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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

甲状腺がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-05-27
    翻訳更新日 : 2017-02-17

 このPDQがん情報要約では、甲状腺がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

甲状腺がんについての一般的な情報

甲状腺がんは、甲状腺の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

甲状腺とは、咽頭の最下部の気管の近くに位置する内分泌のことです。その形状は蝶の形に似ていて、右と左葉から構成されています。これら2つの葉は峡部(中間部の細くなった部分)と呼ばれる組織によってつながれています。正常な甲状腺の重量は25セント硬貨(5gほど)より若干重い程度です。通常は皮膚の上から触知することはできません。



甲状腺と副甲状腺の解剖図:図は咽頭基部の気管付近に位置する甲状腺を示している。拡大図は甲状腺の正面図と背面図である。正面図からは甲状腺が蝶のような形状であること、右葉と左葉が峡部という細い組織で連結されていることがわかる。背面図は4つの豆粒大の副甲状腺を示している。喉頭も示されている。



甲状腺と副甲状腺の解剖図。甲状腺は、咽頭の最下部の気管付近に位置しています。蝶のような形状であり、右葉と左葉が峡部という細い組織で連結されています。副甲状腺は4つの豆粒大の器官で、頸部の甲状腺の近くに存在します。甲状腺と副甲状腺はホルモンを産生します。



甲状腺はヨウ素(一部の食品やヨウ化物に含まれるミネラルの一種)を原料にして数種類のホルモンを生産しています。甲状腺ホルモンには以下のような作用があります:


  • 心拍数、体温、食物をエネルギーに変換(代謝)する速さなどの調節。

  • 血液中のカルシウムの濃度の調節。

甲状腺がんの代表的なものには以下の4種類があります:


小児甲状腺がんの情報については、PDQ小児にはまれながんの治療の要約をご覧ください。

甲状腺がんのリスクに影響を及ぼす要因に、年齢、性別、放射線曝露があります。

疾患が発生する危険性を増大させるものは全てリスク因子と呼ばれます。リスク因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、リスク因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクについて不安がある場合は、担当の医師にご相談ください。甲状腺がんのリスク因子には以下のものがあります:


甲状腺髄様がんはときに、親から子供へと受け継がれた遺伝子の変異が原因となって引き起こされることがあります。

細胞内に存在する遺伝子には、両親からその子供に受け継がれた遺伝情報が保持されています。甲状腺髄様がんの一部は、親から子に受け継がれた(遺伝した)ある遺伝子の特定の変化が原因となって発生します。甲状腺髄様がんが出現する前にこの遺伝子変異の存在を確かめることのできる検査法がすでに開発されています。患者さんはまず、この遺伝子変異が存在しているかどうかを確かめる検査を受けます。ここでこの遺伝子変異が発見された場合には、そのご家族の方々にも検査が行われることもあります。この遺伝子変異の存在が明らかになったご家族(幼い子供も含める)の人には、甲状腺摘出術(甲状腺を摘出する手術)を行うことによって甲状腺髄様がんの発生リスクを低減させることが可能です。

甲状腺がんの徴候には、頸部の腫れやしこりなどがあります。

甲状腺がんでは、初期に徴候症状が現れない場合もあります。通常の身体診察の際に発見される場合もあります。腫瘍が大きくなるにつれて、徴候や症状が現れてくる場合があります。ただし、他の病態が原因で同様の徴候や症状が生じてくる場合もあります。以下の症状が1つでも認められた場合は、医師の診察を受けてください:


  • 頸部のしこり。

  • 呼吸障害。

  • 嚥下障害。

  • 嗄声(させい:声のしわがれ)。

甲状腺がんの発見と診断には、甲状腺、頸部、血液を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴聴取:頸部、喉頭リンパ節にしこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 喉頭鏡検査 :鏡や喉頭鏡を用いて喉頭の内部を調べる検査法。喉頭鏡とは、観察用のライトとレンズを備えた細いチューブ状の器具のことです。甲状腺腫瘍は声帯を圧迫することがあります。喉頭鏡検査は、声帯が正常に動いているかどうかを確かめる目的で実施されます。

  • 血中ホルモン検査:採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定のホルモンの濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、その物質を作り出している臓器や組織における疾患の徴候である可能性があります。甲状腺刺激ホルモン(TSH)の血中濃度の異常について調べられる場合もあります。TSHは脳の下垂体という部分から分泌されています。このホルモンには、甲状腺ホルモンの分泌を誘導するとともに、甲状腺濾胞細胞の増殖速度を調節する作用があります。 カルシトニンというホルモンおよび抗甲状腺抗体の血中濃度が高くないか調べられる場合もあります。

  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器や組織から血液中に放出される特定の物質(カルシウムなど)の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。

  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。この検査法では、甲状腺腫瘍の大きさと内部構造(充実性の腫瘍か内部に液体を入れた嚢胞状の腫瘍か)を知ることができます。超音波は穿刺吸引生検の際の誘導法としても利用されます。

  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

    頭頸部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン):図のように患者は台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに頭頸部のX線写真が撮影される。
    
    


    頭頸部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン)。患者さんは台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに頭頸部のX線写真が撮影されます。




  • 甲状腺の穿刺吸引生検:細い針を用いて甲状腺の組織を採取する手技。皮膚から甲状腺の内部に針が挿入されます。そして甲状腺の数ヵ所から組織のサンプルが採取されます。切除された組織のサンプルは病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。甲状腺がんの種類についての診断は難しくなることもあるため、患者さんは、甲状腺がんの診断に熟練した病理医に生検材料を診てもらうべきです。

  • 外科生検 手術中に甲状腺の小結節や甲状腺の片側の葉を切除する検査で、切除された組織は病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。甲状腺がんの種類についての診断は難しくなる場合もあるため、甲状腺がんの診断に熟練した病理医にその生検材料を診てもらうのもよいでしょう。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • 患者さんの年齢。

  • 甲状腺がんの種類。

  • がんの病期

  • 患者さんの健康状態。

  • 患者さんが多発性内分泌腫瘍2B型(MEN2B)であるかどうか。

  • 新たに診断されたがんか、再発した(再び現れた)がんか。

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甲状腺がんの病期

甲状腺がんの診断がついた後には、甲状腺内でのがん細胞の拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん甲状腺内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要です。病期分類の過程では、以下のような検査法や手技が用いられます:


  • CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

    頭頸部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン):図のように患者は台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに頭頸部のX線写真が撮影される。
    
    


    頭頸部のコンピュータ断層撮影(CTスキャン)。患者さんは台の上に横たわり、この台がCTスキャナ内を水平に移動するうちに頭頸部のX線写真が撮影されます。




  • 超音波検査:高エネルギーの音波(超音波)を内部の組織や臓器に反射させ、それによって生じたエコーを利用する検査法。このエコーを基にソノグラムと呼ばれる身体組織の画像が描出されます。この画像は後で見られるように印刷することもできます。

  • 胸部X線 検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

  • センチネルリンパ節生検 手術中にセンチネルリンパ節を採取する手技。センチネルリンパ節とは、腫瘍からのリンパ液の流れを最初に受けるリンパ節のことです。これは、腫瘍中のがん細胞が最初に転移する可能性の高いリンパ節です。放射性物質や青色の色素が腫瘍の付近に注入されます。すると、この放射性物質や色素はリンパ管を通ってリンパ節に流れ込みます。そうして、放射性物質や色素が最初に到達したリンパ節が切除されます。切除された組織は病理医顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。そこでがん細胞が発見されなければ、それ以上のリンパ節の切除が不要になる場合もあります。

体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

がんは発生した場所から体内の他の部位に拡がることがあります。

がんが体内の他の部位に拡がることを転移と呼びます。がん細胞は発生した場所(原発腫瘍)から分離し、リンパ系や血液を介して移動します。


  • リンパ系。がんがリンパ系に侵入し、リンパ管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍転移性腫瘍)を形成します。

  • 血液。がんが血液中に侵入し、血管を通って体内の他の部位へ移動して、そこで腫瘍(転移性腫瘍)を形成します。

転移性腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類の腫瘍です。例えば、甲状腺がんに転移した場合、肺にできたがん細胞は、実際は甲状腺がんの細胞です。この疾患は転移性甲状腺がんであり、肺がんではありません。

病期は甲状腺がんの種類と患者さんの年齢に基づいて甲状腺がんを表すために用いられます:
45歳未満の患者さんの甲状腺乳頭がんおよび甲状腺濾胞がん

45歳以上の患者さんの甲状腺乳頭がんおよび甲状腺濾胞がん


腫瘍の大きさを日常の身近な物と比べた図:様々な腫瘍の大きさと豆、ピーナッツ、クルミ、ライムとを比較している。



豆、ピーナッツ、クルミ、ライムによって腫瘍の大きさを示しています。




  • I期:I甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんでは、甲状腺のみにがんが認められ、腫瘍の大きさは2cm以下です。

  • II期:II甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんでは、甲状腺のみにがんが認められ、腫瘍の大きさは2cmを超えていますが4cm以下です。

  • III期:III甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんでは、以下の条件のいずれかが満たされます:
    • 腫瘍の大きさが4cmを超えていて、甲状腺のみに認められるか、または腫瘍の大きさは様々で、がんが甲状腺のすぐ外の組織に拡がっているもののリンパ節には転移していない;または、

    • 腫瘍の大きさは様々で、がんが甲状腺のすぐ外の組織まで拡がっている場合があり、気管または喉頭(発声器)の近くのリンパ節に転移している。


  • IV期:IV甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんは、IVA期、IVB期、IVC期に分けられます。
    • IVAでは、以下の条件のいずれかが満たされます:
      • 腫瘍の大きさは様々で、がん甲状腺の外へ拡がって、皮下組織気管食道喉頭(発声器)、喉頭の反回神経(2本の分枝をもつ喉頭につながる神経)のいくつかに達しており;さらに、気管や喉頭の近くにある複数のリンパ節にがんが転移している場合がある;または、

      • 腫瘍の大きさは様々で、甲状腺のすぐ外の組織までがんが拡がっている場合がある。さらに、頸部の片側または両側にある複数のリンパ節、あるいは両の間にある複数のリンパ節にがんが転移している。


    • IVBでは、がん脊柱の前方にある組織に拡がっているか、あるいは頸動脈または両の間の領域にある血管の周りにがんが認められます。さらに、複数のリンパ節にがんが転移している場合もあります。

    • IVCでは、腫瘍の大きさは様々で、がんや骨などの体の他の部位に転移しており、複数のリンパ節に転移している場合もあります。


全年齢の甲状腺髄様がん

  • 0期: 0期の甲状腺髄様がんは、特殊なスクリーニング検査以外では発見できません。甲状腺の内部に腫瘍は認められません。

  • I期:I甲状腺髄様がんは、甲状腺のみに認められ、大きさは2cm以下です。

  • II期:II甲状腺髄様がんでは、以下の条件のいずれかが満たされます:
    • 腫瘍の大きさが2cmを超えており、甲状腺のみに認められる;または、

    • 腫瘍の大きさは様々で、甲状腺のすぐ外の組織に拡がっているが、リンパ節には転移していない。


  • III期:III甲状腺髄様がんでは、腫瘍の大きさは様々で、気管喉頭(発声器)の近くにある複数のリンパ節に転移しており、甲状腺のすぐ外の組織に拡がっている場合もあります。

  • IV期:IV甲状腺髄様がんは、IVA期、IVB期、IVC期に分けられます。
    • IVAでは、以下の条件のいずれかが満たされます:
      • 腫瘍の大きさは様々で、がん甲状腺の外へ拡がって、皮下組織気管食道喉頭(発声器)、喉頭の反回神経(2本の分枝をもつ喉頭につながる神経)のいくつかに達しており;さらに、気管や喉頭の近くにある複数のリンパ節にがんが転移している場合がある;または、

      • 腫瘍の大きさは様々で、甲状腺のすぐ外の組織までがんが拡がっている場合がある。さらに、頸部の片側または両側にある複数のリンパ節、あるいは両の間にある複数のリンパ節にがんが転移している。


    • IVBでは、がん脊柱の前方にある組織に拡がっているか、あるいは頸動脈または両の間の領域にある血管の周りにがんが認められます。さらに、複数のリンパ節にがんが転移している場合もあります。

    • IVCでは、腫瘍の大きさは様々で、がんや骨などの体の他の部位に転移しており、複数のリンパ節に転移している場合もあります。


甲状腺未分化がんは、IV期の甲状腺がんと考えられます。

甲状腺未分化がんは増殖のペースが速く、通常は、発見されたときにはすでに頸部内で拡がっています。IVの甲状腺未分化がんは、IVA期、IVB期、IVC期に分けられます。


  • IVAでは、がん甲状腺の中に認められ、複数のリンパ節に転移している場合もある。

  • IVBでは、がんが甲状腺のすぐ外まで拡がっており、複数のリンパ節に転移している場合もある。

  • IVCでは、がんがや骨などの体の他の部位に転移しており、複数のリンパ節に転移している場合もある。

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再発甲状腺がん

再発 甲状腺がんとは、治療後に再発した(再び現れた)がんのことをいいます。甲状腺がんの再発は、甲状腺に生じることもあれば、体の他の部位に発生することもあります。

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治療選択肢の概要

甲状腺がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

甲状腺がんの患者さんは、様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

標準治療として以下の5種類が用いられています:
手術

手術は甲状腺がんに対して最もよく用いられている治療法です。以下のような手術法が用いられます:


  • 葉切除術:甲状腺のうち、甲状腺がんが存在する片側のだけを切除する手術法。がんの転移の有無を確かめるために、周辺の領域にあるリンパ節生検を行う場合もあります。

  • 甲状腺全摘術:わずかな部分だけを残して甲状腺のほぼ全体を切除する手術法。

  • 甲状腺全摘除術:甲状腺全体を切除する手術法。

  • リンパ節郭清術:がんに侵されている頸部リンパ節を切除する手術。

放射線療法には放射性ヨウ素療法が含まれます。

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります:


放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。甲状腺がんの治療には、外照射療法と放射性ヨウ素(RAI)療法が用いられます。

手術で除去されなかった甲状腺がん細胞を根絶することを目的として、術後に放射線療法が行われることがあります。甲状腺濾胞がん甲状腺乳頭がんの治療では、ときに放射性ヨウ素(RAI)療法が行われます。RAIは経口で投与され、残存する甲状腺組織や、体内の他の部位に転移していった甲状腺がん細胞の下に集まっていきます。ヨウ素を取り込む性質があるのが甲状腺組織だけであるため、RAIは他の組織に害を及ぼすことなく甲状腺組織と甲状腺がん細胞だけを破壊します。実際の治療では、治療用の用量のRAIを全て投与するのに先立って、腫瘍がヨウ素を取り込むかどうかを確かめるために少量の検査用の用量のRAIが投与されます。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内や臓器内、あるいは腹部などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、その領域にあるがん細胞に薬が集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なります。

詳しい情報については、甲状腺がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

甲状腺ホルモン療法

ホルモン療法は、ホルモンを体内から除去したりその働きを阻害したりすることによって、がん細胞の増殖を阻止する治療法です。ホルモンとは、体内の内分泌で作られて血流内を循環する物質のことです。甲状腺がんの治療では、甲状腺がんの増殖や再発の可能性を高めるホルモンである、甲状腺刺激ホルモン(TSH)の体内での生産を阻止するために薬が使用されることがあります。

また、甲状腺がんの治療では甲状腺の細胞も殺傷されてしまうため、甲状腺から十分な量の甲状腺ホルモンが生産されなくなります。そのため患者さんには甲状腺ホルモンを補充するための薬が処方されます。

標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。チロシンキナーゼ阻害薬療法は、標的療法の1つで、腫瘍の増殖に必要な信号を遮断します。

バンデタニブソラフェニブは、特定の甲状腺がんの治療に用いられるチロシンキナーゼ阻害薬です。

詳しい情報については、甲状腺がんに対する使用が承認されている薬剤(英語)をご覧ください。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから入手することができます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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病期ごとの治療選択肢

I期およびII期の甲状腺乳頭がんと甲状腺濾胞がん

IおよびII期の甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、I期甲状腺乳頭がんI期甲状腺濾胞がんII期甲状腺乳頭がん、およびII期甲状腺濾胞がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

III期の甲状腺乳頭がんと甲状腺濾胞がん

III甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんの治療法は、甲状腺全摘除術となるのが通常です。甲状腺の外部まで拡がったがんや、がんの転移したリンパ節も併せて切除されます。手術の実施後に放射性ヨウ素 療法外照射療法が行われる場合もあります。

NCI支援のがん臨床試験リストから、III期甲状腺乳頭がんIII期甲状腺濾胞がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

IV期の甲状腺乳頭がんと甲状腺濾胞がん

IV甲状腺乳頭がん甲状腺濾胞がんでも、転移がリンパ節だけに限られるものでは、治癒が可能となる場合も多くなります。がんや骨などの体の他の部位に転移している場合は、通常は治療を行っても治癒させることはできませんが、症状を軽減して生活の質を高めることは可能です。治療法には以下のようなものがあります:

ヨウ素を取り込む腫瘍の場合


ヨウ素を取り込まない腫瘍の場合


NCI支援のがん臨床試験リストから、IV期甲状腺乳頭がんIV期甲状腺濾胞がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

甲状腺髄様がん

治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、甲状腺髄様がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

甲状腺未分化がん

治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、甲状腺未分化がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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再発甲状腺がんの治療選択肢

再発 甲状腺がんの治療法には以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、再発甲状腺がんの患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。米国国立がん研究所(NCI)のウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、甲状腺がんの治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ Thyroid Cancer Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/thyroid/patient/thyroid-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389296]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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