小児肝がんの治療(PDQ®): 治療
小児肝がんの治療

小児肝がんについての一般的な情報

小児肝がんは、肝臓の組織の中に悪性(がん)細胞ができる疾患です。

肝臓は体内で最も大きな臓器のひとつです。4つのから構成され、胸郭の内部に位置し、右上腹部の空間の大部分を占めています。肝臓は数多くの重要な機能を果たしており、具体的には以下のようなものが挙げられます:


小児肝がんの代表的なものには次の2種類があります:


本要約では、原発性肝がん(最初から肝臓に発生したがん)の治療法について記載されています。転移性肝がん(他の部位から発生したがん細胞が肝臓に転移してできたがん)の治療法については、本要約では扱われていません。原発性肝がんは成人にも小児にも発生します。しかし、小児の場合の治療法は成人の場合のものとは異なります。(詳しい情報については、PDQ成人原発性肝がんの治療に関する要約をご覧ください。)

特定の疾患や障害をもつ小児では、小児肝がんの発生リスクが高くなります。

疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。危険因子を持っていれば必ずがんになるというわけではありませんし、危険因子を持っていなければがんにならないというわけでもありません。リスクが高いと思う人は、そのことについて担当の医師と話し合ってください。肝芽腫の危険因子には以下のようなものがあります:


肝細胞がんの危険因子には以下のようなものがあります:


小児肝がんの徴候として考えられるものに、腹部のしこりと痛みがあります。

症状は、腫瘍が大きくなるほどより多く出現するようになります。ただし別の病態が原因で同様の症状が現れてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:


小児肝がんの発見と診断には、肝臓と血液を調べる検査法が用いられます。

以下のような検査法や手技が用いられます:


特定の要因が予後(回復の見込み)や治療法の選択肢に影響を及ぼします。

予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:


予後を左右する因子には以下のようなものもあります:


小児肝がんでは、腫瘍が小さく手術によって完全に摘出できるならば、治癒も望めます。肝芽腫では、肝細胞がんと比べて、完全摘出が可能な場合が多くなります。


小児肝がんの病期

小児肝がんの診断がついた後には、がん細胞の肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を明らかにするために、さらに検査が行われます。

がん肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この過程で集められた情報を基にして病期が判定されます。治療計画を立てるためには病期を把握しておくことが重要になります。

小児肝がんの病期分類体系には以下の2つがあります:


病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:


体内でのがんの拡がり方は3種類に分けられます。

体内でのがんの拡がり方には以下の3種類があります:


がん細胞原発腫瘍(最初にできた腫瘍)を離れ、リンパ液や血液を介して体内の別の場所に移動すると、新たな腫瘍(続発性腫瘍)が形成されることがあります。このプロセスは転移と呼ばれます。続発性(転移性)腫瘍は、原発腫瘍と同じ種類のがんです。例えば、乳がんが骨に転移する場合、その骨のがん細胞は実際には乳がんの細胞です。この疾患は転移性乳がんであり、骨がんではありません。

手術後には以下の病期分類が用いられます:
I期

I期は、手術によってがんが完全に摘出された場合です。

II期

II期では、顕微鏡なしで確認できるがんは全て手術によって摘出されています。少量のがんが肝臓内に残存していますが、これは顕微鏡でないと確認できないものか、もしくは手術の際に腔内に拡がったと考えられる腫瘍細胞です。

III期

III期では、以下の条件が満たされます:


IV期

IV期では、がんが体の別の部位に転移しています。

手術前の小児肝芽腫には以下の病期分類が用いられます:
PRETEXT 1期

1期では、肝臓の4区域の1つのみにがんが認められます。

PRETEXT 2期

2期では、肝臓の4区域の隣り合う2つにがんが認められます。

PRETEXT 3期

3期では、肝臓の4区域の隣り合う3つにがんが認められるか、もしくは肝臓の4区域の隣り合わない2つにがんが認められます。

PRETEXT 4期

4期では、4区域の全てにがんが認められます。


再発小児肝がん

再発小児肝がんとは、治療後に再び発生(再発)したがんのことをいいます。再発は、肝臓内に起こることもあれば、体の別の部位に起こることもあります。


治療選択肢の概要

小児肝がんの患者さんには様々な治療法が存在します。

小児肝がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。そのなかには標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験において検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、既存の治療法を改良したり、がんの患者さんのための新しい治療法について情報を集めたりすることを目的とした調査研究です。複数の臨床試験で現在の標準治療より新しい治療法のほうが良好であることが明らかになった場合は、その新しい治療法が標準治療となります。

小児がんはまれな疾患ですので、臨床試験への参加を検討すべきです。ただし臨床試験のなかには、まだ治療を開始していない患者さんだけを対象としたものもあります。

小児肝がんの治療では、このまれな小児がんの治療に精通した医師で構成されるチームによって治療計画が作成されるべきです。

この疾患の治療は小児腫瘍医(小児がんの治療を専門とする医師)が統括することになります。この小児腫瘍医は、特定の医療分野を専門とする小児科医や、肝がんの小児の治療に精通した小児科医に患者さんを紹介することもあります。さらに、肝臓手術の経験豊富な小児外科医が治療に参加することが特に重要となります。この他にも以下のような専門医や専門家が治療に参加します:


がんの治療のなかには、治療が終ってから何カ月または何年もたって副作用が現れるものがあります。

がんの治療法のなかには、治療後も副作用が継続するものや、数カ月あるいは数年も経過してから副作用が出現してくるものもあります。こうした副作用は晩期障害と呼ばれます。がん治療の晩期障害には以下のようなものがあります:


晩期障害には治療や制御することが可能なものもあります。治療によって生じうる晩期障害について担当の医師とよく相談することが重要です。(詳しい情報については、PDQ小児がん治療の晩期障害に関する要約をご覧ください。)

標準治療として以下の3種類が用いられています:
手術

可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。


ときに、腫瘍を小さくして摘出しやすくすることを目的として、手術の前に化学療法放射線療法が実施されることがあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させることを目的として、術後に化学療法が実施される場合があります。治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。

化学療法

化学療法は、を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによって、がんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腔などの体内に薬剤を直接注入する化学療法では、薬はその領域にあるがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。

肝動脈(肝臓に血液を供給している主要な動脈化学塞栓療法は局所化学療法のひとつで、小児肝がんの治療に用いられます。この方法では、カテーテル(細い管)を通して抗がん剤を肝動脈の中に注入されます。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられていて、これによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大半が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位に送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を遮断するのに使用する物質の種類に応じて、動脈の閉塞は一時的なものにも永久的なものにもできます。腫瘍には、その増殖に必要となる酸素や栄養分が供給されないようになります。一方で肝臓への血液供給は、から血液を運んでくる門脈によって維持されます。

複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。化学療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。

放射線療法

放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞の死滅や増殖阻止を図る治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、放射性物質を針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの中に封入し、それをがん組織の内部または周辺に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療対象となるがんの種類と病期に応じて異なってきます。

この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。

臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。

患者さんは臨床試験への参加を考えてもよいでしょう。

患者さんによっては、臨床試験に参加することが治療に関する最良の選択肢となる場合もあります。臨床試験はがんの研究プロセスの一部を構成するものです。臨床試験は、新しいがんの治療法が安全でかつ有効であるかどうか、あるいは標準治療よりも優れているかどうかを確かめることを目的に実施されます。

今日のがんの標準治療の多くは以前に行われた臨床試験に基づくものです。臨床試験に参加する患者さんは、標準治療を受けることになる場合もあれば、新しい治療法を初めて受けることになる場合もあります。

患者さんが臨床試験に参加することは、将来のがんの治療法を改善することにもつながります。たとえ臨床試験が効果的な新しい治療法の発見につながらなくても、重要な問題に対する解答が得られる場合も多く、研究を前進させることにつながるのです。

患者さんはがん治療の開始前や開始後にでも臨床試験に参加することができます。

ただし一部には、まだ治療を受けたことのない患者さんだけを対象とする臨床試験もあります。一方では、別の治療では状態が改善されなかった患者さんに向けた治療法を検証する試験もあります。がんの再発を阻止したり、がん治療の副作用を軽減したりするための新しい方法を検証する臨床試験もあります。

臨床試験は米国各地で行われています。詳しくは、治療選択肢のセクションにある現在進行中の治療臨床試験へのリンクを参照してください。そこで検索された情報はNCIの臨床試験データベースのものです。

フォローアップ検査が必要となることもあります。

がんの診断病期判定のために実施される検査のなかには、繰り返し行われるものがあります。治療の奏功の程度を確かめるために繰り返し行われる検査もあります。治療の継続、変更、中止などの決定はこうした検査の結果に基づいて判断されます。これはときに再病期分類と呼ばれます。

治療が終ってからも度々受けることになる検査もあります。こうした検査の結果から、患者さんの状態の変化やがんの再発の有無を知ることができます。こうした検査はフォローアップ検査または定期検査と呼ばれることがあります。


病期ごとの治療選択肢

それぞれの治療のセクションには現在実施中の臨床試験の一覧へのリンクが張られています。がんの種類や病期によっては、臨床試験の掲載が1件もない場合もあります。ここに掲載されていない臨床試験でご自身に適したものがないかは、担当の医師にご確認ください。


I期およびII期の小児肝がん

I期およびII期の小児肝がんとPRETEXT 1期、2期、3期の肝芽腫に対する治療法には、以下のようなものがあります:


I期とII期の肝細胞がんの治療法は、腫瘍の摘出手術とその後の併用化学療法となるのが通常です。

NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、I期小児肝がんの患者さんとII期小児肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


III期の小児肝がん

III期の小児肝がんとPRETEXT 4期の肝芽腫に対する治療法には、以下のようなものがあります:


III期の肝細胞がんに対しては、まず併用化学療法によって腫瘍を小さくしておき、その後手術によって腫瘍を可能な限り摘出していくという治療が行われるのが通常です。

NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、III期小児肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


IV期の小児肝がん

IV期肝芽腫の治療法には以下のようなものがあります:


IV期の肝細胞がんに対しては、併用化学療法によって腫瘍を小さくしておいて、その後手術によって腫瘍を可能な限り摘出していくという治療が行われる場合があります。

NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、IV期小児肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


再発小児肝がんの治療選択肢

再発肝芽腫の治療では、発生した転移性腫瘍のそれぞれに対して摘出手術を行っていくのが通常です。

再発肝細胞がんについては、臨床試験への参加による治療を検討するべきでしょう。

NCIのPDQ Cancer Clinical Trials Registryから、再発小児肝がんの患者さんを現在受け入れている米国内の臨床試験を調べることができます(なお、このサイトは日本語検索に対応しておりません。日本語でのタイトル検索は、こちらから)。試験の場所、治療のタイプ、薬剤の名前など、他の検索要素を用いて絞り込み検索を行うと、より具体的な結果が得られます。米国国立がん研究所(NCI)のホームページから臨床試験についての一般的な情報をご覧いただけます。


小児肝がんについてさらに学ぶために

米国国立がん研究所が提供している小児肝がんに関する詳しい情報については、肝がんについて知っておくべきこと(What You Need to Know About™ Liver Cancer)をご覧ください。

米国国立がん研究所が提供している小児がんに関する情報と一般的ながんに関するその他の資源については、以下をご覧ください:



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