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がん医療における霊性: 支持療法

概要

がんの患者さんでは、自身の病気に対処していく際に霊的または宗教的な信条や実践を拠り所とする人が多いようです。このような対処法は霊的対処と呼ばれます。また一部には、終末期の問題だけでなく治療中の問題に対しても、医師や介護者に自身の霊性面の関心事に対応してもらいたいと願っている患者さんもいます。そのため医療スタッフは患者さんに対して、がんのケアを行っていく間に自身にとって重要となる霊性面の問題を明確にしておくよう伝える場合があります。


霊性と宗教の定義

多くの人にとって、霊性と宗教は異なる意味合いをもっています。

霊性宗教という言葉はしばしば同じような意味で使われますが、多くの人にとってこれらの意味は異なります。宗教は信仰と実践から成る固有の集合として定義され、通常、組織化された集団との関わりをもちます。霊性は、個人の安らぎ、個人の目的意識、他者とのつながりの感覚、人生の意味に関する信条などとして定義されています。霊性は、組織化された宗教やその他の方法を通して見出すことができ、またそれらによって表現されるものです。自身のことを霊的でかつ宗教的な存在であると考える患者さんは多くいます。一方で、自身のことを霊的ではあるが宗教的ではないと考える患者さんもいます。さらに、自身のことを宗教的ではあるが霊的ではないと考える患者さんもいます。

霊的苦痛とは、宗教または霊性における未解決の葛藤または疑念のことをいいます。

がんのような深刻な病気が発生すると、それが患者さんの信条や宗教的価値観と衝突することで、重度の霊的苦痛を招いてしまうことがあります。がんの患者さんの中には、がんを天罰と考える人や、診断を契機に信仰心を失ってしまう人もいます。

一方で、がんという問題に対処していく中で軽度の霊的苦痛を経験する患者さんもいます。それは例えば、祈りを対処法として用いている患者さんが、祈りの方法を気にしたり、祈りに応えてもらえているのかを疑問に感じたりする場合などが当てはまります。


生活の質と霊性の関係

霊的および宗教的に良好な状態にあることは、生活の質の向上と関連することがあります。

霊性が健康とどのような関係にあるのかははっきりとは分かっていません。しかし一部の研究からは、霊的または宗教的な信条や実践によって、気分を改善するような前向きな心構えが促進されるということが示されています。霊的および宗教的に良好な状態にあることは、以下のようにして生活の質の向上と関係してきます:


霊的苦痛は健康状態が悪化する原因となることがあります。

高度の霊的苦痛がある場合、患者さんのがんとその治療に対する対処能力が損なわれてしまうことがあります。さらにこの苦痛によって、健康状態が悪化したり人生に対する満足度が低下してしまう場合もあります。こうした患者さんに対して医療提供者は、しかるべき霊的指導者や宗教指導者に相談して葛藤の解消の手助けとすることを勧めることがあり、これによって患者さんの健康状態や生活の質、対処能力などが改善されることもあります。


スクリーニングと評価

霊性の評価を行っておけば、患者さんががんの診断や治療に対処していく際に宗教的あるいは霊的な信条に頼るかどうかを、前もって予測できることもあります。

医師にとって、患者さんの人生における宗教や霊性の役割を把握しておくことは、がんの診断に対する患者さんの心理的反応や、治療に関する決断の際に信仰や霊的信条がどのように影響してくるのかを、前もって予測しておくのに役立ちます。医師や介護者の中には、患者さんが自身の霊的な関心事を話題に出してくるのを待っている人もいます。また、面接形式や、霊的評価と呼ばれる形式で、最初の情報を得ようとする医師もいます。

霊的評価には、宗教観、信条、および霊的実践についての質問が含まれます。

医療スタッフが質問する事柄は、患者さんが重要と感じている問題の全てをカバーしているわけではありません。ですから、もしがんのケアに影響してくると思われる霊的問題や宗教的問題が他にもあるのならば、患者さんは遠慮せずにそのことを話題に出してよいのです。

霊的評価では、以下のような問題に関する質問が行われます:



患者さんの霊的面および宗教面のニーズへの対応

患者さんの霊性面のニーズに対応していく際には、医療スタッフは患者さんの希望に従って行動していきます。

霊性と宗教に関する決定は極めて個人的な意思決定といえます。したがって患者さんには、自身の宗教的、霊的な信条や関心事に対する尊重を医師や介護者に期待する権利があります。さらに病気への対処において霊性を拠り所としているがんの患者さんは、自身の霊的実践を可能にするために、何らかの支援やしかるべき霊的あるいは宗教的資源の紹介などを医療スタッフに要求してよいのです。がんのケアの間に霊的な問題について特に対応を要求しない患者さんの場合も、自身の考え方に対する尊重と支持を医療スタッフに期待してよいのです。

医師や介護者は、患者さんの関心事にできるだけ対応しようとはしますが、その宗教儀式に参加することや信仰に関して議論することについては避けようとする場合もあります。

医師は、目標設定や治療計画の中で患者さんの霊性面のニーズに応えることができます。

医師が患者さんの霊性面のニーズに応えるための方法としては、以下のようなものが挙げられます:



2007-06-27