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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

胃がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2019-05-02
    翻訳更新日 : 2019-07-25


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、胃がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

胃がんに関する一般情報

発生率および死亡率

米国において、2019年に推定される胃がんの新規症例数および死亡数: [1]


  • 新規症例数:27,510。

  • 死亡数:11,140。

疫学

全胃悪性腫瘍の90~95%を占める組織型の腺がんの治療についてこの要約で考察する。米国では食道胃がんの解剖学的位置について疫学パターンが変化しており、遠位または非噴門部胃がんの発生率は減少傾向にある。 [2] しかしながら、25~39歳の個人における非噴門部胃がんの発生率は、10万人当たり0.27例(1977年~1981年)から10万人当たり0.45例(2002年~2006年)へと増加している。 [2] この特定の年齢集団で観察された非噴門部胃がんの増加を確認するには、追加の研究が必要である。

非噴門部胃がんの全体としての安定的な傾向とは対照的に、初期の研究では1970年代中頃から1980年代後半にかけて胃噴門部腺がん発生率における年間4~10%の増加が示された。 [3] 同様に、胃食道接合部腺がんの発生率も10万人当たり1.22例(1973年~1978年)から10万人当たり2.00例(1985年~1990年)へと大幅に増加した。 [4] それ以降、発生率は安定しており、10万人当たりでは1.94例(2003年~2008年)である。 [4] 最近のデータでは、噴門部胃がんの発生率は比較的安定していることが示されているが、白人集団では、10万人当たり2.4例(1977年~1981年)から10万人当たり2.9例(2001年~2006年)への増加が観察されている。 [2] 発生率におけるこうした時間的変化の理由は不明である。

危険因子

米国では、主要ながんのうち胃がんの発生率は第14位である。正確な病因は不明であるが、胃がんの危険因子として認められているものには以下のものがある: [5] [6] [7]


  • 胃内ヘリコバクターピロリ感染。

  • 高齢。

  • 男性。

  • 果物および野菜の少ない食事。

  • 塩漬け食品、燻製品または保存食品の多い食事。

  • 慢性萎縮性胃炎。

  • 腸上皮化生。

  • 悪性貧血。

  • 胃腺腫性ポリープ。

  • 胃がんの家族歴。

  • 喫煙。

  • メネトリエ病(巨大肥厚性胃炎)。

  • エプスタイン-バーウイルス。

  • 家族性症候群(家族性腺腫性ポリポーシスなど)。

予後および生存率

胃がん患者の予後は腫瘍の進展度と関係しており、リンパ節転移および胃壁外への腫瘍の直接進展の両者に関わっている。 [8] [9] 腫瘍の悪性度から予後に関する情報が得られる場合もある。 [10]

限局性の胃幽門部がんの患者の50%以上が治癒可能である。しかし、米国では早期がんの占める割合は胃がんと診断された全例の10~20%に過ぎない。残りの患者は、腫瘍近傍または遠隔部位のいずれかに転移巣を有する。早期がん患者以外の5年全生存率は、播種性転移がみられる患者でほとんど0%、切除可能な範囲内にある胃幽門部の限局型がん患者でほぼ50%と幅がある。明らかに限局性がんであっても、噴門部の胃がん患者の5年生存率は10~15%に過ぎない。播種性の胃がん患者の治療の結果、症状の緩和およびいくぶんの延命につながる場合もあるが、長期的寛解はほとんどみられない。

消化管間質性腫瘍は胃に最も多く発生する。(詳しい情報については、消化管間質腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

関連する要約

胃がんに関する情報を含む他のPDQ要約には以下のものがある:



参考文献
  1. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2019. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2019. Available online. Last accessed January 23, 2019.[PUBMED Abstract]

  2. Anderson WF, Camargo MC, Fraumeni JF Jr, et al.: Age-specific trends in incidence of noncardia gastric cancer in US adults. JAMA 303 (17): 1723-8, 2010.[PUBMED Abstract]

  3. Blot WJ, Devesa SS, Kneller RW, et al.: Rising incidence of adenocarcinoma of the esophagus and gastric cardia. JAMA 265 (10): 1287-9, 1991.[PUBMED Abstract]

  4. Buas MF, Vaughan TL: Epidemiology and risk factors for gastroesophageal junction tumors: understanding the rising incidence of this disease. Semin Radiat Oncol 23 (1): 3-9, 2013.[PUBMED Abstract]

  5. Kurtz RC, Sherlock P: The diagnosis of gastric cancer. Semin Oncol 12 (1): 11-8, 1985.[PUBMED Abstract]

  6. Scheiman JM, Cutler AF: Helicobacter pylori and gastric cancer. Am J Med 106 (2): 222-6, 1999.[PUBMED Abstract]

  7. Fenoglio-Preiser CM, Noffsinger AE, Belli J, et al.: Pathologic and phenotypic features of gastric cancer. Semin Oncol 23 (3): 292-306, 1996.[PUBMED Abstract]

  8. Siewert JR, Böttcher K, Stein HJ, et al.: Relevant prognostic factors in gastric cancer: ten-year results of the German Gastric Cancer Study. Ann Surg 228 (4): 449-61, 1998.[PUBMED Abstract]

  9. Nakamura K, Ueyama T, Yao T, et al.: Pathology and prognosis of gastric carcinoma. Findings in 10,000 patients who underwent primary gastrectomy. Cancer 70 (5): 1030-7, 1992.[PUBMED Abstract]

  10. Adachi Y, Yasuda K, Inomata M, et al.: Pathology and prognosis of gastric carcinoma: well versus poorly differentiated type. Cancer 89 (7): 1418-24, 2000.[PUBMED Abstract]

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胃がんの細胞分類

胃腺がんの腫瘍には、以下に示す2つの主要なタイプがある:


  • 腸型。

  • びまん型。

腸型腺がんは高分化型であり、細胞は管状または腺構造に配列する傾向がある。管状、乳頭状、および粘液性という用語はさまざまなタイプの腸型腺がんに対応付けられている。まれに、腺扁平上皮がんが起こることもある。

びまん型腺がんは未分化または低分化型であり、腺形成は認められない。臨床的に、びまん型腺がんは胃壁の浸潤(すなわち、形成性胃組織炎)を引き起こすことがある。

腫瘍によっては、腸型とびまん型タイプの特徴が混合していることもある。

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胃がんの病期情報

AJCC予後的病期グループおよびTNMの定義

米国がん合同委員会(AJCC)は、胃がんを定義するためにTNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類による病期判定を指定している。 [1]

病理学的病期(pTNM)

表1.pTNM分類における0期の定義a

病期 TNM 説明
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;p = 病理学的。
a AJCCから許諾を得て転載:Stomach.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.203–20.
0 Tis、N0、M0 Tis = 上皮内がん:粘膜固有層に浸潤していない上皮内腫瘍、高度の異形成。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。


表2.pTNM分類におけるIA期およびIB期の定義a

病期 TNM 説明
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;p = 病理学的。
a AJCCから許諾を得て転載:Stomach.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.203–20.
b 腫瘍が固有筋層を越えて、胃結腸間膜または胃肝間膜、あるいは大網または小網へ浸潤していることがあるが、これらの組織を覆う臓側腹膜には達していない。この場合の腫瘍はT3に分類する。胃間膜または網組織を覆う臓側腹膜を越えて浸潤している腫瘍は、T4に分類すべきである。
IA T1、N0、M0 T1 = 粘膜固有層、粘膜筋層、または粘膜下層に浸潤している腫瘍。
-T1a = 粘膜固有層または粘膜筋層に浸潤している腫瘍。
-T1b = 粘膜下層に浸潤している腫瘍。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
IB T1、N1、M0 T1 = 粘膜固有層、粘膜筋層、または粘膜下層に浸潤している腫瘍。
-T1a = 粘膜固有層または粘膜筋層に浸潤している腫瘍。
-T1b = 粘膜下層に浸潤している腫瘍。
N1 = 1~2個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T2、N0、M0 T2 = 固有筋層に浸潤している腫瘍。b
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。


表3.pTNM分類におけるIIA期およびIIB期の定義a

病期 TNM 説明
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;p = 病理学的。
a AJCCから許諾を得て転載:Stomach.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.203–20.
b 腫瘍が固有筋層を越えて、胃結腸間膜または胃肝間膜、あるいは大網または小網へ浸潤していることがあるが、これらの組織を覆う臓側腹膜には達していない。この場合の腫瘍はT3に分類する。胃間膜または網組織を覆う臓側腹膜を越えて浸潤している腫瘍は、T4に分類すべきである。
c 胃の隣接臓器とは、脾、横行結腸(横行結腸間膜)、肝、横隔膜、膵、腹壁、副腎、腎、小腸、後腹膜腔を指す。
d 十二指腸や食道に壁内浸潤が及んでいる場合は隣接臓器への浸潤とは考えられないが、これらの部位の中で最も深い深達度を用いて分類する。
IIA T1、N2、M0 T1 = 粘膜固有層、粘膜筋層、または粘膜下層に浸潤している腫瘍。
-T1a = 粘膜固有層または粘膜筋層に浸潤している腫瘍。
-T1b = 粘膜下層に浸潤している腫瘍。
N2 = 3~6個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T2、N1、M0 T2 = 固有筋層に浸潤している腫瘍。b
N1 = 1~2個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T3、N0、M0 T3 = 漿膜下の結合組織を越えて浸潤しているが、臓側腹膜または隣接臓器には達していない腫瘍。c、 d
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
IIB T1、N3a、M0 T1 = 粘膜固有層、粘膜筋層、または粘膜下層に浸潤している腫瘍。
-T1a = 粘膜固有層または粘膜筋層に浸潤している腫瘍。
-T1b = 粘膜下層に浸潤している腫瘍。
N3a = 15~7個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T2、N2、M0 T2 = 固有筋層に浸潤している腫瘍。b
N2 = 3~6個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T3、N1、M0 T3 = 漿膜下の結合組織を越えて浸潤しているが、臓側腹膜または隣接臓器には達していない腫瘍。c、 d
N1 = 1~2個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4a、N0、M0 T4a = 漿膜(臓側腹膜)に浸潤している腫瘍。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。


表4.pTNM分類におけるIIIA期、IIIB期、およびIIIC期の定義a

病期 TNM 説明
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;p = 病理学的。
a AJCCから許諾を得て転載:Stomach.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.203–20.
b 腫瘍が固有筋層を越えて、胃結腸間膜または胃肝間膜、あるいは大網または小網へ浸潤していることがあるが、これらの組織を覆う臓側腹膜には達していない。この場合の腫瘍はT3に分類する。胃間膜または網組織を覆う臓側腹膜を越えて浸潤している腫瘍は、T4に分類すべきである。
c 胃の隣接臓器とは、脾、横行結腸(横行結腸間膜)、肝、横隔膜、膵、腹壁、副腎、腎、小腸、後腹膜腔を指す。
d 十二指腸や食道に壁内浸潤が及んでいる場合は隣接臓器への浸潤とは考えられないが、これらの部位の中で最も深い深達度を用いて分類する。
IIIA T2、N3a、M0 T2 = 固有筋層に浸潤している腫瘍。b
N3a = 15~7個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T3、N2、M0 T3 = 漿膜下の結合組織を越えて浸潤しているが、臓側腹膜または隣接臓器には達していない腫瘍。c、 d
N2 = 3~6個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4a、N1、M0 T4a = 漿膜(臓側腹膜)に浸潤している腫瘍。
N1 = 1~2個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4a、N2、M0 T4a = 漿膜(臓側腹膜)に浸潤している腫瘍。
N2 = 3~6個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4b、N0、M0 T4b = 隣接臓器に浸潤している腫瘍。c、d
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
M0 = 遠隔転移を認めない。
IIIB T1、N3b、M0 T1 = 粘膜固有層、粘膜筋層、または粘膜下層に浸潤している腫瘍。
N3b = 16個以上の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T2、N3b、M0 T2 = 固有筋層に浸潤している腫瘍。b
N3b = 16個以上の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T3、N3a、M0 T3 = 漿膜下の結合組織を越えて浸潤しているが、臓側腹膜または隣接臓器には達していない腫瘍。c、 d
N3a = 15~7個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4a、N3a、M0 T4a = 漿膜(臓側腹膜)に浸潤している腫瘍。
N3a = 15~7個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4b、N1、M0 T4b = 隣接臓器に浸潤している腫瘍。c、d
N1 = 1~2個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4b、N2、M0 T4b = 隣接臓器に浸潤している腫瘍。c、d
N2 = 3~6個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
IIIC T3、N3b、M0 T3 = 漿膜下の結合組織を越えて浸潤しているが、臓側腹膜または隣接臓器には達していない腫瘍。c d
N3b = 16個以上の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4a、N3b、M0 T4a = 漿膜(臓側腹膜)に浸潤している腫瘍。
N3b = 16個以上の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4b、N3a、M0 T4b = 隣接臓器に浸潤している腫瘍。c、d
N3a = 15~7個の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。
T4b、N3b、M0 T4b = 隣接臓器に浸潤している腫瘍。c、d
N3b = 16個以上の所属リンパ節に転移を認める。
M0 = 遠隔転移を認めない。


表5.pTNM分類におけるIV期の定義a

病期 TNM 説明
T = 原発腫瘍;N = 所属リンパ節;M = 遠隔転移;p = 病理学的。
a AJCCから許諾を得て転載:Stomach.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.203–20.
b 腫瘍が固有筋層を越えて、胃結腸間膜または胃肝間膜、あるいは大網または小網へ浸潤していることがあるが、これらの組織を覆う臓側腹膜には達していない。この場合の腫瘍はT3に分類する。胃間膜または網組織を覆う臓側腹膜を越えて浸潤している腫瘍は、T4に分類すべきである。
c 胃の隣接臓器とは、脾、横行結腸(横行結腸間膜)、肝、横隔膜、膵、腹壁、副腎、腎、小腸、後腹膜腔を指す。
d 十二指腸や食道に壁内浸潤が及んでいる場合は隣接臓器への浸潤とは考えられないが、これらの部位の中で最も深い深達度を用いて分類する。
IV すべてのT、すべてのN、M1 TX = 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 = 原発腫瘍を認めない。
Tis = 上皮内がん:粘膜固有層に浸潤していない上皮内腫瘍、高度の異形成。
T1 = 粘膜固有層、粘膜筋層、または粘膜下層に浸潤している腫瘍。
-T1a = 粘膜固有層または粘膜筋層に浸潤している腫瘍。
-T1b = 粘膜下層に浸潤している腫瘍。
T2 = 固有筋層に浸潤している腫瘍。b
T3 = 漿膜下の結合組織を越えて浸潤しているが、臓側腹膜または隣接臓器には達していない腫瘍。c、 d
T4 = 漿膜(臓側腹膜)または隣接臓器に浸潤している腫瘍。c、 d
-T4a = 漿膜(臓側腹膜)に浸潤している腫瘍。
-T4b = 隣接臓器に浸潤している腫瘍。
NX = 所属リンパ節転移の評価が不可能。
N0 = 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 = 1~2個の所属リンパ節に転移を認める。
N2 = 3~6個の所属リンパ節に転移を認める。
N3 = 7個以上の所属リンパ節に転移を認める。
-N3a = 7~15個の所属リンパ節に転移を認める。
-N3b = 16個以上の所属リンパ節に転移を認める。
M1 = 遠隔転移を認める。



参考文献
  1. Stomach. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp. 203–20.[PUBMED Abstract]

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治療法選択肢の概要

根治的手術は、根治目的の治療法の標準形式である。ただし、腫瘍床と所属リンパ節における局所治療の失敗および血行性遠隔転移または腹膜播種性の遠隔転移の発生率は依然として高い。 [1] したがって、術前補助、周術期、および補助併用化学療法、手術、および外照射療法の役割を明らかにするため、集学的チームによる総合的な病期分類および評価を検討すべきである。

ヨーロッパの研究者らにより、放射線療法を併用しない周術期化学療法の役割が評価された。 [2] 1件の第III相ランダム化試験(MRC-ST02[NCT00002615])では、胃または食道下部3分の1にII期以上の腺がんを有する患者が、術前および術後に3サイクルのエピルビシンシスプラチン、および持続注入5-フルオロウラシル(5-FU)を投与される群、または手術単独群に割り付けられた。手術単独群と比較して、周術期に化学療法を受けた群は無増悪生存(増悪に対するハザード比[HR]、0.66;95%信頼区間[CI]、0.53-0.81;P < 0.001)および全生存(OS)(HR死亡、0.75;95%CI、0.60-0.93;P = 0.009)の可能性が有意に高かった。5年OS率は周術期化学療法群で36.3%(95%CI、29.5%-43.0%)および手術単独群で23%(95%CI、16.6%-29.4%)であった。 [2] [証拠レベル:1iiA]

第III相Intergroup試験(SWOG-9008[NCT01197118])で、IB期からIV(M0)期の胃および食道胃接合部の腺がんを完全切除された559人の患者が、手術単独群または手術に加えて術後化学療法(5-FUとロイコボリン)と同時放射線療法(45Gy)とを併用する群にランダムに割り付けられた。中央値10年以上の追跡期間の結果、補助療法併用の集学的治療を受けた患者に有意な生存利益が報告された。 [3] [証拠レベル:1iiA]OS期間中央値は、補助化学放射線療法群が35ヵ月で、手術単独群は27ヵ月であった(P = 0.0046)。無再燃生存期間中央値は、化学放射線療法群が27ヵ月であったのに対し、手術単独群は19ヵ月であった(P < 0.001)。


参考文献
  1. Gunderson LL, Sosin H: Adenocarcinoma of the stomach: areas of failure in a re-operation series (second or symptomatic look) clinicopathologic correlation and implications for adjuvant therapy. Int J Radiat Oncol Biol Phys 8 (1): 1-11, 1982.[PUBMED Abstract]

  2. Cunningham D, Allum WH, Stenning SP, et al.: Perioperative chemotherapy versus surgery alone for resectable gastroesophageal cancer. N Engl J Med 355 (1): 11-20, 2006.[PUBMED Abstract]

  3. Smalley SR, Benedetti JK, Haller DG, et al.: Updated analysis of SWOG-directed intergroup study 0116: a phase III trial of adjuvant radiochemotherapy versus observation after curative gastric cancer resection. J Clin Oncol 30 (19): 2327-33, 2012.[PUBMED Abstract]

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0期の胃がん

0期の胃がんに対する標準治療法の選択肢

0期の胃がんに対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 手術
  2. 内視鏡的粘膜切除術(EMR)

手術

0期の胃がんは粘膜に限局する。0期の胃がんと診断されることが多い日本での経験からみると、リンパ節郭清を伴う胃切除術を施行した患者の90%以上が5年以上生存することを示している。米国の観察研究もこれらの結果を確認している。 [1]

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

EMRは、予後良好な特徴(TisまたはT1a、直径が2cm以下、分化型優位、潰瘍所見が認められない)を示し、リンパ節転移のリスクが低い早期腫瘍患者において、日本およびアジア全域で研究されている。粘膜内腫瘍は粘膜下腫瘍よりもリンパ節転移のリスクが低い。 [2] 上述の基準による慎重な患者選択、経験を積んだ内視鏡医による治療、および厳重なサーベイランスを検討すべきである。

証拠(EMR):

  1. 1件のEMRに関するプロスペクティブ試験には、1987年から1998年の間に東京で治療された粘膜内がんの患者445人が対象とされた(計479の腫瘍)。粘膜下浸潤、血管転移、および/または切除断端陽性の証拠が示された患者には完全切除が推奨された。粘膜内病変が認められた患者405人中、278人が完全切除を受け、治癒目的の治療での局所再発率は2%および追跡期間中央値38ヵ月時に無病生存率は100%であった。不完全/評価不能な切除を受けた患者では、127人中18人が局所に再発し、根治手術を受けた。 [3] [証拠レベル:3iiiDii]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Green PH, O'Toole KM, Slonim D, et al.: Increasing incidence and excellent survival of patients with early gastric cancer: experience in a United States medical center. Am J Med 85 (5): 658-61, 1988.[PUBMED Abstract]

  2. Japanese Gastric Cancer Association: Japanese gastric cancer treatment guidelines 2014 (ver. 4). Gastric Cancer 20 (1): 1-19, 2017.[PUBMED Abstract]

  3. Ono H, Kondo H, Gotoda T, et al.: Endoscopic mucosal resection for treatment of early gastric cancer. Gut 48 (2): 225-9, 2001.[PUBMED Abstract]

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I期の胃がん

I期の胃がんに対する標準治療法の選択肢

I期の胃がんに対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 以下の外科的処置のうち1つを用いる外科的切除
    • 幽門側胃亜全摘術(病変が胃底部または噴門食道接合部に認められない場合)。

    • 噴門側胃亜全摘術または胃全摘術、両者とも下部食道摘除術を併用する(病変が噴門部に浸潤している場合)。このような腫瘍は、しばしば食道の粘膜下リンパ管に及んでいる場合が多い。

    • 胃全摘術(腫瘍が胃にびまん性に浸潤しているかまたは胃体部に生じており、噴門または幽門前庭部から6cm以内に進展している場合)。


    上に挙げたすべての外科的処置と併用して所属リンパ節郭清が推奨される。脾摘術は通常実施されない。 [1]

  2. IA期胃がんを有する選択された患者に対する内視鏡的粘膜切除術(EMR)
  3. リンパ節転移陽性(T1 N1)および固有筋層浸潤(T2 N0)が認められる患者に対する術後化学放射線療法。 [2]

外科的切除

所属リンパ節郭清を含む外科的切除術がI期の胃がん患者の治療の選択肢である。 [1] 病変が噴門食道接合部に認められず、胃にびまん性に浸潤していない場合は、胃亜全摘術が選択すべき治療法であるが、その理由は胃亜全摘術が胃全摘術と同等の生存率を得られ、合併症が少ないことが明らかにされているためである。 [3] [証拠レベル:1iiA]病変が噴門に浸潤している場合は、根治を目的として噴門側胃亜全摘出または胃全摘術(十分な長さに食道を切除することも含む)を実施してもよい。病変が胃にびまん性に浸潤している場合には、胃全摘術が必要である。少なくとも、外科的切除には大彎および小彎の胃周囲所属リンパ節を含む。I期の胃がん患者の胃周囲リンパ節にはがんが含まれている場合があることに留意すること。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

EMRは、予後良好な特徴(TisまたはT1a、直径が2cm以下、分化型優位、潰瘍所見が認められない)を示し、リンパ節転移のリスクが低い早期腫瘍患者において、日本およびアジア全域で研究されている。粘膜内腫瘍は粘膜下腫瘍よりもリンパ節転移のリスクが低い。 [4] 上述の基準による慎重な患者選択、経験を積んだ内視鏡医による治療、および厳重なサーベイランスを検討すべきである。

証拠(EMR):

  1. 1件のEMRに関するプロスペクティブ試験には、1987年から1998年の間に東京で治療された粘膜内がんの患者445人が対象とされた(計479の腫瘍)。粘膜下浸潤、血管転移、および/または切除断端陽性の証拠が示された患者には完全切除が推奨された。粘膜内病変が認められた患者405人中、278人が完全切除を受け、治癒目的の治療での局所再発率は2%および追跡期間中央値38ヵ月時に無病生存率は100%であった。不完全/評価不能な切除を受けた患者では、127人中18人が局所に再発し、根治手術を受けた。 [5] [証拠レベル:3iiiDii]

術後化学放射線療法

リンパ節転移陽性(T1 N1)および固有筋層への浸潤(T2 N0)が認められる患者では、術後化学放射線療法を検討してもよい。

証拠(術後化学放射線療法):

  1. 1件のプロスペクティブ多施設共同第III相試験(SWOG-9008[NCT01197118])により、IB期からIV(M0)期の胃および食道胃接合部の腺がんを完全切除された559人の患者において、術後に化学放射線療法を併用する治療法と手術単独療法とが評価され、補助療法併用の集学的治療で有意な生存利益が報告された。 [2] [証拠レベル:1iiA]
    • 10年以上の追跡の結果、生存期間中央値は補助化学放射線療法群で35ヵ月で、手術単独群では27ヵ月であった(P = 0.0046)。

    • 無再燃生存期間中央値は、化学放射線療法群が27ヵ月であったのに対し、手術単独群は19ヵ月であった(P < 0.001)。改善は主に局所領域再発リスク(手術単独群の47%から化学放射線療法群の29%に改善)で示された。 [2] ただし、試験に参加した患者のうちIB期の腫瘍であったのは36人のみであった(各群に18人ずつ)。 [6]


    IB期の胃がんを完全切除した患者の予後は比較的良好であるため、この集団に対する補助化学放射線療法の有効性は他の集団より明らかではない。

I期の胃がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

I期の胃がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:


  • 閉鎖されたSWOG-S0425試験および完了したRTOG-9904(NCT00003862)試験で用いられたような術前化学放射線療法。 [7]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Brennan MF, Karpeh MS Jr: Surgery for gastric cancer: the American view. Semin Oncol 23 (3): 352-9, 1996.[PUBMED Abstract]

  2. Smalley SR, Benedetti JK, Haller DG, et al.: Updated analysis of SWOG-directed intergroup study 0116: a phase III trial of adjuvant radiochemotherapy versus observation after curative gastric cancer resection. J Clin Oncol 30 (19): 2327-33, 2012.[PUBMED Abstract]

  3. Bozzetti F, Marubini E, Bonfanti G, et al.: Subtotal versus total gastrectomy for gastric cancer: five-year survival rates in a multicenter randomized Italian trial. Italian Gastrointestinal Tumor Study Group. Ann Surg 230 (2): 170-8, 1999.[PUBMED Abstract]

  4. Japanese Gastric Cancer Association: Japanese gastric cancer treatment guidelines 2014 (ver. 4). Gastric Cancer 20 (1): 1-19, 2017.[PUBMED Abstract]

  5. Ono H, Kondo H, Gotoda T, et al.: Endoscopic mucosal resection for treatment of early gastric cancer. Gut 48 (2): 225-9, 2001.[PUBMED Abstract]

  6. Kelsen DP: Postoperative adjuvant chemoradiation therapy for patients with resected gastric cancer: intergroup 116. J Clin Oncol 18 (21 Suppl): 32S-4S, 2000.[PUBMED Abstract]

  7. Ajani JA, Winter K, Okawara GS, et al.: Phase II trial of preoperative chemoradiation in patients with localized gastric adenocarcinoma (RTOG 9904): quality of combined modality therapy and pathologic response. J Clin Oncol 24 (24): 3953-8, 2006.[PUBMED Abstract]

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II期およびIII期の胃がん

II期およびIII期の胃がんに対する標準治療法の選択肢

II期の胃がんおよびIII期の胃がんに対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. (周術期および補助療法の役割について集学的チームで話し合った後の)外科的切除には、以下の外科的処置のうち1つが用いられる:
    • 幽門側胃亜全摘術(病変が胃底部または噴門食道接合部に認められない場合)。

    • 噴門側胃亜全摘術または胃全摘術(病変が噴門に浸潤している場合)。

    • 胃全摘術(腫瘍が胃にびまん性に浸潤しているかまたは胃体部に生じており、噴門から6cm以内に進展している場合)。


    上に挙げたすべての外科的処置と併用して所属リンパ節郭清が推奨される。脾摘術は通常実施されない。 [1]

  2. 周術期化学療法。 [2]
  3. 術後(補助)化学放射線療法。 [3]
  4. 術後(補助)化学療法

補助化学放射線療法 vs 周術期化学療法のランダム化試験は実施されていない。

外科的切除

局所領域および遠隔部位での再発リスクが高いため、手術に加えて周術期および術後療法を検討すべきである。

II期およびIII期胃がん患者には、所属リンパ節郭清を伴う外科的切除が選択すべき治療であり、すべての適格患者が手術を受ける。 [1] 病変が噴門食道接合部に認められず、胃にびまん性に浸潤していない場合は、胃亜全摘術が選択すべき治療法である。病変が噴門に浸潤している場合には、治癒を目的として噴門側胃亜全摘出または胃全摘術を実施してもよい。病変が胃にびまん性に浸潤している場合には、胃全摘術および適切なリンパ節切除が必要となることがある。拡大リンパ節(D2)郭清の役割は不明であり、 [4] いくつかの観察研究では合併症発生率の上昇を伴っている。 [5] [6] 特に、所属リンパ節転移が少数であれば(6個以下)、III期の選択された患者の15%までは手術単独で治癒する。

周術期化学療法

ヨーロッパの研究者らにより、放射線療法を併用しない周術期化学療法の役割が評価された。 [2]

証拠(周術期化学療法):

  1. この第III相ランダム化MAGIC(NCT00002615)試験では、胃または食道下部3分の1にII期以上の腺がんを有する患者が、術前および術後に3サイクルのエピルビシンシスプラチン、および持続注入5-フルオロウラシル(5-FU)(ECF)を投与される群、または手術単独群に割り付けられた。 [2]
    • 手術単独群と比較して、周術期に化学療法を受けた群は無増悪生存(増悪に対するハザード比[HR]、0.66;95%信頼区間[CI]、0.53-0.81;P < 0.001)および全生存(OS)(HR死亡、0.75;95%CI、0.60-0.93;P = 0.009)の可能性が有意に高かった。

    • 5年OS率は周術期化学療法群で36.3%(95%CI、29.5%-43.0%)および手術単独群で23%(95%CI、16.6%-29.4%)であった。 [2] [証拠レベル:1iiA]

  2. 要約形式で発表された第III相ランダム化AIO-FLOT4(NCT01216644)試験では、IB期からIII期の切除可能な胃または胃食道腺がんを有する患者716人が、ドセタキセルオキサリプラチン、および5-FU/ロイコボリン(FLOT)またはエピルビシンシスプラチン、および5-FUまたはカペシタビン(ECF/ECX)による周術期化学療法を受けるようにランダムに割り付けられた。 [7] [証拠レベル:1iiA]
    • OS期間中央値は、FLOT群で50ヵ月およびECF/ECX群で35ヵ月(HR、0.77[0.63-0.94];P = 0.0004)であった。

術後(補助)化学放射線療法

術前補助療法を受けていないII期およびIII期胃がん患者には、術後化学放射線療法を検討してもよい。

証拠(術後[補助]化学放射線療法):

  1. 1件のプロスペクティブ多施設共同第III相試験(SWOG-9008[NCT01197118])により、IB期からIV(M0)期の胃および食道胃(GE)接合部の腺がんを完全切除された559人の患者において、手術単独療法と比較した術後に化学放射線療法を併用する治療法が評価され、補助療法併用の集学的治療で有意な生存利益が報告された。 [3] [証拠レベル:1iiA]
    • 10年以上の追跡の結果、生存期間中央値は補助化学放射線療法群で35ヵ月で、手術単独群では27ヵ月であった(P = 0.0046)。

    • 無再燃生存期間中央値は、化学放射線療法群が27ヵ月であったのに対し、手術単独群は19ヵ月であった(P < 0.001)。改善は主に局所領域再発リスク(手術単独群の47%から化学放射線療法群の29%に改善)で示された。 [3] ただし、試験に参加した患者のうちIB期の腫瘍であったのは36人のみであった(各群に18人ずつ)。 [8]

  2. Cancer and Leukemia Group B研究(CALGB-80101[NCT00052910])において、放射線と併用するより強力な化学療法レジメンの役割を評価する試みでは、生存利益は示されなかった。IB期からIV(M0)期の胃または食道胃接合部腺がんの治癒的切除を受けた546人の患者が、放射線療法の前後に術後5-FUとロイコボリンまたは併用放射線療法の前後に術後ECFを受けた。 [9]
    • 5年OS率は両群で44%であった。

  3. IB期からIVA期の胃/食道胃接合部腺がん患者788人を対象にしたオランダの第III相試験(CRITICS[NCT00407186])において、患者は術前化学療法および手術を受け、次に術後化学療法または化学放射線療法を受けるようにランダムに割り付けられた。 [10] 術前補助化学療法を受けた患者では、補助化学放射線療法によって生存は改善しなかった。
    • OS期間中央値は、化学療法群で43ヵ月および化学放射線療法群で37ヵ月であった(95%CI、0.84-1.22;P = 0.90)。

術後(補助)化学療法

ヨーロッパの研究者らにより、放射線療法を併用しない術後化学療法の役割が評価された。 [2]

証拠(術後[補助]化学療法):

  1. 日本の研究者らにより、II期またはIII期胃がんに対してD2胃切除術を受けた患者1,059人が、米国では利用できないフルオロピリミジン経口薬のS-1を1年間投与される群または手術後に追跡のみを受ける群にランダムに割り付けられた。 [11] 患者は1:1の割合でランダムに割り付けられた。
    • 3年OS率はS-1投与群で80.1%、手術単独群で70.1%であった。手術単独群と比較したS-1投与群のHR死亡は0.68(95%CI、0.52-0.87;P = 0.003)であった。 [11] [証拠レベル:1iiA]

  2. アジアの研究者らにより、胃がん切除後の補助療法としてのカペシタビン/オキサリプラチンの役割が評価された。CLASSIC(NCT00411229)試験では、韓国、中国、および台湾の37施設でIIA期、IIB期、IIIA期、またはIIIB期胃がんに対して根治目的のD2胃切除術を受けた患者1,035人が、補助化学療法(3週間のカペシタビン + オキサリプラチンを8サイクル)または手術後の追跡のみにランダムに割り付けられた。 [12]
    • 3年無病生存率は化学療法群で74%、手術単独群で59%であった(HR、0.56;95%CI、0.44-0.72;P < 0.0001)。

    • 3年OS率は化学療法群で83%、手術単独群で78%(HR、0.72;95%CI、0.52-1.00;P = 0.0493)であった。 [12] [証拠レベル:1iiA]

    • 今後の追跡が期待される。

II期およびIII期の胃がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

II期およびIII期の胃がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. SWOG-S0425試験およびRTOG-9904試験で証明されているように、術前化学放射線療法。 [13]
  2. 周術期化学療法レジメン。

II期およびIII期の胃がんであると新たに診断された患者はすべて、臨床試験の候補者として検討すべきである。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
  1. Brennan MF, Karpeh MS Jr: Surgery for gastric cancer: the American view. Semin Oncol 23 (3): 352-9, 1996.[PUBMED Abstract]

  2. Cunningham D, Allum WH, Stenning SP, et al.: Perioperative chemotherapy versus surgery alone for resectable gastroesophageal cancer. N Engl J Med 355 (1): 11-20, 2006.[PUBMED Abstract]

  3. Smalley SR, Benedetti JK, Haller DG, et al.: Updated analysis of SWOG-directed intergroup study 0116: a phase III trial of adjuvant radiochemotherapy versus observation after curative gastric cancer resection. J Clin Oncol 30 (19): 2327-33, 2012.[PUBMED Abstract]

  4. Kitamura K, Yamaguchi T, Sawai K, et al.: Chronologic changes in the clinicopathologic findings and survival of gastric cancer patients. J Clin Oncol 15 (12): 3471-80, 1997.[PUBMED Abstract]

  5. Bonenkamp JJ, Songun I, Hermans J, et al.: Randomised comparison of morbidity after D1 and D2 dissection for gastric cancer in 996 Dutch patients. Lancet 345 (8952): 745-8, 1995.[PUBMED Abstract]

  6. Cuschieri A, Fayers P, Fielding J, et al.: Postoperative morbidity and mortality after D1 and D2 resections for gastric cancer: preliminary results of the MRC randomised controlled surgical trial.The Surgical Cooperative Group. Lancet 347 (9007): 995-9, 1996.[PUBMED Abstract]

  7. Al-Batran S-E, Homann N, Schmalenberg H, et al.: Perioperative chemotherapy with docetaxel, oxaliplatin, and fluorouracil/leucovorin versus epirubicin, cisplatin, and fluorouracil or capecitabine for resectable gastric or gastroesophageal junction adenocarcinoma (FLOT4-AIO): a multicenter, randomized phase 3 trial. [Abstract] J Clin Oncol 35: (Suppl 15): A-4004, 2017.[PUBMED Abstract]

  8. Kelsen DP: Postoperative adjuvant chemoradiation therapy for patients with resected gastric cancer: intergroup 116. J Clin Oncol 18 (21 Suppl): 32S-4S, 2000.[PUBMED Abstract]

  9. Fuchs CS, Niedzwiecki D, Mamon HJ, et al.: Adjuvant Chemoradiotherapy With Epirubicin, Cisplatin, and Fluorouracil Compared With Adjuvant Chemoradiotherapy With Fluorouracil and Leucovorin After Curative Resection of Gastric Cancer: Results From CALGB 80101 (Alliance). J Clin Oncol 35 (32): 3671-3677, 2017.[PUBMED Abstract]

  10. Cats A, Jansen EPM, van Grieken NCT, et al.: Chemotherapy versus chemoradiotherapy after surgery and preoperative chemotherapy for resectable gastric cancer (CRITICS): an international, open-label, randomised phase 3 trial. Lancet Oncol 19 (5): 616-628, 2018.[PUBMED Abstract]

  11. Sakuramoto S, Sasako M, Yamaguchi T, et al.: Adjuvant chemotherapy for gastric cancer with S-1, an oral fluoropyrimidine. N Engl J Med 357 (18): 1810-20, 2007.[PUBMED Abstract]

  12. Bang YJ, Kim YW, Yang HK, et al.: Adjuvant capecitabine and oxaliplatin for gastric cancer after D2 gastrectomy (CLASSIC): a phase 3 open-label, randomised controlled trial. Lancet 379 (9813): 315-21, 2012.[PUBMED Abstract]

  13. Ajani JA, Winter K, Okawara GS, et al.: Phase II trial of preoperative chemoradiation in patients with localized gastric adenocarcinoma (RTOG 9904): quality of combined modality therapy and pathologic response. J Clin Oncol 24 (24): 3953-8, 2006.[PUBMED Abstract]

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IV期、手術不能、および再発胃がん

IV期、手術不能、および再発胃がんに対する標準治療法の選択肢

IV期、手術不能、および再発胃がん(内科的または外科的に切除不能な患者を含む)に対する標準治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 第一選択の症状緩和目的の全身療法で以下を行う:
    1. 症状緩和目的の化学療法
    2. 腫瘍がHER2陽性(免疫組織化学法[IHC]で3+、または蛍光in situハイブリダイゼーション[FISH]陽性)の患者では、トラスツズマブと化学療法の併用。
  2. 第二選択の症状緩和目的の全身療法
  3. 免疫療法
    1. ミスマッチ修復欠損(dMMR)またはマイクロサテライト不安定性-高(MSI-H)腫瘍を有する患者に対する第二選択治療
    2. プログラム細胞死リガンド1(PD-L1)陽性腫瘍を有する患者に対する第三選択治療
  4. 胃閉塞患者には、内視鏡的レーザー療法、内視鏡的ステント留置術、または胃空腸吻合術が有用であろう。 [12]
  5. 症状緩和目的の放射線療法によって出血、疼痛および閉塞が軽減しうる。
  6. 出血の持続または閉塞が認められる患者のために、症状緩和目的の切除がなされる。

第一選択の症状緩和目的の全身療法

症状緩和目的の化学療法

転移性胃がんの患者に対して標準化学療法 vs 最良の支持療法が数件の臨床試験で検証されており、化学療法を受けている患者の方が支持療法を受けている患者よりも平均して数ヵ月長く生存することが一般に一致している。 [13] [14] [15] [証拠レベル:1iiA]最近20年間で、さまざまな治療レジメン(単独療法 vs 多剤併用化学療法)を評価した複数のランダム化研究が転移性胃がんの患者で実施されているが、最良の管理アプローチに関する明確なコンセンサスは得られていない。これらの研究を対象としたメタアナリシスによると、全生存(OS)のハザード比(HR)は0.83(95%信頼区間[CI]、0.74-0.93)で、併用化学療法が優れていた。 [16]

証拠(症状緩和目的の化学療法):

  1. 全併用レジメン中、ECFは米国およびヨーロッパでしばしば参照基準(reference standard)と考えられている。ヨーロッパの1件の試験では、転移性食道胃がん患者274人がECFまたは5-FU、ドキソルビシン、およびメトトレキサート(FAMTX)のいずれかを受ける群にランダムに割り付けられた。 [17]
    • ECF投与群では、FAMTX投与群よりも有意に長い生存期間中央値が得られた(8.9 vs 5.7ヵ月、P = 0.0009)。 [17] [証拠レベル:1iiA]

  2. ECFとマイトマイシンシスプラチン、5-FU(MCF)を比較した2つ目の試験では、生存期間中央値に関して統計的有意差は認められなかった(9.4 vs 8.7ヵ月、P = 0.315)。 [5] [証拠レベル:1iiA]
  3. オキサリプラチンカペシタビンは、REAL-2試験(ISRCTN51678883)の結果によって、ECFレジメンの中のシスプラチンと5-FUの代わりにしばしば用いられる。 [6] このランダム化試験では、食道がん、胃食道接合部がん、および胃がんが進行した患者1,002人を対象に、2 X 2デザインを利用し、OS期間中央値の非劣性が、5-FUに代えてカペシタビンによる治療を受けた患者(HR死亡 = 0.86;95%CI、0.82-0.99)、およびシスプラチンに代えてオキサリプラチンによる治療を受けた患者(HR死亡 = 0.92;95%CI、0.80-1.10)において実証された。
  4. ある国際共同研究では、転移性胃がん患者445人がドセタキセルシスプラチン、5-FU(DCF)またはCFを受ける群にランダムに割り付けられた。 [18] 主要エンドポイントは無増悪期間(TTP)とされた。
    • DCF投与群患者の方がTTPが有意に長かった(5.6ヵ月;95%CI、4.9-5.9; vs 3.7ヵ月;95%CI、3.4-4.5;HR、1.47;95%CI、1.19-1.82;ログランクP < 0.001;32%のリスク低下)。

    • DCF投与群患者の方がCF投与群患者よりもOS期間中央値が有意に長かった(9.2ヵ月;95%CI、8.4-10.6; vs 8.6ヵ月;95%CI、7.2-9.5;HR、1.29;95%CI、1.0-1.6;ログランクP = 0.02;リスク低下 = 23%)。 [18] [証拠レベル:1iiA]

    • 毒性作用の発現率は両群とも高かった。 [19]

    • 発熱性好中球減少はDCF投与群患者で、より一般的にみられ(29% vs 12%)、研究中の死亡率はDCF投与群患者で10.4%、CF投与群患者で9.4%であった。

  5. CFレジメンを、転移性胃がん患者の治療に対する指標レジメン(index regimen)と考えるべきかどうかは議論が分かれている。 [19] 転移性胃がん患者245人をCF、FAMTX、またはELFを受ける群にランダムに割り付けた研究の結果は、治療群間で奏効率、無増悪生存、またはOSにおける有意差を示さなかった。 [7]
    • すべての治療群の35~43%の患者がグレード3および4の好中球減少を発症したが、重度の吐き気と嘔吐はCF投与群の患者でより一般的にみられ、これらの患者の26%に発現した。 [7] [証拠レベル:1iiDiv]

イリノテカンまたはオキサリプラチンをベースにしたレジメンを評価した数件の第II相研究は、ECFまたはCFで得られるものとほぼ同じ奏効率およびTTPが示されているが、前者の方が毒性は低いようである。 [20] [21] [22] [23] [24] [25] あるレジメンの別のレジメンに対する相対効果についてはデータが矛盾している。現在実施中の研究では、こうした比較的新しいレジメンが評価されている。

トラスツズマブ

トラスツズマブは、HER2陽性転移性胃腺がんの治療において第一選択化学療法薬と併用できる。転移がん患者には、HER2検査が推奨される。

証拠(トラスツズマブ):

  1. オープンラベルの国際第III相Trastuzumab for Gastric Cancer試験(ToGA[NCT01041404])では、HER2陽性の転移性で手術不能な局所進行性または再発性の胃がんまたは胃食道接合部がんの患者が、化学療法単独または抗HER2モノクローナル抗体のトラスツズマブとの併用化学療法にランダムに割り付けられた。 [26] HER2陽性は、IHCによる染色で3+、またはFISHを用いてHER2/CEP17比が2以上のいずれかで定義された。3,665人の患者から腫瘍を採取して、HER2の検査を実施し;そのうち、810人(22%)が陽性で、594人がランダム化の適格基準を満たした。化学療法の構成は、シスプラチンに加えて、研究者の裁量で選択された5-FUまたはカペシタビンであった。この研究治療は、3週間ごとに6サイクル実施され、病勢増悪、許容できない毒性、または同意の撤回がない限り、トラスツズマブは3週間ごとに継続された。病勢増悪時のトラスツズマブへのクロスオーバーは許可されなかった。
    • OS期間中央値は、トラスツズマブ群に割り付けられた患者で13.8ヵ月(95%CI、12-16)、化学療法単独群に割り付けられた患者で11.1ヵ月(95%CI、10-13)であった(HR、0.74;95%CI、0.60-0.91;P = 0.0046)。 [26] [証拠レベル:1iiA]

    • いずれの有害事象の発生率にも有意差は認められず、心毒性は両群とも同様にまれであった。

第二選択の症状緩和目的の全身療法

症状緩和目的の化学療法

第一選択の症状緩和目的の化学療法後に患者の疾患が増悪した場合、標準治療法の選択肢はない。受け入れられているレジメンには、5-FU/ロイコボリンを併用するまたは併用しないイリノテカンドセタキセル、およびラムシルマブを併用するまたは併用しないパクリタキセルがある。(詳しい情報については、本要約のラムシルマブのセクションを参照のこと。)

証拠(症状緩和目的の化学療法):

  1. 韓国の研究者らにより、進行性胃がんでフルオロピリミジンおよびプラチナ製剤の両方を含む化学療法レジメンを以前に1回または2回受けた患者が救助化学療法または最適な支持療法のいずれかに2:1の割合でランダムに割り付けられた。 [27] 救助化学療法はドセタキセル(3週間ごとに60mg/m2)またはイリノテカン(2週間ごとに150mg/m2)のいずれかで構成され、選択は主治医の裁量に委ねられた。登録した202人の患者のうち、133人が救助化学療法を受け、69人が最適な支持療法を受けた。
    • OS期間中央値は救助化学療法を受けた群が5.3ヵ月、最適な支持療法を受けた群が3.8ヵ月であった(HR、0.657;P = 0.007)。

    • ドセタキセルおよびイリノテカン間でOS期間中央値に差は認められなかった(5.2ヵ月 vs 6.5ヵ月、P = 0.116)。 [27] [証拠レベル:1iiA]

ラムシルマブ

ラムシルマブは血管内皮増殖因子受容体-2に対する完全ヒト化モノクローナル抗体である。

証拠(ラムシルマブ):

  1. 国際第III相プラセボ対照REGARD試験(NCT00917384)では、IV期胃がんまたは胃食道接合部がんで、第一選択の5-FUまたはプラチナ製剤を含むレジメンで進行した355人の患者が2:1の割合でラムシルマブまたはプラセボを受ける群にランダムに割り付けられた。 [28]
    • ラムシルマブに割り付けられた患者ではOS期間中央値が5.2ヵ月であり、OS期間中央値が3.8ヵ月であったプラセボ群に割り付けられた患者と比較して有意に良好であった(HR、0.776;P = 0.047)。

    • ラムシルマブ群では高血圧の割合がプラセボ群よりも高かった。 [28] [証拠レベル:1iiA]


    ラムシルマブは、シスプラチンまたは5-FUに抵抗性のIV期胃がんにおいて受け入れられる治療である。

  2. 国際二重盲検第III相RAINBOW試験(NCT01170663)では、665人の患者が28日ごとの1日目、8日目、および15日目にパクリタキセル(80mg/m2)と1日目と15日目にラムシルマブ(8mg/kg)を追加するか、または1日目と15日目にプラセボを追加するかのいずれかにランダムに割り付けられた。 [29]
    • ラムシルマブに割り付けられた患者ではOS期間中央値が9.6ヵ月であり、OS期間中央値が7.4ヵ月であったプラセボ群に割り付けられた患者と比較して有意に良好であった(HR、0.807;P = 0.017)。

    • ラムシルマブ群ではグレード3以上の好中球減少、疲労、高血圧、および腹痛がより一般的に認められた。 [29] [証拠レベル:1iA]


    パクリタキセルとラムシルマブの併用は、IV期胃がんまたは胃食道接合部がん患者において受け入れられる第二選択の化学療法レジメンである。

免疫療法

チェックポイント阻害剤、特にプログラム細胞死1(PD-1)阻害剤は、胃がんおよび胃食道接合部がんの管理において盛んに研究されている。転移性胃腺がん患者には、PD-L1複合陽性スコア(米国におけるCPSスコア)とともにdMMRに対する検査(IHC染色)またはMSIのポリメラーゼ連鎖反応検査が推奨される。

dMMRまたはMSI-H腫瘍を有する患者に対する第二選択治療

証拠(dMMRまたはMSI-H腫瘍を有する患者に対する第二選択治療):

  1. dMMRを伴うまたは伴わない結腸がん、およびdMMRを伴う大腸がん以外のがん患者におけるペムブロリズマブの第II相研究において、免疫関連の客観的奏効率は71%(患者7人中5人)であった。これらのデータに基づいて、ペムブロリズマブは、以前の治療後に進行し、満足できる代替治療選択肢がないdMMR固形腫瘍患者に対して承認されている。

PD-L1陽性腫瘍を有する患者に対する第三選択治療

ペムブロリズマブ

証拠(ペムブロリズマブ):

  1. 第II相KEYNOTE-059試験(NCT02335411)において、少なくとも以前に2つの化学療法レジメン中に進行した再発または転移性の胃/胃食道接合部腺がん患者259人がペムブロリズマブ(3週間ごとに200mg)で治療された。 [30] これらの患者のうち、57.1%がPD-L1陽性腫瘍(PD-L1 IHC 22C3 pharmDx Kit [Dako]により、複合陽性スコア >= 1で評価された)を有した。
    • すべての腫瘍に対する客観的全奏効率は11.6%で、完全奏効(CR)率は2.3%であった。PD-L1陽性腫瘍について、客観的奏効率は15.5%で、CRは2.0%であった。[証拠レベル:2Div]

これらのデータに基づき、米国食品医薬品局は、PD-L1陽性腫瘍に対するペムブロリズマブに対して迅速承認を与えた。

ニボルマブ

証拠(ニボルマブ):

  1. ランダム化二重盲検プラセボ対照第III相試験(ONO-4538-12[ATTRACTION-2][NCT02267343])では、日本、韓国、および台湾の抵抗性胃食道接合部がん/胃がん患者493人が登録した。 [31] 患者は2:1の割合でニボルマブ(2週間ごとに3mg/kg)投与またはプラセボ投与にランダムに割り付けられた。
    • ニボルマブ群におけるOS期間中央値は5.26ヵ月(95%CI、4.60-6.37)であったのに対し、プラセボ群では4.14ヵ月(95%CI、3.42-4.86)であった。

    • 10%の患者に重篤な治療関連の有害事象が発生した。[証拠レベル:1iA]

これらのデータに基づき、日本の厚生労働省は、以前に受けていた化学療法中に進行した進行性胃がんの治療としてニボルマブを承認した。

IV期、手術不能、および再発胃がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢

IV期、手術不能、および再発胃がんに対して臨床評価段階にある治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. FLOT(ドセタキセルオキサリプラチン、5-FU/ロイコボリン)による症状緩和目的の化学療法。
  2. レゴラフェニブ。
  3. 腫瘍減量手術および温熱腹腔内化学療法(HIPEC)。

ポリ(ADPリボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害剤および肝細胞増殖因子阻害剤による治療は、現在までのところ効力を示していない。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


参考文献
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  3. Ohtsu A, Shimada Y, Shirao K, et al.: Randomized phase III trial of fluorouracil alone versus fluorouracil plus cisplatin versus uracil and tegafur plus mitomycin in patients with unresectable, advanced gastric cancer: The Japan Clinical Oncology Group Study (JCOG9205). J Clin Oncol 21 (1): 54-9, 2003.[PUBMED Abstract]

  4. Waters JS, Norman A, Cunningham D, et al.: Long-term survival after epirubicin, cisplatin and fluorouracil for gastric cancer: results of a randomized trial. Br J Cancer 80 (1-2): 269-72, 1999.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(05/02/2019)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

胃がんに関する一般情報

胃がんの危険因子の一覧に本文が追加され、エプスタイン-バーウイルスおよび家族性症候群が含められた。

治療法選択肢の概要

本セクションは広範囲にわたって改訂された。

0期の胃がん

本セクションは広範囲にわたって改訂された。

I期の胃がん

参考文献2としてSmalley et al.が追加された。

新規のサブセクションとして内視鏡的粘膜切除術が追加された。

本文で以下の記述が改訂された;10年以上の追跡の結果、生存期間中央値は補助化学放射線療法群で35ヵ月で、手術単独群では27ヵ月であった。以下が追加された;無再燃生存期間中央値は、化学放射線療法群が27ヵ月であったのに対し、手術単独群は19ヵ月であった;改善は主に局所領域再発リスクで示された。

II期およびIII期の胃がん

本セクションは広範囲にわたって改訂された;本セクションはII期の胃がんから改名された。

IV期、手術不能、および再発胃がん

本セクションは広範囲にわたって改訂された;本セクションはIV期および再発胃がんから改名された。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、胃がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

胃がんの治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Gastric Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/stomach/hp/stomach-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389209]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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