原文更新日 : 2006-05-18
翻訳更新日 : 2007-06-27
スクリーニングとは、症状が現れてくる前にがんを発見しようとする試みのことです。その実施が、がんの早期発見に役立つ場合もあります。異常組織やがんも、早期に発見されれば治療が容易になる場合もあります。症状が現れる頃には、がんが拡がり始めている可能性があります。
ある種類のがんにかかりやすいのはどのような人々なのか、こうした疑問をより深く解明しようとする努力が科学者たちによって続けられています。さらに、がんの原因となりうる生活習慣や環境についても研究が重ねられています。こうして得られた情報は、がんのスクリーニング対象者の条件やスクリーニング検査の種類、それにその検査を受ける頻度について、医師が患者さんに助言をしていく際に役立てられています。
担当の医師からスクリーニング検査を勧められたとしても、必ずしもがんが疑われているわけではないということは、忘れてはなりません。スクリーニング検査はがんの症状が現れる前に実施されるものなのです。
スクリーニング検査の結果が異常であれば、がんの存在を確認するために、さらなる検査が必要になる場合もあります。こうした検査は診断検査と呼ばれます。
子宮頸がんの予防、診断、治療法に関する情報については、以下のPDQの要約をご覧ください:
子宮頸部とは、子宮(胎児の成長の場となる、洋ナシの形をした中空の臓器)の下の方の狭くなった部分のことをいいます。子宮頸部は子宮から膣(産道)への移行部にあたります。
子宮頸がんは通常ゆっくりと進行します。がんが現れる前の子宮頸部には、異常な細胞が組織の中に現れ始める異形成と呼ばれる変化が起きています。その後、がん細胞が増殖を開始し、子宮頸部のより深い部分や周辺部へと拡がっていきます。
1950年以来、パパニコロウ試験による子宮頸がんのスクリーニングの実施により、子宮頸がんの新規症例数と子宮頸がんによる死亡者数は減少を続けています。子宮頸部異形成は20歳代と30歳代の女性に多くみられます。30歳未満の女性と、パパニコロウ試験によるスクリーニングを定期的に受けている全年齢層の女性では、子宮頸がんでの死亡はまれなことです。子宮頸がんによる死亡の危険性は年齢とともに増加していきます。その危険性は、45歳から70歳の白人女性や70歳代の黒人女性で最も高くなっています。子宮頸がんによる死亡は、白人女性よりも黒人女性に多くなっています。
ヒトパピローマウイルス(HPV)の感染は、子宮頸がん発生の主要な危険因子です。子宮頸がんの女性の大部分がヒトパピローマウイルス(HPV)に感染していますが、HPVに感染している女性の全員が子宮頸がんを発症するわけではありません。子宮に悪影響を及ぼすHPVには数多くの種類がありますが、細胞の異常化を引き起こしてがんの原因となりうるものは、そのうちのごく一部に限られます。 HPV感染症の中には、治療なしで自然に治っていくものもあります。定期的にパパニコロウ試験を受けていない女性では子宮頸がんのリスクが高くなります。
HPV感染症は主として性的接触により伝染します。若年で性活動を開始した女性や、セックスパートナーを多くもつ女性では、HPVの感染リスクが高くなります。
子宮頸がんの危険因子としては、この他にも以下のようなものがあります:
スクリーニング検査の中には、がんの早期発見に役立ち、同時にがんによる死亡の可能性を低減できることが明らかとなっているために、実施されているものがあります。一方で、一部の人々の間でがんを発見できたことから実施されている検査もありますが、こうした検査にがんの死亡リスクを低下させる効果があるのかどうかについては臨床試験での証明は得られていません。
最小のリスクで最大の効果が得られる検査法を開発するために、現在もスクリーニング検査の研究が行われています。また、がんスクリーニングの臨床試験を行う目的には、早期発見(症状が現れる前にがんを発見すること)によってがんの死亡リスクが低減されるかどうかを明らかにすることも含まれています。一部の種類のがんでは、早期のうちに発見し治療すれば、回復の見込みが高まる場合があります。
がんのスクリーニング方法を研究するための臨床試験が米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
パパニコロウ試験は子宮頸がんのスクリーニングで広く用いられている手法です。パパニコロウ試験とは、子宮頸部と膣の表面から細胞を採取する検査法です。まず、脱脂綿、ブラシ、または木べらで子宮頸部と膣の細胞を優しくこすり取ります。採取された細胞を顕微鏡で観察し、異常がないかを調べます。この検査法はパパニコロウ塗抹とも呼ばれます。ここで細胞を採取して観察するための新たな方法として、細胞をスライドガラスに載せる前にある液体の中に入れておくという手法が考案されています。ただし、子宮頸がんによる死亡者数の減少という点で、この新しい方法が標準的な方法より優れているかについてはまだ分かっていません。
パパニコロウ試験で陽性の結果が出た場合は、引き続いてHPV DNA検査を行って、細胞の異常化を引き起こしているHPVの感染が子宮頸がんと関わりのあるものかどうかを確かめる場合があります。この検査はさらなる治療の計画を立てる上で役立ってきます。
この他にも、現在臨床試験で検証中のスクリーニング検査があります。スクリーニングの臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
スクリーニング検査に関する判断は難しくなる場合があります。全てのスクリーニング検査が役に立つわけではなく、ほとんどはリスクを伴います。スクリーニング検査を受けようとする場合は、その前に検査について担当の医師とよく話し合っておくのがよいでしょう。検査に伴うリスクを把握し、さらにがん死亡のリスク低減という効果が実際に証明されているのかを知っておくことが重要になります。
子宮頸がんのスクリーニングのリスクとしては、以下のものが挙げられます:スクリーニング検査の結果は、たとえ実際に子宮頸がんが存在していても、正常となることがあります。偽陰性の検査結果(実際にはがんが存在しているのに存在しないと判定された検査結果)を受けた女性では、たとえ症状が現れていても、医師の診察を受けるのが遅くなる場合があります。
偽陽性の検査結果が出る場合もあります。スクリーニング検査の結果は、がんが存在していなくても異常となることがあります。また、子宮頸部の異常細胞の中には決してがんにならないものもあります。偽陽性の検査結果(実際にはがんは存在しないのに存在すると判定された検査結果)は不安の原因となることもあり、さらに、その後にも検査や処置(膣鏡検査、凍結療法、ループ式電気外科円錐切除法 など)が引き続き実施されるのが通常で、それらによるリスクも生じてきます。これらの処置が受胎能や妊娠に及ぼす長期的影響についてはよく分かっていません。
ご自身に関する子宮頸がんのリスクやスクリーニング検査の必要性については、担当の医師にご相談ください。パパニコロウ試験を用いたスクリーニングによって子宮頸がんによる死亡者数が減少したことが、複数の研究から示されています。このスクリーニングは、最初の性交から3年以内に1回目を受け、その後は少なくとも2〜3年に1回の頻度で受けるべきとされています。
子宮全摘出術(子宮と子宮頸部を摘出する手術)を受けたことのある女性では、パパニコロウ試験によるスクリーニングは必要ありません。また、60歳以上の時点でのパパニコロウ試験の結果が陰性となった場合には、その後のパパニコロウ試験で異常となる確率は非常に低くなります。
パパニコロウ試験を受ける頻度については、担当の医師と話し合って決めるのが最良の選択となります。