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最新の研究成果に基づいて定期的に更新している、
科学的根拠に基づくがん情報の要約です。

子宮内膜がん(子宮体がん)の予防(PDQ®)

  • 原文更新日 : 2017-07-27
    翻訳更新日 : 2017-09-20


医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、子宮内膜がん(子宮体がん)の予防について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。


本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

リスクのある個人

子宮内膜がんは閉経後女性に発生し、診断時の平均年齢は60歳である。エストロゲンは内因性および外因性の両方とも、子宮内膜増殖症、過形成、およびがんに関連している。したがって、危険因子には、子宮内膜増殖症、生殖因子(未産、早発月経ならびに遅発閉経)、多嚢胞性卵巣症候群、閉経後のエストロゲン療法、成人の体重増加による肥満、およびタモキシフェン使用がある。遺伝性非ポリポーシス大腸がん症候群の女性では、子宮内膜がんの第一度近親者がいる女性と同様に子宮内膜がんリスクが高い。

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概要

注:子宮内膜がん(子宮体がん)のスクリーニング子宮内膜がん(子宮体がん)の治療;および子宮肉腫の治療については、別のPDQ要約を参照できるようにしてある。

子宮内膜がんリスク増大の十分な証拠がある因子

子宮内膜増殖症

固い証拠によると、子宮内膜増殖症はがんの同時 [1] または後の発症と関連しており、この関連は1932年に最初に認識された。 [2]

影響の大きさ:子宮内膜増殖症および異型を有する女性が、同時にがんを有するリスクは50%である。


    研究デザイン:観察ケースシリーズ。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

エストロゲンによるホルモン療法(HT):拮抗されないエストロゲン

固い証拠によると、拮抗されないエストロゲン療法は子宮内膜がんのリスク増加と関連がある。この過剰リスクはエストロゲン療法に持続的プロゲスチンを追加することで排除できるが、この併用は乳がんリスクの増加と関連している。 [3] [4] [5] [6] (詳しい情報については、乳がんの予防に関するPDQ要約を参照のこと。)

影響の大きさ:拮抗されないエストロゲンを5年以上使用している女性における子宮内膜がんの関連リスクは、ホルモン不使用の女性におけるリスクと比較して2倍を超える。


    研究デザイン:複数のランダム化比較試験、コホート研究、およびケースコントロール研究。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

固い証拠によると、拮抗されないエストロゲンは、子宮内膜がんのリスクに加えて子宮内膜増殖症、脳卒中、および血栓症のリスク増加と関連している。 [4] [6]

影響の大きさ:平均6.8年追跡後の拮抗されないエストロゲン:脳卒中における約39%の相対的増加および肺塞栓症における34%の相対的増加。


    研究デザイン:複数のランダム化プラセボ対照試験。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

選択的エストロゲン受容体修飾物質(SERM)

固い証拠によると、2年以上のタモキシフェン使用は子宮内膜がんのリスク増加と関連がある。 [7] 類似したSERMのラロキシフェンではこの関連が認められない。 [8] [9]

影響の大きさ:2年以上タモキシフェンを投与されている女性では、子宮内膜がんの相対リスク(RR)が2.3倍~7.5倍である。


    研究デザイン:複数のランダム化比較試験。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

肥満および糖尿病

固い証拠によると、過体重または肥満、成人の体重増加、および糖尿病は子宮内膜がんのリスク増加と関連がある。 [10] [11]

影響の大きさ:子宮内膜がんのリスクは体重の変化で5kg/m2当たり1.59倍増加する。


    研究デザイン:複数のランダム化比較試験。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

子宮内膜がんのリスク低下の十分な証拠がある因子

経産歴および授乳の増加

固い証拠によると、経産歴および授乳期間の増加は、子宮内膜がんのリスク低下と関連がある。 [12]

影響の大きさ:経産婦は未経産婦と比較して子宮内膜がんリスクが35%低下する(ハザード比、0.65;95%信頼区間[CI]、0.54-0.77)。授乳期間もまたリスク低下と関連しており、18ヵ月以上の授乳期間ではリスクが23%低下すると指摘されている。出産回数で調整した場合、リスク低下は減衰した。


    研究デザイン:プロスペクティブ・コホート研究。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

経口避妊薬

有益性

固い証拠によると、エストロゲンとプロゲステロンを含む経口避妊薬の少なくとも1年間の使用は、使用期間に比例して子宮内膜がんリスクを低下させる。この便益は、休止後少なくとも15年間持続する。 [15]


    研究デザイン:複数のケースコントロール研究およびプロスペクティブ研究。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

影響の大きさ:経口避妊薬を5年間使用するとRRは24%低下し(リスク比、0.76;95%CI、0.73-0.78)、30年以上持続した。10年間使用すると、75歳未満の絶対リスクが女性100人当たり2.3から1.3に低下した。

有害性

固い証拠によると、経口避妊薬の現在の使用は、特に喫煙者である35歳以上の女性で血栓症、脳卒中、および心筋梗塞のリスク増加と関連している。


    研究デザイン:複数のランダム化比較臨床試験。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

身体活動

固い証拠によると、身体活動の増加は子宮内膜がんのリスク低下と関連がある。 [16] [17]

影響の大きさ:定期的な運動はリスクにおける38~46%の低下と関連しうるが、身体活動の期間または程度の増加に伴うリスク低下の傾向は示されていない。


    研究デザイン:複数のコホート研究およびケースコントロール研究。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:普通。
    外部妥当性:良好。

喫煙

有益性

固い証拠によると、喫煙は子宮内膜がんのリスク低下と関連がある。 [18]

影響の大きさ:喫煙者では、プロスペクティブ研究(RR、0.81;95%CI、0.74-0.88)およびケースコントロール研究(オッズ比、0.72;95%CI、0.66-0.79)で子宮内膜がんのリスクが約20%低い。


    研究デザイン:複数のプロスペクティブ・コホート研究およびケースコントロール研究。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

有害性

固い証拠によると、喫煙は心血管系疾患および頭頸部がん、肺がん、膀胱がん、および膵がんと関連がある。喫煙者では余命が短くなる-喫煙者は非喫煙者よりも余命が少なくとも10年短い。 [19]

子宮内膜がんに関連する証拠が不十分な介入

体重減少

体重減少が子宮内膜がんの発生率低下と関連しているかどうかを結論付けるには証拠が不十分である。1件の研究によれば、3つの年齢期間中の自己報告式の意図的な体重減少は子宮内膜がん発生率における低下と関連しなかった。 [20]

影響の大きさ:少なくとも20ポンド(約9kg)以上体重を意図的に減らした女性に対する子宮内膜がんのRRは0.93(95%CI、0.6-1.44)であった。


    研究デザイン:データがレトロスペクティブに自己報告式であるコホート研究。
    内部妥当性:良好。
    一貫性:良好。
    外部妥当性:良好。

参考文献
  1. Widra EA, Dunton CJ, McHugh M, et al.: Endometrial hyperplasia and the risk of carcinoma. Int J Gynecol Cancer 5 (3): 233-235, 1995.[PUBMED Abstract]

  2. Taylor HC: Endometrial hyperplasia and carcinoma of the body of the uterus. Am J Obstet Gynecol 23 (3): 309-32, 1932.[PUBMED Abstract]

  3. Beral V, Bull D, Reeves G, et al.: Endometrial cancer and hormone-replacement therapy in the Million Women Study. Lancet 365 (9470): 1543-51, 2005 Apr 30-May 6.[PUBMED Abstract]

  4. Anderson GL, Limacher M, Assaf AR, et al.: Effects of conjugated equine estrogen in postmenopausal women with hysterectomy: the Women's Health Initiative randomized controlled trial. JAMA 291 (14): 1701-12, 2004.[PUBMED Abstract]

  5. Furness S, Roberts H, Marjoribanks J, et al.: Hormone therapy in postmenopausal women and risk of endometrial hyperplasia. Cochrane Database Syst Rev (2): CD000402, 2009.[PUBMED Abstract]

  6. Grady D, Gebretsadik T, Kerlikowske K, et al.: Hormone replacement therapy and endometrial cancer risk: a meta-analysis. Obstet Gynecol 85 (2): 304-13, 1995.[PUBMED Abstract]

  7. Fisher B, Costantino JP, Redmond CK, et al.: Endometrial cancer in tamoxifen-treated breast cancer patients: findings from the National Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project (NSABP) B-14. J Natl Cancer Inst 86 (7): 527-37, 1994.[PUBMED Abstract]

  8. Cummings SR, Eckert S, Krueger KA, et al.: The effect of raloxifene on risk of breast cancer in postmenopausal women: results from the MORE randomized trial. Multiple Outcomes of Raloxifene Evaluation. JAMA 281 (23): 2189-97, 1999.[PUBMED Abstract]

  9. DeMichele A, Troxel AB, Berlin JA, et al.: Impact of raloxifene or tamoxifen use on endometrial cancer risk: a population-based case-control study. J Clin Oncol 26 (25): 4151-9, 2008.[PUBMED Abstract]

  10. Bergström A, Pisani P, Tenet V, et al.: Overweight as an avoidable cause of cancer in Europe. Int J Cancer 91 (3): 421-30, 2001.[PUBMED Abstract]

  11. Aune D, Navarro Rosenblatt DA, Chan DS, et al.: Anthropometric factors and endometrial cancer risk: a systematic review and dose-response meta-analysis of prospective studies. Ann Oncol 26 (8): 1635-48, 2015.[PUBMED Abstract]

  12. Newcomb PA, Trentham-Dietz A: Breast feeding practices in relation to endometrial cancer risk, USA. Cancer Causes Control 11 (7): 663-7, 2000.[PUBMED Abstract]

  13. Dossus L, Allen N, Kaaks R, et al.: Reproductive risk factors and endometrial cancer: the European Prospective Investigation into Cancer and Nutrition. Int J Cancer 127 (2): 442-51, 2010.[PUBMED Abstract]

  14. Karageorgi S, Hankinson SE, Kraft P, et al.: Reproductive factors and postmenopausal hormone use in relation to endometrial cancer risk in the Nurses' Health Study cohort 1976-2004. Int J Cancer 126 (1): 208-16, 2010.[PUBMED Abstract]

  15. Collaborative Group on Epidemiological Studies on Endometrial Cancer: Endometrial cancer and oral contraceptives: an individual participant meta-analysis of 27 276 women with endometrial cancer from 36 epidemiological studies. Lancet Oncol 16 (9): 1061-70, 2015.[PUBMED Abstract]

  16. Moradi T, Weiderpass E, Signorello LB, et al.: Physical activity and postmenopausal endometrial cancer risk (Sweden). Cancer Causes Control 11 (9): 829-37, 2000.[PUBMED Abstract]

  17. Schouten LJ, Goldbohm RA, van den Brandt PA: Anthropometry, physical activity, and endometrial cancer risk: results from the Netherlands Cohort Study. J Natl Cancer Inst 96 (21): 1635-8, 2004.[PUBMED Abstract]

  18. Zhou B, Yang L, Sun Q, et al.: Cigarette smoking and the risk of endometrial cancer: a meta-analysis. Am J Med 121 (6): 501-508.e3, 2008.[PUBMED Abstract]

  19. Centers for Disease Control and Prevention: Smoking and Tobacco Use. Atlanta, Ga: Centers for Disease Control and Prevention, Office on Smoking and Health, 2015. Available Online. Last accessed July 27, 2017.[PUBMED Abstract]

  20. Parker ED, Folsom AR: Intentional weight loss and incidence of obesity-related cancers: the Iowa Women's Health Study. Int J Obes Relat Metab Disord 27 (12): 1447-52, 2003.[PUBMED Abstract]

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証拠の記述

背景

発生率と死亡率

子宮内膜がんは米国女性で最も頻度の高い婦人科浸潤がんで、2017年には新たに61,380例の発症が推定される。 [1] 子宮内膜がんは主に閉経後女性に罹患し、診断時の平均年齢は60歳である。 [2] 米国では2017年に、約10,920人の女性が子宮内膜がんで死亡すると推定される。2004年から2013年までの間に、子宮内膜がんの発生率は白人女性で年1%、アフリカ系米国人女性で年3%増加した。2005年から2014年の間に、子宮内膜がんの死亡率は白人女性で年約1%、アフリカ系米国人女性で年2%増加した。 [1]

白人の米国人と比較して、子宮内膜がん発生率は日系米国人(相対リスク[RR]、0.6;95%信頼区間[CI]、0.46-0.83)およびラテン系(RR、0.63;95%CI、0.46-0.87)では低いが、アフリカ系米国人(RR、0.76;95%CI、0.53-1.08)またはネイティブハワイアン(RR、0.92;95%CI、0.58-1.46)では低くはない。 [3] アフリカ系米国人における子宮内膜がんのより高い死亡率は少なくとも一部は、治療へのアクセスの障害となるより低い社会経済的問題が原因であろう。 [4]

子宮内膜がんリスクは、エストロゲンの作用に関連する内因性および外因性の因子に関連している。 [5] [6] [7] したがって、子宮内膜がんの危険因子には、未産、早発月経、ならびに遅発閉経などの生殖因子、肥満、多嚢胞性卵巣症候群、閉経後のエストロゲン使用、およびタモキシフェン使用がある。

遺伝性非ポリポーシス大腸がん症候群の女性では、子宮内膜がんの生涯リスクが最大60%である。 [8] (遺伝性リスクに関する追加の情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)

子宮内膜がんリスク増大の十分な証拠がある因子

内因性エストロゲン

早発月経、未産、遅発閉経など内因性エストロゲンへの曝露期間を長期化させる生殖因子は、子宮内膜がんのリスク増加と関連がある。肥満や多嚢胞性卵巣症候群などリスク増加に関連する他の因子もまた、エストロゲンへの曝露増加と関係しうる。 [7]

閉経後のエストロゲン療法

閉経後のエストロゲン補充療法と子宮内膜がんとの関連は1975年に報告され [9] 、その後間もなく確認された。 [10] [11] これら3件の研究で、総体的リスク比は4.5~8.0であった。さらなる研究で、使用期間との関連(5年以上の使用で10倍~30倍) [12] [13] [14] [15] および1年間の使用後に持続的な影響が10年以上続くことが実証された。 [16] これらの知見が発表されてからエストロゲンの処方は激減し、その後は子宮内膜がんの発生も急激に低下した。 [17]

エストロゲン-プロゲスチン併用補充療法

閉経後のエストロゲン療法は、しばしば子宮内膜がんの前駆体である子宮内膜増殖症のリスクと関連していることが長い間認識されていた。 [18] また、プロゲステロン剤は子宮腫瘍の治療に有効であることが明らかになった。 [19] [20] [21] その結果、拮抗されないエストロゲンに伴う子宮内膜がんリスクを回避するため、エストロゲンとプロゲステロンを併用する閉経後ホルモン療法(HT)が提案された。 [22] [23] 残念ながら、この併用療法は乳がんのリスクを増加させるため、更年期症状の治療には推奨されない。

選択的エストロゲン受容体修飾物質(SERM):タモキシフェンおよびラロキシフェン

タモキシフェンおよびラロキシフェンは、種々の標的臓器で異なるエストロゲンアゴニストおよびアンタゴニスト作用を有する薬物であるSERMである。子宮内膜がんとタモキシフェンとの関連について最初に認識されたのは1985年で、子宮内膜がん3例がタモキシフェンによる乳がん治療を施行された女性で報告された。 [24] それ以後、タモキシフェンを乳がんの治療および予防に用いたランダム化臨床試験 [25] [26] [27] [28] および複数のケースコントロール研究、観察研究、および臨床検査研究からこの関連性が確認されている。

浸潤性乳がんリスクが高い女性を対象としたNational Surgical Adjuvant Breast and Bowel Project、乳がん予防試験P-1研究では、タモキシフェンにより乳がんの発生が49%低下したことが実証されたが、子宮内膜がんの発生率増加が確認された。年間罹患率は、タモキシフェン投与女性で1,000人当たり2.3例に対し、プラセボ群の女性では1,000人当たり0.91例であった。50歳以上の女性で影響が最も大きかった。この試験で診断された51例の浸潤がんのうち、50例がI期であった。 [29]

ラロキシフェンは、閉経後の骨粗鬆症予防薬として承認された第2世代SERMである。タモキシフェンとは異なり、ラロキシフェンは子宮に対するエストロゲン作用をもたない。Multiple Outcomes of Raloxifeneランダム化試験による40ヵ月の追跡後、ラロキシフェンはエストロゲン受容体陽性乳がんリスクを低下させたが、子宮内膜がんは増加させなかったこと(RR、0.8;95%CI、0.2-2.7)が示された。 [30] 子宮内膜がん女性547人および対照1,410人の集団ベースの研究が、ペンシルベニア州のフィラデルフィアで実施された。症例のうち、18人(3.3%)がラロキシフェンを投与され、34人(6.2%)がタモキシフェンを投与されていた(オッズ比[OR]、3.0;95%CI、1.3-6.9)。 [31]

肥満、体重増加、メタボリックシンドローム、および糖尿病

肥満指数(BMI)の高値、肥満、および体重増加は、子宮内膜がんリスクの増大と関連している。観察された関連性について考えられる機序の1つは、肥満組織内のアンドロステンジオンの芳香族化(これはエストロゲン産生を増加させる)の結果としてみられる肥満女性の血清エストロン濃度の上昇である。 [32] このほかに、肥満は性ホルモン結合グロブリン(SHBG、生物学的利用可能なエストロゲンを低下させることで子宮内膜がんを予防しうる)濃度の低下と関連がある。 [33] 肥満には、上半身または中心性肥満、多嚢胞性卵巣症候群、身体的不活動性など、子宮内膜がんリスクを増大させることが知られているいくつかの因子との関連が認められている。 [34] [35]

体重は修正可能な危険因子であるが、世界各国の子宮内膜がん例でかなりの割合を占めている。ヨーロッパ諸国で実施された研究1件では、子宮内膜がん例の26~47%は過体重および肥満に起因する可能性があると推定された。同じグループが12件の研究(5件のコホート研究および7件のケースコントロール研究)のメタアナリシスを実施し、肥満と子宮内膜がんとの関連性を検討した。12件の研究中11件は、子宮内膜がんと過体重との間には正の相関が認められるとの結論を下した。 [36]

肥満に関連するRRは2~10である。数件の研究は上半身の体重および中心性体重は、BMIを考慮した後でも、外面の体重より高リスクをもたらすことを示している。 [37] [38] [39] しかし他の試験では、このような関連性が確認されていない。子宮内膜がんと、若年期の肥満に比して、診断時近傍における肥満との間で、強い相関が観察された研究もいくつかある。 [40] [41] [42] [43] BMI、ウエスト周囲径、ウエスト-ヒップ比、および体重増加をはじめとする肥満の種々の測定方法により、リスク増加が観察されている。 [44]

プロスペクティブ研究のメタアナリシスにより、成人における5kgごとの体重増加についてHT非使用者でのRRが1.39(95%CI、1.29-1.49)で、HT使用者でのRRが1.09(95%CI、1.02-1.16)であることが観察された。 [45] 別のメタアナリシスでも、HT使用経験者よりもHT非使用者においてBMIと子宮内膜がんリスクとのより強力な関連が観察された。 [46]

メタボリックシンドロームと子宮内膜がんとの関連を調査したメタアナリシスにより、メタボリックシンドローム(RR、1.89;95%CI、1.34-2.67)およびメタボリックシンドロームの各構成要素(BMIおよび/またはウエスト周囲径、血圧、およびトリグリセリド値)(高比重リポ蛋白コレステロール低値を除く)に関連したリスク増加が観察された。 [47] 1型糖尿病とがんとの関連を調査した研究の包括的解析において、子宮内膜がんは関連を示す強固な証拠を有するわずか2~3つの部位の1つであった。 [48]

遺伝的素因

リンチ症候群、コーデン症候群、多嚢胞性卵巣症候群などの遺伝性疾患を有する女性は、子宮内膜がんのリスクが高い。(詳しい情報については、乳がんおよび婦人科がんの遺伝学および大腸がんの遺伝学に関するPDQ要約を参照のこと。)しかしながら、浸透度の高い遺伝子に伴う遺伝性症候群に加えて、第一度近親者に子宮内膜がんの家族歴があることもまた、がんリスクの増大に関連している。 [49] ケースコントロール研究およびコホート研究を含む1件のメタアナリシスでは、第一度近親者における子宮内膜がんの家族歴に関連して1.82(95%CI、1.65-1.98)のリスク増加が観察され、これは約3%(95%CI、2.8-3.4)の累積絶対リスクと推定される。 [49]

この家系的リスクは受け継がれた遺伝的素因に起因している可能性があり、他に存在する共通する因子としては、文化や習得した行動を共有する家族がある。

子宮内膜がんのリスク低下の十分な証拠がある因子

経産歴および授乳の増加

子宮内膜がんのリスク低下は、おそらく排卵を抑制することで経産歴および授乳と関連している。メキシコシティーで実施された低リスク女性におけるケースコントロール研究1件では、授乳期間の増加に関連する58~72%の子宮内膜がんリスクの低下を示している。授乳期間および母乳を与えた小児数に関して有意な傾向がみられた。 [50] ウィスコンシンの女性で実施された集団ベースのケースコントロール研究では、少なくとも2週間母乳を与えた女性と母乳を与えなかった女性が比較されたが、有意な傾向はみられなかった(OR、0.90;95%CI、0.72-1.13)。授乳期間の増加は疾患リスクの低下と関連していなかったが、過去30年以内の授乳はリスクの低下と関連し(OR、0.58;95%CI、0.36-0.96)、30歳以降での最初の授乳についても同様であった(95%CI、0.28-0.90)。 [51] European Prospective Investigation into Cancer and Nutritionでは、未経産婦と比較して経産婦ではリスクの低下が観察され(ハザード比、0.65;95%CI、0.54-0.77)、満期出産数の増加に伴ってリスクの低下傾向がみられた(P < 0.0001)。18ヵ月以上の授乳はリスクの低下と関連していたが、満期出産数で調整した後はこの関連は減衰し、もはや統計的に有意ではなくなった。 [52]

経口避妊薬

経口避妊薬の使用は子宮内膜がんのリスクを長期にわたり低下させる。27,276人の女性を含む36件の疫学研究からのデータを統合した1件のメタアナリシスにより、使用5年ごとにリスクは0.76(95%CI、0.73-0.78)低下することが観察された。リスクの低下は、経口避妊薬の最後の使用後30年以上持続した。 [53] 高度先進国の女性では、経口避妊薬の10年間の使用により、75歳未満の子宮内膜がんの絶対リスクが女性100人当たり2.3人から1.3人に減少した。 [53]

身体活動

活動が子宮内膜がんと関連しているかどうかを判断するため、1件のメタアナリシスにより、娯楽の活動(9件の研究)と職業的活動(5件の研究)について調査したプロスペクティブ研究からのデータが統合された。 [54] 最も低いカテゴリーの娯楽の活動と比較した最も高いカテゴリーでは、子宮内膜がんのRRが0.73(95%CI、0.58-0.93)であった;仕事の分類に基づいて最も低いカテゴリーの職業的身体活動と比較した最も高いカテゴリーの子宮内膜がんのRRは、0.75(95%CI、0.68-0.83)であった。代謝当量(MET)を用いてケースコントロール研究およびコホート研究からのデータを統合したさらなる研究により、最大50MET時間/週(最大15時間/週)程度の活動で子宮内膜がんのリスクが低下することが明らかにされた。 [45]

喫煙

20本/日以上の喫煙経験者は子宮内膜がんのリスクが低く、閉経後女性および現在喫煙者においてリスクの低下が大きい。この効果はプロスペクティブ・コホート研究およびケースコントロール研究で認められ、1件のメタアナリシスで要約された。 [55] 喫煙の有害性は多くの研究で十分に実証されており、喫煙者は非喫煙者と比較して余命が少なくとも10年は短くなるという程度に心血管系疾患や他のがんのリスクが高まることが明らかにされている。 [56]

子宮内膜がんに関連する証拠が不十分な介入

体重減少

肥満は子宮内膜がんのリスク増加に関連していると明らかにされている一方で、意図的な体重減少の潜在的な便益について調査している研究は1件しかない。21,707人の閉経後女性を対象にしたIowa Women's Health Study(IWHS) [57] では、参加者が18~39歳、40~54歳、および55歳以降の意図的な体重減少について自己報告式の質問票に記入した。年齢、BMI、およびBMI2で調整した多変量モデルでは、子宮内膜がん発生率と少なくとも20ポンド(約9kg)以上の意図的な体重減少との関連は認められなかった(RR、0.93;95%CI、0.60-1.44)。しかしながら、Women's Health Initiative(WHI)コホートの女性36,793人を対象にした解析(この解析では、ベースライン時と3年間の追跡時に測定された体重と自己報告の意図的な体重減少が組み合わされた) [58] により、10ポンド(約4.5kg)以上の意図的な体重減少と子宮内膜がん発生率の低下との関連が示された(多変数で調整したRR、0.61;95%CI、0.40-0.92)。

これらの解析はどちらも、実質的な制限を共有している。共変量データの欠測により、各研究の25%近い参加者が除外されることになり、残りの参加者のごく少数の割合(IWHSで17%/WHIで8%)が意図的な体重減少カテゴリーに分類され、その結果、解析が行われる子宮内膜がん症例は非常に少数となった。両研究は、体重減少の意図性を示すために自己報告が用いられた(潜在的な誤分類につながる可能性がある)が、IWHSにおける質問はレトロスペクティブに行われたため、解析では問題がより重大になる。両解析ではまた、自己報告式(したがって、測定誤差を生じやすい)の身体活動および喫煙状態について他の共変量と調整された。症例数が少なく、交絡因子が残存する可能性があるため、これら2件の解析の矛盾する結果は、体重減少が子宮内膜がんを予防すると結論付けるには証拠が貧弱であることを示唆している。

果物、野菜、およびビタミン類

子宮内膜がんと食事、植物エストロゲン、大豆、およびビタミンDとの関連に関する研究は否定的である。 [59] [60] [61] [62] [63] 閉経後女性における総合ビタミンの使用は、子宮内膜がんを含む一般的ながんのリスク、または全死亡にほとんどまたは全く影響していない。 [64]


参考文献
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本要約の変更点(07/27/2017)

PDQがん情報要約は定期的に見直され、新情報が利用可能になり次第更新される。本セクションでは、上記の日付における本要約最新変更点を記述する。

証拠の記述

本文に、Women's Health Initiativeコホートの女性36,793人を対象にした解析(この解析では、ベースライン時と3年間の追跡時に測定された体重と自己報告の意図的な体重減少が組み合わされた)に関する記述が追加され、10ポンド(約4.5kg)以上の意図的な体重減少と子宮内膜がん発生率の低下との関連が示された(引用、参考文献58としてLuo et al.)。

本文に以下の記述が追加された;これらの解析はどちらも、実質的な制限を共有している;症例数が少なく、交絡因子が残存する可能性があるため、これら2件の解析の矛盾する結果は、体重減少が子宮内膜がんを予防すると結論付けるには証拠が貧弱であることを示唆している。

本要約はPDQ Screening and Prevention Editorial Boardが作成と内容の更新を行っており、編集に関してはNCIから独立している。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたはNIHの方針声明を示すものではない。PDQ要約の更新におけるPDQ編集委員会の役割および要約の方針に関する詳しい情報については、本PDQ要約についておよびPDQ® - NCI's Comprehensive Cancer Databaseを参照のこと。

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本PDQ要約について

本要約の目的

医療専門家向けの本PDQがん情報要約では、子宮内膜がん(子宮体がん)の予防について、包括的な、専門家の査読を経た、そして証拠に基づいた情報を提供する。本要約は、がん患者を治療する臨床家に情報を与え支援するための情報資源として作成されている。これは医療における意思決定のための公式なガイドラインまたは推奨事項を提供しているわけではない。

査読者および更新情報

本要約は編集作業において米国国立がん研究所(NCI)とは独立したPDQ Screening and Prevention Editorial Boardにより定期的に見直され、随時更新される。本要約は独自の文献レビューを反映しており、NCIまたは米国国立衛生研究所(NIH)の方針声明を示すものではない。

委員会のメンバーは毎月、最近発表された記事を見直し、記事に対して以下を行うべきか決定する:


  • 会議での議論、

  • 本文の引用、または

  • 既に引用されている既存の記事との入れ替え、または既存の記事の更新。

要約の変更は、発表された記事の証拠の強さを委員会のメンバーが評価し、記事を本要約にどのように組み入れるべきかを決定するコンセンサス過程を経て行われる。

本要約の内容に関するコメントまたは質問は、NCIウェブサイトのEmail UsからCancer.govまで送信のこと。要約に関する質問またはコメントについて委員会のメンバー個人に連絡することを禁じる。委員会のメンバーは個別の問い合わせには対応しない。

証拠レベル

本要約で引用される文献の中には証拠レベルの指定が記載されているものがある。これらの指定は、特定の介入やアプローチの使用を支持する証拠の強さを読者が査定する際、助けとなるよう意図されている。PDQ Screening and Prevention Editorial Boardは、証拠レベルの指定を展開する際に公式順位分類を使用している。

本要約の使用許可

PDQは登録商標である。PDQ文書の内容は本文として自由に使用できるが、完全な形で記し定期的に更新しなければ、NCI PDQがん情報要約とすることはできない。しかし、著者は“NCI's PDQ cancer information summary about breast cancer prevention states the risks succinctly: 【本要約からの抜粋を含める】.”のような一文を記述してもよい。

本PDQ要約の好ましい引用は以下の通りである:

PDQ® Screening and Prevention Editorial Board.PDQ Endometrial Cancer Prevention.Bethesda, MD: National Cancer Institute.Updated <MM/DD/YYYY>.Available at: https://www.cancer.gov/types/uterine/hp/endometrial-prevention-pdq.Accessed <MM/DD/YYYY>.[PMID: 26389477]

本要約内の画像は、PDQ要約内での使用に限って著者、イラストレーター、および/または出版社の許可を得て使用されている。PDQ情報以外での画像の使用許可は、所有者から得る必要があり、米国国立がん研究所(National Cancer Institute)が付与できるものではない。本要約内のイラストの使用に関する情報は、多くの他のがん関連画像とともにVisuals Online(2,000以上の科学画像を収蔵)で入手できる。

免責条項

これらの要約内の情報は、保険払い戻しの決定基準として使用されるべきものではない。保険の適用範囲に関する詳しい情報については、Cancer.govのManaging Cancer Careページで入手できる。

お問い合わせ

Cancer.govウェブサイトについての問い合わせまたはヘルプの利用に関する詳しい情報は、Contact Us for Helpページに掲載されている。質問はウェブサイトのEmail UsからもCancer.govに送信可能である。

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