原文更新日 : 2006-10-30
翻訳更新日 : 2007-06-27
中咽頭とは、口腔の後方に位置する咽頭(のど)の中間部分のことをいい、舌の後方の1/3の部分、軟口蓋、咽頭の側壁と後壁、扁桃腺などから構成されています。咽頭は全長約13cm(約5インチ)の中空の管で、鼻の後方から始まって気管と食道(咽頭から胃まで続く管)の上端まで続きます。空気や食べ物が気管や食道に送られる際には、この咽頭の中を通過していきます。
中咽頭がんの大半は扁平上皮がん(扁平上皮細胞から発生するがん)です。扁平上皮細胞とは、中咽頭の表面を覆っている薄く扁平な形をした細胞のことです。
中咽頭がんの発生リスクを高める要因に、喫煙と過度の飲酒があります。疾患が発生する可能性を増大させるものは全て危険因子と呼ばれます。この疾患の危険因子には以下のようなものがあります:
中咽頭がんでは、こうした症状が引き起こされることがあります。ただし別の病態が原因で同様の症状が生じてくる場合もあります。以下のような症状がある場合は医師の診察を受けてください:
以下のような検査法や手技が用いられます:
予後(回復の見込み)を左右する因子には以下のものがあります:
治療の選択を左右する因子には以下のものがあります:
がんの中咽頭内での拡がりや他の部位への転移の有無を調べていくプロセスは、病期分類と呼ばれます。この病期分類の過程で集められた情報を基に病期が判定されます。治療計画を立てる上では病期を把握しておくことが重要になります。中咽頭がんでは、診断の際に用いられた検査結果の一部が病期分類の際にも用いられることがしばしばあります。
中咽頭がんでは、以下の病期分類が用いられます:0期では、中咽頭の表面を覆う組織層のみにがんが認められます。0期のがんは上皮内がんとも呼ばれます。
I期I期では、がんの大きさが2cm以下で、がんは中咽頭の外側には拡がっていません。
II期II期では、がんの大きさが2cmを超えるものの4cmは超えず、がんは中咽頭の外側には拡がっていません。
III期中咽頭がんの患者さんは様々な治療を受けることができます。その中には標準治療(現在使用されている治療法)もあれば、臨床試験で検証中のものもあります。治療を開始する前に、まず臨床試験への参加を検討してみるのもよいでしょう。治療法の臨床試験とは、現在用いられている治療法の改善や、がんの新しい治療法に関する情報収集を目的とした調査研究のことです。新しい治療法が標準治療よりも優れているということが複数の臨床試験から示されると、その新しい治療法が標準治療となります。
臨床試験は米国各地で行われています。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。がん治療の選択では、患者さんとご家族に医療チームが加わって最適な治療法を決定していくのが理想的な形となります。
中咽頭がんの治療では、頭頸部がんの治療に熟練した複数の医師で構成されるチームによって、患者さんごとの治療計画が作成される必要があります。この疾患の治療は腫瘍内科医(がんの治療を専門とする医師)が統括することになります。中咽頭は呼吸、節食、発声といった動作に必要な器官であることから、がんの副作用やその治療の副作用に患者さんが適応していくための特別な支援が必要となってきます。腫瘍内科医は、頭頸部がんの治療について特別の訓練を受けた他の医療専門家に協力を求めることがあります。具体的には以下のような専門医や専門家が挙げられます:
中咽頭がんでは、全ての病期で手術(手術でがんを取り除く治療法)が一般的な治療法となっています。がんとがん周辺の正常組織が切除されます。たとえ医師が手術の際に確認できる全てのがんを切除したとしても、患者さんによっては、残っているがん細胞を全て死滅させるために、術後に化学療法や放射線療法を実施する場合があります。このように治癒の可能性を高めるために手術の後に行われる治療は、術後補助療法と呼ばれます。
放射線療法放射線療法は、高エネルギーX線などの放射線を利用することによってがん細胞を死滅させたりその増殖を阻止したりする、がんの治療法です。放射線療法には2種類のものがあります。外照射療法は、体外に設置された装置を用いてがんに放射線を照射する方法です。内照射療法は、針やシード、ワイヤー、カテーテルなどの器具の中に放射性物質を封入し、がんの内部または近くに直接留置する方法です。放射線療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。分割放射線療法では、放射線の総照射量が均等に分割され、これが数日間にわたって照射されていきます。
放射線療法は、治療開始前に患者さんが喫煙をやめることができれば、よりいっそう効果的となります。
甲状腺か下垂体に対する放射線療法には、甲状腺機能低下症(甲状腺ホルモンの分泌量が低下する病気)を引き起こす危険性があります。そのためこの治療の開始前と終了後には、下垂体の機能を調べる検査を実施する必要があります。
この他にも新しい治療法が臨床試験で検証されています。具体的には以下のようなものがあります:化学療法は、薬を用いてがん細胞を殺傷したりその細胞分裂を妨害したりすることによりがんの増殖を阻止する治療法です。化学療法が経口投与や静脈内または筋肉内への注射によって行われる場合、投与された薬は血流に入って全身のがん細胞に到達します(全身化学療法)。脊柱内や臓器内、もしくは腹腔などの体腔内に薬を直接注入する化学療法では、薬はその領域のがん細胞に集中的に作用します(局所化学療法)。化学療法の実施方法は、治療中のがんの種類と病期によって異なってきます。
放射線増感剤放射線増感剤とは、放射線療法に対する腫瘍細胞の反応性を高める薬のことです。放射線療法に放射線増感剤を併用すれば、より多くの腫瘍細胞を殺傷することが可能になります。
温熱療法温熱療法とは、体の組織を高熱に曝すことによって、がん細胞を殺傷したり、あるいは放射線や特定の抗がん剤に対するがん細胞の反応性を高めたりする治療法です。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
経過観察によって二次がんを発見できる場合があります。中咽頭がんの治療後には、頭頸部での二次がんの発生リスクが高くなることから、経過観察のための入念な診察を頻繁に受けていくことが重要になります。
I期中咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
II期中咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
III期中咽頭がんの治療法には以下のようなものがあります:
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
手術による治療が可能なIV期中咽頭がんでは、治療法は以下のいずれかになります:
手術による治療が不可能なIV期中咽頭がんでは、治療法は以下のいずれかになります:
治療終了後には、再発の有無を調べるために頭頸部の入念な診察を行っていくことが重要となります。診察は、最初の1年間は月1回、2年目は2カ月ごと、3年目は3カ月ごと、それ以降は6カ月ごとに行います。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。
治療終了後には、再発の有無を調べるために頭頸部の入念な診察を行っていくことが重要となります。診察は、最初の1年間は月1回、2年目は2カ月ごと、3年目は3カ月ごと、それ以降は6カ月ごとに行います。
本稿では、臨床試験で研究中の個々の治療法が記載されていますが、現在研究中の新しい治療法の全てが紹介されているわけではありません。現在進行中の臨床試験に関する情報は、米国国立がん研究所(NCI)のホームページから入手することができます。