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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

AIDS関連リンパ腫の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2016-06-01
    翻訳更新日 : 2017-02-17

PDQ Adult Treatment Editorial Board

 このPDQがん情報要約では、AIDS関連リンパ腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

 PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

AIDS関連リンパ腫

AIDS関連リンパ腫についての一般的な情報

AIDS関連リンパ腫は、後天性免疫不全症候群(AIDS)の患者さんのリンパ系から悪性(がん)細胞が発生する疾患です。

AIDSヒト免疫不全ウイルス(HIV)によって引き起こされる疾患で、このウイルスが免疫系を攻撃する結果、免疫機能が低下してしまいます。そのため、感染や病気に免疫系が対抗できなくなります。さらに、HIVに感染した人では、感染症、リンパ腫、または他の種類のがんのリスクが高くなります。特定の種類の感染症やがんを発症したHIV感染者は、AIDSと診断されます。ときには、AIDSとAIDS関連リンパ腫の両方が同時に診断される場合もあります。AIDSとその治療法に関する情報についてはAIDSinfoのウェブサイトを参照してください。

AIDS関連リンパ腫はがんの一種で、体の免疫系の一部であるリンパ系を侵します。免疫系は、外来性の物質、感染、疾患から体を保護しています。リンパ系は以下のものから構成されています:


  • リンパ液:リンパ系の中を流れてリンパ球と呼ばれる白血球を運ぶ、無色の水のような液体。リンパ球は感染から体を守り、さらに腫瘍の増殖も防いでいます。

  • リンパ管:全身に張り巡らされた細い管で、体内の様々な場所からリンパ液を集めて血流に戻している。

  • リンパ節:リンパ液のろ過を行う豆のような形をした小さな構造物で、感染や疾患に対する防御を担う白血球の貯蔵場所にもなっている。リンパ節は全身に張り巡らされたリンパ管に沿って分布しています。頸部、わきの下、腹部骨盤鼠径部などでは、リンパ節が集団を形成しています。

  • 脾臓:リンパ球の生産、血液のろ過、血液細胞の貯蔵、古くなった血液細胞の破壊などが行われている臓器。脾臓は腹部の左側のの近くに位置しています。

  • 胸腺:リンパ球の成長と増殖の場となる臓器。胸腺は胸部の胸骨の裏側に位置しています。

  • 扁桃の奥の方にある2つの小さなかたまり状のリンパ系組織。扁桃ではリンパ球が作られています。

  • 骨髄:大きな骨の中心部に存在する軟らかい海綿状の組織。骨髄では白血球、赤血球血小板が作られています。

リンパ組織は、脳や胃、甲状腺、皮膚などの他の部位にも存在します。

ときにAIDS関連リンパ腫は、リンパ節外の骨髄、肝臓髄膜(脳を覆っている)、消化管で発生することがあります。それより頻度は少ないものの、肛門、心臓、胆管歯肉、筋肉に生じることもあります。



リンパ系:リンパ管と、リンパ節、扁桃、胸腺、脾臓、骨髄を含むリンパ器官を示す。上の拡大図には、リンパ節とそれにつながるリンパ管の内部構造が示されており、さらにリンパ節内外へのリンパ液(透明な液体)の流れが矢印で示されている。もう一方の拡大図には、骨髄と血液細胞が示されている。



リンパ系の解剖図:リンパ管とリンパ節、扁桃、胸腺、脾臓、骨髄を含むリンパ器官を示しています。リンパ液(透明な液体)とリンパ球はリンパ管を介してリンパ節まで移動し、リンパ球はそこで有害な物質を破壊します。リンパ液は心臓の近くの大きな静脈から血流に流れ込みます。



リンパ腫には様々な種類のものがあります。

リンパ腫には大きく分けて次の2種類があります:


AIDSの患者さんでは、ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫のどちらも発生しますが、非ホジキンリンパ腫の方が多くみられます。AIDSの患者さんに発生した非ホジキンリンパ腫は、AIDS関連リンパ腫と呼ばれます。中枢神経系(CNS)から発生したAIDS関連リンパ腫は、AIDS関連中枢神経系原発リンパ腫と呼ばれます。

非ホジキンリンパ腫は、顕微鏡で観察したときのがん細胞の外観によって分類されます。緩慢性(増殖のペースが遅い)か侵攻性(増殖のペースが速い)かに分類されます。AIDS関連リンパ腫は侵攻性です。AIDS関連非ホジキンリンパ腫には主に次の2種類があります:


リンパ腫またはAIDS関連のがんに関する詳しい情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:


AIDS関連リンパ腫の徴候として体重減少、発熱、寝汗があります。

こうした徴候症状は、AIDS関連リンパ腫が原因で起こることもあれば、他の病態が原因で起こることもあります。以下の症状がみられる場合は担当の医師にご相談ください:


  • 原因不明の体重減少または発熱

  • 寝汗。

  • 頸部、胸部、わきの下、鼠径部のリンパ節の痛みのない腫れ。

  • 肋骨の奥の膨満感。

AIDS関連リンパ腫の発見と診断には、リンパ系とその他の身体部位を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 身体診察と病歴 聴取:しこりなどの通常みられない疾患の徴候に注意しながら、総体的に身体を調べる診察法。患者さんの健康習慣、過去の病歴、治療歴なども調べます。

  • 全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
    • 赤血球、白血球、血小板の数。

    • 赤血球内のヘモグロビン酸素を運搬する蛋白)の量。

    • 血液サンプル中の赤血球が占める割合。



    全血球算定(CBC):左側の図には、注射器と注射針によって肘の静脈から血液が採取されている様子が示されており;右の図には、試験管中の血液が血漿、白血球、血小板、赤血球のそれぞれの層に分離された様子が示されている。
    
    


    全血球算定(CBC)。静脈内に針を挿入して注射器の中に血液を吸い込むことによって、血液を採取します。採取された血液は検査室に送られ、そこで赤血球と白血球と血小板の数が調べられます。CBCは様々な病態の診断やモニタリングのための検査法として用いられています。




  • HIV検査 :血液サンプル中のHIV抗体の量を測定する検査法。体内に異物が侵入すると、体内で抗体が作られます。HIV抗体の値が高いということは、その人がHIVに感染したということを意味します。

  • リンパ節生検 :リンパ節の全体または一部を切除する手技。切除された組織は病理医が顕微鏡で観察して、がん細胞の有無を調べます。実施される生検には以下のような種類があります:
    • 摘出生検 :リンパ節の全体を摘出する。

    • 切開生検 :リンパ節の一部を採取する。

    • コア生検 :太い針を用いてリンパ節から組織を採取する。

    • 穿刺吸引生検 (FNA生検):細い針を用いてリンパ節から組織を採取する。


  • 骨髄穿刺と骨髄生検 :腰骨または胸骨に中空の針を挿入して骨髄や骨の小片を採取する手技。採取された骨髄と骨は病理医によって顕微鏡で観察され、がんの徴候がないか調べられます。

    骨髄穿刺と骨髄生検:図は、台の上にうつぶせになった患者の腰骨に骨髄穿刺針を挿入しているところを示している。拡大図は、皮膚の上から腰骨の骨髄に挿入した骨髄穿刺針を示している。
    
    


    骨髄穿刺と骨髄生検。皮膚の小さな領域に麻酔を施してから、患者さんの腰骨に骨髄穿刺針を挿入します。そして顕微鏡での検査用に血液、骨、骨髄などのサンプルを採取します。




  • 胸部X線 検査:胸部の臓器と骨のX線検査。X線は放射線の一種で、これを人の体を通してフィルム上に照射すると、そのフィルム上に体内領域の画像が映し出されます。

特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


  • がんの病期

  • 患者さんの年齢。

  • 血液中のCD4リンパ球(白血球の一種)の数。

  • リンパ系の外部でリンパ腫が存在している場所の数。

  • 患者さんが薬物を静脈(IV)注入したことがあるかどうか。

  • 日常的な動作(日常生活活動)を遂行する能力。

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AIDS関連リンパ腫の病期

AIDS関連リンパ腫の診断がついた後には、がん細胞のリンパ系内部での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん 細胞リンパ系内部での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要ですが、AIDS関連 リンパ腫は大抵の場合、診断された時点ですでに進行しています。

病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


  • 血液生化学検査 :採取した血液を調べて、体内の臓器組織から血液中に放出される特定の物質の濃度を測定する検査法。ある物質で異常な値(正常値よりも高い値や低い値)が出るということは、疾患の徴候である可能性があります。血液サンプルを調べてLDH(乳酸脱水素酵素)の濃度が確認されます。

  • CTスキャン(CATスキャン)リンパ節肝臓などの体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。この画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤静脈内に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりする場合もあります。この検査法はコンピュータ断層撮影法(CT)やコンピュータ体軸断層撮影法(CAT)とも呼ばれます。

  • PETスキャン(陽電子放射断層撮影):体内の悪性 腫瘍細胞を検出するための検査法。まず放射性のあるブドウ糖の溶液を少量だけ静脈内に注射します。その後、周囲を回転しながら体の内部を調べていくPETスキャナという装置を用いて、ブドウ糖が消費されている体内の領域を示す画像を作成していきます。悪性腫瘍細胞は、正常な細胞よりも活発でブドウ糖をより多く取り込む性質があるため、画像ではより明るく映し出されます。

  • ガドリニウム を用いたMRI(磁気共鳴画像法):磁気、電波、コンピュータを用いて、体内領域の精細な連続画像を作成する検査法。まずガドリニウムと呼ばれる物質を患者さんの静脈内に注射します。ガドリニウムにはがん細胞の周辺に集まる性質があるため、撮影された画像ではがん細胞が明るく映し出されます。この検査法は核磁気共鳴画像法(NMRI)とも呼ばれます。

  • 腰椎穿刺 脊柱内から脳脊髄液(CSF)を採取する際に用いられる手技。脊椎内の2本の骨の間から脊柱内に針を刺し、脊髄周囲を流れるCSFに到達させ、CSFを採取します。CSFのサンプルを顕微鏡で観察し、脳や脊髄に転移したがんの徴候を調べます。また、エプスタイン-バーウイルスの検査を行う場合もあります。この手技はLPまたは脊椎穿刺とも呼ばれます。

    腰椎穿刺:台の上で背中を曲げた姿勢で横たわっている患者さんと、腰の部分に脊椎穿刺針(長くて細い針)が挿入されている様子を示す。右側の拡大図には、脊柱下部の脳脊髄液(CSF)の中に脊椎穿刺針が挿入されている様子が示されている。
    
    


    腰椎穿刺。まず患者さんに背中を曲げた姿勢で台の上に横たわってもらいます。腰の小さな領域に麻酔を施してから、腰椎穿刺針(長くて細い針)を脊柱の下部に挿入して、脳脊髄液(CSF、青色で示されている)を採取します。採取された液体は、検査のために検査室に送られることもあります。




体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

がんは組織リンパ系血液を介して拡がります:


  • 組織。がんは発生した場所から隣接する領域に拡がります。

  • リンパ系。がんは発生した場所からリンパ系に侵入して拡がります。がんはリンパ管を介して体内の他の部位へ移動します。

  • 血液。がんは発生した場所から血液に侵入して拡がります。がんは血管を介して体内の他の部位へ移動します。

AIDS関連リンパ腫の病期には、EやSという文字が付け加えられる場合があります。

AIDS関連リンパ腫は以下のように分類されます:


  • E:「E」は「extranodal(リンパ節外)」の略で、がんがリンパ節以外の領域や臓器に存在するか、主要なリンパ系領域を出て近接する組織へ拡がっていることを意味する。

  • S:「S」は「spleen(脾臓)」の略で、脾臓内にがんが存在していることを意味する。

AIDS関連リンパ腫では以下のような病期が用いられます:
I期


I期AIDS関連リンパ腫:図は、横隔膜の上方にある1つのリンパ節群に存在するがんを示している。拡大図は、1つのリンパ節とリンパ管、動脈、静脈を示している。がんが生じているリンパ腫細胞がリンパ節内に示されている。



I期AIDS関連リンパ腫。がんが1つのリンパ系領域(リンパ節、扁桃、胸腺、または脾臓)に認められます。IE期(図には示されていません)では、がんがリンパ節外の1つの臓器または領域に認められます。



I期のAIDS関連リンパ腫はさらにI期とIE期に分けられます。


II期

II期のAIDS関連リンパ腫はさらにII期とIIE期に分けられます。


  • II期横隔膜の下にある薄い筋肉の膜で、呼吸を助け、腹部と胸部を分けている)の上方または下方に位置する2カ所以上のリンパ節群にがんが認められる。

    II期AIDS関連リンパ腫:図は、横隔膜の上方および下方に位置するリンパ節群内のがんを示している。拡大図は、1つのリンパ節とリンパ管、動脈、静脈を示している。がんが生じているリンパ腫細胞がリンパ節内に示されている。
    
    


    II期AIDS関連リンパ腫。がんが横隔膜の上方(a)または下方(b)のいずれかにある2カ所以上のリンパ節群に認められます。




  • IIE期:がんが横隔膜の上方または下方の1つ以上のリンパ節群に認められる。さらに横隔膜の上方または下方のうち、がんが存在するリンパ節と同側にあるリンパ節外の1つの臓器または領域にもがんが認められる。

    IIE期AIDS関連リンパ腫:図は、横隔膜の上方に位置する1つのリンパ節群に存在するがんと左肺内のがんを示している。拡大図は、1つのリンパ節とリンパ管、動脈、静脈を示している。がんが生じているリンパ腫細胞がリンパ節内に示されている。
    
    


    IIE期AIDS関連リンパ腫。横隔膜の上方または下方にある1つ以上のリンパ節群と、がんが存在しているリンパ節外で横隔膜の同じ側(上方または下方)にある臓器または領域の1つにがんが認められます(a)。




III期


III期AIDS関連リンパ腫:図は、横隔膜の上方および下方に位置する複数のリンパ節群に存在するがんと左肺内のがん、脾臓内のがんを示している。拡大図は、1つのリンパ節とリンパ管、動脈、静脈を示している。がんが生じているリンパ腫細胞がリンパ節内に示されている。



III期AIDS関連リンパ腫。がんは横隔膜の上方および下方の1つ以上のリンパ節群に認められます(a)。IIIE期では、横隔膜の上方および下方のリンパ節群と、リンパ節外の隣接する臓器または領域の1つ(b)にがんが認められます。IIIS期では、がんは横隔膜の上方および下方のリンパ節群(a)に認められ、脾臓(c)でも認められます。IIIE+S期では、横隔膜の上方および下方のリンパ節群と、リンパ節外の隣接する臓器または領域の1つ(b)、および脾臓(c)にがんが認められます。



III期のAIDS関連リンパ腫はさらにIII期、IIIE期、IIIS期、IIIE+S期に分けられます。


IV期


IV期AIDS関連リンパ腫:図は、肝臓、左肺、横隔膜の下方に位置する1つのリンパ節群に存在するがんを示している。脳と胸膜も示されている。片方の拡大図は、がんがリンパ節やリンパ管を介して身体の他の部位に拡がっていく様子を示している。がんが生じているリンパ腫細胞が1つのリンパ節内に示されている。他方の拡大図は、骨髄内のがん細胞を示している。



IV期AIDS関連リンパ腫。がんは、リンパ系領域(リンパ節、扁桃腺、胸腺、脾臓)に含まれない1つ以上の臓器全体に認められます(a);またはリンパ系領域に含まれない1つの臓器に認められ、その臓器から遠隔部にあるリンパ節にも拡がっています(b);または脳脊髄液(図には示されていません)、肝臓、骨髄、肺に認められます。



IV期のAIDS関連リンパ腫では、がんは以下の状態にあります:


  • リンパ系領域(リンパ節群、扁桃腺と周辺組織胸腺脾臓)に含まれない1つ以上の臓器全体に認められ、それらの臓器の付近にあるリンパ節にも存在する場合がある、または

  • リンパ系領域に含まれない1つの臓器に認められ、その臓器から遠隔部にある臓器またはリンパ節にも拡がっている、または

  • 肝臓骨髄、脳脊髄液(CSF)、(周辺領域から肺に転移したがんを除く)に認められる。

エプスタイン-バーウイルスに感染している患者さんとAIDS関連リンパ腫が骨髄に拡がっている患者さんでは、がんが中枢神経系(CNS)に転移するリスクが高くなります。

治療法の決定に際して、AIDS関連リンパ腫は最初の発生部位に基づいて次のように分類されます:
末梢性/全身性リンパ腫

リンパ系またはその他の脳を除く部位から発生したリンパ腫は、末梢性/全身性リンパ腫と呼ばれます。このようなリンパ腫は、脳や骨髄を含む全身に拡がる可能性があります。多くの場合は進行期になってから診断されます。

中枢神経系原発リンパ腫

中枢神経系原発リンパ腫は、中枢神経系(脳と脊髄)から発生します。このリンパ腫はエプスタイン-バーウイルスに関連しています。それ以外の部位に発生した後に中枢神経系に進展したリンパ腫は、中枢神経系原発リンパ腫ではありません。

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治療選択肢の概要

AIDS関連リンパ腫の患者さんには様々な治療法が存在します。

AIDS関連 リンパ腫の患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

AIDS関連リンパ腫の治療は、リンパ腫に対する治療とAIDSに対する治療を組み合わせたものです。

AIDSの患者さんでは免疫系の機能が弱まっていますが、治療によってさらに免疫系が弱体化する可能性もあります。このため、AIDS関連リンパ腫の患者さんに対する治療は困難を伴い、AIDSではないリンパ腫患者さんの場合よりも低用量薬剤による治療が行われることがあります。

併用抗レトロウイルス療法(cART)は、HIVにより免疫系が被る損傷を軽減するために実施します。併用抗レトロウイルス療法による治療を行えば、AIDS関連リンパ腫の患者さんがより安全に標準以上の用量の抗がん剤投与を受けられるようになります。こうした患者さんでは、AIDSでないリンパ腫患者さんに対する治療と同様の効果が得られる可能性があります。感染が深刻化することもあり、その予防や治療に薬剤が使用されることもあります。

AIDSとその治療法に関する詳しい情報についてはAIDSinfoのウェブサイトを参照してください。

標準治療として以下の4種類が用いられています:
化学療法

化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脳脊髄液内(髄腔内化学療法)や臓器内、もしくは腹腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬がその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。併用化学療法は複数の抗がん剤を使用する治療法です。

化学療法の実施方法は、がんの発生位置に応じて異なります。中枢神経系(CNS)にリンパ腫が存在する可能性が高い患者さんには、髄腔内化学療法が用いられることがあります。

髄腔内化学療法:脳および脊髄内部の脳脊髄液(CSF)とオンマイヤーレザバー(手術によって頭皮の下に設置されるドーム状の容器で、細い管を通して脳内へと薬剤を流し込むことができる)を示す。図の上の方には、注射器と針を用いてオンマイヤーレザバーに抗がん剤を注入している様子が示されている。図の下の方には、注射器と針を用いて脊柱の下部から脳脊髄液中に直接抗がん剤を注入している様子が示されている。



髄腔内化学療法。脳脊髄液(CSF、青色で示されている)で満たされた空洞である脊髄腔の中に抗がん剤が注入されます。2種類の方法があります。1つめはこの図の上の方に示されているもので、オンマイヤーレザバー(手術によって頭皮の下に設置されるドーム状の容器で、細い管を通して脳内へと薬剤を投与することができる)に薬剤を注入するという方法です。もう1つは図の下の方に示されているもので、腰の小さな領域に麻酔を施してから、脊柱の下部より直接CSF内に薬剤を注入するという方法です。



化学療法は末梢性/全身性のAIDS関連リンパ腫に対する治療に用いられます。抗レトロウイルス療法の実施時期は化学療法と同時または化学療法後のどちらが最適かは、まだ明らかになっていません。

コロニー刺激因子が化学療法との併用で投与されることもあります。この治療法は、化学療法が原因で骨髄に生じる副作用を軽減するのに役立ちます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には次の2種類があります:


放射線療法の実施方法は、がんの発生位置に応じて異なります。外照射療法はAIDS関連の中枢神経系原発リンパ腫に対する治療に用いられます。

幹細胞移植を伴う大量化学療法

幹細胞移植を伴う大量化学療法とは、高用量の化学療法を実施するとともに、このがん治療によって破壊された造細胞を外部から補充するという治療法です。まず患者さん自身またはドナーから採取した血液や骨髄から幹細胞(成熟前の血液細胞)を取り出して、それを凍結保存しておきます。そして化学療法の終了後に、保存していた幹細胞を解凍して、これを点滴によって患者さんの体内に戻します。こうして再注入された幹細胞が血液細胞に成長することにより、血液の機能が回復していきます。



幹細胞移植;(図1):図は患者またはドナーから幹細胞を採取しているところである。腕の静脈から採血し、幹細胞を採取する装置を通過させる。残りの血液は反対の腕の静脈に戻す。(図2):図は医療提供者が患者に対し造血細胞を殺傷する治療を施しているところである。胸部のカテーテルから化学療法薬が投与されている。(図3):図は患者の胸部に挿入されたカテーテルから幹細胞を注入しているところである。



幹細胞移植。(ステップ1):ドナーの腕の静脈から血液を採取します。患者自身がドナーになる場合も、他人がその役割を果たす場合もあります。血液は幹細胞を採取する装置内を流れます。その後、血液は反対側の腕の静脈からドナーの体内に戻されます。(ステップ2):患者さんは造血細胞を殺傷する化学療法を受けています。放射線療法が実施される場合もあります(図には示されていません)。(ステップ3):患者さんは胸部の血管に留置されたカテーテルから幹細胞の注入を受けています。



標的療法

標的療法とは、正常な細胞には害を及ぼすことなく特定のがん細胞だけを認識し攻撃する性質をもった薬物やその他の物質を用いる治療法です。モノクローナル抗体 療法は標的療法の一種です。

モノクローナル抗体療法は、製造ラボにおいて単一の免疫系細胞から作り出した抗体を使用する治療法です。これらの抗体は、がん細胞の表面上に存在する物質や、がん細胞の増殖を促進する物質を特定することができます。こうした抗体がそれぞれの標的物質に結合することにより、がん細胞の死滅、増殖の阻止、転移の抑止などといった効果が得られます。モノクローナル抗体は点滴によって投与されます。単独で使用されることもありますが、薬や毒素、放射性物質などをがん細胞に直接送り届けるという用途でも用いられます。リツキシマブは末梢性/全身性のAIDS関連リンパ腫に対する治療に用いられます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

臨床試験に関する情報は、NCIのウェブサイトから入手することができます。

患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全かつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験一覧のものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏効の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。

治療が終わってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発(再び現れること)の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。

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AIDS関連リンパ腫の治療選択肢

末梢性/全身性のAIDS関連リンパ腫

末梢性/全身性AIDS関連 リンパ腫に対する治療法には、以下のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、末梢性/全身性AIDS関連リンパ腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

AIDS関連の中枢神経系原発リンパ腫

AIDS関連 中枢神経系原発リンパ腫に対する治療法には、次のようなものがあります:


NCI支援のがん臨床試験リストから、AIDS関連中枢神経系原発リンパ腫の患者さんを現在受け入れている臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。ご自身に適した臨床試験については、担当の医師にご相談ください。NCIのウェブサイトから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。

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AIDS関連リンパ腫についてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供しているAIDS関連リンパ腫に関する詳しい情報については、以下をご覧ください:


米国国立がん研究所が提供している一般的ながん情報とその他の資源については、以下をご覧ください:


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本PDQ要約について

PDQについて

PDQ(Physician Data Query:医師データ照会)は、米国国立がん研究所が提供する総括的ながん情報データベースです。PDQデータベースには、がんの予防や発見、遺伝学的情報、治療、支持療法、補完代替医療に関する最新かつ公表済みの情報を要約して収載しています。ほとんどの要約について、2つのバージョンが利用可能です。専門家向けの要約には、詳細な情報が専門用語で記載されています。患者さん向けの要約は、理解しやすい平易な表現を用いて書かれています。いずれの場合も、がんに関する正確かつ最新の情報を提供しています。また、ほとんどの要約はスペイン語版も利用可能です。

PDQはNCIが提供する1つのサービスです。NCIは、米国国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)の一部であり、NIHは連邦政府における生物医学研究の中心機関です。PDQ要約は独立した医学文献のレビューに基づいて作成されたものであり、NCIまたはNIHの方針声明ではありません。

本要約の目的

このPDQがん情報要約では、AIDS関連リンパ腫の治療に関する最新の情報を記載しています。患者さんとそのご家族および介護者に情報を提供し、支援することを目的としています。医療に関する決定を行うための正式なガイドラインや推奨を示すものではありません。

査読者および更新情報

PDQがん情報要約は、編集委員会が作成し、最新の情報に基づいて更新しています。編集委員会はがんの治療やがんに関する他の専門知識を有する専門家によって構成されています。要約は定期的に見直され、新しい情報があれば更新されます。各要約の日付("最終更新日")は、直近の更新日を表しています。

患者さん向けの本要約に記載された情報は、専門家向けバージョンより抜粋したものです。専門家向けバージョンは、PDQ Adult Treatment Editorial Boardが定期的に見直しを行い、必要に応じて更新しています。

臨床試験に関する情報

臨床試験とは、例えば、ある治療法が他の治療法より優れているかどうかなど、科学的疑問への答えを得るために実施される研究のことです。臨床試験は、過去の研究結果やこれまでに実験室で得られた情報に基づき実施されます。各試験では、がんの患者さんを助けるための新しくかつより良い方法を見つけ出すために、具体的な科学的疑問に答えを出していきます。治療臨床試験では、新しい治療法の影響やその効き目に関する情報を収集します。新しい治療法がすでに使用されている治療法よりも優れていることが臨床試験で示された場合、その新しい治療法が「標準」となる可能性があります。患者さんは臨床試験への参加を検討してもよいでしょう。臨床試験の中にはまだ治療を始めていない患者さんのみを対象としているものもあります。

PDQには臨床試験のリストが掲載されており、NCIのウェブサイトから臨床試験を検索することができます。また、PDQには、臨床試験に参加している多数のがん専門医のリストも掲載されています。より詳細な情報については、Cancer Information Service(+1-800-4-CANCER [+1-800-422-6237])にお問い合わせください。

本要約の使用許可について

PDQは登録商標です。PDQ文書の内容は本文として自由に使用することができますが、要約全体を示し、かつ定期的に更新を行わなければ、NCIのPDQがん情報要約としては認められません。しかしながら、“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks in the following way:【ここに本要約からの抜粋を記載する】.”のような一文を書くことは許可されます。

本PDQ要約を引用する最善の方法は以下の通りです:

PDQ® Adult Treatment Editorial Board. PDQ AIDS-Related Lymphoma Treatment. Bethesda, MD: National Cancer Institute. Updated <MM/DD/YYYY>. Available at: http://www.cancer.gov/types/lymphoma/patient/aids-related-treatment-pdq. Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389358]

本要約内の画像は、著者やイラストレーター、出版社より、PDQ要約内での使用に限定して、使用許可を得ています。PDQ要約から、その要約全体を使用せず画像のみを使用したい場合には、画像の所有者から許可を得なければなりません。その許可はNCIより与えることはできません。本要約内の画像の使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともに、Visuals Onlineで入手可能です。Visuals Onlineには、2,000以上の科学関連の画像が収載されています。

免責事項

PDQ要約の情報は、保険払い戻しに関する決定を行うために使用されるべきではありません。保険の適用範囲についての詳細な情報は、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手可能です。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトを通じてのお問い合わせやサポートの依頼に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載しています。ウェブサイトのE-mail Usから、Cancer.govに対して質問を送信することもできます。

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