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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

子宮内膜がん(子宮体がん)の予防(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-07-13
    翻訳更新日 : 2017-02-17

 このPDQがん情報要約では、子宮内膜がん(子宮体がん)の予防に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

予防とは

がん 予防とは、がんになる可能性を減らすためにとる対策です。がんを予防することで、集団または人口におけるがんの新規症例の数が減少します。うまくいけば、それによって、がんによる死亡者の数が減ることにもつながります。

新たながんの発生を予防するため、科学者たちはリスク因子防御因子に注目します。がん発生の可能性を高めるものは全てがんのリスク因子と呼ばれ、がん発生の可能性を低減させるものは全てがんの防御因子と呼ばれます。

がんのリスク因子には回避できるものもありますが、回避できないものも数多くあります。例えば、喫煙の習慣と特定の遺伝子をもっていることは、どちらもある種のがんのリスク因子ですが、避けられるのは喫煙だけです。普段から運動や健康的な食事を心がけることは、いくつかの種類のがんに対する防御因子となります。リスク因子を避けて防御因子を増やすことはリスクの低減につながりますが、それでがんに罹らなくなるということではありません。

現在、以下のような様々ながんの予防法が研究されています:


  • 生活習慣や食習慣の改善。

  • がんの原因となることが分かっている因子の回避。

  • 前がん 状態の治療やがん発生の阻止を目的としたの使用。

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子宮内膜がんについての一般的な情報

子宮内膜がんは、子宮内膜組織に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

子宮内膜とは、子宮の内側を覆う層のことです。子宮は女性の生殖系の一部です。子宮は骨盤内にある洋ナシの形をした筋肉でできた中空の臓器で、胎児の発育の場となります。



女性生殖系の解剖図:図は、子宮、子宮筋層(子宮の外側の筋層)、子宮内膜(子宮内腔を覆う膜)、卵巣、卵管、子宮頸部、膣を示している。



女性生殖系の解剖図。女性生殖系の臓器には、子宮、卵巣、卵管、子宮頸部、膣などが含まれます。子宮には、子宮筋層と呼ばれる筋肉の外層と子宮内膜と呼ばれる内膜があります。



子宮内膜のがんは、子宮肉腫と呼ばれる子宮の筋肉のがんとは別のものです。詳しい情報については、PDQ子宮肉腫の治療に関する要約をご覧ください。

子宮内膜がんに関する詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:


子宮内膜がんは女性生殖系の浸潤がんの中で最も多くみられるものです。

子宮内膜がんは、閉経後の平均60歳の女性に最も多く診断されます。

1992年以来、子宮内膜がんと診断された白人女性の数はほとんど変化ありませんが、黒人女性の新規症例数はわずかに増加しています。子宮内膜がんは、黒人女性よりも白人女性に多くみられます。黒人女性が子宮内膜がんと診断された場合は、より進行していて治癒の可能性も低くなっているのが通常です。1998年以降、子宮内膜がんによる死亡者数は、白人女性ではほぼ横ばいですが黒人女性では毎年わずかに増加しています。

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子宮内膜がん(子宮体がん)の予防

リスク因子を回避することと防御因子を増やすことは、がんの予防につながる可能性があります。

がんリスク因子を避けることは、特定のがんの予防につながる可能性があります。リスク因子には、喫煙や過体重、運動不足などがあります。禁煙、健康的な食事、運動などの防御因子を高めることでも、がんを予防できる場合があります。がんのリスクを低減させる方法については、担当の医師か他の医療専門家にご相談ください。

以下のリスク因子には子宮内膜がんのリスクを高める可能性があります:
エストロゲン

エストロゲンは体内で作られるホルモンです。女性の特徴の発達やその維持を助ける作用があります。エストロゲンは、子宮内膜がんを含む一部のがんの増殖に影響を及ぼす可能性があります。以下のような状況では、エストロゲンに曝される期間が長くなり子宮内膜がんのリスクが高くなります:


  • エストロゲン単独のホルモン補充療法閉経後の女性や卵巣摘出を受けた女性では、もはや卵巣で作られなくなったエストロゲンを補充するために、エストロゲンが投与されることがあります。これはホルモン補充療法(HRT)もしくはホルモン療法(HT)と呼ばれます。エストロゲン単独のホルモン補充療法の使用は、閉経後女性の子宮内膜増殖症のリスクを増大させます。子宮内膜増殖症とは、子宮内膜子宮の内側を覆う層)が異常に厚くなる病態です。がんではありませんが、ときに子宮内膜がんにつながることがあります。このような理由から、通常は子宮をもたない女性に限りエストロゲン補充療法が処方されます。

     エストロゲンにプロゲスチン(別のホルモン)を組み合わせた場合は、エストロゲン-プロゲスチン併用補充療法と呼ばれます。閉経後の女性では、エストロゲンにプロゲスチンを組み合わせて服用しても子宮内膜がんのリスクが上昇することはありませんが、乳がん心疾患脳卒中血栓のリスクが高まります。


  • 早発月経:月経周期が低年齢でみられるようになった場合、体がエストロゲンに曝される年数が増え、子宮内膜がんの発生リスクが高くなります。

  • 遅発閉経:閉経を迎えるのが遅い女性では、エストロゲンに曝される期間が増え、子宮内膜がんの発生リスクが高くなります。

  • 妊娠経験がないこと:妊娠期間中はエストロゲンの分泌量が減少するため、一度も妊娠したことがない女性では、エストロゲンに曝される期間が妊娠経験のある女性より長くなります。したがって、子宮内膜がんの発生リスクが高くなります。

タモキシフェン

タモキシフェンは、選択的エストロゲン受容体調節薬またはSERMと呼ばれる薬物群の1つです。タモキシフェンは、子宮などの体の一部の組織ではエストロゲンと同様の作用を示しますが、乳房などその他の組織ではエストロゲンの作用を阻害します。タモキシフェンは、乳がんのリスクが高い女性に対する乳がん予防に使用されます。しかし、2年を超えてタモキシフェンを使用すると、子宮内膜がんのリスクが高まります。閉経後の女性ではこのリスクはさらに高まります。

ラロキシフェンは、SERMの1つで、閉経後の女性の骨粗鬆症の予防に用いられています。ラロキシフェンは、子宮に対してエストロゲンに似た影響を及ぼさないため、子宮内膜がんの発生リスクが上昇するという報告はなされていません。その他のSERMについても、臨床試験での研究が進められています。

遺伝性非ポリポーシス結腸がん症候群

遺伝性非ポリポーシス結腸がん(HNPCC)症候群(リンチ症候群としても知られる)は、特定の遺伝子の変化によって引き起こされる遺伝性 疾患です。HNPCC症候群の女性では、HNPCC症候群ではない女性と比べて子宮内膜がんの発生リスクが高くなります。

その他の遺伝性疾患

多嚢胞性卵巣症候群(卵巣から分泌されるホルモンの障害)やコーデン症候群は、子宮内膜がんのリスク増加に関係がある遺伝性の病態です。

子宮内膜がんの家族歴

第一度近親者(母、姉妹、娘)に子宮内膜がんの患者さんがいるという家族歴を持つ女性も、子宮内膜がんのリスクが高い可能性があります。

体脂肪

肥満は子宮内膜がんのリスクを増大させます。これは、肥満がエストロゲンの量、多嚢胞性卵巣症候群、運動不足などの他のリスク因子と関連しているためと考えられます。

体重を減らせば子宮内膜がんのリスクを低減できるかどうかは分かっていません。

以下の防御因子には子宮内膜がんのリスクを下げる可能性があります:
混合型経口避妊薬

エストロゲンとプロゲスチンを併せた避妊薬(混合型経口避妊薬)を服用すると、子宮内膜がんの発生リスクを低下します。混合型経口避妊薬の防御効果は、それが使用されてきた期間とともに増加し、使用を中止した後も長年にわたりその効果が続きます。

経口避妊薬を服用中の女性で、特に喫煙者や35歳を過ぎた女性では、血栓、脳卒中、心疾患のリスクが高くなります。

運動

運動をすると子宮内膜がんの発生リスクを低減できることがあります。

妊娠と授乳

妊娠中や授乳を行っている期間中は、エストロゲンの分泌量は減少します。妊娠中や授乳期間中は、子宮内膜がんのリスクが低下する可能性があります。妊娠経験が多い女性や授乳期間が18ヵ月を超える女性では、子宮内膜がんのリスクが低い可能性があります。

食事

飽和脂肪が少なく、果物や野菜を多く採り入れた食事を摂ると、子宮内膜がんのリスクが低くなる場合があります。また、大豆を原料とする食品を欠かさず摂るようにすると、リスクを低減できる可能性があります。

がんを予防する方法を検証するために、がん予防の臨床試験が実施されています。

特定のがんの発生リスクを低下させる方法を検証するために、がん予防の臨床試験が実施されています。がん予防の臨床試験の中には、今はがんではないものの、がんのリスクが高い健康な人を対象に実施されるものがあります。その他の予防試験として、すでにがんになったことがあり、同じ種類のがんの再発を予防しようとする人、あるいは新たな種類のがんが発生する可能性を減らそうとする人を対象に実施されるものがあります。さらに、がんのリスク因子があるかどうか判明していない健康な志願者を対象に実施される試験もあります。

一部のがん予防の臨床試験の目的は、何らかの行動によってがんを予防できるかどうかを検証することです。これらの対応策としては、果物や野菜が豊富な食事、運動、禁煙の他、特定の医薬品や、ビタミンミネラルなどの栄養補助食品の摂取などがあります。

現在、子宮内膜がんの新たな予防法が臨床試験で検証されています。

臨床試験は米国各地で行われています。臨床試験の情報は、NCIのウェブサイトの臨床試験のセクションでご覧いただけます。NCIのがん臨床試験リストから、現在患者さんを受け入れている子宮内膜がん予防の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、子宮内膜がん(子宮体がん)の予防に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Screening and Prevention Editorial Board. PDQ Endometrial Cancer Prevention. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/uterine/patient/endometrial-prevention-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389201]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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