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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

小腸がんの治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-01-26
    翻訳更新日 : 2017-04-17

Small Intestine Cancer (PDQ®): Treatment PDQ Adult Treatment Editorial Board

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小腸がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

小腸がん

小腸がんに関する一般情報

発生率および死亡率

米国において、2017年に推定される小腸がんの新規症例数および死亡数: [1]


  • 新規症例数:10,190。

  • 死亡数: 1,390。

腺がん、リンパ腫、肉腫、およびカルチノイド腫瘍が小腸の悪性腫瘍の大半を占めるが、全体として小腸の悪性腫瘍は消化管悪性腫瘍全体のわずか1%~2%を占めるに過ぎない。 [2] [3] [4] [5]

追跡と生存

他の消化管悪性腫瘍同様、主な治療法は、切除可能な場合、外科的治療であり、治癒するかどうかはがんを完全に切除できるか否かによる。切除可能な腺がんの5年全生存率は、わずか20%である。切除可能な、小腸で最もよくみられる原発性肉腫である平滑筋肉腫の5年生存率は約50%である。

小腸のカルチノイド腫瘍は別のがん種として他の項で取り上げている。(詳しい情報については、消化管カルチノイド腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)


参考文献
  1. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2017. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2017. Available online. Last accessed January 13, 2017.[PUBMED Abstract]

  2. Zureikat AH, Heller MT, Zeh HJ III: Cancer of the small intestine. In: DeVita VT Jr, Lawrence TS, Rosenberg SA: Cancer: Principles and Practice of Oncology. 9th ed. Philadelphia, Pa: Lippincott Williams & Wilkins, 2011, pp 1048-59.[PUBMED Abstract]

  3. Serour F, Dona G, Birkenfeld S, et al.: Primary neoplasms of the small bowel. J Surg Oncol 49 (1): 29-34, 1992.[PUBMED Abstract]

  4. Matsuo S, Eto T, Tsunoda T, et al.: Small bowel tumors: an analysis of tumor-like lesions, benign and malignant neoplasms. Eur J Surg Oncol 20 (1): 47-51, 1994.[PUBMED Abstract]

  5. Chow JS, Chen CC, Ahsan H, et al.: A population-based study of the incidence of malignant small bowel tumours: SEER, 1973-1990. Int J Epidemiol 25 (4): 722-8, 1996.[PUBMED Abstract]

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小腸がんの細胞分類

小腸に発生する腫瘍には、以下のものがある:


  • 腺がん(症例の大半)。

  • リンパ腫(まれ)、通常は非ホジキンリンパ腫型。(詳しい情報については、成人非ホジキンリンパ腫の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

  • 肉腫(最もよくみられるのは平滑筋肉腫であり、それよりも頻度の低いものとして血管肉腫または脂肪肉腫がある)。

  • カルチノイド。(詳しい情報については、消化管カルチノイド腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

  • 消化管間質腫瘍。(詳しい情報については、消化管間質腫瘍の治療に関するPDQ要約を参照のこと。)

小腸の原発性悪性腫瘍の約25%~50%は腺がんであり、ほとんどが十二指腸に発生する。 [1] 小腸がんは、複数の場所に同時または異時性に発生しうる。

平滑筋肉腫は回腸に発生することが最も多い。

小腸悪性病変のおよそ20%はカルチノイド腫瘍であり、十二指腸または空腸よりも回腸に好発し、多発性である。

悪性リンパ腫が単発性の小腸病変として発生することはまれである。


参考文献
  1. Small intestine. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 127-32.[PUBMED Abstract]

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小腸がんの病期情報

本要約の治療法に関するセクションは、病期ではなく組織病理学的タイプに基づいてまとめられている。

TNMの定義

米国がん合同委員会(AJCC)は、小腸がんを定義するためTNM分類による病期分類を指定している。 [1]

表1.原発腫瘍(T)a

aAJCCから許諾を得て転載:Small intestine.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, p 127.
b腹膜非被覆傍筋層組織とは、空腸および回腸では腸間膜部を指し、漿膜を伴わない部分の十二指腸では、膵との境界部を指す。
TX 原発腫瘍の評価が不可能。
T0 原発腫瘍を認めない。
Tis 上皮内がん。
T1a 腫瘍が粘膜固有層に浸潤している。
T1b 腫瘍が粘膜下に浸潤している。b
T2 腫瘍が固有筋層に浸潤している。
T3 腫瘍が固有筋層を越え漿膜下層に浸潤するか、腹膜非被覆傍筋層組織(腸間膜または後腹膜腔)に2cm以内の拡がりを認める。b
T4 腫瘍が臓側腹膜を貫通するか、直接他臓器または他組織に浸潤する(小腸の他のループおよび腸間膜への浸潤、後腹膜腔への2cmを超える浸潤のほか、漿膜を介して腹壁に至る浸潤;十二指腸に限り、膵または胆管への浸潤も含まれる)。


表2.所属リンパ節(N)a

aAJCCから許諾を得て転載:Small intestine.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, p 127.
NX 所属リンパ節の評価が不可能。
N0 所属リンパ節に転移を認めない。
N1 1-3の所属リンパ節に転移。
N2 4つ以上の所属リンパ節に転移。


表3.遠隔転移(M)a

aAJCCから許諾を得て転載:Small intestine.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, p 127.
M0 遠隔転移を認めない。
M1 遠隔転移を認める。


表4.解剖学的病期/予後グループa

病期 T N M
aAJCCから許諾を得て転載:Small intestine.In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual.7th ed. New York, NY: Springer, 2010, p 127.
0 Tis N0 M0
I T1 N0 M0
T2 N0 M0
IIA T3 N0 M0
IIB T4 N0 M0
IIIA すべてのT N1 M0
IIIB すべてのT N2 M0
IV すべてのT すべてのN M1



参考文献
  1. Small intestine. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, pp 127-32.[PUBMED Abstract]

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小腸の腺がん

標準治療法の選択肢:

  1. 切除可能な原発がんの場合:
    • 根治的な外科的切除。 [1] [2]

  2. 切除不能な原発がんの場合:
    • 閉塞病変の外科的バイパス術。

    • 症状緩和目的の放射線療法。

臨床評価段階にある治療選択肢:

  1. 切除不能な原発がんの場合:
    • 放射線増感剤を用いた放射線療法に全身化学療法を併用する場合と併用しない場合の比較など、局所制御を改善する方法を評価する臨床試験。

  2. 切除不能な転移性がんの場合:
    • 新たな抗がん剤および生物学的製剤の価値を評価する臨床試験(第I相試験および第II相試験)。

最新の臨床試験

小腸の腺がん患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Rose DM, Hochwald SN, Klimstra DS, et al.: Primary duodenal adenocarcinoma: a ten-year experience with 79 patients. J Am Coll Surg 183 (2): 89-96, 1996.[PUBMED Abstract]

  2. North JH, Pack MS: Malignant tumors of the small intestine: a review of 144 cases. Am Surg 66 (1): 46-51, 2000.[PUBMED Abstract]

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小腸の平滑筋肉腫

標準治療法の選択肢:

  1. 切除可能な原発がんの場合:
    • 根治的な外科的切除。

  2. 切除不能な原発がんの場合:
    • 閉塞病変に対する外科的バイパス術および放射線療法。

  3. 切除不能な転移性がんの場合:
    • 症状緩和目的の手術。

    • 症状緩和目的の放射線療法。

    • 症状緩和目的の化学療法。

臨床評価段階にある治療選択肢:


  • 切除不能な原発がんまたは転移性がんの場合:
      新たな抗がん剤および生物学的製剤の有用性を評価する臨床試験。

最新の臨床試験

小腸の平滑筋肉腫患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。

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再発小腸がん

標準治療法の選択肢:

  1. 転移性腺がんまたは転移性平滑筋肉腫の場合:
    • 小腸の転移性腺がんまたは転移性平滑筋肉腫の再発患者に有効であるとされる標準化学療法はない。このようなタイプの患者は、いずれも新たな抗がん剤または生物学的製剤の使用を評価する第I相臨床試験および第II相臨床試験の対象として考えるべきである。

  2. 限局性の再発がんの場合:
    • 手術。

    • 症状緩和目的の放射線療法。

    • 症状緩和目的の化学療法。

    • 放射線増感剤を用いた放射線療法に全身化学療法を併用する場合と併用しない場合の比較など、局所制御を改善する方法を評価する臨床試験。

最新の臨床試験

小腸の平滑筋肉腫患者を現在受け入れているNCI支援のがん臨床試験のリストを参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。

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本要約の変更点(01/26/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

小腸がんに関する一般情報

新規症例数および死亡数の推定値に関する統計が2017年度用に更新された(引用、参考文献1としてAmerican Cancer Society)。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、小腸がんの治療について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

小腸がんの治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に証拠の公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    PDQ® Adult Treatment Editorial Board.PDQ Small Intestine Cancer Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/types/small-intestine/hp/small-intestine-treatment-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389423]

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

    お問い合わせ

    Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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