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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

ランゲルハンス細胞組織球症の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-06-20
    翻訳更新日 : 2017-08-22

Langerhans Cell Histiocytosis (PDQ®): Treatment PDQ Pediatric Treatment Editorial Board

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児および成人ランゲルハンス細胞組織球症の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

小児ランゲルハンス細胞組織球症 成人ランゲルハンス細胞組織球症

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)に関する一般情報

小児および成人における組織球性疾患には、主要な分類として3つの疾患がある。本要約では、樹状細胞疾患の1つであるランゲルハンス細胞組織球症(LCH)のみについて詳細に考察する。エルドハイム-チェスター病(主に成人にみられる)および若年性黄色肉芽腫(小児および成人に診断される)はマクロファージ障害である。マクロファージ/単球様細胞系列の他の障害には、ローサイ-ドーフマン病および血球貪食性リンパ組織球症がある。悪性疾患には、さまざまな組織球系の悪性組織球症(以前は組織球肉腫と呼ばれていた)および単球性または骨髄単球性白血病がある。

LCHは、免疫表現型的および機能的に未熟で、形態学的には円形のLCH細胞のクローン性増殖の結果として生じる病態であり、同時に好酸球、マクロファージ、リンパ球、およびときに多核巨細胞もみられる。 [1] LCH細胞という用語は、表皮のランゲルハンス細胞(LC)とLCH病変内のランゲルハンス細胞(LCH細胞)との間で形態学的所見、表現型、および遺伝子発現に明らかな差があるために用いられる。LCH細胞のクローン性増殖が悪性転換によって生じているか、免疫学的刺激の結果であるかについては、論議がある。 [2] [3]

病期または臓器浸潤に関係なく、LCH生検標本の約60%でBRAFがん遺伝子にV600E突然変異が認められることが最近発見されたことにより、LCHはクローン性の腫瘍性疾患であるとの結論に至っている。悪性黒色腫などの他のがんでも同様の突然変異が確認されている;しかしながら、V600Eが変異したBRAFは良性の母斑にもみられるため、細胞が悪性化するには別の突然変異が必要なことを示していると考えられる。 [4] この発見により、既に黒色腫で用いられている阻害薬による今後の標的療法の可能性が高まってきており、数件のBRAF阻害薬の試験が、LCHを含めてBRAFにV600E突然変異を認める腫瘍の成人および小児を対象に実施中である。BRAF V600E突然変異が認められるかどうかにかかわらず、ほぼすべての病変がBRAFのERK下流で活性化している証拠を示すことが報告されている;したがって、RAS-RAF-MEK-ERK経路を構成する遺伝子において、他の突然変異がさらに同定される可能性がある。かなりの割合のBRAF V600E陰性標本について、CSF-1受容体、RAS、およびMAP2K1(MEK)が関与する活性化突然変異でこのことが示されている。 [5] [6] クローン性増殖の病因にかかわらず、一次治療は化学療法である。

かつてはヒスチオサイトーシス(histiocytosis)X、好酸球性肉芽腫アブト-レッテラー-ジーベ病ハンド-シューラー-クリスチャン病びまん性細網内皮症(diffuse reticuloendotheliosis)などの用語も用いられたが、現在ではランゲルハンス細胞組織球症が好まれて用いられている。この基になっているのは、これらの診断のすべてに共通な病的な組織球が、電子顕微鏡で特定されたバーベック顆粒の存在などの同一の免疫表現型特性を有しているという観察である;さらに、病的な組織球つまりLCH細胞は、骨髄樹状細胞によく似た遺伝子発現プロファイルを有していることから、LCH細胞が皮膚LCではなく循環前駆細胞から発生する可能性が生じている。 [7] [8] (詳しい情報については、本要約の細胞遺伝学およびゲノムの研究のセクションを参照のこと。)

LCHは、単一の臓器に現れることがあり(単一系統型LCH)、単一の部位にみられたり(単病巣性)、複数の部位にみられたり(多病巣性)する;またLCHは、複数の臓器に現れることがあり(多系統型LCH)、限られた数の臓器にみられたり、播種性であったりする。


参考文献
  1. Laman JD, Leenen PJ, Annels NE, et al.: Langerhans-cell histiocytosis 'insight into DC biology'. Trends Immunol 24 (4): 190-6, 2003.[PUBMED Abstract]

  2. Willman CL, Busque L, Griffith BB, et al.: Langerhans'-cell histiocytosis (histiocytosis X)--a clonal proliferative disease. N Engl J Med 331 (3): 154-60, 1994.[PUBMED Abstract]

  3. Yu RC, Chu C, Buluwela L, et al.: Clonal proliferation of Langerhans cells in Langerhans cell histiocytosis. Lancet 343 (8900): 767-8, 1994.[PUBMED Abstract]

  4. Badalian-Very G, Vergilio JA, Fleming M, et al.: Pathogenesis of Langerhans cell histiocytosis. Annu Rev Pathol 8: 1-20, 2013.[PUBMED Abstract]

  5. Chakraborty R, Hampton OA, Shen X, et al.: Mutually exclusive recurrent somatic mutations in MAP2K1 and BRAF support a central role for ERK activation in LCH pathogenesis. Blood 124 (19): 3007-15, 2014.[PUBMED Abstract]

  6. Nelson DS, van Halteren A, Quispel WT, et al.: MAP2K1 and MAP3K1 mutations in Langerhans cell histiocytosis. Genes Chromosomes Cancer 54 (6): 361-8, 2015.[PUBMED Abstract]

  7. Allen CE, Li L, Peters TL, et al.: Cell-specific gene expression in Langerhans cell histiocytosis lesions reveals a distinct profile compared with epidermal Langerhans cells. J Immunol 184 (8): 4557-67, 2010.[PUBMED Abstract]

  8. Ginhoux F, Merad M: Ontogeny and homeostasis of Langerhans cells. Immunol Cell Biol 88 (4): 387-92, 2010 May-Jun.[PUBMED Abstract]

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小児のLCH

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の小児および青年では、本疾患とその治療の経験が豊富な医療専門家から構成される集学的チームが治療を実施すべきである。この集学的チームのアプローチとは、至適生存期間および至適QOLが得られるような治療、支持療法、およびリハビリテーションを小児が必ず受けられるようにするため、プライマリケア医、小児外科専門医、放射線腫瘍医、小児内科腫瘍医/血液専門医、リハビリテーション専門家、小児専門看護師、社会福祉士などの技能を集結したものである。

1980年代以降、小児の治療研究では、Histiocyte Societyが組織した臨床試験により患者が集積されている。これらの試験に患者を登録している医療センターに関する情報は、NCIウェブサイトにて提供されている。

高リスクまたは低リスクLCHの小児患者には、治療による有害な副作用や疾患経過の記録と是正を試みるために年1回の経過観察を行うべきである。(小児がんおよびその治療による晩期障害の発生率、種類、およびモニタリングに関する詳しい情報については、本要約の小児LCHにおける疾患および治療による晩期障害のセクションを参照のこと。)

発生率

LCHの年間発生率は、15歳以下の小児100万人当たり2~10例と推定されている。 [1] [2] 男女比(M/F)は1に近く、初発時年齢の中央値は生後30ヵ月である。 [3] スウェーデンのストックホルム郡からの報告によると、LCHの年間発生率は、小児100万人当たり8.9例で、10年間に計29例が認められたことが明らかにされた。 [4] これらの症例のほとんどは、9月から2月までの間に診断されたものである(M/F = 1.2)。フランスでは、4年間の調査でLCH新規症例が251例であったことから、年間発生率は、15歳未満の小児100万人当たり4.6例であることが明らかになった(M/F = 1.2)。 [5] イングランド北西部(マンチェスター)でのLCHの調査によると、全発生率が小児100万人年当たり2.6例であることが明らかになった。 [6]

高リスクのLCH症例を確認し、さまざまな人口統計学的変数を評価するために、2000年から2009年までのSurveillance, Epidemiology, and End Results登録データが見直された。 [7] 145例に基づく年齢標準化発生率は小児100万人年当たり0.7であり、黒人患者では低く(100万人当たり0.41)、5歳未満のヒスパニック系患者では高かった(100万人当たり1.63)。混雑した環境および低い社会経済状態での生活は、LCHのリスク増加に関連していた。

LCHの一卵性双生児、および1つの家系内で双子以外の同胞または複数の症例が報告されている。 [8] 90%を超える成人の肺LCHが、喫煙習慣のある(しばしば20本/日以上)若年成人に認められたものである。 [9] [10]

危険因子

LCHでは、以下の危険因子が特定されているが、強い一貫した関連性は確認されていない:


  • 両親の溶剤曝露。 [11]

  • がんの家族歴。 [12]

  • 甲状腺疾患の個人歴または家族歴。 [11] [13]

  • 周産期感染症。 [11] [12]

  • 金属、花こう岩、または木材の粉塵に対する親の職業性曝露。 [12]

  • 民族および人種。 [7]

  • 低い社会経済状態。 [7]

予後

予後は、高リスク臓器(肝臓、脾臓、および/または骨髄)に発生した場合の初発時に病変の拡がりのほか、初回治療に対する反応に密接に関係する。高リスクの指定は、治療開始から最初の6週間で十分な効果が得られなかった患者における高い死亡率(35%)が基になっている。長年にわたって、肺が高リスク臓器であると考えられていたが、小児LCHにおける孤立性肺病変が重大な死亡リスクをもたらすとは、もはや考えられていない。 [14] 治療が進歩したため、LCHが高リスク臓器に発生した小児でも転帰が改善してきている。 [15] [16] HISTSOC-LCH-III(NCT00276757)からのデータによると、全身化学療法により12ヵ月にわたる治療を受けた患者では、全生存(OS)率が84%であることが示された。 [17]

単一系統型LCHおよび低リスク多系統型LCHの患者は、一般にLCHによって死亡することはないが、再発によって相当な合併症および重大な晩期障害を来すことがある。 [18] 主要な治療上の課題は、この患者集団における20~30%の再発病変の発生率および重大な永続的合併症の発生率を低下させることである。HISTSOC-LCH-IIIのデータによると、リスク臓器に病変がみられる被験者で治療期間が6ヵ月と12ヵ月を比較した場合、再活性化に有意差があり、12ヵ月の方が良好であった(54% vs 37%)ことが示された。 [17]

LCHの小児に対する予後因子が特定されており、以下のものがある:


  • BRAF突然変異:

    BRAF V600E突然変異を有する患者173人と突然変異を有さない患者142人を対象にした研究により、この突然変異は高リスク疾患を有する患者の88%、多系統型低リスクLCHを有する患者の69%、および単一系統型低リスクLCHを有する患者の44%に発生していることが明らかにされた。 [19] この突然変異はまた、神経変性症候群患者の75%および下垂体病変を有する患者の73%でも認められた。この突然変異を有する患者では、初回治療への抵抗性および再燃が比較的高かった。 [19]

  • 診断時年齢:

    かつては2歳未満の年齢が予後不良の因子と考えられていたが、LCH-II研究から得られたデータによると、病変が高リスク臓器にない2歳以下の患者では、2歳以上の患者と比べて治療に対する反応に差がなかったことが示された。 [16] 対照的に、病変がリスク臓器にある新生児では、患者に対して6ヵ月間のみ治療を行った場合、病変の拡がりが同程度の乳児および小児と比較してOSが不良であった。 [16]

  • 治療に対する反応:

    6~12週間経過後の治療に対する反応は、年齢よりも重要な予後因子であることが示されている。 [20] 治療に対する全般的な反応は、治療期間および治療強度による影響を受ける。 [15] [16]

  • 臓器浸潤:

    眼窩、乳様突起、および側頭骨などの頭蓋顔面骨への浸潤は、尿崩症のリスク増加のほか、下垂体前葉ホルモン欠乏症および神経障害の頻度増加と関連している。(尿崩症に関する詳しい情報については、本要約の多系統型LCHの臨床像のセクションの内分泌系のサブセクションを参照のこと。)


参考文献
  1. Carstensen H, Ornvold K: The epidemiology of Langerhans cell histiocytosis in children in Denmark, 1975-89. [Abstract] Med Pediatr Oncol 21 (5): A-15, 387-8, 1993.[PUBMED Abstract]

  2. Salotti JA, Nanduri V, Pearce MS, et al.: Incidence and clinical features of Langerhans cell histiocytosis in the UK and Ireland. Arch Dis Child 94 (5): 376-80, 2009.[PUBMED Abstract]

  3. A multicentre retrospective survey of Langerhans' cell histiocytosis: 348 cases observed between 1983 and 1993. The French Langerhans' Cell Histiocytosis Study Group. Arch Dis Child 75 (1): 17-24, 1996.[PUBMED Abstract]

  4. Stålemark H, Laurencikas E, Karis J, et al.: Incidence of Langerhans cell histiocytosis in children: a population-based study. Pediatr Blood Cancer 51 (1): 76-81, 2008.[PUBMED Abstract]

  5. Guyot-Goubin A, Donadieu J, Barkaoui M, et al.: Descriptive epidemiology of childhood Langerhans cell histiocytosis in France, 2000-2004. Pediatr Blood Cancer 51 (1): 71-5, 2008.[PUBMED Abstract]

  6. Alston RD, Tatevossian RG, McNally RJ, et al.: Incidence and survival of childhood Langerhans cell histiocytosis in Northwest England from 1954 to 1998. Pediatr Blood Cancer 48 (5): 555-60, 2007.[PUBMED Abstract]

  7. Ribeiro KB, Degar B, Antoneli CB, et al.: Ethnicity, race, and socioeconomic status influence incidence of Langerhans cell histiocytosis. Pediatr Blood Cancer 62 (6): 982-7, 2015.[PUBMED Abstract]

  8. Aricò M, Nichols K, Whitlock JA, et al.: Familial clustering of Langerhans cell histiocytosis. Br J Haematol 107 (4): 883-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  9. Tazi A, Soler P, Hance AJ: Adult pulmonary Langerhans' cell histiocytosis. Thorax 55 (5): 405-16, 2000.[PUBMED Abstract]

  10. Vassallo R, Ryu JH, Colby TV, et al.: Pulmonary Langerhans'-cell histiocytosis. N Engl J Med 342 (26): 1969-78, 2000.[PUBMED Abstract]

  11. Bhatia S, Nesbit ME Jr, Egeler RM, et al.: Epidemiologic study of Langerhans cell histiocytosis in children. J Pediatr 130 (5): 774-84, 1997.[PUBMED Abstract]

  12. Venkatramani R, Rosenberg S, Indramohan G, et al.: An exploratory epidemiological study of Langerhans cell histiocytosis. Pediatr Blood Cancer 59 (7): 1324-6, 2012.[PUBMED Abstract]

  13. Nicholson HS, Egeler RM, Nesbit ME: The epidemiology of Langerhans cell histiocytosis. Hematol Oncol Clin North Am 12 (2): 379-84, 1998.[PUBMED Abstract]

  14. Ronceray L, Pötschger U, Janka G, et al.: Pulmonary involvement in pediatric-onset multisystem Langerhans cell histiocytosis: effect on course and outcome. J Pediatr 161 (1): 129-33.e1-3, 2012.[PUBMED Abstract]

  15. Gadner H, Grois N, Arico M, et al.: A randomized trial of treatment for multisystem Langerhans' cell histiocytosis. J Pediatr 138 (5): 728-34, 2001.[PUBMED Abstract]

  16. Gadner H, Grois N, Pötschger U, et al.: Improved outcome in multisystem Langerhans cell histiocytosis is associated with therapy intensification. Blood 111 (5): 2556-62, 2008.[PUBMED Abstract]

  17. Gadner H, Minkov M, Grois N, et al.: Therapy prolongation improves outcome in multisystem Langerhans cell histiocytosis. Blood 121 (25): 5006-14, 2013.[PUBMED Abstract]

  18. Haupt R, Nanduri V, Calevo MG, et al.: Permanent consequences in Langerhans cell histiocytosis patients: a pilot study from the Histiocyte Society-Late Effects Study Group. Pediatr Blood Cancer 42 (5): 438-44, 2004.[PUBMED Abstract]

  19. Héritier S, Emile JF, Barkaoui MA, et al.: BRAF Mutation Correlates With High-Risk Langerhans Cell Histiocytosis and Increased Resistance to First-Line Therapy. J Clin Oncol 34 (25): 3023-30, 2016.[PUBMED Abstract]

  20. Minkov M, Prosch H, Steiner M, et al.: Langerhans cell histiocytosis in neonates. Pediatr Blood Cancer 45 (6): 802-7, 2005.[PUBMED Abstract]

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LCHの病理組織学的、免疫学的、細胞遺伝学的特徴

起源細胞と生物学的関係

現代の組織球性疾患の分類では、樹状細胞関連、単球/マクロファージ関連、または真性の悪性腫瘍に細分されている。ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)は、樹状細胞疾患の1つである。 [1] [2] LCH病変におけるランゲルハンス細胞(LCH細胞)は、未熟樹状細胞で、LCH病変に存在する細胞に占める割合は10%未満である。 [3] [4] LCH細胞に関する遺伝子発現アレイの総合データ解析は、皮膚ランゲルハンス細胞(LC)がLCHの起源細胞ではないという考え方と一致している。 [5] むしろ起源細胞は、骨髄樹状細胞である可能性が高く、皮膚LCと同じ抗原(CD1aおよびCD207)を発現している。 [6] この考え方は、LCH細胞の転写プロファイルが骨髄系および形質細胞様樹状細胞のほか、表皮LCとも異なることを報告した研究によりさらに支持された。 [6] [7]

LCH病変は、リンパ球、マクロファージ、好中球、好酸球、線維芽細胞とともに、ときには多核巨細胞も含んでいる。LCHの脳病変に関しては、以下の3種類の病理組織所見が報告されている:


  • CD1a陽性LCH細胞および主にCD8陽性リンパ球を伴う髄膜または脈絡叢の腫瘤病変。

  • 炎症反応および神経細胞消失を引き起こすCD1a陽性LCH細胞および主にCD8陽性リンパ球を伴う結合組織腔の腫瘤病変。

  • 神経変性、ミクログリア細胞の活性化、および神経膠症を伴う主にCD8陽性のリンパ球浸潤。 [8]

免疫学的異常

LCが正常であれば、ナイーブTリンパ球に対する最初の抗原提示細胞として働く。しかしながら、LCHの場合は、病的な樹状細胞により、Tリンパ球の一次応答の刺激が効率的に行われない。 [9] LCHにおけるこうした異常細胞は、抗原提示能が不良で、増殖の遅い未熟な樹状細胞であることを示すために、樹状細胞マーカー、CD80、CD86、クラスII抗原などに対する抗体染色法が用いられている。 [3] [9] [10] トランスフォーミング成長因子β(TGF-β)およびインターロイキン(IL)-10が、LCHにおけるLCH細胞の成熟阻害の原因と考えられる。 [3] また、LCH患者では、調節性T細胞の増加が報告されている。 [10] CD4陽性、CD25(高値)、FoxP3(高値)の細胞集団がT細胞全体の20%を占めると報告されており、これらの細胞が病変内でLCH細胞と接触しているとみられる。これらのT細胞は、LCH患者における末梢血中の数が対照群より多く、患者が寛解に至った時点で正常レベルに回復した。 [10]

病因論

LCHの原因は明らかになっていない。ウイルス性の原因を特定する試みがなされてきたが、成功してない。 [11] [12] 患者の1%でLCHの家族歴が陽性であることを示した研究が1件ある。 [13]

細胞遺伝学およびゲノムの研究

1994年に、ヒトアンドロゲン受容体、DXS255、PGK、およびHPRTをコードするX染色体領域のメチル化特異的制限酵素部位の多型を用いて、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)におけるクローン性を明らかにする研究が発表された。 [14] [15] 単一系統型または多系統型の患者における病変部の生検により、単一クローンからのLCH細胞の増殖が認められることが明らかにされた。LCHにおける頻発性ゲノム変化(主にBRAF V600E)の発見(下記を参照のこと)により、小児におけるLCHのクローン性が確認された。成人における肺LCHは、通常非クローン性で、この集団が喫煙に対する反応過程を象徴しているといえる。 [16] しかしながら、BRAF突然変異の解析により、かなりの割合の患者(25~30%)が変異したBRAF V600Eの証拠を有することが示されたことから、一部のサブセットはクローン性のようであった。 [17]

図1.Rikhia Chakraborty(Ph.D)により無償提供された図。どのような形であれ、本図を再使用する許可は、直接 Dr. Chakrabortyから得なければならない。

LCHのゲノム的基盤は、2010年に61例中35例(57%)で検出されたBRAFがん遺伝子の活性化突然変異(V600E)が報告されたことにより進歩した。 [18] その後の複数の報告により、小児におけるLCH症例の50%以上でBRAF V600E突然変異の存在が確認されている。 [19] [20] [21] 別のBRAF突然変異(BRAF 600DLAT)が特定されており、4つのアミノ酸が挿入され、さらにシグナル伝達を活性化するとみられている。 [20] ARAF突然変異はLCHにおける頻度は高くないが、存在する場合は、これもまたRAS-MAPK経路の活性化につながりうる。 [22] BRAF V600E突然変異に関連する臨床上の特徴は特定されていない。 [18] [19] [20]

RAS-MAPKシグナル伝達経路(図1)は、細胞表面受容体(例、増殖因子)からRAS経路を通して(RAF蛋白[A、B、またはC]の1つを介して)シグナルを伝達し、MEK、さらには細胞外シグナル調節キナーゼ(ERK)をリン酸化するため、細胞周期および転写調節に影響を与える核シグナルが伝わることになる。BRAFのV600E突然変異により、連続的にリン酸化されることになるため、外部シグナルの必要がなくなって、MEKおよびERKが活性化される。リン酸化によりERKが活性化し、リン酸化したERKはほぼすべてのLCH病変で検出可能となる。 [18] [23]

RAS-MAPK経路の活性化はすべてのLCH症例で検出可能であるが、すべての症例でBRAF突然変異が認められるわけではないため、この経路の他の構成要素におけるゲノム変化の存在が疑われた。BRAF変異型 vs BRAF野生型LCH生検標本の全エクソーム配列決定法により、21個のBRAF野生型標本中7個にMAP2K1突然変異が認められた一方で、BRAF変異型標本ではMAP2K1突然変異が認められなかったことが明らかにされた。 [23] ERKリン酸化の誘導で示されたように、(MEKをコードする)MAP2K1の突然変異が活性化していた。 [23] 別の研究では、BRAF野生型症例22例中11例にMAP2K1突然変異のみが示された。 [24] 最後に、BRAF V600EおよびMAP2K1変異陰性の症例グループでは、インフレームのBRAF欠失およびインフレームのFAM73A-BRAF融合が認められている。 [25] 現在までの研究で、LCHにおけるERKの普遍的な活性化が支持されており、ほとんどの症例で活性化がBRAFおよびMAP2K1変化により説明される。 [18] [23] [25]

血中または骨髄中のBRAF V600E突然変異の存在が100人の患者シリーズで研究され、高感度の定量的ポリメラーゼ連鎖反応法によりBRAF V600E突然変異について検査したところ、このうち65%が陽性となった。 [19] 高リスクのすべての患者および低リスクの一部の多系統型患者では、BRAFのV600E突然変異を有する循環細胞が検出可能と考えられる。突然変異を有する循環細胞が存在すると、再燃リスクが2倍に増加する。高リスク患者の骨髄で突然変異を有するCD34+幹細胞が発見されたことにより、LCHの骨髄樹状細胞の起源が確認された。低リスク疾患の患者では、突然変異を有する骨髄樹状細胞がより成熟しており、LCHの臨床上の特徴を確定する際に細胞の成長段階がきわめて重要なことが示唆され、現在では、ほとんどの症例において骨髄腫瘍とみなすことができる。

BRAF V600E突然変異を有する患者173人と突然変異を有さない患者142人を対象にした研究により、この突然変異は高リスク疾患を有する患者の88%、多系統型低リスクLCHを有する患者の69%、および単一系統型低リスクLCHを有する患者の44%に発生していることが明らかにされた。 [26] この突然変異はまた、神経変性症候群患者の75%および下垂体病変を有する患者の73%でも認められた。この突然変異を有する患者では、初回治療への抵抗性および再燃が比較的高かった。 [26]

臨床的意義

記述されたゲノムの所見の臨床的意義には以下のものがある:


  • LCHは、一部の非悪性疾患(例、良性母斑) [26] および低悪性度の悪性腫瘍(例、毛様細胞性星細胞腫) [27] [28] など、BRAF活性化突然変異を伴う小児の他の疾患実体群に加わる。一般的に、これらの病態はいずれも緩慢な臨床経過をたどり、一部の症例で自然消退する。この特徴的な臨床経過は、発がん遺伝子により誘発された老化の症状である可能性がある。 [27] [30]

  • BRAF V600E突然変異は、BRAF阻害薬(例、ベムラフェニブおよびダブラフェニブ)またはBRAF阻害薬 + MEK阻害薬の併用(例、ダブラフェニブ/トラメチニブおよびベムラフェニブ/cobimetinib)の標的とすることが可能である。これらの薬物および併用は、黒色腫の成人に対して承認されている。BRAF阻害薬とMEK阻害薬の併用で成人を治療したところ、BRAF阻害薬単独を用いた治療と比較して、無増悪生存の結果が有意に良好であったことが示された。 [31] [32] BRAF阻害薬による最も重篤な副作用は、皮膚扁平上皮がんの誘発 [31] [32] であり、これらの二次がんの発生率は年齢とともに増加する [33] ;この副作用は、BRAFおよびMEK阻害薬両方の同時治療により、低下させることができる。 [31] [32] 複数の症例報告で、成人患者 [34] [35] [36] [37] [38] および小児患者 [39] におけるLCHに対するBRAF阻害薬の活性が記述されているが、LCHの小児の治療においてこれらの薬物の役割を評価するにはデータが不十分である。

  • さらなる研究を実施することで、循環細胞中のBRAF V600E(または突然変異を来している可能性のあるMAP2K1)の観察は、高リスク vs 低リスク疾患を明らかにするための有用な診断ツールとなりうる。 [19] さらに、体細胞変異を有する患者について、突然変異が認められる循環細胞の持続は、残存病変のマーカーとして有用な可能性がある。 [19]

免疫組織化学的染色によるサイトカイン染色および遺伝子発現アレイ検査

LCH病変の免疫組織化学染色法により、ケモカインのCCR6およびおそらくCCR7のアップレギュレーションがみられることが示されている。 [40] [41] LCHにおける遺伝子発現に関する遺伝子アレイ技術による解析では、特異的に発現した2,000遺伝子が同定された。過去にLCHに関連することが報告された65遺伝子のうち、アレイの結果で発現増加が認められたのはわずか11遺伝子であった。CD207およびCD3がともに陽性の細胞で最も高い発現増加を示した遺伝子は、osteopontinであった;T細胞を活性化させ、炎症部位に集める別の遺伝子も発現が増加していた。T細胞の発現プロファイルは、FOXP3CTLA4、およびosteopontinの発現増加を伴う活性化された調節性T細胞の表現型であった。これらの知見は、LCHにおける調節性T細胞の増加に関する過去の報告を裏付けている。 [10] 初期の骨髄前駆細胞に関連する遺伝子の発現がCD33およびCD44を含めて顕著に多くみられ、LCH患者では血液中の骨髄樹状細胞が増加しているという初期の報告と一致する。 [42] 「誤って誘導された骨髄樹状細胞の前駆細胞」のモデルが提唱されており、未知の機序によって骨髄樹状細胞の前駆細胞がLCH部位に集められ、その樹状細胞が次にosteopontin、neuropilin-1、およびvannin-1を分泌することで、リンパ球が集められる。 [5]

先に述べた遺伝子発現結果によって発現が増加していないことが示された遺伝子を多く含んでいるLCHの患者血液を対象に、さまざまなサイトカインまたは増殖因子の濃度を検討した研究を数人の研究者が公表している。 [5] これらの蛋白の濃度上昇に関する説明の1つは、サイトカイン/増殖因子による全身炎症反応がLCH病変の外周細胞によって誘導されることである。考えられる2番目の説明は、LCH病変内のマクロファージがサイトカインを産生し、血液中に測定されるか、病変での濃度が増すというものである。

口腔のLCH病変を有する患者または口腔病変を有するまたは有さない多系統高リスク患者の唾液で、IL-1 βおよびプロスタグランジンGE2濃度が測定された;両者の濃度は活動性病変を有する患者で高く、治療が成功した後に低下した。 [43]

ヒト白血球抗原型(HLA)とLCHとの関連

特定のHLA型とLCHの進展度との間に特異的な関連性がみられることが報告されている。北欧の患者84人を対象にした研究があり、皮膚または骨のみに病変を認める患者では、多系統型LCHの患者と比べて高頻度でHLA-DRB1*03が認められた。 [44] 米国における患者29人および家系員37人では、単一の骨病変を有する白人においてCw7型およびDR4型の保有率が有意に高かった。 [45]


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小児におけるLCHの臨床像

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)では、皮疹または痛みを伴う骨病変が認められることが最も多い。発熱、体重減少、下痢、浮腫、呼吸困難、多飲症、多尿といった全身症状は、以下に記載しているように、特定臓器の病変および単一系統型または多系統型LCHの臨床像と関係する。

症状と関係している場合の特定の臓器が高リスクまたは低リスク臓器とみなされる。リスクとは、死亡リスクを指す。


  • 高リスク臓器

    としては、肝臓、脾臓、および骨髄が挙げられる。

  • 低リスク臓器

    としては、皮膚、骨、肺、リンパ節、消化管、下垂体、および中枢神経系(CNS)が挙げられる。

患者の症状が単一の臓器に現れることがあり(単一系統型LCH)、単一の部位にみられたり(単病巣性)、複数の部位にみられたり(多病巣性)する。骨が最もよくみられる単一の臓器部位である。まれに、LCHが複数の臓器に現れることがあり(多系統型LCH)、限られた数の臓器にみられたり、播種性であったりする。患者に対する治療決定は、症状がみられるのが高リスクまたは低リスク臓器のいずれか、およびLCHが単一系統型または多系統型のいずれかに基づく。皮膚、骨、リンパ節、下垂体のLCHは、あらゆる組み合わせで発生することがあり、いずれも死亡リスクは低いと考えられるものの、疾患による長期的合併症のリスクは比較的高い可能性がある。

単一系統型LCHの臨床像

単一系統型LCHは、その名の通り、皮膚および爪、口腔、骨、リンパ節および胸腺、下垂体、甲状腺などの、単一の部位または臓器の病変として発生する。

皮膚および爪


  • 乳児

    :乳児における頭皮の脂漏性病変は、遷延性頭部皮膚炎(クレイドキャップ)と誤診されることがある。LCHの乳児では、全身性の皮疹がみられることもあり、他の多くの皮膚疾患と類似している場合がある。乳児における皮膚LCHは、皮膚に限局している場合(皮膚のみの疾患)、または多系統型LCHの1つである可能性がある。Histiocyte Societyデータベースに登録された患者1,069人のうち、新生児61症例を対象とした報告では、60%近くが多系統型疾患で、72%でリスク臓器に病変が認められた。 [1] 71人の乳児および小児を対象にしたレトロスペクティブ解析により、生後18ヵ月以上の小児は多系統に病変を有する可能性が高く、ビンブラスチンおよびプレドニゾンによる治療後しばしば再燃することが明らかにされた。 [2] このカテゴリーの患者11人中8人が循環細胞にBRAF V600E突然変異を有したのに対し、皮膚にのみ病変を有する群の患者13人では1人にしか突然変異がみられなかった。皮膚にのみ病変を有する1歳未満の患者(他のどの部位にも病変を有さないと完全に評価されている)では、初回治療で89%の3年無増悪生存率が得られた。

    皮膚のみのLCHは、古くからハシモト-プリツカー病として知られており、生後1年間で治療なしに病変が消失するため、自己限定性の可能性がある。非常に広範囲に及ぶ発疹、疼痛、潰瘍、または出血に対してのみ、治療を実施する。重要な点として、これらの患者では、皮膚のみのLCHが数週間または数ヵ月以内に高リスクの多系統型疾患に進行して、命を脅かすこともあるため、綿密に監視しなければならない。 [3] [4] [5]


    皮膚のみのLCHを生後3ヵ月で発症した患者のレビューでは、皮膚LCHが退縮した小児21人と退縮しなかった小児10人の臨床的および病理組織所見が比較された。病変が退縮した患者は、生後3ヵ月で現れ、壊死性丘疹または低色素性斑の遠位病変を有した。病変が退縮せずに全身治療を必要とした患者では、間擦疹がより多くみられた。免疫組織化学検査では、2つの臨床集団間にインターロイキン(IL)-10、Ki-67、E-カドヘリン発現、またはT-reg細胞数に違いはみられなかった。


  • 小児および成人

    :小児および成人はびまん性カンジダ発疹(diffuse candidal rash)に類似した鼠径部、腹部、背部、または胸部に赤い丘疹性発疹を発症することがある。頭皮の脂漏性病変は、高齢の個人においてはフケの重症例と誤認されることがある。頭皮を含めた耳介後方、乳房下、生殖器、または肛門周囲の潰瘍性病変は、しばしば細菌または真菌感染と誤診される。小胞性病変がみられることがあるため、疱疹性病変との鑑別が必要である。

    爪の病変は単一部位として現れたり、他の部位のLCH病変とともに現れたりするまれな所見である。縦方向の変色した溝および爪組織の消失がみられる。この病態は、通常のLCH治療に反応することが多い。 [6]


口腔

口腔の主症状としては、歯肉肥大のほか、軟口蓋または硬口蓋、頬粘膜、または舌および口唇の潰瘍がある。歯の異常なぐらつき(浮遊歯)および歯の喪失は、通常、下層の骨に病変があることを示している。 [7] [8] 口腔病変は、他の部位のLCHの証拠より先行して認められることがある。

LCHは、体のいずれの骨にも発生する可能性があるが、手足にはみられないことが多い。小児におけるLCHの発生部位には以下のものがある:


  • 頭蓋骨の溶解性病変:

    小児で最も頻度の高いLCH部位は、頭蓋冠の溶解性病変で [9] 、無症状の場合も、痛みを伴う場合もある。この病変は、軟部組織の腫瘤に取り囲まれていることが多く、腫瘤が内部に進展して硬膜を侵害する場合もある。

  • 大腿骨、肋骨、上腕骨、および椎骨:

    他に病変を認める頻度の高い骨格部位は、大腿骨、肋骨、上腕骨、および椎骨である。脊椎の病変は、いずれの椎骨にも発生する可能性があるが、頸椎の病変が最も一般的であり、脊椎の病変は、他の骨病変に伴って現れる頻度が高い。脊椎の病変は、椎体圧潰(扁平椎)を引き起こすことがある。軟部組織への進展を伴う椎体病変は、疼痛伴うことが多く、緊急の磁気共鳴画像法(MRI)スキャンの適応症となる重大な神経学的欠損 [10] がみられることもある。

  • CNSリスク骨:

    眼窩のLCH腫瘤による眼球突出は、横紋筋肉腫、神経芽腫、および眼球の良性脂肪腫とよく似ている。 [11]

    頭蓋内への腫瘍進展を伴う顔面骨または前もしくは中頭蓋窩(例えば、側頭部、眼窩、蝶形骨、篩骨、頬骨)の病変は、CNSリスクグループを構成する。これらの患者では、尿崩症および他のCNS疾患を発症するリスクが3倍高い。尿崩症のリスクが高いため、これらに患者に対しては治療が推奨される。


リンパ節および胸腺

頸部リンパ節は、最も多く病変が認められる部位で、リンパ浮腫を伴う軟質または硬質の癒合群となる場合がある。胸腺肥大または縦隔リンパ節病変は、感染過程に似ていると考えられ、喘息様症状を引き起こす場合がある。したがって、これらの症状には、生検と培養を指示する。縦隔への浸潤はまれであり(5%未満)、通常は、呼吸窮迫、上大静脈症候群、または咳嗽と頻呼吸が現れる。5年生存率は87%で、死亡は主に血液障害によるものである。 [12]

下垂体

LCH患者では、下垂体後葉および下垂体柄に影響を受けることがあり、中枢性尿崩症の原因となる。(詳しい情報については、本要約の多系統型LCHの臨床像のセクションの内分泌のサブセクションを参照のこと。)下垂体前葉の病変は、しばしば成長不全および思春期遅発または早発症を招く。まれに、視床下部への浸潤により、病的肥満を引き起こすことがある。

甲状腺

LCHでは、甲状腺病変の発生が報告されている。症状としては、巨大な甲状腺腫脹、甲状腺機能低下症、呼吸器症状などがある。 [13]

多系統型LCHの臨床像

多系統型LCHでは、骨、腹部/消化管系(肝臓および脾臓)、肺、骨髄、内分泌系、眼球、CNS、皮膚、リンパ節などの複数の臓器または体組織に病変が発生する。

骨および他の臓器系

LCH患者では、単一部位として複数の骨病変(単一系統型多病巣性骨病変)または他の臓器系を含む骨病変(骨を含む多系統型骨病変)がみられることがある。単一系統型多病巣性骨病変および骨を含む多系統型骨病変を認め日本のLCH研究(JLSG-02)で治療を受けた患者のレビューによると、骨を含む多系統型骨病変群の患者の方が側頭骨、乳様突起/錐体骨、眼窩、および頬骨に病変を有する可能性が高いこと(CNSリスク)が明らかになった。 [14] 骨を含む多系統型骨病変を有する患者では、尿崩症の発生率が高く、上述の顔面骨に病変がみられる頻度が高いことと相関している。治療による転帰の差はみられなかったが、JLSG-02研究では治療強度がLCH-II研究より大きかった。

腹部/消化器系

LCHでは、肝臓および脾臓は高リスク臓器と考えられており、これらの臓器の病変は予後に影響を及ぼす。ここでの病変とは、LCH細胞の直接浸潤によって、あるいはマクロファージ活性化または胆管周囲のリンパ球浸潤を引き起こす過剰なサイトカインの二次的な現象として肥大した肝臓および脾臓のことである。LCH細胞は、門脈系(胆管)の栄養機能を有しているため、胆管障害および胆管硬化症の原因となる可能性がある。経皮的(周辺の)肝生検では、肝臓の中心部に多くみられる傾向がある浸潤を診断できないことがあるが、遠位胆管閉塞の上流での閉塞の影響は明らかにされる。肝腫大では、肝機能不全を伴うことがあり、腹水を伴った低アルブミン血症、高ビリルビン血症、凝固因子欠乏症などを来すこともある。肝臓にLCH病変が存在する場合は、肝臓の超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、MRIにより、門脈または胆管に沿って低エコー域または低信号域が認められる。 [15]

肝臓(硬化性胆管炎)

肝LCHにおいて最も重篤な合併症の1つは、胆汁うっ滞および硬化性胆管炎である。 [16] 通常、初発後数ヵ月経過してから発生するが、診断時に認められている場合もある。この形態の肝LCHを有する小児の年齢中央値は生後23ヵ月である。

肝LCH患者では、肝腫大または肝脾腫がみられるほか、アルカリホスファターゼ、肝トランスアミナーゼ、およびγグルタミルトランスペプチターゼの値が上昇する。この合併症の診断には、超音波および/またはMRIによる胆管造影が有用な可能性があるが、現時点で、活動性LCHまたは肝線維症の有無を判断できる唯一の確定診断法は、肝生検である。生検の結果では、リンパ球が認められ、LCH細胞以外による胆管閉塞作用が明らかになることが多い。胆管周辺のLCH細胞のほか、まれにLCHの結節腫瘤がみられることもある。トランスフォーミング成長因子-β(TGF-β)など、疾患の活動期にリンパ球により産生されるサイトカインが胆管周辺の線維化および硬化を引き起こすと考えられている。 [17]

硬化性胆管炎を有する小児の75%は化学療法に反応しないが、それはLCHがもはや活動していなくても線維化および硬化が残っているためである。制限は有るものの、肝生検は活動性LCHと末期の線維化を鑑別する唯一の方法であろう。肝機能が悪化した場合は、肝移植が唯一の代替療法である。肝移植を受けた小児28人のシリーズが1件あり、78%が生存し、29%がLCHを再発したものの、移植された肝臓にLCHが再発した症例はわずか2例であったが、最初のデータが公表されて以降に別の症例も報告されている。 [18] 活動性LCHは、可能な限り、移植前に抑制しておくべきである。LCHに対して肝移植を受ける患者では、移植後リンパ増殖性疾患の発生率が高くなる可能性がある。 [19]

脾臓

巨脾腫では、脾機能亢進症から血球減少症に至り、呼吸障害を引き起こす可能性がある。肝臓の大きさの増大および細網内皮細胞活性化により、末梢血の血球が捕捉・破壊されるため、脾臓摘出術を行っても、一般的には血球減少症が一時的に軽減されるだけである。まれではあるが、膵臓および腎臓へのLCHの浸潤が報告されている。 [20] 脾臓摘出術は、救命処置としてのみ実施される。

他の消化管症状

下痢、血便、肛門周囲の瘻孔、または吸収不良の患者が報告されている。 [21] [22] LCHと併せて消化管病変の診断を下すことは、まれにしかみられない病変であるため、困難を伴う。通常は、複数回にわたる生検など、注意深い内視鏡検査が必要である。

LCHでは、成人における喫煙が重要な病因であるため、小児では肺に発生する頻度が成人より低い。 [23] 嚢胞性/結節性の病変パターンは、サイトカイン誘発性の肺組織の破壊を反映している。古典的に、病変は対称性で、主に上肺野および中肺野にみられるが、肋骨横隔膜角にはみられず、高分解能CTスキャンで非常に特徴的な画像を呈する。 [24] 嚢胞の集密から水疱形成に至ることがあり、自然気胸が肺LCHの最初の徴候となる場合があるが、頻呼吸または呼吸困難を呈することもある。最終的には、肺組織の広範囲にわたる線維化および破壊により、重度の肺機能不全に至る可能性がある。また、拡散能の低下も肺高血圧症の発症の予兆となることがある。 [25] 小児では、広範囲に及ぶ線維化および拡散能の低下はそれほど多くない。びまん性病変を有する低年齢小児では、治療により組織破壊の進行が停止し、正常な修復機序により機能の一部が回復する可能性があるが、X線検査で依然として瘢痕化または残存する非活動性嚢胞さえも確認されることがある。

肺病変は多系統型低リスクおよび高リスクLCHを有する小児の約25%にみられる。 [26] しかしながら、多系統型LCHにおける肺病変の多変量解析によると、肺病変は独立した予後因子ではないことが示され、肺病変を有する患者と有さない患者の5年全生存率は、94% vs 96%であった。 [27]

骨髄

骨髄浸潤を認める患者のほとんどは、肝臓、脾臓、リンパ節、および皮膚にびまん性病変を有し、好中球減少症の有無にかかわらず、重大な血小板減少症および貧血がみられる低年齢小児である。 [28] その他の患者では、軽度の血球減少症のみを認め、骨髄の高感度の免疫組織化学またはフローサイトメトリー解析によりLCHの骨髄病変を有することが明らかになる。 [29] 骨髄にマクロファージが占める割合が高いことにより、LCH細胞が不明瞭になる可能性がある。 [30] 非常に高リスクと考えられるLCH患者では、骨髄に及ぶ血球貪食がみられることがある。 [31] LCHを引き起こすサイトカイン環境は、マクロファージ活性化という付帯現象に関与している可能性があり、最も重度の症例では、典型的症状として、血小板減少および高フェリチン血症を含む血球貪食性リンパ組織球症がみられる。

内分泌系

尿崩症は、下垂体後葉の抗利尿ホルモン分泌細胞に対するLCH誘導性損傷により発生し、LCHで最も多くみられる内分泌症状である。 [32] MRIスキャンにより、通常は下垂体柄の小結節形成および/または肥厚が判明し、T2強調画像で下垂体の輝点消失が確認される。下垂体生検を実施するのはまれであり、通常は下垂体柄が6.5mmを超える場合または視床下部に腫瘤が認められる場合にのみ実施する。 [33] 下垂体病変は、他の病変部位を伴っていることが多い;下垂体の生検を避けるために、このような部位の生検を行って、診断を確定してもよい。

LCH患者の約4%では、他のLCH病変が特定される前に、特発性とみられる尿崩症の症状が現れる。特発性の中枢性尿崩症がみられる小児患者のレビューでは、19%が最終的にLCHの症状を発症することが示された。 [34] LCHの初期症状として特発性の尿崩症がみられる患者の約50%では、診断時に下垂体前葉欠損がみられたり、尿崩症発症から10年以内に下垂体前葉欠損が発生したりする。 [35] [36] これらの欠損としては、続発性無月経、汎下垂体機能低下症、成長ホルモン欠乏症、低アドレナリン症、およびゴナドトロピンの異常が認められた。

LCHによる尿崩症の患者では、尿崩症発症から1年以内にLCHの診断を示唆する他の病変が、骨、肺、および皮膚などに発生する可能性は50~80%である。 [33] [35] LCH患者589人を対象にした研究により、下垂体病変の10年リスクは24%であったことが明らかにされた。 [32] 化学療法を受けた患者でも尿崩症の発生率に低下がみられなかったが、これは、治療期間の長さおよび/または使用した薬物の数を反映している可能性がある。 [33] ドイツ-オーストリア-オランダ(Deutsche Arbeits-gemeinschaft für Leukaemieforschung und-therapie im Kindesalter [DAL])のグループは、治療期間が長く、比較的多くの薬物が使用され、累積発生率が12%であったことを明らかにした。 [37] [38] 最初のLCH診断の後、平均1年で尿崩症が現れ、成長ホルモン欠乏症が5年後に認められた。日本におけるLCH-III、JLSG-96、およびJLSG-02の各研究で、より強力な化学療法レジメンによる治療を受けた患者では、尿崩症の発生率(多系統型LCHの患者で8.9%)がLCH-IおよびLCH-IIの各研究の患者(14.2%)より低かった。 [38] [39] [40] [41] 尿崩症患者の56%が尿崩症発生から10年以内に下垂体前葉ホルモン欠乏症(成長、甲状腺、または性腺刺激ホルモンの欠乏)を発症する。尿崩症は、多剤併用化学療法を受けた患者の11%に発生し、より消極的な治療を受けた患者では最大50%に達する。 [36] [42]

診断時に多系統型で頭蓋顔面(特に眼窩、乳様突起、および側頭骨)に病変を有する患者では、その経過中に尿崩症を発症するリスクが有意に高く(相対リスク、4.6)、尿崩症患者の75%がこれらのCNS-リスク骨病変を有する。 [37] このリスクは、疾患が長期間にわたり活動性を維持した場合または再活性化した場合に高かった。この集団が尿崩症を発症するリスクは、診断後15年で20%であった。

眼球

まれではあるが、LCHによる眼球病変の症例が数件認められており、ときには失明に至った例もみられた。他の臓器系に病変がみられる患者もおり、眼球LCHは従来の化学療法に十分に反応しないことがある。 [11]

中枢神経系

CNS症状発現

LCH患者では、視床下部領域、脈絡叢、灰白質、または白質に腫瘤病変が認められることがある。 [43] これらの病変には、CD1a陽性LCH細胞およびCD8陽性リンパ球がみられるため、活動性のLCH病変である。 [44]

下垂体腫瘍が大きい(6.5mmを超える)患者では、下垂体前葉機能不全および神経変性CNS LCHのリスクが高くなる。 [45] 患者22人のレトロスペクティブ研究では、LCH診断から中央値で3年4ヵ月の時点で、X線検査により、すべての患者に神経変性CNS LCHの徴候が検出され、19人の患者では、悪化していることが明らかになった。5人に神経機能障害が認められた。患者22人中18人に下垂体前葉機能不全が、また20人に尿崩症がみられた。成長ホルモン欠乏症は、21人の患者に発生した;黄体化ホルモン/卵胞刺激ホルモン欠乏症は、10人の患者に発生した;また、甲状腺ホルモン欠乏症は、10人の患者に発生した。

LCH CNS神経変性症候群

構音障害、運動失調、距離測定障害のほか、ときには行動変化といった症状が現れる慢性神経変性症候群は、LCH患者の1~4%に発生する。このような患者では、重度の神経心理学的機能不全を発症することがあり、振戦、歩行困難、運動失調、構音障害、頭痛、視覚障害、認知および行動障害、精神病がみられる。これらの患者のMRIスキャンの結果では、T2強調画像で小脳歯状核および小脳白質に高信号病変、T1強調画像で基底核に高信号病変、および/または小脳の萎縮がみられる。 [46] X線所見では、症状の発現より何年も前に異常が認められることもあれば、発現と同時に明らかになることもある。頭蓋顔面病変、尿崩症、および/または他の神経心理学的症状の内分泌機能低下症を評価するために脳のMRI検査を2回以上受けたLCH患者83人を対象とした研究が1件発表されている。 [47] 診断から中央値34ヵ月の時点で、患者83人中47人(57%)に放射線学的神経変性変化が認められた。LCH診断から3~15年後に、患者47人中12人(25%)が臨床的に神経学的欠損を発症した。患者47人中14人には、短期聴覚記憶における軽度の障害が認められた。

中央値で10年間モニターしたLCH患者25人中14人にみられたCNS関連の永続的合併症(神経心理学的障害)に関する研究が発表されている。 [48] これらの患者の7人に尿崩症が認められ、5人の患者では、LCHによるCNS神経変性変化を示すX線像による証拠が得られた。 [48] 頭蓋顔面病変を有する患者は、他のLCHの病変を有する患者よりも能力および言語知能指数のスコアが低かった。

これらの神経変性病変の組織学的評価から、通常はミクログリア細胞活性化および神経膠症とともに、CD1a陽性樹状細胞が認められない場合に、顕著なT細胞浸潤が示されている。神経変性を呈する本疾患の形態と腫瘍随伴性の炎症反応との比較が実施されている。 [44]


参考文献
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小児LCHの診断的評価

単一系統型または多系統型にかかわりなく、すべての患者を十分に評価するために、以下の検査を実施すべきである: [1]


  • 病歴および身体診察:

    皮膚、リンパ節、耳、口咽頭、歯肉、舌、歯、骨、肺、甲状腺、肝臓および膵臓の大きさ、骨異常、成長速度、および過度の口渇と排尿といった点に特に注意した完全な病歴および身体診察。

他の検査および手技には以下のものがある:


  • 血液検査:

    血液検査としては、白血球分画および血小板数を含めた全血球算定、肝機能検査値(例、肝腫大、黄疸、肝酵素の高値、または低アルブミンが認められる患者では、ビリルビン、アルブミン、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ、アラニンアミノトランスフェラーゼ、アルカリホスファターゼ、およびプロトロンビン時間/部分トロンボプラスチン時間)、および血清電解質を測定する。

  • BRAF V600E:

    ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の精査の1つとして、BRAF突然変異の評価は必要とされていないが、免疫組織化学または分子遺伝学的診断法のいずれかにより、BRAF突然変異が検出できる場合がある。

  • 尿検査:

    尿検査には、検尿および尿崩症が疑われる場合の水制限試験を含める。きわめて低年齢の小児、特に乳児における水制限試験は、医学的監視下で実施する。

  • 骨髄穿刺および骨髄生検:

    骨髄穿刺および骨髄生検は、原因不明の貧血または血小板減少を認める多系統型LCH患者に対して適応となる。生検では、抗CD1aおよび/または抗CD207(langerin)および抗CD163免疫染色を実施し、LCH細胞の検出を容易にすべきである。

  • 放射線学的検査および画像検査:

    スクリーニングの最初の段階で、放射線学的検査として、全骨X線検査、頭蓋骨連続X線撮影(skull series)、骨スキャン、および胸部X線を実施する。ソマトスタチンアナログシンチグラフィまたはフッ素18-フルオロデオキシグルコース(18F-FDG)ポジトロン放射断層撮影(PET)スキャンなど、新しい画像診断法により標準の画像検査法が補強されるが、これらの検査法と置き換えることはできない。 [2] [3] [4] [5] [6]

      コンピュータ断層撮影(CT)スキャン:

      眼窩、乳様突起、または他の顎顔面の病変が疑われる場合は、頭部のCTスキャンが適応となる場合がある。画像検査には、尿崩症の患者または脳もしくは椎骨の病変が疑われる患者に対する脳のガドリニウム造影による磁気共鳴画像法(MRI)スキャンが含まれる。 [7]

      肺のCTスキャンは、胸部X線における異常または肺の症状がみられる患者に対して適応となる場合がある。高分解能CTスキャンでは、胸部X線が正常でも肺LCHの証拠が得られる場合があるため、胸部X線が正常の乳児および歩き始めの幼児では、CTスキャンを検討してもよい。 [8]


      LCHは肝臓または門脈路に沿った低密度領域の脂肪化の原因となるが、これはCTスキャンにより識別可能である。 [9]


      18F-FDG PETスキャン:

      神経変性疾患の神経学的および放射線学的徴候を有するLCH患者7人の脳を検査した18F-FDG PETスキャンで異常が報告されている。 [6] 小脳白質ではMRI所見との良好な相関性が認められたが、尾状核および前頭皮質での相関性はあまり良好ではなかった。神経変性LCHのリスクが高い患者では、PETスキャンによってMRIより早期に異常を検出できる可能性が示唆された。 [6] PETスキャンにより、他の方法では検出されない病変がしばしば実証されるほか、治療の6週間後に活動性の低下が示されることから、治療に対する反応に関して、骨スキャンまたは単純X線検査よりも良好な評価が得られる。 [5]

      MRI:

      尿崩症患者のMRI所見としては、抗利尿ホルモンの欠乏を反映した下垂体後葉の輝点消失を伴う下垂体柄の肥厚化および小結節形成が挙げられる。その後の経過で、下垂体柄はおおむね萎縮するが、これを治療に対する反応の証拠として使用すべきではない。

      椎体に浸潤した患者では、脊髄を侵害する可能性があるため、全例で関連する軟部組織を注意深く評価する必要がある。


      中枢神経系LCHのMRI所見としては、T2水抑制反転回復撮影(FLAIR)法による脳橋、基底核、小脳白質、および腫瘤病変の増強、または髄膜の増強が挙げられる。患者163人の報告において [10] 、髄膜病変は29%、脈絡叢病変は6%に認められた。副鼻腔または乳様突起病変は患者の55%に認められたのに対して、対照では20%に認められ、Virchow-Robin腔の強調は患者の70%で認められたのに対して、対照では27%に認められた。



  • 生検:

    溶解性骨病変、皮膚、およびリンパ節は、LCHの診断のために最も頻繁に生検が実施される部位である。肝生検は、消化管LCHや他の病因によって引き起こされる以外の低アルブミン血症がLCHを有する小児に認められる場合に適応となる。これらの患者では、一般にビリルビン値または肝酵素値が上昇している。肺LCHの診断で、気管支肺胞洗浄で診断がつかない場合、組織の入手に開胸的肺生検が必要となることがある。

    確定診断を下すには、病理学的診断が常に必要である。しかしながら、これが困難な場合または禁忌となる場合がときにあり、例えば、下垂体柄病変の単離では、リスクが確固たる診断の有益性を上回る場合がある。LCH細胞は、ヘマトキシリンおよびエオシン染色でピンクの細胞質および豆形の核が豊富にみられる大細胞である。LCH細胞をCD1aおよび/または抗langerin(CD207)に対する抗体で染色し、陽性となることで、LCHの診断を確定すべきである。 [11]



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小児LCHの追跡における考慮事項

尿崩症および/または眼窩、乳様突起、または側頭骨の頭蓋骨病変を有する患者は、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)中枢神経系(CNS)病変およびLCH CNS神経変性症候群のリスクが比較的高いと考えられる。これらの患者では、CNS病変の証拠を得るために、LCH診断時およびその後の10年間は1~2年ごとにガドリニウム造影による磁気共鳴画像法(MRI)スキャンを実施すべきである。 [1] Histiocyte Society CNS LCH Committeeによると、臨床的にLCHに関連した神経変性が認められない場合は、神経変性型の放射線学的CNS LCHに対していかなる治療も推奨していない。しかしながら、注意深い神経学的検査およびMRIによる適切な画像検査を定期的に実施することが推奨される。また、脳幹聴覚誘発反応も定期的に実施して、臨床的なCNS LCHの発症をできる限り早く明らかにすべきであり、このことは、治療に対する反応に影響を及ぼす可能性がある。 [2] 臨床徴候が認められる場合は介入が適応となる。CNS神経変性に対するさまざまな種類の治療に関して利用可能な研究によると、神経変性変化の安定化または改善がみられる可能性があるが、治療を早期に開始した場合のみであることが示唆される。 [2] (詳しい情報については、本要約のLCH CNS神経変性症候群のセクションを参照のこと。)リスクのある患者に対する注意深いフォローアップが不可欠である。

肺にLCHを有する小児では、肺機能検査および胸部コンピュータ断層撮影スキャンが疾患進行を検出するための感度の高い方法となる。 [3]

要約すると、多系統型病変を有する患者の多くが基礎疾患および/または治療による長期の続発症を経験する。内分泌およびCNSの続発症が最も一般的である。こうした長期の続発症は、これらの患者の多くで健康上のQOLにかなりの影響を及ぼす。 [4] [証拠レベル:3iiiC]小児がんの治療後または化学療法を受けた患者のみを対象とした長期フォローアップガイドラインが、小児腫瘍学グループ(COG)により発表されており、そのウェブサイト上で入手可能である。


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小児LCHの治療

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の治療としては、病変の部位および進展度に応じて、手術、放射線療法、または薬物療法(経口、局所、および静脈内投与)がある。推奨される治療期間は、単一系統型の骨、皮膚、またはリンパ節病変に対して化学療法が必要な患者で12ヵ月である。高リスクおよび低リスクのいずれの多系統型病変を有する患者も、LCH-IおよびLCH-II試験で治療を開始してから6ヵ月後の再活性化率が50%と高かった。 [1] 患者に対して1年間の治療を実施し、再燃率(29%)が低かったドイツ-オーストリア-オランダ(Deutsche Arbeits-gemeinschaft für Leukaemieforschung und-therapie im Kindesalter [DAL])グループの試験から得られたデータに基づいて、LCH-III試験では、高リスク多系統型のすべての患者に対して12ヵ月の化学療法を実施し、低リスク多系統型の患者を6ヵ月または12ヵ月の治療のいずれかにランダムに割り付けるデザインとした。 [1] 12ヵ月の治療を受けた低リスクまたは高リスク病変を有する患者では、再活性化率が約30%に有意な減少を示した。 [2] LCH-IV試験では、さらに治療期間を延長することで、再活性化率および晩期障害の発生率が低下するかどうかが評価される予定である。LCH-IV研究は、欧州の数ヵ国で開始されているが、米国では実施されていない。

科学的証拠に基づいた推奨を活用して治療法の進歩がより迅速に達成され、至適ケアを必ず受けられるように、LCH患者は、可能であれば必ず臨床試験に登録することが望ましい。小児LCHの臨床試験に関する情報は、Histiocyte Societyウェブサイトから入手することができる。

小児患者に対する臓器、部位、または系統の病変ごとの標準治療法の選択肢

多数の患者が参加した国際試験から得られたデータに基づいて、LCHに対する標準治療を選択するのが最善である。しかしながら、こうした国際試験では研究されない皮膚、口腔、下垂体、または他の部位のみにLCH病変がみられる患者もいる可能性がある。このような場合における治療の推奨はケースシリーズに基づいており、試験による証拠に基づく強さに欠ける。

低リスクLCHの治療(単一系統型または多系統型)

孤立性皮膚病変


  • 観察。皮膚のみのLCHでは、すべての小児患者に対して観察が推奨される。広範囲に及ぶ発疹、疼痛、潰瘍、または出血といった症候性疾患に対してのみ治療が提案される。

  • 局所用ステロイド。中~高力価のステロイドが効果的であるが、通常は効果が長く持続しない。 [3]

  • 経口メトトレキサート(20mg/m2)を6ヵ月間、週1回投与。 [4]

  • 経口サリドマイド50~200mgを夜に投与。 [5] 小児および成人のいずれの患者に対しても、経口サリドマイドが有効な可能性がある。

  • ナイトロジェンマスタードの外用は、経口療法に抵抗性の皮膚LCHに有効な可能性があるが、皮膚の広範囲が侵されている場合には無効である。 [6] [7]

  • ソラレンおよび長波長紫外線A(PUVA)およびUVBは、皮膚LCHに有効な可能性があるが、特に肌の色合いが明るい患者では、晩期の皮膚がんの恐れがあるため、その使用が制限される。 [8] [9]

骨格病変

前頭部、頭頂部、後頭部の単一頭蓋骨病変、または他の骨の単一病変


  • 孤立性の骨病変に対して、可能であれば、掻爬術のみが推奨される治療法である;掻爬術に加え、メチルプレドニゾロンを注射してもよい。低線量の放射線療法は有効であるが、小児患者では、臓器機能を阻害する恐れのある病変に対する使用が制限される。 [10] [11] ; [12] [証拠レベル:3iiiA]LCH骨病変の完全切除は、治癒に時間がかかり、長期合併症のリスクが高くなる場合があるため、必要ないであろう。

乳様突起、側頭骨、または眼窩の頭蓋骨病変

乳様突起、側頭骨、または眼窩骨における孤立性頭蓋骨病変を有する患者の治療目的は、尿崩症および他の長期的障害が発生する可能性を低下させることである。 [13] 尿崩症の発生率を全身療法なし(40%) vs 6ヵ月のビンブラスチン/プレドニゾン(20%)で比較すると、中枢神経系(CNS)リスク骨では、単一部位に発生した場合でも治療が強く支持される。 [14] しかしながら、プロスペクティブ試験では、治療の有効性および至適治療期間についてまだ明らかになっていない。


  • LCH-IIIの研究結果で示され12ヵ月のビンブラスチンプレドニゾン:7週間にわたりビンブラスチン(6mg/m2)を週1回投与後、反応が良好な限り3週間ごとに投与。プレドニゾン(40mg/m2)を4週間にわたり1日1回投与し、続いて2週間かけて漸減。その後、3週間ごとに5日間40mg/m2プレドニゾンビンブラスチン注入とともに投与する。 [2] [13]

  • 単病巣性骨LCHでは、CNSリスク骨であっても、初発症状に対して全身療法が必要かどうかに関しては、いくぶん見解が分かれている。耳鼻咽喉科の外科医により、眼窩または乳様突起に病変を有し外科的掻爬術のみを受けた患者のシリーズが報告されている。 [15] これらの患者で尿崩症を発症した例はみられなかった。しかしながら、化学療法をほとんどまたは全く受けなかった患者における尿崩症の発生率(20~50%の尿崩症発生率)とドイツ-オーストリア-オランダ(DAL)グループのHX-83試験により報告された尿崩症発生率(LCHに対する治療を受けた患者における10%の尿崩症発生率)を比較すると、DAL HX-83試験から得られた証拠の重みから、乳様突起、側頭骨、または眼窩骨のLCH患者では、化学療法を実施して、尿崩症を予防することが支持されると考えられる。 [16] [17] ただし、DAL HX研究では、多くの薬物を用いて、12ヵ月間にわたって患者を治療したことに注目すべきである。

圧潰のリスクがある椎体病変または大腿骨病変


  • 硬膜上腔への軟部組織の進展を伴わない単一椎体病変のみが観察されることもある。

  • 骨折のリスクがある孤立性椎体病変または大きな大腿骨頸部病変(単一骨病変)では、低線量の放射線療法を用いて回復を促すことを試みることがあるが、通常は、化学療法が適応となることはない。必要な線量は低い(700~1,000cGy)にもかかわらず、甲状腺、脳、または各成長板の領域では、放射線療法を慎重に使用すべきである。 [18]

  • 椎骨病変から軟部組織への進展を認める患者では、化学療法が多く使用され、成功を収めているが [19] [証拠レベル:3iiDiii]、腫瘤および脊髄に対する何らかのリスクを低減するために必要な期間を超えて、治療を延長する必要はないと考えられている。大規模なレトロスペクティブシリーズが1件あり、単一骨病変の再活性化リスクはわずか9%であった。 [20]

  • 頸椎不安定および/または神経学的症状が認められる場合は、装具が必要になる可能性があり、まれに脊椎固定術が必要になることもある。 [21] 椎体病変から軟部組織への進展がみられる患者では、化学療法による治療が成功することが多い。 [19] [証拠レベル:3iiDiii]

複数の骨病変(単一系統型多病巣性骨)


  • 最も多く使用される全身化学療法は、ビンブラスチンプレドニゾンの併用療法である。HISTSOC-LCH-III(NCT00276757)試験の結果に基づいて、7週間にわたりビンブラスチン(6mg/m2)を週1回投与し、その後3週間ごとに投与する12ヵ月の治療を反応が良好な限り使用する。 [2] プレドニゾン(40mg/m2)を4週間毎日投与し、続いて2週間かけて漸減する。その後、3週間ごとに5日間、40mg/m2プレドニゾンビンブラスチン注入とともに投与する。単剤のみ(例、プレドニゾン)による短期(6ヵ月未満)の治療コースは十分ではなく、再燃の数が増加する。6ヵ月間にわたり使用した多剤併用療法レジメンで、再活性化率が18%と報告されたのに対し、手術単独または単剤療法レジメンによる歴史的対照の再活性化率は50~80%であった。 [22]

皮膚、リンパ節の病変、または尿崩症を合併した複数の骨病変(低リスク多系統型LCH)


  • ビンブラスチンプレドニゾンの併用療法。ランダム化HISTSOC-LCH-III(NCT00276757)試験の結果に基づいて、前述のものと同じビンブラスチンプレドニゾンの化学療法レジメンが12ヵ月にわたり用いられた。リスク臓器に病変がみられず、12ヵ月のビンブラスチン/プレドニゾン群にランダムに割り付けられた患者では、5年再活性化率(37%)が治療を6ヵ月しか受けなかった患者(54%;P = 0.03)およびこれまでの6ヵ月のスケジュールで治療を受けた患者(52%[LCH-I]および48%[LCH-II];P < 0.001)よりも低かった。疾患の再活性化は、ほとんどが骨、皮膚、または他のリスク臓器以外の部位で生じた。 [2]

  • 他の化学療法レジメンでも効果が認められており、以下のものがある:
      ビンクリスチン、シトシンアラビノシド、およびプレドニゾンの併用療法。この併用療法は、第一選択治療または救援療法で有効なことが明らかにされている。しかしながら、プレドニゾンの投与期間は、最初に公表されたものよりもはるかに短い;現在、プレドニゾンは、導入相で4~6週間投与しており、その後3週間おきにビンクリスチンを5日間単回投与し、維持相でシトシンアラビノシドを5日間投与している。
      クラドリビンクラドリビンは、5mg/m2/日を3週間おきに5日間投与し、これを2~6サイクル繰り返すが、再発骨病変または低リスク多系統型病変に対して有効な救援療法となる可能性がある。累積的な血球減少のリスクがあるため、6サイクルを超えることは推奨されない。
      パミドロン酸もLCH骨病変の治療に有効な可能性がある。日本の調査では、骨LCHに対してビスホスホネートを用いた治療を受けた小児16人について報告された。すべての小児に骨病変がみられた;リスク臓器に病変を有する小児はいなかった。ほとんどの患者に対して、1コース当たり1mg/kgのパミドロン酸を4週間間隔で6サイクル投与した。患者16人中12人で、皮膚(n = 3)および軟部組織(n = 3)を含むすべての活動性病変が消失した。8人は中央値3.3年の時点で無病状態を維持していた。ゾレドロネートおよび経口アレンドロネートのような他のビスホスホネートも用いられており、骨LCHの治療で成功を収めている。

高リスク多系統型LCHの治療

脾臓、肝臓、および骨髄(皮膚、骨、リンパ節、肺、または下垂体を含む場合も含まない場合もある)


  • 脾臓、肝臓、または骨髄(高リスク臓器)に発生したLCHに対して推奨される標準治療期間は、DAL-HX-83およびHISTSOC-LCH-III(NCT00276757)研究に基づいて、現在12ヵ月とされている。 [13] [17] Histiocyte SocietyのLCH-IIおよびLCH-III研究における標準群の治療は、多病巣性骨病変で前述したようにビンブラスチンプレドニゾンであったが、プロトコルの継続相に6-メルカプトプリンが追加された。

  • LCH-II研究は、患者に対する治療をビンブラスチンプレドニゾンメルカプトプリンまたはビンブラスチンプレドニゾンメルカプトプリンエトポシドで比較するランダム化試験であった。 [26] [証拠レベル:1iiA]

    治療転帰(6週間経過時の反応、5年生存率、再燃率、および永続的合併症)について、2つの治療群間で統計的な有意差は認められなかった。そのため、その後のHistiocyte Societyの試験では、エトポシドは使用されていない。しかしながら、後で結果が見直され、エトポシド投与群の高リスク臓器に病変を有する患者で死亡率が低下したことが報告された。議論の余地はあるが、LCH-I試験の患者とLCH-II試験の患者の比較により、治療強度を高めることで、さらに早期反応が促進され、死亡率が低下することが示唆された。


    これらの研究には高リスク臓器として肺が含まれていたことに注目することが重要である。しかしながら、その後の解析で肺病変は予後的意義をもたないことが明らかにされている。 [27]


  • LCH-III研究では、リスク臓器に罹患した患者をビンブラスチン/プレドニゾン/6-メルカプトプリンまたはビンブラスチン/プレドニゾン/6-メルカプトプリン + メトトレキサート(寛解導入相では静注、治療継続相では経口)のいずれかにランダムに割り付けた。 [2] 6週間および12週間経過時の奏効率および全生存率に改善はみられなかった;しかしながら、メトトレキサートを投与された患者ではグレード3およびグレード4の毒性作用が有意に増加した。

    LCH-III研究で重要な知見は、標準群では同じ薬剤を利用したにもかかわらず、試験の骨病変群で高リスクLCH患者の死亡率が初期のLCH-II研究よりも有意に低下したことである。死亡率が低下したことに対して、考えられる説明としては、以下のものがある:


      週1回のビンブラスチンと1週間当たり3日間投与するプレドニゾンによる6週間の2回目の寛解導入相。この再寛解導入相は、6週間の寛解導入相の終了までに活動性病変がない状態に達しなかったすべての患者に対して、3週間おきの維持コースに進む前に提供された。2回目の寛解導入相の後に活動性病変がない割合が増加したことから、このコースは、死亡率低下に重大な役割を果たしている可能性がある。
      良好な支持療法。
      反応を示さない病変に対して、早期に効果的な救援療法へ変更。

    LCH-III研究で生存は改善したが、1年間の治療後にリスク臓器に活動性病変がない状態となった患者はわずか60%で、患者の25~29%が再燃したことに注目すべきである。


  • 日本LCH研究グループ(JLSG)の報告によると、JLSG-96試験(シトシンアラビノシド、ビンクリスチン、およびプレドニゾロンによる6週間の寛解導入レジメンの後、シタラビンビンクリスチン、プレドニゾロンおよび低用量メトトレキサート静注による6ヵ月間の維持療法)で治療を受けた多系統型病変を有する患者では、5年経過時の奏効率および全生存率がそれぞれ78%および95%であった。この初回レジメンに対する反応が不良であった患者は、ドキソルビシンシクロホスファミドメトトレキサートビンクリスチン、およびプレドニゾロンによる強化併用療法の救済レジメンに切り替えられた。 [28]

    LCH-III研究と同様に、この研究の重要な知見は、過去のJLSG研究と比べても、LCH-II研究に対しても死亡率が低下したことである。これは、良好な支持療法に加えて、病変が反応を示さない患者に対して、より効果的な救援療法へ早期に変更したことによるものであった。 [28]


  • 一部の患者では、骨髄に「マクロファージ活性化」が認められた。これは、患者が血球貪食性リンパ組織球症

    かつ

    LCHであると考えている医師に混乱をもたらす可能性がある。この命を脅かす病態は、標準の血球貪食性リンパ組織球症の治療に十分な反応を示さない傾向がみられるため、至適治療法は明らかになっていない。クロファラビン、抗CD52抗体アレムツズマブ、または強度縮小同種幹細胞移植が検討できる場合もある。 [29]

CNS LCHの治療

CNS病変

LCHのCNS病変には、以下の3タイプがある:


  • 大脳、小脳、または脈絡叢における腫瘤病変または腫瘍。

  • 常に尿崩症を伴って現れ、他の内分泌障害を伴うことも多い視床下部-下垂体軸の腫瘤病変。

  • 神経変性症候群。ほとんどの場合、T2水抑制反転回復撮影(FLAIR)法による超強度信号が小脳白質、脳橋、基底核にみられ、ときに大脳にもみられる。

CNSの活動性LCH病変に対しては、クラドリビンのような血液脳関門を通過できる薬物またはその他のシタラビンのようなヌクレオシドアナログが使用される。


  • クラドリビンによる腫瘤病変の治療は、13例の報告症例で効果が示されている。 [30] [31] ; [32] [証拠レベル:3iiiDiii]対象となる腫瘤病変には、視床下部-下垂体軸の拡大、実質性腫瘤病変、軟髄膜病変が含められた。クラドリビンの用量は、5mg/m2から13mg/m2の範囲で、さまざまな頻度で投与された。 [32] [証拠レベル:3iiiDiii]

  • 視床下部-下垂体領域、脈絡叢、灰白質、または白質にLCHおよび腫瘤病変を認める患者では、標準のLCH向け化学療法に反応を示す可能性がある。 [33] [34] CNSに腫瘤病変がみられる患者(20人、主に下垂体)に対するビンブラスチン単独またはコルチコステロイドとの併用による治療では、15人の患者に客観的奏効が得られ、患者20人中5人が完全奏効で、患者20人中10人が部分奏効であった。

CNS神経変性症候群

デキサメタゾンおよびクラドリビンのような活動性LCHで使用される薬剤は、レチノイン酸、静注免疫グロブリン(IVIg)、インフリキシマブ、およびシタラビンのような他の薬剤とともに、ビンクリスチンとの併用または非併用で、少数の患者に使用されているが、結果はさまざまである。これらの薬剤の多くが画像所見で完全回復または部分回復をもたらす可能性があるが、最終的な臨床奏効率が厳密に確定しているわけではない。 [35] [36] [37] [38] [39] ; [32] [証拠レベル:3iiiDiii]


  • レチノイン酸は、45mg/m2の用量で1日1回、6週間にわたり投与し、その後の1年間は1ヵ月当たり2週間投与する。 [35] 患者の臨床状態が安定したことが報告された。

  • IVIg(400mg/m2)は、月1回投与するとともに、経口または静注メトトレキサートおよび経口6-メルカプトプリンを併用または非併用とした経口プレドニゾロンからなる化学療法を1年以上実施する。 [36] 磁気共鳴画像法(MRI)所見では安定していたが、患者の神経学的症状に進行が認められないと報告されているため、臨床効果の判断には困難を伴う。

  • 最大24ヵ月にわたりビンクリスチンを併用または非併用としてシタラビンを用いた研究では、臨床所見およびMRI所見で改善が認められた患者および病勢の安定化が認められた患者が報告された。 [38] [証拠レベル:3iiiC]治療中止後8年以上追跡された患者8人中7人で、神経学的所見および放射線所見が安定していた。

  • 日本のLCH Study Group-96 Protocolでは、シタラビンにより神経変性症候群の発生を防止できなかった。患者に対して、寛解導入期間の1~5日目にシタラビンを100mg/m2の用量で1日1回投与し、維持サイクル(6ヵ月間にわたり2週間おき)ごとに1日目に150mg/m2を投与した。患者91人中3人が神経変性疾患を発症し、これはHistiocyte Society研究で認められた割合と同程度であった。 [28]

神経変性疾患に対する治療で最も重要と考えられる面は、臨床的な神経変性の早期の認識と治療開始である。臨床症状が現れる前であっても、治療が必要な患者を特定するために、脱髄の脳脊髄液マーカーと併せてMRI所見を組み合わせた研究が、現在数ヵ国で実施中である。

もはや有効ではないと考えられる小児LCHに対する治療法の選択肢

部位にかかわらずLCHを有する小児患者に対して、過去には用いられていたが、現在ではもはや推奨されていない治療として、シクロスポリン [40] およびインターフェロンα [41] がある。また、広範囲な手術も適応とならない。病変が側頭部、乳様突起、または眼窩領域に存在する場合(CNSリスク)以外であれば、限局性頭蓋骨病変の掻爬術で十分であろう。これらの特定の部位に病変を有する患者では、ビンブラスチンおよびプレドニゾンを用いる6ヵ月の全身療法が推奨される。下顎骨の病変に対する広範囲の手術は、永久歯が発生する可能性を消失させる場合がある。鼠径部または生殖器病変の外科的切除は、化学療法によりこれらの病変が治癒する可能性があるため禁忌である。

LCHの小児患者における放射線療法の使用は著しく減少しており、低線量の放射線療法であっても、単一骨の椎体病変または化学療法に反応しない脊髄または視神経を圧迫する他の単一骨病変に限定すべきである。 [42]

治療に対する反応の評価

LCHの治療では、臨床的に追跡できる場合、または皮膚、肝肥大/脾腫、および他の腫瘤病変のような領域で、超音波検査、コンピュータ断層撮影(CT)、またはMRIスキャンによる追跡が可能な特定の領域がある場合でない限り、反応の評価は依然として最も困難な分野の1つである。疼痛および他の症状の評価を含む臨床判断は依然として重要である。

骨病変の治癒には何ヵ月もかかることがあり、単純X線撮影での評価は困難であるが、骨病変周囲の硬化は治癒を示唆する。骨病変に伴う軟部組織の腫瘤では、反応を評価する際にCTまたはMRIスキャンが有用であるが、溶解性骨病変では、特に有用とはいえない。99mテクネチウム(Tc)骨スキャンでは、癒合しつつある骨が依然として陽性となる。ポジトロン放射断層撮影(PET)画像の輝度は病変の反応および骨の治癒とともに低下することから、治療に対する反応を追跡する際にPETスキャンが有用となる可能性がある。 [43]

肺LCHを有する小児または成人では、肺機能検査および高分解能CTスキャンが疾患進行を検出するための感度の高い方法となる。 [44] 残存する線維症または残存する不活動性の嚢胞を反映する残存間質性変化は、活動性病変と区別する必要があり、これに関してはソマトスタチンアナログシンチグラフィが有用な可能性がある。 [45]

最新の臨床試験

小児のランゲルハンス細胞組織球症患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


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再発性、難治性、または進行性の小児LCHの治療

再発性低リスク臓器病変

単一系統型および多系統型LCHの再活性化

完全奏効後のランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の再活性化が報告されている;通常は、治療中止から9~12ヵ月以内にみられる。 [1] 再活性化を認める患者の割合は、単一部位病変で9~17.4%;単一系統型多病巣性病変で37%;多系統型(リスク臓器以外)病変で46%;およびリスク臓器に病変がみられる患者で54%であった。再活性化の43%が骨、11%が耳、9%が皮膚にみられ、7%に尿崩症が認められた;リンパ節、骨髄、またはリスク臓器に再燃がみられた患者の割合は比較的低かった。 [1] 再活性化までの期間中央値は、リスクのない患者で12~15ヵ月、リスクのある患者で9ヵ月であった。患者の3分の1で最初の再活性化後9~14ヵ月で2回以上の再活性化がみられた。再活性化が認められた患者では、骨における長期の続発症、尿崩症のほか、内分泌、耳、または肺に障害が現れることが多かった。 [1]

ドイツ-オーストリア-オランダ(Deutsche Arbeits-gemeinschaft für Leukaemieforschung und-therapie im Kindesalter [DAL])およびHistiocyte Societyの臨床試験を対象とした包括的レビューによると、多系統型LCH患者では、5年再活性化率が46%で、ほとんどの再活性化が第一寛解から2年以内にみられることが明らかになった。2回目の再活性化は、第二寛解から2年以内に44%に再び認められた。このような再活性化では、最初から高リスク群であった患者(つまり、最初の診断時に肝臓、脾臓、または骨髄に病変が認められた患者)のみにリスク臓器の病変が認められた。 [2] [証拠レベル:3iiiDiii]ほとんどの再活性化は、初期に治療に反応した高リスク疾患の患者でも、骨、皮膚などのリスク臓器以外の部位に認められた。

多系統型LCHにおける再活性化の割合は、日本の試験 [3] [証拠レベル:1iiA]で45%およびLCH-II試験 [4] で46%であった。再活性化において高リスク群と低リスク群間で統計的有意差は認められなかった。DAL-HXおよび日本の研究のいずれにおいて、強力な治療により速やかな反応が得られる可能性が高まり(この傾向は、2歳未満の小児および乳児で特に強かった)、反応が不良な患者に対しては救済療法への迅速な切り替えを加えることで、高リスク多系統型LCH患者の死亡率が低下したと結論付けられた。

低リスク臓器の病変に対する治療

LCHが再燃または再発した患者に対する至適治療法は、未だ確定していない。以下のようないくつかのレジメンがある:


  • ビンブラスチンプレドニゾンを中止してから数ヵ月後に再発した再発性骨病変を有する患者では、6週間にわたる週1回のビンブラスチンと1日1回のプレドニゾンによる再寛解導入療法から利益が得られる可能性がある。活動性病変が認められない場合、または活動性病変を示す証拠がほとんど認められない場合は、ビンブラスチンの投与を3週間おきに変更し、メルカプトプリンの夜間経口服用を追加してもよい。 [5]

  • 代替療法レジメンでは、ビンクリスチンプレドニゾン、およびシトシンアラビノシドが用いられる。 [6] プレドニゾンの用量は、最初の公表論文で使用された用量から減量する。

  • 再発LCH骨病変の治療には、ビスホスホネートも有効である。 [7] 日本の調査では、ビスホスホネートによる治療が骨LCHに使用され、患者16人中12人で成功を収めた。奏効した患者では、皮膚および軟部組織のLCH病変も回復した。リスク臓器に病変を有する患者はいなかった。ほとんどの患者に対して、1コース当たり1mg/kgのパミドロン酸を4週間間隔で6サイクル投与した。中央値3.3年の時点で、患者12人中8人が無病状態を維持していた。 [8] ゾレドロネートおよび経口クロドロネートのような他のビスホスホネートも骨LCHの治療で成功を収めている。 [9] [10]

  • 1コース当たり5mg/m2/日の用量で5日間投与するクラドリビンも、再発低リスクLCH(多病巣性骨病変および低リスク多系統型LCH)に対して有効な治療法であり、毒性も非常に少ないことが示されている。 [11] クラドリビンによる治療は、累積的で長期にわたり持続する可能性のある血球減少を避けるために、可能であれば最大6サイクルに制限すべきである。

  • 初回レジメンおよび1つ以上の二次レジメンに失敗したLCH患者(低リスク患者10人;高リスク患者6人)に対してサリドマイドを投与した第II相試験によると、低リスク患者で完全奏効(10人中4人)および部分奏効(10人中3人)が認められた。完全寛解は、単純X線撮影での骨病変の治癒(n = 3)または発疹の完全消失(n = 4、発疹の完全消失は得られたが骨病変のある3例を含む)と定義された。部分奏効は、骨病変の治癒を認めるが、部分的に消失していた発疹がその後に悪化したものと定義された。しかしながら、神経障害および好中球減少症といった用量制限毒性がサリドマイドの全体的な有用性を制限する可能性がある。 [12] 小児患者では、相当程度まで、この薬剤を使用することはない。

  • クロファラビンは、低リスクまたは高リスク臓器に再燃が複数回みられた患者に対して有効なことが証明された治療薬である。 [13]

  • ヒドロキシ尿素による単独投与または経口メトトレキサートとの併用の治療は、低リスク再発LCH患者15人中12人に奏効が得られた。 [14]

難治性の高リスク臓器病変

多系統に病変を有する患者において、6週間の標準治療後も進行を示す場合および12週目までに部分奏効が得られない場合は、新たな治療計画の適応となる。DALグループ研究から得られたデータにより、このような小児が生存する可能性はわずか10%であることが示されている。 [15] LCH-II試験の結果では、ビンブラスチン/プレドニゾンによる治療を受け、6週目までに十分な反応が得られなかった患者が生存する可能性は27%であったのに対して、良好な反応を示した患者では52%であったことが明らかになった。 [4] [証拠レベル:1iiA]病変の反応が不良な患者は、進行性病変では6週間の時点で、また少なくとも良好な反応が認められない患者では12週間を超えない時点で、早期に救援戦略に変更する必要があることが、すべての研究で示唆される。

LCHに対する救援療法として、クラドリビンおよび2'-デオキシコホルマイシンが検討されている。 [11] [16] ; [17] [証拠レベル: 3iiiDiv]複数回の再活性化または高リスク病変を認める患者では、クラドリビンを3日間持続点滴することで効果的に治療できる可能性があることが、ケースシリーズで報告された。この試験で、患者10人中7人は追加治療を必要としなかった。 [18] [証拠レベル:3iiiDii]

難治性の高リスク臓器(肝臓、脾臓、または骨髄)病変、および抵抗性の多系統型低リスク臓器病変を有する10人の患者が、急性骨髄性白血病と同様な集中的プロトコルによる治療を受けている。治療をクラドリビンとシトシンアラビノシドに迅速に変更することで、全生存(OS)の改善が得られると考えられている。 [19] ; [20] [証拠レベル:3iiiDii]; [21] [証拠レベル:3iiiDiv]クラドリビンとシトシンアラビノシドを用いるプロトコルに関するプロスペクティブ試験(N = 27)により、63%の無増悪生存率および85%の5年OS率が示された。しかしながら、いずれの患者もグレード4の血液毒性を発症し、これらの患者の5人に重度の敗血症がみられた。 [22]

クラドリビンを含めて、他の薬物に抵抗性であった多臓器LCHを有する6人の患者がクロファラビンによる治療に反応したことが報告された。 [23] ; [24] [証拠レベル:3iiiDii]再発多系統型高リスクおよび低リスク病変を有する別の患者11人では、OSが90%であった。 [13] このレジメンは、クラドリビン/シタラビンの併用と比較して毒性が低いことがプロスペクティブ試験で確認されれば、薬価が高いにもかかわらず有利となる可能性がある。

造血幹細胞移植(HSCT)が、化学療法に難治性の高リスク臓器の多系統型LCHの患者に使用されている。 [7] [25] [26] [27] 強度縮小前処置は、LCH患者に対するHSCT前の骨髄除去的処置を上回るOSの優位性は提供しない。 [28] 強度縮小前処置後の再燃率は、骨髄除去的前処置後の再燃率(8%)よりも有意に高かった(28%)。強度縮小前処置を受けて再燃した患者の多くは、化学療法単独による再治療が成功した。 [28]

臨床評価段階にある治療法の選択肢

研究段階にある新規標的療法には以下のものがある:


  • RAS経路阻害薬:LCHのほとんどの患者がRAS経路の活性化をもたらすBRAF V600Eまたはその他の突然変異を有するという発見から、この経路に関与する分子を標的とした新たな治療が近い将来にLCH治療の重要な部分になることが示唆される。現在、LCHの成人および再発LCHの小児では、NCT01677741が米国およびカナダで利用できる。LCHおよびエルドハイム-チェスター病の成人3人がベムラフェニブに対して良好な反応を示したが [29] 、この薬剤を投与した黒色腫患者で扁平上皮がんの発生率が30%であったことを、小児における中期から長期の使用では考慮する必要がある。

  • チロシンキナーゼ阻害薬:中枢神経系LCHを含むLCHでは、チロシンキナーゼ阻害薬のイマチニブによる治療が成功する可能性があることを示唆する報告が数件あるが [30] 、効果を認めなかった報告 [31] [32] もある。


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小児LCHにおける疾患および治療による晩期障害

ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)で報告された全体での長期的合併症の頻度は、20~70%に及んでいる。これほど大きな差になっている理由は、症例定義、サンプルサイズ、使用された治療法、データ収集方法、および追跡期間が異なるためである。注目すべきことに、骨格LCHの長期生存者の生活の質(QOL)に関する研究が1件あり、QOLスコアでは健康対照の小児および成人と有意差が認められなかった。 [1] さらに、QOLスコアは、永続的後遺症を認める患者と認めない患者との間でほぼ同じであった。晩期障害について注意深いスクリーニングを受けた患者40人を対象にした別の研究では、患者の50%以上でQOLスコアが不良なことが明らかになった。 [2] 75%の患者に検出可能な長期の続発症が認められ、視床下部/下垂体機能不全(50%)、認知機能障害(20%)、および小脳病変(17.5%)が最も一般的であった。

低リスク臓器(皮膚、骨、リンパ節、または下垂体)に病変を有する小児が、長期続発症を起こす可能性は約20%である。 [3] 尿崩症を有する患者は、汎下垂体機能低下症のリスクがあり、成長および発達が十分であるか慎重に監視すべきである。LCHおよび尿崩症を有する患者141人を対象にしたレトロスペクティブレビューがあり、43%が成長ホルモン(GH)欠乏症を発症した。 [4] [5] [6] LCHおよび尿崩症を有する小児がGH欠乏症を発症する5年および10年間のリスクは、それぞれ35%および54%であった。GHの投与を受けなかった患者と比較して、GHの投与を受けた患者ではLCH再活性化の増加は認められなかった。 [4]

初発時の年齢が低いこと、およびきわめて低年齢の小児では長期にわたるプレドニゾン療法による毒性がより強く現れることから、成長および発達面の問題がより多く発生する。多系統型病変を有する患者における長期的問題の発生率は71%である。 [3] [4] [5] [6]

難聴はLCHに対する治療を受けた小児の38%で認められている。 [6] この研究ではLCH患者の70%に、耳漏、乳様突起の腫脹、および難聴を含む耳の障害が認められた。コンピュータ断層撮影または磁気共鳴画像法(MRI)で乳様突起に異常がみられた患者のうち、59%が難聴であった。 [7] [証拠レベル:3iiiC]

頸部病変による椎骨圧迫に続発する神経学的症状は、LCHおよび脊髄病変を有する患者26人中3人で報告されている。 [6] 中枢神経系(CNS)LCHは、下垂体またはCNSリスク頭蓋骨(乳様突起、眼窩、または側頭骨)にLCHを有する小児に最も多くみられる。CNSリスク頭蓋骨に病変を有する一部の長期生存者では、重大な認知機能障害およびMRI画像所見異常が認められることがある。 [8] 一部の患者では、小脳機能の顕著な異常および行動異常がみられ、一方で、短期記憶および脳幹誘発電位の軽度の障害がみられる患者もいる。 [9]

脊椎、大腿骨、脛骨、または上腕骨病変の整形外科的問題は、患者の20%でみられる。これらの問題には、脊柱側弯症に至ることがある椎体圧潰または脊椎不安定性、および顔面または肢の非対称がある。

びまん性の肺LCHでは、感染リスクの増加と運動耐性の低下を伴う肺機能の低下を来すことがある。これらの患者は、一酸化炭素拡散能および総肺容量に対する残気量の比といった肺機能検査により監視すべきである。 [10]

肝LCHでは、肝移植以外の治療にはまれにしか反応しない硬化性胆管炎を来すことがある。 [11]

歯の喪失を特徴とする歯科問題は、一部の患者で重要となっており、通常は過度に侵襲性の歯科手術と関係している。 [12]

LCHまたは治療に続発する骨髄機能不全はまれであるが、より高リスクの悪性疾患と関連する。LCH患者は、二次がん発症リスクが通常よりも高い。 [13] [14] 治療後に白血病(通常は急性骨髄性白血病)がみられ、リンパ芽球性リンパ腫も同様である。LCH/悪性疾患の同時発症が少数の患者で報告されており、一部の患者では悪性疾患が最初に認められ、その後にLCHが発現している。T細胞急性リンパ芽球性白血病(T-ALL)と侵攻性LCHを合併した患者が3人報告されており、リンパ芽球性悪性腫瘍を合併またはその後に続発したすべての組織球性疾患と同様に、両疾患で同じ遺伝子変化が確認されたことから、クローン性起源を共有していることが示唆される。 [15] [16] [17] T細胞受容体γの遺伝子型が同一のクローン性を認めた2症例を報告した研究が1件ある。 [16] この研究の著者らは、ランゲルハンス細胞に分化するリンパ球の柔軟性を強調した。別の研究では、T-ALLの後にLCHを発症し、同じT細胞受容体遺伝子再構成およびNOTCH1遺伝子の活性化突然変異が認められた1人の患者が報告された。 [17]

また、固形腫瘍とLCH間の関連も報告されている。LCHと関連する固形腫瘍としては、網膜芽細胞腫、脳腫瘍、肝細胞がん、およびユーイング肉腫がある。


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成人のLCH

一般情報

成人のランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の自然史は、肺LCHを除いて不明である。小児のLCHと比べて有意差があるかどうかは不明であるが、多系統型高リスクLCHは小児の高リスクLCHほど侵攻性は強くないとみられる。再活性化のリスクは明らかになっていない。

LCHの成人患者の評価および治療に関して、コンセンサスグループから報告された。 [1] しかしながら、特に第一選択治療の至適治療法に関しては、検討が続けられている。

発生率

LCHの成人症例は、集団100万人当たり1~2人に発生すると推定されている。 [2] しかしながら、公表された研究は集団ベースではないものが主で、この疾患は過少診断される可能性が高いため、この疾患の真の発生率は不明である。ドイツの調査によると、LCH患者の66%が女性で、全患者の平均年齢は43.5歳であることが報告された。 [3]

臓器、部位、または系統ごとの成人LCHの臨床像

LCHの成人患者では、確定診断および治療の何ヵ月も前から症状および徴候がみられることがある。成人におけるLCHは、小児のLCHに類似していることが多く、同じ臓器に発生するとみられるが、その割合は異なる。成人では肺の病変が優勢で、通常は単一系統型疾患として発生し、喫煙と密接に関連しているほか、特有の生物学的特徴を示す。肺LCHの成人症例のほとんどが多クローン性で、反応性である可能性があるが、単クローン性の肺LCH症例もわずかにみられる。121人の登録者が含まれるドイツのレジストリーでは、62%が単一臓器に病変を有し、38%が多系統型病変を有していたが、全体の34%に肺の病変がみられた。診断時年齢の中央値は44歳±12.8歳であった。最も一般的な罹患臓器は肺で、骨、皮膚がそれに続いた。内分泌および中枢神経系、肝臓、脾臓、骨髄、消化管など、小児LCHでみられるすべての臓器系統で発生が認められた。小児LCHとの主な違いは、成人、特に喫煙習慣のある若年成人において孤立性の肺LCHの発生率がはるかに高いことである。この他の違いとしては、病変が生殖器および口腔粘膜に多くみられることが挙げられる。骨病変の分布に差があると考えられるが、両集団とも骨病変の再活性化および尿崩症への進行が問題となっている(ただし、成人における正確な発生率は不明である)。 [4]

公表されている研究によると、主症状は(頻度の高い順に)呼吸困難または頻呼吸、多飲症および多尿、骨痛、リンパ節腫脹、体重減少、発熱、歯肉肥大、運動失調、ならびに記憶障害である。LCHの徴候は、皮疹、頭皮の結節、骨病変近くの軟部組織の腫脹、リンパ節腫脹、歯肉肥大、および肝脾腫である。孤立性尿崩症を発症した患者では、LCHに特徴的な他の症状または徴候の発現がみられないか注意深く観察すべきである。尿崩症を発症した患者の80%以上は、骨(68%)、皮膚(57%)、肺(39%)、およびリンパ節(18%)など、他の臓器系統に病変を有していた。 [5]

皮膚および口腔

LCHを有する成人では、通常は多系統型LCHの1つとして発生する皮膚病変が37%にみられる。皮膚のみのLCHもみられるが、成人では小児よりもまれである。皮膚のみのLCHを有する成人の予後は優れており、5年生存する可能性は100%である。皮膚病変は小児にみられるものと臨床的に類似しており、多くの形態がみられる。 [6] 皮膚LCHの成人女性では、乳房下部および外陰に病変がみられることがある。

多くの患者では、針の頭から10セント硬貨程度の大きさの茶色、赤色、または痂皮領域を伴う丘疹がみられる。頭皮の発疹は、脂漏による発疹に類似している。鼠径部、生殖器、または肛門周囲の皮膚には、抗菌薬または抗真菌薬療法の後も治癒しない開放性潰瘍(open ulcer)が見られることがある。通常、病変は無症状であるが、そう痒または疼痛を伴う場合もある。口腔内における頬、口蓋、または舌に沿った歯肉の腫脹または潰瘍は、LCHの徴候である可能性がある。

通常は、持続性の皮膚病変に対して実施する皮膚生検によって、LCHの診断が下される。 [6]

成人における骨病変の相対頻度は、小児における頻度とは異なる:下顎骨(30% vs 7%)、頭蓋骨(21% vs 40%)。 [2] [3] [4] [5] 成人で椎骨(13%)、骨盤(13%)、四肢(17%)、および肋骨(6%)に病変がみられる頻度は、小児とほぼ同じである。 [2]

成人の肺LCHは、一般に単一系統型疾患であるが、骨(18%)、皮膚(13%)、尿崩症(5%)など、他の臓器にも病変がみられる患者もわずかにいる。 [7]

肺LCHは、非喫煙者よりも喫煙者で有病率が高いため、試験対象集団における喫煙率にもよるが、男女比は1に近いであろう。 [7] [8] 肺LCHを有する患者では、一般に乾性咳嗽、呼吸困難、または胸痛がみられるが、肺病変を有する成人の20%近くでは症状が認められない。 [9] [10] 胸痛は、自然気胸を示す場合がある(成人肺LCH症例の10~20%)。肺LCHは、観察された細胞の5%以上で認められる特徴的なCD1a免疫染色細胞と定義されており、成人患者の約50%で気管支鏡検査により診断可能である。 [11]

他の肺疾患において見られるランゲルハンス細胞(LC)とは異なり、LCHを有する成人の肺病変におけるLCH細胞は、アクセサリー分子CD80およびCD86を高レベルで発現する成熟した樹状細胞であることが示された。 [10] また、成人における肺LCHは、小児LCHにおいてみられるようなクローン性増殖というよりは、むしろ主に反応性の一過程であると考えられる。 [12] しかしながら、成人の肺LCH病変においてBRAF V600E突然変異が実証されているため、かなりの割合の患者(25~30%)でクローン性の増殖過程が示唆されている。 [13]

成人における肺LCHの経過はさまざまで、予測不能である。 [7] 59%の患者では、禁煙により自然寛解が得られたり、何らかの治療により良好な経過をたどったりする。症状が軽度の肺LCHの成人は予後良好であるが、何年もかかって徐々に悪化する患者もいる。 [14] 26歳以上であること、努力呼気肺活量(FEV1)/努力肺活量(FVC)比の低値、および残気量(RV)/総肺気量(TLC)比の高値は、有害な予後変数である。 [15] 約10~20%の患者では、呼吸不全、重度の肺高血圧症、および肺性心への早期の深刻な進行がみられる。びまん性の水疱形成、多発性気胸、および線維化を伴って進行する成人は、予後不良である。 [16] [17] 残りの患者は多彩な経過をたどり、病勢が安定する患者、再燃して呼吸機能不全の進行がみられる患者のほか、長年経過した後にそれが現れる患者もいる。 [18] 疾患の進行速度にかなりばらつきがあるとみられるため、肺LCHを有する成人の寿命は、禁煙しても延長されなかったことを報告した研究が1件ある。 [15] 肺LCHの治療に肺移植を受けた患者の1年生存率は77%、10年生存率は54%であり、LCHが再発する可能性は20%である。 [19] 肺病変が認められるLCH患者58人を対象にした自然史の研究により、患者の38%で2年後の肺機能に悪化がみられた。 [20] 最も重要な予後不良変数は、研究登録時の喫煙状態が陽性であることおよびPaO2低値であった。

肺LCHを有する患者において最も頻繁に認められる肺機能の異常所見は、症例の70~90%における一酸化物炭素拡散能の低下である。 [15] [21] 高分解能コンピュータ断層撮影(CT)スキャンにより、通常は上葉において古典的には嚢胞および小結節とともに網状顆粒状陰影がみられることは、LCHの特徴である。典型的なCT所見にもかかわらず、診断を確定するには肺の生検が必要であるという点で、ほとんどの呼吸器科医の意見が一致している。 [22] 高分解能CTスキャンで嚢胞性異常が存在することは、患者が進行性疾患であることを示す不良な予測因子であると考えられる。 [23] 肺LCHの患者27人を対象に肺CT所見と肺生検結果を関連付けた研究により、肺LCHに関する手がかりが得られている。 [24] 壁が薄く奇異な嚢胞には、活性化したLCおよび好酸球が含まれていた。52%の患者が改善したが、そのほとんどが禁煙した患者で、一部の患者は診断から14ヵ月以内にステロイド治療を受けていた。4人(15%)の患者が安定化し、9人(33%)の患者が22ヵ月を過ぎて進行した。

肝臓

LCHで多臓器病変を有する成人患者のシリーズで、肝臓病変が27%に報告されている。 [25] 肝腫大(48%)および肝酵素の異常(61%)が報告された。CTおよび超音波による画像所見異常がしばしば認められている。肝臓LCHの初期には、病理組織学的にCD1a+細胞の浸潤や管周囲の線維症などがみられ、炎症性浸潤を認めるが、脂肪肝を合併することも合併しないこともある。晩期では、胆道系硬化症がみられ、ウルソデオキシコール酸による治療が推奨される。

多系統型LCH

Mayo Clinicの患者を対象とした大規模シリーズで、多系統型LCHを有した患者は31%であったのに対し、Histiocyte Society成人登録に登録された患者では69%であった;これは紹介バイアスを反映している可能性がある。 [6] [26] 成人の多系統型患者における罹患臓器には以下のものがある:


  • 皮膚(50%)。

  • 粘膜皮膚(40%)。

  • 尿崩症(29.6%)。

  • 肝脾腫(16%)。

  • 甲状腺機能低下症(6.6%)。

  • リンパ節腫脹(6%)。


参考文献
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成人LCHの治療

標準治療法の選択肢

臨床試験の数が少ないため、ランゲルハンス細胞組織球症(LCH)の成人患者に対して科学的証拠に基づいた推奨を行うには限界がある。

以前は、研究者のほとんどが上述のランゲルハンス細胞組織球症の小児に対する標準治療ガイドラインに従った治療を推奨していた。しかしながら、成人のLCHが小児のLCHと同様に治療に反応を示すかどうかは不明である。さらに、小児の治療で用いられる薬物を成人で使用した場合、忍容性がそれほど良好ではない。例えば、LCH-A1試験は、ビンブラスチンによる過度の神経毒性のために中止に追い込まれた。

LCHの成人患者の評価および治療に関して、コンセンサスオピニオンから報告された。 [1] しかしながら、特に第一選択治療の至適治療法に関しては検討が続けられており、経験が豊富な医師でも、ビンブラスチンおよびプレドニゾンから開始することを好む医師がいる一方で、シトシンアラビノシドまたはクラドリビンの単剤のような代替療法を好む医師もいる。 [2] [証拠レベル:3iiiC]

肺LCHの治療

治療なしに自然に回復したり、病勢が安定したりする患者がいるため、肺LCHに対するさまざまな治療の有効性を判断するには困難を伴う。肺LCHでは喫煙の因果効果が明らかなため、禁煙が不可欠である。 [3] 報告されているケースシリーズでは禁煙に対して対照を設けなかったため、成人の肺LCHの治療において、ステロイド療法が有効かどうかは明らかにされていない。LCHのほとんどの成人患者では、喫煙を継続することで病態は徐々に進行する。LCHは禁煙により退縮することもあれば、進行することもある。 [4] 一部では、クラドリビン治療に反応を示した患者も報告されている。

LCHにより肺が広範囲に破壊されている成人では、肺移植が必要となる場合がある。 [5] この多施設研究では、移植後10年経過時の生存率が54%で、患者の20%では生存に影響しない再発性LCHが認められたことが報告された;これらの患者の長期にわたる追跡調査が必要である。10年で約50%の生存率および肺動脈性肺高血圧症に伴う血行動態変化の改善が別の研究で確認されたが、肺機能検査の結果または肺水腫の発生率に変化はみられなかった。 [6] 肺LCHの追跡に最適な戦略には、身体診察、胸部X線撮影、肺機能検査、および高分解能コンピュータ断層撮影(CT)スキャンが含まれる。 [7]

骨LCHの治療

小児と同様に、単一骨病変を有する成人では、病変の掻爬術を施行した後、コルチコステロイドの病変内投与を併用または非併用として、観察を継続すべきである。機能喪失および外観損傷に至る広範な手術または根治的手術は、歯牙または顎骨を含めていずれの部位でも禁忌である。全身化学療法により骨病変は消失するが、罹患した歯牙および顎骨は再生できない。化学療法が失敗した患者に対しては、低線量の放射線療法が適応となることがあり、広範な機能喪失および外観損傷の原因となる根治的手術の前に試みるべきである。放射線療法は、椎体病変による切迫性の神経学的欠損または眼窩病変による視力障害に対しても適応となる。ドイツの放射線療法に関する共同グループは、LCHの成人患者98人のシリーズについて報告しており、そのほとんど(98人中60人)が骨のみに病変を有し、24人が骨を含む多系統型LCHであり、放射線療法を受けた。 [8] [証拠レベル:3iiiDiv]評価可能な89人の患者のうち、77%が完全寛解を達成し、9%が照射野内に再発を来したほか、15.7%(89人中14人)で放射線照射野外に疾患進行を認めた。放射線療法単独で治療された患者80人を対象にしたレトロスペクティブ解析により、77%の完全寛解率および12.5%の部分寛解率が報告されており、さらに成人では80%の長期制御率が示されている。有害な晩期障害は報告されなかった。 [9]

比較的少数の患者の治療では、クラドリビンなどのさまざまな化学療法レジメンが公表されている。(詳しい情報については、本要約の化学療法のセクションを参照のこと。)

逸話的な報告では、複数の溶骨性病変を有する患者における重度の骨痛を制御する上でビスホスホネートのパミドロン酸使用が成功したとされている。 [10] [11] [12] 経口ビスホスホネートの使用が成功したことも報告されており、成人の骨LCHの治療に有用で比較的毒性が低い可能性がある。 [13] 成人では化学療法の毒性が高いため、多病巣性骨病変では、化学療法前にビスホスホネート療法を実施することが考えられる。他の臓器でも、ビスホスホネート療法に対する皮膚および軟部組織などの反応が報告されている。 [14]

標準化学療法に抵抗性であった症例2人において、トロホスファミドとともに抗炎症薬(ピオグリタゾンおよびロフェコキシブ)を特別な投与順序で使用する別のアプローチが成功している。 [15]

単一系統型皮膚LCHの治療


  • 限局性病変は外科的切除により治療されるが、骨LCHと同様に、疾患が利用可能な治療に難治性の場合を除いて、半外陰切除を含む断節性手術は避けるべきである。

  • 局所療法については、本要約の小児の孤立性皮膚病変のセクションでより詳細に記述されており、局所または病変内コルチコステロイド、局所タクロリムス、イミキモド、ソラレンのほか、長波長紫外線A(PUVA)およびUVBがある。 [16] PUVA/UVBなどの治療は、成人で長期の毒性をそれほど考慮しなくてもよい場合に、より有用となる可能性がある。 [17] [18] [19]

  • 重度の皮膚LCHに対する全身療法には、経口メトトレキサート、経口サリドマイド、経口インターフェロンα、またはインターフェロンサリドマイドの併用がある。 [20] [21] 治療中止後に再発する場合があるが、再治療に反応を示す可能性もある。

  • 成人の皮膚LCHの一部の難治性症例において経口イソトレチノインにより寛解が達成されている。 [22]

単一系統型および多系統型LCHの治療を目的とした化学療法

成人における多系統型LCHに関連する皮膚LCHには、化学療法が一般に使用されている。


  • LCHの成人患者58人を対象とした単一施設のレトロスペクティブレビューでは、ビンブラスチン/プレドニゾンクラドリビン、およびシタラビンによる治療の有効性および毒性について報告された。ビンブラスチン/プレドニゾンによる治療を受けた患者の転帰が最も不良で、84%では6週間以内に反応が得られないか、1年以内に再燃した。反応が得られない割合/再燃率はクラドリビンで59%、シタラビンで21%であった。グレード3または4の神経毒性作用がビンブラスチンによる治療を受けた患者の75%に認められた。クラドリビンによる治療を受けた患者の37%およびシタラビンが投与された患者の20%にグレード3または4の好中球減少が認められた。 [23]

  • ビンデシンおよびプレドニゾンまたはシクロホスファミドエトポシドビンデシンおよびプレドニゾンのどちらによる治療をうけた成人患者に関する報告では、どちらのレジメンでも70%を超える患者が再発することが示された。 [24] [証拠レベル:3iiiDiii]

  • エトポシドは、単一系統型および多系統型LCHに使用され、ある程度の成功を収めている。皮膚LCHの成人における長期の経口エトポシドの使用は、毒性が軽微であるが、一方で、エトポシド(100mg/m2/日)を3日間静脈内投与するコースにより、抵抗性の単一系統型および多系統型病変を有する少数の患者で完全寛解が達成されたことが報告された。 [25] 同じセンターの別の研究によると、成人の限局性病変に対するアザチオプリンは、難治性の多系統型病変に対してはエトポシドに追加することで、最も成功率が高い薬物であることが明らかにされた。 [26]

  • エトポシドを用いる第一選択治療に反応しない患者で、皮膚、骨、リンパ節に病変があり、肺および中枢神経系(CNS)に病変が疑われる成人には、クラドリビンが有効である。 [27] [28] 難治性および再発性の皮膚LCH病変の治療にクラドリビンを用いた最初の研究では、5日間にわたりクラドリビンを1日0.7mg/kgの用量で2時間かけて静注する治療を2~4コース施行した3人の患者(年齢33歳、51歳、57歳)が報告された。 [27] 成人5人のシリーズ(1人が未治療、4人が難治性のLCHで、上述と同じ用量でクラドリビンによる治療を受けた)では、3人の患者が完全寛解を達成し、2人の患者が部分寛解を達成した。 [28]

  • 1995年から2007年に多系統型LCH患者3人および単一系統型多病巣性骨LCH患者4人に対して、成人リンパ腫の治療レジメンであるメトトレキサートドキソルビシンシクロホスファミドビンクリスチンプレドニゾン、およびブレオマイシン(MACOP-B)が使用された。 [29] 全治療期間は12週間であった;すべての患者に反応がみられ、部分奏効が2人、完全奏効が5人であった。治療終了後、3人に再発がみられた。 [29] 患者数が少なく、研究がレトロスペクティブという性質であったにもかかわらず、MACOP-Bは、LCHの成人患者における救済療法として有用であると考えられ、さらに研究する価値がある。 [30]

  • 逸話的な報告では、複数の溶骨性病変を有する患者における重度の骨痛を制御する上でビスホスホネートのパミドロン酸使用が成功したとされている。 [10] [11] [12]

  • 神経変性CNS LCHを治療する上で、腫瘍壊死因子α阻害剤のインフリキシマブにある程度の有益性があることを示唆している症例報告ある。 [31]

  • 成人の下垂体LCHの治療を目的とした定位放射線手術により、腫瘤を縮小させる効果が示された。 [32] しかしながら、下垂体に病変がある小児に対して、放射線療法は標準治療とみなされない。シタラビンクラドリビンによる全身化学療法が望ましい治療法となっている。 [33] [34]

単一系統型および多系統型病変の治療を目的とした標的療法

研究段階にある新規標的療法には以下のものがある:


  • チロシンキナーゼ阻害薬:皮膚、肺、骨、および/またはCNSに病変がみられるLCHの成人患者4人の治療で、メシル酸イマチニブが有効性を示している。 [35] [36] ただし、メシル酸イマチニブに反応を示さなかったLCHの成人患者もいる。 [37]

  • RAS経路阻害薬:LCHのほとんどの患者でBRAFおよびその他のRAS経路の遺伝子に突然変異がみられるという発見は、LCH、エルドハイム-チェスター(ECD)病、またはECD/LCHの混合が認められる成人患者においてBRAF V600E阻害薬であるベムラフェニブに対する反応の複数の逸話的報告につながった。 [38] [39] LCHの成人および小児を対象としたBRAFおよびその他のRAS経路阻害薬について多くの臨床試験が実施中である。NCT01677741は、そのような試験の1つである。

最新の臨床試験

成人のランゲルハンス細胞組織球症患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
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  2. Grobost V, Khouatra C, Lazor R, et al.: Effectiveness of cladribine therapy in patients with pulmonary Langerhans cell histiocytosis. Orphanet J Rare Dis 9: 191, 2014.[PUBMED Abstract]

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  36. Janku F, Amin HM, Yang D, et al.: Response of histiocytoses to imatinib mesylate: fire to ashes. J Clin Oncol 28 (31): e633-6, 2010.[PUBMED Abstract]

  37. Wagner C, Mohme H, Krömer-Olbrisch T, et al.: Langerhans cell histiocytosis: treatment failure with imatinib. Arch Dermatol 145 (8): 949-50, 2009.[PUBMED Abstract]

  38. Haroche J, Cohen-Aubart F, Emile JF, et al.: Dramatic efficacy of vemurafenib in both multisystemic and refractory Erdheim-Chester disease and Langerhans cell histiocytosis harboring the BRAF V600E mutation. Blood 121 (9): 1495-500, 2013.[PUBMED Abstract]

  39. Charles J, Beani JC, Fiandrino G, et al.: Major response to vemurafenib in patient with severe cutaneous Langerhans cell histiocytosis harboring BRAF V600E mutation. J Am Acad Dermatol 71 (3): e97-9, 2014.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(06/20/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約には編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小児および成人ランゲルハンス細胞組織球症の治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Pediatric Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

ランゲルハンス細胞組織球症の治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Pediatric Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Pediatric Treatment Editorial Board.PDQ Langerhans Cell Histiocytosis Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/langerhans/hp/langerhans-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389240]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

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