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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

皮膚がんの治療(PDQョ)

  • 原文更新日 : 2018-04-26
    翻訳更新日 : 2018-07-06


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、皮膚がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

皮膚がんに関する一般情報

皮膚がんには主に3つのタイプがある:


  • 基底細胞がん(BCC)。

  • 扁平上皮がん(SCC)。

  • 黒色腫。

BCCおよびSCCは最も多くみられる皮膚がんの型であり、非黒色腫皮膚がんと総称される。本要約は、皮膚のBCCおよびSCCに加え、関連する非浸潤性病変の光線角化症の治療を対象としている。黒色腫の治療に関する情報については、黒色腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。

発生率および死亡率

非黒色腫皮膚がんは、米国で最も多くみられるがんである。BCCは、より多くみられる種類の非黒色腫で、非黒色腫皮膚がんの約4分の3を占めている。 [1] 非黒色腫皮膚がんの発生率は米国の一部の地域で増加がみられるが [2] 、すべての地域で増加しているわけではない [3] 。米国全体での発生率は数年間にわたって増加していると考えられる。 [4] この増加のうち、少なくともある程度は、皮膚がんについての意識が高まり、それに伴って皮膚病変の検査および生検が多く実施されるようになったことに起因している可能性がある。

非黒色腫皮膚がんの総数および発生率は、がん登録への報告が義務付けられていないため、正確に推定することはできない。しかし、メディケアの出来高払い(fee-for-service)データを米国人口に対して外挿した結果に基づくと、2012年に非黒色腫皮膚がんの治療を受けた人の総数は約300万人と推定されている。 [5] [6] この数は、米国がん協会により推定された同年の他のがん症例総数である約160万人を上回っている。 [7] 非黒色腫皮膚がんは、すべての悪性疾患のうち最も多くみられるが、がんによる死亡患者に占める割合は0.1%未満である。

解剖学

表皮(扁平上皮細胞および基底細胞層を含む)、真皮、皮下組織、およびその他の皮膚部分を示す皮膚の解剖図。

危険因子

非黒色腫皮膚がんの危険因子には以下のものがある:


  • 日光および紫外線照射への曝露(日焼けマシーンを含む)。

    疫学的証拠により、紫外線照射への累積曝露および紫外線照射に対する個人の皮膚の感受性が皮膚がんの危険因子となることが示唆されているが、曝露のタイプ(すなわち、強力な短期間曝露 vs 慢性曝露)および曝露のパターン(すなわち、継続的パターン vs 間欠的パターン)については、主な3つの皮膚がんの間で差がある可能性がある。 [8] [9] [10] 皮膚がんは北半球の南緯度地方により多くみられる。

  • サンバーンの既往。

    サンバーンの経験がある人にはSCCを発症する素因がある。

  • 色白の肌および眼の色。

    色白の肌(そばかすができやすく、日焼けしやすい色白の皮膚)、薄い色の目(青、緑、または他の薄い色の目)、および薄い色の髪(赤毛または金髪)の人が相当な日光曝露を受けた場合は、非黒色腫皮膚がんを発症するリスクが高い。

  • BCC、SCC、光線角化症、家族性異形成母斑症候群、または非定型母斑の家族歴または個人歴。


  • 慢性皮膚炎症。

    長期皮膚潰瘍に見られるような慢性皮膚炎症のある人にはSCCを発症する素因がある。

  • 免疫抑制。

    臓器移植を受け、免疫抑制剤を投与されている人および免疫抑制性疾患の人では、皮膚がんを発症するリスクが高く、特にSCCが多い。 [1]

  • 他の環境曝露。

    ヒ素曝露および治療用放射線も皮膚SCCのリスクを高める。 [1]

皮膚がんの種類

この証拠に基づく要約では、皮膚の基底細胞がん(BCC)および扁平上皮がん(SCC)、さらに関連する非浸潤性病変の光線角化症(一部の病理医は上皮内SCCの一種とみなしている)を対象とする。 [1] BCCおよびSCCはともに上皮由来である。BCCおよびSCCは発生頻度のきわめて高い非黒色腫皮膚がんであるが、多様な臨床像を有する約82種の皮膚悪性病変が非黒色腫皮膚がんに分類される。 [11]

他の皮膚の悪性疾患には以下の種類がある。


  • 黒色腫。(詳しい情報については、黒色腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

  • メルケル細胞がん。(詳しい情報については、メルケル細胞がんの治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

  • 皮膚T細胞性リンパ腫(例えば、菌状息肉症)。(詳しい情報については、菌状息肉腫[セザリー症候群を含む]の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

  • カポジ肉腫。(詳しい情報については、カポジ肉腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

  • 乳房外パジェット病。

  • アポクリン腺がん。

  • さまざまな原発巣からの転移性腫瘍。

基底細胞がん

免疫不全状態で ない患者においては、BCCの発生率は、少なくともSCCの3倍である。通常、日光曝露を受ける皮膚の部位に発生し、鼻が最も多くみられる部位である。BCCの臨床所見は多岐にわたるが、最も特徴的なタイプは、無症候性結節または結節性潰瘍であり、周囲の皮膚から隆起し、真珠様の光沢があり、毛細血管拡張を伴う。

BCCは表皮の基底細胞層に由来する非角化性の細胞で構成される。この種の腫瘍は増殖が緩徐で、転移はまれである。BCCは、治療せずに放置した場合、または局所再発が完全には切除できない場合、局所的に破壊性である傾向があり、深刻な変形性の損傷をもたらす可能性がある。初回治療後の腫瘍再発の高リスク部位としては、顔面の正中部(例えば、眼窩周囲、眼瞼、鼻唇溝、鼻側頬部)、耳後部、耳介、外耳道、前頭部、頭皮が挙げられる。 [12]

BCCの特異的サブタイプの1つが、モルフェア(斑状強皮症)型である。このサブタイプは、典型的には瘢痕のような硬化病変として現れる。臨床的に腫瘍辺縁部が不明瞭なため、モルフェア型に従来の方法で十分な治療を施すのは困難である。 [13]

BCCでは、しばしばpatched 1腫瘍抑制遺伝子(PTCH1)の特徴的な変異がみられるが、発がんの機序は明らかになっていない。 [1]

扁平上皮がん

長期にわたる日光障害、サンバーンの既往、砒素曝露、(長期皮膚潰瘍に見られるような)慢性皮膚炎症、および放射線療法の治療歴のある人にはSCCを発症する素因がある。SCCは、耳、下口唇、および手背などの日光露出部の皮膚に発生する傾向がある。皮膚の日光露出部での光線角化症から発生したSCCは転移する可能性が低く、de novoで発生、つまり非露光部の皮膚に発生するものより予後が良好である。 [13]

SCCは角化性の細胞で構成される。この種の腫瘍はBCCよりも侵攻性が強く、増殖能、浸潤能、および転移能は多様である。予後は分化度に関連し、腫瘍悪性度は病期分類の一部として報告される。 [11] 4段階の分類(G1-G4)が一般的であるが、2段階や3段階の分類が使用されることもある。

複数回のBCCの既往歴を有する患者から切除されたSCCで、PTCH1腫瘍抑制遺伝子の変異が報告されている。 [14]

上皮内SCC(ボーエン病)は非浸潤性病変である。上皮内(in situ)SCCを病理学的に良性の炎症過程と区別することは難しい場合がある。 [1] 浸潤性SCCに転化するリスクは低く、3~4%と報告されている。 [15]

光線角化症

光線角化症はSCCの前がん状態である可能性があるが、進行する確率は非常に低く、大多数はSCCにならない。典型的にこれらは紅色の鱗状斑であり、通常、長期にわたり日光曝露を受けた部位に発生し、顔面および手背によく見られる。

診断評価および病期分類評価

BCCおよびSCCは通常、薄片生検、パンチ生検、切開生検、または切除生検で採取された組織に対するルーチンの組織病理学的検査に基づいて診断される。 [1]

適切であれば、皮膚のBCCおよびSCCの診断ならびに病期分類に他の検査および処置が採用されることがあり、以下のものがある:


  • 皮膚検査および既往歴を含む身体診察。

  • 胸部X線検査。

  • 頭頸部または胸部のコンピュータ断層撮影法(CT)検査またはポジトロン放射断層撮影(PET)-CT検査。

  • 所属リンパ節の超音波検査。

  • リンパ節生検。

眼瞼がんの診断および病期分類には、眼科の診察または検査が実施される。

関連する要約

非黒色腫皮膚がんに関する情報を含む他のPDQ要約には以下のものがある:



参考文献
  1. Reszko A, Aasi SZ, Wilson LD, et al.: Cancer of the skin. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1610-33.[PUBMED Abstract]

  2. Athas WF, Hunt WC, Key CR: Changes in nonmelanoma skin cancer incidence between 1977-1978 and 1998-1999 in Northcentral New Mexico. Cancer Epidemiol Biomarkers Prev 12 (10): 1105-8, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Harris RB, Griffith K, Moon TE: Trends in the incidence of nonmelanoma skin cancers in southeastern Arizona, 1985-1996. J Am Acad Dermatol 45 (4): 528-36, 2001.[PUBMED Abstract]

  4. Rogers HW, Weinstock MA, Harris AR, et al.: Incidence estimate of nonmelanoma skin cancer in the United States, 2006. Arch Dermatol 146 (3): 283-7, 2010.[PUBMED Abstract]

  5. Rogers HW, Weinstock MA, Feldman SR, et al.: Incidence Estimate of Nonmelanoma Skin Cancer (Keratinocyte Carcinomas) in the U.S. Population, 2012. JAMA Dermatol 151 (10): 1081-6, 2015.[PUBMED Abstract]

  6. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2016. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2016. Available online. Last accessed February 9, 2018.[PUBMED Abstract]

  7. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2012. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2012. Available online. Last accessed April 6, 2018.[PUBMED Abstract]

  8. Koh HK: Cutaneous melanoma. N Engl J Med 325 (3): 171-82, 1991.[PUBMED Abstract]

  9. Preston DS, Stern RS: Nonmelanoma cancers of the skin. N Engl J Med 327 (23): 1649-62, 1992.[PUBMED Abstract]

  10. English DR, Armstrong BK, Kricker A, et al.: Case-control study of sun exposure and squamous cell carcinoma of the skin. Int J Cancer 77 (3): 347-53, 1998.[PUBMED Abstract]

  11. Cutaneous carcinoma of the head and neck. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 171–81.[PUBMED Abstract]

  12. Dubin N, Kopf AW: Multivariate risk score for recurrence of cutaneous basal cell carcinomas. Arch Dermatol 119 (5): 373-7, 1983.[PUBMED Abstract]

  13. Wagner RF, Casciato DA: Skin cancers. In: Casciato DA, Lowitz BB, eds.: Manual of Clinical Oncology. 4th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott, Williams, and Wilkins, 2000, pp 336-373.[PUBMED Abstract]

  14. Ping XL, Ratner D, Zhang H, et al.: PTCH mutations in squamous cell carcinoma of the skin. J Invest Dermatol 116 (4): 614-6, 2001.[PUBMED Abstract]

  15. Kao GF: Carcinoma arising in Bowen's disease. Arch Dermatol 122 (10): 1124-6, 1986.[PUBMED Abstract]

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皮膚がんの病期情報

米国がん合同委員会(AJCC)のAJCC Cancer Staging Manual第8版には、眼瞼のがんと頭頸部の皮膚がんに対して、それぞれ別個の病期分類システムがある。皮膚がんの病期分類システムは、皮膚扁平上皮がん(SCC)および皮膚基底細胞がん(BCC)を対象としている。 [1] [2] 眼瞼のがんに対する病期分類システムは、すべての組織型のがんを対象としている。

SCCのすべての症例で所属リンパ節をルーチンで検査すべきであり、特に以下について検査する:


  • 口唇、耳、肛門周囲、および陰部周囲の領域にみられる高リスク腫瘍。

  • 手の高リスク部位。

  • 慢性潰瘍や炎症または熱傷瘢痕の部位。

  • 過去に放射線療法を受けた部位。

BCCが転移するのはまれであるため、通常、転移検査は必要ない。

再発および転移で予後不良に相関する因子がいくつかある。これらの因子は、主にSCCおよび非黒色腫皮膚がんの侵攻性サブセットの患者に適用されるが、まれにBCC患者にも適用され、以下のものがある: [1]


  • 節外への進展。

  • 腫瘍径。

  • 腫瘍深度。

  • 解剖学的部位。

  • 神経周囲浸潤。

  • 組織病理学的悪性度または分化および線維形成。

  • 骨組織への進展。

  • リンパ節病変。

  • 免疫抑制および進行疾患。

  • 全般的健康状態。

  • 共存症。

  • 生活様式因子。

  • 喫煙状況。

比較的小型の腫瘍であっても、免疫抑制状態にある患者に発生したSCCは、免疫機能が正常な患者のSCCに比べ、より侵攻性の挙動を示す傾向がある。免疫抑制は、AJCC病期分類システムの正式な部分ではないが、SCCのプロスペクティブ研究を実施する施設では、免疫抑制の有無と種類を記録することが推奨される。

頭頸部(眼瞼の皮膚を除く)の皮膚がんの病期分類

AJCCでは、眼瞼の皮膚を除く頭頸部の皮膚がんに対して、TNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類による病期分類を指定している。 [1]

表1.頭頸部の皮膚がんに対する原発腫瘍(T)の定義a

T分類 T基準
aAJCCから許諾を得て転載:Cutaneous carcinoma of the head and neck.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.171–81.
b深部浸潤は、皮下脂肪を超える浸潤または6mm(隣接する正常な表皮の顆粒層から腫瘍の基底までを測定)を超える浸潤として定義される;T3分類の神経周囲への浸潤は、真皮より深部を通る神経または内径で0.1mm以上の神経鞘内にある腫瘍細胞、あるいは頭蓋底への浸潤または超越(transgression)を伴わない命名神経(named nerve)への臨床的または放射線画像的浸潤を示す腫瘍細胞として定義される。
TX 原発腫瘍が特定不可能。
Tis 上皮内がん。
T1 最大径が2cm以下の腫瘍。
T2 最大径が2cmを超えるが4cm以下の腫瘍。
T3 最大径が4cmを超えるか、軽度の骨侵食、神経周囲浸潤、または深部浸潤。b
T4 肉眼的皮質骨/骨髄浸潤、頭蓋底浸潤、および/または頭蓋底孔浸潤を伴う腫瘍。
–T4a 肉眼的皮質骨/骨髄浸潤を伴う腫瘍。
–T4b 頭蓋底浸潤、および/または頭蓋底孔浸潤を伴う腫瘍。


表2.頭頸部の皮膚がんに対する病理学的所属リンパ節(pN)の定義a ,b

N分類 N基準
ENE = 節外進展。
aAJCCから許諾を得て転載:Cutaneous carcinoma of the head and neck.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.171–81.
b「U」または「L」の指定は、すべてのN分類に使用されることがあり、輪状軟骨下縁上方の転移(U)または輪状軟骨下縁下方の転移(L)を指す。同様に、臨床的および病理学的ENEは、ENE陰性またはENE陽性として記録すべきである。
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cm以下かつENE陰性。
N2 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cm以下かつENE陽性;または最大径が3cmを超えるが6cm以下かつENE陰性;または同側リンパ節の多発性転移で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性;または両側もしくは対側リンパ節転移(単発もしくは多発性)で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性。
–N2a 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cm以下かつENE陽性;または最大径が3cmを超えるが6cm以下かつENE陰性。
–N2b 同側リンパ節の多発性転移で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性。
–N2c 両側または対側リンパ節転移(単発または多発性)で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性。
N3 1つのリンパ節転移で、最大径が6cmを超え、かつENE陰性;または同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cmを超え、かつENE陽性;または同側、対側、もしくは両側リンパ節の多発性転移で、最大径を問わずENE陽性;または対側リンパ節の単発性転移で、最大径を問わずENE陽性。
–N3a 1つのリンパ節転移で、最大径が6cmを超え、かつENE陰性。
–N3b 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cmを超え、かつENE陽性;または同側、対側、もしくは両側リンパ節の多発性転移で、最大径を問わずENE陽性;または対側リンパ節の単発性転移で、最大径を問わずENE陽性。


表3.頭頸部の皮膚がんに対する臨床的所属リンパ節(cN)の定義a ,b

N分類 N基準
ENE = 節外進展。
aAJCCから許諾を得て転載:Cutaneous carcinoma of the head and neck.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.171–81.
b「U」または「L」の指定は、すべてのN分類に使用されることがあり、輪状軟骨下縁上方の転移(U)または輪状軟骨下縁下方の転移(L)を指す。同様に、臨床的および病理学的ENEは、ENE陰性またはENE陽性として記録すべきである。
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cm以下かつENE陰性。
N2 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cmを超えるが6cm以下かつENE陰性;または同側リンパ節の多発性転移で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性;または両側もしくは対側リンパ節への転移で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性。
–N2a 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cmを超えるが6cm以下かつENE陰性。
–N2b 同側リンパ節の多発性転移で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性。
–N2c 両側または対側リンパ節への転移で、最大径が6cmを超えるものがなく、かつENE陰性。
N3 1つのリンパ節転移で、最大径が6cmを超え、かつENE陰性;または数を問わないリンパ節転移で、臨床的に明らかなENE(ENE陽性)。
–N3a 1つのリンパ節転移で、最大径が6cmを超え、かつENE陰性。
–N3b 数を問わないリンパ節転移で、ENE陽性。


表4.頭頸部の皮膚がんに対する転移(M)の定義a

M分類 M基準
aAJCCから許諾を得て転載:Cutaneous carcinoma of the head and neck.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.171–81.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


表5.頭頸部の皮膚がんに対するAJCC予後病期分類a

病期 T N M
M = 遠隔転移;N = 所属リンパ節;T = 原発腫瘍。
aAJCCから許諾を得て転載:Cutaneous carcinoma of the head and neck.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.171–81.
0 Tis N0 M0
I T1 N0 M0
II T2 N0 M0
III T1 N1 M0
T2 N1 M0
T3 N0 M0
T3 N1 M0
IV T1 N2 M0
T2 N2 M0
T3 N2 M0
T4 すべてのN M0
すべてのT N3 M0
すべてのT すべてのN M1


眼瞼のがんの病期分類

AJCCはTNM分類による病期決定を指定している。 [3] TNM分類は、黒色腫を除くすべての細胞型の眼瞼がんの病期分類に用いられている。

表6.眼瞼がんに対する原発腫瘍(T)の定義a

T分類 T基準
aAJCCから許諾を得て転載:Eyelid carcinoma.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.779–85.
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
Tis 上皮内がん。
T1 最大径が10 mm以下の腫瘍。
–T1a 瞼板または眼瞼縁への腫瘍の浸潤なし。
–T1b 瞼板または眼瞼縁への腫瘍の浸潤なし。
–T1c 眼瞼の全層への腫瘍の浸潤あり。
T2 腫瘍最大径が10mmを超えるが20mm以下。
–T2a 瞼板または眼瞼縁への腫瘍の浸潤なし。
–T2b 瞼板または眼瞼縁への腫瘍の浸潤なし。
–T2c 眼瞼の全層への腫瘍の浸潤あり。
T3 腫瘍最大径が20mmを超えるが30mm以下。
–T3a 瞼板または眼瞼縁への腫瘍の浸潤なし。
–T3b 瞼板または眼瞼縁への腫瘍の浸潤なし。
–T3c 眼瞼の全層への腫瘍の浸潤あり。
T4 眼瞼の腫瘍が隣接する眼球、眼窩、または顔面構造へ浸潤。
–T4a 腫瘍が眼球または眼窩内構造へ浸潤。
–T4b 腫瘍が眼窩の骨壁へ浸潤(または通過して破壊)、または副鼻腔へ進展、または涙嚢/鼻涙管もしくは脳へ浸潤。


表7.眼瞼がんに対する所属リンパ節(N)の定義a

N分類 N基準
aAJCCから許諾を得て転載:Eyelid carcinoma.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.779–85.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 リンパ節への転移を認めない。
N1 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cm以下。
–N1a 臨床的評価または画像検査所見に基づく同側リンパ節の単発性転移。
–N1b リンパ節生検に基づく同側リンパ節の単発性転移。
N2 同側リンパ節の単発性転移で、最大径が3cmを超える;または両側もしくは対側リンパ節転移。
–N2a 臨床的評価または画像検査所見に基づいて確認された転移。
–N2b リンパ節生検での顕微鏡所見に基づいて確認された転移。


表8.眼瞼がんに対する遠隔転移(M)の定義a

M分類 M基準
aAJCCから許諾を得て転載:Eyelid carcinoma.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.779–85.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


表9.眼瞼がんに対するAJCC予後病期分類a

病期 T N M
M = 遠隔転移;N = 所属リンパ節;T = 原発腫瘍。
aAJCCから許諾を得て転載:Eyelid carcinoma.In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp.779–85.
0 Tis N0 M0
IA T1 N0 M0
IB T2a N0 M0
IIA T2b–c N0 M0
T3 N0 M0
IIB T4 N0 M0
IIIA すべてのT N1 M0
IIIB すべてのT N2 M0
IV すべてのT すべてのN M1



参考文献
  1. Cutaneous carcinoma of the head and neck. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 171–81.[PUBMED Abstract]

  2. Esmaeli B, Dutton JJ, Graue GF, et al.: Eyelid carcinoma. In: Amin MB, Edge SB, Greene FL, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 8th ed. New York, NY: Springer, 2017, pp 779-85.[PUBMED Abstract]

  3. Carcinoma of the Eyelid. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 523-6.[PUBMED Abstract]

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治療法選択肢の概要

皮膚の扁平上皮がんおよび基底細胞がんに対する治療法は、表10に記載している。

表10.非黒色腫皮膚がんに対する治療法選択肢の概要

病期( 治療法選択肢
基底細胞がん 限局性病変 外科的切除と腫瘍境界の評価。
モース顕微鏡手術
放射線療法
掻爬術および電気乾固
凍結手術
光線力学療法
フルオロウラシルの局所使用(5-FU)
イミキモドの局所療法
炭酸ガスレーザー
局所療法により治療不可能な転移病変または局所進行病変 ヘッジホッグ経路阻害剤
非黒色腫の再発病変 外科的切除
モース顕微鏡手術
扁平上皮がん 限局性病変 外科的切除と腫瘍境界の評価。
モース顕微鏡手術
放射線療法
掻爬術および電気乾固
凍結手術
局所療法により治療不可能な転移病変または局所進行病変 化学療法
イソトレチノイン + インターフェロンα-2a
非黒色腫の再発病変 外科的切除
モース顕微鏡手術
放射線療法
光線角化症 限局性病変 局所用の薬物
化学薬品による皮膚剥離
手術
光線力学療法
レーザー療法


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皮膚基底細胞がんの治療

皮膚の基底細胞がん(BCC)の治療には、切除術、放射線療法、凍結手術、電気乾固および掻爬、光力学またはレーザービーム光曝露、局所療法などの多様なアプローチがある。これらのアプローチは、いずれも具体的な臨床状況で有用である。症例の選択にもよるが、これらのアプローチで85~95%の無再発率が得られる。 [1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9]

BCCのさまざまな治療法を比較した27件のランダム化比較試験についての系統的レビューが発表されている。 [10] それらの研究のうち18件は全文が発表され、9件は抄録形式のみの発表であった。27件の試験中、治療意図に基づいて(intention-to-treat)解析されたものは19件である。BCCの致死率は非常に低いため、ほとんどの試験の主要エンドポイントは完全寛解および/または治療後の再発率である。特定された研究のほとんどは、質が高いとはいえないうえに、追跡期間が短く、腫瘍抑制の過大評価につながる;追跡期間が4年間と長い研究は1件のみである。BCCの治療後に長期間の追跡が実施されたケースシリーズにおける再発率についての文献レビューでは、再発の50%のみが治療後2年以内に生じ、3年後までに66%、5年経過以降に18%発生したことが示された。 [11] 一般的な知見として、10年再発率は2年再発率のほぼ2倍であった。

皮膚の基底細胞がん(限局性病変)に対する治療法

皮膚にBCCに対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 外科的切除と腫瘍境界の評価
  2. モース顕微鏡手術
  3. 放射線療法
  4. 掻爬術および電気乾固
  5. 凍結手術
  6. 光線力学療法
  7. フルオロウラシルの局所使用(5-FU)
  8. イミキモドの局所療法
  9. 炭酸ガスレーザー

外科的切除と腫瘍境界の評価。

従来からの外科治療である外科的切除と断端評価は、通常、腫瘍の最大径に応じて3~10mmの切除断端に依存する。切除縁が永久切片法に不十分であると判明した場合には、再切除が必要になりうる。ある試験で、原発性BCC 199病変中35病変(18%)は、初回手術による切除が不完全で、再切除が実施された。 [12] さらに、多くの施設では、腫瘍辺縁部全体のうち一部分だけしか病理検査を行わない。したがって、腫瘍が存在しない切除縁の断定が標本誤差の影響を受ける可能性がある。 [13]

ランダム化試験で、切除術が放射線療法、モース顕微鏡手術、光線力学療法(PDT)、および凍結手術と比較された。

証拠(外科的切除と断端評価):

  1. 単一施設の試験で、直径4cm未満の顔面BCC患者360人が外科的切除または放射線療法(組織内小線源治療55%、接触放射線療法33%、および従来の外照射療法[EBRT]12%)のいずれかを受ける群にランダムに割り付けられた。 [14] [証拠レベル:1iiDii]切除断端は2mm以上でなければならず、91%の症例で手技実施中の凍結切片により評価され、必要に応じて再切除が実施された。治療が実施されなかった13人の患者は、解析から除外された。
    • 4年経過時(平均追跡期間41ヵ月)の生命表法による失敗率(腫瘍の持続または再発の確定)は、手術群が0.7%、放射線群が7.5%であった(P = 0.003)。 [15] [証拠レベル:1iiDii]

    • 審美的な結果についても、手術後に患者と皮膚科医の両者に加え、3名の独立した専門医によっても優れていると評価された。4年経過時、手術を受けた患者の87%が審美的に良好と評価されたが、放射線療法を受けた患者では69%であった。 [15]

  2. 2施設でのITT解析では、原発性の顔面BCC(408病変)の患者374人が外科的切除またはモース顕微鏡手術のいずれかを受ける群にランダムに割り付けられ、この手術では、いずれの場合も切除断端が陽性でなくなるまで、視認可能な腫瘍の周囲で切除断端を3mm以上とした。 [12] [証拠レベル:1iiDii]
    • 30ヵ月の追跡期間後、再発率は切除群で腫瘍171病変中5病変(3%)、モース顕微鏡手術群で160病変中3病変(2%)であった(絶対差 = 1%;95%信頼区間[CI]、-2.5%~+3.7%;P = 0.724)。合併症発生率に差はなく、全体的な審美的結果も同等であった。 [12] [証拠レベル:1iiDii]

    • 手術費用の総額はモース群が切除群の約2倍であった(405.79ユーロ vs 216.86ユーロ(P < 0.001)。

  3. 多施設ランダム化試験で、顔面中央、眼窩領域、耳の病変を除く未治療の結節性皮膚BCCの成人101人が、切除術(少なくとも5mmの切除縁)または局所用のアミノレブリン酸メチルクリーム(160mg/g)を使用するPDTとその後7日間隔で2回の赤色光曝露(波長570~670nm、75J/cm2)のいずれかによる治療を受けた。 [16] [証拠レベル:1iiDiv]切除または少なくとも1サイクルのPDTを受けた97人の患者に対して、プロトコルに基づく病変ごとの解析が実施された。
    • 3ヵ月経過時点で、完全寛解(CR)率は手術群で98%(52病変中51病変)であったのに対し、PDT群では91%(53病変中48病変)であった(P = 0.25)。12ヵ月経過時点で評価されたCR率は、手術群が96%に対し、PDT群が83%であった(P = 0.15)。 [16] [証拠レベル:1iiDiv]研究者らはこの結果をPDTの非劣性として解釈しているが、この研究は検出力不足の可能性がある。

    • 研究者と患者のいずれにおいても、追跡の各時点で審美的結果を非常に良いまたは良いと評価した割合はPDT治療の方が高かった。12ヵ月経過時点で、非常に良いまたは良いと評価した患者は、PDT群が98%であったのに対し、手術群は84%(P = 0.03)で、研究者では79% vs 38%(P = 0.001)であった。

  4. 単一施設のランダム化試験で、頭頸部に及ぶ直径2cm未満の原発性BCC 96病変(患者数は不明)が3mmの安全域を確保した切除または凍結手術(すなわち、掻爬術とそれに伴う2サイクルの液体窒素噴き付け器での凍結-解凍)のいずれかにランダムに割り付けられた。 [17] [証拠レベル:1iiDiv]
    • 1年経過後、切除群では再発がみられなかったのに対し、凍結手術群では3件の再発(P = NS)が認められたが、この研究の追跡期間は非常に短期間であった。 [17] [証拠レベル:1iiDiv]

    • 治療群について盲検化された患者および5人の独立した専門家が審美的結果を評価した。これらの総合評価では、切除が優れていた。

モース顕微鏡手術

モース顕微鏡手術は腫瘍切除術の一種であり、段階的に放射状の切除を実施しつつ、浸潤が及んでいない十分な切除縁に到達するまで都度切除縁を検討し、必要以上の縁の切除を防止する手技である。この手技は、腫瘍の再発防止に最小限必要な切除域を達成しつつ、審美的側面では最大限の結果を確保する目的で実施される特殊技術である。腫瘍はリアルタイムの凍結切片により完全に除去されたと評価されるまで、顕微鏡レベルで分界されながら連続的に放射状切除される。無対照のケースシリーズにより、この方法の疾患制御率はBCCの他の治療法よりも優れていることが示唆された。 [18] [19] [20] しかし、切除のセクションに記載されているように、原発性BCCのランダム化試験で顔面BCCの外科的切除による疾患制御率と直接比較した場合、この方法の疾患制御率が優れているかどうかは明確でなかった。 [12] モース手術。いくつかの段階で皮膚がんを切除する外科的手技。最初に、がん組織の薄い層を切除する。次に、組織の2番目の薄い層を切除し、顕微鏡下で観察してがん細胞の有無を調べる。顕微鏡下で観察した組織でがんの残存がなくなるまで、さらに層を1つずつ切除する。この種の手術は、正常な組織を可能な限り少なく切除するために使用され、顔面の皮膚がんの切除にしばしば用いられる。

この手術法は、初回切除後に再発した腫瘍または審美的側面が重視される領域(例、眼瞼眼窩周囲の領域、鼻唇溝、鼻側頬部、後方頬部溝、耳介、外耳道、前頭部、頭皮、手指、生殖器)での腫瘍の管理に最適である。 [19] [21] 境界がはっきりしない腫瘍の治療にも使用される。

放射線療法

放射線療法は、手術が困難または広範囲にわたる必要がある原発病巣(例えば、鼻または耳の病変)を有する患者の管理に特に有用である。 [22] 手術であれば広範囲にわたる皮膚欠損という結果になる場合にも、植皮を施す必要がない。治療部位の色素脱失および毛細血管拡張は少なく、審美的結果は概して良好である。最初の外科的アプローチ後に再発した病変にもまた、放射線療法を用いることが可能である。 [23]

色素性乾皮症または基底細胞母斑症候群などの放射線誘発がんが発生しやすい病態の患者の場合、放射線療法は避けられる。

証拠(放射線療法):

  1. 上述のように、放射線療法はランダム化試験で切除術と比較され、手術に関連した奏効と審美的結果がより良好であることが示された。 [14] [15] [証拠レベル:1iiDii]
  2. 単一施設試験で、93例のBCC患者がEBRT(X線130 kV、病変の大きさに応じて線量測定)または凍結療法(2サイクルの液体窒素噴き付け器での凍結-解凍)のいずれかの治療にランダムに割り付けられた。鼻または耳の腫瘍に対する優先的治療法はEBRTであると研究者らが考えたため、これらの部位の病変の患者は除外された。 [24] [証拠レベル:1iiDiv]
    • 放射線療法は、2年での局所制御の点で凍結療法より優れていた。

    • プロトコルに基づいて解析された1年経過時までの再発率は、放射線療法群が4%、凍結療法群が39%であった。研究者らは統計的解析を実施しなかったが、系統的な文献レビューの著者らにより相対リスクが0.11と算出され、放射線療法が支持された(95%CI、0.03-0.43)。 [10] [証拠レベル:1iiDiv]

掻爬術および電気乾固

掻爬術および電気乾固は、原発性BCC(特に再発リスクが低いと考えられる頸部、躯幹、および四肢の表在型病変)の除去に幅広く使用される方法である。鋭いキューレットを使用して腫瘍を底部からこすり取り、その後、病変の底部に電気乾固を施す。掻爬術および電気乾固では短時間で腫瘍が破壊されるが、外科医は顕微鏡的な腫瘍浸潤の深さを視覚的に検出できないため、治療が十分であるかどうかを直ちに評価できない。この手技は電気外科療法と呼ばれることもある。

証拠(掻爬術および電気乾固):

  1. コクラン共同計画の系統的レビューでは、この治療法と他のアプローチを比較したランダム化試験は存在しないことが明らかになった。 [10]
  2. 大規模な単一施設における主要な皮膚がん部門で管理された未治療のBCC、2,314件のケースシリーズでは、掻爬術および電気乾固後の頸部、躯幹、四肢のBCCの5年再発率は3.3%であった。しかし、他の解剖学的部位における直径6mmを超える腫瘍については、再発率は大幅に上昇した。 [25] [証拠レベル:3iiiDii]

凍結手術

凍結手術は、小さく、かつ臨床的に境界明瞭な原発腫瘍の患者に対して検討される。 [26] [27] [28] BCCの管理にはまれにしか用いられないが、他の手術が不可能となるような医学的状態にある患者には凍結手術が有用である。 [8] [29] [30] [31] [32] [33] [34] [35] 凍結手術の禁忌には、以下のものがある:


  • 耐寒能異常。

  • クリオグロブリン血症またはクリオフィブリノゲン血症。

  • レイノー病(手足に病変がある症例で)。

  • 血小板欠乏症。

  • 頭皮、鼻翼、鼻唇溝、外耳、耳後部溝、眼瞼、上口唇紅部、および下腿の腫瘍。

  • 神経に近い腫瘍。

最大径が3cmを超える結節潰瘍型腫瘍形成、下床の骨または軟骨組織に固着しているがん、手指の側面および肘窩に発症した腫瘍、または切除後の再発がんの治療前にも、慎重を要する。治療部位の色素が完全に脱失するのは避けられないため、この治療法は皮膚の色が濃い患者には適さない。

治療後の浮腫が一般的で、特に目の周囲、こめかみおよび前頭部によく見られる。治療後の腫瘍は通常壊死性の物質を滲出し、その後焼痂を形成、約4週間残存する。皮膚萎縮および肥厚性瘢痕が報告されており、運動・知覚神経障害の例もある。

証拠(凍結手術):

  1. 放射線療法のセクションで示したように、93人の患者を対象とした小規模な試験で凍結手術と放射線療法が比較され、1年間のみの追跡で、凍結手術の再発率が放射線療法より統計的に有意に高い(39% vs 4%)ことが示された。 [24] [証拠レベル:1iiDiv]
  2. 小規模な単一施設のランダム化試験で、88人の患者が2サイクルの凍結-解凍を行う凍結手術、または光感作性薬剤としてδ-アミノレブリン酸を使用し、 neodymium-doped yttrium aluminum garnet(Nd:YAG)レーザーにより波長が635nmの光線を60J/cm2の出力で照射するPDTのいずれかを受ける群に割り付けられた。 [36] [証拠レベル:1iiD]
    • 1年経過時の評価可能な病変に対する全体的な臨床的効力は同等であったが(凍結手術後の再発は5/39 vs PDT後の再発は2/44)、完全寛解に達するにはPDTの方がより多くの再治療を必要とした。 [36] [証拠レベル:1iiD]

    • 審美的結果はPDTが好まれた(良いまたは非常に良いという評価の割合は、PDT後が93% vs 凍結手術後が54%、P < .001)。

  3. 118人の患者を対象とした別のランダム化研究(抄録形式のみの報告)では、凍結手術とアミノレブリン酸メチルを使用するPDTが比較された。 [37] [38] [証拠レベル:1iiDiv]
    • 3年経過時の腫瘍制御率は同等(74%)であったが、審美的結果はPDT群が優れていた。これらの凍結手術-PDT間の比較は、ITT(intent-to-treat)ベースではなく、プロトコルに基づいて報告された。 [37] [38] [証拠レベル:1iiDiv]

光線力学療法

光感作性物質を用いたPDTは、さまざまな表在性の上皮性腫瘍の管理に用いられる。 [39] 5-アミノレブリン酸またはアミノレブリン酸メチルなどの局所用の光感作性薬剤を腫瘍に投与し、その後、光感作性物質の吸収特性に応じて、特殊な波長の光(レーザーまたは広帯域光)を照射する。多発性BCCの場合、ベルテポルフィンなどの短時間作用性の全身性(静脈内)光感作性薬剤の使用が検討されている。 [40] 光により活性化した光感作性薬剤は組織内で酸素と反応して一重項酸素を形成し、これにより局所的に細胞が破壊される。

証拠(PDT):

  1. ケースシリーズでは、PDTは高い初期完全奏効率との関連が示された。しかし、長期追跡では最大50%というかなり高い再増殖率が報告されている。 [39]
  2. PDTと切除術を比較したランダム化試験は、外科的切除と断端評価のセクションに記載されている。 [16]
  3. PDTと凍結手術を比較した2件の小規模試験(うち1件は抄録形式のみでの報告)の概要は、凍結手術のセクションに記載されており、同様の抗腫瘍効果が示されたが、審美的結果はPDTのほうが優れていた。 [36] [37] [38]

フルオロウラシルの局所使用(5-FU)

局所用5-FU(5%クリーム)は、特定の限定された状況でのみ有用となりうる。多発性病変または治療困難な部位に病変があるなど、従来の治療法の実施が難しい患者の表在性BCCに対する治療法として、米国食品医薬品局(FDA)により承認されている。他の適応での安全性と効力は確定されていない。 [41] [42] [証拠レベル:3iiiDiv]局所用5-FUの効力が表層性であるため、視認できない真皮の病変が持続している可能性があり、治療の成功について誤った印象を与えうる。さらに付随する活発な炎症反応が強い皮膚毒性を発現させ、大部分の患者に不快感をもたらす可能性がある。

イミキモドの局所療法

イミキモドはToll様受容体7および/または8に対するアゴニストであり、ヘルパーT細胞サイトカインカスケードおよびインターフェロン産生を誘発する。つまり免疫調節物質として機能する。

イミキモドは表在性BCCに対する治療法としてFDAに承認されているものの、この分野の研究者によっては、BCCの初期単剤療法でイミキモドを用いることを推奨しない場合や、低リスクの部位に小さな病変を有し、より確立された療法による治療を実施できない患者のみに使用する場合がある。 [42] イミキモドは、5%クリームとして使用可能であり、5~15週にわたって週に2回から1日2回の頻度で使用される。BCCのケースシリーズでみられる大半の使用事例は、高リスク部位ではない2cm2未満の領域に対するものである(例えば、毛髪の生え際、眼、鼻、口、耳の1cm以内の領域、または肛門生殖器、手、足の各部)。 [42] 追跡期間も全般的に短期間であった。報告されたCR率は非常に幅広く、40~100%である。 [42] [証拠レベル:3iiiDiv]

イミキモドのランダム化試験は数多く存在している。 [43] [44] [45] [46] [47] [48] しかし、いずれの試験も長期間の効力を評価できるよう計画されていない。そのほとんどは少数の患者に所定のレジメンを適用する用量設定研究であり、患者は6~12週のみモニターされ、組織学的反応を特定するために切除が行われた。 [42] [証拠レベル:1iDiv]

炭酸ガスレーザー

炭酸ガスレーザーは、腫瘍辺縁部の調節が困難であるため、BCCの管理で使用されることは非常にまれである。 [49] この方法による多様なBCC治療を経験している臨床医はほとんどいない。他の治療法と比較したランダム化試験は存在しない。

基底細胞がん転移例(または局所的治療法により治療不能な局所進行例)の治療

皮膚のBCCの転移例(または局所療法により治療不可能な局所進行例)に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. ヘッジホッグ経路阻害剤。
    • ビスモデギブ。

    • sonidegib。

  2. 化学療法。

ヘッジホッグ経路阻害剤

BCCはしばしばヘッジホッグ/PTCH1-シグナル伝達経路の構成的活性化を呈する。ヘッジホッグ経路に関与する膜貫通蛋白のスムーズンド(smoothened)の阻害剤としてビスモデギブおよびsonidegibの2つが転移性BCCの成人、手術後に再発した局所進行BCCの患者、および手術または放射線療法の候補にならない患者の治療に承認されている。

証拠(ビスモデギブ):

  1. FDAの承認は、104人の患者を登録した国際的な多国籍オープンラベル2コホート試験(33人が転移性BCCで、71人が手術不能病変を有する局所進行BCCであるか、または手術が不適切であった)により支持された。患者はビスモデギブを1日150mg投与された。 [50] [証拠レベル:3iiiDiv]独立判定委員会によって評価される客観的奏効率(RR)が主要エンドポイントであった。この研究は、正確な片側二項検定により、RRが転移性BCC患者において10%を超えるかどうか、局所進行BCC患者において20%を超えるかどうかを検証できる規模で実施された。患者104人中、96人がRRについて評価可能であったが、局所進行BCCの8人の患者は、独立病理医が生検標本中にBCCを同定できなかった後に解析から除外された。両コホートにおける治療期間中央値は10.2ヵ月(範囲、0.7~18.7ヵ月)であった。
    • 転移性BCC患者33人のRRは30%(95%CI、16%-48%;P = 0.001)であった。局所進行BCC患者63人のRRは43%(95%CI、31%-56%;P < 0.001)で、13人の患者(21%)で完全奏効が得られた。両コホートにおける奏効期間中央値は7.6ヵ月であった。 [50] [証拠レベル:3iiiDiv]

    • 最も一般的な有害事象は筋痙攣、脱毛、味覚異常、体重減少、および疲労であった。12%の患者では、有害事象によりビスモデギブの投与が中止された。

    • 7人の患者で致死的有害事象が発生した;原因不明で3人が死亡し、乏血性ショック、心筋梗塞、髄膜疾患、虚血性脳卒中によりそれぞれ1人が死亡した。試験薬と死亡との関連性は不明である。

証拠(sonidegib):

  1. sonidegibは、転移性BCC患者(n = 36)または局所進行BCC患者(n = 194)を対象に実施された多国籍二重盲検マルチコホート試験において2つの用量で評価された。 [51] [証拠レベル:1iDiv]患者は(2:1の比率で)200mgまたは800mg、1日1回経口投与のいずれかにランダムに割り付けられた。主要エンドポイントはRRで、データは最後の患者のランダム化後最大6ヵ月収集され、盲検化された中央診断により判定された。主要な効力の解析に150人の患者を確保するため、患者210人のサンプルサイズが目標とされ、解析では修正Response Evaluation Criteria in Solid Tumors(RECIST)基準を用いて局所進行疾患を評価する必要があった。30%のRRが成功と規定された。
    • 200mgのコホートでは、中央診断により、局所進行BCC患者42人中18人(43%;95%CI、28%-59%)および転移性BCC患者13人中2人(15%;95%CI、2%-45%)が客観的奏効を達成し、主要な効力の解析に適格とされた。奏効期間中央値には到達していない。2つの用量のコホートにおけるRRはほぼ同じで、低用量群では有害事象が少なかったため、200mg、1日1回経口投与がFDAにより承認された。 [51] [証拠レベル:1iDiv]

    • 頻繁な有害事象として、筋痙攣、脱毛、味覚異常、疲労、吐き気、嘔吐、食欲減退、体重減少、筋痛、および疼痛が認められた。

    • 800mgのコホートでは、研究中に4人の患者が死亡した:2人が心疾患による死亡で、2人が転移性疾患の進行による死亡であった。

化学療法

標準の化学療法レジメンは存在せず、文献で逸話的な報告のみがある。 [52]

皮膚のBCC転移例に対する治癒的治療が存在しないため、臨床試験が適切である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

皮膚の非黒色腫基底細胞がん再発に対する治療

BCCの治療後、患者は臨床的に追跡され、定期的な検査を受ける。大半の再発は5年以内に発生するが、再発の約18%はそれ以降に診断される。 [11]

日光による損傷を受けた皮膚の他のがんに対する感受性は持続するため、原発性BCCを発症している患者はその後の原発性皮膚がんのリスクも高い。 [53] [54] [55] この効果は領域発がんと呼ばれることがある。初回のBCC診断時の年齢(65歳未満)、赤毛、上肢に発生した初回BCCは、その後の新たなBCCの発生リスクがより高いことと関連していると考えられる。 [56]

皮膚の非黒色腫BCC再発に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 外科的切除。
  2. モース顕微鏡手術。

BCCの局所再発に対しては、モース顕微鏡手術がよく使用される。

証拠(外科的切除 vs モース顕微鏡手術):

  1. 原発性BCCに対する切除術とモース顕微鏡手術を比較するランダム化試験では、別のグループとしてBCC再発患者204人が切除術またはモース顕微鏡手術のいずれかを受ける群にランダムに割り付けられた。 [12] [証拠レベル:1iiDii]
    • 平均追跡期間2.08年後の再発率は、切除術に割り付けられた患者102人中8人、モース顕微鏡手術に割り付けられた患者102人中2人であった(P = NS)。 [12] [証拠レベル:1iiDii]

    • 創傷感染、移植片壊死、または出血などの術後合併症は、切除術群の方がモース顕微鏡手術群より多くみられた(19% vs 8%、P = 0.021)。

    • 原発性腫瘍と同様に、モース顕微鏡手術に伴う手術費用の方が切除術より高額であった(489.06ユーロ vs 323.49ユーロ[P = 0.001])。

最新の臨床試験

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皮膚扁平上皮がんの治療

皮膚の限局性扁平上皮がん(SCC)は、治癒率の高い疾患である。 [1] 限局性SCCに対する治療法は多様であり、切除術、放射線療法、凍結手術、電気乾固および掻爬術などがある。

局所療法を受けた散発性の臨床的限局性SCC患者の転帰を直接比較できる質の高い証拠は、ほとんどないか、全く存在しない。系統的な文献レビューでは、そうした患者の管理におけるランダム化比較試験が1件のみ存在することが指摘されているが、その試験は補助療法と初回局所療法後の観察を比較するもので、別種の局所療法同士を比較するものではなかった。 [2] 小規模な単一施設の試験で、高リスクの臨床的限局性SCCの患者66人が、原発腫瘍の外科的切除後(臨床判断に基づき放射線療法を実施または実施せず)にイソトレチノイン(経口で1日1mg/kg)およびインターフェロンα(皮下投与で3 X 106Uを週に3回)の併用または観察のいずれかにランダムに割り付けられた。 [3] 21.5ヵ月の平均追跡期間を経た65人の評価可能な患者について、SCCの再発または二次原発がんの複合(主要)エンドポイントに差はなく(45% vs 38%;ハザード比=1.13;95%信頼区間[CI]、0.53-2.41)、主要エンドポイントの各構成要素のいずれについても差はなかった。 [3] [証拠レベル:1iiDii]

対照臨床試験から得られた質の高い証拠が存在しないため、臨床的限局性皮膚SCCの管理はケースシリーズと専門家の統一見解に基づいている。 [4] 一般的に使用される治療法を以下に挙げる。

皮膚の扁平上皮がん(限局性病変)に対する治療法

皮膚のSCC(限局性病変)に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 外科的切除と腫瘍境界の評価
  2. モース顕微鏡手術
  3. 放射線療法
  4. 掻爬術および電気乾固
  5. 凍結手術

外科的切除と腫瘍境界の評価。

切除はおそらくSCCに対して最も多く実施されている療法である。 [4] 従来から実施されているこの外科治療では、通常、腫瘍の最大径と分化の程度に基づいて辺縁に4~10mmの幅をとって切除する。141件のSCCのプロスペクティブケースシリーズでは、直径19mmまでの高分化型腫瘍の95%以上で、すべての無症状性の顕微鏡的腫瘍領域の周囲に4mmの辺縁をとれば十分であった。より大きなまたは分化度の低い腫瘍、もしくは高リスクの部位に発生した腫瘍には、さらに広い6mm~10mmの辺縁が必要とされた。(例、頭皮、耳、眼瞼、鼻、口唇)。 [5] 切除縁が永久切片法に不十分であると判明した場合には、再切除が必要になりうる。

モース顕微鏡手術

モース顕微鏡手術は腫瘍切除術の一種であり、段階的に放射状の切除を実施しつつ、浸潤が及んでいない十分な切除縁に到達するまで都度切除縁を検討し、必要以上の縁の切除を防止する手技である。この手技は、腫瘍の再発防止に最小限必要な切除域を達成しつつ、審美的側面では最大限の結果を確保する目的で実施される特殊技術である。腫瘍はリアルタイムの凍結切片により完全に除去されたと評価されるまで、顕微鏡レベルで分界されながら連続的に放射状切除される。しかしながら、この手技は連続した腫瘍増殖部を切除する際に非連続的なin-transitの皮膚微小転移を残留させる可能性があるため、医師によってはモース顕微鏡手術で非浸潤の辺縁を確認した後でも、さらに高リスク病変の皮膚の縁を余分に切除することがある。 [4] [証拠レベル:3iiiDiv]ケースシリーズで、モース手術は他の局所的治療法よりも低い局所再発率と関連していたが [6] 、直接比較を可能にするランダム化試験は存在していない。 [2] モース手術。いくつかの段階で皮膚がんを切除する外科的手技。最初に、がん組織の薄い層を切除する。次に、組織の2番目の薄い層を切除し、顕微鏡下で観察してがん細胞の有無を調べる。顕微鏡下で観察した組織でがんの残存がなくなるまで、さらに層を1つずつ切除する。この種の手術は、正常な組織を可能な限り少なく切除するために使用され、顔面の皮膚がんの切除にしばしば用いられる。

この手術法は、審美的側面が重視される領域(例、眼瞼眼窩周囲の領域、鼻唇溝、鼻側頬部、後方頬部溝、耳介、外耳道、前頭部、頭皮、手指、生殖器)での腫瘍管理、または初回切除後に再発した腫瘍に最適である。 [7] [8] モース顕微鏡手術は、境界がはっきりしない高リスクの腫瘍または神経周囲浸潤の治療にも用いられる。

放射線療法

放射線療法は合理的な治療の選択であり、特に原発病巣の手術が難しいまたは広範囲にわたる必要がある(例えば、鼻、口唇、耳)患者にふさわしい。 [4] [9] 手術であれば広範囲にわたる皮膚欠損という結果になる場合にも、植皮を施す必要がない。治療部位の色素脱失および毛細血管拡張は少なく、審美的結果は概して良好である。最初の外科的アプローチ後に再発した病変にもまた、放射線療法を用いることが可能である。 [10]

色素性乾皮症または基底細胞母斑症候群などの放射線誘発がんが発生しやすい病態の患者の場合、放射線療法は避けられる。

原発腫瘍の切除と伴うかどうかにかかわらず、放射線療法は組織学的に判明した臨床的リンパ節転移に使用され、良好な無病生存率に関連していたが、それらのケースシリーズのレトロスペクティブな性質から、リンパ節照射が生存に及ぼす影響を把握することは困難である。 [11] [12] [証拠レベル:3iiiDii]

掻爬術および電気乾固

掻爬術および電気乾固は、皮膚の扁平上皮がんの治療に使用される。鋭いキューレットを使用して腫瘍を底部からこすり取り、その後、病変の底部に電気乾固を施す。掻爬術および電気乾固では短時間で腫瘍が破壊されるが、外科医は顕微鏡的な腫瘍浸潤の深さを視覚的に検出できないため、治療が十分であるかどうかを直ちに評価できない。この手技は、小型(1cm未満)で境界明瞭、かつ高分化型の腫瘍にのみ使用されている。 [4] [証拠レベル: 3iiiDii]この手技は電気外科療法と呼ばれることもある。

凍結手術

凍結手術は、小さく、かつ臨床的に境界明瞭な原発腫瘍の患者に対して検討される。他の手術が不可能となるような医学的状態にある患者に有用である。 [13] [14] 凍結手術の禁忌には、以下のものがある:


  • 耐寒能異常。

  • クリオグロブリン血症またはクリオフィブリノゲン血症。

  • レイノー病(手足に病変がある症例で)。

  • 血小板欠乏症。

  • 頭皮、鼻翼、鼻唇溝、外耳、耳後部溝、眼瞼、上口唇紅部、および下腿の腫瘍。

  • 神経に近い腫瘍。

最大径が3cmを超える結節潰瘍型腫瘍形成、下床の骨または軟骨組織に固着しているがん、手指の側面および肘窩に発症した腫瘍、または切除後の再発がんの治療前にも、慎重を要する。治療部位の色素が完全に脱失するのは避けられないため、この治療法は皮膚の色が濃い患者には適さない。

治療後の浮腫が一般的で、特に目の周囲、こめかみおよび前頭部によく見られる。治療後の腫瘍は通常壊死性の物質を滲出し、その後焼痂を形成、約4週間残存する。皮膚萎縮および肥厚性瘢痕が報告されており、運動・知覚神経障害の例もある。

上皮内SCC(ボーエン病)の治療

上皮内SCC(ボーエン病)の管理は予後良好なSCCと同様である。しかし、ボーエン病は非浸潤性であるため、モース顕微鏡手術などの外科的切除は通常、不要である。さらに、光線力学療法(PDT)により高い完全奏効率(CR)を達成可能である。

証拠(PDT):

  1. 多施設試験で、229人の患者(209人をプロトコルに基づく/病変ごとの解析で評価)がPDT(アミノレブリン酸メチル + 570~670nmの赤色光;N = 91)、プラセボのクリームと赤色光照射(n = 15)、または医師の選択した治療(凍結療法、n = 77;局所用5-フルオロウラシル、n = 26)にランダムに割り付けられた。 [15] [証拠エベル:1iiDii]
    • 12ヵ月経過時点での持続的な臨床的完全奏効率は、PDT群が80%、プラセボのクリームと赤色光照射群が67%、医師の選択した治療が69%であった。(PDT群と医師が選択した2群を併合した群との比較でP = 0.04)。 [15] [証拠レベル:1iiDii]

    • 審美的結果はPDT群が最も優れていた。(比較すると、3ヵ月経過時点でのCR率は、PDT群が93%、プラセボ/PDT群が21%であった。)

転移性扁平上皮がん(または局所的治療法により治療不能な進行疾患)の治療

BCCの場合と同様に、転移性および著しく進行したSCCはまれであり、全身療法についての報告は症例報告と腫瘍反応をエンドポイントとしたごく少数のケースシリーズに限られている。[証拠レベル:3iiiDiv]皮膚の日光露出部に発生した原発性腫瘍の転移率は5%;外耳の腫瘍は9%;口唇の腫瘍は14%である。瘢痕がん内または日光露出部以外の皮膚における原発性SCCの転移は、さらに高い確率(約38%)で発生する。 [6] 転移の69%が1年以内に診断され、3年以内に91%、5年以内に96%が診断される。

SCC転移例(または局所療法により治療不可能な進行例)に対する治療法の選択肢:

  1. 化学療法。シスプラチンベースのレジメンは高い初期腫瘍奏効率に関連があるようである。 [16] [17]
  2. イソトレチノイン + インターフェロンα-2a。高い奏効率は、イソトレチノインインターフェロンα-2aの併用でも報告されている。 [18]

皮膚のSCC転移例に対する標準的治療法が存在しないため、臨床試験が適切である。現在実施中の臨床試験に関する情報は、NCIウェブサイトから入手することができる。

皮膚の非黒色腫扁平上皮がん再発に対する治療

SCCには確実な転移の可能性があるため、患者は初回の治療後、定期的に追跡される。全体として、原発性SCCの治療後の局所再発率は、解剖学的部位に応じて約3~23%となっている。 [6] 局所再発の約58%が1年以内に発現し、3年以内に83%が、5年以内に95%が発現する。直径が2cm以上、または深さが4mm以上、もしくは低分化型の腫瘍は、予後が比較的不良で [19] 、上述の数字よりも局所再発率および転移率が高くなる。 [6] 報告されている局所再発率は、治療法によっても異なり、最も低い率と関連しているのはモース顕微鏡手術である;しかしながら、少なくともそうした差異の一部は、患者選択因子による可能性がある。さまざまな局所治療法を直接比較したランダム化試験は存在しない。

非黒色腫SCC再発に対する治療法の選択肢には以下のものがある:

  1. 外科的切除。
  2. モース顕微鏡手術。
  3. 放射線療法。

再発した非転移性SCCは高リスクと考えられており、通常は切除による治療が行われ、しばしばモース顕微鏡手術が実施される。放射線療法は完全には切除できない病変に対して用いられる。

BCCの場合と同様に、原発性SCCを発症する患者は、その後の原発性皮膚がんのリスクも高い。 [20] [21]

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


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光線角化症の治療

光線角化症は通常、長期にわたり日光曝露を受ける顔面および手背によくみられる。光線性口唇炎は、通常下口唇に発現する光線角化症関連状態である。 [1] こうした病態は上皮細胞の悪性化がみられ、やがて浸潤性の扁平上皮がん(SCC)に発展しうる。

光線角化症は非浸潤性病変である。その進行率はきわめて低い。プロスペクティブ研究で、SCCへの進行率は1年間で1000人中1人に満たないため、SCCを予防するためにすべての光線角化症を治療することについて費用対効果の面で疑問が呈せられている。 [2] さらに、集団ベースの縦断的研究では、スクリーニング検査から1年以内の光線角化症の自発的な退縮率は約26%であった。 [3] したがって、光線角化症からSCCへの進行に対する何らかの治療法の効果を調べる研究をデザインすることは、実用的ではない(または不可能である)。それにもかかわらず、多様な治療法がレビューされている。 [4]

光線角化症に対する治療法の選択肢は、病変が孤発性かどうか、または同じ領域に複数の病変があるかどうに依存する。

光線角化症に対する治療法の選択肢(階層的に掲載しているわけではない)には以下のものがある:

  1. 局所用の薬物。
  2. 化学薬品による皮膚剥離。
    • トリクロル酢酸。

  3. 手術。
    • 外科的切除。

    • 削り切除術。

    • 掻爬術単独または電気乾固との併用。

    • 皮膚剥離術。

  4. 光線力学療法。
  5. レーザー療法(二酸化炭素またはerbium-doped yttrium aluminum garnet [Er:YAG]レーザー)。

最新の臨床試験

NCIが支援しているがん臨床試験で現在患者登録中の試験を検索するには、 臨床試験アドバンスト・サーチを使用のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、 こちらから)。このサーチでは、試験の場所、治療の種類、薬物名やその他の基準による絞り込みが可能である。臨床試験に関する一般情報も入手することができる。


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本要約の変更点(04/26/2018)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

本要約は包括的に見直され、広範囲にわたって改訂され、再編集された。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、皮膚がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

皮膚がんの治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Skin Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/skin/hp/skin-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389366]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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