動を患者さんが実行できるかどうか。

  • 患者さんの疲労の度合い。

  • がんの病期

  • がんの症状と病状の程度。

  • がんとがん治療の副作用

介護者が身体的な介護を十分にこなそうとして、あまり休息をとらない場合や自身の健康を顧みない場合があります。運動、健康的な食事、定期的な健康診断など、健康に関わる習慣が後回しにされることもあります。介護者が元々抱えていた健康上の問題が悪化したり、新たに問題が生じたりする場合もあります。

社会的な問題

多くの場合、介護者は日々がん患者さんの介護にあたり、友人や所属しているコミュニティの人々と過ごす時間が少なくなります。介護者と患者さんの関係に問題があると、介護者の孤独感は一層強くなります。

初めのうちは、友人から色々な支援が寄せられるかもしれません。そうした場合、介護者は仕事を続け、職場の人間関係を保つことができます。しかし、がんのケアが長期に及ぶと、仕事を辞めなければならなくなったり、友人からの電話や訪問が少なくなったりすることがあります。介護者が今行っている介護の要望を満たすために必死になっている場合は、家族や友人に助けを求めてもよいでしょう。介護グループやがん協会など、支援を提供している別の場所を探して、そこで他の家族と話をすることができます。介護者によっては、支援グループに参加する、あるいはカウンセラー心理士、もしくは他のメンタルヘルスの専門家と話すことが有用です。また、信仰や霊的共同体の指導者を頼ることが助けになる介護者もいます。

お金の問題

がんの場合、経済的負担が多くなります。家族は保険の控除免責金額と自己負担分、さらに交通費や在宅ケア支援など保険対象外のサービス費用を支払うべきです。自宅で患者さんに付き添うために仕事を辞め、収入がない介護者の場合は、全ての費用を賄うことが難しくなるでしょう。

仕事に就いている介護者は、Family and Medical Leave Act(FMLA:育児介護休業法)の適用下で休暇をとり、負担を軽減できる場合があります。FMLAは従業員が50名以上の企業に適用されます。この法律は、従業員自身が病気を患ったときや家族の健康状態が深刻な事態になった場合に、職や給付金を失わず、休暇を取得できることを定めています。介護者は最長で12週間の休職が可能です。

霊的な問題

霊的な充足感は、介護者のストレス低減につながる場合があります。信仰を保ち、意義と希望を見つけることは、介護ストレスがメンタルヘルスに及ぼす影響を軽減することが示されています。霊的な充足感によって、一部の介護者はさらなる希望を抱き、がん体験のなかに意味を見出し、より多くの現状を受け入れることができます。がん医療における霊性と宗教に関する詳しい情報については、PDQがん医療における霊性に関する要約をご覧ください。

介護者が得るもの

介護者は様々な理由から介護者になります。愛する人を介護するのは当然のことだという考えはその1つです。また、他の人に援助を頼むための保険や蓄えがないといった、現実的な理由もあるでしょう。 理由はどうであれ、がん患者さんの介護とサポートは簡単なことではありませんが、多くの介護者はその体験のなかに積極的な事柄を見い出しています。

がん患者さんの介護を通じて、たくさんの介護者が新たな観点から人生を捉えるようになっています。人生の目的について考え、最も価値があると思うものに集中して取り組むようになることも多々あります。 介護者によっては、意義を見つけることが物事への対処法です。

介護者は次のような価値ある体験をすることがあります:


  • 苦しいときにもしっかりしていられる自分に気づく。

  • 自尊感情や自身の人間的な成長をはっきりと感じる。

  • がん患者さんとの親密さを感じる。

医療専門家によるサポートがきっかけで、介護者がより積極的な価値を見出すこともあります。

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介護者のニーズの評価

介護者の評価は、介護者が自身の介護役割に対する支援を必要としているかどうかを判断するために実施します。

介護者の評価は、医療チームが介護者の日常生活を把握し、介護者が行う多くの作業を認識して、介護者の緊張(caregiver strain)の徴候を調査するために有用です。介護者の緊張は、介護者が自身の役割を不快に思ったり、必要なことを全て処理しきれないと感じているときに生じます。こうした緊張はうつ病や全般的な心理的 苦悩につながる可能性があります。介護者が非常に強い緊張を感じている時点で、もはや介護は、介護者や患者さんにとって健全とは言えなくなっています。

介護者の評価では、患者さんが介護者にしてほしいと望むことだけでなく、介護者のやる気や実行能力についても検討すべきです。介護者の緊張は、家族介護者が患者さんの介護に必要な知識を持っていない場合に生じることがあります。医療チームは、介護者が知識を持っていない分野の支援を実施します。

家族介護者は、実際の介護で体験した多数の問題を報告します。介護者を適切な形で支援するために、何が問題かを明らかにする評価が行われます。支援サービスは、介護者が健康を保ち、介護技術を習得し、介護の役割を続けられるよう援助しますが、これらは全て患者さんにとっても有益です。

介護者の緊張に影響する因子には、次のようなものがあります:


  • 介護に費やす時間。

  • 介護に対する介護者の準備の程度。

  • 行われている介護の種類。

  • 支援なしでの患者さんの活動能力(入浴や着替えなど)。

必要な支援の種類を調べるために、いくつかの領域について介護者の健全性を評価します。

介護者の評価に、標準的な手段はありません。評価法はそれぞれの介護者と家族によって異なるでしょう。評価対象となる因子には、文化、年齢、健康、経済状況、役割、関係などがあります。評価を実施した後、介護者が必要とする分野の支援サービスを選択することができます。

文化

研究によると、家族が介護者役割を引き受ける方法は、その家族の属する文化に影響されます。一部には、家族外からの支援を受け入れない文化もあります。外部の支援や家族の他の成員による補助が得られない介護者は、一般的に、外部から支援されている介護者よりも強いうつ状態にあります。

介護者が外部からの支援を受けない理由には、以下のようなものが考えられます:


  • 家庭内の事情を他人に知られたくない。

  • 外部の支援を見つけられない。

  • ソーシャルサービス提供者を信頼していない。

  • ホスピスケアがどのような援助を提供しているかを知らない。

年齢と健康

介護者は、以下に述べるような年齢と健康に関係する問題を抱えている場合がありますが、これらは介護者の緊張が生じるリスクを高めます:


  • 高齢の介護者の場合、加齢に伴う問題があると、介護労働への対応が難しくなります。高齢介護者のなかには、健康に問題がある人や、わずかな固定収入に頼って生活している人、また、社会的支援をほとんど受けられない人がいます。求められる介護内容を十分にこなそうとして、自身の健康に配慮しなくなる人もいます。そのせいで体調を崩したり、新たに健康上の問題が発生したりする場合があります。高齢介護者の緊張状態は、同年代の介護に関わっていない人々よりも早期の死亡につながる恐れがあります。

  • 職を持ち、子供や他の家族を扶養している中年または若年介護者は、介護の役割から緊張状態になることがよくあります。これらの介護者は仕事と家庭のニーズを満たそうとし、患者さんの介護期間中に社会生活の多くを断念します。

介護のコスト

家計収入が低い家庭には、介護にかかる費用を支払う余裕がないことがあります。治療に関連する費用を家族が支払えないと、患者さんの回復に悪影響が及ぶことも考えられます。このような場合、介護者の苦悩は深まります。

役割と関係

介護者が果たさなければならない役割が増えるほど、介護者の緊張が生じるリスクも高くなります。処理しきれないほど大量の役割を与えられると、全てに対応するには介護者の時間と体力が足りなくなります。例えば、仕事に就いていて、さらに子供の面倒もみなければならない介護者からは、高水準のストレスが報告されています。しかし、介護期間中の就業が救いになることもあります。介護の役割から離れる時間や同僚からの社会的支援が、介護者にとって慰めになるかもしれません。

家族内での役割と関係は、介護の影響を受けることがあります。介護者の評価では、家族関係について調査し、介護者の緊張が生じるリスクの有無を確認します。

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介護者に対する支援

介護者は非常に大変な役割であり、普通は支援を必要とします。

介護者の評価は家族介護者に対する支援計画に使用されますが、この評価は常に実施されるとは限りません。重要なのは、介護者が必要を感じたときに支援を要請できることです。過去に介護者の役割を経験したたくさんの人が、自分だけで多くのことをしすぎたと述べています。また、幾人かはすぐに支援を頼めばよかったと回顧しています。支援を求める先を見つける時機として最適なのは、がん診断時です。介護の全期間にわたって、介護者に緊張の徴候がないか注視し、そうした徴候が見られたらすぐに支援を確保することが重要です。自身のニーズに対応できる介護者は、介護を継続し優れた介護者たり得る強さを備えています。

介護者が必要とする分野の支援サービスを選択できます。

介護者に対する支援には、教育と情報、対処技術カウンセリング心理療法、家族会議、在宅ケア支援、ホスピスケアなどの種類があります。

教育と情報

介護を始めたばかりの家族介護者は、多くの疑問を持ち、いくつもの事柄に対して自信のない状態であるのが普通です。情報と教育は、介護者が自身の役割に感じる重圧を軽減し、落ち着きを取り戻すために役立ちます。患者さんやその介護者に新しいがん医療施設やサービスを紹介するプログラムが有用な場合があります。

がんの治療は長期にわたる場合があり、病状が様々に変化するため、時が経てば介護者が必要とする情報の種類も変わります。介護者が情報を入手すべき重要なタイミングは次のとおりです:


  • 診断時。

  • 患者さんの入院時。

  • 在宅ケアの開始時。

  • 新しい治療の開始時。

  • がんの再発時(再び現れた時)。

  • 終末期。

介護者は色々な方法で情報を入手できます:


  • がん情報の専門家に電話をする(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])。

  • インターネットで検索する。

  • 誰かに質問する。

  • 冊子、パンフレット、ファクトシート(概要説明書)、情報カードなどを読む。

  • 病院や医院で、タッチスクリーン式やその他の方式のコンピュータ情報システムを使用する。

  • 介護技能のDVD教材により学習する。

多くの場合、介護者はがんに関する事実や介護技術、症状副作用の管理方法についての知識を求めています。


  • がんに関する事実
    • がんは時間とともに、どのように変化するか。

    • 患者に現れる可能性のある症状。

    • 各種の治療法。

    • がんやがん治療が原因で生じる副作用。


  • 介護者に求められる技術

     複数の介護者の報告によると、介護者は試行錯誤でほとんどの介護技術を習得し、医療チームからもっと多くの情報が得られることを希望しています。患者さんを安全に移動させることと転倒のリスクを減らすことは、介護者が最も難しいと感じる技能です。以下は、介護者に必要と考えられる技術の一部です:


    • 患者さんの身体を移動させる方法。

    • 患者さんの歩行を介助する方法。

    • 患者さんが快適に感じる枕の配置方法。

    • の投与方法と治療の実施方法。

    • 医学的な緊急事態への対処。

    • 問題を解決する方法。

    • 自己管理の方法。

     多くの介護者は、患者さんの在宅ケアに対して外部から支援を受けるための知識も望んでいます。


  • 症状と副作用の管理方法

     介護者が、痛みや疲労などの症状や治療の副作用を管理する方法を習得していると、患者さんは気力と治療を続ける意志を保ちやすくなります。

     痛みは、がんの患者さんと介護者にとって深刻な問題となる症状です。たいていの家族介護者は、痛みやその管理方法についてほとんど知識を持っていません。痛みを十分に制御するには、医師の処方に従って鎮痛薬を投与すべきです。鎮痛薬に対する介護者の知識や信念は、患者さんの痛みの緩和に影響すると考えられます。介護者が患者さんの薬物依存や過量投与を恐れて、患者さんに少なすぎる量の鎮痛薬しか与えない場合があります。介護者が鎮痛薬についての確かな知識を持ち、正しい使用法を理解していれば、患者さんの痛みをより適切に抑制できるでしょう。介護者は痛みの治療を専門とする医師に相談し、患者さんの痛みを制御するために自身が必要とする情報と感情面での支援を受けることができます。

     介護者は以下の内容を学ぶべきです:


    • 使用する薬剤とその投与方法や頻度。

    • 薬剤が効いているかどうかや、その薬の一般的な副作用について報告する方法。

    • 薬剤が副作用を引き起こしている状況を知る方法。

      医療チームは、次のような薬剤を使用しない症状の管理方法についても、介護者の学習を支援することができます:


    • マッサージ。

    • 温湿布または冷湿布(皮膚に貼るパッド)。

    • 患者さんが自らの体力を効率的に使うための補助。

    • 休息とリラクゼーション。

    • 気晴らし(患者さんの注意を症状から逸らすこと)。


詳しい情報については、PDQ疼痛に関する要約をご覧ください。

他の一般的な副作用と症状に関する情報も、介護者に必要となる場合があります:


対処技術

介護者は、介護ストレスへの対処方法について学習するための支援プログラムを利用できます。こうしたプログラムは情報の入手や介護技術の向上に役立つほか、介護者が感情をコントロールし、希望を持つための助けとなります。プログラムによっては、問題の解決法や痛みなどの症状の管理法といった、1つのテーマに対する訓練を行います。一方で、いくつかの介護領域についての訓練を実施するプログラムもあり、それらを受講することで、介護者の気持ちが全般的に楽になる場合もあります。このようなプログラムが近くで開催されていないか確認するには、医療チームのメンバーに尋ねるか、地域の病院に電話で問い合わせるとよいでしょう。

COPE(Creativity [創造性]、Optimism [楽観主義]、Planning [計画]、Expert information [専門的情報]の頭文字)と呼ばれるプログラムでは、介護者は困難な介護上の問題を解決する方法や、個々の状況に対して計画を立てる方法、さらには気持ちを前向きにする方法の訓練を行います。このプログラムにより、一部の介護者のストレスが軽減されることが明らかになっています。

Family Caregiver Cancer Education Program(家族介護者のがん教育プログラム)は、介護者に症状の管理、円滑なコミュニケーション、役割や関係、資金の管理、自己管理のそれぞれを実施する方法を教えます。このプログラムを受講した介護者は、以前より自信がつき、有用な情報を学んだと感じています。また、受講後、徐々に介護者自身の健康状態がよくなったことが報告されています。

多くの介護者の場合、特定技能の訓練は生活の質の向上に寄与します。看護師が自宅を訪れ、介護者の訓練を行うプログラムは非常に有効です。そのなかで看護師は、介護レベルの変化に備えて患者さんと介護者を指導し、コミュニケーション技術を教え、在宅の患者を訪問し、さらにどの治療段階においても介護が継続されていることを確認します。

カウンセリング

カウンセリングは、必要な介護に伴って生じる感情に介護者が対処するのに役立ちます。医療チームは支援グループを勧めたり、メンタルヘルスの専門家に介護者を紹介したりする場合があります。この種の支援は不安やうつ状態を和らげるほか、介護者が前向きな気持ちを持ち、対処能力を向上させ、状況をコントロールできるようになるための手助けをします。

家族会議

がん患者さんの介護が続く間、家族は協力して対処すべきです。家族内でトラブルや対立が起こることや、がん患者さんへの介護疲れから以前の問題が蒸し返されたり、新しい問題が生じたりすることもあるでしょう。こうした対立は、家庭内のコミュニケーションや医療チームとのコミュニケーションに支障を来たす原因になります。このような対立が起こった場合、医療チームを交えた家族会議が有用となるでしょう。

家族会議では、家族の全員と医療チームが話し合います。家族会議は医療チームと介護者の間をつなぎ、協力し合うために役立ちます。家族の代表者と介護者の全員が会議に参加することが重要です。誰もが患者さんにとって最適な方法をとろうとしますが、家族のメンバーがそれに同意しない場合があります。家族会議を通じて、家族のメンバーは自分が感じていることを話し合ったり、手助けできる内容を決めたりすることができます。各人が、介護に利用できる技術を有している場合もあります。その他、家族会議では以下のような取り組みも行われます:


  • 介護者の懸念を明らかにする。

  • 治療についての明確な情報を得る。

  • 治療法や終末期の介護方法を決定しやすくする。

  • 症状と副作用が制御されることを介護者に知らせる。

  • 患者さんの要望が考慮されていることを介護者に知らせる。

家族会議が特に有効なのは、次のような場合です:


  • 話し合う内容を明確にしたリストがある場合。

  • 医療チームのメンバーが会議を主導する場合。

  • 家族のメンバーと介護者が質問し、心配事について話し合うことができる場合。

  • 家族のメンバーと介護者がつらい感情について自由に話し、そうした人々のケアを行う訓練を受けた専門家の支援を受ける場合。

会議の終わりに、医療チームは決定したことを確認し、次の段階の計画を立てることがあります。

コミュニケーションに関する詳しい情報については、PDQのがん医療におけるコミュニケーションに関する要約をご覧ください。

在宅ケア支援

がん患者さんを対象とした在宅ケアサービスは、介護者の支援も行っています。通常、州または地域の保健局には、認可を受けた在宅ケア事業者のリストがあります。在宅ケア事業者が提供するサービスには、次のようなものがあります:


  • 看護師、ヘルパー、療法士、ソーシャルワーカーによる訪問。

  • 各種用件の使い、食事の支度、入浴の介助。

  • 医薬品の宅配。

  • 医療機器の使用。

がん患者さんに対するホスピスケア

ホスピスケアは、終末期を間近に控え、がんを治癒または制御するための治療をとり止めた患者さんに実施されます。ホスピスの目標は、快適な状態を保ち、症状を軽減して、患者さんが日々をできるだけ豊かに過ごせるよう手助けすることです。がんの終末に求められる介護を無理なく行うために、家族介護者に追加の訓練と助言が必要な場合があります。家族介護者はこの時期に、患者さんと同程度の感情的な苦痛を感じることが少なくありません。ホスピスケアチームは、患者さんや介護者、そして家族の情緒的、社会的、霊的なニーズに対する支援を行います。

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介護についてさらに学ぶために

米国国立がん研究所(NCI)が提供している介護に関する詳しい情報については、NCIのウェブサイトからがんへの対処法:支持療法と緩和ケア(英語)のホームページをご覧ください。

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現在実施中の臨床試験

NCI支援のがん臨床試験リストから、現在患者さんを受け入れている介護者に関連した介入または処置介護者への心理社会的支援、および介護者への支援についての支持療法と緩和ケアの試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。

臨床試験に関する一般情報は、NCIのウェブサイトからも入手することができます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者の介護者の苦難と有用な介入に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Supportive and Palliative Care Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Supportive and Palliative Care Editorial Board. PDQ Family Caregivers in Cancer. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/about-cancer/coping/family-friends/family-caregivers-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389372]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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