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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

ニューカッスル病ウイルス(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2013-02-20
    翻訳更新日 : 2017-02-17

概要


  • ニューカッスル病ウイルス(NDV)は、ヒトのがん 細胞において、ヒトのほとんどの正常な細胞での場合よりも速く複製する(自分のコピーを作る)こと、また、こうした宿主細胞を死滅させることができることから関心が寄せられているウイルスです(詳しくは質問1を参照してください)。

  • NDVは、がん細胞を直接死滅させるために使うことも、がんワクチンとして投与することもできます。がんワクチンは、体に元々備わっている免疫系ががん細胞を見つけ出して破壊するようにします(詳しくは質問4を参照してください)。

  • NDVのがん治療法としての臨床試験調査研究)の結果からは、その効果は証明されていません(詳しくは質問6を参照してください)。

  • 米国食品医薬品局はNDVをがんの治療法として承認していません(詳しくは質問8を参照してください)。

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ニューカッスル病ウイルスに関する質問と回答

1.

ニューカッスル病ウイルスとはどのようなものですか。

 

  ニューカッスル病ウイルス(NDV)は、様々な種類の鳥に致命的な感染を引き起こすウイルスです。NDVは、ヒトでは軽いインフルエンザに似た症状結膜炎(眼の感染で、はやり目とも呼ばれる)、喉頭炎喉頭とその周辺の刺激と腫れ)などを引き起こします。

 NDVは他のウイルスと同じように細胞宿主細胞という)に感染し、続いて、自分を複製する(自分のコピーを作る)ためにその細胞を利用します。研究者がNDVに関心を寄せているのは、NDVがヒトのがん細胞では、ヒトのほとんどの正常な細胞においてよりも速く複製し、こうした宿主細胞を死滅させることができるためです。以上の理由から、このウイルスはがんの治療法として研究されています。

2.

ニューカッスル病ウイルスはどのような経緯で発見され、がんの補完代替医療として使用されるようになったのですか。

 

 NDVががんの治療法として役に立つかもしれないという最初の報告は1964年に発表されました。この報告に先立つ20年間は、NDVは鳥のニューカッスル病を予防するワクチンとして使用されていました。この間に、NDVがヒトでは軽い疾患しか引き起こさないことが判明しました。ヒトでNDVが引き起こす副作用が軽いことと、ヒトのがん細胞ではヒトのほとんどの正常な細胞での10,000倍もの速さで複製する能力があることから、補完代替医療研究者ががんの治療法の候補としてNDVに注目するようになりました。NDVは、伝統医学研究者によっても現在、研究されています。

3.

ニューカッスル病ウイルスががんの治療に有用であるという主張の背景にはどのような理論があるのですか。

 

 NDVの株には多くの種類があり、ヒトの細胞に対して溶解性のものと、非溶解性のものとがあります。溶解性の株は、外側の組織の層)を破壊して、感染した細胞を死滅させます。非溶解性の株は、細胞の生存に必要な基本的なプロセスを妨げて細胞を死滅させます。NDVの溶解性の株はがん細胞を直接死滅させることができるためヒトでの研究が行われていますが、免疫系ががんと戦うのを助けるワクチンの製造には、溶解性の株と非溶解性の株の両方が用いられています。

4.

ニューカッスル病ウイルスはどのように投与されますか。

 

 NDVを投与する方法は、がん細胞を標的とするためのウイルスの利用方法によって異なります。患者さんを直接NDVに感染させるために使われることも、がんワクチンを作るために使われることもあります。NDVで作ったがんワクチンは体に元々備わっているがんに対する免疫反応を改善して、NDVが存在しない場合よりも多くのがん細胞を攻撃して死滅させるようにします。研究者はNDVをがんの治療法として利用する3通りの方法を研究しています:


  • がん患者のNDVへの感染

     NDVを腫瘍、筋肉、静脈静脈内注射)、結腸などに直接注入します。また、ウイルスを吸入する方法もあります。質問1で説明したように、NDVは細胞に感染すると自分を複製してさらに多くのウイルスのコピーを作り、それによって全身の細胞への感染が可能です。このプロセスはがん細胞を標的にし、細胞の外側の膜を破壊して死滅させます。


  • 腫瘍融解物ワクチン

      腫瘍融解物ワクチンは、NDVに感染したがん細胞の膜の小片を使って作られます。腫瘍融解物をもとにしたワクチンは、皮膚の下や内側に注射します。


  • 全細胞ワクチン

      全細胞ワクチンは、NDVに感染させた完全な腫瘍細胞を使って作られます。このワクチンに使われる腫瘍細胞は、増殖したり患者に感染したりできないように、実験室で変化させたものです。NDVの全細胞ワクチンの投与方法は、皮膚の下への注射のみです。


5.

ニューカッスル病ウイルスを使用した前臨床研究(基礎研究や動物での研究)は実施されていますか。

 

 多数の前臨床研究がNDVを使って実施されています。研究室での研究や動物を使った試験は、ある薬物、処置、治療法などがヒトにおいて役に立つ可能性があるかどうかを明らかにするために行われます。こうした前臨床研究は、ヒトを対象とした試験が開始される前に実施されます。前臨床研究から、以下のようなことが分かっています:


  • NDVはヒトのがん細胞において、他のどんな種類の細胞においてよりも速く複製します。

  • ある種のNDVには、特定の種類のがん細胞を直接死滅させる能力があります。

  • NDVとNDVに感染したがん細胞は、免疫系に様々な反応を起こさせます。

 以上の研究のうちヒトの細胞を使ったものは少数で、多くは動物の細胞を使っています。以上の結果やその他の基礎研究の結果を受けて、NDVを使った臨床試験(ヒトに対する調査研究)が開始されました。

6.

NDVの臨床試験(ヒトに対する調査研究)は実施されていますか。

 

 NDVの臨床試験は実施されていますが、NDVががんの治療法として有効であることは立証されていません。肯定的な結果が報告された試験も、そうでない試験もあります。これらの試験のほとんどには、並行して標準治療も受けている少数の患者さんしか参加していませんでした。英語で発表されている試験の中にランダム化臨床試験は存在せず、対照臨床試験もほとんどありません。ランダム化臨床試験からは、最も高いレベルの証拠が得られます。ランダム化臨床試験では試験に参加したいという人々を、2つ以上のグループにランダムに(偶然によって)振り分け、治療と関連する異なる要素を比較します。対照臨床試験では、1つのグループ(対照群と呼ばれます)は、研究中の新しい治療を受けません。そして、対照群と新しい治療を受けるグループを比較して、新しい治療に効果があるかどうかを確かめます。がんの治療法としてのNDVの使用については、これまでに行われた試験の結果を確かめるために、もっと大勢の患者さんが参加するランダム化対照試験を実施するべきです。

 NDVのがんの治療法としての使用を研究する臨床試験は、米国、カナダ、中国、ドイツ、ハンガリーで実施されています。以下ではこれらの試験について簡潔に説明していきます。

  腫瘍融解物ワクチンを使った試験

 米国の4件の臨床試験で、転移性 黒色腫の患者さんを対象としてNDV腫瘍融解物の使用が研究されました。このうち3件(第I相臨床試験が1件と第II相臨床試験が2件)は、同じ研究者グループが実施しました。これらの試験では一定の肯定的な結果が確認されました。4件目の試験は別の研究者らが主導したものであり、有益性は明らかにされませんでした。4件の試験全てにおいて同じ種類のNDVからワクチンが作られましたが、その作成方法は2つの研究者グループで異なっていました。もっと多くの患者さんの参加するランダム化対照試験で、これらの試験の結果を確かめるべきです。

 NDV腫瘍融解物の第II相臨床試験は、この他にドイツで2件実施されました。そのうち1件は、試験に参加した人々のほうが、手術のみで治療を受けた同様の患者さんについて発表されたデータと比べ、無病生存期間が長いことを明らかにしました。これらの試験は対照試験ではなく、患者さんは他の治療も受けていたので、報告された反応を引き起こしたのがNDV腫瘍融解物による治療であったかどうかは明確ではありません。

  全細胞ワクチンを使った試験

 NDVの全細胞ワクチンの臨床試験で発表されたものの大半は、ドイツで実施されています。最大の試験は、中国で報告されました。これらの試験のほとんどが、大腸がん乳がん卵巣がん腎細胞(腎)がん悪性 グリオーマの患者を対象としています。これら全ての試験で、同じ種類のNDVを使ってワクチンが作られました。

 こうした試験のなかには、全細胞ワクチンで治療を受けた患者さんの無病生存期間の改善や、全生存率の向上が確認されたものもあります。対照群がないなど、研究の設計と報告の方法に問題点があったため、有益性が全細胞ワクチンによって生じたのか、あるいは他の原因があったのかは明確になりませんでした。総合的に試験結果からは、全細胞ワクチンはワクチン接種プログラムの間、免疫系がより多くのがん細胞を死滅させるのに役立つ可能性がありますが、がんに対する長期的な免疫が得られるわけではないと考えられます。

  NDV(MTH-68を含む)に感染させる試験

 NDVに患者さんを感染させることによるがん治療に関する試験は、ほとんどがハンガリーで、NDVのMTH-68という株を使って実施されています。次のような種類の研究による結果が発表されています:


  • 逸話的な報告(一人以上の患者さんの、完全には記述されていない医学や治療の経緯)。

  • 症例報告(個々の患者さんの診断、治療、その後の経過の詳しい報告)。

  • 少数からなるケースシリーズ(同じような治療を受けた患者さんを含む症例報告のグループ)。

  • 第II相臨床試験。

 研究者によると、こうした研究で、MTH-68による治療はほとんどの患者さんに役立ったということです。しかし、これらの研究は患者さんの数が少なく、患者さんが臨床試験にランダムに割り当てられたわけではありませんでした。また、患者さんは他の治療も受けていました。以上の理由から、患者さんの役に立ったのがMTH-68だったのか、それ以外の何かだったのかは分かりません。

 米国では1件の第I相臨床試験で、別の種類のNDVであるPV701が検証されました。この試験では、進行がんを患っていて従来療法では効果がなかった79人の患者さんに対し、PV701を静脈に注射して投与しました。患者さんのなかには、治療に反応して部分奏効を示した人もいれば、病態に何の変化もみられなかった人もいました。さらにいくつかの試験が計画されています。

 大きな懸念として、NDVを繰り返し注射すると、その人の免疫系がウイルスに対する抗体を作るようになるのではないかということがあります。抗体が作られるようになれば、がん細胞に感染してそれらを死滅させるNDVの働きが妨げられます。この点についてさらに調査し、研究するべきです。

 がん治療におけるNDVに関する研究のほとんどは対照群をもたない小規模なものですが、そこでは継続的な研究が必要とされるほどの十分有望な結果がでている。

7.

ニューカッスル病ウイルスの副作用やリスクはNDVから報告されていますか。

 

 NDVへの曝露によって起きる副作用はこれまでのところ、軽度から中等度です。質問1で述べているように、NDVはヒトでは軽いインフルエンザに似た症状や結膜炎、喉頭炎を引き起こします。その他の副作用は、ウイルスの投与のしかたによって様々です。


  • ウイルスのみを用いて治療した後の副作用で最もよく報告されているのは発熱で、これは通常、24時間以内に治まります。ある試験では、一部の腫瘍の周辺に炎症と腫れがみられました。これらの副作用の合併症が、1名の患者さんの死亡の一因になったと考えられるケースがあります。

  • NDV感染全細胞ワクチンによる治療で最もよくみられる副作用は軽いものです:
    • 軽度の頭痛。

    • ワクチン接種を行った日の軽度の発熱。

    • 注射した部位の皮膚のかゆみ、腫れ、発赤。


  • NDV腫瘍融解物ワクチンによる治療の唯一の悪影響は、注射した部位の炎症でした。

 NDVの腫瘍融解物ワクチンまたは全細胞ワクチンと、サイトカインという物質を併用した試験では、インフルエンザに似た症状、発熱、腫れが報告されています。こうした試験でみられた副作用は、治療で用いられたサイトカインに関連すると考えられています。

8.

米国食品医薬品局(FDA)は、米国でニューカッスル病ウイルスをがんの治療法として使用することを承認していますか。

 

  米国食品医薬品局(FDA)はニューカッスル病ウイルスをがんの治療法として承認していません。

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臨床試験

NCIのがん臨床試験リストから、現在患者さんの登録を行っている腫瘍溶解性ニューカッスル病ウイルスに関するがんCAMの臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

臨床試験に関する一般的な情報は、NCIのウェブサイトから利用可能です。

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本要約の変更点(02/20/2013)

PDQ がん情報要約は定期的に見直され、新しい情報が利用可能になり次第更新されます。本セクションでは、上記の日付における本要約の最新変更点を記述しています。

本要約には編集上の変更が行われました。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、がん患者さんに対する治療でのニューカッスル病ウイルスの使用に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Cancer Complementary and Alternative Medicine Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

National Cancer Institute: PDQ® Newcastle Disease Virus. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Date last modified <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/cancertopics/pdq/cam/NDV/patient. Accessed <MM/DD/YYYY>.

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのCoping with Cancer: Financial, Insurance, and Legal Informationページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのContact Formから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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補完代替医療(CAM)についての一般的な情報

補完代替医療(CAM)は、統合的医療とも呼ばれ、ヒーリングに関する原理やアプローチ、治療法などを幅広く意味します。従来の治療に加えて実施する場合は補完療法と呼ばれ、また、従来の治療の代わりに実施する場合は、よく代替療法と呼ばれます(従来の治療とは医学界で広く受け入れられ、かつ主流となっている治療を意味します)。どのように用いられるかによって、補完療法とみなされる場合と、代替療法とみなされる場合があります。補完代替療法は、病気の予防やストレスの軽減、副作用や症状の予防と軽減、そして疾患の管理や治癒を目的として用いられます。

がんの従来の治療とは異なり、補完代替療法は保険が適用されないことが多くあります。患者さんは加入保険会社に、補完代替医療が保険の適用対象となっているかどうかを確認することをお奨めします。

補完代替医療の中には、標準治療を妨げたり、従来の治療と併用した場合に有害となりうるものがあるため、補完代替療法を検討されているがん患者さんはどんな治療法でも必ず、担当医や看護師、薬剤師と相談して意思決定を行ってください。

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補完代替医療(CAM)のアプローチの評価

補完代替医療の治療についても、従来の治療の評価と同様、厳格な科学的評価を行うことが重要です。米国国立がん研究所(NCI)および米国国立補完代替医療センター(NCCAM)は医療施設において、がんに対するCAM療法の評価を行うための臨床試験(調査研究)を数多く主催しています。

一般的に、がんの治療における従来のアプローチは、多数の患者さんを対象とした臨床試験の実施など、厳格な科学的プロセスを経て、安全性や有効性が検討されています。それに比べ、補完代替医療の安全性や有効性についてはあまり知られていません。厳格な評価を経たCAM療法はごくわずかです。はじめは純粋に代替アプローチとみなされていた少数のCAM療法が、治癒を求めるものではなく、患者さんをより楽にし回復を早める手助けとなる補完医療として、がんの治療で用いられつつあります。1つの例が鍼療法です。1997年11月に開催された米国国立衛生研究所(NIH)コンセンサス会議の専門家委員会によると、鍼療法は化学療法に関連した吐き気や嘔吐、そして手術に関連した疼痛の管理に有効であることがわかりました。対照的に、レートリルの使用などのいくつかのアプローチは、検討の結果、無効であるか、または有害となりうることがわかりました。

1991年に始まったNCIのBest Case Series Programは、臨床で用いられているCAMアプローチの評価を行うプログラムの1つです。このプログラムはNCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)の監視下で進められています。がん代替医療を行う医療専門家は、患者さんのカルテや関連資料をOCCAMに提出します。OCCAMではそれらの資料を厳密に精査し、NCI主導の研究を正当化するであろう治療アプローチについては、フォローアップ研究の戦略を立てています。

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補完代替医療(CAM)について医療提供者に質問すべきこと

補完代替療法を受けることを考えている場合、患者さんは主治医などの医療提供者に次の質問を行ってください。


  • どのような副作用が予想されますか。

  • この治療に伴うリスクは何ですか。

  • 既知の有益性はそれらのリスクに勝っていますか。

  • この治療からどのようなメリットが期待できますか。

  • この治療は従来の治療の妨げになりますか。

  • この治療は臨床試験の一部として実施されますか。

  • もしそうなら、誰がその試験を主催しますか。

  • この治療には健康保険が適用されますか。

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補完代替医療(CAM)についてさらに知るには

米国国立補完代替医療センター(NCCAM)

米国国立衛生研究所(NIH)の国立補完代替医療センター(NCCAM)は、補完代替医療の研究および評価を促進し、医療専門家や一般の方を対象に様々なアプローチについての情報を提供しています。


    NCCAM Clearinghouse
    Post Office Box 7923 Gaithersburg, MD 20898–7923
    電話:+1-888-644-6226(フリーダイヤル) 301-519-3153(海外からの場合)
    テレタイプライター付の電話(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):+1-866-464-3615
    Fax:+1-866-464-3616
    E-mail:info@nccam.nih.gov
    ウェブサイト:http://nccam.nih.gov

CAM on PubMed

NCCAMおよびNIH国立医学図書館(NLM)は共同でCAM on PubMedを開発し、CAMに関連するジャーナルの記載内容を無料かつ簡単に検索できる機能を提供しています。NLMの図書目録データベースのサブセットとして、CAM on PubMedには様々な科学ジャーナルのCAMに関連する論文から、230,000を超える文献や抄録が登録されています。このデータベースはさらに、1,800を超えるジャーナルにリンクしており、ユーザーが論文全文を参照できるようになっています(論文全文を参照するには、購読料などの費用が発生する場合があります)。CAM on PubMedはNCCAMのウェブサイトから利用可能です。NLMのPubMed図書目録データベースからもCAM on PubMedにアクセスできます(「Limits」タブ → 「Complementary Medicine」を選択してください)。

がん補完代替医療オフィス

NCIのがん補完代替医療オフィス(OCCAM)は、補完代替医療(CAM)の分野におけるNCIの活動をコーディネートしています。OCCAMはCAMのがん研究をサポートし、がんに関連するCAMについての情報を、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトを通して医療提供者や一般の方に提供しています。

米国国立がん研究所(NCI)のがん情報サービス

米国にお住まいの方は、NCIがん情報サービスフリーダイヤル+1-800-4-CANCER(+1-800-422-6237)に電話をすることができます(月曜日から金曜日の午前8時から午後8時まで)。訓練を受けたがん情報スペシャリストが質問にお答えします。

食品医薬品局

食品医薬品局(FDA)は、薬物や医療機器を規制し、それらの安全性と有効性を確保しています。


    食品医薬品局
    5600 Fishers Lane
    Rockville, MD 20857
    電話:+1-888-463-6332 (フリーダイヤル)
    ウェブサイト:http://www.fda.gov/

連邦取引委員会

連邦取引委員会(FTC)は消費者保護法を施行しています。FTCから入手可能な出版物は以下の通りです:


  • Who Cares: Sources of Information About Health Care Products and Services

  • Fraudulent Health Claims: Don't Be Fooled


    消費者センター
    連邦取引委員会
    CRC-240
    Washington, DC 20580
    電話:+1-877-FTC-HELP(+1-877-382-4357)(フリーダイヤル)
    テレタイプライター付の電話の場合(耳が聞こえないか聴覚に障害のある方用):202-326-2502
    ウェブサイト:http://www.ftc.gov/
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