原文更新日 : 2004-12-16
翻訳更新日 : 2007-06-27
肝臓は、体内で最も大きな臓器のひとつで、胸郭内部の腹部右上部を占めています。肝臓は、右葉とそれよりも小さい左葉の2つの部分に分けられます。肝臓は、以下のような多くの重要な機能を果たしています:
小児肝がんの代表的なものとして次の2種類が挙げられます:
本要約では、原発性肝がん(最初から肝臓に発生したがん)の治療法について記載されています。転移性肝がん(他の部位から発生したがん細胞が肝臓に転移してできたがん)の治療法については、本要約では扱われていません。原発性肝がんは成人にも小児にも発生します。しかし、小児に対する治療は成人に対するものとは異なります。(さらに詳しい情報については、PDQの原発性肝がん(成人)の治療に関する要約をご覧ください。)
特定の疾患や障害をもつ小児では、小児肝がんの発生リスクが高くなります。肝芽腫の危険因子には以下のようなものがあります:
肝細胞がんの危険因子には以下のようなものがあります:
症状は、腫瘍が大きくなるほどより多く現れてくるようになります。ただし別の病態が原因で同様の症状が現れてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)と治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
予後を左右する因子には以下のようなものもあります:
小児肝がんでは、腫瘍が小さく手術によって完全に摘出できるならば、治癒も望めます。肝芽腫では、肝細胞がんと比べて、完全摘出が可能な場合が多くなっています。
がんの肝臓内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。
小児肝がんの病期分類システムには、以下の2つがあります:
病期分類の過程では以下のような検査法や手技が用いられます:
II期では、顕微鏡なしで確認できるがんの全てが手術によって摘出されています。少量のがんが肝臓内に残存していますが、顕微鏡でないと確認できないものか、もしくは手術の際に腹腔内に拡がったと考えられる腫瘍細胞です。
III期III期では、以下の条件が満たされます:
IV期では、がんが体の他の部位に拡がっています。
手術前の小児肝芽腫では以下の病期分類が用いられます:3期では、肝臓の4区域の隣り合う3つにがんが認められるか、もしくは肝臓の4区域の隣り合わない2つにがんが認められます。
PRETEXT 4期4期では、4区域の全てにがんが認められます。
小児肝がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
小児ではがんの発生がまれであるため、小児が肝がんを発症した場合は例外なく臨床試験への参加を検討すべきです。臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
小児肝がんの治療では、このまれな小児がんの治療に熟練した複数の医師で構成されるチームによって、患者さんごとの治療計画が作成される必要があります。この疾患の治療は、小児腫瘍医(小児のがん治療を専門とする医師)が統括することになります。小児腫瘍医は、特定の医療分野を専門とする小児科医や、肝がんの小児の治療に精通した小児科医に協力を求めることがあります。さらに、肝臓手術の経験豊富な小児外科医が治療に参加することが特に重要になります。この他にも、以下のような専門医や専門家が治療に参加します:
可能な場合は、手術によるがんの摘出が行われます。
ときに、腫瘍を小さくして摘出しやすくするために、手術の前に化学療法か放射線療法が実施されることがあります。このような治療は術前補助療法と呼ばれます。たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法を実施する場合があります。このように治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
化学療法化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。
肝動脈(肝臓へ血液を供給している主要な動脈)化学塞栓療法は局所化学療法のひとつで、小児肝がんの治療に用いられています。この方法では、抗がん剤がカテーテル(細い管)を通して肝動脈に注入されます。その薬剤には動脈を詰まらせる物質が混ぜられており、それによって腫瘍への血液の供給が遮断されます。その結果、抗がん剤の大部分が腫瘍の近くにとどまり、体内の他の部位へ送られる抗がん剤の量が少なくなります。動脈を詰まらせるために用いられる物質の種類によって、その閉塞は一時的なものにもできますし、永続的なものにもできます。その結果、腫瘍の増殖に必要な酸素や栄養分が腫瘍まで到達できないようになります。肝臓への血液供給については、胃や小腸からの肝門脈を介した血流によって引き続き維持されます。
複数の抗がん剤を用いる治療法は併用化学療法と呼ばれます。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用してがん細胞を死滅させる、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を封入し、腫瘍の内部かその付近に直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
この他にも臨床試験で検証中の治療法があります。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
I期とII期の小児肝がんとPRETEXT 1期、2期、3期の肝芽腫に対する治療法には、以下のようなものがあります:
I期とII期の肝細胞がんの治療法は、腫瘍摘出手術とその後の併用化学療法となるのが通常です。
III期の小児肝がんとPRETEXT 4期の肝芽腫に対する治療法には、以下のようなものがあります:
III期の肝細胞がんに対しては、まず併用化学療法によって腫瘍を小さくしておき、その後手術によって腫瘍を可能な限り摘出していくという治療が行われるのが通常です。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
IV期の肝芽腫の治療法には以下のようなものがあります:
IV期の肝細胞がんに対しては、併用化学療法によって腫瘍を小さくしておいて、その後手術によって腫瘍を可能な限り摘出していくという治療が行われる場合があります。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
再発肝芽腫の治療では、異なる位置にできた転移性腫瘍のそれぞれに対して摘出手術を行っていくのが通常です。
再発肝細胞がんについては、臨床試験に参加しての治療を検討するべきでしょう。
現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。