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メルケル細胞がんについての一般的な情報
メルケル細胞がんは、皮膚組織の中に悪性(がん)細胞ができる非常にまれな疾患です。
メルケル細胞は、皮膚の最も外側の層に存在する、ホルモンを生産する細胞です。この細胞は、触覚を伝える神経の先端に非常に近接して存在しています。メルケル細胞がんは、神経内分泌がんとも呼ばれ、メルケル細胞の増殖が止まらなくなることによって発生する非常にまれな種類の皮膚がんです。メルケル細胞がんはほとんどの場合、頭部や頸部、腕、脚などの日頃から日光に曝されている部位から発生してきます。
メルケル細胞がんは増殖のペースが速く、早期のうちから転移を起こす傾向があります。最初はまず付近のリンパ節に転移し、次いで肝臓や骨、肺、脳などに転移していきます。
メルケル細胞がんの発生リスクを高める要因に、日光への暴露と免疫力の低下があります。
危険因子には以下のようなものがあります:
- 大量の日光に曝されていること。
- 人工太陽光に曝されていること(乾癬の治療中など)。
- 何らかの疾患が原因で免疫系の機能が弱くなっていること(HIV感染症など)。
- 免疫系の機能を抑える薬を投与されていること(臓器移植の実施後など)。
- 別の種類の皮膚がんにかかったことがあること(基底細胞がんや扁平上皮がんなど)。
- 70歳以上であること、男性であること、白人であること。
メルケル細胞がんは、皮膚の露光部にできる、痛みを伴わない単一のしこりとして発生してくるのが通常です。
メルケル細胞がんでは皮膚にこのような変化が現れることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。皮膚に何らかの変化がみられる場合は医師の診察を受けてください。
メルケル細胞がんは通常、以下のような単一のしこりとして皮膚の露光部に発生してきます:
- 増殖のペースが速い。
- 痛みを伴わない。
- 触ると硬く、形状はドーム状ないし隆起。
- 色は赤か紫。
メルケル細胞がんの発見と診断には、皮膚を調べる検査法が用いられます。
以下のような検査法や手技が用いられます:
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身体診察と病歴聴取:しこりなどの通常みられない病的な徴候を含めて、総体的に身体を調べる。患者さんの健康習慣や過去の病歴、治療歴も調べます。
- 全身の皮膚の診察:医師または看護師が皮膚を調べて、色や大きさ、形状、質感などに異常が認められるできものや斑点などがないかを確かめる。リンパ節の大きさ、形状、質感も調べられます。
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生検:病理医によるがんの徴候の有無を調べる顕微鏡検査のために、細胞や組織を採取すること。メルケル細胞がんを診断するには、採取した細胞を特殊な染料で処理した上で、電子顕微鏡を用いて観察する必要があります。
特定の因子によって予後(回復の見込み)や治療法の選択肢が変わってきます。
予後(回復の見込み)や治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
- がんの病期(腫瘍の大きさ、リンパ節への転移の有無、皮膚以外の部位への転移の有無)。
- どの部分の皮膚にがんが発生しているか。
- 新たに診断されたがんか、再発したがんか。
- 患者さんの年齢と健康状態。
予後については皮膚内での腫瘍の位置(深さ)にも左右されます。
メルケル細胞がんの病期
メルケル細胞がんの診断がついた後には、がん細胞が体の他の部位に転移していないかを明らかにするために、さらに検査が行われます。
他の部位へのがんの転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
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全血球算定(CBC):血液を採取して以下の項目について調べる検査法:
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リンパ節生検:リンパ節の全体または一部を採取する手技。摘出後には病理医がその組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を調べます。
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肝機能検査:血液検査の一種で、肝臓から放出される特定の物質の血中濃度を測定するもの。この検査で何らかの項目に高い値や低い値が出ることは、肝臓疾患の徴候である可能性があります。
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CTスキャン(CATスキャン):体内の領域を様々な角度から撮影して、精細な連続画像を作成する検査法。画像はX線装置に接続されたコンピュータによって作成されます。場合によっては臓器や組織をより鮮明に映し出すために、造影剤を静脈に注射したり、患者さんに造影剤を飲んでもらったりすることもあります。この検査法は、コンピュータ断層撮影やコンピュータ体軸断層撮影とも呼ばれます。メルケル細胞がんでは、リンパ節へがんの転移を確かめる場合に、頭部と頸部のCTスキャンが実施されます。
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オクトレオチドスキャン:がん腫やその他の種類の腫瘍の検出に用いられる放射性核種スキャンの一種。まず少量の放射性のオクトレオチド(カルチノイド腫瘍の表面に結合するホルモン)を静脈に注射して、血流によって全身を巡らせます。するとこの放射性オクトレオチド(薬剤詳細へ)が次々と腫瘍の表面に結合していくので、放射能を検出できる特殊なカメラを用いてこの物質を検出することにより、体内での腫瘍細胞の位置を特定します。
メルケル細胞がんでは、以下の病期分類が用いられます:
IA期
IA期では、がんの直径が2cm未満で、リンパ節や体の他の部位への転移は認められません。
IB期
IB期では、がんの直径が2cm以上で、リンパ節や体の他の部位への転移は認められません。
II期
II期では、がんの大きさには関係なく、付近のリンパ節への転移が認められますが、体の他の部位への転移は認められません。
III期
III期では、がんの大きさには関係なく、付近のリンパ節を越えて体の他の部位に転移しています。
再発メルケル細胞がん
再発メルケル細胞がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、皮膚に起こることもあれば、リンパ節や体の別の部位に起こることもあります。メルケル細胞がんの患者さんでは再発がよくみられます。
治療選択肢の概要
メルケル細胞がんの患者さんには様々な治療法が存在します。
メルケル細胞がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術
メルケル細胞がんの治療には、以下のような手術法が用いられます:
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広範囲局所切除術:がん全体と周囲の正常組織の一部を切除する手術法。
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モース顕微鏡手術:がん組織を層状に切り取っては顕微鏡で観察していくという工程を、がん細胞がまったく認められなくなるまで繰り返していく手術法。この手術法は、切除される正常組織の量を最小限に抑えられることから、顔面に発生した皮膚がんの切除によく用いられています。
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センチネルリンパ節生検:手術中に実施されるセンチネルリンパ節(腫瘍からリンパ節へがん細胞が転移する場合に、最初に転移する可能性の高いリンパ節のこと)の切除。まず放射性物質か青色の色素を腫瘍の付近に注入します。注入された放射性物質や色素は、リンパ管を通ってセンチネルリンパ節へと流れて行きます。そうして、周囲のリンパ節のうち放射性物質か色素が最初に到達したもののみを生検材料として切除します。直ちに病理医がその組織を顕微鏡で観察し、がん細胞の有無を確かめます。ここでがん細胞が検出されなければ、それ以上のリンパ節の切除は不要とされます。
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リンパ節郭清術:リンパ節を切除する外科的手技で、リンパ節ががんに侵されていないかを確かめるために用いられる。所属リンパ節郭清術では、腫瘍周辺にあるリンパ節の一部が切除され;根治的リンパ節郭清術では、腫瘍周辺にあるリンパ節の全てまたはほぼ全てが切除されます。この手技はリンパ節切除術とも呼ばれます。
たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法や放射線療法を実施する場合があります。このように治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
放射線療法
放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を密封し、がんの内部かその付近に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
化学療法
化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
病期ごとの治療選択肢
I期のメルケル細胞がん
I期のメルケル細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:
II期のメルケル細胞がん
II期のメルケル細胞がんの治療法には、以下のようなものがあります:
III期のメルケル細胞がん
III期のメルケル細胞がんの治療法は化学療法となるのが通常です。
2007-06-27