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科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

妊娠性絨毛疾患の治療(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2015-02-25
    翻訳更新日 : 2015-04-27

妊娠性絨毛疾患に関する一般情報

妊娠性絨毛疾患(GTD)は、子宮における受胎産物から発生する良性と悪性の両方の増殖物を包含する広い意味をもつ用語である。 [1]

発生率および死亡率

世界で報告されているGTDの発生率は、少ない国で100,000妊娠当たり23例(パラグアイ)から、多い国で100,000妊娠当たり1,299例(インドネシア)まで、広い範囲に及んでいる。 [2] しかし、この差の少なくとも一部は、診断基準および報告方法の違いから生じている。米国において報告されている発生率は、およそ100,000妊娠当たり110~120例である。GTDのうち最も侵攻性である絨毛がんの米国において報告されている発生率は、100,000妊娠当たり約2~7例である。米国における絨毛がんの年齢標準化(1960年世界人口標準)発生率は、15歳~49歳の女性でおよそ100,000人当たり0.18人である。 [2]

危険因子

GTDのリスク増加では、以下の2つの因子との関係が常に認められている: [2]


  • 母体年齢。

  • 胞状奇胎(HM)の病歴。

過去にHMの診断を受けたことがある女性では、その後の妊娠で1%のHMリスクを抱えることになる。このリスクは、過去のHMが1回より多くなると、約25%に増加する。母体年齢に関連するリスクは二峰性であり、20歳未満の母親および35歳を超える母親(特に45歳を超える母親)の両方でリスクが増加している。20~35歳と比べた相対リスクは、これより低年齢層および高年齢層で、いずれも1.1~11の間にある。しかしながら、集団ベースのHM登録研究によると、HMの2つの主要な種類 - 全HMおよび部分HM - では、年齢に関係した発生パターンが異なることが示唆される。 [3] (詳しい情報については、本要約の妊娠性絨毛疾患の細胞分類のセクションを参照のこと。)同研究における全HMの発生率は、20歳未満の女性で最も高く、その後年齢が高くなるにつれて単調に減少した。しかしながら、部分HMの発生率は、全年齢層で高く、病因に違いがある可能性を示唆している。父親の年齢との関連性は一貫していない。 [2] さまざまな曝露が調査されているが、喫煙、アルコール摂取、食事、および経口避妊薬の使用との明確な関連性は認められていない。 [2]

臨床的特徴

GTDには父系染色体が含まれているため、その起源は母体というよりむしろ胎盤である。最も多くみられる主症状は、膣からの出血および急激な子宮拡張で、これらの所見が閉経前女性に認められる場合は、常にGTDを考慮すべきである。ほぼすべての種類のGTDがヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の高値と関連していることから、診断的評価ではhCGの血中レベルおよび骨盤超音波の検査が最初のステップとなる。膣からの出血および子宮拡張に加えて、他に以下のような主症状または徴候が考えられる:


  • 骨盤痛または圧迫感。

  • 貧血。

  • 妊娠悪阻。

  • 甲状腺機能亢進症(hCGのβ-サブユニットと甲状腺刺激ホルモン[TSH]との間の相同性により、hCGに弱いTSH様活性が生じることに起因する二次性疾患)。

  • 妊娠初期の子癇前症。

GTDにおいて最もよくみられる先行妊娠は、HMである。

絨毛がんは、奇胎妊娠の後に発生することが最も多いが、正常妊娠、異所性妊娠、または中絶の後でも発生することがあり、分娩後に膣からの出血が持続している患者では、常に絨毛がんを考慮すべきである。他に考えられる徴候として、妊娠可能な年齢層の女性における神経学的症状(脳転移に起因する)、およびルーチンの胸部X線で確認される無症候性病変がある。

予後因子と生存率

疾患が遠隔の臓器まで拡がっていたとしても、特に転移先が肺のみである場合は、GTD患者の治癒に向けての予後は良好である。そのため、従来のTNM病期分類システムは予後的価値に限界がある。 [4] 治癒の可能性は以下の項目によって変動する:


  • 組織型(侵入奇胎または絨毛がん)。

  • 病変の進展範囲/最大腫瘍サイズ。

  • βhCGの血清レベル。

  • 最初の妊娠イベントから治療開始までの罹病期間。

  • 転移の数および特異的転移部位。

  • 先行妊娠の内容。

  • 以前の治療範囲。

以上の因子に加えて、患者に将来妊娠の希望があるかどうかによって治療を選択する。βhCGは、治療前、治療中、および治療後において病変の有無を示す感度の高いマーカーである。これらの腫瘍のほとんどで治療成績がきわめて良好なことを考慮すると、治癒を達成するにはより強力なレジメンが必要な患者と、治療がそれほど強力ではなくてもよい患者を区別することが重要な目標となる。


参考文献
  1. Ngan HY, Kohorn EI, Cole LA, et al.: Trophoblastic disease. Int J Gynaecol Obstet 119 (Suppl 2): S130-6, 2012.[PUBMED Abstract]

  2. Altieri A, Franceschi S, Ferlay J, et al.: Epidemiology and aetiology of gestational trophoblastic diseases. Lancet Oncol 4 (11): 670-8, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Altman AD, Bentley B, Murray S, et al.: Maternal age-related rates of gestational trophoblastic disease. Obstet Gynecol 112 (2 Pt 1): 244-50, 2008.[PUBMED Abstract]

  4. Gestational trophoblastic tumors. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, p 439.[PUBMED Abstract]

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妊娠性絨毛疾患の細胞分類

妊娠性絨毛疾患(GTD)は以下の通りに分類される: [1]


絨毛がん、PSTT、およびETTはしばしば、主要な妊娠性絨毛腫瘍に分類される。

HM

HMは、液体の貯留によって生じる絨毛膜絨毛の粗大な嚢腫状腫脹を呈する受胎産物として定義されている。絨毛中心部では血管の崩壊および欠損が認められる。

全HM

全奇胎は、母方の核を押し出した卵子が、受精後に染色体重複を起こす1つの精子、または2つの精子と受精する際に発生し、いずれの場合も核型が2倍体となる。前者の場合、生存には少なくとも1つのX染色体が必要で、46 YYの核型は卵子に到達するとすぐ死滅することから、常に46 XXの核型を有する奇胎が生じる。後者の場合は、46 XXまたは46 XYの核型が生じる可能性がある。全HMの約90%が46 XXである。超音波検査で、全奇胎が胎児または羊水を示すことはまれである。

部分HM

部分奇胎は、卵子が核を保有しているが、受精後に染色体重複を起こす1つの精子と受精する際、または2つの精子と受精する際に発生し;その結果考えられる3倍体の核型は、69 XXY、69 XXX、または69 XYYとなる。そのため、全奇胎と対照的に、部分奇胎の染色体は、起源でちょうど2/3が父方となる。全奇胎とは対照的に、通常、部分奇胎は胎児を示し、生存能力がある場合さえ認められ、羊水も観察される。

全HMでは、侵入奇胎に進行するリスクが15%~25%あるが、部分奇胎の場合における悪性への転換は、はるかにまれ(5%未満)である。

妊娠性絨毛新形成

侵入奇胎

侵入奇胎(破壊性絨毛膜腺腫)は局所浸潤性で、転移病巣はまれであり、識別可能な絨毛性構造を伴って栄養膜細胞が子宮筋層に浸潤している像が顕微鏡的に認められるという特徴がある。これに先立ち、全または部分奇胎妊娠がみられることがある。通常、侵入奇胎の核型は2倍体であるが、異数性の場合もある。これらの病変には、顕微鏡的に細胞性栄養膜細胞および合胞体栄養膜細胞の過形成がみられ、絨毛性構造を保持しているという特徴がある。侵入奇胎の組織学的所見では、絨毛がんに類似していることもある。侵入奇胎は、全HMまたは部分HMより侵攻性挙動が強く、絨毛がんと同様な方法(すなわち、化学療法)による治療が行われる。しかしながら、絨毛がんとは異なり、侵入奇胎は自然退縮する場合もある。

絨毛がん

絨毛がんは栄養膜細胞上皮を起源とする悪性腫瘍である。子宮筋および血管に浸潤し、出血と壊死の領域が認められる。柱状ないし板状の栄養膜細胞組織が正常組織に浸潤して遠隔部位に転移するが、最もよくみられる転移部位は、肺、脳、肝、骨盤、膣、脾、腸、および腎である。ほとんどの絨毛がんは核型が異数性で、これらの約3/4がY染色体を保有している。ほとんどが、HM妊娠、自然流産、または子宮外妊娠の後に発生する;しかし、これらの約1/4は満期妊娠の後に発生する。非奇胎妊娠の後に発生するほぼすべてのGTDが絨毛がんである;まれな例外は、一般にPSTTである。

PSTT

PSTT疾患は、胎盤着床部に発生する非常にまれな腫瘍の結果であり、合胞体栄養膜細胞性子宮内膜炎の増悪型に類似している。栄養膜細胞が子宮筋層に浸潤し、脈管内浸潤が認められる。ヒト胎盤性ラクトーゲンは、腫瘍細胞に存在するが、免疫ペルオキシダーゼ染色法でヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)陽性を示すのは散在した細胞のみであり、血清hCGの上昇幅は、絨毛がんでみられる顕著な上昇に比べて相対的に低い。hCGは信頼できる腫瘍量のマーカーではない。 [2] [3] PSTTは絨毛がんよりはるかに増殖速度が遅く、満期妊娠後の発現が数ヵ月ないし数年遅れる場合も多い。PSTTは一般に化学療法に対して抵抗性である。そのため、腫瘍が子宮に限局している場合は、子宮摘出が標準の一次治療となる。しかしながら、PSTTの約35%では、診断時に遠隔転移が認められる。 [3] [4] よくみられる転移部位として、肺、骨盤、およびリンパ節がある。中枢神経系、腎、肝への転移も観察されている。

ETT

ETTは、きわめてまれな妊娠性絨毛腫瘍である。 [5] [6] 最初は非定型絨毛がんという用語が使用されていたが、絨毛がんより侵攻性が弱いと考えられ、現在は別個の種類とみなされている。病理学的には、類上皮細胞の単形性細胞パターンがみられ、子宮頸管に発生した場合は子宮頸部扁平上皮がんに類似していることがある。臨床的な挙動は、絨毛がんよりPSTTに近いと考えられる。臨床的には良性から悪性までの挙動範囲がある。患者の約1/3に転移が認められ、通常は肺への転移が多い。


参考文献
  1. Altieri A, Franceschi S, Ferlay J, et al.: Epidemiology and aetiology of gestational trophoblastic diseases. Lancet Oncol 4 (11): 670-8, 2003.[PUBMED Abstract]

  2. Lurain JR: Gestational trophoblastic tumors. Semin Surg Oncol 6 (6): 347-53, 1990.[PUBMED Abstract]

  3. Feltmate CM, Genest DR, Goldstein DP, et al.: Advances in the understanding of placental site trophoblastic tumor. J Reprod Med 47 (5): 337-41, 2002.[PUBMED Abstract]

  4. Schmid P, Nagai Y, Agarwal R, et al.: Prognostic markers and long-term outcome of placental-site trophoblastic tumours: a retrospective observational study. Lancet 374 (9683): 48-55, 2009.[PUBMED Abstract]

  5. Shih IM, Kurman RJ: Epithelioid trophoblastic tumor: a neoplasm distinct from choriocarcinoma and placental site trophoblastic tumor simulating carcinoma. Am J Surg Pathol 22 (11): 1393-403, 1998.[PUBMED Abstract]

  6. Palmer JE, Macdonald M, Wells M, et al.: Epithelioid trophoblastic tumor: a review of the literature. J Reprod Med 53 (7): 465-75, 2008.[PUBMED Abstract]

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妊娠性絨毛疾患の病期情報

胞状奇胎(HM)

HM(奇胎妊娠)は、子宮腔に限局した疾患である。

妊娠性絨毛新形成

定義:FIGO

国際産婦人科連合(FIGO)および米国がん合同委員会(AJCC)は、妊娠性絨毛新形成を定義するための病期分類を指定している:FIGOシステムが最も一般的に用いられている。 [1] [2] 一部の腫瘍登録機関では、両システムで病期分類を記録することを推奨している。

FIGO病期分類システム(および修正世界保健機構[WHO]予後採点システム)

FIGO病期分類システムは以下の通りである: [1]

表1.妊娠性絨毛新形成(GTN)a,b

FIGO解剖学的病期分類
FIGO = 国際産科婦人科連合;hCG = ヒト絨毛性ゴナドトロピン;IU = 国際単位;WHO = 世界保健機構。
a出典:FIGO Committee on Gynecologic Oncology.
b 患者の診断では、病期を判定し、危険因子スコアを割り当てて、ローマ数字のI、II、III、およびIVで表される病期を割り当てる。病期の後にコロンで区切って、実際のすべての危険因子の合計スコアを算用数字で表し、II期:4、IV期:9のように表現する。この病期およびスコアが各患者に割り当てられることになる。

病期

I 腫瘍が子宮に限局している。
II GTNが子宮外に拡がっているが、生殖器構造(付属器、膣、子宮広間膜)に限局している。
III 生殖管への浸潤が判明しているかどうかにかかわらず、GTNが肺に達している。
IV 肺以外への転移が認められる。

FIGOで採用された修正WHO予後採点システムb

スコア

0 1 2 4
年齢 <40 ≥40
先行妊娠 奇胎 中絶 満期分娩
指標妊娠からの間隔月数 <4 4–6 7–12 >12
治療前血清hCG(IU/L) <103 103–104 104–105 >105
最大腫瘍サイズ(子宮を含む) <3 3~4cm 5cm以上
転移部位 脾、腎 胃腸 肝、脳
転移の数 1–4 5–8 >8
過去に効果がなかった化学療法 単剤 2種類以上の薬


さらに、FIGO病期分類システムには修正WHO予後採点システムが組み込まれている。8つの危険因子によるスコアを合計してFIGO病期に組み込み、コロンで区切って表す(例えば、II期:4、IV期:9など)。残念ながら、すでにさまざまなリスク採点システムが公表されているため、結果の比較が困難になっている。


参考文献
  1. FIGO Committee on Gynecologic Oncology: Current FIGO staging for cancer of the vagina, fallopian tube, ovary, and gestational trophoblastic neoplasia. Int J Gynaecol Obstet 105 (1): 3-4, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Gestational trophoblastic tumors. In: Edge SB, Byrd DR, Compton CC, et al., eds.: AJCC Cancer Staging Manual. 7th ed. New York, NY: Springer, 2010, p 439.[PUBMED Abstract]

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治療法選択肢の概要

ほとんどの胞状奇胎(HM)は良性で、頸管拡張子宮内容吸引除去術および掻爬術による保存的治療が行われる。しかしながら、HMには遺残のリスク、または悪性の妊娠性絨毛疾患(GTD)に進行するリスクがあることから、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)の血清レベルが正常化するまで、毎週注意深く経過観察しなければならない。一般に、6ヵ月間は月1回の経過観察が推奨されるものの、この経過観察の期間は経験的研究に基づいたものではない。 [1]

GTDに対して迅速に治療を開始すること、および正常なβhCG値が得られるまで、ごく短い間隔で経過観察を継続することが管理の要となる。化学療法を開始した場合、各コースの間隔は、使用するレジメンにもよるが、14~21日を超えないようにすべきである。病変の拡がり程度にもよるが、最初にβhCG値が正常になった後に化学療法を1~3コース追加することが推奨される。修正世界保健機構(WHO)予後採点システム(表1を参照のこと)を利用すべきであり、患者のスコアで正当化される場合は併用化学療法を開始すべきである。GTDの診断が下された場合は、ルーチンで以下の精密検査を含めて実施する:


  • 血清βhCG。

  • 肝機能、腎機能、および骨髄機能の血液検査。

  • 胸部X線。

  • 骨盤内超音波。

  • 頭部のコンピュータ断層撮影または磁気共鳴画像法(絨毛がんの場合、または中枢神経系の徴候が認められる場合)。

GTDの治療は、国際産科婦人科連合により採用された修正WHO予後採点システム(表1を参照のこと)で判定したリスクカテゴリーで決定される。非常にまれな胎盤性絨毛腫瘍およびさらにまれな類上皮性絨毛腫瘍は、生物学的に異なった疾患であり、これらの管理は別個に考察している。

hCG低値

妊娠性絨毛疾患の診断および治療コースのモニターで成功を収めるには、hCGの正確なモニタリングがきわめて重要である。偽陽性の結果は不適切な診断および治療につながることがあり、最小限に抑えなければならない。以下は、hCG低値の場合に検討すべき診断で代わりとなる可能性があるものである。

偽陽性hCG

血清hCG検査は、hCG分子上に2つの抗体を検出することを拠り所にしている。そこで使用される抗体は、さまざまな動物:マウス、ウサギ、ヤギ、またはヒツジに由来するポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体である。このアッセイで使用する抗体に結合するヘテロ親和性の(つまり異種間の)抗体を有するヒトでは、偽陽性の結果が得られることになる。2003年に技術的な改善がなされるまでは、このことが市販で入手可能なアッセイのひとつでよくみられる問題であった。ヘテロ親和性の抗体は、糸球体ろ過バリアを超えることができないため、尿hCG検査の性能は、陽性の検査結果を生じる原因を解消できる。市販の妊娠尿検査とは対照的に、血清における感度低下を避けるために、血清用に一般に使用されるものと同一のシステムを用いて尿サンプルを運用すべきである。

下垂体hCG

下垂体前茎から黄体形成ホルモン(LH)が分泌されるが、LHはhCGとαサブユニットを共有している。正常な排卵周期では、LH急増時に下垂体で生成されたhCGが検知可能になる場合がある。このLH分泌に対して、エストロゲンは負のフィードバックを生じて、抑制因子として作用する。低エストロゲン状態にある患者(閉経周辺期、閉経期、状況が卵巣摘出後)では、下垂体hCGが大量に分泌される場合があるが、それでも、わずか1~32mIU/mLのレベルが記録されているにすぎない。 [2] 下垂体がhCGの源となっていることを確認するには、患者に対して大量の経口避妊薬投与を開始して、エストロゲンの外因性産生源を作り出す。一般に、下垂体hCGを認める患者は、このレジメンを3週間続けるとhCGレベルが抑えられる。 [2]


参考文献
  1. Sita-Lumsden A, Short D, Lindsay I, et al.: Treatment outcomes for 618 women with gestational trophoblastic tumours following a molar pregnancy at the Charing Cross Hospital, 2000-2009. Br J Cancer 107 (11): 1810-4, 2012.[PUBMED Abstract]

  2. Muller CY, Cole LA: The quagmire of hCG and hCG testing in gynecologic oncology. Gynecol Oncol 112 (3): 663-72, 2009.[PUBMED Abstract]

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胞状奇胎の管理

胞状奇胎(HM)の治療は、産科医/婦人科医の範疇であり、ここで個別に考察することはしない。しかしながら、HMの診断および治療の後に患者をモニターして、転移性の妊娠性絨毛新形成の可能性を除外すべきである。ほとんどすべての症例において、ルーチンで血清βヒト絨毛性ゴナドトロピン(βhCG)をモニタリングし、正常に回復したことを確認することで、これは実施可能である。経過観察中は、妊娠の結果としてβhCGが上昇することで生じる可能性がある混乱を避けるために、効果的な避妊方法が重要である。

以下が認められる場合は、化学療法が必要となる:

  1. 2週間にわたるβhCG値の上昇(3タイター)。
  2. 絨毛がんの組織診断。
  3. 3週間にわたるβhCGのプラトー。
  4. 奇胎除去から6ヵ月後も持続してβhCGが検知可能。
  5. 転移病巣。
  6. βhCG値正常化後の上昇。
  7. 遺残組織が原因ではない娩出後の出血。

全HMの除去後、約15%~20%の患者で最終的に遺残または悪性形質転換のために化学療法が必要になるが、部分HMの患者で必要になるのは5%未満である。化学療法は患者の修正世界保健機構予後スコアによって決定される。

全HMの女性における遺残または悪性形質転換のリスクは、以下のような特定の特徴がある場合には約2倍となる:


  • 年齢が35歳を超えるか、20歳未満。

  • 娩出前の血清βhCGが100,000 IU/Lを超える。

  • 子宮が妊娠日数に対して不正に大きい。

  • 子宮の奇胎容積が大きい。

  • 卵巣嚢胞が大きい(6cmを超える)。

  • 子癇前症。

  • 甲状腺機能亢進症。

  • 妊娠悪阻。

  • 絨毛塞栓。

  • 播種性血管内凝固症候群。

予防的なダクチノマイシンまたはメトトレキサートの単独コースにより、奇胎後の妊娠性絨毛疾患(GTD)のリスクを低減できることが諸研究で示されている。 [1] [2] [3] しかしながら、化学的予防は、その後にGTDを発症した女性において標準治療に対する腫瘍の抵抗性を高める懸念がある。 [1] そのため、この医療は、一般に経過観察に来院しない女性が多い国々に限定される。

最新の臨床試験

胞状奇胎患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Kim DS, Moon H, Kim KT, et al.: Effects of prophylactic chemotherapy for persistent trophoblastic disease in patients with complete hydatidiform mole. Obstet Gynecol 67 (5): 690-4, 1986.[PUBMED Abstract]

  2. Limpongsanurak S: Prophylactic actinomycin D for high-risk complete hydatidiform mole. J Reprod Med 46 (2): 110-6, 2001.[PUBMED Abstract]

  3. Uberti EM, Fajardo Mdo C, Ferreira SV, et al.: Reproductive outcome after discharge of patients with high-risk hydatidiform mole with or without use of one bolus dose of actinomycin D, as prophylactic chemotherapy, during the uterine evacuation of molar pregnancy. Gynecol Oncol 115 (3): 476-81, 2009.[PUBMED Abstract]

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低リスクの妊娠性絨毛新形成(FIGOスコア 0~6)の治療

低リスクの妊娠性絨毛新形成(GTN)の初期管理に対して、最良の化学療法レジメンに関するコンセンサスは得られておらず、第一選択レジメンは地理的条件および施設の選好によって異なる。ほとんどのレジメンは直接対照的に比較されておらず、効力に関する証拠レベルは、以下に記載するものを除いて、しばしば3iiDiiに限定される。レジメン間の初期寛解率に違いがあったとしても、代替レジメンによる救助がきわめて有効で、最終的な治癒率は一般に99%以上に達する。初期レジメンは、一般にヒト絨毛性ゴナドトロピン(βhCG)が(その施設の)正常値に達するまで実施され、連続3週間(または、βhCGが正常化してから治療を少なくとも1サイクル)は継続される。以下のいずれかが発生した場合は、救助レジメンが開始される:


  • βhCGが3週間プラトー状態(βhCGの減少が連続3週間で10%以下と定義される)。

  • βhCGが連続2週間で20%を超える上昇。

  • 転移の出現。

低リスクGTNの第一選択管理で化学療法を使用することについて、コクラン共同計画の系統的レビューで評価されている。 [1] この系統的レビューでは、4件のランダム化比較試験が特定された。 [2] [3] [4] [5]

これらのランダム化試験の3件 [3] [4] [5] では、以下のようなよく使用されている2種類の同じレジメンが比較された:


これらの3件の試験には患者が計392人含まれていた。3件すべての試験で、パルス投与のダクチノマイシンに関連して、有益性の大きさにはかなりの不均一性(I2統計 = 79%)が認められたものの、救助療法の追加を必要とせずに良好な一次完全奏効(CR)率が示された(治癒の相対リスク[RR]、3.00;95%信頼区間[CI]、1.10-8.17)。 [3] [4] [5] [証拠レベル:1iiDii]ダクチノマイシン治療では、CRおよび治癒を達成するまでに必要な治療コースが少なかった。予想されたように、ほぼすべての低リスクGTN患者が、初期化学療法レジメンとは無関係に最終的に治癒したことから、救助化学療法はほぼ一様に成功を収めた。以下を含む毒性のほとんどで、統計的な有意差は認められなかった:


  • 吐き気および嘔吐。

  • 下痢。

  • 血液毒性。

  • 肝毒性。

ダクチノマイシンに関連する脱毛などの皮膚毒性においては、統計的に有意な増加が認められた。しかしながら、最大規模の研究 [5] では、ダクチノマイシン群において、低グレードの胃腸毒性、グレード2の吐き気、グレード1~2の嘔吐、およびグレード1~3の好中球減少症が統計的有意に多く認められた。この研究では、絨毛がん患者およびリスクスコアが5~6の患者は、単剤療法による初期治療に対してCR率が悪く、メトトレキサートは実質的に無効であった。 [5]

4件目のランダム化試験は45人の患者を対象としたごく小規模な研究で、ダクチノマイシン(10μg/kg)の5日間レジメンと、メトトレキサート(1mg/kg)およびフォリン酸(0.1mg/kg)を隔日に投与する8日間レジメンが比較された。ダクチノマイシン群では、救助療法を必要とせずに一次治癒を達成できないリスクの統計的に有意な減少が認められた(RR、0.57;95%CI、0.40-0.81)。 [2] [証拠レベル:1iiDii]メトトレキサートに関連した脱毛は少なかったが、肝毒性が多くみられた。

コクランの体系的レビューでも、4件の非ランダム化試験から得られた証拠が要約されているが、試験全体での比較は困難である。これらの研究で評価されたレジメンは、以下に示すリストに含まれている。 [1] [証拠レベル:3iiDii]

よく使用されている治療レジメンには、以下のものがある:

  1. 8日間のチャリングクロス・レジメン。メトトレキサート(50mgを1、3、5、および7日目に筋肉内[IM]投与)とフォリン酸(7.5mgを2、4、6、および8日目に経口投与)。このレジメンは世界で最も多く使用されていると考えられるが [1] [6] 、他のレジメンとは直接比較されたことはない。
  2. 隔週パルス投与のダクチノマイシン(1.25mg/m2をIV投与)。
  3. 毎週のメトトレキサート(30mg/m2をIM投与)。このレジメンの効力は、絨毛がん患者、および国際産婦人科連合(FIGO)のリスクスコアが5~6の患者では低いとみられる。

他に使用頻度が少ないレジメンとして、以下のものがある:


  • メトトレキサート(1mg/kgを1、3、5、および7日目にIM投与)およびフォリン酸(0.1mg/kgを2、4、6、および8日目にIM投与)の8日間レジメン。

  • メトトレキサート20mg/m2を1~5日目にIM投与し、それを14日ごとに繰り返すもの。

  • ダクチノマイシン12μg/kg/日を1~5日目にIV投与し、それを2~3週間ごとに繰り返すもの。このレジメンは、脱毛および吐き気がかなりみられるため好む人が減少している。

  • メトトレキサート20mgを1~5日目にIM投与し;さらに、ダクチノマイシン500μgを1~5日目にIV投与し、それを14日間ごとに繰り返すもの。

  • ダクチノマイシン10μg/kg/日を1~5日目に投与し、それを2週間ごとに繰り返すもの。

  • メトトレキサート0.4mg/kg/日を1~5日目にIM投与し、それを7日間ごとに繰り返すもの。

  • 10日間隔で、エトポシド100mg/m2/日を1~5日目にIV投与、または250mg/m2を1および3日目にIV投与するもの。 [7]

単剤療法に対して腫瘍が抵抗性となるようなまれな患者では、以下に示す高リスクGTNに対する併用療法レジメンのひとつを用いて治療する。(詳しい情報については、本要約の高リスクの妊娠性絨毛新形成(FIGOスコアが7以上)の治療セクションを参照のこと。)

最新の臨床試験

低リスクの転移性妊娠性絨毛腫瘍患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Alazzam M, Tidy J, Hancock BW, et al.: First line chemotherapy in low risk gestational trophoblastic neoplasia. Cochrane Database Syst Rev (1): CD007102, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Lertkhachonsuk AA, Israngura N, Wilailak S, et al.: Actinomycin d versus methotrexate-folinic acid as the treatment of stage I, low-risk gestational trophoblastic neoplasia: a randomized controlled trial. Int J Gynecol Cancer 19 (5): 985-8, 2009.[PUBMED Abstract]

  3. Gilani MM, Yarandi F, Eftekhar Z, et al.: Comparison of pulse methotrexate and pulse dactinomycin in the treatment of low-risk gestational trophoblastic neoplasia. Aust N Z J Obstet Gynaecol 45 (2): 161-4, 2005.[PUBMED Abstract]

  4. Yarandi F, Eftekhar Z, Shojaei H, et al.: Pulse methotrexate versus pulse actinomycin D in the treatment of low-risk gestational trophoblastic neoplasia. Int J Gynaecol Obstet 103 (1): 33-7, 2008.[PUBMED Abstract]

  5. Osborne RJ, Filiaci V, Schink JC, et al.: Phase III trial of weekly methotrexate or pulsed dactinomycin for low-risk gestational trophoblastic neoplasia: a gynecologic oncology group study. J Clin Oncol 29 (7): 825-31, 2011.[PUBMED Abstract]

  6. Khan F, Everard J, Ahmed S, et al.: Low-risk persistent gestational trophoblastic disease treated with low-dose methotrexate: efficacy, acute and long-term effects. Br J Cancer 89 (12): 2197-201, 2003.[PUBMED Abstract]

  7. Hitchins RN, Holden L, Newlands ES, et al.: Single agent etoposide in gestational trophoblastic tumours. Experience at Charing Cross Hospital 1978-1987. Eur J Cancer Clin Oncol 24 (6): 1041-6, 1988.[PUBMED Abstract]

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高リスクの妊娠性絨毛新形成(FIGOスコアが7以上)の治療

高リスクの妊娠性絨毛新形成(GTN)の初期管理では、多剤併用化学療法が標準である。体系的文献レビューでは、高リスクのGTNに対する多剤併用化学療法を比較しているランダム化比較試験はわずか1件 - 1980年代に実施された試験 - しか確認できなかった(また、高品質の試験は皆無であった)。 [1] この試験では、わずか42人の女性を対象に、CHAMOMAレジメン(すなわち、メトトレキサート、フォリン酸、ヒドロキシウレアダクチノマイシンビンクリスチンメルファラン、およびドキソルビシン)、またはMACレジメン(すなわち、メトトレキサートダクチノマイシン、およびクロラムブシル)のいずれかにランダムに割り付けた。 [2] CHAMOMA群では、生命を脅かす毒性がかなりみられ、効力が高いという証拠は認められなかった。しかしながら、この試験では重大な方法論的な問題があった。報告によると、同等性試験としてデザインされたが、サンプルサイズが小さすぎたため、この試験では同等性を評価できるだけの検出力が不足していた。さらに、2つの研究群にランダムに割り付けられた患者の特性が報告されておらず(ただし、著者らは、各群に割り付けられた患者集団に大きな違いは認められなかったと述べている)、ランダム化または割り付けの隠ぺい方法も記載されていなかった。

よく使用されているレジメンを比較して、一方が他方よりも優位なことを確立するようなランダム化試験は存在しない。そのため、文献調査では、最良の化学療法レジメンに関して確固たる結論は下せない。 [1] [証拠レベル:3iiiDii]それでも、EMA/COレジメン(すなわち、エトポシドメトトレキサート、およびダクチノマイシン/シクロホスファミドおよびビンクリスチン)が最もよく使用されていることから、その仕様を以下の表2に記載する。 [3] [4] [5]

表2.EMA/COレジメンの仕様a,b,c

投与日 薬物 用量
IV = 静脈内;PO = 経口。
a 出典:Bower et al. [3]
b 出典:Escobar et al. [4]
c 出典:Lurain et al. [5]
1 エトポシド 100mg/m2を30分でIV投与
  ダクチノマイシン 0.5mgをパルスでIV投与
  メトトレキサート 300mg/m2を12時間でIV投与
2 エトポシド 100mg/m2を30分でIV投与
  ダクチノマイシン 0.5mgをパルスでIV投与
  フォリン酸 15mgをメトトレキサート開始24時間前から12時間おきに4回PO投与
8 シクロホスファミド 600mg/m2をIV点滴
  ビンクリスチン 0.8~1.0mg/m2をパルスでIV投与(最大用量2mg)


診断時に認められた転移がすべて消失し、血清βヒト絨毛性ゴナドトロピン(βhCG)が正常化するまで、2週間ごとのサイクル(次は、15、16、および22日目)を繰り返し、正常化後は通常、さらに3~4サイクル治療を継続する。

272人の患者を対象に最大16年間追跡した大規模な連続ケースシリーズの結果では、このレジメンを使用した完全寛解率が78%であったことが示されており、こうした結果は文献調査においてEMA/COを採用した他のケースシリーズと一致している。 [3] 完全寛解が得られなかったか、またはその後病気が再発した女性のうち、2/3を超える女性がシスプラチンを含むレジメンによる救助療法(転移巣の切除を実施した例もある)を受けた可能性があり、86.2%(95%CI、81.9%-90.5%)の長期治癒率が得られている。 [3] [証拠レベル:3iiA]さらに、ルーチンでシスプラチン+エトポシドをEMA/COに追加した場合、このような高リスク患者における生存率が9%改善したことが報告されている。 [6] 子宮が損なわれていない女性では、約50%が妊孕能を保持していた。脳転移が確認されていた患者では、EMA/COのEMAを構成する薬物(すなわち、エトポシドメトトレキサート、フォリン酸、およびダクチノマイシン)のひとつとして、全身メトトレキサートの用量を増量して投与された(1g/m2を24時間かけてIV投与し、その32時間後から6時間ごとに12回、フォリン酸15mgを経口投与)。脳転移を有する患者では、高用量の全身メトトレキサート1g/m2を24時間かけて投与した後に、フォリン酸(メトトレキサート投与の32時間後から6時間ごとに12回、15mgを経口投与)が投与された。肺転移を認める患者では、予防的に頭蓋放射線照射、およびCO(すなわち、シクロホスファミドビンクリスチン)サイクルと合わせてメトトレキサート12.5mgが2週間ごとに髄腔内投与された。

他に使用されているレジメンの例として、以下のものがある: [1]


脳転移は予後不良と関係しており、肝転移も認められる場合は特に予後が悪い。 [7] [8] [9] しかしながら、脳転移を認める患者でも、50%~80%の症例で長期的な寛解に至る可能性がある。 [3] [4] [9] 中枢神経系(CNS)転移を認める患者では、全身化学療法の開始と同時に付加的な治療が実施される。一部の施設では、全脳照射(2Gy分割で30Gy)を利用しており、メトトレキサートの髄腔内投与を併用する場合もある。 [7] しかしながら、一部の研究者は、頭蓋照射を省略し、代わりにEMA/COレジメンの標準用量メトトレキサートを頼りにしており、上述したように、第1日目に高用量の1,000mg/m2を24時間かけてIV投与することでCNSの治療濃度を達成している。 [9]

最新の臨床試験

高リスクの転移性妊娠性絨毛腫瘍患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Deng L, Yan X, Zhang J, et al.: Combination chemotherapy for high-risk gestational trophoblastic tumour. Cochrane Database Syst Rev (2): CD005196, 2009.[PUBMED Abstract]

  2. Curry SL, Blessing JA, DiSaia PJ, et al.: A prospective randomized comparison of methotrexate, dactinomycin, and chlorambucil versus methotrexate, dactinomycin, cyclophosphamide, doxorubicin, melphalan, hydroxyurea, and vincristine in "poor prognosis" metastatic gestational trophoblastic disease: a Gynecologic Oncology Group study. Obstet Gynecol 73 (3 Pt 1): 357-62, 1989.[PUBMED Abstract]

  3. Bower M, Newlands ES, Holden L, et al.: EMA/CO for high-risk gestational trophoblastic tumors: results from a cohort of 272 patients. J Clin Oncol 15 (7): 2636-43, 1997.[PUBMED Abstract]

  4. Escobar PF, Lurain JR, Singh DK, et al.: Treatment of high-risk gestational trophoblastic neoplasia with etoposide, methotrexate, actinomycin D, cyclophosphamide, and vincristine chemotherapy. Gynecol Oncol 91 (3): 552-7, 2003.[PUBMED Abstract]

  5. Lurain JR, Singh DK, Schink JC: Management of metastatic high-risk gestational trophoblastic neoplasia: FIGO stages II-IV: risk factor score > or = 7. J Reprod Med 55 (5-6): 199-207, 2010 May-Jun.[PUBMED Abstract]

  6. Alifrangis C, Agarwal R, Short D, et al.: EMA/CO for high-risk gestational trophoblastic neoplasia: good outcomes with induction low-dose etoposide-cisplatin and genetic analysis. J Clin Oncol 31 (2): 280-6, 2013.[PUBMED Abstract]

  7. Small W Jr, Lurain JR, Shetty RM, et al.: Gestational trophoblastic disease metastatic to the brain. Radiology 200 (1): 277-80, 1996.[PUBMED Abstract]

  8. Crawford RA, Newlands E, Rustin GJ, et al.: Gestational trophoblastic disease with liver metastases: the Charing Cross experience. Br J Obstet Gynaecol 104 (1): 105-9, 1997.[PUBMED Abstract]

  9. Newlands ES, Holden L, Seckl MJ, et al.: Management of brain metastases in patients with high-risk gestational trophoblastic tumors. J Reprod Med 47 (6): 465-71, 2002.[PUBMED Abstract]

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胎盤性絨毛腫瘍の治療

胎盤性絨毛腫瘍(PSTT)がまれなことを考えると、治療結果の報告は比較的小規模なケースシリーズに限定されており、登録期間もきわめて長期に及んでいる。そのため、手術アプローチまたは化学療法レジメンでの信頼できる比較はほとんど不可能である。それでも、胎盤部妊娠性絨毛腫瘍(PSTT)とその他の妊娠性絨毛腫瘍との間の根底にある生物学には違い - 特に化学療法に対する抵抗性 - があり、以下に示すような特殊な治療戦略が正当化される:

  1. 子宮に限局する腫瘍(国際産婦人科連合[FIGO]病期でI期)。

    子宮摘出が治療選択肢となる。 [1] [2] PSTTの女性62人を対象とした比較的大規模なレトロスペクティブな集団ベースの連続ケースシリーズでは、33人の腫瘍が子宮に限局しており、子宮摘出単独(n = 17)、または子宮摘出と化学療法の併用(n = 16)による治療が実施された。10年全生存率は、両群間で実質的に同じであった(それぞれ90%および91%)。手術単独群でわずか1人、および併用療法群で2人に再発が認められた。 [2] [証拠レベル:3iDii]最適な手術の範囲(例えば、リンパ節切除または卵巣摘出)の指針となる証拠はほとんど得られなかった。

  2. 子宮外の生殖器構造まで拡がった腫瘍(FIGO病期でII期)。

    全切除を実施し、補助化学療法を併用する場合もある。術後の再燃率が高く、患者の全死亡率も高いため、補助多剤併用化学療法を検討すべきである。 [1] [2] [証拠レベル:3iDii]しかしながら、全死亡率に対する補助療法の効果は確定していない。

  3. 転移腫瘍(FIGO病期でIII期およびIV期)。

    多剤併用化学療法。さまざまなレジメンが用いられているが、あるレジメンが優れているか判定する直接比較は実施されていない。レジメンの一部は、以下のものである: [1] [2]


ひとつにはPSTT固有の化学療法抵抗性のために、高リスクの妊娠性絨毛新形成に用いられる化学療法レジメンに加えて、腫瘍切除を検討することが多い。レトロスペクティブシリーズでは、子宮摘出、肺転移巣切除、または閉塞性腹部病変の除去などの補助手術には、良好な病勢制御との関係が認められている。しかしながら、このような良好な転帰の内のどの要素が、手術または患者の選択因子によるものかは明らかではない。 [2] [3] [証拠レベル:3iiiDii]

最新の臨床試験

胎盤部妊娠性絨毛腫瘍患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Lurain JR: Gestational trophoblastic tumors. Semin Surg Oncol 6 (6): 347-53, 1990.[PUBMED Abstract]

  2. Schmid P, Nagai Y, Agarwal R, et al.: Prognostic markers and long-term outcome of placental-site trophoblastic tumours: a retrospective observational study. Lancet 374 (9683): 48-55, 2009.[PUBMED Abstract]

  3. Feltmate CM, Genest DR, Goldstein DP, et al.: Advances in the understanding of placental site trophoblastic tumor. J Reprod Med 47 (5): 337-41, 2002.[PUBMED Abstract]

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類上皮性絨毛腫瘍の治療

類上皮性絨毛腫瘍はきわめてまれであり、治療の指針となる情報はほとんどない。しかしながら、類上皮性絨毛腫瘍は、胎盤性絨毛腫瘍と挙動および予後が類似しているため、同様な方法で管理することが妥当である。(詳しい情報については、本要約の胎盤性絨毛腫瘍の治療のセクションを参照のこと。)類上皮性絨毛腫瘍のうち、挙動において悪性なものはごく少数であるが、全身性治療に対する反応はほとんどみられない。さまざまな化学療法レジメンが用いられている。 [1]

最新の臨床試験

類上皮性絨毛腫瘍患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Palmer JE, Macdonald M, Wells M, et al.: Epithelioid trophoblastic tumor: a review of the literature. J Reprod Med 53 (7): 465-75, 2008.[PUBMED Abstract]

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再発性または化学療法抵抗性の妊娠性絨毛新形成の治療

初回治療が手術単独でない限り、再発は過去の化学療法が奏効しなかったことを示している。病気の再発率は、非転移性腫瘍患者の2.5%、予後良好の転移性腫瘍患者の3.7%、予後不良の転移性腫瘍患者の13%であることを示した研究が1件ある。 [1] ほぼすべての再発は、寛解から3ヵ月以内に現れる(85%が18ヵ月以内)。初回手術治療後に病気が進行した患者では、併用化学療法を必要とするような予後不良因子がひとつでも付随して認められない限り、一般には単剤化学療法による治療が実施される。先の化学療法失敗後に再燃した場合、自動的にその患者は高リスクのカテゴリーに分類される。このような患者は、積極的な化学療法により治療すべきである。

併用化学療法の報告は、小規模なレトロスペクティブケースシリーズから得られる。多剤併用レジメンにより、50%を超える長期無病生存率が達成される。 [2] [証拠レベル:3iiiDii]以下の併用療法を含めて、さまざまなレジメンが報告されている: [3] [4] [5] [6] [7]


化学療法抵抗性で臨床的に検出可能な妊娠性絨毛新形成の患者のうち、選択されたグループでは救助手術により利益が得られる場合がある。 [8] [証拠レベル:3iiiDii]

最新の臨床試験

再発妊娠性絨毛腫瘍患者を現在受け入れているNCIのがん臨床試験リストの米国内臨床試験を参照のこと(なお、このサイトは日本語検索に対応していない。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。臨床試験のリストは、場所、薬物、介入、他の基準によりさらに絞り込むことができる。

臨床試験に関する一般情報は、NCIウェブサイトからも入手することができる。


参考文献
  1. Mutch DG, Soper JT, Babcock CJ, et al.: Recurrent gestational trophoblastic disease. Experience of the Southeastern Regional Trophoblastic Disease Center. Cancer 66 (5): 978-82, 1990.[PUBMED Abstract]

  2. Newlands ES: The management of recurrent and drug-resistant gestational trophoblastic neoplasia (GTN). Best Pract Res Clin Obstet Gynaecol 17 (6): 905-23, 2003.[PUBMED Abstract]

  3. Matsui H, Iitsuka Y, Suzuka K, et al.: Salvage chemotherapy for high-risk gestational trophoblastic tumor. J Reprod Med 49 (6): 438-42, 2004.[PUBMED Abstract]

  4. Xiang Y, Sun Z, Wan X, et al.: EMA/EP chemotherapy for chemorefractory gestational trophoblastic tumor. J Reprod Med 49 (6): 443-6, 2004.[PUBMED Abstract]

  5. Lurain JR, Nejad B: Secondary chemotherapy for high-risk gestational trophoblastic neoplasia. Gynecol Oncol 97 (2): 618-23, 2005.[PUBMED Abstract]

  6. Wan X, Xiang Y, Yang X, et al.: Efficacy of the FAEV regimen in the treatment of high-risk, drug-resistant gestational trophoblastic tumor. J Reprod Med 52 (10): 941-4, 2007.[PUBMED Abstract]

  7. Wang J, Short D, Sebire NJ, et al.: Salvage chemotherapy of relapsed or high-risk gestational trophoblastic neoplasia (GTN) with paclitaxel/cisplatin alternating with paclitaxel/etoposide (TP/TE). Ann Oncol 19 (9): 1578-83, 2008.[PUBMED Abstract]

  8. Lehman E, Gershenson DM, Burke TW, et al.: Salvage surgery for chemorefractory gestational trophoblastic disease. J Clin Oncol 12 (12): 2737-42, 1994.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(02/25/2015)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

妊娠性絨毛疾患に関する一般情報

本セクションには編集上の変更がなされた。

本要約はPDQ Adult Treatment Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、妊娠性絨毛疾患の治療について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Adult Treatment Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

妊娠性絨毛疾患の治療に対する主要な査読者は以下の通りである:


    本要約の内容に関するコメントまたは質問は、ウェブサイトのContact FormからCancer.gov まで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

    証拠レベル

    本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Adult Treatment Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

    本要約の使用許可

    PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

    本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

    National Cancer Institute: PDQ® Gestational Trophoblastic Disease Treatment.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Date last modified <MM/DD/YYYY>.Available at: http://www.cancer.gov/cancertopics/pdq/treatment/gestationaltrophoblastic/HealthProfessional.Accessed <MM/DD/YYYY>.

    本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

    免責条項

    入手可能な証拠の強さに基づき、治療選択肢は「標準」または「臨床評価段階にある」のいずれかで記載される場合がある。これらの分類は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのCoping with Cancer: Financial, Insurance, and Legal Informationページで入手できる。

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