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食道がんのスクリーニング: 検診

スクリーニングとは

スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。その実施が、がんの早発見に役立つ場合もあります。異常組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合があります。症状が現れる頃には、がんが拡がり始めている可能性があります。

ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、こうした疑問をより深く解明しようとする努力が科学者たちによって続けられています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、がんのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それにその検査を受ける頻度について、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。

担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんが疑われているわけではないということを、忘れてはなりません。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。

スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。

食道がんの予防、診断、治療に関する情報については、以下のPDQ(Physician Data Query:医師データ照会)要約をご覧ください:



食道がんについての一般的な情報

食道がんは、食道の組織に悪性(がん)細胞が発生する疾患です。

食道は筋肉でできた中空の管で、食べたものや飲んだものを咽頭(喉)からまで運びます。食道壁は、粘膜、筋肉、結合組織をはじめとした幾層かの組織層から構成されています。食道がんは、食道の内側の表面から発生し、大きくなるにつれ他の層を貫き外へと拡がります。

消化器系の解剖図:食道、肝臓、胃、大腸、小腸を示す。図を拡大する
胃と食道は、上部消化器系の一部です。

最もよくみられる2種類の食道がんには、悪性(がん性)化した細胞の種類に基づいた名前が付けられています:


食道がんは男性により多くみられます。

男性は女性よりも約3倍食道がんにかかりやすくなっています。年々、食道腺がんの症例は増加しており、扁平上皮がんの症例は減少しています。食道扁平上皮がんは、白人よりも黒人により多く見られます。食道がんの発生率は年齢とともに増加します。

喫煙、大量のアルコール摂取およびバレット食道が食道がんの発生リスクに影響を与えることがあります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。

食道扁平上皮がんの危険因子としては以下のようなものがあります:


食道腺がんの危険因子としては以下のようなものがあります:



食道がんのスクリーニング

様々な種類のがんを発見するために複数の検査法が用いられます。

スクリーニング検査の中には、がんの早期発見に役立ち、同時にがんによる死亡の可能性を低減できることが明らかとなっているために、実施されているものがあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査もありますが、こうした検査にがんの死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては臨床試験での証明は得られていません。

最小のリスクで最大の効果が得られる検査法を開発するために、現在もスクリーニング検査の研究が行われています。また、がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんの死亡リスクが低減されるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早のうちに発見し治療すれば、回復の見込みが高まる場合があります。

食道がんのスクリーニング検査には、標準的なものや決まって用いられるものはありません。

食道がんのスクリーニングは、米国各地で行われているスクリーニング臨床試験で研究中です。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手できます。

食道がんを検出(発見)できる以下の検査法は現在研究中です:
食道鏡検査

食道の内部を観察して、異常な箇所がないかを調べる検査法。内視鏡(ライトの付いた細い管)を口または鼻を通じ咽頭(喉)から食道内部にまで挿入します。生検用に組織サンプルを採取することもあります。

食道鏡検査:口から食道内に挿入された内視鏡を示す。右上の図には、台の上で患者さんが食道鏡検査を受けている様子が示されている。図を拡大する
食道鏡検査。ライトの付いた細い管を口から食道内に挿入し、異常な箇所を探します。

生検

細胞や組織を採取して、顕微鏡で観察し、がんの徴候を調べます。食道下部の内表面の数箇所の異なった部位の生検を行うことにより、早期のバレット食道が検出されることがあります。この方法は、バレット食道の危険因子がある患者さんに対して用いられます。

ブラシ細胞診

食道の内側からブラシでぬぐい取った細胞を、異常かどうか顕微鏡で検査する方法。これは、食道鏡検査の最中に行われます。

バルーン擦過細胞診

空気を抜いたバルーンを患者さんに飲み込んでもらい、これを用いて食道の内壁から細胞を集める方法。患者さんが飲み込んだ後、バルーンを膨らませて食道から引き出します。それからバルーン上に付着した食道の細胞を顕微鏡で観察し、異常がないかを調べます。

色素内視鏡検査

食道鏡検査の実施中に食道の内側に色素を吹き付ける方法。食道内層の特定の部位が強く染色される場合、早期バレット食道の徴候の可能性があります。

蛍光分光法

特殊な光を用いて、食道の内側の組織を観察する方法。光プローブを内視鏡を通じて挿入し、食道の内側で光らせます。そして食道の内側を覆う細胞から発せられる光が測定されます。悪性組織では正常組織よりも発光量が少なくなります。


食道がんのスクリーニングのリスク

スクリーニング検査にはリスクが伴います。

スクリーニング検査を受けるかどうかを決定することは難しいことです。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要になります。

食道がんのスクリーニング検査に伴うリスクとしては、以下のものが挙げられます:
食道がんが発見されても健康状態の改善や余命の延長につながらない場合もあります。

進行した食道がんであったり、身体の他の部位へ既に転移している場合は、スクリーニングを受けても健康状態の改善や余命の延長はあまり望めないでしょう。

がんの中には何の症状ももたらさず、命を脅かす心配がないものもありますが、スクリーニング検査で見つかれば、そのようながんにも治療が行われることがあります。このようながん治療に無治療の場合と比べて延命効果があるのかどうかは不明な上、その治療によって逆に重篤な副作用がもたらされる可能性もあります。

偽陰性の検査結果が出る可能性もあります。

スクリーニング検査の結果は、たとえ実際に食道がんが存在していても、正常となることがあります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた人では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。

偽陽性の検査結果が出る場合もあります。

スクリーニング検査の結果は、がんが存在していなくても異常となることがあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となることもあり、さらに、その後も検査(生検など)が引き続き実施されていくのが通常で、そうした検査によるリスクも生じてきます。

検査そのものによる副作用も考えられます。

まれにですが、食道鏡検査や生検で重篤な副作用が生じることがあります。具体的には以下のようなものがあります:



2007-06-27