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尿道がん: 治療

尿道がんについての一般的な情報

尿道がんは、尿道組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

尿道とは、膀胱と体外とをつなぐ管のことで、尿が排出される際の通り道となります。女性の尿道は、長さが約4cm(約1.5インチ)で、口のすぐ上に開口しています。男性の尿道は、長さが約20cm(約8インチ)で、前立腺(男性特有の)と陰茎を貫通して体外へと続いています。男性の尿道はさらに精液の通路も兼ねています。

尿道がんはまれな種類のがんですが、男女で比べると女性に多く発生しています。尿道の表面の細胞から発生する尿道がんは、いくつかの種類に分けられます。これらのがんには、悪性化(がん化)した細胞の種類に応じて名前がつけられています。


尿道がんは早いうちから尿道周辺の組織転移することがあり、診断の時点で既に付近のリンパ節まで拡がっている場合もしばしばみられます。

尿道がんの発生リスクに影響を及ぼす因子に、年齢と膀胱がんの病歴があります。

危険因子には以下のようなものがあります:


尿道がんの徴候として考えられるものに、血尿と排尿障害があります。

尿道がんでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。早期の尿道がんでは、ときに症状がまったく現れないことがあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:


尿道がんの発見と診断には、尿道と膀胱を調べる検査が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


特定の因子によって予後(回復の見込み)や治療法の選択肢が変わってきます。

予後回復の見込み)や治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:



尿道がんの病期

尿道がんと診断されると、がん細胞の尿道内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん尿道内での拡がりや他の部分への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。病期分類の過程では以下のような検査法が用いられます:


尿道がんでは、尿道内でのがんの発生部位に応じた病期分類が行われます。治療法の決定もこの分類法に基づいてなされます。

尿道がんの病期分類と治療は、尿道内でのがんの発生部位と尿道周囲の組織への腫瘍の拡がりの深さに基づいてなされます。尿道がんは、前部尿道がんと後部尿道がんに分けられます。

前部尿道がん

前部尿道がんでは、腫瘍は深くまでは拡がっておらず、尿道の先端(体の外の方)付近に発生します。

後部尿道がん

後部尿道がんでは、腫瘍が深くまで拡がっていて、尿道膀胱付近に発生します。女性の場合は尿道全域が侵されていることもあります。男性の場合は前立腺(男性特有の)が侵されるていることもあります。

尿道がんは、以下の病期分類を用いて表現されます:
0期(上皮内がん)

0では、がん尿道の表面組織の内部のみに認められます。0期は上皮内がんとも呼ばれます。

A期

Aでは、尿道表面を覆う層より深い位置の組織層までがんが拡がっています。

B期

Bでは、尿道周囲の筋肉の中にがんが認められます。男性の場合は、尿道周囲の陰茎組織が侵されていることもあります。

C期

Cでは、がん尿道周囲の組織を越えて拡がり、さらに:


D期

Dは、がんが拡がる部位に応じてD1期とD2期に分けられます。


尿道がんは浸潤性膀胱がんに伴って発生することがあります。

膀胱がんの患者さんのごく一部は、尿道がん診断されるか、あるいは将来的に尿道がんを発症します。


再発尿道がん

再発尿道がんとは、治療後に再び悪化(再発)したがんのことをいいます。再発は、尿道に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。


治療選択肢の概要

尿道がんの患者さんには様々な治療法があります。

尿道がんの患者さんは、様々な治療法を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。

臨床試験は米国各地で行われています。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。

標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術

手術尿道がんで最も多く用いられている治療法です。以下の手術のいずれかが実施されます:


尿道を切除する場合、外科医尿を排出するための新たな通路を造ります。この手術は尿路変更術と呼ばれます。膀胱を摘出する場合、外科医は尿を貯留し体外へ排出するための新たな通路を造ります。ここでは小腸の一部分が、尿を開口部(ストーマ)まで通す管として用いられることがあります。この手術は造瘻術または尿路変更術と呼ばれます。造瘻術を受けた患者さんは、使い捨ての採尿バッグを衣服の下に装着して生活します。外科医はまた、小腸の一部分を利用して尿を貯留するための袋(尿禁制型代用膀胱)を体内に造ります。さらに、管(カテーテル)を用いて尿をストーマを通して体外へと排出できるようにします。

たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法放射線療法を実施する場合があります。治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に置いた機械を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどに放射性物質を封入し、腫瘍の内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。

注意深い経過観察

注意深い経過観察とは、症状の出現や変化がみられるまで治療を一切行わずに、患者さんの状態を注意深く監視していくことです。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:
化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。

本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


尿道がんの治療選択肢


前部尿道がん

前部尿道がんの治療法は男性と女性で異なります。

女性の場合の治療法には以下のようなものがあります:


男性の場合の治療法には以下のようなものがあります:



後部尿道がん

後部尿道がんの治療法は男性と女性で異なります。

女性の場合の治療法には以下のようなものがあります:


男性の場合の治療法は、放射線療法とその後の手術(膀胱前立腺全摘除術陰茎切断術、リンパ節郭清術、および尿路変更術)となるでしょう。


浸潤性膀胱がんに合併した尿道がん

浸潤性膀胱がんに合併した尿道がんの治療法には、以下のようなものがあります:



再発尿道がん

尿道付近に発生した再発尿道がんの治療法は、その患者さんが以前に受けていた治療によって異なり、以下のようになります:


体内の離れた部位に発生した再発尿道がんの治療は、化学療法臨床試験への参加となるのが通常です。

本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在行われている臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。


2007-06-27