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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

大腸がんの予防(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-02-05
    翻訳更新日 : 2017-02-17

 このPDQがん情報要約では、大腸がんの予防に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

予防とは

がん 予防とは、がんになる可能性を減らすためにとる対策です。がんを予防することで、集団または人口におけるがんの新規症例の数が減少します。うまくいけば、それによって、がんによる死亡者の数が減ることにもつながります。

新たながんの発生を予防するため、科学者たちはリスク因子防御因子に注目します。がん発生の可能性を高めるものは全てがんのリスク因子と呼ばれ、がん発生の可能性を低減させるものは全てがんの防御因子と呼ばれます。

がんのリスク因子には回避できるものもありますが、回避できないものも数多くあります。例えば、喫煙の習慣と特定の遺伝子をもっていることは、どちらもある種のがんのリスク因子ですが、避けることができるのは喫煙だけです。普段から運動や健康的な食事を心がけることは、いくつかの種類のがんに対する防御因子となります。リスク因子を避けて防御因子を増やすことはリスクの低減につながりますが、それでがんに罹らなくなるということではありません。

現在、以下のような様々ながんの予防法が研究されています:


  • 生活習慣や食習慣の改善。

  • がんの原因となることが分かっている因子の回避。

  • 前がん性の 状態の治療やがん発生の阻止を目的としたの使用。

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大腸がんについての一般的な情報

大腸がんは、結腸または直腸の組織に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

結腸消化器系の一部をなす臓器です。消化器系は、食物中の栄養素ビタミンミネラル炭水化物、脂肪、蛋白質、水分)の消化吸収と、老廃物の対外への排出という役割を担っています。消化器系は口腔、咽頭食道小腸、および大腸から構成されています。結腸(太い)は大腸の最初の部分で、長さは約5フィート(およそ152cm)です。加えて、大腸の終端部に直腸肛門管があり、これらの長さは6~8インチ(15~20cm)です。肛門管は肛門(大腸から体外への開口部)で終わります。

消化器系の解剖図;食道、肝臓、胃、結腸、小腸、直腸、および肛門を示す。



下部消化管の解剖図:結腸とその他の臓器を示しています。



結腸から発生するがん結腸がんと呼ばれ、直腸から発生するがんは直腸がんと呼ばれます。これらの臓器に発生するがんは、いずれも大腸がんとも呼ばれます。

大腸がんに関する詳しい情報については以下のPDQの要約をご覧ください:


米国では、大腸がんはがんによる死亡原因の第2位を占めています。

大腸がんの新規症例の数と大腸がんによる死亡者の数は、いずれも毎年少しずつ減少しています。しかし、50歳未満の成人における大腸がんの新規症例の数は、1998年以降、減少速度が鈍っています。人種別にみて、大腸がんの新規症例数と大腸がんによる死亡数が多いのは、アフリカ系アメリカ人です。

大腸がんを早期に発見して治療することは、大腸がんによる死亡を予防することになります。大腸がんの発見を促進するためにスクリーニングが行われることがあります。

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大腸がんの予防

リスク因子を回避することと防御因子を増やすことは、がんの予防につながる可能性があります。

がんリスク因子を避けることは、特定のがんの予防につながります。リスク因子には、喫煙や過体重、運動不足などがあります。禁煙、健康的な食事、運動などの防御因子を高めることでも、がんを予防できる場合があります。がんのリスクを低減させる方法については、担当の医師か他の医療専門家にご相談ください。

以下のリスク因子は、大腸がんのリスクを高めます:
年齢

50歳を超えると大腸がんのリスクが高まります。大腸がんでは、ほとんどの症例が50歳を過ぎてから診断されています。

大腸がんの家族歴

大腸がんになった親や兄弟姉妹、あるいはお子さんを持つ人は、大腸がんのリスクが2倍になります。

個人歴

個人歴に以下の病態があると、大腸がんのリスクが高まります:


遺伝性のリスク

家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)または遺伝性非ポリポーシス結腸がん(HNPCCまたはリンチ症候群)の原因となる特定の遺伝子の変化を遺伝すると、大腸がんのリスクが高まります。

アルコール

アルコール飲料を1日当たり3杯以上飲むと、大腸がんのリスクが高まります。さらに、アルコール摂取は、大きな大腸腺腫(良性の腫瘍)ができるリスクとも関係しています。

喫煙

喫煙は、大腸がんの発症および大腸がんによる死亡のリスクが高まることと関係しています。

さらに、大腸腺腫ができるリスクが高まることにも関係しています。手術を受けて大腸腺腫を切除した喫煙者は、腺腫が再発する(再び現れる)リスクが高くなります。

肥満

肥満は、大腸がんの発症および大腸がんによる死亡のリスクが高まることと関係しています。

以下の防御因子は、大腸がんのリスクを低下させます:
運動

定期的な運動などの生活スタイルは、大腸がんのリスク低下と関係しています。

アスピリン

アスピリンを5年以上毎日服用すると、大腸がんの発症および大腸がんによる死亡のリスクが低下します。アスピリンを1日おきに10年間服用した女性の研究では、大腸がんのリスクが低下しました。

アスピリン服用で考えられる有害性として、、または脳で出血するリスクが通常より高くなることが挙げられます。

併用ホルモン補充療法

閉経後の女性では、エストロゲンプロゲスチンの両方を用いた併用ホルモン補充療法(HRT)によって、浸潤性大腸がんのリスクが低下することが研究で示されています。

しかし、併用HRTを受けている女性に大腸がんが生じた場合は、診断時にがん進行している可能性が高く、大腸がんによる死亡リスクは低下しません。

併用HRTの有害性には、以下のリスクが高まることなどがあります:


ポリープの除去

大腸のポリープはそのほとんどが腺腫で、がんに発展する可能性があります。大きさが1cm(エンドウ豆大)を超える大腸ポリープの切除は、大腸がんのリスクを低下させる可能性があります。これより小さいポリープを切除して大腸がんのリスクが低下するかどうかは分かっていません。

結腸鏡検査またはS状結腸鏡検査によるポリープ切除で考えられる有害性には、結腸壁の裂傷や出血があります。



結腸ポリープ:結腸内部の2つのポリープ(扁平なものと茎のあるもの)を示す。左上の写真には茎のあるポリープが示されている。



結腸のポリープ。ポリープには茎のあるものと茎のないものがあります。左上の写真は、茎のあるポリープを撮影したものです。



以下の因子が大腸がんのリスクに影響を及ぼすかどうかは分かっていません:
アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)

非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(スリンダクセレコキシブナプロキセンイブプロフェンなど)の使用により、大腸がんのリスクが低下するかどうかは分かっていません。

非ステロイド性抗炎症薬のセレコキシブの服用により、大腸腺腫(良性の腫瘍)を切除した後に再発する(再び現れる)リスクが低下することを示した研究があります。この結果、大腸がんのリスクが低下するかどうかは分かっていません。

家族性腺腫性ポリポーシス(FAP)の患者さんでは、スリンダクまたはセレコキシブの服用により、結腸や直腸にできるポリープの数と大きさが減少することも示されています。この結果、大腸がんのリスクが低下するかどうかは分かっていません。

NSAIDで考えられる有害性として、以下のものがあります:


カルシウム

カルシウム補助栄養摂取によって、大腸がんのリスクが低下するかどうかは分かっていません。

食習慣

脂肪分と肉類が少なく、線維質、果物、野菜が豊富な食事によって、大腸がんのリスクが低下するかどうかは分かっていません。

脂肪分、蛋白質カロリー、肉類が豊富な食事によって、大腸がんのリスクが高まることを肯定した研究もありますが、否定した研究もあります。

以下の因子は大腸がんのリスクに影響しません:
エストロゲン単独のホルモン補充療法

エストロゲン単独によるホルモン補充療法では、浸潤性大腸がんになるリスクまたは大腸がんによる死亡リスクは低下しません。

スタチン

複数の研究によると、スタチンコレステロールを下げる)の服用で、大腸がんのリスクは増加も低下もしないことが明らかになりました。

がんを予防する方法を検証するために、がん予防の臨床試験が実施されています。

特定のがんの発生リスクを低下させる方法を検証するために、がん予防の臨床試験が実施されています。がん予防の臨床試験の中には、今はがんではないものの、がんのリスクが高い健康な人を対象に実施されるものがあります。その他の予防試験として、すでにがんになったことがあり、同じ種類のがんの再発を予防しようとする人、あるいは新たな種類のがんが発生する可能性を減らそうとする人を対象に実施されるものがあります。さらに、がんのリスク因子があるかどうか判明していない健康な志願者を対象に実施される試験もあります。

一部のがん予防の臨床試験の目的は、何らかの行動によってがんを予防できるかどうかを検証することです。これらの対応策としては、運動や禁煙の他、特定の医薬品ビタミンミネラル栄養補助食品の摂取などがあります。

現在、大腸がんの新たな予防法が臨床試験で検証されています。

臨床試験は米国各地で行われています。臨床試験の情報は、NCIのウェブサイトの臨床試験のセクションでご覧いただけます。NCIのがん臨床試験リストから、現在患者さんを受け入れている米国内の結腸がんの予防試験または直腸がんの予防試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。

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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、大腸がんの予防に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Screening and Prevention Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Screening and Prevention Editorial Board. PDQ Colorectal Cancer Prevention. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/colorectal/patient/colorectal-prevention-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389376]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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