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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

食道がんの予防(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-03-17
    翻訳更新日 : 2017-05-16


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、食道がんの予防について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

概要

注:食道がんのスクリーニング食道がんの治療、およびがんのスクリーニング(検診)と予防の研究に関する証拠レベルについては、別のPDQ要約を参照できるようにしてある。

リスクのある個人

米国をはじめとする西欧諸国における食道扁平上皮がん症例のおよそ90%は喫煙および飲酒が原因であると考えられる。 [1] 胃食道逆流/バレット食道は、食道腺がんのリスクのリスク増加と関連している。食道腺がんのリスク増大を説明することができる他の因子には肥満 [2] のほか、下部食道括約筋を弛緩させて胃食道逆流症(GERD)を来しやすくする抗コリン作用薬などの薬物の使用がある。 [3]

食道扁平上皮がん

食道扁平上皮がんリスク増加の十分な証拠がある因子

喫煙および飲酒

固い証拠によると、喫煙と飲酒は食道扁平上皮がんのリスクを増加させる。米国をはじめとする西欧諸国における食道扁平上皮がんのおよそ90%は喫煙および飲酒が原因であると考えられる。 [1]

影響の大きさ:リスク増加、大きさは中等度。


    研究デザイン

    :複数の集団ベースのケースコントロールまたはコホート研究からの証拠。

    内部妥当性

    :中等度。

    一貫性

    :良好。

    外部妥当性

    :中等度。

食道扁平上皮がんリスク低下の十分な証拠がある因子

禁煙とアルコールの回避

固い証拠によると、禁煙とアルコールの回避は食道扁平上皮がんのリスクを低下させる。 [1] [4]

影響の大きさ:大きなプラスの利益。


    研究デザイン

    :複数のコホートまたはケースコントロール研究から得られた証拠。

    内部妥当性

    :中等度。

    一貫性

    :複数の研究。

    外部妥当性

    :中等度。

化学的予防

アスピリンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用

有益性

中等度の証拠によると、複数の疫学研究が、アスピリンまたはNSAIDの使用は、食道がんの発症または死亡のリスク減少と関連していることを明らかにしている(オッズ比[OR]、0.57;95%信頼区間[CI]、0.47-0.71)。 [5]

影響の大きさ:小さなプラスの影響。


    研究デザイン

    :複数のコホートまたはケースコントロール研究から得られた証拠。

    内部妥当性

    :中等度。

    一貫性

    :良好。

    外部妥当性

    :中等度。

有害性

固い証拠によると、NSAID使用の害には、上部消化管出血、および心筋梗塞、心不全、出血性脳卒中、腎障害などの重篤な心血管イベントがある。

影響の大きさ:リスク増加、大きさは小さい。


    研究デザイン

    :複数のランダム化比較試験から得られた証拠。

    内部妥当性

    :中等度。

    一貫性

    :良好。

    外部妥当性

    :中等度。

食道の腺がん

食道腺がんリスク増加の十分な証拠がある因子

胃食道逆流

中等度の証拠によると、GERDと腺がんとの間には、特にGERDが長期に及び、症状が重度の場合に相関が認められる。 [6] [7] スウェーデンのあるケースコントロール研究において、再発性の逆流症状が認められる患者のORが7.7であった一方、症状が長期に及び、重度の患者のORは43.5(95%CI、18.3-103.5)であった。 [8] 5件のケースコントロール研究からの食道腺がん患者1,128人のメタアナリシスにより、再発性の胸やけ(OR、4.6;95%CI、3.3-6.6)、逆流(OR、4.6;95%CI、3.4-6.1)、またはその両方(OR、4.8;95%CI、3.4-6.8)が認められる場合にリスクが統計的に有意に増加したことが報告された。日常的な胸やけおよび逆流はリスクの8倍の増加に関連した(OR、8.0;95%CI、4.5-14.0)。 [7]

外科的または内科的手段による胃食道逆流の一掃が食道腺がんのリスクを低下させるかどうかは分かっていない。 [8] [9]

影響の大きさ:不明。


    研究デザイン

    :複数のケースコントロール研究。

    内部妥当性

    :中等度。

    一貫性

    :良好;複数の研究。

    外部妥当性

    :中等度。

食道腺がんリスク低下の十分な証拠がある介入

アスピリンおよびNSAIDの使用

有益性

中等度の証拠によると、複数の疫学研究が、アスピリンまたはNSAIDの使用は、食道がんの発症または死亡のリスク減少と関連していることを明らかにしている(OR、0.57;95%CI、0.47-0.71)。 [5] [10]

影響の大きさ:大きさは不明。


    研究デザイン

    :複数のコホートまたはケースコントロール研究から得られた証拠。

    内部妥当性

    :中等度。

    一貫性

    :良好。

    外部妥当性

    :中等度。

有害性

固い証拠によると、NSAID使用の害には、上部消化管出血、および心筋梗塞、心不全、出血性脳卒中、腎障害などの重篤な心血管イベントがある。

影響の大きさ:リスク増加;大きさは小さい。


    研究デザイン

    :複数のランダム化比較試験から得られた証拠。

    内部妥当性

    :良好。

    一貫性

    :良好。

    外部妥当性

    :良好。

異形成を伴うバレット食道の焼灼術

有益性

1件のランダム化比較試験により、重度の異形成を伴うバレット食道のラジオ波焼灼術は異形成と腸上皮化生の両方を根絶し、疾患進行リスクを低下しうることが明らかにされている。 [11]

影響の大きさ:がん死亡率への影響は不明。


    研究デザイン

    :ランダム化比較試験から得られた証拠。

    内部妥当性

    :良好。

    一貫性

    :単一研究。

    外部妥当性

    :良好。

有害性

固い証拠によると、ラジオ波焼灼術の有害性としては、低い割合ではあるが食道狭窄および拡張の必要性、および上部消化管出血が挙げられる。特に重度の異形成を伴わないバレット食道の過剰診断および過剰治療はかなりの数の害をもたらす可能性がある。

影響の大きさ:低い割合の食道狭窄および拡張の必要性および上部消化管出血は、この手技が経験の乏しい医師により広く採用されている場合は、リスクの過小表示である可能性がある。


    研究デザイン

    :ランダム化比較試験から得られた証拠。

    内部妥当性

    :良好。

    一貫性

    :単一研究。

    外部妥当性

    :異形成、特に重度の異形成を有する個人のサブセットを代表する患者;この手技は新たな技術であり、専門知識を必要とするため、医師が手技を実践する医師の代表ではない可能性がある。

参考文献
  1. Engel LS, Chow WH, Vaughan TL, et al.: Population attributable risks of esophageal and gastric cancers. J Natl Cancer Inst 95 (18): 1404-13, 2003.[PUBMED Abstract]

  2. Lagergren J: Controversies surrounding body mass, reflux, and risk of oesophageal adenocarcinoma. Lancet Oncol 7 (4): 347-9, 2006.[PUBMED Abstract]

  3. Lagergren J, Bergström R, Adami HO, et al.: Association between medications that relax the lower esophageal sphincter and risk for esophageal adenocarcinoma. Ann Intern Med 133 (3): 165-75, 2000.[PUBMED Abstract]

  4. Siemiatycki J, Krewski D, Franco E, et al.: Associations between cigarette smoking and each of 21 types of cancer: a multi-site case-control study. Int J Epidemiol 24 (3): 504-14, 1995.[PUBMED Abstract]

  5. Corley DA, Kerlikowske K, Verma R, et al.: Protective association of aspirin/NSAIDs and esophageal cancer: a systematic review and meta-analysis. Gastroenterology 124 (1): 47-56, 2003.[PUBMED Abstract]

  6. Lagergren J, Bergström R, Lindgren A, et al.: Symptomatic gastroesophageal reflux as a risk factor for esophageal adenocarcinoma. N Engl J Med 340 (11): 825-31, 1999.[PUBMED Abstract]

  7. Cook MB, Corley DA, Murray LJ, et al.: Gastroesophageal reflux in relation to adenocarcinomas of the esophagus: a pooled analysis from the Barrett's and Esophageal Adenocarcinoma Consortium (BEACON). PLoS One 9 (7): e103508, 2014.[PUBMED Abstract]

  8. Lagergren J, Ye W, Lagergren P, et al.: The risk of esophageal adenocarcinoma after antireflux surgery. Gastroenterology 138 (4): 1297-301, 2010.[PUBMED Abstract]

  9. Spechler SJ, Goyal RK: The columnar-lined esophagus, intestinal metaplasia, and Norman Barrett. Gastroenterology 110 (2): 614-21, 1996.[PUBMED Abstract]

  10. Liao LM, Vaughan TL, Corley DA, et al.: Nonsteroidal anti-inflammatory drug use reduces risk of adenocarcinomas of the esophagus and esophagogastric junction in a pooled analysis. Gastroenterology 142 (3): 442-452.e5; quiz e22-3, 2012.[PUBMED Abstract]

  11. Shaheen NJ, Sharma P, Overholt BF, et al.: Radiofrequency ablation in Barrett's esophagus with dysplasia. N Engl J Med 360 (22): 2277-88, 2009.[PUBMED Abstract]

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証拠の記述

背景

次の2つの組織型:腺がんと扁平上皮がんが、食道悪性新生物のほとんどを占めている。これらの型の疫学は著明に異なる。1960年代には、扁平上皮がんが全食道腫瘍の90%超を占めていた。食道腺がんの発生率はこの20年間に著しく上昇した;現在、食道腺がんは米国および西ヨーロッパでは扁平上皮がんよりも多くみられ、大半の腫瘍が下部食道に発生する。 [1]

発生率および死亡率

2017年、米国では年間約16,940人が食道がんと診断され、15,690人が食道がんで死亡するとされている。新規症例のうち13,360人が男性、3,580人が女性と推定されている。 [2] 発生率は一般に、すべての人種/民族グループで年齢とともに増加する。しかし、黒人男性の55~69歳の発生率は、70歳以上の白人男性の発生率に匹敵する。55~69歳の黒人女性の発生率は、70歳以上の白人女性の発生率よりわずかに高い。 [3]

食道扁平上皮がんの全発生率は低下しているが、この組織型は依然として黒人男性の方が白人男性より6倍多く発生している。 [4] 対照的に、食道腺がんの発生率は1970年代から1990年代中頃に急速に増加した。 [5]

男性であることは、食道腺がんの重要な予測因子である。女性における寄与リスクは十分に低いため(もっとも、性別によるリスクは修正できないが)、他の危険因子の影響は必然的に限定的である。 [5]

食道扁平上皮がん

食道扁平上皮がんリスク増加の十分な証拠がある因子

喫煙および飲酒

米国では、食道の扁平上皮がんはタバコおよびアルコール過剰摂取と強く関連している。喫煙に関連する相対リスクは2.4、人口寄与危険度は54.2%(95%信頼区間[CI] 3.0-76.2)である。 [6] [7] 喫煙因子を調整したレトロスペクティブコホート研究では、大酒家の食道がんのリスクが一般集団の割合に比べて、2~7倍増加することを示している。 [6] 複数のケースコントロール研究も、アルコール過剰摂取に関連する食道がんのリスクの有意な増加を示唆している。

食道扁平上皮がんを有する患者221人および対照695人を対象にした1件の集団ベースの多施設ケースコントロール研究において、喫煙経験、飲酒、果物および野菜の摂取不足は、食道扁平上皮がんのそれぞれ、56.9%(95%CI、36.6%-75.1%)、72.4%(95%CI、53.3%-85.8%)、および28.7%(95%CI、11.1%-56.5%)の原因になっており、統合した人口寄与リスクは89.4%(95%CI、79.1%-95.0%)であった。 [8]

食道がんの全有病率が米国よりもはるかに高い中国では、食道がんはレチノール、リボフラビン、α-カロチン、β-カロチン、α-トコフェロール、アスコルビン酸塩、亜鉛などの栄養素の不足および特定の発がん物質(例、N-ニトロソ化合物)への曝露と関連がある。 [6]

食道扁平上皮がんリスク低下の十分な証拠がある因子

化学的予防

食道がんの化学予防に関するあるプロスペクティブ・プラセボ対照研究は、リスクの高い中国人患者610人をランダムに割り付けた。 [9] 患者は年齢が35~64歳で、プラセボあるいは低用量のレチノール(15mgまたは50,000IU) + リボフラビン(200mg)とグルコン酸亜鉛(50mg)の併用を13.5ヵ月間投与された。全登録患者の93%で標準組織学的評価(2回の内視鏡生検を含む)が行われた。治療開始前および13.5ヵ月後の治療終了時に、食道の細胞から小核が採取された。試験開始時、試験開始から2ヵ月後および13.5ヵ月後にビタミンA、β-カロチン、リボフラビン、および亜鉛の血清中濃度が測定された。

この研究の第2報で小核頻度の結果が示された。 [10] 食道小核細胞の百分率の平均値は、治療群の方がプラセボ群より統計的に有意に低下していた。中間的エンドポイントのもう1つの指標となりうる細胞増殖パターンも改善していた。 [11]

アスピリンと非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)の使用

アスピリンおよびNSAIDの使用と食道がんとの関連に関する系統的レビューおよびメタアナリシスで、1980年から2001年に発表された2件のコホート研究および7件のケースコントロール研究が確認された。 [12] 蓄積された複数の結果が、アスピリン/NSAIDの使用と食道がんとの予防的関係を示した(オッズ比[OR]、0.57、95%CI、0.47-0.71)。アスピリン使用との関連は、統計的に有意であった(OR、0.50、95%CI、0.38-0.66);NSAIDとの関連は、境界有意性を示した(OR、0.75、95%CI、0.54-1.0)。アスピリン/NSAIDの使用は、腺がん(OR、0.67、95%CI、0.51-0.87)と扁平上皮がん(OR、0.58、95%CI、0.43-0.78)の両方のリスク低下と関連していた。 [12]

食道の腺がん

食道腺がんリスク増加に関連する因子

胃食道逆流症(GERD)

扁平上皮がんと腺がんとの最も重要な疫学的差異は、GERDと腺がんの強い相関である。ある集団ベースのケースコントロール研究の結果は、症候性胃食道逆流が食道腺がんの危険因子であることを示唆している。逆流症状の頻度、重症度、および持続期間と食道腺がんのリスク増大との間には、正の相関が認められる。 [13] スウェーデンのあるケースコントロール研究において、再発性の逆流症状が認められる患者のORが7.7であった一方、症状が長期に及び、重度の患者のORは43.5(95%CI、18.3-103.5)であった。 [13] 5件のケースコントロール研究からの食道腺がん患者1,128人のメタアナリシスにより、再発性の胸やけ(OR、4.6;95%CI、3.3-6.6)、逆流(OR、4.6;95%CI、3.4-6.1)、またはその両方(OR、4.8;95%CI、3.4-6.8)が認められる場合にリスクが統計的に有意に増加したことが報告された。日常的な胸やけおよび逆流はリスクの8倍の増加に関連した(OR、8.0;95%CI、4.5-14.0)。 [14] 考えられる機序は、長期にわたるGERDは、通常下部食道を覆っている重層扁平上皮が異常な腸上皮化生を伴う上皮に置換されるバレット(Barrett)食道の発生と関連している;バレット食道は食道腺がんの前駆病変であると考えられる。 [15] バレット食道の腸上皮化生を伴う上皮では、扁平上皮とは異なる特徴的な内視鏡像が認められる。 [16] バレット上皮における異形成は円柱上皮の腫瘍化を表しており、浸潤性腺がんに進展しうる。 [17]

スウェーデンのある集団ベースのコホート研究により、バレット食道を有する患者は追跡モニタリング1,000人年当たり約1.2例の頻度で食道腺がんを発症することが示されており、これは一般集団よりも約11.3倍高い。したがって、相対リスクは高い可能性があるが、絶対リスクはまだ高くない。さらに、食道腺がん症例の半数以上がGERD症状とは関連していない。

食道腺がんリスク低下の十分な証拠がある介入

アスピリンおよびNSAIDの使用

アスピリンおよびNSAIDの使用と食道がんとの関連に関する系統的レビューおよびメタアナリシスで、1980年から2001年に発表された2件のコホート研究および7件のケースコントロール研究が確認された。 [12] 蓄積された複数の結果が、アスピリン/NSAIDの使用と食道がんとの予防的関係を示している(OR、0.57、95%CI、0.47-0.71)。アスピリン使用との関連は、統計的に有意であった(OR、0.50、95%CI、0.38-0.66);NSAIDとの関連は、境界有意性を示した(OR、0.75、95%CI、0.54-1.0)。アスピリン/NSAIDの使用は、腺がん(OR、0.67、95%CI、0.51-0.87)と扁平上皮がん(OR、0.58、95%CI、0.43-0.78)の両方のリスク低下と関連していた。 [12]

異形成を伴うバレット食道におけるラジオ波焼灼術

1件のランダム化比較試験 [18] により、バレット食道および異形成を有する患者におけるラジオ波焼灼術(vs 模擬の焼灼術)で異形成を伴うバレット食道を根絶し、腫瘍に進行する割合を低下させられるかどうかが評価された。低悪性度の異形成を有する患者では、治療群の90.5%で異形成の根絶が得られたのに対し、対照群では22.7%であった;高悪性度異形成の集団における根絶率は治療群で81.0%および対照群で19.0%であった。さらに、ラジオ波焼灼術群の患者の77.4%では腸上皮化生の完全根絶が得られたのに対し、対照群では2.3%であった。ラジオ波焼灼術群の患者では疾患進行がより少なく、がんは予想数が少なかったため主要な結果ではなかったものの、ラジオ波焼灼術群におけるがんはより少なかった(1.2% vs 9.3%;P = 0.045)。合併症発生率は比較的低かった;治療を受けた患者84人中、上部消化管出血が1人で認められ、容易に治療可能な狭窄は5人に認められた。 [18]

この研究から、バレット食道と異形成を有する患者の治療によりバレット食道を焼却し、疾患進行を避けられることが示唆されているが、治療により食道がんという結果を減少させられるかどうかに関するこの研究の証拠はきわめて弱い(この問題に答えるようにはデザインされなかったため)。この研究の証拠から、ラジオ波焼灼術は単純に危険な細胞を凝固させて食道の表面下に隠す(これらの細胞が後にがんに進化しうる)というものではないことが示唆されている。この研究とは全く別の問題は、患者がバレット食道についてスクリーニングを受けるべきかどうかである(この研究では異形成を有することが同定されたバレット食道患者を治療することに焦点が当てられていた)。さらに、研究では、スクリーニングプログラム全体(例、GERDまたは特定のGERD症状を有する患者のスクリーニングに関する)の純利益および有害性およびバレット食道を有する患者のサーベイランスについては考察されていない。医師がこの研究の結果からバレット食道を有し異形成のない患者を治療すると、過剰診断および過剰治療の可能性がかなり高くなる。


参考文献
  1. Holmes RS, Vaughan TL: Epidemiology and pathogenesis of esophageal cancer. Semin Radiat Oncol 17 (1): 2-9, 2007.[PUBMED Abstract]

  2. American Cancer Society: Cancer Facts and Figures 2017. Atlanta, Ga: American Cancer Society, 2017. Available online. Last accessed January 13, 2017.[PUBMED Abstract]

  3. Howlader N, Noone AM, Krapcho M, et al., eds.: SEER Cancer Statistics Review, 1975-2012. Bethesda, Md: National Cancer Institute, 2015. Also available online. Last accessed February 15, 2017.[PUBMED Abstract]

  4. Devesa SS, Blot WJ, Fraumeni JF Jr: Changing patterns in the incidence of esophageal and gastric carcinoma in the United States. Cancer 83 (10): 2049-53, 1998.[PUBMED Abstract]

  5. Hur C, Miller M, Kong CY, et al.: Trends in esophageal adenocarcinoma incidence and mortality. Cancer 119 (6): 1149-58, 2013.[PUBMED Abstract]

  6. Oesophagus. In: World Cancer Research Fund, American Institute for Cancer Research: Food, Nutrition and the Prevention of Cancer: A Global Perspective. Washington, DC: The Institute, 1997, pp 118-129.[PUBMED Abstract]

  7. Siemiatycki J, Krewski D, Franco E, et al.: Associations between cigarette smoking and each of 21 types of cancer: a multi-site case-control study. Int J Epidemiol 24 (3): 504-14, 1995.[PUBMED Abstract]

  8. Engel LS, Chow WH, Vaughan TL, et al.: Population attributable risks of esophageal and gastric cancers. J Natl Cancer Inst 95 (18): 1404-13, 2003.[PUBMED Abstract]

  9. Muñoz N, Wahrendorf J, Bang LJ, et al.: No effect of riboflavine, retinol, and zinc on prevalence of precancerous lesions of oesophagus. Randomised double-blind intervention study in high-risk population of China. Lancet 2 (8447): 111-4, 1985.[PUBMED Abstract]

  10. Muñoz N, Hayashi M, Bang LJ, et al.: Effect of riboflavin, retinol, and zinc on micronuclei of buccal mucosa and of esophagus: a randomized double-blind intervention study in China. J Natl Cancer Inst 79 (4): 687-91, 1987.[PUBMED Abstract]

  11. Yang GC, Lipkin M, Yang K, et al.: Proliferation of esophageal epithelial cells among residents of Linxian, People's Republic of China. J Natl Cancer Inst 79 (6): 1241-6, 1987.[PUBMED Abstract]

  12. Corley DA, Kerlikowske K, Verma R, et al.: Protective association of aspirin/NSAIDs and esophageal cancer: a systematic review and meta-analysis. Gastroenterology 124 (1): 47-56, 2003.[PUBMED Abstract]

  13. Lagergren J, Bergström R, Lindgren A, et al.: Symptomatic gastroesophageal reflux as a risk factor for esophageal adenocarcinoma. N Engl J Med 340 (11): 825-31, 1999.[PUBMED Abstract]

  14. Cook MB, Corley DA, Murray LJ, et al.: Gastroesophageal reflux in relation to adenocarcinomas of the esophagus: a pooled analysis from the Barrett's and Esophageal Adenocarcinoma Consortium (BEACON). PLoS One 9 (7): e103508, 2014.[PUBMED Abstract]

  15. Spechler SJ, Goyal RK: The columnar-lined esophagus, intestinal metaplasia, and Norman Barrett. Gastroenterology 110 (2): 614-21, 1996.[PUBMED Abstract]

  16. Van Dam J, Brugge WR: Endoscopy of the upper gastrointestinal tract. N Engl J Med 341 (23): 1738-48, 1999.[PUBMED Abstract]

  17. Reid BJ, Blount PL, Rabinovitch PS: Biomarkers in Barrett's esophagus. Gastrointest Endosc Clin N Am 13 (2): 369-97, 2003.[PUBMED Abstract]

  18. Shaheen NJ, Sharma P, Overholt BF, et al.: Radiofrequency ablation in Barrett's esophagus with dysplasia. N Engl J Med 360 (22): 2277-88, 2009.[PUBMED Abstract]

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本要約の変更点(03/17/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

証拠の記述

新規症例数および死亡数の推定値に関する統計を2017年度用に更新(引用、参考文献2としてAmerican Cancer Society)。

本要約はPDQ Screening and Prevention Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、食道がんの予防について包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Screening and Prevention Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Screening and Prevention Editorial Board.PDQ Esophageal Cancer Prevention.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/esophageal/hp/esophageal-prevention-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389392]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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